JP5597368B2 - 積層型電子部品およびその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層型電子部品およびその製法に関し、特に、セラミックフィルタ、超音波応用振動子、圧電ブザー、圧電点火ユニット、超音波モータ、圧電ファン、圧電センサ、圧電アクチュエータ等に用いられ、圧電磁器中に内部電極層を有する積層型電子部品およびその製法に関する。
圧電磁器を利用した圧電アクチュエータは、圧電現象を介して発生する変位や力を機械的駆動源として利用するものであり、特に最近、メカトロニクスの分野において注目されているものの一つである。圧電アクチュエータは、圧電効果を利用した固体素子であるので、磁性体にコイルを巻いた構成の従来の電磁式アクチュエータと比較して、消費電力が少ない、応答速度が速い、変位量が大きい、発熱が少ない、寸法および重量が小さい等の優れた特徴を有している。このため、メカトロニクスの高度化に伴い多方面にわたる研究開発が進められている。近年では、車載インジェクタの燃料噴射弁の開閉に積層圧電アクチュエータが実用化され、またカメラ用オートフォーカス用積層圧電アクチュエータや圧電スピーカ等の音響部品としても展開される等、その応用は多彩に広がりつつある。
ところで、上述した圧電アクチュエータの用途が拡大するに従い、より低電圧で、より大きな変位や発生力が得られる積層圧電アクチュエータが多く使われる用になってきた。また、一般的に圧電アクチュエータとしては機能上、圧電歪定数、特にd33やd31定数ができるだけ大きいことが望まれるとともに、連続駆動時において絶縁性が劣化しないことも重要となる。
このような目的に合致する圧電磁器組成物として、モル比による組成式を、Pb1−x−ySrBa(Zn1/3Sb2/3ZrTi1−a−bと表した時に、x,y,a,bが0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.04≦x+y、0.01≦a≦0.12、0.43≦b≦0.58を満足するものが知られており(例えば、特許文献1参照)、このような圧電磁器組成物は1240〜1300℃で焼成することが記載されている。
しかしながら、特許文献1記載の圧電磁器組成物では、焼成温度が1240〜1300℃と高いことから、内部電極のAgとPdの比率において、Pdが30質量%以上含有されていた。そのため、積層数が多くなればなるほど、高コストとなりコスト競争力が失われ変位素子としての利用が極めて狭い範囲に限定されるという欠点があった。
低温焼成できる圧電磁器組成物として、PbZrO−PbTiO−Pb(Zn1/3Sb2/3)Oを主成分とし、BiおよびFeの元素をBiFeO換算で、5〜15質量%含有し、1000〜1100℃で焼成した圧電磁器組成物、および前記主成分に対して、LiとBiとCd、B、Pb、SiおよびZnの少なくとも1種とを含有し、900〜1000℃で焼成した圧電磁器組成物が知られている(特許文献2参照)。
特開平7−45124号公報 特開2000−86341号公報
しかしながら、従来の特許文献2に記載の圧電磁器組成物では、1000℃以下の低温での焼成は可能になるものの、低温焼成に寄与した元素の一部は粒界に残存することから、圧電特性が低下するとともに、駆動時の電圧印加により絶縁性が徐々に劣化し、リーク電流が大きくなり信頼性が低下するという問題があった。
本発明は、Agを主成分としPd含有比率が5質量%以下の内部電極層を使用できるとともに、圧電特性に優れ、絶縁性の経時的劣化を抑制できる積層型電子部品およびその製法を提供することを目的とする。
発明の積層型電子部品は、圧電磁器中に内部電極層を有する積層型電子部品であって、前記圧電磁器が、SbおよびNbのうち少なくとも1種類と、Pb、Zr、Ti、ZnおよびBiとを含有するチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子からなり、前記Biの含有量が、ABOの化学式で表される前記チタン酸ジルコン酸鉛系結晶のAサイトの前記Biによる置換量に換算して0.015以下であるとともに、前記チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相および前記チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が実質的に存在せず、かつ密度が7.7g/cm以上であり、前記内部電極層が、金属成分としてAgを主成分とすることを特徴とする。
