JP5619373B2 - プレキャストコンクリート躯体及びそれを用いた建築物並びに建築工法 - Google Patents

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Description

本発明は、住宅や低層集合住宅,低層オフィスビル,低層テナントビル,診療所,コンビニエンスストア,ファーストフード店舗等を、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造又は鉄筋コンクリート造一部木造等の混構造で建築する際に最適なプレキャストコンクリート躯体及びそれを用いた建築物並びに建築工法に関するものである。
京都議定書が発効され、住宅部門においてもCO発生の抑制が求められている。一世帯が生活する際のCOの年間排出量は3〜4トンであるが、一般住宅を新築する際の環境負荷はCO換算で概ね60トンである。これは一世帯の15〜20年間の排出量にほぼ等しい。従って、COの排出量削減には、断熱等の省エネ住宅化だけでなく、住宅を長寿命化し建替え回数を減らすことによる効果が非常に大きい。
また、阪神大震災以降、さらには偽装事件により、住宅の耐震、制震、免震等への高いニーズがある。一般の在来木造住宅の場合は、耐震性を高めるために多くの柱と筋交いや耐力壁が必要となり、間仕切り壁も構造体の一部として設計しなければならない。このため、家族構成の変化等のライフスタイルの変化が生じても、その変化に合わせた間取り変更等は難しいという問題がある。
そこで、建物を構造体(スケルトン)と内外装・設備・間取り(インフィル)に分けて設計するスケルトン・インフィル分離型の構成に高いニーズがある。内外装・設備・間取りが干渉することのない耐久性の高い構造体をつくることができれば、家族構成の変化等のライフスタイルの変化が生じても、構造を気にせず自由にインフィル部分の変更(設備改修やリフォーム等)を行うことができ、長く使える建物をつくることができるからである。
さらに、建築業界に共通する従来からのニーズとして、これらの建物をローコストかつ短い工期で建築するとともに、施工性に優れた建築工法の開発要求がある。
そこで、本発明者は鋭意研究し、上記の要求を全て解決する発明を完成させ特許出願を行った(特許文献1)。特許文献1には、「(a)略矩形板状の底盤部と、前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部と、を備えたプレキャストコンクリート躯体と、(b)前記基礎に配設された基礎固定部材と、(c)前記プレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材に溶接された基礎底盤間固定材と、を有し、前記基礎固定部材に前記基礎底盤間固定材が溶接された建築物並びにその建設方法」が開示されている。
発明者はさらに研究を継続し、特許文献1に開示されたプレキャストコンクリート躯体の施工自在性を高めるため、改良点を見出した。
以下、特許文献1に開示された従来のプレキャストコンクリート躯体について、図面を参照しながら、改良が必要な点を説明する。
図21は、特許文献1に開示された従来のプレキャストコンクリート躯体の2体の底盤部及び壁部の側面小口面同士を、隣り合わせて基礎に配設した状態を示す正面図である。
図21において、101は略L字型の従来のプレキャストコンクリート躯体、102は略矩形板状の底盤部、103は底盤部102の側面小口面、104は底盤部102の端部に垂直に立設された壁部、105は壁部104の側面小口面、106は基礎、107は基礎106に配設された図示しない基礎固定部材と、底盤部102の側面小口面105に配設された図示しない壁面固定部材との間に溶接された基礎底盤間固定部材である。
また、図22は、特許文献1に開示された略L字型の従来のプレキャストコンクリート躯体101の2体の底盤部102の側面小口面103同士を隣り合わせて、壁部104の側面小口面105同士は前後にずらして基礎106に雁行に配設し、その間に窓枠や扉等の建具を配設した状態を示す平面図である。なお、図21において説明したものは同じ符号を付して説明を省略する。
図22において、108は一方のプレキャストコンクリート躯体101の壁部104の側面小口面105の一方に配設された抱き部、109は抱き部108の側面と壁部104の背面との間に配設された窓枠や扉等の建具である。
特許4039987号公報
上記従来の技術においては、プレキャストコンクリート躯体を図21や図22に示すように配設する場合に、以下のような要求があった。
(1)図21に示すように、プレキャストコンクリート躯体101の2体の底盤部102の側面小口面103同士及び壁部104の側面小口面105同士を、隣り合わせて設置面となる基礎106に配設する場合、プレキャストコンクリート躯体101間に通常20mm程度の間隔を設け、この間にモルタルやシール材等を充填することにより、連続した壁面を形成する。しかし、底盤部102の隣り合う側面小口面103の間隔が20mm程度では、この隙間に基礎底盤間固定材107を入れることができないため、側面小口面103と基礎106との間を基礎底盤間固定材107で溶接して固定できない。また、基礎106の上にコンクリートを打設した場合に、底盤部102の隣り合う側面小口面103間の隙間が狭いためコンクリートの流れが悪く、固定不良が発生するおそれがあり、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度が低下するおそれがある。従って、プレキャストコンクリート躯体101の2体の底盤部102の側面小口面103同士及び壁部104の側面小口面105同士を、隣り合わせて配置するような設計が困難なため、設計の自在性の改良が要望されていた。
(2)図22に示すように、プレキャストコンクリート躯体101の2体の底盤部102の側面小口面103同士を隣り合わせて、壁部104の側面小口面105同士は前後にずらして基礎106に配設し、その間に建具109や帳壁等を配設する場合、建具109の側壁面を形成するため、一方のプレキャストコンクリート躯体101の壁部104の側面小口面105に抱き部108を配設しなければならない。抱き部108を配設するために現場作業工程を要し熟練工を必要とするため、その改良が要求されていた。
