JP5618229B2 - Ito粉末、ito粒子の製造方法、透明導電材用塗料並びに透明導電膜 - Google Patents
Ito粉末、ito粒子の製造方法、透明導電材用塗料並びに透明導電膜Info
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Description
水溶液を添加してインジウム水酸化物とスズ水酸化物を生成させ、得られたインジウム水酸化物とスズ水酸化物との混合物を乾燥後、加熱処理することを提案している。さらに特許文献3、4は、有機溶媒中で酸化インジウム粒子を作製する方法として、インジウムおよびスズを含む無機塩に塩基性塩を添加し作製した生成物を有機溶媒中に分散させ、分散させた有機溶媒を240℃以上の温度で加熱することによって、スズを含有する酸化インジウムを作製する方法を提案している。
しかし、本発明者らの検討によれば、塗布されたITO粒子の粒子径ばらつきが大きい場合には、透明導電膜中のITO粒子の密度(膜密度)が低くなる。そして、当該膜中におけるITO粒子の密度低下の為、ITO透明導電膜の膜厚を薄くしようとすると、ITO粒子同士の接触する面積が低減し、電気抵抗値が上がるという不具合が生じる。
に、当該ITOの二次粒子の解砕・分散工程が必要である。
もし、上述したITOの二次粒子の解砕・分散が十分におこなわれず、粗いITO粒子を含むITO塗料にてITO膜形成を行ってしまった場合、ITO粒子の分散性が低い為、ITO塗膜の透明性が低下し、濁度が高くなる。
一方、上述した解砕・分散を十分に行う為、当該解砕・分散にビーズミル等を用いた場合は、長時間の粉砕時間を必要とするので生産性が低下する上、使用されるビーズ等のメディアからのコンタミにより、ITO塗料へ不純物が混入することで、得られる塗膜の導電性特性が悪化するという問題がある。
本発明は、上述の課題に鑑み、粒子径ばらつきが小さいナノ粒子であるITO粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
TEM写真から求めた平均粒子径が10nm以上、100nm以下であり、当該粒子径の標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数が15%以下であり、酸素欠陥を有する青色粒子からなることを特徴とするITO粉末である。
前記ITO粒子の平均アスペクト比が1.2以下、且つ、前記ITO粒子の(最大径)/(長軸径)の平均値が1.1以上であることを特徴とする第1の構成に記載のITO粉末である。
前記ITO粒子の粒子形状が立方体であることを特徴とする第1または第2の構成に記載のITO粉末である。
前記ITO粒子において「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値が0.75以上、1.2以下であることを特徴とする第1から第3の構成のいずれかに記載のITO粉末である。
インジウムを含む塩とスズを含む塩とを有機溶媒中に溶解した液と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の群から選択される1種以上の塩基性沈殿剤とを混合し、インジウムとスズとを含む前駆体と、有機溶媒との混合物を、生成させる第1の工程と、
第1の工程で生成したインジウムとスズとを含む前駆体と、有機溶媒との混合物を、240℃以上、350℃以下の温度で加熱処理してITO粒子を生成させる第2の工程とを有し、
前記有機溶媒として、当該溶媒分子1個当たり、1個以上のOH基を含む有機溶媒を用いることを特徴とするITO粒子の製造方法である。
前記有機溶媒として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1.2−プロピレングリコール、1.3−ブチレングリコール、2.3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンの群から選択される1種以上を用いることを特徴とする第5の構成に記載のITO粒子の製造方法である。
前記第2の工程において、加熱処理温度を240℃以上、350℃以下とすることを特徴とする第5または第6の構成に記載のITO粒子の製造方法である。
前記第2の工程において、加熱処理時間を30分間〜200時間とすることを特徴とする第5から第7の構成のいずれかに記載のITO粒子の製造方法である。
前記塩基性沈殿剤の添加量を、前記有機溶媒中に溶解したインジウム1molに対して3.5mol以上とすることを特徴とする、第5から第8の構成のいずれかに記載のITO粒子の製造方法である。
第1から第4の構成のいずれかに記載のITO粉末を含むことを特徴とする透明導電材用塗料である。
第10の構成に記載の透明導電材用塗料を用いて製造されたことを特徴とする透明導電膜である。
とが出来た。
(平均粒径)
本発明に係るITO粉末を構成するITO粒子のTEM像から測定される平均粒子径は、10nm以上、100nm以下である。当該平均粒子径が10nm以上あることで、塗膜時の単位面積当たりの粒子同士の接点の増加が抑制され、粒子同士の接点に生じる接触抵抗の増加が抑制されるからである。一方、当該平均粒子径が100nm以下であることで、粒子の焼結温度が下がる。そして、当該平均粒子径が100nm以下であれば、低温度にて粒子同士が焼結し、均質な膜を作製できるからである。
