JP5599256B2 - 重金属類の溶出抑制材及び溶出抑制方法 - Google Patents
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Description
重金属等により土壌が汚染されると、重金属等の汚染域が地下水にまで拡散し、汚染された地下水を経由して最終的には人体や穀物に重金属等が蓄積され、健康に悪影響を及ぼす事態が懸念される。
また、土壌中の重金属等の濃度が環境基準値を超えると、跡地をそのまま利用できなくなり、土地の有効利用の観点からも問題である。
例えば、特許文献1には、酸化マグネシウムを含む重金属溶出抑制固化材が提案されている。
特許文献2には、MgO及び/又はMgO含有材からなる有害物質汚染土壌用の固化不溶化剤が提案されている。
特許文献3には、700〜1,000℃で焼成され、粉末度4,000cm2/g以上に調整した酸化マグネシウムを、汚染土壌等に添加・混合することにより、該汚染土壌等を固化して、汚染物質の不溶化を行う汚染土壌等の固化・不溶化方法が提案されている。
特許文献4には、固化可能なバインダー中に物質を取り込む方法であって、当該方法が、スラリーとして、又は次のスラリーの形成のために、物質をバインダーと混合する工程を含み、該バインダーが苛性酸化マグネシウム源を含んでおり、及び、スラリーに、バインダーの固化を促進する固化剤を加える工程を含む方法が提案されている。
特許文献5には、酸化マグネシウム(好ましくは、軽焼マグネシウム)と、石膏等の硫酸塩とを主成分とする土壌固化材が提案されている。
特許文献6には、特定の酸化マグネシウムと、マグネシウム等の硫酸塩と、炭酸カルシウムとを特定の質量割合で含む土壌固化材が提案されている。
そこで、本発明は、重金属類による汚染の程度の高い土壌等の処理対象物に対しても、少ない添加量で、重金属類の溶出を十分に抑制することができる重金属類の溶出抑制材及び溶出抑制方法を提供することを目的とする。
[1]軽焼マグネシアを部分的に水和してなる軽焼マグネシア部分水和物(A)と、アロフェン定量試験において、粘土からのSiO2(シリカ)及びAl2O3(アルミナ)の合計の抽出率が20質量%以上であり、かつ、粘土からのFe 2 O 3 の抽出率が9〜30質量%である粘土(B)を、(A)/(B)=0.2〜20(質量比)の範囲で含有することを特徴とする重金属類の溶出抑制材。
[2]上記粘土(B)は、アロフェン定量試験において、粘土からのSiO 2 の抽出率が5質量%以上であり、かつ、粘土からのAl 2 O 3 の抽出率が15質量%以上のものである前記[1]に記載の重金属類の溶出抑制材。
[3]上記粘土(B)は、750℃における強熱減量が10%以上であって、SiO 2 の含有率が30質量%以上、Fe 2 O 3 の含有率が8質量%以上、及びAl 2 O 3 の含有率が20質量%以上のものである前記[1]又は[2]に記載の重金属類の溶出抑制材。
[4]前記軽焼マグネシア部分水和物が、酸化マグネシウム65〜96.5質量%、及び、水酸化マグネシウム3.5〜30質量%を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の重金属類の溶出抑制材。
[5]前記軽焼マグネシア部分水和物100質量部に対し、炭酸カルシウム含有物20〜70質量部、及び/又は、石膏含有物1〜23質量部を含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の重金属類の溶出抑制材。
[6]前記軽焼マグネシア部分水和物100質量部に対し、酸性剤0.2〜300質量部を含有する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の重金属類の溶出抑制材。
[7]処理対象物100質量部に対し、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の重金属類の溶出抑制材を、2〜40質量部添加し混合する重金属類の溶出抑制方法。
本発明で溶出抑制の対象となる重金属類とは、カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、総水銀、アルキル水銀、セレン、フッ素、ホウ素及びシアンの第二種特定有害物質、並びに、要監視項目として注意が必要な、ニッケル、モリブデン、アンチモン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等をいう。
