JP5284926B2 - 金属と炭素繊維強化樹脂との積層体とその製造方法 - Google Patents

金属と炭素繊維強化樹脂との積層体とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車、航空機、電気・電子機器、医療機器、建築などの分野において、軽量で、高機械的強度、高剛性、耐久性が求められる部材に好適な金属と炭素繊維強化樹脂(以下、CFRPと記載)との積層体とその製造方法に関する。さらに詳しくは、金属体と3軸織物構成のCFRP体とを強固に接着し、積層体の剛性向上、軽量化を図ることができる金属とCFRPとの積層体とその製造方法に関する。
従来より、素材の軽量化、高強度化が実現することにより、自動車、航空機等の素材であれば、燃料の節約、CO排出の削減が可能となり、建築等の素材であれば、より高層化が可能になることから、種々の研究開発が行われている。航空機などでは、一部採用されている。
このような技術として、軽金属と炭素繊維強化樹脂(CFRP)とを接着剤で接着させた軽金属/CFRP製構造部材に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、炭素繊維強化樹脂として一方向プリプレグシートが用いられることが多いが、この一方向プリプレグシートは、力学的、熱的特性に異方性が強い。このため、繊維方向が異なるように組み合わせて疑似等方性になるように数層積層成形したりしている。また、ピッチ系炭素繊維を織物にした3軸織物およびその製造方法に関する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
異なる角度の補強糸を、互い違いに交差させて織目が開孔部となるように織った一層のシート状の織物構造に構成され、コンクリート構造材の表面に固定して構造材の補強・補修に使用される補強材料に関する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
再公表特許WO99/10168 A1公報 特開平9−170138号公報 特開平11−34199号公報
しかしながら、このような素材は例えば航空機の一部に採用されているが、他の分野の各種装置、機器等の素材に使用されるにはまだ改良の余地があり、更なる研究開発がなされ改良されていくことが要望されている。
一方、本出願人も、CFRPと被着材(CFRPまたは金属合金)とを強固に接着して一体化した接合体に関して、鋭意、研究開発を行っている。また、CFRPと被着材の接合体及びその製造方法に関する技術を、特願2009−225057(出願日:平成21年9月29日)等で提案している。
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、金属と3軸織物構成の炭素繊維強化樹脂とを強固に接着し、積層体の剛性向上、機械的強度向上、耐久性向上、軽量化、薄肉化を図ることができる金属と炭素繊維強化樹脂との積層体とその製造方法を提供することにある。
本発明は、上述した目的を達成するために、次の手段を採用する。
本発明1の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物に形成されている炭素繊維強化樹脂体と、前記炭素繊維強化樹脂体に積層される金属体であって、前記開孔部に相当する位置に凸部が形成された金属体と、前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体とを一体に接合するための接着剤とからなり、前記開孔部内に前記凸部が位置するようになっていることを特徴とする。
本発明2の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、本発明1において、前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体とが一体に接合された一方の積層体と、前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体とが一体に接合された他方の積層体とが、前記金属体の平面部または前記凸部上面で接合されていることを特徴とする。
本発明3の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物に形成されている炭素繊維強化樹脂体と、前記炭素繊維強化樹脂体の一方に積層される金属板であって、前記開孔部に相当する位置に凸部が形成された第1金属体と、前記炭素繊維強化樹脂体の他方に積層される金属板であって、前記開孔部に相当する位置に穴部が形成された第2金属体と、前記炭素繊維強化樹脂体、前記第1金属体、及び、前記第2金属体とを一体に接合するための接着剤とからなることを特徴とする。
本発明4の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、本発明1から3において、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面は、粗面化処理がされた面であることを特徴とする。
本発明5の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、本発明1から4において、前記金属体の接合面は、エッチングが施されることにより、山谷平均間隔(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ粗さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を有し、その粗度を有する面内には、5〜500nm周期の超微細凹凸が形成され、且つ、表層が金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層であることを特徴とする。
