JP5614470B2 - 大量液置換特性に優れた血液浄化器 - Google Patents

大量液置換特性に優れた血液浄化器 Download PDF

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Description

本発明は大量液置換特性を有し、かつ性能安定性に優れた血液浄化器に関する。
腎不全治療などにおける血液浄化法では、血液中の尿毒素、老廃物を除去する目的で、天然素材であるセルロース、またその誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、合成高分子としてはポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの高分子を用いた透析膜や限外濾過膜を分離材として用いた血液透析器、血液濾過器あるいは血液透析濾過器などの血液浄化器が広く使用されている。特に中空糸型の膜を分離材として用いた血液浄化器は体外循環にかかわる循環血液量の低減、血中の物質除去効率の高さ、さらに血液浄化器組立ての生産性などの利点から血液浄化分野での重要度が高い。
中空糸膜を用いた血液浄化器は、通常中空糸膜中空部に血液を流し、外側部に透析液を向流に流し、血液から透析液への拡散に基づく物質移動により尿素、クレアチニンなどの低分子量物質を血中から除くことを主眼としている。さらに、長期透析患者の増加に伴い、透析合併症が問題となり、透析による除去対象物質は尿素、クレアチニンなどの低分子量物質のみでなく、分子量数千の中分子量から分子量1〜2万の高分子量の物質まで拡大し、これらの物質も除去できることが血液浄化膜に要求されている。特に分子量11700のβ2ミクログロブリンは手根管症候群の主な蓄積物質であることがわかっており除去ターゲットとなっている。このような高分子量物質除去の治療に用いられる膜はハイパフォーマンス膜と呼ばれ、従来の透析膜より膜の細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたり、空孔率を上げたり、膜厚を薄くするなどにより、高分子量物質の除去効率の向上を可能としている。
さらに近年では、β2ミクログロブリンよりも分子量の大きい物質を除去する治療法が透析患者の生存リスクを下げる効果があることが報告され、β2ミクログロブリンよりも分子量の大きい物質についての除去についても注目されている。このような拡散のみでは除去効率が低い分子量の物質の除去効率を上げるためには、濾過に基づく物質移動が効果を発揮する。以上のような背景から、中空糸膜を用いた血液浄化器において、通常の治療モードで濾過効果を上げるための発明が開示されている。例えば、血液浄化器の中央部に中空糸束の狭窄部を設けることで、血液浄化器内での内部濾過を高める技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。別の手段として、血液浄化器の中空糸膜の有効長を長く、直径を小さくし、さらに中空糸膜の充填率を高くした血液浄化器についての高性能化が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
ところが、上記のように通常の透析モードで濾過効果を追及するだけでは、期待できる液置換量は十分でなく、透析患者の生命リスクは通常透析と比較してさほど変わらないため、さらに積極的な濾過を含んだ治療が期待される。透析濾過の治療は通常4時間以上の血液の透析と濾過が行われるが、ここで血液浄化器のライフタイムが問題となる。血液浄化器のライフタイムは一般に、濾過流速に大きな影響を受ける。ライフタイムを短縮する主要な要因としては、血液浄化膜の目詰まりであり、血液成分により目詰まりすることで、治療中に血液浄化器の膜間圧力差が上昇したり、目的とする濾過効率が得られなかったり、性能が低下するなどの悪影響がみられる。一定の濾過流速に対して血液浄化器の膜間圧力差を上昇させない手段として、中空糸膜内径を大きくし、膜内の界面張力を特定の範囲になるように設計するなどの発明が開示されている(例えば、特許文献4参照)。また、血液浄化膜の篩係数を特定範囲にすることで圧上昇を回避する技術も開示されている(例えば、特許文献5参照)。さらに、血液浄化膜の内表面を緻密にすることで、濾過をかけても膜間圧力差を上昇させない効果(例えば、特許文献6参照)や、血液浄化膜の内表面を均一構造にすることで限外濾過係数を低下させない効果(例えば、特許文献7参照)、同様に、内表面を滑らかな構造にすることで限外濾過係数を低下させない効果(例えば、特許文献8参照)が開示されている。
血液濾過における目詰まりによる膜間圧力差上昇は、血液流速や濾過流速に大きく影響を受ける。膜間圧力差上昇の要因のひとつは、濾過流速を上げることで、血液中から水分が除去された結果、血液の濃度が高くなり、血液の流動性が悪くなり、濾過の効率が低下することにある。血液濃度(血球濃度)の指標としてヘマトクリットに着目し、ヘマトクリットが高い領域を想定して濾過特性を上げた発明が開示されている(例えば、特許文献9、10参照)。
このように濾過特性改善の発明がなされているが、その全てにおいて目標とする濾過特性は、血液流速に対する濾過流速の比が30%を超えるものは無かった。このことは、血液濾過透析において、従来の血液浄化膜での血液濃縮や目詰まりによる膜間圧力差の限界値への到達の臨界が血液流速に対する濾過流速の比30%以下の領域にあり、血液流速に対する濾過流速の比が高い領域では数時間の血液濾過透析を実施することが不可能であったことを裏付けている。ところが、大量に血液を濾過する大量液置換療法では、25L置換の場合で有意に患者の生存リスクが低くなることが報告されている。例えば、20Lの大量液置換療法について実際に濾過をしている時間を5時間と想定すると濾過流速は67ml/minとなる。ここで、血流量を日本人としては多めである300ml/min確保することができる場合には、血流量比は22%となるが、血流量が日本人の平均値である200ml/minである場合には33%と現在の臨界値を超えることになる。このように、血流量が十分に確保できない患者においては、大量液置換療法はこれまでに開発されてきた血液浄化膜では実施困難であった。
以上のように、血液浄化膜の形状を変えて、内部濾過流量を上げ、除去対象物質の除去効率を上げたり、膜の内表面を緻密にしたり、平滑性を向上させたりして濾過特性を上げてきたが、大量液置換療法の領域である大量濾過特性については、全ての患者に適用されるには未だ十分でない。特に血流量が多くとれない患者には大量液置換療法を実施できる血液浄化器がないのが現状であった。本発明者らは、前記課題を解決するために血液浄化器に用いられる中空糸膜について鋭意検討した結果、前相分離状態で中空糸膜を成型後、さらにガラス転移温度以上の温度の水浴で再形成することにより、大量濾過による目詰まりを効果的に抑制でき、性能安定性に優れた血液浄化器に適した血液浄化膜が得られることを突き止めた。
特許第3257999号公報 特開2002−143298号公報 特開2005−131123号公報 特開2006−305333号公報 特開平10−108907号公報 特開平10−248925号公報 特開平09−154936号公報 特開平08−970号公報 特開2006−288414号公報 特開2006−288413号公報
