JP5614124B2 - 顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法 - Google Patents
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また、商業印刷等の分野においては、デジタル情報を製版することなく紙などのメディアに直接印刷できるため少部数の印刷や可変情報印刷(バリアブル印刷)に最適であるインクジェット記録方式や電子写真記録方式が、オンデマンド印刷分野で導入されている。
最近では、装置の高速化や高精細化あるいはフルカラー化など記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、インクジェット記録シートに対して、印刷用塗工紙のオフセット印刷物に類似の風合を持つドキュメントを作成したいという要望が強くなってきている。
例えば、顔料塗工紙の表面にカチオン性樹脂を塗布した記録体(特許文献1)や、カチオン性樹脂を含有する塗液で顔料塗工層を形成した記録体(特許文献2)等が提案されているが、インク吸収速度が十分得られない。
本発明者等は、鋭意検討した結果、上記問題を解決するためには、白色顔料とバインダーを主成分とする塗液をアンダーコートし、次いで、顔料を含まず、特定の水溶性多価金属塩を含有する塗液をトップコートし、更にキャレンダー処理することにより、所望する白紙光沢ならびにインク吸収性が得られることを見出し、本発明に至ったのである。
(2)アンダーコート塗液の顔料が、焼成カオリン、カオリン、炭酸カルシウム、プラスチックピグメントから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(1)記載の顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
(3)アンダーコート塗液の顔料100重量部あたりのバインダーの使用部数が3〜50重量部であることを特徴とする(1)又は(2)記載の顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
(4)アンダーコート塗液のバインダーが、澱粉及び/又はスチレンブタジエン共重合体であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一に記載の顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
顔料としては、一般に印刷用塗工紙に使用されている公知の白色顔料が例示できる。例えば、炭酸カルシウム、カオリン(クレーを含む)、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、ハイドロタルサイト、スチレン、エチレン、ブタジエン、塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、ポリカーボネート、ナイロン、及びこれらの共重合体の有機高分子微粒子、スチレン系プラスチックピグメント、スチレン−ブタジエン系プラスチックピグメント、スチレン−アクリル系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ウレタン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント、非晶質シリカ、アルミナ、アルミノシリケート等であり、これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用されるが、特に吸油量100cc/100g未満の顔料を顔料100重量部中20重量部以上とバインダーを含有する塗液を乾燥塗工量が2.0〜16.0g/m2となるようにする。吸油量100cc/100g未満の顔料が20重量部未満では、塗料が低濃度となり、コスト高となる。また、乾燥塗工量が、2.0g/m2未満では、所望の白紙光沢を得ることが困難となり、16.0g/m2を超える場合、乾燥負荷が大きくなり、コスト高となる。また、中空のプラスチックピグメントを配合すると、キャレンダー処理による光沢発現性が大きく好ましい。
顔料を含まず、硫酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硝酸カルシウムから選択される1種以上の水溶性多価金属塩を含有する塗液を乾燥塗工量が0.2〜5.0g/m2となるようにすることが好ましく、0.5〜3.5g/m2とすることがより好ましい。乾燥塗工量が0.2g/m2未満では所望のインク吸収性が得られず、5.0g/m2を超える場合、インク吸収性は良好であるが、コスト高となり好ましくない。尚、本発明における水溶性多価金属塩は水和物も含まれ、例えば、硫酸マグネシウムの場合、硫酸マグネシウム無水、硫酸マグネシウム七水和物のどちらか一方、あるいは両方用いても良い。ナトリウムやカリウムといった1価の水溶性金属塩では、顔料インクの吸収が速くならず好ましくない。
本発明に係る支持体は、特に限定されるものではないが、例えばシート状紙基体、フィルム、フィルムとシート状紙基体の接合物等を挙げることが出来る。支持体としては、吸水性を有するシートが好ましく、中でも、JIS P8140に準じ、水との接触時間が20秒のコッブ法吸水度が、支持体1g/m2あたり0.12〜1.3g/m2であることが好ましい。0.12g/m2未満の場合、インクジェット記録適性において、インク吸収性が低下し、1.3g/m2を超える場合、支持体への塗工液の吸収が大きくなり、塗工時にシワ等発生し、製造上のトラブルが発生し易い。なお、フィルムとシート状紙基体の接合物の場合は、インク受容層側の接合前のシート1g/m2あたりのコッブ法吸水度とする。
g/m2の範囲のものが用いられる。
塗料が片面に設けられる場合には、その裏面に帯電防止、カール防止、密着性改善、印刷適性付与、プリンターでの給排紙適性改善等のために公知の各種塗工層を設けることが出来る。また、裏面に種々の加工、例えば粘着、磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の後加工を施すことにより、用途適性を付加することも勿論可能である。
