JP5594183B2 - 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法及び燐酸肥料用原料 - Google Patents

製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法及び燐酸肥料用原料 Download PDF

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Description

本発明は、製鋼精錬工程において発生する溶銑の脱燐スラグや転炉脱炭精錬スラグなどの燐を含有する製鋼スラグから鉄及び燐を回収し、鉄及び燐の回収された製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程にリサイクルするとともに、回収した鉄及び燐を資源として有効活用するための、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法に関し、並びに、この回収方法によって製鋼スラグから回収される燐酸肥料用原料に関する。
鉄鉱石の成分に起因して、高炉で溶製される溶銑(「高炉溶銑」とも呼ぶ)には燐(P)が含有される。燐は鋼材にとって有害成分であるので、従来から、鉄鋼製品の材料特性向上のために、製鋼工程において脱燐処理が行われている。この脱燐処理においては、溶銑中或いは溶鋼中の燐は、一般的に、酸素ガスや酸化鉄などの酸素源によって酸化されてP25となり、その後、生成したP25がCaOを主成分とするスラグ中へと固定されることによって除去されている。溶銑中或いは溶鋼中の燐を酸素ガスによって酸化する際には鉄も酸化され、酸素源として酸化鉄を使用しない場合であっても、スラグ中には鉄も酸化鉄の形態で含有される。尚、溶銑の予備脱燐処理とは、溶銑を転炉にて脱炭精錬する前に、予め溶銑中の燐を除去する処理のことである。
ところで、燐鉱石の枯渇問題や、中国、アメリカなどの燐鉱石の囲い込みのために、燐資源が高騰しており、鉄鋼精錬工程において発生する製鋼スラグ中の燐が貴重な燐資源として見直されている。しかしながら、高炉から出銑される溶銑中の燐濃度は0.1質量%程度であるため、従来の一般的な溶銑の予備脱燐処理や転炉脱炭精錬で生成される製鋼スラグ中のP25濃度は高々5質量%程度であり、燐酸資源としての活用先がほとんど無く、これらの製鋼スラグは、従来、路盤材などの土工用材料などとして鉄鋼製造工程の系外に排出されており、スラグ中の燐及び鉄は回収されることはなかった。
近年、環境対策及び省資源の観点から、製鋼スラグのリサイクル使用を含めて、製鋼スラグの発生量を削減することが実施されている。例えば、予備脱燐処理された溶銑の転炉脱炭精錬において発生したスラグ(転炉脱炭精錬において発生するスラグを「転炉スラグ」という)を、造滓剤用のCaO源及び鉄源として、鉄鉱石の焼結工程を経て高炉にリサイクルすることや、溶銑予備処理工程のCaO源としてリサイクルすることなどが行われている。
予備脱燐処理された溶銑(「脱燐溶銑」ともいう)、特に鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理された脱燐溶銑の転炉脱炭精錬において発生する転炉スラグは、燐をほとんど含有せず、このスラグを高炉へリサイクルすることに起因する溶銑の燐濃度の増加(ピックアップ)を危惧する必要はない。しかしながら、予備脱燐処理時に発生するスラグや、予備脱燐処理されていない溶銑(「通常溶銑」ともいう)或いは予備脱燐処理されていても脱燐処理後の燐濃度が鉄鋼製品の燐濃度レベルまで低下していない脱燐溶銑の転炉脱炭精錬で発生する転炉スラグのように、燐を含有するスラグでは、高炉に酸化物の形態でリサイクルされた燐が、高炉内で還元されて溶製される溶銑の燐含有量を増加させ、その結果、溶銑からの脱燐の負荷が増加するという悪循環に陥る。
そこで、燐を含有する製鋼スラグのリサイクルについては、特に還元精錬を伴う工程へのリサイクルについては、溶銑での燐濃度のピックアップを防止するべく、製鋼スラグから燐を除去する方法或いは製鋼スラグ中の燐を回収する方法など、種々の提案がなされている。尚、予備脱燐処理などの酸化精錬へのリサイクルの場合にも、脱燐剤としての機能が既に燐を含有することから損なわれ、リサイクルされる量は限られる。
例えば、特許文献1には、クロム鉱石の溶融還元製錬工程と、該溶融還元製錬によって溶製された含クロム溶銑の転炉脱炭精錬工程との組み合わせによってステンレス溶鋼を溶製する際に、前記含クロム溶銑の脱燐処理により発生した脱燐スラグに炭材を加えて加熱し、脱燐スラグに気化脱燐処理を施し、気化脱燐処理後の脱燐スラグを前記溶融還元製錬工程にリサイクルする技術が開示されている。
特許文献2には、燐を含有する溶融または半溶融状態の製錬スラグに炭材を添加して、減圧下で酸素を上吹きして、スラグ中の燐を気化除去する技術が開示されている。
特許文献3には、溶融状態の高炉スラグと、溶融状態の転炉スラグとを混合し、この混合スラグ中に、炭素、珪素、マグネシウムの1種以上を添加すると同時に、酸素ガスを吹き込んで、混合スラグ中の燐酸化物を還元して燐蒸気とし、且つ、混合スラグ中の硫黄をSO2とし、これらを揮発させて燐及び硫黄の少ないスラグとし、このスラグを高炉または転炉にリサイクルする技術が開示されている。
特許文献4には、脱燐スラグに炭材を添加し、1450℃以上1700℃未満に加熱してスラグ中の燐を溶銑側へ除去・回収し、脱燐スラグを再生する技術が開示されている。
また、特許文献5には、アルカリ金属炭酸塩を主成分とする造滓剤を用いた、溶銑または溶鋼の脱燐処理で生成する脱燐スラグを、水及び炭酸ガスで処理してアルカリ金属リン酸塩を含む抽出液を得て、該抽出液にカルシウム化合物を添加して、燐を燐酸カルシウムとして析出させて分離回収する技術が開示されている。
特開2004−143492号公報 特開平9−316519号公報 特開昭55−97408号公報 特開2002−69526号公報 特開昭56−22613号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、脱燐スラグは、燐が気化脱燐により除去されてリサイクル可能となるが、気化脱燐した燐は回収されておらず、燐資源の確保という観点からは効果的なリサイクル方法とはいえない。同様に、特許文献2でも、燐を資源として回収することができないうえに、減圧が必要であり設備費も高くなる。
特許文献3では、燐含有スラグである転炉スラグに、転炉スラグとほぼ同量の高炉スラグを混合させているが、近年、高炉スラグは、廃棄物ではなく、土木・建築資材として利用価値の高い資源と位置づけられており、このような高炉スラグを転炉スラグの希釈用として使用することは経済的には不利である。
特許文献4は、スラグ中の燐を溶銑側へ回収する段階までの開示はなされているものの、その後、溶銑中に回収・濃化した燐をどのように処理するかまでは言及していない。
