以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、撮像ユニットの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸/光学素子の光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側)には+Zを付し、他方側(被写体側/光軸方向前側)には−Zを付して説明する。
(撮影用の光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットの外観等を示す斜視図であり、図2(a)、(b)は、光学ユニットを被写体側からみたときの斜視図、および光学ユニットから撮影ユニットを取り外した状態の斜視図である。
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた可動体10を固定体200内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、撮像ユニット1を揺動させる振れ補正用駆動機構(図1では図示せず)が設けられている。
図1および図2に示すように、光学ユニット100には、撮像ユニット1や振れ補正用駆動機構への給電等行うためのフレキシブル配線基板400が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板400は、光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板400は、撮像ユニット1から信号を出力する機能も担っている。
(撮像ユニット1の構成)
図3は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に搭載されている撮像ユニット1の構成を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、撮像ユニット1は、例えば、光学素子としての複数枚のレンズ1a(図1参照)を光軸L方向に沿って被写体(物体側)に近づくA方向(前側)、および被写体とは反対側(撮像素子側/像側)に近づくB方向(後側)の双方向に移動させる光学素子ユニットであり、略直方体形状を有している。撮像ユニット1は、概ね、複数枚のレンズ1a(図1参照)および固定絞り等の光学素子を内側に保持した移動体3と、この移動体3を光軸L方向に沿って移動させるレンズ駆動機構5と、レンズ駆動機構5および移動体3等が搭載された支持体2とを有している。移動体3は、レンズ1aおよび固定絞り(図示せず)を保持する円筒状のレンズホルダ12と、レンズホルダ12を内側に保持するコイルホルダ13とを備えており、コイルホルダ13の外周側面には、レンズ駆動機構5を構成するレンズ駆動用コイル30s、30tが保持されている。
支持体2は、被写体側(−Z側)とは反対側で、後述するバネを保持するバネホルダ19と、バネホルダ19に対して被写体側(−Z側)とは反対側(+Z側)で基板15を位置決めする矩形板状の基板ホルダ16と、バネホルダ19に対して被写体側で被さる箱状のユニットケース18と、ユニットケース18の内側に配置される矩形板状のスペーサー11とを備えており、基板15において被写体側に向く基板面に撮像素子1bが実装されている。また、バネホルダ19には、赤外線フィルタ等のフィルタ1cが保持されている。スペーサー11およびユニットケース18の中央には、被写体からの光をレンズ1aに取り込むための入射窓11a、18aが各々形成されている。また、基板ホルダ16およびバネホルダ19の中央には、入射光を撮像素子1bに導く窓16a、19aが形成されている。
ユニットケース18は、鋼板等の強磁性板からなり、ヨークとしても機能する。このため、ユニットケース18は、後述するレンズ駆動用マグネット17とともに、レンズ駆動用コイル30s、30tに鎖交する磁界を発生させる鎖交磁界発生体を構成しており、かかる鎖交磁界発生体は、コイルホルダ13の外周面に巻回されたレンズ駆動用コイル30s、30tとともにレンズ駆動機構5を構成している。
支持体2と移動体3とは、光軸方向で離間する位置に設けられた金属製のバネ部材14s、14tを介して接続されている。本形態では、撮像素子1bの側にはバネ部材14sが用いられ、被写体の側にはバネ部材14tが用いられている。バネ部材14s、14tは基本的な構成が同様であり、支持体2側に保持される外周側連結部と、移動体3の側に保持される円環状の内周側連結部と、外周側連結部と内周側連結部とを接続する細幅のアーム部とを備えている。撮像素子1b側のバネ部材14sは、バネホルダ19に外周側連結部が保持され、内周側連結部が移動体3のコイルホルダ13の撮像素子側端部に連結されている。被写体側のバネ部材14tは、スペーサー11に外周側連結部が保持され、内周側連結部が移動体3のコイルホルダ13の被写体側端部に連結されている。このような構成により、移動体3は、バネ部材14s、14tを介して支持体2に光軸の方向に移動可能に支持されている。バネ部材14s、14tはいずれも、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。バネ部材14sは、2つのバネ片に2分割されており、レンズ駆動用コイル30s、30tの各端末は各々、バネ片に接続される。また、バネ部材14sにおいて、2つのバネ片には各々、端子が接続されており、バネ部材14sはレンズ駆動用コイル30s、30tに対する給電部材としても機能する。
コイルホルダ13の被写体側端部にはリング状の磁性片61が保持されており、かかる磁性片61の位置は、レンズ駆動用マグネット17に対して被写体側の位置である。このため、磁性片61は、レンズ駆動用マグネット17との間に作用する吸引力により移動体3に対して光軸Lの方向の付勢力を印加する。このため、非通電時(原点位置)においてはレンズ駆動用マグネット17と磁性片61との吸引力によってレンズホルダ12を撮像素子1b側に静置することができる。また、磁性片61は、一種のヨークとして作用し、レンズ駆動用マグネット17とレンズ駆動用コイル30s、30tとの間に構成される磁路からの漏れ磁束を少なくすることができる。磁性片61としては、棒状あるいは球状の磁性体が用いられることもある。磁性片61をリング形状にすれば、レンズホルダ12が光軸方向に移動する際にレンズ駆動用マグネット17と引き合う吸引力が等方的になるという効果がある。さらに、レンズ駆動用コイル30s、30tに対する通電時、磁性片61はレンズ駆動用マグネット17から離間する方向に移動するので、撮像素子1b側にレンズホルダ12を押し付けるような余計な力は働かない。そのため、少ない電力でレンズホルダ12を光軸方向に移動させることができる。
