(発明の分野)
本発明は、新たに同定されたポリヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、これらのポリペプチドに結合する抗体、このようなポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体の使用、ならびにそれらの産生に関する。
(発明の背景)
膜によって取り囲まれる単一コンパートメントとして存在する細菌とは異なり、ヒト細胞および他の真核細胞は、膜によって多くの機能的に異なるコンパートメントに細分される。各膜で区切られたコンパートメント、すなわちオルガネラは、そのオルガネラの機能に不可欠な異なるタンパク質を含む。細胞は、特定の細胞オルガネラにタンパク質を標的化するために、タンパク質内部に位置するアミノ酸モチーフである「選別シグナル」を使用する。
シグナル配列、シグナルペプチド、またはリーダー配列と呼ばれる選別シグナルの1つの型は、小胞体(ER)と呼ばれるオルガネラに1つのクラスのタンパク質を指向させる。ERは、膜で区切られたタンパク質をすべての他の型のタンパク質から分離する。一旦、ERに局在すると、両方の群のタンパク質とも、ゴルジ装置と呼ばれる別のオルガネラにさらに指向され得る。ここで、ゴルジは、タンパク質を、分泌小胞を含む小胞、細胞膜、リソソーム、および他のオルガネラに分布させる。
シグナル配列によってERに標的化されたタンパク質は、分泌タンパク質として細胞外間隙に放出され得る。例えば、分泌タンパク質を含む小胞は、細胞膜と融合し得、そして細胞外間隙にその内容物を放出し得る(エキソサイトーシスと呼ばれるプロセスである)。エキソサイトーシスは、構成的に、または誘発シグナルの受け取りの後に生じ得る。後者の場合には、タンパク質は、エキソサイトーシスが誘発されるまで、分泌小胞(または分泌顆粒)に貯蔵される。同様に、細胞膜上に存在するタンパク質はまた、タンパク質を膜に保持する「リンカー」のタンパク質分解切断によって、細胞外間隙に分泌され得る。
近年大きく進歩したにもかかわらず、ヒトの分泌タンパク質をコードする遺伝子は少数しか同定されていない。これらの分泌タンパク質としては、商業的価値のあるヒトインスリン、インターフェロン、第VIII因子、ヒト成長ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、およびエリスロポエチンが挙げられる。したがって、ヒトの生理学における分泌タンパク質の広範な役割を考慮すると、新規のヒトの分泌タンパク質およびそれらをコードする遺伝子を同定および特徴付けるための必要性がある。この知見は、分泌タンパク質またはそれらをコードする遺伝子を使用することによって、医学的疾患、障害および/または状態を検出、処置、および予防することを可能にする。
(発明の要旨)
本発明は、新規ポリヌクレオチドおよびそのコードされたポリペプチドに関する。さらに、本発明は、そのポリペプチドおよびポリヌクレオチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、ならびに組換え方法および合成方法に関する。このポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関連する疾患、障害および/または状態を検出するための診断方法、ならびにこのような疾患、障害および/または状態を処置するための治療方法もまた提供される。本発明は、さらに、このポリペプチドの結合パートナーを同定するためのズクリーニング方法に関する。
(詳細な説明)
(定義)
以下の定義は、本明細書全体を通して使用される特定の用語の理解を容易にするために提供される。
本発明において、「単離された(単離した)」とは、その本来の環境(例えば、それが天然に存在する場合は天然の環境)から取り出された物質をいい、したがって、その天然の状態から「人間の手によって」変更されている。例えば、単離されたポリヌクレオチドは、ベクターまたは物質の組成物の一部であり得るか、あるいは細胞中に含まれ得、そしてなお「単離され」得る。なぜなら、そのベクター、物質の組成物、または特定の細胞は、ポリヌクレオチドの本来の環境ではないからである。用語「単離された」は、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー、丸ごとの細胞全体またはmRNA調製物、ゲノムDNA調製物(電気泳動により分離されたものおよびブロットへのトランスファーされたものを含む)、せん断された全細胞ゲノムDNA調製物あるいは、当該分野が本発明のポリヌクレオチド/配列の識別する特徴を示せない他の組成物をいわない。
本発明において、「分泌」タンパク質とは、ER、分泌小胞、または細胞外間隙にシグナル配列の結果として指向され得るタンパク質、ならびにシグナル配列を必ずしも含まないが細胞外間隙に放出されるタンパク質をいう。分泌タンパク質が、細胞外間隙に放出される場合、この分泌タンパク質は、「成熟」タンパク質を産生するために細胞外プロセシングを受け得る。細胞外間隙への放出は、エキソサイトーシスおよびタンパク質分解切断を含む多くの機構によって生じ得る。
特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも15、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも500または少なくとも1000個の連続するヌクレオチドであるが、長さが300kb、200kb、100kb、50kb、15kb、10kb、7.5kb、5kb、2.5kb、2.0kbまたは1kb以下である。さらなる実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書において開示される場合、コード配列の一部を含むが、任意のイントロンの全てまたは一部を含まない。別の実施形態において、コード配列を含むポリヌクレオチドは、ゲノム隣接遺伝子(すなわち、ゲノムにおける目的の遺伝子に対して5’側または3’側)のコード配列を含まない。他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、1000、500、250、100、50、25、20、15、10、5、4、3、2、または1より多いゲノム隣接遺伝子コード配列を含まない。
本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」とは、配列番号X(SEQ ID NO:X)に含まれる核酸配列を有する分子、またはATCCに寄託されたクローン内に含まれるcDNAをいう。例えば、このポリヌクレオチドは、5’および3’非翻訳配列、シグナル配列を含むかもしくは含まないコード領域、分泌タンパク質コード領域を含む全長cDNA配列のヌクレオチド配列、ならびにこの核酸配列のフラグメント、エピトープ、ドメイン、および改変体を含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」とは、広く定義される場合、ポリヌクレオチドから生じた翻訳されたアミノ酸配列を有する分子をいう。
本発明では、配列番号Xとして同定された全長配列は、しばしば、複数のクローンに含まれる配列を重複させることによって生成された(コンティグ分析)。配列番号Xについての配列のすべてまたはほとんどを含む代表的クローンが、アメリカンタイプカルチャーコレクション(「ATCC」)に寄託された。表1に示すように、各クローンは、cDNAクローンID(識別子)およびATCC受託番号によって同定される。ATCCは、10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110−2209,USAに位置する。ATCC寄託は、特許手続目的のための微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項に拠って行われた。
本発明の「ポリヌクレオチド」はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号Xに含まれる配列、その相補体、またはATCCに寄託されたクローン内のcDNAにハイブリダイズし得るポリヌクレオチドを含む。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%デキストランサルフェート、および20μg/ml変性剪断サケ***DNAを含む溶液中での42℃での一晩インキュベーション、続いて0.1×SSC中で約65℃にてフィルターを洗浄することをいう。
より低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子もまた意図される。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよびシグナル検出の変化は、主として、ホルムアミド濃度(より低い百分率のホルムアミドが、低下したストリンジェンシーを生じる);塩条件、または温度の操作を通じて達成される。例えば、より低いストリンジェンシー条件は、6×SSPE(20×SSPE=3M NaCl;0.2M NaH2PO4;0.02M EDTA、pH7.4)、0.5% SDS、30%ホルムアミド、100μg/mlサケ***ブロッキングDNAを含む溶液中、37℃で一晩のインキュベーション;次いで1×SSPE、0.1% SDSを用いた50℃での洗浄を含む。さらに、さらにより低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーション後に行われる洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×SSC)で行われ得る。
上記の条件における変化が、ハイブリダイゼーション実験においてバックグラウンドを抑制するために使用される代替的なブロッキング試薬の含有および/または置換によって達成され得ることに留意のこと。代表的なブロッキング試薬としては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ***DNA、および市販の特許処方物が挙げられる。特異的ブロッキング試薬の含有は、適合性の問題に起因して、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要とし得る。
もちろん、ポリA+配列(例えば、配列表に示されるcDNAの任意の3’末端ポリA+領域(tract))に、またはT(もしくはU)残基の相補的ストレッチにのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、「ポリヌクレオチド」の定義に包含されない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)ストレッチまたはその相補体を含む任意の核酸分子(例えば、プライマーとしてオリゴdTを用いて生成される、事実上任意の二本鎖cDNAクローン)にハイブリダイズするからである。
本発明のポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドから構成され得、これは、非改変RNAもしくは非改変DNAまたは改変RNAもしくは改変DNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖、またはより代表的には二本鎖もしくは一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子から構成され得る。さらに、このポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含む、三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオチドはまた、安定性のために、または他の理由のために改変された、1つ以上の改変された塩基またはDNAもしくはRNA骨格を含み得る。「改変された」塩基としては、例えば、トリチル化された塩基およびイノシンのような普通でない塩基が挙げられる。種々の改変が、DNAおよびRNAに対して行われ得;したがって、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に改変された形態を含む。
本発明のポリペプチドは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合、すなわち、ペプチドアイソスター(isostere)によって互いに連結したアミノ酸から構成され得、そして遺伝子がコードする20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。このポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然のプロセスによって、または当該技術分野で周知の化学改変技術によってのいずれかで、改変され得る。このような改変は、基本テキスト、およびより詳細な研究論文、ならびに多くの研究文献に十分記載される。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのどこにでも生じ得る。同じ型の改変が、所定のポリペプチド中のいくつかの部位で同じまたは種々の程度で存在し得ることが理解される。また、所定のポリペプチドは多くの型の改変を含み得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として分枝状であり得、そしてポリペプチドは、分枝を含むかまたは含まない、環状であり得る。環状、分枝状および分枝した環状のポリペプチドは、天然の翻訳後プロセスから生じ得るか、または合成方法によって作製され得る。改変としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(pegylation)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介付加、およびユビキチン化が挙げられる。(例えば、PROTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES,第2版,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York(1993);POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS,B.C.Johnson編,Academic Press,New York,1−12頁(1983);Seifterら,Meth Enzymol 182:626−646(1990);Rattanら,Ann NY Acad Sci 663:48−62(1992)を参照のこと)。
「配列番号X(SEQ ID NO:X)」とは、ポリヌクレオチド配列をいうが、「配列番号Y(SEQ ID NO:Y)」とは、ポリペプチド配列をいい、両方の配列とも、表1に特定された整数によって同定される。
「生物学的活性を有するポリペプチド」とは、特定の生物学的アッセイで測定した場合、用量依存性を伴なっても伴なわなくても、本発明のポリペプチド(成熟形態を含む)の活性と類似であるが、必ずしも同一ではない活性を示すポリペプチドをいう。用量依存性が存在する場合、このポリペプチドの用量依存性と同一である必要はないが、むしろ本発明のポリペプチドと比較した場合に、所定の活性における用量依存性に実質的に類似する(すなわち、候補ポリペプチドは、本発明のポリペプチドと比較して、より大きな活性を示すか、または約1/25以上、そして好ましくは約1/10以上の活性、そして最も好ましくは約1/3以上の活性を示す)。
多くのタンパク質(および翻訳されたDNA配列)は、アミノ酸組成が、利用可能な残基の小さいサブセットに対して非常に片寄る領域を含む。例えば、膜貫通ドメインおよびシグナルペプチド(これもまた膜貫通である)は、代表的に、ロイシン(L)、バリン(V)、アラニン(A)、およびイソロイシン(I)が支配する長いストレッチを含む。cDNAの末端のポリアデノシン領域(ポリA)は、正方向(forward)翻訳においてポリリジン(ポリ−K)、および逆相補体(reverse complement)が翻訳される場合、ポリフェニルアラニン(ポリ−F)として現れる。これらの領域は、しばしば「より低い複雑性」の領域といわれる。
このような領域は、BLASTのようなデータベース類似性調査プログラムに、真の相同性を意味しない、高いスコアの配列一致を見出させ得る。ほとんどの重量(weight)マトリックス(BLASTによって生じるアライメントをスコアするために使用される)が、一般的に、特定の低い複雑性の領域において見出される疎水性アミノ酸(L、VおよびI)の群のいずれかの間での一致に、正確な一致に対しての高いスコアとほとんど同様の高いスコアを与えるという事実によって、問題が悪化する。
これに対する補正のために、BLASTX.2(バージョン2.0a5MP−WashU)は、特定の配列においてより低い複雑性を「マスクする(mask)」2つのフィルター(「seg」および「xnu」)を用いる。これらのフィルターは、このような領域についての配列を分析して、そしてより低い複雑性領域におけるアミノ酸が文字「X」により置換された新しい配列を作製する。次いで、これは、BLASTXプログラムへの入力配列(ときどき、本明細書中で「Query(問い合わせ)」および/または「Q」といわれる)として使用される。このレジメンは、高いスコアの一致が真の相同性を表すことを保証するのを補助する一方、BLASTXプログラムがアライメントを描くためにフィルターによってマスクされた問い合わせ配列を使用するという点で、ネガティブな結果が存在する。
従って、以下の適用において示されるアライメントにおける「X」のストレッチは、下線を引かれたDNA配列または翻訳されたタンパク質配列のいずれかが、未知または不特定であることを必ずしも示さない。そしてまたこのようなストレッチの存在は、この配列が、本発明のアライメントにおいて開示される配列に対して同一であるか、または同一でないことを示すことを意味されない。このようなストレッチは、上記で定義されるように、このBLASTXプログラムが、低い複雑性の領域の検出に起因して、その領域におけるアミノ酸をマスクすることを単に示し得る。全ての場合において、本明細書、配列表(表1)、および/または寄託されたクローンに示される参照(reference)配列(ときどき、本明細書中で、「対象(Subject)」、「Sbjct」、および/または「S」という)は、本発明の決定的な実施形態であり、そして本明細書中の他の箇所で特別に示さない限り、アライメントにおいて示される部分的配列に対して、本発明を限定するように解釈されるべきでない。
(本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド)
(遺伝子番号1によってコードされるタンパク質の特徴)
コンピューターアルゴリズムBLASTXを使用して、この遺伝子の翻訳産物が、非限定的な例として、以下のデータベースの受託番号gb|AAD33892.1|AF142780_1(列挙される受託番号を通じて入手可能な全ての情報が、本明細書中で参考として援用される)を通してアクセス可能な配列(これは、ここでは「(AF142780)ブチロフィリン様タンパク質[Mus musculus]」として記載される)と配列相同性を共有することを決定した。観察される相同性を示す部分的なアライメントをすぐ下に示す。
上記で「S」として示されるgb|AAD33892.1|AF142780_1のセグメントは、配列番号として配列表中に示される。構造的な類似性に基づいて、これらの相同なポリペプチドは、少なくともいくつかの生物学的活性を共有することが予期される。このような活性は、当該分野で公知であり、そしてそのいくつかが本明細書中の他で記載される。このような活性を決定するためのアッセイもまた、当該分野で公知であり、そのいくつかが、本明細書中の他で記載されている。本発明の好ましいポリペプチドは、上記で示されるアライメント(コンピューターによって、配列に導入されたギャップは、もちろん除去される)において、「Q」配列に対応する配列番号として配列表に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Soares_pregnant_uterus_NbHPU、そしてより少ない程度で以下において:Primary Dendritic Cells,lib 1;Thymus;Human Adult Spleen;Aorta endothelial cells + TNF−a;Human T−cell lymphoma,re−excision;Primary Dendritic cells,frac 2、およびSoares_testis_NHT。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
組織分布、およびブチロフィリンに対する相同性に基づき、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物および抗体が、種々の障害の診断および/または処置に有用であり得る。子宮における発現の上昇は、生殖障害の診断および/または処置を研究するための有用性を示唆する。ブチロフィリンに対する相同性は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物および抗体が、多発性硬化症に対する感受性について乳製品、ワクチンおよびアッセイにおいて有用であり得ることを示唆する。この組織分布はまた、造血組織/免疫組織における富化を示す。さらに、この遺伝子産物は、T細胞同時刺激分子のB7ファミリーの新規なメンバーである、B7−H1に対して相同性を共有する。したがって、この遺伝子産物は、免疫障害の処置および/または診断において有用であり得る。
(遺伝子番号2によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子に対応する翻訳産物は、骨形態形成タンパク質の阻害において役割を果たすと考えられる、マウス(murine)グレムリン(Gremlin)タンパク質と配列番号相同性を共有する(例えば、Genbank AAC40111を参照のこと)。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Osteoblasts、そしてより少ない程度で以下において:Soares_senescent_fibroblasts_NbHSF;Jia bone marrow stroma;Human Osteoblasts II;Human Thymus Stromal Cells;Soares melanocyte 2NbHM;HSA 172 Cells;Human Osteoclastoma;Stromal cell TF274;Stratagene fibroblast(#937212);Human endometrial stromal cells−treated with progesterone;Human endometrial stromal cells−treated with estradiol;Human adult(K.Okubo);Human endometrial stromal cells;NCI_CGAP_Gas4;Human Gall Bladder;Colon Tumor;Human 8 Week Whole Embryo;Colon Tumor II;Human Bone Marrow Stromal Fibroblast;HUMAN SCHWANOMA;Crohn’s Disease;Pharynx Carcinoma;Human Normal Cartilage Fraction IV;Human Pre−Differentiated Adipocytes;HSC172 cells;NCI_CGAP_Co12;human corpus colosum;NCI_CGAP_Co9;Synovial hypoxia−RSF subtracted;Human Stomach,re−excision;Human Colon,re−excision;NCI_CGAP_Alv1;Gessler Wilms tumor;Monocyte activated,re−excision;12 Week Old Early Stage Human,II;Human Pancreas Tumor,Reexcision;Synovial Fibroblasts(control);Bone Marrow Stromal Cell,untreated;NCI_CGAP_Co3;CHME Cell Line,untreated;Colon Carcinoma;NCI_CGAP_Co8;Human Placenta;Pancreas normal PCA4 No;Monocyte activated;Pancreas Tumor PCA4 Tu;Neutrophils IL−1 and LPS induced;H.Frontal cortex,epileptic,re−excision、およびNCI_CGAP_Lu5。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:筋骨格系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に筋骨格系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、筋骨格組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
マウスグレムリンタンパク質に対しての、この遺伝子に対応する翻訳産物の相同性は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物および抗体が、増殖因子のTGF−βファミリーのメンバーの阻害に有用であり得ることを示す。骨芽細胞および巨骨細胞腫組織におけるこの遺伝子産物の発現の上昇は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物、および抗体が、骨芽細胞の生存、増殖および/または成長において役割を果たしうることを示唆する。従って、この遺伝子産物は、骨粗しょう症のような状態において骨量への影響に有用であり得る。
この分泌タンパク質は、生物学的活性を決定するため、抗体を惹起するため、組織マーカーとして、同種のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために、そして栄養補給剤として、使用され得る。このタンパク質はまた、非常に広範な生物学的活性を有し得る。代表的な用途は、以下の「走化性」および「結合活性」の節、実施例11、12、13、14、15、16、18、19および20、ならびに本明細書中の他の箇所において記載される。簡潔には、このタンパク質は、以下の活性を有し得る:サイトカイン、細胞の増殖/分化調節活性、または他のサイトカインの誘導;免疫刺激/免疫抑制活性(例えば、ヒトの免疫不全ウイルス感染、癌、自己免疫疾患、およびアレルギーを処置するため);造血の調節(例えば、貧血を処置するため、または化学療法に対する補助薬として);骨、軟骨、腱、靭帯、および/または神経の刺激または増殖(例えば、創傷を処置するため、卵胞刺激ホルモンの刺激のため(受胎能の制御のため);走化性およびケモキネシス活性(例えば、感染、腫瘍を処置するため);止血または血栓崩壊活性(例えば、血友病、心筋梗塞などを処置するため);抗炎症活性(例えば、敗血症性ショック、クローン病を処置するため);抗菌薬として;乾癬または他の過剰増殖性疾患を処置するため;代謝および挙動の調節のため。遺伝子治療手順における対応する核酸の使用も意図される。
免疫細胞(例えば、好中球、骨髄)における組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、種々の免疫系障害の診断および処置に有用であることを示す。代表的な用途は、以下の「免疫活性」および「感染疾患」の節において、実施例11、13、14、16、18、19、20および27において、ならびに本明細書中の他の箇所に記載される。簡略には、この遺伝子産物の発現は、血液幹細胞を含む、造血細胞系列の増殖;生存;分化;および/または活性化の調節における役割を示す。サイトカイン産生、抗原提示、または他のプロセスの調節における関与は、(例えば、免疫応答をブーストすることによる)ガンの処置における有用性を示唆する。リンパ系起源の細胞における発現は、この天然の遺伝子産物が、免疫機能に関与することを示す。従って、それはまた、関節炎、喘息、AIDSのような免疫不全疾患、白血病、慢性関節リウマチ、慢性肉芽腫症、炎症性腸疾患、敗血症、挫創、好中球減少症、好中球増加症、乾癬、過敏症(例えば、T細胞媒介細胞障害);移植器官および組織に対する免疫反応(例えば、宿主対移植片および移植片対宿主疾患)または自己免疫障害(例えば、自己免疫不妊症、水晶体組織傷害、脱髄、全身エリテマトーデス、薬物誘導溶血性貧血、慢性関節リュウマチ、シェ−グレン病、および強皮症)を含む、免疫学的障害のための薬剤としても有用である。
さらに、このタンパク質は、他の血液細胞の分化または挙動に影響する分泌因子、または傷害の部位に造血細胞を補充する分泌因子を示し得る。従って、この遺伝子産物は、様々な血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆細胞の拡大において、ならびに様々な細胞型の分化および/または増殖において有用であると考えられる。組織分布(例えば、骨芽細胞)は、このクローンのタンパク質産物が、骨障害の診断および/または処置に有用であることを示唆する。結腸、膵臓および咽頭起源の腫瘍における組織分布は、このクローンのタンパク質産物が、これらの腫瘍の診断および阻害のために、ならびに発現が示された他の腫瘍に対して有用であることを示唆する。さらに、このタンパク質はまた、栄養補給剤としてのその使用に加えて、生物学的活性を決定するため、抗体を惹起するため、組織マーカーとして、同種のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために、使用され得る。タンパク質およびこのタンパク質に対して指向される抗体は、上記に列挙された組織の腫瘍マーカーおよび/または免疫療法の標的としての有用性を示し得る。
(遺伝子番号3によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子に対応する翻訳産物は、マウスMPS−1タンパク質およびラットMPG−1タンパク質(それぞれ、Genbank登録番号AAA73957およびAAD38417を参照のこと)と配列相同性を共有する。MPS−1タンパク質は、パーフォリン(perforin)タンパク質の溶解性ファミリーに対して進化的保存を有するマクロファージ特異的タンパク質である。相同性に基づいて、この遺伝子に対応する翻訳産物は、溶解能において機能し得、細胞死を起こすと考えられる。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Human Bone Marrow,treated、そしてより少ない程度で以下において:Human rejected kidney;Human T−cell lymphoma,re−excision;Human Adult Small Intestine;Human Osteoblasts II;Ulcerative Colitis;Human Placenta;human tonsils;Hodgkin’s Lymphoma II、およびPrimary Dendritic Cells,lib 1。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
この遺伝子は、マウスおよびラットのマクロファージ特異的遺伝子1のヒトオルソログである。このマウス遺伝子は、ディファレンシャルcDNA分析によって同定され、そして、成熟マクロファージにおいては高レベルそして特定の骨髄単球性細胞株においては中皮のレベルで、マクロファージ系列および分化段階特異的発現を示した。
ヒト骨髄における組織分布および他の造血細胞型は、この遺伝子およびそのタンパク質産物が、ヒト免疫系障害、骨芽細胞腫、関節炎および他の癌の診断および処置に有用であることを示す。この遺伝子に対応する翻訳産物は、細胞死に関与する溶解性タンパク質として機能し得る。
あるいは、この遺伝子に対応する翻訳産物は、免疫機能および免疫監視機構に参加し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号4によりコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Soares fetal liver spleen 1NFLS、そしてより少ない程度で以下において:NCI_CGAP_GCB1;Human Pituitary,subt IX;Soares_NFL_T_GBC_S1;Soares_NhHMPu_S1;Human Pituitary,subtracted;Soares adult brain N2b4HB55Y;Rejected Kidney,lib 4;H.Frontal cortex,epileptic,re−excision;Soares melanocyte 2NbHM;Human Cerebellum;Activated T−Cells,12 hrs,subtracted;Human Colon,subtraction;Pancreatic Islet;NCI_CGAP_Ut4;Stratagene NT2 neuronal precursor 937230;NCI_CGAP_Kid6;Stratagene pancreas(#937208);Stratagene HeLa cell s3 937216;Stratagene endothelial cell 937223;NCI_CGAP_Co3;Stratagene colon(#937204);Early Stage Human Brain;Human Fetal Kidney,Reexcision;Human Fetal Heart;human tonsils;NCI_CGAP_GC6;NCI_CGAP_Kid5;HUMAN B CELL LYMPHOMA;Soares ovary tumor NbHOT;Hodgkin’s Lymphoma II;Soares_testis_NHT;H.Leukocytes,normalized cot 50A3;PRMIX;Namalwa Cells;HL−60,RA 4h,Subtracted:NCI_CGAP_Pr8;NCI_CGAP_Pr9;Human Pituitary,re−excision;Human Fetal Brain;stomach cancer(human);Human Colon;Human retina cDNA Tsp509I−cleaved sublibrary;NCI_CGAP_Lip2;Human Fetal Spleen;Smooth muscle,control,re−excision;H.Epididiymus,caput & corpus;H.cerebellum,Enzyme subtracted;Human Lung;H.Epididiymus,cauda;Human Lung Cancer,re−excision;Healing groin wound − zero hr post−incision(control);Human Epididymus;STROMAL −OSTEOCLASTOMA;Synovial IL−1/TNF stimulated;Hepatocellular Tumor;pBMC stimulated w/ poly I/C;Smooth muscle,IL1b induced;Stratagene schizo brain S11;Synovial hypoxia−RSF subtracted;NCI_CGAP_Co14;B−cells(unstimulated);LNCAP prostate cell line;Jurkat T−Cell,S phase;H.Lymph node breast Cancer;Human Adult Small Intestine;Breast,Normal:(4005522B2);Stratagene lung carcinoma 937218;Human Prostate;B−Cells;Human Brain,Striatum;Monocyte activated,re−excision;Human Fetal Kidney;Human Uterine Cancer;NCI_CGAP_Gas4;Human Pancreas Tumor,Reexcision;Ovary,Cancer(9809C332):Poorly differentiated adenocarcinoma;Ovary,Cancer:(4004576 A8);Human Chondrosarcoma;Bone Marrow Stromal Cell,untreated;Human Thymus Stromal Cells;Soares breast 2NbHBst;Human Adrenal Gland Tumor;Human Gall Bladder;Smooth muscle,serum induced,re−exc;Smooth muscle,serum treated;breast lymph node CDNA library;Human Placenta;H Macrophage(GM−CSF treated),re−excision;Normal colon;NCI_CGAP_GC4;Human Synovial Sarcoma;Pancreas normal PCA4 No;12 Week Early Stage Human II,Reexcision;NCI_CGAP_Brn23;Monocyte activated;Soares_placenta_8to9weeks_2NbHP8to9W;Human Testes;Bone Marrow Cell Line(RS4,11);NCI_CGAP_Lu5;Keratinocyte;Colon Normal III;Soares_fetal_heart_NbHH19W、およびPrimary Dendritic Cells,lib 1。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
観察された組織分布は、この遺伝子産物が、種々の障害の診断および/または処置に有用であり得ることを示唆する。胎児肝臓および脾臓における発現は、造血における、そして血液細胞系列の生存、分化、および/または活性化における潜在的な役割を示唆する。従って、この遺伝子産物は、免疫系機能不全、感染に対する感受性、自己免疫、白血病/リンパ腫、炎症および免疫調節に関与し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号5によってコードされるタンパク質の特徴)
コンピューターアルゴリズムBLASTXを使用して、この遺伝子の翻訳産物が、非限定的な例として、以下のデータベースの受託番号gb|AAC17217.1|(列挙される受託番号を通じて入手可能な全ての情報が、本明細書中で参考として援用される)を通してアクセス可能な配列(これは、ここでは「|(AF016032)guanosine−diphosphatase like protein[Homo sapiens]」として記載される)と配列相同性を共有することを決定した。観察される相同性を示す部分的なアライメントをすぐ下に示す。
上記で「S」として示されるgb|AAC17217.1|のセグメントは、配列番号:として配列表中に示される。構造的な類似性に基づいて、これらの相同なポリペプチドは、少なくともいくつかの生物学的活性を共有することが予期される。このような活性は、当該分野で公知であり、そしてそのいくつかが本明細書中の他で記載される。このような活性を決定するためのアッセイもまた、当該分野で公知であり、そのいくつかが、本明細書中の他で記載されている。本発明の好ましいポリペプチドは、上記で示されるアライメント(コンピューターによって、配列に導入されたギャップは、もちろん除去される)において、「Q」配列に対応する配列番号:として配列表に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Soares infant brain 1NIB、そしてより少ない程度で以下において:Messangial cell,frac 1;Human Umbilical Vein Endothelial cells,frac B,re−excision;Adipocytes,re−excision;Fetal Heart,re−excision;Smooth muscle,IL1b induced;Human Osteosarcoma;human ovarian cancer;NCI_CGAP_CLL1;PC3 Prostate cell line;Soares melanocyte 2NbHM、およびPrimary Dendritic Cells,lib 1。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
アピラーゼ、ジホスファターゼおよびCD39(細胞間相互作用および凝集に関与すると考えられる)に対する相同性に基づいて、このタンパク質は、細胞間相互作用に類似の役割を有し得る。胎児脳における発現に基づいて、この遺伝子およびその産物は、認識、学習および他のより高度な神経機能(例えば、記憶)に必要である、正しい神経相互作用(interaction)の形成に関与し得る。従ってこの遺伝子は、このような障害ならびに他の神経変性性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSおよび多発性硬化症)の診断および処置に有用であり得る。さらに、このタンパク質は、神経再生が有利である、脊髄損傷を含む神経損傷の治療に有用であり得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号6によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子に対応する翻訳産物は、ヒトHER2レセプタータンパク質と配列相同性を共有する(例えば、Genbank登録番号AAA75493を参照のこと)。この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:NCI_CGAP_Pr28、そしてより少ない程度で以下において:NCI_CGAP_Pr23;Hodgkin’s Lymphoma I;Healing groin wound − zero hr post−incision(control);Healing groin wound,6.5 hours post incision;NCI_CGAP_Ut2;NCI_CGAP_Pr2;NCI_CGAP_Kid6;Soares adult brain N2b5HB55Y;Hodgkin’s Lymphoma II;Soares_fetal_heart_NbHH19W、およびSoares infant brain 1NIB。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害、ならびに癌を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系および癌組織の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
ヒトHer2レセプターに対する相同性、そして主ヒト前立腺腫瘍およびホジキンIリンパ腫組織におけるこの組織分布は、この遺伝子およびそのタンパク質産物が、ヒト前立腺がん、ホジキンリンパ腫、および他の免疫系障害の診断および処置に有用であることを示す。
(遺伝子番号7によりコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子に対応する翻訳産物は、ヒトSteerin−1タンパク質(例えば、Genbank登録番号AJ251973を参照のこと)、およびエクステンシン様タンパク質(extensin−like protein)と配列相同性を共有する。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか、あるいは以下のアミノ酸配列から構成される:MSDNAPASLESGSSSTPTNCSTSSAIPQPGAATKPWRSKSLSVKHSATVSMLSVKPPGPEAPRPTPEAMKPAPNNQKSMLEKLKLFNSKGGSKAGEGPGSRDTSCERLETLPSFEESEELEAASRMLTTVGPASSSPKIALKGIAQRTFSRALTNKKSSLKGNEKEKEKQQREKDKEKSKDLAKRASVTERLDLKEEPKEDPSGAAVPEMPKKSSKIASFIPKGGKLNSAKKEPMAPSHSGIPKPGMKSMPGKSPSAPAPSKEGERSRSGKLSSGLPQQKPQLDGRHSSSSSSLASSEGKGPGGTTLNHSISSQTVSGSVGTTQTTGSNTVSVQLPQPQQQYNHPNTATVAPFLYRSQTDTEGNXTXESSSTGVSVEPXHFPRLDSLLWKNSLGKILRLGGCGQSNPHATMTQQGRRGREF(配列番号146)。さらに、これらのポリペプチドのフラグメントおよび改変体(例えば、本明細書に記載のフラグメント、これらのポリペプチドに少なくとも、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド、およびこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドなど)がまた、本発明により包含される。本発明のポリペプチドに結合する抗体がまた、本発明により包含される。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、本発明により包含される。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Soares_pregnant_uterus_NbHPU、そしてより少ない程度で以下において:7TM−PNMIX;Human Osteoblasts II;Human Fetal Kidney,ReexcisionおよびSoares melanocyte 2NbHM。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:生殖疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に生殖系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、生殖組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
ヒトSteerin−1タンパク質に対する相同性、およびエクステンシン様タンパク質に対する相同性、ならびにZnフィンガー転写因子に対する相同性は、この遺伝子が、遺伝子発現、調節、および発生において役割を果たすことを示唆する。ヒト妊娠子宮における組織分布および骨芽細胞における組織分布は、この遺伝子およびそのタンパク質産物が、雌性生殖障害および異常な胚発達の診断および処置に有用であることを示す。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号8によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主にpooled Dendritic cells、およびHuman Thymus Stromal Cellsにおいて発現される。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
ヒト樹状細胞および胸腺間質細胞における組織分布は、この遺伝子およびそのタンパク質産物が、ヒト免疫障害の診断および処置に有用であることを示す。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または他のプロセスの調節において関与し得、このことは、癌の処置(例えば、免疫応答をブーストすることによる)における有用性を示唆し得る。この遺伝子は、リンパ起源の細胞において発現するので、この遺伝子またはタンパク質、ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙する組織の腫瘍マーカーおよび/または免疫治療標的として有用性を示し得る。従って、これはまた、関節炎、喘息、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡、および乾癬を含む免疫学的障害のための薬剤として用いられ得る。さらに、この遺伝子産物は、種々の血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆体の拡大において、ならびに種々の細胞型の増殖において商業的有用性を有し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号9によってコードされるタンパク質の特徴)
開示されたcDNAをコードする遺伝子は、第12染色体に存在すると考えられる。従って、本発明に関するポリヌクレオチドは第12染色体についての連鎖分析におけるマーカーとして有用である。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Soares_fetal_heart_NbHH19W、そしてより少ない程度で以下において:Human Liver,normal;Early Stage Human Brain;H.hypothalamus,frac A;Activated T−cells;Human Tonsils,Lib 2;human corpus colosum;Stratagene lung carcinoma 937218;Stratagene fetal spleen(#937205);Human umbilical vein endothelial cells,IL−4 induced;Macrophage(GM−CSF treated);Stratagene liver(#937224);Bone marrow;Endothelial−induced;Human Amygdala;Stratagene lung(#937210);Spleen,Chronic lymphocytic leukemia;Human Bone Marrow,treated;Soares_NhHMPu_S1;Primary Dendritic Cells,lib 1、およびSoares infant brain 1NIB。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:発生および免疫系の障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系および発生系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、発生組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
ヒト胎児組織における組織分布は、この遺伝子およびそのタンパク質産物が、発生の障害および成人免疫障害および癌の診断および処置に有用であることを示す。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または他のプロセスの調節において関与し得、このことは、癌の処置(例えば、免疫応答をブーストすることによる)における有用性を示唆し得る。この遺伝子は、リンパ起源の細胞において発現するので、この遺伝子またはタンパク質、ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙する組織の腫瘍マーカーおよび/または免疫治療標的として有用性を示し得る。従って、これはまた、関節炎、喘息、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡、および乾癬を含む免疫学的障害のための薬剤として用いられ得る。さらに、この遺伝子産物は、種々の血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆体の拡大において、ならびに種々の細胞型の増殖において商業的有用性を有し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号10によってコードされるタンパク質の特徴)
開示されたcDNAをコードする遺伝子は、第19染色体に存在すると考えられる。従って、本発明に関するポリヌクレオチドは第19染色体についての連鎖分析におけるマーカーとして有用である。
この遺伝子は、主にヘルパーT細胞(T−cell helper)および精巣において、そしてより少ない程度でextent ubiquitouslyにおいて、発現される。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:精巣および免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に精巣および免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、とのような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、精巣組織、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
観察された組織分布は、この遺伝子産物が、種々の障害の診断および/または処置において有用であり得ることを示唆する。ヘルパーT細胞における組織分布に基づいて、この遺伝子産物は、免疫系機能不全、白血病/リンパ腫、感染に対する感受性、および循環障害の診断および/または処置に有用であり得る。同様に、精巣における発現の上昇は、雄性受精における潜在的な役割、および雄性避妊薬としてのこの遺伝子産物の潜在的な適用を示唆する。分泌されたタンパク質はまた、生物学的活性を決定するために、抗体を惹起するために、組織マーカーとして、同属のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために、そして栄養補給剤として、使用され得る。この産物はまた、非常に広範な生物学的活性を有する。これらの代表的なものは、サイトカイン、細胞の増殖/分化調節活性、または他のサイトカインの誘導;免疫刺激/免疫抑制活性(例えば、ヒトの免疫不全ウイルス感染、癌、自己免疫疾患、およびアレルギーを処置するため);造血の調節(例えば、貧血を処置するため、または化学療法に対する補助薬として);骨、軟骨、腱、靭帯、および/または神経の刺激または増殖(例えば、創傷を処置するため、卵胞刺激ホルモンの刺激のため(受胎能の制御のため);走化性およびケモキネシス活性(例えば、感染、腫瘍を処置するため);止血または血栓崩壊活性(例えば、血友病、心筋梗塞などを処置するため);抗炎症活性(例えば、敗血症性ショック、クローン病を処置するため);抗菌薬として;乾癬または他の過剰増殖性疾患を処置するため;代謝および挙動の調節のためである。遺伝子治療手順における対応する核酸の使用も意図される。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号11によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:prostate,Dendritic cells,pooled;Soares_fetal_lung_NbHL19W、そしてより少ない程度で以下において:Human Pineal Gland;L428、およびActivated T−Cell(12hs)/Thiouridine labelledEco。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害、ならびに癌を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系および癌性組織の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
ヒト前立腺および造血細胞系列における組織分布は、この遺伝子およびそのタンパク質産物が、ヒト前立腺癌および免疫系障害の診断および処置に有用であることを示す。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または他のプロセスの調節に関与し得、(例えば、免疫応答をブーストすることによる)ガンの処置における有用性をまた示唆し得る。この遺伝子は、リンパ系起源の細胞において発現するので、この遺伝子またはタンパク質、ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。従って、それはまた、関節炎、喘息、AIDSのような免疫不全疾患、白血病、慢性関節リウマチ、慢性肉芽腫症、炎症性腸疾患、敗血症、挫創、好中球減少症、好中球増加症、乾癬、過敏症(例えば、T細胞媒介細胞障害);移植器官および組織ヒ対する免疫反応(例えば、宿主対移植片および移植片対宿主疾患)または自己免疫障害(例えば、自己免疫不妊症、水晶体組織傷害、脱髄、全身エリテマトーデス、薬物誘導溶血性貧血、慢性関節リュウマチ、シェ−グレン病、および強皮症)を含む、免疫学的障害のための薬剤としても有用であり得る。さらに、この遺伝子産物は、様々な血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆細胞の拡大において、ならびに様々な細胞型の分化および/または増殖において商業的有用性を有し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号12によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Human Whole Brain #2 − Oligo dT > 1.5Kb;Keratinocyte、そしてより少ない程度で以下において:Bone Marrow Cell Line(RS4,11);T cell helper II;Testis 1;Human 8 Week Whole Embryo,subtracted;Human retina cDNA Tsp509I−cleaved sublibrary;Stratagene schizo brain S11;Human Umbilical Vein,Endo.remake;Human Stomach,re−excision;H.Lymph node breast Cancer;Human Infant Brain;Breast Cancer Cell line,angiogenic;Human Activated T−Cells;T−Cell PHA 24 hrs;Stratagene hNT neuron(#937233);Human Testes Tumor;Primary Dendritic cells,frac 2;Human Adult Pulmonary,re−excision;Human 8 Week Whole Embryo;Soares_fetal_lung_NbHL19W、およびPrimary Dendritic Cells,lib 1。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:神経系および免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に神経系および免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、神経組織、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
この遺伝子の組織分布は、このクローンが、神経発生、神経変性、造血および免疫の障害および新生物の診断および/または処置に有用であり得ることを示唆する。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または他のプロセスの調節において関与し得、このことは、癌の処置(例えば、免疫応答をブーストすることによる)における有用性を示唆し得る。この遺伝子は、リンパ起源の細胞において発現するので、この遺伝子またはタンパク質、ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙する組織の腫瘍マーカーおよび/または免疫治療標的として有用性を示し得る。従って、これはまた、関節炎、喘息、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡、および乾癬を含む免疫学的障害のための薬剤として用いられ得る。さらに、この遺伝子産物は、種々の血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆体の拡大において、ならびに種々の細胞型の増殖において商業的有用性を有し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号13によりコードされるタンパク質の特徴)
U937骨髄細胞株に対して試験した場合、この遺伝子を含む細胞から得られた上清は、GASアッセイを活性化した。従って、この遺伝子は、Jak−STATシグナル伝達経路を介して、骨髄細胞を活性化するようである。γ活性化配列(GAS)は、Jak−STAT経路に関与する多くの遺伝子の上流に見出されるプロモーターエレメントである。このJak−STAT経路は、細胞の分化および増殖に関与する大きなシグナル伝達経路である。従って、Jak−STAT経路の活性化(GASエレメントの結合により反映される)を用いて、細胞の増殖および分化に関与するタンパク質を示し得る。
この遺伝子は、神経/感覚組織において、および初代樹状細胞において、ある程度富化して偏在的に発現される。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:神経系および免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に神経系および免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、神経組織、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
観察された組織分布は、種々の疾患の研究、診断および/または処置についての有用性を示唆する。神経/感覚組織における富化発現は、この遺伝子が、アルツハイマー病、パーキンソン病、学習障害のような神経変性性障害および行動障害の処置、検出および/または診断に有用であり得ることを示す。あるいは、樹状細胞における発現および観察された生物学的活性は、免疫系疾患および/または障害、ならびに感染性疾患の研究、診断、および/または処置についての有用性を示唆する。この遺伝子産物は、サイトカイン産生、抗原提示、または他のプロセスの調節において関与し得、このことは、癌の処置(例えば、免疫応答をブーストすることによる)における有用性を示唆する。この遺伝子は、リンパ起源の細胞において発現するので、この遺伝子またはタンパク質、ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙された組織の腫瘍マーカーおよび/または免疫療法標的としての有用性を示し得る。従って、この遺伝子はまた、関節炎、喘息、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、白血病、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、挫瘡、および乾癬を含む免疫学的障害のための薬剤として用いられ得る。さらに、この遺伝子産物は、種々の血液系列の幹細胞および方向付けられた前駆体の拡大において、ならびに種々の細胞型の分化および/または増殖において商業的有用性を有し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号14によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に免疫系/造血系の細胞において、とりわけ、単球および樹状細胞、ならびに胎児肝臓および脾臓(造血機能を有することが公知)において発現される。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に造血系および発生系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫系、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
造血機能を有することが公知である、胎児肝臓および脾臓におけるその発現、ならびに樹状細胞における発現に基づいて、この遺伝子およびそのコードするポリペプチドは、自己免疫障害(全身性エリテマトーデス(SLE)および慢性関節リウマチを含む)において観察されるような免疫系の過剰な活性などの免疫機能に関連する障害の診断および処置に、または特定の免疫細胞血球減少のような乏しい免疫機能に関連する障害の処置において有用であり得る。この遺伝子産物はまた、器官移植およびアレルギーにおける免疫応答の調節に有用であり得る。この遺伝子は、免疫障害の処置に、または腫瘍に対する免疫ベースの治療の開始に有用であり得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号15によってコードされるタンパク質の特徴)
コンピューターアルゴリズムBLASTXを使用して、この遺伝子の翻訳産物が、非限定的な例として、以下のデータベースの受託番号gb|AAB57679.1|(列挙される受託番号を通じて入手可能な全ての情報が、本明細書中で参考として援用される)を通してアクセス可能な配列(これは、ここでは「|transmembrane receptor UNC5H2[Rattus norvegicus]」として記載される)と配列相同性を共有することを決定した。観察される相同性を示す部分的なアライメントをすぐ下に示す。
上記で「S」として示されるgb|AAB57679.1|のセグメントは、配列番号:として配列表中に示される。構造的な類似性に基づいて、これらの相同なポリペプチドは、少なくともいくつかの生物学的活性を共有することが予期される。このような活性は、当該分野で公知であり、そしてそのいくつかが本明細書中の他で記載される。このような活性を決定するためのアッセイもまた、当該分野で公知であり、そのいくつかが、本明細書中の他で記載されている。本発明の好ましいポリペプチドは、上記で示されるアライメント(コンピューターによって、配列に導入されたギャップは、もちろん除去される)において、「Q」配列に対応する配列番号:として配列表に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
この遺伝子の翻訳産物は、発生中の神経系において重要であると考えられるネトリン(netrin)レセプターと配列相同性を共有する。このネトリンは、拡散性誘引物質として、ならびに異なるクラスの細胞および軸索についての忌避薬として機能し得る、系統学的に保存された指導合図(ガイダンスキュー:guidance cue)のファミリーである。脊椎動物、昆虫および線虫において、免疫グロブリンスーパーファミリーのDCCサブファミリーのメンバーは、ネトリン供給源に向かう遊走に関与するレセプターとみなされている。ラットネトリンレセプターに対するヒト遺伝子産物の配列類似性に基づき、このクローンの翻訳産物は、ネトリンレセプタータンパク質と少なくともいくつかの生物学的活性を共有することが期待される。このような活性は、当該分野で公知であり、そのいくつかが、本明細書のいずれかに記載されている。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:EGEGQIFQLHTTLAETPAGSLDTLCSAPGXTVTTQLGPYAFKIPLSIRQKICNSLDAPNSRGNDWRMLAQKLSMDRYLNYFATKASPTGVILDLWEALQQDDGDLNSLASALEEMGKSEMLVAVATDGDC(配列番号152)、
を含むか、あるいはこのようなアミノ酸配列番号から構成される。さらに、これらのポリペプチドのフラグメントおよび改変体(例えば、本明細書に記載のフラグメント、これらのポリペプチドに少なくとも、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド、およびこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドなど)が、本発明により包含される。本発明のポリペプチドに結合する抗体がまた、本発明により包含される。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、本発明により包含される。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:normalized infant brain cDNA、そしてより少ない程度で以下において:Smooth muscle,serum treated;NCI_CGAP_Kid5;Soares_multiple_sclerosis_2NbHMSP;Soares ovary tumor NbHOT;Soares_pregnant_uterus_NbHPU;H.Epididiymus,cauda;Smooth Muscle− HASTE normalized;Human Synovium;Gessler Wilms tumor;Human Chondrosarcoma;Human Thymus Stromal Cells;NCI_CGAP_Pan1;Fetal Heart;NCI_CGAP_GC4;Osteoblasts;Human Cerebellum;Soares_NFL_T_GBC_S1;Soares_NhHMPu_S1;Soares infant brain 1NIB;Human Astrocyte;Sinus piniformis Tumour;Human OB MG63 treated(10 nM E2)fraction I;Barstead spleen HPLRB2;Normal Human Trabecular Bone Cells;Adipocytes,re−excision;Smooth Muscle Serum Treated,Norm;Smooth muscle−ILb induced;Human Normal Breast;NCI_CGAP_AA1;Palate normal;Human adult(K.Okubo);H.Kidney Cortex,subtracted;Human Osteosarcoma;Prostate BPH;Spinal Cord,re−excision;Breast Cancer Cell line,angiogenic;12 Week Old Early Stage Human,II;Human Osteoblasts II;Human Pancreas Tumor;Stromal cell TF274;Human Pancreas Tumor,Reexcision;Ovary,Cancer(9809C332):Poorly differentiated adenocarcinoma;Hemangiopericytoma;Soares breast 2NbHBst;Human Adrenal Gland Tumor;Smooth muscle,serum induced,re−exc;Pancreas Islet Cell Tumor;Colon Normal II;Adipocytes;NCI_CGAP_Co8;Human Fetal Kidney,Reexcision;NCI_CGAP_Kid3;Human Bone Marrow,treated;Hodgkin’s Lymphoma II;Keratinocyte;Soares_fetal_lung_NbHL19W、およびColon Tumor II。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:神経系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示美的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に神経系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、神経組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
脳における組織分布および膜貫通レセプターUNC5H2[Rattus norvegicus]に対する配列番号相同性は、このクローンのタンパク質産物が、神経変性性疾患状態、行動障害、または炎症性状態の検出、処置および/または予防に有用であることを示す。代表的な用途は、本明細書中の、以下の「再生」および「過剰増殖性障害」のセクションにおいて、実施例11、15および18において、ならびに他のいずれかにおいて、記載される。要するに、この用途としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、髄膜炎、脳炎、脱髄疾患、末梢神経障害、新形成、外傷、先天性異常、脊髄傷害、虚血および梗塞形成、動脈瘤、出血、精神***病、躁病、痴呆、偏執症、強迫性障害、鬱病、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉、および行動変化(栄養補給、睡眠パターン、平衡、および知覚の障害を含む)の検出、処置、および/または予防が挙げられるがこれらに限定されない。さらに、脳の領域におけるこの遺伝子産物の発現の上昇は、これが正常な神経機能において役割を果たすことを示す。潜在的に、この遺伝子産物は、シナプス形成、神経伝達、学習、認識、恒常性、あるいはニューロンの分化または生存に関与する。さらに、このタンパク質はまた、栄養補給剤としてのその用途に加えて、生物学的活性を決定するために、抗体を惹起するために、組織マーカーとして、同属のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために使用され得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号16によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Dendritic cells,pooled;human tonsils。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
扁桃および樹状細胞におけるその発現に基づいて、この遺伝子およびそのコードするポリペプチドは、自己免疫障害(全身性エリテマトーデス(SLE)および慢性関節リウマチを含む)において観察されるような免疫系の過剰な活性などの免疫機能に関連する障害の診断および処置に、または特定の免疫細胞血球減少のような乏しい免疫機能に関連する障害の処置において有用であり得る。この遺伝子産物はまた、器官移植およびアレルギーにおける免疫応答の調節に有用であり得る。
(遺伝子番号17によってコードされるタンパク質の特徴)
本発明の好ましいポリペプチドは、配列表に配列番号148として示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこのようなポリペプチドからなる。さらに、これらのポリペプチドのフラグメントおよび改変体(例えば、本明細書に記載のフラグメント、これらのポリペプチドに少なくとも、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド、およびこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、など)がまた、本発明により包含される。本発明のポリペプチドに結合する抗体がまた、本発明により包含される。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、本発明により包含される。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:KMH2;Human Adrenal Gland Tumor;Dendritic cells,pooled;Bone Marrow Cell Line(RS4,11)。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
