JP5593842B2 - エアースライド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械,半導体製造装置及び液晶・プラズマ等のフラットパネル製造装置等産業機械においてワークテーブル等の移動体をスライド可能に支持する装置として用いられるエアースライド装置に関する。
産業機械の防塵性が要求される環境で使用されるワークテーブル等の移動体をスライド可能に支持する装置としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。図7〜図9に示すようにエアースライド装置10fは、ガイドレール12f及び可動体14fを備えている。
ガイドレール12fは鋼等の金属材料からなり、断面形状が矩形状に形成されている。可動体14fはガイドレール12fの上面部121と対向する矩形状のパッド取付面141(図8参照)を有しており、このパッド取付面141には、円形状に形成された複数の静圧気体軸受パッド16が埋設されている。
静圧気体軸受パッド16は、カーボングラファイト(黒鉛)等の多孔質材から形成さ
れている。また、静圧気体軸受パッド16はガイドレール12fの上面部121に向けて圧縮空気等の気体を噴出する気体噴出面161(図9参照)を有しており、従って、可動体14fは、静圧気体軸受パッド16の気体噴出面161から噴出する気体によりスライド可能に支持されるようになっている。
このようなエアースライド装置10fでは、気体噴出パッド16の気体噴出面161が可動体14fのパッド取付面141と面一になるように、気体噴出パッド16を可動体14fのパッド取付面141に埋設している。
そして、従来よりガイドレール12fと可動体14fとの間に焼付きが発生するという課題があったので、特許文献1では、可動体14fのパッド取付面141の軸方向両端部に逃げ面18(図9参照)を設け解決している。
特開2006−250318号公報
近年地球温暖化に対する炭酸ガス排出量の低減要求が強くなり、それに対応するために、各種部品の軽量化が進んでいる。しかしながら、エアースライド装置は、強度を確保するため大部分に鉄系材料を使わざるをえず、軽量化の余地がまだまだ残されている。
本発明はこのような状況に着目してなされたものであり、エアースライド装置のガイドレール及び/又は可動体の大部分を炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とし、強度を確保しつつ軽量化を達成したエアースライド装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ガイドレールと、このガイドレールの上面部と対向するパッド取付面を有する可動体と、この可動体の前記パッド取付面に埋設された複数の静圧気体軸受パッドとを備え、前記ガイドレールの上面部に向けて前記静圧気体軸受パッドの気体噴出面から噴出する気体により前記可動体をスライド可能に支持するエアースライド装置において、前記ガイドレール及び可動体の一方は、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック部材で形成され、前記ガイドレール及び可動体の他方は、前記可動体の停止時に該可動体と前記ガイドレールとが接触する接触部分に配置された鉄系部材と、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック部材とが接合された複合部材で形成され、前記鉄系部材の前記炭素繊維強化プラスチック部材との接合面に、前記鉄系部材と前記炭素繊維強化プラスチック部材とが互いに分離しないように、穴の内部が穴の入り口部分より広い蟻溝構造の穴が形成されており、前記蟻溝構造の穴は、シュウ酸鉄皮膜が形成されたステンレス鋼の前記鉄系部材を、常温で硝酸−フッ化水素酸混酸の水溶液に数分間浸漬し、下地のステンレス鋼が侵されないレベルまで、シュウ酸鉄皮膜の大部分が除去され、前記鉄系部材の表面に化学エッチング処理することにより形成されることを特徴とするエアースライド装置である。
請求項の発明は、請求項1に記載のエアースライド装置において、前記ガイドレール及び可動体の前記一方を形成する前記炭素繊維強化プラスチック部材が、前記接触部分にアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)の表層部を有することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1又は2に記載のエアースライド装置において、前記複合部材の前記鉄系部材と前記炭素繊維強化プラスチック部材との密着性を高めるため、前記鉄系部材に、さらに、シランカップリング処理が施されることを特徴とする。