従来では、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界に、非晶質相、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が存在していたため、圧電特性が未だ低く、絶縁性が経時的に低下するものであったが、本発明では、金属成分としてAgを主成分とし、Pdの含有比率が5質量%以下の内部電極を焼結するような低温で焼成したとしても、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が実質的に存在しないため、圧電磁器の絶縁性の経時的劣化を抑制できるとともに、密度が7.7g/cm以上であるため、圧電磁器中のチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界に、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相および非晶質相が存在していなくても、十分に焼結しており、圧電特性を向上できる。また、内部電極層としてPd含有比率少なくできるため、安価な積層型電子部品を得ることができる。
本発明の積層型電子部品の製法は、SbおよびNbのうち少なくとも1種と、Pb、Zr、TiおよびZnとを含有し、かつCukα線を用いたX線回折測定においてチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の(101)のピーク(2θ≒30°)のピーク強度をIとし、(111)のピーク(2θ≒38°)のピーク強度をIとした時、I/Iが0.130〜0.160となる仮焼粉末を作製する工程と、該仮焼粉末に対してBi粉末を添加し混合して作製したスラリーを、シート状に成形してグリーンシートを作製する工程と、該グリーンシートに、金属成分としてAgを主成分とる内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成する工程と、該内部電極パターンが形成されたグリーンシートを複数積層して積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を大気中で920〜960℃で焼成することにより、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶内にBiを固溶させ、SbおよびNbのうち少なくとも1種と、Pb、Zr、Ti、ZnおよびBiとを含有するチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子からなる圧電磁器中に内部電極層を有する積層体を製造する工程とを具備することを特徴とする。
このような積層型電子部品の製法では、920〜960℃の低温で焼成したとしても、Biが液相を形成し、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子を濡らし、構成元素の拡散と粒成長とを促進させることから、焼結性を向上できるとともに、焼結後には、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶内にBiを適量固溶させることができるため、圧電磁器がチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子からなるとともに、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相およびチタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が実質的に存在しない積層型電子部品を容易に得ることができる。
本発明の積層型電子部品では、金属成分としてAgを主成分とし、Pdの含有比率が5質量%以下の内部電極を焼結するような低温で焼成したとしても、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が実質的に存在しないため、圧電磁器の絶縁性の経時的劣化を抑制できるとともに、密度が7.7g/cm以上であるため、圧電磁器中のチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界に、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相および非晶質相が存在していなくても、十分に焼結しており、圧電特性を向上でき、さらに、内部電極中のPd含有比率が少ないため、安価な積層型電子部品を得ることができる。
本発明の積層型電子部品を示す断面図である。 表1の試料No.1〜5の仮焼温度に対するI/Iを表すグラフである 表1の試料No.1〜5の仮焼温度を変化させた場合の仮焼粉末のX線回折測定結果を示す図である。 試料No.3について焼成温度に対する積層体の嵩密度を示すグラフである。 試料No.1のX線回折測定結果を示す図である。 試料No.3のX線回折測定結果を示す図である。 試料No.3の焼成温度に対する圧電歪定数d33を示すグラフである。