骨髄および樹状細胞における発現に基づいて、この遺伝子およびそのコードする遺伝子産物は、自己免疫症候群(例えば、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病、および免疫不全症候群)を含む免疫系の疾患の診断および処置に有用であり得る。この遺伝子はまた、器官移植またはアレルギーのような状態において免疫応答を調節するのに有用であり得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号18によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、以下の組織/cDNAライブラリーにおいて例示されるように、主に、2つの異なる型の組織、例えば、免疫機能/造血機能の細胞、および精巣において発現される:Human Eosinophils;Human Testes,Reexcision;NCI_CGAP_Pr3;Early Stage Human Brain;Endothelial−induced;Activated T−cell(12n)/Thiouridine−re−excision;T cell helper II;Soares_fetal_heart_NbHH19W;Primary Dendritic Cells,lib 1;HSC172 cells;H.Epididiymus,caput & corpus;Smooth Muscle− HASTE normalized;Amniotic Cells − Primary Culture;NCI_CGAP_Pr22;Soares_pineal_gland_N3HPG;NCI_CGAP_Pr28;NCI_CGAP_CLL1;Resting T−Cell Library,II;Stratagene colon(#937204);Dendritic cells,pooled;Soares_pregnant_uterus_NbHPU;Soares_NhHMPu_S1;NCI_CGAP_Co1;Chromosome 7 HeLa cDNA Library;Atrium cDNA library Human heart;Chromosome 7 Fetal Brain cDNA Library;Human OB MG63 control fraction I;Cem cells cyclohexamide treated;Stomach cancer(human),re−excision;Human endometrial stromal cells−treated with estradiol;Smooth muscle,IL1b induced;Synovial hypoxia−RSF subtracted;Human Whole Brain #2 − Oligo dT > 1.5Kb;HL−60,PMA 4H,re−excision;LNCAP prostate cell line;Synovial hypoxia;Jurkat T−cell G1 phase;Brain Frontal Cortex,re−excision;Stratagene neuroepithelium(#937231);Human Umbilical Vein,Reexcision;Gessler Wilms tumor;HUMAN JURKAT MEMBRANE BOUND POLYSOMES;Human Fetal Dura Mater;Human Activated T−Cells;Human Hypothalmus,Schizophrenia;NCI_CGAP_Br2;Human Rhabdomyosarcoma;Human adult testis,large inserts;Pancreas Islet Cell Tumor;Colon Carcinoma;breast lymph node CDNA library;Adipocytes;CD34 depleted Buffy Coat(Cord Blood),re−excision;Human Microvascular Endothelial Cells,fract.A;Monocyte activated;HUMAN B CELL LYMPHOMA;Spleen,Chronic lymphocytic leukemia;Human Bone Marrow,treated;Human Testes;Soares_fetal_liver_spleen_1NFLS_S1、およびSoares fetal liver spleen 1NFLS。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物孛的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:免疫系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に免疫系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、免疫組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
免疫機能に関連する種々の供給源(例えば、好酸球、リンパ節、T細胞および樹状細胞)におけるその発現に基づいて、この遺伝子およびそのコードするポリペプチドは、自己免疫症候群(全身性エリテマトーデス(SLE)および慢性関節リウマチを含む)において観察されるような、免疫機能に関連する障害(例えば、免疫系の過剰な活性が病原となる障害)の診断および処置に、または特定の免疫細胞減少症のような乏しい免疫機能に関連する障害の処置において、有用であり得る。この遺伝子はまた、器官移植またはアレルギーのような状態において免疫応答を調節するのに有用であり得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号19によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Human Fetal Brain;pBMC stimulated w/poly I/C。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:神経系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に神経系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、神経組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
発生中の脳における発現に起因して、この遺伝子およびそのコードするポリペプチドは、脳卒中、アルツハイマー病、多発性硬化症、ALS、ならびに認識および学習機能の損失に関連する他の障害の診断および処置に有用であり得る。このタンパク質はまた、神経細胞の再生および再成長が必要である、脊髄および他の神経損傷の処置に有用であり得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号20によってコードされるタンパク質の特徴)
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:Soares_pregnant_uterus_NbHPU、そしてより少ない程度で以下において:Human endometrial stromal cells−treated with progesterone;NCI_CGAP_Pr28;Human endometrial stromal cells;Keratinocyte;Human Whole Brain #2 − Oligo dT > 1.5Kb;Soares_NhHMPu_S1;NCI_CGAP_GCB1;Human endometrial stromal cells−treated with estradiol;NCI_CGAP_Co10;NCI_CGAP_Ut2;NCI_CGAP_Gas4;NCI_CGAP_Pan1;NCI_CGAP_GC4;NCI_CGAP_GC6;Soares ovary tumor NbHOT;Bone Marrow Cell Line(RS4,11);Hodgkin’s Lymphoma II;Human 8 Week Whole Embryo;Soares_fetal_lung_NbHL19W;T cell helper II;Soares_NFL_T_GBC_S1;Healing Abdomen Wound,15 days post incision;NCI_CGAP_Ov35;Testis 1;Human 8 Week Whole Embryo,subtracted;Human retina cDNA Tsp509I−cleaved sublibrary;NCI_CGAP_Ov23;Activated T−cells;H.Epididiymus,cauda;Stratagene schizo brain S11;NCI_CGAP_Co9;Human Umbilical Vein,Endo.remake;Ovary,Cancer:(15799A1F)Poorly differentiated carcinoma;Human Stomach,re−excision;Wilm’s tumor;Human Manic Depression Tissue;H.Lymph node breast Cancer;Human Infant Brain;Breast Cancer Cell line,angiogenic;NCI_CGAP_Ut1;NCI_CGAP_Kid6;Human Fetal Dura Mater;Human Activated T−Cells;T−Cell PHA 24 hrs;NCI_CGAP_CLL1;Human Thymus Stromal Cells;CHME Cell Line,treated 5 hrs;Stratagene hNT neuron(#937233);Human T−Cell Lymphoma;Colon Carcinoma;Human Placenta;NCI_CGAP_Kid11;Human Testes Tumor;Primary Dendritic cells,frac 2;Pancreas normal PCA4 No;Human Adult Pulmonary,re−excision;Human Bone Marrow,treated;Soares_parathyroid_tumor_NbHPA;Soares melanocyte 2NbHM;Colon Tumor II;Soares_fetal_heart_NbHH19W、およびPrimary Dendritic Cells,lib 1。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:生殖、免疫、および造血系の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に生殖系、免疫系および造血系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、生殖組織、免疫組織、造血組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
観察された組織分布は、この遺伝子産物が、生殖系、新形成、および他の増殖障害の疾患の診断および/または処置に有用であり得ることを示唆する。同様に、造血細胞における発現は、種々の血球細胞系列の増殖、生存、分化および/または活性化における役割、ならびに免疫機能不全、自己免疫、白血病/リンパ腫、感染に対する感受性、および循環障害におけるこの遺伝子産物の関与を示し得る。さらに、この遺伝子に対応する翻訳産物、ならびにこれらの翻訳産物に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
(遺伝子番号21によってコードされるタンパク質の特徴)
本発明の好ましいポリペプチドは、配列表に配列番号:配列番号:および/または配列番号156として示されるアミノ酸配列:157)を有するポリペプチドを含むか、あるいはこのようなポリペプチドからなる。さらに、これらのポリペプチドのフラグメントおよび改変体(例えば、本明細書に記載のフラグメント、これらのポリペプチドに少なくとも、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド、およびこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、など)がまた、本発明により包含される。本発明のポリペプチドに結合する抗体がまた、本発明により包含される。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、本発明により包含される。
この遺伝子に対応する翻訳産物は、ヒトデルマタン(dermatan)/コンドロイチン硫酸2−スルホトランスフェラーゼ(例えば、Genbank登録番号AB020316を参照のこと)と配列相同性を共有する。
この遺伝子は、主に以下の組織/cDNAライブラリーにおいて発現される:STROMAL −OSTEOCLASTOMA;Dendritic cells,pooled;Smooth muscle,control;NineWeek Old Early Stage Human。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的サンプル中に存在する組織または細胞型の示差的同定のため、ならびに以下:筋骨格系組織の疾患および/または障害を含むがそれらに限定されない疾患および状態の診断のための試薬として有用である。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の示差的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。上記組織または細胞、特に筋骨格系の多くの障害に関して、標準の遺伝子発現レベル(すなわち、その障害を有さない個体由来の健常組織または体液中の発現レベル)に対して有意により高いか、またはより低いレベルのこの遺伝子の発現が、このような障害を有する個体から採取された特定の組織もしくは細胞型(例えば、筋骨格組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、または別の組織もしくはサンプルの中で、慣用的に検出され得る。
この分泌タンパク質は、生物学的活性を決定するため、抗体を惹起するため、組織マーカーとして、同種のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために、そして栄養補給剤として、使用され得る。このタンパク質はまた、非常に広範な生物学的活性を有し得る。代表的な用途は、以下の「走化性」および「結合活性」の節、実施例11、12、13、14、15、16、18、19および20、ならびに本明細書中の他の箇所において記載される。簡潔には、このタンパク質は、以下の活性を有し得る:サイトカイン、細胞の増殖/分化調節活性、または他のサイトカインの誘導;免疫刺激/免疫抑制活性(例えば、ヒトの免疫不全ウイルス感染、癌、自己免疫疾患、およびアレルギーを処置するため);造血の調節(例えば、貧血を処置するため、または化学療法に対する補助薬として);骨、軟骨、腱、靭帯、および/または神経の刺激または増殖(例えば、創傷を処置するため、卵胞刺激ホルモンの刺激のため(受胎能の制御のため);走化性およびケモキネシス活性(例えば、感染、腫瘍を処置するため);止血または血栓崩壊活性(例えば、血友病、心筋梗塞などを処置するため);抗炎症活性(例えば、敗血症性ショック、クローン病を処置するため);抗菌薬として;乾癬または他の過剰増殖性疾患を処置するため;代謝および挙動の調節のため。遺伝子治療手順における対応する核酸の使用も意図される。巨骨細胞腫におけるこの遺伝子産物の発現のレベルの上昇は、この産物が巨骨細胞腫の生存、増殖および/または成長において役割を果たし得ることを示唆する。従って、この産物は、骨粗しょう症のような状態において骨量に影響するのに有用であり得る。さらに、このタンパク質はまた、栄養補給剤としての使用に加えて、生物学的活性を決定するため、抗体を惹起するため、組織マーカーとして、同種のリガンドまたはレセプターを単離するために、それらの相互作用を調節する薬剤を同定するために、使用され得る。タンパク質ならびにこのタンパク質に対する抗体は、上記に挙げられた組織に対する腫瘍マーカーおよび/または免疫治療の標的として有用性を示し得る。
表1は、上記の各「遺伝子番号」に対応する情報を要約する。「ヌクレオチド配列番号X(NT SEQ ID NO:X)」として同定されるヌクレオチド配列は、表1において同定される「cDNAクローンID」から、およびいくつかの場合において、さらなる関連のDNAクローンから得られる部分的に相同な(「重複する」)配列から構築された。重複する配列は、高い重複性の単一の連続した配列に構築され(通常、各ヌクレオチド部位で3〜5個の重複する配列)、配列番号X(SEQ ID NO:X)として同定される最終的な配列を得た。
cDNAクローンIDは、その日付に寄託され、そして「ATCC受託番号Zおよび日付」において列挙される対応する受託番号が与えられた。寄託物のいくつかは、同じ遺伝子に対応する複数の異なるクローンを含む。「ベクター」とは、cDNAクローンIDにおいて含まれるベクターの型をいう。
「総ヌクレオチド配列(Total NT Seq)」は、「遺伝子番号(Gene No)」によって同定されるコンティグにおけるヌクレオチドの総数をいう。寄託されたクローンは、これらの配列の全てまたは大半を含み得、これらは、配列番号X(SEQ ID NO:X)の「クローン配列の5’ヌクレオチド」および「クローン配列の3’ヌクレオチド」として示されるヌクレオチドの位置によって反映される。推定開始コドン(メチオニン)の配列番号X(SEQ ID NO:X)のヌクレオチドの位置は、「開始コドンの5’ヌクレオチド」として同定される。同様に、推定シグナル配列の配列番号X(SEQ ID NO:X)のヌクレオチドの位置は、「シグナルペプチドの最初のアミノ酸の5’ヌクレオチド」として同定される。
翻訳されたアミノ酸配列は、メチオニンで始まり、「アミノ酸配列番号Y(SEQ ID NO:Y)」として同定されるが、他のリーディングフレームもまた、公知の分子生物学技術を使用して容易に翻訳され得る。これらの代替のオープンリーディングフレームによって生成されるポリペプチドは、本発明によって特に意図される。
推定シグナルペプチドの配列番号Y(SEQ ID NO:Y)の最初および最後のアミノ酸の位置は、「シグナルペプチドの最初のアミノ酸」および「シグナルペプチドの最後のアミノ酸」として同定される。分泌部分の配列番号Y(SEQ ID NO:Y)の推定される最初のアミノ酸の位置は、「分泌部分の推定される最初のアミノ酸」として同定される。最後に、オープンリーディングフレームにおける最後のアミノ酸の配列番号Y(SEQ ID NO:Y)のアミノ酸の位置は、「ORFの最後のアミノ酸」として同定される。
配列番号X(SEQ ID NO:X)(ここでXは、配列表に開示される任意のポリヌクレオチド配列であり得る)および翻訳された配列番号Y(SEQ ID NO:Y)(ここでYは、配列表に開示される任意のポリペプチド配列であり得る)は、十分に正確であり、そしてそうでなければ、当該分野において周知の種々の用途および以下でさらに記載される種々の用途に適切である。例えば、配列番号X(SEQ ID NO:X)は、配列番号X(SEQ ID NO:X)において含まれる核酸配列または寄託されたクローンに含まれるcDNAを検出する核酸ハイブリダイゼーションプローブを設計するために有用である。これらのプローブはまた、生物学的サンプル中の核酸分子にハイブリダイズし、それによって本発明の種々の法医学的方法、および診断方法を可能にする。同様に、配列番号Y(SEQ ID NO:Y)から同定されるポリペプチドは、例えば、表1において同定されるcDNAクローンによってコードされるタンパク質(ポリペプチドおよび分泌タンパク質を含む)に特異的に結合する抗体を作製するために使用され得る。
それにもかかわらず、配列決定反応によって生成されるDNA配列は、配列決定のエラーを含み得る。このエラーは、誤って同定されたヌクレオチドとして、または生成されたDNA配列におけるヌクレオチドの挿入もしくは欠失として存在する。誤って挿入されたか、または欠失されたヌクレオチドは、推定アミノ酸配列のリーディングフレームにおいてフレームシフトを引き起こす。これらの場合において、作製されるDNA配列が、実際のDNA配列と99.9%(例えば、1000塩基を超えるオープンリーディングフレームにおける1塩基の挿入または欠失)を超えて同一であり得るとしても、推定アミノ酸配列は、実際のアミノ酸配列とは異なる。
従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における正確さを必要とするこれらの適用のために、本発明は、配列番号X(SEQ ID NO:X)として同定される作製されたヌクレオチド配列、および配列番号Y(SEQ ID NO:Y)として同定される推定の翻訳されたアミノ酸配列のみならず、表1において記載されるような、ATCCに寄託された本発明のヒトcDNAを含むプラスミドDNAのサンプルもまた提供する。各々の寄託されたクローンのヌクレオチド配列は、公知の方法に従って、寄託されたクローンを配列決定することによって容易に決定され得る。次いで、推定アミノ酸配列は、このような寄託物から証明され得る。さらに、特定のクローンによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列はまた、ペプチド配列決定によって、または寄託されたヒトcDNAを含む適切な宿主細胞中でタンパク質を発現させ、このタンパク質を収集し、そしてその配列を決定することによって、直接的に決定され得る。
本発明はまた、配列番号X(SEQ ID NO:X)、配列番号Y(SEQ ID NO:Y)、または寄託されたクローンに対応する遺伝子に関する。対応する遺伝子は、本明細書中に開示される配列情報を使用して、公知の方法に従って単離され得る。このような方法は、開示された配列からプローブまたはプライマーを調製する工程、およびゲノム物質の適切な供給源から対応する遺伝子を同定または増幅する工程を包含する。
本発明においてまた提供されるものは、対立遺伝子改変体、オーソログ(ortholog)、および/または種ホモログである。当該分野において公知の手順を使用し、本明細書中に開示される配列またはATCCに寄託されたクローンからの情報を用いて、配列番号X(SEQ ID NO:X)、配列番号Y(SEQ ID NO:Y)または寄託されたクローンに対応する遺伝子の全長遺伝子、対立遺伝子改変体、スプライシング改変体、全長のコード部分、オーソログ、および/または種ホモログを獲得し得る。例えば、対立遺伝子改変体および/または種ホモログは、本明細書中に提供される配列から適切なプローブまたはプライマーを作製し、そして対立遺伝子改変体および/または所望のホモログについて適切な核酸供給源をスクリーニングすることによって単離および同定され得る。
表2は、本発明の特定の実施形態に含まれる好ましいエピトープ、および本発明の特定の実施形態に従って放棄され得るポリペプチド配列を示す。第1列は、上記表1に記載される各「遺伝子番号」をいう。第2列は、表1に開示されるポリヌクレオチド配列に関する配列識別子「ヌクレオチド配列番号X」を示す。3列目は、表1に開示されるポリヌクレオチド配列に関する配列識別子「AA配列番号Y」を示す。第4列目は、配列番号Xの1と最終ヌクレオチドマイナス15との間の任意の整数である、固有の整数「ntA」を示す。そして第5列は、固有の整数「ntB」を示すが、この「ntB」は、配列番号Xの15と最終ヌクレオチドとの間の任意の整数である。ここでntAもntBも両方とも、配列番号Xに示されるヌクレオチド残基の位置に相当し、そしてntBは+14以上である。配列番号Xとして示される各ポリヌクレオチドについて、固有に規定された整数は、一般式a−bに置きかえられ得、そしてこれを用いて、好ましくは本発明から除外され得るポリヌクレオチドを記載し得る。第6列は、各々の好ましいORFによりコードされるポリペプチド(配列番号Y)中に含まれる好ましいエピトープを含む残基を列挙する。可能性のある免疫原性領域の同定は、JamesonおよびWolf((1988)CABIOS,4;181〜186)の方法に従って実施された;詳細には、このアルゴリズムのGenetics Computer Group(GCG)実施(プログラムPEPTIDESTRUCTURE(Wisconsin Package v10.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisc)に統合された)。この方法は、所定の残基がタンパク質の表面上で見出される確率の値を戻す。抗原性係数スコアが少なくとも6アミノ酸を超える領域が、表2に「好ましいエピトープ」として示される。本発明のポリペプチドは、表2に記載される残基を含む抗原性エピトープの1、2、3、4、5または5以上を有し得る。用いられる分析基準に依存して抗原性決定基を推測すること、抗原決定基の正確な位置がわずかに変化し得ることが理解される。
表3は、表1に開示されるクローンに対応するポリヌクレオチドの発現プロフィールをまとめる。1列目は、表1に開示される各コンティグ配列に関するcDNAクローンについての、特定のクローン識別子「クローン番号(Clone ID)」を提供する。2列目の「ライブラリーコード」は、本発明のポリヌクレオチドを発現する組織および/または細胞株のライブラリーの発現プロフィールを示す。第2列の各ライブラリーのコードは、表5に提供されるライブラリーコードおよびライブラリーの詳細(Library description)に対応する組織/細胞供給源の識別子コードを示す。これらのポリヌクレオチドの発現は、試験した他の組織および/または細胞ライブラリーにおいては観察されなかった。当業者は、慣用的に、この情報を用いて、本発明の対応するポリヌクレオチドの優勢な発現パターンを示す組織を同定するか、または優勢なおよび/または特異的な組織発現を示すポリヌクレオチドを同定し得る。
表4の第1列は、ヌクレオチド配列識別子「配列番号X」を提供する。この「配列番号X」は、表1の5列目に開示されたヌクレオチド配列番号Xに適合する。表4の2列目は、配列番号Xに対応するポリヌクレオチドの染色体配置である「細胞学的バンドすなわち染色体(Cytologic Band or Chromosome)」を提供する。染色体配置は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)UniGene databaseに含まれるESTおよびcDNAに対する正確な適合(マッチ)を見出すことにより決定された。推定染色体配置を考慮して、Online Mendelian Inheritance in Man(Online Mendelian Inheritance in Man,OMIMTM.McKusick−Nathans Institute for Genetic Medicine,Johns Hopkins University(Baltimore,MD)およびNational Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine(Bethesda,MD)2000)由来のMorbid Mapとの比較によって疾患関連遺伝子座を、決定した。World Wide Web URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/)。Queryの推定染色体配置が、Morbid Mapエントリーの染色体配列番号位置と重複した場合、morbid mapエントリーのOMIM参照同定数(OMIM reference identification numbers)を「OMIM ID」と表示して、表4の3列目に示した。OMIM参照同定数に対する手がかり(key)を表6に示した。
表5は、表3に開示されたライブラリーコードに対する手がかりを提供する。1列目は、表3の2列目に開示されたライブラリーコードを提供する。2列目は、対応するライブラリーが誘導された組織または細胞の供給源の詳細を提供する。疾患組織に対応するライブラリーコードは、「疾患」の用語を使って第3列目に示される。
表6は、表4の3列目に開示されたOMIM参照同定数に対する手がかりを提供する。OMIM参照同定数(1列目)は、Online Mendelian Inheritance in Man(Online Mendelian Inheritance in Man,OMIMTM.McKusick−Nathans Institute for Genetic Medicine,Johns Hopkins University(Baltimore,MD)およびNational Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine(Bethesda,MD)2000)World Wide Web URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/)から導かれた。2列目は、Morbid Mapデータベースを用いて決定されたような、表4の2列目に開示された細胞質バンドと関連した疾患を提供する。
本発明のポリペプチドは、任意の適切な様式で調製され得る。このようなポリペプチドとしては、単離された天然に存在するポリペプチド、組換え的に生成されたポリペプチド、合成的に生成されたポリペプチド、またはこれらの方法の組合せによって生成されたポリペプチドが挙げられる。このようなポリペプチドを調製するための手段は、当該分野において十分に理解される。
ポリペプチドは、分泌タンパク質の形態(成熟形態を含む)であり得るか、またはより大きいタンパク質(例えば、融合タンパク質)の部分であり得る(以下を参照のこと)。分泌配列もしくはリーダー配列、プロ配列、精製を補助する配列(例えば、複数のヒスチジン残基)、または組換え生成の間の安定性のためのさらなる配列を含むさらなるアミノ酸配列を含むことは、しばしば有利である。
本発明のポリペプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そして好ましくは実質的に精製される。ポリペプチド(分泌ポリペプチドを含む)の組換え的に生成されたバージョン(version)は、本明細書中に記載される技術または当該分野で公知のそれ以外の技術(例えば、SmithおよびJohnson、Gene 67:31−40(1988)に記載される1工程の方法によるような)を使用して実質的に精製され得る。本発明のポリペプチドはまた、例えば、分泌タンパク質に対して惹起される本発明の抗体のように、本明細書中に記載される技術または当該分野において公知のそれ以外の技術を使用して、天然供給源、合成供給源または組換え供給源から精製され得る。
本発明は、配列番号Xの核酸配列、および/またはATCC寄託物Z中に含まれるcDNAを含むか、あるいはそれらからなるポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、配列番号Yのポリペプチド配列および/またはATCC寄託物Z中に含まれるcDNAによりコードされるポリペプチドを含むか、あるいはそれらからなるポリペプチドを提供する。配列番号Yのポリペプチド配列および/またはATCC寄託物Z中に含まれるcDNAによりコードされるポリペプチド配列を含むか、あるいはそれらからなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に包含される。
(シグナル配列)
本発明はまた、配列番号Yのポリペプチド配列、および/または寄託されたクローン中のcDNAによりコードされるポリペプチド配列を有するポリペプチドの成熟形態を包含する。成熟形態をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号Xのポリヌクレオチド配列、および/または寄託されたクローンのcDNAに含まれるポリヌクレオチド配列のような)もまた、本発明に包含される。シグナル仮説に従うと、哺乳動物細胞により分泌されるタンパク質は、一旦、粗面小胞体を横切る伸長中のタンパク質鎖の輸送が開始されると成熟タンパク質から切断される、シグナル配列または分泌リーダー配列を有する。ほとんどの哺乳動物細胞および昆虫細胞でさえも、同じ特異性を有する分泌タンパク質を切断する。しかし、いくつかの場合、分泌タンパク質の切断は、完全には、均一ではなく、このことは、このタンパク質の2以上の成熟種を生じる。さらに、分泌タンパク質の切断特異性は、最終的には、完全なタンパク質の一次構造によって決定される(すなわち、これは、このポリペプチドのアミノ酸配列に固有である)ことが長い間公知である。
タンパク質が、シグナル配列、ならびにその配列についての切断点を有するか否かを予測するための方法が、利用可能である。例えば、McGeoch,Virus Res.3:271−286(1985)の方法は、短いN末端荷電領域およびそれに続く完全な(切断されていない)タンパク質の非荷電領域からの情報を使用する。von Heinje,Nucleic Acids Res.14:4683−4690(1986)の方法は、切断部位の周辺の残基(代表的に−13〜+2残基)からの情報を使用し、ここで、+1は、分泌タンパク質のアミノ末端を示す。これらの方法のそれぞれについての、公知の哺乳動物分泌タンパク質の切断点を予測することの正確さは、75〜80%の範囲にある(von Heinje、前出)。しかし、2つの方法は、所定のタンパク質について、同じ推定切断点を必ずしも生成するとは限らない。
本発明の場合において、分泌ポリペプチドの推定アミノ酸配列は、SignalPと呼ばれるコンピュータープログラム(Henrik Nielsenら、Protein Engineering 10:1−6(1997))によって分析され、このプログラムは、アミノ酸配列に基づいてタンパク質の細胞での位置を予測する。この局在化のコンピューター予測の一部として、McGeochおよびvon Heinjeの方法が援用される。このプログラムによって、本明細書中に記載される分泌タンパク質のアミノ酸配列の分析は、表1において示される結果を提供した。
しかし、当業者に理解されるように、切断部位は、時折、生物に応じて変化し、そして絶対的な確実性を伴っては予測され得ない。従って、本発明は、配列番号Yにおいて示される配列を有する分泌ポリペプチドを提供し、これは推定切断点の5残基(すなわち、+5または−5残基)内で始まるN末端を有する、同様に、いくつかの場合において、分泌タンパク質からのシグナル配列の切断は、完全に均一という訳ではなく、1つより多くの分泌される種を生じることもまた認識される。これらのポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明によって意図される。
さらに、上述の分析によって同定されるシグナル配列は、天然に存在するシグナル配列を必ずしも予測しないかもしれない。例えば、天然に存在するシグナル配列は、推定シグナル配列からさらに上流にあり得る。しかし、推定シグナル配列は、分泌タンパク質をERに指向し得る可能性がある。それにもかかわらず、本発明は、哺乳動物細胞(例えば、下記のようなCOS細胞)において、配列番号Xのポリヌクレオチド配列および/または寄託されたクローンのcDNAに含まれるポリヌクレオチド配列の発現により産生される成熟タンパク質を提供する。これらのポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明によって意図される。
(ポリヌクレオチドおよびポリペプチド改変体)
本発明は、SEQ ID NO:Xに開示されたポリヌクレオチド配列、それに対する相補鎖、および/または寄託されたクローン中に含まれるcDNA配列の改変体に関する。
本発明はまた、SEQ ID NO:Yに開示されるポリペプチド配列、および/または寄託されたクローンによりコードされるポリペプチド配列の改変体を包含する。
「改変体」とは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、それらの本質的な特性を保持するポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。一般に、改変体は、全体的に密接に類似し、そして、多くの領域において、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに同一である。
本発明はまた、例えば、SEQ ID NO:Xのヌクレオチドをコードする配列またはその相補鎖、寄託されたcDNAクローンに含まれるヌクレオチドをコードする配列またはその相補鎖、SEQ ID NO:Yのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、寄託されたクローンに含まれるcDNAによりコードされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および/またはこれらの核酸分子のいずれかのポリヌクレオチドフラグメント(例えば、本明細書中に記載されるフラグメント)に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれらからなる核酸分子に関する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件またはより低いストリンジェントな条件の下で、これらの核酸分子にハイブリダイズするポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドもまた、本発明により包含される。
本発明はまた、例えば、SEQ ID NO:Yに示されるポリペプチド配列、寄託されたクローン中に含まれるcDNAによりコードされるポリペプチド配列、および/またはこれらのポリペプチドのいずれかのポリペプチドフラグメント(例えば、本明細書中に記載されるフラグメント)に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれらからなるポリペプチドに関する。
本発明の参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸によって、核酸のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列がポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの点変異を含み得ることを除いて、参照配列に対して同一であることを意図する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有する核酸を得るために、参照配列のヌクレオチドの5%までが、欠失され得るか、または別のヌクレオチドで置換され得るか、または参照配列中の総ヌクレオチドの5%までの多数のヌクレオチドが参照配列中に挿入され得る。問い合わせ(query)配列は、表1に示される配列全体、ORF(オープンリーディングフレーム)、または本明細書中で記載されるように特定される任意のフラグメントであり得る。
実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリペプチドが、本発明のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラムを使用して従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列との間の最も良好な全体的な適合性(全体的な配列整列としてもまた参照される)を決定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App. Biosci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせ配列および対象配列は、両方ともにDNA配列である。RNA配列は、UからTに変換することによって比較され得る。この全体的な配列整列の結果は、同一性パーセント(%)で示される。同一性パーセントを算定するためにDNA配列のFASTDB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matrix=Unitary、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=30、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty 0.05、Window Size=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらかより短い方)である。
対象配列が、5’または3’欠失のために(内部欠失のためではなく)問い合わせ配列より短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。これは、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列の5’および3’切断を考慮しないからである。5’末端または3’末端で切断される対象配列について、問い合わせ配列に対して、同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして一致/整列されない対象配列の5’および3’である問い合わせ配列の塩基の数を計算することによって補正される。ヌクレオチドが一致/整列されるか否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパーセントは、同一性パーセントから差し引かれ、特定のパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムによって算定され、最終的な同一性パーセントのスコアに到達する。この補正されたスコアが、本発明の目的に使用されるものである。FASTDB整列によって示されるように、問い合わせ配列と一致/整列されない、対象配列の5’および3’塩基の外側の塩基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的で算定される。
例えば、90塩基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために100塩基の問い合わせ配列に整列される。欠失は、対象配列の5’末端で生じ、従って、FASTDB整列は、5’末端の最初の10塩基で一致/整列を示さない。10個の不対合塩基は、配列の10%(一致していない5’および3’末端での塩基の数/問い合わせ配列の塩基の総数)を表し、そのため10%は、FASTDBプログラムによって算定される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。残りの90塩基が完全に一致する場合は、最終的な同一性パーセントは90%である。別の例では、90塩基の対象配列が、100塩基の問い合わせ配列と比較される。この場合、欠失は、内部欠失であり、その結果、問い合わせと一致/整列しない対象配列の5’または3’に塩基が存在しない。この場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは手動で補正されない。再び、問い合わせ配列と一致/整列しない対象配列の5’または3’の塩基のみが手動で補正される。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
本発明の問い合わせアミノ酸配列に、例えば、少なくとも95%「同一」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチドのアミノ酸配列は、対象ポリペプチド配列が、問い合わせアミノ酸配列の各100個のアミノ酸あたり5つまでのアミノ酸の変更を含み得ることを除いて、問い合わせ配列に同一であることを意図する。換言すれば、問い合わせアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、対象配列におけるアミノ酸残基の5%までが、挿入、欠失、(消えない(indels))または別のアミノ酸で置換され得る。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端位置で生じ得るか、またはそれらの末端位置の間のどこにでも生じ得、参照配列中の残基間で個々に、または参照配列内の1つ以上の連続する群においてのいずれかで、散在される。
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、表1に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:Y)に対して、または寄託されたクローンに含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか否かは、従来的に、公知のコンピュータープログラムを使用して決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列との間での最良の全体的な一致(全体的配列整列としても参照される)を決定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Biosci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせ配列および対象配列は、両方ともヌクレオチド配列であるかまたは両方ともアミノ酸配列であるかのいずれかである。上記の全体的配列整列の結果は、同一性パーセントで示される。FASTDBアミノ酸整列に用いられる好ましいパラメーターは:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Window Size = 配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty = 0.05、Window Size=500または対象アミノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
対象配列が、N末端またはC末端欠失により(内部の欠失のためではなく)問い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。これは、FASTDBプログラムが、全体的な同一性パーセントを算定する場合に、対象配列のN末端切断およびC末端切断を考慮しないからである。N末端およびC末端で切断されている対象配列について、問い合わせ配列と比較して、同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応する対象残基と一致/整列しない、対象配列のN末端およびC末端である問い合わせ配列の残基の総数を計算することによって補正される。残基が一致/整列されているか否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパーセントは、同一性パーセントから差し引かれ、上記のFASTDBプログラムによって特定のパラメーターを使用して計算され、最終的な同一性パーセントのスコアに到達する。この最終的な同一性パーセントのスコアは、本発明の目的で使用されるものである。問い合わせ配列と一致/整列していない対象配列のN末端およびC末端側の残基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的のために考慮される。すなわち、問い合わせ残基のみが、対象配列の最も遠いN末端およびC末端残基の外側に位置する。
例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために100残基の問い合わせ配列と整列される。欠失が対象配列のN末端で生じ、そしてそれゆえFASTDB整列は、N末端での最初の10残基の一致/整列を示さない。10個の不対合残基は、配列の10%(一致していないN末端およびC末端での残基の数/問い合わせ配列中の残基の総数)を表し、その結果FASTDBプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから10%が差し引かれる。残りの90残基が完全に一致した場合、最終的な同一性パーセントは90%である。別の例において、90残基の対象配列が、100残基の問い合わせ配列と比較される。この場合、欠失は、内部欠失であり、そのため問い合わせ配列と一致/整列しない対象配列のN末端またはC末端の残基は存在しない。この場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは、手動で補正されない。再び、FASTDB整列において示される、問い合わせ配列と一致/整列しない対象配列のN末端およびC末端の外の残基位置のみが手動で補正される。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
改変体は、コード領域、非コード領域、またはその両方における変化を含み得る。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加、または欠失を生成するが、コードされるポリペプチドの特性または活性を変化させない変化を含むポリヌクレオチド改変体である。遺伝コードの縮重に起因するサイレントな置換によって生成されるヌクレオチド改変体が、好ましい。さらに、任意の組合せにおいて5〜10、1〜5、もしくは1〜2アミノ酸が置換、欠失、または付加される改変体もまた、好ましい。ポリヌクレオチド改変体は、種々の理由(例えば、特定の宿主についてのコドン発現を至適化する(ヒトmRNAにおけるコドンを、E.coliのような細菌宿主によって好ましいコドンに変化させる))のために、生成され得る。
天然に存在する改変体は、「対立遺伝子改変体」と呼ばれ、そして生物の染色体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態のうちの1つをいう(Genes II、Lewin,B.,編 John Wiley & Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子改変体は、ポリヌクレオチドレベルおよび/またはポリペプチドレベルのいずれかで変化し得、そして本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない改変体は、変異誘発技術によってまたは直接的な合成によって生成され得る。
タンパク質工学および組換えDNA技術の公知の方法を使用して、改変体は、本発明のポリペプチドの特性を改善または変化させるために作製され得る。例えば、1つ以上のアミノ酸は、生物学的機能の実質的な欠損を伴わずに、分泌タンパク質のN末端またはC末端から欠失され得る。Ronら、J.Biol.Chem.268:2984−2988(1993)の著者らは、3、8、または27個のアミノ末端のアミノ酸残基を欠失させた後でさえもヘパリン結合活性を有する改変体KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8〜10個のアミノ酸残基を欠失させた後、10倍までのより高い活性を示した(Dobeliら、J.Biotechnology 7:199−216(1988))。
さらに、豊富な証拠は、改変体が、天然に存在するタンパク質の生物学的活性に類似する活性をしばしば保持することを実証する。例えば、Gayleおよび共同研究者ら(J.Biol.Chem 268:22105−22111(1993))は、ヒトサイトカインIL−1aの広範囲にわたる変異分析を行った。彼らは、ランダムな変異誘発を使用して、分子の全長にわたって改変体当たり平均2.5アミノ酸の変化になる、3,500個を超える個々のIL−1a変異体を作製した。複数の変異が、全ての潜在的なアミノ酸の位置で試験された。この研究者らは、「分子の大部分は、[結合活性または生物学的活性]のいずれに対してもほとんど影響を伴わないで変化され得る」ことを見出した。(要約を参照のこと)。実際、試験された3,500個を超えるヌクレオチド配列のうち、わずか23個の独特なアミノ酸配列が、野生型と活性が有意に異なるタンパク質を生成した。
さらに、ポリペプチドのN末端またはC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、1つ以上の生物学的機能の改変または欠失を生じたとしても、他の生物学的活性はなお保持され得る。例えば、分泌される形態を認識する抗体を誘導および/または結合する、欠失改変体の能力は、分泌される形態の大多数より少ない残基が、N末端またはC末端から除去される場合に保持されるようである。タンパク質のN末端またはC末端残基を欠損する特定のポリペプチドが、このような免疫原性活性を保持するか否かは、本明細書中に記載される慣用的な方法、およびそうでなければ当該分野において公知の慣用的な方法によって容易に決定され得る。
従って、本発明はさらに、実質的な生物学的活性を示すポリペプチド改変体を含む。このような改変体としては、活性に対する影響をほとんど有さないように、当該分野において公知の一般的な法則に従って選択される、欠失、挿入、逆位、反復、および置換が挙げられる。例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する指針は、Bowieら、Science 247:1306−1310(1990)において提供され、ここで、著者らは変化に対するアミノ酸配列の寛容性を研究するための2つの主要なストラテジーがあることを指摘する。
第1のストラテジーは、進化の過程の間の自然の選択によるアミノ酸置換の寛容を利用する。異なる種におけるアミノ酸配列を比較して、保存されるアミノ酸が同定され得る。これらの保存されるアミノ酸は、タンパク質の機能について重要であるようである。対照的に、置換が自然の選択によって寛容されたアミノ酸の位置は、これらの位置がタンパク質の機能に重要ではないことを示す。従って、アミノ酸置換を寛容する位置は改変され得るが、タンパク質の生物学的活性をなおも維持する。
第2のストラテジーは、タンパク質機能に重要な領域を同定するために、クローン化された遺伝子の特定の位置でアミノ酸変化を導入するための遺伝子工学を使用する。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発(分子中のどの残基においても1つのアラニン変異の導入)が、使用され得る。(CunninghamおよびWells,Science 244:1081−1085(1989))。次いで、得られた変異分子は生物学的活性について試験され得る。
著者らが言及するように、これらの2つのストラテジーは、タンパク質がアミノ酸置換に驚くほど寛容であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミノ酸変化が、タンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容されるようであるかを示す。例えば、(タンパク質の三次構造内に)ほとんど埋もれているアミノ酸残基は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保存されない。さらに、寛容される保存的なアミノ酸置換は、脂肪族または疎水性アミノ酸のAla、Val、Leu、およびIleの置換;ヒドロキシル残基のSerおよびThrの置換;酸性残基のAspおよびGluの置換;アミド残基のAsnおよびGlnの置換、塩基性残基のLys、Arg、およびHisの置換;芳香族残基のPhe、Tyr、およびTrpの置換、ならびに小さなサイズのアミノ酸のAla、Ser、Thr、Met、およびGlyの置換を含む。
保存的なアミノ酸置換に加えて、本発明の改変体は、(i)1つ以上の非保存的なアミノ酸残基との置換、ここでは置換されるアミノ酸残基は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸残基であってもよく、もしくはそうでなくてもよい、または(ii)置換基を有する1つ以上のアミノ酸残基での置換、または(iii)別の化合物(例えば、ポリペプチドの安定性および/もしくは可溶性を増加するための化合物(例えば、ポリエチレングリコール))との成熟ポリペプチドの融合、または(iv)さらなるアミノ酸(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、またはリーダーもしくは分泌配列、または精製を容易にする配列のような)とのポリペプチドの融合、または(v)ポリペプチドと別の化合物(例えば、アルブミン(限定しないが、組換えアルブミン(例えば、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、EP特許0 413 622号、および1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号(これらは、その全体において本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)を含む))との融合物を含む。このような改変体ポリペプチドは、本明細書中の教示から、当業者の範囲内であると考えられる。
例えば、他の荷電されたアミノ酸または中性のアミノ酸での荷電されたアミノ酸のアミノ酸置換を含むポリペプチド改変体は、改善された特性(例えば、より少ない凝集性)を有するタンパク質を生成し得る。薬学的処方物の凝集は、凝集体の免疫原活性に起因して、活性の減少およびクリアランスの増加の両方をもたらす。(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol.2:331−340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838−845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307−377(1993))。
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、50アミノ酸置換を超えず、さらにより好ましくは、40アミノ酸置換を超えず、なおより好ましくは、30アミノ酸置換を超えず、そしてなおさらにより好ましくは、20アミノ酸置換を超えないアミノ酸配列を有する本発明のアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。もちろん、好ましさの増大する順番に、ペプチドまたはポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1アミノ酸置換を超えない本発明のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有することが非常に好ましい。特定の実施形態において、本発明のアミノ酸配列またはそのフラグメント(例えば、本明細書に記載の成熟形態および/または他のフラグメント)における付加、置換、および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜25、5〜50、10〜50、または50〜150であり、保存的アミノ酸置換が好ましい。
(ポリヌクレオチドおよびポリペプチドフラグメント)
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドのポリヌクレオチドフラグメントに関する。
本発明において、「ポリヌクレオチドフラグメント」とは、以下である核酸配列を有する短いポリヌクレオチドをいう:寄託されたクローンに含まれるか、もしくは寄託されたクローン中のcDNAによりコードされるポリペプチドをコードする核酸配列の一部であるか;配列番号Xもしくはそれらの相補鎖に示される核酸配列の一部であるか、または配列番号Yのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の一部である。本発明のヌクレオチドフラグメントは、好ましくは、少なくとも約15nt、そしてより好ましくは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そしてなおより好ましくは少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約75nt、または少なくとも約150ntの長さである。例えば、「少なくとも約20ntの長さ」のフラグメントは、寄託されたクローンに含まれるcDNA配列または配列番号Xに示されるヌクレオチド配列由来の20以上の連続する塩基を含むことが意図される。この文脈において「約(おおよそ)」は、特に記載された値(いずれかの末端もしくは両方の末端において、これより数個(5、4、3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいかまたは小さな値)を含む。これらのヌクレオチドフラグメントは、本明細書中で議論されるように、診断プローブおよびプライマーとしての使用を含むが、それらに限定されない使用を有する。もちろん、より大きなフラグメント(例えば、50、150、500、600、2000ヌクレオチド)は好ましい。
さらに、本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例としては、例えば、以下のおおよそのヌクレオチド数の配列を含むか、あるいは以下からなるフラグメントが挙げられる:1〜50、51〜100、101〜150、151〜200、201〜250、251〜300、301〜350、351〜400、401〜450、451〜500、501〜550、551〜600、651〜700、701〜750、751〜800、800〜850、851〜900、901〜950、951〜1000、1001〜1050、1051〜1100、1101〜1150、1151〜1200、1201〜1250、1251〜1300、1301〜1350、1351〜1400、1401〜1450、1451〜1500、1501〜1550、1551〜1600、1601〜1650、1651〜1700、1701〜1750、1751〜1800、1801〜1850、1851〜1900、1901〜1950、1951〜2000、もしくは2001から配列番号Xの末端、またはそれらの相補鎖、あるいは寄託されたクローンに含まれるcDNA。この文脈において、「約(おおよそ)」は、特に記載された範囲、およびいずれかの末端もしくは両方の末端において、これより数個(5、4、3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいかまたは小さな範囲を含む。好ましくは、これらのフラグメントは、生物学的活性を有するポリペプチドをコードする。より好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、本明細書中で議論されるようにプローブまたはプライマーとして使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下またはより低いストリンジェンシー条件下でこれらの核酸分子にハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた本発明に含まれ、これらのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドも同様に含まれる。
本発明において、「ポリペプチドフラグメント」とは、配列番号Yに含まれるか、または寄託されたクローンに含まれるcDNAによってコードされるアミノ酸配列の一部である、アミノ酸配列をいう。タンパク質(ポリペプチド)フラグメントは、「自立構造(free−standing)」であり得るか、あるいはより大きなポリペプチド内(そのフラグメントが、部分または領域を(最も好ましくは単一の連続した領域として)形成する)に含まれ得る。本発明のポリペプチドフラグメントの代表的な例としては、例えば、以下のおおよそのアミノ酸数を含むか、あるいは以下のおおよそのアミノ酸数からなるフラグメントが挙げられる:1〜20、21〜40、41〜60、61〜80、81〜100、102〜120、121〜140、141〜160、または161からコード領域の末端まで。さらに、ポリペプチドフラグメントは、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150アミノ酸の長さであり得る。この文脈において、「約(おおよそ)」とは、特に記載された範囲または値、およびいずれかの末端もしくは両方の末端において、これより数個(5、4、3、2、または1)のアミノ酸だけ大きいかまたは小さな範囲または値を含む。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
好ましいポリペプチドフラグメントとしては、分泌タンパク質および成熟形態が挙げられる。さらに好ましいポリペプチドフラグメントとしては、アミノ末端もしくはカルボキシ末端またはその両方から、連続した一連の欠失した残基を有する分泌タンパク質もしくは成熟形態が挙げられる。例えば、任意の数のアミノ酸(1〜60の範囲)は、分泌ポリペプチドもしくは成熟形態のいずれかのアミノ末端から欠失され得る。同様に、任意の数のアミノ酸(1〜30の範囲)が、分泌タンパク質もしくは成熟形態のカルボキシ末端から欠失され得る。さらに、上記のアミノ末端およびカルボキシ末端の欠失の任意の組み合わせは好ましい。同様に、これらのポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドもまた好ましい。
構造的または機能的ドメインによって特徴付けられるポリペプチドおよびポリヌクレオチドのフラグメント(例えば、α−ヘリックスおよびα−ヘリックス形成領域、β−シートおよびβ−シート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域、β両親媒性領域、可撓性領域、表面形成領域、基質結合領域、および高い抗原性指標領域を含むフラグメント)もまた、好ましい。保存性ドメインの中に含まれる配列番号Yのポリペプチドフラグメントは、本発明によって特に意図される。さらに、これらのドメインをコードするポリヌクレオチドもまた、意図される。
他の好ましいポリペプチドフラグメントは、生物学的に活性なフラグメントである。生物学的に活性なフラグメントは、類似の活性を示すが本発明のポリペプチドの活性とは必ずしも同一ではないフラグメントである。このフラグメントの生物学的活性は、改善された所望の活性または減少した所望でない活性を含み得る。これらのポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドフラグメントは、機能的活性を示すポリペプチドをコードする。「機能的活性」を示すポリペプチドとは、本発明のタンパク質の全長(完全)ポリペプチドと関連した1つ以上の公知の機能的活性を示し得るポリペプチドを意味する。このような機能的活性としては、生物学的活性、抗原性[本発明のポリペプチドに対する抗体に結合する(または結合することについて、本発明のポリペプチドと競合する)能力]、免疫原性(本発明のポリペプチドに結合する抗体を生成する能力)、本発明のポリペプチドと多量体を形成する能力、および本発明のポリペプチドについてのレセプターまたはリガンドに結合する能力が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリペプチド、ならびにそれらのフラグメント、改変体、誘導体、およびアナログの機能的活性は、種々の方法によってアッセイされ得る。
例えば、本発明のポリペプチドの抗体への結合について本発明の全長ポリペプチドに結合するかまたはそれと競合する能力についてアッセイする、1つの実施形態では、当該分野で公知の種々の免疫アッセイが、用いられ得る。このようなアッセイとしては、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫放射分析アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサイチュ免疫アッセイ(例えば、コロイド金、酵素または放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのような技術を用いる競合および非競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、抗体結合が、一次抗体上の標識を検出することによって検出される。別の実施形態では、この一次抗体は、この一次抗体に対する二次抗体または試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態では、この二次抗体が標識される。多くの手段が、免疫アッセイにおける結合の検出について当該分野で公知であり、そして本発明の範囲内である。
別の実施形態では、同定された本発明のポリペプチドについてのリガンド、または本発明のポリペプチドフラグメント、改変体、もしくは誘導体が多量体化する能力が評価される場合、結合が、例えば、還元および非還元ゲルクロマトグラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、ならびにアフィニティーブロッティングのような当該分野で周知の手段によって、アッセイされ得る。一般には、Phizicky,E.ら、1995、Microbiol.Rev.59:94−123を参照のこと。別の実施形態では、その基質への本発明のポリペプチドの結合の生理学的相関(シグナル伝達)がアッセイされ得る。
さらに、本明細書中に記載のアッセイ(実施例を参照のこと)および当該分野で公知の他のアッセイは、本発明のポリペプチドならびにそれらのフラグメント、改変体、誘導体、およびアナログが、本発明のポリペプチドの生物学的活性に関連した関連の生物学的活性を(インビトロまたはインビボのいずれかで)惹起する能力を測定するために、慣用的に適用され得る。他の方法は、当業者に公知であり、そして本発明の範囲内である。
(エピトープおよび抗体)
本発明は、配列番号Yのアミノ酸配列を有するポリペプチドのエピトープ、またはATCC寄託番号Zに含まれるポリヌクレオチド配列によって、もしくは配列番号Xの配列の相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列のエピトープ、または上記で規定されたようなストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下もしくはより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でATCC寄託番号Zに含まれるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列のエピトープを含むか、あるいはそれらからなるポリペプチドを含む。本発明はさらに、本発明のポリペプチド配列(例えば、配列番号Xで開示された配列)のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列、本発明のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列の相補鎖のポリヌクレオチド配列、および上記で定義されたストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下またはより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で相補鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。
用語「エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、動物において、好ましくは哺乳動物において、そして最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性または免疫原性活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい実施形態において、本発明は、エピトープを含むポリペプチド、およびこのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。「免疫原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、当該分野で公知の任意の方法によって決定されるような(例えば、下記に記載される抗体を産生するための方法による)、動物における抗体応答を誘発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと)。用語「抗原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、当該分野で周知の任意の方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッセイによる)によって決定されるような、抗体がその抗原に免疫特異的に結合し得るタンパク質の一部として定義される。免疫特異的結合は、非特異的結合は除外するが、他の抗原との交差反応を除外する必要はない。抗原性エピトープは、免疫原性である必要はない。
エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生され得る。(例えば、Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと。これはさらに、米国特許第4,631,211号に記載される)。
本発明においては、抗原性エピトープは、好ましくは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7アミノ酸配列を含み、より好ましくは、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸配列を含み、そして最も好ましくは約15アミノ酸と約30アミノ酸との間の配列を含む。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含有する好ましいポリペプチドは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸残基の長さである。さらなる非排他的に好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原性エピトープおよびその一部を含む。抗原性エピトープは、有用である(例えば、エピトープに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起するため)。好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原性エピトープ、および2、3、4、5以上のこれらの抗原性エピトープの任意の組合わせを含む。抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて、標的分子として使用され得る。(例えば、Wilsonら、Cell 37:767−778(1984);Sutcliffeら、Science 219:660−666(1983)を参照のこと)。
同様に、免疫原性のエピトープを使用して、例えば、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導し得る。(例えば、Sutcliffeら(前出);Wilsonら(前出);Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:910−914;およびBittleら、J.Gen.Virol.66:2347−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性エピトープは、本明細書で開示された免疫原性エピトープ、ならびにこれらの免疫原性エピトープの2つ、3つ、4つ、5つ以上の任意の組み合わせを含む。1つ以上の免疫原性エピトープを含むポリペプチドは、キャリアタンパク質(例えば、アルブミン)とともに動物系(例えば、ウサギまたはマウス)に対する抗体応答を惹起するために提示され得るか、または、そのポリペプチドが十分に長い場合では(少なくとも約25アミノ酸)、このポリペプチドはキャリアなしで提示され得る。しかし、8〜10程度のわずかなアミノ酸を含む免疫原性エピトープが、変性されたポリペプチドの直鎖エピトープに(少なくとも)結合し得る抗体を惹起するのに十分であることが示された(例えば、ウエスタンブロッティングにおいて)。