本発明6の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、本発明1から5において、前記接着剤は、1液性エポキシ接着剤であることを特徴とする。
本発明7の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法は、3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物を、所望の大きさになるように形成して炭素繊維強化樹脂体とする炭素繊維強化樹脂体形成工程と、平板状の金属素材に、前記開孔部に相当する位置に凸部を形成するとともに、前記凸部が形成された金属素材を所望の大きさになるように形成して金属体とする金属体形成工程と、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面と前記金属体の接合面とに接着剤を塗布する塗布工程と、前記炭素繊維強化樹脂体の前記開孔部に、前記金属体の前記凸部を挿通させるとともに、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面と前記金属体の接合面とを一体化して接合する接合工程とからなっている。
本発明8の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法は、本発明7において、前記金属体形成工程は、前記凸部を形成した後、前記金属体の前記接合面にエッチングを施すことにより、その表面を、山谷平均間隔(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ粗さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を有するものとし、その粗度を有する面内には、5〜500nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層とする表面処理を行う表面処理工程を含む工程であり、前記炭素繊維強化樹脂体形成工程は、所定の大きさに形成した後、前記炭素繊維強化樹脂体の前記接合面に粗面化処理を行う粗面化工程を含む工程であり、前記塗布工程は、前記金属体の表面処理を行った前記接合面、及び、前記炭素繊維強化樹脂体の粗面化処理を行った前記接合面に接着剤を塗布する工程であり、前記接合工程は、前記塗布工程後、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面を前記金属体の接合面に付着する付着工程と、付着後、前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体を押さえつつ加熱することによって、前記接着剤を硬化させる硬化工程とを含む工程であることを特徴とする。
本発明9の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法は、本発明8において、前記接着剤は1液性エポキシ接着剤であり、前記塗布工程には、前記1液性エポキシ接着剤を塗布した後、気圧の減圧/常圧戻し操作を複数回行い、前記金属体の接合面、及び、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面に、前記1液性エポキシ接着剤を染み込ます染み込まし処理を含む工程であることを特徴とする。
本発明の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体は、接着剤を介して強固に接合されている。すなわち、表面に所定の間隔毎に凸部が形成され、引っ張り強度、曲げ剛性、捩れ剛性を向上させている金属体と、炭素繊維束が3軸織物構成に織込まれ、どの方向から荷重が作用しても、何れかの方向の炭素繊維束が引っ張り強度を増大させる方向に作用することができる炭素繊維樹脂体とが、強固に接合されている。このことにより、両方の特性の相乗効果により、従来の板状の構造体より、軽量で、機械的強度、剛性を向上させることができた。すなわち、板状の構造体として、引っ張り強度、曲げ剛性、捩れ剛性が格段に向上させたものを容易に得ることができた。
また、この積層体、または、この積層体の応用例としての積層体は、薄肉、軽量で、かつ、熱的特性、機械的強度、剛性、耐久性を向上させた板状の構造部材として好適であり、自動車、航空機、電気・電子機器、建築等の分野に採用することができる。さらに、この積層体を組み合わせることにより、簡単に疑似ハニカム構造の積層体を容易に構成することができる。
本発明の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法は、薄肉、軽量で、かつ、熱的特性、機械的強度、剛性、耐久性を向上させた積層体を、生産性、信頼性が高く、高品質な積層体を製造することができる。すなわち、プレス成形で凸部が形成された金属体と、炭素繊維束が3軸織物構成に織り込まれた炭素繊維強化樹脂体とを接着剤で接合するだけで、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体を製造することができる。