(3)抱き部108を配設するような作業を行わなくても、壁部104の背面に建具109を配設した建築物をつくることができるような設計の自在性(汎用性)に優れ、施工性にも優れたプレキャストコンクリート躯体は要求されていた。
本発明は上記従来の課題を解決し要求を満たすもので、壁部の背面に窓や扉等の開口部を設けるような設計等も行うことができる設計の自在性に優れ、さらに2体を隣接して配置しても底盤部と設置面との接合やコンクリートの流れ込み等の信頼性に優れ、地震力や風荷重に対する水平耐力を確保できるプレキャストコンクリート躯体を提供することを目的とする。
また、本発明は、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度に信頼性を確保でき、内部に柱がない若しくは少ない自由な空間設計が可能で、さらにスケルトン・インフィル分離型の構成によりリフォームや改善の自由性に優れる建築物を提供することを目的とする。
また、本発明は、鉄筋コンクリート造並の強靱な建築物を、木造建築物並のコスト及び工期で建築することができる建築工法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明のプレキャストコンクリート躯体及びそれを用いた建築物並びに建築工法は、以下の構成を有している。
本発明のプレキャストコンクリート躯体は、略板状の底盤部と、前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部と、を備えたプレキャストコンクリート躯体であって、前記壁部が、前記底盤部の幅より片側又は両側に張り出して延設された張出部を備えた構成を有している。
また、本発明の建築物は、略板状の底盤部、及び前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部を備えたプレキャストコンクリート躯体であって、前記壁部が、前記底盤部の幅より片側又は両側に張り出して延設された張出部を備え、設置面に配設されたプレキャストコンクリート躯体と、前記プレキャストコンクリート躯体を前記設置面の上に固定する固定手段と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の建築工法は、設置面に、略板状の底盤部、及び前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部とを備えたプレキャストコンクリート躯体であって、前記壁部が、前記底盤部の幅より片側又は両側に張り出して延設された張出部を備えたプレキャストコンクリート躯体を設置面に配設する躯体配設工程と、前記プレキャストコンクリート躯体を固定手段により前記設置面に固定する固定工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)壁部が底盤部の幅より片側又は両側に張り出して延設された張出部を備えているので、プレキャストコンクリート躯体の2体の壁部の側面小口面同士を、隣り合わせて基礎に配設する場合、底盤部の隣り合う側面小口面間に、張出部の張り出し幅に相当する間隔をあけ、隙間をつくることができる。従って、L型金具等によりプレキャストコンクリート躯体を固定する場合では、この隙間にL型金具等を入れて、側面小口面と設置面との間を溶接等により固定することができる。また、後施工コンクリートを打設して固定する場合では、隣り合う底盤部の側面小口面間に適当な間隔が確保されることによりコンクリートの流れ込みが良くなるため、施工性が改善されると共に、安定して良好な構造が得られる。
この結果、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度が確保できるので、高い信頼性を得ることができる。これにより、プレキャストコンクリート躯体の2体の壁部の側面小口面同士を、隣り合わせて配置するような設計を行うことができ、設計・建設の自在性に優れる。また、内部に柱が無い若しくは少ない自由な空間設計を可能とすることができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体の2体の底盤部の側面小口面同士を隣り合わせて、壁部の側面小口面同士は前後にずらして設置面に雁行に配設し、その壁部間に窓や扉等の開口部を設ける場合、張出部を窓や扉等の開口部左右の側壁面(抱き)として使用することができるため、現場で抱き部を設けるような作業工数や熟練工が不要となる。また、壁部の背面に窓や扉等の開口部を設けるような設計も行うことができるため、設計の自在性に優れる。
(3)構造部材としての間仕切り壁や耐力壁等が不要な外殻構造が構築でき、スケルトン・インフィル分離型の構成により、リフォームや改築の自由性に優れる。
ここで、張出部としては、壁部の内、底盤部の幅より片側又は両側に張り出して延設されたものが用いられる。
張出部の底盤部からの張り出し幅(片側)としては、50〜300mmが好適に用いられる。張り出し幅が50mmより狭くなるにつれ、プレキャストコンクリート躯体の2体の壁部の側面小口面同士を隣り合わせて基礎に配設する場合、底盤部の隣り合う側面小口面間の間隔が狭くなり、鉄筋や基礎底盤間固定材等による底盤部と設置面との相互間の連結施工が行われ難くなる傾向がみられる。300mmより広くなるにつれ、プレキャストコンクリート躯体のコンクリートのボリュームが増し、重量が増して施工性や運搬性が悪くなるとともに設置安定性が低下する傾向がみられる。
張出部の厚みとしては、上端部から下端部に亘って、壁部と略同一に形成されるのが好適である。壁部と同様に、上端部から下端部へ亘って均一でもよし、上端部から下端部へ向かって厚さが増すようにテーパをつけてもよい。テーパを設けることにより剛性が増すとともに、張出部の上端部側のコンクリートボリューム及び鉄筋量を低下させることができる。
壁部の高さとしては、2〜6m程度のものが好適に用いられる。6m程度の高さの壁部を有するプレキャストコンクリート躯体を用い、壁部の高さの中ほどに床スラブを設けることにより、2階建の建物を建設することができる。
壁部には、正面,背面,側面小口面,上面に、柱や梁、桁材等の軸組部材や建具枠等を螺子止め等の手段によって接合するためのインサート等の接合具を埋設することもできる。また、軸組部材を溶接によって接合するための固定部材を埋設することもできる。
なお、本発明のプレキャストコンクリート躯体は、建築物の種類や要求される構造耐力に応じて、必要な部分に離散的に若しくは連設させて設置面の複数箇所に固定することができる。
