「第1実施形態」
図1に示すように、本発明の第1実施形態の内視鏡システム10(以下、内視鏡システムという)は、生体内の観察部位を撮像する内視鏡11と、撮像により得られた信号に基づいて観察部位の観察画像を生成するプロセッサ装置12と、観察部位を照射する光を内視鏡11に供給する光源装置13と、観察画像を表示するモニタ14とを備えている。プロセッサ装置12には、キーボードやマウスなどの操作入力部であるコンソール15が設けられている。
内視鏡システム10は、白色光のもとで観察部位を観察するための通常観察モードと、特殊光を利用して観察部位に存在する血管の性状を観察するための血管情報観察モードを備えている。血管情報観察モードは、血管のパターンや酸素飽和度などの性状を把握して、腫瘍の良悪鑑別などの診断を行うための特殊光観察モードであり、特殊光として、血中ヘモグロビンに対する吸光度が高い波長域の狭帯域光が利用される。血管情報観察モードには、血管が強調された血管強調画像を表示する血管強調観察モードと、血中ヘモグロビンの酸素飽和度が表示された酸素飽和度画像を表示する酸素飽和度観察モードがある。
内視鏡11は、生体の消化管内に挿入される挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。
挿入部16は、先端から順に連設された、先端部19、湾曲部20、可撓管部21からなる。図2に示すように、先端部19の先端面には、観察部位に照明光を照射する照明窓22、観察部位で反射した像光が入射する観察窓23、観察窓23を洗浄するために送気・送水を行うための送気・送水ノズル24、鉗子や電気メスといった処置具を突出させる鉗子出口25などが設けられている。観察窓23の奥には、撮像素子44(図3参照)や結像用の光学系が内蔵されている。
湾曲部20は、連結された複数の湾曲駒からなり、操作部17のアングルノブ26を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部20が湾曲することにより、先端部19の向きが所望の方向に向けられる。可撓管部21は、食道や腸など曲がりくねった管道に挿入できるように可撓性を有している。挿入部16には、撮像素子44を駆動する駆動信号や撮像素子44が出力する画像信号を通信する通信ケーブルや、光源装置13から供給される照明光を照明窓22に導光するライトガイド43(図3参照)が挿通されている。
操作部17には、アンブルノブ26の他、処置具を挿入するための鉗子口27、送気・送水操作を行う送気・送水ボタン、静止画像を撮影するためのレリーズボタンなどが設けられている。
ユニバーサルコード18には、挿入部16から延設される通信ケーブルやライトガイド43が挿通されており、一端には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ28が取り付けられている。コネクタ28は、通信用コネクタ28aと光源用コネクタ28bからなる複合タイプのコネクタである。通信用コネクタ28aには通信ケーブルの一端が配設されており、通信用コネクタ28aはプロセッサ装置12に着脱自在に接続される。光源用コネクタ28bにはライトガイド43の入射端が配設されており、光源用コネクタ28bは光源装置13に着脱自在に接続される。
図3に示すように、光源装置13は、それぞれ発光波長が異なる3種類の第1〜第3の光源モジュール31〜33と、これらを駆動制御する光源制御部34とを備えている。光源制御部34は、光源装置13の各部の駆動タイミングや同期タイミングなどの制御を行う。
第1〜第3光源モジュール31〜33は、特定の波長域の狭帯域光をそれぞれ発光するレーザダイオードLD1〜LD3を有している。図4に示すように、レーザダイオードLD1は、青色(B色)領域において、例えば波長域が440±10nmに制限され、中心波長が445nmの狭帯域光N1を発光する。レーザダイオードLD2は、青色(B色)領域において、例えば波長域が410±10nmに制限され、中心波長が405nmの狭帯域光である狭帯域光N2を発光する。レーザダイオードLD3は、青色(B色)領域において、例えば波長域が470±10nmに制限され、中心波長が473nmの狭帯域光である狭帯域光N3を発光する。レーザダイオードLD1、LD2、LD3としては、InGaN系、InGaNAs系、GaNAs系のものを用いることができる。また、レーザダイオードLD1〜LD3としては、高出力化が可能なストライプ幅(導波路の幅)が広いブロードエリア型のレーザダイオードが好ましい。
第1光源モジュール31は、通常観察用の白色光を発する光源部である。第1光源モジュール31は、レーザダイオードLD1に加えて、蛍光体36を有している。図4に示すように、蛍光体36は、レーザダイオードLD1が発する445nmの青色領域の狭帯域光N1によって励起されて、緑色領域から赤色領域に渡る波長域の蛍光FLを発光する。蛍光体36は、狭帯域光N1の一部を吸収して蛍光FLを発光するとともに、残りの狭帯域光N1を透過させる。蛍光体36を透過する狭帯域光N1は、蛍光体36によって拡散される。透過する狭帯域光N1と励起される蛍光FLによって白色光が生成される。蛍光体36としては、例えば、YAG系、BAM(BgMgAl10O17)系等の蛍光体が使用される。第1光源モジュール31は、白色光の光量が多くなるように2個設けられている。
第2光源モジュール32は、血管強調観察用の光源部である。血中ヘモグロビンの吸光スペクトルを表す図5において、血液のヘモグロビンの吸光係数μaは、波長依存性を有しており、波長が450nm以下の領域において急激に上昇し、405nm付近においてピークを有している。また、波長が450nm以下と比較すると低い値ではあるが、波長が530nm〜560nmにおいてもピークを有している。吸光係数μaが大きな波長の光を観察部位に照射すると、血管においては吸収が大きいので、血管とそれ以外の部分とのコントラストが大きな像が得られる。
また、図6に示すように、生体組織の光の散乱特性にも波長依存性があり、短波長になるほど散乱係数μSは大きくなる。散乱は生体組織内への光の深達度に影響する。すなわち、散乱が大きいほど、生体組織の粘膜表層付近で反射される光が多く、中深層に到達する光が少ない。そのため、短波長であるほど深達度は低く、長波長になるほど深達度は高い。こうしたヘモグロビンの吸光特性と生体組織の光の散乱特性を鑑みて、血管強調用の光の波長が選択される。
第2光源モジュール32が発する405nmの狭帯域光N2は、深達度が低いので、表層血管による吸収が大きいため、表層血管強調用の光として用いられる。狭帯域光N2を用いることにより、観察画像において表層血管を高コントラストで描出することができる。また、中深層血管強調用の光としては、第1光源モジュール31が発する白色光の緑色成分が用いられる。図5に示す吸光スペクトルにおいて、450nm以下の青色領域と比較して、530nm〜560nmの緑色領域においては、吸光係数は緩やかに変化するので、中深層血管強調用の光は、青色領域ほど狭帯域であることは要求されない。そのため、後述するように、撮像素子44のG色のマイクロカラーフイルタによって白色光から色分離した緑色成分が用いられる。
第3光源モジュール33は、酸素飽和度観察用の光源部である。図5において、吸光スペクトルHbは酸素と結合していない還元ヘモグロビンの吸光スペクトルを示し、吸光スペクトルHbO2は、酸素と結合した酸化ヘモグロビンの吸光スペクトルを示す。このように還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンは、異なる吸光特性を持っており、同じ吸光係数μaを示す等吸収点(各スペクトルHb、HbO2の交点)を除いて、吸光係数μaに差が生じる。吸光係数μaに差があると、同じ光強度かつ同じ波長の光を照射しても、酸素飽和度が変化すれば、反射率が変化する。酸素飽和度観察モードにおいては、吸光係数μaに差がある波長として、第3光源モジュール33が発する波長473nmの狭帯域光N3が用いられて、酸素飽和度が測定される。
光源制御部34は、ドライバ37を介してレーザダイオードLD1〜LD3の点灯、消灯、光量の制御を行う。具体的には、光源制御部34は、レーザダイオードLD1〜LD3に対して駆動パルスを与えることにより、点灯させる。そして、駆動パルスのデューティ比を制御するPWM制御を行うことにより、駆動電流値を変化させて発光量を制御する。駆動電流値の制御は、駆動パルスの振幅を変えるPAM制御などでもよい。
第1〜第3の光源モジュール31〜33の光路の下流側には、分岐型ライトガイド41が設けられている。分岐型ライトガイド41は、後で詳述するように、第1〜第3の光源モジュール31〜33の光路を1つの光路に統合する光路統合部である。内視鏡11のライトガイド43の入射端は1つであるため、分岐型ライトガイド41によって、第1〜第3の光源モジュール31〜33の光を内視鏡11に供給する前段において、各モジュール31〜33の光の光路が統合される。分岐型ライトガイド41は、入射端が複数に分岐した分岐部41a〜41dを有し、各分岐部41a〜41dから入射した光を、1つの出射端41eから出射する。
2つの第1光源モジュール31はそれぞれ、分岐型ライトガイド41の分岐部41a、41bの入射面と対向するように配置され、第2及び第3光源モジュール32、33はそれぞれ、分岐部41c、41dの入射面と対向するように配置される。
分岐型ライトガイド41の出射端41eは、内視鏡11のコネクタ28bが接続されるレセプタクルコネクタ42の近くに配置されている。出射端41eには、後述するホモジナイザ50が設けられており、分岐型ライトガイド41に入射した第1〜第3の光源モジュール31〜33の光は、ホモジナイザ50を経由して、コネクタ28bに配された内視鏡11のライトガイド43に供給される。
内視鏡11は、ライトガイド43、撮像素子44、アナログ処理回路45(AFE:Analog Front End)、撮像制御部46を備えている。ライトガイド43は、複数本の光ファイバ(図18の符号81参照)をバンドル化したファイババンドルであり、コネクタ28が光源装置13に接続されたときに、ライトガイド43の入射端が光源装置13のホモジナイザ50の出射端と対向する。ライトガイド43の出射端は、2つの照明窓22に光が導光されるように、照明窓22の前段で2本に分岐している。