本形態の撮像ユニット1において、光軸Lの方向からみたとき、レンズ1a(図1参照)は円形であるが、支持体2に用いたユニットケース18は矩形箱状である。従って、ユニットケース18は、角筒状胴部18cを備えており、角筒状胴部18cの上面側には、入射窓18aが形成された上板部18bを備えている。角筒状胴部18cの内側において、四角形の角に相当する側面部にはレンズ駆動用マグネット17が固着されており、かかるレンズ駆動用マグネット17は各々、三角柱状の磁石からなる。4つのレンズ駆動用マグネット17はいずれも光軸の方向において2分割されており、いずれにおいても内面と外面とが異なる極に着磁されている。このため、コイルホルダ13の周りにおいて、2つのレンズ駆動用コイル30s、30tにおける巻回方向は反対である。このように構成した移動体3は、ユニットケース18の内側に配置される。その結果、レンズ駆動用コイル30s、30tは各々、ユニットケース18の角筒状胴部18cの内面に固着されたレンズ駆動用マグネット17に対向して、レンズ駆動機構5を構成することになる。
このように構成した撮像ユニット1において、移動体3は、通常は撮像素子側(Z軸方向の一方側)に位置しており、このような状態において、レンズ駆動用コイル30s、30tに所定方向の電流を流すと、レンズ駆動用コイル30s、30tは、それぞれ被写体側(Z軸方向の他方側)に向かう電磁力を受けることになる。これにより、レンズ駆動用コイル30s、30tが固着された移動体3は、被写体側(前側)に移動し始めることになる。このとき、バネ部材14tと移動体3の前端との間、およびバネ部材14sと移動体3の後端との間には、移動体3の移動を規制する弾性力が発生する。このため、移動体3を前側に移動させようとする電磁力と、移動体3の移動を規制する弾性力とが釣り合ったとき、移動体3は停止する。その際、バネ部材14s、14tによって移動体3に働く弾性力に応じて、レンズ駆動用コイル30s、30tに流す電流量を調整することで、移動体3を所望の位置に停止させることができる。
(光学ユニット100の概略構成)
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の全体構成を示す分解斜視図である。なお、図4では、可動体10については撮像ユニット1の図示を省略し、カバー110のみを図示してある。
図4において、光学ユニット100は、まず、固定体200と、カバー110内に撮像ユニット1(図3参照)が収容された可動体10と、可動体10が固定体200に対して変位可能に支持された状態とするバネ部材600と、可動体10と固定体200との間で可動体10を固定体200に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。
(固定体200の構成)
図5は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いたコイルホルダおよびコイルの説明図である。図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100におけるフレキシブル配線基板450の説明図である。
図2および図4に示すように、固定体200は、ケース250、コイルホルダ260および底板270を備えており、ケース250は、可動体10の周りを囲む角筒状胴部210と、角筒状胴部210の被写体側の開口部を塞ぐ端板部220とを備えている。端板部220には、被写体からの光が入射する窓220aが形成されている。ケース250において、角筒状胴部210は、被写体側(光軸Lが延在している側)とは反対側(+Z側)の端部が開放端になっている。
図4に示すように、ケース250の角筒状胴部210において、4つの側板部211のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部211aには切り欠き219が形成されている。かかる切り欠き219は、フレキシブル配線基板400(フレキシブル配線基板410、450)を外部に引き出すのに利用されている。
底板270は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部271と、底板部271の外周縁のうち、X軸方向で対向する2辺、およびY軸方向の他方側−Y側で対向する3つの側板部272とを備えており、側板部272は、ケース250の角筒状胴部210の内面に固定される。
底板270において光軸方向前側に向く上面の中央には受け板181が固定されている一方、可動体10の底部(光軸方向後側端部)には、半球状の突部182(図8〜図10参照)が固定されている。かかる突起182は、可動体10を揺動可能に支持する揺動支点180を構成している。可動体10は、Z軸の一方側+Z(光軸方向後側)に位置する端部(揺動支点180)を中心に揺動可能である。このため、可動体10は、光軸方向における中心よりも光軸方向後側(Z軸方向の+Z側)を中心に揺動可能である。なお、揺動支点180を構成するには、底板270の側に半球状突起を設けた構成や、底板270と可動体10との間に鋼球を配置した構造を採用することもできる。
図5に示すように、コイルホルダ260は、4つの角部分の各々で光軸方向に延在する横断面L字形状の縦枠部分265と、隣り合う縦枠部分265を光軸方向前側で繋ぐ上枠部分266と、隣り合う縦枠部分265を光軸方向後側で繋ぐ下枠部分267とを備えた角形状を有している。縦枠部分265は、上枠部分266の外周縁、および下枠部分267の外周縁よりもわずかに内側に位置する。かかるコイルホルダ260には、隣り合う縦枠部分265の間が開口部268となった側面264が構成されている。
コイルホルダ260の周りには、図5および図6に示すフレキシブル配線基板450の帯状部分460が矩形に折り曲げられた状態で保持され、かかる帯状部分460の内面には、長手方向で離間する4か所の各々に空芯コイル560が実装されている。空芯コイル560は、四角形の枠状に形成されており、光軸方向で対向する上下の長辺部分568、569が有効辺として利用される。かかる帯状部分460は、コイルホルダ260の周りに沿って矩形に折り曲げられ、光軸方向において上枠部分266と下枠部分267との間に収容された状態でコイルホルダ260に保持される。この状態で、4つの空芯コイル560の上下の長辺部分568、569は、コイルホルダ260の開口部268から内側に露出した状態となる。
かかる4つの空芯コイル560については、以下、光軸周りに配置されている順に、第1空芯コイル560a、第2空芯コイル560b、第3空芯コイル560cおよび第4空芯コイル560dとする。また、コイルホルダ260の4つの側面264については、以下、光軸周りに配置されている順に、固定体側第1側面264a、固定体側第2側面264b、固定体側第3側面264cおよび固定体第4側面264dとする。
