JP5594027B2 - 誘電体薄膜形成用組成物及び誘電体薄膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環境への負荷が大きい物質を含まず、薄膜キャパシタ用途に適した誘電体薄膜形成用組成物及び誘電体薄膜の形成方法に関するものである。
従来、誘電体薄膜形成用組成物としては、例えば、チタン酸バリウム系組成物や鉛系複合ペロブスカイト系材料等の、強誘電体材料が用いられてきた。
一方、近年、地球規模での環境保護運動が高まりを見せている中で、環境への負荷が大きいBaやPbを含まない、新たな誘電体薄膜形成用組成物の開発が望まれている。
また、Ba、Pb等を含む誘電体薄膜形成用組成物は、その製造に際して、環境保護への配慮から、製造工程で発生する廃液を処理する処理設備等の、特殊な設備を必要とするため、製造コストの面でも、これらの物質を含まない誘電体薄膜形成用組成物の開発が求められている。
上記環境への負荷が大きい物質を含まない新たな誘電体薄膜形成用組成物として、Ca源、Cu源及びTi源を使用したゾルゲル液を用い、このゾルゲル液からCaCu3Ti412(以下、CCTOという。)膜を作製し、得られたCCTO膜の特性を調べた研究が発表されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1では、各元素源を有機溶媒に溶解してゾルゲル液を調製し、このゾルゲル液を用いたスピンコーティング法によってCCTO膜を作製しており、ゾルゲル液の調製に使用する有機溶媒としては2−エチルヘキサン酸が用いられている。
なお、CCTOは、その電気比抵抗特性から、ガスセンサ材料としても使用されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、各元素源を有機溶媒に溶解し、更にゾルゲル反応のための触媒として酢酸を加えてゾルゲル液を調製し、このゾルゲル液を用いたエレクトロスピニング法によりCCTOからなるナノファイバを作製し、これを熱圧着してガスセンサを製造している。
特許第4523582号公報(請求項2、段落[0027]、[0069]、[0070])
A. Dixit et al., "Dielectric Properties of Sol-gel-derived Calcium Copper Titanate and Calcium Barium Copper Titanate Thin Films", Defence Science Journal, Vol. 57, No. 1, January 2007, pp. 55-60
しかし、上記従来の非特許文献1に示されたCCTO膜は誘電体材料として良好な誘電特性を有していたが、有機溶媒に2−エチルヘキサン酸を用いて調製されたゾルゲル液では、成膜の際に塗膜むら(ストリエーション)が発生し、平滑な薄膜が得られないという欠点があった。
また、上記従来の特許文献1に示されたCCTOからなるナノファイバはガスセンサ材料として高感度特性を有していたが、その前駆体であるゾルゲル溶液は触媒として酢酸を用いて調製されており、酢酸は塗膜性を悪化させ、塗膜表面にむらを生じさせるため、またゾルゲル溶液の保存性も劣り、沈殿を生成してしまうため、平滑な薄膜を得るために適したゾルゲル液とはいえなかった。
本発明の目的は、環境への負荷が大きい物質を含まず、薄膜キャパシタ用途に適した誘電体薄膜を簡便な手法で作製することができ、また、保存安定性に優れ、塗膜性の良好な誘電体薄膜形成用組成物及び誘電体薄膜の形成方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412(式中0.5≦x≦1.1)で示される複合金属酸化物の形態をとる薄膜を形成するための液状誘電体薄膜形成用組成物であり、複合金属酸化物を構成するための原料が上記一般式で示される金属原子比を与えるような割合で、一般式:Cn2n+1COOH(但し、nが〜6の整数。)で表される直鎖、或いは1本又は2本以上の側鎖を有するカルボン酸を主成分とする有機溶媒中に溶解している有機金属化合物溶液からなり、前記複合金属酸化物を構成するための原料が、酢酸カルシウム、酢酸銅及びチタンテトライソプロポキシドであるか、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸銅及びチタンテトライソプロポキシドであるか、又はカルシウムジメトキシエトキシド、銅ジメトキシエトキシド及びチタンテトライソプロポキシドであることを特徴とする誘電体薄膜形成用組成物である。
本発明の第の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にβ−ジケトン、β−ケトン酸、β−ケトエステル、オキシ酸、ジオール、トリオール、アルカノールアミン及び多価アミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の安定化剤を、上記組成物中の合計量1モルに対して、3モル以下の割合で更に含有することを特徴とする。
本発明の第の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に上記有機溶媒の主成分であるカルボン酸が、n−ヘキサン酸、2−エチル酪酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、4−メチルヘキサン酸、5−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、4−エチルペンタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペンタン酸、4,4−ジメチルペンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2,4−ジメチルペンタン酸、3,4−ジメチルペンタン酸、2,2,3−トリメチルブタン酸又は2,3,3−トリメチルブタン酸であることを特徴とする。
本発明の第の観点は、第1ないし第の観点に基づく誘電体薄膜形成用組成物を耐熱性基板に塗布し、空気中、酸化雰囲気中又は含水蒸気雰囲気中で加熱する工程を1回行うか又は所定の厚さの膜が得られるまで繰返し行い、少なくとも最終工程における加熱中或いは加熱後に該膜を結晶化温度以上で焼成することを特徴とする誘電体薄膜の形成方法である。
本発明の第の観点は、第の観点に基づく方法で形成された誘電体薄膜を有する薄膜キャパシタ、積層薄膜キャパシタ、IPD(Integrated Passive Device)、DRAMメモリ用キャパシタ、積層キャパシタ、トランジスタのゲート絶縁体、又はLCノイズフィルタ素子の複合電子部品の製造方法である。
