JP5609366B2 - 熱延鋼板の巻き取り方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板、特に高強度パイプの素材となる高強度厚肉熱延鋼板を安定的に製造するための巻き取り方法に関するものである。
近年、主として大陸パイプラインでの原油や天然ガス等の資源の輸送効率化を目的に、API規格にしてX70〜X100といった大径厚肉高強度パイプ材の需要が高まっている。これらの資源を効率的に輸送するため、パイプ内部には高い内圧がかけられており、かつ寒冷地での使用や地震による地殻変動なども考慮し、高靭性、高強度といった特性がパイプ材にとって非常に重要となっている。これらのパイプラインにて使用されるパイプは肉厚が15〜25mm程度、外径は20インチ程度以上と大径であり、従来は高強度パイプとしては長手方向に縦長形状である厚鋼板の短辺側を円形に成形した後、突合せ部を長手方向にサブマージアーク溶接してパイプとするUOE鋼管が多用されている。通常、厚鋼板は熱間スラブを1基、あるいは2基の圧延機を有する厚板ミルでの多パス圧延にて略矩形形状に製造されるものであり、その製品長は最大でも30m程度である。
これに対し、近年、厚鋼板を薄板圧延用の熱間圧延ラインにて圧延してコイル状に巻き取って熱延鋼帯コイルとした後、コイルを巻きほどいて電縫管に成形する他、熱延鋼板を長手方向にらせん状に成形すると同時に板幅端部の突合せ部を溶接しながらパイプに製造するスパイラル鋼管の需要が高まっている。熱延鋼板コイルは、最大45トン程度までの製造が可能であり、例えば20mm厚み、板幅1900mm程度であれば熱延鋼板の長さは151m程度となり、電縫管では成形したときのパイプ長は約151m、直径28インチのスパイラル鋼管に成形したときのパイプ長は約128mとなる。このように、パイプ成形前の母材を熱延鋼板コイルとすることにより、厚鋼板から製造する場合に比べ、連続して長いパイプの製造が可能となることから生産性の向上も期待できる。
さて、高強度厚肉鋼板をコイル状に巻き取る場合、材料の剛性が高いが故に、巻き取り装置のピンチロールやラッパーロールの剛性不足、そしてマンドレルのトルク不足、その他先端部の巻き付き不良等、様々な課題が発生する。例えば、厚肉鋼板の最先端部はピンチロールやラッパーロール等によって曲げることが困難であり、最先端部の巻き付き不良を改善するため、巻き付き後3周程度まではマンドレル外径を拡大し、マンドレルと鋼板の密着性を高めてスリップを防止し巻き付きやすくする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2003−80313号公報
高強度厚肉熱延鋼板をコイル状に巻き取る場合、先端部は例えば特許文献1に開示されている技術等により対応が可能であるが、コイル外周側となるストリップ尾端部ではスプリングバックによる巻き緩みが発生しやすく、巻き緩みがひどい場合にはコイル台車に搭載した状態にてコイラーから抜き出す際にコイルが浮き上がって台車から転げ落ちるほどである。通常、熱延コイラーでのストリップの巻き取りでは、図3に示すように、最尾端部1bがコイル下側の位置にて停止するようにマンドレルの回転制御を行っており、コイルの自重にて尾端部のスプリングバック変形を抑圧している。しかしながら、近年のラインパイプ素材の高強度化・厚肉化のニーズは著しく、これらの材料を巻き取る際にはコイルの自重だけでは尾端部のスプリングバック変形を抑制できない状況となっている。このため、高強度材の圧延が可能である強圧下圧延機を具備した熱間圧延ラインにおいても、コイラーでの巻き取り可否が高強度厚肉熱延鋼板の製造可否を決定しているといっても過言ではない。なお、本発明では高強度の定義はAPI規格にてX65以上、厚肉熱延鋼板は製品厚にて19mm以上のものを対象としている。
図4は、従来の一般的な熱延鋼板の巻き取り装置を示している。