照明窓22の奥には、照射レンズ48が配置されている。光源装置13から供給された光はライトガイド43により照射レンズ48に導光されて照明窓22から観察部位に向けて照射される。照射レンズ48は凹レンズからなり、ライトガイド43から出射する光の発散角を広げる。これにより、観察部位の広い範囲に照明光を照射することができる。
観察窓23の奥には、対物光学系51と撮像素子44が配置されている。観察部位で反射した像光は、観察窓23を通して対物光学系51に入射し、対物光学系51によって撮像素子44の撮像面44aに結像される。
撮像素子44は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどからなり、フォトダイオードなどの画素を構成する複数の光電変換素子がマトリックスに配列された撮像面44aを有している。撮像素子44は、撮像面44aで受光した光を光電変換して、各画素においてそれぞれの受光量に応じた信号電荷を蓄積する。信号電荷はアンプによって電圧信号に変換されて読み出される。電圧信号は画像信号として撮像素子44から出力されて、画像信号はAFE45に送られる。
撮像素子44は、カラー撮像素子であり、撮像面44aには、図7に示すような分光特性を有するB、G、Rの3色のマイクロカラーフイルタが各画素に割り当てられている。マイクロカラーフイルタによって、第1光源モジュール31が発光する白色光がB、G、Rの3色に分光される。マイクロカラーフイルタの配列は例えばベイヤー配列である。
図8に示すように、通常観察モードにおいては、撮像素子44は、1フレームの取得期間内で、信号電荷を蓄積する蓄積動作と、蓄積した信号電荷を読み出す読み出し動作が行なわれる。図8(A)に示すように、通常観察モードにおいては、蓄積タイミングに合わせてレーザダイオードLD1が点灯し、照明光として狭帯域光N1と蛍光FLとからなる白色光が観察部位に照射され、その反射光が撮像素子44に入射する。撮像素子44において、白色光はマイクロカラーフイルタで色分離されて、狭帯域光N1に対応する反射光をB画素が受光し、蛍光FLの中のG成分をG画素が、蛍光FLの中のR成分に対応する反射光をR画素が受光する。撮像素子44は、読み出しタイミングに合わせて、B、G、Rの各画素の画素値が混在した1フレーム分の画像信号B、G、Rをフレームレートに従って順次出力する。こうした撮像動作は、通常観察モードに設定されている間、繰り返される。
血管強調観察モードにおいては、図8(B)に示すように、蓄積タイミングに合わせて第1光源モジュール31に加えて、第2光源モジュール32が点灯する。第1光源モジュール31が点灯すると、通常観察モードと同様に、照明光として狭帯域光N1と蛍光FLとからなる白色光(N1+FL)が観察部位に照射される。第2光源モジュール32が点灯すると、白色光(N1+FL)に、狭帯域光N2が追加されて、これらが照明光として観察部位に照射される。
通常観察モードと同様に、白色光に狭帯域光N2が追加された照明光は、撮像素子44のB,G,Rのマイクロカラーフイルタで分光される。撮像素子44において、B画素は、狭帯域光N1に加えて、狭帯域光N2を受光する。G画素は、蛍光FLのG成分を受光する。R画素は、蛍光FLのR成分を受光する。血管強調観察モードにおいても、撮像素子44は、読み出しタイミングに合わせて、画像信号B、G、Rをフレームレートに従って順次出力する。こうした撮像動作は、血管強調観察モードに設定されている間、繰り返される。
酸素飽和度観察モードにおいては、図8(C)に示すように、蓄積タイミングに合わせて第1光源モジュール31が点灯する。第1光源モジュール31が点灯すると、通常観察モードと同様に、白色光(N1+FL)が観察部位に照射される。次のフレームにおいては、第1光源モジュール31が消灯して、第3光源モジュール33が点灯して、狭帯域光N3が観察部位に照射される。酸素飽和度観察モードにおいても、撮像素子44は、読み出しタイミングに合わせて、画像信号B、G、Rをフレームレートに従って順次出力する。
ただし、酸素飽和度観察モードでは、通常観察モードや血管強調観察モードと異なり、白色光(N1+FL)と狭帯域光N3が交互に照射されるので、最初のフレームで白色光に対応する画像信号B、G、Rが出力され、次のフレームでは狭帯域光N3に対応する画像信号B、G、Rが出力されるというように、各照明光に対応して画像信号B、G、Rが担持する情報も1フレームおきに変化する。こうした撮像動作は、血管強調観察モードに設定されている間、繰り返される。
図3において、AFE45は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、撮像素子44からのアナログの画像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、信号電荷のリセットに起因するノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された画像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された画像信号を、所定のビット数に応じた階調値を持つデジタルな画像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
撮像制御部46は、プロセッサ装置12内のコントローラ56に接続されており、コントローラ56から入力されるベースクロック信号に同期して、撮像素子44に対して駆動信号を入力する。撮像素子44は、撮像制御部46からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで画像信号をAFE45に出力する。
プロセッサ装置12は、コントローラ56の他、DSP(Digital Signal Processor)57、画像処理部58と、フレームメモリ59と、表示制御回路60を備えている。コントローラ56は、CPU、制御プログラムや制御に必要な設定データを記憶するROM、プログラムをロードして作業メモリとして機能するRAMなどからなり、CPUが制御プログラムを実行することにより、プロセッサ装置12の各部を制御する。
DSP57は、撮像素子44が出力する画像信号を取得する。DSP57は、B、G、Rの各画素に対応する信号が混在した画像信号を、B、G、Rの画像信号に分離し、各色の画像信号に対して画素補間処理を行う。この他、DSP57は、ガンマ補正や、B、G、Rの各画像信号に対してホワイトバランス補正などの信号処理を施す。
フレームメモリ59は、DSP57が出力する画像データや、画像処理部58が処理した処理済みのデータを記憶する。表示制御回路60は、フレームメモリ59から画像処理済みの画像データを読み出して、コンポジット信号やコンポーネント信号などのビデオ信号に変換してモニタ14に出力する。
図9(A)に示すように、通常観察モードにおいては、画像処理部58は、DSP57によってB、G、Rの各色に色分離された画像信号B、G、Rに基づいて、通常観察用の表示画像を生成する。表示画像が、観察画像としてモニタ14に出力される。画像処理部58は、フレームメモリ59内の画像信号B、G、Rが更新される毎に、表示画像を更新する。
図9(B)に示すように、血管強調観察モードにおいては、画像処理部58は、画像信号B、G、Rに基づいて、血管強調観察用の表示画像を生成する。血管強調観察モードにおける画像信号Bには、白色光のB成分(狭帯域光N1と蛍光FLの一部を含む)に加えて、狭帯域光N2の情報が含まれているため、表層血管が高コントラストで描出される。癌などの病変においては、正常組織と比較して、表層血管の密集度が高くなる傾向があるなど血管のパターンに特徴があるため、腫瘍の良悪鑑別を目的とする血管強調観察においては、表層血管が鮮明に描出されることが好ましい。
また、より表層血管を強調する場合には、例えば、画像信号Bに基づいて表層血管の領域を抽出して、抽出した領域に対して輪郭強調処理などを施す。そして、輪郭強調処理が施された画像信号Bを、画像信号B、G、Rから生成したフルカラー画像に合成する。こうすることで、より表層血管が強調される。表層血管に加えて中深層血管に対しても同様の処理を行ってもよい。中深層血管を強調する場合には、中深層血管の情報が多く含まれている画像信号Gから中深層血管の領域を抽出して、抽出した領域に対して輪郭強調処理を施して、強調処理済みの画像信号Gを、画像信号B、G、Rから生成したフルカラー画像に合成する。
血管強調観察用の表示画像は、通常観察用と同様に、三色の画像信号B、G、Rに基づいて生成されるため観察部位をフルカラーで表示することが可能となるが、血管強調観察モードにおける画像信号Bは、通常観察モードにおける画像信号Bと比較すると、青色の濃度が高い。そのため、血管強調観察用の表示画像を生成する場合には、通常観察用の表示画像と同様の色味になるように色補正を行ってもよい。画像処理部58は、フレームメモリ59内の画像信号B、G、Rが更新される毎に、血管強調観察用の表示画像を生成する。
なお、血管強調観察用の表示画像を生成する方式としては、画像信号Rを使わずに、画像信号B、Gの二色のみで生成して、画像信号Bをモニタ14のBチャンネル及びGチャンネルに、画像信号Gに対応する信号をモニタ14のRチャンネルに割り当てる方式など、観察部位を疑似カラーで表示する方式を採用してもよい。
図9(C)に示すように、酸素飽和度観察モードにおいては、画像処理部58は、白色光のもとで取得された画像信号G1、R1と、狭帯域光N3のもとで取得された画像信号B2に基づいて、酸素飽和度算出処理を行う。画像信号B2の画素値には、酸素飽和度に加えて血液量(濃度)の情報も含まれている。より正確に酸素飽和度を求めるためには、画像信号B2の画素値から血液量の情報を分離する必要がある。画像処理部58は、血液量に対して高い相関を示す画像信号Rを利用して、画像信号Bとの間で画像間演算を行って、酸素飽和度と血液量の情報を分離する。