梁組、床組は、木造や鉄骨造を用いることができる。これらの構造の技術は一般化されており、かつ加工自由度の高いこれらの構造を用いることにより、一般の作業者が確実に施工することができ、建物の計画に自由度を高めることができる。また、地震力や風荷重など建物に作用する水平外力に対しては本発明のプレキャストコンクリート躯体によって対抗する構造となることにより、躯体間の外壁や建物内部の間仕切りは構造的な負担が大幅に軽減されるため、施工が簡略化でき、建設工程の省力化を図ることができる。
本発明のプレキャストコンクリート躯体は、前記底盤部に、水平方向に突出した鉄筋が設けられているのが望ましい。本発明のプレキャストコンクリート躯体を配設して後施工コンクリートを打設すれば、鉄筋が打設された後施工コンクリートにより固定されるので、水平力に対する安定性が増す。また、隣接する底盤部から突出した鉄筋や、基礎鉄筋と連結することでより、容易且つ確実に構造的な一体化が図れる。この底盤部から突出した鉄筋は、底盤部内部から延設させてもよいし、差筋やスタッドボルトを用いて形成してもよい。
また、前記底盤部は、略矩形状、略三角形状、又は略台形状に形成することができる。底盤部が略矩形状に形成されていると、本発明のプレキャストコンクリート躯体を横並びに配設したときに、底盤部が隣接する他の底盤部と干渉しない。また底盤部を略三角形状や略台形状とした場合と比較して設置面を広く確保することができるので安定性が向上する。底盤部を略三角形状や略台形状とすると、本発明のプレキャストコンクリート躯体が建築物の角部に位置した場合でも、隣接する他の底盤部と底盤部が干渉せず、良好な打設コンクリートの流し込みが可能である。
また、前記底盤部に、内部の鉄筋を露出する切欠部を設けることができる。この場合、切欠部から露出した鉄筋を打設されたコンクリートの定着用に用いることができる。
本発明の建築物は、以下のような建築工法により建築することができる。
本発明の建築工法は、本発明のプレキャストコンクリート躯体を配設する設置面を基礎面とすることができる。設置面を基礎面とすることで、軟弱な地盤でも本発明のプレキャストコンクリート躯体を安定させた状態で配設することができ、剛性の高い一体の構造とすることができる。本発明のプレキャストコンクリート躯体を基礎面上に配設するときには、固定手段により基礎面に固定することができる。その際に、地震力や風荷重等の水平力に対する耐力が不足する場合には、更に後施工コンクリートを打設して打設コンクリート部を形成することで、後施工コンクリートと底盤部とを一体化させて耐力を向上させることも可能である。
底盤部を固定手段により設置面に固定する方法としては、前記設置面から突出させたアンカーボルトを前記底盤部に設けられた接合用貫通孔に挿通し、前記アンカーボルトにナットを螺合することにより、又は前記底盤部に埋設された壁面固定部材と前記設置面に埋設された基礎固定部材とを基礎底盤間固定材を介在させて溶接することにより、前記底盤部と前記設置面とを固定することができる。
また、底盤部から水平方向に鉄筋が突出していれば、基礎鉄筋と連結し、後施工コンクリートを打設して打設コンクリート部を形成して固定することもできる。これにより水平力に対する安定性が更に向上する。底盤部から水平方向に突出した鉄筋と基礎鉄筋とを連結し、後施工コンクリートを打設するときには、底盤部と後施工コンクリートとを一体化して基礎とすることができるので、設置面を基礎面とする以外に、捨てコンクリート面とすることが可能である。そうすることで、捨てコンクリート面上に後施工コンクリートを1回打設すればよいので、基礎を形成するためにコンクリートを打設し、基礎面上に本発明のプレキャストコンクリート躯体を設置し、更に後施工コンクリートを打設することで2回のコンクリートの打設が必要となる場合と比較して、コンクリートの打設回数を少なくすることができる。従って、コンクリートボリュームを少なくすることができ、工期短縮を図ることができる。
本発明のプレキャストコンクリート躯体によれば壁部が底盤部の幅より片側又は両側に張り出し延設された張出部を備えているので、プレキャストコンクリート躯体の2体の壁部の側面小口面同士を、隣り合わせて設置面に配設する場合、底盤部の隣り合う側面小口面と設置面との接合やコンクリートの流れ込み等の施工性に優れ、本発明のプレキャストコンクリート躯体と設置面や打設コンクリートとが良好に一体化されることにより、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度を確保できる。
また、プレキャストコンクリート躯体の2体の底盤部の側面小口面同士を隣り合わせて、壁部の側面小口面同士は前後にずらして基礎に配設し、その壁部間に窓や扉等の開口部を設ける場合、張出部を抱きとして使用することができるため、現場で抱き部を設けるような作業工数や熟練工が不要となり、また、壁部の背面に窓や扉等の開口部を設けるような設計等も行うことができ設計の自在性に優れたプレキャストコンクリート躯体を提供できる。
本発明のプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物によれば、地震力や風荷重等の水平力に対する信頼性を確保でき、内部に柱が無い若しくは少ない自由な空間設計が可能である。
また、構造部材としての間仕切り壁や耐力壁等が不要な外殻構造が構築でき、スケルトン・インフィル分離型の構成により、リフォームや改築の自由性、メンテナンス性に優れたものとすることができる。
本発明の建築工法によれば、従来コスト高であって鉄筋コンクリート造の強靱な建築物を、プレキャスト技術の導入により、少工数化と工期短縮し、木造建築物並のコスト及び工期で建築することができる。
この結果、家族構成の変化等のライフスタイルの変化が生じても、自由にインフィル部分の変更(設備改修やリフォーム等)を行うことができ、建物を長く使えることから建替え回数の低減に繋がり、COの排出量削減にも大いに寄与する。