尚、本発明において粒子径とは、TEMを用いてITO粒子を観察した場合において、後述する長軸径と短軸径との平均値を指す。また、当該粒子径は、当該TEM写真上で重なり合っていないITO粒子(一次粒子)100個について、当該粒子の粒子径を測定し、その平均値を計算することにより算出したものである。
本発明に係るITO粉末を構成するITO粒子の、上記TEM写真から測定される粒子径の変動係数は15%以下であることが好ましい。ここで前記変動係数とは、100個の粒子について、粒子径を測定し、式1により算出される値である。
変動係数=(粒子径の標準偏差)/(粒子径の平均値)・・・・(式1)
前記変動係数が15%超であると、粒子径のばらつきによる膜密度の低下が起こり、一定の電気抵抗値を得るためには、ITO膜の膜厚を厚くしなければならない不具合が生じることがある。従って、前記変動係数は小さいことが好ましく12%以下であることがさらに好ましい。
本発明に係るITO粉末を構成するITO粒子の形状は、略立方体の形状を有している。
ITO粉末を構成するITO粒子が立方体の形状であると、球状粒子である場合よりも結晶性が高まる。
これは、ITO塗膜において、ITO粒子が立方体の形状であると、当該立方体のITO粒子を規則的に配列させ易くなることによる。規則的に配列した立方体ITO粒子は、球状、不定形または直方体形状であるITO粒子を配列させるよりも空隙の少ないITO
膜の形成が可能であり、焼成後、電気抵抗値の低い導電膜を得ることが可能となり、好ましい構成である。
即ち、当該条件とは、ITO粒子のアスペクト比が、1.2以下であり、かつ、TEM写真により観察された粒子形状が式3を満足する。
ここで、当該アスペクト比は式2により、計算した値である。
アスペクト比=(長軸径)/(短軸径)・・・・(式2)
尚、式2において、短軸径は粒子のTEM写真を二本の平行線ではさんだ時の最小間隔であり、長軸径は粒子のTEM写真を短軸径に直交する二本の平行線ではさんだ時の間隔である。
(最大径)/(長軸径)≧1.1・・・・(式3)
尚、式3において、最大径は粒子のTEM写真を二本の平行線ではさんだ時の最大間隔である。従って、TEMにより観察された粒子形状が、正方形の場合には、(最大径)/(長軸径)の値は約1.41になり、円形の場合には1となる。つまり、(最大径)/(長軸径)の値が1.41に近いほど、粒子の形状は正方形に近いと考えられる。
以上から、前記100個の粒子のアスペクト比の平均値が1.2以下であり、かつ(最大径)/(長軸径)の平均値が1.1以上である当該ITO粉末の粒子形状は、略立方体であると判定した。
そして、粒子径の変動件数が15%以下であり、粒子形状が略立方体であるITO粉末は、特に好ましいものといえる。
(TEM写真より求めた平均一次粒子径)/(XRD回折ピークから求めた酸化インジウムの(222)面から算出される結晶子径)=R・・・・(式4)
当該式4において、TEM像から観察されるITO粒子(一次粒子)径を、XRDスペクトルから求めた酸化インジウムの(222)面から算出される結晶子径で割った当該値:Rが1.0に近い値であることは、当該ITO粒子自体が単結晶に近い粒子であることを示していると考えられるからである。具体的には、当該値:Rが0.75以上、1.2以下、さらに好ましくは0.9以上、1.1以下であることである。Rが当該数値範囲を満たす場合、本発明に係るITO粉末を構成する粒子は、1粒子中に結晶粒界が存在しない非常に結晶性の良い粒子となり、導電性が高く、電気抵抗値の低い膜の形成が可能となるからである。
本発明に係るITO粉末の製造方法について、詳細に説明する。
まず、インジウムとスズとを含有した溶液を準備する。具体的には、溶媒とインジウム塩とスズ塩を混合して、前記インジウムとスズとを含有した溶液を得る。
4、Sn(NO3)2およびSnSO4の群から選ばれる少なくとも1種のスズの無水物結晶塩、または、Sn(NO3)3・3H2O、SnCl3・2H2O、SnCl4・5H2O、Sn(SO4)2・2H2O、などの水和物の結晶塩、またはスズメタルをH2C2O4、HNO3、HCl、H2SO4などに溶解することによって得られる溶液を、有機溶媒中に溶解することによって得ることができる。また、テトラメチルスズ、テトラブチルスズなどの有機スズを有機溶媒中に溶解して用いても良い。
ただし、有機溶媒溶液中の含有水分を少なくするという観点から、使用するスズ塩は、スズの無水の結晶塩または有機スズを用いることが好ましい。但し、有機スズは取り扱いに注意が必要なため、無水のスズ結晶塩を用いる方がさらに好ましい。
尤も、当該有機溶媒の沸点が低すぎると、反応加熱時の圧力が非常に高くなるため、圧力に準じた高圧容器が必要となり設備的なコストが必要となる。したがって、当該観点からは、当該沸点が100℃以上であることが好ましい。
以上とは別に、成膜温度が300℃超の用途に用いるITO塗布液を製造する場合には、沸点が240℃以上の溶媒を使用することが便宜である。これは、当該ITO塗布液製造の際の加熱・反応が常圧で可能になるので有利だからである。
さらに、当該有機溶媒が分子1個あたりにOH基を1個以上持つことで、上述した効果とは異なる効果も発揮する。それは、当該有機溶媒中に存在するOH基がスズ含有酸化インジウムからO(酸素)を奪って、これを還元し、酸素欠陥を生成させる効果である。当該生成した酸素欠陥に起因して、生成するITO粒子中にキャリアが発生するので導電性が向上する。