具体的には、画像処理部58は、各画像信号B2、G1、R1の同じ位置の画素値を照合して、画像信号B2の画素値と画像信号G1の画素値の信号比B/Gと、画像信号R1の画素値と画像信号G1の画素値の信号比R/Gを求める。画像信号G1は、画像信号B2と画像信号R1の画素値を規格化するために、観察部位の明るさレベルを表す参照信号として用いられる。そして、予め作成された、信号比B/G及びR/Gと酸素飽和度及び血液量との相関関係を記憶したテーブルに基づいて、血液量の情報が分離された、酸素飽和度を算出する。そして、画像信号B1、G1、R1に基づいて生成されるフルカラー画像に対して、算出した酸素飽和度の値に応じた色変換を行って、酸素飽和度観察用の表示画像を生成する。
図10において、光源装置13に設けられる分岐型ライトガイド41は、内視鏡11のライトガイド43と同様に、複数本の光ファイバをバンドル化したファイババンドルである。分岐型ライトガイド41は、出射端41eにおいて全ての光ファイバが1つに束ねられており、入射端に向かう途中で全ての光ファイバを4つに分割して、分割された各光ファイバをそれぞれ束ねることで複数の分岐部41a〜41dが形成される。
分岐部41a、41bと分岐部41c、41dは、光ファイバを束ねる本数を変えることで太さが変えられており、それぞれの直径はD1、D2となっている。分岐部41a、41bの直径D1の方が、分岐部41c、41dの直径D2よりも太い。このように太さが違う理由は、1つには、分岐部41a、41bと対向する第1光源モジュール31が蛍光体36を使用しているため、蛍光体36を使用しない第2光源モジュール32、33と比較して、発光するビームの直径が大きくなるためである。もう1つの理由は、第1光源モジュール31は通常観察用の白色光を発光するので、特殊光観察用の第2光源モジュール32、33よりも大きな光量を確保するためである。
具体的な寸法は、内視鏡11のライトガイド43の直径が約2mm程度であり、分岐型ライトガイド41の出射端41eの直径もそれに合わせて約2mm程度である。分岐部41a、41bの直径D1は、約1.0〜1.4mm程度であり、分岐部41c、41dの直径D2は、約0.5〜0.8mm程度である。
分岐型ライトガイド41の出射端41eにはホモジナイザ50が設けられている。ホモジナイザ50は、内視鏡11のライトガイド43の前段において、第1〜第3の光源モジュール31〜33が発し、出射端41eが出射する各色の光の光量分布を均一化するものである。ホモジナイザ50は、透明ガラスなどの透明材料で形成され、光軸と直交する断面形状が円形の柱状体であり、入射端50aから入射した光を、空気との界面となる内部側面50bで全反射させながら光軸方向に伝播して出射端50cから出射する。
図11に示すように、分岐型ライトガイド41は、例えば、出射端41eにおいて二点鎖線で区画された各領域a〜dに一端が位置する光ファイバが、それぞれ各分岐部41a〜41dに割り当てられており、出射端41eにおいて各分岐部41a〜41dに対応するそれぞれの光ファイバが居所的に偏在している。分岐部41a〜41dから入射した光は、それぞれの光ファイバ内で伝播され、当然ながら光ファイバ間で伝播は無い。そのため、出射端41eにおいては、左上、右上の領域a、bから第1光源モジュール31が発する白色光が出射し、領域cから第2光源モジュール32が発する狭帯域光N2が出射し、領域dから第3光源モジュール33が発する狭帯域光N3が出射するというように、各色の光が偏在することになる。そのため、出射端41eから出射するビームの断面内においては、各色の光量分布が不均一になる。
図12に示すように、ホモジナイザ50は、入射端50aの端面から入射した光を側面50bで全反射させながら光を光軸方向に伝播するため、光軸と直交する断面内において光の入射位置と出射位置が変化する。こうした作用により、分岐型ライトガイド41の出射端41eにおける各色の光の偏在が解消されて、ライトガイド43に入射する入射ビームの断面内において各色の光の光量分布が均一化される。ホモジナイザ50と出射端41eは、端面同士を突き当てて熱融着されて一体化される。
図13及び図14に示すように、第1光源モジュール31は、レーザモジュール61と、蛍光部62と、レーザモジュール61の光を蛍光部62に導光する単線の光ファイバ63と、蛍光部62の先端に取り付けられる発散角補正部64とを備えている。レーザモジュール61は、レーザダイオードLD1を有する発光素子66と、発光素子66を収容するケース67とを備えており、ケース67には光ファイバ63の一端を接続する接続部67aが設けられ、ケース67内に集光レンズ68が内蔵された、いわゆるレセプタクル型のモジュールである。
発光素子66は、支持体となる円板状のステム66aの一面に半導体チップであるレーザダイオードLD1が取り付けられて、樹脂製の円筒状の透明キャップ66bでレーザダイオードLD1を覆ったものである。ステム66aの裏面からは、リード線66cが延びている。
レーザダイオードLD1は、P型半導体からなるP層とN型半導体からなるN層が活性層を挟んで接合された半導体チップであり、レーザ発振により活性層からレーザ光を発する。レーザ光は直進性が高いが、ビーム形状が発光点から略円錐状に広がる発散光である。レーザ光は集光レンズ68によって光ファイバ63の入射端に集光される。
光ファイバ63の出射端は、蛍光部62に接続される。蛍光部62は、遮光性を有する円筒状の保護ケース62a内に蛍光体36を充填したものである。蛍光体36の中心には、光ファイバ63が挿入される挿通孔が形成されている。光ファイバ63は、その端部に接続用のフェルール(図示せず)が取り付けられた状態で蛍光体36に挿入される。
蛍光体36は、粉末状の蛍光材料を、樹脂材料からなるバインダに分散して固めたものである。蛍光材料は分散されているため、励起された蛍光FLの発光点は、蛍光体36の出射端面の全域となる。また、蛍光体36を透過するレーザ光もバインダの光拡散作用により蛍光体36内で拡散するため、出射端面の全域が発光点となる。
蛍光体36から発する光は、レーザダイオードLD1と同様に、発光点から略円錐状に広がる発散光であるが、レーザダイオードLD1と比較すると、発光点の面積及びビームの発散角が大きい。
蛍光部62の前方には、蛍光体36の出射端面36aから発する光の発散角を補正する発散角補正部64が設けられている。発散角補正部64は、遮光性の材料で形成された円筒形状をしており、蛍光体36が発する発散光の広がりを規制して発散角を小さくする。また、発散角補正部64は、内壁面64aに反射材がコーティングされることにより鏡面が形成されたリフレクタである。そのため、光を内壁面64aで鏡面反射させながら光軸方向に伝播する。内壁面64aを鏡面にすることで光の吸収を減らしているため、光伝達損失が少ない。
発散角補正部64は、分岐部41a、41bの直径D1を考慮して、直径や光軸に対する傾斜角が設定されており、直径や傾斜角は、第1光源モジュール31から分岐部41a、41bに入射するビームのスポット径が分岐部41a、41bの直径D1とほぼ一致するように、設定される。
また、発散角は、分岐型ライトガイド41や内視鏡11のライトガイド43などのファイババンドルの素線となる光ファイバのNA(開口数:Numerical Aperture)に合わせて設定される。周知のように、光ファイバは、屈折率の高いコアと、コアの周囲に配された、屈折率が低いクラッドとからなり、光ファイバの入射端から入射した入射光は、コアとクラッドの境界において全反射しながら光軸方向に伝播する。光を伝播させるためには、全反射条件を満たす入射角で、光ファイバの入射端に光を入射させることが必要である。
NAは、光ファイバがどれだけ光を集めることができるかを表す指標であり、最大受光角θmaxのsinで定義される(NA=sinθmax)。最大受光角θmaxが大きいほどNAの値は大きい。光ファイバに入射する入射光線の入射角が最大受光角θmax以下であれば、光ファイバ内においてコアとクラッドの境界で全反射が生じるため、入射光線は光軸方向に伝播して導光される。入射角が最大受光角θmaxを越えると、全反射せずに透過してしまうため、導光されない。導光されない入射光線は光伝達損失となる。光伝達損失を低減するために、発散角補正部64は、第1光源モジュール31のビームの発散角を、最大受光角θmax以下に規制する。
図15に示すように、第2光源モジュール32は、発光素子71と、発散角補正部72とを有する。発光素子71は、レーザダイオードLD2を備えており、その形態は、第1光源モジュール31の発光素子66と同様である。発散角補正部72は、ホモジナイザ73と、半球レンズ74とを有する。ホモジナイザ73は、サイズは異なるものの、機能的には第1光源モジュール31のホモジナイザ50と同様の光学素子であり、石英などの透明材料で形成された柱状体である導光ロッドからなり、ライトパイプ、ライトトンネルなどとも呼ばれる。ホモジナイザ73は、長手方向が光軸と一致している。ホモジナイザ73は、光軸と直交する断面形状が、例えば円形であり、全体形状が円柱形の導光ロッドである。
ホモジナイザ73は、レーザダイオードLD2のビームが入射する入射端73aと、ビームが出射する出射端73cと、入射端73aから出射端73cに向けて長手方向(光軸方向)に延びる側面部73bとを有している。ホモジナイザ73は、入射端73aから出射端73cまで、光軸と直交する方向の径は一定であり、側面部73bは光軸と平行である。ホモジナイザ73の入射端73aの端面と発光素子71の先端面は熱融着されており、ホモジナイザ73と発光素子71は一体化されている。熱融着により一体化されているため、各部が一体化されておらず各部の間に空気が介在している場合と比較して、その光路中において空気との境界面が少ない。ホモジナイザ73の具体的な寸法は、分岐部41cの直径D2の寸法とほぼ同様であり、例えば、約1.0mm程度である。
図16に示すように、ホモジナイザ73は、入射端73の端面から入射したビームを側面部73bの内面で全反射させながら光軸方向に伝播させる。そのため、入射端73aの端面において光軸付近から入射した光線が、出射端73cにおいては光軸から離れた周辺から出射するというように、光軸と直交する径方向の断面内においてビームに含まれる光線の入射位置と出射位置は変化する。これは、ホモジナイザ73の内部において、入射するビームに含まれる光線が径方向において分散することを意味する。これにより、ホモジナイザ73の出射端73cからは、その径方向において照度が均一なフラットな照度分布を持つビームが出射される。