本発明は、大量液置換特性を有し、かつ性能安定性に優れた血液浄化器を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ついに本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)セルローストリアセテートを含む紡糸原液および芯液をチューブインオリフィス型ノズルより吐出し、空中走行部を経て凝固浴中を通過させ、水洗することを含む中空糸膜の製造方法であって、
(イ)前記紡糸原液のキープ温度が100℃以上180℃以下である
(ロ)前記紡糸原液のノズル内の温度が45℃以上100℃以下である
(ハ)前記芯液の温度が10℃以上40℃以下である
(ニ)前記紡糸原液のキープ温度とノズル内の温度との差(I)が55℃以上80℃以下であり、ノズル内の紡糸原液と芯液との温度差(J)が20℃以上90℃以下である
)前記IとJの積(I×J)が1600〜4950である
)前記水洗が、水洗浴の入り口温度が60〜90℃である
ことを特徴とする方法。
(2)前記芯液が水であることを特徴とする(1)に記載の方法。
本発明の血液浄化器は大量液置換特性を有し、血液系性能において安定性を有する特性を持つ。そのため、患者の血液状態、確保できる血流量に関わらず、全ての患者に前希釈、後希釈などの大量液置換療法、例えばonline HDF療法を実施することができ、患者の生命リスクを低減させることができるという利点がある。
本願発明の中空糸膜の粒子充填状態を示す膜断面の模式図。 Qf90ml/minにおける濾過時間とTPLの変化との関係を示す図。 I×J値と限外濾過係数比(B/A、D/C)との関係を示す図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、前記課題を解決するために、血液浄化器に用いられる中空糸膜の製造工程と性能、特に濾過特性について検討した。大量液置換すなわち大流速で安定に濾過できることを目指した中空糸膜は、先に記載したように膜の孔径を大きくするなど、膜全体の空孔部分を多くしたり、膜厚を薄くしたりする方向で開発されている。このような高い透水性能のみに着目した中空糸膜は血液透析や血液濾過透析をおこなった際に血液中のタンパクが膜の表面に付着、吸着しやすく、目詰まりを起こす。目詰まりが起こり始めると時間とともに膜間圧力差が徐々にもしくは急上昇し、それ以上の血液浄化を継続するのは困難になる場合や、透析効率や濾過効率が悪くなる場合がある。目詰まりを起こしやすい膜は性能への影響も大きく、例えば、クリアランスの保持率が低い場合やタンパクリーク量の経時変化も大きい場合がある。血液流量が少ない場合でも大流速で安定に濾過でき、すなわち、目詰まりが起こりにくく、クリアランス保持率が高く、タンパクリークの経時変化が緩やかである中空糸膜を得るためには、製膜工程における相分離とその後の中空糸膜が完全に固化する前の工程管理が密接に関係していることを見いだし本発明に至った。
本発明における目詰まりの評価は、クエン酸を添加し、凝固を抑制した牛血液をヘマトクリット27〜33%、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血液、もしくは、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血漿を使用し、37℃において、膜面積1.5m2の血液浄化器に入り口流速(Qbin)200ml/minで送液し、所定の濾過流速(Qf:ml/min)で血液を濾過する。このとき、ろ液は元の血液バッチに戻し、循環系とする。変速濾過実験では、Qfを15→30→45→60→90→60→45→30→15→0ml/minと15分ごとに変化させる。Qfを変化させる直前にろ液流速の測定、血液浄化器の入り口圧(Pbin)、出口圧(Pbout)、ろ液出口圧(Pfout)の測定をする。
各ろ過流速における膜間差圧(TMP)[mmHg]=(Pbin+Pbout)/2−Pfout
Qf=0m/minの時のTMPは膠質浸透圧でありπとする。
血液の限外濾過係数(ml/m2/hr/mmHg)=Qf(ml/min)×60/(TMP−π)/膜面積
ここでQfは実測値を用いる。
このようにして求めた限外濾過係数について、最初のQf=15ml/min時の値(A)と最後のQf=15ml/min時の値(B)との比(B/A)が80%以上であることが望ましい。さらには83%以上がより好ましく、86%以上がさらに好ましい。この評価は膜面積が1.5m2の血液浄化器について、濾過流速を血流量200ml/minに対して90ml/min(濾過流速比45%)まで上げた後、濾過流速を徐々に下げていった場合の限外濾過係数の保存率を評価するものであり、臨床において、患者の状態をみつつ徐々に濾過量を上げていく場合や、様々な事情で計画していた濾過量を変更(低下)させなければならない場合を想定したもので、特に大量濾過による目詰まりを評価するメジャーとなる。この評価は濃縮も希釈もされていない血液の濾過に関するもので、臨床では後希釈透析濾過(postHDF)といわれるものに相当する。このような背景から本評価の限外濾過係数の保存率が80%未満である場合には、膜の血液に対する限外濾過性能が初期の20%以上も目詰まりで機能しなくなっている状態であることを意味し、目的とする治療を実施しているつもりが実際には行えていないことになり、治療効果を下げることにつながり好ましくない。
本評価において、物質透過性能の保持率についても目詰まりの影響を評価することができる。全く同一の血液浄化器について、1本は上記血液評価を行った後、もう1本は新品のままで、ミオグロビン(分子量17000)のクリアランス(CLmyo)を測定し、保持率(血液評価後/新品×100%)を求める。CLmyo保持率は、50%以上が望ましく、60%以上がより望ましく、70%以上がさらに好ましい。CLmyo保持率が低すぎると、他の中分子量タンパクの除去性能も減少していることが予測され、目的とする治療効率が得られないことがある。クリアランス値の上限は、血流量に依存し、血流量が200ml/minの場合にはCLmyo値の最大値は200ml/minである。
本発明における目詰まり評価の二つ目としては、前希釈透析濾過(preHDF)を想定したものである。評価方法は、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血漿を生理食塩液で2倍に希釈した希釈血漿を用いて前記の方法で限外濾過係数について最初のQf=15ml/minと最後のQf=15ml/min時の値の比(最後の値/最初の値)を評価する方法である。preHDFは、大量液置換療法でより大量の液置換を必要とする場合に採用される治療法であり、血液浄化器に血液が入る前に血液を置換液で希釈する治療方法である。この評価では血漿は血液浄化器を通過する前に希釈されている、すなわち血中タンパクやその他の血液成分が希釈された状態になっているため、中空糸膜の目詰まりは軽微であると推察されるが、実際には通常の血液と同じ程度の目詰まり現象が確認される。本発明の血液浄化器について、希釈血漿による限外濾過係数の保存率(最初のQf=15ml/minの値(C)と最後のQf=15ml/min時の値(D)との比(D/C)は80%以上であることが望ましい。85%以上であることがより望ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上がさらにより好ましい。保存率が80%未満である場合には、膜の血液に対する限外濾過性能が初期の20%以上も目詰まりで機能しなくなっている状態であることを意味し、目的とする治療を実施しているつもりが実際には行えていないことになり、治療効果が得られていない可能性がある。