図1は、本発明の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の平面図である。 図2は、図1をA−A線で切断した断面図である 図3は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の積層状態を模式的に示した断面図であり、図1をB−B線で切断した断面図である。 図4は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の応用例としての第1の積層体を示す断面図である。 図5は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の応用例としての第2の積層体を示す断面図である。 図6は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の応用例としての第3の積層体を示す断面図である。 図7は、金属体と1液性エポキシ接着剤とが接合したときの表面構造を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体とその製造方法について、図面に基づいて、その実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の平面図、図2は、図1をA−A線で切断した断面図、図3は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の積層状態を模式的に示した断面図であり、図1をB−B線で切断した断面図である。
図4は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の応用例としての第1の積層体を示す断面図、図5は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の応用例としての第2の積層体を示す断面図、図6は、金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の応用例としての第3の積層体を示す断面図である。図7は、金属体と1液性エポキシ接着剤とが接合したときの表面構造を模式的に示す断面図である。
本発明の積層体10は、断面が平な形状(または、楕円形状、長円形状)の炭素繊維束11、12、13が三軸織物に製織された炭素繊維強化樹脂からなる炭素繊維強化樹脂体(以下、CFRP体と記載)10と、金属体20とを、接着剤30で一体に接合したものである。
〔CFRP体〕
CFRP体10は、炭素繊維束11、12、13を60度の角度で交差して製織することにより三軸織物を形成している。軸方向に対し+60度方向と−60度方向にたて糸である第2炭素繊維束12、第3炭素繊維束13が存在し、幅方向によこ糸である第1炭素繊維束11を挿入し製織する。第2炭素繊維束12、第3炭素繊維束13は両端部で120度方向に折れ曲がり、例えば、+60度方向の第2炭素繊維束12が−60度方向の第3炭素繊維束13に、−60度方向の第3炭素繊維束13が+60度方向の第2炭素繊維束12となり製織が進む。三軸織物の組織は各方向に炭素繊維束が1本配向されている。製織された第1炭素繊維束11〜第3炭素繊維束13には、マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂14が含浸されており、CFRP体10はいわゆるシート状プリプレグを構成するものである(図3参照)。また、CFRP体10は、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維等が製織されたものであればよい。
このCFRP体10は60度毎の各方向に炭素繊維束が存在し、各炭素繊維束が織構造をとるため、厚み方向に対称となり、疑似等方性に優れたシートになっている。すなわち、CFRP体10は、積層面内において、熱的特性、力学的特性である弾性率や機械的強度等が擬似的に均一になっている。第1炭素繊維束11、第2炭素繊維束12、及び、第3炭素繊維束13の織構造の中間には、六角形をした開孔部15が形成されている。開孔部15は、例えば六角の二面幅で2〜4mmの大きさの六角穴である。CFRP体10は、三軸織物に製織された炭素繊維強化樹脂が、所望の大きさ、形状に形成されているものである。
〔金属体〕
金属体20は、金属の種類を特に限定しない。しかしながら、軽量化を考えるとアルミニウム、マグネシウム等比重の軽いいわゆる軽金属製の板状素材で形成された金属体であることが好ましい。金属体20は、平面部23と、平面部23から所定の間隔毎に立設される凸部21とからなっている。すなわち、この板状素材に、プレス加工で、所定の形状(この実施の形態では六角形状)の凸部21が所定の間隔毎に形成されている。なお、凸部の形状は、円状、楕円状、長円状、他の多角形状等であってもよい。この凸部21は、CFRP体10に形成された開孔部15の位置に相当する位置に形成されており、開孔部15内に配置可能に形成されている。凸部21の高さは、CFRP体10より所定量突出する高さになっている(図2参照)。なお、凸部21の高さは、CFRP体10より少し突出、または、CFRP体10の接合面と反対側の面と同一またはほぼ同一になるような高さに形成されているものであってもよい。金属体20は、凸部21が形成された板状素材が、切断等されて所望の大きさ、形状に形成されているものである。
〔接着剤〕
本発明において、接着剤の種類は限定しない。しかし、常温〜高温下での安定した接着力を確保するため、且つ、後述する「NAT」の3条件を具備する金属体との接着力を高めるため、1液性エポキシ接着剤であって組成が最適化されているものを使用することが好ましい。
本発明での使用に好ましい1液性エポキシ接着剤の組成は以下である。この1液性エポキシ接着剤は、1液性エポキシ接着剤を構成する全エポキシ樹脂混合物を100質量部としたときに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂単量体を主体とするビスフェノールA型エポキシ樹脂を60〜75質量部、エポキシ基を3個以上有する多官能型であって且つ芳香環を有するエポキシ樹脂を25〜40質量部混合したものである。このエポキシ樹脂混合物は、「(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂単量体を60〜75質量部、(2)ビスフェノールA型エポキシ樹脂オリゴマーを0〜15質量部、(3)エポキシ基を3個以上有する多官能型であって且つ芳香環を有するエポキシ樹脂を25〜40質量部」混合したものが好ましい。このエポキシ樹脂混合物100質量部に対して、硬化剤としてジシアンジアミド粉体を3〜6質量部添加し、硬化助剤として3−(3,4−ジクロルフェニル)−1,1−ジメチルウレア粉体を1〜3質量部添加したものを基本組成とする。硬化剤及び硬化助剤は下記充填材をエポキシ樹脂に添加して混合した後に、添加することが好ましい。
