JP5593788B2 - 導電性ポリアミド樹脂組成物及び導電性ポリアミドフィルム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、近年、自動車の外板など、静電塗装により塗装される用途に好適な、導電性を有すると共に機械的強度、成形加工性に優れた導電性ポリアミド樹脂組成物が報告されている。
この特許文献1に記載される発明では、ポリアミド6等のポリアミド樹脂に導電性カーボンブラックを配合して導電性を付与している。
が共に優れた導電性ポリアミド樹脂組成物及び導電性ポリアミドフィルムを提供することを課題とする。
また、本発明によれば、同種、同量の導電性付与剤を配合した他のポリアミド樹脂組成物よりなる導電性ポリアミドフィルムと比較して、より高い導電性を有する導電性ポリアミドフィルムが提供される。
本発明の導電性ポリアミドフィルムは、例えば、電気・電子部品や、自動車外装材をはじめとする広範囲のフィルム、シート分野に利用できるものである。
なお、本発明の導電性ポリアミドフィルムの「フィルム」とは、「シート」等の薄板状のものも包含する広義の「フィルム」を意味する。
まず、本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物について説明する。
本発明において、ポリアミド5Xとは、ペンタメチレンジアミンを含むジアミンと、ジカルボン酸とを単量体成分として用いる重縮合反応により得られる重縮合体に相当する構造を有するポリアミド樹脂である。
ポリアミド5Xの末端アミノ基濃度が過度に低いと、導電性が低下する傾向があるので好ましくなく、過度に高いとゲルが生成する恐れがあるので好ましくない。
モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン等の1種又は2種以上が挙げられる。
相対粘度が過度に小さいと実用的強度が得られない傾向がある。また、相対粘度が過度に大きいと流動性が低下して成形加工性が損なわれる傾向がある。
即ち、ポリアミド5Xはγ型結晶を有する傾向にあるが、一般的に使用されているポリアミド6、ポリアミド66等はα型結晶のみを有する傾向にある。α型結晶はγ型結晶に比べて結晶サイズが大きく、導電性付与剤による導電経路を遮断し易いのに対して、ポリアミド5Xのγ型結晶はこのような問題がなく、導電経路を維持し得ることにより、導電性付与剤の配合による導電性の発現効果が高いものと考えられる。
本発明における、ポリアミド樹脂中のポリアミド5Xの含有量はポリアミド樹脂100重量部中、通常50重量部以上、好ましくは60重量部以上、より好ましくは70重量部以上、更に好ましくは80重量部以上、特に好ましくは90重量部以上である。
本発明で使用する導電性付与剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール単位やイオン性官能基を有する高分子帯電防止剤等の有機化合物の他に、カーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、金属粉未、金属酸化物等の無機物等が挙げられる。特に、比較的少量の導電性物質の添加で、高い導電性が発現し、良好な外観が得られ、他の物性とのバランスも良好であることから、以下に記載する導電性カーボンブラック、中空炭素フィブリルが好ましい。
導電性カーボンブラック、中空炭素フィブリルは、ジェットミルやスーパーミキサー等の高速粉砕機を用いて予め粉砕しておくことが好ましい。
導電性カーボンブラックとしては、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレー卜(DBP)吸油量が、30ml/100g以上であり、より好ましくは100ml/100g以上である導電性カーボンブラックが挙げられる。
好ましい導電性カーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等が挙げられる。
これらの導電性カーボンブラックは、ペイント等に着色目的で加える顔料用カーボンブラックとは相違し、通常、微細な粒子が連なった形態を有している。
中空炭素フィブリルとしては、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレー卜(DBP)吸油量が、100ml/100g以上であり、より好ましくは200ml/100g以上である中空炭素フィブリルが挙げられる。
ここで、本発明で使用する中空炭素フィブリルとしては、規則的に炭素原子が配列した本質的に連続的な多層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、外側領域の多層各層と中空領域とが実質的に同心的に配置され、本質的に円筒状のフィブリルが挙げられる。
さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2〜20nmの範囲のものが好ましい。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、各種の添加剤が配合される。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、離型剤、滑剤、顔料、染料、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、強化材等が挙げられる。また、ポリアミド5X以外の他の重合体が配合されていてもよい。
酸化防止剤又は熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ホスファイト系化合物及びこれらの置換体等が挙げられる。
耐候剤としては、レゾルシノール系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
離型剤又は滑剤としては、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素化合物、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