なお、ホモジナイザ73は径が一定であるのでビームの導光過程において発散角は保存される。つまり、入射したビームに含まれる各光線が側面部73bの内面で反射する反射角θ0の大きさは、入射端73aの端面に入射する各光線の入射角で決まり、出射端73bに至るまで反射角θ0は一定である。
半球レンズ74は、ホモジナイザ73の出射端73cの直後に配置されている。半球レンズ74は、レンズ面の一方の面が平面で他方の面が半球面で形成された凸レンズであり、半球面がホモジナイザ73の出射端73cと対向するように配置されている。半球レンズ74の直径は、例えば、ホモジナイザ73の径の約1.5倍であり、ホモジナイザ73の径が約1mmの場合には、約1.5mmである。半球レンズ74は、入射した光線を屈折させることにより、入射前のビームの発散角β1から出射後の発散角β2に、ビームの発散角を広げる。
図17を参照しながら、ホモジナイザ73と半球レンズ74の作用についてより具体的に説明する。図17は、第2光源モジュール32において、ホモジナイザ73の入射前(図16におけるA1)におけるレーザダイオードLD2のビームの強度分布及び照度分布、ホモジナイザ73の出射後、半球レンズ74への入射前(図16におけるB1)のビームの強度分布及び照度分布、半球レンズ74の出射後(図16におけるC1)における強度分布を示すシミュレーション結果である。なお、図17に示すシミュレーション結果は、ホモジナイザ73及び半球レンズ74の径を実寸の約2倍に設定してシミュレーションを行っている。
図17において、左の列のグラフは各点A1〜C1におけるビームの強度分布を表すグラフであり、図46に示したグラフと同様に、横軸に放射角度θi、縦軸に強度Iをとったグラフである。上述のとおり、強度Iは、単位立体角(ステラジアン:sr)当たりの放射束(lumen)であり、単位はlumen/srである。右の列のグラフは点A1、B1における強度分布に基づいて計算された、点A1、B1点における照度分布であり、横軸に、光軸位置を基準(0)としたときの光軸と直交する径方向の位置(単位はミリ)、縦軸に照度Eをとったグラフである。ここで、照度Eは、単位面積当たりに照射された放射束であり、単位はlumen/m2である。
A1におけるレーザダイオードLD2のビームの強度分布は、図46に示したグラフと同じであり、山形の頂点付近から強度Iが急激に落ち込む急峻な傾斜を持つガウシアン型の分布となる。A1における照度分布も、強度分布を反映して、同様なガウシアン型の分布となる。
A1における照度分布に示すように、レーザダイオードLD2のビームは頂点付近の中心光量は高いがそれに比べて周辺光量が低い。ホモジナイザ73は、上述の分散作用によって、レーザダイオードLD2の周辺光量を上げる役割を果たす。B1における照度分布に示すように、ホモジナイザ73の出射端73cからは、径方向において照度が一様なトップハット型の照度分布を持つビームが出射される。
ただし、ホモジナイザ73は径が一定であるのでビームの導光過程において発散角は保存される。そのため、B1における強度分布は、ホモジナイザ73への入射前のA1における強度分布と同じである。つまり、ホモジナイザ73は、ビームの強度分布を変えずに、ビームの発光面積を径方向に広げて照度を均一にする。これにより、入射前と比較して、中心光量に対する周辺光量が相対的に増加する。
このように、ホモジナイザ73の作用により、周辺光量が増加したトップハット型の照度分布を持つビームが半球レンズ74に入射する。半球レンズ74は、光軸位置に入射した光線は直進させるが、径方向の周辺に入射した光線を屈折させる。半球レンズ74は、レンズの曲率が一定であるため、半球レンズ74の入射位置が周辺に行くほど(光軸からの径方向の距離である入射高さが高いほど)、屈折が強い(光線が大きく曲げられる)。半球レンズ74に入射した光線は、屈折が強いほど、出射後において放射強度θiが大きな高角成分になる。つまり、半球レンズ74の周辺に入射する周辺光量が多いほど出射後において高角成分は増加する。第2光源モジュール32においては、ホモジナイザ73の作用によって周辺光量を増加させているため、C1における強度分布に示すように、半球レンズ74に入射する前のB1におけるガウシアン型の強度分布と比較して、高角成分が増加したトップハット型に近い強度分布が得られる。
C1における強度分布に示すように、高角成分が増加したため、発散角β2は半値半幅で約30°(半値全幅で約60°)に拡大される。
第2光源モジュール32において、発散角補正部72の補正量は、発散角β2が、第1光源モジュール31が出射する発散角αとほぼ一致するように設定される。具体的には、目標とする補正量が得られるように、半球レンズ74の曲率及び直径が決められる。
発散角は、分岐型ライトガイド41、ホモジナイザ50及び内視鏡11のライトガイド43での導光過程においても保存される。そのため、図18に示すように、ライトガイド43の1本1本の光ファイバ81が出射する、第1光源モジュール31の光の発散角αと、第2光源モジュール32の光の発散角β(図16におけるβ2)を一致させることで、観察部位SBにおける、第1光源モジュール31の光の照射スポット径SDαと、第2光源モジュール32の光の照射スポット径SDβを同じにすることができる。照射スポット径SDα、SDβが一致していないと、両者の重なり方にムラが生じるため、色ムラの原因となる。発散角補正部72により、発散角βを発散角αと一致させることにより、照射スポット径SDα、SDβを一致させることができるため、上記色ムラが防止される。
第3光源モジュール33については、第2光源モジュール32の発光素子71の代わりに、レーザダイオードLD3(図3参照)を有する発光素子76(図10参照)を備えている点を除いて、第2光源モジュール32と同様の構成を有する。発散角補正部72については、同様の構成及び作用を有するため、説明を省略する。
以下、上記構成による作用について説明する。内視鏡診断を行う場合には、内視鏡11をプロセッサ装置12と光源装置13に接続し、プロセッサ装置12と光源装置13の電源を入れて、内視鏡システム10を起動する。
内視鏡11の挿入部16を被検者の消化管内に挿入して、消化管内の観察が開始される。通常観察モードでは、図8(A)に示すように、第1光源モジュール31が点灯して、レーザダイオードLD1が発する狭帯域光N1と、蛍光体36が発する蛍光FLとが混合された白色光が観察部位に照射される。
図10に示すように、第1光源モジュール31が発する白色光は、分岐型ライトガイド41の各分岐部41a、41bに入射する。図11に示すように、各分岐部41a、41bから導光された白色光は、出射端41eの端面において偏在しているが、図12に示すように、ホモジナイザ50によって光量分布が均一化される。これにより、ビームの断面において光量ムラの無い白色光が、内視鏡11のライトガイド43に入射する。白色光は、ライトガイド43を通じて照明窓22から消化管内の観察部位に照射される。
図8(A)及び図9(A)に示すように、白色光(N1+FL)を照射中に撮像素子44によって観察部位が撮像されて、DSP57によってB、G、Rの画像信号が生成される。通常観察モードにおいては、画像処理部58は、B、G、Rの画像信号に基づいて、通常観察用の表示画像を生成する。表示制御回路60は、通常観察用の表示画像をビデオ信号に変換してモニタ14に表示する。通常観察モードにおいては、こうした処理が繰り返される。
血管強調観察を行う場合には、コンソール15によってモード切り換え操作が行われて、プロセッサ装置12が血管強調観察モードに設定される。
血管強調観察モードでは、図8(B)に示すように、第1光源モジュール31に加えて、第2光源モジュール32が点灯して、白色光(N1+FL)と狭帯域光N2が観察部位に照射される。レーザダイオードLD2が発する狭帯域光N2のビームは、図16及び図17に示すように、ホモジナイザ73の作用によりトップハット型のフラットな照度分布(B1における照度分布)に変換された後、半球レンズ74の作用によって、発散角が広げられる(C1における強度分布参照)。これにより、第2光源モジュール32の狹帯域光N2の発散角は、第1光源モジュール31が発する白色光の発散角と一致する。この後、狹帯域光N2のビームは、分岐型ライトガイド41の分岐部41cに入射する。
白色光及び狭帯域光N2は、それぞれ、分岐型ライトガイド41の分岐部41a、41b、41cに入射して、出射端41eに導光されて、ホモジナイザ50に入射する。そして、白色光及び狭帯域光N2は、ホモジナイザ50で光量分布が均一化された後、内視鏡11のライトガイド43に供給される。白色光及び狭帯域光N2は、ライトガイド43を通じて照明窓22から消化管内の観察部位に照射される。
図8(B)及び図9(B)に示すように、白色光(N1+FL)及び狭帯域光N2を照射中に撮像素子44によって観察部位が撮像されて、DSP57によってB、G、Rの画像信号が生成される。血管強調観察モードにおいては通常観察モードと同様に、画像処理部58は、B、G、Rの画像信号に基づいて、血管強調観察用の表示画像を生成する。表示制御回路60は、血管強調観察用の表示画像をビデオ信号に変換してモニタ14に表示する。血管強調観察モードにおいては、こうした処理が繰り返される。血管強調観察モードでは、画像信号Bに、白色光のB成分に加えて、狭帯域光N2が含まれているので、観察画像において表層血管が高コントラストで描出される。
血管強調観察モードでは、第1及び第2光源モジュール31、32が発する白色光と狭帯域光N2が用いられるが、各光源モジュール31、32は、発散角補正部64、72によってそれぞれの発散角がほぼ一致するように補正される。これにより、図18に示すように、観察部位SBに照射される、白色光及び狭帯域光N2の照射スポットの全域が重なるため色ムラが低減される。
また、第1光源モジュール31を点灯させずに、第2光源モジュール32だけを単独で点灯させる場合においても、発散角補正部72によって発散角が拡大されることにより、発散角補正部72を使用しない場合と比べて、狹帯域光N2の照射スポットが広がって大きな視野を確保することができる。また、発散角が拡大されることにより、照射スポット内における中心と周辺の光量差が低減されるため、視認性の高い観察画像が得られる。
