以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク把持システムの全体構成を示す概略平面図である。図2は、図1に示されるワーク把持装置でワークを把持する様子を説明するための概略平面図である。図3は、図1に示されるワーク把持装置の概略斜視図である。図4は、図1に示されるワーク把持装置の概略底面図である。
図1に示すように、ワーク把持システムは、ロボットアーム101を備えるロボット100と、ロボットアーム101の先端部102に装着するワーク把持装置1と、ワーク把持装置1の外部に設けられ、ワーク把持装置1において自在移動可能に支持される当接部11,12,12(図2、3参照)を移動させる当接部移動用駆動装置300と、を有している。
ワーク把持装置1は、多関節ロボット100のロボットアーム101の先端部102に装着して種々のバリエーションを有するワークWを把持して保持する保持装置(ロボットハンド)として好適に使用することができる。
多関節ロボット100は、ローラコンベア等の搬送装置200によって取り出し位置まで搬送されてきたワークWを、ロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1により把持し、ロボットアーム101を旋回、移動等させて、ワークWを次工程まで搬送する工程を担っている。
図1および図2に示すように、ワーク把持装置1は、ロボットアーム101に連結する支持プレート2と、支持プレート2に配設され、ワークWの把持時に該ワークWの第1の被当接部W1および第2の被当接部W2,W2にそれぞれ当接してワークWを把持する駆動側の当接部11(図5を併せて参照)および受け側の当接部12,12と、を備えている。なお、図2中の符号「8」は、後記する押さえ部材8を示す。また、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12は、自在移動機構5a,5b(図3等参照)により、ワークWの種類に応じて、それぞれ図2中の二点鎖線で示す矢印方向に移動可能とされている。
本実施形態では、ワークWは、いわゆるシェル構造(殻構造)から構成されており、シェル形状を呈するシェル部(リブ状壁部)Sを有している。ワークWとして、例えばトランスミッションケースやトルクコンバータケース等が挙げられる。ここでは、ワークWの第1の被当接部W1および第2の被当接部W2,W2は、それぞれシェル部Sの外面に位置する。
図3および図4に示すように、支持プレート2は、略三角形の板状を呈しており、略円筒形状の取付部21を介してロボットアーム101の先端部102に連結される。なお、図4中の符号「O」は、支持プレート2の中心、つまり、ロボットアーム101の先端部102が連結される取付部21の中心を示す。駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12は、ここでは、支持プレート2の中心Oのまわりの周方向に概ね等角度(120度)間隔で配設されている。ただし、必ずしも等角度間隔でなくてもよい。
また、ワーク把持装置1は、支持プレート2に配設され、ワークWの把持時に駆動側の当接部11をワークWの第1の被当接部W1に押圧する駆動機構3と、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12を支持プレート2に対して自在移動可能に支持する自在移動機構5a,5bと、自在移動機構5a,5bによる自在移動を規制する移動規制装置71,71と、を備えている。
図5は、図4のV−O線に沿う断面図である。図6は、図5の平面図である。図7は、図5の左側面図である。図8は、図5に示される駆動機構のアーム周辺を示す斜め下方から見た概略斜視図である。図9は、図5のIX−IX線に沿う断面図である。
図5〜図7に示すように、自在移動機構5aは、支持プレート2に固定される支持部材51a,51bと、支持部材51a,51bに回転自在に支持されるねじ軸52と、ねじ軸52に螺合されるナット部材53と、ナット部材53に固定され、駆動側の当接部11が取り付けられた駆動機構3が配設される取付部材54aと、取付部材54aを支持プレート2に対してねじ軸52の軸方向に移動自在に案内する直線運動案内装置55(図6参照)と、を有している。また、取付部材54aの支持プレート2の中心Oと反対側の端面には、当接部移動用駆動装置300(図1、図14参照、以下同様)に配設された当接部変位検出部350(図14参照)により検出される被検出プレート59が取り付けられている。
ナット部材53と取付部材54aとは、例えばねじ部材58によって固定されている(図6参照)。なお、図6中の符号22は、ワーク把持装置1の組立作業において必要な逃がし孔を示す。
ねじ軸52は、ワーク把持装置1の外部に設けられる当接部移動用駆動装置300の伝達軸301(図14参照)に接続可能なねじ軸側係合部52aを備えている。ねじ軸側係合部52aは、外部の当接部移動用駆動装置300の伝達軸301に設けられた伝達軸側係合部304(図14参照)に、回転力が伝達可能に係合されることが可能となっている。
直線運動案内装置55は、支持プレート2と取付部材54aとの間に設けられており、支持プレート2の下面にねじ軸52の軸方向に沿って配設されたガイドレール56と、取付部材54aの上面に固定され、ガイドレール56に沿って移動自在に配設されたホルダ57とを備えている。
