以下、添付図面を参照して、本発明を実施すための最良の形態について説明する。
図1および図2を参照して、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1は、その下流側にデュアル搬送型の部品実装装置Mtを連結した状態でプリント回路板(PCB)の製造ラインに組み込まれるものである。図示の例では、スクリーン印刷装置1は、並列に配置された2台のローダL1、L2(第1ローダL1、第2ローダL2という)と、1台の部品実装装置Mtとの間に介設されており、上流側の各ローダL1、L2から繰り出されてくる基板Wにスクリーン印刷を施して、下流側の部品実装装置Mtに送り出す構成になっている。
なお、以下の説明では、製造ラインにおける基板Wの搬送方向をX軸方向、水平面上でX軸方向と直交する方向をY軸方向、これらX軸、Y軸の両方向に直交する方向(鉛直方向)をZ軸方向としてスクリーン印刷装置1の説明を行う。本実施形態において、Y軸方向は、本発明の「特定方向」の一例である。
スクリーン印刷装置1は、X軸方向上流側の端部に2つの基板搬入部En1、En2(第1基板搬入部En1、第2基板搬入部En2という)を有する一方、これらに対応する2つの基板搬出部Ex1、Ex2(第1基板搬出部Ex1、第2基板搬出部Ex2という)を他方側の端部(基板搬送方向における下流側の端部)に有しており、第1ローダL1から繰り出される基板Wを第1基板搬入部En1から装置内に搬入してスクリーン印刷を施し、当該印刷工程後の基板Wを第1基板搬出部Ex1から部品実装装置Mtの第1ベルトコンベア対CM1に搬出する一方で、第2ローダL2から繰り出される基板Wを第2基板搬入部En2から装置内に搬入してスクリーン印刷を施し、当該印刷工程後の基板Wを第2基板搬出部Ex2から部品実装装置Mtの第2ベルトコンベア対CM2に搬出するように構成されている。
第1、第2ローダL1、L2には、それぞれ第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2が設けられている。他方、部品実装装置Mtには、第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2に対応して基板搬送ラインを構成する2台のベルトコンベア対CM1、CM2(第1ベルトコンベア対CM1、第2ベルトコンベア対CM2という)が設けられている。基板Wは、これらベルトコンベア対CL1、CL2、CM1、CM2に沿って搬送される。
スクリーン印刷装置1は、その基台2上に、基板Wを支持するための2つの基板支持テーブル10A、10Bと、これら基板支持テーブル10A、10Bに支持された基板Wに個別にスクリーン印刷を施す1台の印刷実行部20とを備えている。
基板支持テーブル10A、10B(第1基板支持テーブル10A、第2基板支持テーブル10Bという。)は、前記基板搬入部En1、En2から搬入される基板Wを受け取ってスクリーン印刷が可能となるように支持するとともに、印刷工程後の基板Wを対応する基板搬出部Ex1、Ex2から送り出すものである。これらのうち、第1基板支持テーブル10Aは、第1基板搬入部En1から搬入されてくる基板Wを受け取って、印刷実行部20によりスクリーン印刷が可能となるように基板Wを支持した後、必要に応じて後述する印刷位置SPに移動する。他方、第2基板支持テーブル10Bは、第2基板搬入部En2から搬入されてくる基板Wを受け取って、印刷実行部20によりスクリーン印刷が可能となるように基板Wを支持した後、必要に応じて、後述する印刷位置SPに移動するように構成されている。
各基板支持テーブル10A、10Bは、X軸方向に細長の平面視略長方形の形状を有しており、ねじ軸4A、4B、モータ5A、5B等によって具体化される基板支持テーブル駆動機構により、個別にY軸方向に移動するように構成されている。すなわち、各基板支持テーブル10A、10Bは、基台2上に設けられたY軸方向に延びる共通の固定レール3上に移動自在に支持されており、それぞれねじ軸4A、4Bを介してモータ5A、5Bにより駆動されるように構成されている。そして、後述する制御ユニット60によるモータ制御に基づき、第1基板支持テーブル10Aは、第1ローダL1から繰り出される基板Wを第1基板搬入部En1で受け取り可能な受取位置(基板搬入位置EnP1(第1基板搬入位置EnP1ともいう))及び基板Wを第1基板搬出部Ex1から下流側の部品実装装置Mtのベルトコンベア対CM1に送り出し可能な送出位置(基板搬出位置ExP1(第1基板搬出位置ExP1ともいう))と、印刷工程においてスクリーン印刷が施される印刷位置SPとの間で移動する。第2基板支持テーブル10Bは、第2ローダL2から繰り出される基板Wを第2基板搬入部En2で受け取り可能な受取位置(基板搬入位置EnP2(第2基板搬入位置EnP2ともいう))及び基板Wを第2基板搬出部Ex2から下流側の部品実装装置Mtのベルトコンベア対CM2に送り出し可能な送出位置(基板搬出位置ExP2(第2基板搬出位置ExP2ともいう))と、印刷工程においてスクリーン印刷が施される印刷位置SPとの間で移動するようになっている。加えて、第1基板支持テーブル10A及び第2基板支持テーブル10Bは、予め設定された順序で交互に印刷工程に移行する。ねじ軸4A、4Bには、ロータリエンコーダが取り付けられており、後述する制御ユニット60は、ロータリエンコーダの検出値に基づいて、対応する基板支持テーブル10A、10Bの位置情報と速度情報を取得できるようになっている。本実施形態においては、Y軸方向において、何れかの基板支持テーブル10A(10B)が移動可能な範囲をテーブル可動ピッチTphと呼称する(図2、並びに図12から図15参照)。
各基板支持テーブル10A、10Bは、X軸方向に延びるベルトコンベア対12A、12Bと、このベルトコンベア対12A、12B上の基板Wを印刷可能に保持するクランプユニット14と、このクランプユニット14をベルトコンベア対12A、12Bに沿ってX軸方向に移動させるためのクランプユニット駆動機構等とを備える。
上記ベルトコンベア対12A、12Bは、ベルトコンベアからなり、基板支持テーブル10AにおいてX軸方向上流側の端部が基板搬入部En1、X軸方向下流側の端部が基板搬出部Ex1となり、基板支持テーブル10BにおいてX軸方向上流側の端部が基板搬入部En2、X軸方向下流側の端部が基板搬出部Ex2となる。ベルトコンベアは、第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出される基板Wを基板搬入部En1、En2で受け取り、基板搬入部En1、En2から基板支持テーブル10A、10B上に設定される所定の位置まで搬送する(以上を基板の搬入と言う)とともに、印刷工程後の基板Wを基板搬出部Ex1、Ex2まで搬送し、さらに基板搬出部Ex1、Ex2から部品実装装置Mtの第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2へ搬送する(以上を基板の搬出と言う)ものである。
図2を参照して、基板支持テーブル10A、10Bの各ベース部材140は固定レール3上にY軸方向に移動可能に支持され、各ベース部材140上にはベース部材140に対してX軸方向に移動可能にXテーブル141が設けられている。Xテーブル141のY軸方向両端部には、それぞれベルトコンベア12A(12B)を支持するアーム部材161,161が設けられている。
上記クランプユニット14は、両アーム部材161の中間においてXテーブル141上に設けられ、ベルトコンベア対12A、12Bから基板Wを持ち上げて支持するバックアップ機構と、アーム部材161,161に設けられ、バックアップ機構によりリフトアップされた基板Wを固定するクランプ機構とを備える。
バックアップ機構は、所定配列の複数本のバックアップピン151を備え、かつボールネジ機構等を介して上記Xテーブル141上に昇降可能に支持されるバックアップテーブル150と、ボールネジ機構等の駆動用のモータ152等とを含み、このモータ152の駆動によりボールネジ機構等が作動し、バックアップテーブル150が所定の解放位置とこの位置から上昇した作動位置とに変位するように構成されている。ここで、解放位置は、バックアップピン151の先端位置がベルトコンベア対12A、12Bに支持された基板Wの下面より低くなる位置(図2の右側の基板支持テーブル10Bにおいて示す位置)であり、作動位置は、同基板Wの下面よりバックアップピン151の先端位置が高くなる位置(図2の左側の基板支持テーブル10Aにおいて示す位置)である。従って、このバックアップ機構は、図2の左側に示すように、バックアップテーブル150が作動位置に配置されたときに基板Wをベルトコンベア対12A、12Bから持ち上げる。
クランプ機構は、ベルトコンベア対12A、12Bの上方位置においてアーム部材161,161に配置されて、X軸方向に互いに平行に延びる一対のクランプ部材160と、クランプ部材駆動用のアクチュエータ、例えば二方向型のエアシリンダ162とを含む。両クランプ部材160のうち一方側のものは、アーム部材161に対してY軸方向に変位可能に組付けられており、前記エアシリンダ162の駆動により、Y軸方向に沿って解放位置とクランプ位置とに変位する。つまり、クランプ機構は、一方側のクランプ部材160が解放位置からクランプ位置に変位することにより、前記バックアップ機構により持ち上げられた基板Wを他方側のクランプ部材160と共にY軸方向に挟み込んでクランプし、クランプ位置から解放位置に変位することにより、クランプした基板Wを解放するように構成されている。