この1液性エポキシ接着剤では、前述した基本組成に充填材を添加している。添加される充填材は、粒径分布の中心が10〜30μm径のタルク粉体又はクレー粉体、粒径分布中心が10〜30μm径のアルミニウム粉体、及び、粒径分布の中心が10〜30μmの水酸基付きポリエーテルスルホン樹脂粉体である。特にアルミニウム粉末の使用によって接着力を向上させることができる。
また、耐衝撃性を高めることを目的で水酸基付きポリエーテルスルホン樹脂粉体を添加している。粒径分布の中心が10〜30μmの水酸基付きポリエーテルスルホン樹脂粉体は、全エポキシ樹脂100質量部に対し5〜30質量部加えても、硬化性能、接着性能に影響を与えることはない。ポリエーテルスルホン樹脂は融点300℃以上の熱可塑性樹脂であり、常温から150℃程度までであれば十分に硬いが、非常な力がかかった時にはクリープして変形するので接着剤硬化物に耐衝撃性を与える。充填材の添加量は、全エポキシ樹脂量を100質量部として、タルク粉体又はクレー粉体を5〜20質量部、アルミニウム粉体を10〜60質量部、水酸基付きポリエーテルスルホン樹脂粉体を5〜30質量部である。
この結果に基づけば、高温下における炭素繊維と1液性エポキシ接着剤との接着力を向上させることが可能であれば、常温から高温にかけてCFRP体と金属体とが強固に接着された積層体を得ることができることになる。本出願人が開発した耐熱型1液性エポキシ接着剤を使用した場合、常温のみならず、100〜150℃下における炭素繊維とこの1液性エポキシ接着剤との接着力が、炭素繊維とマトリックス樹脂の接着力を上回るので、常温から高温にかけてCFRP体と金属体とが強固に接着された積層体を得ることができる。これは、剥き出しになった炭素繊維の周囲を改良した1液性エポキシ接着剤が覆うことになり、これが新たなマトリックス樹脂となった結果、CFRP体としての耐熱性が向上させることができる。
〔NAT理論〕
本出願人は、金属合金表面を所定の形状、構造とすることで、アンカー効果によって強固な接着力を獲得する方法を提案している。そして、本出願人は、この接着に関する理論を「NAT(Nano Adhesion Technologyの略)」と称している。「NAT」では、金属合金表面が以下に示す3条件を具備することで、被着材との強固な接着を達成することができる。
(1)第1の条件は、最新型のダイナミックモード型の走査型プローブ顕微鏡で金属合金表面を走査したときに、RSmが0.8〜10μmであり、Rzが0.2〜5μmである粗度面となっていることである。ここでRSmは、日本工業規格「JIS B 0601:2001」(ISO 4287:1997)に規定される輪郭曲線要素の平均長さであり、Rzは、日本工業規格「JIS B 0601:2001」(ISO 4287:1997)に規定される最大高さである。この粗度面を「ミクロンオーダーの粗度を有する表面」と称す。
(2)第2の条件は、前記ミクロンオーダーの粗度を有する金属合金表面に、さらに5nm周期以上の超微細凹凸が形成されていることである。当該条件を具備するために、前記金属合金表面に微細エッチングを行い、前述のミクロンオーダーの粗度をなす凹部内壁面に5〜500nm、好ましくは10〜300nm、より好ましくは30〜100nm(最適値は50〜70nm)周期の超微細凹凸を形成する。
(3)第3の条件は、前記金属合金の表層がセラミック質であることである。具体的には、元来耐食性のある金属合金種に関しては、その表層が自然酸化層レベルかそれ以上の厚さの金属酸化物層であることを要し、耐食性が比較的低い金属合金種(例えばマグネシウム合金や一般鋼材等)では、その表層が化成処理等によって生成した金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層であることが第3の条件となる。
これらを模式的に図にすると図7のようになる。金属体20の接合面22の表面にはミクロンオーダーの粗度を成している凹部(C)が形成され、さらにその凹部内壁には超微細凹凸(A)が形成され、表層はセラミック質層31となっており、この超微細凹凸に接着剤30が硬化した接着剤硬化物層の一部が浸入している。このようにした金属合金表面に液状の接着剤30が侵入し、侵入後に硬化すると、金属合金と硬化した接着剤30は非常に強固に接合するという簡潔な考え方である。
〔金属体の表面処理〕
金属体20の接合面22には、前述した「NAT」理論の3条件を具備するために、所定の表面処理が施されている。本出願人は、この各種金属に関する表面処理についての技術を開示している。
例えば、本出願人は、アルミニウム、マグネシウム、銅、チタン、及び鉄を主成分とする金属合金種に関して「NAT」が適用可能であることを確認している。そして、アルミニウム合金に関する技術を「WO2008/114669 A1」で開示している。マグネシウム合金に関する技術を「WO2008/133096 A1」で開示している。銅合金に関する技術を「WO2008/126812 A1」で開示している。チタン合金に関する技術を「WO2008/133030 A1」で開示している。ステンレス鋼に関する技術を「WO2008/133296 A1」で開示している。一般鋼材に関する技術を「WO2008/146833 A1]で開示している。しかし、「NAT」ではアンカー効果により接着力の向上を図っているので、少なくともこれらの金属合金種に限定されるものではない。
(NATの条件に適合する金属合金)