本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 本発明の実施の形態1における建築物の構造体の躯体配設工程が完了した状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1における建築物の構造体の要部側面図である。 本発明の実施の形態1における建築物の構造体の変形例の平面図である。 本発明の実施の形態2におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 本発明の実施の形態3におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 図6に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。 本発明の実施の形態4におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 図8に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。 本発明の実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 図10に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。 図11に示す建築物の構造体の要部拡大斜視図である。 本発明の実施の形態5における建築物の構造体の変形例の一部斜視図である。 図13に示す建築物の構造体の要部拡大斜視図である。 本発明の実施の形態6におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 図15に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。 本発明の実施の形態7におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。 図17に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の角部を示す図であり、プレキャストコンクリート躯体を並べた状態を示す斜視図である。 図18に示す建築物の構造体の角部を示す図であり、基礎鉄筋を配置し、この基礎鉄筋と底盤部から突出した鉄筋とを連結した状態を示す斜視図である。 図19に示す建築物の構造体の角部を示す図であり、コンクリートの打設により、底盤部を含めて一連のベタ基礎を形成した状態を示す斜視図である。 従来のプレキャストコンクリート躯体の2体の底盤部及び壁部の側面小口面同士を隣り合わせて基礎に配設した状態を示す正面図 従来のプレキャストコンクリート躯体の2体の底盤部の側面小口面同士を隣り合わせて、壁部の側面小口面同士は前後にずらして基礎に配設し、その間に建具を配設した状態を示す平面図
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。
図中、1は本発明の実施の形態1における略L字型に形成されたプレキャストコンクリート躯体、2は平面視して矩形板状に形成されたプレキャストコンクリート躯体1の底盤部、3は底盤部2の側面小口面、3aは底盤部2の正面小口面、4は底盤部2の端部に垂直に立設された矩形状の壁部、5は底盤部2の幅より両側に広く張り出して延設された壁部4の張出部、6は壁部4の側面小口面、7は底盤部2と壁部4との取り合い部分に形成されたハンチである。
次に、本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物について、図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施の形態1における建築物の構造体の躯体配設工程が完了した状態を示す斜視図であり、図3は本発明の実施の形態における建築物の構造体の要部側面図である。なお、図2において、図1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。また、図2では、打設コンクリート部13の記載を省略している。
図中、11は本発明の実施の形態1における建築物、12はベタ基礎等の基礎、13は基礎12の複数箇所に固定された複数のプレキャストコンクリート躯体1の底盤部2の少なくとも側面小口面3及び正面小口面3aを取り囲むように基礎12の上に略均一な厚さで後施工コンクリートを打設して形成された打設コンクリート部である。打設コンクリート部13の厚さは、底盤部2の厚さより薄く形成されている。
基礎12としては、ベタ基礎や布基礎、地中梁を用いることができる。なかでも、ベタ基礎が好適に用いられる。基礎12として地中梁を用いれば、少ないコンクリートボリュームで剛性の高い基礎とすることができる。各プレキャストコンクリート躯体1を、基礎12を介すことで一体化し、地震や台風等による水平外力に対する構造強度を高めることができる。
次に、本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の建築工法について、図面を参照しながら説明する。
まず、地盤上の基礎形成範囲に鉄筋を配しコンクリートを流し込んでベタ基礎等の基礎12を形成する。次いで、躯体配設工程において、基礎12の上に、要求される構造耐力等に応じて必要な部分に離散的に若しくは連設させてプレキャストコンクリート躯体1を配設固定する。基礎12に固定する手段(固定手段)としては、例えばアンカーボルトやボルト等による接合、溶接等により行うことができる。
アンカーボルトやボルト等により基礎12との接合を行う場合には、底盤部2に、基礎12に埋設されたアンカーボルト等の接合具が挿通される接合用貫通孔等を形成する。この接合用貫通孔にアンカーボルトを挿通し、ナットをアンカーボルトに螺合させることで、プレキャストコンクリート躯体1を基礎12に容易に固定することができる。また、底盤部2の側面小口面等の外周面には、基礎12と溶接による接合を行うための金属製の壁面固定部材等を埋設することもできる。この壁面固定部材と基礎12側に埋設された基礎固定部材とをL型金具等の基礎底盤部間固定部材を介在させてそれぞれに溶接することで、プレキャストコンクリート躯体1を基礎12に容易に固定することができる。また、底盤部2には、基礎12と底盤部2との間に無収縮性のモルタル等の充填材を注入するための充填材注入孔を形成することもできる。
次いで、打設工程において、基礎12の上に基礎鉄筋を配筋し、プレキャストコンクリート躯体躯体1との定着をとり、コンクリートを打設し、底盤部2と同厚か又は薄い打設コンクリート部13を形成することができる。なお、アンカーボルトやボルト等による接合、溶接等により、基礎12へのプレキャストコンクリート躯体1の接合強度が確保できる場合には、打設工程を行わない場合もある。