酸素飽和度観察を行う場合には、コンソール15からモード切り換え操作が行われて、プロセッサ装置12の動作モードが酸素飽和度観察モードに設定される。
酸素飽和度観察モードでは、図8(C)に示すように、第1光源モジュール31と、第3光源モジュール33が1フレーム毎に交互に点灯し、白色光(N1+FL)と、狭帯域光N3が交互に観察部位に照射される。
補正後の白色光及び狭帯域光N3は、それぞれの照射タイミングにおいて、分岐型ライトガイド41の分岐部41a、41b、41dに入射して、出射端41eに導光されてホモジナイザ50に入射する。そして、白色光及び狭帯域光N3は、ホモジナイザ50で光量分布が均一化された後、内視鏡11のライトガイド43に供給される。白色光及び狭帯域光N3は、ライトガイド43を通じて照明窓22から消化管内の観察部位に順次照射される。
図8(C)及び図9(C)に示すように、撮像素子44は、白色光(N1+FL)及び狭帯域光N3に対応する画像信号をDSP57に順次出力する。DSP57は、白色光の元で取得した画像信号に基づいて、B1、G1、R1の各色の画像信号を生成して、狭帯域光N3の元で取得した画像信号に基づいて、B2の画像信号を生成する。画像処理部58は、画像信号B2、G1、R1の画像間演算を行うことにより、血液量の情報が分離された、酸素飽和度を算出する。そして、画像信号B1、G1、R1に基づいて生成されるフルカラー画像に対して、算出した酸素飽和度の値に応じた色変換を行って、酸素飽和度観察用の表示画像を生成する。
このように酸素飽和度観察モードでは、第1及び第3光源モジュール31、33が用いられる。第3光源モジュール33は、第2光源モジュール32と同様に、発散角補正部72によって狭帯域光N3の発散角が広げられる。そのため、各光源モジュール31、33が発する白色光及び狭帯域光N3は、照射スポットの大きさが一致するため、観察画像における色ムラは生じない。また、酸素飽和度観察モードにおいては、血管強調観察モードと異なり、白色光と狭帯域光N3に対応する画像信号は面順次で取得されるが、それぞれの画像信号に基づいて画像間演算が行われるため、白色光と狭帯域光N3の色ムラを解消することで、画像間演算の信頼性も向上する。
以上説明したように、本発明では、発散角補正部72によって、レーザダイオードの発散角を広げている。発散角補正部72は、半球レンズ74と半球レンズ74に入射させる前段に配置されるホモジナイザ73とで構成されるが、光線を屈折させる半球レンズ74に加えてホモジナイザ73が必要な理由について、以下に、比較例1を示す図19及び図20を参照しながら説明する。
図19において、比較例の第2光源モジュール200は、ホモジナイザ73の代わりに、平凸レンズ201を設けている点で、本発明の第2光源モジュール32と異なる。他の構成は同様であるので、同一部材には同一符号を示して説明を省略する。
図20において、左の列は、図19における各点A2〜C2におけるビームの強度分布を示すグラフである。右の列は、各点A2及びB2におけるビームの照度分布を示すグラフである。図20において、A2における強度分布及び照度分布は、図17におけるA1における強度分布及び照度分布と同じである。
平凸レンズ201は、半球レンズ74と同じ径であり、レーザダイオードLD2のビームをコリメート(平行光化)するためのレンズである。平凸レンズ201を出射後のビームは、図20のB2における強度分布に示すように、光線がコリメートされるため発散角はほぼ0°になる。平凸レンズ201は、ホモジナイザ73のように光線を径方向に分散させる機能は無いため、B2における照度分布に示すように、光線がコリメートされても、照度分布はフラットにはならず、入射する前のA2における照度分布と同様に、照度のピークを示す中心光量と周辺光量の差が大きなガウシアン型の分布のままである。
平凸レンズ201を出射したビームは、半球レンズ74に入射するが、入射するビームはガウシアン型の照度分布なので、半球レンズ74に入射する光量は、光軸付近では高いが周辺では低い。上述のとおり、半球レンズ74は、光軸に入射した光線は直進させ、周辺に入射した光線を屈折させる。そして、周辺に入射した光線が、発散角の拡大に寄与する、出射後の強度分布における高角成分となる。
比較例1の第2光源モジュール200は、本発明の第2光源モジュール32と比較して、半球レンズ74に入射する周辺光量が少ないため出射後の高角成分の増加が少ない。C2における強度分布に示すように、第2光源モジュール200においては、半球レンズ74の出射後におけるビームの発散角β2は約14°であり、本発明の第1光源モジュール32と比較して、半球レンズ74による発散角拡大効果は小さい。また、C2における強度分布は、図17のC1における照度分布と比較して明らかなように、依然としてガウシアン型の分布に近い。ガウシアン型の強度分布のビームでは、照射スポットにおいて中心と周辺の光量差を低減することができないため、比較例1の第2光源モジュール200では、光量差を低減するという本発明の効果を得ることができない。
なお、第2光源モジュール200について、半球レンズ74と平凸レンズ201の2枚構成のレンズ群を使用した例で説明しているが、両者の機能を1枚で実現するレンズを用いても、結果は同じである。
本発明は、レーザダイオードLD2のようにガウシアン型の照度分布を有するビームの発散角を拡大する場合において、半球レンズ74に入射させる前段において、ホモジナイザ73によって照度分布をトップハット型に変換して周辺光量を増加させているため、半球レンズ74によって効果的に発散角を拡大させることができる。このため、発散角補正後の強度分布は、図17のC1における強度分布のようにトップハット型に近い分布となるため、照射スポットにおける中心と周辺の光量差を低減することができる。
なお、本発明では、半球レンズ74の前段にホモジナイザ73を配置しているが、両者の位置関係は重要であり、両者を逆に配置しても効果は無い。この点について、図21及び22を参照しながら説明する。
図21において、第2光源モジュール210は、ホモジナイザ73を、比較例1の半球レンズ74及び平凸レンズ201を有するレンズ群の後段に配置した比較例2である。第2光源モジュール210を構成する個々の部材の説明は、第2光源モジュール32、200において説明済みなので省略する。
図22において、左の列は、図21における各点A3〜C3におけるビームの強度分布を示すグラフである。右の列は、各点A3及びB3におけるビームの照度分布を示すグラフである。図21において、A3における強度分布及び照度分布は、図17のA1及び図20のA2における強度分布及び照度分布と同じである。また、B3における強度分布は、図20のC2における強度分布と同じである。B3における照度分布は、A3における照度分布とほぼ同じである。理由は、上述のとおり、平凸レンズ201や半球レンズ74は、ホモジナイザ73のように入射した光線を径方向に分散する機能は持たないからである。
第2光源モジュール210では、B3の照度分布を有するビームがホモジナイザ73に入射する。ホモジナイザ73の導光過程においては、ビームの発散角は保存されるので、入射前後において強度分布に変化は無い。そのため、C3における強度分布は、B3と同様になる。したがって、比較例2の第2光源モジュール210も、比較例1の第2光源モジュール200と同様に、本発明の効果は得られない。
本例においては、ホモジナイザ73は、その径が長手方向において一定である例で説明しているが、長手方向において変化させてもよい。例えば、ホモジナイザ73を、入射端73aの径よりも出射端73cの径が細くなるように、側面部73bにテーパを付けて、ホモジナイザ73の全体形状を先細形状にしてもよい。こうすると、図16における反射角θ0は、ホモジナイザ73内を伝播する光線が側面部73bの内面における反射を繰り返す毎に小さくなる。これは、ビームの発散角βが大きくなることを意味する。このようにホモジナイザ73にテーパを付けることで、半球レンズ74に加えて、ホモジナイザ73自体に発散角拡大機能を付与することができる。
しかしながら、レーザビームのようにビーム径が小さいビームの発散角を拡大する場合には、ホモジナイザ73の径も非常に細くなる。細径のホモジナイザ73に対してテーパを付けることは、製造上の難易度が高い。そのため、製造適性を考慮すると、本例で示したように、ホモジナイザ73の径は、長手方向において一定であることが好ましい。製造が容易であれば、その分部品コストも安くて済むため、コスト的なメリットが大きい。
また、本例において、半球レンズ74は、焦点距離が短い短焦点レンズであることが好ましい。焦点距離が短い(曲率半径が小さい)ほど、レンズ出射後における光線の出射角の最大値は大きくなるので、より大きな発散角拡大効果を得るためには、焦点距離が短いほどよい。本例の半球レンズ74としては、図17のB1、C1における強度分布に示すように、半値半幅が約10°のレーザビームの発散角β1を、半値半幅を約20°拡大して、出射ビームの発散角β2を約30°にする短焦点レンズの例で示している。内視鏡の照明光に必要な発散角を考慮すると、内視鏡の短焦点レンズとしては、レーザビームの発散角β1を、少なくとも半値半幅で約10°以上拡大できる短焦点レンズが好ましい。
また、短焦点レンズを使うと、図23に示すように、半球レンズ74の出射面から分岐部41cの入射面までの間隔Kを短くできるというメリットもある。半球レンズ74を出射したビームは、ビーム径が最小になるビームウエストWに集束した後、発散して分岐部41cに入射する。分岐部41cはファイババンドルであるため、バンドルの素線となるすべての光ファイバに光線を入射させるためには、分岐部41cへの入射時点での出射ビームのスポット径は、分岐部41cの直径D2と同程度になることが好ましい。焦点距離が短いほど、半球レンズ74の出射面からビームウエストWまでの距離が短くなるので、間隔Kも短くすることができる。
また、ホモジナイザ73の直径Dhは、半球レンズ74の直径Dr以下に設定されることが好ましい。というのは、直径Dhが、半球レンズ74の直径Drよりも大きいと、ホモジナイザ73が出射するビームのうち、半球レンズ74に入射しないビームが発生して光損失が生じるからである。上述したとおり、本例においては、半球レンズ74の直径Drは、ホモジナイザ73の直径Dhの約1.5倍であり、ホモジナイザ73の直径Dhは半球レンズ74の直径Dr以下である。こうすることで、光損失が防止される。