本発明の積層型電子部品は、図1に示すように、圧電磁器中に内部電極層を有するものであり、言い換えれば、圧電体層1と内部電極層3とを交互に積層して積層体5が構成され、圧電磁器中に複数の内部電極層3が形成されている。内部電極層3は、積層体5の両端面に形成された外部電極7により、交互に接続されている。
圧電磁器は、SbおよびNbのうち少なくとも一種と、Pb、Zr、Ti、ZnおよびBiとを含有するチタン酸ジルコン酸鉛系結晶(以下、PZT系結晶ということがある)の結晶粒子からなるとともに、PZT系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相およびPZT系結晶以外の結晶相が実質的に存在せず、かつ密度が7.7g/cm以上とされている。
PZT系結晶の結晶粒子の粒界に、非晶質相またはPZT系結晶以外の結晶相が実質的に存在しない点については、圧電磁器の破断面や鏡面をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)、あるいは波長分散型X線分光分析(WDS)の組成分析および電子線回折により結晶粒子の粒界(2面間粒界、3重点)に異相を構成するBiリッチの部分が見られないことにより、確認できる。
また、PZT系結晶の結晶粒子の粒界に、PZT系結晶以外の結晶相が実質的に存在しないとは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて粒界の格子像に異相が見られない点、または、圧電磁器断面のCukα線を用いたX線回折測定において、PZT系結晶ピーク以外の他の結晶によるピークが、実質的に存在しない点から確認できる。
Cukα線を用いたX線回折測定において、PZT系結晶ピーク以外の他の結晶によるピークが、実質的に存在しないとは、PZT系結晶の(111)のピーク強度を100とした場合、PZT系結晶以外のピーク強度が3以下の場合である。ピーク強度は、図5に示すように、ピークの両側に接線を引き、この接線に対して垂直方向のピークまでの長さで表される。
圧電磁器は、SbおよびNbのうち少なくとも一種と、Pb、Zr、Ti、ZnおよびBiとを含有するもので、金属成分としてSbおよびNbのうち少なくとも一種と、Pb、Zr、Ti、Sr、Ba、Zn、Biとを含む複合ペロブスカイト型化合物であって、これらの金属元素のモル比による組成式をPb1−x−y−zSrBaBi(Zn1/3α2/3ZrTi1−a−bと表した時に、x、y、z、a、bが、0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0<z≦0.015、0.04≦x+y、0.01≦a≦0.12、0.43≦b≦0.58を満足するものが望ましい。αはSbおよびNbのうち少なくとも一種である。
ここで、x、y、z、a、bを上記の範囲に設定した理由について説明する。PbのSrによる置換量xを0≦x≦0.14としたのは、Pbの一部をSrで置換することによりキュリー温度を高く維持できるからである。また、PbのBaによる置換量yを0≦y≦0.14としたのは、Pbの一部をBaで置換することによりキュリー温度を高く維持でき、高い圧電歪定数d33を得ることができるからである。
さらに、PbのBiによる置換量zを0<z≦0.015としたのは、この範囲内ならば、焼成時にBiが液相を形成し、PZT系結晶の結晶粒子を濡らし、焼結性を向上できるとともに、焼結後は、PZT系結晶内にBiが固溶し、圧電特性を向上できるためである。
また、Tiの(Zn1/3α2/3)による置換量aを0.01≦a≦0.12としたのは、大きな圧電歪定数d33および圧電出力定数g33が得られ、キュリー温度を高く維持し、誘電損失を小さく維持できるからである。本発明の圧電磁器組成物を圧電アクチュエータとして用いる場合には、0.05≦a≦0.12とすることにより大きな圧電歪定数を得ることができ、圧電センサとして用いる場合には0.01≦a≦0.05とすることにより大きな圧電出力定数g33を得ることができる。
PZTを主成分とした圧電磁器組成物は、PbZrOとPbTiOの固溶比率を変化させると圧電歪定数の極大値を示すMPB(組成相境界)が存在する。圧電アクチュエータ材料としては、このMPB及びその近傍の組成値を用いることになる。このMPBはx、aの量により変化するため、bの値はx、aの組成範囲内でMPBを捉えうる組成範囲とした。
圧電磁器の密度は7.7g/cm以上とされている。特には、7.8g/cm以上が望ましい。なお、本発明では、積層体の嵩密度を圧電磁器の密度とした。
本発明の積層型電子部品では、内部電極層が金属成分としてAgを主成分とし、Pdの含有比率が5質量%以下である。特には、金属成分はAgからなることが望ましい。Agを主成分とし、Pdの含有比率が5質量%以下の内部電極層は、920〜960℃で焼成しなければならないため、圧電磁器も920〜960℃で焼結し、圧電磁器の密度が7.7g/cm以上ある必要がある。内部電極層として、セラミック粒子が存在する場合がある。