次いで、基礎12,プレキャストコンクリート躯体1を外殻構造として、内部に木造や鉄骨造等の図示しない梁組,床組,内部間仕切り等を行い、建築物11を建設することができる。
次に、本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の変形例について、図面を参照しながら説明する。
図4は本発明の実施の形態2における建築物の構造体の変形例の平面図である。なお、図4においては、図1〜図3と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施の形態1における建築物の構造体の変形例では、プレキャストコンクリート躯体1の2体の底盤部2の側面小口面3同士を隣り合わせて、壁部4の側面小口面6同士は前後にずらして基礎に雁行に配設し、その壁部4間に窓や扉等の開口部を設ける場合について説明する。
図中、14は一方のプレキャストコンクリート躯体1の壁部4の張出部5の背面と、他方のプレキャストコンクリート躯体1の壁部4の張出部5の正面との間に配設された窓や扉等の開口部が形成された建具である。本実施の形態1では、一方の壁部4の張出部5の背面と、他方の壁部4の張出部5の正面との間に建具14を配置しているが、建具14とする以外に、帳壁とすることもできる。
以上のように、本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体1は構成されているので、以下のような作用効果が得られる。
(1)壁部4が底盤部2の幅より両側に広く張り出して延設された張出部5を備えているので、図3に示すように、プレキャストコンクリート躯体1の2体の壁部4の側面小口面6同士を、隣り合わせて基礎12に配設する場合、底盤部2の隣り合う側面小口面3間に、張出部5の張り出し幅に相当する間隔をあけることができるので、この隙間にL型金具等を入れて、側面小口面3と基礎12との間を溶接等により固定することができる。さらに、基礎12の上面に後施工コンクリートを打設した場合に、隣り合う側面小口面3間にコンクリートが流れ易く、基礎12と打設コンクリート部13とを一体化させられるため、構造計算上、基礎12、プレキャストコンクリート躯体1、打設コンクリート部13の3要素を一体化させて取り扱うことができる。この結果、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度に信頼性を確保できる。これにより、プレキャストコンクリート躯体1の2体の壁部4の側面小口面6同士を、隣り合わせて配置するような設計を行うことができ、設計の自在性に優れる。
(2)図4に示すように、プレキャストコンクリート躯体1の2体の底盤部2の側面小口面3同士を隣り合わせて、壁部4の側面小口面6同士は前後にずらして基礎12に配設し、その壁部4間に窓や扉等の開口部を設ける場合、張出部5を窓や扉等の開口部左右の側壁面(抱き)として使用することができるため、現場で抱き部を設けるような作業工数や熟練工が不要となる。また、壁部4の背面に窓や扉等の開口部を設けるような設計及び建設も行うことができるため、自在性に優れる。
また、以上のように、本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体1を用いた建築物11は構成されているので、以下のような作用効果が得られる。
(1)構造計算上、基礎12、プレキャストコンクリート躯体1、打設コンクリート部13の3要素を一体化させて取り扱うことができ、基礎12と底盤部3と壁部4が一連となる鉄筋コンクリートによる剛性の高い構造体によって、地震力や風荷重等の水平力に対する耐力を確保でき、内部に柱が無い若しくは少ない自由な空間設計を可能とすることができる。
(2)構造部材としての間仕切り壁や耐力壁等が不要な外殻構造が構築でき、スケルトン・インフィル分離型の構成により、リフォームや改築の自由性に優れ、メンテナンス性に優れる。
(3)底盤部2の上面から打設コンクリート部13の表面までの最短寸法(被り厚さ)が小さくなると、ひび割れが生じ易くなり、これを防ぐために被り厚さを大きくすると、打設コンクリート部13のコンクリートボリュームが増加するが、基礎12の上に、底盤部2と同厚又は薄く打設コンクリート部13が形成されているので、これらの問題が生じるのを防止し、軽量で構造強度の大きな建築物11をつくることができる。
なお、設置面である基礎12の上面から打設コンクリート部13の表面までの厚さとしては、底盤部2の厚さ、セメントや骨材の種類、耐久性等を考慮して適宜設定することができる。
また、本発明の実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体1を用いた建築物の建築工法によれば、以下のような作用効果が得られる。
(1)構造計算上、基礎12、プレキャストコンクリート躯体1、打設コンクリート部13の3要素を一連の高剛性の構造体として取り扱うことができるので、一般の鉄筋コンクリート造同等の強靱な建築物11を、木造建築物並のコスト及び工期で建築することができる。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。なお、図5においては、図1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、21は本発明の実施の形態2における略逆T字型に形成されたプレキャストコンクリート躯体、22は矩形状に形成されたプレキャストコンクリート躯体21の底盤部、23は底盤部22の側面小口面、23aは底盤部22の正面小口面、28は底盤部22の正面小口面23aからハンチ7に向かって次第に幅狭の略三角形状に形成された切欠部、29はほとんどが底盤部22に埋設され一部が切欠部28に露出した鉄筋である。
以上のように、本発明の実施の形態2におけるプレキャストコンクリート躯体21は構成されているので、実施の形態1に記載した作用効果に加え、以下のような作用効果が得られる。
(1)壁部4が底盤部22の略中央に垂直に立設された略T字型に形成されているので設置安定性がより高い。
