JP5600702B2 - 太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト - Google Patents

太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池素子の電極形成用導電性ペーストに関し、特に、太陽電池素子の表面電極等の形成に好適に用いることができる電極形成用導電性ペーストに関する。
一般的な太陽電池素子は、半導体基板と、この半導体基板の表面に形成される拡散層と、この拡散層の上に形成される反射防止層および表面電極と、半導体基板の裏面に形成される裏面電極と、を備えている。これらのうち表面電極および裏面電極は、一般的に導電性ペーストを用いて形成され、これら電極を形成する導電性ペーストは、同じものであってもよいし異なるものであってもよい。一般的な導電性ペーストは、導電性粒子、有機バインダ、溶剤、およびガラスフリットから構成され、必要に応じて種々の添加剤等を含有してもよい。
ここで、表面電極は、導電性ペーストを直接拡散層上に形成されるのではなく、ファイヤースルー(焼成貫通)法で形成される。ファイヤースルー法は、反射防止層上に導電性ペーストを所定の電極パターン(通常、フィンガー状の電極パターン)となるように印刷(あるいは描画)し、焼成処理を行う手法である。焼成処理に際しては、導電性ペーストに含まれるガラスフリットが反射防止層に作用してこれを溶解するので、電極パターンは反射防止層を貫通することになる(ファイヤースルー)。これにより、電極パターンが反射防止層の下層の拡散層に接触することになり、結果的に拡散層上に表面電極が形成される。
ファイヤースルー法で形成された表面電極は、拡散層に対してショットキー接続(整流性接続)となるのではなくオーミック接続となる。それゆえ表面電極と拡散層との接触抵抗は、電流や電圧によらず略一定となり、かつ、半導体基板の抵抗と比較して十分に小さいものとなる。
ただし、導電性ペーストの組成あるいは焼成条件によっては、ファイヤースルーを良好に実現できないことがあり、そのために、表面電極と拡散層との間で安定なオーミック接続が得られないおそれがある。オーミック接続が安定しないと、太陽電池の直列抵抗が上昇して曲線因子(Fill Factor,FF)の値が小さくなる傾向にある。太陽電池の性能は、開放電圧、短絡電流およびFF値で表され、その変換効率は、開放電圧と短絡電流密度とFF値との乗算により算出されるので、FF値が小さくなると変換効率は低下してしまう。それゆえ、表面電極を形成する上で、導電性ペーストの好適な組成の設計が重要となり、また、当該組成に対する焼成条件の選択も重要となっている。
ところで、太陽電池の発電特性を向上するためには、表面電極および裏面電極を問わず電極そのものの特性を好適化することが重要となる。例えば、電極の抵抗値を下げることができれば発電効率を向上することができる。そこで、従来から、太陽電池の表面電極形成用導電性ペーストの分野において、電極の抵抗値の好適化を図る技術が種々提案されている。
例えば、本願出願人は、特許文献1において、電極の接触抵抗が増大することによるFF値の低下を回避することを目的として、導電性粒子、有機バインダ、溶剤、およびガラスフリットに加えて、TeまたはSe、あるいはTeO2 という低融点金属系成分を含有する導電性ペーストを提案している。なお、この導電性ペーストにおいては、分散剤としてステアリン酸等の有機酸を含有してもよく、周期表2族元素の金属せっけんを含有してもよい。
また、特許文献2には、高い接着強度を確保しつつさらなるオーミック接続の向上を図ることを目的として、銀粉末、ガラスフリット、有機ビヒクルに加えて、炭酸銀、酸化銀、酢酸銀から選ばれる少なくとも1種の銀化合物を金属銀換算で所定量含有する導電性ペーストが開示されている。
また、特許文献3には、焼成後の導電性電極の体積抵抗率(比抵抗)を悪化させずに焼成後の導電性電極とシリコン基板との密着性を向上させることを目的として、酸化銀と、沸点が200℃以上の有機溶媒とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が酸化銀である導電性組成物を用いて、シリコン基板上に塗膜を形成し、500〜850℃で焼成して導電性電極を形成する、太陽電池セル基材が開示されている。この特許文献3には、さらに、前記導電性組成物が、脂肪族カルボン酸銀、2−メチルプロパン酸銀等のカルボン酸銀を含有してもよいこと、銀粉を含有してもよいこと、並びにガラスフリットを含有してもよいことが開示されている。
また、特許文献4には、焼成後の導電性電極の体積抵抗率、電極とシリコン基板との密着性、およびアスペクト比(電極断面の高さ/幅)のいずれかを満足し得るものとすることを目的として、銀粉、酸化銀、および有機溶媒を含有し、銀単体および銀化合物中50質量%以上が銀粉であるである導電性組成物を用いて、シリコン基板上に塗膜を形成し、500〜850℃で焼成して導電性電極を形成する、太陽電池セル基材が開示されている。この特許文献4には、前記導電性組成物が、脂肪族カルボン酸銀等のカルボン酸銀を含有してもよいことも開示されている。
特許第4754655号公報 特許第4556886号公報 特開2011−35061号公報 特開2011−35062号公報
しかしながら、特許文献2ないし4に開示される導電性ペースト等のように、導電性成分として酸化銀を必須成分として含有する組成では、酸化銀の分解に伴うと考えられる経時的な粘度の上昇が著しくなる。それゆえ、酸化銀を含有する導電性ペーストは、貯蔵時の粘度の安定性に欠けるという問題を有する。なお、以下の説明では、貯蔵時における導電性ペーストの粘度の安定性を、便宜上「ペースト粘度安定性」と称する。