なお、印刷工程では、このようにクランプユニット14によりベルトコンベア対12A、12Bから持ち上げられてクランプ部材160にクランプされた状態の基板Wに対して後記スクリーンマスク206を重装するようになっている。クランプユニット14は、前記印刷実行部20によるスクリーン印刷が可能となる状態に基板をベルトコンベア対12A、12Bからリフトアップさせて保持する。
各アーム部材161は、ベルトコンベア対12A、12Bを外側(Y軸方向における外側)から抱え込むように形成された上で、一方のアーム部材161はXテーブル141上一方端部に固定され、他方のアーム部材161はXテーブル141上Y軸方向に固定された固定レール164に沿ってスライド可能に設けられている。他方のアーム部材161のスライド量を調整することで、ベルトコンベア対12A、12Bのコンベア幅を調整し、各種のY軸方向基板幅の基板Wに対応可能としている。さらに、Y軸方向基板幅に対応させたベルトコンベア対12A、12Bのコンベア幅によらず、ベルトコンベア対12A、12Bと各クランプ部材160とのY軸方向の相対位置が一定に保持することで、基板WのY軸方向基板幅によらず基板Wを正確にクランプ可能としている。
図3、図4を参照して、基台2には、印刷実行部20を担持する装置フレーム6が設置されている。装置フレーム6は、門型の構造体であり、基台2の四隅に立設されたピラー6aを有している。Y軸方向に沿って対向するピラー6aの対には、梁部6bが一体的に設けられており、梁部6bの上面には、Y軸方向に延びる2本一組のガイドレール7が取り付けられている。本実施形態において、印刷実行部20は、このガイドレール7上に設置され、Y軸方向に沿って往復移動可能に構成されている。印刷実行部20の移動範囲は、図2に示したテーブル可動ピッチTphに対応している。
印刷実行部20は、スクリーンマスク保持機構200と、スクリーンマスク保持機構200において後記するX’軸方向に配設されるスキージユニット保持機構400とを備えている。
スクリーンマスク保持機構200は、装置フレーム6のガイドレール7上に設置されるスライダ201と、このスライダ201に対し、位置調整機構300を介して連結される本体202と、本体202に対し、上下に昇降可能に連結されたマスク昇降部203と、マスク昇降部203の下端に設けられたクランプ部204と、クランプ部204によって担持されたマスク固定部材205と、マスク固定部材205に固定されたスクリーンマスク206とを備えている。
図4を参照して、スライダ201は、X’軸方向の一端側においてY軸方向に3個並べて配置され、X’軸方向の他端側においてY軸方向に2個並べて配置されている。一端側の中央1個のスライダ201aはボールナット207を備えており、このボールナット207にボールねじ機構303aが嵌合連結されている。また、X’軸方向の他端側の1個のスライダ201bもボールナット207を備えており、このボールナット207にボールねじ機構303aが嵌合連結されている。この2つのボールねじ機構303aは、それぞれ装置フレーム6に固定支持されたY軸サーボモータ303(図10参照)によって駆動されるようになっており、スライダ201a、201は、それぞれボールねじ機構303aを介してY軸サーボモータ303に駆動されることにより、Y軸方向に往復移動するようになっている。
本体202は、平面視矩形の枠状に形成された構造体であり、装置フレーム6のX軸方向上流側のスライダ201b、201eに立設された上流側構造体202aと、下流側のスライダ201a、201c、201dに立設された下流側構造体202bと、両構造体202a、202bをX軸方向に沿って連結する桟202cとを一体に備えている。
マスク昇降部203は、昇降機構211を介して本体202の内側部に連結されている。昇降機構211は、各構造体202a、202bの前後2箇所に配設される4組のボールねじ機構211aと、各ボールねじ機構211aの頂部に設けられたプーリ211bと、各構造体202a、202b、並びに前方の桟202cに配設された複数のアイドルプーリ211cと、これらプーリ211b、211c間に張設される動力伝達ベルト211dと、下流側構造体202bに取り付けられたマスクZ軸サーボモータ211eとを備えており、マスクZ軸サーボモータ211eの鉛直線回りのトルクが、当該マスクZ軸サーボモータ211eの出力プーリ211fから動力伝達ベルト211gを介して下流側構造体202bのアイドルプーリ211cに伝達され、さらに動力伝達ベルト211dからプーリ211bを介して各ボールねじ機構211aのねじ部に伝達されることにより、各ボールねじ機構211aのねじ部が一斉に同一方向に回動し、ねじ部に螺合するナット部と連結されたマスク昇降部203が上下に昇降するように構成されている。これにより、マスク昇降部203は、直下に位置する基板支持テーブル10A(10B)上でクランプされている基板Wに対し、スクリーンマスク206が重装される重装位置と、この重装位置よりも上方にスクリーンマスク206を上昇させる解放位置との間で、スクリーンマスク206を昇降させることができるようになっている。
クランプ部204は、マスク昇降部203の下端部分に設けられ、マスク固定部材205の四隅を着脱自在にクランプするものである。クランプ部204は、エアシリンダでZ軸方向に駆動される可動部材と、この可動部材との間でマスク固定部材205を挟持する支持部材とを備えており、オペレータの操作で図略の位置決め部材によって位置決めされたマスク固定部材205を堅固に保持することができるようになっている。
マスク固定部材205は、中央にスクリーン印刷用の開口部205aが形成された矩形の枠体で具体化されており、この開口部205aを下側から塞ぐように予め組付けられたスクリーンマスク206が着脱自在に固定されている。
スクリーンマスク206は、基板Wに印刷される回路パターンに対応する孔が形成された印刷エリア207が形成されている。
図4を参照して、上記位置調整機構300は,両端がヒンジ連結可能な4つのレバー部材305を含んでいる。X’軸方向の一端側の中央1個のスライダ201aは、Z軸方向に配置されヒンジを構成する連結軸を介して本体202と連結され、X’軸方向の他端側の1個のスライダ201bと他の3個のスライダ201c、201d、201eは、それぞれレバー部材305を介して本体202と連結される。各レバー部材305の一方の端部は、Z軸方向に配置されヒンジを構成する連結軸を介して本体202と連結され、各レバー部材305の他方の端部は、Z軸方向に配置されヒンジを構成する連結軸を介してそれぞれスライダ201b、201c、201d、201eと連結される。これにより、一端側の中央1個のスライダ201aに対し、本体202をZ軸回りに揺動できるようになっている。
上記位置調整機構300は、レバー部材305に加え、各スライダ201a、201b、201c、201d、201e,各連結軸、上記ボールねじ機構303a、そして上記Y軸サーボモータ303を含んでおり、X’軸方向の一端側と他端側との間でY軸サーボモータ303の回転方向あるいは及び回転量に違いを与えることで、本体202をZ軸周りのR軸方向に回転することができる。
これにより、撮像ユニットで認識されたスクリーンマスク206の実装位置と基板Wの位置とに基づいて2つのマスクY軸サーボモータ303をそれぞれ駆動することにより、基板支持テーブル10A、10Bに支持されている基板Wに対するスクリーンマスク206の印刷エリア207のR軸方向位置を一致させるように微調整することが可能になる。
上記スキージユニット保持機構400は、クリーム半田、導電ペースト等のペーストをスクリーンマスク206上でローリング(混練)しながら拡張するものである。図示の例では、マスク昇降部203の内側壁に、Y’軸方向に延びる一対の固定レール203aが設けられ、この固定レール203aにスキージユニット保持機構400が横架されて、Y軸方向に往復移動可能に連結されている。ここで、Y’軸方向とは、スクリーンマスク保持機構200の本体202に設定された座標系におけるものであり、スクリーンマスク保持機構200の本体202のR軸方向の回動量が0の場合、基台2上に設定された座標系のY軸方向と一致する。以下、このY’軸方向に直交する水平方向をX’軸方向という。
図5を参照して、スキージユニット保持機構400は、マスク昇降部203の内側においてX’軸方向に延びて、マスク昇降部203に対しY’軸方向に配置される両固定レール203aに摺動可能に支持される筐体401と、この筐体401の上部に配置されたスキージ往復駆動機構(Y’軸駆動機構)402と、筐体401に対し上下に昇降可能に連結されるスキージユニット403と、スキージユニット403を上下に昇降駆動させるスキージヘッド昇降機構404とを備えている。
Y’軸駆動機構402は、軸芯がX’軸に沿って配置されたサーボモータ402aと、このサーボモータ402aの出力プーリ402bに対し、平行に配置された動力伝達シャフト402cと、動力伝達シャフト402cの両端部に設けられ、当該動力伝達シャフト402cの回転力によって、固定レール203aに対し、筐体401をY’軸方向沿いに相対的に移動させる平行運動力に変換する動力伝達部402dと、動力伝達シャフト402cに取り付けられたプーリ402eと、プーリ402eと出力プーリ402bとの間に巻回された動力伝達ベルト402fとを備えており、サーボモータ402aの回転力によって、筐体401がマスク昇降部203に対し、相対的に予め設定されたストローク範囲内で往復移動可能に構成されている。