移動規制装置71は、ねじ軸52が移動規制装置71の内部を挿通するように、支持プレート2の外縁に取付板23を介して設置されている。移動規制装置71は、自在移動機構5aによる自在移動の規制時に、ねじ軸52をクランプして回転を止める。ここでは、移動規制装置71は、空圧機器であり、空気圧によって作動する。例えば、移動規制装置71は、エア供給口71aからのエアの供給により、ねじ軸52をクランプするクランプ部をばね部材(いずれも図示せず)の付勢力に抗して開くことによってねじ軸52をアンクランプし、エア供給口71aからのエアの供給を停止することにより、ばね部材の付勢力によってクランプ部が閉じてねじ軸52をクランプするものであり、市販品のシャフトクランプを使用することができる。ただし、移動規制装置71の構成はこれに限定されるものではない。
前記のような構成によれば、ねじ軸52のねじ軸側係合部52aにワーク把持装置1の外部に設けられる当接部移動用駆動装置300(図14参照)を接続して作動させることにより、ねじ軸52とナット部材53とのねじ送り作用によって、駆動側の当接部11をねじ軸52の軸方向に移動させることができる。また、ねじ軸52をクランプして回転を止めることにより、自在移動機構5aによる自在移動を容易に規制することができる。このようにして、自在移動機構5aおよび移動規制装置71を、簡易でコンパクトな構成とすることができる。
また、ねじ軸52には、ナット部材53と螺合する、ねじ山の断面が台形を呈する台形ねじが形成されている。台形ねじは、ねじ山の頂角が一般的な三角ねじよりも小さく、ねじ山の斜面の傾斜がきつくなっている。したがって、台形ねじの使用によるセルフロック効果が働くことにより、ナット部材53とねじ軸52とを保持することができ、例えばワークWのワーク把持装置1からの脱落等の不測の事態を抑止することが可能となる。
図5、図7および図8に示すように、駆動機構3は、駆動力を発生する駆動源31と、駆動源31が取り付けられる本体部32と、駆動源31の駆動力により軸方向に移動させられるシャフト33と、本体部32に設けられたピン(支点)34のまわりで揺動可能に配置されるアーム35と、を有している。アーム35は、ワークWの把持時に、その一端側(上端側)がシャフト33により図5中の左方向に押圧されると共に、他端側(下端側)が駆動側の当接部11をワークWに向けて押圧するように構成されている。このような構成によれば、駆動機構3の占有空間を有効に活用してワークWを確実に保持でき、駆動機構3をコンパクト化することができる。
また、駆動機構3は、駆動源31の駆動力により回転されるドライブギア36と、本体部32に固定されるナット部37と、を有している。そして、シャフト33には、ドライブギア36に噛合するドリブンギア38が固定されており、シャフト33の外周面には、ナット部37と螺合するおねじ39が形成されている。
このような構成によれば、駆動源31の駆動力によりドライブギア36を回転させてシャフト33に固定されたドリブンギア38を回転させることにより、おねじ39が形成されたシャフト33とナット部37とのねじ送り作用によって、シャフト33を軸方向に移動させることができる。このようにして、駆動機構3を簡易でよりコンパクトな構成とすることができる。
本体部32は、ドライブギア36、ドリブンギア38、およびナット部37が配置されるハウジング32aと、ハウジング32aの開口端側に取り付けられるカバー32bとを有している。ハウジング32aのアーム35側には、ピン34を支持する一対の支持板部32cが形成されている。カバー32bには、駆動源31と、移動規制装置72とが例えばねじ締結等により取り付けられている。
ここでは、駆動源31は、空圧機器であり、空気圧によって作動する。例えば、駆動源31は、エア供給口31aからのエアの供給によりドライブギア36を時計方向に所定角度(例えば180度)だけ回転させ、一方、エア供給口31bからのエアの供給によりドライブギア36を反時計方向に所定角度(例えば180度)だけ回転させるものであり、市販品のロータリーアクチュエータを使用することができる。ただし、駆動源31の構成はこれに限定されるものではない。
移動規制装置72は、シャフト33が移動規制装置72の内部を挿通するように、設置されている。移動規制装置72は、駆動側の当接部11のワークWからの離間時に、シャフト33をクランプして回転を止めて、ワークWのアンクランプ状態を維持するのに使用される。ここでは、移動規制装置72は、空圧機器であり、空気圧によって作動する。移動規制装置72として、例えば、前記した移動規制装置71と同様の構造のものを使用することができるが、移動規制装置72の構成はこれに限定されるものではない。
シャフト33に形成されたおねじ39は、ナット部37と螺合する、ねじ山の断面が台形を呈する台形ねじである。したがって、台形ねじの使用によるセルフロック効果が働くことにより、ナット部37とシャフト33とを保持することができ、例えばワークWのワーク把持装置1からの脱落等の不測の事態を抑止することが可能となる。
駆動側の当接部11は、ここでは円筒形状を呈しており、ワークWとの当接面が樹脂から形成されている。これにより、ワークWを傷つけることなく把持することができる。具体的には、当接部11は、樹脂から形成される外層11aと外層11aの内側に配置される金属から形成される内層11bとを有している(図7参照)。このように外層11aのみを樹脂から形成することにより、例えば把持時の衝撃等で樹脂部材に変形やクラック等が発生する虞を抑制できる。当接部11の外層11aの材料としては、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等が挙げられる。ただし、当接部11は、ワークWよりも硬度の低い他の材料から形成されていてもよい。