フレキシブル配線基板450において帯状部分460の付け根部分には、光軸方向に折り曲げられた折り曲げ部分455が設けられており、かかる折り曲げ部分455は、図2に示すように、ケース250の切欠き211a(図4参照)を塞ぐように配置される。また、折り曲げ部分455の外側には金属板からなる基板カバー280が被せられ、かかる基板カバー280の両端部分は、ケース250の側板部211aに固定されている。
なお、詳しくは後述するように、図6に示すフレキシブル配線基板450の帯状部分460には、光軸方向に交差する2方向に向くようにフォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)が実装されている。フォトリフレクタ580は、固定体200の側に保持されており、可動体10の変位を検出し、後述する振れ補正用駆動機構500を制御する。
(可動体10の構成)
図7は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いた可動体10の分解斜視図である。なお、図7では、撮像ユニット1の図示を省略してある。
図7に示すように、可動体10は、図3を参照して説明した撮像ユニット1を内側に保持するカバー110を有しており、カバー110は、可動体10の外周部分を構成している。カバー110は、撮像ユニット1の周りを覆う有底の筒状カバー120と、撮像ユニット1の光軸方向前側を覆う上カバー130とからなる。筒状カバー120は金属板のプレス加工品であり、角筒部123と底部121とを備えている、筒状カバー120において、角筒部123は可動体10の側面部を構成している。本形態において、可動体10は直方体であり、筒状カバー120は角筒形状を有している。上カバー130は略四角形である。上カバー130は、筒状カバー120を光軸方向前側で覆う上板部131と、上板部131の外周縁から光軸方向後側に突出した側板部132とを備えており、上板部131には、被写体側からの光を通す穴130aが形成されている。また、側板部132は、光軸方向後側に向けてL字形状に屈曲しており、筒状カバー120の内側に嵌って上カバー130と筒状カバー120とを結合させる。
筒状カバー120にはバネ部材600が接続されている。バネ部材600は、固定体200のコイルホルダ260の下端部に固定される固定体側連結部620と、可動体10に連結される可動体側連結部610と、可動体側連結部610と固定体側連結部620の間で延在する複数本のアーム部630とを備えた板状バネ部材であり、アーム部630の両端は各々、可動体側連結部610および固定体側連結部620に繋がっている。バネ部材600は、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成した板バネ状である。本形態において、可動体側連結部610および固定体側連結部620は矩形枠状に形成されており、固定体側連結部620は、全周にわたって固定体200のコイルホルダ260の下枠部分267の下面に固定されている。また、可動体側連結部610は、全周にわたって可動体10の筒状カバー120の外周面に固定されている。但し、可動体側連結部610および固定体側連結部620は、アーム部630毎に分割されている構成を採用してもよい。
筒状カバー120の4つの側面126の各々には、図4、図5および図6を参照して説明した空芯コイル560と振れ補正用駆動機構500を構成する磁石520が固着されている。磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石520は、光軸方向で隣接する2枚の磁石片(第1磁石片521および第2磁石片522)からなり、2枚の磁石片は、内側の面が互いに異なる極を向けている。
かかる4つの磁石520については、以下、光軸周りに配置されている順に、第1磁石520a、第2磁石520b、第3磁石520cおよび第4磁石520dとする。また、筒状カバー120の4つの側面126については、以下、光軸周りに配置されている順に、可動体側第1側面126a、可動体側第2側面126b、可動体側第3側面126cおよび可動体側第4側面126dとする。
(バネ部材600の可動体10への固定構造)
図8は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のYZ断面の構成を示す説明図であり、図8(a)、(b)は、揺動支点180を通る位置で光学ユニット100を切断したときのYZ断面図、およびその一部を拡大して示す断面図である。図9は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のZX断面の構成を示す説明図であり、図9(a)、(b)は、揺動支点180を通る位置で光学ユニット100を切断したときのZX断面図、およびその一部を拡大して示す断面図である。なお、図8および図9では、可動体10については撮像ユニット1および上カバー130の図示を省略し、筒状カバー120のみを図示してある。また、バネ部材600は負荷が加わっていない状態では、平面状であるが、固定体200に可動体10を組み込むと、可動体10は、揺動支点180で光軸方向前側に押し出される。その結果、バネ部材600が変形するが、かかる変形したバネ部材600の形状については模式的に示してある。
図7、図8および図9に示すように、バネ部材600の可動体側連結部610を全周にわたって可動体10の側面部(筒状カバー120)に固定するにあたって、筒状カバー120の外周面には矩形枠状の連結部材150が固定され、かかる連結部材150にバネ部材600が固定されている。より具体的には、筒状カバー120の角筒部123には、光軸方向の途中位置に矩形枠状の連結部材150が固定されており、バネ部材600の可動体側連結部610は、連結部材150に固定されている。本形態において、連結部材150は筒状カバー120に接着剤により全周にわたって固定され、バネ部材600の可動体側連結部610は、連結部材150に接着剤により全周にわたって固定されている。
図8および図9に示すように、連結部材150は、可動体側連結部610に比して光軸方向における厚さ寸法が大であり、かかる連結部材150の内面が筒状カバー120に固定されている。また、可動体側連結部610は、連結部材150において光軸方向後側の端面153に固定されており、かかる端面153の幅寸法(光軸方向に直交する方向の寸法)は、可動体側連結部610の厚さ寸法(光軸方向の寸法)より大である。このため、連結部材150と筒状カバー120との接着面積、および連結部材150と可動体側連結部610との接着面積は、可動体側連結部610の側面を直接、筒状カバー120に接着固定したときの接着面積に比して大である。
