JP5609620B2 - 新規メタロシリケート - Google Patents

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Description

本発明は、触媒、吸着剤及び分離剤等として有用な新規メタロシリケートに関するものであり、更に詳しくは、固体酸点として働き、触媒活性点あるいは吸着点等として働きうるFeを従来知られているよりも著しく多量に、かつ高分散状態にて結晶中に含有し、耐熱性が高くなおかつ高結晶性のβ型鉄シリケートに関するものである。
β型ゼオライトは特許文献1によって初めて開示されたハイシリカゼオライトであり、触媒及び吸着剤等として広く利用されている。
ゼオライトの利用にあたっては、触媒活性や吸着選択性等の特定の機能を付与することを目的に、しばしば金属によるゼオライトの化学修飾が行われる。一般的に用いられる方法には、ゼオライトのイオン交換能を利用して金属カチオンを液相でのイオン交換により担持する方法や、金属の塩を含む溶液をゼオライトに含浸させることで金属を担持する方法がある。
ゼオライトの化学修飾においては、目的とする機能を最大限に発揮するため、担持する金属は一般にゼオライト基材中に高分散に存在し、できる限り凝集していないことが望ましい。しかし例えば上述のイオン交換による担持では、交換可能な金属量はゼオライトのイオン交換能に依存し、それ以上に担持しようとすると金属の凝集が起こりやすい。また含浸による担持では金属の担持量を制御しやすい代わりに、担持する金属量を増やすに従い金属の凝集が起こりやすくなるという問題がある。
一部の金属は、ゼオライトの水熱合成の原料として添加することにより、SiやAlと同様にゼオライト骨格中に導入することができる。このような方法によって導入した金属は、原子ごとに酸素原子を介したSiのネットワークに取り込まれるため、非常に高分散な状態となる。導入可能な金属としては、B、Cr、V、Ge、Ga、Fe、Sn、Zn等が知られている。これらの金属の中で、Feの導入に関しては比較的多くの試みがこれまでに行われている。
β型ゼオライトの骨格にFeを導入したβ型鉄シリケートについては以下のような先行技術が開示されている。
例えば特許文献2においてAlとFeの両方を骨格に有するβ型鉄シリケートを含む吸着材が開示されている。また特許文献3においてX線回折ピークの半値幅等により規定されたβ型鉄シリケートを含む自動車排ガス浄化用吸着材が開示されている。
また例えば非特許文献1において、及び非特許文献2においてβ型鉄シリケートが開示されている。
また非特許文献3において、原料中にフッ素を添加することで合成されたβ型鉄シリケートが開示されている。一般にゼオライト合成において原料中にフッ素を添加することで、フッ素を添加しない場合と比べて格子欠陥の少ない結晶性の良好なゼオライトが得られることが知られている。例えばβ型ゼオライトでは非特許文献4に開示されている。
しかしながらこれらに開示されているβ型鉄シリケートは、Feの導入量が比較的少ないか、又は多量に導入されていてもAlが多く結晶中に共存しているか、もしくは開示されている結晶形態から考えて結晶成長が良好ではないと推定されるものであった。これは一般に鉄シリケートの水熱合成における、結晶生成可能な原料組成領域が、通常のアルミノシリケートの場合と比較して原料中のAlが少ないほどより狭いためであり、また非常に長時間の反応を要するためである。すなわち水熱合成によるFe導入方法は、高分散なFeを導入できる代わりに、Alをできるだけ共存させることなく多量のFeを導入することが難しい。
またゼオライト合成におけるフッ素の使用は設備腐食等の観点から工業的に難しく、また生成したゼオライトに残存するフッ素が性能に悪影響を及ぼす可能性があるため望ましくない。
しかしながら、触媒あるいは吸着材等の用途において、固体酸点として働き、触媒活性点あるいは吸着点等として働きうるFeを従来知られているよりも著しく多量に、かつ高分散状態にて結晶中に含有し、なおかつ工業的使用が困難なフッ素を使用することなく合成された耐熱性の高い高結晶性のβ型鉄シリケートはこれまで知られていなかった。
米国特許3308069号 特許第4044984号 特許第3986186号
ZEOLITES、Vol.10(1990)、85〜89頁 Microporous Materials、Vol.2(1994)167〜177頁 Journal of Catalysis、Vol.232(2005)、318〜334頁 ZEOLITES、Vol.12(1992)、240〜250頁
本発明の目的は、活性なFeを結晶格子中に多量に含有し、なおかつ耐熱性の高い高結晶性のβ型鉄シリケート、及び、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは以上のような状況を鑑み、β型鉄シリケートの製造方法、製造条件に対して鋭意検討を重ねた結果、本発明のβ型鉄シリケートを見出すに至った。
