JP5605427B2 - 発光素子、光源装置及び投射型表示装置 - Google Patents

発光素子、光源装置及び投射型表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光を出射するために表面プラズモンを利用した発光素子、光源装置及び投射型表示装置に関する。
光源の発光素子として発光ダイオード(LED)が用いられるLEDプロジェクタが提案されている。この種のLEDプロジェクタでは、LEDからの光が入射する照明光学系と、照明光学系からの光が入射する液晶表示板やDMD(Digital Micromirror Device)を有するライトバルブと、ライトバルブからの光を投射面上に投射するための投射光学系と、を備えて構成されている。
LEDプロジェクタでは、投射映像の輝度を高めるために、LEDからライトバルブまでの光路において光損失が可能な限り生じないようにすることが求められている。
また、非特許文献1に記載されているように、光源の面積と放射角との積で決まるエテンデュー(Etendue)による制約がある。つまり、光源の発光面積と放射角との積の値を、ライトバルブの入射面の面積と、照明光学系のFナンバーで決まる取り込み角(立体角)との積の値以下にしなければ、光源からの光が投射光として利用されない。
そのため、LEDからの出射光のエテンデューの低減を図ることによって、上述の光損失の低減を図ることが懸案となっている。
そして、LEDプロジェクタの光源には、数千ルーメンクラスの光束を放射する光源が求められており、その実現のためには、高輝度かつ高指向性を有するLEDが必要不可欠になっている。
このように高輝度かつ高指向性を有する発光素子の一例として、特許文献1には、図1に示すように、サファイア基板101上に、n型GaN層102、InGaN活性層103、p型GaN層104、ITO透明電極層105、及び2次元周期構造層109が順に積層されてなる半導体発光素子が開示されている。また、この発光素子は、一部を切り欠いて溝108が形成されており、溝108内のn型GaN層102の一部に設けられたn側ボンディング電極106と、ITO透明電極層105に設けられたp側ボンディング電極107と、を備えている。この発光素子では、InGaN活性層103から出る光の指向性が2次元周期構造層109によって高められて発光素子から出射される。
また、高輝度かつ高指向性を有する発光素子の他の例として、特許文献2には、図2に示すように、基板111上に、陽極層112、ホール輸送層113、発光層114、電子輸送層115、及び微小な周期的凹凸構造格子116aを有する陰極層116が順に積層されてなる有機EL素子110が開示されている。この発光素子は、陰極層116の微小な周期的凹凸構造格子116aと外部との界面を伝播する表面プラズモンの効果によって、発光素子からの出射光の放射角を±15°未満にすることが可能な高指向性を有している。
特開2005−005679号公報 特開2006−313667号公報
PhlatLightTM Photonic Lattice LEDs for RPTV Light Engines Christian Hoepfner, SID Symposium Digest 37, 1808 (2006)
上述したようにLEDプロジェクタでは、発光素子から一定角(例えば放射角±15°)以上で出射された光は、照明光学系やライトバルブに入射されずに光損失となる。特許文献1に記載の構成では、現在、数千ルーメンクラスの光束を放射するLEDが実現されており、高輝度を達成できるが、出射光の放射角を±15°未満に狭めることができていない。つまり、特許文献1に記載の発光素子は、出射光の指向性が乏しい問題がある。
一方、特許文献2に記載の構成では、表面プラズモンを利用することによって、出射光の放射角を±15°未満に狭めることができる。しかし、現在、数千ルーメンクラスの光束を放射する有機EL素子が存在しないので、特許文献2に記載の発光素子をLEDプロジェクタに適用したとしても十分な輝度が得られない問題がある。
すなわち、上述した特許文献1、2に開示された構成では、LEDプロジェクタに必要とされる、輝度と指向性を両立した発光素子を実現できなかった。
本発明の目的は、上記関連する技術の問題を解決できる発光素子、これを備える光源装置及び投射型表示装置を提供することである。
上述した目的を達成するため、本発明に係る発光素子は、光源層と、光源層の上に積層され光源層からの光が入射する光学素子層と、を備える。光源層は、基板と、基板の上に設けられた一対のホール輸送層及び電子輸送層と、を有する。光学素子層は、光源層における基板側の反対側に積層され光源層から出射する光の周波数よりも高いプラズマ周波数を有するプラズモン励起層と、プラズモン励起層の上に積層されプラズモン励起層によって生じる表面プラズモンを所定の出射角の光に変換して出射する出射層と、を有する。プラズモン励起層は、誘電性を有する2つの層の間に挟まれている。プラズモン励起層の光源層側に積層された構造全体を含む入射側部分の実効誘電率は、プラズモン励起層の出射層側に積層された構造全体と、出射層に接する媒質とを含む出射側部分の実効誘電率よりも高い。
また、本発明に係る光源装置は、本発明の発光素子と、発光素子から入射する軸対称偏光を所定の偏光状態に揃える偏光変換素子と、を備える。
また、本発明に係る投射型表示装置は、本発明の発光素子と、発光素子からの出射光を変調する表示素子と、表示素子の出射光によって投射映像を投射する投射光学系と、を備える。
本発明によれば、輝度の向上と、出射光の指向性の向上を両立することができるので、高輝度かつ高指向性を有する発光素子を実現できる。
特許文献1の構成を説明するための斜視図である。 特許文献2の構成を説明するための断面図である。 本実施形態の発光素子の模式的な構成の斜視図を示す。 本実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。 第2の実施形態の発光素子の模式的な構成の斜視図を示す。 第2の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。 第2の実施形態の発光素子の製造工程を説明するための断面図である。 第2の実施形態の発光素子の製造工程を説明するための断面図である。 第2の実施形態の発光素子の製造工程を説明するための断面図である。 第2の実施形態の発光素子の製造工程を説明するための断面図である。 第2の実施形態の発光素子の製造工程を説明するための断面図である。 第2の実施形態の発光素子の製造工程を説明するための断面図である。 第3の実施形態の発光素子の模式的な構成の斜視図を示す。 第3の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。 第4の実施形態の発光素子の模式的な構成の斜視図を示す。 第4の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。 第5の実施形態の発光素子が備える指向性制御層を模式的に示す斜視図である。 第6の実施形態の発光素子が備える指向性制御層を模式的に示す斜視図である。 第7の実施形態の発光素子が備える指向性制御層を模式的に示す斜視図である。 第8の実施形態の発光素子が備える指向性制御層を模式的に示す斜視図である。 第9の実施形態の発光素子が備える指向性制御層を模式的に示す斜視図である。 第10の実施形態の発光素子の模式的な構成の斜視図を示す。 第10の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。 実施形態の発光素子に適用される軸対称偏光用1/2波長板を示す斜視図である。 実施形態の発光素子に適用される軸対称偏光用1/2波長板の構造を示す縦断面図である。 実施形態の発光素子に適用される軸対称偏光用1/2波長板を説明するために示す模式図である。 実施形態の発光素子に適用される軸対称偏光用1/2波長板を説明するために示す模式図である。 