一方、本願出願人が提案する、特許文献1に開示される導電性ペーストはTeまたはSe、あるいはTeO2 を含有することで、導電性粒子の焼結を抑制することができるので、得られる電極の抵抗値の増大が抑えられ、結果としてFF値の低下を有効に抑制することが可能である。ただし、特許文献1に開示の導電性ペーストは、導電性粒子として酸化銀を含有してよい構成であるので、酸化銀を配合する場合には、特許文献2ないし4と同様にペースト粘度安定性を改善する余地がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、電極形成時にも良好なファイヤースルーを実現することができるとともに、導電性成分に酸化銀が含まれる場合であっても貯蔵時に良好なペースト粘度安定性を実現することができる、太陽電池素子の電極形成用導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題に鑑み鋭意検討した結果、導電性成分に酸化銀が含まれる場合に、分散剤として、特定種類のアルキルアミンまたはアルキルリン酸エステルを用いることにより、良好なファイヤースルーと良好なペースト粘度安定性とを両立でき、さらには焼成温度を800℃未満にしても十分なファイヤースルーが実現可能であることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る太陽電池素子の電極形成用導電性ペーストは、前記の課題を解決するために、導電性粒子と、分散剤と、ガラスフリットと、有機バインダと、溶剤と、低融点金属系成分とを含有しており、前記ガラスフリットは、その軟化点が550℃以下であり、前記導電性粒子の材質としては、酸化銀が少なくとも用いられ、当該導電性粒子の平均粒径が0.1〜15μmの範囲内、かつ、比表面積が0.05〜5m 2 /gの範囲内であり、前記低融点金属系成分が、融点500℃以下の金属またはその酸化物であり、前記分散剤が、アルキル基に二重結合を含まない直鎖または分岐の1級アルキルアミン、および、(ポリオキシアルキレン)アルキルリン酸エステルの少なくとも一方である構成である。

前記構成によれば、導電性成分に酸化銀が含まれる組成において、分散剤としてアルキル基に二重結合を含まない直鎖または分岐の1級アルキルアミン、および、(ポリオキシアルキレン)アルキルリン酸エステルの少なくとも一方を用いているので、得られる導電性ペーストは、電極形成のための焼成時に良好なファイヤースルーを実現することができ、FF値の低下を回避することができる。しかも、得られる導電性ペーストの経時的な粘度の上昇を抑えることができるので、ペースト粘度安定性の向上を図ることができる。さらに、電極形成用導電性ペーストを焼成する際のピーク温度が800℃未満であっても、ファイヤースルーを十分に実現することが可能となる。
前記構成の電極形成用導電性ペーストにおいては、前記導電性粒子が、銀粉末および酸化銀粉末の混合物、または酸化銀粉末であり、これら粉末の重量混合比は、銀粉末/酸化銀粉末=97/3〜0/100の範囲内である構成であってもよい。
また、前記構成の電極形成用導電性ペーストにおいては、前記低融点金属系成分が、Te、Se、またはTeO2 である構成であってもよい。
また、前記構成の電極形成用導電性ペーストにおいては、前記分散剤の含有量は、0.05〜10重量%の範囲内である構成であってもよい。
また、前記構成の電極形成用導電性ペーストにおいては、太陽電池素子の表面電極の形成に用いられ、当該表面電極を形成するときの焼成温度が800℃未満である構成であってもよい。
本発明では、以上の構成により、電極形成時にも良好なファイヤースルーを実現することができるとともに、導電性成分に酸化銀が含まれる場合であっても貯蔵時に良好なペースト粘度安定性を実現することができる、太陽電池素子の電極形成用導電性ペーストを提供することができる、という効果を奏する。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストを用いて電極を形成する対象である、太陽電池素子の一般的な構成の一例を示す模式的断面図である。
本発明に係る太陽電池素子の電極形成用導電性ペーストは、(A)導電性粒子と、(B)分散剤と、(C)ガラスフリットと、(D)有機バインダと、(E)溶剤と、(F)TeまたはSe等の低融点金属もしくはTeO2 等の低融点金属化合物とを含有し、(A)導電性粒子としては、銀と酸化銀との混合物、または、酸化銀を用い、(B)分散剤としては、アルキル基に二重結合を含まない直鎖または分岐の1級アルキルアミン、または、(ポリオキシアルキレン)アルキルリン酸エステルを用いる構成となっている。以下、本発明の好ましい実施の形態を具体的に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、低融点金属と低融点金属化合物とを、まとめて「(F)低融点金属系成分」と称する。
[(A)導電性粒子]
本発明で用いられる(A)導電性粒子は、少なくとも酸化銀粉末であり、銀粉末が併用されてもよく、さらに炭酸銀粉末、酢酸銀粉末等の銀化合物、銀が被覆された金属粉末、銀を含有する合金(銀合金)の粉末等が、他の銀系粉末が併用されてもよい。また、形成される電極の種類あるいは特性等に応じて、銀系粉末以外の金属粉末あるいは金属化合物粉末等が併用されてもよい。
