JP5618339B1 - 舗装用ポリウレタン樹脂組成物及びそれを用いた舗装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】舗装表面が摩耗しても、滑り抵抗を維持する舗装体を得ることのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂に酸化亜鉛ウィスカーが分散されてなる。【選択図】なし
Description
本発明は、全天候弾性舗装(屋外運動場舗装)における舗装体を形成するための舗装用ポリウレタン樹脂組成物に関するものである。
一般的に、陸上競技場等の全天候弾性舗装は、砕石路盤やアスファルトなどで基層を形成し、その上に約8〜10mmのウレタン弾性層、約2〜4mmのウレタン層、さらに約1mm程度のエンボス層が積層されて構成されている。このうち、ウレタン層は、ほぼポリウレタン樹脂のみからなる層であるところ、ポリウレタン樹脂はセルフレベリング性を有するために、層の表面は鏡面の如く平滑に形成される。それゆえ、このウレタン層の表面は特に雨天時には滑りやすく、危険であることから、このウレタン層の上に所定の滑り抵抗を付与するためのエンボス層を設ける必要がある。
このエンボス層は、ウレタン層を構成するポリウレタン樹脂と同一又は同質のポリウレタン樹脂に粘性を付与したポリウレタン樹脂材料を用いて、(1)ウレタン層の上に上述のポリウレタン樹脂材料を塗布した後、複数の砂骨ローラーを転走させて舗装表面に凹凸を施すローラー工法(特許文献1)、(2)ウレタン層の上に上述のポリウレタン樹脂材料をスプレイガン等で吹き付けして舗装表面に凹凸を施すスプレイ吹付工法(特許文献2)、又は(3)ウレタン層の上に上述のポリウレタン樹脂材料を塗布した後、この塗布された材料が固まらないうちに、ポリウレタン樹脂を粉砕して形成した粒状チップを散布して固着させて舗装表面に粒状チップの凹凸を施すトッピング仕上げ工法(特許文献3)、の(1)〜(3)の工法により形成されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたような各種工法によるエンボス層は、全て舗装表面に凹凸を施すことによって滑り抵抗を付与している。それゆえ、使用につれて舗装表面に施された凹凸が摩耗し、滑り止め効果が失われてしまうという問題があった。
また、特許文献1〜3に記載のローラー工法、スプレイ吹付工法又は粒状チップを散布するトッピング仕上げ工法においては、舗装表面に均一な凹凸を施して、舗装表面に均一な滑り抵抗を付与するにあたり、作業者の高度な技術が必要とされる。それゆえ、舗装表面に簡単に均一な滑り抵抗を付与させる技術が望まれている。
従って、本発明の目的は、舗装表面が摩耗しても、滑り抵抗を維持する舗装体を得ることのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、舗装表面に簡単に均一な滑り抵抗を付与させることのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂に酸化亜鉛ウィスカーが分散されてなる。
酸化亜鉛ウィスカーをポリウレタン樹脂に添加して分散させることにより、たとえ、表面に施された凹凸部分が摩耗した場合においても滑り抵抗を有する舗装体を形成することのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物が得られる。これにより、従来では、舗装表面の凹凸部分が摩耗する度に舗装表面の改修工事を施す必要があったが、本発明ではこの舗装用ポリウレタン樹脂組成物により形成された舗装体自体が擦り減って失われるまで、持続して舗装を使用し続けることができる。また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、組成物全体に酸化亜鉛ウィスカーが分散されることにより滑り止め効果を備えるため、均一な滑り止め効果を有する舗装体を形成することができる。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、酸化亜鉛ウィスカーが1〜25重量部配合されていることも好ましい。これにより、滑り抵抗を好適に向上させつつ、さらに、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる舗装体を形成することのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、さらに、シランカップリング剤が含まれることも好ましい。これによりさらに滑り抵抗を向上させつつ、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる舗装体を形成することのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、さらに、熱可塑性樹脂からなる有機系微小中空体が含まれることも好ましい。これにより、さらに滑り抵抗を向上させると共に、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、さらに、アルミノシリケートからなる無機系微小中空体が含まれることも好ましい。これにより、さらに滑り抵抗を向上させると共に、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、さらに、遮熱剤、抗菌材、防かび材及び紫外線劣化防止剤からなる群より選ばれた1種以上の添加剤が含まれることも好ましい。これにより、さらに耐候安定性が向上した舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物のポリウレタン樹脂は、アクリル変性ポリウレタン樹脂であることも好ましい。これにより、本発明のポリウレタン樹脂組成物を構成するポリウレタン樹脂として好適な成分が選択される。
さらに、本発明の舗装体は、上述の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いてなる。これにより、舗装表面が摩耗しても、滑り抵抗が維持される舗装体を得ることができる。また、均一な滑り抵抗を有する舗装体が簡単に形成される。
本発明の舗装体は、さらに表面が粗面化処理されたものであることが好ましい。上述の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いて形成された舗装体の表面を粗面にすることにより、さらに滑り抵抗機能性が向上した舗装体が得られる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する舗装用ポリウレタン樹脂組成物及びそれを用いた舗装体を提供することができる。
(1)ポリウレタン樹脂組成物全体に滑り止め効果が付与されるため、舗装表面が摩耗した場合においても滑り止め効果を維持することができる。それゆえ、舗装体の改修頻度を減少させることができ、全天候弾性舗装を低コストで維持管理することができる。
(2)酸化亜鉛ウィスカーをポリウレタン樹脂組成物に分散させることのみで、簡単に均一な滑り止め効果を有する舗装体を得ることができる。
(3)滑り抵抗を向上させるだけでなく、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の全天候型弾性舗装に求められる物性においても優れた舗装体を形成することができる。そのため、全天候型弾性舗装において最適な物性を備えるエンボス層舗装体を形成することができる。また、場合によっては、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でウレタン層を形成することにより、エンボス層を設けずに平滑なフラット仕上げとした舗装体を得ることができる。
(1)ポリウレタン樹脂組成物全体に滑り止め効果が付与されるため、舗装表面が摩耗した場合においても滑り止め効果を維持することができる。それゆえ、舗装体の改修頻度を減少させることができ、全天候弾性舗装を低コストで維持管理することができる。