アンダーコート及びトップコートを塗工する方法としては、特に限定することはなく、一般に使用されている塗工装置が使用される。例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、スプレーコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター及びツーロールコーター、並びにメータリングブレード式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、リップコーター及びゲートロールコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。
支持体上にアンダーコート及びトップコートを塗工した後に、キャレンダー処理を行うが、処理装置としては、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、シューニップカレンダー等が用いられる。その際の加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等の処理条件を適宜調節して処理される。
〔支持体の作製〕
広葉樹晒クラフトパルプ100部、軽質炭酸カルシウム10部、カチオン澱粉(商品名:ケートF、王子ナショナル社製)0.3部、紙力増強剤(商品名:ポリマロン619、荒川化学工業社製)0.1部、アルキルケテンダイマー(商品名:SPK−910、荒川化学工業社製)0.02部に水を加え、良く混合して、スラリー濃度0.05%の紙料を作製し、これを用いて、長網多筒式抄紙機を用い、2本ロール方式のサイズプレス装置で、固形分濃度2%の澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)を基紙の両面に片面当り固形分0.5g/m2塗工、乾燥し、JIS P8140に規定される水との接触時間が20秒のコッブ法吸水度が75g/m2(支持体1g/m2あたりのコッブ吸水度0.75g/m2)、坪量が100g/m2の支持体を作製した。
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製、吸油量88cc/100g)60部に、分散剤(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.3部を加え、水を加えて、コーレス分散機を用いて水分散し、次いで、プラスチックピグメント(商品名:AE852、JSR社製)40部を加えて、顔料スラリーを作成した。この顔料スラリー100.3部に、バインダーとして澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)2部、ラテックス(商品名:PA−7070、日本エイアンドエル株式会社)15部、消泡剤(商品名:SN777、サンノプコ社製)0.2部、蛍光増白剤(商品名:カヤホールBPSリキッドコンク、日本化薬社製)0.3部を加え、水を加えて固形分濃度34%の塗料Aを調製した。
硫酸マグネシウムを水に加えて溶解し、固形分濃度18%の塗料Bを調製した。
上記で得られた100g/m2の支持体の両面に、塗料A(アンダーコート)を、ブレードコーターを用いて、片面当たり乾燥塗工質量が6.5g/m2になるように塗工、乾燥し、ついで塗料B(トップコート)を、ブレードコーターを用いて、片面当たり乾燥塗工質量が1.5g/m2になるように塗工、乾燥した。その後、キャレンダー処理を行い、坪量が116g/m2の顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例1の塗料B調製において、硫酸マグネシウムをギ酸カルシウムとし、固形分濃度を10%とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例3
実施例1の塗料B調製において、硫酸マグネシウムを酢酸カルシウム(1水和物)とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例1の塗料B調製において、硫酸マグネシウムを硫酸アルミニウム(無水)とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例5
実施例1の塗料B調製において、硫酸マグネシウムを硝酸カルシウム(4水和物)とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例2において、ギ酸カルシウムの片面当たりの乾燥塗工量を0.3g/m2とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例5において、硝酸カルシウムの固形分濃度を30%とし、片面当たりの乾燥塗工量を4.7g/m2とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例8
実施例1において、塗料A(アンダーコート)の片面当たりの乾燥塗工量を1.5g/m2とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例1の塗料A(アンダーコート)調製において、顔料スラリーを、カオリン(商品名:UW−90、BASF社製、吸油量46cc/100g)70部、軽質炭酸カルシウム(商品名TP121、奥多摩工業社製、吸油量47cc/100g)30部とし、固形分濃度50%とし、片面当たりの乾燥塗工量を15.0g/m2とした以外は実施例1と同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例1の塗料A(アンダーコート)調製において、顔料スラリーを、シリカ(商品名:カープレックスBS304F、エボニック社製、吸油量215cc/100g)82部、カオリン(商品名:UW−90、BASF社製、吸油量46cc/100g)18部、固形分濃度14%とし、片面当たり2.5g/m2とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