他方、図6に示すように、スキージヘッド昇降機構404は、筐体401の上端後部に立設される門型枠状のフレーム体404aと、フレーム体404a内に配置され、軸芯がZ軸方向に沿うサーボモータ404bと、フレーム体404aのサーボモータ404bの側部に併設されたボールねじ機構404cとを備えている。サーボモータ404bの出力プーリ404dは、フレーム体404aの上方に配置されており、その側部には、ボールねじ機構404cの入力プーリ404eがX’軸に沿って対向している。両プーリ404d、404e間には、動力伝達ベルト404fが巻回されておりボールねじ機構404cのねじ部が双方向に回転駆動されることによって、このねじ部に螺合する図略のナット部が上下に昇降するようになっている。上記ナット部は、スキージユニット403と一体化されており、このナット部の昇降によって、スキージユニット403は、当該スキージユニット403が担持するスキージ41をスクリーンマスク206上に着地させる印刷位置と、この印刷位置よりも上方に退避させる退避位置との間で昇降する。
フレーム体404aの前部には、上下に延びる一対のガイドレール405が固定されており、スキージユニット403は、このガイドレール405によって上下に往復移動可能に連結されている。
図7〜図9を参照して、スキージユニット403は、メインフレーム410と、メインフレーム410に連結されるサブフレーム420とを有している。
メインフレーム410の上部壁の下面には、ロードセル等の圧力センサ411を介装したX’視T字形の支持部412が垂設されており、支持部412の下部壁には、Y’軸方向に延びる第1支持軸413が固定されている。サブフレーム420は、第1支持軸413に対し、軸受を介して連結されることにより、この支持部412に対し、第1支持軸413回りに揺動自在に支持されている。図示の例において、メインフレーム410の背面には、フレーム体404aのガイドレール405と連結される凹部410aが形成されている。
サブフレーム420には、スキージ組付部に相当するユニット組付部材421がX’軸方向に延びる第2支持軸422(スキージ支持用の横軸)を介して回動可能に支持されるとともに、このユニット組付部材421を駆動するスキージ回動機構が搭載されている。
ユニット組付部材421は、X’軸方向に細長い長方形の板状部材であり、このユニット組付部材421に、スキージ41とこれを保持するスキージホルダ42とが着脱自在に組付けられている。そして、スキージ41の片面がペースト押圧のための作業面41aとされ、この作業面41aとは反対側の面の側方に第2支持軸422(スキージ支持用の横軸)が位置する状態で、この第2支持軸422にユニット組付部材421を介してスキージ41が回動可能に支持されている。
ユニット組付部材421を支持する前記第2支持軸422は、サブフレーム420を貫通して反対側に突出しており、この突出部分にはプーリ423がキー結合により装着固定されている。そして、駆動源としてのサーボモータ424がサブフレーム420に固定され、このサーボモータ424の出力軸に装着されるプーリ425と前記プーリ423とに亘って駆動ベルト426が装着され、さらにこの駆動ベルト426に対してその外周側からテンションプーリ427が圧接することにより駆動ベルト426が張設されている。つまり、これらサーボモータ424、プーリ425,423,427および駆動ベルト426等により上記スキージ回動機構が構成されており、サーボモータ424の作動によりユニット組付部材421が第2支持軸422回りに正逆回転駆動される。なお、サブフレーム420に対するユニット組付部材421の原点位置が検知され、サーボモータ424の回転角制御に用いられる基準位置が求められる。そして、このユニット組付部材421の正逆回転により、前記作業面41aがスクリーンマスク206に対して平行に対面する状態より片側に傾斜した状態と反対側に傾斜した状態とにわたり、スキージ41が第2支持軸422回りの回動により姿勢変更可能とされるようになっている。
スキージユニット保持機構400のスキージホルダ42は、アルミニウム合金等の軽合金からなるX’軸方向の細長い板状部材である。一方、スキージ41は、例えば硬質ウレタン、あるいはステンレスからなるX’軸方向に細長い長方形の板状部材で、図8に示すように、スキージホルダ42に重ね合わされた状態で当該ホルダ42に保持されている。
スキージ41の幅寸法は、スキージ41の往動時に前記作業面41aがペーストに接触する範囲とスキージ41の復動時に前記作業面41aがペーストに接触する範囲とがラップするように設定されている。
図2に示すように、印刷実行部20には、撮像ユニット50が併設されている。撮像ユニット50は、スクリーンマスク206と基板Wとの相対的な位置関係を画像認識するためのものであり、スクリーンマスク206の下面に記されるマークや記号等の複数の標識を下側から撮像する2個のマスク認識カメラ50Aと、基板支持テーブル10A、10Bに支持されている基板Wのマークや記号等の複数の標識を上側から撮像する2個の基板認識カメラ50Bからなる。各マスク認識カメラ50Aは、スクリーンマスク保持機構200の本体202にX’軸方向、Y’軸方向に移動可能に配置され、各基板認識カメラ50Bは、スクリーンマスク保持機構202の本体202に固定配置されている。各マスク認識カメラ50Aは、図外のX’−Y’ロボットに連結されることにより水平方向に二次元的に移動可能に設けられており、後述する制御ユニット60によるX’−Y’ロボットの制御に基づき、スクリーンマスク206段取り時等にスクリーンマスク206の下側に進入してスクリーンマスク206下面の上記各標識を撮像する。一方、各基板認識カメラ50Bは、基板支持テーブル10A(10B)が印刷位置SPに進入する時、基板W上記各標識を撮像する。両カメラ50A,50Bにより認識されたスクリーンマスク206の2つの標識(フィデューシャルマーク)位置と基板上の2つの標識(フィデューシャルマーク)位置は、スクリーンマスク206の基板WとのR軸方向位置合わせを前提としたR軸方向角度に基づき、X’Y’座標系から基台2上のX−Y座標系に座標変換された後、スクリーンマスク206のR軸方向位置調整と、基板WのXY位置調整が実施される。
図10に示すように、制御ユニット60(本発明の印刷位置設定手段、テーブル移動制御手段の一例である)は、マイクロプロセッサ等で構成される演算処理部61と、印刷処理のためのトランザクションデータ等を記憶する印刷プログラム記憶部62と、制御に要するマスタデータ等を記憶するデータ記憶部63と、前記モータ5A、5B等のアクチュエータ類を駆動するアクチュエータ制御部64と、種々のインターフェース等で構成される外部入出力部65と、キャプチャーボード等で構成される画像処理部66とを有しており、各アクチュエータ類や、マスク認識カメラ17等のカメラ類は、全てこの制御ユニット60によって制御可能に電気的に接続されている。従って、前記基板支持テーブル10A、10Bおよび印刷実行部20による一連の印刷処理動作、つまり基板搬入部En1、En2での第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出されてくる基板Wの受け取り、基板Wへのスクリーン印刷および基板搬出部Ex1、Ex2からの基板Wの搬出の一連の動作は、この制御ユニット60により統括的に制御される。また制御ユニット60には、処理状態をGUI等で表示可能な表示ユニット70と、ポインティングディバイス等で構成される図略の入力装置とが接続されており、オペレータの操作によって、トランザクション用のデータ入力や、制御処理を実現するプログラムの設定や変更等ができるようになっている。なお、印刷プログラム記憶部62とデータ記憶部63とは、何れもROM、RAM、補助記憶装置等を組み合わせて実現される論理的な概念である。
図11を参照して、制御ユニット60のデータ記憶部63には、スクリーンマスク206に関するデータを保存するスクリーンマスクデータテーブル601と、印刷実行部20に関するデータを保存する印刷実行部データテーブル602と、基板支持テーブル10A、10Bに関するデータを保存する基板支持テーブルデータテーブル603と、スクリーン印刷装置1に関するデータを保存する印刷装置データテーブル604と、動作項目データテーブル605と、マスク移動管理データテーブル606とを備えている。これらのデータテーブル601〜606は、何れもデータベースシステムにおいて、2次元マトリックス(行と列)でデータを保存するデータの集合のことをいう。
データテーブル601〜606の各項目はそれぞれ属性を表し、2次元マトリックスでは最上行に割り当てられるものである。データテーブル601〜606においては、2次元マトリックスの最上行の最も左に主キーとなる(PK)が付与された属性(PK属性)が割り当てられ、PK属性の列の2行目以降に実際に印刷における、PK属性の属性値(属性に割り当てられる実際の値)がデータとして保持され、2次元マトリックスの2行目以降の各行においては、PK属性の属性値に対応する各属性毎の属性値がデータとして保持される。データテーブル602、603、604、606においては、2次元マトリックスでは最上行に割り当てられる複数の属性には、PK属性以外に外部キーとなる(FK)が付与された属性(FK属性)も含まれている。このFK属性は、別のデータテーブルではPK属性とされるものであり、FK属性値がわかれば当該別のデータテーブルにおいてFK属性値=PK属性値として、PK属性値に対応する各属性毎の属性値が紐付けられることになる。さらに、図中の矢印は、データテーブル601〜606間の関係(リレーションシップ)を表わしており、矢印の終点側のデータテーブルにある外部キーが矢印の起点側のデータテーブルにある主キーを参照していることを示している。各データテーブル601〜606は、論理的な存在であり、実装時には、それぞれを単一のデータファイル(例えば、CSVファイル)で構成してもよく、或いは正規化を考慮して、複数のデータファイルで構成してもよい。