ここで、連結部材150では、端面153の外側部分は、端面153の内側部分よりも光軸方向前側に向けて凹んだ凹部152になっており、かかる凹部152は、連結部材150の全周にわたって形成されている。このため、バネ部材600では、可動体側連結部610からアーム部630が延在しているが、アーム部630と連結部材150との間には、光軸方向および光軸と直交する方向のいずれにおいても十分な隙間が空いている。また、連結部材150の端面153の外側部分に凹部152を形成したため、連結部材150の端面153のうち、内側部分のみがバネ固定面154として利用されている。それでも、バネ固定面154の幅寸法は、可動体側連結部610の厚さ寸法より大である。従って、連結部材150のバネ固定面154と可動体側連結部610との接着面積は、可動体側連結部610の側面を直接、筒状カバー120に接着固定したときの接着面積に比して大である。
また、本形態では、連結部材150を利用して、可動体10が光軸方向において被写体側に変位したときの可動範囲を規定するストッパ機構が構成されている。より具体的には、図5を参照して説明したコイルホルダ260において、縦枠部分265の光軸方向後側の端部は、連結部材150に対して隙間を介して光軸方向前側で対向し、可動体10の4つの隅部分の各々においてストッパ機構を構成している。このため、外部からの衝撃等によって可動体10が光軸方向前側に変位した場合でも、連結部材150がコイルホルダ260の縦枠部分265の光軸方向後側の端部に当接し、可動体10はそれ以上変位することはない。
このように、本形態では、可動体10の側面部にバネ部材600の可動体側連結部610に比して光軸方向における厚さ寸法が大の連結部材150が固定され、可動体側連結部610は、連結部材150の光軸方向の一方側の端面153に固定されている。すなわち、連結部材150の端面153とバネ部材600の可動体側連結部610とが光軸方向で重なって固定されている。ここで、連結部材150の厚さ寸法は可動体側連結部610の厚さ寸法より大である。従って、連結部材150と可動体10の側面部との固定面積が大であるため、固定強度が大である。また、連結部材150の端面153と可動体側連結部610との重なり面積は、可動体側連結部610の厚さが薄い場合でも、大である。従って、可動体10の揺動可能な角度の設定や、バネ部材周辺におけるレイアウト等の面から、バネ部材600を可動体10の光軸方向の途中部分に固定した場合でも、十分な固定強度を確保することができる。
また、連結部材150は、可動体側連結部610が重ねられた端面153に、可動体側連結部610に固定されるバネ固定面154と、バネ固定面154よりも外側で凹んだ凹部152とを備えているため、可動体10が揺動して姿勢が変わった場合でも、アーム部630と連結部材150とが干渉することがない。それ故、バネ部材600から可動体10に加わる力が変動しないので、可動体10を適正に揺動させることができる。
(フレキシブル配線基板410の構成)
図7に示すように、光学ユニット100は、可動体10に接続されたフレキシブル配線基板410を備えており、フレキシブル配線基板410において、可動体10の筒状カバー120内に位置する部分に、図3を参照して説明した撮像ユニット1に接続されている。ここで、可動体10を揺動させた際にフレキシブル配線基板410が可動体10に負荷を印加すると、可動体10を適正に揺動させるのに支障がある。そこで、フレキシブル配線基板410は、可動体10に接続されているY軸方向の+Y側の部分412から−Y側に向けて延在した後、+Y側に向けて折り返されて外部に引き出されている。このため、フレキシブル配線基板410は、可動体10に接続されている部分から外部に引き出されている部分までの間に折り返し部分413が設けられている分、寸法が長い。従って、フレキシブル配線基板410は、可動体10の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を可動体10に印加することがない。
また、フレキシブル配線基板410は、長さ方向の途中部分に、延在方向(Y軸方向)に沿って延在する幅広のスリット418が形成されており、分割部分416、417に2分割されている。このため、フレキシブル配線基板410の剛性が緩和されている。従って、フレキシブル配線基板410は、可動体10の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を可動体10に印加することがない。また、フレキシブル配線基板410は、可動体10に対して光軸方向で重なっているが、揺動支点180と重なる部分は、スリット418になっている。このため、フレキシブル配線基板410を可動体10に対して光軸方向で重なる位置に配置しても、揺動支点180を設けるのに支障がない。
また、図8(a)に示すように、フレキシブル配線基板410の折り返し部分413は、揺動支点180における可動体10の揺動中心(受け板181と半球状の突部182との接触部分)と略同一の高さ位置にある。このため、可動体10が揺動した際のフレキシブル配線基板410の変位を小さく抑えることができる。従って、フレキシブル配線基板410が可動体10に及ぼす影響を低減することができるので、可動体10を精度よく揺動させることができる。
(振れ補正用駆動機構500等の構成および基本動作)
図10は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のXY断面図である。なお、図10では、可動体10については撮像ユニット1および上カバー130等の図示を省略し、筒状カバー120のみを図示してある。また、図10では、フォトリフレクタ580の背面側に位置する剛性基板やスペーサーや、フレキシブル配線基板450の図示を省略してある。図11は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の振れ補正用駆動機構500の説明図である。
図7および図8に示すように、上述した固定体200の内部に可動体10を組み込むと、可動体10の突部182に、底板270に固定した受け板182が当接し、揺動支点180が構成される。その際、バネ部材600において、可動体側連結部610は固定体側連結部620よりも被写体側に押し上げられた状態となり、バネ部材600のアーム部630は、可動体10を光軸方向後側に付勢する。従って、可動体10側の突部182は、底板270側に弾性をもって当接し、可動体10は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態となる。
また、図8(a)、(b)および図10に示すように、可動体10側の磁石520、および固定体200側の空芯コイル560のうち、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線Y0上において可動体10をY軸方向の両側で挟む2箇所には、磁石520(第1磁石520aおよび第3磁石520c)および空芯コイル560(第1空芯コイル560aおよび第3空芯コイル560c)が位置し、かかる磁石520および空芯コイル560はY側振れ補正用駆動機構500y(振れ補正用駆動機構500)を構成する。かかるY側振れ補正用駆動機構500yは、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線X0を中心にして可動体10を揺動させる。