本発明の第1の観点では、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412(式中0.5≦x≦1.1)で示される複合金属酸化物の形態をとる薄膜を形成するための液状誘電体薄膜形成用組成物であり、複合金属酸化物を構成するための原料が上記一般式で示される金属原子比を与えるような割合で、一般式:Cn2n+1COOH(但し、nが〜6の整数。)で表される直鎖、或いは1本又は2本以上の側鎖を有するカルボン酸を主成分とする有機溶媒中に溶解している有機金属化合物溶液からなり、前記複合金属酸化物を構成するための原料が、酢酸カルシウム、酢酸銅及びチタンテトライソプロポキシドであるか、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸銅及びチタンテトライソプロポキシドであるか、又はカルシウムジメトキシエトキシド、銅ジメトキシエトキシド及びチタンテトライソプロポキシドであることを特徴とする。上記一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412(式中0.5≦x≦1.1)で示される複合金属酸化物の形態をとるCCTO膜形成用液状組成物は、環境への負荷が大きい物質を含まず、薄膜キャパシタ用途に適した誘電体薄膜を簡便な手法で作製することができる。また、上記一般式:Cn2n+1COOH(但し、nが〜6の整数。)で表されるカルボン酸を有機溶媒として用いることで、誘電体薄膜を形成する際の塗膜むらを防止でき、また、薄膜形成前の薄膜形成用組成物を長期保管しても沈殿を生成することがない。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の誘電体薄膜形成用組成物は、環境への負荷が大きい物質を含まず、薄膜キャパシタ用途に適した誘電体薄膜を形成するための液状組成物である。この組成物を用いて形成される誘電体薄膜は、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412(式中0.5≦x≦1.1)で示される複合金属酸化物の形態をとる。一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のxを上記範囲内とすることで、形成される誘電体薄膜は高い比誘電率が得られる。なお、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のxが0.5未満、又はxが1.1を越えると、形成される誘電体薄膜の比誘電率が小さくなる不具合が生じる。この組成物は、複合金属酸化物を構成するための原料が上記一般式で示される金属原子比を与えるような割合となるように、有機溶媒中に溶解している有機金属化合物溶液からなる。
複合金属酸化物用原料は、Ca、Cu及びTiの各金属元素に、有機基がその酸素又は窒素原子を介して結合している化合物が好適である。例えば、金属アルコキシド、金属ジオール錯体、金属トリオール錯体、金属カルボン酸塩、金属β−ジケトネート錯体、金属β−ジケトエステル錯体、金属β−イミノケト錯体、及び金属アミノ錯体からなる群より選ばれた1種又は2種以上が例示される。特に好適な化合物は、金属アルコキシド、その部分加水分解物、有機酸塩である。このうち、Ca化合物、Cu化合物としては、酢酸塩、ナフテン酸塩、メトキシエトキシドが挙げられ、酢酸塩、ナフテン酸塩が最も好ましい。また、Ti化合物としては、チタンテトライソプロポキシドが挙げられる。金属アルコキシドはそのまま使用しても良いが、分解を促進させるためにその部分加水分解物を使用しても良い。
本発明の誘電体薄膜形成用組成物を調製するには、これらの原料を所望の誘電体薄膜組成に相当する比率で有機溶媒に溶解して、塗布に適した濃度に調製する。
ここで誘電体薄膜形成用組成物の有機溶媒は、一般式:Cn2n+1COOH(但し、nが2〜6の整数。)で表される直鎖、或いは1本又は2本以上の側鎖を有するカルボン酸を主成分とする有機溶媒が用いられる。上記カルボン酸からなる、或いは上記カルボン酸を主成分とした有機溶媒を用いることで、従来の組成物を用いて成膜する際に発生していた、塗布時の塗膜むらの発生をなくすことができ、平滑な薄膜が得られる。また、上記カルボン酸からなる、或いは上記カルボン酸を主成分とした有機溶媒を用いることで有機金属化合物溶液の保存安定性も高まる。
なお、一般式:Cn2n+1COOHのnが1のカルボン酸(酢酸)を用いた場合では塗膜性が悪化し、塗膜表面にむらが生じ、また、組成物の保存性も劣り、沈殿を生成してしまう。一般式:Cn2n+1COOHのnが7以上のカルボン酸を用いた場合でも、同様に、塗膜性が悪化し、また、nが7以上のカルボン酸のうち、一部のカルボン酸では保存性も悪くなり、沈殿を生成してしまう不具合を生じる。
有機溶媒の主成分であるカルボン酸としては、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル酪酸、ピバル酸、n−ヘキサン酸、2−エチル酪酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、4−メチルヘキサン酸、5−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、4−エチルペンタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペンタン酸、4,4−ジメチルペンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2,4−ジメチルペンタン酸、3,4−ジメチルペンタン酸、2,2,3−トリメチルブタン酸、2,3,3−トリメチルブタン酸が挙げられる。
なお、誘電体薄膜形成用組成物の有機金属化合物溶液中の有機金属化合物の合計濃度は、金属酸化物換算量で0.1〜20質量%程度とすることが好ましい。
この有機金属化合物溶液中には、必要に応じて安定化剤として、β−ジケトン類(例えば、アセチルアセトン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等)、β−ケトン酸類(例えば、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等)、β−ケトエステル類(例えば、上記ケトン酸のメチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルエステル類)、オキシ酸類(例えば、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸、サリチル酸等)、上記オキシ酸の低級アルキルエステル類、オキシケトン類(例えば、ジアセトンアルコール、アセトイン等)、ジオール、トリオール、アルカノールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン)、多価アミン等を、(安定化剤分子数)/(金属原子数)で0.2〜3程度添加しても良い。