本評価において、物質透過性能の保持率についても目詰まりの度合いを評価することができる。全く同一の血液浄化器について、1本は上記血液評価を行った後、もう1本は新品のままで、ミオグロビンのクリアランス(CLmyo)を測定し、保持率(血液評価後/新品×100%)を求める。CLmyo保持率は、50%以上が望ましく、60%以上がより望ましく、70%以上がさらに好ましい。CLmyo保持率が低すぎると、他の中分子量タンパクの性能も減少していることが予測され、目的とする治療効率が得られないことがある。
本発明における目詰まり評価の三つ目としては、定速大量濾過の経時安定性である。評価方法としては、クエン酸を添加し、凝固を抑制した牛血液をヘマトクリット27〜33%、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血液、もしくは、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血漿を使用し、37℃において、膜面積1.5m2の血液浄化器に入り口流速(Qbin)200ml/minで、送液し、90ml/minの濾過流速(Qf)で血液を濾過する。測定は120分継続して実施する。実験開始から膜間差圧の測定やろ液をサンプリングする。限外濾過係数の15分値(G)と120分値(H)の比(H/G)が80%以上であることが好ましい。さらには85%以上であることが好ましい。タンパク濃度6.5g/dlの血漿を90ml/minの流速で濾過した場合、血液浄化器の内部での血漿はタンパク濃度18g/dl、全血の粘度にして23cPまで濃縮されたことになる。このような高濃縮、高粘度の血液を120分間ろ過し続け、当初の限外濾過係数を8割以上保持できていることは限外濾過性能における目詰まりがほとんど起こっていないことを意味する。限外濾過係数の120分値/15分値の比が80%未満であるということは、血液に対する限外濾過係数が減少していることを意味し、通常の治療時間である4〜5時間後には血液浄化膜が有していた性能の大部分を目詰まりにより喪失している可能性がある。
上記定速大量濾過(Qb200ml/min、Qf90ml/min)におけるタンパクリークの経時変化について、15分値(E)と120分値(F)の比(F/E)が30%以上であることが望ましい。血液浄化におけるタンパクリークについては、限外濾過係数の初期と終了時の比が高い場合でも、血液濾過開始時と終了時とでは差があり、最初から最後まで一定値ではないことが常である。このことから、タンパクリーク比は限外濾過係数比よりも感度よく目詰まりなどによる性能変動を知る指標となる。タンパクリークの経時変化は血液成分の吸着や目詰まりによるものであり、その相互作用の度合いや反応速度に応じて、経時変化が急激に起こる場合がある。この経時変化は濾過流速にも依存し、大量濾過であってもタンパクリークの経時変化率が小さいことは、血液による性能変動の影響をあまり受けていないことを意味しており、望ましい特性である。また、タンパクリークの経時変化について15分値(E)と120分値(F)の比(F/E)が30%未満である場合は、初期の経時変化が大きく、すなわち治療開始時において患者血液から急激にタンパク(主にアルブミン)が除去されている現象が起こっていることであり、患者への負担が大きくなることがある。F/Eは40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。
また、上記定速大量濾過(Qb200ml/min、Qf90ml/min)時における20L除水換算のタンパクリーク量が5g以下であることが好ましい。4g以下であることがより好ましく、3g以下であるのがさらに好ましい。また、5g超である場合には、栄養状態の良くない患者にとっては深刻であり、低アルブミン血症を引き起こす可能性があり、したがってタンパクの損失は適度に低いことが望ましい。しかし、タンパクリーク量が少なすぎると、β2MGよりも分子量の大きな不要物質の除去性が低下することがあり、20L除水換算のタンパクリーク量の下限は0.5g以上が好ましく、0.7g以上がより好ましく、1.0g以上がさらに好ましく、1.5g以上がさらにより好ましい。
本発明の血液浄化器は、血液透析(HD)、血液濾過透析(HDF、online HDFなど)、血液濾過(HF)など、腎不全の治療に用いる血液浄化器として好適である。さらに、確保できる血流量に関わらず、大量濾過を前希釈、後希釈で安定に実施することができるので、患者の健康状態、症状に関わらず、目的とする大量液置換療法の治療が安全にできるという点で優れている。
本発明において、中空糸膜の37℃における純水の限外濾過係数は150mL/m2/hr/mmHg以上800mL/m2/hr/mmHg以下の範囲が好ましい。限外濾過係数が150mL/m2/hr/mmHg未満では、本発明の目的とする血液系における中分子量物質の透過性能が低い可能性がある。限外濾過係数が大きすぎると、細孔径が大きくなり、目詰まりやタンパクリーク量が多くなることがある。したがって、限外濾過係数のより好ましい範囲は150mL/m2/hr/mmHg以上750mL/m2/hr/mmHg以下、さらに好ましくは150mL/m2/hr/mmHg以上700mL/m2/hr/mmHg以下である。
本発明において、中空糸膜の平均膜厚は10μm以上50μm以下が好ましい。平均膜厚が大きすぎると、濾過時の負荷が大きくなりすぎることがある。また、血液浄化器の設計上、膜面積を大きくする際に膜厚が大きいと、血液浄化器のサイズが大きくなってしまい適切ではない。膜厚は薄い方が物質透過性が高まるため好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。平均膜厚が薄すぎると、血液浄化器に必要な最低限の膜強度を維持するのが困難になることがある。したがって、平均膜厚は12μm以上がより好ましく、14μm以上がさらに好ましい。ここでいう平均膜厚とは、ランダムにサンプリングした中空糸膜5本を測定したときの平均値である。この時、それぞれの値と平均値との差が、平均値の2割を超えないこととする。
また、中空糸膜の内径は100〜300μmであることが好ましい。内径が小さすぎると、中空糸膜の中空部を流れる流体の圧力損失が大きくなるため、溶血の恐れがある。さらに流速が大きい領域で濾過をかけた場合に、膜間圧力差が大きくなり、わずかな目詰まりでも圧の急上昇が起こる可能性がある。また、内径が大きすぎると、中空糸膜の中空部を流れる血液のせん断速度が小さくなるため、血液中のタンパク質が経時的に膜の内面に堆積しやすくなる。中空糸膜内部を流れる血液の圧力損失やせん断速度が適度な範囲となる内径は150〜250μmである。
本発明の中空糸膜は、内表面側に薄い緻密層を有し、外側に向かって細孔径が拡大するような非対称構造を有することにより、薄い緻密層が分画特性(β2ミクログロブリンは透過し、アルブミンは透過しない)に寄与し、緻密層以外の部分(支持層)は細孔径が大きいために物質透過の抵抗にならず、β2ミクログロブリンに代表される低分子量タンパクの除去性を高めることが可能である。また、支持層は主に膜の強度を保持する役割を担うものである。