以下、本発明のβ型鉄シリケートについて説明する。
本発明のβ型鉄シリケートは原料にフッ素を使用することなく合成され、結晶の乾燥重量に対するフッ素の含有率が400ppm以下である。フッ素を使用して合成されたβ型鉄シリケートは構造指向剤(これ以降、“SDA”と称す。)の除去焼成後においてもフッ素が残存する。本発明のβ型鉄シリケート結晶の乾燥重量に対するフッ素の含有率は200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であること又は検出限界以下であることがより好ましい。
β型鉄シリケート中のフッ素の含有量はランタンアリザリンコンプレキソン吸光光度法で定量することができる。ランタンアリザリンコンプレキソンとして、市販のアルフッソン((株)同仁化学研究所)を用いることができる。分析は前処理として試料をアルカリ溶解、濃縮及び蒸留後、アルフッソンを添加し、pH調整後に波長620nmの吸光度を測定する。
本発明のβ型鉄シリケートは、走査型電子顕微鏡にて観察される結晶の一次粒子が、双四角錐台形状の結晶形態を示すものである。
水熱合成されたβ型ゼオライト結晶は一般に、0.1μm〜1.0μm程度の不規則な球状乃至は楕円球状の一次粒子の凝集体として得られやすい。一方、良好に成長したβ型ゼオライト結晶の一次粒子は、双四角錐台形状(truncated square bipyramidal morphology)を示すことが知られている。例えば非特許文献4にβ型ゼオライトのこのような結晶形態の一例が示されている。
本発明のβ型鉄シリケート結晶の結晶粒子は、Feを多量に含有しているにもかかわらず、良好に成長したβ型ゼオライト結晶と同様の結晶形態を示し、そのような結晶形態は図1に模式的に示すように、明瞭な稜線を有し、先端部の欠けた双四角錐台形状を示す。このような形状は走査型電子顕微鏡観察において確認することができる。この結晶形態のアスペクト比(双四角錐形状の底面を構成する一辺の長さと、底面に垂直な結晶軸の長さの比とする)は原料組成、反応温度や反応時間等の合成条件によって変化しうる。
本発明のβ型鉄シリケート結晶の結晶粒子は、合成条件によっては二つ以上の数の結晶粒子で双晶を構成するか、一部に成長途上の結晶形態を含んでもよい。本発明のβ型鉄シリケートは走査型電子顕微鏡による十分な数の結晶粒子を観察できる観察倍率において、一視野中の結晶粒子の30%以上の個数を、双晶を含む良好に成長した結晶が占めるものが好ましく、特に好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上を占めるものである。
この時の観察倍率は例えば5000倍〜100000倍程度であり、少なくとも100個以上の結晶粒子が一視野に収まる条件が好ましい。走査型電子顕微鏡の観察条件は、結晶粒子の形状及び個数が明瞭に観察できるものであれば特に限定されない。
β型鉄シリケート骨格中に存在するFeは孤立状態かつ高対称な四面体構造をとり、骨格外のFeは八面体構造をとると考えられることから、本発明のβ型鉄シリケートの骨格にFeが存在することは、電子スピン共鳴測定におけるg≒2.0の共鳴吸収が存在することによって確認することができる。β型鉄シリケート骨格中のFeは電子スピン共鳴測定(測定温度77K)によって確認することができる。
常磁性のFeイオン(Fe3+)は電子スピン共鳴測定において共鳴吸収を示し、吸収ピークとしてはg≒2.0、g≒4.3及びg>4.3の少なくとも3つの吸収ピークをもつものに帰属されることが知られている(Journal of Catalysis,249(2007)67他参照)。g≒2.0の吸収ピークをもつものは対称四面体構造(又は高対称な多配位構造)を有する孤立Feイオン、g≒4.3及びg>4.3の吸収をもつFeイオンは歪んだ四面体構造及び歪んだ多配位構造を有する孤立Feイオンに帰属される。
電子スピン共鳴測定は、一般的な方法で行うことができる。
例えば電子スピン共鳴装置((株)日本電子製JES−TE200)を用い、測定条件としては測定温度77K、マイクロ波出力は1.0mW、観測範囲は0〜1000mT、変調幅は0.32mT、時定数は0.3secとすることができる。試料は約10mgを石英製試料管に秤取し、液体窒素温度測定用デュアに挿入後、測定を行うことができる。
またβ型鉄シリケートの骨格にFeが存在することを、X線吸収スペクトル(XAFS)を解析することによっても確認することができる。この場合、FeのK吸収端の前に現れるプリエッジピーク(7110eV)が四面体構造の孤立Feイオンに帰属される。