以上のように構成された積層型電子部品は以下のようにして作製することができる。先ず、SbおよびNbのうち少なくとも一種と、Pb、Zr、Ti、Znとを含有し、かつCukα線を用いたX線回折測定においてチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の(101)のピーク(2θ≒30°)のピーク強度をIとし、(111)のピーク(2θ≒38°)のピーク強度をIとした時、I/Iが0.130〜0.160となる仮焼粉末を作製する。
具体的には、例えば、原料としてPbO、ZrO、TiO、SrCO、BaCO、ZnO、Sb、Nbの各粉末を秤量混合し、次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、850〜950℃で1〜3時間仮焼する。仮焼後において、I/Iが0.130〜0.160となるようにした。再びボールミル等で粉砕し、例えば、平均粒径D50が0.5〜0.7μmの範囲になるようにする。
/Iを0.130〜0.160としたのは、I/Iが0.130〜0.160の範囲内ならば、Bi添加により焼結性が向上し、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の合成が進行するとともに、Biが焼結に伴う粒成長と同時にチタン酸ジルコン酸鉛系結晶に取り込まれ、920〜960℃の焼結温度範囲においては液相成分が残存せずに焼結するためである。一方、I/Iが0.130よりも小さい場合には、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の合成が不十分であり、Bi粉末を添加し焼成したとしても、焼結性を向上できないからである。また、I/Iが0.160よりも大きい場合には、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の合成が進みすぎ、Bi粉末を添加し焼成したとしても、結晶内に固溶し難くなるからである。
ここで、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の合成程度を表す指標として、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の(101)のピーク(2θ≒30°)のピーク強度I、(111)のピーク(2θ≒38°)のピーク強度Iを用いたのは、他のピークは、仮焼温度により結晶相が変化するに伴い、ピーク位置やパターン形状が変化するからであり、(101)のピーク(2θ≒30°)と、(111)のピーク(2θ≒38°)は、そのようなことがなく、合成度を表すには最適と考えられたからである。
この後、仮焼粉末に対して、例えばD50が0.5〜0.7μmのBi粉末、バインダを添加し混合した後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製する。Bi粉末の添加量は、仮焼粉末に対するBiの添加量は、ABOの化学式で書き表されるチタン酸ジルコン酸鉛系結晶のAサイトPb1−x−y−zSrBaBiの組成表記で表したときのBiのモル数が0.015モルに相当する量以下のBiを添加することが望ましい。
一方、金属成分としてAg主成分とし、Pdの含有比率が5質量%以下である内部電極ペーストを作製する。内部電極ペースト中には、共材としてセラミック粒子を混合する場合がある。
この内部電極ペーストをグリーンシートに塗布して内部電極パターンを形成する。
この内部電極パターンが形成されたグリーンシートを複数積層し、最後に内部電極パターンが形成されていないグリーンシートを積層して積層成形体を作製し、この積層成形体を、大気中で920〜960℃で焼成する。これにより、圧電磁器中のチタン酸ジルコン酸鉛系結晶内にBiが固溶する。
このような積層型電子部品の製法では、920〜960℃の低温で焼成したとしても、Biが液相を形成し、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子を濡らし、焼結性を向上できるとともに、焼結後には、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶内にBiがほぼ完全に固溶するため、圧電磁器がチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子からなるとともに、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相およびチタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が実質的に存在せず、圧電特性を向上できる。