さらに、発散角拡大効果を考慮すると、半球レンズ74の直径Drとホモジナイザ73の直径Dhは、ほぼ同じであることが好ましい。上述したとおり、半球レンズ74は、径方向において光軸から離れた周辺ほど屈折力が大きく、周辺に入射する周辺光量が多いほど高角成分が増加する。ホモジナイザ73の出射端73cと、半球レンズ74の入射面は近接して配置されるため、ホモジナイザ73の直径Dhが、半球レンズ74の直径Drに近づくほど、半球レンズ74に入射する周辺光量は増加する。ホモジナイザ73の直径Dhが半球レンズ74の直径Drと等しいときに、周辺光量は最大となるので、高角成分も最大となる。これにより、発散角拡大効果も最大となる。したがって、発散角拡大効果を考慮すると、直径Drと直径Dhは、ほぼ同じであることが好ましい。
上記例においては、発散角補正部72を構成するレンズとして、半球レンズ74を使用しているが、レンズ面は半球面でなくてもよく、半球レンズ74よりも曲率半径が大きな球面レンズでもよい。また、レンズ面は完全な球面でなくてもよく、目標とする発散角拡大効果が得られるのであれば、非球面レンズを使用してもよい。
「第2実施形態」
図24に示す第2実施形態の第2光源モジュール101は、発散角補正部102に、発散角拡大機能に加えて、レーザダイオードLDが発するビームの断面形状を整形するビーム整形機能を付与したものである。具体的には、発散角補正部102を構成するホモジナイザ103の断面形状を六角形にすることで、ビーム整形機能が付与される。
図25に示すように、レーザダイオードLDが発するビームBMは、光軸と直交する断面形状が略楕円形状になることが知られている。具体的には、レーザダイオードLDは、P型半導体からなるP層(P)、活性層(K)、N型半導体からなるN層(N)が積層された構造を有しており、活性層Kの発光点OPから、発散光であるビームBMを発する。活性層Kと平行な水平方向(X方向)に広がる光を発する発光点と活性層に対して垂直な垂直方向(Y方向)に広がる光を発する発光点との間には、光軸方向における非点隔差ΔAsがあるため、レーザダイオードLDのビームBMの断面形状は、Y方向に長い縦長の略楕円形状になる。
第1実施形態においては簡略的に示したが(図17参照)、レーザダイオードLDのビームの強度分布は、断面形状が略楕円形をしているため、より正確には図26に示すように、強度分布は異方性を有しており、X方向(点線で示す)とY方向(実線で示す)で強度分布が異なる。強度分布が異なるため、X方向とY方向で発散角も異なり、ホモジナイザ103に入射する入射ビームは、Y方向の発散角θyinがX方向の発散角θxinよりも大きい。例えば、発散角θyinは約12°であり、発散角θxinは、その半分の約6°である。
ビームの断面形状が楕円形だと、観察部位における照射スポットの形状も楕円形となってしまう。照射スポットの形状は真円形が好ましいため、ビームの断面形状を真円形に整形することが好ましい。そのため、第2光源モジュール101では、発散角補正部102にビーム整形機能が付与される。
図24において、発散角補正部102は、半球レンズ74とホモジナイザ103とで構成される。第1実施形態との相違点は、ホモジナイザ103の光軸と直交する断面の形状のみであり、第1実施形態のホモジナイザ73が円形であるのに対して、第2実施形態のホモジナイザ103は、断面形状が六角形であり、全体形状が六角柱である。
他の点については、第1実施形態の第2光源モジュール31と同様である。例えば、ホモジナイザ103は、第1実施形態と同様に石英などの透明材料で形成されており、入射端103a、側面部103b、出射端103cを有する。そして、レーザダイオードLDが発するビームは、入射端103aに入射して、側面部103bの内面において全反射しながら光軸方向に伝播して、出射端73cから出射する。この導光過程において、ホモジナイザ103の径方向の照度を一様にして、入射したビームの照度分布をフラットな照度分布に変換して、半球レンズ74に入射する。
図27に示すように、ホモジナイザ103は、六角形の中心を通る光軸Aと、レーザダイオードLD2から入射する入射ビームBMinの発光中心OPがほぼ一致するように、発光素子71との相対的な位置が位置決めされている。入射ビームBMinは、例えば、長軸LAが垂直方向(Y方向)に、短軸SAが水平方向(X方向)に位置するような縦長の状態で、ホモジナイザ103に入射する。入射ビームBMinに含まれる光線は、発光中心OPから放射状に広がる。
図26に示したように、断面形状が略楕円形をしている入射ビームBMinの強度分布はX方向とY方向で異方性を有するので、長軸LA方向の発散角θyinが広く、短軸SA方向の発散角θxinが狭くなる。
また、ホモジナイザ103は、長軸LA及び短軸SAに対して、光軸A周りに角度φLだけ傾いた姿勢で配置されている。角度φLは、ホモジナイザ103の六角形の断面内において、対向する2つの辺Sの中点同士を結び、光軸Aを通る軸をA1とし、軸A1と直交し、対向する2つの頂点同士を結び、光軸Aを通る軸をA2としたときに、軸A1及び軸A2が、長軸LA及び短軸SAのそれぞれとの間で成す角度である。角度φLは、本例においては15°である。
このようにホモジナイザ103を傾けると、入射ビームBMinの長軸LA及び短軸SAの両方が、ホモジナイザ103の側面部103bの内面を構成する、六角形の各辺Sと直交しない状態となる。これにより、入射ビームBMinに含まれる光線のうち、長軸LA及び短軸SAのそれぞれと平行な長軸成分及び短軸成分の両方が、各辺Sに対して垂直以外の角度で入射することになる。このように、各辺Sに対して垂直以外の角度で入射した場合の光線の軌跡は、次のようになる。
図28、29に示すように、入射ビームBMinの光線の短軸成分をRSとすると、短軸成分RSは、発光中心OPからホモジナイザ103の入射端103aに入射する。発光中心OPと光軸Aは一致しているため、ホモジナイザ103の通る光軸A(Z方向)と直交する断面内においては、短軸成分RSは、光軸Aを基点として短軸SAと平行なX方向に放射される。そして、側面部103bの内面を構成する、六角形の一つの辺Sに入射する。ここを1回目の反射点P1として短軸成分RSは全反射する。ここで、六角形の角度φLの傾斜により、短軸成分RSは、辺Sに対して垂直以外の角度、つまり、辺Sの法線Hに対して角度φLの入射角が付いた状態で入射するため、反射点P1において反射角φLの角度で反射する。これは反射点P1での反射により短軸成分RSに対して光軸A周りで捩れが生じることを意味する。
反射点P1で反射した短軸成分RSは別の辺Sに入射して、ここが2回目の反射点P2となる。反射点P1における反射により、短軸成分RSは光軸A周りの捩れが生じているため、反射点P2においても、辺Sに対して垂直以外の角度で入射する。そして、辺Sの法線に対して0°以上の反射角で反射して、反射点P3に向かう。同様に反射点P3においても、短軸成分RSは、辺Sに対して垂直以外の角度で入射し、反射点P3においても光軸A周りの捩れが生じる。
短軸成分RSは、反射点P1〜P3のそれぞれにおいて、光軸A周りの捩れを繰り返す。そのため、図29に示す二点鎖線の円弧状の矢印に示すように、短軸成分RSは、ホモジナイザ103内を、あたかも光軸A周りを旋回しながら光軸A方向に進行することになる。このように、短軸成分RSの放射方向は、ホモジナイザ103内の導光中に変化するため、入射時点の放射方向とは、異なる方向に出射する。例えば、仮に導光中の反射点P1〜P3の3回の反射による光軸A周りの捩れ角が90°だとすると、入射時点におけるX方向と平行な短軸成分RSの放射方向が、出射時点においてはY方向と直交する成分となる。
一方、図28に示すように、短軸成分RSは、光軸Aと平行な面内においては、入射時点における発散角θxが導光中においても保存されて、発散角θxが保持された状態で出射される。これは、ホモジナイザ103は、入射端103aから出射端103cまで太さが一定であり、側面部103bが光軸と平行であるためである。
図30、31は、短軸成分RSと直交する長軸成分RLの軌跡を示している。長軸成分RLは、光軸Aと直交する断面内においては、光軸Aを基点としてY方向に放射される。そして、ホモジナイザ103に入射後の1回目の反射点P1において、角度φLの傾斜により、辺Sに対して垂直以外の角度、つまり、辺Sの法線Hに対して角度φLの入射角が付いた状態で入射する。そのため、長軸成分RLは、短軸成分RSと同様に、反射点P1での反射により光軸A周りで捩れが生じる。
これにより、長軸成分RLは、反射点P2、P3で反射を繰り返す毎に、光軸A周りの捩れを繰り返すため、図31に示す二点鎖線の円弧状の矢印に示すように、あたかも、光軸A周りを旋回しながら進行する。そのため、長軸成分RLも、短軸成分RSと同様に、その放射方向がホモジナイザ103内の導光中に変化するため、入射時点の放射方向とは、異なる方向に出射する。例えば、仮に導光中の反射点P1〜P3の3回の反射による光軸A周りの捩れ角が90°だとすると、入射時点における放射方向がY方向と平行な長軸成分RLは、出射時点においてはX方向と平行な成分となる。
一方、図30に示すように、長軸成分RLについても、短軸成分RSと同様に、光軸と平行な面内においては、入射時点における発散角θyが導光中においても保存されて、発散角θyが保持された状態で出射される。
以上の説明では、入射ビームBMinに含まれる光線のうちの短軸成分RSと長軸成分RLについて説明したが、短軸成分RSと長軸成分RLの間の中間成分の多くについても、同様に、光軸A周りの捩れが生じる。
例えば、図32に示す光線R1は、入射ビームBMinにおける放射方向が短軸成分RSと長軸成分RLとの間にある中間成分である。光線R1は、短軸成分RSや長軸成分RLと同様に、辺Sに対して垂直以外の角度で入射するため、反射点P1〜P3における反射により、光軸A周りで捩れが生じて放射方向が変化する。ただし、光線R1は、入射時点における放射方向が短軸成分RSや長軸成分RLと異なるので、1回目の反射点P1における辺Sに対する入射角は短軸成分RSや長軸成分RLと異なる。そのため、光線R1の光軸A周りの捩れ角の大きさや、捩れの向き(円弧状の矢印で示すように光線R1が光軸A周りに旋回する向き)が異なる。