また、本発明においては(A)導電性粒子として酸化銀粉末が含まれていればよいが、これに限定されず、「導電性成分」として酸化銀が少なくとも含まれていればよいので、(A)導電性粒子の材質として、酸化銀が少なくとも用いられていればよい。それゆえ、例えば、酸化銀と他の銀系化合物との混合物からなる粉末が(A)導電性粒子として用いられてもよいし、酸化銀が被覆された銀粉末が用いられてもよい。
本発明で用いられる(A)導電性粒子の形状は特に限定されず、例えば、鱗片状、球形状、フレーク状、不定形状であればよく、あるいはこれら形状を混合したものを用いてもよい。
本発明で用いられる(A)導電性粒子の平均粒径は特に限定されないが、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましい。(A)導電性粒子の平均粒径は、得られる電極形成用導電性ペーストの焼結特性に影響を与え、一般に、粒径の大きい粒子は粒径の小さい粒子よりも低速でゆっくりと焼結される。それゆえ、平均粒径が0.1μm未満であれば焼結速度が速すぎて、得られる電極の物理的な接着強度が不足するおそれがある。一方、平均粒径が15μmを超えると、焼結速度はやや緩慢になるが、ペースト中の分散性とペーストの印刷性とが悪くなる傾向にあり、特に、高精細なラインで電極パターンを印刷(または描画)することが困難となるおそれがある。
なお、本発明における平均粒径とは、マイクロトラック式粒度分布測定法により測定された粒径において、小径側から累積50%の粒径を指すものとする。
本発明で用いられる(A)導電性粒子の比表面積も特に限定されないが、0.05〜5m2 /gの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、高精細なラインで電極パターンを印刷することが可能であり、かつ、ペースト粘度の調整も容易となる。一方、比表面積が0.05m2 /g未満であれば、(A)導電性粒子の粒径が大きくなり過ぎる傾向にあり、高精細なラインで電極パターンを印刷することが困難となるおそれがある。また、比表面積が5m2 /gを超えると、ペースト粘度の調整に(E)溶剤が多量に必要となり、印刷の作業性が低下するおそれがあるとともに、ペースト粘度安定性にも影響を及ぼすおそれがある。
本発明において特に好ましい(A)導電性粒子は、銀粉末および酸化銀粉末の混合物、または酸化銀粉末である。ここで、銀粉末および酸化銀粉末の混合比は、重量比で、銀粉末/酸化銀粉末=97/3〜0/100の範囲内であることが好ましい。混合物中の酸化銀粉末が3重量%未満であれば、酸化銀粉末を用いることによる効果が十分得られず、また、酸化銀に由来するペースト粘度安定性の低下もほとんど無視できる。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおける(A)導電性粒子の含有量(配合量)は特に限定されないが、導電性ペースト全体に対して65〜95重量%の範囲内であることが好ましい。(A)導電性粒子の含有量が65重量%未満であれば、その量が少な過ぎることにより、得られる電極の固有抵抗値が上昇するおそれがある。一方、(A)導電性粒子の含有量が95重量%を超えると、導電性ペーストの印刷性が低下するおそれがあり、また、得られる電極の物理的な接着強度が不足するおそれがある。さらに、(A)導電性粒子の含有量が前記の範囲から外れると、後述する(B)分散剤によるペースト粘度安定性等の効果が十分に得られない場合がある。
[(B)分散剤]
本発明で用いられる(B)分散剤は、(B−1)アルキル基に二重結合を含まない直鎖または分岐の1級アルキルアミン、または、(B−2)(ポリオキシアルキレン)アルキルリン酸エステルである。なお、以下の説明では、便宜上、前者を「(B−1)アルキルアミン」と略し、後者「(B−2)アルキルリン酸エステル」と略す場合がある。また、本発明における「(ポリオキシアルキレン)アルキルリン酸エステル」とは、直鎖または分岐高級アルコールのリン酸エステル塩であってもよいし、直鎖または分岐高級アルコールのポリオキシアルキレン付加物のリン酸エステル塩であってもよいということを意味するものとする。
具体的には、(B−1)アルキルアミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノネニルアミン、デシルアミン(カプリルアミン)、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリデシルアミン、ミリスチルアミン(テトラデシルアミン)、ペンタデシルアミン、パルミチルアミン(ヘキサデシルアミン)、ヘプタデシルアミン(マルガリルアミン)、ステアリルアミン(オクタデシルアミン)等を挙げることができる。これらいずれの1級アルキルアミンも、アルキル基は直鎖であってもよいし分岐していてもよい。
また、(B−2)アルキルリン酸エステルとしては、例えば、2−エチルヘキシルリン酸エステル、デシルリン酸エステル、ドデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルリン酸エステル、ポリオキシエチレン分岐トリデシルリン酸エステル等を挙げることができる。
これら(B)分散剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜選択して併用してもよい。したがって、本発明においては、(B)分散剤として、(B−1)アルキルアミンを1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、(B−2)アルキルリン酸エステルを1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、さらには、(B−1)アルキルアミンおよび(B−2)アルキルリン酸エステルを併用する場合には、それぞれを1種類ずつ用いてもよく、一方を1種類のみ用い、他方を2種類以上用いてもよく、双方を2種類以上用いてもよい。