(2)酸化亜鉛ウィスカーをポリウレタン樹脂組成物に分散させることのみで、簡単に均一な滑り止め効果を有する舗装体を得ることができる。
(3)滑り抵抗を向上させるだけでなく、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の全天候型弾性舗装に求められる物性においても優れた舗装体を形成することができる。そのため、全天候型弾性舗装において最適な物性を備えるエンボス層舗装体を形成することができる。また、場合によっては、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でウレタン層を形成することにより、エンボス層を設けずに平滑なフラット仕上げとした舗装体を得ることができる。
1.ポリウレタン樹脂
本発明において、ポリウレタン樹脂としては、従来の舗装体に用いられているもの、例えば主剤と硬化剤とからなる二液型のポリウレタン樹脂、さらにアクリル成分を重合させたアクリル変性ポリウレタン樹脂、一液型のポリウレタン樹脂等を使用することができる。このうち、本発明においては、陸上競技場等の各種運動施設で用いられる全天候型表層材としては、二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂が用いられることが一般的であることから、主剤と硬化剤とからなる二液性常温硬化型のポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。この二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂は、末端にイソシアネート基を有する「主剤(プレポリマー)」と、「硬化剤」とから概略構成される。
本発明において、ポリウレタン樹脂としては、従来の舗装体に用いられているもの、例えば主剤と硬化剤とからなる二液型のポリウレタン樹脂、さらにアクリル成分を重合させたアクリル変性ポリウレタン樹脂、一液型のポリウレタン樹脂等を使用することができる。このうち、本発明においては、陸上競技場等の各種運動施設で用いられる全天候型表層材としては、二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂が用いられることが一般的であることから、主剤と硬化剤とからなる二液性常温硬化型のポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。この二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂は、末端にイソシアネート基を有する「主剤(プレポリマー)」と、「硬化剤」とから概略構成される。
本発明における二液性ポリウレタン樹脂の主剤としては、通常、有機ポリイソシアネート化合物と2個以上の活性水素基を有するポリオール等から合成されたものが使用される。ここで、有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート(2,4′−MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、特公昭38−4576等に記載されているような従来公知の種々の方法で液状化した液状ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)、トリレンジイソシアネートの粗製物(クルードTDI)及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI)等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)及びシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(H12MDI)等の脂環族を含む脂肪族ポリイソシアネート、並びに、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びキシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられ、これらを一種または二種以上混合して使用することも可能である。本発明においては、硬化性、物性及び経済性の観点から、トリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが好適に用いられる。
他方、ポリウレタン樹脂の主剤を構成している、上述した有機ポリイソシアネートと組み合わせて用いられる2個以上の活性水素基を有するポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール及びネオペンチルグリコール等のグリコール類や、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール類、並びに、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(カプロラクトン)ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリ(ブチレンカーボネート)ポリオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオール、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(プロピレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール及びポリ(ヘキサンアジペート)ジオール等の高分子ポリオール等が挙げられる。このうち、本発明においては、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール及びポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール及びポリブタジエンポリオールが好適に用いられ、平均分子量400〜8000で平均官能基数2〜6の範囲にあるものが特に望ましい。
なお、上述したポリオールの他に、例えば、エチレンジアミン、エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン及びポリ(オキシアルキレン)ポリアミン等の脂肪族ポリアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、2,4′−ジフェニルメタンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン及び1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン等の芳香族ポリアミン等を用いることもできる。
本発明に用いられる主剤(プレポリマー)は、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)が、ポリオール又はポリアミンなどの活性水素化合物の活性水素基(−OH又は−NHなど)に対し、例えば、NCO/H当量比が1.2〜10の割合で、反応温度約40〜130℃で4〜10時間反応させることにより、製造することができる。この反応は、従来公知の触媒、溶媒等を用いて行ってもよく、さらに、ベンゾイルクロライド、ジブチルヒドロキシトルエン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール又はトリフェニルフォスファイトなどの安定剤を添加して行ってもよい。合成されたプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常約1〜15重量%であり、特に1.5〜10重量%が本発明のプレポリマーとして好適である。また、プレポリマーの粘度は通常1,000〜100,000cps(25℃)であるところ、本発明のプレポリマーにおいては、特に作業性の観点から1,000〜10,000cps(25℃)とすることが好ましい。