スクリーンマスクデータテーブル601は、マスク品番を主キーとし、縦寸法、横寸法、中心X座標、中心Y座標を属性として有している。このスクリーンマスクデータテーブル601を参照することにより、制御ユニット60は、スクリーン印刷装置1に装着されたスクリーンマスク206の種類や、その寸法関係を制御のパラメータとして参照することが可能になる。ここで、スクリーンマスクデータテーブル601の中心Y座標は、スクリーンマスク206のX軸方向に沿う中心線MC(図12〜図15参照)を特定するY座標をいう。
印刷実行部データテーブル602は、印刷実行部品番を主キーとして、マスク品番、縦寸法、横寸法、中心X座標、中心Y座標、マスクオフセット量Os等の属性を有している。マスク品番は、当該印刷実行部20に装着されるスクリーンマスク206を特定するための外部キーであり、このキーによって、スクリーンマスクデータテーブル601が、印刷実行部データテーブル602に関連づけられている。また、マスクオフセット量Osは、関連づけられたスクリーンマスク206と、印刷実行部20の中心線YCとの間に生じるY軸方向のオフセット量を示している(図12〜図15参照)。このオフセット量Osを事前に登録しておくことにより、制御ユニット60は、後述するように効率的な交互印刷を実現することが可能になる。
基板支持テーブルデータテーブル603は、テーブル品番を主キーとして、基板支持テーブル10Aまたは10Bを構成するユニットの属性を保存するものである。
印刷装置データテーブル604は、印刷装置品番を主キーとして、スクリーン印刷装置1を制御するために、必要な諸元を属性として備えている。印刷装置データテーブル604には、Aサイド(図1の下側に示すY軸方向の一端側。以下同様。)の基板支持テーブル10Aに採用されたユニットを基板支持テーブルデータテーブル603と関連づけるAサイド基板支持テーブル品番と、Bサイド(図1の上側に示すY軸方向の他端側。以下同様。)の基板支持テーブル10Bに採用されたユニットを基板支持テーブルデータテーブル603と関連づけるBサイド基板支持テーブル品番とを外部キーとして含んでおり、これらによって、スクリーン印刷装置1に採用された基板支持テーブル10A、10Bの移動範囲や、移動速度等の情報を参照することが可能になっている。また、印刷装置データテーブル604には、当該スクリーン印刷装置1に採用された印刷実行部20と関連づける印刷実行部品番を外部キーとして有しており、このリレーションシップによって、当該スクリーン印刷装置1に採用された印刷実行部20の諸元を参照することができるようになっている。図示の例において、印刷装置データテーブル604には、図2に示したテーブル可動ピッチTph(第1基板搬入位置EnP1と第1基板搬出位置ExP1との内Y軸方向において最もAサイド側となるものに位置させた基板支持テーブル10Aの中心と、第2基板搬入位置EnP2と第2基板搬出位置ExP2との内Y軸方向において最もBサイド側となるものに位置させた基板支持テーブル10Bの中心との間のY軸方向距離を言う)と、第1基板搬入位置EnP1と第2基板搬入位置EnP2とのY軸方向の対向間隔である搬入側Y軸ピッチPinと、第1基板搬出位置ExP1と第2基板搬出位置ExP2とのY軸方向の対向間隔である搬出側Y軸ピッチPoutと、スクリーン印刷装置1に設定された共有エリアと、両基板支持テーブル10A、10Bが干渉しない範囲で近接できる最短距離である干渉リミットLi等が記憶されるようになっている。
なお、基板のY軸方向幅(基板幅)に対応すべく、ベルトコンベア対CL1と基板支持テーブル10A上のベルトコンベア対12Aそれぞれにおいて、Y軸方向一方側が固定コンベア、他方側が可動コンベアとされる。この場合、ベルトコンベア対CL1とベルトコンベア対12Aのそれぞれの固定コンベアがY軸方向同じ側にある場合、基板幅が変化しても基板支持テーブル10AはY軸方向同じ位置で基板Wの受け取りができる。すなわち、第1基板搬入位置EnP1は変化しない。ベルトコンベア対CL1とベルトコンベア対12Aのそれぞれの固定コンベアがY軸方向逆側にある場合、基板幅に対応して第1基板搬入位置EnP1が変化する(ベルトコンベア対CL1の固定コンベアが図1のAサイド側で、ベルトコンベア対12Aの固定コンベアが図1のBサイド側にある場合、基板幅が大きくなるほど、第1基板搬入位置EnP1はBサイド側に位置ずれすることになる)。同様に、ベルトコンベア対CL2と基板支持テーブル10B上のベルトコンベア対12Bの間、ベルトコンベア対CM1と基板支持テーブル10A上のベルトコンベア対12Aの間、およびベルトコンベア対CM2と基板支持テーブル10B上のベルトコンベア対12Bの間で、それぞれ、各固定コンベアの配置の態様により、基板幅の変化に対応し、それぞれ第2基板搬入位置EnP2、第1基板搬出位置ExP1、および第2基板搬出位置ExP2が同じであったり変化する。
次に、動作項目データテーブル605は、交互印刷を実現する上で、制御ユニット60がチェックすべき基板支持テーブル10A、10Bの動作を記憶するためものであり、動作項目を主キーとして、動作タイミングを保存している。動作項目は、例えば、「基板搬入動作」「フィデューシャルマークに認識動作」「印刷後検査動作」「マスククリーニング動作」「基板搬出時動作」等であり、動作タイミングは、「印刷前」「印刷後」等である。
マスク移動管理データテーブル606は、印刷装置品番と動作項目とを主キーとする連関エンティティであり、スクリーン印刷装置1毎に、マスク移動管理が必要な動作項目とスループット(所定時間内に何枚の基板Wを、印刷を実行しスクリーン印刷装置1から下流機の部品実装装置Mtに搬出できるかのスループット値を大きくすること)向上のためのスクリーンマスク206のY軸方向の移動量(必要シフト量)SFとを設定したものである。必要シフト量SFとは、印刷位置において印刷を終了した基板支持テーブルが印刷位置から基板搬出位置へ移動(相手側の基板支持テーブルから遠ざかる移動)を開始した後、相手側の基板支持テーブルを早く印刷位置に位置させるため、相手側の基板支持テーブルの移動に加えて実施される、スクリーンマスク206を相手側の基板支持テーブルに近づける移動における終了位置を、前記テーブル可動ピッチの中心位置からどれだけシフトさせるかの距離を言う。
次に、このマスク移動管理について図12〜図15を参照しながら説明する。
スクリーン印刷装置1が実装される製造ラインでは、上流側の装置や下流側の実装装置の仕様等に基づき、各ベルトコンベア対CL1,CL2,CM1,CM2の位置が種々の態様をとり、対応して第1基板搬入位置EnP1、第2基板搬入位置EnP2、第1基板搬出位置ExP1、および第2基板搬出位置ExP2の位置が種々の態様をとる。例えば、図1、図12に示したように、各基板搬入位置EnP1、EnP2、並びに基板搬出位置ExP1、ExP2が、印刷実行部20のX軸中心線に対し、対称形の配置となる場合がある。その場合でも、並行動作される一方の基板支持テーブル10A(10B)の基板Wの搬入動作から印刷工程を終えるまでの時間と、他方の基板支持テーブル10B(10A)の印刷位置から基板搬出位置ExP2(=基板搬入位置EnP2)への移動および基板Wの搬出動作完了までの時間が等しいことが望ましい。印刷工程の時間は長くなるので、できるだけ時間を等しくするため、他方の基板支持テーブル10B(10A)が印刷を終えた後、スクリーンマスク206すなわち印刷位置を一方の基板支持テーブル10A(10B)の基板搬入位置EnP1(EnP2)に近づけるのが好ましい。
次に、同じ対称形であっても、図13に示したように、基板搬入位置EnP1、EnP2間のY軸方向の距離(搬入側Y軸ピッチPin)が、基板搬出位置ExP1、ExP2間のY軸方向の距離(搬出側Y軸ピッチPout)よりも長い場合、或いは、図14に示したように、搬入側Y軸ピッチPinが、搬出側Y軸ピッチPoutよりも短い場合がある。そのような場合でも同様に、他方の基板支持テーブル10B(10A)が印刷を終えた後、スクリーンマスク206すなわち印刷位置を一方の基板支持テーブル10A(10B)の基板搬入位置EnP1に近づけるのが好ましい。
但し、他方の基板支持テーブル10B(10A)が基板搬出位置ExP2で搬出動作のため停止するので、一方の基板支持テーブル10A(10B)の他方の基板支持テーブル10B(10A)への干渉を避けるため、スクリーンマスク206の必要シフト量SFを大きくするか、一方の基板支持テーブル10A(10B)に待機時間を設けるか必要になる場合がある。
また、図14に示したように、搬入側Y軸ピッチPinが、搬出側Y軸ピッチPoutよりも短い場合もある。
この場合も他方の基板支持テーブル10B(10A)が印刷を終えた後、スクリーンマスク206すなわち印刷位置を一方の基板支持テーブル10A(10B)の基板搬入位置EnP1に近づけるのが好ましが、他方の基板支持テーブル10B(10A)が搬出動作後、基板搬入位置EnP2に移動する際に、一方の基板支持テーブル10A(10B)との干渉を避けるため、スクリーンマスク206の必要シフト量SFを大きくするか、他方の基板支持テーブル10A(10B)に待機時間を設けるか必要になる場合がある。