一般に、コイラーにて熱延鋼板1の先端部を巻き取るにあたっては、ピンチロール3、マンドレル7、ラッパーロール5a〜5dなどの各ロールの周速は、熱延鋼板1の厚さや硬さ(強度)などに応じて、熱延鋼板1の搬送速度に対し、10〜30%のリード率を持たせた値、すなわち、10〜30%速い速度に制御している。この際、マンドレル7、ラッパーロール5a〜5dのリード率は、ピンチロール3のリード率以上としている。そして、熱延鋼板1の先端部の巻き付き完了の時点でリード率はクリアされ、以降、熱延鋼板1の搬送速度と実質的(冷却による熱収縮や張力による幅縮みなどの影響を除けばという意味)に同期した周速に制御される。なお、図4ではラッパーロールの数は4個としているが、一般的に、熱延鋼板の巻き取り装置では3個のラッパーロールを具備しているものも多い。
コイラー内にて、熱延鋼板1の先端部に緩みが生じ、波打って巻き取られたような場合、以降の巻き取りが継続できなくなるか、運良く巻き取れても、以降の巻きが、波打って巻き取られた巻きの外方に重なることにより、巻きが太くなり、コイラーのハウジングからはみ出す大きさになってしまう結果、詰まって抜き出せなくなってしまい、ひとたびそのような事態になると、コイラーの各部が受ける損傷は大きく、復旧までに何時間もの多大な時間を要することとなる。
いずれにせよ、このような事態になるのを防止するため、コイラーにて熱延鋼板1の先端部を巻き取るにあたっては、熱延鋼板1の緩みを最小限にする目的で、熱延鋼板1の最先端部1aがマンドレル7に巻き付きを開始してから巻き付き完了までの間、ピンチロール3、マンドレル7、ラッパーロール5a〜5dの各ロールの周速にはリード率をもたせ、熱延鋼板1を引張りながら巻き取りを行うことで、熱延鋼板1の先端部に緩みが生じて波打って巻き取られるのを防止している。そして、熱延鋼板1の先端部の巻き付き完了後は、マンドレル7は、熱延鋼板1の搬送速度、すなわち、仕上圧延機の最終圧延機の出側における熱延鋼板1の搬送速度と実質的に同期しながら、ピンチロール3との間で、所望の張力に近づける張力制御を行いながら、尾端まで巻き取りを行っている。この際、先端の巻き付きが完了する5巻き程度以上では、ラッパーロール5a〜5dをコイルから退避させ、ピンチロール3とマンドレル7間の張力のみで緩み無く巻き取りを行っている。なお、熱延鋼板1の最尾端部がピンチロール3を抜けた後は、熱延鋼板1には張力が作用しないことから、一般的な熱延鋼板の巻き取り作業では、退避させておいたラッパーロール5a〜5dのうち少なくとも1つ以上のラッパーロールをコイル外周部に押圧し、コイル尾端部1bの緩みを抑制している。
しかしながら、本発明で特に対象としているラインパイプ素材に代表される高強度厚肉材では、鋼板の断面積が大きく、かつ強度が非常に高いことから、タイトに巻き取るための張力を付与することが非常に困難となる。また、一般的に高強度材では曲げ加工後のスプリングバックが非常に大きく、コイル巻き取り完了後、クレードルロール8をコイル下方より上昇させてコイルに押圧した後、コイル抜き出しのためにラッパーロール5a〜5dを退避し、コイル回転中心となっていたマンドレルを縮径する際、マンドレル7やラッパーロール5a〜5dで固定されていた弾性歪成分が開放される、すなわちスプリングバックが発生し、コイル外周部の巻き緩みが顕著となる。図5に高強度厚肉材の巻き取り後、コイル抜き出し時での巻き姿の例を示すが、コイルの巻き緩みが大きい場合にはコイラーからの抜き出しができない、コイルカーでの搬送時のコイル振動が顕著となって姿勢が不安定となる、また、バンドがけ後、搬送時にバンドが切れるなどの問題点があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、熱間圧延ラインにおける高強度厚肉熱延鋼板の巻き取り方法を提供することを目的とするものである。