CFRP体に接合する金属体として、「NAT」の3条件を具備する金属合金を使用する。前述の「NAT」に基づく表面構造を具備する金属合金としては、理論上特にその種類に制限はない。しかし、実際に「NAT」を適用できるのは、硬質で実用的な金属合金である。以下、金属合金表面を「NAT」の条件に適合する表面構造とするための表面処理工程について述べる。
なお、この実施の形態の理解を容易にするために、アルミニウム合金に関する表面処理を中心にして簡単に説明を行う。
(金属体の化学エッチング)
この表面処理工程における化学エッチングは、金属合金表面にミクロンオーダーの粗度を生じさせることを目的とする。腐食には全面腐食、孔食、疲労腐食など種類があるが、その金属合金に対して全面腐食を生じる薬品種を選んで試行錯誤し、適当なエッチング剤を選ぶことができる。先行文献(例えば「化学工学便覧(化学工学協会編集)」)によれば、アルミニウム合金は塩基性水溶液、マグネシウム合金は酸性水溶液、ステンレス鋼や一般鋼材全般は、塩酸等ハロゲン化水素酸、亜硫酸、硫酸、これらの塩、等の水溶液で全面腐食するとの記載がある。
又、耐食性の強い銅合金は、高濃度の硝酸水溶液や強酸性とした過酸化水素などの酸化性酸や酸化剤配合液によって全面腐食させられるし、チタン合金は蓚酸や弗化水素酸系の特殊な酸で全面腐食させられることが専門書籍や特許文献に記載がある。実際に市場で販売されている金属合金類は、純銅系銅合金や純チタン系チタン合金のように純度が99.9%以上で合金とは言い難い物もあるが、これらも本発明の金属合金に含まれる。実際に使用されている金属合金の殆どは、特徴的な物性を求めて多種多用な元素が混合されて純金属系の物は少なく、実質的にも合金である。
即ち、金属合金の殆どは、元々の金属物性を低下させることなく耐食性を向上させることを目的として純金属から合金化されたものである。それ故、金属合金によっては、前記酸・塩基類や特定の化学物質を使っても、目標とする化学エッチングができない場合もよくある。実際には使用する酸・塩基水溶液の濃度、液温度、浸漬時間、場合によっては添加物を工夫しつつ試行錯誤して適正な化学エッチングを行うことになる。
化学エッチング法については、「WO2008/114669 A1」にアルミニウム合金に関する技術を、「WO2008/133096 A1」にマグネシウム合金に関する技術を、「WO2008/126812 A1」に銅合金に関する技術を、「WO2008/133030 A1」にチタン合金に関する技術を、「WO2008/133296 A1」にステンレス鋼に関する技術を、及び「WO2008/146833 A1」に一般鋼材に関する技術を記載している。
実際に行う作業として全般的に共通する点を説明する。金属合金を所定の形状に形状化した後、当該金属合金用の脱脂剤を溶かした水溶液に浸漬して脱脂し、水洗する。この工程は、金属合金を形状化する工程で付着した機械油や指脂の大部分を除くための処理であり、常に行うことが好ましい。次いで、薄く希釈した酸・塩基水溶液に浸漬して水洗するのが好ましい。これは本出願人が予備酸洗浄や予備塩基洗浄と称している工程である。一般鋼材のように酸で腐食するような金属合金では、塩基性水溶液に浸漬し水洗する。また、アルミニウム合金のように塩基性水溶液で特に腐食が早い金属合金では、希薄酸水溶液に浸漬し水洗する。これらは、化学エッチングに使用する水溶液と逆性のものを前もって金属合金に付着(吸着)させる工程であり、その後の化学エッチングが誘導期間なしに始まることになって処理の再現性が著しく向上する。それ故にこの予備酸洗浄、予備塩基洗浄工程は本質的なものではないが、実務上、採用することが好ましい。これらの工程の後に化学エッチング工程を行う。
(金属体の微細エッチング・表面硬化処理)
また表面処理工程における微細エッチングは、金属合金表面に超微細凹凸を形成することを目的とする。また本発明における表面硬化処理は、金属合金の表層を金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層とすることを目的とする。金属合金種によっては前記化学エッチングを行っただけで同時にナノオーダーの微細エッチングもなされ、超微細凹凸が形成される場合がある。さらに、金属合金種によっては表面の自然酸化層が元よりも厚くなって表面硬化処理も完了している場合もある。例えば、純チタン系のチタン合金は化学エッチングだけを行うことで、表面がミクロンオーダーの粗度を有し、且つ超微細凹凸も形成される。即ち、化学エッチングと併せて微細エッチングもなされる。しかし、多くは化学エッチングによりミクロンオーダーの大きな凹凸面を作った後で微細エッチングや表面硬化処理を行う必要がある。
[CFRP体の粗面化処理]
CFRP体を金属体と接着させる場合、CFRP体の表面を粗面化することで安定した接着力が得られる。この表面の研磨は研磨紙によって可能であり、例えば、日本工業規格「JIS R 6252」に規定される80番〜480番、好ましくは120番〜240番のやや目の粗い研磨紙でCFRP体の表面を10〜20回程度研磨したものが、安定的に高い接着力を発揮する。粗面化後の表面に付着した汚れ(微粉)を除去するため、CFRP体を洗剤を含む水溶液に浸漬した後、乾燥する。または、強い水流で粗面化した部分の汚れを取り去り、水道水又は純水に漬けて水洗し、乾燥してもよい。なお、この形態の説明では、粗面化を研磨紙で研磨する方法で説明を行ったが、サンドブラスト等の方法であってもよい。すなわち、量産工程では研磨紙に代えてサンドブラストを使用することが可能である。
CFRP体は、表面から炭素繊維の一部が剥き出しとなる程度の粗面化を行うことが好ましい。概して炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性よりも、炭素繊維と1液性エポキシ接着剤の接着性が優れているからである。市販の1液性エポキシ接着剤を使用した場合、常温下では炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性よりも、炭素繊維と1液性エポキシ接着剤の接着性が優れている。しかし、100℃以上の高温下においては市販の1液性エポキシ接着剤と炭素繊維との接着力が急激に低下して、この1液性エポキシ接着剤と炭素繊維との間で破断が生じる。即ち、高温下においては、本発明で使用するCFRPプリプレグにおける炭素繊維とマトリックス樹脂との接着力ではなく、炭素繊維と1液性エポキシ接着剤の接着力の低下によって破断に至るのである。