本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導するために使用され得る。この方法としては、インビボ免疫、インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Sutcliffeら,前出;Wilsonら,前出;およびBittleら,J.Gen.Virol.,66:2347−2354(1985)を参照のこと。インビボ免疫を使用する場合、動物を遊離ペプチドを用いて免疫し得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(hemacyanin)(KLH)または破傷風トキソイド)にペプチドを結合させることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペプチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得る。その一方、他のペプチドは、より一般的な結合剤(例えば、グルタルアルデヒド)を用いてキャリアに結合され得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、エマルジョン(約100μgのペプチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答を刺激すると知られる任意の他のアジュバントを含む)の腹腔内注射および/または皮内注射により免疫される。いくつかのブースター注射が、抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で、必要とされ得る。この力価は、例えば、固体表面に吸着した遊離のペプチドを用いるELISAアッセイにより検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法に従う固体支持体上のペプチドの吸着および選択された抗体の溶出による)により上昇し得る。
当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドは、他のポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせおよびそれらの部分)、あるいはアルブミン(組換えアルブミン(例えば、1999年3月2日発行の米国特許第5,876,969号、欧州特許第0 413 622号、および1998年6月16日発行の米国特許第5,766,883号(これらは、本明細書によってその全体において参考として援用される)を参照のこと)を含むが、限定はされない)と融合され得、キメラポリペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製を容易にし得、そしてインビボでの半減期を増大させ得る。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP 394,827;Trauneckerら、Nature,331:84〜86(1988)を参照のこと。上皮の障壁を横切る抗原の免疫系への増強された送達は、IgGまたはFcフラグメントのようなFcRn結合パートナーへ結合された抗原(例えば、インシュリン)について実証された(例えば、PCT公開WO96/22024および同WO99/04813を参照のこと)。IgG部分のジスルフィド結合に起因するジスルフィド結合二量体構造を有するIgG融合タンパク質はまた、単量体ポリペプチドまたはそれらのフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和においてより効果的であることが見出された。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)を参照のこと。上記のエピトープをコードする核酸はまた、エピトープタグ(例えば、赤血球凝集素(「HA」)タグまたはフラッグ(flag)タグ)として目的の遺伝子と組換えられ、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。例えば、Janknechtらによって記載される系は、ヒト細胞株中で発現される非変性融合タンパク質の容易な精製を可能にする(Janknecht ら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972−897)。この系において、目的の遺伝子はワクシニア組換えプラスミドへサブクローン化され、その結果、この遺伝子のオープンリーディングフレームが、6つのヒスチジン残基からなるアミノ末端タグへ翻訳時に融合される。このタグは、融合タンパク質についての基質結合ドメインとしての機能を果たす。組換えワクシニアウイルスを用いて感染された細胞からの抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸−アガロースカラム上ヘロードされ、そしてヒスチジンタグ化タンパク質は、イミダゾール含有緩衝液を用いて選択的に溶出され得る。
本発明のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(総称して「DNAシャッフリング」といわれる)の技術を通じて生成され得る。DNAシャッフリングを利用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、この方法を使用することにより、改変された活性を有するポリペプチド、ならびにこれらのポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを生成し得る。一般には、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、ならびにPattenら、Curr.Opinion Biotechnol.8:724−33(1997);Harayama,Trends Biotechnol.16(2):76−82(1998);Hanssonら、J.Mol.Biol.287:265−76(1999);ならびにLorenzoおよびBlasco,Biotechniques 24(2):308−13(1998)(これらの特許および刊行物の各々が本明細書によってその全体において参考として援用される)を参照のこと。1つの実施形態において、配列番号Xに対応するポリヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの改変は、DNAシャッフリングにより達成され得る。DNAシャッフリングは、相同組換えまたは部位特異的組換えにより、ポリヌクレオチド配列において変化を生じるように2つ以上のDNAセグメントをアセンブルすることを含む。別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドまたはそのコードされるポリペプチドは、組換え前に、誤りがちの(error−prone)PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法による、ランダム変異誘発に供されることによって改変され得る。別の実施形態において、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメントなどは、1つ以上の異種分子の、1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメントなどと組換えられ得る。
(抗体)
さらに、本発明のポリペプチドは、(特異的な抗体抗原結合をアッセイするための当該分野で周知のイムノアッセイによって決定されるような)本発明の、ポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、または配列番号Yの改変体、および/またはエピトープに免疫特異的に結合する抗体およびT細胞抗原レセプター(TCR)に関する。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを含むが、限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「抗体亅とは、免疫グロブリン分子および免疫グロリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)または任意のサブクラスであり得る。好ましい実施形態では、本発明の免疫グロブリン分子は、IgG1である。他の好ましい実施形態では、本発明の免疫グロブリンはIgG4である。
最も好ましくは、この抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり、これには、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)ならびにVLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で、または以下の全体もしくは部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン。また、可変領域とヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインとの任意の組み合わせもまた含む抗原結合フラグメントがまた本発明に含まれる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源由来であり得る。好ましくは、この抗体は、ヒト、ネズミ(murine)(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、シップウサギ(ship rabbit)、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書中で使用される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、そしてヒト免疫グロブリンライブラリーまたは1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、そして内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離さた抗体(下に記載のように、および例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号において記載のような)を含む。
本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多くの多重特異性の抗体であり得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドおよび異種のエピトープ(例えば、異種ポリペプチドもしくは固体支持体物質)、の両方に特異的であり得る。例えば、PCT公開WO 93/17715;同WO 92/08802;同WO 91/00360;同WO 92/05793;Tuttら、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、同第5,601,819号;Kostelnyら、J.Imunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。
本発明の抗体は、これらが認識または特異的に結合する、本発明のポリペプチドのエピトープまたは部分に関して記載または特定化され得る。このエピトープまたはポリペプチドの部分は、例えば、N末端およびC末端位置によって、連続するアミノ酸残基におけるサイズによって本明細書中に記載されるように、または表および図に列挙されるように、特定化され得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに特異的に結合する抗体はまた、排除され得る。従って、本発明は、本発明のポリペプチドを特異的に結合し、そして本発明のポリペプチドの排除を可能にする抗体を含む。
本発明の抗体はまた、その交差反応性について記載または特定化され得る。本発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オーソログまたはホモログを結合しない抗体が、含まれる。本発明のポリペプチドに対して少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および少なくとも50%の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書中に記載される方法を用いて計算されるように)を有するポリペプチドを結合する抗体もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態において、本発明の抗体は、ヒトタンパク質の、マウスホモログ、ラットホモログおよび/またはウサギホモログならびに対応するそれらのエピトープと交差反応する。本発明のポリペプチドに対して95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書中に記載される方法を用いて計算されるように)を有するポリペプチドを結合しない抗体もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態において、上記の交差反応性は、本明細書中に開示された、任意の単一特異的な抗原性または免疫原性ポリペプチド、あるいは2、3、4、5以上の特異的抗原性および/または免疫原生ポリペプチドの組み合わせに関する。さらに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(本明細書中で記載されるような)で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを結合する抗体が、本発明に含まれる。本発明の抗体はまた、本発明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性について記載または特定化され得る。好ましい結合親和性としては、5×10-2M未満、10-2M未満、5×10-3M未満、10-3M未満、5×10-4M末満、10-4M未満、5×10-5M未満、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10-7M未満、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、10-11M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10-15M未満または10-15M未満の解離定数すなわちKdを有する親和性が挙げられる。
本発明はまた、競合性結合を決定するための当該分野で公知の任意の方法(例えば、本明細書中で記載されるイムノアッセイ)によって決定されるような、本発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ましい実施形態において、この抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、エピトープへの結合を競合的に阻害する。
本発明の抗体は、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る。例えば、本発明は、本発明のポリペプチドとのレセプター/リガンド相互作用を部分的または完全にのいずれかで破壊する抗体を含む。好ましくは、本発明の抗体は、本明細書中で開示された抗原性エピトープ、またはその部分を結合する。本発明は、レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の両方の特徴を有する。本発明はまた、リガンド結合を妬害しないがレセプター活性化を妨害するレセプター特異的抗体の特徴を有する。レセプター活性化(すなわち、シグナル伝達)は、本明細書中に記載の技術、そうでなければ、当該分野で公知の技術により決定され得る。例えば、レセプター活性化は、レセプターのリン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/トレオニン)、または免疫沈降それに続いてウェスタンブロット分析(例えば、上記のような)によってその基質を検出することにより、決定され得る。特定の実施形態において、この抗体の非存在下で、リガンド活性またはレセプター活性を、その活性の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害する抗体が提供される。
本発明はまた、リガンド結合およびレセプター活性化の両方を妨げるレセプター特異的抗体、ならびにレセプターリガンド複合体を認識し、そして好ましくは、結合していないレセプターまたは結合していないリガンドを特異的に認識しないレセプター特異的抗体の特徴を有する。同様に、本発明は、リガンドと結合し、そしてレセプターへのリガンドの結合を妨げる中和抗体、およびリガントと結合し、それによりレセプター活性化を妨げるが、リガンドがレセプターを結合することを妨げない抗体を含む。さらに、本発明は、レセプターを活性化する抗体を含む。これらの抗体は、レセプターアゴニストとして作用し得、すなわち、例えば、レセプターの二量化を誘発することによってリガンド媒介レセプター活性化の生物学的活性化の全てまたはサブセットのいずれかを増強するかまたは活性化し得る。この抗体は、本明細書中に開示される本発明のペプチドの特異的生物学的活性を含む生物学的活性についてのアゴニスト、アンタゴニストまたは逆アゴニストとして特定化され得る。上記抗体アゴニストは、当該分野で公知の方法を用いて作製され得る。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第5,811,097号;Dengら、Blood 92(6):1981−1988(1998);Chenら、Cancer Res.58(16):3668−3678(1998);Harropら、J.Immunol.161(4):1786−1794(1998);Zhuら、Cancer Res:58(15):3209−3214(1998);Yoonら、J.Immunol.160(7):3170−3179(1998);Pratら、J.Cell.Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら、J.Immunol.Methods 205(2):177−190(1997);Liautardら、Cytokine 9(4):233−241(1997);Carlsonら、J.Biol.Chem.272(17):11295−11301(1997);Tarymanら、Neuron 14(4):755−762(1995);Mullerら、Structure 6(9):1153−1167(1998);Bartunekら、Cytokine 8(1):14−20(1996)(上記の文献は、全て、その全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。
本発明の抗体は、例えば、これらに限定されないが、本発明のポリペプチドを精製し、検出し、そして標的化するために使用され得る。これらは、インビトロおよびインビボの両方での診断方法および治療方法を含む。例えば、この抗体は、生物学的サンプルにおける本発明のポリペプチドのレベルを定性的におよび定量的に測定するためのイムノアッセイにおける使用を有する。例えば、Harlowら,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版,1988)(本明細書中でその全体が参照として援用される)を参照のこと。
以下にさらに詳細に議論されるように、本発明の抗体は、単独または他の化合物との組み合わせのいずれかで使用され得る。この抗体はさらに、N末端でもしくはC末端で異種ポリペプチドに組換え的に融合され得るか、あるいはポリペプチドまたは他の組成物へ化学的に結合(共有結合および非共有結合を含む)され得る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子および異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素のようなエフェクター分子へ組換え的に融合または結合され得る。例えば、PCT公開WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;および欧州特許第396,387号を参照のこと。
本発明の抗体は、改変された(すなわち、共有結合性付着(covalent attachment)が、抗体が抗イディオタイプ応答を産生するのを妨げないような、抗体に対する任意の型の分子の共有結合性付着による)誘導体を含む。例えば、制限されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化(pegylation)、リン酸化(phosphylation)、アミド化、既知の保護基/ブロック基(blocking group)による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への連結などによって改変された抗体が挙げられる。多数の任意の化学的改変が、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含むが、これらに制限されない公知の技術によって実行され得る。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって産生され得る。目的の抗原に対するポリクローナル抗体は、当該分野で周知の種々の手順によって産生され得る。例えば、本発明のポリペプチドが種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない)に投与されて、抗原に対して特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導し得る。種々のアジュバントが、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用され得、そしてフロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル(mineral gel)、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびcorynebacterium parvumのような潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。このようなアジュバントはまた、当該分野で周知である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該分野で公知の広範な種々の技術を用いて調製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知の以下に挙げられるハイブリドーマ技術を使用して産生され得、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas 563−681(Elsevier,N.Y.1981)(上記の参考文献は、その全体が参考として援用される)に教示される。本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ技術を通して生成された抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体をいい、それが生成される方法のことではない。
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を産生およびスクリーニングする方法は、当該分野で慣用的かつ周知であり、そして実施例に詳細に議論される(例えば、実施例16)。非限定的な実施例において、マウスは、本発明のポリペプチドまたはそのようなペプチドを発現する細胞を用いて免疫され得る。一旦免疫応答が検出される(例えば、抗原に特異的な抗体がマウスの血清中に検出される)と、マウスの脾臓を収集しそして脾細胞を単離する。次に、その脾細胞を周知の技術によって任意の適切な骨髄腫細胞(例えば、ATCCから入手可能な細胞株SP20由来の細胞)に融合させる。ハイブリドーマを限界希釈によって選択およびクローン化する。次に、ハイブリドーマクローンを、本発明のポリペプチドに結合し得る抗体を分泌する細胞について、当該分野で公知の方法によってアッセイする。一般的に高いレベルの抗体を含む腹水(ascites fluid)が、陽性ハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫することによって、産生され得る。
従って、本発明は、モノクローナル抗体および本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養する工程を包含する方法によって産生される抗体を、生成する方法を提供し、ここで、好ましくは、このハイブリドーマは、骨髄腫細胞と本発明の抗原で免疫したマウスから単離された脾細胞とを融合させ、次いで本発明のポリペプチドと結合し得る抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて、融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングすることによって生成される。
特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって生成され得る。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントは、(Fabフラグメントを生成するために)パパインまたは(F(ab’)2フラグメントを産生するために)ペプシンのような酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断によって産生され得る。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
例えば、本発明の抗体はまた、当該分野で公知の種々のファージディスプレイ方法を用いて産生され得る。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面に提示される。特定の実施形態において、そのようなファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトもしくはマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために利用され得る。目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて選択または同定され得る(例えば、標識した抗体あるいは固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗原を使用する)。これらの方法において用いられるファージは、代表的には、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fvまたはジスルフィド安定化されたFvの抗体ドメインを有するファージから発現されたfdおよびM13結合ドメインを含む糸状ファージ(filamentous phage)である。本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例としては、以下に開示される方法が挙げられる:Brinkmanら、J.Immunol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods 184:177−186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−958(1994);Persicら、Gene 187 9−18(1997);Burtonら、Advances in Immunology 57:191−280(1994);PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公開WO 90/02809;WO 91/10737;WO 92/01047;WO 92/18619;WO 93/11236;WO 95/15982;WO 95/20401;ならびに米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号および同第5,969,108号(これらの各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。
上記参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体をコードする領域は、ヒト抗体を含む抗体の全体または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを生成するために単離されかつ用いられ得、そして例えば、以下に詳細が記載されるように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換え的に産生するための技術はまた、当該分野で公知の方法を用いて使用され得、このような方法は、以下に開示される:PCT公開WO 92/22324;Mullinaxら、BioTechniques 12(6):864−869(1992);およびSawaiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBetterら、Science 240:1041−1043(1998)(これらの参考文献は、その全体が参考として援用される)。
単鎖のFvsおよび抗体を産生するために用いられ得る技術の例としては、米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Hustonら、Methods in Enzymology 203:46−88(1991);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);およびSkerraら、Science 240:1038−1040(1988)に記載される技術が挙げられる。ヒトにおける抗体のインビボにおける使用およびインビトロ検出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体の使用が好ましくあり得る。キメラ抗体とは、抗体の異なる部分が、異なる動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)である。キメラ抗体を産生するための方法は、当該分野において公知である。例えば、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら、(1989)J.Immunol.Methods 125:191−202;米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816397号を参照のこと(これらはそれらの全体が、参考として本明細書中に援用される)。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望された抗原に結合する非ヒト種抗体由来の抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域内のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させるため(好ましくは改善させるために)CDRドナー抗体由来の対応残基と置換される。これらフレームワークの置換は、当該分野で周知の方法によって同定され、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリング、ならびに特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較による。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature 332:323(1988)を参照のこと(これらはそれらの全体が参考として本明細書中に援用される)。)抗体は、以下を含む当該分野で公知の種々の技術を用いてヒト化され得る:例えば、CDR−移植(欧州特許第239,400号;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号および同第5,585,089号)、ベニヤリング(veneering)またはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許第592,106号;同第519,596号;Padlan、Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991); Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973(1994))、およびチェーンシャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)。
完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置に対して特に所望される。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いた上記のファージディスプレイ法を含む当該分野で公知の種々の方法により作製され得る。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号;およびPCT公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741;(これらの各々はその全体が参考として本明細書中に援用される)もまた参照のこと。
ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンの発現は出来ないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを用いて産生され得る。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子およびヒト軽鎖免疫グロブリン遺伝子の複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入され得る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域(diversity region)は、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えて、マウスの胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子およびマウス軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座の導入と別々にまたは同時に非機能的にされ得る。特に、JH領域のホモ接合性の欠失は、内因性抗体の産生を妨げる。改変された胚性幹細胞を増殖させ、そしてキメラマウスを産生するために胚盤胞中に微量注入する。次いで、キメラマウスを、ヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を産生するために繁殖させる。トランスジェニックマウスを、選択された抗原(例えば、本発明のポリペプチドの全体または部分)を用いて通常の様式で免疫する。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いた免疫したトランスジェニックマウスから得られ得る。トランスジェニックマウスに保持されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再構成し、そしてその後、クラススイッチングおよび体細胞変異を受ける。従って、そのような技術の使用によって、治療的に有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体の産生が可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar、Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術のならびにそのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な議論については、例えば、PCT公開WO98/24893;WO92/01047;WO96/34096;WO96/33735;欧州特許第0 598 877;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,916,771号;および同第5,939,598号を参照のこと(これらはその全体が本明細書中に参考として援用される)。さらに、Abgenix,Inc.(Freemont,CA)およびGenpharm(San Jose,CA)のような企業は、上記の技術に類似した技術を用いて選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事し得る。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト化抗体を、「ガイドされた(guided)選択」といわれる技術を用いて産生し得る。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を導くために使用される。(Jespersら、Bio/technology 12:899−903(1988))。
さらに、本発明のポリペプチドに対する抗体は、当業者に周知の技術を用いて本発明のポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を産生するために順々に利用され得る。(例えば、GreenspanおよびBona、FASEB J.7(5):437−444;(1989)およびNissinoff,J.Immunol.147(8):2429−2438(1991)を参照のこと。)例えば、結合し、そしてポリペプチドの多量体化(multimerization)および/またはリガンドに対する本発明のポリペプチドの結合を競合的に阻害する抗体が、ポリペプチドの多量体化ドメインおよび/または結合ドメインを「模倣する」抗イディオタイプを産生するために使用され得、そして結果としてポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合し、そして中和する。このような抗イディオタイプまたはそのような抗イディオタイプのFabフラグメントの中和は、ポリペプチドリガンドを中和するための治療的レジメンに使用され得る。例えば、そのような抗イディオタイプ抗体は、本発明のポリペプチドに結合するためおよび/またはそのリガンド/レセプターに結合するために使用され得、そしてそれによってその生物学的活性がブロックされる。
(抗体をコードするポリヌクレオチド)
本発明はさらに、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、ストリンジェントな、またはより低いストリジェンシーなハイブリダイゼーション条件下で(例えば、上記に定義されるような)抗体(好ましくは、本発明のポリペプチドと特異的に結合する、好ましくは、配列番号Yのアミノ酸配列を有するポリペプチドに結合する抗体)をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。
ポリヌクレオチドが、当該分野で公知の任意の方法によって得られ得、そしてそのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定される。例えば、抗体のヌクレオチド配列が知られている場合、この抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから構築され得(例えば、Kutmeierら、BioTechniques 17:242(1994)に記載されるような)、これは、簡単にいうと、以下の工程を包含する:この抗体をコードする配列の部分を含むオーバーラップするオリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、次いでPCRによる連結されたオリゴヌクレオチドの増幅。
あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な供給源からの核酸から生成され得る。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは入手不可能だが、その抗体分子の配列が既知である場合、その免疫グロブリンをコードする核酸は、化学的に合成され得るか、あるいは適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞(例えば、本発明の抗体の発現のために選択されたハイブリドーマ細胞)から生成されたcDNAライブラリー、またはそれから単離された核酸(好ましくはポリA+RNA))から、例えば、その抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定するために、配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって得られ得る。PCRによって生成された増幅された核酸は、次いで、当該分野で周知の任意の方法を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
一旦、抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されると、抗体のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作について当該分野で周知の方法(例えば、組換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら、1990,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYおよびAusubelら編、1998,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NYに記載の技術を参照のこと。これらは両方がその全体において本明細書に参考として援用される。))を用いて操作され、例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を作製するように異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成し得る。
特定の実施形態において、重鎖および/または軽鎖の可変ドメインのアミノ酸配列は、相補性決定領域(CDR)の配列の同定のために、当該分野において周知の方法によって(例えば、配列超可変性の領域を決定するために、他の重鎖、および軽鎖の可変領域を既知のアミノ酸配列と比較することによって)調べられ得る。慣用的な組換えDNA技術を用いて、1つ以上のCDRが、前述のようにフレームワーク領域内に(例えば、非ヒト抗体をヒト化するために、ヒトフレームワーク領域中に)挿入され得る。このフレームワーク領域は天然に存在し得るか、またはコンセンサスフレームワーク領域であり得、そして好ましくはヒトフレームワーク領域であり得る(例えば、列挙したヒトフレームワーク領域については、Chothiaら、J.Mol.Biol.278:457−479(1998)を参照のこと)。好ましくは、フレームワーク領域およびCDRの組み合わせによって生成されたポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、上記に議論されるように、1つ以上のアミノ酸置換は、フレームワーク領域内で作製され得、そして好ましくは、そのアミノ酸置換は、抗体のその抗原への結合を改善する。さらに、このような方法は、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合が欠如した抗体分子を生成するように、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つ以上の可変領域のシステイン残基のアミノ酸置換または欠失を作製するために使用され得る。ポリヌクレオチドへの他の変更は、本発明によって、および当該分野の技術において包含される。
さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングさせることによって、「キメラ抗体」を産生するために開発された技術(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:851−855(1984);Neubergerら、Nature 312:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:452−454(1985))が使用され得る。上記のように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、このような分子は、マウスmAbおよびヒト免疫グロブリンの定常領域由来の可変領域を有する(例えば、ヒト化抗体)。
あるいは、単鎖抗体の産生に関する記載された技術(米国特許第4,946,778号;Bird、Science 242:423−42(1988);Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988);およびWardら、Nature 334:544−54(1989))が、単鎖抗体の産生に適応され得る。単鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントがアミノ酸架橋を介して連結されれることによって形成され、単鎖ポリペプチドを生じる。E.coliにおける機能性Fvフラグメントのアセンブリのための技術もまた、使用され得る(Skerraら、Science 242:1038−1041(1988))。
(抗体を産生する方法)
本発明の抗体は、抗体を合成するための当該分野で公知の任意の方法によって、特に、化学合成によって、または、好ましくは、組換え発現技術によって産生され得る。
本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログ(例えば、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖または本発明の単鎖抗体)の組換え発現は、その抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とする。一旦、本発明の抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、あるいはそれらの部分(好ましくは、重鎖または軽鎖の可変ドメインを含有する)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当該分野で周知の技術を用いる組換えDNA技術によって生成され得る。従って、抗体をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドの発現によってタンパク質を調製するための方法は、本明細書に記載される。当業者に周知の方法は、抗体をコードする配列ならびに適切な転写制御シグナルおよび翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターの構築のために使用され得る。これらの方法には、例えば、インビトロの組換えDNA技術、合成技術、およびインビボの遺伝子組換えが挙げられる。従って、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された、本発明の抗体分子、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖の可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターを提供する。このようなベクターは、抗体分子の定常領域(例えば、PCT公開 WO86/05807;PCT公開 WO89/01036;および米国特許第5,122,464号を参照のこと)をコードするヌクレオチド配列を含み得、そしてこの抗体の可変ドメインは、重鎖または軽鎖の全体の発現のためにこのようなベクターにクローニングされ得る。
この発現ベクターは、従来技術によって宿主細胞へと移入され、そしてこのトランスフェクトされた細胞は、次いで、本発明の抗体を産生するために、従来技術によって培養される。従って、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結された、本発明の抗体、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、または本発明の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二重鎖抗体の発現についての好ましい実施形態において、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞中に同時発現され得る。
種々の宿主発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現させるために利用され得る。このような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、かつ続いて精製され得るビヒクルを表わすが、また、適切なヌクレオチドをコードする配列で形質転換またはトランスフェクトされる場合に、インサイチュで本発明の抗体分子を発現し得る細胞を表わす。これらには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体をコードする配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)のような微生物;抗体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した植物細胞系または抗体をコードする配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物のウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞)。好ましくは、Escherichia coliのような細菌細胞、そしてより好ましくは、特に、組換え抗体分子全体の発現のために真核生物細胞が、組換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要前初期(major intermediate early)遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わされた、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞が、抗体のための効果的な発現系である(Foeckingら、Gene 45:101(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(1990))。
細菌系において、多くの発現ベクターが、抗体分子の発現を意図する使用に依存して有利に選択され得る。例えば、多量のこのようなタンパク質が産生されるべき場合、抗体分子の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指向するベクターが所望され得る。このようなベクターには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体をコードする配列がlacZをコードする領域と共にベクターにインフレーム(in frame)で個別に連結され得、その結果、融合タンパク質が産生されるE.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(1983));pINベクター(Inouye&Inouye、Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke&Schuster、J.Biol.Chem.24:5503−5509(1989))など。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として、外来性ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そして溶解した細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合、それに続く遊離グルタチオン存在化での溶出によって容易に精製され得る。このpGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され、その結果、このクローニングされた標的遺伝子産物は、GST部分から放出され得る。
昆虫系においては、Autographa californica核多角体病ウィルス(AcNPV)は、異種遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。このウィルスは、Spodoptera frugiperda細胞において増殖する。抗体をコードする配列は、このウィルスの非必須の領域(例えばポリヘドリン遺伝子)に個々にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置され得る。
哺乳動物宿主細胞においては、多数のウィルスに基づく発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合においては、目的の抗体をコードする配列は、アデノウイルスの転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーターおよび3つの部分に分かれるリーダー配列、に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボでの組換えによって、アデノウィルスゲノムに挿入され得る。ウィルスのゲノムの非必須領域(例えば、E1またはE3領域)における挿入は、生存可能で、感染した宿主において抗体分子を発現する能力のある組換えウィルスを生じる(例えば、Logan&Shenk、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359(1984)を参照のこと)。特異的開始シグナルはまた、挿入された抗体をコードする配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接する配列を含む。さらに、この開始コドンは、挿入部分全体の翻訳を確実にするために、所望されるコード配列のリーディングフレーム(reading frame)と相が同じでなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、種々の起源、天然および合成の両方であり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーター、などの含有によって高められ得る(Bittnerら、Methods in Enzymol.153:51−544(1987)を参照のこと)。
さらに、宿主細胞系統は、選択され得、これは挿入配列の発現を調節し、または、所望される特異的な様式で遺伝子産物を改変し、そしてプロセシングする。タンパク質産物のこのような改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(例えば切断)は、タンパク質の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の、翻訳後プロセシングおよび改変のための、特徴的で特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系は、発現された異種タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするように選択され得る。この目的のために、遺伝子産物の、第一の転写、グリコシル化、およびリン酸化の正確なプロセシングのための細胞機構を有する、真核生物宿主細胞が、使用され得る。このような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、WI38、そして特に、例えば、BT483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dのような乳癌細胞株、ならびに、例えば、CRL7030およびHs578Bstのような正常な乳腺細胞株を含むが、これらに限定されない。
組換えタンパク質の長期間の高収率産生、安定発現が好ましい。例えば、安定に抗体分子を発現する細胞株が操作され得る。ウィルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するよりも、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、など)、および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換され得る。異種DNAの導入に続いて、操作された細胞は、1〜2日間富化培地で増殖させられ得、次いで、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミドにおける選択マーカーは、選択に対する耐性を与え、そして細胞が、プラスミドをその染色体内に安定に組み込み、そして増殖して、細胞増殖巣を形成し、これを今度はクローニングし得、増殖して細胞株になり得ることを可能にする。この方法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するために、有利に使用され得る。このような操作された細胞株は、直接的または間接的に抗体分子と相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価において、特に有用であり得る。
多数の選択系が使用され得、この選択系は、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Szybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202(1992))、およびアデニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22:817(1980))の遺伝子を含むが限定されず、これらの遺伝子は、tk−、hgprt−またはaprt−細胞においてそれぞれ使用され得る。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子の選択の根拠として使用され得る:dhfr、これはメトトレキサートに対する耐性を与える(Wiglerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980);O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));gpt、これはミコフェノール酸にに対する耐性を与える(Mulligan&Berg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));neo、これはアミノグリコシドG−418に対する耐性を与える(Clinical Pharmacy 12:488−505;Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596(1993);Mulligan、Science 260:926−932(1993);およびMorgan and Anderson、Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1993);1993年5月、TIB TECH 11(5):155−215);ならびにhygro、これはハイグロマイシンにに対する耐性を与える(Santerreら、Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術の分野で周知の方法は、所望の組換えクローンを選択するために、慣用的に適用され得、そしてこのような方法は、以下に記載されている:例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NY(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990);ならびに12章および13章、Dracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley&Sons、NY(1994);Colberre−Garapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)(これらはその全体が本明細書中に参考として援用される)。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大され得る(総説として、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、Vol.3.(Academic Press、New York、1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが、増幅可能であると、宿主細胞の培養物に存在するインヒビターのレベルにおける増加は、マーカー遺伝子のコピーの数を増加する。増幅領域は抗体遺伝子と結合しているので、抗体の産生もまた増加する(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
宿主細胞は、本発明の二つの発現ベクター(重鎖由来のポリペプチドをコードする第一のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二のベクター)で、同時トランスフェクトされ得る。この二つのベクターは、重鎖および軽鎖のポリペプチドの等しい発現を可能にする、同一の選択マーカーを含み得る。あるいは、単一のベクターが使用され得、これは重鎖および軽鎖両方のポリペプチドをコードし、そして発現することができる。このような状況において、過剰の毒性の遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に軽鎖が配置されるべきである(Proudfoot、Nature 322:52(1986);Kohler、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))。重鎖および軽鎖のためのコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
一旦本発明の抗体分子が、動物によって産生されるか、化学的に合成されるか、または組換えにより発現されると、当該分野で公知の、免疫グロブリン分子の精製のための任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー(特に、プロテインAの後に特異的抗原に対するアフィニティーによる)、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質精製のための任意の他の標準的な技術によって、精製され得る。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、本明細書中に記載されるかまたはそうでなければ当該分野において公知の、異種ポリペプチド配列に融合され得、精製を容易にする。
本発明は、本発明のポリペプチド(もしくはその部分、好ましくはこのポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100個のアミノ酸)に、組換えにより融合されるかまたは化学的に結合されて(共有結合および非共有結合の両方を含む)、融合タンパク質を生成する抗体、を含む。この融合は、直接的である必要はないが、リンカー配列を介して起こり得る。この抗体は、本発明のポリペプチド(またはその部分、好ましくはこのポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100個のアミノ酸)以外の抗原に特異的であり得る。例えば、インビトロまたはインビボのいずれにおいても、本発明のポリペプチドを特定の細胞表面のレセプターに特異的な抗体に融合または結合させることによって、特定の細胞のタイプに対して、本発明のポリペプチドを標的にするために、抗体が使用され得る。本発明のポリペプチドに融合または結合される抗体はまた、インビトロ免疫アッセイおよび当該分野で公知の方法を使用する精製方法において使用され得る。例えば、Harborら、上記、およびPCT公開WO93/21232;EP439,095;Naramuraら、Immunol.Lett.39:91−99(1994);米国特許第5,474,981号;Gilliesら、PNAS 89:1428−1432(1992);Fellら、J.Immunol.146:2446−2452(1991)を参照のこと。これらは、その全体が参考として援用される。
本発明はさらに、抗体の可変領域以外のドメインに融合または結合された、本発明のポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、本発明のポリペプチドは、抗体のFc領域、またはその部分に融合または結合され得る。本発明のポリペプチドに融合されたこの抗体の部分は、定常領域、ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、またはそのドメイン全体もしくは部分の任意の組合せを含み得る。これらのポリペプチドはまた、上記の抗体の部分に融合または結合され得、多量体を形成する。例えば、本発明のポリペプチドに融合されたFc部分は、このFc部分の間のジスルフィド結合を通して二量体を形成し得る。より高度の多量体形態は、ポリペプチドをIgAおよびIgMの部分に融合させることによって作製され得る。本発明のポリペプチドを抗体部分に融合または結合させるための方法は、当該分野において公知である。例えば、米国特許第5,336,603号;同第5,622,929号;同第5,359,046号;同第5,349,053号;同第5,447,851号;同第5,112,946号;EP 307,434;EP 367,166;PCT公開WO96/04388;WO91/06570;Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Zhengら、J.Immunol.154:5590−5600(1995);およびVilら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11337−11341(1992)(前記の参考文献はその全体が参考として援用される)を参照のこと。
上で考察されたように、ポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、または配列番号Yの改変体に対応するポリペプチドは、このポリペプチドのインビボ半減期を増大させるため、または当該分野で公知の方法を使用する免疫学的アッセイにおいて使用するために、上記の抗体部分に融合または結合され得る。さらに、配列番号Yに対応するポリペプチドを、上記の抗体部分に融合または結合して、精製を容易にし得る。1つの報告された例は、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載している(EP 394,827;Trauneckerら、Nature 331:84−86(1988))。ジスルフィド連結ニ量体構造(IgGに起因する)を有する抗体に融合または結合される、本発明のポリペプチドもまた、単量体分泌タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも、他の分子に結合しそして中和するのにさらに効率的であり得る(Fountoulakisら、J.Biochem.270:3958−3964(1995))。多くの場合、融合タンパク質のFc部分は、治療および診断において有益であり、従って、例えば、改良された薬物動態学的な特性を生じ得る(EP A 232,262)。あるいは、融合タンパク質が発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠失させることが望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫化のための抗原として使用される場合、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。例えば、薬物の発見において、hIL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合されてきた(Bennettら、J.Molecular Recognition 8:52−58(1995);Johansonら、J.Biol.Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこと)。
さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするペプチドのような、マーカー配列に融合され得る。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,91311)において提供されるタグ)であり、これらの多くのマーカーアミノ酸配列が市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合の良い精製を提供する。精製のために有用な別のペプチドタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Cell37:767(1984))、および「flag」タグを含むが、これに限定されない。
本発明は、診断剤または治療剤に結合される、抗体またはそのフラグメントをさらに含む。抗体は、例えば、臨床上の試験手順(例えば、所定の処置レジメン(regimen)の効力を決定するため)の一部として、腫瘍の発生または進行をモニターするために、診断的に使用され得る。検出は、抗体を検出可能な物質と連結させることによって容易にされ得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々の陽電子放射断層撮影を使用する陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イオン、が挙げられる。この検出可能な物質は、抗体(またはそのフラグメント)に対して、直接的または間接的のいずれかで、当該分野で公知の技術を使用する媒介物(例えば、当該分野で公知のリンカーなど)を介して、連結または結合され得る。例えば、本発明に従う診断薬としての使用のための抗体に結合され得る金属イオンに関しては、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子団複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;ならびに、適切な放射性物質の例としては、125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げられる。
さらに、抗体またはそのフラグメントは、治療用部分(例えば細胞毒(例えば細胞増殖抑制性もしくは細胞殺傷性の薬剤))、治療剤または放射性金属イオン(例えば、α−エミッタ−(例えば213Bi)など)に結合され得る。細胞毒または細胞毒性薬剤は、細胞に対して有害な任意の薬剤を含む。例としては、パクリタキセル(paclitaxol)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそのアナログまたはホモログ、が挙げられる。治療剤は、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン(5−fluorouracil decarbazine)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アンスラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアンスラマイシン(anthramycin)(AMC))、ならびに抗有糸***剤(例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン)、を含むが、それらに限定されない。
本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために使用され得、治療剤または薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定されると解釈されない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、a−インターフェロン、β−インターフェロン、神経発育因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲンアクチベーター、アポトーシス薬(例えば、TNF−α、TNF−β、AIM I(国際公開第WO97/33899号を参照のこと)、AIM II(国際公開第WO97/34911号を参照のこと)、Fasリガンド(Takahashiら、Int.Immunol.6:1567−1574(1994))、VEGI(国際公開第WO99/23105号を参照のこと))、血栓症薬もしくは抗脈管形成薬(例えば、アンジオスタチンもしくはエンドスタチン);または生物学的応答改変剤(例えばリンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子など)、が挙げられ得る。
抗体はまた、固体支持体に付着させられ得、この固体支持体は、標的抗原の免疫アッセイまたは精製に特に有用である。このような固体支持体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレン、が挙げられるがそれらに限定されない。
このような治療部分を抗体に結合する技術は周知であり、例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、243−56頁(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、623−53頁(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、475−506頁(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、303−16頁(Academic Press 1985)、およびThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」、Immunol.Rev.62:119−58(1982)を参照のこと。
あるいは、抗体は2次抗体に結合され、米国特許第4,676,980号(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)におけるSegalによる記載のような抗体の異種結合体(heteroconjugate)を形成し得る。
単独、あるいは細胞毒性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与される、抗体に結合する治療部分を有するかまたは有さない抗体が、治療薬として使用され得る。
(免疫表現型分類(immunophenotyping))
本発明の抗体は、細胞株および生物学的サンプルの免疫表現型分類のために利用され得る。本発明の遺伝子の翻訳生成物は、細胞特異的マーカーとして、あるいはより詳細には、特定の細胞型の分化および/または成熟の種々の段階で示差的に発現される細胞マーカーとして有用であり得る。特異的エピトープ、またはエピトープの組み合わせに対して指向されるモノクロナール抗体は、マーカーを発現する細胞集団のスクリーニングを可能とする。種々の技術が、マーカーを発現する細胞集団をスクリーニングするために、モノクロナール抗体を用いて利用され得、そしてその技術には、抗体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁気分離、固体マトリクス(すなわち、プレート)に付着した抗体を用いる「パンニング」、ならびにフローサイトメトリー(例えば、米国特許第5,985,660号;およびMorrisonら、Cell,96:737−49(1999)を参照のこと)が挙げられる。
これらの技術は、血液学的悪性腫瘍(すなわち、急性白血病患者における微小残存病変(minimal residual disease)(MRD))および移植片対宿主病(GVHD)を予防するための移植術における「非自己」細胞と共に見出され得るような、細胞の特定集団のスクリーニングを可能にする。あるいは、これらの技術は、ヒト臍帯血において見出され得るような増殖および/または分化を受け得る、造血幹細胞および前駆細胞のスクリーニングを可能にする。
(抗体結合アッセイ)