本発明のβ型鉄シリケートは、その含有するFeの全部又は一部が4配位構造の骨格原子として酸素原子と連結した構造であり、アルミノシリケートゼオライトと同様にシリケート骨格の電荷不足に由来する固体酸性質を有するものである。本発明のβ型鉄シリケートが含有するFeは、必ずしもその全てが骨格に存在する必要はない。骨格に存在するFeはSDA除去のための焼成操作等の熱処理によって、その一部が脱離しうるからである。
本発明のβ型鉄シリケートの組成は、
(x+y)M(2/n)O・xFe・yAl・zSiO・wH
(但し、nは陽イオンMの原子価、x、y、z、はそれぞれFe、Al、SiOのモル分率を表し、x+y+z=1である。wは0以上の数であり、z/yは特に限定されないが、300以上であることが好ましく、yは0であってもよい)で表される。
本発明のβ型鉄シリケートの結晶構造は、X線回折で確認される結晶構造がβ型である。β型鉄シリケートは、酸素12員環からなる0.76×0.64nmおよび0.55×0.55nmの細孔が交差した3次元細孔を有するメタロシリケートである。β型鉄シリケートのX線回折パターンは以下の表1に示す格子面間隔d(オングストローム)とその回折強度で特徴付けられる。
Figure 0005609620
本発明のβ型鉄シリケート組成のSiO/Alは300以上であることが好ましい。多量のFeを含有させる場合において、SiO/Alが低いとβ型鉄シリケートの結晶化は比較的容易になるが、高結晶性のβ型鉄シリケートを得ることは難しい。本発明のβ型鉄シリケートは高いSiO/Alにおいても過剰なSDAを用いることなく、高結晶性の結晶粒子が得られるものである。本発明のβ型鉄シリケート組成のSiO/Alは400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。
本発明のβ型鉄シリケートは結晶の乾燥重量に対して少なくとも5.5重量%以上のFeを含有するものが好ましい。ここで結晶の乾燥重量とは、結晶を構成する全元素の酸化物重量の和であり、具体的には結晶に空気中で600℃、30分間の熱処理を施した際のその結晶の強熱後重量を指す。5.5重量%以上のFeとは、単体のFeとして5.5重量%以上であることを意味する。
本発明のβ型鉄シリケートはFeを高分散状態で含有していながら、良好に成長した結晶形態を有し、極めて結晶性に優れるものである。Feの含有率は好ましくは5.5重量%以上、更に好ましくは6.5重量%以上である。一方、Feの含有率が12重量%を超えるとβ型鉄シリケートの結晶化が困難になるため、本発明のβ型鉄シリケートにおいてFeの含有率の上限は12重量%である。
一般にゼオライトにFeを担持して修飾する場合、Feはできるだけ少ない担持量であることが好まれる。これは触媒や吸着材等での鉄担持ゼオライトの利用を考えた場合、活性成分であるFeが高分散状態でゼオライト中に保持されていることが望ましいが、イオン交換や含浸担持等の修飾方法では、多量のFeをゼオライトに導入しようとした場合、Feの凝集が起こり、目的とする機能を十分に発揮できないためである。そのため、従来は鉄担持ゼオライトの機能を最大限に発揮するためには、導入するFeの量を制限せざるを得なかった。
また水熱合成によってFeをゼオライトに導入する場合、多量のFeを導入することは困難になる。これは原料として通常用いられる鉄塩が、アルカリ性の原料混合物中では不溶性の酸化水酸化物等を生成しやすく、ゼオライト結晶中に取り込まれるのに適した状態ではないためである。仕込み原料中のFeの量が増大するほどそのような酸化水酸化物等が増大する。
一方、高価なSDAを、通常用いられる量を遥かに超えた過剰量を使用したり、原料にAlを共存させることにより、水熱合成によって多量のFeをゼオライトに導入することは可能である。しかしこのような方法では成長状態が良好で結晶性に優れる結晶が得られない。また一般にゼオライトにAlが共存すると、結晶の水熱耐久性は低下するため、共存するAlはできるだけ少ないことが望ましい。
本発明のβ型鉄シリケートは結晶格子中に活性な鉄を多量に含有しているにもかかわらず、結晶性が高く、例えば900℃の耐久処理によっても結晶性の低下が全く見られず、1000℃の耐久処理後においても依然、高い結晶化度を示すため、高温で使用される触媒、又は吸着剤として用いることができる。
次に本発明のβ型鉄シリケートの製造方法について説明する。
本発明のβ型鉄シリケートの原料混合物の仕込み組成は下記のように例示される。但しこれらの組成範囲の内、d値は0.10〜0.35の範囲にすることが必須である。
また、種晶などの結晶化促進作用を有する成分を添加してもよい。
aMO・SiO・bFe・cAl・dSDA・eH
ここで、
M = Na又はK
a = 0.075〜0.50であり、好ましくは0.10〜0.25
b = 0.01〜0.05であり、好ましくは0.01〜0.03