本発明では、上記調製された有機金属化合物溶液を濾過処理等によって、パーティクルを除去して、粒径0.5μm以上(特に0.3μm以上とりわけ0.2μm以上)のパーティクルの個数が溶液1mL当り50個/mL以下とするのが好ましい。
有機金属化合物溶液中の粒径0.5μm以上のパーティクルの個数が50個/mLを越えると、長期保存安定性が劣るものとなる。この有機金属化合物溶液中の粒径0.5μm以上のパーティクルの個数は少ない程好ましく、特に30個/mL以下であることが好ましい。
上記パーティクル個数となるように、調製後の有機金属化合物溶液を処理する方法は特に限定されるものではないが、例えば、次のような方法が挙げられる。第1の方法としては、市販の0.2μm孔径のメンブランフィルターを使用し、シリンジで圧送する濾過法である。第2の方法としては、市販の0.05μm孔径のメンブランフィルターと加圧タンクを組み合せた加圧濾過法である。第3の方法としては、上記第2の方法で使用したフィルターと溶液循環槽を組み合せた循環濾過法である。
いずれの方法においても、溶液圧送圧力によって、フィルターによるパーティクル捕捉率が異なる。圧力が低いほど捕捉率が高くなることは一般的に知られており、特に、第1の方法、第2の方法について、粒径0.5μm以上のパーティクルの個数を50個以下とする条件を実現するためには、溶液を低圧で非常にゆっくりとフィルターに通すのが好ましい。
本発明の誘電体薄膜形成用組成物を用いることで、複合金属酸化物の形態をとるCCTO誘電体薄膜を簡便に形成することができる。
本発明の誘電体薄膜形成用組成物を用いて、CCTO誘電体薄膜を形成するには、上記組成物をスピンコート、ディップコート、LSMCD(Liquid Source MistedChemical Deposition)法等の塗布法により耐熱性基板上に塗布し、乾燥(仮焼成)及び本焼成を行う。
使用される耐熱性基板の具体例としては、基板表層部に、単結晶Si、多結晶Si,Pt,Pt(最上層)/Ti,Pt(最上層)/Ta,Ru,RuO2,Ru(最上層)/RuO2,RuO2(最上層)/Ru,Ir,IrO2,Ir(最上層)/IrO2,Pt(最上層)/Ir,Pt(最上層)/IrO2,SrRuO3又は(LaxSr(1-x))CoO3等のペロブスカイト型導電性酸化物等を用いた基板が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、1回の塗布では、所定の膜厚が得られない場合には、塗布、乾燥の工程を複数回繰返し行った後、本焼成を行う。ここで、所定の膜厚とは、本焼成後に得られる誘電体薄膜の厚さをいい、本焼成後の誘電体薄膜の膜厚が50〜1000nmの範囲である。
また、仮焼成は、溶媒を除去するとともに有機金属化合物を熱分解又は加水分解して複合酸化物に転化させるために行うことから、空気中、酸化雰囲気中、又は含水蒸気雰囲気中で行う。空気中での加熱でも、加水分解に必要な水分は空気中の湿気により十分に確保される。この加熱は、溶媒の除去のための低温加熱と、有機金属化合物の分解のための高温加熱の2段階で実施しても良い。
本焼成は、仮焼成で得られた薄膜を結晶化温度以上の温度で焼成して結晶化させるための工程であり、これにより誘電体薄膜が得られる。この結晶化工程の焼成雰囲気はO2、N2、Ar、N2O又はH2等或いはこれらの混合ガス等が好適である。
仮焼成は、150〜550℃で5〜10分間程度行われ、本焼成は600〜800℃で1〜60分間程度行われる。本焼成は、急速加熱処理(RTA処理)で行っても良い。RTA処理で本焼成する場合、その昇温速度は10〜100℃/秒が好ましい。
このようにして形成された本発明の誘電体薄膜は、環境への負荷が大きい物質を含まず、また、キャパシタとしての基本的特性に優れ、薄膜キャパシタや積層薄膜キャパシタ用途に好適である。また、本発明の誘電体薄膜は、IPDとしての基本的特性にも優れる。
また、本発明の誘電体薄膜は、IPD、DRAMメモリ用キャパシタ、積層キャパシタ、トランジスタのゲート絶縁体、又はLCノイズフィルタ素子等の複合電子部品における構成材料として使用することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。以下に示す実施例9〜15は実施例ではなく参考例である。
<実施例1>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。
この薄膜形成用溶液を用いて、下記方法によりCSD法による薄膜の形成を行った。即ち、溶液をスピンコート法により500rpmで3秒間、その後3000rpmで20秒間の条件で基板上に塗布した。基板にはPt薄膜を表面にスパッタリング法にて形成した6インチシリコン基板(Pt/TiO2/SiO2/Si(100)基板)を用いた。続いて、ホットプレートを用い、350℃で5分間加熱して仮焼成を行った。この塗布、仮焼成の工程を5回繰返した後、100%酸素雰囲気中、昇温速度10℃/秒、保持温度700℃、保持時間1分間のRTA(急速加熱処理)により焼成して基板上に膜厚300nmの誘電体薄膜を形成した。
<実施例2>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。
この薄膜形成用溶液を用いて、下記方法によりCSD法による薄膜の形成を行った。即ち、溶液をスピンコート法により500rpmで3秒間、その後3000rpmで20秒間の条件で基板上に塗布した。基板にはPt薄膜を表面にスパッタリング法にて形成した6インチシリコン基板(Pt/TiO2/SiO2/Si(100)基板)を用いた。続いて、ホットプレートを用い、350℃で5分間加熱して仮焼成を行った。この塗布、仮焼成の工程を5回繰返した後、乾燥空気雰囲気中、昇温速度10℃/秒、保持温度700℃、保持時間1分間のRTA(急速加熱処理)により焼成して基板上に膜厚300nmの誘電体薄膜を形成した。
