JP5610831B2 - 湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維 - Google Patents

湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維 Download PDF

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Description

本発明は、湿式短繊維不織布を得るのに適したショートカット繊維であって、特に厚みが薄く、通気度が低く、高性能なフィルター用途に好適に使用することができる湿式短繊維不織布を得ることができる湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維に関するものである。
近年、湿式短繊維不織布はフィルター用基材、電池セパレーターなどの用途に広く用いられている。このような用途において、性能の高いフィルターやセパレーターとするには、厚みが薄く、通気度の低い湿式短繊維不織布が求められている。
通気度の低い短繊維不織布を得るには、繊維間の隙間を少なくし、気密性を高くすることが必要である。特許文献1や特許文献2には単糸繊度が0.5dtex以下の細繊度の繊維を用いることにより、単繊維間の空隙を小さくし、気密性を高くした短繊維不織布を得る方法が提案されている。
0.5dtex以下の繊維を得るには、単一のポリマーで紡糸、延伸して直接繊維を得る方法と、複数のポリマーを用いた複合繊維で紡糸、延伸を行い、ある程度太い繊維を得た後に割繊することで0.5dtex以下の繊維を得る方法がある。割繊の方法としては、衝撃などで繊維を構成するポリマーを剥離分割して細繊度の繊維を得る機械的割繊と、有機溶媒などで繊維を構成するポリマーの1種を溶媒で溶解し、残った不溶の細繊度の繊維を得る化学的割繊がある。
細繊度の繊維を直接得る方法は、紡糸、延伸時に糸切れが発生しやすく、生産性が低下するのでコスト的に不利である。細繊度の繊維を機械的割繊で得る方法は、コスト的には不利ではないが、割繊後に得られた繊維は、相溶性に乏しい複数の繊維が混ざったものとなり、これらの繊維から得られる湿式短繊維不織布は性能の劣るものになりやすい。
細繊度の繊維を化学的割繊で得る方法は、紡糸、延伸で得られた繊維の一部を溶媒で溶解除去をするため、得られる細繊度の繊維の量が減り、コスト的に不利である。さらに、溶媒の再生、回収設備が必要となる点でもコスト的に不利であり、また、環境に悪影響を及ぼす危惧もある。
特開2002−151358 特開2007−208043
本発明は上記の問題点を解決するものであって、コスト的に有利に製造することができるショートカット繊維であり、性能の優れたフィルターやセパレーター用途に好適な、厚みが薄く、通気度の低い湿式短繊維不織布を得ることができる湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる繊維長が2〜20mm、単糸繊度が1.0〜4.dtex、機械捲縮が付与されていない短繊維であって、短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜5.5、長辺方向に沿って2種類のポリエステル成分が貼り合わされた複合形状を呈し、2種類のポリエステル成分の融点又は流動開始温度の差が20〜160℃であり、かつ強度が3.0〜8.0cN/dtex、伸度が25〜100%であることを特徴とする湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維を要旨とするものである。
本発明の湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維は、繊維を構成する単繊維の断面が扁平形状であって、その扁平形状がアスペクト比が特定の範囲となるものであるため、繊維同士が積層される際には長辺方向が水平となるように載置され、かつ単糸繊度が1.0〜4.dtexのものであるため、厚みが薄く、通気度が低く、気密性の高い湿式短繊維不織布を得ることができる。
さらに、本発明のショートカット複合繊維は、融点又は流動開始温度の差を有する2種類のポリエステル成分を使用している複合繊維であるため、低融点又は低流動開始温度の成分を熱接着成分とすることができ、本発明のショートカット複合繊維のみを用いて湿式短繊維不織布を得ることができる。
また、強度、伸度も適切な範囲のものであるので、機械的特性にも優れた湿式短繊維不織布を得ることができ、このような優れた特性を有する湿式短繊維不織布は、性能の高いフィルターやセパレーター用途に使用することが可能となる。
本発明のショートカット複合繊維の単繊維の断面形状(繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状)の一実施態様を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のショートカット複合繊維は、2種類のポリエステル成分が貼り合わされた繊維束を切断することにより得られたものであり、2種類のポリエステル成分は、融点又は流動開始温度の差が20〜160℃のものである。
本発明においては、高融点又は高流動開始温度のポリエステル(以下、ポリエステルAとすることがある)と、低融点又は低流動開始温度のポリエステル(以下、ポリエステルBとすることがある)を用いるものであるが、ポリエステルA、ポリエステルBとしては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルのいずれであってもよい。芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートを主体としたポリエステルであって、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等を共重合していてもよい。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレートバリレート、及びこれらの混合物、変性物等を用いることができる。
中でも、ポリ乳酸を用いることが好ましく、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
ポリエステルAとポリエステルBの融点又は流動開始温度の差は20〜160℃であり、中でも30〜150℃であることが好ましい。