前述したごとく、通常、熱延コイルの巻き取りでは熱延鋼板の最尾端部がコイル下側に位置するようにマンドレルの回転を停止した後、巻取り中はコイル下方にて待機しているコイル台車を上昇させてコイル尾端部に接触させ、コイルの自重で尾端部の巻き緩みを抑えこんだ状態としてからマンドレルやラッパーロールを開放し、そのままコイル台車に搭載した状態にてコイラーから抜き出している。そして、コイラーから抜き出された熱延コイルは、搬送中の巻き緩みを防止するために、コイラーに隣接して設置されているバンディング装置にて1本、あるいは複数本の帯状鋼帯で最外周部を環状に固定される。しかし、高強度厚肉熱延鋼板の巻き取りでは、外周部の巻き緩みにより、コイラーから抜き出してバンディング装置に移送するまでの間に不安定な状態になりやすく、何らかの対策技術の確立が必要であった。
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたものであり、以下のとおりである。
(1)熱延鋼板の巻き取り装置にて高強度熱延鋼板をコイル状に巻き取る方法であって、熱延鋼板の先端部から尾端部までをコイル状に巻き取った後、コイルに対して遊星状に配置された複数のラッパーロールをコイルに押し付けた状態にてコイルに対して冷却水を噴射し、コイル外周部を所定の冷却時間だけ冷却した後、冷却を停止してコイルを所定の滞留時間だけ巻き取り装置内に滞留させた後にラッパーロールを解放し、巻き取り機から抜き出すことを特徴とする、熱延鋼板の巻き取り方法。
(2) 前記(1)において、コイル外周部の所定の冷却時間を5秒以上とすることを特徴とする、熱延鋼板の巻き取り方法。
(3) 前記(1)又は(2)において、冷却停止後のコイルの所定の滞留時間を20秒以上とすることを特徴とする、熱延鋼板の巻き取り方法
本発明によれば、従来、スプリングバックによる巻き緩みが問題であった高強度厚肉熱延鋼板コイルを安定的に巻き取ることが可能となる。
本発明による熱延鋼板の巻き取り装置の例を示す概略側面図 本発明によるストリップガイドの例を示す見取図 コイル浮き上がり無し状態の例を示す概略側面図 従来の熱延鋼板の巻き取り装置の例を示す概略側面図 コイル浮き上がり、巻き緩み状態の例を示す概略側面図 コイル外周冷却時の外周面と内周面の温度推移の例を示す冷却曲線図 コイル外周冷却時の外周面と内周面の温度差の推移の例を示す冷却曲線図
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明者らは、前述の高強度熱延鋼板コイルのスプリングバックによるコイル巻き緩みを抑制するための技術について鋭意検討を重ねた結果、巻き取り直後の熱延鋼板の外周部を急激に冷却して熱収縮させ、コイル外周部に円周方向の伸び歪を発生させることによってスプリングバックを低減させる方法を着想した。一般に、曲げ加工では、曲げの外側では引張応力、曲げの内側では圧縮応力が作用し、加工力を除去、すなわち除荷過程において、板厚断面内の曲げモーメントが0になる位置まで弾性的に曲率が変化するスプリングバック変形が生ずる。コイル外周部から冷却した場合、コイル外周側ほど温度低下が大きく、かつ温度低下した熱延鋼板は温度低下量に応じて熱収縮をおこすが、温度低下の少ないコイル内部の熱収縮量は小さいことから、大きく熱収縮するコイル外周部では巻き形状が保持されるために収縮できずに伸び歪が発生することになる。例えば、巻き取り時の温度500℃、降伏応力σyが450MPa、ヤング率Eが160GPaの材料で、板厚25.4mm、コイル外径φ1600mmの高強度熱延鋼板コイルの場合、最外周での曲げ歪ε1は次の(1)式により約±0.016となる。
Figure 0005609366
(1)式において、hは熱延鋼板の板厚、ρはコイル外周での曲率半径である。また、最外周の熱延鋼板の曲げの外表面側が引張歪、内表面側が圧縮歪であり、次の(2)式で計算される弾塑性境界歪εは約0.0028であり、板厚中心部近傍をのぞいて塑性状態となっている。
Figure 0005609366