また、特許文献5は湿式処理であり、湿式処理の場合、処理に必要な薬品が高価であるのみならず、大掛かりな処理設備が必要であり、設備費及び運転費ともに高価となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、脱燐スラグや転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグを製銑工程及び製鋼工程にリサイクルするにあたり、該スラグの含有する燐の溶銑及び溶鋼への影響を防止するべく、前記製鋼スラグから予め燐及び鉄を安価に回収するとともに、回収した燐及び鉄をそれぞれ資源として有効活用することのできる、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法を提供することであり、更にこの回収方法によって製鋼スラグから回収される燐酸肥料用原料を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 転炉での溶銑の脱炭精錬において発生したスラグ及び溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して、燐を0.5質量%以上且つマンガンを0.5質量%以上含有する高燐高マンガン銑鉄を回収する第1の工程と、前記第1の工程の還元処理によって燐含有量が低下したスラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第2の工程と、前記第1の工程で回収した高燐高マンガン銑鉄を、媒溶剤としてフッ素化合物を用いることなく処理後のスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が0.5以上1.0以下となるようにCaO源及び酸素源を供給して、処理後の溶銑中マンガン濃度が0.4質量%以下となるまで脱マンガン処理する第3の工程と、前記第3の工程の脱マンガン処理により生成したスラグを、脱マンガン処理で使用した処理容器から排出する第4の工程と、前記第4の工程により、脱マンガン処理時に生成したスラグが処理容器から排出された後の処理容器内の溶銑に対して、脱燐反応に必要とする酸素ガス換算の全酸素源のうちの40体積%以上の酸素ガスを上吹きランスから溶銑に吹き付けて供給するとともに、脱燐反応に必要とするCaO源のうちの40質量%以上のCaO源を前記上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑に吹き付けて供給し、処理後の溶銑中燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理する第5の工程と、前記第5の工程により溶銑中燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理された溶銑を製鋼工程にリサイクルする第6の工程と、前記第5の工程の脱燐処理で生成したスラグを回収して燐酸資源原料とする第7の工程と、を有することを特徴とする、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(2) 前記第1の工程における還元処理前の製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.6〜3.0であることを特徴とする、上記(1)に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(3) 前記第1の工程で回収する高燐高マンガン銑鉄が炭素を3質量%以上含有することを特徴とする、上記(1)または上記(2)に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(4) 前記第4の工程により、処理容器から排出されたスラグを回収し、回収したスラグを溶銑の転炉脱炭精錬でのマンガン源としてリサイクルすることを特徴とする、上記(1)ないし上記(3)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(5) 前記第7の工程で回収するスラグの燐酸(P25)濃度が15質量%以上、マンガン酸化物濃度が10質量%以下であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(4)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(6) 前記第7の工程で回収するスラグの燐酸(P25)濃度が15質量%以上、マンガン酸化物濃度が8質量%以下であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(4)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(7) 前記第7の工程で回収するスラグ中の主要な燐含有化合物がCa3(PO4)2であり、該Ca3(PO4)2はMnO及びFeOを固溶していないことを特徴とする、上記(1)ないし上記(6)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(8) 前記第2の工程におけるスラグのリサイクル先が、鉄鉱石の焼結工程または高炉での溶銑製造工程であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(7)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(9) 前記第2の工程におけるスラグのリサイクル先が、製鋼精錬工程における溶銑の予備脱燐処理または転炉での溶銑の脱炭精錬であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(7)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(10) 前記第1の工程で回収した高燐高マンガン銑鉄と高炉から出銑された溶銑とを混合して混合した後の溶銑の燐濃度を0.5〜2.0質量%、マンガン濃度を2.0質量%以下に調整し、その後、前記第3の工程から前記第7の工程までを行うことを特徴とする、上記(1)ないし上記(9)の何れか1つに記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(11) 上記(1)ないし上記(4)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法における第7の工程で回収されたスラグからなる燐酸肥料用原料であって、該燐酸肥料用原料中の燐酸(P25)濃度が15質量%以上、マンガン酸化物濃度が10質量%以下であり、且つ、燐酸肥料用原料中の主要な燐含有化合物がCa3(PO4)2であることを特徴とする、燐酸肥料用原料。