さらに、図15に示したように、搬入位置EnP1、同士の組み合わせ、および搬出位置ExP1、ExP2同士の組み合わせのうち、何れか一方(図示の例では双方)がスクリーン印刷装置1のX軸中心線に対して非対称に配置されている場合もある。その場合にも、図13と同様他方の基板支持テーブル10B(10A)が基板搬出位置ExP2で搬出動作のため停止するので、一方の基板支持テーブル10A(10B)の他方の基板支持テーブル10B(10A)への干渉を避けるため、スクリーンマスク206の基板搬入位置EnP1への移動における必要シフト量SFを大きくするか、一方の基板支持テーブル10A(10B)に待機時間を設けるか必要になる場合があり、図14と同様、一方の基板支持テーブル10A(10B)が搬出動作後、基板搬入位置EnP1に移動する際に、他方の基板支持テーブル10B(10A)との干渉を避けるため、スクリーンマスク206の基板搬入位置EnP2への移動における必要シフト量SFを大きくするか、一方の基板支持テーブル10A(10B)に待機時間を設けるか必要になる場合がある。
本実施形態では、図11に示したように、動作項目データテーブル605と、干渉管理データテーブル606とを設けたので、例えば、以下の表1に示すようなデータを記憶し、制御パラメータとすることが可能である。
表1は、各図12〜図15に対応する装置において、干渉回避が必要な動作項目毎に必要シフト量(印刷位置において印刷を終了した基板支持テーブルが印刷位置から基板搬出位置へ移動(相手側の基板支持テーブルから遠ざかる移動)を開始した後、相手側の基板支持テーブルを早く印刷位置に位置させるため、相手側の基板支持テーブルの移動に加えて実施される、スクリーンマスク206を相手側の基板支持テーブルに近づける移動における終了位置を、前記テーブル可動ピッチの中心位置からどれだけシフトさせるかの距離を言う)SFを表したものである。必要シフト量SFは、当該動作を実行するために、共有エリアに進入するY軸方向の長さの絶対値で設定されている。なお、マスククリーニング動作については、印刷位置SP内で実行される動作であることから、不図示のマスククリーニングユニットの待機位置にスクリーンマスク206を近づける印刷位置の移動すなわちシフトを行う制御を実施しても良い。但し、本実施形態においては、マスク制御対象からは外している。また、表1において、基板搬入位置EnP1、EnP2が非対称に配置される図15については、Aサイドで基板Wが搬入される場合とBサイドで基板Wが搬入される場合とで干渉の態様が異なるので、それぞれ別個に設定されている。このような設定は、図15のレイアウトに対応する品番に枝番号を付与することにより、実現可能である。
次に、この制御ユニット60の制御に基づくスクリーン印刷装置1の印刷工程について説明する。
図16を参照して、制御ユニット60は、まず、初期印刷位置設定サブルーチンを実行し(ステップS1)、各基板支持テーブル10A、10Bの基板Wに対する交互印刷を開始する上で、好適な印刷位置SPを設定する。次いで、制御ユニット60は、第1基板支持テーブル10Aと第2基板支持テーブル10Bとを並行動作させる。まず、第1基板支持テーブル10Aにおいて、基板の搬入(ステップS2A)と、フィデューシャルマークを認識するマーク認識(ステップS3A)と、印刷位置SPへの基板支持テーブル10Aの進入サブルーチン(ステップS4A)と、版合わせ(Xテーブル141のX方向位置調整による基板WのX方向位置調整、基板支持テーブル10A、10Bのモータ5A、5Bによる基板WのY軸方向位置調整、スクリーンマスク保持機構の回転駆動機構によるスクリーンマスク保持機構の本体のR軸方向位置調整によるスクリーンマスク206のR軸方向位置調整)(ステップS5A)と、クリーム半田を掻き取る掻取動作(ステップS6A)と、版離れ(ステップS7A)と、印刷位置SPからの基板支持テーブル10Aの退出動作(ステップS8A)と、退出後に印刷済の基板Wを搬出する搬出動作(ステップS9A)とを生産枚数分だけ繰り返し実行する。一方、第2基板支持テーブル10Bにおいては、第1基板支持テーブル10Aが退出動作(ステップS8A)中、並行して印刷位置進入サブルーチン(ステップS4B)を実施できるよう、第1基板支持テーブル10Aの基板搬入(ステップS2A)の開始から遅れる所定のタイミングで基板搬入(ステップS2B)を開始し、以下マーク認識(ステップS3B)、進入サブルーチン(ステップS4B)、掻取動作(ステップS6B)、版離れ(ステップS7)、退出動作(ステップS8A)、そして搬出動作(ステップS9B)を順次実施するとともに、これらの各ステップを生産枚数分だけ繰り返し実行する。そして、第2基板支持テーブル10Bの退出動作(ステップS8A)中、第1基板支持テーブル10Aにおいては、並行して印刷位置進入サブルーチン(ステップS4A)が実施される。各ステップのうち、進入サブルーチン(ステップS4A、S4B)から退出動作(ステップS8A、S8B)までが狭義の印刷工程となる。また、図16には、図示していないが、この狭義の印刷工程の前後で、スクリーンマスク206の下面に付着した余剰のクリーム半田を除去するクリーニング動作が必要に応じて実行される。
次に図16の初期印刷位置設定サブルーチンS1(図17)について、図17並びに図12〜図15を参照しながら説明する。
まず、制御ユニット60は、印刷装置データテーブル604から当該テーブル可動ピッチTphを取得し(ステップS101)、次いでその中央を通るX軸線上の適所を印刷位置SPの中心座標Ydとして演算する(ステップS102)。
次いで、制御ユニット60は、マスク移動処理に移行する。
例えば、スクリーン印刷装置1が、図13に示した態様に該当する場合には、搬入側が広いため、印刷位置SPの中心座標Ydを共有エリアに設定しても、基板支持テーブル10B(10A)は、共有エリアで印刷工程を実行している相手側の基板支持テーブル10A(10B)と干渉することなく、基板搬入、マーク認識の並行動作を実行することが可能になる。一方、基板搬入、マーク認識の動作を終えた後の印刷位置への進入動作については、基板支持テーブル10A(10B)が共有エリアでの印刷工程を終えても一部共通エリアとなる基板搬出位置ExP1(ExP2)で基板搬出をしている相手側の基板支持テーブル10A(10B)との干渉を避けるため、待機動作が必要になる場合がある。他方、スクリーン印刷装置1が図14、図15Aに示した態様に該当する場合には、共有エリアに相手側の基板支持テーブル10B(10A)が存在すると、干渉が生じるため、基板搬出を終えても基板搬入、マーク認識について待機動作が必要になる。そこで、本実施形態では、動作項目データテーブル605および干渉管理データテーブル606を利用して、マスク移動制御を実行することとしている。
具体的には、制御ユニット60は、動作項目データテーブル605および干渉管理データテーブル606を参照し、基板支持テーブル10B(10A)が印刷前に実行する動作項目毎に必要シフト量SFの最大値SFmaxを検索する(ステップS103)。
次いで、制御ユニット60は、ステップS103で検出した必要シフト量SFの最大値SFmaxを確保するように、X軸方向両側のY軸サーボモータ303を同一方向に回転することで本体202を移動し、印刷位置SPの中心座標YdをY軸方向にシフトする(ステップS104)。この結果、表1で示した例の場合、スクリーン印刷装置1が図13に示した態様に該当するときには、最初に設定されたYdが印刷位置SPの中心となる。他方、スクリーン印刷装置1が図14、図15Aに示した態様に該当するときは、印刷工程に移行する基板支持テーブル10A(10B)に対し、最大値SFmaxを確保する寸法分だけ印刷位置SPの中心座標Ydをシフトする。これにより、後述するように、極めて効率的な交互印刷を実現することが可能になる。
次に図16の印刷進入時におけるサブルーチン(図18)について、図18並びに図19〜図20を参照しながら説明する。
まず、制御ユニット60は、一方の基板支持テーブル10A(10B)のマーク認識動作(ステップS3A(S3B))を終了した時点で、他方の基板支持テーブル10B(10A)が印刷動作中であるか否かを判定する(ステップS401)。仮に印刷中である場合、制御ユニット60は、相手方の基板支持テーブルが印刷後に実行する動作項目毎に必要シフト量SFの最大値SFmaxを検索する(ステップS402)。これは、印刷を待機している基板支持テーブル10A(10B)の待機位置によっては、印刷を終了した基板支持テーブル10B(10A)の印刷後の工程に支障を来すことを回避するための処理である。
制御ユニット60は、ステップS402の検索結果に基づいて、近接距離を設定する(ステップS403)。このステップS403では、必要シフト量SFの最大値SFmaxが0の場合、進入側の基板支持テーブル10Aは、印刷中の基板支持テーブル10Bに対し、干渉リミットLiまで近接することができる。他方、最大値SFmaxが0以上である場合、近接可能な距離は、この必要シフト量SFmaxの値だけ、印刷中の基板支持テーブル10B(10A)から隔たった値となる。