これに対して、図9(a)、(b)および図10に示すように、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線X0上において可動体10をX軸方向の両側で挟む2箇所には、磁石520(第2磁石520bおよび第4磁石520d)および空芯コイル560(第2空芯コイル560bおよび第4空芯コイル560d)が位置し、磁石520および空芯コイル560は、X側振れ補正用駆動機構500x(振れ補正用駆動機構500)を構成する。かかるX側振れ補正用駆動機構500xは、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線Y0を中心にして可動体10を揺動させる。
従って、本形態の光学ユニット100において、図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープ等によって検出され、制御用IC(図示せず)は、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープで検出した振れを打ち消すような駆動電流を空芯コイル560に供給する。その結果、X側振れ補正用駆動機構500xは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をY軸周りに揺動させる。また、Y側振れ補正用駆動機構500yは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をX軸周りに揺動させる。また、撮像ユニット1のX軸周りの揺動、およびY軸周りの揺動を合成すれば、XY面全体に対して撮像ユニット1を変位させることができる。それ故、光学ユニット100で想定される全ての振れを確実に補正することができる。その際、第2フォトリフレクタ580bおよび第1フォトリフレクタ580aは、可動体10との距離(変位)を検出し、振れ補正用駆動機構500は、第2フォトリフレクタ580bおよび第1フォトリフレクタ580aでの検出結果に基づいて制御される。
ここで、振れ補正用駆動機構500では、図11(a)に示すように、空芯コイル560と磁石520とが対向しており、空芯コイル560の上下の長辺部分568、569が有効辺として利用される。本形態において、磁石520は、光軸方向に配置された第1磁石片521と第2磁石片522とから構成され、かつ、空芯コイル560の側に位置する磁極が異なるように着磁されている。すなわち、磁石520は、光軸方向で隣接する2枚の磁石片(第1磁石片521および第2磁石片522)からなり、2枚の磁石片は、内側の面が互いに異なる極を向けている。例えば、第1磁石片521は、内側の面がS極に着磁され、外側の面がN極に着磁されている。これに対して、第2磁石片522は、内側の面がN極に着磁され、外側の面がS極に着磁されている。従って、第1磁石片521と第2磁石片522との当接面527は、磁石520における磁極の境界線になっている。
このように構成した磁石520が発生する磁力線は、たとえば、図11(a)に示す矢印のようになる。従って、光軸方向において、第1磁石片521の中心CL1よりも被写体側では、第1磁石片521の磁力線の方向は、揺動支点180から略遠ざかる方向となる第1領域31を形成する。これに対して、光軸方向において、第2磁石片522の中心CL2よりも被写体側では、第2磁石片522の磁力線の方向が揺動支点180へ略向かう方向となる第2領域32を形成する。
ここで、光軸方向における空芯コイル560の中心CL3は、第1磁石片521と第2磁石片522との当接面527よりも上側に配置されるように、磁石520と空芯コイル560とが対向配置されている。すなわち、空芯コイル560の中心CL3は、磁石520の磁気中心となる当接面527よりも光軸方向において揺動支点180から離れる光軸方向前側に配置されている。従って、第1磁石片521の磁気中心となる中心CL1よりも空芯コイル560の長辺部分568の中心CL4が光軸方向前側に配置され、第2磁石片522の磁気中心となる中心CL2よりも長辺部分569の中心CL5が光軸方向前側に配置されている。すなわち、第1領域31に長辺部分568が配置され、第2領域32に長辺部分569が配置されている。
そのため、図11(b)に示すように、空芯コイル560に電流が供給されることで長辺部分568に生じる電磁力F1の方向は、揺動支点180を中心とするとともに長辺部分568を通過する円の接線方向と略一致している。また、空芯コイル560に電流が供給されることで長辺部分569に生じる電磁力F2の方向は、揺動支点180を中心とするとともに長辺部分569を通過する円の接線方向と略一致している。すなわち、空芯コイル560に電流が供給されることで空芯コイル560に生じる電磁力F1、F2の方向は、揺動支点180を中心として撮像ユニット1を揺動させるための揺動力を発生させる方向と略一致している。よって、磁石520が発生させる磁束を有効に利用して、振れ補正用駆動機構500の駆動力を高めることが可能になる。
また、本形態では、磁石520の当接面527よりも空芯コイル560の中心CL3が光軸方向において揺動支点180から離れた位置に配置されているため、磁石520の当接面527と空芯コイル560の中心CL3とが光軸方向において揺動支点180から同等の位置に配置されている場合と比較して、揺動支点180を中心として撮像ユニット1を揺動させるための有効トルクが大きい。それ故、振れ補正用駆動機構500の駆動力を高めることができる。
さらに、本形態では、第1領域31に空芯コイル560の長辺部分568が配置され、第2領域32に空芯コイル560の長辺部分569が配置されているため、短辺部が第1領域31や第2領域32に配置される場合と比較して、振れ補正用駆動機構500の駆動力をより高めることができる。
(フォトリフレクタ580の構成)
図7〜図10等を参照して説明したように、本形態の光学ユニット100では、振れ補正用駆動機構500を構成するにあたって、固定体200のコイルホルダ260の4つの側面264(固定体側第1側面264a、固定体側第2側面264b、固定体側第3側面264cおよび固定体第4側面264d)の各々に空芯コイル560(第1空芯コイル560a、第2空芯コイル560b、第3空芯コイル560cおよび第4空芯コイル560d)が設けられている。また、可動体10(筒状カバー120)の4つの側面部126(可動体側第1側面126a、可動体側第2側面126b、可動体側第3側面126cおよび可動体側第4側面126d)の各々に磁石520(第1磁石520a、第2磁石520b、第3磁石520cおよび第4磁石520d)が設けられている。