このような(B−1)アルキルアミンおよび/または(B−2)アルキルリン酸エステルを電極形成用導電性ペーストに配合することで、一般的な(B)分散剤と同様に作用するだけでなく、当該導電性ペーストが「導電性成分」として酸化銀を含有していても、ペースト粘度安定性を向上させることができ、さらには、当該導電性ペーストを用いて電極を形成する場合においても、良好なファイヤースルーの実現に寄与することができる。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおいて、(B)分散剤としての(B−1)アルキルアミンおよび/または(B−2)アルキルリン酸エステルの含有量は特に限定されないが、導電性ペースト全体に対して0.05〜10重量%の範囲内であることが好ましい。これら(B)分散剤の含有量が0.05重量%未満であれば、これら(B)分散剤を添加することによる各種効果を安定して得ることができないおそれがある。一方、これら(B)分散剤の含有量が10重量%を超えると、(B)分散剤の添加量に見合ったレベルの各種効果が得られないおそれがあり、また得られる電極の固有抵抗が上昇するおそれもある。
[(C)ガラスフリット]
本発明で用いられる(C)ガラスフリットは特に限定されず、電極形成用導電性ペーストの分野において、ファイヤースルーを実現するために用いられている公知の(C)ガラスフリットを好適に用いることができる。
本発明で使用可能な(C)ガラスフリットの好ましい一例としては、例えば、その軟化点が300〜550℃の範囲内にあるものが好ましい。軟化点が300℃より低ければ、導電性ペーストの具体的な組成あるいは焼成条件等にもよるが、導電性ペーストで形成した電極パターン(塗膜)を焼成する過程で良好なファイヤースルーが生じない場合がある。
一方、(C)ガラスフリットの軟化点が550℃より高ければ、焼成時に十分な溶融流動が生じないおそれがあり、得られる電極が十分な接着強度を実現できないおそれがある。特に本発明では、焼成温度を800℃未満とすることができるので、(C)ガラスフリットとしては軟化点が550℃以下であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましい。
軟化点が300〜550℃の範囲内にある(C)ガラスフリットとしては、具体的には、例えば、Bi系ガラス、Bi23−B23 −ZnO系ガラス、Bi23 −B23 系ガラス、Bi23 −B23 −SiO2 系ガラス、Ba系ガラス、BaO−B23 −ZnO系ガラス等からなるガラス粉末を挙げることができる。これら(C)ガラスフリットの具体的な形状は特に限定されず、球状であってもよいし不定形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおける(C)ガラスフリットの含有量は特に限定されないが、導電性ペースト全体に対して0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましい。(C)ガラスフリットの含有量が0.1重量%未満であれば、得られる電極の接着強度が不十分となる場合がある。また、(C)ガラスフリットの含有量が10重量%を超えると、得られる電極にガラスの浮きが生じたり、電極に対して行われる半田付け等において不良が生じたりする場合がある。
[(D)有機バインダおよび(E)溶剤]
本発明出用いられる(D)有機バインダおよび(E)溶剤は、太陽電池素子の電極形成用途に限定されず、導電性ペーストの分野において公知の有機系樹脂および溶剤、あるいは、有機系樹脂および溶剤を含む有機ビヒクルを好適に用いることができる。
具体的な有機バインダとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリブテン系樹脂等のポリオレフィン系あるいはビニル系樹脂;アルキド樹脂等のポリエステル系樹脂;ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然素材系樹脂;アクリル樹脂、アクリル酸エステル系樹脂等のアクリル系樹脂;ユリア系樹脂、メラミン系樹脂等のアミノ樹脂;キシレン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、フェノール系樹脂等の環状構造の架橋結合型の熱硬化性樹脂;クマロンインデン系樹脂;ポリエーテル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリイソブチレン系樹脂;等を挙げることができる。これら有機系樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおける(D)有機バインダの含有量は特に限定されないが、導電性ペースト全体に対して0.1〜30重量%の範囲内であることが好ましい。(D)有機バインダの含有量が0.1重量%未満であれば、導電性ペーストにより印刷される塗膜(電極パターン)において十分な接着強度を実現することができないおそれがある。一方、(D)有機バインダの含有量が30重量%を超えると、ペースト粘度が上昇しすぎて導電性ペーストの印刷性が低下するおそれがある。