(2)底盤部22の内側に向かって形成された切欠部28に鉄筋29が露出しているので、鉄筋29を、後に打設される後施工コンクリートとの定着用に用いることができ、さらに運搬時等に鉄筋29が曲がったり引っ掛かったりし難く取扱性に優れる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるプレキャストコンクリート躯体について、図面に基づいて説明する。図6は、本発明の実施の形態3におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。図7は、図6に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。なお、図6及び図7においては、図1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、本実施の形態3におけるプレキャストコンクリート躯体31は、略矩形板状の底盤部2の各辺に対して壁部4が傾斜した状態で設けられていることを特徴とするものである。
図7に示すように、壁部4が底盤部2の各辺に対して傾斜している。この壁部4の傾斜角度は、適宜設計することができる。壁部4が傾斜していることで、それぞれの底盤部2の正面小口面3aを揃えて配置すると、それぞれの壁部4同士が所定間隔を空けた状態で斜めに配置される。このプレキャストコンクリート躯体31を用いた建築物は、実施の形態1におけるプレキャストコンクリート躯体1と同じ建築工法で形成することができる。
図7に示すようにプレキャストコンクリート躯体31を配置して建築物を形成することで、建築物の壁面に変化を持たせることができ、図4に示す雁行に配設されたプレキャストコンクリート躯体1よる効果と同様に、壁部4の背面に窓や扉等の開口部等を設けることができるので、意匠の多様性が得られる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4におけるプレキャストコンクリート躯体及びこれを用いた建築物について、図面に基づいて説明する。図8は、本発明の実施の形態4におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。図9は、図8に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。なお、図8及び図9においては、図1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、本実施の形態4におけるプレキャストコンクリート躯体41は、底盤部42が平面視して二等辺三角形状に形成されていることを特徴とするものである。
本実施の形態4においては、底盤部42の2つの傾斜小口面43aの長さが等しい二等辺三角形に形成され、その頂点が壁部4の中央に位置している。このプレキャストコンクリート躯体41を用いて建築物を建設するために、壁部4の側面小口面6同士を対向させて壁部4を横並びに配置すると、図9に示すように、隣接する底盤部42同士の傾斜小口面43aの間が、壁部4から離れるに従って徐々に広がる。従って、打設コンクリート部13(図3参照)を形成するためのコンクリートを打設すると、壁部4側までコンクリートが入り込みやすいので、しっかりと底盤部42及び壁部4を基礎12に固定することができる。
また、壁部4同士が直角となる角部に位置するプレキャストコンクリート躯体41は、底盤部42同士が接近しているが、底盤部42が二等辺三角形形に形成されているため、干渉し合わない。従って、コンクリートの流し込みスペースを確保することができるので、底盤部42及び壁部4を基礎12に固定することができる。
なお、本実施の形態4では、底盤部42が二等辺三角形に形成されているが、正三角形や、直角三角形、不等辺三角形などの略三角形状とする以外に、先端部が切り欠かれた略台形状としても、同様の効果が得られる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体及びこれを用いた建築物について、図面に基づいて説明する。図10は、本発明の実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。図11は、図10に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。図12は、図11に示す建築物の構造体の要部拡大図である。なお、図10から図11においては、図1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、本実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51は、底盤部2の側面小口面3及び正面小口面3aから鉄筋59が各面に対して垂直に、かつ水平方向に突出していることを特徴とするものである。
図11及び図12に示すように、この突出した鉄筋59は、ベタ基礎52を形成するときに、設置面となる捨てコンクリート面52a上に配筋される基礎鉄筋52bに連結される。
ここで、本実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51を用いた建築物の建築工法を、以下に説明する。
まず、地盤上の基礎形成範囲にコンクリートを打設して、捨てコンクリート面52aを形成し、地盤上に平坦面を設置面として形成する。所定の位置に、プレキャストコンクリート躯体51を、要求される構造耐力等に応じて離散的に若しくは連設させて配設する。
次いで、捨てコンクリート面52a上にメッシュ状の基礎鉄筋52bを配筋する。基礎鉄筋52bが配筋されると、底盤部2から突出した鉄筋59を、基礎鉄筋52b又は隣接した底盤部2から突出した鉄筋59と連結する。側面小口面3及び正面小口面3aの各面から鉄筋59が水平に突出しているので、基礎鉄筋52bと鉄筋59を容易に定着することができ、鉄筋59を基礎鉄筋52bの一部とすることができる。
そして、捨てコンクリート面52a上に、後施工コンクリートを打設することで、底盤部2を構造的に一体化としたベタ基礎52を形成する。このベタ基礎52は、底盤部2の上面とほぼ同じ位置となる厚みに形成されている。つまり、底盤部2の上面は露出させている。これは、上述したように、底盤部2の上部まで被る厚さでコンクリートを打設する場合、底盤部2の上面からベタ基礎52の表面までの最短寸法(被り厚さ)が小さくなると、ひび割れが生じ易くなるためである。