かかる光学ユニット100に対して、2つのフォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)を設けるにあたって、本形態では、空芯コイル560の内側領域561を利用する。
より具体的には、図6に示すように、フレキシブル配線基板450の帯状部分460において、第1空芯コイル560aの内側領域561に面実装タイプの第1フォトリフレクタ580aが実装され、第2空芯コイル560bの内側領域561に面実装タイプの第2フォトリフレクタ580bが実装されている。このため、図8〜図10に示すように、光学ユニット100を組み立てると、Y軸方向の+Y側において−Y側を向く固定体側第1側面264aでは、第1空芯コイル560aの内側領域561において軸線Y0上に第1フォトリフレクタ580aが設けられ、X軸方向の+X側において−X側を向く固定体側第2側面264bでは、第2空芯コイル560bの内側領域561において軸線X0上に第2フォトリフレクタ580bが設けられる。
この状態で、第1フォトリフレクタ580aは、発光部および受光部がY軸方向で第1磁石520aに対向し、第2フォトリフレクタ580bは、発光部および受光部がX軸方向で第2磁石520bに対向する。ここで、磁石520はいずれも希土類磁石からなるため、表面処理がされており反射性を備えている。すなわち、本形態では、磁石520の表面には、ニッケル層等といった非磁性の金属層が形成されており、反射率が高い。このため、第1フォトリフレクタ580aの発光部から出射された光は、第1磁石520aで反射して第1フォトリフレクタ580aの受光部で受光され、第2フォトリフレクタ580bの発光部から出射された光は、第2磁石520bで反射して第2フォトリフレクタ580bの受光部で受光される。
従って、第1フォトリフレクタ580aでの検出結果によれば、可動体10がY側振れ補正用駆動機構500yにより駆動されて軸線X0周りに回転した際の可動体10との距離が分かるので、可動体10のY軸方向への変位を監視することができる。また、第2フォトリフレクタ580bでの検出結果によれば、可動体10がX側振れ補正用駆動機構500xにより駆動されて軸線Y0周りに回転した際の可動体10との距離が分かるので、X軸方向への変位を監視することができる。それ故、可動体10の軸線X0周りに回転した際の変位、および軸線Y0周りに回転した際の変位を独立して監視することができるので、可動体10の軸線X0周りの回転、および軸線Y0周りの回転を独立して制御することができる。
(フォトリフレクタ580周辺の構成)
図12は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に設けたスペーサー等の説明図であり、図12(a)、(b)、(c)はいずれも、第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580bにスペーサーを設ける様子を示す説明図である。図13は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に設けたフォトリフレクタ580の固定体200(コイルホルダ260)への固定構造を示す説明図であり、図13(a)、(b)は、コイルホルダ260に第1フォトリフレクタ580aを搭載した様子をコイルホルダ260の内側からみた様子を示す説明図、第2フォトリフレクタ580bを実装したフレキシブル配線基板450の帯状部分460を内側からみた様子を示す説明図、およびフレキシブル配線基板450の帯状部分460から空芯コイル560を外した状態を内側からみた様子を示す説明図である。図14は、フォトリフレクタ580と磁石520との距離と、フォトリフレクタ580からの出力電流値との関係を示す説明図である。
図6、図12および図13に示すように、フォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)は、空芯コイル560(第1空芯コイル560aおよび第2空芯コイル560b)と共通のフレキシブル配線基板450に実装されている。但し、図8〜図10に示すように、フォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)は、空芯コイル560の内側領域561において空芯コイル560の背面より磁石520(第1磁石520aおよび第2磁石520b)が位置する側にずれた位置に設けられ、かつ、フォトリフレクタ580の厚さ寸法は、空芯コイル560の厚さ寸法より小である。このため、フォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)は、空芯コイル560(第1空芯コイル560aおよび第2空芯コイル560b)の厚さ方向の略中央に配置されている。従って、フォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)と、反射面としての磁石520(第1磁石520aおよび第2磁石520b)との距離が短くなっている。かかる構成によれば、図14を参照して以下に説明するように、フォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)の感度を向上することができる。
フォトリフレクタ580と反射面としての磁石520との離間距離と、フォトリフレクタ580からの出力電流とは、図14に示す関係がある。図14から分かるように、フォトリフレクタ580と反射面としての磁石520との離間距離が短い方がフォトリフレクタ580からの出力電流が大であり、フォトリフレクタ580と磁石520との距離が長くなるに伴い、フォトリフレクタ580からの出力電流が曲線的に低下する。すなわち、フォトリフレクタ580と磁石520との離間距離が長くなると、フォトリフレクタ580からの出力電流は、急激に低下した後、徐々に低下していく。このため、例えば、フォトリフレクタ580と磁石520との離間距離が3mmの場合と1mmの場合とを比較すると、可動体10(磁石520)が0.5mm変位した場合、離間距離が3mmの場合では、ΔC3で示す変化しか発生しないのに対して、離間距離が1mmの場合では、ΔC1で示す変化(ΔC1>ΔC3)が発生する。従って、フォトリフレクタ580と磁石520との離間距離は短い方が高い感度を得ることができる。