駆動側の当接部11は、円筒形状のカラー41を介装して、ねじ部材42によりアーム35の下端に固定されており、ワーク把持装置1に対して着脱可能となっている。したがって、当接部11は、ワークWと頻繁に接触するものであるが、損傷またはその虞がある場合には容易に交換でき、ワークWの保持をより確実にすることができる。
図5および図9に示すように、駆動機構3は、シャフト33の先端側とアーム35の上端側とを連結する連結機構43を有している。そして、連結機構43は、シャフト33の先端側の外周面に円周方向に沿って形成された環状の溝43aと、アーム35の上端側に設けられ、溝43aに係合するピン43bとを有している。連結機構43は、アーム35の上端側に形成された円形の凹部44内に配置されており、ピン43bは、凹部44の内面から半径方向内方に突出するように設けられている。
このような構成によれば、部品点数が少ない簡易な構成の連結機構43により、シャフト33の先端側とアーム35の上端側とを連結することができる。そして、シャフト33をアーム35と反対側に移動させることにより、連結機構43を介してアーム35を揺動させ、ワーク把持装置1の駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1から離間させて、その状態を維持することができるようになっている。
また、凹部44の底面には、例えば円板状の被押圧部材45が圧入等により設置されている。したがって、シャフト33をアーム35側に移動させることにより、シャフト33の先端で被押圧部材45を押圧してアーム35を揺動させ、ワーク把持装置1の駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1に押圧することができる。被押圧部材45は、耐摩耗性が良好で高強度の例えば鋼板から形成されており、シャフト33の先端による頻繁な押圧によっても摩耗・損傷を抑えることができる。
図10は、図4のO−X線に沿う断面図である。
図10に示すように、ワーク把持装置1はまた、支持プレート2に支柱83を介して配設される押さえ部材8を備えている。押さえ部材8は、ワークWの把持時にワークWの支持プレート2側の端面に接触するものである。このような構成によれば、駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1(図2参照)に押圧してワークWを把持する際にワークWを押さえ部材8で押さえることができ、ワーク把持装置1に対してワークWが傾斜してしまう虞を未然に防止することが可能となる。これにより、ワークWの把持姿勢が変化してしまってワークWの搬送先での作業に支障をきたす事態を回避することができる。
支柱83は、支持プレート2の平面に垂直な方向に延在する長尺の板部材84と、板部材84の支持プレート2側に固定される取付板85とを有している。取付板85は、支持プレート2にねじ締結等により固定されており、押さえ部材8は、板部材84の支持プレート2と反対側の端部にねじ締結等により固定されている。
押さえ部材8は、長尺のものであり、支持プレート2の中心O(図4参照)から半径方向外方に向かう方向に沿って延在している。これにより、異なる大きさや形状を有する種々のワークWに柔軟に対応して、ワークWを押さえ部材8で押さえることが可能となっている。また、押さえ部材8は、支持プレート2の中心Oに対して、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12(図2参照)の反対側にそれぞれ配置されている。具体的には、押さえ部材8は、支持プレート2の中心Oのまわりの周方向に概ね等角度(120度)間隔で、かつ、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12における各当接部間に配置されている。したがって、ワークWを把持する際に支持プレート2の中心Oに対してワークWの被当接部W1,W2,W2(図2参照)と反対側をそれぞれ押さえ部材8で押さえることができ、ワークWの把持姿勢の変化を、より効果的に抑制することが可能となる。なお、かかる押さえ部材8の配置とする場合、当接部同士が支持プレート2の中心Oに対して互いに反対側とならない設定となる。
押さえ部材8は、ワークW側に位置される接触部81と、ワークWと反対側に位置される取付部82とを有している。接触部81は、ここでは樹脂から形成されている。これにより、ワークWを傷つけることなく押さえることができる。接触部81の材料となる樹脂としては、例えば当接部11と同様のものが挙げられる。ただし、接触部81は、ワークWよりも硬度の低い他の材料から形成されていてもよい。接触部81は、例えばねじ締結により取付部82の下面に固定されており、ワーク把持装置1に対して着脱可能となっている。したがって、接触部81は、損傷またはその虞がある場合には容易に交換でき、ワークWの保持をより確実にすることができる。
図11は、図4のO−XI線に沿う断面図である。図12は、図11の底面図である。図13は、図11の右側面図である。
図11〜図13に示すように、自在移動機構5bは、支持プレート2に固定される支持部材51a,51bと、支持部材51a,51bに回転自在に支持されるねじ軸52と、ねじ軸52に螺合されるナット部材53と、ナット部材53に固定され、受け側の当接部12が配設される取付部材54bと、取付部材54bを支持プレート2に対してねじ軸52の軸方向に移動自在に案内する直線運動案内装置55と、を有している。また、取付部材54bの支持プレート2の中心Oと反対側の端面には、当接部移動用駆動装置300に配設された当接部変位検出部350(図14参照)により検出される被検出プレート60が取り付けられている。