また、具体的な(E)溶剤としては、例えば、ヘキサン等の飽和炭化水素類;トルエン等の芳香族系炭化水素類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート等のグリコールエーテル(セロソルブ)類;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等のグリコールエーテル類;ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテル類の酢酸エステル;ジアセトンアルコール、ターピネオール、ベンジルアルコール等のアルコール類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;DBE、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのエステル類;等を挙げることができる。これら溶剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおける(E)溶剤の含有量は特に限定されないが、導電性ペースト全体に対して1〜40重量%の範囲内であることが好ましい。(E)溶剤の含有量が1重量%未満であれば溶剤の絶対量が少なすぎてペースト化することが困難になるおそれがある。また、(E)溶剤の含有量が40重量%を超えると、他の成分の種類や組成にもよるが、印刷に好適な流動性を得ることができず、導電性ペーストの印刷性が低下するおそれがある。
[(F)低融点金属系成分]
本発明で用いられる(F)低融点金属系成分(低融点金属系化合物)は、焼結抑制剤として作用するものであり、融点が500℃以下の金属またはその化合物が挙げられる。
融点が500℃以下の低融点金属としては、具体的には、例えば、亜鉛(融点419.6℃)、鉛(融点327.5℃)、スズ(融点231.97℃)、ビスマス(融点271.3℃)、テルル(融点449.5℃)、セレン(融点217℃)等が挙げられる。これらの中でも、テルル(Te)およびセレン(Se)が特に好ましい。
これら低融点金属の化合物は具体的には特に限定されないが、例えば、テルルの化合物としては、塩化テルル、二酸化テルル、亜テルル酸化合物、テルル化亜鉛(ZnTe)、四臭化テルル、テルル化アルミニウム、テルル化カドミウム、テルル化水素、テルル化カリウム、テルル化ナトリウム、テルル化ガリウム、テルル化銀、テルル化クロム、テルル化ゲルマニウム、テルル化コバルト、テルル化水銀、テルル化スズ、テルル化タングステン、テルル化チタン、テルル化銅、テルル化鉛、テルル化ビスマス、テルル化砒素、テルル化マンガン、テルル化モリブデン、テルル酸、メタテルル酸アンモニウム、メタテルル酸カリウム、メタテルル酸ルビジウム、メタテルル酸ナトリウム、メタテルル酸鉛、ヨウ化テルル、硫化テルル、ジフェニルジテルリド、オクチル酸テルル等を挙げることができる。これらの中でも、二酸化テルル(TeO2 )およびテルル化亜鉛(ZnTe)が好ましく、TeO2 が特に好ましい。
また、セレンの化合物としては、フェロセレン、セレン化合金、二酸化セレン、亜セレン酸塩、セレン酸塩、二硫化セレン、セレン有機金属化合物等を挙げることができる。
本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおける(F)低融点金属系成分の含有量は特に限定されないが、Te、Se等の低融点金属であれば0.1〜5重量%の範囲内であることが好ましく、TeO2 等の化合物であれば0.01〜10重量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜8重量%の範囲内であることがより好ましく、0.1〜4重量%の範囲内であることがさらに好ましい。これら(F)低融点金属系成分の含有量が前記範囲の下限未満であると、(A)導電性粒子の焼結を抑制する効果が十分に得られないおそれがあり、前記範囲の上限を超えると、得られる電極の抵抗値が増大してFF値が小さくなるおそれがある。
[導電性ペーストの製造および使用]
本発明に係る電極形成用導電性ペーストの製造方法は特に限定されず、導電性ペーストの分野で公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した各成分を所定の配合割合で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化する方法が挙げられる。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
なお、本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおいては、前述した(A)導電性粒子、(B)分散剤、(C)ガラスフリット、(D)有機バインダ、(E)溶剤、および(F)低融点金属系成分以外に、導電性ペーストの分野で公知の種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、粘度調整剤等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、添加剤の添加量(含有量)も特に限定されず、電極形成用導電性ペーストに要求される物性に影響を与えたり、本発明により得られる作用効果を妨げたりしない範囲で添加することができる。
また、本発明に係る電極形成用導電性ペーストは、太陽電池素子の電極の形成に好適に用いられるが、特に、ファイヤースルー法により形成される電極である、表面電極の形成に好適に用いることができる。太陽電池素子の一般的な構成とその製造方法に関して具体的に説明する。