c = 0.01以下であり、好ましくは0.003以下、更に好ましくは0.002
以下
d = 0.10〜0.35であり、好ましくは0.10〜0.30
e = 7〜15であり、好ましくは9〜13
上述のMOは本発明のβ型鉄シリケート製造の際の必須の構成原料である。MOは原料混合物のpHを上昇させ、Feを含む原料の溶解と結晶化を促進する。またSiの溶解が促進されるため、生成する結晶に導入されるFeの割合を増加させる。
仕込み組成におけるHOに対するMOの割合(a/e)は0.008以上であり、0.009以上であることが好ましく、0.010以上であることがより好ましい。
SDAが多すぎると稜線の形成が不十分な丘状の結晶形態となりやすく好ましくない。これはSDAが多いことにより、上述のアルカリ源としてのMOの作用が相対的に弱まり、結晶成長過程における結晶の溶解と析出サイクルの機構が変化するためではないかと考えられる。このような結晶の例を図2に模式的に示す。
合成用原料はシリカ源、鉄源、SDA、アルカリ金属源及び水から構成される。Alは添加することを要しないが、原料の不純物として持ち込まれるため、合成用原料はできるだけAlを含まないものを使用するのがよい。
シリカ源としてはコロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、鉄シリケートゲルなどを用いることができ、鉄源としては硝酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、金属鉄などを用いることができ、これら原料は、他の成分と十分均一に混合できるものが好ましい。
SDA原料としてはテトラエチルアンモニウムカチオン(これ以降、“TEAOH”と称す。)を有するテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、更にはオクタメチレンビスキヌクリジウム、α,α’−ジキヌクリジウム−p−キシレン、α,α’−ジキヌクリジウム−m−キシレン、α,α’−ジキヌクリジウム−o−キシレン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,3,3,N,N−ペンタメチル−6−アゾニウムビシクロ[3,2,1]オクタン又はN,N−ジエチル−1,3,3−トリメチル−6−アゾニウムビシクロ[3,2,1]オクタンカチオンを含む化合物の群の少なくとも一種以上を使用することができる。
アルカリ金属源としては水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、酢酸カリウムなどを用いることができ、これら原料は、他の成分と十分均一に混合できるものが好ましい。
水、シリカ源、鉄源、SDA及びアルカリ金属源の原料混合物を密閉式圧力容器中で、100〜180℃の温度で結晶化させることにより本発明に係るβ型鉄シリケートを得ることができる。
結晶化の際、原料混合物は混合攪拌された状態でも静置した状態でもよい。結晶化終了後、十分放冷し、固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110〜150℃の温度で乾燥して本発明に係るβ型鉄シリケートが得られる。
SDAの除去処理は、酸性溶液やSDA分解成分を含んだ薬液を用いた液相処理、レジンなどを用いた交換処理、熱分解処理を用いることができ、これらの処理を組み合わせても良い。更には、β型鉄シリケートのイオン交換能を利用してH型やNH型に変換して用いることもできる。
本発明のβ型鉄シリケート中には高分散状態の鉄が多量に含まれているため、そのまま触媒あるいは吸着材等として用いることができ、用途は特に限定されない。
本発明のβ型鉄シリケートではさらに活性な金属種を担持させてもよい。担持させる金属種は特に限定されない。
金属の担持方法として、イオン交換法、含浸担持法、蒸発乾固法、沈殿担持法、物理混合法等の方法を用いることができる。金属担持に用いる原料は硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、錯塩、酸化物、複合酸化物などを使用することができる。
金属の担持量は限定されないが、特に0.1〜10重量%の範囲が好ましい。
本発明のβ型鉄シリケートは、シリカ、アルミナ及び粘土鉱物等のバインダーと混合し成形して使用することもできる。成形する際に用いられる粘土鉱物として、カオリン、アタパルガイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アロフェン、セピオライトが例示される。また、コージェライト製あるいは金属製のハニカム基材にウォッシュコートして使用することもできる。