<実施例3>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例4>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例5>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例6>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例7>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例8>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例9>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてプロピオン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例10>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例11>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてイソ酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例12>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−吉草酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例13>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてイソ吉草酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例14>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−メチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例15>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてピバル酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例16>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−ヘキサン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例17>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2,2−ジメチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例18>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として3−メチルペンタン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例19>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として4−メチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例20>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−ヘプタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例21>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−メチルヘキサン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例22>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として5−メチルヘキサン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例23>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例24>
先ず、以下の表1に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として4−エチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例25>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2,2−ジメチルペンタン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例26>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2,4−ジメチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例27>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として4,4−ジメチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例28>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてカルシウムジメトキシエトキシド、銅源として銅ジメトキシエトキシド、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2/2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.67)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例29>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてカルシウムジメトキシエトキシド、銅源として銅ジメトキシエトキシド、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例30>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてカルシウムジメトキシエトキシド、銅源として銅ジメトキシエトキシド、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.7/3.3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例31>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてプロピオン酸と2−エチル酪酸をモル比で等量になるように混合した混合カルボン酸溶媒をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<実施例32>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸とn−ブタノールをモル比で等量になるように混合した混合カルボン酸・アルコール溶媒をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例1>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例2>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例3>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例4>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例5>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例6>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例7>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例8>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例9>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてプロピオン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例10>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−酪酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例11>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてイソ酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例12>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−吉草酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例13>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてイソ吉草酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例14>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−メチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例15>
先ず、以下の表2に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてピバル酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例16>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−ヘキサン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例17>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2,2−ジメチル酪酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例18>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として3−メチルペンタン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例19>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として4−メチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例20>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−ヘプタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例21>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−メチルヘキサン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例22>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として5−メチルヘキサン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例23>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例24>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として4−エチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例25>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2,2−ジメチルペンタン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=0.4/3.6/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1.2)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例26>