一般的な太陽電池素子は、図1に示すように、表面電極1、反射防止層2、N型拡散層3、P型シリコン基板4および裏面電極5を備えている。N型拡散層3はP型シリコン基板4の表面に形成されており、反射防止層2および表面電極1はこのN型拡散層3の上に形成されている。また、裏面電極5はP型シリコン基板4の裏面に形成されている。
この太陽電池素子の製造方法の一例に付いて説明すると、まず、シリコンからなるP型シリコン基板4の受光面側(表面側)に、不純物のN型拡散層3と、窒化シリコン、酸化シリコンまたは酸化チタン等からなる絶縁性の反射防止層2とが順次形成される。ここで、P型シリコン基板4は、本実施の形態では、例えば、ホウ素などの半導体不純物を1×1016〜1018原子/cm3 程度含有することにより、比抵抗1.5Ωcm程度のP型の導電型を呈するように構成されている。
P型シリコン基板4が単結晶シリコンである場合には、引き上げ法などによって形成され、多結晶シリコンである場合には、鋳造法などによって形成される。多結晶シリコンは、大量生産が可能で製造コスト面で単結晶シリコンよりも有利である。P型シリコン基板4は、例えば、引き上げ法や鋳造法によって形成されたインゴットを100〜300μm程度の厚みにスライスすることにより得られる。
N型拡散層3は、P型シリコン基板4の受光面に、リンなどの不純物を拡散させることにより形成される、P型シリコン基板4の逆の導電型であるN型を呈する層である。このN型拡散層3は、例えば、P型シリコン基板4を炉中に配置して、オキシ塩化リン(POCl3 )などの中で加熱することによって形成される。なお、シリコン基板4の導電型がN型であれば拡散層3はP型とすればよい。
反射防止層2は、反射防止機能と併せて太陽電池素子の保護のためにN型拡散層3の受光面側に形成される層である。反射防止層2が窒化シリコン膜である場合には、例えば、シラン(SiH4 )とアンモニア(NH3 )の混合ガスをグロー放電分解でプラズマ化して堆積させるプラズマCVD法等で形成される。例えば、反射防止層2はP型シリコン基板4との屈折率差などを考慮して、屈折率が1.8〜2.3程度になるようにされ、0.05μmないし1.0μm程度の厚みに形成される。
P型シリコン基板4の表面には表面電極1が形成され、裏面には裏面電極5が形成される。なお、裏面には太陽電池素子の出力を向上させるために、必要に応じてBSF(Back Surface Field)層を形成してもよい。表面電極1は、一般的にはバスバー電極およびフィンガー電極で構成され、裏面電極5は、一般的にはバスバー電極および集電電極で構成されている。本発明に係る電極形成用導電性ペースト組成物は、裏面電極5および表面電極1のいずれの形成にも用いることができるが、特に表面電極1の形成に好適に用いることができる。
具体的には、反射防止層2の上面に、スクリーン印刷等により本発明に係る電極形成用導電性ペーストの所定パターンの塗膜を形成し(パターン形成ステップ)、当該塗膜を所定範囲のピーク温度となるように数十秒〜数十分間焼成する(焼成ステップ)。焼成時には、有機バインダの脱バインダが生じて導電性粒子が焼結されるとともに、電極形成用導電性ペーストに含まれるガラスフリットの作用によってファイヤースルーが生じる。それゆえ、反射防止層2を貫通してN型拡散層3にオーミック接続する表面電極1が形成される。
なお、裏面電極5の形成には、本発明に係る電極形成用導電性ペーストを用いてもよいが、異なる組成の導電性ペーストを用いることができる。例えば、バスバー電極形成用であれば、導電性成分として銀粉末およびアルミニウム粉末を用いる以外は、本発明に係る電極形成用導電性ペーストと同様に、(C)ガラスフリット、(D)有機バインダ、(E)溶剤、(B)分散剤等を含有するものが用いられる。また、集電電極形成用であれば、導電性成分としてアルミニウム粉末のみを用いる以外は、本発明に係る導電性ペーストと同様に、(C)ガラスフリット、(D)有機バインダ、(E)溶剤を含有するものが用いられる。そして、これら導電性ペーストを用いて略前面にスクリーン印刷により所定パターンの塗膜を形成し、これを焼成すればよい。
このように本発明に係る電極形成用導電性ペーストにおいては、「導電性成分」として酸化銀を含む(A)導電性粒子が用いられ、また、(B)分散剤として、(B−1)アルキルアミンおよび/または(B−2)アルキルリン酸エステルが用いられ、また、焼結抑制剤としてTe、SeまたはTeO2 等の(F)低融点金属系成分が用いられている。これにより、良好なファイヤースルーを実現することができ、FF値の低下を回避することができるとともに、得られる導電性ペーストの経時的な粘度の上昇を抑えることができるので、ペースト粘度安定性の向上を図ることができる。
特にペースト粘度安定性に関しては、1ヶ月での粘度変化を±50Pa・s以下に抑えることができ、各成分の配合比によっては±10Pa・s未満に抑えることが可能である。それゆえ、導電性ペーストの調製(製造)に際して、その粘度を印刷に好適な値に調整し、その後、長期間保存したとしても、その印刷性を損なうことがない。したがって、本発明によれば、経時的な粘度変化の小さい(ペースト粘度安定性に優れた)導電性ペーストを得ることができる。
さらに本発明においては、電極形成用導電性ペーストを焼成する際に、十分なファイヤースルーを実現するためのピーク温度を、800℃未満に抑えることも可能となる。