ポリエステルAは熱接着処理時に溶融せずに主体繊維として用いることが好ましいため、結晶性を有するものであることが好ましく、融点が150〜290℃のものが好ましい。一方、ポリエステルBは熱接着処理時に溶融し、接着成分とすることが好ましいため、ポリエステルAよりは融点又は流動開始温度が低く、100〜210℃のものが好ましい。
ポリエステルBは非晶性のものであっても結晶性のものであってもよいが、結晶性のものである場合は、得られる不織布は高温雰囲気下での強度保持率が高くなり、耐熱性に優れたものとなる。
ポリエステルAとポリエステルBの融点又は流動開始温度の差が20℃未満であると、熱接着処理時に両ポリエステルともに溶融しやすく、ポリエステルBのみを溶融させて接着成分とし、ポリエステルAを主体繊維とすることが困難となる、一方、融点又は流動開始温度の差が160℃を超えると、溶融紡糸時に複合繊維とすることが困難となる。
本発明のショートカット複合繊維のポリエステルAとポリエステルBの複合比率は、質量比(ポリエステルA/ポリエステルB)で30/70〜90/10であることが好ましく、中でも50/50〜80/20であることが好ましい。ポリエステルAの割合が30質量%未満であると、ポリエステルBの割合が多くなるため、溶融紡糸時に切れ糸が発生し、繊維を得ることが困難となりやすい。一方、ポリエステルAの割合が90質量%を超えると、接着成分となるポリエステルBの割合が少なくなるため、得られる湿式短繊維不織布は機械的特性に劣るものとなりやすい。
そして、本発明のショートカット複合繊維は、繊維長が2〜20mm、単糸繊度が0.8〜4.0dtexであり、湿式短繊維不織布用のものであるため、機械捲縮が付与されていない(ノークリンプ)短繊維である。
繊維長は中でも3〜15mmであることが好ましい。繊維長が20mmを超えると、不織布を得る工程での繊維の分散が悪くなり、均斉度に劣った湿式短繊維不織布となる。一方、繊維長を2mm未満にしようとすると、繊維を切断する際の発熱で繊維同士の融着が生じたものとなる。
単糸繊度は1.0〜4.dtexとするものであるが、中でも1.0〜3.5dtexであることが好ましい。単糸繊度が4.dtexを超えると、得られる湿式短繊維不織布の厚みが大きくなり、また繊維間の隙間が大きくなることから通気性の高い短繊維不織布となる。一方、1.0dtex未満になると、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、繊維同士の融着が生じたり、強伸度特性に劣ったものとなる。
なお、通常、熱可塑性樹脂からなる繊維を切断することにより短繊維を得る際には、スタフィングボックス法や押込加熱ギア法等により機械捲縮を付与する場合があるが、本発明のショートカット複合繊維においては、湿式短繊維不織布用のものであるため、機械捲縮を付与しないものとする。
そして、本発明のショートカット複合繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜5.5のものであり、中でも1.7〜5.2であることがより好ましい。本発明のショートカット複合繊維の単繊維の断面形状の一実施態様を図1に示す。図1によると、長辺と短辺の比(長辺/短辺)はb/aである。
本発明のショートカット複合繊維は、適度なアスペクト比を有する扁平断面形状のものであるため、湿式短繊維不織布を得る際の抄紙工程において、ウエブを構成する短繊維が積層される際に形状が安定する長辺方向が水平となるように載置される。このため、丸断面形状の繊維や四角や三角等の異形断面の繊維を用いた場合に比べて、単繊維間の空隙が小さくなるとともに、厚みが薄くなり、通気度が低く、気密性の高いウエブを得ることが可能となる。そして、このウエブを熱接着処理することにより、ポリエステルBが溶融し、接着成分となるため、ポリエステルAのみが主体繊維となり、ウエブのときよりもさらに厚みが薄い湿式短繊維不織布を得ることができる。
アスペクト比が5.5を超えると、長辺の長い扁平度合いの強い糸になるため、紡糸時に切れ糸が発生しやすくなり、操業性が悪くなるとともに、強伸度等の特性や品位が低下する。一方、アスペクト比が1.5未満になると、円形断面に近い形状となり、得られる湿式短繊維不織布の厚みが大きいものとなる。また繊維間の空隙も大きくなることから、通気度の高い、気密性の低い短繊維不織布となる。
本発明におけるアスペクト比は以下のようにして測定し、算出するものである。ショートカット複合繊維より単糸を取り出し、単繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面をキーエンス社製のデジタルマイクロスコープ VHX−600を使用して撮影し、撮影した断面写真より長辺と短辺の長さを測定し、長辺と短辺の比(長辺/短辺)であるアスペクト比を算出するものである。このとき、1種類のショートカット複合繊維につき、ランダムに5本の単糸を採取し、それぞれの単糸毎に2枚の断面写真を撮る。計10枚の写真から、長辺と短辺の長さを測定し、それぞれアスペクト比を算出する。そして、n10の平均値とする。
そして、本発明のショートカット複合繊維を用いて湿式短繊維不織布とする際には、前記したように、本発明のショートカット複合繊維のみを用いてウエブを作成し、熱接着処理によりポリエステルBを溶融させて接着成分とし、ポリエステルAのみを主体繊維とする湿式短繊維不織布とする方法や、本発明のショートカット複合繊維とともに主体繊維となる他の繊維を用いてウエブを作成し、熱接着処理によりポリエステルBを溶融させて接着成分とし、ポリエステルAと他の繊維を主体繊維とする湿式短繊維不織布とする方法が挙げられる。
本発明のショートカット複合繊維とともに用いる他の繊維としては、ポリエステルAと同程度の融点を有し、結晶性の高いポリエステルからなる繊維を用いることが好ましい。このような他の繊維の単糸繊度は1.0〜3.0dtexであることが好ましく、中でも1.0〜2.5dtexであることがより好ましい。単糸繊度が3.0dtexを超えると、本発明のショートカット複合繊維と他の繊維とからなるウエブにおいて繊維間の空隙が大きくなり、厚みが大きいものとなる。そして、本発明のショートカット複合繊維のポリエステルBを溶融させた後に得られる短繊維不織布も繊維間の空隙が大きく、通気度が高く、厚みの大きいものとなりやすい。一方、1.0dtex未満の繊維を得ようとすると操業性が悪くなり、品質の劣った繊維となる場合が多く好ましくない。