本発明において、中空糸膜の外表面開孔率は15%以上30%以下が好ましい。また、中空糸膜外表面の孔1個あたりの平均孔面積は0.005μm2以上0.05μm2以下であることが好ましい。外表面開孔率や平均孔面積が大きすぎると、総じて支持層全体の空隙率が高くなるため、中空糸膜に必要な強度を確保できないとか、グリセリンなどの膜孔保持剤の保持性が低下する可能性がある。一方、中空糸膜の外表面開孔率や平均孔面積が小さすぎると、細孔の非対称性が失われ均質構造に近づいていくことになるので、物質の透過性やろ過安定性が低下することがある。また、中空糸膜の透過拡散特性が低下するためオンラインでの洗浄効率が低下することがある。したがって、中空糸膜の外表面開孔率は16%以上28%以下がより好ましく、17%以上26%以下がさらに好ましい。また、平均孔面積は0.01μm2以上0.045μm2以下がより好ましく、0.01μm2以上0.04μm2以下がさらに好ましい。
本発明において、中空糸膜の単糸あたりのヤング率は4500kg/cm2以上かつ降伏強度が20g以上であることが好ましい。ヤング率および降伏強度が高いということは、中空糸膜を構成するポリマーの密度が高いとかポリマー鎖の絡み合いが強いことを意味する。血液浄化器などのモジュール組立てにおいて、中空糸膜端部とモジュールケース端部とを接着樹脂により接着するが、その際に遠心力を利用して接着樹脂を充填する。このとき、中空糸膜のヤング率が低いと、遠心力により中空糸膜に曲がりや折れが発生することがある。このような現象が発生したモジュールは、中空糸膜に血液を流した際に不通過や残血の原因となり得るので、もはや製品として出荷することができない。接着樹脂の充填に利用される遠心力(RCF)は40×g程度であるため、中空糸膜のヤング率および降伏強度は安全係数を見越して、それぞれ4500kg/cm2以上、20g以上としている。ヤング率は5000kg/cm2以上がより好ましく、5500kg/cm2以上がさらに好ましい。また、降伏強度は23g以上がより好ましく、25g以上がさらに好ましい。ヤング率および降伏強度は高い方が好ましいが、血液浄化用の中空糸膜の場合は、性能や空隙率との関係などにより、それぞれ単糸あたり7000kg/cm2程度、40g程度が上限と思われる。
本発明における中空糸膜の素材としては、再生セルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース系高分子などが挙げられるが、限外濾過係数が150ml/m2/hr/mmHg以上の中空糸膜を得ることが容易なセルロース系が好ましい。特にセルロース系ではセルロースジアセテートやセルローストリアセテートが膜厚を薄くすることが容易なため好ましい。
このような血液浄化器に用いる中空糸膜の製造方法としては、以下に示す条件が好ましい。高い限外濾過係数を得るためには、紡糸原液のポリマー濃度は、ポリマーの種類などにもよるが26質量%以下、より好ましくは25質量%以下とするのが好ましい。また、ポリマー濃度が低すぎると、必要な糸強度を得ることが難しくなるため、15重量%以上とするのが好ましく、17重量%以上がより好ましい。
紡糸原液は、紡糸原液中の不溶成分やゲルを取り除く目的でノズル吐出直前にフィルターにかけるのが好ましい。フィルターの孔径は小さい方がよく、具体的には中空糸膜の膜厚以下のものが好ましく、中空糸膜の膜厚の1/2以下がより好ましい。フィルターが無い場合やフィルターの孔径が中空糸膜の膜厚を超える場合はノズルスリットの一部に詰まりが生じ、偏肉糸の発生を招くことがある。さらに、フィルター無しやフィルター孔径が中空糸膜の膜厚を超えると、紡糸原液中の不溶解成分やゲルなどの混入が原因で部分的なボイドや、数十μm単位での表面構造のきめの細かさが乱れる(ひきつれたり、部分的にシワがよるなどの)原因となりやすい。高い空孔率を有する中空糸膜において、部分的なボイドの発生は、膜の物理的強度を低下させる原因になり得る。また、中空糸膜表面のきめの細かさを著しく乱すことは、血液を活性化させることにつながり、血栓、残血を招く可能性が高まる。血液を活性化させてしまうことは、濾過特性への悪影響があると考えられる。紡糸原液の濾過は、吐出するまでの間に複数回実施してもよく、そうすればフィルターの寿命を延ばすことができるので好ましい。
本発明において、セルロースアセテート系ポリマーの溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを使用するのが好ましい。これらの溶媒は水と良好な相溶性を有し、セルロースアセテート系ポリマーに対して凝固性を示す。また、非溶媒としてはエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、アルコール類などがある。
本発明において、芯液としては前記溶媒、非溶媒および水からなる水溶液が一般に使用できるが、その他に膨潤剤、その他の添加物を含む場合もありうる。膨潤剤としてはホルムアミド、尿素、リン酸トリエチル、グリオキサール、ブタノール、イソプロパノール等がある。前記芯液中の水分含量は50重量%以上が好ましい。70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、水単独で用いるのがさらにより好ましい。一方、芯液の水分含量が高くなりすぎるとノズルから吐出された紡糸原液の凝固が急激に進行するために曳糸性が低下し、糸切れや中空糸膜の変形が発生するなどの障害が発生しやすくなる。しかし、本願発明においては、後述するようにノズルの改良により、紡糸原液と芯液温度を別個に精度良くコントロールできるため、芯液の水分含量を高めても糸切れの発生のない、良好な紡糸安定性を得ることができる。
上記のように処理した紡糸原液を、外側に環状部、内側に芯液吐出孔を有するチューブインオリフィス型ノズルを用いて吐出する。ノズルのスリット幅(紡糸原液を吐出する環状部の幅)のばらつきを小さくすることで、紡糸された中空糸膜の偏肉を減らすことができる。具体的には、ノズルのスリット幅の最大値と最小値の差を10μm以下にすることが好ましい。スリット幅は用いる紡糸原液の粘度や、得られる中空糸膜の膜厚、芯液の種類によって異なるが、ノズルスリット幅のばらつきが大きいと、偏肉を招き、肉厚の薄い部分が裂けたり破裂したりしてリークの原因になる。また、偏肉が顕著である場合、血液浄化膜として適切な強度が得られない原因となる。
本発明における特徴は、紡糸原液と芯液とを別個に温度コントロールし、相分離反応を一定条件で実施することである。通常の血液浄化用の中空糸膜を製造する紡糸工程では二重管ノズルをノズルブロックに複数本セットして使用するが、この時、紡糸原液吐出孔と芯液吐出孔の幅が数百μmしかないので、紡糸原液と芯液とをノズルから吐出される直前まで精密に温度コントロールしておくことは非常に難しい。本発明者らは吐出直前まで紡糸原液と芯液とを個々に温度コントロールできるようノズルブロック内を熱媒(冷媒)が循環可能な構造に加工したものを用いることにより、概課題を解決した。1つのノズルブロックに通常数十のノズルが組み込まれており、それらを均一に温度コントロールする配慮が必要であり、このような技術的困難性をクリアし本発明に至った。