このように、本実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51が配設される設置面を捨てコンクリート面52aとし、捨てコンクリート面52a全体又は捨てコンクリート面52aの構造的に主要な部分にベタ基礎52を形成する後施工コンクリートを打設して打設コンクリート部とすることにより底盤部2をベタ基礎52の一部とすることができるので、底盤部2とベタ基礎52とを一体化させることができる。また、底盤部2から水平方向へ突出した鉄筋59により底盤部2とベタ基礎52との一体化はより強固になる。さらに、鉄筋59と基礎鉄筋52bとを連結することで、基礎鉄筋52bと鉄筋59とを構造的に一体化することができる。従って、プレキャストコンクリート躯体51を用いた建築物は、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度が確保できるだけでなく、捨てコンクリート面52a上に後施工コンクリートを1回打設すればよいので、図2に示す基礎12上にプレキャストコンクリート躯体1を配設し、更に打設コンクリート部13を形成することで基礎12でのコンクリートの打設を含めて2回の打設が必要な建築物11と比較して、コンクリートの打設回数を少なくすることができる。従って、コンクリートボリュームを少なくすることができ、工期短縮を図ることができる。
一方、軟弱な地盤にプレキャストコンクリート躯体51を配設して建築物を建設する場合には、捨てコンクリート面52a上に、直接、プレキャストコンクリート躯体51を配設したのでは、必要な耐力が確保できないおそれがある。その場合には、ベタ基礎や地中梁などの基礎を形成した後に、プレキャストコンクリート躯体51を配設し、基礎鉄筋52bを配筋して鉄筋59と結合し、更に後施工コンクリートを打設することも可能である。
なお、本実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51は、鉄筋59が、側面小口面3及び正面小口面3aから突出しているが、各面のうち一面のみ、又は各面の組み合わせとしてよい。また、鉄筋59の各面からの突出角度は、任意の角度とすることができる。しかし、互いの鉄筋が直交する基礎鉄筋52bとの結合を考慮すれば、鉄筋59は各面から垂直に突出しているのが望ましい。
次に、本発明の実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51を用いた建築物の変形例について、図面を参照しながら説明する。図13は、本発明の実施の形態5における建築物の構造体の変形例の一部斜視図である。図14は、図13に示す建築物の構造体の要部拡大斜視図である。なお、図13及び図14においては、図10から図12と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図13及び図14に示すように、本実施の形態5における建築物の構造体の変形例では、プレキャストコンクリート躯体51の2体以上の底盤部2の側面小口面3同士を隣り合わせ、かつ壁部4の側面小口面6同士は前後にずらして、設置面である捨てコンクリート面52aに配設し、底盤部2から突出した鉄筋59を基礎鉄筋52bと結合した後、コンクリートを流し込んでベタ基礎52を形成することを特徴としたものである。
この場合、隣り合う側面小口面3の対向面には、隣接するプレキャストコンクリート躯体51と干渉する範囲の鉄筋59を突出させていないプレキャストコンクリート躯体51を配設する。そうすることで、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度が確保できると共に、プレキャストコンクリート躯体51の底盤部2を隣接する他のプレキャストコンクリート躯体51の底盤部2と隙間無く配置することができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6におけるプレキャストコンクリート躯体について、図面に基づいて説明する。図15は、本発明の実施の形態6におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。図16は、図15に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の一部斜視図である。なお、図15及び図16においては、図10から図12と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図15に示すように、本実施の形態6におけるプレキャストコンクリート躯体61は、略矩形板状の底盤部2の各辺に対して壁部4が傾斜した状態で設けられ、底盤部2の側面小口面3及び正面小口面3aから鉄筋59が水平方向に突出していることを特徴とするものである。
図16に示すように、壁部4が底盤部2の各辺に対して傾斜している。この壁部4の傾斜角度は、適宜設計することができる。壁部4が傾斜していることで、それぞれの底盤部2の正面小口面3aを揃えて配置すると、それぞれの壁部4同士が所定間隔を空けた状態で斜めに配置される。このプレキャストコンクリート躯体61は、図10から図12に示す実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51と同じ建築工法で形成することができる。
図16に示すように、プレキャストコンクリート躯体61を配置して建築物を形成することで、建築物の壁面に変化を持たせることができるので、図4に示す雁行に配設されたプレキャストコンクリート躯体1よる効果と同様に、壁部4の背面に窓や扉等の開口部等を設けることが出来るので、設計・建設の自由度が優れ、意匠の多様性が得られる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7におけるプレキャストコンクリート躯体について、図面に基づいて説明する。図17は、本発明の実施の形態7におけるプレキャストコンクリート躯体の斜視図である。図18は、図17に示すプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の構造体の角部を示す図であり、プレキャストコンクリート躯体を並べた状態を示す斜視図である。図19は、図18に示す建築物の構造体の角部を示す図であり、基礎鉄筋を配筋し、この基礎鉄筋と底盤部から突出した鉄筋とを連結した状態を示す斜視図である。図20は、図19に示す建築物の構造体の角部を示す図であり、後施工コンクリートの打設により、底盤部を含めて一連のベタ基礎を形成した状態を示す斜視図である。なお、図17から図20においては、図8,図9及び図10から図12と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、本実施の形態7におけるプレキャストコンクリート躯体71は、図8に示すプレキャストコンクリート躯体41と同様に、底盤部42が直角二等辺三角形状に形成され、底盤部42の傾斜小口面43aから垂直に、かつ水平方向に鉄筋59が突出していることを特徴とするものである。