本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理時に発生する脱燐スラグ及び転炉での溶銑の脱炭精錬において発生する転炉スラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物、燐酸化物、マンガン酸化物を、高燐高マンガン銑鉄として還元・回収し、燐含有量の低下した製鋼スラグは製銑工程または製鋼工程におけるCaO源としてリサイクルし、一方、回収した高燐高マンガン銑鉄は、脱マンガン処理によってマンガン濃度を低下した後に燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理し、該脱燐処理後の溶銑は鉄源として製鋼工程に供給し、高燐高マンガン銑鉄の脱燐処理時に生成するスラグは、燐資源として回収するに十分な程度にまで燐酸化物が濃縮されて燐資源として有効利用できるので、溶銑の燐濃度を上昇させる或いは脱燐剤としての機能を損なうなどの弊害をもたらすことなく、燐を含有していた製鋼スラグの製銑工程または製鋼工程へのリサイクルが実現され、同時に、製鋼スラグに含有される鉄、マンガン及び燐をそれぞれ資源として有効活用することが実現される。
高燐高マンガン銑鉄の脱燐試験で使用した脱燐処理設備の概略図である。 水準14の脱燐処理後に得られるスラグの化合物組成をX線回折によって同定した結果を示す図である。 水準15の脱燐処理後に得られるスラグの化合物組成をX線回折によって同定した結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、溶銑の予備脱燐処理時に発生する脱燐スラグや、転炉での溶銑の脱炭精錬において発生する転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグ(「燐含有製鋼スラグ」とも呼ぶ)を、脱燐剤(P25を固定するためのCaO)や造滓剤としてのCaO源として製銑工程または製鋼工程でリサイクル使用するに際し、製鋼スラグに含有される燐は高炉の還元雰囲気下では還元されて溶銑に移行し、溶銑中の燐濃度が上昇することから、先ず、この製鋼スラグに含有される燐の、高炉から出銑される溶銑への影響を解消することを検討した。つまり、リサイクルする前に製鋼スラグから燐を除去する方法を検討した。
燐含有製鋼スラグには、燐はP25なる酸化物で含有されており、また、一般的に製鋼スラグはCaO及びSiO2を主成分としており、燐は、カルシウム(Ca)及び珪素(Si)に比較して酸素との親和力が弱いことから、燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどで還元すれば、燐含有製鋼スラグ中のP25は容易に還元されることが分かった。この場合、燐含有製鋼スラグには、鉄がFeOやFe23の形態の酸化物(以下、まとめて「FeXO」と記す)で含有されており、これらの鉄酸化物は酸素との親和力が燐と同等であるので、燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどで還元すると、同時に製鋼スラグ中のFeXOも還元される。更に、製鋼スラグにはマンガンがMnOやMn23の形態の酸化物(以下、まとめて「MnXO」と記す)で含有されており、マンガン酸化物も酸素との親和力が鉄や燐と同等であることから、製鋼スラグ中のMnXOも同時に還元される。
燐やマンガンは鉄中への溶解度が高く、還元により生成した燐やマンガンは、還元により生成した鉄に迅速に溶解する。ここで、本発明は、燐含有製鋼スラグから燐を除去して燐含有量の低い製鋼スラグに改質することを目的としており、還元により生成した燐を製鋼スラグと迅速に分離するには、還元により生成した鉄が溶融状態になるように、高温下で還元することが望ましいことが分かった。つまり、還元により生成した鉄が溶融状態であれば、溶融した鉄はスラグと分離しやすく、還元によって生成した鉄の製鋼スラグからの分離が促進される。また、この溶融鉄に、生成した燐が溶解することで、燐の製鋼スラグからの分離も迅速化する。製鋼スラグを溶融状態にした場合には、燐を含有する鉄との分離が更に促進される。
この場合、生成される溶融鉄の融点が低いほど、溶融鉄とスラグとの分離が促進されることから、生成される溶融鉄に炭素を溶解させ、溶融鉄として溶銑を生成させることが好ましいことも分かった。具体的には、溶融鉄の炭素濃度が3質量%以上になると、溶融鉄つまり溶銑の液相線温度は1300℃以下となることから、生成される溶融鉄の炭素濃度を3質量%以上確保することが好ましい。生成される溶融鉄に炭素を溶解させるには、炭素を還元剤として使用する、または、珪素やアルミニウムなどを還元剤とする場合には、炭素を製鋼スラグと共存させることにより、生成する溶融鉄は浸炭して自ずと燐やマンガンを高濃度で含有する溶銑(この溶銑を高炉溶銑と区別するために「高燐高マンガン溶銑」と呼ぶ)になる。
また、更なる調査により、製鋼スラグの還元処理においては、還元処理前の製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)も燐やマンガンの還元反応に影響することが分かってきた。一般的な転炉スラグの塩基度は3.0〜5.0程度であり、予備脱燐スラグの塩基度は、通常1.2〜2.5程度であり、最大でも3.0以下である。還元処理に供する製鋼スラグの塩基度が3.0より高い場合には、スラグの融点が高いために、1550℃以上の還元処理温度が必要であり、更には還元後の鉄とスラグとの分離も困難になってくることが分かった。高温での還元処理は炉体への負荷が大きくなることから、従って、塩基度が3.0より高い製鋼スラグの場合には、還元処理に供する製鋼スラグの塩基度が平均値で3.0以下となるように、転炉スラグと予備脱燐スラグとを混合することが好ましい。一方、製鋼スラグの塩基度が低いほど、還元処理温度を低くできることが分かったが、製鋼スラグの塩基度が低い場合には、製銑工程や製鋼工程にリサイクルした場合に、CaO源としての価値が低くなるため、還元処理に供する製鋼スラグの塩基度は平均値で1.6以上であることが好ましい。
還元処理後の製鋼スラグは、燐の含有量が低下しており、溶銑の燐濃度の上昇を招くことなく、脱燐剤や造滓剤のCaO源として製銑工程及び製鋼工程でのリサイクル使用が可能となる。尚、上記の還元処理調査実験は、ロータリーキルン型の処理容器で行ったが、処理容器としては、製鋼スラグに熱を与えて還元処理できるものであればどのようなものでも構わない。ロータリーキルンの他には、例えば、アーク加熱方式の電気炉や、バーナー或いは酸素による加熱装置を有する転炉や鍋型の処理容器、誘導加熱炉、RHF形式の処理容器などが挙げられる。