ノズル吐出前後の相分離条件を鋭意検討した結果、温度制御の条件が以下の場合に本発明が達成できることを見出した。紡糸原液は溶解後100℃以上で保温する。一方、ノズル内の紡糸原液は40℃以上100℃以下の範囲で一定になるように設定する。また、ノズル内の芯液の温度は5℃以上40℃以下の範囲で一定になるように設定する。紡糸原液のノズル内での温度低下とノズル内での紡糸原液と芯液との温度の差はどちらも大きい方が急激な温度勾配による前相分離状態をつくることができるので好ましい。紡糸原液とノズル内の温度との差(I)は、40℃以上110℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましく、55℃以上80℃以下がさらに好ましい。ノズル内の紡糸原液の温度と芯液との温度差(J)は、10℃以上90℃以下が好ましく、20℃以上80℃以下がより好ましく、20℃以上60℃以下がさらに好ましい。また、I×Jは1500〜8000であることが好ましい。I×Jは1600〜6500がより好ましく、1600〜5000がさらに好ましい。I×Jが大きくなるに従い、限外濾過係数比が大きくなる傾向にある。しかし、I×Jが大きくなりすぎると、詳細な理由は不明であるが、I×Jが却って小さくなる傾向にある。
具体的には紡糸原液は、110℃以上180℃以下で保温し、ノズル内の紡糸原液は45℃以上90℃以下の範囲で一定にコントロールし、芯液の温度は10℃以上35℃以下の範囲で一定にコントロールするのがより好ましい。ここで、一定とはおよそ±3℃以内でのコントロールをいう。各々の温度コントロールが設定から外れると、紡糸原液の粘度が高くなり紡糸原液を安定に吐出できなかったり、相分離条件が異なることが影響して孔径が大きくなり過ぎる、糸が紡ぎ出せないなどの問題が生ずる可能性がある。
吐出した紡糸原液は、空中走行部を経て、凝固浴中を通過させることにより凝固させる。外表面開孔率や平均孔面積を本発明の範囲にするためには、紡糸原液中のポリマー濃度やノズル温度などが影響するが、加えてノズルから吐出された紡糸原液が凝固浴に浸漬されるまでの間の空中走行部の長さを5mm以上200mm以下とするのが好ましい。また、空中走行部を外気と遮断し、内部を0℃以上50℃以下に設定することが好ましい。空中走行部の長さと温度を前記範囲とすることにより、ノズルから吐出された紡糸原液の外表面側のポリマー核の成長を促進することができる。一方、紡糸原液の内表面側では外表面側からの脱溶媒の影響を受けるより前に、芯液によるポリマーの凝固を完了させ緻密層を形成させることが可能となる。
紡糸製膜の安定性を高めるためには空中走行部の長さは7mm以上150mm以下がより好ましく、紡糸口金からの紡糸原液の吐出斑の影響を相殺するには10mm以上100mm以下がさらに好ましい。空中走行部の温度は3℃以上45℃以下が好ましく、性能面で有用タンパクの漏れ量を抑制するには5℃以上40℃以下がより好ましい。
空中走行部の長さと温度は、ノズルドラフトや紡糸速度により適正範囲が変わるものであって、本発明の範囲はノズルドラフトが1〜5程度、紡糸速度が30〜90m/min.の場合を想定している。
凝固浴は紡糸原液を調製する際に使用した溶媒の水溶液が好ましい。必要により非溶媒を添加することもできる。凝固浴が水である場合には、急激に凝固が進行するため中空糸膜外表面に緻密な層が形成され易くなる。凝固浴を溶媒、非溶媒と水との混合液にすることで、凝固時間のコントロールがしやすくなるので好ましい。凝固浴の溶媒、非溶媒濃度は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。ただし、50質量%未満では凝固時間のコントロールがしにくく好ましくない。凝固浴の温度は、ノズルより吐出する紡糸原液の組成や温度とも関係するが、凝固速度のコントロールのため4℃以上60℃以下が好ましい。10℃以上55℃以下がより好ましい。このように相分離と凝固を精緻にコントロールすることで中空糸膜のヤング率や降伏強度を前記範囲にし、濾過特性を向上させた中空糸膜が得られる。
凝固浴を経た中空糸膜は洗浄工程を経て溶媒などの不要な成分を洗い流す。このときに用いる洗浄液は水が好ましく、水洗浴の入り口水温度は60〜90℃が好ましい。湿潤状態のセルロースアセテートのガラス転移温度は70℃前後といわれており、水洗工程でガラス転移温度以上の温度を通過することにより、ポリマー粒子が再編成され、その結果中空糸膜に存在する欠陥構造がリセットされ、血液による目詰まりが起こりにくい膜になると考えられる。水洗浴の出口水温度は50〜90℃が洗浄効率がよいとか、走行中の中空糸膜の弛みを抑えるために好ましい。50℃未満では洗浄効率が低下したり、90℃超では熱効率が低下する可能性がある。
洗浄工程を経た中空糸膜はグリセリン浴を通過し、中空糸膜の孔と中空部をグリセリン水溶液に置換する。その後、乾燥工程を経て巻き取る。この場合グリセリン濃度は50〜95質量%が好ましい。グリセリン濃度が低すぎると、芯液のグリセリン置換濃度が十分でなく、乾燥時に中空糸膜が縮んだり、つぶれたり、保存安定性が悪くなることがある。また、グリセリン濃度が高すぎると、中空糸膜に余分なグリセリンが付着しやすく、血液浄化器に組み立てる時に中空糸膜端部の接着性が悪くなることがある。グリセリン浴の温度は、50℃以上100℃以下が好ましい。グリセリン浴の温度が低すぎると、グリセリン水溶液の粘度が高く、中空糸膜の細孔の隅々までグリセリン水溶液が行き渡らない可能性がある。グリセリン浴の温度が高すぎると、中空糸膜が熱で変性、変質してしまう可能性がある。
本発明は、製膜溶液をノズルから吐出する前段階の精密な温度コントロールによる相分離反応の制御とその後の水洗工程による構造の再構成の組み合わせによって達成される。本発明を模式的に示すと製膜時、製膜溶液をノズルから吐出する前段階で、紡糸原液のキープ温度とノズル内温度、芯液温度を精度よくコントロールし、各々適切な温度差を設けた状態で、急激な温度変化による相分離をさせる。その後、凝固浴で凝固、ここで中空糸膜は少なくとも内表面に緻密層を有する粗密構造を形成する。現在の分析手段では詳細を観察することは困難ではあるが、イメージとしては、ポリマー粒子が充填された構造を形成していると考えられる。ところがこの時点では、この粒子が充填された構造は確実に形成が終了しているわけではなく、次工程のガラス転移温度以上の水洗浴を通過させることで、個々の粒子がわずかに運動することで、構造の修正が微細な領域で行われる。すなわち、高温の水洗工程でポリマー粒子をほぐし粒子充填構造を再編成させ、結果として先の相分離で形成された粒子の隙間を埋める効果がある。イメージ図を掲載した。図1は、本願発明の中空糸膜の粒子充填状態を示す膜断面の模式図である。水洗工程前では、粒子の充填状態が均一でない部分が存在する。このような状態の部分が例えば、内表面に存在した場合、充填状態が均一でない部分への血液成分の吸着反応などが促進され、目詰まりなど血液性能への悪影響が起こると考えられる。一方、高温の水洗浴を通過させることで、粒子の再配列による微細な修正がおこり、粒子充填状態は高温水洗処理前と比較して均一になると考える。このように再配列された粒子充填構造を有する中空糸膜からなる血液浄化器は、従来の血液浄化器と比較して目詰まりしにくい、高い濾過特性を有する特性を持つ。
図2は、本願発明の中空糸膜(実施例3)および一般的な非対称構造を有するポリスルホン系中空糸膜について、血液濾過実験におけるタンパク漏出量を比較した実験結果を示すグラフである。ポリスルホン系高分子は疎水性が強いために、血液と接触した際に血液成分の吸着を完全に抑制できない。すなわち、ポリスルホン系中空糸膜は、血液と接触した際に膜面や細孔内への血液成分の吸着、蓄積を想定して予め大きめの細孔サイズで設計されている。それに対して、本願発明の中空糸膜は血液成分の膜面への吸着や細孔内への侵入(目詰まり)を抑制しているため、経時的な性能の変化が小さいという特長を有する。このような特長を有するために、大量液置換療法においても性能の安定性に優れている。