本発明の抗体は、免疫特異的結合について、当該分野で公知の任意の方法によってアッセイされ得る。使用され得る免疫アッセイは、競合的および非競合的アッセイ系を含むがこれに限定されない。このアッセイ系は以下のような技術を使用する、少し例を挙げると、ウェスタンブロット、放射性免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射分析アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイ。このようなアッセイは、当該分野で、慣習的および周知である(例えば、Ausubelら(編)、1994、Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、John Wiley&Sons Inc.,New Yorkを参照のこと。これはその全体が本明細書中で参考として援用される)。典型的な免疫アッセイは、以下に簡単に記載される(しかし限定として意図されない)。
免疫沈降プロトコルは、一般に、RIPA緩衝液(1%NP−40またはTriton X−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1%Trasylol)のような、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼインヒビター(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジウム酸ナトリウム)を補充した溶解緩衝液中で、細胞の集団を溶解する工程、目的の抗体を細胞溶解物に添加する工程、4℃である時間(例えば1〜4時間)インキュベートする工程、プロテインAおよび/またはプロテインGのセファロースビーズを細胞溶解物に添加する工程、約1時間以上、4℃でインキュベートする工程、ビーズを溶解緩衝液で洗浄する工程およびビーズをSDS/サンプル緩衝液中に再懸濁する工程、を包含する。目的の抗体が特定の抗原を免疫沈降する能力は、例えば、ウェスタンブロット分析によって評価され得る。当業者は、抗原に対する抗体の結合を増加し、そしてバックグラウンドを減少する(例えば、セファロースビーズとともに細胞溶解物を予め洗浄する)ように改変され得るパラメータに関して、よく知っている。免役沈降プロトコルに関するさらなる考察については、Ausubelら(編)、1994、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons,Inc.,New York(10.16.1)を参照のこと。
ウェスタンブロット分析は一般的に、タンパク質サンプルを調製する工程、タンパク質サンプルのポリアクリルアミドゲルでの電気泳動(例えば抗原の分子量によって8%〜20%のSDS−PAGE)、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲルからメンブレン(例えばニトロセルロース、PVDFまたはナイロン)ヘ移す工程、ブロッキング溶液(例えば、3%のBSAまたは無脂肪ミルクを含むPBS)中でメンブレンをブロッキングする工程、メンブレンを洗浄緩衝液(例えば、PBS−Tween20)中で洗浄する工程、ブロッキング緩衝液で希釈された1次抗体(目的の抗体)を用いてメンブレンをブロッキングする工程、洗浄緩衝液中でメンブレンを洗浄する工程、ブロッキング緩衝液で希釈された、酵素基質(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例えば32Pまたは125I)に結合した2次抗体(これは1次抗体(例えば抗ヒト抗体)を認識する)でメンブレンをブロッキングする工程、洗浄緩衝液中でメンブレンを洗浄する工程、および抗原の存在を検出する工程、を包含する。当業者は、検出されるシグナルを増加し、そしてバックグランドノイズを減少するように改変され得るパラメータをよく知っている。ウェスタンブロットプロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら(編)、1994、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons,Inc.、New York(10.8.1)を参照のこと。
ELISAは、抗原を調製する工程、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルをその抗原でコーティングする工程、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスフォターゼ)のような検出可能な化合物に結合した目的の抗体をそのウェルに添加し、そして一定時間インキュベートする工程、および抗原の存在を検出する工程を含む。ELISAにおいて、目的の抗体は、検出可能な化合物に結合している必要はない;その代わり、検出可能な化合物に結合した第二の抗体(目的の抗体を認識する)がウェルに添加され得る。さらに、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体がウェルにコーティングされ得る。この場合、検出可能な化合物に結合した第二の抗体が、コーティングされたウェルへの目的の抗原の添加に続いて、添加され得る。当業者は、検出されるシグナルを増加させるように改変され得るパラメータ、および当該分野において公知のELISAの他のバリエーションに関して、認め得る。ELISAに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編,1994,Current Protocols in Molecular Biology,第1巻、John Wiley & Sons,Inc.,New York,11.2.1を参照のこと。
抗体の抗原に対する結合親和性および抗体−抗原相互作用のオフレート(off−rate)が、競合結合アッセイにより決定され得る。競合結合アッセイの一つの例は、ラジオイムノアッセイであり、ラジオイムノアッセイは、標識した抗原(例えば、3Hまたは125I)と、漸増量の非標識抗原の存在下での目的の抗体とのインキュベーション、および標識した抗原に結合した抗体の検出を含む。目的の抗体の、特定の抗原に対する親和性、および結合オフレートは、スキャッチャードプロット分析によるデータから決定され得る。第二の抗体との競合はまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定され得る。この場合、抗原は、漸増量の非標識第二抗体の存在下で、標識した化合物(例えば、3Hまたは125I)に結合した目的の抗体とともにインキュベートされる。
(治療用途)
本発明はさらに、抗体を基礎とした治療に関し、この治療は、本発明の抗体を、1つ以上の開示された疾患、障害、または状態を処置するために、動物、好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトの患者に投与する工程を含む。本発明の治療化合物としては、本発明の抗体(本明細書中に記載するような、それらのフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)ならびに本発明の抗体をコードする核酸(本明細書中に記載するような、それらのフラグメント、アナログおよび誘導体ならびに抗イディオタイプ抗体を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の抗体は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾患、障害または状態(本明細書中に記載する任意の1つ以上の疾患、障害、または状態を含むがこれらに限定されない)を処置、阻害または予防するために使用され得る。本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾患、障害または状態の処置および/または予防は、それらの疾患、障害または状態に関連した症状を緩和する工程を含むがこれに限定されない。本発明の抗体は、当該分野で公知であるか、または本明細書中に記載されるように、薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。
本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の1つの要約は、身体内で局所的にまたは全身的に、あるいは(例えば、補体(CDC)により、またはエフェクター細胞(ADCC)により媒介されるような)抗体の直接的細胞傷害性により、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを結合させることを含む。これらのアプローチのいくつかは、より詳細に以下に記載される。本明細書中で提供される教示を与えられれば、当業者は、過度の実験なしに、診断上の目的、モニタリングの目的あるいは治療上の目的のために、本発明の抗体を使用する方法がわかる。
本発明の抗体は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活性を増加させるために役立つ、他のモノクローナル抗体またはキメラ抗体、あるいはリンホカインまたは造血増殖因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL−7など)と組み合わせて有利に利用され得る。
本発明の抗体は、単独で、または他の型の処置(例えば、放射線療法、化学療法、ホルモン治療、免疫治療および抗腫瘍剤)との組み合わせで投与され得る。一般的に、(抗体の場合には)患者の種と同じ種である種起源または種反応性の生成物の投与が好ましい。従って、好ましい実施形態においては、ヒトの抗体、フラグメント誘導体、アナログ、または核酸が、治療または予防のために、ヒトの患者に投与される。
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメントを含む)に関するイムノアッセイ、およびそれらに関連した障害の治療の両方のために、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する、高親和性および/または強力な、インビボでの阻害抗体および/または中和抗体、それらのフラグメント、またはその領域を使用することが好ましい。このような抗体、フラグメント、または領域は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらのフラグメントを含む)に対して親和性を有する。好ましい結合親和性としては、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10-15Mより小さい解離定数すなわちKdを有する結合親和性が挙げられる。
(遺伝子治療)
特定の実施形態において、抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含む核酸は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾患または障害を処置、阻害または予防するために、遺伝子治療の目的で投与される。遺伝子治療とは、発現したか、または発現可能な核酸の、被験体への投与により行われる治療をいう。本発明のこの実施形態において、核酸は、それらのコードされたタンパク質を産生し、そのタンパク質は治療効果を媒介する。
当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法は、本発明に従って使用され得る。例示的な方法が以下に記載される。
遺伝子治療の方法の一般的な概説については、Goldspielら,Clinical Pharmacy 12:488−505(1993);WuおよびWu,Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596(1993);Mulligan,Science 260:926−932(1993);ならびにMorganおよびAnderson,Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1993);May,TIBTECH 11(5):155−215(1993)を参照のこと。使用され得る、組換えDNA技術分野において一般的に公知である方法は、Ausubelら(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);およびKriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990)に記載される。
好ましい局面において、化合物は抗体をコードする核酸配列を含有し、上記核酸配列は、適切な宿主において、抗体、またはそのフラグメントもしくはキメラタンパク質、あるいはその重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部である。特に、このような核酸配列は、抗体コード領域に作動可能に連結したプロモーターを有し、上記プロモーターは誘導性であるかまたは構成性であり、そして必要に応じて組織特異的である。別の特定の実施形態においては、抗体をコードする配列および任意の他の所望の配列がゲノム中の所望の部位での相同組換えを促進する領域に隣接した核酸分子が使用され、それにより抗体をコードする核酸の染色体内の発現を提供する(KollerおよびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989);Zijlstraら,Nature 342:435−438(1989))。特定の実施形態において、発現した抗体分子は単鎖抗体であるか;あるいはこの核酸配列は、この抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする配列またはそのフラグメントを含む。
核酸の患者への送達は、直接的(この場合、患者は核酸または核酸保有ベクターに直接的に曝される)か、または間接的(この場合、細胞は最初にインビトロで核酸で形質転換され、次いで患者に移植される)のいずれかであり得る。これらの2つのアプローチは、インビボ遺伝子治療として、またはエキソビボ遺伝子治療としてそれぞれ公知である。
特定の実施形態において、核酸配列はインビボで直接的に投与され、そこで核酸配列は発現されて、コードされた産物を産生する。これは、当該分野で公知の多数の方法などのいずれかにより(例えば、それらを適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、そしてそれを細胞内になるように投与することにより(例えば、欠損性または弱毒化したレトロウイルスまたは他のウイルスベクター(米国特許第4,980,286号を参照のこと)を用いた感染により)、あるいは、裸のDNAの直接注射により、あるいは、微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic、Dupont)の使用により、あるいは脂質もしくは細胞表面のレセプターでコーティングするか、または薬剤をトランスフェクトすることにより、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル中へのカプセル化により、あるいは、それらを核に進入することが公知であるペプチドと結合させて投与することにより、レセプター媒介のエンドサイトーシスを受けるリガンドとそれを結合させて投与することにより(例えば、WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)(レセプターを特異的に発現する細胞型を標的にするために用いられ得る)達成され得る。別の実施形態において、核酸−リガンド複合体が形成され得、ここで、このリガンドはエンドソームを破壊するフソジェニック(fusogenic)ウイルス性ペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避するようにする。さらに別の実施形態において、核酸は、特異的なレセプターを標的とすることにより、細胞特異的な取り込みおよび発現についてインビボで標的とされ得る(例えば、PCT公開第WO92/06180号;同第WO92/22635号;同第WO92/20316号;同第WO93/14188号、同第WO93/20221号を参照のこと)。あるいは、核酸は、細胞内に導入され得、そして相同組換えにより、発現のために宿主細胞DNA中に組み込まれ得る(KollerおよびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989);Zijlstraら,Nature 342:435−438(1989))。
特定の実施形態において、本発明の抗体をコードする核酸配列を含むウイルスベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが用いられ得る(Millerら,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)を参照のこと)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルス性ゲノムの正確なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの正確な組込みのために必要な構成要素を含む。遺伝子治療において使用される抗体をコードする核酸配列は、一つ以上のベクター中にクローン化され、これは、患者内への遺伝子の送達を容易にする。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、Boesenら,Biotherapy 6:291−302(1994)(これは、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、mdrI遺伝子を造血性幹細胞に送達するための、レトロウイルスベクターの使用を記載する)に見出され得る。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、以下である。:Clowesら,J.Clin.Invest.93:644−651(1994);Kiemら,Blood 83:1467−1473(1994);SalmonsおよびGunzberg,Human Gene Therapy 4:129−141(1993);ならびにGrossmanおよびWilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114(1993)。
アデノウイルスは、遺伝子治療において使用され得る他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、特に、気道上皮へ遺伝子を送達するための魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、自然に気道上皮に感染し、そこで軽い疾患を起こす。アデノウイルスに基づく送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非***細胞に感染し得るという利点を有する。KozarskyおよびWilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503(1993)は、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の概説を示す。Boutら,Human Gene Therapy 5:3−10(1994)は、アカゲザルの気道上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeldら,Science 252:431−434(1991);Rosenfeldら,Cell 68:143−155(1992);Mastrangeliら,J.Clin.Invest.91:225−234(1993);PCT公開第WO94/12649号;およびWangら,Gene Therapy 2:775−783(1995)に見出され得る。好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。
アデノ随伴ウイルス(AAV)はまた、遺伝子治療における使用について提案されてきた(Walshら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300(1993);米国特許第5,436,146号)。
遺伝子治療への別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染のような方法により、組織培養中の細胞へ遺伝子を移入する工程を含む。通常、移入の方法は、選択マーカーの細胞への移入を含む。次いで、細胞は、移入された遺伝子を取り込みそして発現している細胞を単離するために選沢下に置かれる。それらの細胞は次いで、患者に送達される。
この実施形態においては、得られた組換え細胞のインビボ投与の前に、核酸が細胞に導入される。このような導入は、当該分野において公知の任意の方法により実施され得、それらの方法としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含むウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターでの感染、細胞融合、染色体媒介の遺伝子移入、マイクロセル(microcell)媒介の遺伝子移入、スフェロプラスト融合など。外来遺伝子の細胞への導入については、当該分野において多数の技術が公知であり(例えば、LoefflerおよびBehr,Meth.Enzymol.217:599−618(1993);Cohenら,Meth.Enzymol.217:618−644(1993);Cline,Pharmac.Ther.29:69−92m(1985)を参照のこと)、そしてレシピエント細胞の必要な発生的および生理学的機能が破壊されない場合、本発明に従って使用され得る。この技術は、核酸の細胞への安定した移入を提供するはずであり、その結果、核酸は、細胞により発現可能であり、そして好ましくは、遺伝性であり、そしてその細胞の子孫により発現可能である。
得られた組換え細胞は、当該分野において公知の様々な方法により、患者へ送達され得る。組換え血球(例えば、造血幹細胞または造血前駆細胞)は、好ましくは、静脈内に投与される。使用が考えられる細胞の量は、所望の効果、患者の状態などに依存し、そして当業者により決定され得る。
遺伝子治療の目的のために核酸が導入され得る細胞は、任意の所望の入手可能な細胞型を包含し、そして以下を含むがそれらに限定されない:上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球のような血球;種々の幹細胞または前駆細胞、特に、造血幹細胞または造血前駆細胞(例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児の肝臓などから得られるような細胞)。
好ましい実施形態において、遺伝子治療に使用される細胞は、患者に対して自己である。
遺伝子治療において組換え細胞が使用される実施形態において、抗体をコードする核酸配列は、細胞またはそれらの子孫により核酸配列が発現可能であるように細胞に導入され、次いで組換え細胞は、治療的効果のためにインビボで投与される。特定の実施形態において、幹細胞または前駆細胞が用いられる。インビトロで単離され得、そしてインビトロで保存され得る任意の幹細胞および/または前駆細胞は、本発明のこの実施形態に従って潜在的に使用され得る(例えば、PCT公開第WO94/08598号:StempleおよびAnderson,Cell 71:973−985(1992);Rheinwald,Meth.Cell Bio.21A:229(1980);ならびにPittelkowおよびScott,Mayo Clinic Proc.61:771(1986)を参照のこと)。
特定の実施形態において、遺伝子治療の目的で導入される核酸は、コード領域に作動可能に連結された誘導性プロモーターを含有し、その結果、核酸の発現は、適切な転写誘導因子の存在または非存在を制御することにより制御可能である。
(治療活性または予防活性の実証)
本発明の化合物または薬学的組成物は、好ましくは、ヒトでの使用の前にインビトロで、次いでインビボで、所望の治療活性または予防活性について試験される。例えば、化合物または薬学的組成物の治療有用性または予防有用性を実証するためのインビトロアッセイとしては、細胞株または患者組織サンプルに対する化合物の効果が挙げられる。細胞株および/または組織サンプルに対する化合物または組成物の効果は、当業者に公知である技術(ロゼット形成アッセイおよび細胞溶解アッセイが挙げられるがこれらに限定されない)を利用して決定され得る。本発明に従って、特定の化合物の投与が示されるかどうかを決定するために用いられ得るインビトロアッセイとしては、インビトロ細胞培養アッセイが挙げられ、このアッセイでは、患者組織サンプルが培養において増殖され、そして化合物に曝されるか、そうでなければ化合物が投与され、そして、組織サンプルに対するそのような化合物の効果が観察される。
(治療的/予防的な投与および組成物)
本発明は、被験体への有効量の本発明の化合物または薬学的組成物、好ましくは本発明の抗体の投与による処置、阻害および予防の方法を提供する。好ましい局面において、化合物は実質的に精製される(例えば、その効果を制限するかまたは望ましくない副作用を生じる物質は実質的にない)。被験体は好ましくは、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物が挙げられるがそれらに限定されない動物であり、そして好ましくは哺乳動物であり、そして最も好ましくはヒトである。
化合物が核酸または免疫グロブリンを含む場合に使用され得る処方物および投与方法は、上記に記載され;さらなる適切な処方物および投与経路は、本明細書中で以下に記載されたものの中から選択され得る。
種々の送達系が公知であり、そして本発明の化合物を投与するために用いられ得る(例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル中でのカプセル化、この化合物の発現が可能な組み換え細胞、レセプター媒介エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築など)。導入方法としては、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられるがそれらに限定されない。化合物または組成物は、任意の好都合な経路により(例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を通しての吸収により)投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。投与は、全身的または局所的であり得る。さらに、本発明の薬学的化合物または組成物を、任意の適切な経路(脳室内注射および鞘内注射を包含する;脳室内注射は、例えば、Ommayaリザーバのようなリザーバに取り付けられた脳室内カテーテルにより容易にされ得る)により中枢神経系に導入することが望まれ得る。例えば、吸入器または噴霧器の使用、およびエアゾール化剤を用いた処方により、肺投与もまた使用され得る。
特定の実施形態において、本発明の薬学的化合物または組成物を、処置の必要な領域に局所的に投与することが望まれ得る;これは、制限する目的ではないが、例えば、手術中の局部注入、局所適用(例えば、手術後の創傷包帯との組み合わせて)により、注射により、カテーテルにより、坐剤により、またはインプラント(このインプラントは、シアラスティック(sialastic)膜のような膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン様材料である)により達成され得る。好ましくは、抗体を含む本発明のタンパク質を投与する場合、タンパク質が吸収されない材料を使用するために注意が払われなければならない。
別の実施形態において、化合物または組成物は、小胞、特に、リポソーム中へ送達され得る(Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−BeresteinおよびFidler(編),Liss,New York,353〜365頁(1989);Lopez−Berestein,同書317〜327頁を参照のこと;広く同書を参照のこと)。
さらに別の実施形態において、化合物または組成物は制御された放出システム中で送達され得る。1つの実施形態において、ポンプが用いられ得る(Langer,(前出);Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery 88:507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。別の実施形態において、高分子材料が用いられ得る(Medical Applications of Controlled Release,LangerおよびWise(編),CRC Pres.,Boca Raton,Florida(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,SmolenおよびBall(編),Wiley,New York(1984);RangerおよびPeppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)を参照のこと;Levyら,Science 228:190(1985);Duringら,Ann.Neurol.25:351(1989);Howardら,J.Neurosurg.71:105(1989)もまた参照のこと)。さらに別の実施形態において、制御された放出システムは、治療標的、即ち、脳の近くに置かれ得、従って、全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,(前出),第2巻,115〜138頁(1984)を参照のこと)。
他の制御された放出システムは、Langerにより総説において議論される(Science 249:1527−1533(1990))。
本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である、具体的な実施形態において、その核酸は、それを適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、そしてそれが細胞内になるように投与することにより(例えば、レトロウイルスベクターの使用により(米国特許第4,980,286号を参照のこと)、または直接注射により、または微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic,Dupont)の使用により、または脂質もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクト剤でコーティングすることにより、または核に入ることが公知であるホメオボックス様ペプチドと結合させて投与すること(例えば、Joliotら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1864−1868(1991)を参照のこと)などにより、そのコードされたタンパク質の発現を促進するようにインビボで投与され得る。あるいは、核酸は、細胞内に導入され得、そして、発現のために相同組換えにより宿主細胞DNA内に組み込まれ得る。
本発明はまた、薬学的組成物を提供する。このような組成物は、治療有効量の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。具体的な実施形態において、用語「薬学的に受容可能な」とは、動物における、そしてさらに特にヒトにおける使用のために、連邦規制当局もしくは米国政府により認められたか、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に列挙されたことを意味する。用語「キャリア」とは、治療剤とともに投与される、希釈剤、アジュバンド、賦形剤、またはビヒクルをいう。このような薬学的なキャリアは、水および油(石油起源、動物起源、植物起源、または合成起源の油(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)を含む)のような滅菌した液体であり得る。水は、薬学的組成物が静脈内に投与される場合に、好ましいキャリアである。生理食塩水溶液、ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液はまた、特に注射可能な溶液のために、液体キャリアとして使用され得る。適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、フラワー、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物はまた、所望されるならば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含み得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出処方物などの形態を取り得る。この組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドのようなキャリアとともに、坐剤として処方され得る。経口処方物は、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準キャリアを含み得る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載される。このような組成物は、治療有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、適切な量のキャリアとともに含んで、患者への適切な投与のための形態を提供する。処方物は、投与形態に適するべきである。
好ましい実施形態において、組成物は、慣用手順に従って、ヒトへの静脈内投与のために採用された薬学的組成物として、処方される。代表的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液の溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化剤および注射の部位での痛みを緩和するリグノカインのような局部麻酔を含み得る。一般的には、成分は、別々にかまたは単一投薬形態で一緒に混合してのどちらかで、例えば、一定量の活性薬剤を示すアンプルまたは小袋(sachette)のような密封された容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給される。組成物が注入により投与されるべき場合には、組成物は、滅菌した薬学的等級の水または生理食塩水を含む注入ボトルに分配され得る。組成物が注射により投与される場合、成分が投与の前に混合され得るように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
本発明の化合物は、中性のまたは塩の形態として処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもののようなアニオンとともに形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもののようなカチオンとともに形成される塩が挙げられる。
この処置(本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性と関連する疾患または障害の抑制および予防)において効果的である本発明の化合物の量は、標準的な臨床技術により決定され得る。さらに、インビトロアッセイは、必要に応じて、使用して最適な投薬量の範囲を同定するのを助け得る。処方において使用されるべき正確な用量はまた、投与の経路、および疾患または障害の重篤さに依存し、そして開業医の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から外插され得る。
抗体に関して、患者に投与される投薬量は、代表的に、患者の体重1kgあたり0.1mg〜100mgである。好ましくは、患者に投与される投薬量は、患者の体重1kgあたり0.1mgと20mgとの間であり、より好ましくは、患者の体重1kgあたり1mg〜10mgである。一般に、ヒト抗体は、外来ポリペプチドへの免疫応答に起因して、他種由来の抗体よりもヒト体内で長い半減期を有する。従って、ヒト抗体の低い投薬量および頻度の低い投与は、しばしば可能である。さらに、本発明の抗体の投与の投薬量および頻度は、改変(例えば、脂溶化(lipidation)のような)による抗体の取り込みおよび組織浸透(例えば、脳への)を増強することにより減少され得る。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物の一つ以上の成分で満たされている一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。薬学的製品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制している政府機関により規定される形式における通告は、このような容器に、必要に応じて伴ない得る。この通告は、ヒトの投与のための製造、使用または販売のこの機関による認可を反映する。
(診断および画像化)
目的のポリペプチドに特異的に結合する標識化抗体、ならびにその誘導体およびそのアナログは、診断目的のために使用されて、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連する疾患、障害および/または状態を検出、診断またはモニターし得る。本発明は、目的のポリペプチドの異常な発現の検出を提供し、これは、(a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を使用して、個体の細胞または体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする工程、および(b)この遺伝子発現レベルと標準的な遺伝子発現のレベルを比較する工程、を包含し、これによって、その標準的な発現レベルと比較されるアッセイされたポリペプチド遺伝子発現レベルの増加または減少が、異常な発現を示す。
本発明は、障害を診断するための診断アッセイを提供し、このアッセイは、(a)目的のポリペプチドに特異的な1つ以上の抗体を使用して、個体の細胞または体液中の目的のポリペプチドの発現をアッセイする工程、および(b)この遺伝子発現レベルと標準的な遺伝子発現のレベルを比較する工程、を包含し、これによって、その標準的な発現レベルと比較されるアッセイされたポリペプチド遺伝子発現レベルの増加または減少が、特定の障害を示す。癌に関して、個体由来の生検組織における比較的高い量の転写物の存在は、疾患の発生についての素因を示し得るか、または実際の臨床症状の出現前に疾患を検出するための手段を提供し得る。この型のより決定的な診断は、保健専門家に予防手段を使用させること、またはより早期の積極的な処置を可能にし得、これにより、癌の発生またはさらなる進行を予防する。
本発明の抗体を使用して、当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を使用して生物学的サンプル中のタンパク質レベルをアッセイに使用し得る(例えば、Jalkanenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987)を参照のこと)。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な、抗体に基づく他の方法としては、イムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA))が挙げられる。適切な抗体アッセイ標識は、当該分野において公知であり、そして酵素標識(例えば、グルコースオキシダーゼ);放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99Tc));発光標識(例えば、ルミノール);ならびに蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、ならびにビオチンが挙げられる。
本発明の1つの局面は、動物、好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトにおける、目的のポリペプチドの異常な発現と関連する疾患または障害の検出および診断である。1つの実施形態において、診断は、a)目的のポリペプチドに特異的に結合する有効量の標識化分子を被験体に(例えば、非経口的に、皮下に、または腹腔内に)投与する工程;b)このポリペプチドが発現する被験体内の部位でこの標識化分子が優先的に濃縮することを可能にするために(および結合していない標識化分子がバックグラウンドレベルまで除去されるために)投与後、時間間隔を待つ工程;c)バックグラウンドレベルを決定する工程;およびd)この被験体中の標識化分子を検出する工程、を包含し、その結果、このバックグラウンドレベルを越える標識化分子の検出は、この被験体が目的のポリペプチドの異常な発現と関連する特定の疾患または障害を有することを示す。バックグラウンドレベルは、特定の系について以前に決定された標準的な値と、検出された標識化分子の量を比較する工程を包含する種々の方法により決定され得る。
被験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を生成するために必要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部分の場合には、ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、約5〜20ミリキュリーの99mTcの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フラグメントは、特定のタンパク質を含む細胞の位置に優先的に蓄積される。インビボ腫瘍画像化は、S.W.Burchielら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments」(Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancerの第13章、S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes編、Masson Publishing Inc.(1982)に記載される。
用いられる標識の型および投与の様式を含む、いくつかの可変要素に依存して、標識された分子が被験体の部位に優先的に濃縮し、そして結合されていない標識された分子がバックグラウンドレベルまで一掃されることを可能にする、投与後の時間間隔は、6〜48時間または6〜24時間または6〜12時間である。別の実施形態においては、投与後の時間間隔は、5〜20日間または5〜10日間である。
1つの実施形態においては、疾患または障害のモニタリングは、その疾患または障害を診断するための方法を繰り返すこと(例えば、最初の診断後1ヶ月、最初の診断後6ヶ月、最初の診断後1年など)により行われる。
標識された分子の存在は、インビボ走査について当該分野において公知の方法を用いて、患者から検出され得る。これらの方法は、用いられる標識の型に依存する。当業者は、特定の標識を検出するための適切な方法を決定し得る。本発明の診断方法において用いられ得る方法およびデバイスとしては、限定はされないが、コンピューター断層撮影(CT)、陽子(position)射出断層撮影法(PET)のような全身走査、磁気共鳴画像法(MRI)、および超音波検査法が挙げられる。
特定の実施形態においては、この分子は放射性同位体で標識され、そして放射線応答性の外科用機器を用いて患者から検出される(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)。別の実施形態においては、この分子は蛍光化合物で標識され、そして蛍光応答性の走査機器を用いて患者から検出される。別の実施形態においては、この分子は陽電子射出金属で標識され、そして陽子射出断層撮影法を用いて患者(patent)から検出される。さらに別の実施形態においては、この分子は常磁性標識で標識され、そして磁気共鳴画像法(MRI)を用いて患者から検出される。
(キット)
本発明は、上記の方法において使用され得るキットを提供する。1つの実施形態において、キットは、1つ以上の容器において、本発明の抗体、好ましくは精製した抗体を備える。特定の実施形態において、本発明のキットは、エピトープを含む実質的に単離されたポリペプチドを備える。このエピトープは、キット中に含まれる抗体と特異的に免疫反応する。好ましくは、本発明のキットは、目的のポリペプチドと反応しないコントロール抗体をさらに備える。別の特定の実施形態において、本発明のキットは、目的のポリペプチドへの抗体の結合を検出するための手段を備える(例えば、この抗体は、検出可能な基質(例えば、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物)に結合体化され得るか、または一次抗体を認識する二次抗体が、検出可能な基質と結合体化され得る)。
本発明の別の特定の実施形態において、キットは、増殖性および/または癌性のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに対して特異的な抗体を含む血清のスクリーニングに使用するための診断キットである。このようなキットは、目的のポリペプチドと反応しないコントロール抗体を備え得る。このようなキットは、エピトープを含む実質的に単離されたポリペプチド抗原を備え得る。このエピトープは、少なくとも1つの抗ポリペプチド抗原抗体と特異的に免疫反応する。さらに、このようなキットは、抗原に対する上記の抗体の結合を検出するための手段を備える(例えば、抗体は、蛍光化合物(例えば、フローサイトメトリーにより検出され得るフルオレセインまはたローダミン)と結合体化され得る)。特定の実施形態において、キットは、組換え的に産生されたポリペプチド抗原または化学的に合成されたポリペプチド抗原を備え得る。キットのポリペプチド抗原はまた、固体支持体に付着され得る。
より特定の実施形態において、上記のキットの検出手段は、上記のポリペプチド抗原が付着する固体支持体を備える。このようなキットはまた、非付着レポーター標識化抗ヒト抗体を備え得る。この実施形態において、ポリペプチド抗原への抗体の結合は、上記のレポーター標識化抗体の結合によって検出され得る。
さらなる実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドの抗原を含む血清のスクリーニングにおいて使用するための、診断キットを含む。この診断キットは、ポリペプチド抗原またはポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応する実質的に単離された抗体、およびこの抗体へのこのポリヌクレオチド抗原またはポリペプチド抗原の結合を検出するための手段を備える。1つの実施形態において、抗体は、固体支持体に付着される。特定の実施形態において、抗体は、モノクロナール抗体であり得る。キットのこの検出手段は、二次標識化モノクロナール抗体を含み得る。あるいは、またはさらに、この検出手段は、標識化競合抗原を含み得る。
1つの診断構成において、試験血清を、本発明の方法により得られる表面結合抗原を有する固相試薬と反応させる。特定の抗原抗体とこの試薬との結合、および洗浄することによる結合していない血清成分の除去の後、この試薬をレポーター標識化抗ヒト抗体と反応させて、固体支持体上に、結合した抗抗原抗体の量に比例して、この試薬にレポーターを結合させる。この試薬を再び洗浄して、結合していない標識化抗体を除去し、そしてこの試薬と会合するレポーターの量を決定する。代表的に、レポーターは、酵素であり、この酵素は、適切な蛍光性基質、発光性基質または比色用基質(Sigma,St.Louis,MO)の存在下で固相をインキュベートすることにより検出される。
上記アッセイにおいて、固体表面試薬は、固体支持体物質(例えば、ポリマービーズ、ディップスティック、96ウェルプレートまたは濾過材料)へタンパク質物質を付着することについての公知の技術によって調製される。これらの付着法は、一般に、支持体へのタンパク質の非特異的吸着またはタンパク質の共有結合性の付着(代表的に、固体支持体上の化学的反応基に対して遊離のアミン基(例えば、活性化カルボキシル基、ヒドロキシル基、もしくはアルデヒド基)による)を包含する。あるいは、ストレプトアビジンコートプレートが、ビオチン化抗原と組み合わせて使用され得る。
従って、本発明は、この診断方法を実施するためのアッセイ系またはキットを提供する。このキットは、一般に、表面に結合した組換え抗原を有する支持体、および表面に結合した抗抗原抗体を検出するためのレポーター標識化抗ヒト抗体を含む。
(融合タンパク質)
本発明の任意のポリペプチドは、融合タンパク質を産生するために使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、第2のタンパク質と融合される場合、抗原性タグとして使用され得る。本発明のポリペプチドに対して惹起される抗体は、ポリペプチドに結合することによって、第2のタンパク質を間接的に検出するために使用され得る。さらに、分泌されるタンパク質は、細胞位置を輸送シグナルに基づいて標的化するので、本発明のポリペプチドは、他のタンパク質に一旦融合されると標的化分子として使用され得る。
本発明のポリペプチドと融合され得るドメインの例は、異種シグナル配列のみならず、他の異種機能性領域をも含む。融合は、必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列を介して起こり得る。
さらに、融合タンパク質はまた、本発明のポリペプチドの特徴を改良するために操作され得る。例えば、さらなるアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域が、宿主細胞からの精製または続く取り扱いおよび貯蔵の間の安定性および持続性を改良するためにポリペプチドのN末端へ付加され得る。また、ペプチド部分は精製を容易にするためにポリペプチドへ付加され得る。このような領域は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。ポリペプチドの取り扱いを容易にするためのペプチド部分の付加は、当該分野でよく知られる慣用の技術である。
さらに、本発明のポリペプチド(フラグメント、そして特にエピトープを含む)は、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、およびそれらの任意の組み合わせ(ドメイン全体およびそれらの部分の両方を含む))の一部と組み合わせられ、キメラポリペプチドを生じ得る。これらの融合タンパク質は精製を容易にし、そしてインビボにおける増大した半減期を示す。1つの報告された例は、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載している(EP A 394,827; Trauneckerら、Nature 331: 84−86(1988))。ジスルフィド連結二量体構造(IgGに起因する)を有する融合タンパク質もまた、モノマー分泌タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも、他の分子に結合しそして中和するのにさらに効率的であり得る(Fountoulakisら、J.Biochem.270:3958−3964(1995))。これらの融合タンパク質をコードする核酸を含むか、あるいはこのような核酸から構成されるポリヌクレオチドもまた本発明によって包含される。
同様に、EP−A−O 464 533(カナダ国対応特許第2045869号)は、別のヒトタンパク質またはその部分とともに免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質のFc部分は、治療および診断において有益であり、従って、例えば、改良された薬物動態学的な特性を生じ得る(EP−A 0232 262)。あるいは、融合タンパク質が発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠失させることが望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫化のための抗原として使用される場合、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。例えば、薬物の発見において、hIL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高処理能力スクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合されてきた(D.Bennettら、J.Molecular Recognition 8:52−58(1995);K.Johansonら、J.Biol.Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこと)。
さらに、本発明のポリペプチドはマーカー配列(例えば、融合されたポリペプチドの精製を容易にするペプチド)に融合され得る。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,91311)において提供されるタグ)であり、これらの多くのマーカーアミノ酸配列が市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合の良い精製を提供する。精製のために有用な別のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する(Wilsonら、Cell 37:767(1984))。
従って、任意のこれら上記の融合物は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して操作され得る。
(ベクター、宿主細胞、およびタンパク質産生)
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞、および組換え技術によるポリペプチドの産生に関連する。例えば、ベクターは、ファージベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターは、複製コンピテント、または複製欠損であり得る。後者の場合、一般的にウイルス増殖は、補完性(complementing)宿主細胞にのみ生じる。
ポリヌクレオチドは、宿主における増殖のために選択マーカーを含むベクターに連結され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈澱物のような沈澱物、または荷電脂質との複合体において導入される。ベクターがウイルスである場合、ウィルスベクターは、適切なパッケージング細胞株を使用してインビトロでパッケージングされ、次いで宿主細胞に形質導入され得る。
ポリヌクレオチド挿入物は、適切なプロモーター(いくつか挙げれば、例えば、ファージλPLプロモーター、E.coli lacプロモーター、trpプロモーター、phoAプロモーターおよびtacプロモーター、SV40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLTRのプロモーター)に作動可能に連結されるべきである。他の適切なプロモーターは当業者に公知である。発現構築物はさらに、転写開始、転写終結のための部位、および転写領域において、翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築物によって発現される転写物のコード部分は、好ましくは、始めに翻訳開始コドン、および翻訳されるためのポリペプチドの末端に適切に位置される終結コドン(UAA、UGAまたはUAG)を含む。
示されるように、発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含む。このようなマーカーは、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクターゼ、G418、またはネオマイシン耐性遺伝子、ならびにE.coliおよび他の細菌において培養するためのテトラサイクリン、カナマイシンまたはアンピシリン耐性遺伝子を含む。適切な宿主の代表的な例は、細菌細胞(例えば、E.coli、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞);酵母細胞のような真菌細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCC受託番号201178));Drosophilia S2およびSpodoptera Sf9細胞のような昆虫細胞;CHO細胞、COS細胞、293細胞、およびBowesメラノーマ細胞のような動物細胞;ならびに植物細胞を含むが、これらに限定されない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は、当該分野で公知である。
細菌における使用のために好ましいベクターの中には、pQE70、pQE60およびpQE−9(QIAGEN,Inc.から入手可能);pBluescriptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene Cloning Systems,Inc.から入手可能);およびptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia Biotech,Inc.から入手可能)を含む。好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG(Stratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。酵母菌系における使用のための好ましい発現ベクターは、pYES2、pYD1、pTEF1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZalph、pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K、pPIC9K、およびPAO815(すべてInvitrogen,Carlbad,CAから入手可能)を含むが、これらに限定されない。他の適切なベクターは当業者に容易に明らかである。
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、または他の方法によってもたらされ得る。このような方法は、Davisら、Basic Methods In Molecular Biology (1986)のような多くの標準的研究室マニュアルに記載される。本発明のポリペプチドは、実際、組換えベクターを欠損する宿主細胞によって発現され得ることが特に意図される。
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され得、そして精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために使用される。
本発明のポリペプチド、および好ましくは分泌形態はまた、以下から回収され得る:直接単離されるかまたは培養されるかにかかわらず、体液、組織および細胞を含む天然の供給源から精製された産物;化学的合成手順の産物;ならびに、例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む、原核生物宿主または真核生物宿主から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順に使用される宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもまたはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドもまた、宿主媒介プロセスの結果として、いくつかの場合において、最初の改変されたメチオニン残基を含み得る。従って、一般に、翻訳開始コドンによってコードされるN末端メチオニンが、すべての真核生物細胞における翻訳後の任意のタンパク質から高い効率で除去されることは当該分野において周知である。ほとんどのタンパク質においてN末端メチオニンもまた、ほとんどの原核生物において効果的に除去されるが、いくつかのタンパク質について、この原核生物除去プロセスは、N末端メチオニンが共有結合するアミノ酸の性質に依存しており、非効率的である。
1つの実施形態においては、酵母Pichia pastorisは、真核生物系において本発明のポリペプチドを発現するために用いられる。Pichia pastorisは、メタノールをその唯一の炭素源として代謝し得るメチロトローフィック(methylotrophic)酵母である。メタノール代謝経路における主なステップは、O2を用いてメタノールを酸化し、ホルムアルデヒドにすることである。この反応は、酵素アルコールオキシダーゼにより触媒される。メタノールをその唯一の炭素源として代謝するために、Pichia pastorisは、O2に対するアルコールオキシダーゼの相対的に低い親和性にいくぶん起因して、高いレベルのアルコールオキシダーゼを産生しなければならない。従って、主要な炭素源としてのメタノールによる増殖培地において、2つのアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOX1)のうちの1つのプロモーター領域は、非常に活性である。メタノールの存在下において、AOX1遺伝子から産生されるアルコールオキシダーゼは、Pichia pastoris中の総可溶性タンパク質のおよそ30%までを構成する。Ellis,S.B.ら、Mol.Cell.Biol.5:1111−21(1985);Koutz,P.J.ら、Yeast 5:167−77(1989);Tschopp,J.F.ら、Nucl.Acids Res.15:3859−76(1987)を参照のこと。従って、全体または一部のAOX1調節塩基配列の転写調節下で、異種コード配列(例えば、本発明のポリヌクレオチド)は、メタノールの存在下で増殖したPichia酵母において例外的に高いレベルで発現される。
1つの例においては、プラスミドベクターpPIC9Kは、本明細書中に記述されるように、本質的に以下に記載されるようなPichea酵母系において本発明のポリペプチドをコードするDNAを発現するために用いられる:「Pichia Protocols:Methods in Molecular Biology」、D.R.HigginsおよびJ.Cregg編、The Humana Press,Totowa,NJ,1998。この発現ベクターは、多重クローニング部位の上流に位置するPichia pastorisアルカリホスファターゼ(PHO)分泌シグナルペプチド(すなわち、リーダーペプチド)に連結した強いAOX1プロモーターの効力により、本発明のPSF−2タンパク質の発現および分泌を可能にする。
多くの他の酵母ベクターは、当業者が容易に理解するように、提案される発現構築物が、転写、翻訳、分泌(所望される場合)などのために適切に配置されたシグナル(必要ならばインフレームAUGを含む)を提供する限り、pPIC9K(例えば、pYES2、pYD1、pTEFI/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、PGAPZα、pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、PHIL−S1、pPIC3.5K、およびPAO815)の代わりに用いられ得る。
別の実施形態においては、異種コード配列(例えば、本発明のポリヌクレオチドのような)の高レベルの発現は、本発明の異種ポリヌクレオチドを発現ベクター(例えば、pGAPZまたはPGAPZαのような)にクローニングすることにより達成され得、そしてメタノールの非存在下で酵母培養物を増殖させる。
本明細書において議論されるベクター構築物を含む宿主細胞を含むことに加えて、本発明はまた、脊椎動物起源(特に、哺乳動物起源)の一次(primary)宿主細胞、二次(secondary)宿主細胞、および不死化宿主細胞を含む。これらの宿主細胞は、内因性の遺伝物質(例えば、コード配列)を欠失または置換するように操作されており、そして/または本発明のポリヌクレオチドと作動可能に連結された遺伝物質(例えば、異種ポリヌクレオチド配列)を含むように操作され、そして内因性のポリヌクレオチドを活性化、変更、および/または増幅する。例えば、当該分野で公知の技術は、相同組換えを介して、異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)および内因性ポリヌクレオチド配列を作動可能に連結するために使用され得、その結果、新しい転写ユニットを形成する(例えば、1997年6月24日に発行された米国特許第5,641,670号;1998年3月31日に発行された米国特許第5,733,761号;1996年9月26日に公開された国際公開第WO 96/29411号;1994年8月4日に公開された国際公開第WO 94/12650;Kollerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989);およびZijlstraら,Nature 342:435−438(1989)を参照のこと。これらの開示の各々は、それら全体において参考として援用される)。
さらに、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術を用いて化学合成され得る(例えば、Creighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,N.Y.およびHunkapillerら,Nature,310:105−111(1984)を参照のこと)。例えば、本発明のポリペプチド配列のフラグメントに対応するポリペプチドは、ペプチド合成機の使用により合成され得る。さらに、所望の場合、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸アナログが、置換または付加としてこのポリペプチド配列に導入され得る。非古典的アミノ酸としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:通常のアミノ酸のD異性体、2,4−ジアミノ酪酸、a−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、g−Abu、e−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib,2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、b−アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸(例えば、b−メチルアミノ酸)、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸、および一般のアミノ酸アナログ。さらにアミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
本発明は、翻訳の間または翻訳後に、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子または他の細胞性リガンドへの結合などによって示差的に改変されるポリペプチドを含む。任意の多数の化学的改変は、以下を含むがこれらに限定されない公知の技術によって実施され得る:臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特異的化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存在下での代謝合成;など。
本発明によって含まれるさらなる翻訳後修飾としては、例えば、以下などが挙げられる:N結合型もしくはO結合型の炭水化物鎖(N末端またはC末端のプロセシング)、アミノ酸バックボーンへの化学部分の結合、N結合型もしくはO結合型の炭水化物鎖の化学修飾、および原核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加もしくは欠失。このポリペプチドはまた、検出可能な標識(例えば、酵素標識、蛍光標識、同位体標識または親和性標識)を用いて改変して、このタンパク質の検出および単離が可能にされ得る。
本発明によってまた、さらなる利点(例えば、このポリペプチドの溶解度、安定性および循環時間の増加、または免疫原性の減少)を提供し得る、本発明のポリペプチドの化学修飾誘導体が提供される(米国特許第4,179,337号を参照のこと)。誘導体化のための化学部分は、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなど)から選択され得る。このポリペプチドは、この分子内のランダムな位置で、またはこの分子内の所定の位置で改変され得、そして1、2、3以上の結合した化学部分を含み得る。
このポリマーは、任意の分子量のポリマーであり得、そして分枝状でまたは非分枝状であり得る。ポリエチレングリコールに関しては、好ましい分子量は、取り扱いおよび製造の容易さのために、約1kDaと約100kDaとの間(用語「約(およそ)」は、ポリエチレングリコールの調製物において、いくつかの分子は示した分子量よりも重く、いくつかは示した分子量よりも軽いことを示す)である。所望の治療プロフィール(例えば、所望される持続放出の持続時間、存在する場合には生物学的活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または抗原性がないこと、および治療タンパク質またはアナログに対するポリエチレングリコールの他の公知の効果)に依存して、他のサイズが用いられ得る。例えば、ポリエチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、または100,000kDaの平均分子量を有し得る。
上記のように、ポリエチレングリコールは、分枝構造を有していてもよい。分枝ポリエチレングリコールは、例えば、以下に記載される:米国特許第5,643,575号;Morpurgoら、Appl.Biochem.Biotechnol.56:59−72(1996);Vorobjevら、Nucleosides Nucleotides 18:2745−2750(1999);およびCalicetiら、Bioconjug.Chem.10:638−646(1999)(これらの各々の開示は、本明細書中において参考として援用される)。
ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、このタンパク質の機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してこのタンパク質に結合されるべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する(例えば、本明細書中に参考として援用される、EP 0 401 384(G−CSFにPEGを結合する)、Malikら,Exp.Hematol.20:1028−1035(1992)(塩化トレシル(tresyl chloride)を用いたGM−CSFのペグ化を報告する)もまた参照のこと)。例えば、ポリエチレングリコールは、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)を介してアミノ酸残基により共有結合され得る。反応性基は、活性化ポリエチレングリコール分子が結合し得る基である。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基としては、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る;遊離のカルボキシル基を有するアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル残基もまた、ポリエチレングリコール分子を結合するための反応性基として用いられ得る。治療目的のために好ましいのは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合である。
上記で示唆されるように、ポリエチレングリコールは、多くのアミノ酸残基のいずれかへの結合を介してタンパク質に結合され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、またはシステイン残基への共有結合を介してタンパク質に連結され得る。1つ以上の反応化学系を用いて、タンパク質の特定のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン)またはタンパク質の1つより多くの型のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびそれらの組み合わせ)にポリエチレングリコールを結合し得る。
N末端で化学修飾されたタンパク質が特に所望され得る。ポリエチレングリコールを本組成物の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分子から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中でのポリエチレングリコール分子のタンパク質(ポリペプチド)分子に対する比、行われるべきペグ化反応の型、および選択されたN末端ペグ化タンパク質の獲得方法を選択し得る。N末端ペグ化調製物の獲得方法(すなわち、必要な場合、この部分を他のモノペグ化部分から分離すること)は、ペグ化タンパク質分子の集団からの、N末端ペグ化物質の精製によるものであり得る。N末端修飾で化学修飾された選択的タンパク質は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる型の第1級アミノ基(リジン対N末端)の示差的反応性を利用する還元的アルキル化によって達成され得る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いた、N末端でのタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
上記のように、本発明のタンパク質のペグ化は、かなり多数の手段によって、達成され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、直接的または介在性リンカーによってのいずれかによってタンパク質に接続され得る。タンパク質にポリエチレングリコールを接続させるためのリンカーレス(linkerless)システムは、Delgadoら、Crit.Rev.Thera.Drug Carrir Sys.9:249−304(1992);Francisら、Intern.J.of Hematol.68:1−18(1998);米国特許第4,002,531号;米国特許第5,349,052号;WO95/06058;およびWO98/32466に記載される。これらの各々の開示は、本明細書中に参考として援用される。
介在するリンカーを伴わずに、タンパク質のアミノ酸残基に直接的にポリエチレングリコールを結合させる1つの系は、トレシル化(tresylated)MPEG(これは、塩化トレシル(tresylchloride)(ClSO2CH2CF3)を使用して、モノメトキシ(monmethoxy)ポリエチレングリコール(MPEG)を改変することによって生成される)を使用する。トレシル化MPEGとのタンパク質の反応に際して、ポリエチレングリコールは、タンパク質のアミン基に直接結合される。従って、本発明は、本発明のタンパク質と2,2,2−トリフルオロエタン(trifluoreothane)スルホニル基を有するポリエチレングリコール分子とを反応させることによって生成されるタンパク質−ポリエチレングリコール結合体を含む。