実施形態の発光素子が軸対称偏光用1/2波長板を備えない構成の場合における、出射光のファーフィールドパターンと偏光方向を示す模式図である。 実施形態の発光素子が軸対称偏光用1/2波長板を備える構成の場合における、出射光のファーフィールドパターンと偏光方向を示す模式図である。 第2の実施形態の発光素子の出射光における角度分布を示す図である。 第5の実施形態の発光素子の出射光における角度分布を示す図である。 第5の実施形態の発光素子において、実効誘電率から求まるプラズモン共鳴角と、多層膜反射計算によって求まるプラズモン共鳴角とを比較して示す図である。 実施形態の発光素子が適用されるLEDプロジェクタを模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図3Aに、本実施形態の発光素子の模式的な構成の斜視図を示す。図3Bに、本実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。なお、発光素子において、実際の個々の層の厚さが非常に薄く、またそれぞれ層の厚さの違いが大きいので、各層を正確なスケール、比率で図を描くことが困難である。このため、図面では各層が実際の比率通りに描かれておらず、各層を模式的に示している。
図3Aに示すように、第1の実施形態の発光素子1は、光源層4と、この光源層4の上に積層され光源層4からの光が入射する光学素子層としての指向性制御層5と、を備えている。
光源層4は、基板10と、この基板10の上に設けられた一対のホール輸送層11及び電子輸送層13と、を有している。基板10上には、基板10側から、ホール輸送層11、電子輸送層13の順にそれぞれ積層されている。
指向性制御層5は、光源層4の基板10側に対する反対側に設けられている。指向性制御層5は、光源層4から出射する光の周波数よりも高いプラズマ周波数を有するプラズモン励起層15と、このプラズモン励起層15の上に積層されプラズモン励起層15から入射する光を所定の出射角に変換して出射する出射層としての波数ベクトル変換層17と、を有している。
また、図3A及び図3Bに示すように、発光素子1は、ホール輸送層11の厚さ方向に直交する面の一部が露出するように、ホール輸送層11の上方の各層の一部が切り欠かれており、露出されたホール輸送層11の一部に陽極19が設けられている。同様に、発光素子1は、プラズモン励起層15の厚さ方向に直交する面の一部が外部に露出するように、プラズモン励起層15上の波数ベクトル変換層17の一部が切り欠かれており、露出されたプラズモン励起層15の一部が陰極18として機能する。したがって、本実施形態の発光素子1の構成では、プラズモン励起層15から電子が注入され、陽極19からホール(正孔)が注入される。
なお、光源層4における電子輸送層13とホール輸送層11の相対的な位置は、本実施形態におけるそれぞれの位置と反対に配置されてもよい。また、表面が露出したプラズモン励起層15上の一部または全部に、プラズモン励起層15とは異なる材料によって形成された陰極が設けられてもよい。陰極、陽極としては、LED、有機ELを構成する陰極、陽極が用いられてもよい。陰極がプラズモン励起層15上の露出した表面全面にわたって形成される場合は、光源層4から出射する光の周波数において透明であることが望ましい。
発光素子1の周囲の媒質は、固体、液体、気体のいずれであってもよく、発光素子1の基板10側と波数ベクトル変換層17側とがそれぞれ異なる媒質であってもよい。
ホール輸送層11には、一般的なLEDや、半導体レーザを構成するp型半導体や、有機EL用のホール輸送層である芳香族アミン化合物やテトラフェニルジアミン等が用いられてもよい。
電子輸送層13には、一般的なLEDや、半導体レーザを構成するn型半導体や、有機EL用電子輸送層であるAlq3、オキサジアゾール(PBD)、トリアゾール(TAZ)が用いられてもよい。
また、図3Aは、本発明に係る発光素子1が備える光源層4の基本構成を示しており、光源層4を構成する各層の間に、例えばバッファ層や、更に別のホール輸送層、電子輸送層等の他の層が挿入される構成であってもよく、周知のLED、有機ELの構造を適用することができる。
また、光源層4は、ホール輸送層11と基板10との間に、活性層12からの光を反射する反射層(不図示)が設けられてよい。この構成の場合、反射層としては、例えばAgやAl等の金属膜、誘電体多層膜などが挙げられる。
また、プラズモン励起層15は、誘電性を有する2つの層の間に挟まれている。本実施形態では、これら2つの層が、電子輸送層13と波数ベクトル変換層17に対応している。そして、本実施形態における発光素子1は、プラズモン励起層15の光源層4側に積層された構造全体を含む入射側部分(以下、入射側部分と称する)の実効誘電率が、プラズモン励起層15の波数ベクトル変換層17側に積層された構造全体と、波数ベクトル変換層17に接する媒質とを含む出射側部分(以下、出射側部分と称する)の実効誘電率よりも高くなるように構成されている。プラズモン励起層15の波数ベクトル変換層17側に積層された構造全体には、波数ベクトル変換層17が含まれる。
つまり、第1の実施形態では、プラズモン励起層15に対する、光源層4全体を含む入射側部分の実効誘電率が、プラズモン励起層15に対する、波数ベクトル変換層17と媒質とを含む出射側部分の実効誘電率よりも高くなっている。
詳細には、プラズモン励起層15の入射側部分(光源層4側)の複素実効誘電率の実部が、プラズモン励起層15の出射側部分(波数ベクトル変換層17側)の複素実効誘電率の実部よりも高く設定されている。
ここで、複素実効誘電率εeffは、プラズモン励起層15の界面に平行な方向をx軸、y軸、プラズモン励起層15の界面に垂直な方向をz軸とし、光源層4から出射する光の角周波数をω、プラズモン励起層15に対する入射側部分または出射側部分における誘電体の誘電率分布をε(ω,x,y,z)、表面プラズモンの波数をkspp,z、虚数単位をjとすれば、
Figure 0005605427
で表される。ここで積分範囲Dは、プラズモン励起層15に対する入射側部分または出射側部分の三次元座標の範囲である。言い換えれば、この積分範囲Dにおけるx軸及びy軸方向の範囲は、入射側部分が含む構造体の外周面または出射側部分が含む構造体の外周面までの媒質を含まない範囲であり、プラズモン励起層15の界面に平行な面内の外縁までの範囲である。また、積分範囲Dにおけるz軸方向の範囲は、入射側部分または出射側部分(媒質を含む)の範囲である。なお、積分範囲Dにおけるz軸方向の範囲に関しては、プラズモン励起層15と、プラズモン励起層15に隣接する、誘電性を有する層との界面を、z=0となる位置とし、この界面から、プラズモン励起層15の、上記隣接する層側の無限遠までの範囲であり、この界面から遠ざかる方向を、式(1)における(+)z方向とする。
また、表面プラズモンの波数のz成分kspp,z、表面プラズモンの波数のx、y成分ksppは、プラズモン励起層15の誘電率の実部をεmetal、真空中での光の波数をk0とすれば、
Figure 0005605427
Figure 0005605427
で表される。
したがって、式(1)、式(2)、式(3)を用い、ε(ω,x,y,z)として、プラズモン励起層15の入射側部分の誘電率分布εin(ω,x,y,z)、プラズモン励起層15の出射側部分の誘電率分布εout(ω,x,y,z)をそれぞれ代入して、計算することで、プラズモン励起層15に対する入射側部分の複素実効誘電率層εeffin、及び出射側部分の複素実効誘電率εeffoutがそれぞれ求まる。実際には、複素実効誘電率εeffとして適当な初期値を与え、式(1)、式(2)、式(3)を繰り返し計算することで、複素実効誘電率εeffを容易に求められる。なお、プラズモン励起層15に接する層の誘電率の実部が非常に大きい場合には、その界面における表面プラズモンの波数のz成分kspp,zが実数となる。これは、その界面において表面プラズモンが発生しないことに相当する。そのため、プラズモン励起層15に接する層の誘電率が、この場合の実効誘電率に相当する。