従来、低温焼成するため、液相を形成するLiやB等を添加しており、低温焼成はできるものの、PZT系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相やPZT系結晶以外の結晶相が存在し、絶縁抵抗が経時的に低下したり、圧電特性が低下していた。本発明では、液相を形成するBiを用い、焼成時には液相を形成して焼結性を向上させ、7.7g/cm以上の密度を得ることができ、焼結後には、ほぼ完全にPZT系結晶に固溶して、PZT系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相やPZT系結晶以外の結晶相が存在しないことになり、圧電特性を向上できる。これにより、圧電磁器の絶縁抵抗値が85℃で100MΩ以上となり、連続駆動時の絶縁劣化を抑制できる。
以下、本発明を次の実施例で説明する。原料粉末としてPbO、ZrO、TiO、SrCO、BaCO、ZnO、Sb、Nbの粉末を用いて、表1のa〜hの組成に秤量し、ボールミルにて24時間湿式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、表1に示す仮焼温度で3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミルで24時間湿式粉砕し、D50が0.5〜0.7μmの仮焼粉末を得た。この仮焼粉末について、Cukα線を用いたX線回折測定においてチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の(101)のピーク(2θ≒30°)のピーク強度をIとし、(111)のピーク(2θ≒38°)のピーク強度をIとした時、I/Iを求め、表1に記載した。
なお、表1の仮焼粉末の種類の欄のaの組成は、Pb0.92Ba0.07(Zn1/3Sb2/30.105Zr0.434Ti0.461、bの組成は、Pb0.925Ba0.07(Zn1/3Sb2/30.105Zr0.434Ti0.461、cの組成は、Pb0.915Ba0.07(Zn1/3Sb2/30.105Zr0.434Ti0.461、dの組成は、Pb0.914Ba0.07(Zn1/3Sb2/30.105Zr0.434Ti0.461、eの組成は、Pb0.92Ba0.07(Zn1/3Nb2/30.105Zr0.434Ti0.461、fの組成は、Pb0.92Ba0.07(Zn1/3Sb2/30.07(Zn1/3Nb2/30.035Zr0.434Ti0.461、gの組成は、Pb0.93Sr0.04Ba0.02(Zn1/3Sb2/30.0755Zr0.460Ti0.465、hの組成は、Pb0.92Ba0.07(Zn1/3Sb2/30.105Zr0.434Ti0.461である。
図2に、表1の試料No.1〜5について、仮焼温度に対するI/Iを記載し、図3に、表1の試料No.1〜5について仮焼温度を変化させた場合の仮焼粉末のX線回折測定結果を記載した。
その後、D50が0.5〜0.7μmのBi粉末を、表1に示す量だけ添加し(ABOの化学式で書き表されるチタン酸ジルコン酸鉛系結晶のAサイトPb1−x−y−zSrBaBiの組成表記で表したときのBiのモル数に相当する量をBiに換算して添加)、これに有機バインダを混合しドクターブレード法により30μm厚みのグリーンシートを作製した。このグリーンシートに、AgとPdからなり、Pdの含有比率が表1に示す量の内部電極ペーストをスクリーン印刷し、内部電極ペーストが印刷されたグリーンシートを15枚重ねた後、最後に内部電極ペーストが塗布されていないグリーンシートを積層し、積層成形体を作製した。
その後、脱バイし、表1の焼成温度で3時間大気中で焼成し、冷却して、両端面に内部電極が交互に露出した積層体を作製した。その後、積層体の両端面に外部電極を形成した後、分極して積層型電子部品としての積層圧電アクチュエータを得た。圧電体層の1層の厚み(電極間の厚み)は25μmであった。
圧電磁器の嵩密度については、積層体についてアルキメデス法により求めた。図4に、試料No.3について焼成温度に対する嵩密度を記載した。また、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界に、非晶質相が存在するか否か、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が存在するか否かについて調査した。
圧電磁器中の非晶質相の有無については、圧電磁器の破断面および鏡面部分をエネルギー分散型X線分光分析(EDS)および電子線回折により結晶粒子の任意の10箇所の3重点に非晶質相を構成するBiリッチの部分が見られない場合を非晶質相が無いと判断した。