自在移動機構5bは、取付部材54bの大きさや形状が取付部材54aと異なっているが、その他の構成は、図5〜図7に示す自在移動機構5aと同様であるため、詳しい説明を省略する。また、図11〜図13に示す移動規制装置71も、図5〜図7に示すものと同様であるため、詳しい説明を省略する。
受け側の当接部12は、取付部材54bに支柱部材61を介して配設される。支柱部材61は、取付部材54bの平面に垂直な方向に延在する長尺の円柱部62と、円柱部62の取付部材54b側に固定される板状部63とを有している。板状部63は、取付部材54bにねじ締結等により固定される。受け側の当接部12は、円筒形状のカラー41を介装して、ねじ部材42により、円柱部62の取付部材54bと反対側の端部に固定されており、ワーク把持装置1に対して着脱可能となっている。したがって、当接部12は、損傷またはその虞がある場合には容易に交換でき、ワークWの保持をより確実にすることができる。受け側の当接部12は、ここでは駆動側の当接部11と同様の構成であるため、詳しい説明を省略する。
次に、当接部移動用駆動装置300について説明する。
図14は、当接部移動用駆動装置の一部を断面で示す側面図である。図15は、当接部移動用駆動装置の平面図である。図16(a)は、図14のA−A線に沿う断面図、図16(b)は、図14のB−B線に沿う断面図である。
図14に示すように、当接部移動用駆動装置300は、回転駆動機器としてのモータ305と、該モータ305の回転力を自在移動機構5a,5b(図5、図11参照)のねじ軸52に伝達する伝達軸301とを有している。また、前記したように、伝達軸301は、ねじ軸52側の端部に設けられる伝達軸側係合部304を有しており、ねじ軸52は、伝達軸側係合部304と係合可能なねじ軸側係合部52aを有している。
図16(a)に示すように、ここでは、ねじ軸側係合部52aの伝達軸301側端部の軸直角断面は、正六角形の軸を呈しており、伝達軸側係合部304のねじ軸52側端部の軸直角断面は、ねじ軸側係合部52aの端部が内接して嵌合する全体として略六角形の星形の穴を呈している。ただし、ねじ軸側係合部52aおよび伝達軸側係合部304は、回転力が伝達可能に同軸に嵌合されれば、正方形等の他の軸直角断面形状を呈していてもよい。このように、ねじ軸側係合部52aと伝達軸側係合部304とを同軸で回転力が伝達可能に嵌合する形態を採用すれば、部品点数も少なく構成が簡易となり好ましい。また、ねじ軸側係合部52aの軸直角断面が穴を呈し、伝達軸側係合部304の軸直角断面が軸を呈するように構成されてもよい。さらには、ねじ軸側係合部52aおよび伝達軸側係合部304は、回転力が伝達可能に係合されれば任意の形態が採用可能であり、例えば歯車により回転力が伝達される形態であってもよい。
図14に示すように、伝達軸301は、モータ305側に位置されるドライブ軸302と、ねじ軸52側に位置され、ドライブ軸302と回転力を伝達可能に同軸に嵌合されるドリブン軸303とを有している。前記した伝達軸側係合部304は、ドリブン軸303のねじ軸52側端部に、例えば、キー(図示せず)等により回転力が伝達可能に結合されるとともに止めねじ(図示せず)等により固定されており、ドリブン軸303に対して着脱可能となっている。
当接部移動用駆動装置300は、床に設置される支持体306を備えており、モータ305は、支持体306に固定されたブラケット307に取り付けられている。また、ドライブ軸302は、支持体306に固定されたホルダ308に設置された軸受部材309に回転自在に支持されており、ドリブン軸303は、支持体306に固定されたホルダ310に設置された軸受ブッシュ311に回転自在に支持されている。ドライブ軸302のモータ305側の端部は、モータ305の出力軸305aとカップリング312を介して接続されている。
図16(b)に示すように、ここでは、ドライブ軸302のドリブン軸303側の端部302aの軸直角断面は、正方形の軸を呈しており、ドリブン軸303のドライブ軸302側の端部303aの軸直角断面は、ドライブ軸302の端部302aが内接して嵌合する全体として略正方形の穴を呈している。ただし、ドライブ軸302の端部302aおよびドリブン軸303の端部303aは、回転力が伝達可能に同軸に嵌合されれば、六角形等の他の軸直角断面形状を呈していてもよい。また、ドライブ軸302の端部302aの軸直角断面が穴を呈し、ドリブン軸303の端部303aの軸直角断面が軸を呈するように構成されてもよい。
図14に示すように、ドライブ軸302とドリブン軸303との間には、弾性体としての圧縮コイルばね313が装着されており、ドライブ軸302とドリブン軸303とは圧縮コイルばね313の付勢力に抗して軸方向に相互に近接移動可能に構成されている。また、ドライブ軸302とドリブン軸303とが相互に近接移動した場合に両者が軸方向において干渉することを防止するための逃がし穴314が、ドリブン軸303の内部に形成されている。なお、通常時には、ドリブン軸303の端部303aの外周面に設けられた鍔部303bが、圧縮コイルばね313により付勢されてホルダ310の端面に当接された状態にある。
図14および図15に示すように、当接部移動用駆動装置300は、ドリブン軸303の軸方向の変位を検出するドリブン軸変位検出部320を有している。ドリブン軸変位検出部320は、支持体306に固定されたブラケット321に取り付けられたリニアブッシュ322に軸方向に摺動移動自在に支持され、ドリブン軸303と連動して軸方向に移動する移動確認軸323と、移動確認軸323に設けられた被検出子324と、被検出子324を検出するセンサ325とを備える。移動確認軸323の一端部には連結部材326が固定されており、この連結部材326は、ドリブン軸303に対して、軸受部材327により相対回転自在に、かつ、止め輪部材328により軸方向の移動が規制されるように連結されている。