ところで、一般的に、燐含有製鋼スラグ中の燐と鉄との質量比(質量%P/質量%Fe)は0.005〜0.075であり、一方、マンガンと鉄との質量比(質量%Mn/質量%Fe)は0.005〜0.15程度であるので、還元後の溶融鉄(高燐高マンガン溶銑)には燐が0.5〜7.5質量%、マンガンが0.5〜15質量%程度含有される。これに対して、現在、高炉から出銑される高炉溶銑の燐含有量は0.1質量%程度である。従って、燐濃度が0.5〜7.5質量%程度の高燐高マンガン溶銑を、燐濃度が0.1質量%程度の高炉溶銑のレベルまで脱燐できない場合には、前記高燐高マンガン溶銑の利用は限られたものとなり、場合によっては製鉄用鉄源として利用できないことも起こり得る。
そこで、高炉溶銑を、合金鉄の添加によって、燐濃度が4.0質量%でマンガン濃度が4.0質量%(水準A)、燐濃度が3.0質量%でマンガン濃度が3.0質量%(水準B)、燐濃度が2.0質量%でマンガン濃度が2.0質量%(水準C)、燐濃度が0.5質量%でマンガン濃度が0.5質量%(水準D)の4水準に調整し、この成分調整した高炉溶銑を高燐高マンガン溶銑の代替として使用し、現在、高炉溶銑の予備脱燐処理に使用されている脱燐処理設備を用いて脱燐試験を実施した。
図1に、脱燐試験で使用した脱燐処理設備の概略図を示す。図1において、符号1は、脱燐処理設備、2は溶銑、3はCaO系脱燐剤または酸化鉄若しくはCaO系脱燐剤と酸化鉄との混合物、4は、CaO系脱燐剤、5は溶銑鍋、6は台車、7は上吹きランス、8はインジェクションランス、9は貯蔵タンク、10は貯蔵タンク、11はホッパー、12は原料搬送装置、13はシュート、14は生成スラグであり、燐及びマンガンの濃度が調整された溶銑2を収容した溶銑鍋5が、台車6に積載されて脱燐処理設備1に搬入されている。脱燐処理設備1には、溶銑鍋5の内部を上下移動可能な、上吹きランス7及びインジェクションランス8が設置されており、上吹きランス7からは、酸素ガス及びこの酸素ガスを搬送用ガスとして粉状のCaO系脱燐剤4が上吹きランス7の先端から溶銑2に吹き付けられ、また、インジェクションランス8からは、窒素ガスや空気などを搬送用ガスとしてCaO系脱燐剤や酸化鉄などが溶銑2に吹き込まれる(インジェクション)ように構成されている。更に、ホッパー11と、原料搬送装置12と、シュート13とからなる原料供給設備が設置されており、この原料供給設備を用いて、ホッパー11に収容された、CaO系脱燐剤または酸化鉄若しくはCaO系脱燐剤と酸化鉄との混合物が溶銑鍋5の内部に上置き添加できるように構成されている。
この脱燐処理設備を用い、溶銑鍋内の200トンの溶銑に対して、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けると同時に、CaO源として粉状CaO系脱燐剤を吹き付け、一方、インジェクションランスからは窒素ガスを搬送用ガスとして粉状CaO系脱燐剤を吹き込み、燐濃度及びマンガン濃度を調整した高炉溶銑の脱燐処理を行った。尚、CaO系脱燐剤としては生石灰(CaO純分:95質量%程度)のみを使用し、ホタル石などのフッ素化合物を混合しないものである。また、処理後の溶銑温度は1270〜1400℃の範囲内に調整した。実験における主な結果を表1に示す。
Figure 0005594183
表1に示すように、何れの水準においても投入する酸素原単位及びCaO系脱燐剤原単位を制御することで、処理後の溶銑中燐濃度は0.10質量%以下まで脱燐されることが分かった。この燐濃度であれば高炉溶銑と何ら遜色なく、製鋼用の鉄源として使用可能である。
一方、脱燐処理後のスラグ組成に着目すると、スラグ中のP25濃度は何れの水準でも高く、19〜26質量%にも濃縮されることが確認できた。しかし、脱燐処理と同時に脱マンガン反応も起こるため、スラグ中のMnXO濃度も比較的高位の14〜16質量%まで濃縮された。当該スラグを回収し、燐資源として活用する場合、MnXO濃度が高いために相対的にP25濃度が低下し、付加価値が下がることや、例えば燐酸肥料としてこのスラグを活用する場合には、MnXO濃度が高いために農作物の成長を阻害することが肥料試験により明らかとなった。
本発明者らは、回収したスラグを燐資源として活用すべく、高P25低MnXOのスラグを得るための方法について引き続き検討した。スラグ中のP25は、本来不安定なため、CaO源(CaO系脱燐剤)を添加することで3CaO・P25(Ca3(PO4)2)の形態でスラグ中に存在しうる。一方、MnXOは、CaO源を添加せずともMnXOとしてスラグ中に存在できる。従って、本発明者らは、先ず、高燐高マンガン溶銑に、CaO源を添加しないで、或いはスラグの塩基度を調整する程度の少量のCaO源を添加しながら酸素源を供給して事前に脱マンガン処理を行い、脱マンガン処理で生成した高MnXO濃度のスラグを排出した後に、更に、溶銑に対してCaO源(CaO系脱燐剤)と酸素源とを供給して脱燐処理を行い、スラグ中のP25を濃縮させることで、高P25低MnXOスラグが得られるのではないかと考え、脱マンガン処理とその後の脱燐処理とを組み合わせた実験を行った。
実験は図1に示した脱燐処理設備を用いて先述の脱燐試験と同様の方法で実施した。即ち、脱マンガン処理時は上吹きランスより酸素ガスを溶銑に吹き付け、窒素ガスを搬送用ガスとしてインジェクションランスから、スラグの塩基度調整用のCaO源として生石灰を吹き込んだ。また、シュートからの生石灰の上置き添加も併用した。但し、脱マンガン処理時において、生成されるスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が高くなると、脱燐反応が起こるので、脱燐反応を抑制するために、生成されるスラグの塩基度が1.0以下になるように、生石灰の添加量を調整した。脱マンガン処理終了時の溶銑温度は1300〜1500℃の範囲で調整した。尚、この脱マンガン処理においても媒溶剤のCaO源として生石灰のみを使用し、CaO源にホタル石などのフッ素化合物は混合していない。
脱マンガン処理の終了後、生成したスラグを溶銑鍋から排出し、その後、溶銑に対して脱燐処理を行った。
脱燐処理は、上吹きランスから酸素ガス及びCaO源である粉状CaO系脱燐剤を溶銑に吹き付ける(上吹きランスからCaO系脱燐剤などの粉体を溶銑に吹き付けることを「投射」という)とともに、インジェクションランスから窒素ガスを搬送用ガスとして粉状CaO系脱燐剤を吹き込んだ。また、シュートからのCaO系脱燐剤及び酸化鉄の上置き添加も併用した。脱燐処理終了時の溶銑温度は1270〜1400℃に調整した。尚、この脱燐処理においてもCaO系脱燐剤として生石灰のみを使用し、CaO系脱燐剤にホタル石などのフッ素化合物は混合していない。
この実験の脱マンガン処理の結果を表2に示し、その後の脱燐処理の結果を表3に示す。実験水準として水準1〜13まで実施した。
Figure 0005594183
Figure 0005594183