以上説明したように、エアースライド装置のガイドレール及び/又は可動体を、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で形成することで、強度を確保しつつ、なおかつ大幅な軽量化を達成したエアースライド装置を提供することが可能である。
更に、停止時に接触する可能性のある部分を鉄系材料としたり、あるいは表層部をアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)とすることで、良好な摺動特性も得ることが可能である。
本発明によるエアースライド装置の一例を示す断面図である。 図1のエアースライド装置のII−II断面図である。 図1のエアースライド装置のIII−III断面図である。 本発明の変形例によるエアースライド装置の一例を示す断面図である。 本発明の別の変形例によるエアースライド装置の一例を示す断面図である。 図5のエアースライド装置の断面図である。 従来例によるエアースライド装置の一例を示す断面図である。 図7のエアースライド装置のVIII−VIII断面図である。 図7のエアースライド装置のIX−IX断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態によるエアースライド装置10を示しており、従来技術と同一部材については同一の符号を用いて説明している。
本発明の第1の実施形態によるエアースライド装置10のガイドレール12及び可動体14は、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からなる。本発明で使用する炭素繊維プリプレグは、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたシート状の成形用中間材料である。この炭素繊維プリプレグは、積層して加圧しながら、含有する熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度で加熱することで、所定の形状に成形可能である。炭素繊維プリプレグとしては、炭素繊維を一方向に揃えた一方向炭素繊維プリプレグと、炭素繊維を平織りにした平織り炭素繊維プリプレグがあるが、各部材の内部は、各種方向への強度を確保するために、プリプレグの繊維配向角度をずらして積層することが好ましい。また、各部材の最表層部、特にねじの取付穴(図示せず)などの加工を行う部分は、外観上、及び加工後、炭素繊維がバラバラになるのを防止するために、平織り炭素繊維プリプレグが用いられている。
以上に説明した炭素繊維プリプレグは、炭素繊維とバインダーである熱硬化性樹脂からなる。使用する炭素繊維は、PAN系、あるいはピッチ系のどちらでもよいが、引張強度が1.5〜5.5GPa、より好ましくは、3.5〜5.5GPaの引張強度の達成が可能なPAN系炭素繊維がより好適である。引張弾性率は、120〜590GPa、より好ましくは、230〜590GPaのものが好適に用いられる。これらの炭素繊維は、液状の熱硬化性樹脂との接着性を向上させるために、繊維表面にウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビスマレイミド樹脂から選ばれる少なくとも一つのサイジング剤で処理されたものを用いるのが、より好適である。また、炭素繊維の平均直径で5〜21μm、より好ましくは、7〜15μmである。平均直径が5μm未満の場合は、繊維径が細すぎて、一本あたりの強度が低いため、安定した製造が困難となり、大幅なコストアップとなるので、実用性が低い。また、平均直径が21μmを越える場合は、一本あたりの強度は増加するものの、繊維が太くなることで、成形時の変形に対応しにくくなり、好ましくない。
炭素繊維に含浸させる液状熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好適に用いられる。その他、ビスマレイミド樹脂、ポリアミノアミド樹脂、フェノール樹脂等も適用可能である。尚、ポリアミノアミドは、エポキシ樹脂の硬化剤としても使用可能である。
以上説明した炭素繊維プリプレグは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂分が20〜40重量%、より好ましくは24〜33重量%含有された状態で用いることが好適である。熱硬化性樹脂分の含有率が20重量%未満の場合は、含有率が少なすぎて炭素繊維プリプレグ同士の安定した接着接合が難しく、安定した成形体を製造することが困難になり好ましくない。それに対して、熱硬化性樹脂分の含有率が40重量%を越える場合は、成形体状態での柔軟性は向上するものの、炭素繊維の絶対量が少なすぎるために、鉄鋼材料に近い引張強度を達成することが難しくなり、好ましくない。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態におけるエアースライド装置は、機械的構造については第1の実施形態(図1〜図3)と同様であるので図示は省略している。第1の実施形態との差異は、炭素繊維強化プラスチックからなるガイドレール12及び/又は移動体14の少なくとも停止時に互いに接触する部位の表面に、硬質炭素(ダイヤモンドライクカーボン、DLC;図示せず)皮膜が形成されており、それによって、耐摩耗性が向上しており、停止時において表層部に摩耗が発生するのを効果的に防止している。