また、他の繊維の繊維長も本発明のショートカット複合繊維と同様に2〜20mmであるショートカット繊維であることが好ましく、さらには、3〜15mmであることがより好ましい。繊維長が20mmを超えると、短繊維不織布を得る際の繊維の分散が悪くなり、均斉度の低い短繊維不織布となりやすい。一方、繊維長が2mm未満になると、切断時の発熱で繊維同士の融着が生じている場合が多く、やはり短繊維不織布を得る際の繊維の分散が悪くなり、均斉度の低い短繊維不織布となりやすい。
本発明のショートカット複合繊維を構成するポリエステルA、ポリエステルB及び他の繊維を構成するポリエステル中には、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
そして、本発明のショートカット複合繊維は、強度が3.0〜8.0cN/dtexであり、中でも3.5〜7.0cN/dtexであることが好ましい。強度が3.0cN/dtex未満であると、得られる不織布の機械的特性(強度)が劣るものになる。一方、強度が8.0cN/dtexを超えるものを得ようとすれば、高粘度のポリマーを用いる必要があるため、紡糸及び延伸工程の操業性が悪くなり、得られるショートカット複合繊維の品位が劣るものとなり好ましくない。
また、伸度は25〜100%であり、中でも30〜60%であることが好ましい。伸度が25%未満であると、延伸工程での操業性が悪くなり、得られるショートカット複合繊維や得られる不織布の品位が劣るものとなり好ましくない。一方、伸度が100%を超えると、延伸での配向結晶が充分に進んでおらず、熱や圧力の関与で擬似密着が発生しやすくなり、単糸間の密着が生じ、得られるショートカット複合繊維や得られる不織布の品位が劣るものとなりやすい。
次に、本発明のショートカット複合繊維の製造方法について一例を用いて説明する。本発明のショートカット複合繊維が呈する特定のアスペクト比の扁平断面形状は、紡糸時の紡糸孔の形状を工夫し、紡糸速度や延伸倍率、延伸速度等を調整することにより得ることが可能となる。
まず、通常の複合型の溶融紡糸装置を用い、ポリエステルAとポリエステルBをそれぞれ溶融して扁平断面形状の紡糸孔を有する紡糸口金より紡糸する。紡出した糸条を冷却固化させて未延伸糸を得る。そして、得られた未延伸糸を繊維束に集束した後、延伸倍率2〜4倍で延伸し、分散性油剤を付与した後に任意の繊維長に切断してショートカット複合繊維を得る。
そして、本発明のショートカット複合繊維のみを用いて、又は本発明のショートカット複合繊維と他の繊維を用いて湿式短繊維不織布を得る際には、従来から知られている各種加工法、例えばサーマルスルー法、エアレイド法、抄紙法、スパンレース法などを採用することができるが、分散性がよく、地合が良好な不織布が得られる点から、抄紙法が好ましい。
本発明のショートカット複合繊維のポリエステルBを結晶性のポリエステル成分とし、このショートカット複合繊維のみを用いて得られる湿式短繊維不織布は、高温雰囲気下での強度保持率を高くすることが可能となるが、具体的には、ポリエステルBを融点150〜200℃の結晶性ポリエステルとすることが好ましい。そして、得られる不織布は、120℃雰囲気下での強度保持率が70%以上のものであることが好ましく、中でも75%以上であることが好ましい。強度保持率が70%以上であることにより、得られる不織布は耐熱性に優れたものとなり、耐熱性が要求される用途に好適に用いることができる。120℃雰囲気下での強度保持率は以下のようにして算出するものである。
まず、得られた湿式短繊維不織布を25℃雰囲気下で、JIS L 1096 引張強さ及び伸び率のA法にてMD方向(乾燥機のMD方向)の強力(N/5cm巾)を測定する。これを常温強度とする。次に、常温強度を測定後の不織布を120℃雰囲気下で、常温強度と同様の方法でMD方向(乾燥機のMD方向)の強力(N/5cm巾)を測定する。これを高温強度とする。測定した常温強度と高温強度より下記式で強度保持率を算出する。
強度保持率(%)=(高温強度/常温強度)×100
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ショートカット複合繊維の特性値及び湿式短繊維不織布の評価方法は次の通りである。
〔アスペクト比〕
前記の方法で測定し、算出した。
〔単糸繊度〕
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 正量繊度のA法により測定した。
〔繊維長〕
得られたショートカット複合繊維のサイドビュー写真を撮影し、任意の30本の長さを測定し後、その平均値を撮影倍率で割り返して算出した。
〔強度、伸度〕
切断前の繊維束を用いて、JIS L 1015 引張強さ及び伸び率により測定した。
〔不織布の厚み〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 織物の厚さにより加圧時間10秒、加重23.5kPaの条件で測定した。なお、200μm未満を合格とした。
〔不織布の通気度〕
得られた湿式短繊維不織布を、JIS L 1096 通気性のA法により測定した。なお、100cc/cm/sec未満を合格とした。
〔不織布の機械的特性〕
(常温強度)
得られた湿式短繊維不織布を、25℃雰囲気下で、JIS L 1096 引張強さ及び伸び率のA法によりMD方向(乾燥機のMD方向)の強力(N/5cm巾)を測定した。なお、50N/5cm巾以上を合格とした。
(強度保持率)
常温強度を測定後の不織布を120℃雰囲気下で、常温強度と同様の方法でMD方向(乾燥機のMD方向)の強力(N/5cm巾)を測定した。これを高温強度とする。測定した常温強度と高温強度より下記式で強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=(高温強度/常温強度)×100
実施例1
ポリエステルAとして、融点が256℃、極限粘度0.61のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、ポリエステルBとして、酸成分がテレフタル酸(TPA)60モル%、イソフタル酸(IPA)40モル%、グリコール成分がエチレングリコール(EG)100モル%からなる非晶性の共重合ポリエステル(流動開始温度110℃、極限粘度0.60)を用いた。ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度290℃、吐出量350g/min、紡糸速度800m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)50mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比10)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.8ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.84倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度2.2dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.5のショートカット複合繊維を得た。