水準1では脱マンガン処理時のコスト低減を狙い、CaO源(生石灰)の添加量が少ない実験を行い、脱マンガン処理後のスラグの塩基度は0.4であった。しかし、水準1では、脱マンガン処理時のスラグの塩基度が低く、スラグの粘性が高くなり、脱マンガン処理中のスラグの噴出が大きかった。スラグが噴出すると鉄歩留まりの悪化や、搬送台車の故障などが懸念されることから、その後の水準2及び水準3では生石灰の添加量を増加して塩基度を高めた。水準2、3では、それぞれ脱マンガン処理後のスラグの塩基度は0.50、0.60であり、この条件であれば、大きなスラグ噴出は発生せず、脱マンガン処理を行うことができた。また、その後の脱燐処理においても溶銑中燐濃度を0.10質量%以下に低減でき、脱燐処理後のスラグのP25濃度は高く、MnXO濃度を低位とすることができた。
水準4では、脱燐処理において酸素ガス比率が36体積%と低くなり、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は0.15質量%と高くなった。溶銑の燐濃度が高いため、この溶銑を製鋼工程で使用する場合には製造コスト増を招く。ここで、酸素ガス比率とは、脱燐反応に必要とする酸素源(酸素ガス、酸化鉄)を酸素ガスに換算し、酸素ガスに換算した全酸素源に対する上吹きランスから供給する酸素ガス量の比率(百分率)である。
水準4において、溶銑の燐濃度が高い理由を種々調査した結果、上吹きランスから供給する酸素ガスによって火点(上吹きランスからの酸素ガスの溶銑浴面での衝突位置)近傍に高温のFeXOが形成され、このFeXOと上吹きランスから供給する粉状のCaO系脱燐剤とが反応して高脱燐効率が得られることが分かった。つまり、効率的な脱燐反応を推進させるには、上吹きランスから供給する酸素ガスの比率を或る程度高くすることが必要であり、水準4では酸素ガス比率が低すぎることが分かった。
この結果を踏まえ、水準5では酸素ガス比率を40体積%として脱燐処理を実施した。その結果、脱燐処理後の溶銑中燐濃度を0.10質量%以下まで低減することができた。この結果から、脱燐処理における酸素ガス比率は40体積%以上が必要であることが確認できた。
水準6では、脱燐処理において上吹きランスからのCaO系脱燐剤の投射比率が33質量%と低く、脱燐処理後の溶銑中燐濃度が0.16質量%と高くなった。ここで、CaO系脱燐剤の投射比率とは、脱燐反応に必要とするCaO系脱燐剤の総添加量に対する上吹きランスから供給するCaO系脱燐剤の添加量の比率(百分率)である。先述したように、燐濃度が0.16質量%の溶銑は高炉溶銑に比較して燐濃度が高く、この溶銑を製鋼工程で使用する場合には製造コスト増を招くことから、製鉄用鉄源として利用することができない。そこで、脱燐反応向上のためには、上吹きランスからの粉状のCaO系脱燐剤の供給を多くする必要があると考え、続く水準7では、上吹きランスからのCaO系脱燐剤の投射比率を40質量%とした。
その結果、水準7では、処理後の溶銑中燐濃度を0.10質量%以下まで低減できた。この結果から、上吹きランスからのCaO系脱燐剤の投射比率を40質量%以上とする必要のあることが確認できた。また、水準7では、脱マンガン処理時に生成するスラグの塩基度を1.00としたが、脱マンガン処理時での脱燐反応は抑制されており、脱マンガン処理時の生成スラグの塩基度を1.0以下に調整することで、脱マンガン処理時の脱燐反応は抑制されることが確認できた。
水準8では脱マンガン処理後の溶銑中マンガン濃度が0.50質量%であった。この溶銑を脱燐処理したところ、処理後の溶銑中燐濃度は0.096質量%まで下がったものの、生成するスラグのMnXO濃度が11.6質量%と高位になった。このスラグを肥料試験に供したところ、農作物の成長阻害が見受けられた。前述した水準3で得られた脱燐処理後スラグのMnXO濃度は8.0質量%であり、この場合には農作物の成長阻害は認められなかった。水準3における脱マンガン処理後の溶銑中マンガン濃度は0.4質量%であったことから、脱マンガン処理後のマンガン濃度を0.4質量%以下とすれば、脱燐処理時に生成されるスラグを燐酸肥料用原料として使用できることが確認できた。
更に、スラグを燐酸肥料用原料として利用する場合でのスラグ中のMnXO濃度の上限を調べた。水準9では、脱マンガン処理後の溶銑を脱燐処理した結果、生成するスラグのMnXO濃度は10.0質量%となった。このスラグを肥料試験に供したところ、わずかではあるが葉の黄化が発生したが、燐酸肥料としての効果は水準3と水準9とで差がなかった。尚、燐酸肥料中のMnXO濃度が高くなると、作物に施用したときに作物に成長障害が現れる可能性がある。これは、燐酸は主要肥料成分であるので、燐酸肥料の施用量は多く、燐酸と同時にマンガンの施用量が多くなるからである。
スラグ中のMnXO濃度の異なる水準3、水準8、水準9のスラグの肥料試験の結果から、MnXO濃度が8.0質量%である水準3では、作物の成長障害は起こらず、燐酸肥料として有効であり、MnXO濃度が10.0質量%である水準9では、わずかな葉の黄化が発生したものの、成長障害はなく、一方、MnXO濃度が11.6質量%である水準8では、作物の成長障害が発生した。
これらの結果から、脱燐処理後のスラグのMnXO濃度が10質量%以下であれば、このスラグを燐酸肥料用原料として利用可能であり、更に、脱燐処理後のスラグのMnXO濃度を8質量%以下とすれば、燐酸肥料としてより好ましいことが確認できた。
水準10は、脱マンガン処理前の溶銑中燐濃度及びマンガン濃度をそれぞれ2質量%に調整し、水準11は、脱マンガン処理前の溶銑中燐濃度及びマンガン濃度をそれぞれ3質量%に調整した試験である。水準10及び水準11ともに、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は0.10質量%以下であり、脱燐処理後のスラグも高P25低MnXOであった。しかし、特に水準11においては、供給する酸素原単位やCaO系脱燐剤原単位が非常に多く、処理時間が長くなることや、処理コストが高くなるという課題も残った。この結果から、脱マンガン処理前の溶銑の燐濃度及びマンガン濃度は2.0質量%以下が望ましい。脱マンガン処理前の溶銑の燐濃度及びマンガン濃度を2.0質量%以下に調整するには、還元処理で得られた高燐高マンガン銑鉄を高炉溶銑と混合すればよい。
水準12では、脱マンガン処理前の溶銑中燐濃度及びマンガン濃度をそれぞれ0.5質量%とし、水準13では、脱マンガン処理前の溶銑中燐濃度及びマンガン濃度をそれぞれ0.3質量%として実験を行った。脱燐処理後に得られるスラグのP25濃度は、水準12では15.3質量%、水準13では13.2質量%であった。肥料試験の結果、水準12では肥料効果が認められたものの、水準13はあまり効果が無かった。これらから、脱燐処理後のスラグのP25濃度は15質量%以上であることが好ましく、そのためには脱マンガン処理前の溶銑中燐濃度は0.5質量%以上であることが必要である。
