JP5593784B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
このような状況の下、特許文献1や特許文献2に提案されるものでは、黄変したり、基材上に設ける層の割れや脱離が生じるなどといった場合があり、極めて厳しい環境下においても十分に対応しうるものが求められている。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
2.反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、電離放射線硬化性を有するものである上記1に記載の積層体。
3.反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、下記化学式(1)で示されるものである上記1又は2に記載の積層体。
4.常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤が、下記化学式(2)で示されるものである上記1に記載の積層体。
5.プライマー層が、白色を呈するものである上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.プライマー層が、ルチル型チタニアを含むものである上記5に記載の積層体。
7.プライマー層が、上記化学式(1)示されるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を含有する上記1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.プライマー層が、透明を呈し、かつ上記化学式(1)示されるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を含有する上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
9.表面保護層における光安定剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部である上記1〜8のいずれかに記載の積層体。
10.電離放射線硬化性樹脂が、電子線硬化性樹脂である請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤は、電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤(HALS;Hindered Amine Light Stabilizer)であり、表面保護層において用いられることを要し、プライマー層において所望に応じて好ましく用いられるものである。
電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤としては、電離放射線硬化性、とりわけ電子線硬化性を有するものが好ましく、例えば下記化学式(1)で示されるものが好ましく挙げられる。
炭素数1〜18の飽和の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基のほか、炭素数5〜18のシクロアルキル基が好ましく挙げられる。これらの炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基、アミド基、カルボキシル基などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、R1としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。
炭素数2〜4の不飽和の炭化水素基としては、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましく、なかでもイソプロペニル基が好ましい。
上記のなかでも、R1がメチル基でR2がイソプロペニル基のものが特に好ましく、具体的には下記化学式(3)で示される1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートが好ましい。このような光安定剤は、市販品として入手可能であり、「LA82(商品名)」(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
また、式中R7は、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基又はアルカノールアミノ基を示し、好ましくは炭素数1〜8である。
また、R7としては、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基が好ましく、特にヒドロキシブチル基が好ましい。
なお、各層を構成する樹脂分とは、表面保護層であれば、表面保護層を構成する電離放射線硬化性樹脂を指し、プライマー層及び基材であれば、それぞれプライマー層及び基材を構成する樹脂分を意味する。
[基材]
本発明の積層体に用いる基材としては、耐候性積層体として通常使用されるものであれば、特に制限はないが、プラスチックフィルムが好適に使用される。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂;ポリビニルアルコール;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ビニロン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体などのポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリレート;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド;三酢酸セルロース、セロファンなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミドなどの熱可塑性樹脂フィルムなどが挙げられる。これらは、フィルムの単層体であってもよいし、複数のフィルムからなる積層体であってもよい。
これらの基材のうち、ポリエステル及びポリオレフィンが好適であり、特に耐加水分解性のポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリプロピレンが好適である。
また、基材の厚さとしては、積層体が使用される用途に応じて適宜決定されるものであるが、通常10〜1000μmの範囲であり、20〜500μmの範囲が好ましい。