硬質炭素皮膜を形成する方法としては、スパッタリングによるPVD法、炭化水素ガスをパルス的(断続的)に発生させたプラズマで分解して成膜するプラズマCVD法、炭素又は炭化水素イオンを用いるイオンビーム蒸着法、プラズマイオン注入法等を挙げることができる。
また硬質炭素皮膜の膜厚は0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmが望ましい。さらに、硬質炭素皮膜の成膜時間やガス圧のコントロール等の点からは、膜厚を1〜3μmとすることが好ましい。膜厚が0.5μmより薄い場合は、部分的に炭素繊維強化プラスチック表面が露出し、耐摩耗性の改善が不十分となり好ましくない。またそれに対して、膜厚が10μmより厚くなると、硬質炭素皮膜の内部応力が増大して自己破壊が発生しやすくなり、結果的に耐摩耗性の改善効果が長続きしなくなり、好ましくない。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態におけるエアースライド装置も、機械的構造については第1の実施形態(図1〜図3)と同様であるので図示は省略している。第1の実施形態との差異は、炭素繊維強化プラスチックからなるガイドレール12及び/又は移動体14の少なくとも停止時に互いに接触する部位の最表層部が、平織りのアラミド繊維プリプレグに置換されている。このように、炭素繊維より摩擦摩耗特性に優れるアラミド繊維強化プラスチックで表層部が形成されることによって耐摩耗性が向上しており、停止時において表層部に摩耗が発生するのを効果的に防止している。
(第4の実施形態)
次に、図4を参照して第4の実施形態について説明する。第1の実施形態との差異は、炭素繊維強化プラスチックからなるガイドレール12の可動体14に停止時に接触する可能性がある部分(図4のコ字状部分)が鉄系材料からなる鉄系部材17で形成されている点である。鉄系部材17は、複数の部材を組み合わせてもよいが一体のものを用いてもよい。
また、この鉄系部材17の、少なくとも炭素繊維強化プラスチック部材との接合表面171は、粗面化処理が施されている。粗面化処理としては、ショットブラスト(エアーブラスト)加工のような物理的粗面化処理の他、エッチングを伴う化学的粗面化処理の適用が可能である。この化学的粗面化処理は、穴の内部が穴の入り口部分より広くなる蟻溝構造とすることができ、高い接合強度の達成が可能であり、より好適である。
なお、本実施形態では、ガイドレール12側に鉄系部材17を設けた例を示したが、同様に移動体14側のガイドレール12に接触する可能性がある部分に鉄系部材を設けてもよい。
(化学エッチング処理)
以下、本発明の第4の実施形態における、鉄系材料の部材表面に施される化学エッチング処理を伴う粗面化処理について詳細に説明する。
鉄系材料が、SUS420、SUS430等のステンレス鋼の場合は、粗面化処理は、以下の工程で行われる。
第一の工程では、鉄系材料部材の表面をアルカリ脱脂剤にて清浄した後、常温の希塩酸等中に数分間浸漬して酸洗後、少なくともシュウ酸イオンとフッ素化合物イオンを含有するシュウ酸鉄処理液に数分間浸漬して、表面にシュウ酸鉄皮膜が形成される。
第二の工程では、このシュウ酸鉄皮膜が形成されたステンレス鋼の鉄系材料部材を、常温で硝酸−フッ化水素酸混酸の水溶液などに数分間浸漬し、下地のステンレス鋼が侵されないレベルまで、シュウ酸鉄皮膜の大部分が除去され、鉄系材料部材表面に化学エッチングされた凹凸が形成される。この凹凸は化学的に形成されるので、ショットブラスト法などによる機械的凹凸に比べて、形状依存性がなく、全表面に均一に形成され、部分的に凹部の内側空間が広くなったようなシャープな(角のある)窪み状の凹凸となる。それによって、この鉄系材料部材と炭素繊維プリプレグの積層体を金型中で圧力をかけながら成形することで、この凹部に炭素繊維プリプレグのバインダーである熱硬化性樹脂が主に入り込み、機械的に接合される。