〔染み込まし処理〕
(金属体の染み込まし処理)
「NAT」に適合する第1の条件〜第3の条件を具備する金属体20の接合面22の表面に接着剤(1液性エポキシ系接着剤)30を塗布した後、その金属体20をデシケータ等の容器に入れて密閉し、容器内の圧力を真空ポンプ等で一旦減圧し、その後に常圧に戻す操作を行う。具体的には、容器内の圧力を数十mmHg程度まで減圧し、その状態を所定時間以上(概ね数秒〜数分)維持し、その後空気を入れて常圧に戻す(又は数気圧以上の圧力まで加圧する)ことが好ましい。減圧状態に維持する時間は、接着剤の超微細凹凸への侵入具合に応じて調整する。この減圧/常圧戻し操作は複数回繰り返すのが好ましい。この減圧/常圧戻し操作に使用する容器、例えばデシケータは使用前に50〜70℃に暖めておくことが好ましい。これは塗布した接着剤の粘度を下げて表面の超微細凹凸に染み込み易くするためである。接着剤の接着剤粘度を15Pa秒以下、好ましくは10Pa秒以下とすることで超微細凹凸に侵入させる。染み込まし処理を終えた金属体を容器から取り出して熱風乾燥機に入れ、接着剤を硬化させる。
ここで、金属体20の接合面22の表面に塗布しようとする接着剤(1液性エポキシ系接着剤)30の粘度が低い(例えば10Pa秒以下である)場合には前記減圧/常圧戻し操作を行うまでもなく、接着剤30が超微細凹凸に侵入する場合がある。この場合には、当然染み込まし処理は不要である。また、塗布しようとする接着剤30の粘度が高くても、金属体20を暖めておくことにより、塗布後に接着剤の粘度が低下して超微細凹凸に侵入する場合がある。この場合にも染み込まし処理は不要となる。これら、接着剤30塗布前における金属体20の加熱、及び染み込まし処理は、接着剤の超微細凹凸への侵入具合に応じて行えばよい。
(CFRP体の染み込まし処理)
粗面化したCFRP体10の接合面の表面の所定箇所に、接着剤(1液性エポキシ接着剤)30を塗布した後、デシケータ等の容器に入れて密閉し、容器内の圧力を真空ポンプ等で一旦減圧し、その後に常圧に戻す操作を行う。具体的には、容器内の圧力を数十mmHg程度まで減圧し、その状態を所定時間以上(概ね数秒〜数分)維持し、その後空気を入れて常圧に戻す(又は数気圧以上の圧力まで加圧する)ことが好ましい。減圧状態に置く時間は、接着剤30の粗面化部分に係る凹凸への侵入具合に応じて調整する。この作業は、粗面化により生じたCFRP体10の接合面の凹凸に接着剤30を侵入させることを目的とする。即ち、CFRP体10のマトリックス樹脂が硬化したエポキシ樹脂硬化物に、接着剤(1液性エポキシ接着剤)30を染み込ませるのである。硬化剤を混入した後の接着剤30の粘度が数十Pa秒以上と高い場合には、染み込まし処理に使用する容器は予め50〜70℃に加熱しておく。これにより接着剤(1液性エポキシ接着剤)30の粘度を15Pa秒以下、好ましくは10Pa秒以下にする。
ここで、CFRP体10に塗布しようとする接着剤30の粘度が低い(例えば15Pa秒以下である)場合には前述した減圧/常圧戻し操作を行うまでもなく、接着剤30が粗面化部分に係る凹凸に侵入する場合がある。この場合には、当然染み込まし処理は不要である。また、塗布しようとする接着剤30の粘度が高くても、CFRP体10を暖めておくことにより、塗布後に接着剤30の粘度が低下して粗面化部分の凹凸に侵入する場合がある。この場合にも染み込まし処理は不要となる。これら、接着剤30塗布前におけるCFRP体10の加熱及び染み込まし処理は、接着剤30の凹凸への侵入具合に応じて行えばよい。
〔CFRP体と金属体(アルミニウム合金体)の接合〕
CFRP体10と金属体20とを接着剤30で接合する手順を以下に示す。
まず、金属体(アルミニウム合金)20の板状素材に、プレス加工で、所定の形状(この実施の形態では六角形状)の凸部21を所定の間隔毎に形成する。プレス加工した板状素材を、所望の大きさ、形状になるように切断等して金属体20を形成する。金属体20の接合面22をエッチングし、前述した「NAT」3条件を満たすようにする(金属体形成工程)。
3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物を所望の大きさ、形状に切断等してCFRP体10を形成する。CFRP体10の接合面を、日本工業規格「JIS R 6252」に規定される120番の研磨紙で10数回しっかり研磨して、粗面化する。次いで、超音波発振部を設置した槽にアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6」を7.5%を含む水溶液(60℃)を用意し、これに超音波を発振させた状態として、粗面化したCFRP体10を5分浸漬する。その後、このCFRP体10を水洗し、80℃にセットした熱風乾燥機に15分入れて乾燥する(炭素繊維強化樹脂体形成工程)。
金属体(アルミニウム合金体)20の接合面22に接着剤(1液性エポキシ接着剤)30を塗布する。また、CFRP体10の接合面に同じ接着剤(1液性エポキシ接着剤)30を塗布する(塗布工程)。このようにして接着剤30を塗布した金属体20、CFRP体10を、デシケータに入れる。このデシケータは、予め67℃とした温風乾燥機内に15分置いて温めておいたものである。次いで、デシケータ内の圧力を真空ポンプで減圧し、3分程度10mmHg以下の低圧状態に維持した後、常圧に戻す。この減圧/常圧戻しの操作(染み込まし処理)を複数回行った後、金属体20、CFRP体10をデシケータから取り出す。
