JP5589747B2 - 焼成鉛筆芯 - Google Patents
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Description
これら従来技術に用いられているセラミックス粉は使用量に比例して筆記線の濃度・黒さは向上するが、強度はセラミックス粉を併用しない場合より低下することが確認されている。一方、特許文献5に記載されている非晶質板状シリカを黒鉛と併せて使用すると、他の技術物件よりも強度低下が少ない上、紙面に対する芯体の磨耗促進効果も高く、筆記線の濃度と黒さがより向上することが確認されている。
一般に、焼成鉛筆芯は曲げ強さを向上させようとすると筆記線の濃度・黒さが低下し、逆に筆記線の濃度・黒さを向上させようとすると、曲げ強さが低下する。すなわち、曲げ強さと筆記線の濃度・黒さとの間には逆相関関係がある。従って、どちらか一方を維持したまま、他方を向上させることは焼成鉛筆芯の性能向上を図る上で、非常に重要である。
さらに、チタンシリコンカーバイドは先行技術物件にあるセラミックス粉同様、黒鉛の表面にチタンシリコンカーバイドが付着し、光が乱反射することで筆記線の色が鉛色ではなく黒色になるため、曲げ強度を向上させても濃度と黒さの低下が少ない筆記線を得ることができる。以上のことから、本発明のチタンシリコンカーバイドを構成材料の一部として使用することにより、筆記線の濃度と黒さを低下させず、曲げ強さを向上させた焼成鉛筆芯が提供できる。
チタンシリコンカーバイドは一般式Ti3SiC2で示され、炭化チタンの正八面体結晶格子からなる薄い層とシリコン単原子層が結晶のc軸方向に互いに積み重なった結晶構造をしている(図2参照)。
チタンシリコンカーバイトの製法としてはチタン粉末、炭化珪素粉末、炭化チタン粉末を混合後、パルス通電加圧焼結装置にて高温高圧条件下で固化成形する方法や、チタン、シリコンおよび炭素の混合粉末を焼成合成する方法があるが、製法は特に限定されず、必要に応じて粉砕して用いれば良い。
また、チタンシリコンカーバイドの使用量は黒鉛とチタンシリコンカーバイドの合計使用量に対し1重量%以上の使用が好ましく、1重量%未満の使用量では筆記線の黒さの向上効果が発揮されにくい。また、60重量%を超えて使用すると筆記線の濃度と黒さは向上するが、曲げ強さの低下が起こるため、焼成鉛筆芯の芯径と硬度を考慮し、適宜使用量を変える必要がある。
構成材料として使用する合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、塩素化パラフィン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、ブチルゴムなどの合成樹脂の中より選択された1種もしくは2種以上のものが例示できる。
更に、必要に応じて、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリクレジル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、アジピン酸ジオクチル、プロピオンカーボネートなどの可塑剤、メチルエチルケトン、水などの溶剤、カーボンブラック、無定形シリカ、ステアリン酸塩、ステアリン酸などを併用できる。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 0.4重量部
黒鉛 49.6重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記材料を配合物として、ニーダー及び3本ロールにより十分に混練後、細線状に押し出し、空気中で300℃まで加熱し、更に、不活性雰囲気中で1100℃まで加熱し、呼び径0.7mmの焼成芯体を得た。これを100℃に加熱した流動パラフィン中に16時間浸漬後、表面上の余分な流動パラフィンを除去して鉛筆芯を得た。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 0.5重量部
黒鉛 49.5重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 2重量部
黒鉛 48重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 5重量部
黒鉛 45重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 10重量部
黒鉛 40重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 25重量部
黒鉛 25重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 29重量部
黒鉛 21重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 30重量部
黒鉛 20重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 31重量部
黒鉛 19重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 35重量部
黒鉛 15重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 40重量部
黒鉛 10重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
チタンシリコンカーバイド 50重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
非晶質シリカ(商品名:シルリーフ(水澤化学(株)))
0.5重量部
黒鉛 49.5重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
非晶質シリカ(商品名:シルリーフ(水澤化学(株)))
5重量部
黒鉛 45重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
非晶質シリカ(商品名:シルリーフ(水澤化学(株)))
10重量部
黒鉛 40重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
非晶質シリカ(商品名:シルリーフ(水澤化学(株)))
25重量部
黒鉛 25重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
非晶質シリカ(商品名:シルリーフ(水澤化学(株)))
50重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
A500(雲母、(株)山口雲母工業)
10重量部
黒鉛 40重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
CT35(タルク、(株)山口雲母工業)
10重量部
黒鉛 40重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
窒化珪素粉末(窒化珪素、電気化学工業(株)製)
10重量部
黒鉛 40重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
デンカボロンナイトライド(窒化ホウ素、電気化学工業(株)製)
10重量部
黒鉛 40重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
(芯体配合物)
ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部
黒鉛 50重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合物を用い実施例1と同様にした。
表1で示したとおりチタンシリコンカーバイドを配合することにより、従来から用いられているセラミック粉である非晶質シリカ、雲母、タルク、窒化珪素、窒化ホウ素を同量配合したときよりも、筆記線の濃度を維持したまま、曲げ強さが向上する。例えば実施例2、4、5、6、12と比較例1〜5を比較してわかるように、従来から用いられている非晶質シリカに替えて同量のチタンシリコンカーバイドを配合すると、それぞれで筆記線の濃度と黒さは変化しないが曲げ強さが向上していることがわかる。
Claims (2)
- 少なくともチタンシリコンカーバイドと合成樹脂とを配合し、混練、細線状に押出成型後、焼成温度まで熱処理を施し得られる焼成鉛筆芯。
- 前記チタンシリコンカーバイドの配合量を、黒鉛とチタンシリコンカーバイドの合計配合量に対し1重量%以上、60重量%以下とした請求項1に記載の焼成鉛筆芯。
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JP2010232037A JP5589747B2 (ja) | 2010-10-15 | 2010-10-15 | 焼成鉛筆芯 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010232037A JP5589747B2 (ja) | 2010-10-15 | 2010-10-15 | 焼成鉛筆芯 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012082375A JP2012082375A (ja) | 2012-04-26 |
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4984159B2 (ja) * | 2007-10-31 | 2012-07-25 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 微細結晶粒チタンシリコンカーバイドセラミックスの製造方法 |
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2010
- 2010-10-15 JP JP2010232037A patent/JP5589747B2/ja not_active Expired - Fee Related
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