また、中間成分の中にも、図33に示す光線R2のように、辺Sに対して垂直(辺Sの法線と平行)に入射する光線もある。この場合には、辺Sの法線に対する光線R2の入射角は0°であり反射点P1における反射角も0°になる。光線R2の基点は、光軸A(発光中心OP)であるため、反射角が0°の場合には、光線R2の反射点P1における反射後の軌跡も反射点P1への入射軌跡と同じ軌跡となる。そのため、光線R2は、最初に入射した辺Sとそれに対向する辺Sの2辺の間で反射を繰り返すのみとなり、光軸A周りの捩れは生じない。
このように、入射ビームBMinに含まれる光線には、ホモジナイザ103内において、光線R2のように光軸A周りの捩れが生じない光線もあるが、短軸成分RSと長軸成分RLを含むほとんどの光線が辺Sに対して垂直以外の角度で入射するため、それらの光線は、光軸A周りの捩れが生じる。また、捩れ角の大きさは様々である。これは、入射ビームBMinに含まれる各光線の放射方向が、ホモジナイザ103内の内部反射によって、光軸Aと直交する断面内において分散されることを意味する。
こうした分散作用により、図34に示すように、入射時点においては断面形状が略楕円形をした入射ビームBMinが、出射端103cから出射する出射時点の出射ビームBMoutにおいては、その断面形状が真円形に整形されることになる。
図35は、出射ビームBMoutの強度分布を、図26と同じ条件で測定したグラフである。図26に示すように、入射ビームBMinにおいては、X方向の発散角θxinが狭く、Y方向の発散角θyinが広いというように、両者に差があるが、ホモジナイザ103の作用により、出射ビームBMoutにおいては、X方向の発散角θxoutが広げられる一方、Y方向の発散角θyoutが狭められて、図35に示すように、両者がほぼ一致する。これにより、出射ビームBMoutの断面形状が略真円形に整形されていることが分かる。具体的には、入射時点において、Y方向(長軸LA方向)の発散角θyinが約12°、X方向(短軸SA方向)の発散角θxinが約6°であった入射ビームBMinが、ホモジナイザ103の整形作用により、発散角θyout=θxoutが約10°の略真円形の出射ビームBMoutに整形される。
出射ビームBMoutは、半球レンズ74に入射して発散角が広げられる。第1実施形態で述べたとおり、ホモジナイザ103は、径方向において照度を均一にする作用があるため、出射ビームBMoutは半球レンズ74において効果的に発散角が広げられる。
このようなビーム整形の方法としては、シリンドリカルレンズを2枚使用して、ビームの長軸方向の広がりを縮小する方法などが知られている。しかしながら、シリンドリカルレンズを2枚使用する方法は、空気とレンズ面との境界面の数が多くなるため(2枚のレンズを使用するため境界面は4つ)、フレネルロスが多くなり光伝達損失が大きいという欠点がある。これに対して、本例のホモジナイザ103を使用する方法は、ホモジナイザ103という1つの光学素子を用いれば済むため、境界面の数は入射面と出射面の2つで済むため、光伝達損失を減らすことができる。また、本例のように、発散角補正部を構成するホモジナイザにビーム整形機能を付与すれば、両者を別々の部品で実現する場合と比べて、部品点数の増加が無く、構成の簡略化という点でも有利である。
上記例では、レーザダイオードLD2を有する第2光源モジュールにホモジナイザ103を設けた例に説明したが、もちろん、レーザダイオードLD3を有する第3光源モジュールに設けてもよい。
なお、第1光源モジュール31については、レーザダイオードLD1が発するビームに含まれる光線は、図14で示したとおり、蛍光体36内で拡散される。そのため、蛍光体36の出射端面のほぼ全域から四方八方に出射される。発散角補正部64は断面形状が略真円形をしているので、蛍光体36から出射したビームは、発散角補正部64により、ビームの断面形状が略真円形に整形される。また、ビームによって励起された蛍光についても、同様に、発散角補正部64の作用により、略真円形に整形される。そのため、第1光源モジュール31からは、レーザ光及び蛍光が混合された混合光が出射されるが、混合光は、断面形状が略真円形状のビームとして出射される。
このように、第1光源モジュールのように、レーザダイオードLDを有する発光素子と蛍光体の組み合わせで構成される光源モジュールについては、蛍光体がビーム整形部の役割を果たす。そのため、ビーム整形機能を有するホモジナイザ103は、第2及び第3光源モジュールのように、蛍光体を使用しない光源モジュールに対して有効である。
また、第1光源モジュールのように蛍光体を使用する光源モジュールと、第2及び第3光源モジュールのように蛍光体を使用しない光源モジュールの両方を組み合わせて使用する光源装置においては、ホモジナイザ103により第2光源モジュール及び第3光源モジュールのビームを略真円形にすることで、第2及び第3光源モジュールが発するビームの照射スポットの形状を、第1光源モジュールが発するビームの照射スポットの形状と一致させることができる。このため、異なる光源モジュールの各照射スポットの形状が異なることに起因する色ムラを低減させることができる。
上記例において、図27に示したように、六角形の断面形状を持つホモジナイザ103において、X方向及びY方向に対する、六角形の軸A1、軸A2の角度φLを15°傾けた例で説明したが、角度φLは、15°でなくてもよく、0°〜60°の範囲の任意の角度でよい。
図36は、角度φL=0°の例である。角度φLが0°の場合には、入射ビームBMinに含まれる光線の短軸成分RSと軸A2が、長軸成分RLと軸A1がそれぞれ一致する。この場合、光軸Aを基点とする短軸成分RSは、六角形の辺Sに対して垂直に入射するので、1回目の反射点Px1における反射角(辺Sの法線に対する角度)は0°になる。そのため、短軸成分RSは、対向する2つの反射点Px1の2点間を往復することになり、光軸A周りの捩れは生じない。
一方、長軸成分RLは、六角形の頂点に入射するため、頂点が1回目の反射点Py1になる。反射点Py1においては反射角が0°以上になるため、長軸成分RLは光軸A周りで捩れる。また、短軸成分RSと長軸成分RLの間の中間成分についても、辺Sに対して垂直以外の角度で入射するため、光軸A周りで捩れる。これにより、入射ビームBMinに含まれる光線が、光軸Aと直交する断面内において分散されるため、ビームBMの断面形状が略真円形に整形される。
また、図37は、角度φL=30°の例である。この場合、図36の例とは反対に、長軸成分RLについては、辺Sに対して垂直に入射するため、光軸A周りの捩れは生じないが、短軸成分RSについては、六角形の頂点が1回目の反射点Px1であり、辺Sに対して垂直以外の角度に入射することになるので、光軸A周りの捩れが生じる。また、短軸成分RSと長軸成分RLの間の中間成分は、図36の例と同様に、光軸A周りの捩れが生じる。これにより、ビームBMの断面形状が略真円形に整形される。
このように、短軸成分RSと長軸成分RLの少なくとも一方に対して光軸A周りの捩れが生じれば、ビーム整形の効果が得られることが実験やシミュレーションにより分かっている。もちろん、図27に示すように、短軸成分RSと長軸成分RLの両方が辺Sに対して垂直以外の角度で入射する方が、整形効果が高いので好ましい。その中でも、図27で示したように、角度φLが15°の場合が最も好ましいことが実験やシミュレーションにより分かっている。
また、図38に示すように、ホモジナイザ103の六角形の中心である光軸Aに対して、入射ビームBMinの発光中心OPをオフセットさせてもよい。こうしても、短軸成分RSと長軸成分RLの一方を、辺Sに対して垂直以外の角度で入射させることができるからである。これにより、短軸成分RSと長軸成分RLの一方について、光軸A周りの捩れが生じるため、ビーム整形効果が得られる。ただし、光軸Aに対して発光中心OPをオフセットした場合、オフセットが無い場合と比較すると、入射ビームBMinの大きさに対してホモジナイザ103の断面積を大きくしなければならないというデメリットがある。1つの発光素子71の入射ビームを導光する場合には、デメリットが大きいので、光軸Aと発光中心OPは一致していることが好ましい。
また、上記例においては、断面形状が六角形のホモジナイザを使用した例で説明したが、以下に示すように、断面形状は四角形や三角形でもよい。
図39に示すホモジナイザ110は、断面形状が四角形の四角柱の導光ロッドである。ホモジナイザ110は、断面形状が異なる点を除いて、材質や導光機能についてはホモジナイザ103と同様である。ホモジナイザ110は、光軸AとレーザダイオードLD2の発光中心OPとを一致させて配置されている。また、ホモジナイザ110は、四角形の対向する2つの頂点をそれぞれ結ぶ直交する2つの軸が、X方向(入射ビームBMinの短軸方向)とY方向(入射ビームBMinの長軸方向)のそれぞれと一致するように配置される。これは、四角形の対向する2つの辺を、X方向とY方向のそれぞれと平行になるように配置した正姿勢(図41参照)に対して、光軸A周りに45°回転させた姿勢である。
ホモジナイザ110をこのような姿勢とすることにより、入射ビームBMinの短軸成分RSと長軸成分RLの1回目の反射点Px1、Py1は、四角形の対向する2つの頂点となる。そのため、光軸Aを基点として放射される、短軸成分RSと長軸成分RLは、反射点Py1、Px1のそれぞれに入射して、光軸A周りの捩れが生じる。これにより、略楕円形の入射ビームBMinを略真円形にするビーム整形効果が生じる。
また、図40に示すように、ホモジナイザ110は、図39の姿勢を基準として、その姿勢から光軸A周りに角度φL傾けた姿勢でもよい。角度φLは例えば5°である。この姿勢は、正姿勢(図41参照)に対しては、約40°傾けた姿勢である。この姿勢の場合には、短軸成分RSと長軸成分RLは、1回目の反射点Px1、Py1において、それぞれ辺Sに対して垂直以外の角度で入射することになる。これにより、略楕円形の入射ビームBMinを略真円形にするビーム整形効果が生じる。
なお、断面が四角形の場合には、図41に示すように、四角形の対向する2辺がX方向及びY方向のそれぞれと平行となる正姿勢では、良好なビーム整形効果が得られないことが実験やシミュレーションの結果から分かっている。これは、以下に示すように、正姿勢においては、短軸成分RSと長軸成分RLの両方が辺Sに対して垂直に入射するため、反射点における光軸A周りの捩れが生じないことが理由と考えられる。