本発明のβ型鉄シリケートは結晶格子中に活性な鉄を多量に含有しているにもかかわらず、結晶性が高く、例えば900℃の耐久処理によっても結晶性の低下が全く見られず、1000℃の耐久処理後においても依然、高い結晶化度を示すため、高温で使用される触媒、又は吸着剤として用いることができる。
本発明のβ型鉄シリケート一次粒子の結晶形態を示す模式図である。 β型鉄シリケートにおける、本発明の範囲外の稜線の形成が不十分な丘状の結晶形態を示す模式図である。 実施例1で得られたβ型鉄シリケートの走査型電子顕微鏡観察結果を示す図である。 実施例6で得られたβ型鉄シリケートの走査型電子顕微鏡観察結果を示す図である。 比較例1で得られたβ型鉄シリケートの走査型電子顕微鏡観察結果を示す図である。 実施例1で得られたβ型鉄シリケートの電子スピン共鳴スペクトルを示す図である。
以下本発明を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
3号珪酸ソーダ(SiO;30%、NaO;9.1%、Al;0.01%)、98%硫酸、水及び硝酸鉄九水和物の所定量を混合し、生成したゲルを固液分離し、純水により洗浄した。洗浄後のゲルに所定量の水、35%TEAOH及び48%NaOHを加えて十分に撹拌混合した。反応混合物の組成比はSiO:0.015Fe:0.00046Al:0.20NaO:0.15TEAOH:10HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は分析の定量限界100ppmを下回り検出限界以下であった。
得られた結晶粒子の走査型電子顕微鏡での観察結果を図3に示す。
実施例2
実施例1と同様の方法により反応混合物を調製した。反応混合物の組成比はSiO:0.010Fe:0.00040Al:0.19NaO:0.15TEAOH:10HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は検出限界以下であった。
実施例3
実施例1と同様の方法により反応混合物を調製した。反応混合物の組成比はSiO:0.020Fe:0.00041Al:0.197NaO:0.15TEAOH:10HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下170℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は検出限界以下であった。
実施例4
実施例1と同様の方法により反応混合物を調製した。反応混合物の組成比はSiO:0.034Fe:0.00069Al:0.20NaO:0.15TEAOH:9.9HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は検出限界以下であった。
実施例5
実施例1と同様の方法により反応混合物を調製した。反応混合物の組成比はSiO:0.015Fe:0.00046Al:0.18NaO:0.15TEAOH:8.9HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は検出限界以下であった。
実施例6
実施例1と同様の方法により反応混合物を調製した。反応混合物の組成比はSiO:0.015Fe:0.00046Al:0.20NaO:0.15TEAOH:10HOであった。この反応混合物に、β型ゼオライト(SiO/Al=約500)をSiOに対して1重量%添加した。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は検出限界以下であった。
得られた結晶粒子の走査型電子顕微鏡での観察結果を図4に示す。
比較例1
3号珪酸ソーダ(SiO;30%、NaO;9.1%、Al;0.01%)、98%硫酸、水及び硝酸鉄九水和物の所定量を混合し、生成したゲルを固液分離し、純水により洗浄した。洗浄後のゲルに所定量の水、TEAOH及び48%NaOHを加えて十分に撹拌混合した。反応混合物の組成比はSiO:0.015Fe:0.00046Al:0.075NaO:0.40TEAOH:10HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は検出限界以下であった。
得られた結晶粒子の走査型電子顕微鏡での観察結果を図5に示す。得られた結晶粒子は稜線の形成が不十分な丘状の結晶形態であった。
比較例2
TEAOH264gに硝酸鉄九水和物9.43gを溶解し、テトラエチルオルトシリケート214gを加え、十分に撹拌混合し室温にて加水分解を行い、生成したエタノールを蒸発させた。続いて必要量の水を蒸発させた。これに48%フッ酸21.45gを加え、乳鉢にて混合した後、この反応混合物をステンレス製オートクレーブに充填し、150℃で240時間加熱して結晶化した。反応混合物の組成はSiO:0.016Fe:0.50HF:0.61TEAOH:7.5HOであった。結晶化後のスラリー状混合物は白色であり、結晶のF含有率は14000ppmであった。これを空気流通下、600℃で2時間焼成し、SDAを除去した後の結晶のF含有率は430ppmであった。