軽焼マグネシア部分水和物(A)と粘土(B)の質量比((A)/(B))は、0.2〜20、好ましくは0.3〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3である。該質量比が0.2〜20の範囲から外れると、重金属類の溶出抑制効果が十分でない場合がある。
軽焼マグネシア部分水和物(A)は、例えば、炭酸マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムを含む固形物を、650〜1,300℃で焼成することによって得ることができる。
前記固形物中の炭酸マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムの含有率は80質量%以上であり、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。該含有率が80質量%未満では、軽焼マグネシアに含まれる酸化マグネシウム成分が少なく、重金属類の溶出抑制効果が低下する傾向がある。
前記固形物としては、マグネサイト、ドロマイト、ブルーサイト、又は、海水中のマグネシウム成分を消石灰等のアルカリで沈殿させて得た水酸化マグネシウム等の、塊状物又は粉粒状物が挙げられる。
なお、軽焼マグネシア部分水和物は、前記成分(酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム)以外の成分(例えば、シリカ、酸化鉄等の夾雑物)を好ましくは4.0質量%以下で含むことができる。該含有率が4.0質量%を超えると、重金属類による汚染の程度の高い土壌に使用した場合、重金属類の溶出抑制効果が低下することがある。
軽焼マグネシア部分水和物のブレーン比表面積は3,000〜7,000cm2/gが好ましく、4,000〜6,800cm2/gがより好ましい。該値が3,000〜7,000cm2/gの範囲であると、重金属類の溶出抑制効果は増大する。
本発明に使用する粘土は、アロフェン定量試験において、粘土からのSiO2及びAl2O3の合計の抽出率が20質量%以上であり、かつ、粘土からのFe 2 O 3 の抽出率が9〜30質量%のものである。粘土からのSiO 2 及びAl 2 O 3 の合計の抽出率が20質量%未満では、重金属類の溶出抑制効果が低下する傾向にある。
アロフェン定量試験における粘土からの抽出率は、SiO2において5質量%以上、Al2O3において15質量%以上、及びFe2O3において9〜30質量%であることがより好ましい。Fe2O3の抽出率が9〜30質量%であると、重金属類の溶出抑制効果が高まる傾向にある。
本発明でいうアロフェン定量試験とは、地盤工学会のアロフェン定量試験(発行:社団法人地盤工学会、地盤材料試験の方法と解説−二分冊の2− pp970に記載)をいう。
(1)粘土の乾燥と粉砕
粘土を40℃の乾燥機内に入れ24時間乾燥させた後に粉砕する。次に、この粉砕した粘土を0.42mmの篩にかけて、篩を通過した粘土を回収する。
(2)有機物の分解
前記篩を通過した粘土2gに、10質量%の過酸化水素水50mlを加え撹拌し、次いで、30質量%の過酸化水素水50mlを加え撹拌し、更に、30質量%の過酸化水素水50mlを再度加え撹拌して、粘土に含まれる有機物を酸化分解する。
なお、前記30質量%の過酸化水素水を加える時点、及び、有機物分解処理の終了時点は、いずれも発泡の終了時(酸化分解反応の終了時)を目安とする。
(3)有機物含有量の測定
前記有機物分解後の粘土を濾別し、これに蒸留水50mlを加えて分解有機物等を洗浄する。洗浄後の粘土は105℃の乾燥機内に入れ24時間乾燥させた後、乾燥粘土の質量を測定して粘土中の有機物の含有量を求める。
(4)酸抽出液等の回収
前記有機物分解後の乾燥粘土1gに8mol/LのHCl水溶液50mlを加え、振動数200回/分で30分間振とうして酸抽出した後、濾別して抽出液(a)を回収するとともに、濾別した酸抽出後の粘土に蒸留水50mlを加えて粘土に含まれる酸を洗浄して洗浄液(b)を回収する。
(5)アルカリ抽出液等の回収
前記(4)の洗浄後の粘土に、0.5mol/LのNaOH水溶液50mlを加え、前記振動数で5分間振とうしてアルカリ抽出処理をした後、濾別して抽出液(c)を回収するとともに、濾別したアルカリ抽出処理後の粘土に蒸留水50mlを加えて粘土に含まれるアルカリを洗浄して洗浄液(d)を回収する。
(6)SiO2等の抽出率の算定
前記(5)の洗浄後の粘土を前記(4)の処理に戻し、(4)及び(5)の処理を更に続けて4回(合計で5サイクル)繰り返した後、各サイクルにおいて回収した抽出液(a)、(c)及び洗浄液(b)、(d)に含まれる、SiO2(シリカ)、Al2O3(アルミナ)及びFe2O3(酸化鉄)の全濃度を測定して、それぞれの化合物の抽出量を算定する。