ポリエチレングリコールはまた、多くの異なる介在リンカーを使用して、タンパク質に結合され得る。例えば、米国特許第5,612,460号(この開示全体が、本明細書中で参考として援用される)は、タンパク質にポリエチレングリコールを結合させるためのウレタンリンカーを開示する。ポリエチレングリコールが、リンカーによってタンパク質に結合されるタンパク質−ポリエチレングリコール結合体はまた、MPEG−スクシンイミジルスクシネート(succinimidylsuccinate)、1,1'−カルボニルジイミダゾールで活性化されたMPEG、MPEG−2,4,5−トリクロロフェニルカルボネート(trichloropenylcarbonate)、MPEG−p−ニトロフェノールカルボネート、および種々のMPEG−スクシネート誘導体のような化合物とのタンパク質の反応によって生成され得る。さらなる多くのポリエチレングリコール誘導体、およびタンパク質にポリエチレングリコールを結合させるための反応化学が、WO98/32466(この開示全体が、本明細書中で参考として援用される)に記載される。本明細書中に示される反応化学を使用して生成されるペグ化タンパク質産物は、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の各タンパク質に結合されたポリエチレングリコール部分の数(すなわち、置換の程度)もまた、変動し得る。例えば、本発明のペグ化タンパク質は、平均して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20個またはそれより多いポリエチレングリコール分子を連結し得る。同様に、平均の置換の程度は、タンパク質1分子あたり1〜3、2〜4、3〜5、4〜6、5〜7、6〜8、7〜9、8〜10、9〜11、10〜12、11〜13、12〜14、13〜15、14〜16、15〜17、16〜18、17〜19、または18〜20個のポリエチレングリコール部分のような範囲内である。置換の程度を決定する方法は、例えば、Delgadoら、Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304(1992)において考察される。
本発明のポリペプチドは、モノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高度のマルチマー)であり得る。従って、本発明は、モノマーおよびマルチマーの本発明のポリペプチド、それらの調製ならびにそれらを含む組成物(好ましくは、治療剤(Therapeutic))に関する。特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、モノマー、ダイマー、トリマーまたはテトラマーである。さらなる実施形態では、本発明のマルチマーは、少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテトラマーである。
本発明によって含まれるマルチマーは、ホモマーまたはヘテロマーであり得る。本明細書中で用いられる場合、用語ホモマーは、配列番号Yのアミノ酸配列に対応するポリペプチドまたは寄託されたcDNAクローンによって含まれるcDNAによってコードされるポリペプチド(本明細書中に記載されるポリペプチドの、フラグメント、改変体、スプライス改変体、および融合タンパク質を含む)のみを含むマルチマーをいう。これらのホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み得る。特定の実施形態では、本発明のホモマーは、同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドのみを含むマルチマーである。別の特定の実施形態では、本発明のホモマーは、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むマルチマーである。特定の実施形態では、本発明のマルチマーは、ホモダイマー(例えば、同一または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)あるいはホモトリマー(例えば、同一および/または異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)である。さらなる実施形態では、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくともホモダイマー、少なくともホモトリマーまたは少なくともホモテトラマーである。
本明細書中で用いられる場合、用語ヘテロマーとは、本発明のポリペプチドに加えて1以上の異種ポリペプチド(すなわち、異なるタンパク質のポリペプチド)を含むマルチマーをいう。特定の実施形態では、本発明のマルチマーは、ヘテロダイマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーである。さらなる実施形態では、本発明のヘテロマー性マルチマーは、少なくともヘテロダイマー、少なくともヘテロトリマーまたは少なくともヘテロテトラマーである。
本発明のマルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/もしくは共有結合的な結合の結果であり得、そして/または例えば、リポソーム形成によって間接連結され得る。従って、1つの実施形態では、本発明のマルチマー(例えば、ホモダイマーまたはホモトリマーなど)は、本発明のポリペプチドが溶液中で互いに接触する場合に形成される。別の実施形態では、本発明のヘテロマルチマー(例えば、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマー)は、本発明のポリペプチドが、溶液中で本発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む)と接触した場合に形成される。他の実施形態では、本発明のマルチマーは、本発明のポリペプチドとの、および/または本発明のポリペプチド間での共有結合によって形成される。このような共有結合は、ポリペプチド配列(例えば、配列表に記載されるか、または寄託されたクローンによってコードされるポリペプチドによってコードされるポリペプチドに含まれる)に含まれる1以上のアミノ酸残基を含み得る。1例では、この共有結合は、ネイティブ(すなわち、天然に存在する)ポリペプチドにおいて相互作用するポリペプチド配列内に位置するシステイン残基間での架橋である。別の例では、この共有結合は、化学的操作または組換え操作の結果である。あるいは、このような共有結合は、本発明の融合タンパク質中の異種ポリペプチド配列において含まれる1以上のアミノ酸残基を含み得る。
1例では、共有結合は、本発明の融合タンパク質に含まれる異種配列間にある(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。特定の例では、この共有結合は、(本明細書中に記載されるような)本発明のFc融合タンパク質に含まれる異種配列間にある。別の特定の例では、本発明の融合タンパク質の共有結合は、共有結合したマルチマーを形成し得る別のタンパク質(例えば、オステオプロテゲリン(oseteoprotegerin)など)由来の異種ポリペプチド配列間にある(例えば、国際公開番号WO 98/49305号(この内容はその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。別の実施形態では、2以上の本発明のポリペプチドは、ペプチドリンカーを通して連結される。例としては、米国特許第5,073,627号(本明細書中に参考として援用される)に記載されるペプチドリンカーが挙げられる。ペプチドリンカーによって隔てられた複数の本発明のポリペプチドを含むタンパク質は、従来の組換えDNA技術を用いて産生され得る。
本発明のマルチマーポリペプチドを調製するための別の方法は、ロイシンジッパーポリペプチド配列またはイソロイシンジッパーポリペプチド配列に融合された本発明のポリペプチドの使用を含む。ロイシンジッパードメインおよびイソロイシンジッパードメインは、そのドメインが見出されるタンパク質のマルチマー形成を促進するポリペプチドである。ロイシンジッパーは元々、いくつかのDNA結合タンパク質において同定され(Landschulzら,Science 240:1759、(1988))、そしてそれ以来種々の異なるタンパク質において見出されている。とりわけ公知のロイシンジッパーは、ダイマー形成またはトリマー形成をする、天然に存在するペプチドおよびその誘導体である。本発明の可溶性マルチマータンパク質を生成するために適切なロイシンジッパードメインの例は、本明細書中に参考として援用されるPCT出願WO 94/10308に記載されるロイシンジッパードメインである。溶液中でダイマー形成またはトリマー形成をするペプチド配列に融合された本発明のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞中で発現され、そして得られる可溶性マルチマー融合タンパク質は、当該分野で公知の技術を用いて培養上清から回収される。
本発明のトリマーポリペプチドは、増強された生物学的活性の利点を提供し得る。好ましいロイシンジッパー部分およびイソロイシン部分は、トリマーを優先的に形成する部分である。1例は、本明細書中に参考として援用されるHoppeら(FEBS Letters 344:191,(1994))および米国特許出願第08/446,922号に記載されるような肺サーファクタントプロテインD(SPD)に由来するロイシンジッパーである。天然に存在するトリマータンパク質由来の他のペプチドは、本発明のトリマーポリペプチドの調製において用いられ得る。
別の例では、本発明のタンパク質は、Flag(登録商標)ポリペプチド配列を含む本発明の融合タンパク質に含まれるFlag(登録商標)ポリペプチド配列間の相互作用によって結合される。さらなる実施形態では、本発明のタンパク質の結合は、本発明のFlag(登録商標)融合タンパク質に含まれる異種ポリペプチド配列と抗Flag(登録商標)抗体との間の相互作用によって結合する。
本発明のマルチマーは、当該分野で公知の化学技術を使用して生成され得る。例えば、本発明のマルチマーに含まれることが所望されるポリペプチドは、当該分野で公知のリンカー分子およびリンカー分子長最適化技術を使用して、化学的に架橋され得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。さらに、本発明のマルチマーは、当該分野で公知の技術を使用して生成されて、マルチマー中に含まれることが所望されるポリペプチドの配列内に位置するシステイン残基間に、1つ以上の分子間架橋を形成し得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これは、本明細書中にその全体が参考として援用される)を参照のこと)。さらに、本発明のポリペプチドは、このポリペプチドのC末端またはN末端へのシステインまたはビオチンの付加により慣用的に改変され得、そして当該分野で公知の技術が、1つ以上のこれらの改変されたポリペプチドを含むマルチマーを生成するために適用され得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。さらに、当該分野で公知の技術は、本発明のマルチマーに含まれることを所望されるポリペプチド成分を含むリポソームを生成するために適用され得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
あるいは、本発明のマルチマーは、当該分野で公知の遺伝子操作技術を用いて生成され得る。1つの実施形態では、本発明のマルチマーに含まれるポリペプチドは、本明細書中に記載されるかさもなくば当該分野で公知の融合タンパク質技術を用いて組換え生成される(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。特定の実施形態では、本発明のホモダイマーをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカーポリペプチドをコードする配列に連結し、次いでさらに元々のC末端からN末端の方向とは逆方向でポリペプチドの翻訳産物をコードする合成ポリヌクレオチド(リーダー配列を欠く)に連結することによって生成される(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。別の実施形態では、本明細書中に記載されるかさもなくば当該分野で公知の組換え技術を適用して、膜貫通ドメイン(または疎水性もしくはシグナルペプチド)を含み、そして膜再構成技術によってリポソームに組み込まれ得る、本発明の組換えポリペプチドを生成する(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。
(ポリヌクレオチドの使用)
本明細書中で同定された各々のポリヌクレオチドは、試薬として多数の方法において使用され得る。以下の説明は例示的であるとみなされるべきであり、そして公知の技術を利用する。
本発明のポリヌクレオチドは、染色体同定のために有用である。実際の配列データ(反復多型性)に基づく染色体マーキング試薬は現在ほとんど利用可能ではないため、新しい染色体マーカーを同定する必要性が存在するままである。本発明の各々のポリヌクレオチドは、染色体マーカーとして使用され得る。
簡単に言うと、配列は、配列番号Xで示される配列からPCRプライマー(好ましくは15〜25bp)を調製することによって染色体にマッピングされ得る。プライマーが、ゲノムDNA中の1つより多くの予測されたエキソンにまたがらないように、プライマーは、コンピューター分析を使用して選択され得る。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用される。配列番号Xに対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが、増幅されたフラグメントを産生する。
同様に、体細胞ハイブリッドは、特定の染色体に対してポリヌクレオチドをPCRマッピングする迅速な方法を提供する。単一のサーマルサイクラーを使用して1日あたり3つ以上のクローンが割り当てられ得る。さらに、ポリヌクレオチドの下位位置決定(sublocalization)は、特定の染色体フラグメントのパネルを用いて達成され得る。使用され得る他の遺伝子マッピング戦略は、インサイチュハイブリダイゼーション、標識フローソート(labeled flow sorted)染色体でのプレスクリーニング、染色体特異的cDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる前選択、およびコンピューターマッピング技術(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、Shuler、Trends Biotechnol 16:456〜459(1998)を参照のこと)を含む。
ポリヌクレオチドの正確な染色***置はまた、中期染色体スプレッド(spread)の蛍光インサイチュハイブリダイゼ−ション(FISH)を使用して獲得され得る。この技術は500または600塩基ほどの短さのポリヌクレオチドを使用する;しかし2,000〜4,000bpのポリヌクレオチドが好ましい。この技術の総説に関しては、Vermaら、「Human Chromosomes:a Manual of Basic Techniques」, Pergamon Press, New York (1988)を参照のこと。
染色体マッピングについては、ポリヌクレオチドは、個々に(単一染色体またはその染色体上の単一部位をマークするために)またはパネルで(複数部位および/または複数染色体をマークするために)使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドは、放射線(radiation)ハイブリッドマッピング、HAPPYマッピング、およびロングレンジ制限マッピング(long range restriction mapping)において同様に有用である。これらの技術および当該分野で公知の他の技術の概説については、例えば、Dear「Genome Mapping:A Practical Approach」IRL Press at Oxford University Press,London(1997);Aydin,J.Mol.Med.77:691〜694(1999);Haciaら、Mol.Psychiatry 3:483〜492(1998);Herrickら、Chromosome Res.7:409〜423(1999);Hamiltonら、Methods Cell Biol.62:265〜280(2000);および/またはOtt,J.Hered.90:68〜70(1999)(これらのそれぞれは、その全体が参考として本明細書において援用される)を参照のこと。
一旦、ポリヌクレオチドが正確な染色***置にマップされると、ポリヌクレオチドの物理的位置は、連鎖分析において使用され得る。連鎖分析は、染色***置と特定の疾患の提示との間の同時遺伝(coinheritance)を確立する。(疾患マッピングデータは、例えば、V.McKusick,Mendelian Inheritance in Man(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを通してオンラインで利用可能である)において見い出される)。1メガベースマッピング解像度および20kbあたり1遺伝子と仮定すると、疾患と関連する染色体領域に正確に位置決定されるcDNAは、50〜500の潜在的な原因遺伝子のうちの1つであり得る。
従って、一旦、同時遺伝が確立されると、罹患個体と非罹患個体との間でのポリヌクレオチドおよび対応する遺伝子における差異が試験され得る。まず、染色体中の可視的構造変化(例えば、欠失または転座)は染色体スプレッドにおいて、またはPCRによって試験される。構造的変化が存在しない場合、点変異の存在が確認される。何人かのまたは全ての罹患個体で観察されたが、正常な個体では観察されなかった変異は、この変異がこの疾患を引き起こし得ることを示す。しかし、いくつかの正常な個体由来のポリペプチドおよび対応する遺伝子の完全な配列決定は、変異を多型性と区別するために要求される。新しい多型性が同定される場合、この多型ポリペプチドはさらなる連鎖分析のために使用され得る。
さらに、非罹患個体と比較した、罹患個体の遺伝子の増加または減少した発現が、本発明のポリヌクレオチドを使用して評価され得る。任意のこれらの変化(変化した発現、染色体再配置、または変異)は、診断マーカーまたは予後マーカーとして使用され得る。
従って、本発明はまた、障害の診断の間に有用な診断方法を提供し、この方法は、個体由来の細胞または体液中の本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測定する工程、および測定された遺伝子発現レベルをポリヌクレオチド発現レベルの標準レベルと比較する工程を包含し、これによって、標準と比較して、遺伝子発現レベルの増加または減少が、障害の指標になる。
なお別の実施形態では、本発明は、サンプルを、試験被験体に由来する増殖性および/または癌性のポリヌクレオチドの存在について分析するためのキットを含む。一般的実施形態において、このキットは、本発明のポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブ、および適切な容器を備える。この特定の実施形態では、このキットは、本発明のポリヌクレオチドの内部領域を規定する2つのポリヌクレオチドプローブを含み、ここで各プローブは、この領域に対して内部に31’マー末端を含む1つの鎖を有する。さらなる実施形態では、このプローブは、ポリメラーゼ連鎖反応増幅のためのプライマーとして有用であり得る。
障害の診断が既に従来方法によって行われている場合、本発明は、予後のインジケーター(indicator)として有用であり、それによって増強または抑制された本発明のポリヌクレオチド発現を示す患者が、標準レベルにより近いレベルでこの遺伝子を発現する患者と比較して悪い臨床結果を経験する。
「本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測定する(こと)」とは、本発明のポリペプチドのレベルまたはこのポリペプチドをコードするmRNAのレベルを、第1の生物学的サンプルにおいて直接的(例えば、絶対のタンパク質レベルまたはmRNAレベルを決定または評価することによって)または相対的(例えば、第2の生物学的サンプル中のポリペプチドレベルまたはmRNAレベルに対して比較することによって)のいずれかで定性的または定量的に測定または評価することを意図する。好ましくは、第1の生物学的サンプル中のポリペプチドレベルまたはmRNAレベルが測定または評価され、そして標準のポリペプチドレベルまたはmRNAレベルに対して比較され、この標準は、障害を有さない個体から得られる第2の生物学的サンプルから得られるかまたは障害を有さない個体の集団由来のレベルを平均することによって決定される。当該分野で認識されるように、一旦標準的なポリペプチドレベルまたはmRNAレベルが公知になれば、これを、比較のための標準として反復して用い得る。
「生物学的サンプル」とは、本発明のポリペプチドまたはmRNAを含む、個体、体液、細胞株、組織培養物または他の供給源から得られる任意の生物学的サンプルを意図する。示されるように、生物学的サンプルは、本発明のポリペプチドを含む体液(例えば、***、リンパ、血清、血漿、尿、滑液および髄液)、および本発明のポリペプチドを発現することが見出された他の組織供給源を含む。哺乳動物から組織生検および体液を得るための方法は、当該分野で周知である。生物学的サンプルがmRNAを含む場合、組織生検が好ましい供給源である。
上記で提供された方法は好ましくは、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドが固体支持体に結合される、診断方法および/またはキットに適用され得る。1つの例示的な方法では、この支持体は、米国特許第5,837,832号、同第5,874,219号および同第5,856,174号に記載される、「遺伝子チップ」または「生物学的チップ」であり得る。さらに、本発明のポリヌクレオチドが結合されたこのような遺伝子チップを用いて、このポリヌクレオチド配列と、試験被験体から単離されたポリヌクレオチドとの間の多型性を同定し得る。このような多型性の知見(すなわち、それらの位置ならびにそれらの存在)は、癌性の疾患および状態を含む多くの障害についての疾患の遺伝子座を同定する際に有益である。このような方法は、米国特許第5,858,659号および同第5,856,104号に記載される。上記に参照した米国特許は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
本発明は、化学的に合成された(すなわち、ペプチド核酸(PNA)として再現された)または当該分野で公知の他の方法に従って合成された、本発明のポリヌクレオチドを包含する。PNAの使用は、ポリヌクレオチドが固体支持体、すなわち、遺伝子チップに取り込まれる場合、好ましい形態として役立つ。本発明の目的のために、ペプチド核酸(PNA)は、ポリアミド型のDNAアナログであり、そしてアデニン、グアニン、チミンおよびシトシンについての単量体単位が市販されている(Perceptice Biosystems)。DNAの特定の成分(例えば、リン、酸化リンまたはデオキシリボース誘導体)は、PNA中に存在しない。P.E.Nielsen,M.Egholm,R.H.BergおよびO.Buchardt,Science 254,1497(1991);ならびにM.Egholm,O.Buchardt,L.Christensen,C.Behrens,S.M.Freier,D.A.Driver,R.H.Berg、S.K.Kim,B.NordenおよびP.E.Nielsen,Nature 365,666(1993)によって開示されるように、PNAは、相補的なDNA鎖に対して特異的かつ緊密に結合し、そしてヌクレアーゼによって分解されない。実際、PNAは、DNA自体が結合するよりも強力にDNAに結合する。これはおそらく、2つの鎖の間に静電斥力が存在せず、そしてまたポリアミド骨格がより可撓性が高いことによる。これによって、PNA/DNA二重鎖は、DNA/DNA二重鎖よりも広範囲のストリンジェンシー条件下で結合し、多重鎖ハイブリダイゼーションを行うのをより容易にする。強力な結合に起因して、DNAを用いてよりも小さいプローブが用いられ得る。さらに、おそらく、単一の塩基ミスマッチが、PNA/DNAハイブリダイゼーションを用いて決定され得る。なぜなら、PNA/DNAの15マーにおける単一のミスマッチは、DNA/DNAの15マー二重鎖については4℃〜16℃であるのに対して、融点(T.sub.m)を8〜20℃低下させるからである。また、PNA中に電荷基が存在しないことは、ハイブリダイゼーションが、低いイオン強度で行われ得、そして分析の間の塩によって可能な妨害を減少させることを意味する。
本発明は、哺乳動物における癌の検出のために有用である。特に、本発明は、以下を含むがこれらに限定されない、病理学的細胞増殖新形成の診断の間に有用である:急性骨髄性白血病(急性単球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性赤白血病、急性巨核球性白血病、および急性未分化白血病などを含む);および慢性骨髄性白血病(慢性骨髄単球性白血病、慢性顆粒球性白血病などを含む)。好ましい哺乳動物としては、有尾猿(monkey)、無尾猿(ape)、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギおよびヒトが挙げられる。特に好ましいのは、ヒトである。
病理学的細胞増殖性の疾患、障害および/または状態はしばしば、癌原遺伝子の不適切な活性化に関連する(Gelmann,E.P.ら,「The Etiology of Acute Leukemia:Molecular Genetics and Viral Oncology」,Neoplastic Diseases of the Blood,第1巻,Wiernik、P.H.ら編,161−182(1985))。新形成は現在、ウイルス配列の染色体への挿入、より活性に転写される領域への遺伝子の染色体転座、または何らかの他の機構による、正常な細胞遺伝子産物の定性的変化から、または遺伝子発現の定量的改変から生じると考えられている(Gelmannら、前出)。特定の遺伝子の変異または変更された発現が、他の組織および他の細胞型の中でも、いくつかの白血病の病因と関与するようである(Gelmannら、前出)。実際、いくつかの動物新形成に関与する癌遺伝子のヒト対応物は、ヒトの白血病および癌腫のいくつかの症例において増幅または転座されている(Gelmannら、前出)。例えば、c−myc発現は、非リンパ球性白血病細胞株HL−60において高度に増幅される。HL−60細胞が増幅を止めるように化学的に誘導される場合、c−mycのレベルは、ダウンレギュレートされることが見出される(国際公開番号WO91/15580号)。しかし、c−mycまたはc−mybの5’末端に相補的であるDNA構築物へのHL−60細胞の暴露が、c−mycタンパク質またはc−mybタンパク質の発現をダウンレギュレートする対応するmRNAの翻訳をブロックし、処理した細胞の細胞増殖および分化の停止を引き起こすことが示されている(国際公開番号WO91/15580号;Wickstromら、Proc.Natl.Acad.Sci.85:1028(1988);Anfossiら、Proc.Natl.Acad.Sci.86:3379(1989))。しかし、当業者は、増殖表現型を示すことが公知である種々の起源の多数の細胞および細胞型を考慮すれば、本発明の有用性が造血性の細胞および組織の増殖性の疾患、障害および/または状態の処置に限定されないことを認識する。
前記に加えて、ポリヌクレオチドは、三重らせん形成またはアンチセンスDNAもしくはRNAを通して遺伝子発現を制御するために使用され得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neurochem.56:560(1991),「Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression」,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)において考察される。三重らせん形成は例えば、Leeら、Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1360(1991)において考察される。両方の方法は、相補的DNAまたは相補的RNAへのポリヌクレオチドの結合に依存する。これらの技術に関して、好ましいポリヌクレオチドは通常、20〜40塩基長のオリゴヌクレオチドであり、そして転写に関与する遺伝子領域(三重らせん−Leeら,Nucl.Acids Res.6:3073(1979);Cooneyら.Science 241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1360(1991)を参照のこと)またはmRNA自体(アンチセンス−Okano,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy−nucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988))のいずれかに相補的である。三重らせん形成は、最適にはDNAからのRNA転写の遮断を生じるが、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションは、ポリペプチドへのmRNA分子の翻訳を阻止する。両方の技術は、モデル系において効果的であり、そして本明細書に開示される情報は、疾患を処置または予防するための試みにおいて、アンチセンスまたは三重らせんポリヌクレオチドを設計するために使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子治療において有用である。遺伝子治療の1つの目標は、遺伝欠損を修正する試みにおいて、欠損遺伝子を有する生物へ正常遺伝子を挿入することである。本発明に開示されるポリヌクレオチドは、高度に正確な様式でこのような遺伝欠損を標的とする手段を提供する。別の目標は、宿主ゲノム中には存在しなかった新しい遺伝子を挿入し、それによって宿主細胞中に新しい形質を生成することである。
ポリヌクレオチドはまた、微小な生物学的サンプルから個体を同定するために有用である。例えば、米国軍は、その職員を同定するために制限フラグメント長の多型性(RFLP)の使用を考慮している。この技術において、個体のゲノムDNAは1つ以上の制限酵素で消化され、そして職員を同定するため固有なバンドを生じるためのサザンブロットについてプローブされる。この方法は、「認識票(Dog tag)」(これは、失われたり、交換されたり、または盗まれたりすることにより、ポジティブな同定を困難にし得る)の現在の限界を受けない。本発明のポリヌクレオチドは、RFLPのためのさらなるDNAマーカーとして使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドはまた、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩基ごとのDNA配列を決定することによって、RFLPに対する代替物として使用され得る。これらの配列は、このような選択されたDNAを増幅しそして単離するためにPCRプライマーを調製するために使用され得、次いで、この選択されたDNAは、配列決定され得る。各個体が固有のセットのDNA配列を有するので、この技術を使用して、個体が同定され得る。一旦、固有のIDデータベースが個体について確立されると、その個体が生存していようとまたは死亡していようとにかかわらず、その個体のポジティブ同定が、極めて小さな組織サンプルからなされ得る。
法医学生物学もまた、本明細書に開示されるようなDNAに基づく同定技術を使用して利益を得る。組織(例えば、髪または皮膚)、または体液(例えば、血液、唾液、***、滑液、羊水、乳汁、リンパ、肺痰(pulmonary sputum)またはサーファクタント、尿、糞便物質など)のような非常に小さな生物学的サンプルから得られたDNA配列は、PCRを使用して増幅され得る。ある先行技術において、DQaクラスII HLA遺伝子のような多型性遺伝子座から増幅された遺伝子配列は、個体を同定するための法医学生物学において使用される。(Erlich,H.,PCR Technology,Freeman and Co.(1992))。一旦、これらの特異的多型性遺伝子座が増幅されると、これらは1つ以上の制限酵素で消化される。これは、DQaクラスII HLA遺伝子に対応するDNAでプローブされたサザンブロットについてのバンドの同定セットを生じる。同様に、本発明のポリヌクレオチドは、法医学的目的のための多型性マーカーとして使用され得る。
また、特定の組織の供給源を同定し得る試薬についての必要性が存在する。例えば、未知の起源の組織が提供される場合、法医学においてこのような必要性が生じる。適切な試薬は、例えば、本発明の配列から調製される、特定の組織に特異的なDNAプローブまたはプライマーを含み得る。このような試薬のパネルは、種および/または器官型によって組織を同定し得る。同様の様式で、これらの試薬は、夾雑物について組織培養物をスクリーニングするために使用され得る。
少なくとも、本発明のポリヌクレオチドは、サザンゲルでの分子量マーカーとして、特定の細胞型における特定のmRNAの存在に関する診断プローブとして、新規なポリヌクレオチドを発見するプロセスでの公知の配列を「差し引き」するためのプローブとして、「遺伝子チップ」または他の支持体に付着させるためのオリゴマーを選択および作製するため、DNA免疫技術を用いて抗DNA抗体を惹起させるため、および免疫応答を誘発する抗原として、使用され得る。
(ポリペプチドの使用)
本明細書中に同定される各ポリペプチドは、多くの方法に使用され得る。以下の説明は、例示としてみなされるべきであり、そして公知の技術を利用する。
本発明のポリペプチドは、抗体に基づいた技術を使用して生物学的サンプル中のタンパク質レベルをアッセイするために使用され得る。例えば、組織におけるタンパク質発現は、古典的な免疫組織化学法を用いて研究され得る(Jalkanen,M.ら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanen,M.ら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987))。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用である、抗体に基づいた他の方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)のような免疫アッセイが含まれる。適切な抗体アッセイの標識は、当該技術分野で公知であり、そして例えば、グルコースオキシダーゼのような酵素標識、ならびにヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)のような放射性同位体、ならびにフルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが挙げられる。
生物学的サンプル中の分泌タンパク質レベルをアッセイすることに加えて、タンパク質はまた、画像化によりインビボで検出され得る。タンパク質をインビボで画像化するための抗体の標識またはマーカーとしては、X線ラジオグラフィー、NMRまたはESRにより検出可能なものが挙げられる。X線ラジオグラフィーについては、適切な標識は、検出可能な放射線を発するが、被験体に対して明白には有害ではないバリウムまたはセシウムのような放射性同位体を含む。NMRおよびESRに適切なマーカーには、例えば重水素のような検出可能な特徴的なスピンを有するものが含まれ、これは、関連したハイブリドーマのための栄養素を標識することにより抗体に取り込まれ得る。
放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴により検出可能な材料のような適切な検出可能な画像化部分で標識された、タンパク質特異的抗体または抗体フラグメントは、哺乳動物に(例えば、非経口的、皮下、または腹腔内に)導入される。被験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を生成するために必要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部分の場合には、ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、99mTcの約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フラグメントは、特定のタンパク質を含む細胞の位置に優先的に蓄積される。インビボ腫瘍画像化は、S.W.Burchielら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments.」(Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancerの第13章、S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes編、Masson Publishing Inc.(1982))に記載される。
従って、本発明は、障害の診断方法を提供し、この方法は、(a)個体の細胞または体液中の本発明のポリペプチドの発現をアッセイする工程;(b)この遺伝子発現レベルを標準の遺伝子発現レベルと比較する工程を包含し、これによって、標準的な発現レベルと比較して、アッセイされたポリペプチドの遺伝子発現レベルの増加または減少が、障害の指標になる。癌に関しては、個体由来の生検組織中での比較的多量の転写物の存在は、この疾患の発症の素因を示し得るか、または実際の臨床症状の出現前にこの疾患を検出するための手段を提供し得る。この型のより決定的な診断は、保健専門家が、より早期に予防的測定または積極的処置を用い、それによって癌の発症またはさらなる進行を予防することを可能にし得る。
さらに、本発明のポリペプチドを用いて疾患を処置、予防および/または診断し得る。例えば、患者には、ポリペプチド(例えば、インスリン)の非存在またはレベルの減少を置換すること、異なるポリペプチド(例えば、ヘモグロビンBに対するヘモグロビンS、SOD、カタラーゼ、DNA修復タンパク質)の非存在またはレベルの減少を補充すること、ポリペプチド(例えば、癌遺伝子または腫瘍サプレッサー)の活性を阻害すること、ポリペプチドの活性を(例えば、レセプターに結合することによって)活性化すること、遊離リガンド(例えば、炎症を低減させる際に用いられる可溶性TNFレセプター)について、膜結合レセプターと競合させることによって膜結合レセプターの活性を減少させること、または所望の応答(例えば、血管の増殖阻害、増殖細胞または組織に対する免疫応答の増強)をもたらすことに取り組む際に、本発明のポリペプチドが投与され得る。
同様に、本発明のポリペプチドに対する抗体もまた使用されて疾患を処置、予防および/または診断し得る。例えば、本発明のポリペプチドに対する抗体の投与によって、そのポリペプチドに結合して、そしてそのポリペプチドの過剰産生を低減し得る。同様に、抗体の投与によって、例えば、膜に結合したポリペプチド(レセプター)へ結合することにより、そのポリペプチドを活性化し得る。
少なくとも本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS−PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムの分子量マーカーとして使用され得る。ポリペプチドを用いてもまた、抗体を惹起し得、次いで、この抗体を使用して、宿主細胞の形質転換を評価する方法として、組換え細胞からのタンパク質発現を測定する。さらに、本発明のポリペプチドを使用して、以下の生物学的活性を試験し得る。
(遺伝子治療方法)
本発明の別の局面は、障害、疾患、および状態を処置または予防するための遺伝子治療方法に関する。この遺伝子治療法は、本発明のポリペプチドの発現を達成するために、核酸(DNA、RNA、およびアンチセンスDNAまたはRNA)配列を動物へ導入することに関する。この方法は、プロモーター、および標的組織によるこのポリペプチドの発現のために必要な任意の他の遺伝的エレメントに作動可能に連結された、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを必要とする。このような遺伝子治療および送達の技術は、当該分野で公知であり、例えば、本明細書中に参考として援用されるWO90/11092を参照のこと。
従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボで本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)を用いて操作され得、この操作された細胞は次いで、このポリペプチドで処置されるべき患者に提供される。このような方法は、当該分野で周知である。例えば、Belldegrunら,J.Natl.Cancer Inst.,85:207−216(1993);Ferrantiniら,Cancer Research,53:107−1112(1993);Ferrantiniら,J.Immunology 153:4604−4615(1994);Kaido,T.ら,Int.J.Cancer 60:221−229(1995);Oguraら,Cancer Research 50:5102−5106(1990);Santodonatoら,Human Gene Therapy 7:1−10(1996);Santodonatoら,Gene Therapy 4:1246−1255(1997);およびZhangら,Cancer Gene Therapy 3:31−38(1996)を参照のこと。これらの文献は、本明細書中に参考として援用される。1つの実施形態では、操作される細胞は、動脈細胞である。この動脈細胞は、動脈、動脈周囲の組織への直接注射によって、またはカテーテル注射によって患者に再度導入され得る。
以下でより詳細に考察するように、このポリヌクレオチド構築物は、注射可能な物質を動物の細胞へ送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓など)の間隙空間への注射)によって送達され得る。このポリヌクレオチド構築物は、薬学的に受容可能な液体または水性キャリアにて送達され得る。
1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレオチドとして送達される。用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAは、細胞への侵入を補助、促進または容易にするように作用するいかなる送達ビヒクル(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、または沈殿剤などを含む)も含まない配列をいう。しかし、本発明のポリヌクレオチドはまた、リポソーム処方物中で送達され得、そしてリポフェクチン処方物などは、当業者に周知の方法によって調製され得る。このような方法は、例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号および同第5,580,859号に記載される。
遺伝子治療方法において使用される本発明のポリヌクレオチドベクター構築物は好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれず、複製を可能にする配列を含まない、構築物である。適切なベクターとしては、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;Pharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL;ならびにInvitrogenから入手可能なpEF1/V5、pcDNA3.1、およびpRc/CMV2が挙げられる。他の適切なベクターは、当業者に容易に明白である。
当業者に公知の任意の強力なプロモーターは、本発明のポリヌクレオチド配列の発現を駆動するために用いられ得る。適切なプロモーターとしては、アデノウイルスプロモーター(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター);または異種プロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター);RSウイルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター(例えば、MMTプロモーター、メタロチオネインプロモーター);熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチミジンキナーゼプロモーター(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター);レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモーター;およびヒト成長ホルモンプロモーターが挙げられる。このプロモーターはまた、本発明のポリヌクレオチドについてネイティブなプロモーターであり得る。
他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞に導入する1つの主要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて、6ヶ月までの期間の間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示された。
本発明のポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含する)の間隙空間に送達され得る。この組織の間隙空間は、器官組織の細網線維間の、細胞間の液体ムコ多糖類基質、血管または室の壁における弾性線維、線維性組織のコラーゲン線維、あるいは結合組織鞘性筋肉細胞(connective tissue ensheathing muscle cell)内または骨の裂孔中の同じ基質を包含する。これは、同様に、循環の血漿およびリンパチャンネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉組織の間隙空間への送達は、以下で議論される理由のために好ましい。本発明のポリヌクレオチド構築物は、これらの細胞を含む組織への注射によって、好都合に送達され得る。本発明のポリヌクレオチド構築物は、好ましくは、分化した持続性の非***細胞に送達され、そしてその細胞において発現されるが、送達および発現は、非分化細胞または完全には分化していない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達成され得る。インビボでの筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そして発現する能力において、特に適格である。
裸の核酸配列注射のために、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05mg/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは、この投薬量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そしてより好ましくは約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん、当業者が認識するように、この投薬量は、注射の組織部位に応じて変化する。核酸配列の適切かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される状態および投与経路に依存し得る。
好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非経口注射経路による。しかし、他の非経口経路もまた用いられ得、これには、例えば、特に、肺または気管支の組織、咽喉または鼻の粘膜への送達のためのエアロゾル処方物の吸入が挙げられる。さらに、裸のDNA構築物が、血管形成術の間にこの手順において用いられるカテーテルによって動脈に送達され得る。
裸のポリヌクレオチドは、送達部位での直接の針注射、静脈内注射、局所投与、カテーテル注入、およびいわゆる「遺伝子銃」を含むがこれらに限定されない、当該分野で公知の任意の方法によって送達される。これらの送達方法は、当該分野で公知である。
この構築物はまた、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、沈殿剤などのような送達ビヒクルを用いて送達され得る。このような送達方法は、当該分野で公知である。
特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、リポソーム調製物中で複合体化している。本発明にて使用するためのリポソーム調製物は、カチオン性(正に荷電した)、アニオン性(負に荷電した)および中性の調製物を包含する。しかしながら、カチオン性リポソームとポリアニオン性核酸との間で強固な荷電複合体を形成し得るので、カチオン性リポソームが特に好ましい。カチオン性リポソームは、機能的形態において、プラスミドDNA(本明細書中で参考として援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:7413〜7416(1987));mRNA(本明細書中で参考として援用される、Maloneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:6077〜6081(1989));および精製された転写因子(本明細書中で参考として援用される、Debsら、J.Biol.Chem.、265:10189〜10192(1990))の細胞内送達を媒介することが示されている。
カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは特に有用であり、そして登録商標LipofectinのもとにGIBCO BRL,Grand Island,N.Y.(本明細書中で参考として援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:7413〜7416(1987)をもまた参照のこと、)より入手可能である。他の市販のリポソームとしては、トランスフェクテース(transfectace)(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boehringer)が挙げられる。
当該分野で周知の技術を使用して、他のカチオン性リポソームを、容易に入手可能な物質より調製し得る。DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記述に関して、例えばPCT公開第WO 90/11092号(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。DOTMAリポソームの調製は文献にて説明されており、例えば、本明細書中で参考として援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:7413〜7417を参照のこと。類似した方法を使用して、他のカチオン性脂質物質よりリポソームを調製し得る。
同様に、アニオン性リポソームおよび中性リポソームは、例えば、Avanti Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に入手可能であり、または容易に入手可能な物質を使用して簡単に調製され得る。そのような物質としてはとりわけ、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はまた、DOTMA出発物資およびDOTAP出発物質と適切な割合において混合され得る。これらの物質を使用してリポソームを生成する方法は、当該分野で周知である。
例えば、商業的に、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を種々の組み合わせにおいて使用し、コレステロールを添加してもしなくても、従来のリポソームを生成し得る。従って、例えば、超音波処理バイアル中への窒素ガス流下で、DOPGおよびDOPCの各50mgを乾燥することにより、DOPG/DOPC小胞を調製し得る。このサンプルを一晩真空ポンプ下に置き、そして次の日、脱イオン水で水和する。次いで、浴が、15ECで循環している間、最大設定にて、逆位カップ(浴タイプ)プローブを装備したHeat Systems モデル350超音波処理器を使用して、このサンプルを栓をしたバイアル中にて2時間超音波処理する。あるいは、負に荷電した小胞を、超音波処理なしで調製して多重膜小胞を生成し得るか、または核孔膜(nucleopore membrane)を通して押し出すことにより別々の大きさの単膜小胞を生成し得る。他の方法は、当業者に公知でありそして利用可能である。
このリポソームとしては、多重膜リポソーム(MLV)、小さな単膜リポソーム(SUV)または大きな単膜リポソーム(LUV)が挙げられ得、SUVが好ましい。当該分野で周知の方法を使用して、種々のリポソーム−核酸複合体が調製される。例えば、本明細書中で参考として援用される、Straubingerら、Methods of Immunology、101:512〜527(1983)を参照のこと。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラスチューブの壁面にリン脂質の薄膜を堆積させ、そしてその後、カプセル化されるべき物質の溶液で水和することによって調製され得る。SUVはMLVの長期超音波処理により調製され、単膜リポソームの均質集団を生成する。封入されるべき物質を、予め形成されたMLVの懸濁液に添加し、次いで、超音波処理する。カチオン性脂質を含むリポソームを使用する場合、乾燥した脂質膜を、滅菌水または10mM Tris/NaClのような等張性緩衝溶液のような適切な溶液中に再懸濁し、超音波処理し、次いで、予め形成されたリポソームをDNAと直接混合する。正に荷電したリポソームのカチオン性DNAへの結合に起因して、リポソームおよびDNAは非常に安定な複合体を形成する。SUVは、小核酸フラグメントを用いての用途を見出す。LUVは、当該分野で周知の多くの方法により調製される。一般に使用される方法としては、Ca2+−EDTAキレート化(Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Acta、394:483(1975);Wilsonら、Cell、17:77(1979));エーテル注入(Deamerら、Biochim.Biophys.Acta、443:629(1976);Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Commum.、76:836(1977);Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76:3348(1979));界面活性剤透析(Enochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76:145(1979));および逆相エバポレーション(REV)(Fraleyら、J.Biol.Chem.、255:10431(1980);Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、75:145(1978);Schaefer−Ridderら、Science、215:166(1982))が挙げられ、これらの文献は本明細書中で参考として援用される。
一般に、DNAのリポソームに対する割合は約10:1から約1:10までである。好ましくは、その割合(ration)は約5:1から約1:5までである。より好ましくは、その割合は約3:1から約1:3までである。さらにより好ましくは、その割合は約1:1である。
米国特許第5,676,954号(本明細書中で参考として援用される)はカチオン性リポソームキャリアと複合体化された遺伝物質のマウスへの注入について報告する。米国特許第4,897,355号、同第4,946,787号、同第5,049,386号、同第5,459,127号、同第5,589,466号、同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,055号および国際公開第WO94/9469号(これらは本明細書中で参考として援用される)は、DNAを細胞および哺乳動物にトランスフェクトする際に使用するためのカチオン性脂質を提供する。米国特許第5,589,466号、同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,055号および国際公開第WO94/9469号(これらは本明細書中で参考として援用される)は、DNA−カチオン性脂質複合体を哺乳動物に送達する方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする配列を含むRNAを含むレトロウイルス粒子を使用して、エキソビボまたはインビボで細胞を操作する。レトロウイルスプラスミドベクターを誘導し得るレトロウイルスとしては、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、ニワトリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
このレトロウイルスプラスミドベクターを使用して、パッケージング細胞株を形質導入し、プロデューサー細胞株を形成する。トランスフェクトされ得るパッケージング細胞株の例としては、その全体が本明細書中で参考として援用される、Miller、Human Gene Theapy、1:5〜14(1990)にて記載されるようなPE501、PA317、R−2、R−AM、PA12、T19−14X、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+E−86、GP+envAm12およびDAN細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。このベクターは、当該分野で公知の任意の手段により、パッケージング細胞を形質導入し得る。そのような手段としては、エレクトロポレーション、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、それらに限定されない。1つの代替法において、このレトロウイルスプラスミドベクターをリポソームにカプセル化するか、または脂質に結合して、次いで宿主に投与し得る。
このプロデューサー細胞株は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む感染性レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、そのようなレトロウイルスベクター粒子を使用して、インビトロまたはインビボのどちらかにおいて、真核生物細胞を形質導入し得る。この形質導入された真核生物細胞は、本発明のポリペプチドを発現する。
特定の他の実施形態において、アデノウイルスベクター中に含まれる本発明のポリヌクレオチドを用いて、エキソビボまたはインビボで細胞を操作する。アデノウイルスは、それが本発明のポリペプチドをコードし、そして発現し、それと同時に通常の溶解性ウイルス生活環にて複製するその能力に関して不活性化されるように操作され得る。アデノウイルス発現は、そのウイルスDNAの宿主細胞染色体への組み込み無しに達成され、その結果、挿入性変異誘発についての心配が軽減される。さらに、アデノウイルスは、何年もの間、腸の生ワクチンとして優れた安全側面を伴って使用されている(Schwartzetら、Am.Rev.Respir.Dis.、109:233−238(1974))。最終的に、アデノウイルス媒介性遺伝子移入が、コトンラットの肺へのα−1−アンチトリプシンおよびCFTRの移入を含む多くの例において実証されている(Rosenfeldら、Science、252:431〜434(1991);Rosenfeldら、Cell、68:143〜155(1992))。さらに、ヒト癌における原因物質としてアデノウイルスを確立しようとする広範な研究は、一様に否定的であった(Greenら Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:6606(1979))。
本発明において有用である適切なアデノウイルスベクターが、例えば、KozarskyおよびWilson、Curr.Opin.Genet.Devel.、3:499〜503(1993);Rosenfeldら、Cell、68:143〜155(1992);Engelhardtら、Human Genet.Ther.、4:759〜769(1993);Yangら、Nature Genet、7:362〜369(1994);Wilsonら、Nature、365:691〜692(1993);および米国特許第5,652,224号に記載されており、これらは本明細書中で参考として援用される。例えば、アデノウイルスベクターAd2が有用であり、そしてヒト293細胞にて増殖され得る。これらの細胞は、アデノウイルスのE1領域を含み、そして構成的にElaおよびElbを発現し、このことは、このベクターから欠失している遺伝子の産物を提供することによって欠損アデノウイルスを補完する。Ad2に加えて、他の多様なアデノウイルス(例えば、Ad3、Ad5、およびAd7)もまた、本発明において有用である。
好ましくは、本発明において使用されるアデノウイルスは、複製欠損性である。複製欠損アデノウイルスは、感染性粒子を形成するために、ヘルパーウイルスおよび/またはパッケージング細胞株の助けを必要とする。得られたウイルスは、細胞に感染する能力があり、そしてプロモーターに作動可能に連結された目的のポリヌクレオチドを発現し得るが、ほとんどの細胞にて複製し得ない。複製欠損アデノウイルスは、次の遺伝子:E1a、E1b、E3、E4、E2aまたはL1からL5までのすべてまたは一部のうちの1つ以上にて欠失され得る。
特定の他の実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して、エキソビボまたはインビボでこの細胞を操作する。AAVは、感染性粒子を生成するためにヘルパーウイルスを必要とする、天然に存在する欠損ウイルスである(Muzyczka,Curr.Topics in Microbiol.Immunol.,158:97(1992))。AAVはまた、非***細胞の中にそのDNAを組み込み得る数少ないウイルスの中の1つである。300塩基対程度の小さいAAVを含むベクターがパッケージされ得、そして組み込み得るが、外来性DNAのためのスペースは約4.5kbに限られる。そのようなAAVの生成および使用の方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,139,941号、同第5,173,414号、同第5,354,678号、同第5,436,146号、同第5,474,935号、同第5,478,745号および同第5,589,377号を参照のこと。
例えば、本発明において使用するために適切なAAVベクターは、DNA複製、キャプシド形成、および宿主細胞組み込みに必要な配列すべてを含む。Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(1989)において見い出される方法のような、標準的クローニング方法を使用して、本発明のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築物を、このAAVベクターに挿入する。次いで、リポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿などを含む、任意の標準的技術を使用して、この組換えAAVベクターを、ヘルパーウイルスに感染しているパッケージング細胞にトランスフェクトする。適切なヘルパーウイルスとしては、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルス、またはヘルペスウイルスが挙げられる。一旦パッケージング細胞がトランスフェクトおよび感染されると、それらは本発明のポリヌクレオチド構築物を含む感染性AAVウイルス粒子を生成する。次いで、エキソビボまたはインビボのいずれかで、これらのウイルス粒子を使用して真核生物細胞を形質導入する。この形質導入細胞は、そのゲノムに組み込まれたポリヌクレオチド構築物を含み、そして所望される遺伝子産物を発現する。
遺伝子治療の別の方法は、相同組換え(例えば、米国特許第5,641,670号、1997年6月24日発行;国際公開第WO96/29411号、1996年9月26日公開;国際公開第WO94/12650号、1994年8月4日公開;Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:8932〜8935(1989);およびZijlstraら、Nature、342:435〜438(1989)を参照のこと)を介して、異種制御領域および内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、目的のポリペプチド配列をコードしている配列)を作動可能に連結する工程を含む。この方法は、標的細胞中に存在しているが、通常はその細胞中で発現しないかまたは所望するよりも低いレベルで発現する、遺伝子の活性化を含む。
当該分野で既知の標準的技術を使用して、ポリヌクレオチド構築物を作製する。この構築物は、プロモーターを、そのプロモーターに隣接した標的化配列とともに含む。適切なプロモーターが、本明細書中に記載されている。標的化配列は、内在性配列に対して十分に相補的であり、プロモーター−標的化配列と内在性配列との相同組換えを可能にする。標的化配列は、所望される内在性ポリヌクレオチド配列の5’末端の十分近くに存在し、それゆえ、相同組換えに際して、プロモーターは、内在性配列に作動可能に連結される。
このプロモーターおよび標的化配列は、PCRを使用して増幅され得る。好ましくは、この増幅されたプロモーターは、5’末端および3’末端に別の制限酵素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅されたプロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末端は、増幅されたプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。増幅されたプロモーターおよび標的化配列を消化し、そしてともに連結する。
裸のポリヌクレオチドとしてか、もしくは上記により詳細に記載されるようなリポソーム、ウイルス配列、ウイルス粒子、ウイルス全体、リポフェクション、沈殿剤などのようなトランスフェクション促進剤と一緒にかのいずれかで、このプロモーター−標的化配列構築物を細胞に送達する。直接針注射、静脈内注射、局所投与、カテーテル注入、粒子加速器などを含む任意の方法により、Pプロモーター−標的化配列を送達し得る。この方法を、下記により詳細に記載する。
プロモーター−標的化配列構築物は、細胞により取り込まれる。この構築物と内在性配列との間に相同組換えが起こり、その結果、内在性配列は、このプロモーターの制御下に配置される。次いで、このプロモーターは、内在性配列の発現を駆動する。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、他の新脈管形成タンパク質をコードする他のポリヌクレオチドと一緒に投与され得る。新脈管形成タンパク質としては、酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子、VEGF−1、VEGF−2(VEGF−C)、VEGF−3(VEGF−B)、上皮増殖因子αおよびβ、血小板由来の内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、および一酸化窒素シンターゼが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、そのタンパク質の分泌を促進する分泌シグナル配列を含む。代表的に、このシグナル配列は、ポリヌクレオチドのコード領域の5’末端に向かってかまたは5’末端で発現される、そのポリヌクレオチドのコード領域に位置する。このシグナル配列は、目的のポリヌクレオチドに対して同種または異種であり得、そしてトランスフェクトされる細胞に対して同種または異種であり得る。さらに、当該分野で公知の方法を使用して、このシグナル配列は化学合成され得る。
その投与形態によって、治療効果を提供するのに十分な量にて1つ以上の分子が発現される限り、上記のポリヌクレオチド権築物のうちのいずれかの任意の投与形態が使用され得る。これは、直接針注射、全身注射、カテーテル注入、バイオリスティック(biolistic)注射器、粒子加速器(すなわち、「遺伝子銃」)、ゲルフォームスポンジデポー(depot)、他の市販デポー(depot)物質、浸透圧ポンプ(例えば、Alzaミニポンプ)、経口用または坐剤用の固形(錠剤または丸剤)薬学的処方物、および手術中のデカンティングまたは局所適用を含む。例えば、ラット肝臓およびラット脾臓へのリン酸カルシウム沈澱した裸のプラスミドの直接注射、または門脈へのタンパク質被覆プラスミド直接注射は、ラット肝臓における外来遺伝子の遺伝子発現をもたらした(Kanedaら、Science、243:375(1989))。
局所投与の好ましい方法は、直接注射によるものである。好ましくは、送達ビヒクルと複合体を形成した本発明の組換え分子は、動脈領域内部に直接注射により投与されるか、または動脈領域内部に局所投与される。動脈領域内部での組成物の局所投与とは、その組成物を動脈内に数センチメートル、好ましくは数ミリメートルで注射することを言う。
局所投与の別の方法は、外科的創傷内またはその周辺に本発明のポリヌクレオチド構築物を接触させることである。例えば、患者は手術を経験し得、そしてこのポリヌクレオチド構築物を創傷内部の組織表面上に被覆され得るか、またはその構築物を創傷内部の組織領域に注射され得る。
全身投与に有用な治療組成物は、本発明の標的化された送達ビヒクルと複合体を形成した本発明の組換え分子を含む。全身投与で使用するために適切な送達ビヒクルは、特定部位に対してそのビヒクルを標的化するリガンドを含むリポソームを含む。
全身投与の好ましい方法としては、静脈内注射、エアロゾル、経口および経皮(局所的)送達が挙げられる。当該分野で標準的な方法を使用して、静脈内注射が実行され得る。当該分野で標準的な方法を使用して、エアロゾル送達もまた実行され得る(例えば、本明細書中で参考として援用される、Striblingら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、189:11277〜11281(1992)を参照のこと)。動物の腸内の消化酵素による分解に耐える能力をもつキャリアに対して本発明のポリヌクレオチド構築物が複合体を形成することにより、経口送達は実行され得る。そのようなキャリアの例としては、当該分野で公知であるもののような、プラスチックカプセルまたは錠剤が挙げられる。皮膚内へ通過可能な親油性試薬(例えば、DMSO)と本発明のポリヌクレオチド構築物を混合することによって、局所的送達は実行され得る。
送達される物質の有効量を決定することは、例えば、その物質の化学構造および生物学的活性、動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびその重症度、ならびに投与経路を含む、多数の因子に依存し得る。処置の頻度は、1用量あたりの投与されるポリヌクレオチド構築物の量ならびに被験体の健康および病歴のような多くの因子に依存する。正確な量、投薬回数および投薬のタイミングは、主治医または主治獣医により決定される。本発明の治療的組成物は、任意の動物に、好ましくは哺乳動物および鳥類に投与され得る。好ましい哺乳動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタが挙げられ、特にヒトである。
(生物学的活性)
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストをアッセイに使用し、1つ以上の生物学的活性について試験し得る。これらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドが特定のアッセイにおいて活性を示す場合、これらの分子はその生物学的活性に関連した疾患に関与し得るようである。従って、このポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、関連した疾患を処置し得る。
(免疫活性)
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、例えば、免疫細胞の増殖、分化、もしくは動員(走化性)を活性化または阻害することにより、免疫系の疾患、障害および/または状態を、処置、予防、および/または診断するのに有用であり得る。免疫細胞は、造血と呼ばれるプロセスを介して発達し、多能性幹細胞から骨髄性細胞(血小板、赤血球、好中球およびマクロファージ)およびリンパ系細胞(Bリンパ球およびTリンパ球)を生成する。これら免疫疾患、障害および/または状態の病因は、遺伝的、身体的(somatic)(例えば、癌またはいくつかの自己免疫性障害)、後天的(例えば、化学療法もしくは毒素による)または感染的であり得る。さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の免疫系の疾患または障害のマーカーまたは検出物質(detector)として使用され得る。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、造血細胞の疾患、障害および/または状態の処置、予防および/または診断において有用であり得る。本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の(または多くの)型の造血細胞の減少に関連した疾患、障害および/または状態を処置または予防する試みにおいて、多能性幹細胞を含む造血細胞の分化および増殖を増加させるために用いられ得る。免疫不全症候群の例としては、血液タンパク質の疾患、障害および/または状態(例えば、無ガンマグロブリン血症、低ガンマグロブリン血症)、毛細血管拡張性運動失調、分類不能型免疫不全、ディ・ジョージ症候群、HIV感染、HTLV−BLV感染、白血球接着不全症候群、リンパ球減少、食細胞殺細菌機能不全、重症複合型免疫不全(SCID)、ヴィスコット−オールドリッチ障害、貧血、血小板減少、またはヘモグロビン尿症が挙げられるが、それらに限定されない。
さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストをまた使用して、止血性活性(出血を止めること)または血栓崩壊活性(血餅形成)を調節し得る。例えば、止血活性または血栓崩壊活性を増大させることにより、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、血液凝固の疾患、障害および/または状態(例えば、無線維素原血症、因子欠損症)、血液血小板の疾患、障害および/または状態(例えば、血小板減少症)、あるいは外傷、手術または他の原因から生じる創傷を処置または予防し得る。あるいは、止血活性または血栓崩壊活性を減少させ得る本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用し、凝血を阻害または溶解し得る。心臓発作(梗塞)、発作(stroke)または瘢痕の処置または予防において、これらの分子は重要であり得る。
自己免疫障害の処置、予防および/または診断において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、有用であり得る。多くの自己免疫障害は、免疫細胞によって外来性物質として不適切に自己認識することから生じる。この不適切な認識は、宿主組織の破壊をもたらす免疫応答を引き起こす。従って、免疫応答、特にT細胞の増殖、分化または走化性を阻害し得る本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの投与は、自己免疫障害の防止において効果的な治療であり得る。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって処置、予防および/または診断され得る自己免疫疾患および障害の例としては、以下の1つ以上が挙げられるがこれらに限定されない:自己免疫溶血性貧血、自己免疫新生児血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性血球減少症、溶血性貧血、抗リン脂質症候群、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、心筋炎、再発性多発性軟骨炎、リウマチ性心疾患、糸球体腎炎(例えば、IgAネフロパシー)、多発性硬化症、神経炎、ブドウ膜炎眼炎、多発性内分泌腺症、紫斑(例えば、ヘノッホ−シェーンライン(Henloch−Scoenlein)紫斑病)、ライター病、Stiff−Man症候群、自己免疫肺炎症、自閉症、ギヤン−バレー症候群、インシュリン依存性糖尿病(mellitis)、および自己免疫炎症性眼、自己免疫甲状腺炎、甲状腺機能低下症(すなわち、橋本甲状腺炎)、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、レセプター自己免疫(例えば、(a)グレーヴズ病、(b)重症筋無力症、および(c)インシュリン耐性など)、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少性紫斑病、慢性関節リウマチ、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症(schleroderma)、混合結合組織病、多発性筋炎/皮膚筋炎、悪性貧血、特発性アディソン病、不妊症、糸球体腎炎(原発性糸球体腎炎およびIgAネフロパシーなど)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、糖尿病およびアドレナリン作用性薬剤耐性(喘息または嚢胞性線維症を伴うアドレナリン作用性薬剤耐性を含む)、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、他の内分泌腺不全、白斑、脈管炎、心筋梗塞後(post−MI)、心臓切開症候群、じんま疹、アトピー性皮膚炎、喘息、炎症性ミオパシーならびに他の炎症性障害、肉芽腫性障害、変性障害および萎縮性障害。