また、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界に、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が存在するか否かについては、圧電磁器のCukα線を用いたX線回折測定において、PZT系結晶ピーク以外の他の結晶によるピークが実質的に存在しない場合を無しと判断した。図5に、試料No.1のX線回折測定結果を、図6に、試料No.3のX線回折測定結果を記載した。
圧電磁器の絶縁抵抗の劣化試験については、85℃の恒温槽の中で、積層型電子部品に2kV/mmの直流電界を付与して、積層型電子部品の初期の絶縁抵抗を測定し、100時間後における85℃の絶縁抵抗値とともに表1に記載した。
圧電特性については、分極後100℃でエージング処理をした後、d33メータを用いて(積層圧電体に弱い振動を与え、圧電効果により発生した電荷を評価)、積層型電子部品の圧電歪定数d33を求め表1に記載した。また、図7に試料No.3の焼成温度に対する圧電歪定数d33を記載した。
Figure 0005597368
Figure 0005597368
表1、2から、積層体の嵩密度が7.7g/cm以上で、PZT系結晶の結晶粒子の粒界に、非晶質相およびPZT系結晶以外の結晶相が実質的に存在せず、内部電極層が、金属成分としてAgを主成分とし、Pdの含有比率が5質量%以下の本発明の試料では、積層型電子部品の初期の絶縁抵抗が3GΩ以上であり、85℃で100時間経過後においても絶縁抵抗の経時劣化が小さく、圧電歪定数d33が603p・m/V以上であり、比誘電率が3500以上の特性を有することがわかる。
これに対して、I/Iが0.130よりも小さい比較例の試料No.1では、嵩密度が小さく、PZT系結晶以外の結晶相が存在し、積層型電子部品の初期の絶縁抵抗が小さく、圧電特性を低いことがわかる。
また、I/Iが0.160よりも大きい比較例の試料No.5では、PZT系結晶の結晶粒子の粒界に、非晶質相およびPZT系結晶以外の結晶相が存在し、積層型電子部品の絶縁抵抗が小さく、圧電特性が低いことがわかる。
さらに、Bi粉末の添加量が多く、PZT系結晶の結晶粒子の粒界に、PZT系結晶以外の結晶相が存在する比較例の試料No.8では、積層型電子部品の絶縁抵抗の経時劣化が大きく、圧電歪定数d33が低いことがわかる。
1・・・圧電体層
3・・・内部電極層
5・・・積層体
7・・・外部電極

Claims (3)

  1. 圧電磁器中に内部電極層を有する積層型電子部品であって、前記圧電磁器が、SbおよびNbのうち少なくとも1種類と、Pb、Zr、Ti、ZnおよびBiとを含有するチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子からなり、前記Biの含有量が、ABOの化学式で表される前記チタン酸ジルコン酸鉛系結晶のAサイトの前記Biによる置換量に換算して0.015以下であるとともに、前記チタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子の粒界には、非晶質相および前記チタン酸ジルコン酸鉛系結晶以外の結晶相が実質的に存在せず、かつ密度が7.7g/cm以上であり、前記内部電極層が、金属成分としてAgを主成分とすることを特徴とする積層型電子部品。
  2. 前記内部電極層の前記金属成分におけるPdの含有比率が、5質量%以下であることを
    特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。
  3. SbおよびNbのうち少なくとも1種類と、Pb、Zr、TiおよびZnとを含有し、かつCukα線を用いたX線回折測定においてチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の(101)のピーク(2θ≒30°)のピーク強度をIとし、(111)のピーク(2θ≒38°)のピーク強度をIとした時、I/Iが0.130〜0.160となる仮焼粉末を作製する工程と、該仮焼粉末に対して、Bi粉末を添加し混合して作製したスラリーをシート状に成形してグリーンシートを作製する工程と、該グリーンシートに、金属成分としてAg主成分とする内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成する工程と、該内部電極パターンが形成されたグリーンシートを複数積層して積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を大気中で920〜960℃で焼成することにより、チタン酸ジルコン酸鉛系結晶内にBiを固溶させ、SbおよびNbのうち少なくとも1種類と、Pb、Zr、Ti、ZnおよびBiとを含有するチタン酸ジルコン酸鉛系結晶の結晶粒子からなる圧電磁器中に内部電極層を有する積層体を製造する工程とを具備することを特徴とする積層型電子部品の製法。
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