また更に、防錆性あるいは熱硬化性樹脂の密着性を向上させる第三の工程を行ってもよい。防錆性を向上させる処理の具体例としては、第二工程で使用したシュウ酸鉄皮膜処理であるが、第二工程でせっかく形成された凹凸表面を覆い尽くさないような微細な結晶で形成される薄膜が好ましい。この微細結晶を得る手段としては、処理前に表面調整液に浸漬処理して、結晶核を形成しておく方法が効果的である。接着剤の密着性を向上させる処理としては、シランカップリング剤処理が効果的である。シランカップリング剤皮膜は熱硬化性樹脂のプライマーとして働き、片末端に接着剤の官能基と反応性が高いアミノ基、エポキシ基等を有するものが好ましく、具体的には、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等であり、アルコール等の希釈液に浸漬後、必要に応じて乾燥することで形成される。
第三工程で形成される皮膜の厚みは、0.01〜1.0μm、より好ましくは0.01〜0.5μmである。皮膜の厚みが0.01μm未満であると、防錆性、熱硬化性樹脂密着性の改善効果が乏しくなり、好ましくない。それに対して、皮膜の厚みが1.0μmを越えると、第二工程で設けた凹凸表面が覆い尽くす割合が増えるので好ましくない。第二工程、あるいは第三工程まで行って得られた鉄系部材の表面の凹凸の状態は、JIS−B−0601(2001)で規定される算術平均高さRaで0.2〜2.0μm、最大高さRzで1.5〜10μm程度である。凹凸の状態が下限値未満であると、くさび効果を発現させるのが困難になる。またそれに対して、凹凸の状態が上限値を越えるとそれだけくさび効果は向上するが、化学エッチング法で達成するのが難しくなり、実用性が低下する。
また、ステンレス鋼以外の鉄系磁性材料、例えばSPCCなどの冷延鋼板等の場合は、第一工程で用いられる表面処理液を、亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、カルシウムイオン及びマンガンイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重金属イオンと、リン酸イオンとを含有するもの、具体的にはリン酸亜鉛処理液、リン酸マンガン処理液等に変更して同様に他の工程を実施することで、化学エッチングによる凹凸が形成される。
鉄系部材の炭素繊維強化プラスチックとの接合部には、凹凸処理が施されることで、両部材の接合強度が格段に向上している。
(製造方法の実施例)
以下、本発明のエアースライド装置の製造方法について詳細に説明する。
2分割の金型を用いて、最終形状に近い形状の金型内部空間に、ガイドレールの鉄系材料部材(第4の実施形態のみ)と、炭素繊維プリプレグを積層した状態で配置(第3の実施形態は、最表層部の平織りアラミド繊維プリプレグも設置)し、上型を乗せた時点で、締め代が若干発生するようにする。その後、熱間プレス等で、炭素繊維プリプレグ(第3の実施形態のアラミド繊維プリプレグも含む)に含有される熱硬化性樹脂の硬化温度以上で、一定時間、加圧する。このようにして、それぞれの形態(CFRPのみ、CFRP+AFRP、鉄系材料部材と炭素繊維プリプレグの積層体であるCFRPが一体接合)で、最終形状に近い形状に成形する。鉄系材料部材(ガイドレール)は、あらかじめ、取付ネジ用穴の粗加工を行った後、熱処理を行い、表面硬度を向上させている。更に、鉄系材料部材(ガイドレール)は、接合部以外はマスキングして、接合部のみについて化学エッチング処理を伴う粗面化処理を施してある。また、取付ネジ用穴は、金型中で接合処理を行う際、離型剤等を塗布して後から脱着できるようにした穴埋め部材を挿入した状態とし、炭素繊維プリプレグとの接合が均一に行えるようにする。第4の実施形態で試作した鉄系材料部材(ガイドレール)は、熱処理で硬化が可能なマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS440Cとし、化学エッチング処理を伴う粗面化処理は、上記で説明したシュウ酸鉄を用いるものとする(Ra:1.5)。
炭素繊維プリプレグは、ガイドレール及び可動体の、少なくとも互いに接触する面の最表面を平織りプリプレグで形成し、内部は、一方向プリプレグをガイドレール(可動体本体)の長さ方向に対して、炭素繊維の向き(角度)で、0°→45°→90°→135°→0°の順番で積層する。使用した炭素繊維プリプレグは下記である。
・平織り炭素繊維プリプレグ:東邦テナックス製炭素繊維織物プリプレグ
「テナックス・織物プリプレグW−3101/Q−112J」
プリプレグ仕様:CF重さ200g/m,総重量333g/m
樹脂(エポキシ樹脂,硬化温度130℃)含有率40wt%,成形厚み0.221mm,
使用している炭素繊維フィラメント:引張強度3.92GPa,引張弾性率235GPa,直径7.0μm
・一方向炭素繊維プリプレグ:東邦テナックス製炭素繊維一方向プリプレグ
「テナックス・UDプリプレグ」
プリプレグ仕様:CF重さ100g/m,総重量133g/m
樹脂(エポキシ樹脂,硬化温度130℃)含有率25wt%,成形厚み0.084mm,
使用している炭素繊維フィラメント:引張強度5.79GPa,引張弾性率285GPa,直径5.0μm