ここで、分子1個あたりにOH基を多く有する化合物という観点から、有機溶媒としては分子1個あたりにOH基を2個以上もつポリオールが好ましい。
ここで、塩基性沈殿剤を含有した溶液について説明する。
まず塩基性沈殿剤としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の群から選ばれる少なくとも1種を使用する。前記塩基性沈殿剤は、予め、上述した有機溶媒中に溶解し、その後、インジウムとスズとを含有した有機溶媒溶液へ混合することが均一に混合し易いので好ましい。
溶液中に含まれるインジウム1molに対して、塩基性沈殿剤の添加量が3.5mol以上あれば、粒子径ばらつきが小さい立方体形状のITO粒子が得られ、インジウムが十分析出し、生産収率を保つことが出来る。一方、溶液中に含まれるインジウム1molに対して、塩基性沈殿剤の添加量が10.0mol以下であれば塩基性沈殿剤が過剰とならず、生産コスト的に好ましい。
ここで、加熱処理温度は240℃から350℃、処理時間は30分間から200時間の範囲が好ましい。加熱処理温度が240℃以上あれば、長時間の加熱処理を回避することが出来る。
この加熱処理を使用する溶媒の沸点以上温度で行う場合には、密閉容器中にて加熱処理(オートクレーブ処理)を行う。高温条件になるほど密閉容器中の圧力が上昇する。そこで、加熱温度が350℃以下であれば、反応時の圧力が高くなり過ぎることがないので特殊な装置を必要とせず好ましい。
加熱処理工程において、密閉容器中にて加熱処理されるスズ含有水酸化インジウム沈殿溶液に含まれる水分量は15質量%以下とすることが好ましい。水分量が15質量%以下
である場合には、高純度のスズ含有酸化インジウムが得られる。同様の理由により、水分量は5質量%以下とすることが、さらに好ましい。
当該本発明に係る透明導電材用塗料は、本発明に係るITO粉末またはITO粉末のスラリーを溶媒中に分散させることで製造することが出来る。この際、当該透明導電材用塗料におけるITO粉末の濃度は、5〜25質量%の範囲で調整すればよい。
また、本実施形態に係るITO粉末またはITO粉末のスラリーを分散させる液状媒体としては、上述した反応に用いた有機溶媒の他に、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、トルエン、シクロヘキサン等の有機溶媒でも良く、純水でも良い。さらに、界面活性剤またはカップリング剤などの分散剤を併用してもよい。
例えば、ガラス基板上に成膜する場合は、当該ガラス基板をスピンコーターにより回転させる。そこへ、本発明に係る透明導電材用塗料を滴下してコートする。得られたコート後のガラス基板を乾燥後、大気雰囲気下で、例えば250℃まで昇温させて20分間保持した後、自然冷却させることで、透明導電膜が形成されたガラス基板を得ることが出来る。得られた透明導電膜が形成されたガラス基板は、加熱温度が250℃程度であるにも拘わらず良好な導電性を示した。
法について、実施例を詳細しながら説明する。
インジウムとスズとを含有した溶液として、エチレングリコール(EG)25mL中に、三塩化インジウム四水和物と四塩化スズ五水和物とを添加して攪拌することにより、インジウムを0.5mol/L、スズを0.05mol/L含有するEG溶液(本発明において、In、Sn溶液と記載する場合がある。)を調製した。これとは別に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を2.0mol/L含むEG溶液(東京化成製)(TMAH溶液)25mlを準備した。
前記TMAHのEG溶液を5mL分取して0℃に冷却し撹拌を継続した、ここへ前記In、Sn溶液5mlを滴下して混合溶液を得た。当該滴下終了後、前記混合溶液を15分間撹拌し、その後、前記混合溶液をオートクレーブへ装填した。このときのスズ含有水酸化インジウム沈殿溶液に含まれる水分量は3質量%以下であった。
オートクレーブに装填されたスズ含有水酸化インジウム沈殿溶液を、250℃、96時間静置して加熱処理しスズ含有水酸化インジウム沈殿(懸濁液)を得た。当該加熱処理後のスズ含有水酸化インジウム沈殿(懸濁液)に対し、遠心分離機を用いて18000rpm、10分間の固液分離処理を行い、沈殿物を分離採集した。採集した沈殿物をエタノール20mL中に分散させ、その後、再び、前記と同条件で遠心分離機を用いて固液分離した。得られた沈殿物に対して、さらに純水20mLを用いた分散と前記と同条件の遠心分離機を用いて固液分離を2回繰り返して沈殿物の洗浄を行い、実施例1に係るITO粉末を得た。なお、回収したITO粉末の粉体重量より求めた収率は80%であった。塩基性沈殿剤に無機塩を用いた比較例5の収率と比較すると、塩基性沈殿剤にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを用いることにより、収率が大幅に向上することが判明した。
ITO粉末の平均粒子径は、当該TEM写真上で重なり合っていないITO粒子(一次粒子)100個について、当該粒子の短軸径と長軸径とを測定して粒子径を計算した。そして当該100個の粒子径の平均値を計算することにより算出した。
