JP5601326B2 - 通信システム - Google Patents
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Description
これらの図に示される通信システムは、通信媒体となるシート状の信号伝達装置1と、通信カプラ2とから構成される。信号伝達装置1は、シート状構造であり、グランド層3と、格子状パターン電極4と、保護層5と、誘電体層6と、を有する。グランド層3は下部電極を構成する。格子状パターン電極4は、メッシュ状であり、グランド層3と間隔をおいて配置されている。保護層5は、格子状パターン電極4の上部に設けられて、パターン電極4が通信カプラ2と直接的に接触することを防止する。誘電体層6は、グランド層3と格子状パターン電極4との挟間領域に設けられている。
このような構成によって、カプラ筐体11のアンテナ回路10を介して通信信号が電磁界となって信号伝達装置1に注入された後、信号伝達装置1内を伝搬して、通信カプラ2と別の通信カプラ(図示略)との間で通信を行う。
通信カプラ20は、図21の断面図に示すように、内部導体21と、外部導体23と、同軸ケーブル24と、を有する。内部導体21は、円盤形状である。外部導体23は、カップ形状であり、内部導体21を覆いかつカプラ筐体22を構成する。同軸ケーブル24は、これら内部導体21及び外部導体23に接続されている。同軸ケーブル24の末端は、通信機器25に接続されている。このような構成によって、通信機器25から入出力された電磁界が同軸ケーブル24を伝わり、通信カプラ2の内部導体21と外部導体23の間を伝搬して信号伝達装置1に注入された後、信号伝達装置1内を伝搬して通信カプラ20と別の通信カプラ(図示略)との間で通信を行う。
図23は、図22の接合部ノイズ伝搬等価回路を示す。図23において、カプラ筐体11の信号伝達装置1の接合部表面抵抗を「Rs」、カプラ筐体11と信号伝達装置1と間のインピーダンスを「Zc」と表記する。通信カプラ2の内部12で発生した信号電流は、矢印Aで示すようにZc経由で通信カプラ2の内部12に流れる「Ic」と、矢印Bで示すようにRs経由で通信カプラ外部13へ流れる「Id」に分配される。インピーダンスZcは、「Zc=1/ωC=1/2πfC」で示されるように、カプラ筐体11の信号伝達装置1の下端面と信号伝達装置1との導体間容量Cで決定される。
本発明の実施例1を図1〜図7を参照して説明する。
本発明に係わる通信システムは、図1〜図3に示すように、通信媒体となるシート状の信号伝達装置30と、信号伝達装置30の上面に設置されるカップ形状の通信カプラ31とから構成される。
信号伝達装置30は、図3に示すように、シート状構造であり、グランド層32と、格子状パターン電極33と、保護層34と、誘電体層35と、を有する。グランド層32は、下部電極を構成する。格子状パターン電極33は、メッシュ状であり、グランド層32と間隔をおいて配置されている。保護層34は、格子状パターン電極33の上部に設けられて、格子状パターン電極33が通信カプラ31と直接的に接触することを防止する。誘電体層35は、グランド層32と格子状パターン電極33との挟間領域に設けられている。
このような構成によって、カプラ筐体41のアンテナ回路40を介して通信信号が電磁界となって信号伝達装置30に注入された後、信号伝達装置30内を伝搬して、通信カプラ31と別の通信カプラ(図示略)との間で通信を行う。
このような図5の等価回路において、通信カプラ31の内部36の通信又は電力伝送の信号電流はRsに流れ、矢印Aで示すように、Zcを介して通信カプラ31の内部36に戻る電流Icと、矢印Bで示すように、Zc,Rsを介して、通信カプラ31の外部37へ流れるIdとに分配される。
図6は、本発明の実施例1に係わる、溝42を有する通信カプラ31及び信号伝達装置30のノイズ漏洩状況を、電磁界シミュレーションにより求めた近傍磁界分布として示す。図6は、図2に示したIII−III線に沿う断面図における近傍磁界強度を濃淡で表わしている。
図7は、従来技術に係わる通信カプラ2及び信号伝達装置1(図18〜図20参照)のノイズ漏洩を、電磁界シミュレーションにより求めた近傍磁界分布として示す図である。図7は、図19に示したXX−XX線断面図構造における近傍磁界強度を濃淡で示している。
このような磁界分布では、磁界の強度が大きいほど濃く、磁界の強度が小さいほど薄い色で示している。