本発明の組成物によって処置、予防および/または診断され得る、さらなる、自己免疫障害(起こり得る)としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:慢性関節リウマチ(例えば、関節における免疫複合体によってしばしば特徴付けられる)、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症(schleroderma)(例えば、核小体抗体および他の核抗体によってしばしば特徴付けられる)、混合結合組織病(例えば、可溶性核抗原(例えば、リボ核タンパク質)に対する抗体によってしばしば特徴付けられる)、多発性筋炎(例えば、非ヒストンANAによってしばしば特徴付けられる)、悪性貧血(例えば、抗壁細胞、ミクロソーム、および内因子抗体によってしばしば特徴付けられる)、特発性アジソン病(例えば、体液および細胞媒介性副腎細胞傷害性によってしばしば特徴付けられる)、不妊症(例えば、抗***抗体によってしばしば特徴付けられる)、糸球体腎炎(例えば、糸球体基底膜抗体または免疫複合体によってしばしば特徴付けられる)、水疱性類天疱瘡(例えば、基底膜中のIgGおよび補体によってしばしば特徴付けられる)、シェーグレン症候群(例えば、多重組織抗体、および/または特定の非ヒストンANA(SS−B)によってしばしば特徴付けられる)、糖尿病(例えば、細胞媒介性および体液性島細胞抗体によってしばしば特徴付けられる)、ならびにアドレナリン作動性薬剤抵抗性(喘息または嚢胞性線維症を伴うアドレナリン作動性薬剤抵抗性を含む)(例えば、βアドレナリンレセプター抗体によってしばしば特徴付けられる)。
本発明の組成物を用いて処置、予防、および/または診断され得る、さらなる自己免疫性障害(これらはあり得る)としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:慢性活性肝炎(例えば、平滑筋抗体によってしばしば特徴付けられる)、原発性胆汁性肝硬変(例えば、ミトコンドリア抗体によってしばしば特徴付けられる)、他の内分泌腺不全(例えば、いくつかの場合は、特定の組織抗体によってしばしば特徴付けられる)、白斑(例えば、メラノサイト抗体によってしばしば特徴付けられる)、脈管炎(例えば、脈管壁におけるIgおよび補体ならびに/または低血清補体によってしばしば特徴付けられる)、MI後(例えば、心筋抗体によってしばしば特徴付けられる)、心臓切開症候群(例えば、心筋抗体によってしばしば特徴付けられる)、じんま疹(例えば、IgEに対するIgG抗体およびIgM抗体によってしばしば特徴付けられる)、アトピー性皮膚炎(例えば、IgEに対するIgG抗体およびIgM抗体によってしばしば特徴付けられる)、喘息(例えば、IgEに対するIgG抗体およびIgM抗体によってしばしば特徴付けられる)、ならびに多くの他の炎症性障害、肉芽種性障害、変性障害、および萎縮性障害。
好ましい実施形態においては、自己免疫性疾患および障害ならびに/または上記に列挙された疾患および障害に関連する状態は、例えば、本発明のアンタゴニスト、またはアゴニスト、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドまたは抗体を用いて、処置、予防、および/または診断される。
特定の好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストが、B細胞および/またはT細胞の免疫不全個体の中で免疫反応性をブーストするための薬剤として用いられ得る。
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および/またはそのアゴニストを投与することにより回復されるかまたは処置され得るB細胞免疫不全としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:重篤な複合型免疫欠損(SCID)−X連鎖、SCID−常染色体、アデノシンデアミナーゼ欠損(ADA欠損)、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、Bruton’s病、先天性無ガンマグロブリン血症、X連鎖乳児無ガンマグロブリン血症、後天性無ガンマグロブリン血症、成人発症無ガンマグロブリン血症、後期発症無ガンマグロブリン血症、異常ガンマグロブリン血症、低ガンマグロブリン血症、一過性乳児低ガンマグロブリン血症、非特異的低ガンマグロブリン血症、無ガンマグロブリン血症、分類不能型免疫不全(CVI)(後天性)、ヴィスコット−オールドリッチ症候群(WAS)、過剰IgMを伴うX連鎖免疫欠損、過剰IgMを伴う非X連鎖免疫欠損、選択的IgA欠損、IgGサブクラス欠損(IgA欠損を伴うかまたは伴わない)、正常なIgまたは上昇したIgを伴う抗体欠損、胸腺腫を伴う免疫欠損、Ig重鎖欠失、κ鎖欠損、B細胞リンパ球増殖性障害(BLPD)、選択的IgM免疫欠損、退縮無ガンマグロブリン血症(Swiss型)、網様発育不全、新生児好中球減少症、重篤な先天性白血球減少症、免疫欠損を伴う胸腺リンパ形成不全症−発育不全症または形成異常症、毛細血管拡張性運動失調、短肢(short limbed)小人症、X連鎖リンパ球増殖症候群(XLP)、Igを伴うネゼロフ症候群複合免疫欠損、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損(PNP)、MHCクラスII欠失(不全リンパ球症候群)および重症複合型免疫不全。
本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、および/またはそのアゴニストを投与することによって、緩和または処置され得るT細胞不全としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:例えば、ディジョージ奇形、胸腺発育不全、第3および第4咽頭嚢症候群、22q11.2欠損、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ナチュラルキラー細胞欠損(NK)、特発性CD4+ Tリンパ球減少、顕著なT細胞欠損を伴う免疫欠損(不特定)、および細胞媒介免疫の不特定の免疫欠損が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、ディジョージ奇形またはディジョージ奇形に関連する状態は、例えば、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、またはそのアンタゴニストもしくはアゴニストを投与することによって、緩和されるか処置される。
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、および/またはそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストを投与することによって寛解または処置され得る他の免疫不全症としては、重症複合型免疫不全(SCID:例えば、X連鎖SCID、常染色体SCID、およびアデノシンデアミナーゼ不全症)、毛細血管拡張性運動失調、ヴィスコット−オールドリッチ症候群、短肢性(short−limber)小人症、X連鎖リンパ球増多症症候群(XLP)、ネゼロフ症候群(例えば、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ不全症)、MHCクラスII不全症が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、毛細血管拡張性運動失調または毛細血管拡張性運動失調に関連する状態が、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、および/またはそれらのアゴニストを投与することによって寛解または処置され得る。
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、慢性関節リウマチが処置、予防、および/または診断される。別の特定の実施形態において、全身性エリテマトーデスが、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置、予防および/または診断される。別の特定の好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、特発性血小板減少性紫斑病が処置、予防および/または診断される。別の特定の好ましい実施形態において、IgAネフロパシーは、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、処置、予防および/または診断される。好ましい実施形態において、自己免疫疾患および自己免疫障害ならびに/または上記の疾患および障害と関連する状態は、本発明タンパク質に対する抗体を用いて、処置、予防、および/または診断される。
同様に、アレルギー反応および状態(例えば、喘息(特にアレルギー性喘息)または他の呼吸障害)はまた、本発明のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、および/またはそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、処置、予防および/または診断され得る。さらに、これらの分子は、アナフィラキシー、抗原性分子に対する過敏性、または血液型不適合を処置、予防および/または診断するために用いられ得る。
さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストをまた用いて、炎症状態を処置、診断、および/または予防し得る。このような炎症性状態としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:例えば、呼吸器障害(例えば、喘息およびアレルギーなど);胃腸障害(例えば、炎症性腸疾患など);癌(例えば、胃癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、肝臓癌、および乳癌など);CNS障害(例えば、多発性硬化症、血液脳関門透過性、虚血性脳損傷、および/または脳梗塞、外傷性脳損傷、神経変性性障害(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病など)、AIDS関連痴呆、およびプリオン病);心血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化症、心筋炎、心血管疾患、および心肺バイパス合併症など);ならびに炎症によって特徴付けられる多くのさらなる疾患、状態、および障害(例えば、慢性肝炎(BおよびC)、慢性関節リウマチ、痛風、外傷、敗血性ショック、膵炎、サルコイドーシス、皮膚炎、腎虚血再還流障害、グレーヴス病、全身性エリテマトーデス、真性糖尿病(例えば、I型糖尿病)、および同種異系移植拒絶など)。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、および/またはそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストは、移植拒絶、対宿主性移植片病、自己免疫および炎症性疾患(例えば、免疫複合体誘導血管炎、糸球体腎炎、溶血性貧血、重症筋無力症、II型コラーゲン誘導動脈炎、実験アレルギー性および超急性異種移植変拒絶、慢性関節リウマチ、および全身性エリテマトーデス(SLE)を処置、診断、および/または予防するのに有用である。器官拒絶は、免疫反応による、移植された組織の宿主免疫細胞破壊によって生じる。同様に、免疫反応はまた、GVHDに関するが、この場合、外来の移植された免疫細胞が、宿主組織を破壊する。本発明のポリペプチド、抗体、もしくはポリヌクレオチドおよび/またはそのアゴニストもしくはアンタゴニスト(免疫応答、特にT細胞の活性化、増殖、分化、または走化性を阻害する)は、器官拒絶またはGVHDを予防するのに有効な治療であり得る。
同様に、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストをまた使用し、炎症を調節および/または診断し得る。例えば、本発明のポリペプチド、抗体、もしくはポリヌクレオチド、および/または本発明のアゴニストもしくはアンタゴニストは、炎症応答に関与する細胞の活性化、増殖および/または分化を阻害し得る。これらの分子を使用して、感染に関連する炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、または全身炎症応答症候群(SIRS))、虚血再灌流傷害に関連する炎症、内毒素致死に関連する炎症、関節炎に関連する炎症、補体媒介性超急性拒絶に関連する炎症、腎炎に関連する炎症、サイトカインまたはケモカインが誘導する肺傷害に関連する炎症、炎症性腸疾患に関連する炎症、クローン病に関連する炎症またはサイトカイン(例えば、TNFまたはIL−1)の過剰生成から生じる炎症を含むがこれらに限定されない、慢性および急性の両方の状態の炎症状態を処置、診断、および予後を判断し得る。
本発明のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、感染性因子を処置、検出、および/または予防するために用いられ得る。例えば、免疫応答を増大することによって、特にB細胞および/またはT細胞の増殖、活性化および/または分化を増大することによって、感染性疾患は、処置、検出、および/または予防され得る。免疫応答は、既存の免疫応答を増大するか、または新しい免疫応答を惹起するかのいずれかによって、増大され得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、免疫応答の必然的な惹起なしに、感染性因子(感染性因子の適用列挙の節などで述べる)を直接阻害し得る。
本発明のさらなる好ましい実施形態としては、以下の適用におけるポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストの使用が挙げられるがこれらに限定されない:
免疫系をブーストし、1つ以上の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、およびIgE)の量の増大を生じ、高い親和性の抗体産生(例えば、IgG、IgA、IgMおよびIgE)を誘導し、および/または免疫応答を増大するための動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ、ニワトリ、ラクダ、ヤギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、およびヒト、最も好ましくはヒト)への投与。
機能的な内因性抗体分子を産生できないか、さもなければ易感染性の内因性免疫系を有するが、別の動物由来の再構成されたか、または部分的に再構成された免疫系の手段によってヒト免疫グロブリン分子を産生し得る、動物(上記に列挙した動物を含むがこれに限定されず、またトランスジェニック動物も含む)への投与(例えば、PCT公開番号、WO98/24893、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741を参照のこと)。
特定の抗原に対する免疫応答性を増強するワクチンアジュバント。
腫瘍特異的免疫応答を増強するためのアジュバント。
抗ウイルス免疫応答を増強するアジュバント。アジュバントとして本発明の組成物を用いて増強され得る抗ウイルス免疫応答としては、ウイルスおよび本明細書において記載されるかさもなければ当該分野で公知のウイルス関連疾患および症状が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、以下:AIDS、髄膜炎、デング、EBV、および肝炎(例えば、B型肝炎)からなる群より選択される、ウイルス、疾患または症状に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして用いられる。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、以下:HIV/AIDS、RSウイルス、デング、ロタウイルス、日本脳炎、インフルエンザAおよびB、パラインフルエンザ、麻疹、サイトメガロウイルス、狂犬病、Juninウイルス、チクングニヤウイルス、リフトバレー熱、単純疱疹、および黄熱病からなる群より選択されるウイルス、疾患または症状に対する免疫応答を増強するアジュバントとして用いられる。
抗細菌免疫応答または抗真菌免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュバントとして本発明の組成物を使用して増大され得る抗細菌免疫応答または抗真菌免疫応答としては、細菌または真菌、および本明細書中に記載されるか、またはさもなくば当該分野で公知の疾患または症状に関連する細菌または真菌が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、細菌または真菌、疾患、または症状(これは、破傷風、ジフテリア、ボツリスム、およびB型髄膜炎からなる群から選択される)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、細菌または真菌、疾患、または症状(これは、Vibrio cholerae、Mycobacterium leprae、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Meisseria meningitidis、Streptococcus pneumoniae、Group B streptococcus、Shigella spp.、Enterotoxigenic Escherichia coli、Enterohemorrhagic E.coli、Borrelia burgdorferi、およびPlasmodium(マラリア)からなる群から選択される)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
抗寄生生物免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュバントとして本発明の組成物を使用して増大され得る抗寄生生物免疫応答としては、寄生生物、および本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の疾患または症状に関連する寄生生物が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、寄生生物に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、Plasmodium(マラリア)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
病原に対するB細胞応答性の刺激物質として。
T細胞のアクチベーターとして。
免疫抑制性治療を受ける前の、個体の免疫状態を増大させる薬剤として。
より高い親和性抗体を誘導するための薬剤として。
血清免疫グロブリン濃度を増加するための薬剤として。
免疫無防備状態の個体の回復を促進するための薬剤として。
高齢の集団の間の免疫応答性をブーストするための薬剤として。
骨髄移植および/または他の移植(例えば、同種異系または外因性の器官移植)の前、間、または後の免疫系エンハンサーとして。移植に関して、本発明の組成物は、移植の前、同時、および/または後に投与され得る。特定の実施形態において、本発明の組成物は、移植の後、T細胞集団の回復の開始前に投与される。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、移植の後、T細胞集団の回復の開始後であるが、B細胞集団の完全な回復の前に最初に投与される。
B細胞機能の後天的欠損を有する個体間で免疫応答性をブーストするための薬剤として。ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストを投与することによって寛解または処置され得る、B細胞機能の後天的欠損を生じる状態としては、HIV感染、AIDS、骨髄移植、およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)が挙げられるが、これらに限定されない。
一時的な免疫不全を有する個体間で免疫応答性をブーストするための薬剤として。ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストを投与することによって寛解または処置され得る、一時的な免疫不全を生じる状態としては、ウイルス感染(例えば、インフルエンザ)からの回復、栄養失調に関連する状態、感染性単核細胞症からの回復、またはストレスに関連する状態、麻疹からの回復、輸血からの回復、手術からの回復が挙げられるが、これらに限定されない。
単球、樹状細胞および/またはB細胞による抗原提示のレギュレーターとして。1つの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、インビトロまたはインビボで抗原提示を増強するかまたは抗原提示をアンタゴナイズする。さらに、関連する実施形態において、この抗原提示の増強またはアンタゴナイズは、抗腫瘍処置としてかまたは免疫系を調節するために有用であり得る。
個体の免疫系を、TH1細胞性応答とは反対に、体液性応答(すなわち、TH2)の発生に指向するための薬剤として。
腫瘍増殖を誘導し、従って、腫瘍を抗腫瘍性薬剤に対してより感受性にするための手段として。例えば、多発性骨髄腫は、緩慢な細胞***(dividing)の疾患であり、従って、実質的に全ての抗腫瘍性レジメンに対して不応性である。これらの細胞は、より迅速に増殖させた場合、これらの感受性プロフィールは、おそらく変化するであろう。
AIDS、慢性リンパ球障害および/または分類不能性免疫不全症(Common Variable Immunodificiency)のような病理におけるB細胞の産生の刺激因子として。
手術、外傷または遺伝的欠陥後のリンパ組織の生成および/または再生のための治療として。
SCID患者の間で観察されるような免疫不全を生じる遺伝性の障害のための遺伝子ベースの治療として。
本発明のポリペプチドに対する免疫媒介応答を阻害または増強するための抗体を生成するための抗原として。
T細胞を活性化する手段として。
単球に影響を及ぼす寄生生物疾患(リーシュマニア属(Leshmania))に対して防御するために単球/マクロファージを活性化する手段として。
移植前の骨髄サンプルの前処理として。このような処理は、B細胞提示を増加し、従って回復を加速する。
本発明のポリペプチドによって誘発される分泌サイトカインを調節する手段として。
さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、および/またはそのアゴニストは、IgE媒介アレルギー応答を処置または予防するために使用され得る。このようなアレルギー反応としては、ぜん息、鼻炎および湿疹が挙げられるが、これらに限定されない。
上記の適用の全ては、獣医学的医療に適用され得る。
本発明のアンタゴニストとしては、例えば、結合および/または阻害性の抗体、アンチセンス核酸、リボザイムが挙げられる。これらは、上記のリガンドの活性の多くを無効にし、そして以下のような臨床的または実用的な適用を見い出すことが予測される。
外来因子または自己に対する種々の局面の免疫応答をブロックする手段として。例としては、狼瘡および関節炎のような自己免疫障害、ならびに皮膚アレルギー、炎症、腸疾患、損傷および病原体に対する免疫応答が挙げられる。
自己免疫疾患(例えば、特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデスおよびMS)に関連するB細胞増殖およびIg分泌を妨げるための治療として。
内皮細胞におけるB細胞および/またはT細胞の遊走のインヒビターとして。この活性は、組織構造または同属の応答を破壊し、そして例えば、免疫応答の破壊および敗血症のブロックにおいて有用である。
対宿主性移植片病または移植片拒絶のインヒビターとして。
ALL、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、プラスマ細胞腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫およびEBV変換性(EBV−transformed)疾患のようなB細胞および/またはT細胞の悪性疾患のための治療。
未定量有意性の単一クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclonalgammopathy of undetermined significance)(MGUS)、ヴァルデンストレーム疾患、関連する特発性単一クローン性高ガンマグロブリン血症、およびプラスマ細胞腫のような疾患における、慢性の高ガンマグロブリン血症事象のための治療。
ラージB細胞リンパ腫の細胞増殖を減少するための治療。
慢性骨髄性白血病に関連するB細胞およびIgの関与を減少する手段。
免疫抑制剤。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、インビトロまたはインビボでのIgE濃度を調節するために使用され得る。
別の実施形態において、本発明のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストの投与は、ぜん息、鼻炎および湿疹を含むがこれらに限定されない、IgE媒介アレルギー反応を処置または予防するために使用され得る。
アゴニストおよびアンタゴニストは、例えば、上記のような、薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物において使用され得る。
アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、特定の自己免疫疾患および慢性炎症疾患および感染性疾患における、マクロファージおよびその前駆体、ならびに好中球、好塩基球、Bリンパ球およびいくつかのT細胞サブセット(例えば、活性化T細胞およびCD8細胞傷害性T細胞ならびにナチュラルキラー細胞)の、ポリペプチド走化性および活性化を阻害するために使用され得る。自己免疫疾患の例は、本明組書中に記載され、その自己免疫疾患の例としては、多発性硬化症およびインスリン依存性糖尿病が挙げられる。アンタゴニストまたはアゴニストはまた、例えば、単核食細胞の補充および活性化を妨げることによって、珪肺症、サルコイドーシス、特発性肺線維症を含む、感染性疾患を処置するために使用され得る。これらはまた、例えば、好酸球の産生および遊走を妨げることによって、特発性好酸球増多症候群を処置するために使用され得る。アンタゴニストまたはアゴニストはまた、例えば、動脈壁における単球浸潤を妨げることによって、アテローム性動脈硬化症を処置するために使用され得る。
本発明のポリペプチドに対する抗体は、ARDSを処置するために使用され得る。
本発明のアゴニストおよび/またはアンタゴニストはまた、創傷および組織の修復の刺激、新脈管形成の刺激、血管またはリンパの疾患または障害の修復の刺激における用途を有する。さらに、本発明のアゴニストおよびアンタゴニストは、粘膜表面の再生を刺激するために使用され得る。
特定の実施形態において、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはそれらのアゴニストは、原発性または後天性の免疫不全、欠損性の血清免疫グロブリン産生、再発性の感染および/または免疫系機能不全によって特徴付けられる障害を処置または予防するために使用される。さらに、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはそれらのアゴニストは、関節、骨、皮膚および/または耳下腺の感染、血液由来の感染(例えば、敗血症、髄膜炎、敗血症性関節炎および/または骨髄炎)、自己免疫疾患(例えば、本明細書中に開示されるような自己免疫疾患)、炎症性障害、および悪性疾患、ならびに/あるいはこれらの感染、疾患および/または悪性疾患に関連する任意の疾患または障害または状態(CVID、他の原発性免疫不全、HIV疾患、CLL、再発性気管支炎、静脈洞炎、中耳炎、結膜炎、肺炎、肝炎、髄膜炎、帯状ヘルペス(例えば、重篤な帯状ヘルペス)および/またはニューモシスティスを含むが、これらに限定されない)を処置または予防するために使用され得る。
別の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、分類不能性免疫不全症(Common Variable Immunodificiency)(「CVID」;「後天性無ガンマグロブリン血症」および「後天性低ガンマグロブリン血症」としても公知である)またはこの疾患のサブセットを有する個体を、処置および/または診断するために使用される。
特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、(1)癌または新生物、および(2)自己免疫細胞または組織関連癌または新生物を処置、診断、および/または予防するために用いられ得る。好ましい実施形態において、本明細書中に記載されるように、毒素または放射性同位体に結合体化された本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、急性骨髄性白血病を処置、診断、および/または予防するために用いられ得る。さらに好ましい実施形態において、本明細書中に記載されるように、毒素または放射活性同位体に結合体化された本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、および/またはホジキン病を処置、診断、診断、および/または予防するために用いられ得る。
別の特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用して、選択的IgA欠損、ミエロペルオキシダーゼ欠損、C2欠損、毛細管拡張性運動失調、DiGeorge奇形、分類不能型免疫不全(CVI)、X連鎖無ガンマグロブリン血、重症複合免疫不全(SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、およびWiskott−Aldrich症候群を処置、診断、予測、および/または予防し得る。
処置または検出され得る自己免疫障害の例としては、アディソン病、溶血性貧血、抗リン脂質症候群、慢性関節リウマチ、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴズ病、多発性硬化症、重症筋無力症、神経炎、眼炎痛、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、多発性内分泌腺症、紫斑病、ライター病、スティッフマン症候群、自己免疫性甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、自己免疫性の肺の炎症、ギヤン−バレー症候群、インスリン依存性糖尿病、および自己免疫炎症性眼疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
好ましい実施形態において、自己免疫疾患および障害ならびに/または上記の疾患および障害に関連する状態は、本発明のポリペプチドに対する抗体を用いて、処置、予測、予防、および/または診断される。
B細胞免疫不全個体(例えば、部分的または完全な脾臓摘出術をうけた個体など)の間で免疫応答性をブーストするための因子として用いられる。
さらに、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストは、アポトーシスに影響し得、従って、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストは、細胞生存の増大またはアポトーシスの阻害に関連する多くの疾患を処置するのに有用である。例えば、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストによって処置または検出され得る、細胞生存の増大またはアポトーシスの阻害に関連する疾患としては、以下が挙げられる:癌(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を伴う癌、およびホルモン依存性腫瘍(大腸癌、心臓腫瘍、膵臓癌、黒色腫、網膜芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、肺癌、腸癌、精巣癌、胃癌、神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、骨巨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳癌、前立腺癌、カポジ肉腫および卵巣癌が挙げられるが、これらに限定されない));自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s disease)、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルスおよびアデノウイルス)、炎症、対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、ならびに慢性移植片拒絶。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/またはアンタゴニストは、特に上記に列挙される、癌の増殖、進行、および/または転移(metasis)を阻害するために使用される。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/またはアンタゴニストによって処置または検出され得る細胞生存に関連したさらなる疾患または状態としては、以下のような悪性腫瘍および関連する障害の増殖および/または転移が挙げられるがこれらに限定されない:白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、および赤白血病を含む))、および慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病)を含む)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクロ大グロブリン血症、H鎖病、および固形腫瘍(肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/またはアンタゴニストによって処置または検出され得る、増加したアポトーシスに関連する疾患としては、以下が挙げられる:AIDS;神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性および脳腫瘍または以前に関連した疾患);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s disease)、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)、脊髄形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、対宿主性移植片病、虚血性傷害(心筋梗塞、発作および再灌流傷害によって生じるようなもの)、肝臓傷害(例えば、肝炎関連肝臓傷害、虚血/再灌流傷害、胆汁うっ滞(cholestosis)(胆管傷害)および肝臓癌);毒物誘導性肝臓疾患(アルコールによって引き起こされるようなもの)、敗血症性ショック、悪液質ならびに食欲不振。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/またはアンタゴニストによって検出および/または処置され得る過剰増殖性の疾患および/または障害としては、以下に位置する新生物が挙げられるがこれらに限定されない:肝臓、腹部、***、消化器系、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭部および頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、ならびに泌尿生殖器。
同様に、他の過剰増殖性障害もまた、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/またはアンタゴニストによって処置または検出され得る。このような過剰増殖性障害の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑、サルコイドーシス、セザリー症候群、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ゴシェ病、組織球増殖症、および任意の他の過剰増殖性疾患、加えて上記に列挙した器官系に見出される新生物。
(過剰増殖障害)
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用して、新生物を含む過剰増殖性疾患、障害を処置、予防および/または診断し得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、直接的または間接的な相互作用を介してこの障害の増殖を阻害し得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、過剰増殖障害を阻害し得る他の細胞を増殖させ得る。
例えば、免疫応答を増大させること、特に過剰増殖障害の抗原性の質を増大させることによって、またはT細胞を増殖、分化、もしくは動員することによって、過剰増殖性の疾患、障害および/または状態を処置、予防および/または診断し得る。既存の免疫応答を増強するか、または新たな免疫応答を開始するかのいずれかによって、この免疫応答を増大させ得る。あるいは、免疫応答を減少させることもまた、化学療法剤のような、過剰増殖性の疾患、障害および/または状態を処置、予防および/または診断する方法であり得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって処置、予防および/または診断され得る過剰増殖性の疾患、障害および/または状態の例としては、結腸、腹部、骨、胸、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭および首、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸郭、ならびに尿生殖器に位置する新生物が挙げられるが、これらに限定されない。
同様に、他の過剰増殖性の疾患、障害および/または状態もまた、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置、予防および/または診断され得る。そのような過剰増殖性の疾患、障害および/または状態の例としては、高ガンマグロブリン血症、リンパ増殖性の疾患、障害および/または状態、パラプロテイン血症、紫斑病、類肉腫症、セザリー症候群、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ゴシェ病、組織球増殖症、ならびに任意の他の過剰増殖疾患、さらに上記に収載されている器官系に位置している新生物が挙げられるが、それらに限定されない。
1つの好ましい実施形態は、本発明のポリヌクレオチドを利用して、本発明、および/またはタンパク質融合物もしくはそのフラグメントを用いる遺伝子治療により、異常な細胞***を阻害する。
従って、本発明は、異常に増殖している細胞に、本発明のポリヌクレオチドを挿入することにより細胞増殖性の疾患、障害および/または状態を処置または予防するための方法を提供する。ここで、上記のポリヌクレオチドは、上記の発現を抑制する。
本発明の別の実施形態は、個体における細胞増殖性の疾患、障害および/または状態を処置または予防する方法を提供し、この方法は、異常に増殖している細胞に本発明の1つ以上の活性な遺伝子コピーを投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、上記のポリヌクレオチドをコードするDNA配列を発現する際に有効な組換え発現ベクターを含むDNA構築物である。本発明の別の好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドをコードするDNA構築物を細胞に挿入して、レトロウイルス(または、より好ましくは、アデノウイルスベクター)を利用して処置する(参考として本明細書中に援用される、G J.Nabelら、PNAS 1999 96:324−326を参照のこと)。最も好ましい実施形態において、このウイルスベクターは欠損性であり、そして非増殖細胞を形質転換せず、増殖細胞のみを形質転換する。さらに、好ましい実施形態において、増殖している細胞に、単独で、または他のポリヌクレオチドとともに、もしくは他のポリヌクレオチドと融合して挿入される本発明のポリヌクレオチドは、次いで、外部刺激(すなわち、磁性、特定の低分子、化学物質、または薬物投与など)により調節され得る。この刺激は、上記のポリヌクレオチドの上流にあるプロモーターに作用して、コードされたタンパク質産物の発現を誘導する。このようにして、本発明の有益な治療効果は、上記の外部刺激に基づいて、明らかに調節され得る(すなわち、本発明のポリヌクレオチドの発現を増加、減少、または阻害するために)。
本発明のポリヌクレオチドは、発癌性遺伝子または抗原の発現を抑制する際に有用であり得る。「発癌性遺伝子の発現を抑制する」とは、遺伝子の転写の抑制、遺伝子転写物(前メッセンジャー(pre−massage)RNA)の分解、スプライシングの阻害、メッセンジャーRNAの破壊、タンパク質の翻訳後修飾の妨げ、タンパク質の破壊、またはタンパク質の正常機能の阻害を意図する。
異常に増殖する細胞に対する局所的な投与に関しては、本発明のポリヌクレオチドは、当業者に公知の任意の方法により投与され得、この方法としては、トランスフェクション、エレクトロポレーション、細胞のマイクロインジェクション、例えば、リポソームのようなビヒクルにおいて、リポフェクチン、または裸のポリヌクレオチド、または本明細書中全体を通して記載される任意の他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子送達系(例えば、当業者に公知のレトロウイルスベクター(Gilboa,J.Virology 44:845(1982);Hocke,Nature 320:275(1986);Wilsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.85:3014);ワクシニアウイルス系(Chakrabartyら,Mol.Cell Biol.5:3403(1985))または他の効率的なDNA送達系(Yatesら,Nature 313:812(1985))に限定されない)により送達され得る。これらの参考文献は、例示にすぎず、そして本明細書中に参考として援用される。異常に増殖している細胞に特異的に送達するか、またはそれをトランスフェクトし、そして非***細胞を残す(spare)ために、当業者に公知のレトロウイルスまたはアデノウイルス(例えば、当該分野または本明細書中で記載される)送達系を利用することが好ましい。宿主DNA複製は組み込むためにレトロウイルスDNAが必要であるので、このレトロウイルスは、その生活環についての必要とされるレトロウイルス遺伝子の欠如に起因して自己複製できない。本発明のポリヌクレオチドのために、このようなレトロウイルス送達系を利用して、上記の遺伝子および構築物を、異常に増殖している細胞に標的化し、そして非***性の正常細胞を残す。
本発明のポリヌクレオチドは、疾患部位に直接注射針を導くために使用される画像化デバイスの使用によって、内部器官、体腔などにおける細胞増殖性障害/疾患部位に直接送達され得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、手術介入時に疾患部位に投与され得る。
「細胞増殖性疾患」とは、任意のヒトもしくは動物の疾患または障害が、器官、腔、または身体部分のいずれか1つもしくはいずれかの組み合わせを冒していることを意味する。この疾患は、良性または悪性に拘わらず、細胞、細胞群、もしくは組織の単一または複数の局所的な異常な増殖により特徴づけられる。
本発明のポリヌクレオチドの任意の量は、この量が、処置細胞の増殖に対して生物学的に阻害性の効果を有する限り、投与され得る。さらに、本発明の1つより多くのポリヌクレオチドを、同時に同じ部位に投与することが可能である。「生物学的に阻害性の」とは、部分的または全体的な成長阻害ならびに細胞の増殖または成長の速度における減少を意味する。生物学的に阻害性の用量は、標的の悪性または組織培養において異常に増殖している細胞の成長、動物および細胞培養物における腫瘍成長に対する本発明のポリヌクレオチドの効果を評価すること、あるいは当業者に公知の任意の他の方法により決定され得る。
本発明はさらに、抗体に基づく治療に関し、この方法は、記載される疾患、障害および/または状態の1つ以上を処置、予防および/または診断するために、哺乳動物(好ましくはヒト)の患者に抗ポリペプチド抗体および抗ポリヌクレオチド抗体を投与する工程を包含する。抗ポリペプチド抗体および抗ポリヌクレオチド抗体(ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体)を生成するための方法は、本明細書中の他の箇所に詳細に記載される。このような抗体は、当該分野で公知のように、または本明細書中に記載されるように薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。
本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の概要は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを、身体において局所的もしくは全身的に、または抗体の直接的な細胞傷害性(例えば、補体による媒介(CDC)もしくはエフェクター細胞による媒介(ADCC))により結合させる工程を包含する。これらのアプローチのいくつかは、以下により詳細に記載される。本明細書中に提供される教示があれば、当業者は、本発明の抗体を、過度の実験なくして、診断、モニタリングまたは治療の目的のために使用する方法を知る。
詳細には、本発明の抗体、フラグメントおよび誘導体は、本明細書中に記載されるように、細胞増殖および/または分化の疾患、障害および/または状態を有するか、または発症している被験体を処置、予防および/または診断するために有用である。このような処置は、単一用量または複数用量の抗体、あるいはそのフラグメント、誘導体、または結合体を投与する工程を包含する。
本発明の抗体は、他のモノクローナル抗体もしくはキメラ抗体と組み合わせて、またはリンホカインもしくは造血増殖因子(例えば、これは、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活性が増加するように作用する)と組み合わせて、有利に利用され得る。
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、そのフラグメントもしくは領域に対して、高親和性および/または強力なインビボ阻害抗体および/または中和抗体を使用することは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド(そのフラグメントを含む)に関する疾患、障害および/または状態に関するイムノアッセイおよびその治療の両方のために好ましい。このような抗体、フラグメント、または領域は、好ましくは、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド(そのフラグメントを含む)に対する親和性を有する。好ましい結合親和性は、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10-15M未満の解離定数すなわちKdを有する親和性を含む。
さらに、本発明のポリペプチドは、本明細書中の他の箇所に記載されるように、単独で、融合タンパク質として、または直接的にもしくは間接的に他のポリペプチドとの組み合わせでかのいずれかで、増殖性細胞もしくは組織の脈管形成を阻害する際に有用である。最も好ましい実施形態において、上記の抗脈管形成効果は、例えば、造血性の腫瘍特異的細胞(例えば、腫瘍関連マクロファージ)の阻害を通じて、間接的に達成され得る(本明細書中に参考として援用される、Joseph IBら、J Natl Cancer Inst,90(21):1648−53(1998)を参照のこと)。本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する抗体はまた、脈管形成の直接的または間接的な阻害を生じ得る(本明細書中に参考として援用される、Witte L.ら、Cancer Metastasis Rev.17(2):155−61(1998)を参照のこと)。
本発明のポリペプチド(タンパク質融合物を含む)、またはそのフラグメントは、アポトーシスの誘導を通じて増殖性細胞または組織を阻害する際に有用であり得る。上記のポリペプチドは、直接的または間接的のいずれかで、増殖性の細胞および組織のアポトーシスを誘導するように、例えば、死ドメインレセプター(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)レセプター1、CD95(Fas/APO−1)、TNFレセプター関連アポトーシス媒介タンパク質(TRAMP)ならびにTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)レセプター1および2(本明細書中に参考として援用されるSchulze−Osthoff K,ら、Eur J Biochem 254(3):439−59(1998)を参照のこと))の活性化において作用し得る。さらに、本発明の別の好ましい実施形態において、上記のポリペプチドは、他の機構を通じて(例えば、アポトーシスを活性化する他のタンパク質の活性化において)あるいは上記タンパク質の発現を単独でまたは低分子薬物もしくはアジュバント(例えば、アポプトニン、ガレクチン、チオレドキシン、抗炎症性タンパク質)と組み合わせてかのいずれかで刺激することを通じて、アポトーシスを誘導し得る(例えば、本明細書中に参考として援用される、Mutat Res 400(1−2):447−55(1998),Med Hypotheses.50(5):423−33(1998),Chem Biol Interact.Apr 24;111−112;23−34(1998))、J Mol Med.76(6):402−12(1998),Int J Tissue React;20(1):3−15(1998)を参照のこと)。
本発明のポリペプチド(それに対するタンパク質融合物を含む)、またはそのフラグメントは、増殖性細胞または組織の転移を阻害する際に有用である。阻害は、本明細書中他の箇所に記載されるように、ポリペプチドまたは上記ポリペプチドに対する抗体を投与する工程の直接的結果として、または間接的に(例えば、転移を阻害することが公知のタンパク質(例えば、α4インテグリン)の発現を活性化する)生じ得る(例えば、本明細書中に参考として援用される、Curr Top Microbiol Immunol 1998;231:125−41を参照のこと)。本発明のこのような治療的影響は、単独で、または低分子薬物もしくはアジュバントと組み合わせてかのいずれかで達成され得る。
別の実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば、ポリペプチドまたは異種ポリペプチドに関連するポリペプチド抗体、異種核酸、毒素、またはプロドラッグを含む組成物)を含む組成物を、本発明のポリペプチドを発現する、標的とされた細胞に送達する方法を提供する。本発明のポリペプチドまたはポリペプチド抗体は、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、またはプロドラッグと、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合的な相互作用を通じて結合され得る。
本発明のポリペプチド、それに対するタンパク質融合物、またはそのフラグメントは、増殖性抗原および免疫原に対して、直接的(例えば、本発明のポリペプチドが「ワクチン接種」された場合、上記の抗原および免疫原に対して応答するように免疫応答を生じる)または間接的(例えば、免疫応答を増強することが公知のタンパク質(例えば、ケモカイン)の発現を活性化することにおいて)のいずれかで、増殖している細胞または組織の免疫原性および/または抗原性を増強する際に有用である。
(心臓血管障害)
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用して、四肢虚血のような末梢動脈疾患を含む、心臓血管の疾患、障害および/または状態を処置、予防および/または診断し得る。
心臓血管の疾患、障害および/または状態としては、動動脈瘻(arterio−arterial fistula)、動静脈瘻、大脳動静脈先天異常、先天性心欠陥(congenital heart defects)、肺動脈弁閉鎖症、およびシミター症候群のような心臓血管異常が挙げられる。先天性心欠陥としては、大動脈縮窄、三房心、冠状脈管奇形(coronary vessel anomalies)、交差心、右胸心、開存性動脈管(patent ductus arteriosus)、エブスタイン奇形、アイゼンメンガー複合体、左心室発育不全症候群、左胸心、ファロー四徴症、大血管転位症、両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖症、動脈管遺残、および心中隔欠損症(heart septal defects)(例えば、大動脈肺動脈中隔欠損症(aortopulmonary septal defect)、心内膜床欠損症、リュタンバッシェ症候群、ファロー三徴症、心室心中隔欠損症(ventricular heart septal defects))が挙げられる。
心臓血管の疾患、障害および/または状態としてはまた、不整脈、カルチノイド心臓病、高心拍出量(high cardiac output)、低心拍出量(low cardiac output)、心タンポナーデ、心内膜炎(細菌性を含む)、心臓動脈瘤、心停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困難、心臓水腫、心肥大、うっ血性心筋症、左心室肥大、右心室肥大、梗塞後心破裂(post−infarction heart rupture)、心室中隔破裂、心臓弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心内膜液浸出、心外膜炎(梗塞性および結核性を含む)、気心膜症、心膜切開後症候群、右心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、充血、心臓血管妊娠合併症(cardiovascular pregnancy complications)、シミター症候群、心血管梅毒、および心血管結核(cardiovascular tuberculosis)のような心臓病が挙げられる。
不整脈としては、洞性不整脈、心房性細動、心房粗動、徐脈、期外収縮、アダムズ−ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、長QT症候群(long QT syndrome)、副収縮、ローン−ギャノング−レヴァイン症候群、マヘーム型早期興奮症候群(Mahaim−type pre−excitation syndrome)、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、洞不全症候群、頻拍、および心室性細動が挙げられる。頻拍としては、発作性頻拍、上室性頻拍、心室固有調律促進、房室結節性再入頻拍(atrioventricular nodal reentry tachycardia)、異所心房性頻拍、異所接合部頻拍、洞房結節性再入頻拍(sinoatrial nodal reentry tachycardia)、洞性頻拍、トルサード・ド・ポワント、および心室性頻拍が挙げられる。
心臓弁疾患としては、大動脈弁機能不全症、大動脈弁狭窄症、心雑音(hear murmurs)、大動脈弁逸脱症、僧帽弁逸脱症、三尖弁逸脱症、僧帽弁機能不全、僧帽弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖症、肺動脈弁機能不全、肺動脈弁狭窄症、三尖閉鎖症、三尖弁機能不全、および三尖弁狭窄症が挙げられる。
心筋疾患としては、アルコール性心筋症、うっ血性心筋症、肥大型心筋症、弁下部性大動脈狭搾症、弁下部性肺動脈狭搾症、拘束型心筋症、シャーガス心筋症、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、キーンズ症候群、心筋再灌流障害、および心筋炎が挙げられる。
心筋性虚血としては、狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠動脈血栓症、冠動脈血管痙攣、心筋梗塞、および心筋気絶(myocardial stunning)のような冠動脈疾患が挙げられる。
心臓血管疾患としてはまた、動脈瘤、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫症状、ヒッペル−リンダラ疾患(Hippel−Lindau Disease)、クリペル−トルノネー−ウェーバー症候群、スタージ−ウェーバー症候群、血管運動神経性水腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、ルリーシュ症候群、動脈閉塞疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発性動脈炎、脳血管の疾患、障害および/もしくは状態、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、先端紅痛症、痔、肝静脈閉塞障害、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管障害、静脈炎、肺静脈閉塞疾患、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞疾患、レーノー病、CREST症候群、網膜静脈閉塞、シミター症候群、上大静脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡張性運動失調(atacia telangiectasia)、遺伝性出血性毛細管拡張症、精索静脈瘤、拡張蛇行静脈、静脈瘤性潰瘍、脈管炎、および静脈機能不全のような血管疾患が挙げられる。
動脈瘤としては、解離性動脈瘤、偽動脈瘤、感染した動脈瘤、破裂した動脈瘤、大動脈性動脈瘤、大脳性動脈瘤、冠動脈瘤、心動脈瘤、および腸骨性動脈瘤が挙げられる。
動脈閉塞疾患としては、動脈硬化症、間欠性跛行、頸動脈狭窄症、線維筋性形成異常、腸間膜性血管閉塞、モヤモヤ病、腎動脈閉塞、網膜動脈閉塞、および閉塞性血栓性血管炎が挙げられる。
脳血管の疾患、障害および/または状態としては、頸動脈疾患、脳アミロイド脈管障害、大脳動脈瘤、大脳無酸素症、大脳動脈硬化、大脳動静脈先天異常、大脳動脈疾患、大脳の塞栓症および血栓症、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、大脳出血、硬膜上血腫、硬膜下血腫、クモ膜下出血(subaraxhnoid hemorrhage)、大脳梗塞、大脳虚血(一過性を含む)、鎖骨下動脈盗血症候群、室周白軟化症(periventricular leukomalacia)、血管性頭痛、群発性頭痛、片頭痛、および椎骨基部(vertebrobasilar)機能不全が挙げられる。
塞栓症としては、空気塞栓症、羊水塞栓症、コレステロール塞栓症、爪先チアノーゼ症候群、脂肪塞栓症、肺動脈塞栓症、および血栓塞栓症が挙げられる。血栓症としては、冠状動脈血栓症、肝静脈血栓症、網膜静脈閉塞、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、および血栓性静脈炎が挙げられる。
虚血としては、大脳虚血、虚血性大腸炎、仕切り症候群(compartment syndrome)、前仕切り症候群(anterior compartment syndrome)、心筋虚血、再灌流傷害、および末梢四肢虚血が挙げられる。脈管炎としては、大動脈炎、動脈炎、ベーチェット(Behcet)症候群、チャーグ−ストラウス症候群、粘膜皮膚リンパ節症候群、閉塞性血栓性血管炎、過敏性血管炎、シェーンライン−ヘーノホ紫斑病(Schoenlein−Henoch purpura)、アレルギー性皮膚血管炎およびヴェーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、危険な四肢虚血および冠状動脈疾患の処置に対して特に有効である。
ポリペプチドは、当該分野で公知である任意の方法を使用して投与され得、これらの方法としては、送達部位における直接的針注射、静脈内注射、局所投与、カテーテル注入、微粒子銃(biolistic)注射、粒子加速器、ゲルフォームスポンジデポー、他の市販デポー物質、浸透圧ポンプ、経口または坐剤の固形薬学的処方物、手術中のデカンティングまたは局所適用、エアロゾル送達が挙げられるが、これらに限定されない。そのような方法は当該分野で公知である。本発明のポリペプチドは、下記でより詳細に記載される、治療剤(Therapeutic)の一部として投与され得る。本発明のポリヌクレオチドを送達する方法は本明細書中でより詳細に記載される。
(抗新脈管形成活性)
新脈管形成の内因性の、刺激因子とインヒビターとの間の天然に存在する平衡は、阻害影響を支配する平衡である。Rastinejadら、Cell 56:345〜355(1989)。新生血管形成が通常の生理学的条件下において生じるまれな場合(例えば、創傷治癒、器官再生、胚発生、および雌性生殖プロセス)において、新脈管形成は、厳密に調節され、そして空間的および時間的に定められる。病理学的な新脈管形成の条件(例えば、固形腫瘍増殖を特徴付ける)下において、これらの調節の制御はできない。調節されていない新脈管形成は病的になり、そして多くの新生物性疾患および非新生物性疾患の進行を維持する。多くの重篤な疾患は、固形腫瘍の増殖および転移、関節炎、いくつかの型の眼の障害および乾癬を含む、異常な新生血管形成により支配される。例えば、Mosesら、Biotech.9:630〜634(1991);Folkmanら、N.Engl.J.Med.、333:1757〜1763(1995);Auerbachら、J.Microvasc.Res.29:401〜411(1985);Folkman、Advances in Cancer Research、KleinおよびWeinhouse編、Academic Press、New York、175〜203頁(1985);Patz、Am.J.Opthalmol.94:715〜743(1982);およびFolkmanら、Science 221:719〜725(1983)による概説を参照のこと。多くの病的状態において、新脈管形成のプロセスは、その疾患状態に寄与する。例えば、固形腫瘍の増殖が新脈管形成に依存することを示唆する有意なデータが蓄積されている。FolkmanおよびKlagsbrun、Science 235:442〜447(1987)。
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、本発明のアゴニストおよび/またはアンタゴニストの投与による新生血管形成に関連する疾患、障害および/あるいは状態の処置を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置し得る悪性状態および転移性状態には、本明細書に記載の悪性腫瘍、固形腫瘍、および癌、ならびに当該分野で公知の他のもの(このような障害の総説については、Fishmanら、Medicine、第2版、J.B.Lippincott Co.,Philadelphia(1985)を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。従って、本発明は、治療有効量の、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを、必要な個体に投与する工程を包含する、新脈管形成関連疾患および/または障害の処置、予防および/あるいは診断の方法を提供する。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、癌または腫瘍を治療的に予防するために、種々のさらなる方法で利用され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストで処置、予防および/あるいは診断され得る癌としては、前立腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、喉頭癌、食道癌、精巣癌、肝臓癌、耳下腺癌、胆管癌、結腸癌、直腸癌、頸部癌、子宮癌、子宮内膜癌、腎臓癌、膀胱癌、甲状腺癌を含む固形腫瘍;原発性腫瘍および転移;黒色腫;グリア芽細胞腫;カポージ肉腫;平滑筋肉腫;非小細胞肺癌;結腸直腸癌;進行性(advanced)悪性疾患;および血液から生じる腫瘍(例えば、白血病)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、皮膚癌、頭頸部腫瘍、***腫瘍およびカポージ肉腫のような癌を処置するために、局所送達され得る。
なお他の局面において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、例えば膀胱内投与によって膀胱癌の表面形態を処置、予防および/あるいは診断するために利用され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、注射もしくはカテーテルを介して、腫瘍に直接的に、または腫瘍部位付近に送達され得る。当然のことながら、当業者が理解するように、適切な投与様式は、処置されるべき癌によって変化する。他の送達様式は本明細書中において議論される。
ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、癌に加えて、他の疾患、障害および/あるいは状態(新脈管形成を含む)を処置、予防および/あるいは診断する際に有用であり得る。これらの障害、疾患および/あるいは状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫);動脈硬化斑;眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖、ルベオーシス、網膜芽細胞腫、ブドウ膜炎(uvietis)および眼の翼状片(Pterygia)(異常な血管増殖));慢性関節リウマチ;乾癬;遅延型創傷治癒;子宮内膜症;脈管形成;顆粒化;過形成性瘢痕(ケロイド);偽関節骨折;強皮症;トラコーマ;血管接着;心筋の新脈管形成;冠状側副枝(coronary collaterals);大脳側副枝;動静脈奇形;虚血性四肢新脈管形成;オースラー−ウェーバー(Osler−Webber)症候群;プラーク新生血管形成;毛細血管拡張症;血友病性関節;血管線維腫;線維筋性形成異常;創傷顆粒化;クローン病;およびアテローム性動脈硬化症。
例えば、本発明の1つの局面において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを過形成性瘢痕またはケロイドに投与する工程を包含する、過形成性瘢痕およびケロイドを処置、予防および/あるいは診断するための方法が提供される。
本発明の1つの実施形態において、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、過形成性瘢痕またはケロイドに、これらの病変の進行を妨げるために直接注射される。この治療は、過形成性瘢痕およびケロイド(例えば、やけど)の発生を生じることが知られている状態の予防処置において特に価値があり、そして好ましくは、増殖期が進行する時間(最初の傷害の約14日後)を経た後であるが、過形成性瘢痕またはケロイドの発生の前に開始される。上述のように、本発明はまた、眼の新生血管形成疾患(例えば、角膜新生血管形成、血管新生緑内障、増殖性糖尿病網膜症、水晶体後線維増殖および黄斑変性を含む)を処置、予防および/または診断するための方法を提供する。
さらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(アゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む)を用いて処置され得る新生血管形成に関連する眼の疾患、障害および/あるいは状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:血管新生緑内障、糖尿病網膜症、網膜芽細胞腫、水晶体後線維増殖症、ブドウ膜炎、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植新生血管形成、ならびに他の眼の炎症性疾患、眼の腫瘍、および脈絡膜または虹彩の新生血管形成に関連する疾患。例えば、Waltmanら、Am.J.Ophthal.85:704〜710(1978)およびGartnerら、Surv.Ophthal.22:291〜312(1978)による総説を参照のこと。
従って、本発明の1つの局面において、治療有効量の化合物(上記)を患者に対して、血管の形成が阻害されるように角膜に投与する工程を包含する、角膜新生血管形成(角膜移植新生血管形成を含む)のような眼の新生血管形成疾患を処置するための方法が提供される。簡潔には、角膜は、通常には血管を欠く組織である。しかし、特定の病的状態において、毛細血管は、縁の角膜周囲脈管叢から角膜に伸長し得る。角膜が血管化される場合、角膜はまた混濁され、患者の視力の衰えを生じる。角膜が完全に不透明になる(opacitate)場合に、完全に視力喪失になり得る。広範な種々の疾患、障害および/あるいは状態は、例えば、以下を含む角膜新生血管形成を生じ得る:角膜感染(例えば、トラコーマ、単純ヘルペス角膜炎、リーシュマニア症およびオンコセルカ症)、免疫学的プロセス(例えば、移植片拒絶およびスティーヴンズ−ジョンソン症候群)、アルカリやけど、外傷、炎症(任意の原因による)、毒性および栄養欠乏状態、ならびにコンタクトレンズを装着することの合併症として。
本発明の特に好ましい実施形態において、生理食塩水(眼科用調製物において一般に使用される任意の保存剤および抗菌剤と組合せて)中で局所投与のために調製され得、そして点眼剤形態で投与され得る。溶液または懸濁液は、純粋な形態で調製され、そして1日に数回投与され得る。あるいは、上記のように調製される抗脈管形成組成物はまた、角膜に直接投与され得る。好ましい実施形態において、抗脈管形成組成物は、角膜に結合する粘膜接着性ポリマーとともに調製される。さらなる実施形態において、抗脈管形成因子または抗脈管形成組成物は、従来のステロイド治療に対する補助剤として利用され得る。局所治療はまた、脈管形成応答(例えば、化学的やけど)を誘導する高い可能性を有することが公知の角膜病変において予防的に有用であり得る。これらの場合において、処置(おそらくステロイドと組み合わされる)は、その後の合併症を予防するのを補助するために直ちに開始され得る。
他の実施形態において、上記の化合物は、角膜支質に直接、顕微鏡下での誘導のもとで眼科医によって注入され得る。好ましい注射部位は、個々の病巣の形態で変化し得るが、投与の目標は、脈管構造の前進している面に組成物を置くこと(すなわち、血管と正常な角膜との間に分散される)である。ほとんどの場合において、これは、前進している血管から角膜を「防御」するための縁周囲(perilimbic)角膜注射を含む。この方法はまた、角膜新生血管形成を予防的に防ぐために、角膜傷害の直後に利用され得る。この状況において、この物質は、角膜病巣とその所望されない潜在的な血液供給の縁との間に分散して縁周囲角膜に注射され得る。このような方法はまた、類似の様式で、移植された角膜の毛細血管侵入を予防するために利用され得る。徐放形態において、注入は、1年に2〜3回のみ必要とされ得る。ステロイドもまた、注入溶液に添加され、その注射自体から生じる炎症を低減し得る。
本発明の別の局面において、患者に、血管の形成を阻害するように、治療有効量のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを眼に投与する工程を包含する、血管新生緑内障を処置するための方法が提供される。1つの実施形態において、化合物は、血管新生緑内障の早期形態を処置するために、眼に局所投与され得る。他の実施形態において、化合物は、前眼房角(anterior chamber angle)の領域への注入によって移植され得る。他の実施形態において、化合物はまた、化合物が眼房水に連続的に放出されるように、任意の位置に配置され得る。本発明の別の局面において、患者に、血管の形成が阻害されるように、治療有効量のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを眼に投与する工程を包含する、増殖性糖尿病性網膜症を処置するための方法が提供される。
本発明の特に好ましい実施形態において、増殖性糖尿病性網膜症は、網膜におけるポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストの局所濃度を増加させるために、眼房水または硝子体への注入によって処置され得る。好ましくは、この処置は、光凝固を必要とする重篤な疾患の獲得の前に開始されるべきである。
本発明の別の局面において、患者に、血管の形成が阻害されるように、治療有効量のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニストおよび/またはアゴニストを眼に投与する工程を包含する、水晶体後線維増殖症を処置するための方法が、提供される。化合物は、硝子体内注射を介して、および/または眼内移植を介して局所投与され得る。
さらに、このポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストで処置、予防および/あるいは疾患され得る障害としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:血管腫、関節炎、乾癬、血管線維腫、アテローム性動脈硬化症斑、遅延型創傷治癒、顆粒化、血友病性関節、過形成性瘢痕、偽関節骨折、オースラー−ウェーバー(Osler−Weber)症候群、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、および血管接着。
さらに、このポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストで処置され得る障害および/または状態としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:固形腫瘍、血液由来の(blood born)腫瘍(例えば、白血病)、腫瘍転移、カポージ肉腫、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫)、慢性関節リウマチ、乾癬、眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、ルベオーシス、網膜芽細胞腫、およびブドウ膜炎(uvietis))、遅延型創傷治癒、子宮内膜症、脈管形成、顆粒化、過形成性瘢痕(ケロイド)、偽関節骨折、強皮症、トラコーマ、血管接着、心筋の新脈管形成、冠状側副枝(coronary collaterals)、大脳側副枝、動静脈奇形、虚血性四肢新脈管形成、オースラー−ウェーバー症候群、プラーク新生血管形成、毛細血管拡張症、血友病性関節、血管線維腫、線維筋性形成異常、創傷顆粒化、クローン病、アテローム性動脈硬化症、産児制限薬剤(月経を制御する、胎芽着床のために必要な血管新生を予防することによる)、病原性の結果(例えば、引っかき病(Rochele minalia quintosa)、潰瘍(Helicobacter pylori)、バルトネラ症および細菌性血管腫症状)のような新脈管形成を有する疾患。