実施例1に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図1に示す。また、平均粒子径は15nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は1.6nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は10.6%であった。
アスペクト比=(長軸径)/(短軸径)・・・(式2)
ここでアスペクト比は、式2により100個の粒子のアスペクト比を求めて、その平均値を計算した値である。
(最大径)/(長軸径)=X・・・・(式3)
実施例1に係る100個の粒子のアスペクト比の平均値は、1.12であった。そして、式3で示すXの平均値は1.18であった。したがって、実施例1に係わる粒子はアスペクト比が1.2以下であり、かつ、Xの値が1.1以上であるため、粒子形状のばらきがなく、立方体に近い粒子形状であることが判明した。
°(CuKα1線源)にピークが現れる(222)回折ピークについて、回折ピークの強度Int.(222)と、半価幅Bとを算出した。そして、シェラーの式Dx=0.94λ/Bcosθ(但し、Dxは結晶子の大きさ、λは測定に用いたX線の波長(CuKα1線源)、Bは回折ピークの半価幅、θは回折ピークのブラッグ角である。)より、実施例1に係るITO粉末の結晶子径を求めたところ16.3nmであった。
また、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.92であった。
TMAH溶液中のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)濃度を2.0mol/Lから、2.5mol/Lに変更した以外は、実施例と同様の方法で、実施例2に係るITO粉末を得て、その評価をおこなった。
平均粒子径は17.2nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は2.35nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は13.7%であった。結晶子径は17.7nmであり、「(TEM写真より求めた
平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.97であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.12であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.17であった。
実施例2に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図3に示す。
In、Sn溶液中のスズ濃度を0.05mol/Lから0.075mol/Lに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3に係るITO粉末を得て、その評価をおこなった。
平均粒子径は11.2nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は2.0nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は13.7%であった。結晶子径は12.7nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.88であった。
また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.15であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.10であった。
実施例3に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図4に示す。
加熱処理時間を96時間から48時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4に係るITO粉末を得て、その評価をおこなった。
平均粒子径は13.5nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は1.96nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は14.6%であった。結晶子径は15.8nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.85であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.15であり、(最大径)/(長軸径)の値は1.12であった。
実施例4に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図5に示す。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を2.0mol/L含むEG溶液25ml(TMAH溶液)を調製する代わりに、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)を2.0mol/L含むEG溶液25ml(TBAH溶液)を調製することに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5に係るITO粉末を得て、その評価をおこなった。