また、電磁界シミュレーションによる遠方電界強度計算では、従来技術に係わる通信システム(図18〜図20参照)からの電界強度が、本発明の実施例による電界強度より3dB以上低減していることが確認できた。
また、図8も本発明の実施例1に係わる通信システムであるが、図6の通信システムとは構成が異なっている。すなわち、図8に示す通信システムは、通信カプラ31の左右に溝42がある。図8中左側の溝42の直下と、図8中右側の溝42の直下(符号Tで示す)とにおいてそれぞれ、格子状パターン電極33の格子が一部ある構成となっている。
このことから、カプラ筐体41に設けた溝直下の格子状パターン配置および格子幅を、以下のような条件すると、ノイズ低減効果を得ると理解される。ここで、溝42の幅を「W」、格子状パターン電極33の格子状パターンの格子幅を「W´」と表記する。ノイズ低減効果を得る条件は、溝42の下部(直下)に格子状パターン電極33の格子を配置するとともに、「W > W´」と設定して、格子状パターン電極33の格子幅「W´」が、溝42の溝幅「W」を超えないことである。
〔変形例1〕
上記実施例1では、図1及び図2に示すように円筒型の通信カプラ31を用いた通信システムを例に挙げたが、これに限定されない。図9及び図10に示すように、全体として四角形状に形成された方形型の通信カプラ31に本技術を適用しても良い。
上記実施例1では、通信カプラ31のカプラ筐体41の信号伝達装置30に面する下端面41Aに、高インピーダンスを形成する溝42を設けた。しかしながら、このような溝42は、カプラ筐体41の本体部41B(図3参照)内に一体に設けることに限定されない。これに代わって、図11に示すように、カプラ筐体41の本体部41Bの一部を形成しかつ本体部41Bに外側に隣接配置した溝用筐体43に配置しても良い。すなわち、カプラ筐体41の下端面41Aに形成する溝42は、カプラ筐体41の本体部41B内に設けても良いし、本体部41Bに隣接配置しかつ本体部41Bの一部を構成する溝用筐体43に設けても良い。
信号伝達装置30に面する下端面41Aの溝42は、全体として円形に形成されるカプラ筐体41の下端面41Aの周方向に連続的するように1本だけ設けても良い。また、溝42は、カプラ筐体41の下端面41Aの周方向に沿うように間欠的に分割して複数設けても良い。
本発明の実施例2を図12〜図14を参照して説明する。
本実施例2が、先の実施例1と異なる点は、通信カプラ31のカプラ筐体41の信号伝達装置30に面する下端面41Aに形成された溝42が、様々な形態を有する点である。
具体的には、図12に示す通信カプラ50は、図1〜図3の通信カプラ31と同様に、アンテナ回路51及び信号・電力送受用回路(図示略)と、カプラ筐体52と、を有する。アンテナ回路51は、板状であり、信号伝達装置30上に設置され、通信信号又は電力の送受に用いられる。カプラ筐体52はカップ状であり、アンテナ回路51を覆うように形成されかつ下部が開口されている。
通信カプラ50においては、カプラ筐体52の信号伝達装置30の保護層34上に接する下端面52Aには、高インピーダンスを形成する溝53が複数(本例では2組)設けられている。これら2組の溝53は、カプラ筐体52の下端面52Aから、カプラ筐体52の内部でかつ壁面に沿い上方向に向けて形成された凹状体であって、互いに平行となるように配置されている。また、これら溝53となる凹状体の深さは同一に形成されている。
〔変形例1〕
上記実施例2では、2組の溝53を同じ深さに形成したが、これに限定されない。例えば、図13に示すように、2組の溝53A、53Bは、それぞれ異なる深さを有していてもよい。内側の溝53Aの深さを「h1」、外側の溝53Bの深さを「h2」と表記する。例えば、本通信システムにおいて信号又は電力伝送を行う周波数が2波存在する場合、第1の周波数f1の1/4波長長さを「(λ1)/4=h1」、第2の周波数f2の1/4波長長さを「(λ2)/4=h2」とすると、溝53A、53Bの深部では短絡、カプラ筐体52の下端面52Aでは開放となるインピーダンスを実現することができる。
上記実施例2の変形例1では、2つの溝53A、53Bを設けることで、信号又は電力伝送を行う周波数が2波存在する場合のノイズ軽減を実現するようにした。これに代えて、図14で示すように、このような周波数が2波存在する場合のノイズ軽減を、1つの溝60により実現しても良い。すなわち、図14に示す溝60は、カプラ筐体52の下端面52Aから、カプラ筐体52の内部でかつ壁面に沿い上方向に向けて形成された凹状体である。この凹状体の底部は、カプラ筐体52の下端面52Aと平行でなく、内側から外側に向けて深度が大きくなるように傾斜するように設けられている。