次いで制御ユニット60は、設定された近接距離を隔てた位置まで、印刷位置にある基板支持テーブル10B(10A)に近接する(ステップS405)。その状態で印刷処理が終了するのを待機する(ステップS406)。印刷処理が終了した場合、または、ステップS401で既に印刷処理が終了していた場合、制御ユニット60は、現在の印刷位置を変更すべきかどうか判定する処理に移行する。具体的には、動作項目データテーブル605およびマスク移動管理データテーブル606を参照し、相手方が次の印刷を開始するまでの動作項目毎に必要シフト量SFの最大値SFmaxを検索する(ステップS407)。次いで、制御ユニット60は、検索結果に基づいて、印刷位置を修正する(ステップS408)。この結果、印刷位置を退出する基板支持テーブル10B(10A)が共有エリア内で作業する必要がある場合には、必要シフト量に応じて、印刷位置から退出する基板支持テーブル10B(10A)から離反する方向に印刷位置が変更される。これにより、印刷工程に移行する基板支持テーブル10A(10B)と、印刷工程を終えた基板支持テーブル10B(10A)との干渉を避けつつ並行動作を実行させ、待ち時間を生じさせることなく、交互印刷を続けることが可能になる。
図19を参照して、進入する基板支持テーブル10A(10B)は、印刷位置に到達するまでの間、ステップS410からS418の動作を繰り返す。具体的には、制御ユニット60は、まず、退出する基板支持テーブル10A(10B)の現在位置を取得し(ステップS410)、当該基板支持テーブル10A(10B)が干渉し得るエリア内にあるか否かを判定する(ステップS411)。ここで、「干渉し得るエリア」とは、印刷位置SPを占める領域において、両基板支持テーブル10A、10Bの移動速度差と対向間隔に基づき動的に設定される領域であり、制御ユニット60のデータ記憶部63には、「干渉し得るエリア」を決定する計算式またはマップが事前に記憶されている。
仮に退出する基板支持テーブル10A(10B)が干渉し得るエリア内にある場合、制御ユニット60は、さらに、退出する基板支持テーブル10A(10B)の退出速度Vpと、進入する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度Vsとを取得し(ステップS413、S414)、両者を比較する(ステップS415)。仮に進入速度Vsが退出速度Vpよりも速い場合、制御ユニット60は、干渉回避が必要であると判定し(ステップS416)、進入速度Vsが退出速度Vp以下の場合、制御ユニット60は、干渉回避が不要であると判定する(ステップS417)。また、ステップS411の判定において、退出する基板支持テーブル10A(10B)が干渉し得るエリア内にない場合にも、制御ユニット60は、干渉回避が不要であると判定する(ステップS417)。その後、進入する基板支持テーブル10A(10B)は、進入速度Vsで軸移動を続け(ステップS418)、印刷位置に到達する。以上の処理を経て、制御ユニット60は、図16のメインフローに復帰する。
図20を参照して、例えば、図12の態様のスクリーン印刷装置1に対し、上述した制御を実行した場合、図20(A)に示すように、次の印刷動作を待機している基板支持テーブル10Bは、印刷中の基板支持テーブル10Aに対し、干渉リミットLiまで近接しているので、図21に示すように、基板支持テーブル10Aの印刷工程が終了した後、極めて短時間で印刷位置SPに移行し、次の基板種の印刷工程を実行することができる。すなわち、図21の基板支持テーブルBのコンベア対12Bのコンベア幅は最初の搬出終了後変更され、これに伴い基板搬入位置EnP2が変化するとともに、印刷位置変更がされる。基板支持テーブルAのコンベア対12Aのコンベア幅は、図上1回目における搬出後変更される。
さらに、図22を参照して、例えば、スクリーン印刷装置1が図13に示した態様の場合、図17のフローにより、最初の印刷位置SPは、スクリーン印刷装置1の中央に設定される。その状態で図18のステップS401〜S405が実行されることにより、次の印刷工程を待機している基板支持テーブル10Bは、干渉リミットLiまで印刷中の基板支持テーブル10Bに近接する。従って、図20、図21に示した場合と同様に、図22(A)に示した状態から次の印刷工程への移行がスムーズになる。
次に、図22(A)の状態から次の印刷工程に移行する過程で図18に示したステップS407〜S408が実行されるので、印刷位置SPは、図22(A)の位置から必要シフト量SFmaxだけBサイドにシフトした位置に変更される。この結果、印刷が終了したAサイドの基板支持テーブル10Aの搬出工程等とBサイドの基板支持テーブル10Bの印刷工程とを並行させても、両基板支持テーブル10A、10Bが干渉することはない。
さらに、図22(C)を参照して、基板Wの搬出を終了したAサイドの基板支持テーブル10Aは、基板搬入位置に戻り、次の基板Wの搬入動作を実行する。その後、再び、進入動作に移行するので、制御ユニット60は、再度、図18のフローチャートを実行する。
このときの制御で、ステップS402が実行されることにより、基板搬出時の必要シフト量SFが最大値として検出される。この結果、ステップS403での演算で、近接距離は、検出された最大値を確保した距離に設定されるので、図22(C)に示すように、進入動作に移行した基板支持テーブル10Aは、印刷中の基板支持テーブル10Bに対し、所定間隔(Li+SFmax)隔てた位置で待機する。これにより、Bサイドの基板支持テーブル10Bが印刷工程を終了した後も、共有エリアで搬出動作を実行することができるので、何等待機時間を設けることなく、印刷後の基板Wを搬出することができる。他方、図18のステップS407以降の処理によって、図22(D)に示すように、印刷位置SPは、再びAサイドにシフトするので、Aサイドの基板支持テーブル10Aもスムーズに印刷工程に移行することができるばかりでなく、印刷位置SPに移動する時間を短縮することも可能になる。
さらに、図14のように搬入側Y軸ピッチPinが搬出側Y軸ピッチPoutよりも短い態様の場合、図17のステップS101〜S104が実行されることにより、図23(A)に示すように、最初の印刷位置SPは、テーブル可動ピッチTphの中心座標YdよりもSFmaxだけ、印刷を開始する方の基板支持テーブル10Aにシフトしている。その結果、Bサイドの基板支持テーブル10Bは、共有エリアに入って基板Wの搬入をAサイドの基板支持テーブル10Aの印刷動作を並行して実行することが可能になるとともに、図23(B)に示すように、印刷を終了したAサイドの基板支持テーブル10Aも、何等待機動作を経ることなく、直ちに基板Wを搬出することが可能になる。
また、印刷工程が終了した後は、図18のステップS407〜S408が実行されることにより、図23(C)に示すように、印刷位置SPは、Bサイドにシフトする。その結果、図23(D)に示すように、Aサイドの基板支持テーブル10Aが直ちに干渉エリアに入って基板Wの搬入動作に移行することができるばかりでなく、Bサイドの基板支持テーブル10Bの進入動作も可及的に短縮されることになる。
さらに、図15のように搬入側及び搬出側が非対称の態様の場合、図17のステップS101〜S104が実行されることにより、図24(A)に示すように、最初の印刷位置SPは、テーブル可動ピッチTphの中心座標YdよりもSFmaxだけ、印刷を開始する方の基板支持テーブル10Aにシフトしている。その結果、Bサイドの基板支持テーブル10Bは、共有エリアに入って基板Wの搬入をAサイドの基板支持テーブル10Aの印刷動作を並行して実行することが可能になる。
次に、また、この態様では、図18のステップS402〜S405が実行されることにより、Bサイドの基板支持テーブル10Bは、干渉リミットLiに必要シフト量SFを加えた間隔だけ対向した位置で待機することになる。この結果、図24(C)に示すように、印刷を終了した基板支持テーブル10Aは、印刷終了後直ちに基板Wを搬出することができるばかりでなく、図24(D)に示すように、共有エリアに直ちに進入して、次の基板Wの搬入動作に移行することが可能になる。
上述した一連の動作において、印刷実行部20がY軸方向に移動されるときは、制御ユニット60は、Y軸サーボモータ210を制御し、AサイドとBサイドに向けて、Y軸方向に印刷実行部20を往復移動する。その際、制御ユニット60は、印刷実行部データテーブル602からマスクオフセット量Osを参照し、印刷実行部20の停止位置を印刷位置SPの中心座標Ydからマスクオフセット量Osだけずらして、印刷実行部20に採用されているスクリーンマスク206のX軸中心線MCが中心座標Ydと一致するように、移動量を制御する(図12〜図15参照)。この結果、所定の印刷位置SPに基板支持テーブル10A、10Bを交互に移動させる際に、その負荷が等分され、特に、図1、図12に示したように、印刷位置SPをテーブル可動ピッチTphの中心に据えて、殆ど移動させる必要がない場合には、特に負荷配分が均等になる。無論、印刷位置SPの中心座標Ydに、マスクオフセット量Osを考慮したスクリーンマスク206の中心座標を一致させることにより、基板Wとスクリーンマスク206との重装工程においても、演算が容易になり、しかも、精緻な制御を実現することが可能になる。