次に、本発明における二液性ポリウレタン樹脂の硬化剤について説明する。硬化剤は、ポリオールおよびポリアミンの少なくとも1つからなる。ポリオールとしては、例えば前述した低分子量ポリオールや高分子量ポリオールが用いられる。このうち、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(カプトラクトン)ポリオール及びポリブタジエンポリオール等が好適に用いられ、平均分子量500〜8000、平均官能基数2〜6の範囲にあるものが特に好ましい。
他方、ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン及びポリ(オキシアルキレン)ポリアミン等の脂肪族ポリアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン及びビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン、並びに2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエンまたは3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン及びその混合物、3,5−ジチオメチル−2,4−ジアミノトルエンまたは3,5−ジチオメチル−2,6−ジアミノトルエン及びその混合物、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノ−ベンゼン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタンまたは2,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン及びその混合物等の芳香族アミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ポリアミンなどが挙げられる。本発明に使用されるアミン類としては、要求される塗膜性能や施工時の可使時間等の観点から、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン又は2,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン及びそれらの混合物が好適に用いられる。
本発明に用いられる硬化剤は、例えば、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(カプロラクトン)ポリオール及びポリブタジエンポリオールなどのポリオールが50〜90重量%、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン又は2,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン及びこれらの混合物等からなるポリアミンが10〜50重量%からなることが好ましく、さらには、ポリオールが60〜80重量%であり、ポリアミンが20〜40重量%からなることが特に好ましい。ディゾルバー等をこれらの成分を用いて均一に混練させることにより、硬化剤が得られる。なお、硬化剤には、目的に応じて、後述するその他の添加剤を配合させることも可能である。
本発明における二液性ポリウレタン樹脂は、上述した主剤(プレポリマー)と硬化剤とを混合し、よく混練して反応させることにより製造される。このとき、主剤のイソシアネート基(−NCO)が、硬化剤のポリオール又はポリアミンなどの活性水素化合物の活性水素基(−OH又は−NHなど)に対し、例えば、NCO/H当量比が0.8〜5.0、好ましくは0.95〜2.0となるような割合で混合し、反応させることにより、得ることができる。
さらに、本発明においては、紫外線等の影響を受け難く、黄変し難い性質を備える二液性ポリウレタン樹脂を選択することも好ましい。このような二液性ポリウレタン樹脂は、主剤であるポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12−MDI)、1,3−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(H6−XDI)などの脂肪族、脂環式イソシアネートが用いられ、硬化剤であるポリオールとしては、数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオール及び数平均分子量が1000未満、好ましくは134以下の低分子ポリオールが用いられ、低分子ポリオールはモノオール又はジオールであることが好ましく、ジオールがより好ましく用いられる。このうち、ポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物が好ましい。また、好ましい低分子ジオールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量が1000未満のポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール等のポリオールとを、溶媒の存在下または非存在下で反応させて得ることができる。ポリイソシアネートとポリオールとの反応条件について特に制限はないが、例えば、必要に応じてジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ラウレートなどのウレタン化触媒を用いて、20〜150℃で過剰量のポリイソシアネートとポリオールとを反応させることにより、耐候性を有し、黄変し難いポリウレタン樹脂が得られる。このような二液性ポリウレタン樹脂を選択することにより、耐候安定剤を添加したり、舗装体の表面に耐候性を付与するためのトップコート層を施さなくとも、耐候性を備える舗装体を形成することができる。
また、上述した二液性ポリウレタン樹脂には、二液性アクリル変性ウレタン樹脂も含まれる。主剤であるポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネートの変性物でもよく、例えば、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールで変性したプレポリマー型変性物、カルボジイミド変性物、ウレア変性物、ビューレット変性物、3量化(イソシアヌレート化)変性物、2量化変性物などがあげられる。また、これらのイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールと付加反応せしめて得られるポリイソシアネートや、ビュレット構造を有するポリイソシアネートや、アロファネート構造を有するポリイソシアネート、あるいはイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートが用いられる。さらに、これらのポリイソシアネートの希釈性(溶解性)を向上させるため、アルコール類、メルカプタン類などを反応させ、炭化水素鎖を導入したものも好適に用いることができる。これらは、1種で使用してもよく2種以上を組み合わせ使用してもよい。このうち、本発明においては、耐候性に優れる観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはその誘導体(具体例としてイソシアヌレート型やアロファネート型)が好ましい。他方、硬化剤としては、水酸基含有アクリル樹脂が用いられ、例えば、水酸基含有重合性単量体を必須成分とし、さらに必要に応じてカルボキシル基含有重合性単量体及びアクリル系単量体を含んでなる重合性単量体成分を常法により(共)重合することによって製造されるものを使用することができる。このようなアクリル変性ウレタン樹脂は、主剤のポリイシシアネート化合物と硬化剤の水酸基含有アクリル樹脂とを混合混練して反応させることにより製造される。このとき、主剤のイソシアネート基が硬化剤の活性水素化合物に対し、例えば、NCO/OH当量比が0.8〜10、好ましくは0.9〜5.0となるような割合で混合し反応させることにより得ることができる。
2.酸化亜鉛ウィスカー