図3は、「紡糸原液のキープ温度とノズル内温度との差」と「ノズル内の紡糸原液温度と芯液温度との差」との積(I×J)を横軸にとり、縦軸に限外濾過係数比(B/AおよびD/C)をとって、実施例のデータをプロットしたものである。I×Jが特定の範囲に収まるものは、性能の変化が小さいことが理解できる。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.中空糸膜の内径、外径、膜厚の測定
中空糸膜断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には芯液を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた形態で観察することが好ましい。乾燥方法は問わないが、乾燥により著しく形態が変化する場合には芯液を洗浄、除去したのち、純水で完全に置換した後、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon-V-12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5断面について同様に測定を行い、平均値を内径、膜厚とした。
2.限外濾過係数
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで封止する。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した透析器の血液流路側へ純水を送り、透析液側から流出した濾液量を測定する。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから限外濾過係数(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.99以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の限外濾過係数は膜面積と透析器の限外濾過係数から算出する。
UFR(h)=UFR(d)/a
ここでUFR(h)は中空糸膜の限外濾過係数(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(d)は透析器の限外濾過係数(mL/hr/mmHg)、aは透析器の膜面積(m2)である。
3.膜面積の計算
透析器の膜面積は中空糸膜の内径基準として求める。
a=n×π×d×l
ここで、nは透析器内の中空糸膜本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径(m)、lは透析器内の中空糸膜の有効長(m)である。
4.血液系の評価
(1)使用する血液
クエン酸を添加し、凝固を抑制した牛血液をヘマトクリット27〜33%、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血液、もしくは、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血漿を用いる。血漿を2分の1に希釈して循環試験を実施する場合には、タンパク濃度6〜7g/dlに調製した牛血漿を生理食塩液で2倍に希釈して用いる。
(2)血液浄化器
膜面積1.5m2の血液浄化器を生理食塩液1Lで洗浄、プライミングし、37℃に加温しておく。
(3)循環試験
循環する血液もしくは血漿5Lを37℃に調温した後、プライミングした血液浄化器を入り口流速(Qbin)200ml/minで、送液し、所定の濾過流速(Qf:ml/min)で血液を濾過する。このとき、濾液は元の血液バッチに戻し、循環系とする。変速濾過実験では、Qfを15→30→45→60→90→60→45→30→15→0ml/minと15分ごとに変化させる。Qfを変化させる直前に濾液流速の測定、血液浄化器の入り口圧(Pbin)、出口圧(Pbout)、ろ液出口圧(Pfout)の測定をする。定速濾過実験では、濾過開始後から15分おきにろ液流速の測定と、ろ液をサンプリングする。
(4)血液の限外濾過係数
各ろ過流速における膜厚間差圧(TMP)(mmHg)=(Pbin+Pbout)/2−Pfout
Qf=0m/minの時のTMPは膠質浸透圧でありπとする。πはタンパク濃度6.5g/dlでおよそ22mmHgである。
血液の限外濾過係数(ml/m2/hr/mmHg)=Qf(ml/min)×60/(TMP−π)/膜面積
ここで、Qfは実測値を用いる。
(5)タンパクリーク量の計算
定速濾過実験にて、15分毎に濾過流速を測定し、血液浄化器の濾液を採取する。濾液に含有するタンパクの濃度を測定する。血漿中のタンパク濃度の測定は、体外診断用のキット(マイクロTP−テストワコー、和光純薬工業社製)を用いて行う。2時間までのデータをもとに、下式より平均タンパクリーク量を求め、目的とする除水換算時のタンパクリーク量(TPL)を算出する。
積算濾過量(ml)=t1(min)×Ct1(ml/min)+(t2-t1)(min)×Ct2(ml/min)+(t3-t2)(min)×Ct3(ml/min)・・・・(t120-tn)(min)×C120min(ml/min)
t:測定時間(min)
C:濾過流速(ml/min)
ろ液のタンパク濃度=a×Ln(積算濾過量)+b
各測定点におけるろ液のタンパク濃度とLn(積算濾過量)からa、bを求める。
TPL(平均)=−a+b+a×Ln(積算濾過量×2)
例えば20L除水換算の場合、
TPL(20L除水換算)(g)=TPL(平均)×200/1000
血液性能の再現性や性能安定性の評価にはQf=90ml/min、20L除水換算のTPL値を指標とした。
TPL比=TP濃度120分値/TP濃度15分値
とする。
6.クリアランスミオグロビン(CLmyo)
生理食塩液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(膜面積(A’)1.5m2)に、0.01%ミオグロビン(シグマ−アルドリッチ化学社製)透析液水溶液を血液側流量(Qbin)200ml/minで濾過をかけずにシングルパスで流しつつ、透析液を透析液側流量(Qd)500ml/minで流す。最初のミオグロビン原液のミオグロビン濃度(Cbin)と血液浄化器を通って出てきた液のミオグロビン濃度(Cbout)から、血液浄化器のクリアランス(CLmyo:ml/min)を算出する。測定は37℃で実施する。
CLmyo=(Cbin−Cbout)/Cbin ×Qbin
7.クリアランスミオグロビン保持率
同種類、同ロットの血液浄化器(中空糸膜内径基準の膜面積1.5m2)を2本準備し、1本は先に記載した方法でCLmyoを測定する。残りの1本は先に記載した方法で血液による実験を実施する。その後、測定と同じ流量で血液浄化器を水で十分水洗する。水洗した血液浄化器について同様の方法でCLmyoを測定し、1本目の値との比を算出する。血液実験による性能変化が全く無かった場合は、2本の血液浄化器のCLmyo値は等しく、保持率は100%となる。
保持率(%)=血漿循環後のCLmyo/通常のCLmyo×100
8.中空糸膜外表面の開孔率