被検出子324は、移動確認軸323に軸方向に並んで設置される円盤状の第1被検出子324aと第2被検出子324bとを備えている。また、センサ325は、圧縮コイルばね313が最大作動長となる通常時において第1被検出子324aを検出する第1センサ325aと、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合できない場合にドリブン軸303がドライブ軸302側に押圧されて圧縮コイルばね313が最大作動長よりも所定値だけ短くなる異常時において第2被検出子324bを検出する第2センサ325bとを備えている。なお、第1センサ325aおよび第2センサ325bは、支持体306に固定されたブラケット329に取り付けられており、例えば近接センサが使用される。
また、当接部移動用駆動装置300は、支持プレート2に対して自在移動可能に支持される当接部11,12,12(図5、図11参照)の変位を検出する当接部変位検出部350を有している。当接部変位検出部350は、支持体306に固定されたブラケット353に取り付けられている。この当接部変位検出部350は、伝達軸301に平行な軸方向に移動可能なロッド351と、ロッド351を例えば空気圧により移動させるシリンダ部352とを備えており、例えば磁気抵抗素子を利用してロッド351の移動ストロークを信号として出力することができる。ロッド351の先端部351aは、シリンダ部352の空気圧により被検出プレート59,60に押し当てられることによって、被検出プレート59,60の動きに追従して移動する。これにより、被検出プレート59,60の変位、ひいては当接部11,12(図5、図11参照)の変位がロッド351の移動ストローク信号として検出され得る。当接部変位検出部350としては、市販品の例えばSMC社製の計測シリンダ(ものさしくん(登録商標))を使用することができる。ただし、当接部変位検出部350は、前記した構成に限定されるものではない。
図17は、ワーク把持システムの制御ブロック図である。
図17に示すように、ワーク把持システム全体の制御を司る制御装置500は、ロボット100(図1参照)の動作を制御するロボット制御部501と、ワーク把持装置1の駆動源31の動作を制御するワーク把持制御部502と、当接部移動用駆動装置300(図14参照)のモータ305の動作を制御する当接部移動制御部503とを有している。ここで、ロボット制御部501、ワーク把持制御部502、および当接部移動制御部503は、それぞれ相互に通信可能となっている。ただし、これらの制御部の機能を一つの処理装置が果たす構成であってもよい。ロボット制御部501は、撮像装置504と接続されている。ロボット制御部501は、例えばワークWの把持時には、ワークWの取出し位置にあるワークWを撮像した画像情報を撮像装置504から受信する。
当接部移動制御部503は、ドリブン軸変位検出部320および当接部変位検出部350とそれぞれ接続されている。当接部移動制御部503は、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合できたか否かの信号をドリブン軸変位検出部320から受信する。当接部移動制御部503は、ドリブン軸変位検出部320によりドリブン軸303の所定値以上の変位が検出された場合にねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していないことを認識する。また、当接部移動制御部503は、ワークWの種類が変更されて当接部11,12,12(図5、図11参照)を移動させる必要がある場合に、当接部11,12,12の変位に関する信号を当接部変位検出部350から受信する。当接部移動制御部503は、当接部変位検出部350により検出される当接部11,12,12の変位が目標値となるように、モータ305の動作を制御する。
次に、本実施形態に係るワーク把持システムの動作について説明する。
図1に示すように、ワークWは、搬送装置200により搬送されて、取出し位置にて停留させられる。ここでは、ワーク把持装置1に撮像装置504(図17参照)が搭載されているものとする。そして、ワークWが取出し位置に停留させられた状態で、ロボット制御部501(図17参照)の指令により、ロボット100は、撮像装置504が搭載されたワーク把持装置1をワークWの撮影位置に移動させ、該撮像装置504によりワークWを撮像し、得られた画像情報から搬送装置200上に載置されたワークWの姿勢及び位置を検知する。
続いて、得られた画像情報に基づいて、ロボット制御部501の指令により、ロボット100がワーク把持装置1の姿勢及び位置を変化させることにより、ワーク把持装置1をワークWに正対させる。このとき、駆動側の当接部11は、水平方向に僅かの隙間を有して、ワークWの第1の被当接部W1(図2参照)に対向する位置にある。また、2つの受け側の当接部12,12は、水平方向に僅かの隙間を有して、ワークWの2つの第2の被当接部W2,W2(図2参照)にそれぞれ対向する位置にある。
そして、ワーク把持制御部502(図17参照)の指令により、駆動機構3の駆動源31が作動されることによって、シャフト33が軸方向に移動させられてアーム35の上端側を押圧し、アーム35が図5における反時計方向に揺動させられる。これにより、アーム35の下端側に設けられた駆動側の当接部11がワークWの第1の被当接部W1を押圧する。この結果、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12は、ワークWの外面に位置する第1の被当接部W1および第2の被当接部W2,W2に、3方向からそれぞれ当接してワークWを把持する。このとき、押さえ部材8も、ワークWの支持プレート2側の端面に当接する。