通常、ポリウレタン樹脂で平滑に形成された舗装体表面の滑り抵抗値は約20〜30程度しかなく、国際陸上競技連盟(IAAF)による物性規格値である「47以上」を満たすことができない。そのため、スリップ防止骨材等の添加剤をポリウレタン樹脂に混合させることが試みられているところ、滑り抵抗の向上に反比例して、滑り抵抗以外の物性は著しく低下してしまう。そのため、このような骨材入りのポリウレタン樹脂から形成された舗装体は全天候弾性舗装の表層材に求められる物性(屋外体育施設の建設指針、平成24年改訂版)を有しておらず、結局として舗装体として使用することは難しいとされている。ところが、所定量の酸化亜鉛ウィスカーをポリウレタン樹脂に添加し、分散させることにより得られる本発明の樹脂組成物によれば、滑り抵抗が向上すると共に、ポリウレタン樹脂そのものが有する滑り抵抗以外の物性に著しい影響を及ぼさず、全天候弾性舗装として適当な物性を備える舗装体を形成することができる。
通常、ポリウレタン樹脂で平滑に形成された舗装体表面の滑り抵抗値は約20〜30程度しかなく、国際陸上競技連盟(IAAF)による物性規格値である「47以上」を満たすことができない。そのため、スリップ防止骨材等の添加剤をポリウレタン樹脂に混合させることが試みられているところ、滑り抵抗の向上に反比例して、滑り抵抗以外の物性は著しく低下してしまう。そのため、このような骨材入りのポリウレタン樹脂から形成された舗装体は全天候弾性舗装の表層材に求められる物性(屋外体育施設の建設指針、平成24年改訂版)を有しておらず、結局として舗装体として使用することは難しいとされている。ところが、所定量の酸化亜鉛ウィスカーをポリウレタン樹脂に添加し、分散させることにより得られる本発明の樹脂組成物によれば、滑り抵抗が向上すると共に、ポリウレタン樹脂そのものが有する滑り抵抗以外の物性に著しい影響を及ぼさず、全天候弾性舗装として適当な物性を備える舗装体を形成することができる。
本発明において、上述した種々のポリウレタン樹脂に添加され、分散される酸化亜鉛ウィスカーとは、三次元構造を有する酸化亜鉛の針状単結晶のことをいう。本発明においては、特に、その三次元構造がテトラポット状であり、平均繊維径が0.2〜3.0μm、平均繊維長が2〜50μmの酸化亜鉛ウィスカーを用いることが好ましい。このような、三次元構造を有する酸化亜鉛ウィスカーの市販品としては、例えば、「パナテトラ(登録商標)」(株式会社アムテック製品)等が挙げられる。本発明における酸化亜鉛ウィスカーの含有量は、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、得られた舗装用ポリウレタン樹脂組成物の滑り抵抗値と引張り強さの値との観点から、0.1〜30重量部が好ましく、1〜25重量部がより好ましく、3〜20重量部が特に好ましい。
3.微小中空体
本発明において、微小中空体とは、3〜300ミクロンの空間を有する微細な中空体(マイクロバルーン)のことをいう。本発明においては、その外殻が熱可塑性樹脂からなる有機系バルーンである有機系微小中空体をさらに用いることも好ましい。このような、外殻が塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂ポリマーからなる有機系バルーンの市販品としては、例えば、「エクスパンセル(登録商標)」(日本フィライト株式会社製)等が挙げられる。本発明における有機系微小中空体の含有量は、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、得られた舗装用ポリウレタン樹脂組成物の滑り抵抗値とその他の物性値との観点から、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましく、0.3〜2重量部が特に好ましい。
本発明において、微小中空体とは、3〜300ミクロンの空間を有する微細な中空体(マイクロバルーン)のことをいう。本発明においては、その外殻が熱可塑性樹脂からなる有機系バルーンである有機系微小中空体をさらに用いることも好ましい。このような、外殻が塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂ポリマーからなる有機系バルーンの市販品としては、例えば、「エクスパンセル(登録商標)」(日本フィライト株式会社製)等が挙げられる。本発明における有機系微小中空体の含有量は、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、得られた舗装用ポリウレタン樹脂組成物の滑り抵抗値とその他の物性値との観点から、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましく、0.3〜2重量部が特に好ましい。
さらに、本発明においては、アルミノシリケートからなる不活性(安定)な無機系微小中空体をさらに用いることも好ましい。このような、アルミノシリケートからなる無機系バルーンの市販品としては、フライアッシュからなるものが挙げられ、特に限定されないが、具体的には日本フィライト株式会社製品の「フィライト(登録商標)」や、巴工業株式会社製品の「セノライト(登録商標)」、「セノスフィア」等が挙げられる。本発明における無機系微小中空体の含有量は、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、得られた舗装用ポリウレタン樹脂組成物の滑り抵抗値とその他の物性値との観点から、0.1〜20重量部が好ましく、0.2〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部が特に好ましい。
酸化亜鉛ウィスカーを添加、分散させたポリウレタン樹脂に上述のような微小中空体をさらに添加することにより、さらに滑り抵抗を向上させつつ、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
4.シランカップリング剤
本発明においては、酸化亜鉛ウィスカーを添加し、分散させたポリウレタン樹脂に対し、さらにシランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤をポリウレタン樹脂に添加することにより、ポリウレタン樹脂と上述した酸化亜鉛ウィスカー、微小中空体等の添加された成分との分散性を高めることができる。これにより、滑り抵抗を向上させつつ、バランス良い物性を備える舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、反応官能基として、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基又はメルカプト基のものを使用することができ、このうち、舗装体の物性のバランスに優れる観点から、アミノ基又はエポキシ基のものが好ましい。さらに、本発明におけるシランカップリング剤の含有量は、ポリウレタン樹脂に添加し、分散させる酸化亜鉛ウィスカーや微小中空体等の量にもよるが、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.01〜7重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。
本発明においては、酸化亜鉛ウィスカーを添加し、分散させたポリウレタン樹脂に対し、さらにシランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤をポリウレタン樹脂に添加することにより、ポリウレタン樹脂と上述した酸化亜鉛ウィスカー、微小中空体等の添加された成分との分散性を高めることができる。これにより、滑り抵抗を向上させつつ、バランス良い物性を備える舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、反応官能基として、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基又はメルカプト基のものを使用することができ、このうち、舗装体の物性のバランスに優れる観点から、アミノ基又はエポキシ基のものが好ましい。さらに、本発明におけるシランカップリング剤の含有量は、ポリウレタン樹脂に添加し、分散させる酸化亜鉛ウィスカーや微小中空体等の量にもよるが、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.01〜7重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。