顔料としては、フタロシアニン、カーボンブラック等が挙げられる。
染料としては、ニグロシン、アニリンブラック等が挙げられる。
結晶核剤としては、タルク、シリカ、カオリン、クレー等が挙げられる。
可塑剤としては、p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
難燃剤としては、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等が挙げられる。
強化材としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、窒化硼素、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム等が挙げられる。
他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレン、更にはポリアミド5X以外のポリアミド樹脂等が挙げられ、ポリアミド5X以外のポリアミド樹脂が好ましい。これらの他の重合体についても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物において、導電性付与剤の含有量は、0.1重量%〜65重量%であり、好ましくは0.1重量%〜60重量%、特に好ましくは1重量%〜55重量%である。特に、中空炭素フィブリルの含有量は0.1重量%〜15重量%とし、導電性カーボンブラックの含有量は10重量%〜55重量%とすることが好ましい。
導電性ポリアミド樹脂組成物中の導電性付与剤の含有量が過度に少ないと、所望の導電性が得られないことがある。また、含有量が過度に多いと成形性(製膜性)や柔軟性等が損なわれるおそれがある。
特に本発明では、ポリアミド樹脂としてポリアミド5Xを用いることによる前述の導電性付与剤の導電性発現効果の向上効果で、導電性付与剤の少量配合で、従って、成形性(製膜性)や柔軟性等を損なうことなく、良好な導電性ポリアミドフィルムを実現することができる点に特徴を有し、導電性ポリアミド樹脂組成物中の導電性付与剤の含有量は、特に30重量%以下、例えば3重量%〜30重量%であっても、体積固有抵抗値1×103Ω・cm以下の優れた導電性を得ることができる。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、灰分残渣が0.5重量%以下であることを特徴とする。
灰分残渣の量が多いとフィルム外観が悪化し、成形性(製膜性)が悪くなる可能性がある。
灰分残渣は少ない程好ましく、とりわけ0.4重量%以下が好ましく、特に0.2重量%以下であることが好ましく、0.1重量%であることが最も好ましい。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、これを成形して得られるフィルムの体積固有抵抗値が1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物の体積固有抵抗値が上記上限よりも大きいと、本発明で目的とする高導電性のポリアミドフィルムを提供し得ない。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物の体積固有抵抗値は、好ましくは1.0×105Ω・cm以下、より好ましくは1.0×103Ω・cm以下で、低い程導電性に優れ、好ましいが、通常1×10−2Ω・cm以上である。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、温度280℃、剪断速度91.6sec−1における溶融粘度が100Pa・s〜4000Pa・sであることが好ましい。この溶融粘度が低過ぎると良好なフィルム成形性が得られない可能性がある。逆に溶融粘度が高過ぎると樹脂圧力が上昇し、それにより押出機モーターへの負荷が高くなり、樹脂の押出が困難になる場合がある。
より好ましい本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度は150Pa・s〜3500Pa・s、特に好ましくは200Pa・s〜3000Pa・sである。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂としてのポリアミド5Xと、導電性付与剤と、さらに必要に応じて適宜配合される各種の添加剤や他の重合体、を公知の混合手段で混合することで製造することができる。なお、前述のその他の添加剤や他の重合体は、導電性ポリアミド樹脂組成物の製造工程のみならず、ポリアミド5Xの重縮合工程等の製造工程から、導電性ポリアミド樹脂組成物の成形工程までの間の任意の段階で適宜その添加量、添加工程を選択して添加することができる。
また、ポリアミド5Xの一部をポリアミド6、ポリアミド66等の汎用のポリアミド樹脂に置換してもよいが、少なくとも導電性付与剤を予め溶融混練して導電剤マスターバッチを製造するためのポリアミド樹脂はポリアミド5Xであることが好ましい。
本発明の導電性ポリアミドフィルムは、上述の本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物を含むものであり、通常、本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物を公知の押出成形方法によりフィルム成形することにより製造される。
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)
ポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)は、ポリアミド樹脂を98%硫酸に溶解した溶液(濃度:0.01g/ml)を調製し、25℃で、オストワルド式粘度計を使用して測定した(単位:dl/g)。
ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:セイコー電子工業株式会社製「ロボットDSC」)を使用して、窒素雰囲気下にて測定した。ポリアミド樹脂試料約5mgを完全に融解させ、3分間保持した後、降温速度20℃/分で30℃まで降温した。続いて、30℃で3分間保持した後、昇温速度20℃/分で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点(Tm)として測定した。吸熱ピークが複数ある場合は、最も高い温度を融点(Tm)とした。
ポリアミド樹脂の試料0.1g〜0.2gを正確に秤量し、フェノール(林純薬工業株式会社製)50ml中に溶解した後、自動滴定装置(三菱化学株式会社製「GT−06」)を用いて、0.1N塩酸で滴定して算出した(単位:μeq/g)。
ポリアミド樹脂の試料20gを使用し、キャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製 キャピログラフ1C)を用いて、測定温度280℃、剪断速度91.6sec−1における溶融粘度を測定した。
ポリアミド樹脂の試料約10gを正確に秤量し、700℃で5時間電気炉にて燃焼させ、灰分残渣量を秤量し重量%にて表示した。
押出成形開始から10分後のフィルムをカッターを用いて100mm×100mmに切り出し、その両端に銀ペーストを塗布して、23℃で30分間、風乾したものを試験片とした。
測定は、銀ペーストを塗布した両端面の間の抵抗を測定し、体積抵抗率を算出し、これを体積固有抵抗値とした。
尚、測定器としては、株式会社三菱化学アナリテック製「ロレスタEP」及び株式会社三菱化学アナリテック製「ハイレスタUP」を使用した。体積抵抗値が106Ω・cm以下の場合は「ロレスタEP」を用い、それを超える時は「ハイレスタUP」を用いた。プローブはESP型を使用した。「ハイレスタUP」はリング法を用い、500Vで1分間チャージを行い、測定開始から1分後の値を採用した。体積固有抵抗値は低いほど導電性が優れている。
得られた樹脂組成物を、先端に600mm幅Tダイを装着した直径40mm単軸押出機で、シリンダ温度270℃で押出し、ダイス温度275℃、ロール温度60℃で、引き取り速度3mm/minにて厚み50μmのフラットフィルムを10分間成形したときの連続製膜性を評価した。
安定的に製膜ができれば「○」とした。製膜が困難であった場合は「×」とした。結果を表1、表2に付記した。
ε−カプロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、AH塩(ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩)、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミンは、いずれも市販品を使用した。
ε−カプロラクタム:三菱化学株式会社製
アジピン酸:旭化成ケミカルズ株式会社製
セバシン酸:小倉合成株式会社製
AH塩:Rhodia社製
12−アミノドデカン酸:宇部興産株式会社製
ヘキサメチレンジアミン:旭化成ケミカルズ株式会社製
(1)ペンタメチレンジアミン
ペンタメチレンジアミンは、以下の操作により調製した。
まず初めに、特開2008−189918号公報(段落[0108]〜[0113])に記載されたカダベリン・アジピン酸塩の精製・単離(1)の1番晶を得る方法と同様の操作を行い、含水率が約15重量%のカダベリン・アジピン酸塩(ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩)を得た。
予め窒素置換した1m3のステンレス製容器に、脱塩水(100kg)と、含水率が約15重量%のペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩(250kg)とを仕込み、撹拌して溶解させた。
次に、この溶解液中に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液(273.8kg)を仕込み、中和した(即ち、ペンタメチレンジアミンを脱塩して遊離アミンとした)。溶解液中に水酸化ナトリウム水溶液を仕込む際は、溶解液の内温が70℃を超えないように調整した。
中和処理を行った溶解液を、内温50℃、減圧度50Torr(6.5kPa)の条件で水を留去し、次いで、内温80℃、減圧度20Torr(2.6kPa)の条件でぺンタメチレンジアミンを蒸留した。得られたペンタメチレンジアミンを内温80℃、減圧度20Torr(2.6kPa)の条件で再度蒸留を行い、ナトリウム含有率が約2ppmのペンタメチレンジアミンを得た。
(1)ポリアミド6(末端アミノ基濃度:60μeq/g)
ε−カプロラクタム50kg、脱塩水1.5kg、及び亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素置換した後に100℃にて溶解した。この原料水溶液をオートクレーブに移送し、ジャケット温度を280℃に設定して加熱を開始した。内容物を270℃迄昇温した後、オートクレーブの圧力を徐々に放圧し、更に減圧して所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後、窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットに対し、得られたペレットの1.5倍量の沸騰水を使用して未反応のモノマー、オリゴマーを抽出除去した。未反応物を除去したペレットは120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥を行い、ポリアミド6を得た。
ポリアミド6の相対粘度(ηr)は2.8、融点(Tm)は224℃、末端アミノ基濃度は60μeq/gであった。
12−アミノドデカン酸50kg、及び亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内の窒素置換を行った。その後、ジャケット温度を230℃に設定して加熱を開始した。内容物を220℃迄昇温した後、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧し、更に減圧して所定の撹拌動力に到達した時点で反応終了とした。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド12を得た。