〔湿式短繊維不織布〕
得られたショートカット複合繊維をパルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シ−トマシン)にて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の攪拌羽にて攪拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機(熊谷理機工業製)にて130℃の温度で熱処理し、ポリエステルBを溶融させて、目付け50g/mの湿式短繊維不織布を得た。
実施例2〜5、比較例1〜2
紡糸条件を変更し、表1に示すアスペクト比のショートカット複合繊維とした以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
実施例6〜7
ポリエステルAとポリエステルBの質量比率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
実施例8
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度280℃、吐出量650g/min、紡糸速度650m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)30mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を13.2ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.24倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度4.4dtex、繊維長5mm、アスペクト比5.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例9
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度290℃、吐出量261g/min、紡糸速度1200m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)60mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比8)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.81倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度1.1dtex、繊維長5mm、アスペクト比2.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
比較例3
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度280℃、吐出量800g/min、紡糸速度600m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)50mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.46倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度5.5dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.5のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
比較例4
実施例1と同様のポリエステルAとポリエステルBを用い、ポリエステルAとポリエステルBを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリエステルA/ポリエステルB)が50/50となるようにして、紡糸温度295℃、吐出量250g/min、紡糸速度1200m/min、冷却開始位置(紡糸口金からの距離)70mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比10)の吐出孔が960個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.71倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度0.8dtex、繊維長5mm、アスペクト比2.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例10〜11、比較例5〜6
実施例1のショートカット複合繊維を得る際のカット長を変更し、表1に示す繊維長とした以外は実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例1〜11、比較例1〜6で得られたショートカット複合繊維及び湿式短繊維不織布の特性値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜11のショートカット複合繊維は、アスペクト比が1.5〜5.5の範囲内であり、強度、伸度、単糸繊度、繊維長ともに本発明の範囲内のものであったため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが薄く、通気度が低く、気密性に優れ、機械的特性にも優れたものであった。