本発明の実施例3を図15〜図17を参照して説明する。
本実施例3が、先の実施例1、2と異なる点は、通信カプラ31、51のカプラ筐体41、52の信号伝達装置30に面する下端面41A、52Aに、溝42、53ではなく、磁性体が設けられている点である。
すなわち、図15に示す通信カプラ70は、図1〜図3の通信カプラ31と同様に、アンテナ回路71及び信号・電力送受用回路(図示略)と、該アンテナ回路71を覆うように形成されかつ下部が開口されたカップ状のカプラ筐体72と、を有する。アンテナ回路71は、板状であり、信号伝達装置30上に設置され、通信信号又は電力の送受に用いられる。カプラ筐体72は、カップ状であり、アンテナ回路71を覆うように形成され、かつ下部が開口されている。
通信カプラ70においては、カプラ筐体72の信号伝達装置30の保護層34上に接する下端面72Aに、先の実施例1、2のような溝42、53では無く、同様に高インピーダンスを形成して周辺の磁界強度を低下させるための磁性体73が設けられている。
この図16と、前述した従来技術に係わる図7の近傍磁界分布とを比較して分るように、通信カプラ70に磁性体73が設けられている実施例3の近傍磁界分布の強磁界エリアが、従来技術に係わるものより縮小していることが確認できる。本実施例3では、通信カプラ70の外部の磁界強度は、図16右側の強度グラフを尺度として、4段階(2dBx4=8dB)以上の磁界強度低減が実現できたことが確認されている。
一方、電磁界シミュレーションによる遠方電界強度計算では、通信システムからの電界強度が、従来技術に対して本発明の実施例3の方が4dB以上低減していることが確認されている。
このような図16と図17の通信カプラ70について、電磁界シミュレーションによる電界強度を比較すると、図17に示す格子状パターン電極33の格子配置パターンの方が、図16よりも電界強度が低下している。このことから、通信カプラ70のカプラ筐体72に設けた磁性体73直下に、少なくとも格子の一部があるように格子状パターン電極の格子配置パターンが配置されることがノイズ低減に有効であることが確認された。
31 通信カプラ
33 格子状パターン電極
41 カプラ筐体
41A 下端面
41B 本体部
42 溝(ノイズ抑制部)
42A 溝(ノイズ抑制部)
42B 溝(ノイズ抑制部)
43 溝用筐体
50 通信カプラ
52 カプラ筐体
52A 下端面
53 溝(ノイズ抑制部)
53A 溝(ノイズ抑制部)
53B 溝(ノイズ抑制部)
70 通信カプラ
72 カプラ筐体
72A 下端面
73 磁性体(ノイズ抑制部)
Claims (7)
- 信号を送発信する通信カプラと、前記通信カプラから伝達された信号を電磁界として伝搬させて通信を行う信号伝達装置とからなる通信システムであって、
前記通信カプラは、前記信号伝達装置上に設置されるカプラ筐体を有し、前記カプラ筐体の前記信号伝達装置に面した下端面に、高インピーダンスを形成してノイズを抑制するノイズ抑制部が設けられ、
該ノイズ抑制部は、前記下端面に形成された溝であって、
前記信号伝達装置は、下部電極を構成するグランド層と、前記グランド層と間隔をおいて配置されたメッシュ状の格子状パターン電極とを有し、
前記溝の幅は、前記信号伝達装置の格子状パターン電極を構成する格子の幅より大きい通信システム。 - 前記溝は、前記カプラ筐体の本体部の一部を構成する溝用筐体に設けられている請求項1に記載の通信システム。
- 前記溝は、前記下端面に複数形成される請求項1又は2に記載の通信システム。
- 前記複数の溝はそれぞれ、前記下端面に異なる深さで形成されている請求項3に記載の通信システム。
- 前記複数の溝の深さはそれぞれ、信号又は電力伝送を行う複数の周波数の1/4波長に対応して設定されている請求項4に記載の通信システム。
- 前記溝の底部は、前記通信カプラのカプラ筐体の内側から外側に向けて深度が大きくなるように傾斜するように設けられている請求項1又は2に記載の通信システム。
- 前記溝の底部の最深部の深さ及び前記溝の底部の最浅部の深さはそれぞれ、信号又は電力伝送を行う複数の周波数の1/4波長に対応して設定されている請求項6に記載の通信システム。
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