続いて、ロボット制御部501の指令により、ロボット100は、ワーク把持装置1でワークWを把持した状態でロボットアーム101を旋回、移動等させて、次工程まで搬送し、ワーク把持制御部502の指令により把持状態を解除することによって、ワークWを次工程に渡す。このような動作を繰り返すことにより、ロボット100は、ワーク把持装置1を利用して、複数のワークWの把持・搬送を実行する。
次に、ワークWの種類に応じて当接部11,12,12を移動させる動作を説明する。
ワークWの種類の変更に対応して当接部11,12,12を移動させる場合、ロボット制御部501の指令により、ロボット100は、ワーク把持装置1を当接部移動用駆動装置300(図14参照)の方へ移動させ、ねじ軸52のねじ軸側係合部52aを、伝達軸301の伝達軸側係合部304に係合させる。このとき、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していれば、ねじ軸側係合部52aが伝達軸側係合部304に嵌合されてドリブン軸303が軸方向に移動することはないため、第1被検出子324aを検出する第1センサ325aがオン、第2センサ325bがオフを示す信号がドリブン軸変位検出部320から当接部移動制御部503に出力される。
図14に示すように、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合されると、当接部移動制御部503(図17参照)は、当接部変位検出部350により検出される当接部11,12の変位がワークWの種類に応じて予め設定された目標値となるように、モータ305を回転駆動させる。
一方、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していない場合には、ねじ軸側係合部52aの端面が伝達軸側係合部304の端面に当接し、ドリブン軸303がドライブ軸302側に押圧されて圧縮コイルばね313が最大作動長よりも所定値だけ短くなり、第1センサ325aがオフ、第2被検出子324bを検出する第2センサ325bがオンを示す信号がドリブン軸変位検出部320から当接部移動制御部503に出力される。当接部移動制御部503は、かかる信号を受信した場合、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していないことを認識する。この場合、当接部移動制御部503は、所定のエラー処理を実行する。例えば、当接部移動制御部503は、ロボット制御部501(図17参照)に通知して、ロボット100がワーク把持装置1を当接部移動用駆動装置300から一旦離間させた後に、再度、ねじ軸52を伝達軸301に係合させる制御を行う。また、当接部移動制御部503は、警報音の発生、警告灯の点滅、エラーメッセージの表示等の警告を行わせる制御を実行してもよい。
前記したように、本実施形態のワーク把持システムは、ロボットアーム101に連結する支持プレート2、支持プレート2に配設され、ワークWの把持時に該ワークWの複数の被当接部W1,W2,W2にそれぞれ当接してワークWを把持する複数の当接部11,12,12、支持プレート2に配設され、ワークWの把持時に複数の当接部11,12,12のうちの駆動側の当接部11をワークWに押圧するための駆動力を発生する駆動源31を有する駆動機構3、複数の当接部11,12,12を支持プレート2に対して自在移動可能に支持する自在移動機構5a,5b、および自在移動機構5a,5bによる自在移動を規制する移動規制装置71,71、を備えるワーク把持装置1と、ワーク把持装置1の外部に設けられ、自在移動可能に支持される当接部11,12,12を移動させる当接部移動用駆動装置300と、を有している。
したがって、本実施形態によれば、自在移動機構5a,5bにより複数の当接部11,12,12を自在に移動可能であるから、予めワーク把持装置1の当接部11,12,12をワークWの被当接部W1,W2,W2に対応して位置合わせして、移動規制装置71,71によりその位置を保持しておくことで、形状や大きさが異なる種々のワークWに柔軟に対応することができる。
そして、当接部11,12,12の位置合わせは、ワーク把持装置1の外部に設けられる当接部移動用駆動装置300を使用して実現することができる。このため、本実施形態に係るワーク把持システムは、当接部11,12,12の位置合わせをする当接部移動用駆動装置300をワーク把持装置1に設けずに別体として外部に設けることで、ワーク把持装置1の軽量化を実現しながらバリエーションを有する種々のワークWに対応することが可能となる。
すなわち、ロボットアーム101に装着する軽量化された単一のワーク把持装置1で種々のワークWに柔軟に対応できると共に当該ワークWを確実に保持して搬送できるワーク把持システムを提供することができる。
また、ワークWの把持時に該ワークWの複数の被当接部W1,W2,W2にそれぞれ当接してワークWを把持する複数の当接部11,12,12を備え、駆動源31の駆動力により複数の当接部11,12,12のうちの駆動側の当接部11をワークWの第1の被当接部W1に押圧するようにしたので、ワークWの外面または内面を把持することができる。これにより、ワークWに対してワーク把持装置1が正確に位置決めされていなくても、ワークWの把持が可能となる。したがって、製造工程において、作業時間の短縮が図られると共に、ワークWを把持できない作業ミスの発生を抑えることができる。また、ワークWの大きさや重量に関わらず、確実かつ容易にワークWを把持することが可能となる。さらに、ワークWの形状が複雑であったとしても、ワークWの外面または内面にワーク把持装置1の当接部11,12,12が当接する場所を確保してワークWを把持することは容易であり、汎用性に優れる。