平均粒子径は23.2nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は3.1nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は13.3%であった。結晶子径は23.4nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.99であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.10であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.11であった。
実施例5に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図6に示す。
反応温度を250℃から240℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6に係るITO粉末を得て、その評価をおこなった。
平均粒子径は13.8nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は2.1nmであった。前期標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は13.7%であった。結晶子径は16.2nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.85であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.11であり、(最大径)/(長軸径)の値は1.12であった。
実施例6に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図7に示す。
加熱処理の温度を250℃から220℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1に係るITO粉末を得て、その評価をおこなった。
平均粒子径は7.4nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は1.6nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は21.2%であった。結晶子径は16.8nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は、0.44であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.24であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.12であった。
比較例1に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図8に示す。
TMAH溶液中のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)濃度を2.0m
ol/Lから、1.5mol/Lに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2に係るITO粉末を得た。
平均粒子径は20.9nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は3.4nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は16.4%であった。結晶子径は25.4nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は0.82であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.19であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.02であった。
比較例2に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図9に示す。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を2.0mol/L含むEG溶液25ml(TMAH溶液)を調製する代わりに、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THAH)を2.0mol/L含むEG溶液25ml(THAH溶液)を調製することに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3に係るITO粉末を得た。
平均粒子径は24.8nmであった。平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は4.9nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は19.6%であった。結晶子径は24.1nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は1.03であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は1.13であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.06であった。