中空糸膜外表面を10,000倍の電子顕微鏡で観察し、写真(SEM写真)を撮影する。その画像を画像解析ソフトで処理して、中空糸膜外表面の開孔率を求める。画像解析ソフトは、例えばImage Pro Plus(Media Cybernetics,Inc.)を使用して測定する。取り込んだ画像を孔部と閉塞部が識別されるように強調・フィルタ操作を実施する。その後、孔部をカウントし、孔内部に下層のポリマー鎖が見て取れる場合には、孔を結合して一孔とみなしてカウントする。測定範囲の面積(K)、および測定範囲内の孔の面積の累計(L)を求めて開孔率(%)=L/K×100を求める。これを10視野実施してその平均を求める。初期操作としてスケール設定を実施するものとし、また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外しないものとする。
9.中空糸膜外表面の開孔部の平均孔面積
前項と同様にカウントし、各孔の面積を求める。また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外する。これを10視野実施してすべての孔面積の平均を求める。
10.ヤング率(kg/cm2
破断強力および降伏強力は、糸引っ張り試験機(インストロンエンジニアリングコーポレーション社製インストロン(モデルNo.TM))を用いて測定する。全長約15cmの単糸をチャック(チャック間10cm)に固定し、20mm/分の速度でチャックに連結したフルスケール100gのセルを上昇させる。チャート紙から中空糸が切れた破断伸度と破断強力を読み取り、S−Sカーブとする。極大点を持たない場合は、初期勾配を延長させた補助線を設ける。二つの補助線が交差した点を降伏点と定義し、その点における強力を降伏強力、伸度を降伏伸度とする。また、極大点を持つ場合、初期勾配を延長させた補助線と、極大点における傾きゼロの補助線が交わる点を降伏点と定義し、その点における強力を降伏強力、伸度を降伏伸度とする。これらの値を用いてヤング率は
ヤング率=降伏強度/糸断面積/降伏伸度
の式で算出する。
(実施例1)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社製)18重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)の比が85対15の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として120℃でキープしつつ、二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に25℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はノズルブロック中で50℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は13mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=85/15の混合溶液を水で70重量%となるように希釈した44℃の凝固液中に導いて固化させ、入口温度90℃(出口温度60℃)の熱水で水洗、グリセリン付着・置換処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は206μm、膜厚は22μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化器ケースに挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2の血液透析器を作製して種々の評価に供した。紡糸条件を表1に、評価結果を表2、3にまとめた。
限外濾過係数比もCLmyo保持率も高く、濾過特性に優れていた。またQf90ml/minの大量定速濾過でもTP比が大きく性能の経時安定性を示した。
(実施例2)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社製)23重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)の比が80対20の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として160℃でキープしつつ、二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に30℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で85℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は20mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=80/20の混合溶液を水で70重量%となるように希釈した45℃の凝固液中に導いて固化させ、入口温度80℃(出口温度80℃)の熱水で水洗、グリセリン付着・置換処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は205μm、膜厚は23μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化器ケースに挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2の血液透析器を作製して種々の評価に供した。紡糸条件を表1に、評価結果を表2、3にまとめた。
限外濾過係数比もCLmyo保持率も高く、濾過特性に優れていた。またQf90ml/minの大量定速濾過でもTP比が大きく性能の経時安定性を示した。また、TPL値も低値であった。
(実施例3)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社製)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)の比が80対20の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として110℃でキープしつつ、二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に10℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で50℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は13mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=80/20の混合溶液を水で60重量%となるように希釈した40℃の凝固液中に導いて固化させ、入口温度70℃(出口温度70℃)の熱水で水洗、グリセリン付着・置換処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は206μm、膜厚は22μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化器ケースに挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2の血液透析器を作製して種々の評価に供した。紡糸条件を表1に、評価結果を表2、3にまとめた。
限外濾過係数比もCLmyo保持率も高く、濾過特性に優れていた。また、Qf90ml/minの大量定速濾過でもTP比が大きく性能の経時安定性を示した。また、TPL値も低値であった。