金属体(アルミニウム合金体)20の接合面22とCFRP体10の接合面とを密着させ、クリップで固定した。このとき、金属体20の凸部21は、CFRP体10の開孔部15に挿通された状態になっている。これらを90℃にセットした熱風乾燥機に入れ、135℃に昇温して40分加熱する。その後、さらに165℃まで昇温して30分加熱した後、電源を切って放冷する。
CFRP体10の接合面と金属体20の接合面22とは、接着剤(1液性エポキシ接着剤)30で強固に接合されている(接合工程)。
こうした場合、接着剤(1液性エポキシ接着剤)30が液体であれば、その常温下粘度が高くとも多少の温度上昇で低粘度にできるので、金属体20表面のミクロンオーダーの粗度に係る凹部(前記第1条件における凹凸の凹部)内に侵入可能である。そして侵入した接着剤(1液性エポキシ接着剤)30は、その後の加熱でこの凹部内で硬化することになる。実際には、この凹部の内壁面には超微細凹凸がさらに形成されており(前記第2条件)、且つこの超微細凹凸は、セラミック質の高硬度の薄膜(前記第3条件)で覆われていることから、凹部内部に侵入して固化したエポキシ樹脂は、スパイクのような超微細凹凸に掴まって抜け難くなる。
この積層体1は、金属体20とCFRP体10とが、接着剤30を介して強固に接合されている。すなわち、表面に所定の間隔毎に凸部が形成され、引っ張り強度、曲げ剛性、捩れ剛性を向上させている金属体20と、炭素繊維束が3軸織物構成に織込まれ、どの方向から荷重が作用しても、何れかの方向の炭素繊維束が引っ張り強度を増大させる方向に作用することができるCFRP体10とが、強固に接合されている。この両方の特性の相乗効果により、薄肉、軽量で、熱的特性、機械的強度、剛性を向上させることができる。すなわち、板状の構造体として、引っ張り強度、曲げ剛性、捩れ剛性を格段に向上させた積層体1を容易に得ることができる。
図4〜6に基づいて、積層体1の応用例として構造部材に好適な積層体51、61、71について説明を行う。
図4、5に示すように、2つの積層体1同士を、正面合わせ、または、背面合わせにして接着剤55で接合すると、ハニカム構造に類似した構造部材に好適な積層体51、積層体61を得ることができる。例えば、正面合わせすなわち積層体1、1の平面部23の面52a、52bを接着剤55で接合すると図4に示した積層体51となる。また、背面合わせすなわち積層体1、1の凸部21の面(凸部上面)62a、62bを接着剤55で接合すると、図5に示した積層体61となる。
これら積層体51、61は、積層体1単体より、さらに強度を向上させたものとすることができる。すなわち、軽量、高機械的強度、高剛性の構造部材に好適な積層体51、61を得ることができる。また、積層体51は、CFRP体10が外周に表れるので、美観等に優れたものとなる。
なお、接着剤55は、一般の接着剤でもよい。しかしながら、常温〜高温下での安定した接着力を確保するため、且つ、前述した「NAT」の条件を具備する金属体との接着力を高めるため、前述した1液性エポキシ接着剤を使用することが好ましい。また、面52a、52b、及び、面62a、62bは前述したような表面処理を施すとよい。
図6に示すように、積層体71は、積層体1に第2金属体25が接着剤56で接合されているものである。第2金属体25は、平板であり、凸部21に相当する位置に穴部25aが形成されている。そして、積層体1に第2金属体25が接合されたとき、凸部21は穴25aを挿通している。金属体(第1金属体)20にCFRP体10の一方の面が接着剤30で接合されている。また、CFRP体10の他方の面に、第2金属体25の一方の面が接着剤56で接合されている。このように接合することで、第1金属体20、CFRP体10、第2金属体25が、サンドイッチ状に、一体に接合された積層体71を得ることができる。この積層体71も、略平面状でありながら、軽量、高機械的強度、高剛性の構造部材に好適な積層体とすることができる。なお、凸部21の高さは、図6では、第2の金属板25の下面(他方の面)より突出している例を示しているが、第2の金属板25の下面と同一またはほぼ同一の高さのものであってもよい。
なお、接着剤30、56は、一般の接着剤でもよい。しかしながら、常温〜高温下での安定した接着力を確保するため、且つ、前述した「NAT」の条件を具備する金属体との接着力を高めるため、前述した1液性エポキシ接着剤を使用することが好ましい。また、第1金属体20の接合面、第2金属体25の接合面、CFRP体10の接合面は、各々、前述したような表面処理、粗面化処理を行ったものであることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、金属体の凸部は、CFRP体の開孔部の位置に相当するところに全部なくてもよい。金属体の凸部が、CFRP体の開孔部の複数個毎に形成されていてもよい。
1 … 積層体
10 … 炭素繊維強化樹脂体(CFRP体)
11 … 第1炭素繊維束
12 … 第2炭素繊維束
13 … 第3炭素繊維束
15 … 開孔部
20 … 金属体(第1の金属体)
21 … 凸部
23 … 平面部
25 … 第2の金属体
30、55、56…接着剤
51、61、71…積層体

Claims (9)

  1. 3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物に形成されている炭素繊維強化樹脂体と、
    前記炭素繊維強化樹脂体に積層される金属体であって、前記開孔部に相当する位置に凸部が形成された金属体と、
    前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体とを一体に接合するための接着剤とからなり、
    前記開孔部内に前記凸部が位置するようになっている
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体。