そして、粘土からのSiO2、Al2O3及びFe2O3の抽出率は、有機物分解処理前の粘土(乾燥状態)1g当たりの、SiO2、Al2O3及びFe2O3の抽出量に換算して表示する。
また、粘土中のこれらの粘土鉱物の含有率は、20質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。該含有率が20質量%未満では、処理物のpHの低減能力が低くなったり、あるいは、重金属類の溶出抑制効果が低下することがある。
なお、前記強熱減量の試験は、日本工業規格「土の強熱減量試験方法」(JIS
A 1226:2009)に従って行う。
炭酸カルシウム含有物の含有量が20〜70質量部であると、重金属類の溶出抑制効果を高めることができる。また、石膏含有物の含有量が1〜23質量部であると、重金属類の溶出抑制効果を高めることができる。
酸性剤の配合量は、軽焼マグネシア部分水和物100質量部に対し、通常、0.2〜300質量部であり、好ましくは0.4〜200質量部であり、更に好ましくは2〜150質量部である。該配合量が0.2質量部未満では、固化処理物のpHの低減効果を高めることが困難となる。該配合量が300質量部を超えると、重金属類の溶出抑制効果の更なる向上が得られないばかりか、コスト高になる。
本発明における酸性剤の使用形態は粉末が好ましい。当該粉末の粒径は、当該粉末が水溶性であることから特に限定されないが、作業性等の観点からは、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。
(i)軽焼マグネシア部分水和物及び粘土を含有し、かつ、炭酸カルシウム含有物、石膏含有物及び酸性剤を含まない溶出抑制材(以下、第一の溶出抑制材ともいう。)の製造方法
製造方法としては、例えば、以下の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)軽焼マグネシアと粘土を混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を粉砕して所定の粒度を有する粉砕物を得る粉砕工程と、前記粉砕物中の軽焼マグネシアを一部水和させて軽焼マグネシア部分水和物を得る部分水和工程を含む製造方法。
(b)軽焼マグネシアを粉砕して所定の粒度を有する軽焼マグネシア粉砕物を得る第1の粉砕工程と、粘土を粉砕して所定の粒度を有する粘土粉砕物を得る第2の粉砕工程と(但し、第1の粉砕工程と第2の粉砕工程の順序は問わない。)、前記軽焼マグネシア粉砕物と前記粘土粉砕物を混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物中の軽焼マグネシアを一部水和させて軽焼マグネシア部分水和物を得る部分水和工程を含む製造方法。
(c)軽焼マグネシアを粉砕して所定の粒度を有する軽焼マグネシア粉砕物を得る第1の粉砕工程と、前記軽焼マグネシア粉砕物を一部水和させて軽焼マグネシア部分水和物を得る部分水和工程と、粘土を粉砕して所定の粒度を有する粘土の粉砕物を得る第2の粉砕工程と(但し、第1の粉砕工程と第2の粉砕工程の順序は問わない。)、前記軽焼マグネシア部分水和物の粉砕物と前記粘土粉砕物とを混合する混合工程を含む製造方法。
前記(a)〜(c)における部分水和工程は、前記粉砕物又は混合物に水を添加して撹拌・混合するか、又は、前記粉砕物又は混合物を相対湿度80%以上の雰囲気下に1週間以上保持することにより行なわれる。
(a)の製造方法は、軽焼マグネシア及び粘土を同時に粉砕するため、これらを個別に粉砕する(b)又は(c)の製造方法に比べて、粉砕工程が簡易になるという利点を有する。
(d)軽焼マグネシアと、粘土と、炭酸カルシウム及び/又は石膏含有物とを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を粉砕して所定の粒度を有する粉砕物を得る粉砕工程と、前記粉砕物中の軽焼マグネシアを一部水和させて軽焼マグネシア部分水和物を得る部分水和工程を含む製造方法。
(e)軽焼マグネシアを粉砕して所定の粒度を有する軽焼マグネシア粉砕物を得る第1の粉砕工程と、粘土を粉砕して所定の粒度を有する粘土粉砕物を得る第2の粉砕工程と、炭酸カルシウム含有物及び/又は石膏含有物を粉砕して所定の粒度を有する炭酸カルシウム含有物及び/又は石膏含有物の粉砕物を得る第3の粉砕工程と(但し、第1〜3の粉砕工程の順序は問わない。)、前記軽焼マグネシア粉砕物と、前記粘土粉砕物と、前記炭酸カルシウム含有物及び/又は石膏含有物の粉砕物とを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物中の軽焼マグネシアを一部水和させて軽焼マグネシア部分水和物を得る部分水和工程を含む製造方法。