さらに、該基材には、必要に応じ、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種の添加剤を添加することができる。これらのうち、紫外線吸収剤については、上述のように、トリアジン系紫外線吸収剤を含有させることが好ましい態様であり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は電子線照射による黄変が影響しない程度に含有することができるが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有しないことが好ましい。なお、トリアジン系紫外線吸収剤の配合方法としては、基材を構成する樹脂に練りこむこと、あるいは基材を構成する樹脂に共重合させることにより配合することができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
本発明の積層体は、基材上にプライマー層が積層されていることを要する。該プライマー層は、基材と表面保護層など層間の接着性を向上させるとともに、本発明の積層体に必要に応じて隠蔽性を付与するために設けられる層である。プライマー層と後述する表面保護層とは、そのいずれかの層が少なくとも白色又は透明であることを要し、プライマー層は白色であることが好ましい。
該プライマー層を構成する樹脂としては、上記効果を示すものであれば特に限定されず、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などを挙げることができる。これらのうち、密着性などの点で、ポリウレタン樹脂は好ましい樹脂である。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂を用いることができる。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られる、末端に水酸基を有する樹脂であり、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが好ましく挙げられる。これらのなかでも、そのポリオール成分にポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールを用いた共重合体、ポリカーボネートジオールとポリエステルジオールとアクリルポリオールとを用いた共重合体よりが好ましい。
脂環式イソシアネートとしては、例えば、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、水素添加MDI(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)などを用いることができる。脂肪族イソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを用いることができる。
本発明においては、アクリル−ウレタンブロック共重合体も好ましく挙げられる。アクリル−ウレタンブロック共重合体とは、アクリル重合体成分とウレタン部分との両ブロックを含む共重合体である。アクリル重合体成分を含むことで、後に詳述する電子線硬化性樹脂からなる表面保護層との密着性が良くなる。また、ウレタン部分を含むことで、2液硬化型ウレタン樹脂を用いた場合の表面保護層とプライマー層との密着性も良くなり、また、特に、ウレタンアクリレート系の電子線硬化性樹脂を用いた表面保護層とプライマー層との密着性も良くなる。
アクリル−ウレタンブロック共重合体としては、例えば、(A)アクリル系単量体を主鎖に含み、末端や側鎖にヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有のアクリル重合体部分、(B)ポリカーボネート系ウレタン重合体成分、ポリエステル系ウレタン重合体成分及び/又はポリエーテル系ウレタン重合体成分、(C)ジイソシアネート、の3成分の反応生成物からなり、これら3成分を反応させてプレポリマーを製造し、このプレポリマーに更に、ジアミンなどの鎖延長剤を反応させて鎖延長することで得られるものなどを好適に使用できる。
なお、上記(B)のポリカーボネート系ウレタン重合体成分、ポリエステル系ウレタン重合体成分及び/又はポリエーテル系ウレタン重合体成分は、それぞれ単体で用いても良いし、併用しても良い。また、ポリエステル系ウレタン重合体成分としては、(1)ポリエステルポリオール成分にジアミン化合物を添加しウレタン骨格の一部をウレア化する、(2)ポリエステルポリオール成分にフェニル基を導入する、(3)アルコール成分をポリカーボネート系としたポリエステルポリオール成分にジアミン化合物を添加しウレタン骨格の一部をウレア化する、などによって作られた重合体なども用いることができる。アクリル−ウレタンブロック共重合体におけるアクリル重合体成分とウレタン重合体成分との比率は、適宜調整すれば良いが、質量比で1/99〜40/60が、密着性能が良好である点で好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。
また、ウレタン重合体成分としては、熱可塑性ウレタン樹脂も使用できる。熱可塑性ウレタン樹脂は、代表的には、ジイソシアネートと、高分子ポリオールと、必要により低分子ジオールなどの低分子多官能活性水素化合物とを反応させて得られる樹脂である。ジイソシアネートとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−あるいはp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが使用される。あるいは、これらのジイソシアネートの多量体又は付加体も使用できる。また、これらジイソシアネートは1種単独で、又は2種以上混合使用しても良い。
次に、高分子ポリオール(ここでの高分子とは低分子多官能活性水素化合物に対する対語で分子量1万未満も含む)としては、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上混合して使用される。なお、耐候密着性の点では、ポリエーテルポリオールよりポリエステルポリオールの方が好ましく、さらにはポリカーボネートポリオールの方が好ましい。
なお、ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオールなどがある。