かかる構成を実現するにあたって、本形態では、まず、図13(a)に示すように、フレキシブル配線基板450の帯状部分460において、第1空芯コイル560aおよび第2空芯コイル560bが実装されている領域では、フォトリフレクタ580が実装される部分の周りが三方向で切り抜かれており、フォトリフレクタ580が実装されている部分は細幅部分465(第1細幅部分465aおよび第2細幅部分465b)になっている。また、細幅部分465は、帯状部分460に比して可動体10が位置する側に折り曲げられており、帯状部分460には矩形の穴469が空いている。
細幅部分465を可動体10が位置する側に折り曲げるにあたって、本形態では、細幅部分465(第1細幅部分465aおよび第2細幅部分465b)の背後には、補強用の剛性基板480(第1剛性基板480aおよび第2剛性基板480b)が接着されている。ここで、剛性基板480は穴469よりも小さい。また、剛性基板480の背後には板状のスペーサー470(第1スペーサー470aおよび第2スペーサー470b)が配置されており、スペーサー470は、剛性基板480より大きい。かかるスペーサー470は、穴469より大きくて帯状部分460の外側に位置する板状本体部471と、板状本体部471から可動体10の側に向けて突出した突部472とを備えている。突部472は、板状本体部471および穴469よりも小さい。このため、スペーサー470の板状本体部471は帯状部分460の外面において穴469を光軸方向の両側で挟む2か所で接着され、この状態で、突部472は、剛性基板480を背後から可動体10が位置する側に押圧する。従って、フレキシブル配線基板450の帯状部分460において、フォトリフレクタ580が実装された細幅部分465は、空芯コイル560の内側領域561に向けて折り曲げられる。従って、フォトリフレクタ580は、空芯コイル560と共通のフレキシブル配線基板450に実装されているが、空芯コイル560の内側領域561において空芯コイル560の背面より磁石520が位置する側にずれた位置に設けられ、空芯コイル560の厚さ方向の略中央位置に配置されることになる。
なお、2つのフォトリフレクタ580のうち、第1フォトリフレクタ580aの背後には、折り曲げ部分455が位置するため、折り曲げ部分455と第1スペーサー470aとの間には剛性基板490が配置されており、かかる剛性基板490は、折り曲げ部分455に接着されている。
(フォトリフレタ580のレイアウト)
図15は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に設けたフォトリフレクタ580の説明図であり、図15(a)、(b)、(c)は、フォトリフレクタ580における発光部と受光部との位置関係を示す説明図、フォトリフレクタとコイルとの位置関係を示す説明図、および2つのフォトリフレクタ580の位置関係を示す説明図である。
図15(a)に示すように、フォトリフレクタ580は、長方形の平面形状を有しており、短辺586、587および長辺588、589を備えている。また、フォトリフレクタ580は、長手方向の一方側に発光部581の中心を備え、他方側に受光部582の中心を備えている。また、フォトリフレクタ580では、発光部581と受光部582との間に遮光部583が形成されている。
かかる構成のフォトリフレクタ580を空芯コイル560の内側領域561に配置するにあたって、空芯コイル560の内側領域561は、長手方向を光軸周りの方向に向けている。そこで、本形態では、図15(b)、(c)に示すように、2つのフォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)は、発光部581の中心、および受光部582の中心が光軸周りの方向で並ぶ向きに配置されており、フォトリフレクタ580は、長辺588、589が光軸周りの方向(内側領域561の長手方向)に延在している。
また、2つのフォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)では、空芯コイル560の光軸方向の中心線CL30上に発光部581の中心および受光部582の中心が位置している。このため、図11(a)に示すように、光軸方向において、フォトリフレクタ580の発光部581の中心および受光部582の中心は、磁石520におけるS極とN極との境界部分(第1磁石片521と第2磁石片522との当接面527)よりも光軸方向前側に位置し、第1磁石片521と対向している。
さらに、2つのフォトリフレクタ580(第1フォトリフレクタ580aおよび第2フォトリフレクタ580b)は、互いの受光部582同士(受光部582の中心)が離間するように逆向きに配置されている。すなわち、図15(c)に示すように、第1フォトリフレクタ580aは、発光部581をX軸方向の+X側に向け、受光部582をX軸方向の−X側に向けているのに対して、第2フォトリフレクタ580bは、発光部581をY軸方向の+Y側に向け、受光部582をY軸方向の−Y側に向けている。このようにして、第1フォトリフレクタ580aの受光部582と、第2フォトリフレクタ580bの受光部582とを最大限離間させた配置になっている。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)では、バネ部材600によって可動体10が固定体200に対して揺動可能に支持されているため、振れ補正用駆動機構500を作動させれば、揺動支点180を中心に可動体10を揺動させることができる。従って、手振れ等に起因して光学ユニット100に振れが生じた場合でも、可動体10を揺動させることによって、振れを補正することができる。また、本形態では、光軸方向に交差する2つの方向において、第1空芯コイル560aの内側領域に第1フォトリフレクタ580aが設けられ、第2空芯コイル560bの内側領域に第2フォトリフレクタ580bが設けられている。このため、2つの方向毎の可動体10の変位を監視し、その監視結果に基づいて、振れ補正用駆動機構500を制御することができる。
また、フォトリフレクタ580は、振れ補正用駆動機構500に用いた空芯コイル560の内側領域561という空きスペースに設けられている。従って、フォトリフレクタ580を設けた場合でも、光学ユニット100の光軸方向および光軸方向に対して交差する方向のサイズの増大を防止することができる。フォトリフレクタ580は、空芯コイル560の内側領域561に設けられているため、空芯コイル560によって囲まれた状態にある。従って、空芯コイル560によって、2つのフォトリフレクタ580のうちの一方から出射された光が他方のフォトリフレクタに漏れ光として入射することを防止することができる。それ故、漏れ光が原因でフォトリフレクタ580が誤検出することを防止できるので、光軸の傾きを精度よく補正することができる。