130℃、1時間金型中で加圧しながら加熱することで、炭素繊維プリプレグからなる炭素繊維強化プラスチックを成形する(第1の実施例)。また、鉄系部材と炭素繊維プリプレグからなる炭素繊維強化プラスチックを接合一体化する(第4の実施例)。その後、穴埋め部材を外した後、炭素繊維強化プラスチック部分にも、取付ネジ用穴加工を行った後、切削加工や研削加工等の最終仕上げ加工を行う。
尚、第2の実施形態では、第1の実施形態で得られた炭素繊維強化プラスチックのガイドレールに、スパッタリングによるPVD法でDLC皮膜を3μm形成する。
第3の実施形態では、金型成形時に、同様の硬化温度のエポキシ樹脂が40重量%含有された平織りアラミド繊維プリプレグを一緒に入れて成形する。
さらに、カーボングラファイト(黒鉛)等の多孔質材から形成された静圧気体軸受パッドが複数、可動体のガイドレールとの接触面側に固定されている。この固定は、金型内での成形時に接着接合、更にネジ止め等を併用してもよい。
次に、本発明の変形例を説明する。上記実施形態では、エアースライド装置の移動体が鞍型(図1の符号14)のものについて説明したが、本発明は、エアースライド装置の材質に炭素繊維強化プラスチックを用いたことに特徴を有し、その機械的構造のタイプは限定されるものではない。例えば、特開2009−281506に記載のあるような図5および図6に示す中空矩形型の移動体1を用いるエアースライド装置にも適用できる。
以上説明したように、エアースライド装置のガイドレール及び/又は可動体を、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチックで形成することで、大幅な軽量化を達成したエアースライド装置を提供することが可能である。
更に、停止時に接触する可能性のある部分を鉄系材料としたり、表面部に硬質炭素(ダイヤモンドライクカーボン、DLC)皮膜を施したり、あるいは表層部をアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)とすることで、良好な摺動特性も得ることが可能である。
また、炭素繊維強化プラスチックの最表層を平織り炭素繊維プリプレグで形成することで、取付ネジ用穴加工後に、表層の炭素繊維がばらけて、表面状態が悪くなるのが防止されている。更に、炭素繊維強化プラスチックの内部に積層される一方向炭素繊維プリプレグを角度を変えて積層することで、様々な方向の強度が確保されている。
10…エアースライド装置、12…ガイドレール、121…上面部、14…可動体、141…パッド取付面、16…静圧気体軸受パッド、161…気体噴出面、17…鉄系部材

Claims (3)

  1. ガイドレールと、このガイドレールの上面部と対向するパッド取付面を有する可動体と、この可動体の前記パッド取付面に埋設された複数の静圧気体軸受パッドとを備え、前記ガイドレールの上面部に向けて前記静圧気体軸受パッドの気体噴出面から噴出する気体により前記可動体をスライド可能に支持するエアースライド装置において、
    前記ガイドレール及び可動体の一方は、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック部材で形成され、
    前記ガイドレール及び可動体の他方は、前記可動体の停止時に該可動体と前記ガイドレールとが接触する接触部分に配置された鉄系部材と、炭素繊維プリプレグの積層体からなる炭素繊維強化プラスチック部材とが接合された複合部材で形成され、
    前記鉄系部材の前記炭素繊維強化プラスチック部材との接合面に、前記鉄系部材と前記炭素繊維強化プラスチック部材とが互いに分離しないように、穴の内部が穴の入り口部分より広い蟻溝構造の穴が形成されており、
    前記蟻溝構造の穴は、シュウ酸鉄皮膜が形成されたステンレス鋼の前記鉄系部材を、常温で硝酸−フッ化水素酸混酸の水溶液に数分間浸漬し、下地のステンレス鋼が侵されないレベルまで、シュウ酸鉄皮膜の大部分が除去され、前記鉄系部材の表面に化学エッチング処理することにより形成されることを特徴とするエアースライド装置。
  2. 請求項1に記載のエアースライド装置において、前記ガイドレール及び可動体の前記一方を形成する前記炭素繊維強化プラスチック部材が、前記接触部分にアラミド繊維強化プラスチックの表層部を有することを特徴とするエアースライド装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエアースライド装置において、前記複合部材の前記鉄系部材と前記炭素繊維強化プラスチック部材との密着性を高めるため、前記鉄系部材に、さらに、シランカップリング処理が施されることを特徴とするエアースライド装置。
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