(比較例1)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社製)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)の比が80対20の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として185℃でキープしつつ、二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に0℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で100℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は20mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=80/20の混合溶液を水で60重量%となるように希釈した40℃の凝固液中に導いて固化させ、入口温度60℃(出口温度40℃)の熱水で水洗、グリセリン付着・置換処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は206μm、膜厚は23μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化器ケースに挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2の血液透析器を作製して種々の評価に供した。紡糸条件を表1に、評価結果を表2、3にまとめた。
相分離条件と水洗工程条件の組み合わせが最適条件ではないため、ポリマー粒子の再配列が不十分となり、限外濾過係数比が低く、濾過流速の変動による目詰まりが起こりやすい膜であった。またQf90ml/minの定速濾過実験については、圧上昇のため120分まで実施することが出来なかった。
(比較例2)
セルローストリアセテート(6%粘度=154mPa・s、ダイセル化学工業社製)18重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)の比が80対20の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として120℃でキープしつつ、二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に50℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で110℃の熱媒を循環し保温した。
ノズルから吐出された紡糸原液は20mm、30℃の空走部を通過させた後、NMP/TEG=80/20の混合溶液を水で70重量%となるように希釈した40℃の凝固液中に導いて固化させ、入口温度50℃(出口温度45℃)の熱水で水洗、グリセリン付着・置換処理後、乾燥して巻き取った。かかる中空糸膜の内径は206μm、膜厚は23μmであった。得られた中空糸膜を束状にして血液浄化器ケースに挿入し、両端をポリウレタンで接着固定し、中空糸膜内径基準の有効面積が1.5m2の血液透析器を作製して種々の評価に供した。紡糸条件を表1に、評価結果を表2、3にまとめた。
相分離条件と水洗工程条件の組み合わせが最適条件ではないため、ポリマー粒子の再配列が不十分となり、限外濾過係数比が低く、またCLmyoの保持率も低めであり、濾過流速の変動による目詰まりが起こりやすい膜であった。またQf90ml/minの定速濾過実験については、圧上昇のため120分まで実施することが出来なかった。
(比較例3)
セルローストリアセテート(6%粘度=162mPa・s、ダイセル化学工業社製)21重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP、三菱化学社製)とトリエチレングリコール(TEG、三井化学社製)の比が80対20の混合溶液に均一に溶解したものを紡糸原液として90℃でキープしつつ、二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に芯液として水を吐出した。その際、芯液はノズルをセットするブロック中に35℃の冷媒を流し保冷した。また、紡糸原液はブロック中で30℃の熱媒を循環し保温した。紡糸原液の流動性が悪く、紡糸することができなかった。
(参考例1)
フレゼニウス社製血液浄化器(FPX140)を用い、種々の評価を実施した。結果を表2にまとめた。
変速濾過における限外濾過係数比と、CLmyo保持率が低値であったことから、濾過流速の変動による目詰まりが見られた。またQf90ml/min定速濾過実験では、3本のダイアライザーについて試みたが、120分まで測定可能であったものは1本のみであり、TPLの経時変化が大きかった。
(参考例2)
旭化成メディカル社製血液浄化器(APS-15SA)を用い、種々の評価を実施した。結果を表2にまとめた。
変速濾過における限外濾過係数比と、CLmyo保持率が低値であったことから、濾過流速の変動による目詰まりが見られた。とくにCLmyoの保持率は低値であった。またQf90ml/min定速濾過実験では、3本のダイアライザーについて試みたが、120分まで測定可能であったものは1本のみであり、TPLの経時変化が大きく、TPL値も高かった。
(参考例3)
ニプロ社製血液浄化器(FB-150Uβ)を用い、種々の評価を実施した。結果を表2にまとめた。
希釈のない血液による変速濾過実験では、圧上昇のためQfは60ml/minまでしか上げることができなかった。よってQf90ml/minの定速濾過実験も実施不可能であった。大量濾過による目詰まりが顕著であった。本ダイアライザーを構成する中空糸膜は、内表面構造が緻密でないため、血液成分による目詰まりの影響が大きかったと考える。
本発明の大量液置換特性に優れた血液浄化器は血流量に対する濾過流速が30%を超える大量濾過を実施しても目詰まりなどの影響が少ない特性を持つ。そのため、血流量が十分に確保できない患者に対しても大量液置換の治療が可能であるという利点がある。したがって、産業の発展に大きく寄与できる。

Claims (2)

  1. セルローストリアセテートを含む紡糸原液および芯液をチューブインオリフィス型ノズルより吐出し、空中走行部を経て凝固浴中を通過させ、水洗することを含む中空糸膜の製造方法であって、
    (イ)前記紡糸原液のキープ温度が100℃以上180℃以下である
    (ロ)前記紡糸原液のノズル内の温度が45℃以上100℃以下である
    (ハ)前記芯液の温度が10℃以上40℃以下である
    (ニ)前記紡糸原液のキープ温度とノズル内の温度との差(I)が55℃以上80℃以下であり、ノズル内の紡糸原液と芯液との温度差(J)が20℃以上90℃以下である
    )前記IとJの積(I×J)が1600〜4950である
    )前記水洗が、水洗浴の入り口温度が60〜90℃である
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記芯液が水であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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