ここで、表面プラズモンの有効相互作用距離を、表面プラズモンの強度がe−2となる距離とすれば、表面プラズモンの有効相互作用距離deffは、
Figure 0005605427
で表わされる。
なお、プラズモン励起層15を除き、光源層4を含めたいずれの層や、波数ベクトル変換層17に接する媒質においても、複素誘電率の虚部は可能な限り低い方が好ましい。複素誘電率の虚部を可能な限り低くすることで、プラズモン結合を生じさせ易くし、光損失を低減することができる。
プラズモン励起層15は、光源層4が発生する光の周波数(発光周波数)よりも高いプラズマ周波数を有する材料によって形成された微粒子層または薄膜層である。言い換えれば、プラズモン励起層15は、光源層4が発生する発光周波数において負の誘電率を有している。
プラズモン励起層15の材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウム、アルミニウム、またはこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、プラズモン励起層15の材料としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム及びこれらを主成分とする合金が好ましく、金、銀、白金、アルミニウム及びそれらを主成分とする合金が特に好ましい。
プラズモン励起層15の厚さは、200nm以下に形成されるのが好ましく、10nm〜100nm程度に形成されるのが特に好ましい。波数ベクトル変換層17とプラズモン励起層15との界面から、電子輸送層13とホール輸送層11との界面までの距離は、短ければ短いほどよい。なお、この距離の許容最大値は、電子輸送層13とホール輸送層11の界面と、プラズモン励起層15との間でプラズモン結合が起こる距離に相当し、式(4)を用いて算出できる。
波数ベクトル変換層17は、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面に励起された表面プラズモンの波数ベクトルを変換することで、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面から光を取り出し、発光素子1から光を出射すための出射層である。言い換えれば、波数ベクトル変換層17は、表面プラズモンを所定の出射角の光に変換して発光素子1から出射する。つまり、波数ベクトル変換層17は、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面にほぼ直交するように、発光素子1から出射光を出射させる機能を奏している。
波数ベクトル変換層17としては、例えば、表面レリーフ格子、フォトニック結晶に代表される周期構造、準周期構造、又は準結晶構造、光源層4からの光の波長よりも大きなテクスチャー構造、例えば粗面が形成された表面構造、ホログラム、マイクロレンズアレイ等を用いたものが挙げられる。なお、準周期構造とは、例えば周期構造の一部が欠けている不完全な周期構造を指している。これらの中でも、フォトニック結晶に代表される周期構造、準周期構造、準結晶構造、マイクロレンズアレイを用いるのが好ましい。これは、光の取り出し効率を高められるだけでなく、指向性を制御できるからである。また、フォトニック結晶を用いる場合には、結晶構造が三角格子構造を採ることが望ましい。また、波数ベクトル変換層17としては、平板状の基部の上に、周期構造を構成する凸部または凹部が形成された構造であってもよい。
以上のように構成された発光素子1において、波数ベクトル変換層17から光を出射する動作を説明する。
陰極としての、プラズモン励起層15の一部から電子が注入され、陽極19からホールが注入される。プラズモン励起層15の一部及び陽極19から光源層4に注入された電子とホールは、それぞれ電子輸送層13とホール輸送層11を通って、電子輸送層13とホール輸送層11との間に注入される。電子輸送層13とホール輸送層11との間に注入された電子とホールは、プラズモン励起層15中の電子またはホールと結合し、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面に表面プラズモンを励起する。この界面に励起された表面プラズモンは、波数ベクトル変換層17で回折されて、波数ベクトル変換層17から所定の出射角の光として出射される。
プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面の誘電率が空間的に均一、つまり平坦な面である場合には、この表面プラズモンを取り出すことはできない。このため、本発明では、波数ベクトル変換層17を設けることで、表面プラズモンを回折し、光として取り出すことができる。最も強度が高い出射角を中心出射角としたとき、波数ベクトル変換層17から出射する光の中心出射角θradは、波数ベクトル変換層17の周期構造のピッチをΛとすれば、
Figure 0005605427
で表わされる。ここで、i は自然数である。式(5)が「0」となる条件を除いて、波数ベクトル変換層17の一点から出射される光は、伝播するにつれて同心円状に広がる円環状の強度分布を有している。式(5)が「0」となる条件では、発光素子1における波数ベクトル変換層17の厚さ方向に直交する平面に垂直な方向の強度が最も高く、発光素子1からの光の出射方向と発光素子1の上記平面とがなす角が小さいほど、強度が低くなる。プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面には、式(3)より求まる波数近傍の波数しか存在しないので、式(5)より求まる出射光の角度分布も狭くなる。
上述したように第1の実施形態の発光素子1は、光源層4を構成する材料に一般的なLEDと同じ材料が用いられるので、LEDと同様に高い輝度を実現できる。また、本実施形態の発光素子1では、波数ベクトル変換層17から出射する光の出射角が、プラズモン励起層15の複素誘電率と、プラズモン励起層15を挟んでいる入射側部分の実効誘電率と、出射側部分の実効誘電率と、発光素子1内で発生する光の発光スペクトルとによって決定される。このため、発光素子1からの出射光の指向性が、光源層4の指向性に制限されることがなくなる。また、本実施形態の発光素子1は、放射過程においてプラズモン結合を応用することによって、発光素子1からの出射光の放射角を狭めて出射光の指向性を高めることができる。
したがって、本実施形態によれば、輝度の向上と、出射光の指向性の向上を両立することができる。また、本実施形態によれば、発光素子1からの出射光の指向性が向上するので、出射光のエテンデューを低減することができる。
なお、第1の実施形態の発光素子1の製造工程は、後述する第2の実施形態の発光素子の製造工程と類似しており、第2の実施形態における活性層を形成する工程を有していないことを除いて、第2の実施形態における製造工程と同様である。そのため、ここでは第1の実施形態の発光素子1の製造工程についての説明を省略する。
以下、他の実施形態の発光素子を説明する。他の実施形態の発光素子は、第1の実施形態の発光素子1と比べて光源層4または指向性制御層5の構成のみが異なっているので、第1の実施形態と異なる光源層または指向性制御層についてのみ説明する。なお、他の実施形態の発光素子において、第1の実施形態における光源層4及び指向性制御層5が有する層と同一の層には、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
(第2の実施形態)
図4Aに、第2の実施形態の発光素子の模式的な斜視図を示す。図4Bに、第2の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。
図4A及び図4Bに示すように、第2の実施形態の発光素子2は、光源層24と、この光源層24の上に積層され光源層24からの光が入射する指向性制御層5と、を備えている。第2の実施形態の発光素子2が備える指向性制御層5は、第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。第2の実施形態の発光素子2が備える光源層24は、活性層12がホール輸送層11と電子輸送層13との間に形成されている点のみが、第1の実施形態における光源層4と異なっている。