ポリアミド12の相対粘度(ηr)は2.8、融点(Tm)は182℃、末端アミノ基濃度は56μeq/gであった。
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、セバシン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して前記ポリアミド6製造時より低く設定された所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド510を得た。
ポリアミド510の相対粘度(ηr)は2.5、融点(Tm)は218℃、末端アミノ基濃度は43μeq/gであった。
以下、このポリアミド510を「ポリアミド510(43)」と記す。
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、セバシン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gと酢酸74gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して前記ポリアミド510(43)製造時と同じ所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド510を得た。
ポリアミド510の相対粘度(ηr)は2.5、融点(Tm)は218℃、末端アミノ基濃度は15μeq/gであった。
以下、このポリアミド510を「ポリアミド510(15)」と記す。
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、セバシン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48g、及びペンタメチレンジアミン135gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して前記ポリアミド6製造時より高く設定された所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド510を得た。
ポリアミド510の相対粘度(ηr)は4.5、融点(Tm)は218℃、末端アミノ基濃度は23μeq/gであった。
以下、このポリアミド510を「ポリアミド510(23)」と記す。
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、セバシン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して前記ポリアミド510(43)製造より低く設定された所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド510を得た。
ポリアミド510の相対粘度(ηr)は2.0、融点(Tm)は218℃、末端アミノ基濃度は55μeq/gであった。
以下、このポリアミド510を「ポリアミド510(55)」と記す。
濃度50重量%、数量100kgのヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液となるように、ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を285℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を275℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド66を得た。
ポリアミド66の相対粘度(ηr)は2.8、融点(Tm)は264℃、末端アミノ基濃度は51μeq/gであった。
濃度50重量%、数量80kgのペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、アジピン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらにε−カプロラクタム10kg、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48g、及びペンタメチレンジアミン135gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させて原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して前記ポリアミド6製造時より高く、前記ポリアミド510(23)製造時より低く設定された所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。
得られたペレットに対し、得られたペレットの1.5倍量の沸騰水を使用して未反応のモノマー、オリゴマーを抽出除去した。未反応物を除去したペレットは120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥を行い、ポリアミド56/6(56/6仕込み重量比=80/20)を得た。
ポリアミド56/6の相対粘度(ηr)は3.5、融点(Tm)は224℃、末端アミノ基濃度は40μeq/gであった。
ε−カプロラクタム40kgを容器に入れ、窒素置換した後に100℃にて溶解した。この原料水溶液をオートクレーブ(a)に移送し、ジャケット温度を270℃に設定して加熱を開始した。
濃度50重量%、数量20kgのヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液、及び亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gをオートクレーブ(b)に入れ、窒素置換した後に昇温を開始した。内容物の温度と圧力が、150℃、0.15MPaに到達するまでヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液の濃縮を行った。