5.その他の添加剤
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じて、その他の添加剤が配合され得る。その他の添加剤としては、例えば、ウレタン化触媒、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、顔料、耐候安定剤、遮熱顔料、防藻剤、抗菌材、汚染防止剤、光安定剤及び防かび剤等が挙げられる。これらの添加材は、単一又は数種類を組み合わせて使用することができ、ポリウレタン樹脂に添加して配合させることのほか、ポリウレタン樹脂を構成する硬化剤に予め混合し分散させておくことも可能である。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じて、その他の添加剤が配合され得る。その他の添加剤としては、例えば、ウレタン化触媒、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、顔料、耐候安定剤、遮熱顔料、防藻剤、抗菌材、汚染防止剤、光安定剤及び防かび剤等が挙げられる。これらの添加材は、単一又は数種類を組み合わせて使用することができ、ポリウレタン樹脂に添加して配合させることのほか、ポリウレタン樹脂を構成する硬化剤に予め混合し分散させておくことも可能である。
上述の添加剤のうち、ウレタン化触媒としては、例えば、公知のアミン類、錫や鉛等の有機金属化合物を用いることができ、特に錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレートや鉛オクトエート等が好ましい。これらの触媒は単独又は組み合わせて用いることができ、その使用量は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲に限られるが、硬化剤の総量に対して0.1〜5重量部、特に1〜3重量部の範囲が好ましい。また、舗装体形成時の作業性を考慮した粘度調整や硬化後の物性改良などの観点により、無機充填剤を用いることができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、カーボンブラック、無水ケイ酸(ホワイトカーボン)、ゼオライト又は二酸化チタン等が好ましい。これらの充填剤は単独又は組み合わせて用いることができ、その使用量は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲に限られるが、硬化剤の総量に対して2〜50重量%が好ましい。さらに、可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)又は塩素化パラフィン等が挙げられる。これらの可塑剤は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲で添加することができ、例えば、ポリウレタン樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部で使用することができる。また、耐候安定剤としては、通常は、ベンゾトリアゾール系などの紫外線劣化防止剤や、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤が用いられ得る。これらの耐候安定剤は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部、特に0.3〜1重量部の使用が好ましい。
また、遮熱顔料としては、通常用いられる各種顔料のうち、遮熱機能を備える顔料が好適に用いられ、特に限定されないが、例えば、モノアゾ系イエロー(商品例:Hostaperm yellow H3G:ヘキスト株式会社製)等の黄色系の遮熱性着色顔料、酸化鉄(商品例 トダカラー120ED:戸田工業株式会社製)及びキナクリドンレッド(商品例、Hostaperm Red E2B70:ヘキスト株式会社製)等の赤色系の遮熱性着色顔料、フタロシアニンブルー(商品例、シヤニンブルーSPG−8:大日本インキ株式会社製)等の青色系の遮熱性着色顔料、フタロシヤニングリーン(商品例 シヤニングリーン5310:大日精化工業株式会社製)等の緑色系の遮熱性着色顔料等が挙げられる。また、抗菌材や防カビ剤、防藻剤としては、例えば、日本エンバイロケミカルズ社製のコートサイド等が用いられる。汚染防止剤としては、例えば、東亞合成株式会社製、アロニックスM8060等が挙げられる。これらの遮熱顔料、抗菌材、防カビ剤、防藻剤、汚染防止剤の添加剤は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲で添加することができる。各添加剤の添加量はそれぞれ、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部、好ましくは、0.1〜7重量部程度が適当である。
6.舗装用ポリウレタン樹脂組成物の製造方法
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、上述したポリウレタン樹脂の主剤と硬化剤を混合して混練したものに対し、酸化亜鉛ウィスカー及び必要に応じて加えられるその他の添加剤を所定量添加し、ハンドミキサー等を用いて数分間よく混練し、分散させることによって製造される。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、上述したポリウレタン樹脂の主剤と硬化剤を混合して混練したものに対し、酸化亜鉛ウィスカー及び必要に応じて加えられるその他の添加剤を所定量添加し、ハンドミキサー等を用いて数分間よく混練し、分散させることによって製造される。
7.舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いた舗装体
本発明の舗装体は、主に施工現場において、上述のようにして本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を製造し、このポリウレタン樹脂組成物を流動性のある未硬化状態のうちにウレタン層やウレタン弾性層、あるいは砕石路盤やアスファルト等で形成された基層の表面上に流しこみ、敷設することにより形成される。具体的に、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でエンボス層を形成する際には、ウレタン層等の上にこのポリウレタン樹脂組成物を塗布した後、複数のローラーを転走させて舗装体表面に凹凸を施す方法(ローラー工法)、ポリウレタン樹脂組成物をスプレイガン等で吹き付けして舗装体表面に凹凸を施す方法(スプレイ吹付工法)、又はポリウレタン樹脂組成物を均敷した後、完全硬化する前にポリウレタン弾性体からなる粒状チップを舗装体表面に散布し固着させて凹凸を施す方法(トッピング仕上げ工法)等が行われる。このように形成された舗装体表面は、施された凹凸部分により滑り止め効果が付与されているのはもちろん、舗装体全体に分散された酸化亜鉛ウィスカーにより滑り止め効果を具備しているため、滑り止め効果が向上すると共に、舗装体の表面の凹凸部分が摩耗した場合においても滑り止め効果が低減しない。さらに、本発明のポリウレタン樹脂組成物から形成される舗装体は滑り止め効果が維持されるだけでなく、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる物性をも備えているため、全天候型弾性舗装において最適な物性を備えるエンボス層舗装体を形成することができる。