一般的に、鋼の熱膨張係数は1.2×10−5(/℃)程度であることから、例えば冷却により鋼板温度を100℃低下させることにより0.0012の熱収縮歪、また200℃低下させれば0.0024の熱収縮歪が発生する。これは、(2)式で計算された弾塑性境界歪ε0とほぼ同等であり、実際には熱収縮の小さい内部の抵抗にて収縮変形が拘束されるため、温度低下の大きい外周側の鋼板には大きな伸び歪が発生する。この際、ラッパーロール5a〜5dは所定の圧力にてコイルに押圧して冷却収縮によるコイルの動きを拘束し、かつコイル外周側を円周方向に均一に冷却するため、マンドレルを一定速度で回しておくことが望ましい。このような状態、すなわち複数のラッパーロールをコイルに押し付けた状態にてコイル外周部の曲げ状態を保持したまま、コイルに対して冷却水を噴射し、コイル外周部を所定の冷却時間だけ冷却してコイル最外周板の板厚方向に大きな温度分布を発生させた状態とした後に冷却を停止して巻き取り装置内にコイルを滞留させると、温度の高い内周側からの復熱により外周側表層の温度が急激に上昇し、数十秒後には外周側からの空冷・放射による冷却現象と内部からの復熱現象が平衡状態となり、その後はゆっくりと温度低下していく。この過程で、外周側は温度上昇により熱膨張するため、曲げ曲率が大きくなる方向、すなわち外周側の伸び率を緩和する方向に変形が生ずる。すなわち、もともと巻き取りによる曲げ変形にて生じていた外周側の引張応力−内周側の圧縮応力の分布に対し、外周側には圧縮応力、内周側には引張応力が重畳することとなり、巻き取りによる曲げによって生じた板厚方向の応力分布が大きく緩和することとなる。この状態から除荷する、すなわちコイルを巻き取り機から抜き取るためクレードルロール8を上昇させてコイルに押圧し、マンドレル7を縮径、ラッパーロール5a〜5dをコイルから離反させると、スプリングバックによるコイルの上下左右の変動を大きく低減できることを確認した。
本発明者らの検討では、スプリングバックの低減効果は、コイル外周板の冷却時間が、コイル最外周板の外周表面と内周表面の温度差が最大となる時間と略等しい場合に発揮されることを見出した。これは、本発明によるスプリングバック低減効果が、コイル外周冷却によって発生する外周側の伸び歪に由来しているためであり、過度に冷却時間を長くする必要はないものである。例えば、図6、図7に、API規格X80、製品厚25.4mmの材料にて、目標巻き取り温度(コイル外周水冷開始温度)を470℃、冷却熱伝達率を20kW/mKとして、本発明によるコイル外周冷却を実施した際のコイル最外周板の外周表面と内周表面の計算温度と両者の温度差の推移例を示すが、本条件では外周表面と内周表面の温度差が最大となるためには5秒程度の冷却時間で十分であることを見出した。また、このとき行った応力計算(数値解析)によると過度に冷却時間を延ばしてもスプリングバック低減に及ぼす効果はほぼ一定であることから、冷却水や電力といったユーティリティーの原単位や生産性を落とす要因となる。
このようなコイル巻き取り実験、温度計算、応力計算を、熱延鋼板の強度:API規格X65以上(X80以下)、板厚:19mm以上(25.4mm以下)、目標巻き取り温度:450〜600℃、冷却熱伝達係数:3〜60kW/mKの範囲内で各条件を種々変えて実行し、スプリングバック低減のための最適な冷却時間を求め、その結果から、本発明で対象としているAPI規格X65以上、製品厚19mm以上の材料では、本発明の(2)にてコイル外周部の所定の冷却時間を5秒以上に規定している。しかしながら、ユーティリティーロスを低減するため、15秒以内とすることが望ましい。
また、上述の実験、温度計算、応力計算の結果によると、コイル外周冷却を停止した後の復熱中に曲げ応力分布が大きく緩和するが、復熱時間(冷却を停止して内部からの復熱が完了する、すなわち最外周板内の各部の温度変化が定常状態となるまでの計算で予め算出した時間)が経過した後は、スプリングバック低減効果はほぼ一定となることから、冷却停止後コイルを巻き取り装置内の滞留させる時間(所定の滞留時間)は、復熱時間以上の時間だけ継続させることが望ましい。また、上述の実験、温度計算、応力計算の結果から得られた復熱挙動によると、本発明で対象としているAPI規格X65以上、製品厚19mm以上の材料では、復熱時間は20秒以上であるので、本発明の(3)にて所定の滞留時間(巻き取り装置内滞留時間ともいう)を20秒以上に規定している。なお、前記復熱挙動によると復熱時間は30秒を超えず、かつ、復熱時間経過後は速やかにラッパーロールを開放することが生産性の上から望ましいので、巻き取り装置内滞留時間は30秒以内が望ましい。