このプレキャストコンクリート躯体71を用いて建築物を建設するために、図18に示すように、捨てコンクリート面52a上に、壁部4の側面小口面6同士を対向させて壁部4を横並びに配置すると、隣接する底盤部42同士の傾斜小口面43aの間が、壁部4から離れるに従って徐々に広がる。従って、ベタ基礎52(図20参照)を形成するためのコンクリートを打設すると、壁部4側までコンクリートが入り込みやすいので、しっかりと底盤部42及び壁部4をベタ基礎52と一体化することができる。
また、壁部4同士のなす角が直角となる角部に位置するプレキャストコンクリート躯体71,71は、底盤部42同士が接近しているが、底盤部42が略三角形状に形成されているため、干渉し合わない。従って、底盤部42の傾斜小口面43aから突出する鉄筋59を結合するためのクリアランスや、基礎鉄筋52b(図19参照)を結合するためのクリアランスを建築物の角部でも確保することができる。
さらに、直角二等辺三角形状に形成された底盤部42の傾斜小口面43aから垂直に、かつ水平方向に鉄筋59が突出しているので、重なり合う鉄筋59は互いに直交するメッシュを形成する。従って、重なり合う鉄筋59と同じ方向となるように、図19に示す基礎鉄筋52bの交差方向を壁部4に対して斜め45°の角度で配筋することで、鉄筋59の交差方向と一致させる。そうすることで、基礎鉄筋52bと傾斜小口面43aから突出する鉄筋59とを、それぞれ連結して一体的にすることができる(図20参照)。
このように本実施の形態7におけるプレキャストコンクリート躯体71を用いた建築物は、図11及び図12に示す実施の形態5におけるプレキャストコンクリート躯体51による建築物と同様に、地震力や風荷重等の水平力に対する構造強度が確保できる。
なお、本実施の形態4では、底盤部42が二等辺三角形に形成されているが、図8及び図9に示すプレキャストコンクリート躯体41と同様に、正三角形や、直角三角形、不等辺三角形などの略三角形状とする以外に、先端部が切り欠かれた略台形状としても、同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施の形態1〜7について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、張出部5が底盤部2の幅より両側に張り出して延設されているが、他のプレキャストコンクリート躯体が隣接するのが、右側又は左側のいずれか一方のみである場合には、張出部5は、他のプレキャストコンクリート躯体1が隣接する片側だけでよい。そうすることで、同じ形状の壁部4であれば底盤部2を幅広く形成することできるので、より安定性の高いプレキャストコンクリート躯体とすることができる。
本発明は、住宅や低層集合住宅,低層オフィスビル,低層テナントビル,診療所,コンビニエンスストア,ファーストフード店舗等を、鉄筋コンクリート造一宇鉄骨造又は鉄筋コンクリート造一部木造等の混構造で建築する際に最適なプレキャストコンクリート躯体及びそれを用いた建築物並びに建築工法に好適である。
1,21,31,41,51,61,71 プレキャストコンクリート躯体
2,22,42 底盤部
3,23 側面小口面
3a,23a 正面小口面
43a 傾斜小口面
4 壁部
5 張出部
6 側面小口面
7 ハンチ
11 建築物
12 基礎
13 打設コンクリート部
14 建具
28 切欠部
29,59 鉄筋
52 ベタ基礎
52a 捨てコンクリート面
52b 基礎鉄筋
101 プレキャストコンクリート躯体
102 底盤部
103 側面小口面
104 壁部
105 側面小口面
106 基礎
107 基礎底盤間固定材
108 抱き部
109 建具

Claims (4)

  1. 略板状の底盤部と、前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部と、を備えたプレキャストコンクリート躯体であって、
    前記壁部が、前記底盤部の幅より両側に張り出して延設された張出部を備え、
    前記底盤部には、隣接する他のプレキャストコンクリート躯体の底盤部から突出した鉄筋と連結するために、該鉄筋の軸線方向に向かって、かつ水平方向に、鉄筋が突出していることを特徴とするプレキャストコンクリート躯体。
  2. 前記底盤部は、略矩形状、略三角形状、又は略台形状に形成されている請求項1記載のプレキャストコンクリート躯体。
  3. 略板状の底盤部と、前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部と、隣接する他のプレキャストコンクリート躯体の底盤部から突出した鉄筋と連結するために、該鉄筋の軸線方向に向かって、かつ水平方向に、前記底盤部から突出した鉄筋と、を備えたプレキャストコンクリート躯体であって、前記壁部が、前記底盤部の幅より両側に張り出して延設された張出部を備え、設置面に配設されたプレキャストコンクリート躯体を備えたことを特徴とする建築物。
  4. 略板状の底盤部、及び前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部、隣接する他のプレキャストコンクリート躯体の底盤部から突出した鉄筋と連結するために、該鉄筋の軸線方向に向かって、かつ水平方向に、前記底盤部から突出した鉄筋と、を備えたプレキャストコンクリート躯体であって、前記壁部が、前記底盤部の幅より両側に張り出して延設された張出部を備えたプレキャストコンクリート躯体を、設置面に配設し、前記プレキャストコンクリート躯体の底盤部からの鉄筋と、前記隣接する他のプレキャストコンクリート躯体の底盤部から突出した鉄筋とを連結する躯体配設工程を備えていることを特徴とする建築工法。
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