比較例1において、アンダーコートの片面当たりの乾燥塗工量を6.5g/m2とした以外は同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。なお、本アンダーコートは、ブレードコーターでは、所望の塗工量が得られなかった為、ダイコーターで塗工を行った。
比較例3
実施例1の塗料B調製において、硫酸マグネシウムを硫酸ナトリウムとし、固形分濃度を10%とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
実施例1において、硫酸マグネシウムの片面当たりの乾燥塗工量を0.1g/m2とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
比較例5
実施例1において、硫酸マグネシウムの片面当たりの乾燥塗工量を5.3g/m2とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
〔塗料Cの調製〕
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製、吸油量88cc/100g)60部に、分散剤(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.3部を加え、水を加えて、コーレス分散機を用いて水分散し、次いで、プラスチックピグメント(商品名:AE852、JSR社製)40部を加えて、顔料スラリーを作成した。この顔料スラリー100.3部に、バインダーとして澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)2部、ラテックス(商品名:PA−7070、日本エイアンドエル株式会社)15部、界面活性剤(商品名:レオックス2160C、化学名:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルミリスチルエーテル、ライオン社製)1部、水溶性金属塩(化学名:硫酸マグネシウム(無水))40部、消泡剤(商品名:SN777、サンノプコ社製)0.2部、蛍光増白剤(商品名:カヤホールBPSリキッドコンク、日本化薬社製)0.3部を加え、水を加えて固形分濃度30%の塗料Cを調製した。
実施例1の100g/m2の支持体の両面に、塗料Cを、ブレードコーターを用いて、片面当たり乾燥塗工質量が6.5g/m2になるように塗工、乾燥し、キャレンダー処理を行い、坪量が113g/m2の顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
比較例6の塗料C調製において、硫酸マグネシウムをギ酸カルシウムとした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
比較例8
比較例6の塗料C調製において、硫酸マグネシウムを酢酸カルシウム(1水和物)とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
比較例6の塗料C調製において、硫酸マグネシウム(無水)を硫酸アルミニウム(無水)とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
比較例10
比較例6の塗料C調製において、硫酸マグネシウム(無水)を硝酸カルシウム(4水和物)とした以外は、同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作製した。
[インクジェット記録適性]
インク吸収性評価
インクジェットプリンター(商品名:GP−700、エプソン社製)で、ベタ印字を行い、プリントアウト直後のインク液滴消去までの時間を測定した。4秒以上では、裏移り等の問題となる可能性があり好ましくない。
JISP8142に順じ、75度光沢度計を用いて測定を行った。
[操業性]
アンダーコートとトップコートの塗料を45℃に加温し、ブレード塗工を行った。
○:特に問題なく、操業上できた。
△:ブレードで掻き落とされた塗料が増粘したが、循環不良にはならず、操業は可能であった。
×:ブレードで掻き落とされた塗料が増粘し、循環不良となり、操業不可となった。
Claims (4)
- 支持体上の少なくとも片面に、アンダーコートとして、吸油量100cc/100g未満の顔料を20重量部以上とバインダーを含有する塗液を乾燥塗工量が2.0〜16.0g/m2となるように塗工、乾燥し、次いでトップコートとして顔料を含まず、硫酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硝酸カルシウムから選択される1種以上の水溶性多価金属塩を含有する塗液を乾燥塗工量が0.2〜5.0g/m2となるように塗工、乾燥し、次いでキャレンダー処理により、JISP8142に準じた白紙光沢が40%以上となるように仕上げたことを特徴とする顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
- アンダーコート塗液の顔料が、焼成カオリン、カオリン、炭酸カルシウム、プラスチックピグメントから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
- アンダーコート塗液の顔料100重量部あたりのバインダーの使用部数が3〜50重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
- アンダーコート塗液のバインダーが、澱粉及び/又はスチレンブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料インク用インクジェット記録シートの製造方法。
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