光源層24が有する活性層12としては、LEDや有機ELに用いられる材料と同様の材料を用いることができ、例えばInGaN、AlGaAs、AlGaInP、GaN、ZnO、ダイヤモンド等の無機材料(半導体)、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、Alq3等の有機材料(半導体材料)が用いられる。また、活性層12は量子井戸構造を採るのが好ましい。また、活性層12は、発光スペクトルの幅が狭ければ狭いほど好ましい。
なお、第2の実施形態の発光素子2では、波数ベクトル変換層17とプラズモン励起層15との界面から、電子輸送層13と活性層12との界面までの距離が短ければ短いほどよい。この距離の許容最大値は、活性層12とプラズモン励起層15との間でプラズモン結合が起こる距離に相当し、式(4)より算出される。
また、第2の実施形態の発光素子2では、プラズモン励起層15の一部及び陽極19から光源層24に注入された電子とホールが、それぞれ電子輸送層13とホール輸送層11を通って、活性層12に注入される。活性層12に注入された電子とホールは、プラズモン励起層15中の電子またはホールと結合し、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面に表面プラズモンが励起される。励起された表面プラズモンは、波数ベクトル変換層17で回折されて、波数ベクトル変換層17から出射される。
図5A〜図5Fに、第2の実施形態の発光素子2の製造工程を示す。これはあくまで一例であって、この製造方法に限定されるものではない。また、基板10の上に、図5Aに示すように、ホール輸送層11、活性層12、電子輸送層13を積層する工程については、公知の一般的な工程を採ることができるので、説明を省略する。また、上述したように、第1の実施形態の発光素子1の製造工程では、活性層12を形成する工程だけが省かれる。
続いて、例えば物理蒸着、電子線ビーム蒸着やスパッタ等を用いて、図5Bに示すように、電子輸送層13の上に、プラズモン励起層15、波数ベクトル変換層17の順にそれぞれ積層する。
次に、図5Cに示すように、波数ベクトル変換層17上にレジスト膜20をスピンコート法で塗布し、図5Dに示すように、ナノインプリント技術やフォトリソグラフィ技術、電子線リソグラフィ技術でレジスト膜20にフォトニック結晶のネガパターンを転写する。続いて、ドライエッチングによって、図5Eに示すように所望の深さまで波数ベクトル変換層17をエッチングし、その後、図5Fに示すようにレジスト膜20を波数ベクトル変換層17から剥離する。最後に、エッチングによってプラズモン励起層15及びホール輸送層11の表面一部を露出させ、ホール輸送層11の一部に陽極19を設けることで、発光素子2が完成する。
本実施例によれば、基板10、ホール輸送層11、活性層12、電子輸送層13、プラズモン励起層15を平坦に形成できる。各層において構造的な制限がないので、比較的容易に作製できる。
(第3の実施形態)
図6Aに、第3の実施形態の発光素子の模式的な斜視図を示す。図6Bに、第3の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。
図6A及び図6Bに示すように、第3の実施形態の発光素子3は、光源層34と、この光源層34の上に積層され光源層34からの光が入射する指向性制御層5と、を備えている。第3の実施形態の発光素子3が備える指向性制御層5は、第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。第3の実施形態の発光素子3が備える光源層34は、陽極としての陽極層29が、基板10とホール輸送層11との間に、基板10の全面にわたって形成されている点のみが、第2の実施形態における光源層24と異なっている。
第3の実施形態では、陽極層29が、活性層12からの光を反射する反射層としての役割を果たしている。したがって、第3の実施形態では、活性層12から基板10側に放射される光を波数ベクトル変換層17側へ反射することが可能になり、活性層12からの光取り出し効率が向上されている。陽極層29としては、例えばAg、Au、Alや、それらを主要成分とする合金等の金属薄膜、Ag、Au、Alのいずれかを含む多層膜が用いられる。また、陽極層29として、LED、有機ELを構成する陽極材料を同様に用いてもよい。
また、第3の実施形態では、陽極層29が、放熱板としての役割も果たしている。このため、光源層34は、発光に伴う発熱によって内部量子効率が低下するのを防ぐことができる。
また、陽極層29は、ホールの移動度を高めている。ほとんどの場合、ホールの移動度は電子の移動度よりも低い。そのため、ホールの注入が電子の注入に間に合わず、内部量子効率が制限されてしまう。つまり、陽極層29を有することによって、光源層34は、内部量子効率が向上される。また、陽極層29を有することによって、発光素子3の面内方向に対するホールの移動度を向上させているので、光源層34は、面内において更に均一に発光することができる。
また、表面が露出したプラズモン励起層15の一部または全部に、プラズモン励起層15とは異なる材料によって形成された陰極が設けられてもよい。陰極、陽極としては、LED、有機ELを構成する陰極、陽極が用いられてもよい。陰極がプラズモン励起層15上の露出した表面全面にわたって形成される場合は、光源層4から出射する光の周波数において透明であることが望ましい。また、陽極層29の露出した部分の上に陽極層29とは異なる材料によって形成された陽極が設けられてもよい。
(第4の実施形態)
図7Aに、第4の実施形態の発光素子の模式的な斜視図を示す。図7Bに、第4の実施形態の発光素子が備えるプラズモン励起層の模式的な斜視図を示す。
図7A及び図7Bに示すように、第4の実施形態の発光素子6は、光源層36と、この光源層36の上に積層され光源層36からの光が入射する指向性制御層8と、を備えている。
第4の実施形態における光源層36は、基板10と、この基板10の上に設けられた一対の電子輸送層21及びホール輸送層31と、電子輸送層21とホール輸送層31との間に形成された活性層12と、を有している。本実施形態において、基板10上には、基板10側から、電子輸送層21、活性層12、ホール輸送層31の順にそれぞれ積層されている。また、電子輸送層21の厚さ方向に直交する面の一部が露出するように、電子輸送層21の上方の各層の一部がそれぞれ切り欠かれており、露出された電子輸送層21の一部に陽極19が設けられている。
そして、第4の実施形態における指向性制御層8は、上述した実施形態のプラズモン励起層15と異なるプラズモン励起層39を備えている。
図7Bに示すように、プラズモン励起層39は、厚さ方向に貫通する複数のスルーホール39aを有しており、これらスルーホール39a内に導電材料としての電極用材料が埋め込まれている。このようにスルーホール39a内に電極用材料を埋め込むことで、プラズモン励起層39には複数の電流注入部49が形成されている。電流注入部49を構成する電極用材料としては、LEDや有機ELに用いられる電極用材料が用いられる。
また、本実施形態において、プラズモン励起層39のスルーホール39aには、ホール輸送層31の仕事関数よりもわずかに高い仕事関数を持つ電極用材料が埋め込まれている。電子輸送層21とホール輸送層31との相対位置が本実施形態と逆向きであってもよく、その場合は、電子輸送層の仕事関数よりもわずかに低い仕事関数を有する材料をスルーホール39a内に埋め込む。
例えば、図7Aに示すように、指向性制御層8側に配置されたホール輸送層31がp型GaN、電子輸送層21がn型GaN、プラズモン励起層39がAgで構成されている場合は、電流注入部49を構成する電極用材料として例えばNi、Cr、ITOが用いられる。