また、2つのフォトリフレクタ580は、発光部581および受光部582が光軸周りの方向で並ぶ向きに配置されている。すなわち、フォトリフレクタ580は、発光部581および受光部582が並んでいる方向が長辺588、589の延在方向であり、かかる長辺方向が光軸周りの方向である。このため、フォトリフレクタ580の長辺方向と空芯コイル560の長辺方向とが一致しているため、空芯コイル560の有効辺を長く、また有効辺の配置面積を大きくすることができる。従って、振れ補正用駆動機構500において、可動体10を揺動させる駆動力の増大を図ることができる。
また、フォトリフレクタ580から出射された光が反射される面は、磁石520の表面であるため、反射面を別途追加する必要がないという利点がある。
しかも、2つのフォトリフレクタ580は、互いの受光部582同士が離間する向きに配置されているため、2つのフォトリフレクタ580のうちの一方から出射された光が他方に入射しにくいという利点がある。
また、フォトリフレクタ580は、空芯コイル560の内側領域561において空芯コイル560の背面より磁石520が位置する側にずれた位置に設けられているので、その分、フォトリフレクタ580と磁石520との離間距離が短い。従って、図14を参照して説明したように、フォトリフレクタ580の感度が高いという利点がある。かかる構成を採用するにあたって、フォトリフレクタ580は、空芯コイル560の背面に沿って延在するフレキシブル配線基板450の帯状部分460において空芯コイル560の内側領域561に向けて折り曲げられた細幅部分465に実装されている。このため、フォトリフレクタ580を空芯コイル560の背面より磁石520が位置する側にずれた位置に設けた場合でも、簡素な構成によりフォトリフレクタ580への電気的な接続を行うことができる。さらに、フォトリフレクタ580の背後には、フォトリフレクタ580を磁石520が位置する側に向けて押し出す突部472を備えたスペーサー470が設けられている。従って、簡素な構成でフォトリフレクタ580を空芯コイル560の背面より磁石520が位置する側にずれた位置に設けることができ、フォトリフレクタ580と磁石520が配置されている側との離間距離を短くすることができる。
本形態において、空芯コイル560およびフォトリフレクタ580は、固定体200側に設けられ、振れ補正用駆動機構500は、可動体10を可動体10の光軸方向中心位置より光軸方向後側に設けられた揺動支点180を中心に揺動させる。従って、可動体10側に空芯コイル560およびフォトリフレクタ580を設けた構成に比して、可動体10側の側に空芯コイル560およびフォトリフレクタ580に対する配線部材を接続する必要がないという利点がある。
また、空芯コイル560の光軸方向における中心線CL30、およびフォトリフレクタ580は、磁石520におけるS極とN極との境界線より光軸方向前側に位置する。このため、フォトリフレクタ580は、可動体10において変位量が大きな光軸方向前側の変位を検出することになる。すなわち、可動体10は、光軸方向の中心よりも光軸方向後側に位置する揺動支点180を中心に揺動するため、フォトリフレクタ580が光軸方向前側に位置すれば、その分、可動体10において変位量が大きな部分の変位を検出することになる。それ故、フォトリフレクタ580の感度が高い。
(改良例1)
図16は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100におけるフォトリフレクタ580の配置位置に関する改良例の説明図である。
上記実施の形態において、フォトリフレクタ580では、空芯コイル560の光軸方向の中心線CL30上に発光部581の中心および受光部582の中心が位置している構成であったが、図16に示すように、空芯コイル560の光軸方向の中心線CL30より光軸方向前側にフォトリフレクタ580の発光部581の中心および受光部582の中心が位置している構成であってもよい。かかる構成によれば、可動体10が光軸方向の中心よりも光軸方向後側に位置する揺動支点180を中心に揺動した際、フォトリフレクタ580は、可動体10において変位量が大きな光軸方向前側の変位を検出することになる。それ故、フォトリフレクタ580の感度が高いという利点がある。
(改良例2)
図17は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100における変位量検出方法の改良例に関する説明図であり、図17(a)、(b)は、振れ補正機能付きの光学ユニット100のXY断面図、および差動検出回路の説明図である。
上記実施の形態では、第1空芯コイル560aの内側領域561に第1フォトリフレクタ580aを設け、第2空芯コイル560bの内側領域561に第2フォトリフレクタ580bを設けたが、図17(a)に示すように、さらに、第3空芯コイル560cの内側領域561に第3フォトリフレクタ580cを設け、第4空芯コイル560dの内側領域561に第4フォトリフレクタ580dを設けてもよい。より具体的には、Y軸方向の−Y側において+Y側を向く固定体側第3側面264cでは、第3空芯コイル560cの内側領域561において軸線Y0上に第3フォトリフレクタ580cが設けられ、X軸方向の−X側において+X側を向く固定体側第4側面264dでは、第4空芯コイル560dの内側領域561において軸線X0上に第4フォトリフレクタ580dが設けられている。
かかる構成によれば、図17(b)に示すように、第1フォトリフレクタ580aおよび第3フォトリフレクタ580cからの出力を差動増幅回路551(差動増幅アンプ)に入力すれば、可動体10の軸線X0周りの揺動をより高い感度で得ることができる。また、第2フォトリフレクタ580bおよび第4フォトリフレクタ580dからの出力を差動増幅回路552(差動増幅アンプ)に入力すれば、可動体10の軸線Y0周りの揺動をより高い感度で得ることができる。
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、光軸方向からみたときに、固定体200および可動体10が四角形であったが、かかる形状に限らず、固定体200および/または可動体10が四角形以上の多角形や円形である場合に本発明を適用してもよい。
[光学ユニット100の他の構成例]
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、撮像ユニット1にレンズ1aや撮像素子1bに加えて、レンズ1aを含む移動体3を光軸方向に磁気駆動するレンズ駆動機構5が支持体2上に支持されている例を説明したが、撮像ユニット1にレンズ駆動機構5が搭載されていない固定焦点タイプの光学ユニットに本発明を適用してもよい。
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のかばん、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることも可能である。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。