本発明の舗装体は、主に施工現場において、上述のようにして本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を製造し、このポリウレタン樹脂組成物を流動性のある未硬化状態のうちにウレタン層やウレタン弾性層、あるいは砕石路盤やアスファルト等で形成された基層の表面上に流しこみ、敷設することにより形成される。具体的に、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でエンボス層を形成する際には、ウレタン層等の上にこのポリウレタン樹脂組成物を塗布した後、複数のローラーを転走させて舗装体表面に凹凸を施す方法(ローラー工法)、ポリウレタン樹脂組成物をスプレイガン等で吹き付けして舗装体表面に凹凸を施す方法(スプレイ吹付工法)、又はポリウレタン樹脂組成物を均敷した後、完全硬化する前にポリウレタン弾性体からなる粒状チップを舗装体表面に散布し固着させて凹凸を施す方法(トッピング仕上げ工法)等が行われる。このように形成された舗装体表面は、施された凹凸部分により滑り止め効果が付与されているのはもちろん、舗装体全体に分散された酸化亜鉛ウィスカーにより滑り止め効果を具備しているため、滑り止め効果が向上すると共に、舗装体の表面の凹凸部分が摩耗した場合においても滑り止め効果が低減しない。さらに、本発明のポリウレタン樹脂組成物から形成される舗装体は滑り止め効果が維持されるだけでなく、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる物性をも備えているため、全天候型弾性舗装において最適な物性を備えるエンボス層舗装体を形成することができる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でウレタン層を形成する際には、ウレタン弾性層等の上にこのポリウレタン樹脂組成物を敷きならしすることが行われる。その際、形成された舗装体表面は、ポリウレタン樹脂特有のセルフレベリング性により、光沢を有するほど平滑であるが、湿潤状態においてもIAAF規格値の範囲内の滑り抵抗値を有している。また、この舗装体は、上述したように舗装体全体に酸化亜鉛ウィスカーが分散されて滑り止め効果を具備しているため、舗装体の表面が摩耗した場合においても滑り止め効果が低減せず、舗装体表面の平滑度が減少することから、むしろ摩耗した場合において、滑り抵抗が向上する。このことから、平滑又は凹凸に形成された舗装体の表面をブラッシング等の粗面化処理により粗くさせ、さらに滑り抵抗を向上させた舗装体とすることも可能である。この場合、粗面化処理としては、特に限定されないが、通常使用されるワイヤーブラシやデッキブラシ等によるブラッシングや、ポリッシャー、スイーパー又はサンダー等による擦り加工等で行うことができる。なお、本発明の舗装体は、舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いて、所定の寸法、厚みのシートを工場で製造しておき、そのシートを現場で貼りあわせて形成することも可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例における物性の測定方法並びに全天候型弾性舗装体のIAAF又は屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)で定められた物性規格は、下記の通りである。
(1)滑り抵抗値(湿潤状態)
「IAAF(国際陸上競技連盟) Certification System Track Facilities Testing Protocols 2009」に準じて、ポータブルスキッドレジスタンステスター(MUNRO社製 PORTABLE’SKID-RESISTANCE’TESTER)を用いて行った。接触距離が125〜127mmの範囲に収まるようにポータブルスキッドレジスタンステスターの振子の位置を調整し、試験体を水で十分にぬらした後、テスターの振子を振り降ろし、振り上がりの位置の数値を読み取った。測定は連続で6回行ない、最初の値は読み取らず、残りの5回を測定値とし、最大値、最小値を差引いた3点の平均値を滑り抵抗値とした。IAAFが定める舗装体表面の滑り抵抗値の規格値は47以上である。
(1)滑り抵抗値(湿潤状態)
「IAAF(国際陸上競技連盟) Certification System Track Facilities Testing Protocols 2009」に準じて、ポータブルスキッドレジスタンステスター(MUNRO社製 PORTABLE’SKID-RESISTANCE’TESTER)を用いて行った。接触距離が125〜127mmの範囲に収まるようにポータブルスキッドレジスタンステスターの振子の位置を調整し、試験体を水で十分にぬらした後、テスターの振子を振り降ろし、振り上がりの位置の数値を読み取った。測定は連続で6回行ない、最初の値は読み取らず、残りの5回を測定値とし、最大値、最小値を差引いた3点の平均値を滑り抵抗値とした。IAAFが定める舗装体表面の滑り抵抗値の規格値は47以上である。
(2)引張強さ
JIS K−6251に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、ダンベル状3号形に形成した試験片が切断するまでの最大引張力を測定した。この値を試験片の初期断面積で除した値を求め、引張強さとした。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の引張強さの規格値は2.0MPa以上である。
JIS K−6251に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、ダンベル状3号形に形成した試験片が切断するまでの最大引張力を測定した。この値を試験片の初期断面積で除した値を求め、引張強さとした。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の引張強さの規格値は2.0MPa以上である。
(3)伸び率
JIS K−6251に準じて、上述したように、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、ダンベル状に形成した試験片が切断するまでの標線間距離を測定し、伸び率(%)の値を求めた。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の伸びの規格値は500%以上である。
JIS K−6251に準じて、上述したように、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、ダンベル状に形成した試験片が切断するまでの標線間距離を測定し、伸び率(%)の値を求めた。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の伸びの規格値は500%以上である。
(4)引裂き強度
JIS K−6252に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、切込みなしアングル形に形成した試験片が切断するまでの最大の引き裂き力を測定した。この測定値と所定の数式とを用いて引き裂き強度の値を求めた。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の引裂き強度の規格値は12N/mm以上である。
JIS K−6252に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、切込みなしアングル形に形成した試験片が切断するまでの最大の引き裂き力を測定した。この測定値と所定の数式とを用いて引き裂き強度の値を求めた。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の引裂き強度の規格値は12N/mm以上である。
(5)硬さ
JIS K−6253に準じて、タイプAデュロメーター(TECLOCK社製、型番GS−709N)を用いて測定を行った。なお、試験体の厚さは、試験片を積み重ねて厚さ12mm以上とした。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の硬さの規格値は40〜75である。
JIS K−6253に準じて、タイプAデュロメーター(TECLOCK社製、型番GS−709N)を用いて測定を行った。なお、試験体の厚さは、試験片を積み重ねて厚さ12mm以上とした。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の硬さの規格値は40〜75である。