そして、ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどが挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を混合して使用される。
プライマー層に隠蔽のための白色を付与するには、該プライマー層にチタニアを含有させることにより行う。上述したように、白色を呈する積層体においては特に黄変の問題が顕著となることから、極めて厳しい環境でも黄変しない本発明に係る積層体は、白色としたい場合に、多大な効果を発揮することができる。
チタニアには、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型があるが、本発明では隠蔽性の点でルチル型を少なくともその一部に含有することが好ましく、チタニア粒子のすべてがルチル型であることが特に好ましい。また、アナターゼ型、ブルッカイト型のチタニアを用いる場合、これらの型のチタニアは光触媒作用が強く、プライマーの樹脂成分、隣接する基材、表面保護層の分解性が高いため、耐候性の観点からは、ルチル型を少なくともその一部に含有することが好ましい。
チタニアの粒径については、凝集粒径が1〜100μmの範囲であることが好ましい。1μm以上であると十分な隠蔽性が得られ、100μm以下であると、塗工の際の分散性が良好である。以上の観点から、チタニアの粒径は2〜50μmの範囲がさらに好ましく、2〜20μmの範囲が特に好ましい。
プライマー層は必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが好ましく挙げられる。
また、シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチル−ヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。
プライマー層が白色の場合、白色顔料の隠蔽性により、紫外線吸収剤の添加量を減量することが可能であり、この場合、紫外線吸収剤の含有量は1質量部以下が好ましく、0〜1質量部であることがより好ましい。すなわち、紫外線吸収剤が含まれていなくても、十分な紫外線吸収効果が確保される。
プライマー層は、前記樹脂を溶媒に溶解し、該溶液に必要に応じて用いられるチタニア粉末を分散させ、さらに必要に応じて添加される前記紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤を添加した塗工組成物を用いて形成する。すなわち、これらの組成物を基材上に塗工して、必要に応じ乾燥、硬化させることで形成する。より具体的には、該塗工組成物をグラビアロールコート、ロールコートなどの方法で塗工して乾燥硬化させる。プライマー層を形成するための塗工組成物の塗布量は、0.5〜20g/m2(乾燥時)の範囲であることが好ましく、1〜10g/m2(乾燥時)の範囲であることがさらに好ましい。
プライマー層の厚さについては、0.5〜20μmの範囲が好ましく、1〜10μmの範囲がさらに好ましい。
本発明の積層体における表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものである。電離放射線硬化性樹脂は、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができるが、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗工性を有し、かつ硬化する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。そのような電離放射線硬化性樹脂の代表例を以下に記載する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
ブロッキング防止剤あるいは滑剤としては、ポリエチレンワックスなどのワックス成分が好適に用いられる。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、プライマー層の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する表面保護層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜10Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
本発明の積層体は、表面保護層を形成したのと相対する側(表面保護層に対して、裏面側)に、他の層を形成してもよいし、フィルムを貼付してもよい。
ここで用いられるフィルムとしては、支持体としての役目を有していることを前提とし、その使用目的により、強度、剛性、水蒸気バリア性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、光反射性、意匠性、表面保護層を形成したのと相対する側の物質との密着性などの機能が必要とされる場合に応じて適宜選択する必要がある。
また、表面保護層を形成したのと相対する側の物質との密着性が必要とされる場合、特に熱圧着等によって密着する場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
《黄変評価》
各実施例及び比較例で得られた積層体を、温度85℃、相対湿度85%の条件下で2000時間放置する耐湿熱性試験を行い、該試験の前後におけるYI値の差(ΔYI値)をJIS−K−7501に準拠して測定した。ΔYI値の測定には分光色彩計「SD−5000(型番)」(日本電色工業株式会社製)を用いた。評価基準は以下の通りである。
○;ΔYI値が3未満
△;ΔYI値が3以上5未満
×;ΔYI値が5以上
《耐候性の評価》
各実施例及び比較例で得られた積層体について、下記の条件による耐候性試験を行い、その前後における積層体の外観の変化を下記の基準で評価した。
○;全く外観の変化がみられなかった
△;表面に微細なひび割れや脱離が若干確認されたが、実用上問題ない
×;表面に微細なひび割れや脱離が著しく確認された
(耐候性試験)
試験機:メタルウェザー試験機(「KW−R5TP(型番)」,ダイプラ・ウィンテス株式会社製)
条件:下記の24時間を1サイクルとして、20サイクル繰り返すサイクル試験を行った。フィルターは、KF−1フィルターを用いた。
照度:60mW/cm2,ブラックパネル温度:63℃,相対湿度50%で20時間