比較例3に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図10に示す。
In,Sn溶液中のスズ濃度を0.05mol/Lから0.10mol/Lに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4に係るITO粉末を得た。
比較例4に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図11に、XRD測定結果を図12に示す。
比較例5は、塩基性沈殿剤としてNaOHを用いて製造したITO粉末である。
当該請求項5に係るITO粉末の製造方法について説明する。
インジウムとスズとを含有した溶液として、エチレングリコール25ml中に、インジウムが0.50mol/L、スズが0.05mol/Lとなるように、InCl3・4H2Oを3.44g、SnCl4・5H2Oを0.44g秤量した。両塩を撹拌しながら、ジエチレングリコール25mlを少量ずつ加え、インジウムとスズとを含有した溶液を調
整した。
また、エチレングリコール25ml中にNaOHが2.0mol/LとなるようにNaOHを2.00g秤量した。当該NaOHを溶解しながら、エチレングリコール25mlを少量ずつ加え、塩基性溶液を調整した。
平均粒子径は、15.1nmであり、平均粒子径を求めた粒子100個の粒子径から計算した標準偏差は、3.0nmであった。前記標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数は20.0%であった。結晶子径は、17.6nmであり、「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値は、0.86であった。また、100個の粒子のアスペクト比の平均値は、1.23であり、(最大径)/(長軸径)の平均値は1.13であった。比較例5に係るITO粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察した写真を図13に示す。
当該比較例5の結果から、塩基性沈殿剤として従来の製法である無機塩を用いた場合、ITO粉末の収率が悪く、ITO粒子径のばらつきが生じ、均一な粒子径が得られないことが判明した。
Claims (11)
- TEM写真から求めた平均粒子径が10nm以上、100nm以下であり、当該粒子径の標準偏差を平均粒子径で除して求めた変動係数が15%以下であり、酸素欠陥を有する青色粒子からなることを特徴とするITO粉末。
- 前記ITO粒子の平均アスペクト比が1.2以下、且つ、前記ITO粒子の(最大径)/(長軸径)の平均値が1.1以上であることを特徴とする請求項1に記載のITO粉末。
- 前記ITO粒子の粒子形状が立方体であることを特徴とする請求項1または2に記載のITO粉末。
- 前記ITO粒子において「(TEM写真より求めた平均粒子径)/(XRD回折ピークから求めた結晶子径)」の値が0.75以上、1.2以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のITO粉末。
- インジウムを含む塩とスズを含む塩とを有機溶媒中に溶解した液と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の群から選択される1種以上の塩基性沈殿剤とを混合し、インジウムとスズとを含む前駆体と、有機溶媒との混合物を、生成させる第1の工程と、
第1の工程で生成したインジウムとスズとを含む前駆体と、有機溶媒との混合物を、240℃以上、350℃以下の温度で加熱処理してITO粒子を生成させる第2の工程とを有し、
前記有機溶媒として、当該溶媒分子1個当たり、1個以上のOH基を含む有機溶媒を用いることを特徴とするITO粒子の製造方法。 - 前記有機溶媒として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1.2−プロピレングリコール、1.3−ブチレングリコール、2.3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンの群から選択される1種以上を用いることを特徴とする請求項5に記載のITO粒子の製造方法。
- 前記第2の工程において、加熱処理温度を240℃以上、350℃以下とすることを特徴とする請求項5または6に記載のITO粒子の製造方法。
- 前記第2の工程において、加熱処理時間を30分間〜200時間とすることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のITO粒子の製造方法。
- 前記塩基性沈殿剤の添加量を、前記有機溶媒中に溶解したインジウム1molに対して3.5mol以上とすることを特徴とする、請求項5から8のいずれかに記載のITO粒子の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のITO粉末を含むことを特徴とする透明導電材用塗料。
- 請求項10に記載の透明導電材用塗料を用いて製造されたことを特徴とする透明導電膜。
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