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2,4−ジメチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例27>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として4,4−ジメチルペンタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=2.8/1.2/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=0.4)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例28>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として酢酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例29>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として酢酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例30>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−オクタン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例31>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−オクタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例32>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−オクタン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例33>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−オクタン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例34>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−ノナン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例35>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源としてナフテン酸カルシウム、銅源としてナフテン酸銅、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてn−ノナン酸をそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてジエタノールアミンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例2と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例36>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒として2−エチルヘキサン酸をそれぞれ用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
<比較例37>
先ず、以下の表3に示すように、カルシウム源として酢酸カルシウム・1水和物、銅源として酢酸銅・1水和物、チタン源としてチタンテトライソプロポキシド、有機溶媒としてp−キシレンをそれぞれ用意した。また、溶液安定化のための安定化剤としてアセチルアセトンを用意した。次に、カルシウム源と銅源とチタン源と安定化剤とを加え、各金属比がCa/Cu/Ti=1/3/4(一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412のx=1)になるように、窒素雰囲気下、有機溶媒中で150℃に加熱して還流することにより、酸化物換算で10質量%濃度の薄膜形成用組成物を得た。それ以外は、実施例1と同様にして基板上に誘電体薄膜を形成した。
Figure 0005594027
Figure 0005594027
Figure 0005594027
<比較試験及び評価>
実施例1〜32及び比較例1〜37で得られた誘電体薄膜を形成した基板について、メタルマスクを用い、表面に250μm□のPt上部電極をスパッタリング法にて作製し、誘電体薄膜直下のPt下部電極間にてC−V特性(静電容量の電圧依存性)を周波数1kHzにて−5〜5Vの範囲で評価し、静電容量の最大値より比誘電率εrを算出した。なお、C−V特性の測定にはHP社製4284A precision LCR meterを用い、Bias step 0.1V、Frequency 1kHz、Oscillation level 30mV、Delay time 0.2sec、Temperature 23℃、Hygrometry 50±10%の条件で測定した。
また、実施例1〜32及び比較例1〜37で得られた誘電体薄膜について、ストリエーション(塗膜むら)の有無を目視にて判定した。これを塗膜性評価とした。
また、実施例1〜32及び比較例1〜37で得られた薄膜形成用組成物の一部をバイアル瓶に密栓し、5℃に保った冷蔵庫内で3ヶ月保管した後、沈殿発生の有無を目視にて判定した。これを安定性評価とした。
これら結果を次の表4〜表6に示す。なお、表4〜表6中における塗膜性評価は、焼成後の基板全体を覆う膜表面が平滑である場合を塗布むらが生じていないものとして「良好」とし、焼成後の基板全体を覆う膜表面に島状、筋状等が出現し、膜表面が平滑でない場合を塗布むらが生じているものとして「不良」とした。また、安定性評価は、冷蔵保管後のバイアル瓶中に沈殿が生じていない場合を「良好」、沈殿が生じている場合を「不良」とした。
Figure 0005594027
Figure 0005594027
Figure 0005594027