本実施形態によれば、プラズモン励起層39と電子輸送層21との間で良好なオーミック接触が得られない、または、プラズモン励起層が障壁として働く場合であっても、プラズモン励起層39が有する電流注入部49によって、電子またはホールを活性層12に効率良く注入することができる。
なお、電子輸送層21とホール輸送層31との相対位置が本実施形態と逆向きであっても、適切な電極用材料を用いて電流注入部49を形成することで、上述と同様の効果が得られる。また、電流注入部は、プラズモン励起層39の厚さ方向に対して複数の材料が積層された積層構造であってもよい。
また、キャリア注入型の発光素子において、電子またはホールを活性層12に効率良く注入するためには、ホール輸送層31の仕事関数よりもわずかに高い仕事関数を持つ材料を陽極19として用い、電子輸送層21の仕事関数よりもわずかに低い仕事関数を持つ材料を陰極として用いる必要がある。
以上のように構成された第4の実施形態における指向性制御層8によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られると共に、プラズモン励起層39を備えることで電子またはホールを活性層12に効率良く注入することができる。
(第5の実施形態)
図8に、第5の実施形態の発光素子が備える指向性制御層の斜視図を示す。図8に示すように、第5の実施形態における指向性制御層25は、光源層4の電子輸送層13に積層されるプラズモン励起層15と、このプラズモン励起層15に積層される誘電率層14と、この誘電率層14に積層される波数ベクトル変換層17と、を有している。
したがって、第5の実施形態では、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との間に、誘電率層14を独立して備えている点が第1の実施形態と異なっている。この誘電率層14は、後述する第6の実施形態における誘電率層16(高誘電率層16)よりも誘電率が低く設定されているので、以降、低誘電率層14と称する。低誘電率層14の誘電率としては、プラズモン励起層15に対する入射側部分の実効誘電率よりも出射側部分の実効誘電率が低く保たれる範囲が許容される。つまり、低誘電率層14の誘電率が、プラズモン励起層15に対する入射側部分の実効誘電率よりも小さい必要はない。
低誘電率層14は、波数ベクトル変換層17と異なる材料によって形成されてもよい。このため、本実施形態は、波数ベクトル変換層17の材料選択の自由度を高めることができる。
低誘電率層14としては、例えば、SiO、AlF、MgF、NaAlF、NaF、LiF、CaF、BaF、低誘電率プラスチック等からなる薄膜又は多孔質膜を用いるのが好ましい。また、低誘電率層14の厚さは、可能な限り薄い方が望ましい。なお、この厚さの許容最大値は、低誘電率層14の厚さ方向に生じる表面プラズモンのしみだし長に相当し、式(4)を用いて算出できる。指数関数的にプラズモンの強度が減衰するので、低誘電率層14の厚さが、式(4)によって算出される値を超えた場合には、効率の良い素子が得られない。つまり、波数ベクトル変換層17のプラズモン励起層15側の面と、プラズモン励起層15の波数ベクトル変換層17側の面との間の距離は、式(4)によって算出される値以下である必要がある。
第5の実施形態における指向性制御層25においても、プラズモン励起層15でプラズモン結合を生じさせるために、光源層4全体を含む入射側部分の実効誘電率は、波数ベクトル変換層17及び低誘電率層14と、波数ベクトル変換層17に接する媒質とを含む出射側部分の実効誘電率よりも高く設定されている。
以上のように構成された第5の実施形態における指向性制御層25によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られると共に、独立した低誘電率層14を備えることで、プラズモン励起層15の出射側部分の実効誘電率の調整を容易にすることが可能になる。
(第6の実施形態)
図9に、第6の実施形態の発光素子が備える指向性制御層の斜視図を示す。図9に示すように、第6の実施形態における指向性制御層35は、光源層24の電子輸送層13に積層される高誘電率層16と、この高誘電率層16に積層されるプラズモン励起層15と、このプラズモン励起層15に積層される波数ベクトル変換層17と、を有している。
したがって、第6の実施形態では、プラズモン励起層15と電子輸送層13との間に、誘電率層16を独立して備えている点が第1の実施形態と異なっている。この誘電率層16は、上述の第5の実施形態における低誘電率層14よりも誘電率が高く設定されているので、以降、高誘電率層16と称する。高誘電率層16の誘電率は、プラズモン励起層15に対する入射側部分の実効誘電率よりも出射側部分の実効誘電率が低く保たれる範囲が許容される。つまり、高誘電率層16の誘電率が、プラズモン励起層15に対する出射側部分の実効誘電率よりも大きい必要はない。
高誘電率層16は、電子輸送層13と異なる材料によって形成されてもよい。このため、本実施形態は、電子輸送層13の材料選択の自由度を高めることができる。
高誘電率層16としては、例えば、ダイヤモンド、TiO、CeO2、Ta5、ZrO2、Sb、HfO、La、NdO、Y、ZnO、Nb等の高誘電率材料からなる薄膜又は多孔質膜を用いるのが好ましい。また、高誘電率層16は、導電性を有する材料で形成されるのが好ましい。高誘電率層16の厚さは、可能な限り薄い方が望ましい。なお、この厚さの許容最大値は、電子輸送層13とプラズモン励起層15との間でプラズモン結合が生じる距離に相当し、式(4)より算出される。
第6の実施形態における指向性制御層35においても、プラズモン励起層15でプラズモン結合を生じさせるために、光源層4及び高誘電率層16を含む入射側部分の実効誘電率は、波数ベクトル変換層17と、波数ベクトル変換層17に接する媒質とを含む出射側部分の実効誘電率よりも高く設定されている。
以上のように構成された第6の実施形態における指向性制御層35によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られると共に、独立した高誘電率層16を備えることで、プラズモン励起層15の入射側部分の実効誘電率の調整を容易にすることが可能になる。
(第7の実施形態)
図10に、第7の実施形態の発光素子が備える指向性制御層の斜視図を示す。図10に示すように、指向性制御層45は、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との間に挟まれて設けられた低誘電率層14と、電子輸送層13とプラズモン励起層15との間に挟まれて設けられ、低誘電率層14よりも誘電率が高い高誘電率層16と、を備えている。
第7の実施形態における指向性制御層45においても、プラズモン励起層15でプラズモン結合を生じさせるために、光源層4全体及び高誘電率層16を含む入射側部分の実効誘電率は、波数ベクトル変換層17及び低誘電率層14と、波数ベクトル変換層17に接する媒質とを含む出射側部分の実効誘電率よりも高く設定されている。
以上のように構成された第7の実施形態における指向性制御層45によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られると共に、独立した低誘電率層14及び高誘電率層16を備えることで、プラズモン励起層15の出射側部分の実効誘電率、及びプラズモン励起層15の入射側部分の実効誘電率のそれぞれの調整を容易にすることが可能になる。
(第8の実施形態)
図11に、第8の実施形態の発光素子が備える指向性制御層の斜視図を示す。図11に示すように、第8の実施形態における指向性制御層55は、第1の実施形態における指向性制御層5と同様の構成であり、第7の実施形態における低誘電率層14及び高誘電率層16が、それぞれ積層された複数の誘電体層によって構成されている点が異なっている。
つまり、第8の実施形態における指向性制御層55は、複数の誘電体層23a〜23cが積層されてなる低誘電率層群23と、複数の誘電体層26a〜26cが積層されてなる高誘電率層群26と、を備えている。