一方、比較例1のショートカット複合繊維は、アスペクト比が小さかったため、丸断面形状に近いものとなり、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例2ではアスペクト比を大きくしたため、紡糸時に切れ糸が発生し操業性が悪化した。また、得られたショートカット複合繊維は低強度、低伸度のものとなり、このショートカット複合繊維より得られた湿式短繊維不織布は機械的特性に劣るものであった。比較例3のショートカット複合繊維は、単糸繊度が大きすぎたため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例4では、単糸繊度を小さくしすぎたため、紡糸時に切れ糸が発生し、操業性が悪くなり、繊維を得ることができなかった。比較例5のショートカット複合繊維は、繊維長が長かったため、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例6のショートカット複合繊維は、繊維長が短かったため、切断時に繊維同士の融着が発生し、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みの大きいものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。
実施例12
ポリ乳酸Aとして、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.6/1.4であり、融点169℃、相対粘度1.85であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂を用い、ポリ乳酸Bとして、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが90.2/9.8であり、融点135℃、相対粘度1.89であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂を用いた。ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の複合紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50となるようにして、紡糸温度220℃、吐出量367g/min、紡糸速度800m/min、糸条の冷却開始位置40mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比10)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.3ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率倍2.98、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度2.2dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.3のショートカット複合短繊維を得た。
〔湿式短繊維不織布〕
得られたショートカット複合繊維をパルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シ−トマシン)にて、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の攪拌羽にて攪拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。そして、湿式ウエブを回転式乾燥機(熊谷理機工業製)にて145℃の温度で熱処理し、ポリ乳酸Bを溶融させて、目付け50g/mの湿式短繊維不織布を得た。
実施例13〜16、比較例7〜8
紡糸条件を変更し、表2に示すアスペクト比のショートカット複合繊維とした以外は、実施例12と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
実施例17〜18
ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bの質量比率を表2に示すように変更した以外は、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例19
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度210℃、吐出量681g/min、紡糸速度650m/min、糸条の冷却開始位置20mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を13.9ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.40倍、延伸温度65℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度4.4dtex、繊維長5mm、アスペクト比4.8のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例20
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度220℃、吐出量265g/min、紡糸速度1200m/min、糸条の冷却開始位置50mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比8)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.87倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度1.1dtex、繊維長5mm、アスペクト比1.8のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
比較例9
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度210℃、吐出量820g/min、紡糸速度600m/min、糸条の冷却開始位置40mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比12)の吐出孔が700個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率3.55倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度5.5dtex、繊維長5mm、アスペクト比3.3のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
比較例10