オートクレーブ(a)の内温が245℃に到達した時点で、オートクレーブ(b)のヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液をオートクレーブ(a)に移送した。ジャケット温度を250℃に、オートクレーブ(a)の圧力を0.20MPaにそれぞれ調節し、内容物を240℃に昇温した。次に、オートクレーブ(a)の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。
反応終了後、窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットに対し、得られたペレットの1.5倍量の沸騰水を使用して未反応のモノマー、オリゴマーを抽出除去した。未反応物を除去したペレットは120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥を行い、ポリアミド6/66(6/66仕込み重量比=80/20)を得た。
ポリアミド6/66aの相対粘度(ηr)は2.8、融点(Tm)は191℃、末端アミノ基濃度は58μeq/gであった。
濃度50重量%、数量100kgのヘキサメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して前記ポリアミド510(43)製造時と同じ所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド610を得た。
ポリアミド610の相対粘度(ηr)は2.5、融点(Tm)は222℃、末端アミノ基濃度は44μeq/gであった。
以下、このポリアミド610を「ポリアミド610(44)」と記す。
濃度50重量%、数量100kgのヘキサメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸、及び脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して所定の撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド610を得た。
ポリアミド610の相対粘度(ηr)は2.8、融点(Tm)は222℃、末端アミノ基濃度は37μeq/gであった。
以下、このポリアミド610を「ポリアミド610(37)」と記す。
中空炭素フィブリルとして、DBP吸油量256ml/100gの三菱化学(株)製カーボンナノチューブ「MC−4」を用いた。
また、導電性カーボンブラックとしては、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されたDBP吸油量140ml/100gの三菱化学(株)製カーボンブラック「#3230MJ」を用いた。
強化材として、平均繊維径10μmのガラス繊維を用いた。
二軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用い、表1〜3に示す配合割合の導電性付与剤とポリアミド樹脂とを、シリンダ設定温度265℃、スクリュ回転数250rpm、吐出量20kg/時間で溶融混練して、それぞれ導電剤マスターバッチ1,2を調製した。
なお、表1〜3中、中空炭素フィブリルは「CF」と表記し、導電性カーボンブラックは「CB」、ガラス繊維は「GF」と表記する。
表1〜3に示す導電剤マスターバッチ1及びベースポリアミド(実施例4においては更に導電剤マスターバッチ2)を表1〜3に示す配合重量割合で回転式タンブラーを用いてドライブレンドし、ブレンド物(導電性ポリアミド樹脂組成物)とした。該ブレンド物を、先端に600mm幅Tダイを装着した直径40mm単軸押出機で、シリンダ温度270℃で押出し、ダイス温度275℃、ロール温度60℃で、厚み50μmのフラットフィルムに押出成形した。
得られた導電性ポリアミド樹脂組成物及びフィルムについて、各評価を行い、結果を表1〜3に示した。
なお、実施例1と比較例12との対比から、ポリアミド5Xとしては末端アミノ基濃度が16μeq/g以上のものを用いることが好ましいことが分かる。
Claims (6)
- ポリアミド樹脂と導電性付与剤とを含有する導電性ポリアミド樹脂組成物であって、
該ポリアミド樹脂が、ペンタメチレンジアミンを含むジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として用いる重縮合反応により得られる重縮合体に相当する構造を有するポリアミド(以下「ポリアミド5X」と称す。)を少なくとも含み、
該導電性付与剤がカーボンブラック及び中空炭素フィブリルからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、
該導電性ポリアミド樹脂組成物の灰分残渣が0.5重量%以下であり、
該導電性ポリアミド樹脂組成物から成形されたフィルムの体積固有抵抗値が1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする導電性ポリアミド樹脂組成物。 - 前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が16μeq/g〜100μeq/gであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
- 前記導電性ポリアミド樹脂組成物中の導電性付与剤の含有量が0.1重量%〜65重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
- 前記導電性ポリアミド樹脂組成物の、温度280℃、剪断速度91.6sec−1における溶融粘度が100Pa・s〜4000Pa・sであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物から成形された導電性ポリアミドフィルム。
- 厚みが5μm〜200μmであることを特徴とする請求項5に記載の導電性ポリアミドフィルム。
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