低誘電率層群23では、プラズモン励起層15に近い方からフォトニック結晶からなる波数ベクトル変換層17側に向って誘電率が単調に低くなるように、複数の誘電体層23a〜23cが配置されている。同様に、高誘電率層群26では、光源層24の電子輸送層13に近い方からプラズモン励起層15に向かって誘電率が単調に高くなるように、複数の誘電体層26a〜26cが配置されている。
低誘電率層群23の全体の厚さは、指向性制御層が独立した低誘電率層を備える実施形態における低誘電率層と等しい厚さに設定されている。同様に、高誘電率層群26の全体の厚さは、指向性制御層が独立した高誘電率層を備える実施形態における高誘電率層と同じ厚さに設定されている。なお、低誘電率層群23及び高誘電率層群26は、それぞれ3層構造で示したが、例えば2〜5層程度の層構造で構成することができる。また、必要に応じて、低誘電率層群及び高誘電率層群をそれぞれ構成する誘電体層の数が異なる構成や、低誘電率層及び高誘電率層の一方のみが複数の誘電率層からなる構成としてもよい。
このように低誘電率層群23及び高誘電率層群26が複数の誘電体層23a〜23c、26a〜26cから構成されることで、プラズモン励起層15の界面に隣接する各誘電体層23c、26aの誘電率を良好に設定すると共に、光源層24の電子輸送層13と、波数ベクトル変換層17または波数ベクトル変換層17に接する空気等の媒質と、これらにそれぞれ隣り合う誘電体層23a、26cとの屈折率のマッチングを好ましく設定することが可能になる。つまり、高誘電体層群26は、光源層24の電子輸送層13との界面での屈折率差を小さくし、低誘電体層群23は、波数ベクトル変換層17または空気等の媒質との界面での屈折率差を小さくすることが可能になる。
以上のように構成された第8の実施形態の指向性制御層55によれば、プラズモン励起層15に隣接する各誘電体層23c、26aの誘電率を良好に設定すると共に、光源層24の電子輸送層13及び波数ベクトル変換層17との界面での屈折率差を小さく設定することが可能になる。このため、指向性制御層55は、光損失を更に低減し、光源層24からの光の利用効率を更に高めることができる。
なお、低誘電率層群23及び高誘電率層群26の代わりに、内部で誘電率が単調に変化する単層膜が用いてもよい。この構成の場合、高誘電率層は、誘電率が光源層24の電子輸送層13側からプラズモン励起層15側に向かって次第に高くなる分布を有する。また同様に、低誘電率層は、誘電率がプラズモン励起層15側から波数ベクトル変換層17側に向かって次第に低くなる分布を有する。
(第9の実施形態)
図12に、第9の実施形態の発光素子が備える指向性制御層の斜視図を示す。図12に示すように、第9の実施形態における指向性制御層65では、第1の実施形態における指向性制御層5と同様の構成であり、プラズモン励起層群33が、積層された複数の金属層33a,33bによって構成されている点が異なっている。
第9の実施形態における指向性制御層65のプラズモン励起層群33では、金属層33a、33bがそれぞれ異なる金属材料によってそれぞれ形成されて積層されている。これによって、プラズモン励起層群33は、プラズマ周波数を調整することが可能になっている。
プラズモン励起層群33におけるプラズマ周波数が高くなるように調整する場合には、例えば、金属層33a,33bをそれぞれAg及びAlによって形成する。また、プラズモン励起層群33におけるプラズマ周波数が低くなるように調整する場合には、例えば、異なる金属層33a,33bをそれぞれAg及びAuによって形成する。なお、プラズモン励起層群33は、一例として2層構造を示したが、必要に応じて3層以上の金属層によって構成されてもよいことは勿論である。また、プラズモン励起層群33の厚さは、200nm以下に形成されるのが好ましく、10nm〜100nm程度に形成されるのが特に好ましい。
以上のように構成された第9の実施形態の指向性制御層65によれば、プラズモン励起層群33が複数の金属層33a,33bによって構成されることによって、プラズモン励起層群33における実効的なプラズマ周波数を、活性層12の発光周波数に近づくように調整できる。このため、プラズモン励起層群33中の電子またはホールと、活性層12中の電子またはホールとが良好に結合し、出射効率を高められる。
(第10の実施形態)
図13Aに、第10の実施形態の発光素子の模式的な斜視図を示す。図13Bに、第10の実施形態の発光素子の模式的な平面図を示す。
図13A及び図13Bに示すように、第10の実施形態の発光素子9が備える光源層44は、第2の実施形態における光源層24の電子輸送層13に、透明電極層40が積層されて構成された一般的なLED構造を有している。すなわち、光源層44は、基板10側の反対側に積層された透明電極層40を有している。そして、光源層44は、このようなLED構造の透明電極層40の上に、活性層12と異なる別の活性層22が積層されている。
なお、第1の実施形態における光源層4は、上述した別の活性層22と同様に、ホール輸送層11と電子輸送層13との界面からの光によって電子及びホールが生成される活性層と、透明電極層とを有する構成にされてもよい。また、本実施形態における光源層44は、ホール輸送層11の一部に陽極19が設けられたが、第3の実施形態と同様に、基板10とホール輸送層11との間に陽極層29が設けられる構成にされてもよい。
第10の実施形態の発光素子9では、光源層44への電流注入によって、活性層12から出た光は、別の活性層22中に電子とホールを励起する。別の活性層22に生成された電子とホールは、上述したようにプラズモン励起層15中の電子またはホールとプラズモン結合することで、プラズモン励起層15と波数ベクトル変換層17との界面に表面プラズモンを励起する。励起された表面プラズモンが波数ベクトル変換層17で回折されることによって、所定の出射角で所定の波長の光として出射される。
以上のように構成された第10の実施形態の発光素子9によれば、所望の波長の光を出射する場合に、活性層として用いる発光材料の選択の幅が広がる。例えば、緑色の出射光を得るための発光材料であって、電流注入において高い発光効率を有する無機材料は知られていないが、光注入によって高い発光効率を有する無機材料は周知である。本実施形態では、このような特性の発光材料を用いる場合に、活性層12及び別の活性層22を有する光源層44を備えることによって、一旦、活性層12に電流注入して得られた光を別の活性層22に光注入することができる。これによって、別の活性層22として用いた発光材料の特性を効率的に利用し、光源層44の発光効率を向上することができる。
(実施形態の光源装置)
次に、上述した第2の実施形態の発光素子2の出射側に、軸対称偏光用1/2波長板が配置された光源装置について説明する。図14に、上述した発光素子2に適用される軸対称偏光用1/2波長板を説明するための斜視図を示す。
図14に示すように、実施形態の光源装置は、発光素子2から入射する軸対称偏光を所定の偏光状態に揃える偏光変換素子として、発光素子2からの入射光を直線偏光する軸対称偏光用1/2波長板50を備えている。軸対称偏光用1/2波長板50は、発光素子2の波数ベクトル変換層17側に配置されている。発光素子2からの出射光を軸対称偏光用1/2波長板50によって直線偏光することで、偏光状態が揃えられた出射光を実現できる。なお、偏光変換素子によって軸対称偏光を所定の偏光状態に揃えることには、直線偏光することに限定するものではなく、円偏光することも含まれる。また、軸対称偏光用1/2波長板50を備える光源装置には、上述した第1〜第10の実施形態の発光素子のいずれに適用されてもよいことは勿論である。
図15に、軸対称偏光用1/2波長板50の構造の縦断面図を示す。軸対称偏光用1/2波長板50の構成は、あくまで一例であって、この構成に限定されない。図15に示すように、軸対称偏光用1/2波長板50は、配向膜51,54がそれぞれ形成された一対のガラス基板56,57と、これらガラス基板56,57の配向膜51,54を対向させてガラス基板56,57の間に挟んで配置された液晶層53と、ガラス基板56,57の間に配置されたスペーサ52と、を備えている。