  2. 請求項1に記載された金属と炭素繊維強化樹脂との積層体において、
    前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体とが一体に接合された一方の積層体と、前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体とが一体に接合された他方の積層体とが、前記金属体の平面部または前記凸部の凸部上面で接合されている
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体。
  3. 3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物に形成されている炭素繊維強化樹脂体と、
    前記炭素繊維強化樹脂体の一方に積層される金属板であって、前記開孔部に相当する位置に凸部が形成された第1金属体と、
    前記炭素繊維強化樹脂体の他方に積層される金属板であって、前記開孔部に相当する位置に穴部が形成された第2金属体と、
    前記炭素繊維強化樹脂体、前記第1金属体、及び、前記第2金属体とを一体に接合するための接着剤とからなる
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載された金属と炭素繊維強化樹脂との積層体において、
    前記炭素繊維強化樹脂体の接合面は、粗面化処理がされた面である
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載された金属と炭素繊維強化樹脂との積層体において、
    前記金属体の接合面は、エッチングが施されることにより、山谷平均間隔(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ粗さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を有し、その粗度を有する面内には、5〜500nm周期の超微細凹凸が形成され、且つ、表層が金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層である
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載された金属と炭素繊維強化樹脂との積層体において、
    前記接着剤は、1液性エポキシ接着剤である
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体。
  7. 3本の炭素繊維束が、互いに、所定の角度を有するように織り込まれ、互い違いに交差する織り目に、所定の形状の開孔部を有するように織られた3軸織物を、所望の大きさになるように形成して炭素繊維強化樹脂体とする炭素繊維強化樹脂体形成工程と、
    平板状の金属素材に、前記開孔部に相当する位置に凸部を形成するとともに、前記凸部が形成された金属素材を所望の大きさになるように形成して金属体とする金属体形成工程と、
    前記炭素繊維強化樹脂体の接合面と前記金属体の接合面とに接着剤を塗布する塗布工程と、
    前記炭素繊維強化樹脂体の前記開孔部に、前記金属体の前記凸部を挿通させるとともに、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面と前記金属体の接合面とを一体化して接合する接合工程と
    からなる金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法。
  8. 請求項7に記載された金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法において、
    前記金属体形成工程は、前記凸部を形成した後、前記金属体の前記接合面にエッチングを施すことにより、その表面を、山谷平均間隔(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ粗さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を有するものとし、その粗度を有する面内には、5〜500nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層とする表面処理を行う表面処理工程を含む工程であり、
    前記炭素繊維強化樹脂体形成工程は、所定の大きさに形成した後、前記炭素繊維強化樹脂体の前記接合面に粗面化処理を行う粗面化工程を含む工程であり、
    前記塗布工程は、前記金属体の表面処理を行った前記接合面、及び、前記炭素繊維強化樹脂体の粗面化処理を行った前記接合面に接着剤を塗布する工程であり、
    前記接合工程は、前記塗布工程後、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面を前記金属体の接合面に付着する付着工程と、付着後、前記炭素繊維強化樹脂体と前記金属体を押さえつつ加熱することによって、前記接着剤を硬化させる硬化工程とを含む工程である
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法。
  9. 請求項8に記載された金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法において、
    前記接着剤は1液性エポキシ接着剤であり、
    前記塗布工程には、前記1液性エポキシ接着剤を塗布した後、気圧の減圧/常圧戻し操作を複数回行い、前記金属体の接合面、及び、前記炭素繊維強化樹脂体の接合面に、前記1液性エポキシ接着剤を染み込ます染み込まし処理を含む工程である
    ことを特徴とする金属と炭素繊維強化樹脂との積層体の製造方法。
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