また、巻き取り装置内にて効率的にコイル外周部を冷却するためには、スプレー等によりコイル外周部に大流量の冷却水を噴射する必要がある。一般的に、熱延鋼板の巻き取り装置では、高温状態のコイルを扱うことから、設備を高温状態から保護するための必要最小限の冷却設備が備わっているものの、本発明では、より積極的にコイルを冷却することを志向することから、通常の冷却設備では不十分である。熱延鋼板の巻き取り装置では、熱延鋼板の先端部の巻き付き性を向上させるため、ラッパーロール間のストリップガイドを積極的に利用した曲げ加工を行っており、コイル外周部に急冷を施す場合にはこのガイドが物理的な障害となっている。そこで、本発明者らはこのストリップガイドに、コイルを積極的に急冷するための冷却水噴射ノズルを具備させることを着想した。図1、図2に本ストリップガイドを具備した巻き取り装置と、ストリップガイド形状の例を示す。図2のストリップガイドでは、ガイド全面に冷却水を噴射するための複数の穴10を設置しており、図1に示すごとく、この穴を通して大量の冷却水をコイルに噴射するものである。なお、ストリップガイドは、通常、コイル先端の巻き付き完了後にはコイルから離反させる使い方が一般的であるが、本発明では少なくともコイル尾端部が巻き取られる直前までにはストリップガイドをコイル外周部近傍まで接近させ、その全面の穴10から大流量の冷却水を噴射させることを特徴としている。このことから、冷却水を噴射するノズルを直接ストリップガイドに設置することにより、適切なコイルの冷却が可能である。
この際、当該熱延ラインの生産ピッチを考慮して、コイル冷却水量をコントロールすることによりコイル外周温度の冷却速度を調整すればよいが、本発明者らの検討(上述の実験、温度計算、応力計算の結果)によると、本発明で対象としているAPI規格X65以上、製品厚19mm以上の材料のスプリングバックを大きく低減するためには、コイル外周冷却(水冷)時の熱伝達係数は6〜25kW/mK程度であることが必要であり、用いる冷却水噴射ノズルは、この熱伝達係数を実現しうるものとすることが望まし。水冷の熱伝達係数は、一般に材料の鋼種、板厚には依存せず、概して水量密度に依存し、水量密度を増すと熱伝達係数は増加するが、その依存性は、冷却温度測定実験と伝熱計算から求めることができ、あるいは文献(例えば「鋼材の強制冷却」、S53/11、(社)日本鉄鋼協会)から知ることができて、そこから前記冷却熱伝達係数を実現しうる水量密度が求まるから、該水量密度に見合う水量を噴射可能な冷却水噴射ノズルを(種々のノズルメーカのカタログ等を参照して)適宜選定し、本発明に用いるノズルとすればよい。なお、前記熱伝達係数の下限はスプリングバックによるコイル浮き上がり減少を防止するために必須な値であり、上限を規定しているのは厚肉材の冷却ではこれ以上の熱伝達係数を実現してもスプリングバック低減効果がほぼ飽和することから、過度の水量増によるユーティリティーロスを防止するためである。
なお、本発明による効果は、上記したコイル外周部のスプリングバック低減効果の他、コイル内部の巻き締りによる巻き緩み低減にも大きな効果を有しており、両者の相乗効果によって大きなコイルの巻き緩み防止効果が得られるものである。