表4〜表6から明らかなように、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412で示されるxが0.4のCaが多くCuが少ない配合、或いは一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412で示されるxが1.2のCaが少なくCuが多い配合の比較例1〜27の誘電体薄膜に比べて、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412で示されるxが0.67〜1.1の実施例1〜32及び比較例28〜37の誘電体薄膜では、静電容量が高くかつ比誘電率が高い結果が得られた。この結果から、一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412で示されるxには、良好な誘電特性を示す範囲が存在することが確認された。
しかしながら、実施例1〜32及び比較例28〜37のうち、酢酸を有機溶媒に用いた比較例28,29、n−オクタン酸やn−ノナン酸、2−エチルヘキサン酸、p−キシレンを有機溶媒に用いた比較例30〜37では、誘電体薄膜を形成する際に塗膜むらを生じていた。また、酢酸を有機溶媒に用いた比較例28,29、n−オクタン酸を有機溶媒に用いた比較例30〜32、p−キシレンを有機溶媒に用いた比較例37では、薄膜形成前の薄膜形成用組成物を長期保管した後に沈殿の生成が見られた。一方、実施例1〜32では、塗膜むらを生じることもなく、また、薄膜形成用組成物を長期保管した後に沈殿を生成することもなかった。この結果から、CCTO薄膜形成用組成物に使用する有機溶媒には、塗膜性が良好で、保存安定性にも優れた化合物が存在し、本発明の一般式:Cn2n+1COOH(但し、nが2〜6の整数。)で表されるカルボン酸を有機溶媒として用いることで、誘電体薄膜を形成する際の塗膜むらを防止でき、また、薄膜形成前の薄膜形成用組成物を長期保管しても沈殿を生成することがないことが確認された。
また、実施例1〜32の誘電体薄膜のうち、カルシウム源及び銅源にメトキシエトキシドを使用した実施例28〜30の誘電体薄膜に着目すると、カルシウム源及び銅源に酢酸塩やナフテン酸塩を用いた以外はほぼ同一条件で製造された実施例1〜8の誘電体薄膜に比べて、それぞれ静電容量及び比誘電率がともにやや劣る傾向が見られた。この結果から、カルシウム源及び銅源に酢酸塩やナフテン酸塩を用いると、より静電容量が高くかつより比誘電率が高い誘電体薄膜を作製することができることが確認された。
また、実施例1〜32の誘電体薄膜のうち、有機溶媒として2種類のカルボン酸の混合溶媒を使用した実施例31の誘電体薄膜、有機溶媒としてカルボン酸とアルコールの混合溶媒を使用した実施例32の誘電体薄膜は、有機溶媒として単一溶媒を用いた以外はほぼ同一条件で製造された実施例1〜9の誘電体薄膜と同程度の静電容量及び比誘電率が得られており、この結果から、上記一般式で表されるカルボン酸の単一溶媒からなる有機溶媒に限らず、上記一般式で表されるカルボン酸を複数種類混合した混合溶媒や上記一般式で表されるカルボン酸と他の溶媒との混合溶媒であっても、上記一般式で表されるカルボン酸が有機溶媒の主成分として用いられていれば、誘電体薄膜を形成する際の塗膜むらを防止でき、また、薄膜形成前の薄膜形成用組成物を長期保管しても沈殿を生成することがないことが確認された。
本発明の誘電体薄膜形成用組成物、誘電体薄膜の形成方法並びに該方法により形成された誘電体薄膜は、環境への負荷が大きい物質を含まず、また、キャパシタとしての基本的特性に優れ、薄膜キャパシタや積層薄膜キャパシタの用途に利用可能である。その他、IPDとしての基本的特性にも優れ、IPD、DRAMメモリ用キャパシタ、積層キャパシタ、トランジスタのゲート絶縁体、又はLCノイズフィルタ素子等の複合電子部品に利用が可能である。

Claims (5)

  1. 一般式:Ca(4-3x)Cu3xTi412(式中0.5≦x≦1.1)で示される複合金属酸化物の形態をとる薄膜を形成するための液状誘電体薄膜形成用組成物であり、
    前記複合金属酸化物を構成するための原料が上記一般式で示される金属原子比を与えるような割合で、一般式:Cn2n+1COOH(但し、nが〜6の整数。)で表される直鎖、或いは1本又は2本以上の側鎖を有するカルボン酸を主成分とする有機溶媒中に溶解している有機金属化合物溶液からなり、
    前記複合金属酸化物を構成するための原料が、酢酸カルシウム、酢酸銅及びチタンテトライソプロポキシドであるか、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸銅及びチタンテトライソプロポキシドであるか、又はカルシウムジメトキシエトキシド、銅ジメトキシエトキシド及びチタンテトライソプロポキシドである
    ことを特徴とする誘電体薄膜形成用組成物。
  2. β−ジケトン、β−ケトン酸、β−ケトエステル、オキシ酸、ジオール、トリオール、アルカノールアミン及び多価アミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の安定化剤を、前記組成物中の合計量1モルに対して、3モル以下の割合で更に含有する請求項1記載の誘電体薄膜形成用組成物。
  3. 前記有機溶媒の主成分であるカルボン酸が、n−ヘキサン酸、2−エチル酪酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、4−メチルヘキサン酸、5−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、4−エチルペンタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペンタン酸、4,4−ジメチルペンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2,4−ジメチルペンタン酸、3,4−ジメチルペンタン酸、2,2,3−トリメチルブタン酸又は2,3,3−トリメチルブタン酸である請求項1又は2記載の誘電体薄膜形成用組成物。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の誘電体薄膜形成用組成物を耐熱性基板に塗布し、空気中、酸化雰囲気中又は含水蒸気雰囲気中で加熱する工程を1回行うか又は所定の厚さの膜が得られるまで繰返し行い、少なくとも最終工程における加熱中或いは加熱後に該膜を結晶化温度以上で焼成することを特徴とする誘電体薄膜の形成方法。
  5. 請求項記載の方法で形成された誘電体薄膜を有する薄膜キャパシタ、積層薄膜キャパシタ、IPD、DRAMメモリ用キャパシタ、積層キャパシタ、トランジスタのゲート絶縁体、又はLCノイズフィルタ素子の複合電子部品の製造方法
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