また、本実施形態では、自在移動機構5a,5bは、当接部11,12,12が配設されるナット部材53と、該ナット部材53と螺合するねじ軸52とを有し、当接部移動用駆動装置300は、モータ305と、該モータ305の回転力をねじ軸52に伝達する伝達軸301とを有している。このような構成によれば、モータ305の回転力を伝達軸301を介してねじ軸52に伝達することにより、ねじ軸52とナット部材53とのねじ送り作用によって、当接部11,12,12をねじ軸52の軸方向に移動させることができ、自在移動機構5a,5bを簡易でコンパクトな構成とすることができる。
また、本実施形態では、伝達軸301は、ねじ軸52側の端部に設けられる伝達軸側係合部304を有し、ねじ軸52は、伝達軸側係合部304と係合可能なねじ軸側係合部52aを有している。このような構成によれば、ねじ軸側係合部52aを伝達軸側係合部304に係合させる簡単な動作で、モータ305の回転力をねじ軸52に伝達することができる。
また、本実施形態では、伝達軸301は、モータ305側に位置されるドライブ軸302と、ねじ軸52側に位置され、ドライブ軸302と回転力を伝達可能に同軸に嵌合されるドリブン軸303とを有し、ドライブ軸302とドリブン軸303との間に圧縮コイルばね313が装着され、ドライブ軸302とドリブン軸303とは圧縮コイルばね313の付勢力に抗して軸方向に相互に近接移動可能に構成されている。このような構成によれば、ねじ軸52と伝達軸301とが例えば正常に係合できなかった場合等には、ドライブ軸302とドリブン軸303とが圧縮コイルばね313の付勢力に抗して軸方向に相互に近接移動できるため、衝撃等の係合時の負荷を吸収してワーク把持システムの保護を図ることができる。
また、本実施形態では、当接部移動用駆動装置300は、ドリブン軸303の軸方向の変位を検出するドリブン軸変位検出部320と、ドリブン軸変位検出部320によりドリブン軸303の所定値以上の変位が検出された場合にねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していないことを認識する当接部移動制御部(認識部)503とを有している。このような構成によれば、ドリブン軸303の軸方向の変位に基づいてねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していないことを容易に認識することができる。これにより、ねじ軸52と伝達軸301とが正常に係合していない場合には、例えばねじ軸52と伝達軸301とを相互に離間させた後に再度両者の係合を試みたり、警告を行ったりする等のエラー処理を実行することが可能となる。
また、本実施形態では、当接部移動用駆動装置300は、自在移動可能に支持される当接部11,12,12の変位を検出する当接部変位検出部350と、当接部変位検出部350により検出される当接部11,12,12の変位が目標値となるようにモータ305の動作を制御する当接部移動制御部(制御部)503とを有している。このような構成によれば、ワークWの種類に応じた当接部11,12,12の位置合わせの制御を、当接部移動用駆動装置300側で容易に行うことが可能となる。
次に、前記した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成(変形例)に関して説明する。前述した実施形態と同じ構成については同じ符号を付して重複する説明を適宜省略し、相違する点について主に説明する。
図18は、駆動機構の変形例のアーム周辺を示す斜め下方から見た概略斜視図である。図19は、変形例に係る駆動機構のアーム側から見た図である。図20は、図19のXX−XX線に沿う断面図である。
図18〜図20に示すように、駆動機構3aは、駆動側の当接部11が設置され、ワークWの把持時にアーム35aの下端側により押圧される押圧部材46と、ワークWの把持時に押圧部材46をワークWに向けて直線方向に移動するように案内する案内機構47と、を有している。
押圧部材46は、アーム35aの下端部35bを囲繞するようにして係合する矩形枠状を呈する係合部46aと、係合部46aが下面に設けられる移動片46bとを備えている。この移動片46bの下面に、駆動側の当接部11がねじ部材42により固定されている。案内機構47は、移動片46bの側端面に形成された一対の溝部47a,47aと、本体部32に固定された一対のレール部材48,48の対向する内側に位置され、溝部47a,47a内にそれぞれ摺動自在に嵌合する一対の側方端縁47b,47bとから構成されている。このようにして、押圧部材46は、一対のレール部材48,48の間で摺動自在に支持されており、シャフト33の軸方向に沿って移動自在となっている。
このような構成によれば、シャフト33がアーム35aの上端側を押圧すると、アーム35aが揺動して、アーム35aの下端部35bが押圧部材46を押圧し、駆動側の当接部11が設置された押圧部材46は、案内機構47により案内されてワークWに向けて直線方向に移動する。これにより、ワーク把持装置1の駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1に対して略垂直の直線方向に押圧することができ、ワークWをより確実に保持することができる。
図21(a)(b)は、駆動機構の取付構造の変形例を模式的に示す断面図である。なお、図21では、各部を適宜拡大、縮小、簡略化等して描いている。