尚、高炉溶銑の予備脱燐処理に用いられるCaO系脱燐剤は、ホタル石などのフッ素化合物を5質量%程度添加することにより、CaOの滓化が促進されて脱燐反応が促進されることが知られているが、生成される脱燐スラグを、例えば燐酸肥料用原料として使用する場合には、この燐酸肥料用原料からフッ素が溶出し、土壌環境基準に対してフッ素溶出値が問題となる。従って、本発明においてはフッ素化合物を混合しないCaO系脱燐剤を用いて脱燐処理する。また、上記試験においては処理容器として溶銑鍋形状の処理容器を用いたが、酸素ガスと粉状CaO系脱燐剤とを供給できる上吹きランスと、溶銑をガス攪拌するためのインジェクションランス或いは底吹きプラグを備えている処理容器であればどのようなものでも構わない。溶銑鍋以外では、例えば転炉型精錬炉や混銑車などを用いることができる。
また、本発明者らは、本発明の要件を満たす、水準2、3、5、7、10、11、12で脱マンガン処理後に得られた高MnXOスラグを回収し、この高MnXOスラグを製鋼精錬工程における転炉での溶銑の脱炭精錬にリサイクルすることを検討した。
溶銑の脱炭精錬は転炉型処理容器で行われ、脱炭精錬後にRHやLFなどの二次精錬において成分調整を行うのが一般的である。溶鋼のマンガン調整は、二次精錬においてFe−Mn合金鉄や電解Mnを使用して行うが、これらは高価であり、溶製コスト低廉化のために転炉でマンガン鉱石を添加・還元する技術が知られている。本発明者らは、このマンガン鉱石の代替として高MnXOスラグが利用できないかを検討し、試験を行った結果、高MnXOスラグを、従来使用していたマンガン鉱石と何ら遜色無く、マンガン源として転炉でリサイクル使用できることを見出した。マンガン鉱石よりも更に安価な高MnXOスラグを利用することで、より溶製コストを低廉化できる。
また更に、本発明者らは、脱燐処理後のスラグを燐酸肥料用原料として使用する際に、脱燐処理の前に行う脱マンガン処理の肥料効果に及ぼす影響を調査するために、水準14及び水準15の試験を実施した。水準14では、脱マンガン処理を実施した後に引き続き脱燐処理を実施した。水準15は、溶銑のマンガン濃度を、脱マンガン処理を施す必要のない0.1質量%に調整し、脱マンガン処理を実施せずに、脱燐処理のみを実施した。水準14の脱マンガン処理の条件及び結果を表4に示し、水準14及び水準15の脱燐処理の条件及び結果を表5に示す。
Figure 0005594183
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表4、表5に示すように、水準14は、脱マンガン処理前の溶銑中燐濃度を1.0質量%、マンガン濃度を2.0質量%とし、脱マンガン処理を実施した後に脱燐処理を実施した。比較として行った水準15では、処理前の溶銑中燐濃度を1.0質量%、マンガン濃度を0.1質量%とし、脱マンガン処理は実施せず脱燐処理のみを実施した。
これらの脱燐処理後に得られるスラグ中のP25濃度は、水準14では29.7質量%、水準15では30.0質量%であり、ほぼ同等であった。回収したこれらのスラグの肥料成分を調査し、また、これらのスラグを燐酸肥料として用いてコマツナの栽培試験を実施した。更に、これらのスラグの化合物組成をX線回折によって同定した。これらの結果を表6に示す。
Figure 0005594183
スラグ中の肥料成分である2%クエン酸(pH2)溶解性のP25(「ク溶性燐酸」という)濃度は、水準14では28.7質量%、水準15では15.1質量%であり、燐酸含有量に対するク溶性燐酸の割合(燐酸ク溶率)は、水準14では97%、水準15では50%であった。つまり、スラグ中のP25濃度は同等であるものの、脱マンガン処理を実施した水準14は、水準15よりもク溶性燐酸濃度、燐酸ク溶率ともに高かった。
また、コマツナの栽培試験結果でも、水準14のスラグを施用したポットの生体重は水準15スラグを施用したポットよりも重く、水準14では水準15よりも燐酸肥料効果が高いスラグが得られていたことが確認された。
水準14で燐酸ク溶率が優れ且つ燐酸肥料効果の高かった要因を明確にするべく、スラグを構成する主要な化合物組成をX線回折によって同定した結果、図2に示すように、水準14では主要な燐含有化合物がCa3(PO4)2であり、一方、水準15では主要な燐含有化合物が、図3に示すように、MnOやFeOがCa3(PO4)2に固溶したCa19Mn2(PO4)14及びCa9Fe(PO4)7であった。水準14では、Ca19Mn2(PO4)14及びCa9Fe(PO4)7はほとんど同定されなかった。主要な燐含有化合物がCa19Mn2(PO4)14及びCa9Fe(PO4)7の形態では、燐酸ク溶性率が少なくなる。尚、図2は、水準14のスラグのX線回折結果を示し、図3は、水準15のスラグのX線回折結果を示す。
このように、脱燐処理の前に脱マンガン処理を実施することによって、Ca3(PO4)2にMnOやFeOが固溶せず、脱燐処理で生成するスラグの燐含有化合物の少なくとも50質量%以上はCa3(PO4)2となり、燐酸肥料としてより効果の優れるスラグが得られることを見出した。
本発明は、上記試験結果に基づいてなされたものであり、本発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、転炉での溶銑の脱炭精錬において発生したスラグ及び溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して、燐を0.5質量%以上且つマンガンを0.5質量%以上含有する高燐高マンガン銑鉄を回収する第1の工程と、前記第1の工程の還元処理によって燐含有量が低下したスラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第2の工程と、前記第1の工程で回収した高燐高マンガン銑鉄を、媒溶剤としてフッ素化合物を用いることなく処理後のスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が0.5以上1.0以下となるようにCaO源及び酸素源を供給して、処理後の溶銑中マンガン濃度が0.4質量%以下となるまで脱マンガン処理する第3の工程と、前記第3の工程の脱マンガン処理により生成したスラグを、脱マンガン処理で使用した処理容器から排出する第4の工程と、前記第4の工程により、脱マンガン処理時に生成したスラグが処理容器から排出された後の処理容器内の溶銑に対して、脱燐反応に必要とする酸素ガス換算の全酸素源のうちの40体積%以上の酸素ガスを上吹きランスから溶銑に吹き付けて供給するとともに、脱燐反応に必要とするCaO源のうちの40質量%以上のCaO源を前記上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑に吹き付けて供給し、処理後の溶銑中燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理する第5の工程と、前記第5の工程により溶銑中燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理された溶銑を製鋼工程にリサイクルする第6の工程と、前記第5の工程の脱燐処理で生成したスラグを回収して燐酸資源原料とする第7の工程と、を有することを特徴とする。