具体的には、本発明に係る電極形成用導電性ペーストは、(C)ガラスフリットおよび(F)低融点金属系成分を含有していることから、本願出願人による先行特許である特許文献1に開示の導電性ペーストと同様の組成を有している。特許文献1に開示の導電性ペーストでは、焼成時のピーク温度を800℃以上にすることで良好なファイヤースルーが実現され、FF値が小さくなることを有効に回避できるという優れた効果を奏するが、焼成温度が800℃以上である場合、各種条件にもよるが、P型シリコン基板4の反りが無視できなくなる程度に裏面電極5の収縮が大きくなる場合がある。P型シリコン基板4の反りが有意な程度になると、モジュール化に際してP型シリコン基板4が破損したり、太陽電池の特性が低下したりすることにつながる可能性がある。
これに対して、本発明に係る電極形成用導電性ペーストは、ペースト粘度安定性を実現できるだけでなく、焼成時のピーク温度が800℃未満であっても良好なファイヤースルーを実現することができ、FF値の低下を有効に抑制して、得られる太陽電池素子の変換効率を高くすることが可能となる。それゆえ、本発明によれば、高効率の太陽電池を安定的に製造することが可能となる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における太陽電池素子サンプルの作製および各種導電性ペーストの調製、並びに太陽電池素子サンプルの特性評価は、次に示すようにして行った。
(太陽電池素子サンプルの作製および各種導電性ペーストの調製)
[半導体基板の準備]
実施例および比較例に用いた太陽電池素子サンプルの半導体基板としては、多結晶シリコンのp型半導体基板の表面に、n型拡散層およびSiNx からなる反射防止層がこの順で形成された半導体ウエハを準備した。この半導体ウエハのサイズは、厚さ200μm、外形156mm×156mmである。
[各種導電性ペーストの調製]
太陽電池素子サンプルの作製においては、表1に示す3種類の電極形成用導電性ペーストを調製した。
導電性ペースト(1)は、半導体基板の裏面のBSF層と、同じく裏面の集電電極を形成するために用い、導電性ペースト(2)は、裏面のバスバー電極を形成するために用いた。また、導電性ペースト(3)は、本発明に係る電極形成用導電性ペーストに対応するもので、半導体基板の表面の表面電極を形成するために用いた。
これら導電性ペースト(1)〜(3)は、いずれも表1および表2に示す成分を表1に示す組成となるように配合し、3本ロールミルで混合することによりペースト状にすることで調製した。なお、導電性ペースト(3)については、後述するように、(A)導電性粒子、(B)分散剤、(C)ガラスフリットおよび(F)低融点金属系成分の少なくともいずれかの種類を適宜変更したものを複数種類調製し、実施例および比較例に用いた。また、導電性ペースト(3)スクリーン印刷に好適なペースト粘度となるように、表1に示す溶剤を適宜添加してペースト粘度を約300Pa・sに調整した。
Figure 0005600702
Figure 0005600702
[太陽電池素子サンプルの作製]
前記半導体ウエハの裏面に前記導電性ペースト(2)を用いてバスバー電極となる塗膜をスクリーン印刷により形成し、その後、同じく裏面に、前記導電性ペースト(1)を用いて、BSF層および集電電極となる塗膜をスクリーン印刷により形成し、さらに、前記導電性ペースト(3)を用いて、半導体ウエハの表面に太陽電池電極(フィンガー電極およびバスバー電極)となる塗膜をスクリーン印刷により形成した。
なお、各塗膜を形成した後次の塗膜を形成するまでの間には、150℃で5分間の乾燥処理と、その後の室温への自然冷却処理とを行った。ここで、スクリーン印刷の条件は、#325スクリーンメッシュを用いて、乳剤厚(すなわち導電性ペーストの厚み)を25μmとした。また、フィンガー電極となる塗膜の幅は80μmとし、バスバー電極となる塗膜の幅は2mmとした。
その後、表面および裏面の両面に塗膜が形成された半導体ウエハを、高速焼成炉(BTU international Inc.製、商品名:PV309)で焼成した。なお、高速焼成炉の温度データは、Datapaq Ltd.製の温度ロガーで確認することができ、半導体ウエハの実温度の最高値を焼成ピーク温度として評価した。
(太陽電池素子サンプルの特性評価)
[電気特性の評価]
実施例または比較例の導電性ペースト(3)を用いて形成したフィンガー電極の電気特性は、共進電機株式会社製のテスター(商品名:KST−15Ce−1s)と、株式会社ワコム電創製のソーラーシミュレーター(商品名:WXS−156S−10,AM1.5G)とを用いた。データの取り込みは自作のプログラムにより行った。得られたI−V曲線からFF値および変換効率を算出して電気特性の代表特性とした。
[ペースト粘度安定性の評価]
実施例または比較例の導電性ペースト(3)を40℃の恒温槽に1ヶ月間入れて保存し、保存前後の各導電性ペーストのペースト粘度を測定した。ペースト粘度の測定には、ブルックフィールド社製の粘度計(商品名:HBDV−III Ultra)を用いた。保存1ヶ月後の粘度変化が保存前の±10Pa・s未満であれば「◎」、±10〜50Pa・sの範囲内であれば「○」、±50〜100Pa・sの範囲内であれば「△」、±100Pa・sを超えていれば「×」として、各導電性ペーストのペースト粘度安定性を評価した。
Figure 0005600702
(実施例1〜20)
表3に示すように、(A)導電性粒子として、銀粉末および酸化銀粉末を混合比を変えて用いるか(実施例1〜18)、酸化銀粉末のみを用い(実施例19、20)、(B)分散剤として、表2に示す8種類の(B−1)アルキルアミンのいずれか(実施例1〜4、6、7、9、10、12〜14、16、17、19、20)、または5種類の(B−2)アルキルリン酸エステルのいずれか(実施例5、8、11、15、18)を用い、(C)ガラスフリットとして表2に示すBa系(実施例1〜10)またはBi系(実施例11〜20)を用い、(F)低融点金属系成分としてTeO2 (実施例1、3、6、9、11、12、14、16)またはTe(実施例2、4、7、10、13、15、17、19)またはSe(実施例5、8、18、20)を用いて、前述したように導電性ペースト(3)を調製した。