ホモジナイザ110が正姿勢の場合には、短軸成分RSと長軸成分RLは、1回目の反射点Px1、Py1において、辺Sに対して垂直に入射することになる。そのため、短軸成分RSと長軸成分RLは、その光軸A周りの捩れが生じることはない。これは2回目以降の反射においても同様であり、出射時点においても短軸成分RSはX方向に、長軸成分RLはY方向に出射される。
もちろん、正姿勢の場合でも、入射ビームBMinの光線のうち、短軸成分RSと長軸成分RLの間の中間成分については、辺Sに対して垂直以外の角度で入射するため、光軸A周りの捩れが生じる。しかし、略楕円形を規定する短軸成分RSと長軸成分RLについては、光軸A周りの捩れが生じないため、略真円形に整形されることはない。
以上のとおり、ホモジナイザ110は、正姿勢で配置した場合には良好なビーム整形効果は得られないが、正姿勢から少しでも傾いた姿勢であれば、短軸成分RS及び長軸成分RLの両方が、辺Sに対して垂直以外の角度で入射することになるため、良好なビーム整形効果が得られる。実験やシミュレーションの結果によれば、その中でも最も好ましい姿勢は、図39に示すように、正姿勢に対して45°傾けた姿勢である。なお、第1実施形態のように、ビーム整形を考慮せずに、ホモジナイザ110を発散角補正のみに使用する場合には、図41に示す正姿勢で配置してもよい。
また、六角形のホモジナイザ103において述べたとおり、ホモジナイザ110の四角形の中心である光軸Aに対して、入射ビームBMinの発光中心OPをオフセットさせてもよい。こうしても、正姿勢以外であれば、短軸成分RSと長軸成分RLの一方を、辺Sに対して垂直以外の角度で入射させることができるからである。ただし、オフセットが無い場合と比較すると、入射ビームBMinの大きさに対してホモジナイザ103の断面積を大きくしなければならないというデメリットがあるので、1つの発光素子71のビームを導光する場合には、光軸Aと発光中心OPは一致していることが好ましい。
また、本例においては、四角形として正方形を例示したが、長方形でもよいし、平行四辺形でもよい。もちろん、正方形が最も作成が容易であると考えられるので、製造適性を考慮すると、正方形が最も好ましい。
図42に示すホモジナイザ116は、断面形状が三角形の三角柱の導光ロッドである。ホモジナイザ116は、断面形状が異なる点を除いて、材質や導光機能についてはホモジナイザ103、110と同様である。ホモジナイザ116は、発光中心OPと光軸Aを一致させた状態で配置される。ホモジナイザ116は、例えば、1つの頂点を上方に、頂点に対向する1つの辺を下方にし、下方の辺がX方向と平行となる正姿勢で配置されている。
このようにホモジナイザ116を配置すると、入射ビームBMinの長軸成分RLは、一方が頂点、他方が辺Sが1回目の反射点Py1となる。長軸成分RLは、辺Sに対しては、垂直で入射することになるが、頂点においては垂直以外の角度になるため、光軸A周りの捩れが生じる。一方、短軸成分RSは、対向2つの辺Sに入射する。対向する2つの辺は、短軸成分RSの放射方向であるX方向に対して垂直では無いため、反射点Px1に対しては垂直以外の角度で入射することになる。そのため、光軸A周りの捩れが生じる。このように、短軸成分RSと長軸成分RLの両方に関して光軸A周りの捩れが生じる。そのため、入射ビームBMinの断面形状を略真円形にするビーム整形作用が生じる。
なお、三角形は、六角形や四角形と異なり、点対象であるので、どのような傾斜角度でも、短軸成分RSと長軸成分RLの両方に関して、光軸A周りの捩れを生じさせて放射方向を変化させることができる。したがって、ホモジナイザ116のように断面形状が三角形の場合には、正姿勢以外でもよく、正姿勢から30°、180°回転させた姿勢など、どのような姿勢で配置しても、ビーム整形効果が得られる。
なお、ホモジナイザ116のように断面形状が三角形の場合には、光軸Aに対して、発光中心OPをオフセットしてもよい。また、本例では正三角形の例で説明したが、正三角形でなくてもよく、直角三角形や二等辺三角形でもよい。もちろん、正三角形が最も作成が容易であると考えられるので、製造適性を考慮すると正三角形が最も好ましい。
ビーム整形効果がある断面形状として、六角形、四角形、三角形を例に説明したが、五角形でもよいし、六角形以上の多角形でもよい。しかし、ホモジナイザをレーザダイオードのビームに適用することを考えると、直径が数mm、あるいはそれ以下となるため、製造適性を考えると、六角形以下であることが好ましい。
また、ホモジナイザにビーム整形機能を付与するために断面形状を多角形にする例を説明したが、第1実施形態で示したホモジナイザ73のように、断面形状が円形の場合でも、図43及び図44に示すように、ホモジナイザ73の光軸Aに対して、レーザダイオードLD2の発光中心OPをオフセットさせて配置すれば、ビーム整形効果が得られる。
ホモジナイザ73は、断面形状が真円であるため、内部反射面となる、側面部73bの内面は、曲面で構成される。
図44に示すように、ホモジナイザ73の光軸Aに対して、発光中心OPが、X方向及びY方向の両方においてオフセットされている。オフセットにより、短軸成分RSの1回目の反射点はPx1となるが、反射点Px1の接線TLと、短軸成分RSは直交しないため、短軸成分RSは、反射点Px1で反射すると反射角が付く。そのため、光軸A周りの捩れが生じて放射方向が変化する。長軸成分RLについても、1回目の反射点はPy1となるが、反射点Py1の接線TLと長軸成分RLは直交しないため、長軸成分RLは、反射点Py1で反射すると反射角が付く。そのため、光軸A周りの捩れが生じで放射方向が変化する。これにより、ビームの断面形状を略真円形にするビーム整形効果が得られる。
ホモジナイザ73のように、断面形状が真円の場合には、光軸Aに対して、発光中心OPをオフセットさせることが、ビーム整形効果を得るための必須条件である。図45のように、ホモジナイザ73の光軸Aと発光中心OPを一致させると、短軸成分RSと長軸成分RLの1回目の反射点となるPx1、Py1において、その接線TLが短軸成分RSと長軸成分RLと直交することになる。そのため、光軸A周りの捩れは生じない。さらに、ホモジナイザ73の断面形状が真円形の場合には、オフセットが無く、光軸Aと発光中心OPが一致していると、短軸成分RSと長軸成分RLの間の中間成分についても放射方向の変化が生じないため、ビーム整形効果は期待できず、出射端においては、入射ビームBMinと同じ、略楕円形のビームが出射することになる。
また、図44の例では、ホモジナイザ73の光軸Aに対して、発光中心OPをX方向とY方向の両方においてオフセットしているが、短軸成分RSと平行なX方向にのみオフセットさせてもよいし、長軸成分RLと平行なY方向にのみオフセットさせてもよい。このように一方向のみオフセットさせても、ビーム整形効果があることが、実験やシミュレーションによって確認されている。もちろん、X方向とY方向の2方向においてオフセットさせる方が、ビーム整形効果は高いので好ましい。
また、本例においては、断面形状が真円形を例に説明したが、楕円形でもよい。また、側面部の内面の一部が平面となる長円形でもよい。
上記実施形態では、ホモジナイザとして柱状体で構成された導光ロッドの形態で説明したが、円筒状の内面に鏡面を形成したミラーパイプの形態でもよい。ミラーパイプでも、入射ビームを、内部の側面部の内面である鏡面によって反射することにより光軸方向に導光することができる。これにより、ビームの径方向の照度を均一にする効果や、断面形状等を工夫することでビーム整形効果を得ることが可能である。なお、鏡面反射は、全反射と比べて反射ロスが大きいため、光伝達効率を考えると、ミラーパイプよりも導光ロッドの方が有利である。
上記実施形態では、ホモジナイザとレンズの2つの光学素子で発散角補正部を構成した例で説明したが、発散角補正部は、ホモジナイザとレンズの他の光学素子を加えた構成としてもよい。また、発散角補正部を構成するレンズから、内視鏡のライトガイドの入射端に直接ビームを入射させる例で説明したが、例えば、レンズとライトガイドの間に、1つ以上の光学素子を介在させて、間接的にビームを入射させる構成としてもよい。
上記実施形態では、ホモジナイザとレンズで構成される発散角補正部を用いる光源部として、狭帯域光を発する光源モジュール32、33を例に説明したが、ビームの色や発光波長は上記例に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、B、G、Rの単色光を発する3つの光源部を用いて白色光を生成する光源装置において、B、G、Rの少なくとも1つの光源部にホモジナイザを使用してもよい。
また、第1光源モジュール31として、蛍光体とレーザダイオードからなる発光素子を組み合わせた光源部を例示しているが、レーザダイオード以外のLEDやELなどの発光素子を用いたものでもよく、キセノンランプやハロゲンランプなどの光源でもよい。
上記実施形態では、ホモジナイザとレンズで構成される発散角補正部を用いる光源部の発光素子としてレーザダイオードを例示したが、LEDやEL(エレクトロルミネッセンス)などのレーザダイオード以外の発光素子に上記発散角補正部を適用してもよい。LEDやELが発するビームの発散角は、レーザダイオードと比較して大きいが、LEDやELを、より発散角が広い光源部と組み合わせて使用する場合には、発散角の拡大が必要な場合もある。そのような場合には、本発明は有効である。
上記実施形態では、B、G、Rのマイクロカラーフイルタが設けられたカラー撮像素子を用いて、白色光をマイクロカラーフイルタで色分離して複数色の画像を同時に取得する同時方式を例に説明したが、カラーフイルタが設けられていないモノクロ撮像素子を用いて、各色の画像を順次取得する面順次方式に適用してもよい。
上記実施形態では、光源装置とプロセッサ装置が別体で構成される例で説明したが、2つの装置を一体で構成してもよい。また、本発明は、撮像素子と超音波トランスデューサが先端部に内蔵された超音波内視鏡と画像処理を行うプロセッサ装置からなるシステム等、他の形態の内視鏡システムにも適用することができる。