照度:0mW/cm2,ブラックパネル温度:30℃,相対湿度98%で4時間
明暗切替時に10秒散水
厚さ50μmの耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム(「ルミラーX10S(商品名)」,東レ株式会社製)の片方の面にコロナ処理を行った。該コロナ処理面に、ポリウレタン樹脂とアクリル樹脂とイソシアネート化合物からなる2液硬化型樹脂を100質量部、平均粒径約10μmの白色顔料(ルチル型酸化チタン)を100質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(「TINUVIN479(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を1質量部、下記化学式(4)で示されるヒンダードアミン系光安定剤(「TINUVIN152(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を3質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(「IRGANOX1010(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を1質量部及び酢酸エチル200質量部からなる2液硬化型白色プライマー塗工液を、乾燥後の厚さが3μmになるように、塗工及び乾燥して、白色プライマー層を形成した。
該プライマー層側に、電離放射線硬化性樹脂組成物として、ウレタンアクリレート樹脂100質量部に対して、平均粒径8μmのシリカ粒子20質量部、ポリエチレンワックス微粉末(平均粒径5μm、融点165℃)5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(「TINUVIN400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)1質量部、下記の化学式(4)で示されるヒンダードアミン系光安定剤(「TINUVIN152(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(「IRGANOX1010(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)1質量部及び酢酸エチル200質量部からなる塗工液を架橋・硬化後の厚さが5μmになるように塗工し、乾燥した。
次いで、塗布形成された電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層に、電子線照射装置(「エレクトロカーテンEC250/150/180L(型式)」,岩崎電気株式会社製)を用いて、酸素濃度100ppm以下の窒素ガス雰囲気中において、加速電圧165kV、吸収線量50kGy、搬送速度10m/minの条件で電子線を照射して架橋硬化させ、表面保護層を形成した。
上記耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム上の、表面保護層を形成したのと相対する側に、順次、酸化ケイ素蒸着膜が形成された厚さ12μmのポリエステルフィルム(「テックバリア(登録商標、以下同じ)LX(商品名)」,三菱樹脂株式会社製,該蒸着膜面が耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム側になるように配置した)、厚さ100μmの透明二軸延伸ポリエステルフィルム、厚さ120μmの白色高密度ポリエチレンフィルムを、それぞれ塗工乾燥後の厚さが5μmとなるように、ポリウレタン系2液接着剤を使用し、ドライラミネート法により貼り合わせて積層した後、40℃のオーブンで1週間養生して、積層体を作製した。上記方法にて評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤を下記の化学式(3)で示される光安定剤(「LA82(商品名)」,株式会社ADEKA社製)にかえた以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、2液硬化型白色プライマー塗工液に配合される白色顔料100質量部にかえてシリカ粒子3質量部(平均粒径:6μm)とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤を下記の化学式(6)で示される光安定剤(「TINUVIN123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)にかえた以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤を加えなかった以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
Claims (6)
- 基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層を積層してなる積層体であって、該プライマー層がルチル型チタニアを含み白色を呈し、該表面保護層が白色又は透明を呈し、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマー、及び該樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるものであり、該プライマー層を構成する樹脂が、2液硬化型ウレタン樹脂、アクリル−ウレタンブロック共重合体、及び熱可塑性ウレタン樹脂から選ばれる一種であるポリウレタン樹脂である積層体。
- 反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、電離放射線硬化性を有するものである請求項1に記載の積層体。
- プライマー層が、上記化学式(1)で示されるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は上記化学式(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 表面保護層における光安定剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
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