以下の実施例及び比較例で使用したポリウレタン樹脂の主剤(プレポリマー)及び硬化剤の成分及び製品名等を表1に、微小中空体の成分及び製品名等を表2に示す。
[実施例1]
以下の手順で、本実施例の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を調製し、試験用サンプルを作成して、物性の測定及び効果の評価を行った。表1に示すポリウレタン樹脂A−1の主剤と硬化剤を1:1の重量比で混合したもの100重量部に対し、酸化亜鉛ウィスカー(パナテトラ(登録商標)、WZ−0511L、株式会社アムテック)を5.3重量部添加し、ハンドミキサーを用いてよく混錬した。混錬後のポリウレタン樹脂組成物を用いて、高さ150mm×幅250mm×厚さ2mmの平坦なフィルムを形成した。このフィルムを室温にて1週間養生させた後、フィルム表面が摩耗した際の滑り抵抗値を得るために、フィルム表面をワイヤーブラシで研磨して、試験用サンプルとした。この試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
以下の手順で、本実施例の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を調製し、試験用サンプルを作成して、物性の測定及び効果の評価を行った。表1に示すポリウレタン樹脂A−1の主剤と硬化剤を1:1の重量比で混合したもの100重量部に対し、酸化亜鉛ウィスカー(パナテトラ(登録商標)、WZ−0511L、株式会社アムテック)を5.3重量部添加し、ハンドミキサーを用いてよく混錬した。混錬後のポリウレタン樹脂組成物を用いて、高さ150mm×幅250mm×厚さ2mmの平坦なフィルムを形成した。このフィルムを室温にて1週間養生させた後、フィルム表面が摩耗した際の滑り抵抗値を得るために、フィルム表面をワイヤーブラシで研磨して、試験用サンプルとした。この試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例2]
実施例1で用いた表1に示すポリウレタン樹脂A−1に代えて、アクリル変性ポリウレタン樹脂A−2を用いた以外は、実施例1と同様にしてアクリル変性ポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。この試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1で用いた表1に示すポリウレタン樹脂A−1に代えて、アクリル変性ポリウレタン樹脂A−2を用いた以外は、実施例1と同様にしてアクリル変性ポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。この試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例3〜7]
実施例1について、酸化亜鉛ウィスカー(パナテトラ(登録商標)、WZ−0511L、株式会社アムテック)の配合を表4の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3〜7のポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1について、酸化亜鉛ウィスカー(パナテトラ(登録商標)、WZ−0511L、株式会社アムテック)の配合を表4の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3〜7のポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例8]
実施例1について、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)を0.27重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例8のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1について、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)を0.27重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例8のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例9〜11]
実施例8について、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)の配合量を表5の通り変更した以外は、実施例8と同様にして、実施例9〜11のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例8について、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)の配合量を表5の通り変更した以外は、実施例8と同様にして、実施例9〜11のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例12]
実施例1について、表2に示す微小中空体B−1を1.1重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例12のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1について、表2に示す微小中空体B−1を1.1重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例12のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例13]
実施例12について、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)を0.27重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例12と同様にして、実施例13のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例12について、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)を0.27重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例12と同様にして、実施例13のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例14〜15]
実施例13における、添加剤及び酸化亜鉛ウィスカーの配合を表6の通り変更した以外は、実施例13と同様にして、実施例14〜15のポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例13における、添加剤及び酸化亜鉛ウィスカーの配合を表6の通り変更した以外は、実施例13と同様にして、実施例14〜15のポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例16]
実施例1における、酸化亜鉛ウィスカーの配合を表6の通り変更すると共に、さらに表2に示す微小中空体B−2を2.7重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例16のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1における、酸化亜鉛ウィスカーの配合を表6の通り変更すると共に、さらに表2に示す微小中空体B−2を2.7重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例16のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例17]