以下、本発明の実施例について説明する。対象とした材料はAPI規格X80グレードであり、厚み250mm、幅1850mm、長さ9090mmの寸法のスラブ(重量33トン)を熱間圧延ラインの粗圧延工程、仕上圧延工程を経て厚み19〜25.4mmに仕上げ、冷却テーブル上にて450〜600℃まで冷却したのちに巻き取り装置にて巻き取った。巻き取り装置は図1、図2に示したものであり、ラッパーロール5a〜5dの直径はφ440mm、マンドレル7の外径はφ750mmであり、図3のごとく緩み無く巻いた状態でのコイル外径はφ1858mmのコイルである。最終仕上圧延機出側、すなわち冷却テーブル上での熱延鋼板速度は150mpmであり、熱延鋼板先端部1aは150mpmの速度にてコイラー(巻き取り装置の意、以下同じ)に進入し巻き付きが開始される。この際、マンドレル7、ラッパーロール5a〜5dの速度は、熱延鋼板1の速度に対して所定のリード率にて巻取りが開始されるように、熱延鋼板先端部が最終仕上圧延機を抜けたタイミングあたりから加速をはじめている。そして、巻き付き開始時のマンドレル7のリード率は15%とし、ラッパーロール5a〜5dのリード率は25%に設定した。そして、巻き付き開始後、マンドレル7とラッパーロール5a〜5dの減速を開始し、5周に設定した巻付き完了時点においてマンドレル7とラッパーロール5a〜5dの速度が熱延鋼板1の通板速度に同期するように150mpmまで減速した。熱延鋼板1の尾端部1bがコイラー手前20m程度の位置から減速を開始し、熱延鋼板1の尾端部1bがコイル下側となる位置にて回転を停止した。そして、コイル下方で待機させていたクレードルロール8を上昇させ、コイル下面に押圧して上下位置を固定した後、コイル最外周に水冷にて0sec〜15secの冷却時間だけ冷却を施して冷却を停止し、その状態にて巻き取り装置内滞留時間を0〜30secの範囲で変更した。その後、ラッパーロール5a〜5dをコイルより退避させ、コイル抜き取りのためにマンドレル7を縮径した。この際、巻き取り条件によっては、スプリングバックによりコイルの巻き緩みが発生して大きく上下左右に振動するため、ビデオカメラによりこのコイルの動きを撮影し、その上下方向と左右方向の動きの詳細解析を行った。コイル内周部分は、スプリングバックにて広がることができないため形状がほとんど変化しないことから、コイルの動きは内周部の中心点の上下方向の最大移動量をコイル浮き上がり量と定義して評価を行った。なお、実機での冷却試験での外表面温度の測定結果とFEM解析結果を比較したところ、本実施例での水冷の熱伝達係数は表1に示すとおりであった。
表1に結果を示すが、判定の○はコイル浮き上がり量が3mm以下、△は3〜5mm、×は5mm以上の場合である。本発明によると、いずれの板厚においても巻き取り、除荷後のスプリングバックによるコイル浮き上がり量は3mm以下と良好であった。これに対し、巻き取り後のコイル外周水冷の熱伝達係数や冷却時間、あるいはその後の巻き取り装置内滞留時間(復熱させる時間)が不十分であった比較例では、22mm、25.4mmといった厚肉材でのコイル浮き上がり低減が不十分であり、本発明による効果が確認できた。
Figure 0005609366
1 熱延鋼板(コイル)
1b 尾端部
2 エプロン
3a、3b ピンチロール
4 スロートガイド
5a No.1ラッパーロール
5b No.2ラッパーロール
5c No.3ラッパーロール
5d No.4ラッパーロール
6 ストリップガイド
7 マンドレル
8 クレードルロール
9 冷却水噴射ノズル
10 穴

Claims (3)

  1. 熱延鋼板の巻き取り装置にて高強度熱延鋼板をコイル状に巻き取る方法であって、熱延鋼板の先端部から尾端部までをコイル状に巻き取った後、コイルに対して遊星状に配置された複数のラッパーロールをコイルに押し付けた状態にてコイルに対して冷却水を噴射し、コイル外周部を所定の冷却時間だけ冷却した後、冷却を停止してコイルを所定の滞留時間だけ巻き取り装置内に滞留させた後にラッパーロールを解放し、巻き取り機から抜き出すことを特徴とする、熱延鋼板の巻き取り方法。
  2. 請求項1において、コイル外周部の所定の冷却時間を5秒以上とすることを特徴とする、熱延鋼板の巻き取り方法。
  3. 請求項1又は2において、冷却停止後のコイルの所定の滞留時間を20秒以上とすることを特徴とする、熱延鋼板の巻き取り方法
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