比較例3
原料としてテトラエチルアンモニウムフルオライド(TEAF)を用いた以外は比較例1と同様の方法により反応混合物を調製した。反応混合物の組成比はSiO:0.038Fe:0.0012Al:0.024NaO:0.11TEAOH:0.50TEAF:7.6HOであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、150℃で240時間加熱し反応させた。反応生成物のX線回折測定を行ったところ、β型の回折パターンは観察されず、非晶質であることがわかった。
実施例7
実施例1〜6及び比較例1で合成したβ型鉄シリケートの結晶組成を誘導結合プラズマ発光分析法により分析した。以下の表2に結果を示す。いずれも5.5重量%以上のFeを含有していた。
Figure 0005609620
実施例8
実施例1、実施例6及び比較例1で合成したβ型鉄シリケートの形態を走査型電子顕微鏡を用いて観察した。実施例1の結果を図3に、実施例6の結果を図4に、比較例1の結果を図5に示す。
実施例1のβ型鉄シリケートは明瞭な稜線を有し、先端部の欠けた双四角錐形状であったのに対し、SiOに対するモル比が0.35を超える多量のSDAを用いて合成された比較例1のβ型鉄シリケートは稜線の形成が不十分な丘状の結晶形態を示した。
実施例6のβ型鉄シリケートは一次粒子径が100〜150nm程度で微細であり、実施例1と同様に明瞭な稜線を有し、先端部の欠けた双四角錐形状であった。一次粒子表面の滑らかさの度合いが実施例1と実施例6のβ型鉄シリケートで異なる理由は、実施例6のβ型鉄シリケートでは一次粒子の大きさが、一次粒子を構成する結晶子(約30nm)の大きさに近いためである。
実施例9
実施例1及び比較例1で合成したβ型鉄シリケートの耐熱水性評価を実施した。評価ではSDAを焼成除去した試料(フレッシュ)を用い、ペレット成型後、破砕して評価に供した。固定床流通式反応管に試料を充填し、10vol%のHOの流通下において、所定の温度で5時間の耐久処理を行った。フレッシュの試料及び耐久処理を行った試料について、通常用いられるCu−Kα線源を用いる粉末X線結晶回折により、2θ=22.3°の回折ピーク高さから試料の結晶化度を測定した。
その結果を以下の表3に示す。
Figure 0005609620
以上のように、本発明のβ型鉄シリケートは900℃の耐久処理によっても結晶性の低下が全く見られず、1000℃の耐久処理後においても依然、高い結晶化度を示した。比較例のβ型鉄シリケートはフレッシュでは本発明のβ型鉄シリケートと大きな差は見られないものの、耐久処理温度の上昇に伴い結晶化度が大きく低下した。
実施例10
実施例1で合成したβ型鉄シリケートについて電子スピン共鳴測定を実施し、骨格に存在するFeの確認を行った。
電子スピン共鳴測定の条件を以下に示す。
測定温度:77K
マイクロ波出力:1.0mW
観測範囲:0〜1000mT
変調幅:0.32mT
時定数:0.3sec
試料量:約10mg
測定により得られたスペクトルを図6に示す。g≒2.0の大きな共鳴吸収が観測されており、シリケート骨格に存在する高対称な四面体構造を有するFeの存在が確認された。
本発明のβ型鉄シリケートは、例えば窒素酸化物の浄化触媒として使用可能であり、自動車の排ガスの窒素酸化物除去に適用される。

Claims (4)

  1. SiO /Al (モル比)が300以上、結晶の乾燥重量に対するフッ素の含有率が400ppm以下、走査型電子顕微鏡観察において結晶粒子が双四角錐台形状であり、なおかつ鉄の全部又は一部をβ骨格構造中に含有することを特徴とするβ型鉄シリケート。
  2. 結晶の乾燥重量に対して5.5重量%以上の鉄を含有することを特徴とする請求項1に記載のβ型鉄シリケート。
  3. 以下の原料組成物において
    aMO・SiO・bFe・cAl・dSDA・eH
    (M=Na+又はK+、SDA:構造指向剤)
    (SDA/SiO)モル比(d)が0.10〜0.35及びcが0.01以下の原料組成物を水熱結晶化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のβ型鉄シリケートの製造方法。
  4. 請求項3記載の原料組成物において、
    a = 0.075〜0.50
    b = 0.01〜0.05
    e = 7〜15
    であることを特徴とする請求項3に記載のβ型鉄シリケートの製造方法。
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