上記第1の工程の還元処理によって、鉄酸化物、燐酸化物、マンガン酸化物の含有量が低下した製鋼スラグのリサイクル方法としては、[背景技術]の欄での説明のように、鉄鉱石の焼結工程におけるCaO源(造滓剤)として利用し、その後、高炉での溶銑製造工程で装入原料として使用する方法以外に、高炉での溶銑製造工程でのCaO系の造滓剤として直接使用する方法、または、高炉溶銑の予備脱燐処理におけるCaO系脱燐剤として使用する方法、或いは、転炉での溶銑の脱炭精錬工程における造滓剤として使用する方法、更には、高炉溶銑の脱硫処理におけるCaO系脱硫剤として使用する方法などが、好適な例として挙げられる。これ以外の工程であっても、製鉄所における製銑工程及び製鋼工程の生石灰を使用している工程である限り、生石灰の代替として使用可能である。
尚、発生する転炉スラグの全量を本発明の第1の工程の還元処理に供しても構わないが、溶銑の予備脱燐処理において転炉スラグを利用することは省資源の観点からも有効であり、従って、発生した転炉スラグの一部を溶銑の予備脱燐処理におけるCaO源(CaO系脱燐剤)として使用し、この転炉スラグの残部を、第1の工程の還元処理に供することが好ましい。
以上説明したように、上記構成の本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理時に発生する脱燐スラグ及び転炉での溶銑の脱炭精錬において発生する転炉スラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物、燐酸化物、マンガン酸化物を、高燐高マンガン銑鉄として還元・回収し、燐含有量の低下した製鋼スラグは製銑工程または製鋼工程におけるCaO源としてリサイクルし、一方、回収した高燐高マンガン銑鉄は、脱マンガン処理によってマンガン濃度を低下した後に燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理し、該脱燐処理後の溶銑は鉄源として製鋼工程に供給し、高燐高マンガン銑鉄の脱燐処理時に生成するスラグは、燐資源として回収するに十分な程度にまで燐酸化物が濃縮されて燐資源として有効利用できるので、溶銑の燐濃度を上昇させる或いは脱燐剤としての機能を損なうなどの弊害をもたらすことなく、燐を含有していた製鋼スラグの製銑工程または製鋼工程へのリサイクルが実現され、同時に、製鋼スラグに含有される鉄、マンガン及び燐をそれぞれ資源として有効活用することが実現される。
尚、予め鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理が施された溶銑の脱炭精錬時に発生する転炉スラグも、燐の含有量はゼロではなく燐を含有する。従って、この転炉スラグにも本発明を適用することは可能であるが、当該スラグは燐の含有量が低く、そのまま高炉などにリサイクルしても、燐の影響は無視することができ、本発明を適用することにより却ってコスト上昇を招く恐れがある。従って、本発明で対象とする、「燐を含有する製鋼スラグ」とは、その製鋼スラグを高炉などにリサイクルすると溶銑または溶鋼の燐濃度が上昇し、通常の操業に対してコスト上昇を発生させる濃度以上の燐を含有する製鋼スラグである。
高炉から出銑された高炉溶銑をトピードカーで受銑し、トピードカーに収容された高炉溶銑に脱珪処理及び予備脱燐処理を施し、その後、高炉溶銑を溶銑鍋に移し替え、溶銑鍋内の高炉溶銑に機械攪拌式脱硫装置により脱硫処理を施し、この脱硫処理終了後の高炉溶銑を転炉に装入して転炉にて脱炭精錬を施し、かくして、高炉溶銑から溶鋼を溶製する製銑−製鋼工程において本発明を適用した。高炉での出銑から転炉脱炭精錬終了までの高炉溶銑及び溶鋼の化学成分の例を表7に示す。
Figure 0005594183
表7に示すように、脱珪、脱燐後の高炉溶銑には0.050質量%の燐が含有されており、鉄鋼製品の燐濃度レベル(0.015質量%以下)に比較して高く、この高炉溶銑を用いた転炉脱炭精錬により発生する転炉スラグには、0.8質量%程度の燐(P25で1.8質量%程度)が含有される。この転炉スラグを鉄鉱石の焼結工程でのCaO源として使用すると、高炉溶銑の燐の濃化が発生する。そこで、この転炉スラグに本発明を適用する試験を実施した。
200トンの転炉スラグと還元剤としてのコークスとを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって転炉スラグとコークスとを加熱して転炉スラグの還元処理を実施した。投入コークスの量は100kg/t−スラグとし、ロータリーキルンの運転温度は1450〜1550℃に調整した。還元処理後に回収した高燐高マンガン銑鉄は43トンであり、その成分は、C=4質量%、P=3.4質量%、Mn=6.5質量%であった。一方、還元後に150トンのスラグが回収された。還元処理前と還元処理後のスラグ組成を表8に示す。
Figure 0005594183
還元処理後のスラグを鉄鉱石の焼結工程において造滓剤用のCaO源として使用し、製造した焼結鉱を鉄源として高炉に装入し、高炉溶銑を製造した。溶製された高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度で、製鋼スラグのリサイクルによる燐濃度の上昇は無かった。
100トンの転炉スラグと、100トンの予備脱燐スラグと、還元剤としてのコークスとを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって転炉スラグと予備脱燐スラグとコークスとを加熱してスラグの還元処理を実施した。投入コークスの量は100kg/t−スラグとし、ロータリーキルンの運転温度は1300〜1450℃に調整した。還元処理後に回収した高燐高マンガン銑鉄は49トンであり、その成分は、C=4質量%、P=4.0質量%、Mn=7.6質量%であった。一方、還元後に145トンのスラグが回収された。還元処理前と還元処理後のスラグ組成を表9に示す。
Figure 0005594183
実施例1と同様に、還元処理後のスラグを鉄鉱石の焼結工程において造滓剤用のCaO源として使用し、高炉溶銑を製造した。溶製された高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度で、何ら問題が無かった。
実施例1及び実施例2に対して、上記製鋼工程において発生する転炉スラグをそのまま焼結鉱のCaO源としてリサイクルした場合には、高炉から出銑される溶銑の燐濃度が高くなり、その後の製鋼工程におけるCaO系の造滓剤や酸素源の原単位が増加し、発生スラグ量が1.5倍になるとともに、生産性が20%低下した。