同様に他の導電性ペースト(1)および(2)も調製した上で、前述したように太陽電池素子サンプルを作製して、当該サンプルの特性を評価した。その評価結果と、サンプル作成時の焼成ピーク温度とを表3に示す。
(比較例1〜6)
表3に示すように、(A)導電性粒子として銀粉末のみを用いるか(比較例1〜3)、銀粉末および酸化銀粉末を、銀粉末/酸化銀粉末=70/30の混合比で用い(比較例4〜6)、(B)分散剤として、表2に示す3種類の比較分散剤を用い(比較例1〜4:比較分散剤1、比較例5:比較分散剤2、比較例6:比較分散剤3)、(C)ガラスフリットとして表2に示すBi系を用い、(F)低融点金属系成分として、TeO2 (比較例1、2、5)またはTe(比較例3、6)またはSe(実施例4)を用いて、前述したように比較例の導電性ペースト(3)を調製した。
同様に他の導電性ペースト(1)および(2)も調製した上で、前述したように太陽電池素子サンプルを作製して、当該サンプルの特性を評価した。その評価結果と、サンプル作成時の焼成ピーク温度とを表3に示す。
実施例1〜20の評価結果から明らかなように、本発明に係る電極形成用導電性ペーストを用いたフィンガー電極(表面電極)のFF値は0.780以上であり、フィンガー電極の形成に際して良好なファイヤースルーが実現できていることがわかる。また、ペースト粘度安定性は、いずれも「◎」または「○」であり、ペースト粘度の経時的変化が小さく、優れた安定性を示すことがわかる。さらに、いずれの実施例も焼成ピーク温度が800℃に満たず、それゆえ、800℃より低温の焼成であってもファイヤースルーが実現可能であることがわかる。
一方、比較例1ではFF値は0.780以上でありペースト粘度安定性も「○」であるものの、焼成ピーク温度が820℃となっており、ファイヤースルーは実現できるものの焼成ピーク温度を低温化できていない。また、比較例2および3では焼成ピーク温度が800℃未満でありペースト粘度安定性も「○」であるものの、FF値が0.780未満であるので、ファイヤースルーが十分に実現できていない。さらに、比較例4、5および6では、焼成ピーク温度が800℃未満であるものの比較例6を除いてFF値が0.780未満であるためファイヤースルーが十分に実現できておらず、またいずれもペースト粘度安定性が悪くなっている。
なお、実施例1〜20では、特に好ましい(F)低融点金属系成分として、TeO2 、TeおよびSeの3種類を用いているが、これらは焼結抑制剤として略同様の挙動を示す(例えば、特許文献1の実施例、比較例を参照)。また、これら以外の前述した他の低融点金属系成分についても、これら好ましい元素または化合物と同じく、焼結抑制剤として略同様の挙動を示す。
また、本発明は前記実施の形態または実施例の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施例や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、太陽電池素子の電極、特に表面電極の形成に好適に用いることができる。したがって、本発明は、太陽電池に関する分野に広く好適に用いることができる。
1 表面電極
2 反射防止層
3 N型拡散層
4 P型シリコン基板
5 裏面電極

Claims (5)

  1. 導電性粒子と、分散剤と、ガラスフリットと、有機バインダと、溶剤と、低融点金属系成分とを含有しており、
    前記ガラスフリットは、その軟化点が550℃以下であり、
    前記導電性粒子の材質としては、酸化銀が少なくとも用いられ、
    当該導電性粒子の平均粒径が0.1〜15μmの範囲内、かつ、比表面積が0.05〜5m 2 /gの範囲内であり、
    前記低融点金属系成分が、融点500℃以下の金属またはその酸化物であり、
    前記分散剤が、アルキル基に二重結合を含まない直鎖または分岐の1級アルキルアミン、および、(ポリオキシアルキレン)アルキルリン酸エステルの少なくとも一方であることを特徴とする、
    太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト。
  2. 前記導電性粒子が、銀粉末および酸化銀粉末の混合物、または酸化銀粉末であり、
    これら粉末の重量混合比は、銀粉末/酸化銀粉末=97/3〜0/100の範囲内であることを特徴とする、
    請求項1に記載の太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト。
  3. 前記低融点金属系成分が、Te、Se、またはTeO2 であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の太陽電子素子の電極形成用導電性ペースト。
  4. 前記分散剤の含有量は、0.05〜10重量%の範囲内であることを特徴とする、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト。
  5. 太陽電池素子の表面電極の形成に用いられ、当該表面電極を形成するときの焼成温度が800℃未満であることを特徴とする、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト。
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