出産制限方法の1つの局面において、胎芽着床をブロックするに十分な化合物の量は、***および受精が起こる前またはその後に投与され、このようにして出産制限の有効な方法、おそらく「事後用(morning after)」方法を提供する。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストはまた、月経を制御することにおいて使用され得るか、または子宮内膜症の処置における腹膜洗浄液として、もしくは腹膜移植のためのいずれかで投与され得る。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストは、縫合(stitch)肉芽腫を予防するために、外科縫合に組み込まれ得る。
ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアゴニストは、広範な種々の外科手順において利用され得る。例えば、本発明の1つの局面において、組成物(例えば、スプレーまたはフィルムの形態において)は、悪性組織から正常な周囲の組織を分離するため、そして/または周囲の組織への疾患の広がりを予防するために、腫瘍の除去の前に、領域をコートまたはスプレーするために利用され得る。本発明の他の局面において、組成物(例えば、スプレーの形態において)は、腫瘍をコートするため、または所望の場所において新脈管形成を阻害するために、内視鏡手順を介して送達され得る。本発明のなお他の局面において、本発明の抗脈管形成組成物でコートされている外科メッシュが、外科メッシュが利用され得る任意の手順において利用され得る。例えば、本発明の1つの実施形態において、抗脈管形成組成物を有した外科メッシュレーデン(laden)は、構造に対する支持を提供するため、そして一定の量の抗脈管形成因子を放出するために、腹部癌切除手術の間(例えば、結腸切除の後)に利用され得る。
本発明のさらなる局面において、腫瘍切除部位を処置するための方法が提供される。この方法は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、アンタゴニスト、および/またはアゴニストを、切除後に腫瘍の切除縁に投与して、その部位での、癌の局所的再発および新血管形成を阻害するようにする工程を包含する。本発明の1つの実施形態において、この抗脈管形成化合物は、腫瘍切除部位に直接投与される(例えば、この抗脈管形成化合物を用いて、腫瘍の切除縁に綿棒で塗るか、ブラシで塗るか、または他の方法でコーティングすることによって塗布される)。あるいは、この抗脈管形成化合物は、投与の前に、公知の手術用ペーストに組み込まれ得る。本発明の特に好ましい実施形態において、この抗脈管形成化合物は、悪性疾患の肝切除の後、および神経外科的手術の後に塗布される。
本発明の1つの局面において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストは、広範な種類の腫瘍(例えば、胸部腫瘍、結腸腫瘍、脳腫瘍、および肝腫瘍を含む)の切除縁に投与され得る。例えば、本発明1つの実施形態において、抗脈管形成化合物が、神経学的腫瘍の部位に、切除の後に投与され得、その結果、その部位での新規な血管の形成が阻害される。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストはまた、他の抗脈管形成因子とともに投与され得る。他の抗脈管形成因子の代表例としては、以下が挙げられる:抗侵襲性(invasive)因子、レチン酸およびその誘導体、パクリタキセル、スラミン、メタロプロテイナーゼ−1の組織インヒビター、メタロプロテイナーゼ2の組織インヒビター、プラスミノゲン活性化因子インヒビター1、プラスミノゲン活性化因子インヒビター2、および種々の形態の軽い方の(lighter)「d群」遷移金属。
軽い方の「d群」遷移金属としては、例えば、バナジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ニオブ、およびタンタル種が、挙げられる。このような遷移金属種は、遷移金属錯体を形成し得る。上記の遷移金属種の適切な錯体は、オキソ遷移金属錯体を含む。
バナジウム錯体の代表的例は、オキソバナジウム錯体(例えば、バナジン酸塩錯体およびバナジル錯体)を含む。適切なバナジン酸塩錯体は、メタバナジン酸塩錯体およびオルトバナジウム酸塩錯体(例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、およびオルトバナジン酸ナトリウム)を含む。適切なバナジル錯体は、例えば、バナジルアセチルアセトネートおよび硫酸バナジル(硫酸バナジル水和物(例えば、硫酸バナジル一水和物および硫酸バナジル三水和物)を含む)を含む。
タングステン錯体およびモリブデン錯体の代表的例もまた、オキソ錯体を含む。適切なオキソタングステン錯体は、タングステン酸塩錯体および酸化タングステン錯体を含む。適切なタングステン酸塩錯体は、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ナトリウム二水和物、およびタングステン酸を含む。適切な酸化タングステンは、酸化タングステン(IV)および酸化タングステン(VI)を含む。適切なオキソモリブデン錯体は、モリブデン酸塩錯体、酸化モリブデン錯体、およびモリブデニル錯体を含む。適切なモリブデン酸塩錯体は、モリブデン酸アンモニウムおよびその水和物、モリブデン酸ナトリウムおよびその水和物、ならびにモリブデン酸カリウムおよびその水和物を含む。適切な酸化モリブデンは、酸化モリブデン(VI)、酸化モリブデン(VI)、およびモリブデン酸を含む。適切なモリブデニル錯体は、例えば、モリブデニルアセチルアセトネートを含む。他の適切なタングステン錯体およびモリブデン錯体は、例えば、グリセロール、酒石酸および糖から誘導された、ヒドロキソ誘導体を含む。
広範な種類の他の抗脈管形成因子もまた、本発明の状況において利用され得る。代表的例は、以下を含む:血小板第4因子;硫酸プロタミン;硫酸化キチン誘導体(クイーンクラブ(queen crab)の殻から調製される)(Murataら、Cancer Res.51:22〜26、1991);硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(SP−PG)(この化合物の機能は、ステロイド(例えば、エストロゲンおよびクエン酸タモキシフェン)の存在によって、増強され得る);スタウロスポリン;基質代謝の調節因子(例えば、プロリンアナログ、シスヒドロキシプロリン、d,L−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α,α−ジピリジル、アミノプロピオニトリルフマレートを含む);4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン;メトトレキサート;ミトザントロン;ヘパリン;インターフェロン;2マクログロブリン−血清;ChIMP−3(Pavloffら、J.Bio.Chem.267:17321〜17326、1992);キモスタチン(Tomkinsonら、Biochem J.286:475〜480、1992);シクロデキストリンテトラデカサルフェート;エポネマイシン;カンプトテシン;フマギリン(Ingberら、Nature 348:555〜557、1990);チオリンゴ酸金ナトリウム(「GST」;MatsubaraおよびZiff、J.Clin.Invest.79:1440〜1446、1987);アンチコラゲナーゼ−血清;α2−抗プラスミン(Holmesら、J.Biol.Chem.262(4):1659〜1664、1987);ビサントレン(National Cancer Institute);ロベンザリット二ナトリウム(N−(2)−カルボキシフェニル−4−クロロアントロニル酸(chloroanthronilic acid)二ナトリウム、または「CCA」;Takeuchiら、Agents Actions 36:312〜316、1992);サリドマイド;Angostaticステロイド;AGM−1470;カルボキシアミノイミダゾール(carboxynaminolimidazole);およびメタロプロテイナーゼインヒビター(例えば、BB94)。
(細胞レベルでの疾患)
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および/またはアンタゴニストまたはアゴニストによって、処置、予防および/または診断され得る、細胞生存の増大またはアポトーシスの阻害に関連する疾患には、以下が挙げられる:癌(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を伴う癌腫、およびホルモン依存性腫瘍。これらは以下を含むが、これらに限定されない:結腸癌、心臓腫瘍、膵臓癌、黒色腫、網膜芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、肺癌、腸の癌、精巣癌、胃癌、神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、破骨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳癌、前立腺癌、カポージ肉腫および卵巣癌);自己免疫疾患、障害および/または状態(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)、ならびにウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルスおよびアデノウイルス)、炎症、対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、ならびに慢性移植片拒絶。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよび/またはアゴニストまたはアンタゴニストは、特に上記に列挙されたものにおいて、癌の増殖、進行、および/または転移(metasis)を阻害するために使用される。
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはアゴニストまたはアンタゴニストによって処置、予防および/あるいは診断され得る、細胞生存の増大に関連するさらなる疾患または状態には、悪性疾患の進行および/または転移ならびに以下のような関連する障害が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病を含む)を含む)ならびに慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病))、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、ならびに固形腫瘍(以下を含むが、これらに限定されない:肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣の腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫))。
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および/またはアゴニストまたはアンタゴニストによって処置、予防および/あるいは診断され得る、アポトーシスの増大に関連する疾患には、以下が挙げられる:AIDS;神経変性疾患、障害および/または状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性および脳腫瘍または先の関連した疾患);自己免疫疾患、障害および/または状態(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)、脊髄形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、対宿主性移植片病、虚血性損傷(心筋梗塞、発作および再灌流損傷によって生じるようなもの)、肝臓損傷(例えば、肝炎関連肝臓損傷、虚血/再灌流損傷、胆汁うっ滞(cholestosis)(胆管損傷)および肝臓癌);毒物誘導性肝臓疾患(アルコールによって生じるようなもの)、敗血症性ショック、悪液質ならびに食欲不振。
(創傷治癒および上皮細胞増殖)
本発明のなおさらなる局面に従って、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および/またはアゴニストまたはアンタゴニストを、治療目的のため、例えば、創傷治癒の目的のために上皮細胞増殖および基底ケラチノサイトを刺激するため、ならびに毛包産生および皮膚創傷の治癒を刺激するために、利用するためのプロセスが提供される。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、およびアゴニストまたはアンタゴニストは、以下を含む創傷治癒を刺激することにおいて臨床的に有用であり得る:外科的創傷、切除の創傷、深い創傷(真皮および表皮の損傷を含む)、眼の組織の創傷、歯の組織の創傷、口腔の創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚の潰瘍、肘の潰瘍、動脈性の潰瘍、静脈うっ滞潰瘍、熱への曝露または化学物質から生ずる熱傷、および他の異常な創傷治癒状態(例えば、***、栄養失調、ビタミン欠乏、および/またはステロイド、放射能療法および抗腫瘍性薬物および代謝拮抗物質を用いる全身性処置に関連する合併症。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、皮膚の損失の後の皮膚の回復を促進するために使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよび/またはアゴニストまたはアンタゴニストは、創傷床(wound bed)への皮膚移植片の付着を増大するため、および創傷床からの再上皮形成を刺激するために使用され得る。以下は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストが創傷床への付着を増大するために使用され得る、移植片の型である:自家移植片、人工皮膚、同種移植片(allograft)、自己植皮片、自己表皮移植片(autoepdermic graft)、無血管性(avacular)移植片、ブレア−ブラウン移植片、骨移植片、胚胎組織移植片、真皮移植片、遅延移植片、皮膚移植片、表皮移植片、筋膜移植片、全層皮膚移植片、異種移植片(heterologous graft)、異種移植片(xenograft)、同種移植片(homologous graft)、増殖性移植片、層板状の移植片、網状移植片、粘膜移植片、オリエ−ティールシュ移植片、大網移植片(omenpal graft)、パッチの移植片、茎状移植片、全層移植片(penetrating graft)、分層植皮片(split skln graft)、分層植皮片(thick split graft)。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよび/またはアゴニストまたはアンタゴニストは、皮膚の強度を助長するため、および高齢の皮膚の外見を改善するために使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、肝細胞増殖、および肺、***、膵臓、胃、小腸(small intesting)、および大腸における上皮細胞増殖における変化を生じると考えられる。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、上皮細胞(例えば、皮脂細胞(sebocyte)、毛包、肝実質細胞、肺胞上皮細胞II型(type II pneumocyte)、ムチン産生杯細胞、および他の上皮細胞、ならびに皮膚、肺、肝臓、および胃腸管内に含まれるそれらの先祖)の増殖を促進し得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストは、内皮細胞、ケラチノサイト、および基底ケラチノサイトの増殖を促進し得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、照射、化学療法処置またはウイルス感染から生じる腸の毒性の副作用を低減するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、小腸粘膜上で細胞保護的な効果を有し得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、化学療法およびウイルス感染から生じる粘膜炎(mucositis)(口粘膜)の治癒を刺激し得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、熱傷を含む、完全なおよび部分的な厚さの皮膚欠損における皮膚の十分な再生(すなわち、毛包、汗腺、および皮脂腺の再増殖)、乾癬のような他の皮膚欠損の処置においてさらに使用され得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストおよび/またはアンタゴニストは、表皮水疱症、これらの損傷の再上皮形成を促進することによる頻繁な開放性かつ疼痛性の水疱を生じる内在的な真皮への表皮の接着における欠損を処置するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、胃潰瘍および十二指腸潰瘍を処置し、そして粘膜の内層の瘢痕形成ならびにより迅速な腺の粘膜および十二指腸の粘膜の内層の再生による治癒を助けるために使用され得る。炎症性腸疾患(例えば、クーロン病および潰瘍性大腸結腸炎)は、それぞれ、小腸または大腸の粘膜表面の崩壊を生じる疾患である。従って、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、粘膜表面の再表面化(resulfacing)を促進して、より迅速な治癒を助けるため、および炎症性腸疾患の進行を予防するために、使用され得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いる処置は、胃腸管全体の粘膜の産生に対して有意な効果を有することが予測され、そして腸粘膜を、摂取されたかまたは外科手術後の有害な物質から保護するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、本発明のポリヌクレオチドの発現下に関連する疾患を処置するために使用され得る。
さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、種々の病的状態に起因する肺への損傷を予防および治癒するために使用され得る。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストのような成長因子は、急性または慢性の肺損傷を予防または処置するために、増殖および分化を刺激し得、そして肺胞および気管支(brochiolar)上皮の修復を促進し得る。例えば、気管支上皮および肺胞(aveoli)の壊死を生じる、気腫(これは、肺胞の進行性の損失を生じる)および吸入損傷(すなわち、煙の吸入および熱傷から生じる)は、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストまたはアンタゴニストを使用して効果的に処置され得る。また、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、肺胞上皮細胞II型の増殖および分化を刺激するために使用され得、これは、未熟な乳児における硝子膜疾患(例えば、乳児呼吸窮迫症候群および気管支肺異形成症)のような疾患を処置または予防することを助け得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、肝実質細胞の増殖および分化を刺激し得、そして従って、肝臓疾患および病状(例えば、肝硬変により生じる劇症肝不全、肝炎ウイルスおよび毒性物質(すなわち、アセトアミノフェン、四塩化炭素(carbon tetraholoride)、および他の当該分野で公知の肝臓毒素)により生じる肝臓損傷)を緩和または処置するために使用され得る。
さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、真性糖尿病の発症を処置または予防するために使用され得る。新たにI型糖尿病およびII型糖尿病と診断された患者において、いくつかの島細胞機能が残っている場合、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、その疾患の持続性の発現を緩和、遅延または予防するように、その島機能を維持するために使用され得る。また、本発明のポリヌクレオチドもしくポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストは、島細胞機能を改善または促進するための島細胞移植における補助として使用され得る。
(神経学的疾患)
本発明の組成物(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニスト)を用いて処置、予防および/または診断され得る神経系の疾患、障害および/または状態には、軸索の切断、ニューロンの減少もしくは変性、または脱髄のいずれかを引き起こす、神経系損傷および疾患、障害および/または状態が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に従って、患者(ヒト患者および非ヒト哺乳動物患者を含む)において処置、予防および/または診断され得る神経系病変には、以下の中枢神経系(脊髄、脳を含む)または末梢神経系のいずれかの病変が挙げられるが、これらに限定されない:(1)虚血病変(ここで、神経系の一部における酸素不足により、ニューロンの損傷または死が生じ、これには大脳梗塞もしくは虚血、または脊髄梗塞もしくは虚血が挙げられる);(2)外傷病変(身体的損傷により生じるかまたは手術に関連する病変、例えば、神経系の一部分を切断する病変、または圧縮損傷を含む);(3)悪性病変(ここで、神経系の一部分は、神経系関連悪性疾患もしくは非神経系組織由来の悪性疾患のいずれかである悪性組織により破壊または損傷される);(4)感染性病変(ここで、神経系の一部分は、例えば、膿瘍による感染の結果として、破壊または損傷されるか、あるいはヒト免疫不全ウイルス、帯状ヘルペスもしくは単純ヘルペスウイルスによる感染と関連するか、ライム病、結核、梅毒に関連する);(5)変性病変(ここで、神経系の一部分は、変性プロセスの結果として破壊または損傷され、これには、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンティングトン病または筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関連する変性が挙げられるが、これらに限定されない);(6)栄養性の疾患、障害および/または状態に関連する病変(ここで、神経系の一部分は、栄養障害または代謝障害によって破壊または損傷され、これには、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、ヴェルニッケ病、タバコ−アルコール弱視、マルキアファーヴァ−ビニャーミ病(脳梁の一次変性)およびアルコール小脳変性が挙げられるが、これらに限定されない);(7)全身性疾患に関連する神経性病変(糖尿病(糖尿病性ニューロパシー、ベル麻痺)、全身性エリテマトーデス、癌または類肉腫症が挙げられるが、これらに限定されない);(8)毒性物質(アルコール、鉛または特定の神経毒を含む)により生じる病変;ならびに(9)脱髄性病変(ここで、神経系の一部分は、脱髄性執権によって破壊または損傷され、これには、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス関連脊髄障害、横断脊髄障害または種々の病因、進行性多病巣性白質脳障害、および橋中央ミエリン溶解が挙げられるが、これらに限定されない)。
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、大脳底酸素症の損傷効果から神経細胞を保護するために用いられる。この実施形態によると、本発明の組成物は、大脳底酸素症に関連する神経細胞損傷を処置、予防および/または診断するために用いられる。この実施形態の1つの局面において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、大脳虚血と関連する神経細胞損傷を処置、予防および/または診断するために用いられる。この実施形態の別の局面において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、大脳梗塞に関連する神経細胞損傷を処置、予防および/または診断するために用いられる。この実施形態の別の局面において本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、発作に関連する神経細胞損傷を処置、予防および/または診断もしくは予防するために用いられる。この実施形態のさらなる局面において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、心臓発作に関連する神経細胞損傷を処置、予防および/または診断するために用いられる。
神経系障害を処置または予防するのに有用な本発明の組成物は、ニューロンの生存または分化の促進における生物学的活性について試験することによって、選択され得る。例えば、制限する目的ではないが、以下の効果のいずれかを誘発する本発明の組成物は、本発明によると有用であり得る:(1)培地におけるニューロンの増加した生存時間;(2)培地またはインビボにおけるニューロンの増加した出芽;(3)培地またはインビボにおけるニューロン関連分子(例えば、運動ニューロンに関して、コリンアセチルトランスフェラーゼまたはアセチルコリンステラーゼ)の増加した産生;あるいは(4)インビボにおけるニューロン機能障害の軽減した症状。このような効果は、当該分野で公知の任意の方法によって測定され得る。好ましくは、非制限的な実施形態において、ニューロンの増加した生存時間は、本明細書中に記載される方法、またはそうでなければ当該分野で公知の方法(例えば、Arakawaら(J.Neurosci.10:3507〜3515(1990))に記載される方法)を使用して慣用的に測定され得;ニューロンの増加した出芽は、当該分野で公知の方法(例えば、Pestronkら(Exp.Neurol.70:65〜82(1980))またはBrownら(Ann.Rev.Neurosci.4:17〜42(1981))に記載される方法)によって検出され得;ニューロン関連分子の増加した産生は、当該分野で公知の技術を使用し、測定されるべき分子に基づいて、バイオアッセイ、酵素アッセイ、抗体結合、ノザンブロットアッセイなどによって、測定され得;そして運動ニューロンの機能障害は、運動ニューロン障害の物理的発現(例えば、弱さ、運動ニューロンの伝導速度、または機能障害)を評価することによって、測定され得る。
特定の実施形態において、本発明に従って処置、予防および/または診断され得る運動ニューロンの疾患、障害および/または状態には、運動ニューロンおよび神経系の他の成分に影響を与え得る疾患、障害および/または状態(例えば、梗塞、感染、毒素への暴露、外傷、外科的損傷、変性疾患、または悪性疾患)、ならびにニューロンに選択的に影響する疾患、障害および/または状態(例えば、筋萎縮性側索硬化症)が挙げられるが、これらに限定されず、そしてこれには、進行性脊髄性筋萎縮症、進行性球延髄麻痺、原発性側索硬化症、小児筋萎縮および若年性筋萎縮、小児期の進行性球麻痺(ファチオ−ロンデ病)、ポリオおよびポリオ後症状、ならびに遺伝性運動感覚性神経障害(シャルコー−マリー−トゥース病)が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、ニューロン生存、シナプス形成;伝達;神経分化などにおいて役割を果たし得る。従って、本発明の組成物(ポリヌクレオチド、ポリペプチド、およびアゴニストまたはアンタゴニストを含む)は、学習および/または認識の障害を含むがこれに限定されない、これらの役割に関連する疾患または障害を、診断、および/または処置または予防するのに用いられ得る。本発明の組成物は、神経変性性疾患状態および/または行動障害の処置または予防において有用であり得る。このような神経変性性疾患状態および/または行動障害としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、精神***病、躁病、痴呆、偏執症、強迫性障害、鬱病、恐慌性障害、学習障害、ALS、精神病、自閉、および行動変化(栄養補給、睡眠パターン、平衡、および知覚の障害を含む)。さらに、本発明の組成物は、発生中の胚、または伴性障害に関連する発生の障害の処置、予防および/または検出において役割を果たし得る。
さらに、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/またはアゴニストまたはアンタゴニストは、以下を含むが挙げられるがこれらに限定されない脳血管障害に関連する、疾患、傷害、障害または、損傷から、神経細胞を防御するのに有用であり得る:脳血管障害(例えば、頸動脈血栓症、頸動脈狭窄またはモヤモヤ病)、脳のアミロイドアンギオパチー、大脳動脈瘤、脳低酸素症、大脳動脈硬化症、大脳動静脈奇形、大脳動脈疾患、脳塞栓症および血栓(例えば、頸動脈血栓症、洞血栓症およびヴァレンベルク症候群)、硬膜上血腫(例えば、硬膜外血腫または硬膜下血腫およびクモ膜下出血)、脳亀裂骨折、脳虚血(例えば、一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗血症候群、または椎骨脳底不全(vertebrobasilar insufficiency))、血管性痴呆(たとえば、多発脳梗塞性痴呆)、脳室周囲白質軟化症、ならびに血管性頭痛(例えば、群発性頭痛)。
本発明のなおさらなる局面によれば、治療目的で、例えば神経学的細胞増殖および/または分化を刺激するために、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにアゴニストまたはアンタゴニストを利用するためのプロセスが提供される。従って、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストは、神経学的疾患を処置、および/または検出するために用いられ得る。さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の神経系疾患または傷害のマーカーまたは検出因子として用いられ得る。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得る神経学的疾患の例としては、以下が挙げられる:脳疾患(例えば、母系フェニルケトン尿症のようなフェニルケトン尿症を含む代謝性脳疾患)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠乏症、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体欠乏症、ヴェルニッケ脳障害、脳水腫、テント下(infratentorial)新生物を含む小脳性新生物のような脳新生物、脈絡叢新生物のような脳室新生物、視床下部性新生物、テント上新生物、キャナヴァン病、毛細血管拡張性運動失調のような脊髄小脳性退化を含む小脳性運動失調のような小脳疾患、小脳性共同運動障害、フリードライヒ失調症、マチャド−ジョセフ病、オリーブ橋小脳萎縮、テント下新生物のような小脳性新生物、びまん性軸周囲性脳炎、球様細胞白質萎縮症、異染性白質萎縮症および亜急性硬化性汎脳炎のようなびまん性脳硬化。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストは、を用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下が挙げられる:脳血管障害(例えば、頸動脈血栓症、頸動脈狭窄およびモヤモヤ病を含む頸動脈疾患)、脳のアミロイドアンギオパチー、大脳動脈瘤、大脳動脈硬化症、大脳動静脈奇形、大脳動脈疾患、頸動脈血栓症、洞血栓症およびヴァレンベルク症候群のような脳塞栓症および血栓症、硬膜上血腫、硬膜下血腫およびクモ膜下出血のような脳出血、脳亀裂骨折、一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗血症候群および椎骨脳底不全(vertebrobasilar insufficiency)のような脳虚血、多発脳梗塞性痴呆のような血管性痴呆、脳室周囲白質軟化症、群発性頭痛のような血管性頭痛。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては以下が挙げられる:エイズ痴呆複合症のような痴呆症、アルツハイマー病およびクロイツフェルト−ヤーコプ病のような初老期痴呆、アルツハイマー病および進行性核上性麻痺のような老年痴呆、多発脳梗塞性痴呆のような血管性痴呆、びまん性軸周囲性脳炎のような脳炎、流行性脳炎、日本脳炎、セントルイス脳炎、マダニ媒介性脳炎および西ナイル熱のようなウイルス性脳炎、急性播種性脳脊髄炎、ブドウ膜髄膜炎症候群、脳炎後パーキンソン病および亜球性硬化性汎脳炎のような髄膜脳脊髄炎、室周白斑症のような脳軟化症、点頭痙攣を含む全身てんかんのようなてんかん、アプサンスてんかん(absence epilepsy)、MERRF症候群を含むミオクローヌスてんかん、強直・間代てんかん、複雑部分てんかん、前頭葉てんかんおよび側頭葉てんかんのような部分てんかん、外傷後てんかん、持続性部分てんかんのようなてんかん重積持続状態、ハレルフォルデン−シュパッツ症候群。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下が挙げられる:ダンディ−ウォーカー症候群および正常圧水頭症のような水頭症、視床下部性新生物のような視床下部性疾患、大脳マラリア、脱力発作を含むナルコレプシー、延髄ポリオ(bulbar poiomyelitis)、大脳偽腫瘍、レット症候群、ライ症候群、視床疾患、大脳トキソプラスマ症、頭蓋内結核腫およびツェルヴェーガー症候群、エイズ痴呆複合症のような中枢神経系感染、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、ウマの脳脊髄炎のような脳脊髄炎、ベネズエラウマ脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎、ビスナ、ならびに大脳マラリア。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下が挙げられる:クモ膜炎のような髄膜炎、リンパ球性脈絡髄膜炎を含むウイルス性髄膜炎のような無菌性髄膜炎、ヘモフィルス髄膜炎を含む細菌性髄膜炎、リステリア髄膜炎、ウォーターハウス−フリーデリックセン症候群のような髄膜炎菌性脳脊髄膜炎、肺炎球菌髄膜炎および髄膜結核症、クリプトコックス髄膜炎のような真菌性髄膜炎、硬膜下滲出、ブドウ膜髄膜脳炎症候群のような髄膜脳炎、横行脊髄炎(transverse myelitis)のような脊髄炎、脊髄ろうのような神経梅毒、延髄ポリオおよびポリオ後症候群を含むポリオ、プリオン病(例えば、クロイツフェルト−ヤーコプ病、ウシの海綿状脳症、ゲルストコン−シュトロイスラー症候群、クールー、スクラピー)、ならびに大脳トキソプラスマ症。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下が挙げられる:テント下新生物のような小脳性新生物を含む脳新生物のような中枢神経系新生物、脈絡叢新生物、視床下部性新生物およびテント上新生物のような脳室新生物、髄膜新生物、硬膜外新生物を含む脊髄新生物、キャナヴァン病のような脱髄疾患、副腎脳白質ジストロフィーを含むびまん性大脳硬化症(diffuse cerebral sceloris)、びまん性軸周囲性脳炎、球様細胞白質萎縮症、異染性白質萎縮症のようびまん性大脳硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害、多発性硬化症、橋中央ミエリン溶解、横行脊髄炎、視神経脊髄炎、スクラピー、脊柱前弯症、慢性疲労症候群、ビスナ、高圧神経質症候群(High Pressure Nervous Syndrome)、髄膜症、先天性筋無緊張症のような脊髄疾患、筋萎縮性側索硬化症、ヴェルドニッヒ−ホフマン病のような棘筋萎縮、脊髄圧搾、硬膜外新生物のような脊髄新生物、脊髄空洞症、脊髄ろう、スティッフマン症候群、母親由来15 q‐13微少欠損のような精神遅滞、ネコ鳴き症候群、ド・ランゲ症候群、ダウン症候群、ガングリオシドーシスG(M1)のようなガングリオシドーシス、ザントホフ病、テイ−サックス病、ハートナップ病、ホモシスチン尿症、ローレンス−ムーン−ビードル症候群、レッシュ−ナイハン症候群、カエデシロップ病、フコース蓄積症のようなムコリピドーシス、ニューロンセロイド脂褐素沈着症、眼脳腎症候群、母系フェニルケトン尿のようなフェニルケトン尿症、プラーダー−ヴィリ症候群、レット症候群、ルービンスタイン−テービ症候群、結節硬化症、WAGR症候群、全前脳症のような神経系異常、水無能症(hydrangencephaly)を含む無能症のような神経管不全、アルノルト−キアーリ奇形、脳ヘルニア、髄膜瘤、髄膜脊髄瘤、嚢胞性二分脊椎および潜在性二分脊椎のような脊髄癒合不全。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下が挙げられる:シャルコー−マリー疾患を含む遺伝性の運動および感覚ニューロン障害、視覚萎縮症、レフスム病、遺伝性痙性対麻痺、ヴェルドニッヒ−ホフマン病、先天性痛覚脱失症および家族性自律神経障害のような遺伝性感覚および自律性ニューロパシー、神経学的症状発現(例えば、ゲルストマン症候群を含む失認)、逆向性健忘症のような健忘症、失行症、神経因性膀胱、脱力発作、難聴、部分聴覚欠失、大声(ludness)レクルートメントおよび耳鳴を含む聴覚障害のような情報伝達障害、失書症、名称失語症、ブロカ失語症およびヴェルニッケ失語症を含む失語症のような言語障害、急性失読症のような失読症、言語発達障害、名称失語症、ブロカ失語症およびヴェルニッケ失語症を含む失語症のような発語障害、蓄積障害、構語障害、反響言語、無言症およびどもりを含む発語障害のような情報伝達障害、失声症および嗄声のような発声障害、除脳硬直状態、せん妄、線維束性攣縮、幻覚、髄膜症、母親由来15 q‐13微少欠損、運動失調、アテトーシス、舞踏病、失調症、運動低下症、筋肉緊張低下、ミオクローヌス、チック、斜頸および振せんのような運動障害、スティッフマン症候群のような筋肉硬直のような筋肉緊張亢進、筋肉痙性、耳帯状疱疹を含む顔面神経麻痺のような神経麻痺、胃不全麻痺、片麻痺、複視のような眼筋麻痺、デュエーン症候群、ホルナー症候群、キーンズ症候群のような慢性進行性外眼筋麻痺症、球麻痺、熱帯性痙攣不全対麻痺、ブラウン−セカール症候群、四肢麻痺、呼吸麻痺および声帯麻痺のような対麻痺、不全麻痺、幻肢、無味覚症および味覚不全のような味覚障害、弱視、失明、色覚異常、複視、半盲、視野暗点および準正常視覚(subnormal vision)のような視覚障害、クライネーレヴィン症候群、不眠症および夢遊症を含む過眠症のような睡眠障害、開口障害のような痙縮、昏睡、持続性植物状態および失神およびめまいのような意識消失、先天性筋無緊張症のような神経筋疾患、筋萎縮性側索硬化症、ランバート−イートン筋無力症症候群、運動神経疾患、棘筋萎縮、シャルコー−マリー疾患およびヴェルドニッヒ−ホフマン病のような筋萎縮、後ポリオ症候群、筋ジストロフィー、重症筋無力症、萎縮性筋緊張症、先天性筋緊張症、ネマリンミオパシー、家族性期性四肢麻痺、多発性パラミロクローヌス(Multiplex Paramyloclonus)、熱帯性痙攣不全対麻痺およびスティッフマン症候群、先端肢端疼痛症のような末梢神経系疾患、腎アミロイドーシス、アーディー症候群、Barre−Lieou症候群、家族性自律神経障害、ホルナー症候群、反射***感神経性ジストロフィーおよびシャイ−ドレーガー症候群のような自律神経系疾患、神経線維腫症2を含む聴神経腫のような内耳神経疾患のような脳神経疾患、顔面神経痛のような顔面神経疾患、メルカーソン−ローゼンタール症候群、弱視を含む眼球運動性障害、眼振、眼球運動麻痺、デュエーン症候群のような眼筋麻痺、ホルナー症候群、キーンズ症候群を含む慢性進行性外眼筋麻痺症、内斜視および外斜視のような斜視、動眼神経麻痺、遺伝性眼萎縮症を含む眼萎縮症のような眼神経疾患、視神経円板結晶腔、視神経脊髄炎のような視神経炎、乳頭水腫、三叉神経痛、声帯麻痺、視神経脊髄炎および脊柱前弯症のような脱髄疾患、糖尿病性足のような糖尿病性ニューロパシー。
本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストおよび/またはアンタゴニストを用いて処置または検出され得るさらなる神経学的疾患としては、以下が挙げられる:手根管症候群のような神経圧搾症候群、足根管症候群、頸肋症候群のような胸郭出口症候群、尺骨神経圧搾症候群、カウザルギー、頸腕神経痛、顔面神経痛および三叉神経痛のような神経痛、実験的アレルギー性神経炎、眼神経炎、多発性神経炎、多発性神経根神経炎および神経根炎(例えば、多発性神経根炎、遺伝性運動および感覚ニューロパシー(例えば、シャルコー−マリエ疾患、遺伝性眼萎縮症、レフサム病、遺伝性痙性対麻痺およびヴェルドニッヒ‐ホフマン病、遺伝性感覚および自律神経ニューロパシー(先天性痛覚脱失および.家族性自律神経障害を含む)、POEMS症候群、坐骨神経痛、味覚性発汗症候群およびテタニー))のような神経炎。
(感染性疾患)
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、感染因子を処置、予防および/または診断するために用いられ得る。例えば、免疫応答を上昇させることによって、特にB細胞および/またはT細胞の増殖および分化を増加させることによって、感染性疾患が処置、予防および/または診断され得る。免疫応答は、既存の免疫応答を上昇させるか、または新たな免疫応答を開始させるかのいずれかにより上昇され得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、必ずしも免疫応答を誘発することなく、感染因子を直接阻害し得る。
ウイルスは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置、予防および/または診断され得る疾患または症状を引き起こし得る感染因子の一例である。ウイルスの例としては、以下のDNAおよびRNAのウイルスおよびウイルス科が挙げられるがこれらに限定されない:アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイルス、ビルナウイルス科、ブンヤウイルス科、カルシウイルス科、サルコウイルス科(Circoviridae)、コロナウイルス科、デング熱、EBV、HIV、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(例えば、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、ヘルペス帯状疱疹)、モノネガウイルス(Mononegavirus)(例えば、パラミクソウイルス科、麻疹ウイルス、ラブドウイルス科)、オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB、およびパラインフルエンザ)、パピローマウイルス、パポバウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科(例えば、痘瘡またはワクシニア)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、レトロウイルス科(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス)、およびトガウイルス科(例えば、ルビウイルス属)。これらの科内に入るウイルスは、以下を含むがこれらに限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得る:関節炎、細気管支炎(bronchiollitis)、呼吸性シンシチウムウイルス、脳炎、眼性感染症(例えば、結膜炎、角膜炎)、慢性疲労症候群、肝炎(A型、B型、C型、E型、慢性活動性、デルタ)、日本脳炎B型、アルゼンチン出血熱、チングニア、リフトバレー熱、黄熱病、髄膜炎、日和見感染症(例えば、AIDS)、肺炎、バーキットリンパ腫、水痘、出血熱、麻疹、流行性耳下腺炎、パラインフルエンザ、狂犬病、感冒、ポリオ、白血病、風疹、性感染症、皮膚病(例えば、カポージ、いぼ)、およびウイルス血症。本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれらの症状または疾患が処置、予防および/または診断され得る。特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、以下の処置、予防および/または診断に使用される:髄膜炎、デング熱、EBV、および/または肝炎(例えば、B型肝炎)。さらなる具体的な実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、1以上の他の市販の肝炎ワクチンに非応答性の患者を処置するために使用される。さらに具体的な実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、AIDSを処置、予防および/または診断するために使用される。
同様に、疾患または症状を引き起こし得、かつ本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって処置、予防および/または診断され得る細菌性因子あるいは真菌性因子は、以下のグラム陰性およびグラム陽性細菌および細菌科ならびに真菌を含むがこれらに限定されない:Actinomycetales(例えば、Corynebacterium、Mycobacterium、Norcardia)、Cryptococcus neoformans、Aspergillosis、Bacillaceae(例えば、Anthrax、Clostridium)、Bacteroidaceae、Blastomycosis、Bordetella、Borrelia(例えば、Borrelia burgdorferi)、Brucellosis、Candidiasis、Campylobacter、Coccidioidomycosis、Cryptococcosis、Dermatocycoses、E.coli(例えば、Enterotoxigenic E.coliおよびEnterohemorrhagic E.coli)、Enterobacteriaceae(Klebsiella、Salmonella(例えば、Salmonella typhi、およびSalmonella paratyphi)、Serratia、Yersinia)、Erysipelothrix、Helicobacter、Legionellosis、Leptospirosis、Listeria、Mycoplasmatales、Mycobacterium leprae、Vibrio cholerae、Neisseriaceae(例えば、Acinetobacter、Gonorrhea、Menigococcal)、Meisseria meningitidis、Pasteurellaceaの感染症(例えば、Actinobacillus、Heamophilus(例えば、HeamophilusインフルエンザB型)、Pasteurella)、Pseudomonas、Rickettsiaceae、Chlamydiaceae、Syphilis、Shigella spp.、Staphylococcal、Meningiococcal、PneumococcalならびにStreptococcal(例えば、Streptococcus pneumoniaeおよびB群Streptococcus)。これらの細菌または真菌の科は、以下を含むがこれらに限定されない疾患または症状を引き起こし得る:菌血症、心内膜炎、眼感染症(結膜炎、結核、ブドウ膜炎)、歯肉炎、日和見感染症(例えば、AIDSに関連した感染症)、爪周囲炎、プロテーゼ関連感染症、ライター病、気道感染症(例えば、百日咳または蓄膿症)、敗血症、ライム病、ネコ引っ掻き病、赤痢、パラチフス熱、食中毒、腸チフス、肺炎、淋病、髄膜炎(例えば、髄膜炎A型およびB型)、クラミジア、梅毒、ジフテリア、ライ病、パラ結核、結核、狼瘡、ボツリヌス中毒、壊疽、破傷風、膿痂疹、リウマチ熱、猩紅熱、性感染病、皮膚病(例えば、蜂巣炎、皮膚真菌症(dermatocycoses))、毒血症、***症、創傷感染症。本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれらの症状もしくは疾患を処置、予防および/または診断し得る。特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストは、以下を処置、予防および/または診断するために使用される:破傷風、ジフテリア、ボツリヅム、および/またはB型髄膜炎。
さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置、予防および/または診断され得る、寄生生物性因子が引き起こす疾患または症状としては以下のファミリーまたはクラスが挙げられるがこれらに限定されない:アメーバ症、バベシア症、コクシジウム症、クリプトスポリジウム症、二核アメーバ症(Dientamoebiasis)、交疫、外部寄生生物性、ジアルジア鞭毛虫症、蠕虫症、リーシュマニア症、タイレリア症、トキソプラスマ症、トリパノソーマ症、およびトリコモナス(Trichomonas)症、ならびに胞子虫症(Sporozoan)(例えば、Plasmodium virax、Plasmodium falciparium、Plasmodium malariaeおよびPlasmodium ovale)。これらの寄生生物は、以下を含むがこれらに限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得る:疥癬、ツツガムシ病、眼性感染症、腸疾患(例えば、赤痢、ジアルジア鞭毛虫症)、肝臓疾患、肺疾患、日和見感染症(例えば、AIDS関連)、マラリア、妊娠合併症、およびトキソプラスマ症。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、任意のこれらの症状または疾患を処置、予防および/または診断し得る。特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、マラリアを処置、予防および/または診断するために使用される。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いた治療または予防は、患者に有効量のポリペプチドを投与するか、または患者から細胞を取り出して、本発明のポリヌクレオチドをこの細胞に供給し、そして操作した細胞を患者に戻す(エキソビボ治療)かのいずれかによるものであり得る。さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはワクチン中の抗原として用いられて、感染性疾患に対する免疫応答を惹起し得る。
(再生)
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、細胞を分化させ、増殖させ、そして誘引して、組織の再生を導き得る(Science 276:59−87(1997)を参照のこと)。組織の再生を用いて、先天性欠損、外傷(創傷、熱傷、切開、または潰瘍)、加齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、変形性関節炎(osteocarthritis)、歯周病、肝不全)、美容形成手術を含む手術、線維症、再灌流傷害、もしくは全身性サイトカイン損傷により損傷を受けた組織を修復、置換、または保護し得る。
本発明を用いて再生し得る組織としては、以下が挙げられる:器官(例えば、膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格筋、または心筋)、血管系(血管およびリンパ管を含む)、神経、造血、および骨格(骨、軟骨、腱、および靭帯)の組織。好ましくは、再生は、瘢痕なく、または瘢痕が低減されて生じる。再生はまた、新脈管形成を含み得る。
さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、治癒するのが困難な組織の再生を増加させ得る。例えば、腱/靭帯の再生を増大させることによって、損傷後の回復時間が早まる。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、および/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、損傷を回避する試みにおいて予防的に使用され得る。処置、予防および/または診断され得る特定の疾患は、腱炎、手根管症候群、および他の腱欠損または靭帯欠損を含む。非治癒創傷の組織再生のさらなる例としては、褥瘡性潰瘍、脈管不全、外科的創傷、および外傷性創傷に関連する潰瘍が挙げられる。
同様に、神経および脳組織はまた、神経細胞を増殖および分化させるために本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用することによって再生され得る。本方法を用いて処置、予防および/または診断され得る疾患としては、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患、神経障害、または機械的および外傷性の疾患、障害および/または状態(例えば、脊髄障害、頭部外傷、脳血管疾患、および発作(stoke))が挙げられる。詳細には、末梢神経傷害と関連する疾患、末梢神経障害(例えば、化学療法または他の医学的療法から生じる)、局在神経障害、および中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ−ドレーガー症候群)はすべて、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置、予防および/または診断され得る。
(走化性)
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、走化性活性を有し得る。走化性分子は、細胞(例えば、単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好酸球、上皮細胞および/または内皮細胞)を、身体中の特定の部位(例えば、炎症、感染、または過剰増殖の部位)に誘引または動員する。次いで、動員された細胞は、特定の外傷または異常性を撃退および/または治癒し得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の細胞の走化性活性を増大し得る。次いで、これらの走化性分子を使用して、身体中の特定の位置に標的化した細胞の数を増加させることによって、炎症、感染、過剰増殖性の疾患、障害および/もしくは状態、または任意の免疫系障害を処置、予防および/または診断し得る。例えば、走化性分子を使用して、傷害を受けた位置に免疫細胞を誘引することによって、組織に対する創傷および他の外傷を処置、予防および/または診断し得る。本発明の走化性分子はまた、線維芽細胞を誘引し得、これは創傷を処置、予防および/または診断するために使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストが走化性活性を阻害し得ることもまた意図される。これらの分子はまた、疾患、障害および/または状態を処置、予防および/または診断するために使用され得る。従って、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、走化性のインヒビターとして使用され得る。
(結合活性)
本発明のポリペプチドは、このポリペプチドに結合する分子、またはこのポリペプチドが結合する分子についてスクリーニングするために使用され得る。このポリペプチドとこの分子との結合は、結合したポリペプチドまたは分子の活性を活性化(アゴニスト)、増大、阻害(アンタゴニスト)、または減少させ得る。そのような分子の例としては、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば、レセプター)、または低分子が挙げられる。
好ましくは、この分子は、このポリペプチドの天然のリガンド(例えば、リガンドのフラグメント)、または天然の基質、リガンド、構造的模倣物、もしくは機能的模倣物に密接に関連する(Coliganら、Current Protocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参照のこと)。同様に、この分子は、このポリペプチドが結合する天然のレセプター、または少なくとも、このポリペプチドによって結合され得るレセプターのフラグメント(例えば、活性部位)に密接に関連し得る。いずれの場合においても、この分子は、公知の技術を用いて合理的に設計され得る。
好ましくは、これらの分子についてのスクリーニングは、分泌タンパク質としてかまたは細胞膜上のいずれかでこのポリペプチドを発現する適切な細胞を産生する工程を包含する。好ましい細胞としては、哺乳動物、酵母、Drosophila、またはE.coli由来の細胞が挙げられる。次いで、このポリペプチドを発現する細胞(または、発現されたポリペプチドを含む細胞膜)を、好ましくは、このポリペプチドまたはこの分子のいずれかの結合、活性の刺激、または活性の阻害を観察するための分子を潜在的に含む試験化合物と接触させる。
アッセイは、このポリペプチドへの候補化合物の結合を単純に試験し得、ここで結合は、標識によって、または標識された競合物との競合に関するアッセイにおいて検出される。さらに、アッセイは、候補化合物がこのポリペプチドへの結合によって生成されるシグナルを生じるか否かを試験し得る。
あるいは、アッセイは、無細胞調製物、固体支持体に接着されたポリペプチド/分子、化学ライブラリー、または天然産物の混合物を用いて実施され得る。アッセイはまた、候補化合物を、ポリペプチドを含む溶液と混合する工程、ポリペプチド/分子の活性または結合を測定する工程、およびポリペプチド/分子の活性または結合を、標準と比較する工程を単純に包含し得る。
好ましくは、ELISAアッセイは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を用いて、サンプル(例えば、生物学的サンプル)におけるポリペプチドのレベルまたは活性を測定し得る。抗体は、ポリペプチドへの直接的もしくは間接的のいずれかの結合、または基質についてのポリペプチドとの競合によって、ポリペプチドのレベルまたは活性を測定し得る。
さらに、本発明のポリペプチドが結合するレセプターは、当業者に公知の多くの方法(例えば、リガンドパニングおよびFACSソーティング(Coliganら、Current Protocols in Immun.,1(2)、第5章(1991))によって同定され得る。例えば、発現クローニングは、ポリアデニル化RNAがこのポリペプチドに応答する細胞から調製される場合に用いられ、例えば、NIH3T3細胞(これは、FGFファミリータンパク質に対する複数のレセプターを含むことが公知である)、およびSC−3細胞、およびこのRNAから作製されたcDNAライブラリーは、プールに分けられ、そしてこのポリペプチドに応答性でないCOS細胞または他の細胞をトランスフェクトするために使用される。ガラススライド上で増殖しているトランスフェクトされた細胞は、それらを標識化した後に、本発明のポリペプチドに曝露される。このポリペプチドは、種々の手段(部位特異的プロテインキナーゼに対する認識部位のヨウ素化または封入を含む)によって標識化され得る。
固定化およびインキュベーション後、スライドは、オートラジオグラフィー分析に供される。陽性プールを同定し、そしてサブプールを、反復性のサププール化および再スクリーニングプロセスを使用して調製および再びトランスフェクトして、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを生じる。
レセプター同定のための代替のアプローチとして、標識ポリペプチドは、レセプター分子を発現する調製物を、細胞膜と光親和性に連結し得るか、または抽出し得る。架橋された材料は、PAGE分析によって分離され、そしてX線フィルムに曝露される。ポリペプチドのレセプターを含む標識複合体が切り出され得、ペプチドフラグメントへと分離され得、そしてタンパク質微量配列決定に供され得る。微量配列決定から得られるアミノ酸配列を使用して、1組の縮重オリゴヌクレオチドプローブを設計してcDNAライブラリーをスクリーニングし、推定レセプターをコードする遺伝子を同定する。
さらに、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリングの技術(集合的に「DNAシャッフリング」という)を利用して、本発明のポリペプチドの活性を調節し得、それによって本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを効果的に生成する。一般に、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、および同第5,837,458号、ならびにPatten,P.A.ら、Curr.Opinion Biotechnol.8:724〜33(1997);Harayama,S.Trends Biotechnol.16(2):76〜82(1998);Hansson,L.O.ら、J.Mol.Biol.287:265〜76(1999);ならびにLorenzo,M.M.およびBlasco,R.Biotechniques 24(2):308〜13(1998)(これらの特許および刊行物の各々は、本明細書において参考として援用される)を参照のこと。1つの実施態様において、本発明のポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドの変更は、DNAシャッフリングによって達成され得る。DNAシャッフリングは、相同組換えまたは部位特異的な組換えによる、2つ以上のDNAセグメントの、本発明の分子の所望のポリヌクレオチド配列への構築を含む。別の実施態様において、本発明のポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドは、組換えの前に、誤りがちな(error−prone)PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法によるランダム変異誘発に供することによって、変更され得る。別の実施態様において、本発明のポリペプチドの1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、フラグメントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、フラグメントなどと組換えられ得る。好ましい実施態様において、この異種分子は、ファミリーのメンバーである。さらに好ましい実施態様において、この異種分子は、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF−I)、トランスホーミング増殖因子(TGF)−α、表皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、TGF−β、骨形成タンパク質(BMP)−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、アクチビンAおよびアクチビンB、デカペンタプレジック(decapentaplegic)(dpp)、60A、OP−2、ドーサリン(dorsalin)、増殖分化因子(GDF)、結節(nodal)、MIS、インヒビン−α、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β5、および神経膠由来神経栄養因子(GDNF)のような増殖因子である。
他の好ましいフラグメントは、本発明のポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントである。生物学的に活性なフラグメントは、このポリペプチドの活性に類似の活性を示すが、必ずしも同一ではないフラグメントである。このフラグメントの生物学的活性は、改善された所望の活性、または減少した所望されない活性を含み得る。
さちに、本発明は、本発明のポリペプチドの作用を調節する化合物を同定するために化合物をスクリーニングする方法を提供する。このようなアッセイの例は、哺乳動物線維芽細胞、本発明のポリペプチド、スクリーニングされるべき化合物および3[H]チミジンを、線維芽細胞が通常増殖する細胞培養条件下で合わせる工程を包含する。コントロールアッセイは、スクリーニングされるべき化合物の非存在下で実施され得、そしてこの化合物の存在下での線維芽細胞の増殖の量と比較して、各々の場合における3[H]チミジンの取り込みの決定によって、この化合物が増殖を刺激するか否かを決定し得る。線維芽細胞の増殖の量は、3[H]チミジンの取り込みを測定する液体シンチレーションクロマトグラフィーによって測定される。アゴニスト化合物およびアンタゴニスト化合物の両方が、この手順により同定され得る。
別の方法において、本発明のポリペプチドに対するレセプターを発現する哺乳動物細胞または膜調製物は、この化合物の存在下において標識化した本発明のポリペプチドとともにインキュベートされる。次いで、この化合物がこの相互作用を増強またはブロックする能力が、測定され得る。あるいは、スクリーニングされるべき化合物の相互作用に従う既知のセカンドメッセンジャー系の応答およびレセプターが測定され、そしてこの化合物がこのレセプターに結合し、そしてセカンドメッセンジャー応答を誘発する能力を測定して、この化合物が潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定する。このようなセカンドメッセンジャー系には、cAMPグアニル酸シクラーゼ、イオンチャネルまたはホスホイノシチド加水分解が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの上記のアッセイの全ては、診断マーカーまたは予後マーカーとして使用され得る。これらのアッセイを用いて発見される分子は、ポリペプチド/分子を活性化または阻害することによって、疾患を処置、予防および/または診断するか、あるいは患者に特定の結果(例えば、血管増殖)をもたらすために使用され得る。さらに、アッセイは、適切に操作された細胞または組織からの本発明のポリペプチドの産生を阻害または増強し得る因子を発見し得る。従って、本発明は、以下の工程を含む本発明のポリペプチドに結合する化合物を同定する方法を包含する:(a)候補結合化合物をポリペプチドとともにインキュベートする工程;および(b)結合が生じたか否かを決定する工程。さらに、本発明は、以下の工程を含むアゴニスト/アンタゴニストを同定する方法を包含する:(a)候補化合物をポリペプチドとともにインキュベートする工程、(b)生物学的活性をアッセイする工程、および(b)ポリペプチドの生物学的活性が改変されているか否かを決定する工程。
また、タンパク質のポリペプチド配列に含まれるβプリーツシート領域を使用することによって、実験的に本発明のポリペプチドを結合する分子を同定し得る。従って、本発明の特定の実施形態は、開示されたポリペプチド配列中の各々のβプリーツシート領域のアミノ酸配列を含むか、あるいは開示されたポリペプチド配列中の各々のβプリーツシート領域のアミノ酸配列からなる、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明のさらなる実施形態は、本発明のポリペプチド配列中に含まれる任意の組合せもしくは全てを含むか、または本発明のポリペプチド配列中に含まれる任意の組合せまたは全てからなる、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明のさらなる好ましい実施形態は、本発明のポリペプチド配列の1つにおけるβプリーツシート領域の各々のアミノ酸配列を含むか、あるいは本発明のポリペプチド配列の1つにおけるβプリーツシート領域の各々のアミノ酸配列からなる、ポリペプチドに関する。本発明のさらなる実施形態は、本発明のポリペプチド配列の1つにおけるβプリーツシート領域の任意の組合せもしくは全てを含むか、または本発明のポリペプチド配列の1つにおけるβプリーツシート領域の任意の組合せもしくは全てからなる、ポリペプチドに関する。
(標的化された送達)
別の実施形態において、本発明は、組成物を、本発明のポリペプチドについてのレセプターを発現する標的化細胞、または本発明のポリペプチドの細胞結合形態を発現する細胞に送達する方法を提供する。
本明細書中で議論される場合、本発明のポリペプチドまたは抗体は、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素またはプロドラッグと、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性の相互作用を介して会合し得る。1つの実施形態において、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合した本発明のポリペプチド(抗体を含む)を投与することによる、本発明の組成物の細胞への特異的な送達のための方法を提供する。1つの例において、本発明は、治療タンパク質を標的化細胞中へ送達するための方法を提供する。別の例において、本発明は、一本鎖核酸(例えば、アンチセンスまたはリボザイム)あるいは二本鎖核酸(例えば、細胞のゲノムに組み込まれ得るか、またはエピソームにて複製し得、そして転写され得る、DNA)を、標的化細胞に送達するための方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグと会合した本発明のポリペプチド(例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明の抗体)を投与することによる細胞の特異的破壊(例えば、腫瘍細胞の破壊)のための方法を提供する。
「毒素」とは、内因性の細胞傷害性エフェクター系、放射性同位体、ホロ毒素(holotoxin)、改変型毒素、毒素の触媒サブユニット、または規定の条件下で細胞死を引き起こす細胞中もしくは細胞表面には通常存在しない任意の分子もしくは酵素を、結合および活性化する化合物を意味する。本発明の方法に従って使用され得る毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:当該分野で公知の放射性同位体、固有のまたは誘導された内因性の細胞傷害性エフェクター系を結合する化合物(例えば、抗体(またはその一部を含む補体固定)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、α毒素、リシン、アブリン、Pseudomonas内毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モモルジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、α−サルシン(sarcin)およびコレラ毒素。「細胞傷害性プロドラッグ」とは、通常細胞内に存在する酵素によって、細胞傷害性化合物へと変換される非毒性の化合物を意味する。本発明の方法に従って使用され得る細胞傷害性プロドラッグとしては、安息香酸マスタードアルキル化剤のグルタミル誘導体、エトポシドまたはマイトマイシンCのリン酸誘導体、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、およびドキソルビシンのフェノキシアセトアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
(薬物スクリーニング)
本発明のポリペプチドの活性を改変する分子についてスクリーニングするための、本発明のポリペプチド、またはこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用が、さらに意図される。このような方法は、本発明のポリペプチドを、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性を有することが疑われる選択された化合物と接触させる工程、および結合に続いてこれらのポリペプチドの活性をアッセイする工程を包含する。
本発明は、種々の薬物スクリーニング技術のいずれかにおいて、本発明のポリペプチド、またはそれらの結合フラグメントを使用することによって治療用化合物をスクリーニングするために特に有用である。このような試験に用いられるポリペプチドまたはフラグメントは、固体支持体に固定化され得、細胞表面上に発現され得、溶液中で遊離であり得、または細胞内に局在化され得る。薬物スクリーニングの1つの方法は、ポリペプチドまたはフラグメントを発現する組換え核酸を用いて安定に形質転換される真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞を利用する。薬物は、競合結合アッセイにおいて、このような形質転換細胞に対してスクリーニングされる。例えば、試験されている薬剤と本発明のポリペプチドとの間の複合体の形成(formulaton)を測定し得る。
従って、本発明は、本発明のポリペプチドによって媒介される活性に影響を及ぼす薬物または任意の他の薬剤についてのスクリーニング方法を提供する。これらの方法は、当該分野で周知の方法によって、このような薬剤を本発明のポリペプチドもしくはそのフラグメントと接触させる工程、およびこの薬剤とこのポリペプチドもしくはそのフラグメントとの間の複合体の存在についてアッセイする工程を包含する。このような競合結合アッセイにおいて、スクリーニングされる薬剤は、代表的に、標識化される。インキュベーション後に、遊離の薬剤は、結合形態中に存在する薬剤から分離され、そして遊離または複合体化されていない標識の量は、特定の薬剤が本発明のポリペプチドに結合する能力の尺度である。
薬物スクリーニングについての別の技術は、本発明のポリペプチドに対する適切な結合親和性を有する化合物に対するハイスループットスクリーニングを提供し、そして欧州特許出願84/03564(1984年9月13日公開)(これは、本明細書中で参考として援用される)に非常に詳細に記載される。簡潔にいうと、大量の異なる小さなペプチド試験化合物は、固体基材(例えば、プラスチックピンまたはいくつかの他の表面)上で合成される。ペプチド試験化合物を、本発明のポリペプチドと反応させ、そして洗浄する。次いで、結合したポリペプチドは、当該分野で周知の方法によって検出される。精製されたポリペプチドは、前述の薬物スクリーニング技術での使用のためにプレート上に直接コーディングされる。さらに、非中和抗体を使用して、このペプチドを捕捉し得、そして固体支持体上にそれを固定し得る。
本発明はまた、競合薬物スクリーニングアッセイの使用を意図し、ここで、本発明のポリペプチドを結合し得る中和抗体は、ポリペプチドまたはそのフラグメントに対する結合について試験化合物と特異的に競合する。この様式において、抗体を使用して、本発明のポリペプチドと1つ以上の抗原性エピトープを共有する任意のペプチドの存在を検出する。
(本発明のポリペプチドに結合するペプチドおよび他の分子)
本発明はまた、本発明のポリペプチドに結合するポリペプチドおよび非ポリペプチドを同定するためのスクリーニング方法、ならびにそれによって同定された本発明のポリペプチドに結合する分子を含む。これらの結合分子は、例えば、本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストとして有用である。そのようなアゴニストおよびアンタゴニストは、本発明に従って、以下に詳細に記載される治療実施形態において使用され得る。
この方法は、以下の工程を包含する:
a.本発明のポリペプチドを多数の分子と接触させる工程;および