以上説明したように本実施形態は、スクリーン印刷装置1において、印刷対象となる基板Wを保持するために設けられ、当該基板Wの搬送方向と直交するY軸方向に沿って並置された一対の基板支持テーブル10A、10Bと、一対の基板支持テーブル10A、10Bに担持された基板Wに対し交互に印刷工程を実施する印刷実行部20と、印刷実行部20をY軸方向に沿って駆動する印刷実行部駆動機構(Y軸サーボモータ210等)と、印刷実行部駆動機構の駆動を制御することにより、一方の基板支持テーブル10A(10B)と他方の基板支持テーブル10B(10A)とがY軸方向に対向する範囲内において印刷位置SPを設定する制御ユニット60とを備えている。このため本実施形態では、一つの印刷実行部20を一対の基板支持テーブル10A、10Bで共有し、交互にスクリーン印刷を施すことができるので、印刷実行部20の冗長性を避けることが可能になる。このため、両基板支持テーブル10A、10Bで同種の基板Wを連続して生産するような場合は、単一のスクリーンマスク206を共用することができ、スクリーンマスク206のコストを半減することが可能になる。また、単一のスクリーンマスク206を共用できるので、段取りに必要な半田も必要充分な量に留まる。そのため、生産後の半田の処理(廃棄、保管など)においてもコスト低減を図ることが可能となる。また、印刷実行部20の印刷位置SPをY軸方向沿いに変更可能にして、各基板支持テーブル10A、10Bが同一の印刷実行部20を共有しているので、印刷実行部20の冗長性が排除され、しかも印刷実行部20を配置するためのスペースをコンパクトにまとめることができ、スクリーン印刷装置1自体やそれに付随するコンベア類も小型化することが可能となる。しかも印刷位置SPを設定する際は、印刷実行部20をY軸方向に移動して一方の基板支持テーブル10A(10B)と他方の基板支持テーブル10B(10A)との間の任意の箇所に変更することができるので、各基板支持テーブル10A、10Bの稼働状況や、各基板支持テーブル10A、10Bに設定される基板搬入部En1、En2、基板搬出部Ex1、Ex2の態様に応じて、動的に好適な印刷位置SPを設定することができる。
また、本実施形態では、一対の基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に沿って個別に駆動する基板支持テーブル駆動機構(モータ5A、5B等)と、基板支持テーブル駆動機構を制御する制御ユニット60とをさらに備えている。このため本実施形態では、印刷実行部20を移動することにより印刷位置SPを設定することができる他、基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に移動させることによっても、印刷位置SPを変更することができるので、より一層、印刷処理の効率化を図ることができる。しかも、基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に移動することができるので、基板支持テーブル10A、10Bに基板Wを搬入する搬入位置と基板Wを搬出する搬出位置も、製造ラインの態様に応じて変更することができ、スクリーン印刷装置1自身の汎用性を高めることも可能になる。
また、本実施形態では、Y軸方向において、何れの基板支持テーブル10A、10Bも移動可能な共有エリアが設定されている。このため本実施形態では、共有エリアを設けることによって、Y軸方向におけるスクリーン印刷装置1をコンパクトにすることができる。また、印刷位置SPを共有エリアに設定することも可能になるので、各基板支持テーブル10A、10B並びに印刷実行部20の移動範囲(移動時間)を短縮し、交互印刷の効率化を図ることが可能になる。
また、本実施形態では、制御ユニット60は、一対の基板支持テーブル10A、10Bの何れか一方がY軸方向に沿って移動可能な範囲をテーブル可動ピッチTphとし、このテーブル可動ピッチTphを基準にして印刷位置SPを設定するものである。このため本実施形態では、一対の基板支持テーブル10A、10Bの何れかが移動可能なテーブル可動ピッチTphにおいて印刷位置SPが設定されるので、共有エリアが設定されている場合に、この共有エリア内に印刷位置SPを設定し、各基板支持テーブル10A、10B並びに印刷実行部20の移動範囲(移動時間)を短縮し、交互印刷の効率化を図ることが可能になる一方、両基板支持テーブル10A、10Bが干渉しないよう、テーブル可動ピッチTph内において共有エリア外を含む任意の位置で印刷位置SPを設定することができる。これによりコンパクトな構成で交互印刷を効率化することができるので、各基板支持テーブル10A、10Bの運転状況や設定条件に応じて好適な位置を印刷位置SPに設定し、効率化を図ることが可能になる。
また、本実施形態では、各基板支持テーブル10A、10Bが、印刷対象となる基板Wの搬入から印刷後の搬出に至るまでに干渉回避のために管理すべき動作項目を記憶する動作項目記憶手段としての動作項目データテーブル605と、動作項目毎に相手側の基板支持テーブル10A、10Bとの干渉を回避するための必要シフト量SFを保存する必要シフト量記憶手段としての干渉管理データテーブル606とをさらに備え、制御ユニット60は、Y軸方向において、テーブル可動ピッチTphの中心位置から必要シフト量SFを確保した位置に印刷位置SPを設定するものである。このため本実施形態では、スクリーン印刷装置1に基板Wが搬入されてから、印刷された基板Wが搬出されるまでに要する種々の動作毎に必要シフト量SFが設定され、その必要シフト量SFに基づいて、好適な印刷位置SPが設定されるので、同一の印刷実行部20で一対の基板支持テーブル10A、10Bに支持された基板Wにスクリーン印刷を交互に施すに当たり、各基板支持テーブル10A、10Bの並行動作中に干渉が生じにくくなり、並行動作の効率が向上する。
また、本実施形態では、制御ユニット60は、印刷位置SPから退出した基板支持テーブル10A、10Bが印刷済の基板Wを搬出した後、次の印刷工程に移行するまでの間、必要シフト量SFを確保した所定の位置まで印刷位置SPにある相手側の基板支持テーブル10A、10Bに近接するように基板支持テーブル駆動機構を制御するものである。このため本実施形態では、印刷工程を交互に繰り返す過程において、一対の基板支持テーブル10A、10Bのうち、印刷位置SPにある基板支持テーブル10A、10Bが印刷工程を終了して当該印刷位置SPから退出を開始した時点で、待機中の基板支持テーブル10A、10Bが印刷位置SPへの進入を開始するので、基板支持テーブル10A、10Bの切換動作も可及的に迅速になり、処理効率が向上する。しかも、待機中の基板支持テーブル10A、10Bが印刷中の基板支持テーブル10A、10Bに近接する際に、必要シフト量SFが確保されているので、印刷工程を終了した基板W支持プレートが印刷済の基板Wを搬出する動作と、待機していた基板支持テーブル10A、10Bが印刷工程に移行する動作とを並行させても、両者が干渉することはない。従って、交互印刷をより効率よく実行することができる。
また、本実施形態では、制御ユニット60は、一対の基板支持テーブル10A、10Bのうち、印刷位置SPにある基板支持テーブル10A、10Bが当該印刷位置SPから退出を開始した時点で他方の基板支持テーブル10A、10Bが印刷位置SPへの進入を開始するように基板支持テーブル駆動機構を制御するものである。このため本実施形態では、印刷工程を交互に繰り返す過程において、一対の基板支持テーブル10A、10Bのうち、印刷位置SPにある基板支持テーブル10A、10Bが印刷工程を終了して当該印刷位置SPから退出を開始した時点で、待機中の基板支持テーブル10A、10Bが印刷位置SPへの進入を開始するので、基板支持テーブル10A、10Bの切換動作も可及的に迅速になり、処理効率が向上する。
また、本実施形態では、制御ユニット60は、印刷位置SPから退出した基板支持テーブル10A(10B)が印刷済の基板Wを搬出した後、次の印刷工程に移行するまでの間、予め設定された干渉リミットLiまで印刷位置SPにある相手側の基板支持テーブル10B(10A)に近接するように基板支持テーブル駆動機構を制御するものである。このため本実施形態では、印刷位置SPから退出した基板支持テーブル10A、10Bが、その退出後に相手側の基板支持テーブル10A、10Bに近接しているので、次の印刷工程で再び印刷位置SPに進入する際、進入完了までの時間を可及的に短縮することができる。その結果、全体の処理時間を一層短くし、処理効率を高めることができる。
また、本実施形態では、制御ユニット60は、印刷実行部20に設けられるスクリーンマスク206の中心線MCを中心にして、一方の基板支持テーブル10A、10Bの移動量と他方の基板支持テーブル10A、10Bの移動量とが等分される位置に印刷位置SPを設定するものである。このため本実施形態では、所定の印刷位置SPに基板支持テーブル10A、10Bを交互に移動させる際に、その負荷が等分されるので、同じ運転状況では同じタイミングで印刷位置SPに対する進入と退出を繰り返すことができる。この結果、一方の基板支持テーブル10A、10Bにおける印刷工程と他方の基板支持テーブル10A、10Bにおける印刷工程との間にタイムラグが生じにくくなり、より効率的に交互印刷を繰り返すことができる。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
図25を参照して、第2実施形態では、版離れ7A(7B)の工程を経た後、印刷位置調整サブルーチンS10A(S10B)を設けている。
図26を参照して、スクリーン印刷装置1が設置される製造ラインの態様によっては、交互印刷の過程で、スクリーン印刷装置1の上流側の装置において、基板Wの送給遅れが生じた場合、或いはスクリーン印刷装置1の下流側の装置において実装時間がばらついた場合に、基板支持テーブル10A、10Bに対する基板Wの搬入遅れ、搬出遅れが生じ、次の印刷工程において、一方の印刷工程に後続する他方の基板支持テーブル10B(10A)の搬入等が遅れ、待ち時間が生じる場合がある。そのような場合には、後工程で干渉が生じない限りにおいて、印刷実行部20が遅れの生じた基板支持テーブル10B(10A)に近接し、出迎えることが好ましい。そこで、第2実施形態では、版離れ7A(7B)の工程を経た後、印刷位置調整サブルーチンS10A(S10B)を設け、印刷位置を退出開始のタイミングで調整できるようにしている。