液晶層53は、常光に対する屈折率をno、異常光に対する屈折率をneとすると、屈折率neが屈折率noよりも大きい。また、液晶層53の厚さdは、(ne−no)×d=λ/2を満たしている。なお、λは真空中における入射光の波長である。
図16A及び図16Bに、軸対称偏光用1/2波長板50を説明するための模式図を示す。図16Aに、軸対称偏光用1/2波長板50の液晶層53を、ガラス基板56,57の主面に平行に切った状態の横断面図を示す。図16Bに、液晶分子58の配向方向を説明するための模式図を示す。
図16Aに示すように、液晶分子58は、軸対称偏光用1/2波長板50の中心に対して同心円状に配置されている。また、液晶分子58は、図16Bに示すように、液晶分子58の主軸とこの主軸近傍の座標軸とのなす角をΦとし、座標軸と偏光方向とがなす角をθとすると、液晶分子58は、θ=2Φ、または、θ=Φ+90のいずれかの関係式を満たす方向に配向されている。ここで、図16Aと図16Bは同一面内を示している。
図17に、発光素子が軸対称偏光用1/2波長板を備えない構成の場合における、出射光のファーフィールドパターン62を示す。上述した第1〜第10の実施形態において、発光素子2からの出射光のファーフィールドパターン62は、図17に示すように、偏光方向61が、発光素子2からの出射光の光軸を中心に放射状になった軸対称偏光となる。
図18に、軸対称偏光用1/2波長板50を通過した出射光のファーフィールドパターン64を示す。発光素子2は、上述した軸対称偏光用1/2波長板50の作用によって、図18に示すように、面内での偏光方向63が一方向に揃えられた出射光が得られる。
(第1の実施例)
図19に、第2の実施形態の発光素子2の出射光における角度分布を示す。図19において、横軸が出射光の出射角を示し、縦軸が出射光の強度を示している。
基板10としてAl、ホール輸送層11としてGaN:Mg、活性層12としてInGaN、電子輸送層13としてGaN:Si、プラズモン励起層15としてAgそれぞれの厚さを0.5mm、100nm、3nm、10nm、50nmとした。ここで、媒質としては空気を設定した。また、光源層24の発光波長を460nmとして計算した。ここで、波数ベクトル変換層17の材質をPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)、周期構造の深さ、ピッチ、デューティ比をそれぞれ、100nm、321nm、0.5に設定した。この条件下における出射光は、円環状ではなく、ガウス関数に近い配光分布を有しているが、ピッチを321nmからずらすことでピークが***し、円環状の配向分布が得られる。
なお、簡単化のために、計算を2次元で行った。発光素子2から出射した光の強度が半分になる角度の全幅を放射角とした場合、放射角は、波長460nmの光それぞれに対して±2.4(deg)であった。
本実施例において、プラズモン励起層15の出射側部分及び入射側部分の実効誘電率は、式(1)よりそれぞれ、1.56、5.86となる。さらに、表面プラズモンの出射側及び入射側におけるz方向の波数の虚部は、式(2)よりそれぞれ、9.53×10、9.50×10となる。表面プラズモンの有効相互作用距離を、表面プラズモンの強度がe−2となる距離とすれば、1/Im(kspp,z)より、表面プラズモンの有効相互作用距離は、出射側及び入射側でそれぞれ、105nm、10.5nmとなる。
したがって、第2の実施形態の発光素子2によれば、プラズモン励起層15を利用することによって、発光素子2からの出射光の放射角の指向性を高め、かつ、波数ベクトル変換層17の格子構造を適宜調整することで、放射角を±5度以下に狭めて指向性を更に高めることが可能になる。さらに、第2の実施形態の発光素子2は、光源層24を構成するホール輸送層11、活性層12、電子輸送層13を、一般的なLEDと同様にそれぞれp型半導体層、無機材料からなる活性層、型半導体層として無機半導体を用いて構成することが可能であるので、数千ルーメンクラスの光束を得ることができる。
(第2の実施例)
図20に、第5の実施形態の発光素子の出射光における角度分布を示す。図20において、横軸が出射光の出射角を示し、縦軸が出射光の強度を示している。
基板10としてAl、ホール輸送層11としてGaN:Mg、活性層12としてInGaN、電子輸送層13としてGaN:Si、プラズモン励起層15としてAg、誘電体層14として多孔質SiOをそれぞれ用い、それぞれの厚さを0.5mm、100nm、3nm、10nm、50nm、10nmとした。ここで、媒質としては空気を設定した。また、光源層4の発光波長を460nmとして計算した。ここで、波数ベクトル変換層17の材質をPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)、周期構造の深さ、ピッチ、デューティ比をそれぞれ、100nm、321nm、0.5に設定した。この条件下における出射光は、円環状ではなく、ガウス関数に近い配光分布を有しているが、ピッチを321nmからずらすことでピークが***し、円環状の配向分布が得られる。
なお、簡単化のために、計算を2次元で行った。発光素子から出射した光の強度が半分になる角度の全幅を放射角とした場合、放射角は、波長460nmの光それぞれに対して±1.9(deg)であった。
本実施例において、プラズモン励起層15の出射側部分及び入射側部分の実効誘電率は、式(1)よりそれぞれ、1.48、5.86となる。さらに、表面プラズモンの出射側及び入射側におけるz方向の波数の虚部は、式(2)よりそれぞれ、8.96×10、9.50×10となる。表面プラズモンの有効相互作用距離を、表面プラズモンの強度がe−2となる距離とすれば、1/Im(kspp,z)より、表面プラズモンの有効相互作用距離は、出射側及び入射側でそれぞれ、112nm、10.5nmとなる。
図21に、第5の実施形態の発光素子において、式(1)を用いて算出した実効誘電率から求まるプラズモン共鳴角(図中に□で示す)と、多層膜反射計算によって求まるプラズモン共鳴角(図中に△で示す)とを比較して示す。計算条件は、誘電体層14の厚さを除いて、角度分布を求めたときと同じである。図21において、横軸が誘電体層14の厚さを示し、縦軸がプラズモン共鳴角を示している。図21に示すように、実効誘電率による計算値と、多層膜反射による計算値とが一致しており、式(1)で定義される実効誘電率によってプラズモン共鳴の条件を定義できることが明らかである。
なお、本実施形態の発光素子は、画像表示装置の光源として用いられるのに好適であり、投射型表示装置が備える光源や、液晶表示板(LCD)の直下型光源、いわゆるバックライトとして携帯型電話機、PDA(Personal Data Assistant)等の電子機器に用いられてもよい。
最後に、上述した第1〜第10の実施形態の発光素子が適用される投射型表示装置としてのLEDプロジェクタの構成例について図面を参照して説明する。図22に、実施形態のLEDプロジェクタの模式的な斜視図を示す。
図22に示すように、実施形態のLEDプロジェクタは、赤(R)光用発光素子1r、緑(G)光用発光素子1g、及び青(B)光用発光素子1bと、これらの発光素子1r、1g、1bからの出射光がそれぞれ入射する照明光学系72r、72g、72bと、これらの照明光学系72r、72g、72bを通過した光が入射する表示素子としてのライトバルブ73r、73g、73bと、を備えている。また、LEDプロジェクタは、ライトバルブ73r、73g、73bによってそれぞれ変調されて入射されたR、G、B光を合成するクロスダイクロイックプリズム74と、このクロスダイクロイックプリズム74からの出射光をスクリーン等の投射面上に投射する投射レンズ(不図示)を含む投射光学系76と、を備えている。
このLEDプロジェクタは、いわゆる3板式プロジェクタに適用された構成である。照明光学系72r、72g、72bとしては、例えば輝度を均一化するためのロッドレンズを有している。ライトバルブ73r、73g、73bは、例えば液晶表示板やDMD等を有している。また、上述した実施形態の発光素子は、単板式プロジェクタにも適用可能であることは勿論である。