(f)軽焼マグネシアを粉砕して所定の粒度を有する軽焼マグネシア粉砕物を得る第1の粉砕工程と、前記軽焼マグネシア粉砕物を一部水和させて軽焼マグネシア部分水和物を得る部分水和工程と、粘土を粉砕して所定の粒度を有する粘土粉砕物を得る第2の粉砕工程と、炭酸カルシウム含有物及び/又は石膏含有物を粉砕して、所定の粒度を有する炭酸カルシウム含有物及び/又は石膏含有物の粉砕物を得る第3の粉砕工程と(但し、第1〜3の粉砕工程の順序は問わない。)、前記軽焼マグネシア部分水和物の粉砕物と、前記粘土粉砕物と、前記炭酸カルシウム含有物及び/又は石膏含有物の粉砕物を混合する混合工程を含む製造方法。
なお、(d)〜(f)における部分水和工程は、前記(i)で説明した第一の溶出抑制材の部分水和工程と同様に行なうことができる。
(d)〜(f)のうち、重金属類の溶出抑制効果及び作業性の観点から、(d)又は(e)の製造方法が好ましく、(d)の製造方法がより好ましい。
製造方法としては、例えば、前記の(i)、(ii)で説明した第一もしくは第二の溶出抑制材に、更に、酸性剤を添加し混合する方法が挙げられる。
ロジン・ラムラー式におけるn値の測定は、例えば、100mlビーカーに、エタノール20mlと試料0.05gを入れ、超音波洗浄機(アズワン社製VS−100、周波数50kHz)を用いて1分間超音波分散を行ない、試料の屈折率を1.72に調整した後に、粒度分布測定装置(日機装社製9320−X10)を用いて行なうことができる。
1.溶出抑制材の各構成物質の調製
(1)軽焼マグネシア粉砕物(M1)及び軽焼マグネシア部分水和物(W1)
炭酸マグネシウムを97質量%含むマグネサイトを、850℃で30分間、電気炉(中外エンジニアリング社製、型式;KSL−2)で焼成して軽焼マグネシアを得た。次に、当該軽焼マグネシアを粉砕してブレーン比表面積6,500cm2/gの軽焼マグネシア粉砕物(M1)を得た。更に、当該粉砕物を温度20℃、相対湿度100%の恒温恒湿槽に10日間放置し、軽焼マグネシアの一部を水和させて、ブレーン比表面積6,500cm2/gの軽焼マグネシア部分水和物(W1)を得た。
軽焼マグネシア部分水和物(W1)は、酸化マグネシウムを88.0質量%及び水酸化マグネシウムを8.5質量%含有するものであった。
(2)軽焼マグネシア粉砕物(M2)及び軽焼マグネシア部分水和物(W2)
炭酸マグネシウムを95質量%含むマグネサイトを、870℃で30分間、前記電気炉で焼成して軽焼マグネシアを得た。次に、当該軽焼マグネシアを粉砕してブレーン比表面積5,900cm2/gの軽焼マグネシア粉砕物(M2)を得た。更に、当該粉砕物を温度20℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽に20日間放置し、軽焼マグネシアの一部を水和させて、ブレーン比表面積5,900cm2/gの軽焼マグネシア部分水和物(W2)を得た。
軽焼マグネシア部分水和物(W2)は、酸化マグネシウムを79.5質量%及び水酸化マグネシウムを17.0質量%含有するものであった。
表1に示す成分組成及び抽出率を有する10種類の粘土a〜jの粘土を粉砕し、2mm篩を全通する粘土粉砕物を得た。なお、表1中の強熱減量は、750℃における値である。
なお、使用した粘土は、いずれも、粘土鉱物を70質量%以上含有するものである。
炭酸カルシウムを92質量%含む粒状の石灰石を粉砕し、ブレーン比表面積が5,500cm2/gの炭酸カルシウム含有物を得た。
硫酸カルシウムを91質量%含む塊状の天然無水石膏を粉砕し、ブレーン比表面積が5,000cm2/gの石膏含有物を得た。
表2、表3及び表4に示す配合に従い、前記の溶出抑制材の各構成物質を、三井三池製作所社製のヘンシェルミキサ(型番:FM20B)を用いて混合し、溶出抑制材A1〜A20、B1〜B22を調製した。
表2に示す溶出抑制材A1〜A10及びB1〜B11に水を加えて、水/溶出抑制材=1(質量比)の溶出抑制材スラリーを調製した。次に、これらの溶出抑制材スラリーをヒ素の汚染土壌(含水比70%)100質量部に対し、表5に示す量(スラリー中の溶出抑制材の量)を添加し混合して、JGS0821−2009「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準拠して供試体を作製した。また、溶出抑制材スラリーを添加しない汚染土壌を対照例(比較例12)とした。