図21に示す変形例では、支持プレート2と駆動機構3との間に、支持プレート2と駆動機構3とを連結する連結部材24が備えられている。支持部材51a,51bは、ねじ部材25により連結部材24に固定され、連結部材24は、ねじ部材26により支持プレート2に固定される。すなわち、支持部材51a,51bは、連結部材24を介して支持プレート2に固定されている。また、図21では図示省略するが、ガイドレール56(図7参照)が、連結部材24の下面に固定されている。すなわち、ガイドレール56は、連結部材24を介して支持プレート2にねじ軸52の軸方向に沿って配設されている。
そして、連結部材24の支持プレート2に対する該支持プレート2に平行な平面内での設置方向は、連結部材24が前記平面内で所定角度回転されることにより変更可能に構成されている。このような構成によれば、駆動側の当接部11をワークWの第1の被当接部W1に押圧する際に、駆動側の当接部11の押圧方向を、ワークWの中心に近付く方向(図21(a)参照)や、ワークWの中心から遠ざかる方向(図21(b)参照)等、各種の方向に設定することができる。したがって、ワークWの種類に応じて押圧方向を調整でき、ワークWをより確実に保持することが可能となる。
具体的には、ねじ部材26は、ここでは、支持プレート2に平行な平面内における四角形の頂点に当たる4箇所に配設されている。したがって、ねじ部材26を外して連結部材24を支持プレート2に平行な平面内で180度回転させた後、ねじ部材26で連結部材24を支持プレート2に再度固定すれば、駆動側の当接部11の押圧方向を180度反対方向に変更することができる。これにより、単一のワーク把持装置1で、駆動側の当接部11をワークWの外面および内面のいずれにも押圧させることができ、ワークWの外面および内面のいずれをも把持することが可能となる。なお、ねじ部材26は、支持プレート2に平行な平面内における円周上等角度間隔で複数箇所に配設されてもよい。このようにすれば、駆動側の当接部11の押圧方向を、隣接するねじ部材26の角度間隔の整数倍だけ変化させることが可能となる。
なお、駆動機構3の本体部32は、ここでは、取付部材54aに平行な平面内における四角形の頂点に当たる4箇所に配設されたねじ部材27により、取付部材54aに固定されるように構成されている(図21参照)。このため、ねじ部材27を外して駆動機構3を取付部材54aに平行な平面内で180度回転させた後、ねじ部材27で駆動機構3を取付部材54aに再度固定すれば、駆動側の当接部11の押圧方向を180度反対方向に変更することが可能である。この場合、取付部材54aが、支持プレート2と駆動機構3との間に配置され支持プレート2と駆動機構3とを連結する連結部材24として、機能することになる。なお、ねじ部材27は、取付部材54aに平行な平面内における円周上等角度間隔で複数箇所に配設されてもよい。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態(変形例を含む)に記載した構成に限定されるものではなく、前記した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
例えば図2では、ワーク把持装置1は、ワークWのシェル部Sの外面に駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させてワークWを把持する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図22(a)〜(c)は、ワークの把持方法のバリエーションについて説明するための概略平面図である。なお、図22中の矢印は、駆動側の当接部11によるワークWへの押圧方向を示す。
図22(a)に示すように、ワーク把持装置1は、シェル構造を有さない例えば中実の円柱形状を呈するワークWの外面に駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させてワークWを把持するのに使用されてもよいことは勿論である。また、図22(b)に示すように、ワーク把持装置1は、ワークWのシェル部Sの内面に駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させてワークWを把持するのに使用されてもよい。この場合、例えば図5における駆動機構3を取付部材54aに平行な平面内で180度回転させた位置で固定した構成にするとよい。また、図22(c)に示すように、ワーク把持装置1は、ワークWのシェル部Sの外面に駆動側の当接部11を当接させると共に、ワークWのシェル部Sの内面に受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させて、ワークWを把持するのに使用されてもよい。
また、前記した実施形態においては、ワーク把持装置1は、1つの駆動側の当接部11と2つの受け側の当接部12,12との3つの当接部をワークWに当接させて把持するように構成したが、これに限定されるものではない。ワーク把持装置1は、2つの当接部をワークWに当接させて把持するように構成してもよく、4つ以上の当接部をワークWに当接させて把持するように構成してもよい。また、複数設けられた当接部のうち少なくとも一つの当接部が駆動側の当接部11であればよく、例えばすべての当接部が駆動側の当接部11であってもよい。さらに、前記した実施形態においては、3つの当接部11,12,12のすべてが自在移動機構5a,5bにより支持プレート2に対して自在移動可能に支持されているが、これに限定されるものではない。本発明は、複数の当接部の少なくとも一つが自在移動機構により支持プレート2に対して自在移動可能に支持されるように構成されてもよい。