実施例12と同様のポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを用い、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bを通常の紡糸装置に供給し、質量比率(ポリ乳酸A/ポリ乳酸B)が50/50になるようにして、紡糸温度225℃、吐出量258g/min、紡糸速度1200m/min、糸条の冷却開始位置55mmの条件で紡糸し、未延伸糸を得た。このとき、紡糸口金として、扁平断面(アスペクト比8)の吐出孔が960個穿孔されたものを用いた。得られた未延伸糸を12.5ktexの繊維束に集束した後、延伸倍率2.80倍、延伸温度60℃で延伸を行った。その後、ポリエーテルとポリエーテルエステルアミドを主成分とする分散油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、カットして単糸繊度0.8dtex、繊維長5mm、アスペクト比2.0のショートカット複合繊維を得た。
次に、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例21〜22、比較例11〜12
実施例12のショートカット複合繊維を得る際のカット長を変更し、表2に示す繊維長とした以外は実施例12と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、実施例12と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例12〜22、比較例7〜12で得られたショートカット複合繊維及び湿式短繊維不織布の特性及び評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例12〜22のショートカット複合繊維は、アスペクト比が1.5〜5.5の範囲内であり、強度、伸度、単糸繊度、繊維長ともに本発明の範囲内のものであったため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが薄く、通気度が低く、気密性に優れ、機械的特性にも優れたものであった。
一方、比較例7のショートカット複合繊維は、アスペクト比が小さかったため、丸断面形状に近いものとなり、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例8ではアスペクト比を大きくしたため、紡糸時に切れ糸が発生し操業性が悪化した。また、得られたショートカット複合繊維は低強度、低伸度のものとなり、このショートカット複合繊維より得られた湿式短繊維不織布は機械的特性に劣るものであった。比較例9のショートカット複合繊維は、単糸繊度が大きすぎたため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例10では、単糸繊度を小さくしすぎたため、紡糸時に切れ糸が発生し、操業性が悪くなり、繊維を得ることが出来なかった。比較例11のショートカット複合繊維は、繊維長が長かったため、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みが大きく、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。比較例12のショートカット複合繊維は、繊維長が短かったため、切断時に繊維同士の融着が発生し、得られた湿式短繊維不織布は地合が悪くなり、厚みの大きいものとなり、通気度が大きく、機械的特性にも劣るものであった。
実施例23
ポリエステルBとして、酸成分がTPA85モル%、ε−カプロラクトン15モル%、グリコール成分がEG45モル%、ブタンジオール(BD)55モル%からなる結晶性の共重合ポリエステル(融点160℃、極限粘度0.72)を用いた以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、得られたショートカット複合繊維を用い、ウエブの熱処理温度を170℃に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例24
ポリエステルBとして、酸成分がTPA100モル%、グリコール成分がEG50モル%、BD50モル%からなる結晶性の共重合ポリエステル(融点180℃、極限粘度0.78)を用いた以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、得られたショートカット複合繊維を用い、ウエブの熱処理温度を190℃に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例25
ポリエステルBとして、酸成分がTPA100モル%、グリコール成分がEG25モル%、BD75モル%からなる結晶性の共重合ポリエステル(融点195℃、極限粘度0.62)を用いた以外は、実施例1と同様にしてショートカット複合繊維を得た。
そして、得られたショートカット複合繊維を用い、ウエブの熱処理温度を205℃に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式短繊維不織布を得た。
実施例23〜25で得られたショートカット複合繊維及び湿式短繊維不織布の特性及び評価結果を表3に示す。なお、実施例1で得られた湿式短繊維不織布の特性値(強度保持率)も併せて示す。
表3から明らかなように、実施例23〜25のショートカット複合繊維は、アスペクト比が1.5〜5.5の範囲内であり、強度、伸度、単糸繊度、繊維長ともに本発明の範囲内のものであったため、得られた湿式短繊維不織布は、厚みが薄く、通気度が低く、気密性に優れ、機械的特性にも優れたものであった。そして、実施例23〜25のショートカット複合繊維は、ポリエステルBとして結晶性の共重合ポリエステルを用いたため、得られた湿式短繊維不織布は、常温強度、高温強度ともに高く、強度保持率が高いものであり、耐熱性に優れていた。

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂からなる繊維長が2〜20mm、単糸繊度が1.0〜4.dtex、機械捲縮が付与されていない短繊維であって、短繊維を構成する単繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面が扁平断面形状を呈しており、長辺と短辺の長さの比であるアスペクト比(長辺/短辺)が1.5〜5.5、長辺方向に沿って2種類のポリエステル成分が貼り合わされた複合形状を呈し、2種類のポリエステル成分の融点又は流動開始温度の差が20〜160℃であり、かつ強度が3.0〜8.0cN/dtex、伸度が25〜100%であることを特徴とする湿式短繊維不織布用ショートカット複合繊維。
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