本実施形態のLEDプロジェクタによれば、上述した実施形態の発光素子が適用されることで、投射映像の輝度を向上することができる。
また、LEDプロジェクタにおいても、図15及び図16A,16Bに示した軸対称偏光用1/2波長板50を、各発光素子1r、1g、1bからの出射光の光路上に配置することが好ましく、ライトバルブ73r、73g、73bでの偏光損失を抑制することができる。また、照明光学系が偏光子を有する構成の場合には、軸対称偏光用1/2波長板50を、偏光子と発光素子1との間に配置する構成が好ましい。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2010年 3月10日に出願された日本出願特願2010−053094を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (22)

  1. 光源層と、該光源層の上に積層され、該光源層からの光が入射する光学素子層と、を備え、
    前記光源層は、基板と、該基板の上に設けられた一対のホール輸送層及び電子輸送層を有し、
    前記光学素子層は、
    前記光源層における前記基板側の反対側に積層され、前記光源層から出射する光の周波数よりも高いプラズマ周波数を有するプラズモン励起層と、
    前記プラズモン励起層の上に積層され、前記プラズモン励起層によって生じる表面プラズモンを所定の出射角の光に変換して出射する出射層と、を有し、
    前記プラズモン励起層は、誘電性を有する2つの層の間に挟まれ、
    前記プラズモン励起層の前記光源層側に積層された構造全体を含む入射側部分の実効誘電率は、前記プラズモン励起層の前記出射層側に積層された構造全体と、前記出射層に接する媒質とを含む出射側部分の実効誘電率よりも高い、発光素子。
  2. 前記実効誘電率が、
    前記入射側部分または前記出射側部分の誘電体の誘電率分布と、
    前記入射側部分または前記出射側部分での表面プラズモンの波数の前記プラズモン励起層の界面に垂直な方向の成分と、
    に基づいて決定される、請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記プラズモン励起層の前記出射層側、及び前記プラズモン励起層の前記光源層側の少なくとも一方の側に隣接して設けられた誘電率層を備える、請求項1または2に記載の発光素子。
  4. 前記プラズモン励起層は、一対の前記誘電率層の間に挟まれ、
    前記プラズモン励起層の前記光源層側に隣接する前記誘電率層は、前記プラズモン励起層の前記出射層側に隣接する前記誘電率層よりも誘電率が高い、請求項3に記載の発光素子。
  5. 前記プラズモン励起層の前記出射層側に隣接して設けられた前記誘電率層は、誘電率が異なる複数の誘電体層が積層されて構成され、
    前記複数の誘電体層が、前記プラズモン励起層側から前記出射層側に向かう順に誘電率が低くなるように配置されている、請求項3または4に記載の発光素子。
  6. 前記プラズモン励起層の前記光源層側に隣接して設けられた前記誘電率層は、誘電率が異なる複数の誘電体層が積層されて構成され、
    前記複数の誘電体層が、前記光源層から前記プラズモン励起層側に向かう順に誘電率が高くなるように配置されている、請求項3または4に記載の発光素子。
  7. 前記プラズモン励起層の前記出射層側に隣接して設けられた前記誘電率層は、誘電率が前記プラズモン励起層側から前記出射層側に向かって次第に低くなる分布を有している、請求項3または4に記載の発光素子。
  8. 前記プラズモン励起層の前記光源層側に隣接して設けられた前記誘電率層は、誘電率が前記光源層側から前記プラズモン励起層側に向かって次第に高くなる分布を有する、請求項3または4に記載の発光素子。
  9. 前記プラズモン励起層の前記出射層側に隣接して設けられた前記誘電率層は、多孔質層である、請求項3ないし5、7のいずれか1項に記載の発光素子。
  10. 前記プラズモン励起層の前記光源層側に隣接して設けられた前記誘電率層は、導電性を有している、請求項3、4、6、8のいずれか1項に記載の発光素子。
  11. 前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に設けられ、光を発生する活性層を有する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の発光素子。
  12. 前記プラズモン励起層は、異なる金属材料からなる複数の金属層が積層されて構成されている、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の発光素子。
  13. 前記出射層は、表面周期構造を有している、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の発光素子。
  14. 前記一対のホール輸送層及び電子輸送層のいずれか一方のうち前記基板側に設けられた層は、厚さ方向に直交する面の一部が露出されて該一部に電極が設けられている、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の発光素子。
  15. 前記光源層は、前記基板と、前記一対のホール輸送層及び電子輸送層のいずれか一方との間に設けられた電極層を更に有している、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の発光素子。
  16. 前記プラズモン励起層は、厚さ方向に直交する面の一部が露出されて該一部に電流が供給される、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の発光素子。
  17. 前記光源層は、前記基板側の反対側に積層された透明電極層と、該透明電極層の上に積層され、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間からの光によって電子及びホールが生成される活性層と、を有し、
    前記プラズモン励起層は、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間からの光で、前記活性層を励起したときに発生する光の周波数よりも高いプラズマ周波数を有している、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の発光素子。
  18. 前記プラズモン励起層は、厚さ方向に貫通する複数のスルーホールと、前記複数のスルーホール内に充填された導電材料とを有する、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の発光素子。
  19. 前記プラズモン励起層は、Ag、Au、Cu、Pt、Alのうちのいずれか1つ、またはこれらのうちの少なくとも1つを含む合金からなる、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の発光素子。
  20. 請求項1ないし19のいずれか1項の記載の発光素子と、前記発光素子から入射する軸対称偏光を所定の偏光状態に揃える偏光変換素子と、を備える光源装置。
  21. 請求項1ないし19のいずれか1項に記載の発光素子と、
    前記発光素子からの出射光を変調する表示素子と、
    前記表示素子の出射光によって投射映像を投射する投射光学系と、を備える投射型表示装置。
  22. 請求項1ないし19のいずれか1項に記載の発光素子と、
    前記発光素子からの出射光を変調する表示素子と、
    前記表示素子の出射光によって投射映像を投射する投射光学系と、
    前記発光素子と前記表示素子との間の光路上に配置され、前記発光素子から入射する軸対称偏光を所定の偏光状態に揃える偏光変換素子と、を備える投射型表示装置。
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