実施例16について、酸化亜鉛ウィスカーの配合を表6の通り変更すると共に、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)を1.1重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例16と同様にして、実施例17のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例16について、酸化亜鉛ウィスカーの配合を表6の通り変更すると共に、シランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製品)を1.1重量部添加してポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例16と同様にして、実施例17のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[比較例1]
実施例1について、酸化亜鉛ウィスカーを添加せずに、表1に示すポリウレタン樹脂A−1のみでポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプル(ブランク1)を得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1について、酸化亜鉛ウィスカーを添加せずに、表1に示すポリウレタン樹脂A−1のみでポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプル(ブランク1)を得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[比較例2]
実施例1について、酸化亜鉛ウィスカーに代えてその他の滑り止め材料として、一般的に弾性発泡骨材として用いられているEVA樹脂の発泡体粒子(製品名EVA2.0mm、アイル株式会社製品)11.1重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1について、酸化亜鉛ウィスカーに代えてその他の滑り止め材料として、一般的に弾性発泡骨材として用いられているEVA樹脂の発泡体粒子(製品名EVA2.0mm、アイル株式会社製品)11.1重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[比較例3]
実施例2について、酸化亜鉛ウィスカーを添加せずに、表1に示すアクリル変性ポリウレタン樹脂A−2のみでアクリル変性ポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例2と同様にして、比較例3のアクリル変性ポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプル(ブランク2)を得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例2について、酸化亜鉛ウィスカーを添加せずに、表1に示すアクリル変性ポリウレタン樹脂A−2のみでアクリル変性ポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例2と同様にして、比較例3のアクリル変性ポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプル(ブランク2)を得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1〜17及び比較例1〜3の結果を表3〜6に示す。
表3〜6に示すように、実施例1〜17の酸化亜鉛ウィスカーが配合されたポリウレタン樹脂組成物から形成されたサンプルは、比較例1又は比較例3のブランク(ポリウレタン樹脂のみ)と比較して、いずれも滑り抵抗が向上することを示した。また、表3に示すように、発泡骨材が滑り止め剤として配合された比較例2をみると、滑り抵抗は向上するものの、その他の物性は著しく低下することが示された。また、この比較例2における滑り抵抗は、IAAFの規格値である「47以上」を満たしていないが、規格値を満たすように滑り止め剤を増量させた場合には、さらに引張強さ等の物性が低下することが推測された。
表3に示す実施例1及び表4に示す実施例3〜7においては、ポリウレタン樹脂組成物の酸化亜鉛ウィスカーの配合量による効果が示されている。これによれば、酸化亜鉛ウィスカーの配合量は、滑り抵抗値(IAAF規格:47以上)をはじめ、引張強さ、引裂強度及び硬さの屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)による規格値を満たしていることから、ポリウレタン樹脂100重量部に対し5〜20重量部程度が適当であることがわかった。また、酸化亜鉛ウィスカーは、その配合量が1〜11重量部と広い範囲において、所定の滑り抵抗値と引張強さ、伸び、引裂き強度及び硬さの値を維持する結果を示しており、わずかな添加量の違いによって全天候弾性舗装に求められる物性を大きく変動させるようなことがなく、安定した物性を付与することがわかった。
表3に示す実施例1及び表5に示す実施例8〜11においては、酸化亜鉛ウィスカーに加えてシランカップリング剤を配合させた試験を行っている。この結果により、シランカップリング剤を少量配合させることにより、全天候弾性舗装に求められる全ての物性が安定して向上することが示された。滑り抵抗値の他、引張強さ、伸び率、引裂き強度及び硬さの物性値が顕著に向上し、ブランクのポリウレタン樹脂のみ(比較例1)と同様又はそれよりも優れた値を示しており、舗装体材料として非常に有用であることが示された。
表6に示す実施例12〜17においては、酸化亜鉛ウィスカーに加えて、微小中空体(実施例12〜15では、有機系の微小中空体、実施例16〜17では無機系の微小中空体)及びシランカップリング剤(実施例13〜15、実施例17)を配合させた試験を行っている。この結果によれば、微小中空体を併せて添加することにより、滑り抵抗がより向上することが示された。また、さらにシランカップリング剤を添加することにより、滑り抵抗がさらに向上すると共に他の物性も向上することがわかった。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、全天候弾性舗装が用いられる屋外の各種競技場をはじめ、施工の容易さと滑りにくさ等の物性を備えることから、屋内競技場、各種施設や交通舗装その他に広く応用できるものである。
Claims (9)
- ポリウレタン樹脂に酸化亜鉛ウィスカーが分散されてなることを特徴とする舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂100重量部に対し、前記酸化亜鉛ウィスカーが1〜25重量部配合されていることを特徴とする請求項1に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- さらに、シランカップリング剤が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- さらに、熱可塑性樹脂からなる有機系微小中空体が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- さらに、アルミノシリケートからなる無機系微小中空体が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- さらに、遮熱剤、抗菌材、防かび材及び紫外線劣化防止剤からなる群より選ばれた1種以上の添加剤が含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂がアクリル変性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いてなる舗装体。
- さらに表面が粗面化処理されたものであることを特徴とする請求項8に記載の舗装体。
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