これらの供試体を20℃の恒温室にて湿空養生した後、材齢7日の供試体のpHを地盤工学会基準JGS0211−2009に準拠して測定した。また、当該供試体からのヒ素の溶出量は、環境省告示46号法及びK
0120−2008 61.4「ICP質量分析法」に準拠して測定した。なお、ヒ素の環境基準値は0.01mg/リットルである。
ヒ素の溶出試験及びpH測定の結果を表5に示す。
表3に示す溶出抑制材A11〜A18及びB12〜B21に水を加えて、水/溶出抑制材=1(質量比)の溶出抑制材スラリーを調製した。
次に、これらの溶出抑制材スラリーをフッ素の汚染土壌(含水比65%)100質量部に対し、表6に示す量(スラリー中の溶出抑制材の量)を添加し混合して、JGS0821−2009「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準拠して供試体を作製した。また、溶出抑制材スラリーを添加しない汚染土壌を対照例(比較例23)とした。
これらの供試体を20℃の恒温室にて湿空養生した後、材齢7日の供試体のpHを地盤工学会基準JGS0211−2009に準拠し測定した。また、当該供試体からのフッ素の溶出量は、環境省告示46号及び昭和46年12月環境庁告示第59号付表6「イオンクロマトグラフ法」に準拠し測定した。なお、フッ素の環境基準値は0.8mg/リットルである。
フッ素の溶出試験及びpH測定の結果を表6に示す。
溶出抑制材A19、A20及びB22に水を加えて、水/溶出抑制材=1(質量比)の溶出抑制材スラリーを調製した。
次に、これらの溶出抑制材スラリーを焼却飛灰(含水比50%)100質量部に対し、表8に示す量(スラリー中の溶出抑制材の量)を添加し混合して、JGS0821−2009「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準拠して供試体を作製した。また、溶出抑制材スラリーを添加しない焼却飛灰を対照例(比較例25)とした。
これらの供試体を20℃の恒温室にて湿空養生した後、材齢7日の供試体のpHを地盤工学会基準JGS0211−2009に準拠し測定した。また、当該供試体からの鉛の溶出量は、環境省告示46号及びJIS K 0120−2008 5.4「ICP質量分析法」に準拠し測定した。なお、鉛の環境基準値は0.01mg/リットルである。
鉛の溶出試験及びpH測定の結果を表7に示す。
Claims (7)
- 軽焼マグネシアを部分的に水和してなる軽焼マグネシア部分水和物(A)と、アロフェン定量試験において、粘土からのSiO2及びAl2O3の合計の抽出率が20質量%以上であり、かつ、粘土からのFe 2 O 3 の抽出率が9〜30質量%である粘土(B)を、(A)/(B)=0.2〜20(質量比)の範囲で含有することを特徴とする重金属類の溶出抑制材。
- 上記粘土(B)は、アロフェン定量試験において、粘土からのSiO 2 の抽出率が5質量%以上であり、かつ、粘土からのAl 2 O 3 の抽出率が15質量%以上のものである請求項1に記載の重金属類の溶出抑制材。
- 上記粘土(B)は、750℃における強熱減量が10%以上であって、SiO 2 の含有率が30質量%以上、Fe 2 O 3 の含有率が8質量%以上、及びAl 2 O 3 の含有率が20質量%以上のものである請求項1又は2に記載の重金属類の溶出抑制材。
- 軽焼マグネシア部分水和物が、酸化マグネシウム65〜96.5質量%、及び、水酸化マグネシウム3.5〜30質量%を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の重金属類の溶出抑制材。
- 軽焼マグネシア部分水和物100質量部に対し、炭酸カルシウム含有物20〜70質量部、及び/又は、石膏含有物1〜23質量部を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の重金属類の溶出抑制材。
- 軽焼マグネシア部分水和物100質量部に対し、酸性剤を0.2〜300質量部含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の重金属類の溶出抑制材。
- 処理対象物100質量部に対し、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重金属類の溶出抑制材を2〜40質量部添加し混合することを特徴とする重金属類の溶出抑制方法。
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