実施例1及び実施例2で得られた高燐高マンガン銑鉄を、溶銑鍋においてそれぞれ150トンの高炉溶銑と混合した。混合後の溶銑に対し、脱マンガン処理後のスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が0.5以上1.0以下となるように調整してCaO源(生石灰)及び酸素源を供給し、脱マンガン処理を行った。脱マンガン処理後、脱マンガン処理で生成した高MnXOスラグを溶銑鍋から排出した後、溶銑鍋内の溶銑に脱燐処理を実施した。脱燐処理では、脱燐反応に必要とする酸素ガス換算の全酸素源のうちの40体積%以上の酸素ガスを上吹きランスから溶銑に吹き付けて供給するとともに、脱燐反応に必要とするCaO源(CaO系脱燐剤)のうちの40質量%以上(純CaO換算)を上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑に吹き付けて供給した。溶銑成分の変化を表10に、脱マンガン処理後と脱燐処理後に得られたスラグ組成を表11にそれぞれ示す。
Figure 0005594183
Figure 0005594183
脱燐処理後の溶銑中燐濃度は0.10質量%以下となり、この溶銑をその後、問題無く製鋼工程で使用することができた。また、脱マンガン処理後に得られた高MnXOスラグを転炉での溶銑の脱炭精錬においてマンガン鉱石代替として利用し、低コストで脱炭精錬後の溶鋼中マンガン濃度を高めることができた。更に、脱燐処理後のスラグも高P25低MnXOとすることができ、回収した脱燐処理後のスラグは燐酸肥料として利用することが可能であった。
1 脱燐処理設備
2 溶銑
3 CaO系脱燐剤または酸化鉄若しくはこれらの混合物
4 CaO系脱燐剤
5 溶銑鍋
6 台車
7 上吹きランス
8 インジェクションランス
9 貯蔵タンク
10 貯蔵タンク
11 ホッパー
12 原料搬送装置
13 シュート
14 生成スラグ

Claims (11)

  1. 転炉での溶銑の脱炭精錬において発生したスラグ及び溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して、燐を0.5質量%以上且つマンガンを0.5質量%以上含有する高燐高マンガン銑鉄を回収する第1の工程と、
    前記第1の工程の還元処理によって燐含有量が低下したスラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第2の工程と、
    前記第1の工程で回収した高燐高マンガン銑鉄を、媒溶剤としてフッ素化合物を用いることなく処理後のスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が0.5以上1.0以下となるようにCaO源及び酸素源を供給して、処理後の溶銑中マンガン濃度が0.4質量%以下となるまで脱マンガン処理する第3の工程と、
    前記第3の工程の脱マンガン処理により生成したスラグを、脱マンガン処理で使用した処理容器から排出する第4の工程と、
    前記第4の工程により、脱マンガン処理時に生成したスラグが処理容器から排出された後の処理容器内の溶銑に対して、脱燐反応に必要とする酸素ガス換算の全酸素源のうちの40体積%以上の酸素ガスを上吹きランスから溶銑に吹き付けて供給するとともに、脱燐反応に必要とするCaO源のうちの40質量%以上のCaO源を前記上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑に吹き付けて供給し、処理後の溶銑中燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理する第5の工程と、
    前記第5の工程により溶銑中燐濃度が0.10質量%以下となるまで脱燐処理された溶銑を製鋼工程にリサイクルする第6の工程と、
    前記第5の工程の脱燐処理で生成したスラグを回収して燐酸資源原料とする第7の工程と、
    を有することを特徴とする、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  2. 前記第1の工程における還元処理前の製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.6〜3.0であることを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  3. 前記第1の工程で回収する高燐高マンガン銑鉄が炭素を3質量%以上含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  4. 前記第4の工程により、処理容器から排出されたスラグを回収し、回収したスラグを溶銑の転炉脱炭精錬でのマンガン源としてリサイクルすることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  5. 前記第7の工程で回収するスラグの燐酸(P25)濃度が15質量%以上、マンガン酸化物濃度が10質量%以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  6. 前記第7の工程で回収するスラグの燐酸(P25)濃度が15質量%以上、マンガン酸化物濃度が8質量%以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  7. 前記第7の工程で回収するスラグ中の主要な燐含有化合物がCa3(PO4)2であり、該Ca3(PO4)2はMnO及びFeOを固溶していないことを特徴とする、請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  8. 前記第2の工程におけるスラグのリサイクル先が、鉄鉱石の焼結工程または高炉での溶銑製造工程であることを特徴とする、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  9. 前記第2の工程におけるスラグのリサイクル先が、製鋼精錬工程における溶銑の予備脱燐処理または転炉での溶銑の脱炭精錬であることを特徴とする、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  10. 前記第1の工程で回収した高燐高マンガン銑鉄と高炉から出銑された溶銑とを混合して混合した後の溶銑の燐濃度を0.5〜2.0質量%、マンガン濃度を2.0質量%以下に調整し、その後、前記第3の工程から前記第7の工程までを行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項9の何れか1つに記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  11. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法における第7の工程で回収されたスラグからなる燐酸肥料用原料であって、該燐酸肥料用原料中の燐酸(P25)濃度が15質量%以上、マンガン酸化物濃度が10質量%以下であり、且つ、燐酸肥料用原料中の主要な燐含有化合物がCa3(PO4)2であることを特徴とする、燐酸肥料用原料。
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