制御ユニット60は、退出動作と並行して、次工程の基板支持テーブル10B(10A)に移動する必要があるか否かを判定する(ステップS101)。この判定は、具体的には、図22(C)、図23(C)、図24(C)に示したように、干渉回避のために移動することが必要な場合には、その移動を優先するための処理である。移動が必要であると判定した場合、制御ユニット60は、移動量を設定し(ステップS102)、進入側に移動する(ステップS103)。移動量の設定は、具体的には、図11の干渉管理データテーブル606に登録されている必要シフト量SFの最大値SFmaxに基づいて設定される。
移動が終了した場合、印刷位置を変更せずにメインフローに復帰する(ステップS104)。
他方、図1の態様のように、移動が不要な場合、制御ユニット60は、次工程に移行する基板支持テーブル10B(10A)のモータ5Bの動作(を検出するエンコーダの出力)に基づいて、遅れが生じているか否かを判定する(ステップS105)。
ステップS105の判定で、遅れが生じていないと判定した場合には、ステップS104に移行し、その後、メインフローに復帰する。他方、遅れが生じているとステップS104で判定した場合、制御ユニット60は、さらに共有エリア条件に基づいて、移動量を設定する(ステップS106)。ここで、共有エリア条件とは、干渉回避の要否、遅れが発生した回数、進入動作に移行する基板支持テーブルの現在位置、移動に要する時間等に基づいて、移動量を決定する条件である。
仮に共有エリア条件を充足していると判定した場合、制御ユニット60は、共有エリア内で進入動作に移行する基板支持テーブルに近接する(ステップS107)。また、共有エリア条件を充足していないと判定した場合、制御ユニット60は、共有エリア外に至る範囲で進入動作に移行する基板支持テーブル10Bに近接する(ステップS108)。この結果、例えば、n+1回目の処理でBサイドの基板支持テーブル10Bの進入が遅れた場合、印刷実行部20は、(共有エリア条件を充足している場合に)共有エリア内で予め定めた移動量に基づき、Bサイドの基板支持テーブル10Bに近接する。この結果、Bサイドでの基板支持テーブル10Bの進入に要する時間が短縮され、処理の効率化を図ることができる。また、n+3回目の処理でBサイドの基板支持テーブル10Bの進入が再び遅れた場合、印刷実行部20は、共有エリアの外側までBサイドの基板支持テーブル10Bに近接することも可能になる。この結果、Bサイドでの基板支持テーブル10Bの進入に要する時間が短縮され、処理の効率化を図ることができる。
このように、第2実施形態では、制御ユニット60は、次の印刷工程に移行する基板支持テーブル10A、10Bが印刷位置SPに進入するか否かを判定し、次の印刷工程に移行する基板支持テーブル10A、10Bの進入が遅れると判定した場合には、当該基板支持テーブル10A、10Bに近接する方向に印刷位置SPを変更するように印刷実行部駆動機構の駆動を制御するものである。このため本実施形態では、上述のような遅れが生じた場合に、印刷実行部20が当該基板支持テーブル10A、10Bに近接し、遅れてきた基板支持テーブル10A、10Bを印刷実行部20が出迎えるので、印刷実行部20の移動によって遅れが短縮され、ロス時間を短縮することができる。
次に、第3実施形態について説明する。
図1のようなスクリーン印刷装置1において、例えば、遅れに対する出迎え動作を行う場合、徒に共有エリアを外れて進入側の基板支持テーブル10B(10A)に近接すると、次工程で印刷処理を実行する相手側の基板支持テーブル10A(10B)の進入動作に時間がかかる恐れがある。そこで、第3実施形態では、図27に示すように、遅れの判定(ステップS105)を実行した後、進入動作に移行する基板支持テーブル10Bが現在の印刷位置へ進入するのに要する時間Trを演算し(ステップS110)、この基板支持テーブル10Bに印刷実行部20がTr/2移動する位置Prを演算し(ステップS111)、基板支持テーブル10Bと印刷実行部20とをそれぞれ位置Prに移動するようにしている。
図27のような処理を実行すれば、遅れが生じていても、基板支持テーブル10Bと印刷実行部20とが、いわば互いに歩み寄って印刷位置に移動するので、遅れを解消することができる他、次の印刷工程での時間ロスを低減することも可能になる。
なお、図27のステップS110〜S112は、遅れが生じていない場合に実行してもよい。すなわち、図27の遅れ判定(ステップS105)は、省略してもよい。その場合には、図28に示したように、印刷工程が切り替わるたびに印刷位置が変更され、効率的な交互印刷を実現することが可能になる。
このように第3実施形態においては、制御ユニット60は、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10A、10Bに対し、当該進入動作と同期して印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10A、10Bに近接して印刷位置SPを変更するものである。このため本実施形態では、基板支持テーブル10A、10Bと印刷実行部20とが互いに歩み寄って所定の印刷位置SPで印刷工程が実行されるので、印刷位置SPを両基板支持テーブル10A、10Bの共有エリア内に設定することができ、何れの基板支持テーブル10A、10Bにとっても動作に無駄がなくなる。この結果、交互印刷をより一層効率的に実現することができる。
上述したスクリーン印刷装置1は、本発明の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態と併用して、または、上述した実施形態とは別に、干渉チェックをモニタする態様を採用してもよい。その場合、干渉チェックの方法としては、下記に例示する態様を採用することができる。
図29を参照して、第1の態様は、各基板支持テーブル10A、10Bの原点(A原点、B原点という)間の間隔Loが既知の場合に、この間隔Loに基づいて、干渉をチェックする方法である。具体的には、Y軸方向において、各基板支持テーブル10A、10Bが互いに最も離反しているときの中心位置をそれぞれA原点、B原点として設定する。A原点とB原点のY軸方向の間隔Loが既知であり、基板支持テーブル10A、10Bが干渉し得る間隔Lも既知であるので、これらのデータを事前にデータ記憶部63に登録しておき、現時点での移動間隔Ca、Cbの和の絶対値|Ca+Cb|と、間隔Loと間隔Lの差とを比較する。仮に、絶対値|Ca+Cb|が間隔Loと間隔Lとの差以上である場合には、干渉すると判定し、絶対値|Ca+Cb|が間隔Loと間隔Lとの差未満である場合には、干渉しないと判定する。間隔Lは、図19のフローチャートにおける「干渉し得るエリア」と同様に、各基板支持テーブル10A、10Bの機種や、移動速度によって動的に設定される値であってもよい。
他方、A原点とB原点のY軸方向の間隔Lo、或いは上記間隔Lが分からない場合もある。その場合には、次のような方法を採用する。
図30を参照して、A原点とB原点のY軸方向の間隔Loが分からない場合は、同図(A)に示すように、一旦、A原点とB原点の座標を求めた上で、両基板支持テーブル10A、10Bを干渉リミットまで近接させる。次いで、両基板支持テーブル10A、10Bが干渉リミットに近接しているときのY軸方向における第1の基板支持テーブル10Aの移動量Laと、Y軸方向における第2の基板支持テーブル10Bの移動量Lbとを取得する。さらに、両移動量La、Lbの差の絶対値|Lb−La|を演算し、その演算結果をLcとする。そして、この演算結果Lcを事前にデータ記憶部63に登録しておき、現時点でのY軸方向における第1の基板支持テーブル10Aの移動間隔Caと、第2の基板支持テーブル10Bの移動間隔Cbとを求めて、これら移動間隔Ca、Cbの和の絶対値|Ca+Cb|を事前に登録した演算結果Lcと比較する。仮に、絶対値|Ca+Cb|が演算結果Lc以上である場合には、干渉すると判定し、絶対値|Ca+Cb|が演算結果Lc未満である場合には、干渉しないと判定する。
図29、図30の方法を採用することにより、所望のタイミングで、干渉が生じるか否かをチェックすることが可能になる。
また、基板Wをスクリーン印刷装置1に搬入または搬出する態様としては、図31に示すように、第1基板搬入部En1、第2基板搬入部En2に受け渡しベルトコンベア対170A、170Bを設けた構成を採用してもよい。その場合には、第1ローダL1、第2ローダL2の各ベルトコンベア対CL1、CL2と第1、第2基板支持テーブル10A、20Aの対応するベルトコンベア対12A、12Bとの位置決めが機械的に決定されるので、制御が容易になるという利点がある。
同様に、第1基板搬出部Ex1、第2基板搬出部Ex2に受け渡しベルトコンベア対171A、171Bを設けた構成を採用してもよい。
また、具体的には図示していないが、基板搬入部と基板搬出部の何れか一方にのみ受け渡しコンベアを設けてもよい。
また、図15の態様に係るスクリーン印刷装置1に本発明を適用するに当たり、印刷実行部20のテーブル可動ピッチは、搬入部En1、En2間の搬入側Y軸ピッチPinであってもよく、或いは、搬出部Ex1、Ex2間の搬出側Y軸ピッチPoutであってもよい。或いは、内側の搬入部En1と内側の搬出部Ex2の間のY軸方向ピッチYp2を採用してもよい。
また、基板支持テーブル10A、10B等における基板Wの具体的な支持構造、印刷実行部20等における具体的なスクリーンマスク206の保持構造、あるいはスキージユニット保持機構400の具体的な構造等は、必ずしも上記実施形態のスクリーン印刷装置1のものに限定されるものではなく、適宜変更可能であることは、いうまでもない。