b.本発明のポリペプチドに結合する分子を同定する工程。
本発明のポリペプチドを多数の分子と接触させる工程は、多数の方法によってもたらされ得る。例えば、当業者は、本発明のポリペプチドを固体支持体上に固定化させ、そして多数の分子の溶液を固定した本発明のポリペプチドと接触させることを考え得る。このような手順は、固定した本発明のポリペプチドから構成される親和性マトリックスを用いるアフィニティークロマトグラフィープロセスに類似している。次いで、本発明のポリペプチドに対して選択的な親和性を有する分子が、親和性選択によって精製され得る。固体支持体の性質、本発明のポリペプチドのこの固体支持体への付着に関するプロセス、溶媒、および親和性単離または親和性選択の条件は、大部分が慣用的であり、そして当業者に周知である。
あるいは、多数のポリペプチドはまた、ポリペプチドのサブセットまたは個々のポリペプチドを含む実質的に別々の分画へ分離され得る。例えば、多数のポリペプチドは、ゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィーなどポリペプチドの分離に関して当業者に公知の方法によって、分離され得る。個々のポリペプチドはまた、宿主細胞の外部表面上またはほぼ外部表面に発現されるような様式で、形質転換された宿主細胞(例えば、組換えファージ)によって産生され得る。次いで、個々の単離物は、本発明のポリペプチドによって「プローブ化」され得、必要に応じて発現に必要とされるであろうインデューサーの存在下で、本発明のポリペプチドと個々のクローンとの間で任意の選択的親和性相互作用が起こったか否かが決定される。本発明のポリペプチドを個々のポリペプチドを含む各分画と接触させる前に、これらのポリペプチドはまず、さらなる簡便性のために固体支持体に移され得る。そのような固体支持体は、単に、例えばニトロセルロースまたはナイロンでできたフィルター膜の断片であり得る。この様式において、陽性クローンは、形質転換宿主細胞の発現ライブラリーの集団(これらは、本発明のポリペプチドに対して選択的親和性を有するポリペプチドをコードするDNA構築物を持つ)から同定され得る。さらに、本発明のポリペプチドに対して選択的親和性を有するポリペプチドのアミノ酸配列が、従来の手段によって直接決定され得るか、またはこのポリペプチドをコードするDNAのコード配列が、頻繁により簡便に決定され得る。次いで、一次配列が、対応するDNA配列から推定され得る。アミノ酸配列がポリペプチド自身から決定されるものである場合、微小配列決定技術を使用し得る。この配列決定技術は、質量分析法を含み得る。
特定の状況において、選択的親和性相互作用の存在を決定または検出しようと試みる前に、未結合の本発明のポリペプチドあるいは未結合ポリペプチドのいずれかを、本発明のポリペプチドおよび多数のポリペプチドの混合物から洗浄除去することが望ましくあり得る。このような洗浄工程は、本発明のポリペプチドまたは多数のポリペプチドが固体支持体に結合している場合に、特に望ましくあり得る。
本方法に従って提供される多数の分子は、多様性ライブラリー(例えば、本発明のポリペプチドへ特異的に結合する分子をスクリーニングし得る無作為またはコンビナトリアルの、ペプチドライブラリーまたは非ペプチドライブラリー)として提供され得る。使用され得る多くのライブラリー(例えば、化学合成ライブラリー、組換えライブラリー(例えば、ファージディスプレイライブラリー)、およびインビトロ翻訳ベースのライブラリー)が、当該分野で公知である。化学合成ライブラリーの例は、以下に記載される:Fodorら、1991、Science 251:767−773;Houghtenら、1991、Nature 354:84−86;Lamら、1991、Nature 354:82−84;Medynski、1994、Bio/Technology 12:709−710;Gallopら、1994、J.Medicinal Chemistry 37(9):1233−1251;Ohlmeyerら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−10926;Erbら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422−11426;Houghtenら、1992,Biotechniques 13:412;Jayawickremeら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1614−1618;Salmonら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11708−11712;PCT公開番号WO93/20242;ならびにBrennerおよびLerner、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5381−5383。
ファージディスプレイライブラリーの例は、以下に記載される:ScottおよびSmith、1990、Science 249:386−390;Devlinら、1990、Science、249:404−406;Christian,R.B.ら、1992、J.Mol.Biol.227:711−718);Lenstra、1992、J.Immunol.Meth.152:149−157;Kayら、1993、Gene 128:59−65;ならびにPCT公開番号WO94/18318(1994年8月18日)。
インビトロ翻訳ベースのライブラリーとしては、以下:PCT公開番号WO91/05058(1991年4月18日);およびMattheakisら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:9022−9026に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
非ペプチドライブラリーの例として、ベンゾジアゼピンライブラリー(例えば、Buninら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:4708−4712を参照のこと)が、使用のために適応され得る。ペプトイドライブラリー(Simonら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9367−9371)がまた使用され得る。使用され得るライブラリーの別の例は、Ostreshら(1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11138−11142)によって記載され、ここでは、ペプチド中のアミド官能基が、過剰にメチル化(permethylate)されて、化学的に形質転換されたコンビナトリアルライブラリーを生成する。
本発明において有用である種々の非ペプチドライブラリーは、大きい。例えば、EckerおよびCrooke(1995,Bio/Technology 13:351−360)は、種々のライブラリーの基礎を形成する化学種の間として、ベンゾジアゼピン、ヒダントイン、ピペラジンジオン、ビフェニル、糖アナログ、β−メルカプトケトン、アリール酢酸、アシルピペラジン、ベンゾピラン、キューバン(cubane)、キサンチン、アミンイミドおよびオキサゾロンを列挙している。
非ペプチドライブラリーは、2つの型に大きく分類され得る:修飾されたモノマーおよびオリゴマー。修飾モノマーライブラリーは、比較的単純な骨格構造を使用し、この上に種々の官能基が付加される。しばしば、骨格は、既知の有用な薬理学的活性を有する分子である。例えば、骨格は、ベンゾジアゼピン構造であり得る。
非ペプチドオリゴマーライブラリーは、モノマーの順序に依存して新規な形状を作製する様式で共にアセンブルされる、多数のモノマーを使用する。使用されるモノマー単位の間には、カルバメート、ピロリノン(pyrrolinone)およびモルホリノがある。ペプトイド(側鎖がα炭素よりもαアミノ基に結合するペプチド様オリゴマー)は、非ペプチドオリゴマーライブラリーの別のバージョンの基礎を形成する。最初の非ペプチドオリゴマーライブラリーは、単一型のモノマーを使用し、従って、反復骨格を含む。近年のライブラリーは、1つより多くのモノマーを使用し、自由度が添加されたライブラリーを与える。
ライブラリーをスクリーニングすることは、多様な一般的に公知の方法のいずれかによって達成され得る。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングを開示する以下の参考文献:ParmleyおよびSmith、1989、Adv.Exp.Med.Biol.251:215−218;ScottおよびSmith、1990、Science 249:386−390;Fowlkesら、1992;BioTechniques 13:422−427;Oldenburgら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5393−5397;Yuら、1994、Cell 76:933−945;Staudtら、1988、Science 241:577−580;Bockら、1992、Nature 355:564−566;Tuerkら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6988−6992;Ellingtonら、1992、Nature 355:850−852;米国特許第5,096,815号、米国特許第5,223,409号、および米国特許第5,198,346号(全てLadnerらに対して);RebarおよびPabo、1993、Science 263:671−673;ならびにPCT公開番号WO94/18318を参照のこと。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドを結合する分子を同定するためのスクリーニングは、ライブラリーのメンバーを固相に固定化された本発明のポリペプチドと接触させ、そして本発明のポリペプチドに結合するこれらのライブラリーを収集することによって実行され得る。そのようなスクリーニング方法の例の、「パニング」と呼ばれる技術は、例として、ParmleyおよびSmith,1988,Gene 73:305−318;Fowlkesら、1992,BioTechniques 13:422−427;PCT公開番号WO94/18318;ならびにその中に引用される参考文献に記載される。
別の実施形態において、酵母中の相互作用タンパク質を選択するためのツーハイブリッドシステム(FieldsおよびSong,1989,Nature 340:245−246;Chienら、1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:9578−9582)が、本発明のポリペプチドに特異的に結合する分子を同定するために使用され得る。
分子に結合している本発明のポリペプチドがポリペプチドである場合、このポリペプチドは、任意のペプチドライブラリー(ランダムペプチドライブラリー、コンビナトリアルペプチドライブラリー、またはバイアスペプチドライブラリーを含む)から簡便に選択され得る。用語「バイアス(biased)」は、この場合のペプチドにおいて、ライブラリーを作製する方法が、生じる分子収集の多様性を支配する1つ以上のパラメーターを制限するように操作されることを意味するために本明細書中に使用される。
従って、本当にランダムなペプチドライブラリーは、ペプチドの所定の位置に特定のアミノ酸を見出す可能性が全て20のアミノ酸に関して同じである、ペプチドの収集物を作製する。しかし、例えば、リジンが5番目のアミノ酸毎に生じることを特定するかまたはデカペプチドライブラリーの4位、8位および9位がアルギニンのみを含むように固定して特定することによって、バイアスがライブラリーに導入され得る。明らかに、バイアスの多くの型は、意図され得、そして本発明は、任意の特定のバイアスに制限されない。さらに、本発明は、特定の型のペプチドライブラリー(例えば、ファージディスプレイペプチドライブラリーおよびDNA挿入物と共にλファージベクターを含むDNA構築物を使用するライブラリー)を意図する。
上記のように、本発明のポリペプチドに結合する分子(ポリペプチドである)の場合、このポリペプチドは、約6から約60より少ないアミノ酸残基を有し、好ましくは約6〜約10アミノ酸残基、そしてより好ましくは約6〜約22アミノ酸であり得る。別の実施形態において、本発明のポリペプチドに結合するポリペプチドは、15〜100の範囲のアミノ酸、または20〜50の範囲のアミノ酸を有する。
分子に結合している選択された本発明のポリペプチドは、化学合成または組換え発現によって得られ得る。
(アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト))
特定の実施形態において、本発明に従うアンタゴニストは、配列番号Xに含まれる配列またはその相補鎖に対応する核酸および/または寄託されるクローンに含まれるヌクレオチド配列に対応する核酸である。1つの実施形態において、アンチセンス配列は、生物体により内部で生成され、別の実施形態において、アンチセンス配列は別々に投与される(例えば、O’Connor,Neurochem.56:560(1991)を参照のこと)。Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)。アンチセンス技術を使用して、アンチセンスDNAもしくはRNAを通してか、または3重らせんの形成を通して遺伝子発現を制御し得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)に考察される。3重らせん形成は、例えば、Leeら、Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら、Science、241:456(1988);およびDervanら、Science、251:1300(1991)において考察される。これらの方法は、相補的なDNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。
例えば、非リンパ性白血病細胞株HL−60および他の細胞株の増殖を阻害するためのc−mycおよびc−mybアンチセンスRNA構築物の使用は、以前に記載された(Wickstromら(1988);Anfossiら(1989))。これらの実験は、細胞をオリゴリボヌクレオチドとインキュベーションすることによってインビトロで行われた。インビボ用途のための類似の手順は、WO91/15580に記載される。簡単には、所定のアンチセンスRNAについてのオリゴヌクレオチドの対は、以下のように生成される:オープンリーディングフレームの最初の15塩基に相補的な配列を、5末端のEcoRI部位および3末端のHindIII部位に隣接させる。次に、オリゴヌクレオチドの対は、90℃で1分間加熱され、次いで2×連結緩衝液(20mM TRIS HCl pH7.5、10mM MgCl2、10mM ジチオスレイトール(DTT)および0.2mM ATP)中でアニーリングされ、次いで、レトロウイルスベクターPMV7のEcoR1/HindIII部位に連結される(WO91/15580)。
例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部分を使用して、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計し得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計され、それにより転写およびレセプターの産生を阻害する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズし、そしてmRNA分子のレセプターポリペプチドへの翻訳をブロックする。
1つの実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、外来の配列からの転写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその一部が転写され、本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクターは、本発明のアンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベクターは、それが転写されて所望のアンチセンスRNAを産生し得る限り、エピソームを保持し得るか、または染色体に組込まれ得る。このようなベクターは、当該分野において標準的な組換えDNA技術方法により構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞において複製および発現のために使用される、当該分野で公知のプラスミド、ウイルスなどであり得る。本発明のポリペプチドをコードする配列またはそのフラグメントの発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する、当該分野で公知の任意のプロモーターにより得る。そのようなプロモーターは、誘導性または構成性であり得る。このようなプロモーターは、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、Nature、29:304−310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell、22:787−797(1980))、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445(1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature、296:39−42(1982))などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のアンチセンス核酸は、少なくとも目的の遺伝子のRNA転写物の一部に相補的な配列を含む。しかし、完全に相補的であることは好ましいが、必要ではない。本明細書中で言及される「少なくともRNAの一部に相補的な」配列は、RNAとハイブリダイズし得るに十分な相補性を有し、安定な二重鎖を形成する配列を意味し;従って、本発明の二本鎖アンチセンス核酸の場合において、二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、本発明のRNA配列とのより多くの塩基ミスマッチを含み得、これは、安定な二重鎖(または三重鎖の場合もあり得る)を含み得、そしてなお形成し得る。当業者は、ハイブリダイズ複合体の融点を決定するために標準的な手順を使用することによりミスマッチの許容の程度を確認し得る。
メッセージの5’末端に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、AUG開始コドンまででかつAUG開始コドンを含む5’非翻訳配列)は、翻訳の阻害の際に最も効率的に働くべきである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列は、同様にmRNAの翻訳を阻害する際に有効であることが示された。一般的に、Wagner,R.、Nature 372:333−335(1994)を参照のこと。従って、本発明のポリヌクレオチド配列の5’−または3’−の非翻訳非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用され得る。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補物を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳のあまり効率的でないインヒビターであるが、本発明に従って使用され得る。mRNAの5’領域、3’領域またはコード領域にハイブリダイズするように設計されるか否かにかかわらず、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきであり、そして好ましくは6〜約50ヌクレオチド長にわたるオリゴヌクレオチドである。特定の局面において、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
本発明のポリヌクレオチドは、DNA、もしくはRNA、またはキメラ混合物、あるいはそれらの誘導体もしくは改変バージョン、一本鎖、または二本鎖であり得る。このオリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で改変されて、例えば、分子の安定性、ハイブリダーゼーションなどを改善し得る。このオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボにおいて宿主細胞レセプターを標的化するために)、または細胞膜を通した輸送を促進する因子(例えば、Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556(1989);Lemaitreら、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652(1987);PCT公開番号WO88/09810(1988年12月15日公開)を参照のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134(1988年4月25日公開)を参照のこと)、ハイブリダイゼーション誘引切断剤(hybridization−triggered cleavage agent)(例えば、Krolら、BioTechniques、6:958−976(1988)を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば、Zon,Pharm.Res.5:539−549(1988)を参照のこと)を含み得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダーゼーション誘引架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘引切断剤など)に結合体化され得る。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変された塩基部分を含み得、この塩基部分は、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。
アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される少なくとも1っの改変された糖部分を含み得る:アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソース。
さらなる別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される少なくとも1つの改変されたリン酸骨格を含む:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホロアミデート(phosphoramidate)、ホスホロジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタール(formacetal)またはそれらのアナログ。
さらに別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、a−アノマーオリゴヌクレオチドである。a−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、通常のb−ユニットとは反対に、その鎖は互いに平行にする(Gautierら、Nucl.Acids Res.、15:6625−6641(1987))。このオリゴヌクレオチドは、2−0−メチルリボヌクレオチドであるか(Inoueら、Nucl.Acids Res.、15:6131−6148(1987))、またはキメラRNA−DNAアナログである(Inoueら、FEBS Lett.215:327−330(1987))。
本発明のポリヌクレオチドは当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動DNA合成機(このような装置はBiosearch,Applied Biosystemsなどから市販されている)の使用により)合成され得る。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(Nucl.Acids Res.、16:3209(1988))により合成され得、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、コントロールドポアガラス(controlled pore glass)ポリマー支持体(Sarinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:7448−7451(1988))などの使用により調製され得る。
一方、本発明のコード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが、使用され得、転写された非翻訳領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ましい。
本発明による潜在的なアンタゴニストはまた、触媒RNA、すなわちリボザイムを含む(例えば、PCT国際公開WO90/11364、1990年10月4日公開;Sarverら、Science、247:1222−1225(1990)を参照のこと)。一方、部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムを使用して、本発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAを破壊し得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域により決定される位置で、mRNAを切断する。たった1つの必要条件は、標的mRNAが以下の2つの塩基配列を有することである:5’−UG−3’。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および生成は当該分野で周知であり、そしてHaseloffおよびGerlach、Nature、334:585−591(1988)により十分に記載される。配列表に開示された各ヌクレオチド配列内に多くの潜在的なハンマーヘッド型リボザイム切断部位が存在する。好ましくは、このリボザイムは、切断認識部位が本発明のポリヌクレオチドに対応するmRNAの5’末端付近に位置するように;すなわち、効率を増大し、そして非機能的mRNA転写物の細胞内蓄積を最小化するように、操作される。
アンチセンスアプローチの場合、本発明のリボザイムは、改変されたオリゴヌクレオチド(例えば、安定性、標的化などについて改良された)から構成され得、そしてインビボにおいて本発明のポリヌクレオチドを発現する細胞に送達されるべきである。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセンスの導入のための上記と同じ様式において細胞中に導入され得る。送達の好ましい方法は、強力な構成性プロモーター(例えば、pol IIIまたはpol IIプロモーターのような)の制御下で、リボザイムを「コードする」DNA構築物を使用することを含み、その結果トランスフェクトした細胞が内因性メッセージを破壊し、そして翻訳を阻害するに十分な量のリボザイムを生成する。リボザイムはアンチセンス分子と異なり触媒性であるので、より低い細胞内濃度が効率のために必要とされる。
アンタゴニスト/アゴニスト化合物を利用して、腫瘍性の細胞および組織に対する本発明のポリペプチドの細胞増殖(growth)および増殖(proliferation)効果を阻害し得る。すなわち、腫瘍の新脈管形成を刺激し、それにより異常な細胞成長および増殖を(例えば、腫瘍形成または増殖において)遅延または防止する。
アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、血管過多の疾患を阻害し得、そして水晶体嚢外白内障(extracapsular cataract)手術後の上皮レンズ細胞の増殖を防止する。本発明のポリペプチドのマイトジェン活性の防止はまた、例えば、バルーン血管形成術後の再狭窄のような場合に要求され得る。
アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、創傷治癒の間の瘢痕組織の増殖防止し得る。
アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、本明細書中に記載される疾患を処置、予防および/または診断し得る。
従って、本発明は、疾患、障害および/または状態(本発明のポリヌクレオチドの過剰発現に関連する、本願の全体に渡って列挙される疾患、障害および/または状態が含まれるが、これらに限定されない)を処置または予防する方法であって、(a)本発明のポリヌクレオチドに対するアンチセンス分子、および/または(b)本発明のポリヌクレオチドに対するリボザイムを、患者に投与することによって処置または予防する方法を提供する。発明、および/または(b)本発明のポリヌクレオチドに関するリボザイム。
(他の活性)
本発明のポリペプチドは、血管内皮細胞増殖を刺激する能力の結果として、種々の疾患状態(例えば、血栓症、動脈硬化、および他の心臓血管の状態)に起因する虚血組織の血管再生を刺激するための処置において利用され得る。これらのポリペプチドをまた利用して、上記で議論されるように新脈管形成および肢の再形成を刺激し得る。
このポリペプチドを、傷害、火傷、手術後組織修復、および潰瘍に起因する創傷の処置にもまた利用し得る。なぜなら、それらは異なる起源の種々の細胞(例えば、線維芽細胞および骨格筋細胞)に対してマイトジェン性であり、それゆえダメージを受けた組織または疾患組織の修復または置換を促進するからである。
本発明のポリペプチドはまた、ニューロンの成長を刺激し、そして特定のニューロンの障害または神経変性状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびAIDS関連合併症)において生じるニューロンの損傷を処置、予防および/または診断するために用いられ得る。本発明のポリペプチドは、軟骨細胞増殖を刺激する能力を有し得、それゆえ、骨および歯周の再形成を増強し、そして組織移植片または骨の移植片における補助のために利用され得る。
本発明のポリペプチドをまた利用して、ケラチノサイト増殖を刺激することにより、日焼けに起因する皮膚の老化を予防し得る。
本発明のポリペプチドをまた、抜け毛を予防するために利用し得る。なぜなら、FGFファミリーのメンバーは、髪形成細胞を活性化し、そしてメラノサイト増殖を促進するからである。同じ系列にそって、本発明のポリペプチドを利用して、他のサイトカインと組み合わせて使用した場合、造血細胞および骨髄細胞の増殖および分化を刺激し得る。
本発明のポリペプチドをまた利用して、移植前の器官を維持し得るか、または始原組織の細胞培養を支持するために使用し得る。
本発明のポリペプチドはまた、初期胚における分化のための中胚葉起源の組織を誘導するために利用され得る。
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、先に議論されるように造血系統に加えて、胚性幹細胞の分化もしくは増殖を増加または減少し得る。
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、哺乳動物の特徴(例えば、身長、体重、毛の色、眼の色、皮膚、脂肪組織の割合、色素沈着、大きさ、および形(例えば、美容外科))を調節するために使用され得る。同様に、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、異化作用、同化作用、プロセシング、利用、およびエネルギーの貯蔵に影響を及ぼす哺乳動物の代謝を調節するために使用され得る。
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、バイオリズム、カリカディック(caricadic)リズム、うつ病(抑うつ性の疾患、障害および/または状態を含む)、暴力の傾向、痛みへの耐性、生殖能力(好ましくは、アクチビンまたはインヒビン様活性によって)、ホルモンレベルもしくは内分泌レベル、食欲、***、記憶、ストレス、または他の認知の質に影響を及ぼすことによって、哺乳動物の精神状態または身体状態を変更するために使用され得る。
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、例えば、貯蔵能力、脂肪含有量、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、補因子、または他の栄養成分を増加または減少させるような食品添加物または保存剤として使用され得る。
(他の好ましい実施形態)
本願発明の他の好ましい実施形態は、配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約50の連続したヌクレオチドの配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を含み、ここで、Xは表1に規定されるような任意の整数である。
上記連続したヌクレオチドの配列が、表1中の配列番号Xについて規定されるような、クローン配列のほぼ5’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで始まり、そしてクローン配列のほぼ3’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで終わる位置の範囲で、配列番号Xのヌクレオチド配列に含まれる、核酸分子もまた好ましい。
上記連続したヌクレオチドの配列が、表1中の配列番号Xについて規定されるような、開始コドンのほぼ5’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで始まり、そしてクローン配列のほぼ3’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで終わる位置の範囲で、配列番号Xのヌクレオチド配列に含まれる、核酸分子もまた好ましい。
上記連続したヌクレオチドの配列が、表1中の配列番号Xについて規定されるような、ほぼシグナルペプチドの第1のアミノ酸の5’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで始まり、そしてほぼクローン配列の3’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで終わる位置の範囲で、配列番号Xのヌクレオチド配列に含まれる、核酸分子も同様に好ましい。
配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約150の連続したヌクレオチドの配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子もまた好ましい。
配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約500の連続したヌクレオチドの配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子はさらに好ましい。
さらに好ましい実施形態は、表1中の配列番号Xたついて規定されるような、ほぼシグナルペプチドの第1のアミノ酸の5’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで始まり、そしてほぼクローン配列の3’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで終わる配列番号Xのヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
さらに好ましい実施形態は、配列番号Xの完全なヌクレオチド配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で核酸分子にハイブリダイズする単離された核酸分子もまた好ましく、ここで上記のハイブリダイズする核酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、A残基のみまたはT残基のみからなるヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズしない。
表1におけるcDNAクローンIDによって同定されるヒトcDNAクローンを含むDNA分子を含む物質の組成物もまた好ましく、このDNA分子は、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託された物質中に含まれ、そして上記のcDNAクローンIDについて表1中に示されるATCC受託番号を与えられている。
表1中のcDNAクローンIDによって同定されるヒトcDNAクローンのヌクレオチド配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子もまた好ましく、このDNA分子は表1において示されるATCC受託番号を付与された寄託物中に含まれる。
上記の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列が、上記ヒトcDNAクローンによってコードされる完全なオープンリーディングフレームの配列のヌクレオチド配列中に含まれる、単離された核酸分子もまた好ましい。
上記ヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列中の少なくとも150の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子もまた好ましい。
さらに好ましい実施形態は、上記ヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列中の少なくとも500の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
さらに好ましい実施形態は、上記ヒトcDNAクローンによってコードされる完全なヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
さらに好ましい実施形態は、以下からなる群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子を、生物学的サンプルにおいて検出するための方法である:配列番号Xのヌクレオチド配列であって、ここでXは表1において規定されるような任意の整数である;および表1中のcDNAクローンIDによって同定され、そして表1において上記cDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物中に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列;上記の方法は、上記の群から選択される配列と、上記のサンプル中の少なくとも1つの核酸分子のヌクレオチド配列とを比較する工程、および上記サンプル中の上記核酸分子の配列が、上記の選択された配列に対して少なくとも95%同一であるか否かを決定する工程を包含する。
上記の配列を比較する工程が、上記サンプル中の核酸分子と、上記の群から選択される上記の配列を含む核酸分子との間の核酸ハイブリダイゼーションの程度を決定する工程を包含する、上記方法もまた好ましい。同様に、上記の配列を比較する工程が、上記サンプル中の核酸分子から決定されるヌクレオチド配列と、上記の群から選択される上記配列とを比較する工程によって実施される、上記方法もまた好ましい。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含み得る。
さらに好ましい実施形態は、生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための方法であって、この方法は、以下からなる群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む上記サンプル中の核酸分子を(もしあれば)検出する工程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列であって、ここでXは表1において規定されるような任意の整数である;および表1中のcDNAクローンIDによって同定され、そして表1において上記cDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物中に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列。
生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を包含し得、ここで上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記の群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である。
表1において同定される分泌タンパク質をコードする遺伝子の異常な構造または発現と関連する病理学的状態を、被験体において診断するための方法もまた好ましく、この方法は、以下からなる群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、核酸分子を、(もしあれば)上記被験体から得られる生物学的サンプルにおいて検出する工程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列、ここでXは表1において規定されるような任意の整数である;および表1中のcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列。
病理学的状態を診断するための方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を包含し得、ここで、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である。
上記の核酸分子のヌクレオチド配列が、少なくとも2つのヌクレオチド配列のパネルを含む、単離された核酸分子を含む物質の組成物もまた好ましく、ここで上記のパネル中の少なくとも1つの配列は、以下からなる群から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である:配列番号Xのヌクレオチド配列、ここでXは表1において規定されるような任意の整数である;および表1中のcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含み得る。
配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約10の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましく、ここでYは、表1において規定されるような任意の整数である。
上記連続したアミノ酸の配列が、表1中の配列番号Yについて示されるような、分泌部分のほぼ第1のアミノ酸の位置の残基で始まり、そしてオープンリーディングフレームのほぼ最後のアミノ酸の残基で終わる位置の範囲で、配列番号Yのアミノ酸配列中に含まれる、ポリペプチドもまた好ましい。
配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約30の連続したアミノ酸の配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好ましい。
配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約100の連続したアミノ酸の配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
配列番号Yの完全なアミノ酸配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
表1中のcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされる分泌タンパク質の完全なアミノ酸配列において、少なくとも約10の連続したアミノ酸の配列に少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
上記の連続したアミノ酸の配列が、表1中のcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされる分泌タンパク質の分泌部分のアミノ酸配列に含まれる、ポリペプチドもまた好ましい。
表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の分泌部分のアミノ酸配列中の少なくとも約30の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の分泌部分のアミノ酸配列中の少なくとも約100の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の分泌部分のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
以下からなる群から選択される配列中の、少なくとも10個の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して特異的に結合する単離された抗体は、さらに好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1で規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の完全アミノ酸配列。
以下からなる群から選択された配列中の、少なくとも10個の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを、生物学的サンプルにおいて検出する方法はさらに好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1で規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の完全アミノ酸配列;この方法は、このサンプル中における少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列をこの群から選択された配列と比較する工程およびこのサンプル中におけるこのポリペプチド分子の配列が、少なくとも10個の連続的なアミノ酸のこの配列と少なくとも90%同一であるかどうかを決定する工程を包含する。
このサンプル中における少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列を、この群から選択された配列と比較するこの工程は、このサンプル中のポリペプチドの、以下からなる群から選択された配列中の少なくとも10個の連続的なアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異的に結合する抗体に対する特異的な結合の程度を決定する工程を包含する、上記の方法もまた、好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の完全アミノ酸配列。
配列を比較する上記工程が、このサンプル中のポリペプチド分子から決定されたアミノ酸配列を、この群から選択されたこの配列と比較することによって行われる、上記の方法もまた好ましい。
生物学的サンプルの種、組織または細胞型を同定する方法もまた好ましく、ここでこの方法は、このサンプル中のポリペプチド分子(このポリペプチドは、もし存在するならば、以下からなる群から選択される配列における少なくとも10の連続的なアミノ酸の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む)を検出する工程を包含する:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされる、分泌タンパク質の完全アミノ酸配列。
生物学的サンプルの種、組織または細胞型を同定する上記の方法もまた好ましく、ここでこの方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ酸配列を含むポリペプチド分子を検出する工程を包含する、ここでこのパネル中の少なくとも1つの配列は、上記の群から選択された配列における少なくとも10の連続的なアミノ酸の配列と少なくとも90%同一である。
被験体において、表1において同定された分泌タンパク質をコードする遺伝子の異常な構造または発現に関連する病的状態を診断する方法もまた、好ましい。ここで、この方法は、この被験体から得られた生物学的サンプルにおいて、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ酸配列を含むポリペプチド分子を検出する工程を包含し、ここでこのパネル中の少なくとも1つの配列は、以下からなる群から選択される配列における少なくとも10の連続的なアミノ酸の配列と少なくとも90%同一である:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされる分泌タンパク質の完全アミノ酸配列。
これらの方法のいずれかにおいて、このポリペプチド分子を検出する工程は、抗体を使用する工程を包含する。
以下からなる群から選択された配列中の、少なくとも10の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子もまた、好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされる分泌タンパク質の完全アミノ酸配列。
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、原核生物宿主でのこのポリペプチドの発現について最適化されている、単離された核酸分子もまた、好ましい。
ポリペプチドが以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子もまた、好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされる分泌タンパク質の完全アミノ酸配列。
上記の単離された核酸分子のいずれかをベクター中に挿入する工程を含む、組換えベクターの作製方法はさらに好ましい。この方法によって生成された組換えベクターも、好ましい。宿主細胞中にベクターを導入する工程を含む、組換え宿主細胞を作製する方法、ならびにこの方法によって生成された組換え宿主細胞もまた、好ましい。
このポリペプチドが発現されるような条件下でこの組換え宿主細胞を培養する工程、およびこのポリペプチドを回収する工程を包含する、単離されたポリペプチドを作製する方法もまた好ましい。この組換え宿主細胞は真核生物細胞であり、そしてこのポリペプチドは、以下からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、ヒト分泌タンパク質の分泌部分である、単離されたポリペプチドを作製するこの方法もまた好ましい:配列番号Yの分泌部分の第1のアミノ酸の位置の残基で始まる、配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に記載される整数であり、そして配列番号Yの分泌部分の第1のアミノ酸のこの位置は表1に規定される);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされるタンパク質の分泌部分のアミノ酸配列。この方法によって生成された単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
増加したレベルの分泌タンパク質活性を必要とする個体を処置する方法もまた、好ましい。ここで、この方法は、このような個体に、この個体においてこのタンパク質の活性のレベルを増加させるのに有効な本願発明の単離されたポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体の一定量を含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
上記で引用される適用は、広範な種々の宿主において使用されている。そのような宿主としては、ヒト、ネズミ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、ミニブタ(micro pig)、ニワトリ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、およびヒトが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、宿主は、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ニワトリ、ラット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、イヌまたはネコである。好ましい実施形態において、宿主は、哺乳動物である。最も好ましい実施形態において、宿主は、ヒトである。
本発明の特定の実施形態では、表7の4番目の列に列挙される各「コンティグID」について、好ましくは、表7の5番目の列で参照されるヌクレオチド配列、および一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(ここでaおよびbは、表7の列3で参照される対応する配列番号Xについて独自に決定される)を含むか、またはからなる、1つ以上のポリヌクレオチドが除外される。さらに特定の実施形態は、表7の5番目の列において参照される特定のポリヌクレオチド配列の1、2、3、4、またはそれ以上を除外するポリヌクレオチド配列に指向される。この表は、一般式により除外され得る配列の全てを含むことを決して意味せず、それは、単に例示的な例である。これらの登録を通じて利用可能な全ての文献は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
概して、本発明を記載してきたが、例示の目的のために提供され、そして限定を意図しない、以下の実施例を参照することによって、本発明はより容易に理解される。
(実施例)
(実施例1:選択されたcDNAクローンの寄託されたサンプルからの単離)
引用されるATCC寄託物中の各cDNAクローンは、プラスミドベクター中に含まれる。表1は、各クローンが単離されたcDNAライブラリーを構築するために用いられたベクターを同定する。多くの場合において、ライブラリーを構築するために使用されたベクターは、プラスミドが切り出されたファージベクターである。すぐ下の表は、cDNAライブラリーを構築する際に使用される各ファージベクターについて関連するプラスミドを相関づける。例えば、特定のクローンがベクター「Lambda Zap」中に単離されていると表1に同定される場合、対応する寄託クローンは、「pBluescript」である。
ベクターLambda Zap(米国特許第5,128,256号および同第5,286,636号)、Uni−Zap XR(米国特許第5,128,256号および同第5,286,636号)、Zap Express(米国特許第5,128,256号および同第5,286,636号)、pBluescript(pBS)(Short,J.M.ら、Nucleic Acids Res.16:7583−7600(1988);Alting−Mees,M.A.およびShort,J.M.、Nucleic Acids Res. 17:9494(1989))ならびにpBK(Alting−Mees,M.A.ら、Strategies 5:58−61(1992))は、Stratagene Cloning Systems,Inc.、11011 N.Torrey Pines Road、La Jolla,CA,92037から市販されている。pBSは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてpBKはネオマイシン耐性遺伝子を含む。両方とも、E.coli株XL−1 Blue(これもまた、Stratageneから入手可能である)に形質転換され得る。pBSは、SK+、SK−、KS+およびKSの4形態で入荷する。SおよびKとは、ポリリンカー領域(「S」とはSacIであり、そして「K」とは、KpnIのことであり、これらは、リンカーのそれぞれの各末端での最初の部位である)に隣接するT7およびT3プライマー配列に対するポリリンカーの配向をいう。「+」または「−」とは 、ある方向においてf1 oriから開始される一本鎖レスキューがセンス鎖DNAを生成し、そして他方においてアンチセンスであるようなf1複製起点(「ori」)の配向をいう。
ベクターpSport1、pCMVSport 2.0およびpCMVSport3.0をLife Technologies、Inc.、P.O.Box6009、Gaithersburg,MD 20897から入手した。全てのSportベクターはアンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株DH10B(これもまた、Life Technologiesから入手可能である)に形質転換され得る。(例えば、Gruber,C.E.ら、Focus 15:59(1993)を参照のこと)。ベクターlafmid BA(Bento Soares、Columbia University、NY)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株XL−1 Blueに形質転換され得る。ベクターpCR(登録商標)2.1(これはInvitrogen、1600 Faraday Avenue、Carlsbad、CA 92008から入手可能である)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株DH10B(Life Technologiesから入手可能である)に形質転換され得る(例えば、Clark,J.M.、Nuc.Acids Res.16:9677−9686(1988)およびMead,D.ら、Bio/Technology 9:(1991)を参照のこと)。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、表1における特定のクローンについて同定されたファージベクター配列、ならびに上記に示された対応するプラスミドベクター配列を含まない。
表1に引用される、任意の所定のcDNAクローンについてATCC受託番号を与えられたサンプルにおける寄託された物質はまた、1つ以上のさらなるプラスミド(これは各々、その所定のクローンとは異なるcDNAクローンを含む)を含み得る。従って、同じATCC受託番号を共有する寄託物は、表1に同定される各cDNAクローンのためのプラスミドを少なくとも含む。代表的には、表1に引用される各ATCC寄託物のサンプルは、ほぼ等量(重量で)の約50個のプラスミドDNA(これは各々、異なるcDNAクローンを含む)の混合物を含む;しかし、このような寄託サンプルは、50個よりも多いかまたは少ないcDNAクローン(約500個までのcDNAクローン)のためのプラスミドを含み得る。
表1における特定のクローンについて引用されるプラスミドDNAの寄託サンプルからそのクローンを単離するために2つのアプローチが使用され得る。第一に、プラスミドを、配列番号Xに対応するポリヌクレオチドプローブを使用して、クローンをスクリーニングすることによって直接単離する。
特に、30〜40ヌクレオチドを有する特定のポリヌクレオチドを、報告されている配列に従って、Applied BiosystemsのDNA合成装置を使用して合成する。オリゴヌクレオチドを、例えば、32P−γ−ATPで、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識し、そして慣用的な方法に従って精製する。(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring、NY(1982))。プラスミド混合物を、当業者に公知の技術(例えば、ベクター供給者によって提供される技術または上記で引用された関連の刊行物もしくは特許において提供される技術)を用いて、上記のような適切な宿主(例えば、XL−1 Blue(Stratagene))に形質転換する。形質転換体を1.5%寒天プレート(適切な選択薬剤、例えば、アンピシリンを含む)に、1プレートあたり約150の形質転換体(コロニー)の密度でプレーティングする。これらのプレートを、細菌コロニースクリーニングについての慣用的な方法(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1.93〜1.104頁)または当業者に公知の他の技術に従って、ナイロンメンブレンを使用してスクリーニングする。
あるいは、配列番号Xの両端(すなわち、表1に規定されるクローンの5’NTおよび3’NTによって囲まれる配列番号Xの領域内)に由来する、17〜20ヌクレオチドの2つのプライマーを合成し、そしてこれらを使用して、寄託されたcDNAプラスミドをテンプレートとして使用して、所望のcDNAを増幅する。ポリメラーゼ連鎖反応を、慣用的な条件下で、例えば、0.5μgの上記cDNAテンプレートとの反応混合物の25μl中で実施する。便利な反応混合物は、1.5〜5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、それぞれ20μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、25pmolの各プライマーおよび0.25ユニットのTaqポリメラーゼである。35サイクルのPCR(94℃での変性を1分間;55℃でのアニールを1分間;72℃での伸長を1分間)を、Perkin−Elmer Cetus自動化サーマルサイクラーを用いて実施する。増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分析し、そして予想される分子量のDNAバンドを切り出し、そして精製する。PCR産物を、DNA産物をサブクローニングおよび配列決定することによって、選択された配列であることを確認する。
寄託されたクローンに存在しないかもしれない遺伝子の5’非コード部分または3’非コード部分の同定のために、いくつかの方法が利用可能である。これらの方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フィルタープローブ探索、特異的プローブを使用するクローン富化、および当該分野で周知である5’および3’「RACE」プロトコルと類似するかまたは同一のプロトコル。例えば、5’RACEに類似する方法は、所望の全長転写物の欠けている5’末端を生成するために利用可能である(Fromont−Racineら、Nucleic Acids Res.21(7):1683−1684(1993))。
簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をおそらく含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列に特異的なプライマーを含むプライマーセットを使用して、所望の全長遺伝子の5’部分をPCR増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、そしてこれを使用して全長遺伝子を生成し得る。
この上記の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始するが、ポリA+RNAをも使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスファターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解または損傷RNAの5’リン酸基を排除し得る。次いで、ホスファターゼを不活化するべきであり、そしてRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を除去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理するべきである。この反応は、次いでT4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチドに連結され得る、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残す。
この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして使用する。第一鎖合成反応物を、連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のためのテンプレートとして使用する。次いで、得られた生成物を配列決定し、そして分析して5’末端配列が所望の遺伝子に属することを確認する。
(実施例2:ポリヌクレオチドに対応するゲノムクローンの単離)
ヒトゲノムP1ライブラリー(Genomic Systems、Inc.)を、実施例1に記載される方法に従って、配列番号Xに対応するcDNA配列について選択されたプライマーを用いるPCRによってスクリーニングする(Sambrookもまた参照のこと)。
(実施例3:ポリペプチドの組織分布)
本発明のポリヌクレオチドのmRNA発現の組織分布を、とりわけ、Sambrookらによって記載されるノーザンブロット分析についてのプロトコルを月いて決定する。例えば、実施例1に記載される方法によって生成されるcDNAプローブを、rediprimeTM DNA labeling system(Amersham Life Science)を用いて、製造者の指示に従って、P32で標識する。標識後、プローブを、CHROMA SPIN−100TMカラム(Clontech Laboratories、Inc.)を使用して、製造者のプロトコル番号PT1200−1に従って精製する。次いで、精製した標識プローブを使用して、種々のヒト組織をmRNA発現について試験する。
種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含む多重組織ノーザン(MTN)ブロット(Clontech)を、ExpressHybTMハイブリダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造者のプロトコル番号PT1190−1に従って、標識プローブで試験する。ハイブリダイゼーションおよび洗浄後、ブロットをマウントして、そして−70℃で一晩フィルムに露出し、そしてフィルムを標準的な手順に従って現像する。
(実施例4:ポリヌクレオチドの染色体マッピング)
オリゴヌクレオチドプライマーのセットを、配列番号Xの5’末端の配列に従って設計する。このプライマーは、好ましくは約100ヌクレオチドにわたる。次いで、このプライマーセットを、以下のセットの条件下でポリメラーゼ連鎖反応に使用する:95℃で30秒;56℃で1分;70℃で1分。このサイクルを32回反復し、次いで1回、70℃で5分間のサイクルを行う。個々の染色体または染色体フラグメントを含む体細胞ハイブリッドパネル(Bios,Inc)に加えて、ヒト、マウス、およびハムスターのDNAを鋳型として使用する。反応物を、8%ポリアクリルアミドゲルまたは3.5%アガロースゲルのいずれかで分析する。染色体マッピングを、特定の体細胞ハイブリッドにおける約100bpのPCRフラグメントの存在によって決定する。
(実施例5:ポリペプチドの細菌性発現)
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、実施例1に概説するように、DNA配列の5’および3’末端に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅して挿入フラグメントを合成する。cDNA挿入物を増幅するために使用されるプライマーは、発現ベクターに増幅産物をクローニングするために、プライマーの5’末端にBamHIおよびXbaIのような制限部位を好ましくは含むべきである。例えば、BamHIおよびXbaIは、細菌性発現ベクターpQE−9(Qiagen,Inc.,Chatsworth,CA)の制限酵素部位に対応する。このプラスミドベクターは、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTGで調節可能なプロモーター/オペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6−ヒスチジンタグ(6−His)、および制限酵素クローニング部位をコードする。
pQE−9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、そして、増幅されたフラグメントを細菌性RBSにおいて開始されるリーディングフレームを維持しながらpQE−9ベクターに連結する。次いで、連結混合物を、lacIリプレッサーを発現し、またカナマイシン耐性(Kanr)を与えるプラスミドpREP4の多重コピーを含む、E.coli株M15/rep4(Qiagen,Inc.)を形質転換するために使用する。形質転換体を、LBプレート上で生育するそれらの能力によって同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、そして制限分析によって確認する。
所望の構築物を含むクローンを、Amp(100μg/ml)およびKan(25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(O/N)増殖させる。O/N培養物を、1:100〜1:250の比で大量培養物に接種するために使用する。細胞を、0.4と0.6との間の光学密度600(O.D.600)まで増殖させる。次いで、IPTG(イソプロピル−B−D−チオガラクトピラノシド)を最終濃度1mMになるように加える。IPTGは、lacIリプレッサーの不活化により誘導され、P/Oの障害物を除去し、遺伝子発現の増加を導く。
細胞を、さらに3〜4時間増殖させる。次いで、細胞を遠心分離(6000×gで20分間)によって収集する。細胞ペレットを、カオトロピック剤である6MグアニジンHCl中に、4℃で3〜4時間攪拌することによって溶解させる。細胞細片を遠心分離によって取り除き、そしてポリペプチドを含む上清を、ニッケル−ニトリロ三酢酸(「Ni−NTA」)アフィニティー樹脂カラム(QIAGEN,Inc.前出より入手可能)にロードする。6×Hisタグを有するタンパク質は、Ni−NTA樹脂に高い親和性で結合し、そして単純な1工程手順で精製され得る(詳細には、The QIAexpressionist(1995)QIAGEN,Inc.,前出を参照のこと)。
手短に言えば、上清を、6Mグアニジン−HCl、pH8のカラムにロードし、そのカラムを、最初に10容量の6Mグアニジン−HCl、pH8で洗浄し、次いで10容量の6Mグアニジン−HCl、pH6で洗浄し、最後にポリペプチドを、6Mグアニジン−HCl、pH5で溶出する。
次いで、精製したタンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)または50mM 酢酸ナトリウム、pH6の緩衝液および200mM NaClに対して透析することにより再生させる。あるいは、タンパク質はNi−NTAカラムに固定化している間に、首尾よく再折畳みされ得る。推奨条件は以下の通りである:プロテアーゼインヒビターを含む、500mM NaCl、20%グリセロール、20mM Tris/HCl pH7.4中の6M〜1M尿素の直線勾配を使用する再生。再生は1.5時間以上の時間をかけて行うべきである。再生後、タンパク質を250mMイミダゾールの添加によって溶出させる。イミダゾールを、PBSまたは50mM酢酸ナトリウム pH6の緩衝液および200mM NaClに対する最終の透析工程によって除去する。精製したタンパク質を、4℃で保存するか、または−80℃で冷凍する。
上記の発現ベクターに加えて、本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結されたファージオペレーターおよびプロモーターエレメントを含み、pHE4aと呼ばれる発現ベクターを含む(ATCC受託番号209645、1998年2月25日に寄託)。このベクターは以下を含む:1)選択マーカーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、2)E.coli複製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つのlacオペレーター配列、5)シャイン−ダルガーノ配列、および6)ラクトースオペロンリプレッサー遺伝子(laqIq)。複製起点(oriC)は、pUC19(LTI,Gaithersburg,MD)に由来する。プロモーター配列およびオペレーター配列を合成的に作製する。
NdeIおよびXbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718によってベクターを制限処理し、制限生成物をゲルで泳動し、そしてより大きな方のフラグメント(スタッファー(stuffer)フラグメントは約310塩基対であるべきである)を単離することによって、DNAをpHEaに挿入し得る。DNA挿入物を、NdeI(5’プライマー)およびXbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718(3’プライマー)に対する制限部位を有するPCRプライマーを使用して、実施例1に記載のPCRプロトコルに従って生成する。PCR挿入物を、ゲル精製し、そして適合する酵素で制限処理する。挿入物およびベクターを標準的なプロトコルに従って連結する。
操作されたベクターは、上記のプロトコルにおいて、細菌系でタンパク質を発現させるために容易に置換され得る。
(実施例6:封入体からのポリペプチドの精製)
以下の別の方法は、ポリペプチドが封入体の形態で存在する場合に、E.coli中で発現されたポリペプチドを精製するために使用され得る。他に指定されない場合には、以下のすべての工程は4〜10℃で行われる。
E.coli発酵の生産期の完了後、細胞培養物を4〜10℃に冷却し、そして15,000rpmの連続遠心分離(Heraeus Sepatech)によって細胞を採集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予想される収量および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適切な量(重量による)を、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.4を含む緩衝溶液に懸濁させる。細胞を、高剪断ミキサーを使用して均質な懸濁液に分散させる。
次いで、細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(Microfluidics,Corp.またはAPV Gaulin,Inc.)に2回、4000〜6000psiで溶液を通すことによって溶解させる。次いでホモジネートを、最終濃度0.5M NaClになるようにNaCl溶液と混合し、続いて7000×gで15分間遠心分離を行う。得られたペレットを、0.5M NaCl、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.4を使用して再度洗浄する。
得られた洗浄した封入体を、1.5M 塩酸グアニジン(GuHCl)で2〜4時間可溶化する。7000×gで15分間の遠心分離の後、ペレットを廃棄し、そしてポリペプチドを含む上清を4℃で一晩インキュベートしてさらなるGuHCl抽出を可能にする。
不溶性粒子を除去するための高速遠心分離(30,000×g)に続き、GuHCl可溶化タンパク質を、GuHCl抽出物と、50mM ナトリウム、pH4.5、150mM NaCl、2mM EDTAを含む20容量の緩衝液とを、激しい攪拌で迅速に混合することによって、再折畳みさせる。再折畳みした希釈タンパク質溶液を、さらなる精製工程の前の12時間、混合しないで4℃で保つ。
再折畳みされたポリペプチド溶液を清澄にするために、40mM酢酸ナトリウム、pH6.0で平衡化した、適切な表面積を有する0.16μmメンブレンフィルターを備えるあらかじめ準備した接線濾過ユニット(例えば、Filtron)を使用する。濾過したサンプルを、カチオン交換樹脂(例えば、Poros HS−50,Perseptive Biosystems)上にロードする。このカラムを40mM 酢酸ナトリウム、pH6.0で洗浄し、そして同じ緩衝液中の250mM、500mM、1000mM、および1500mM NaClで、段階的な様式で溶出する。溶出液の280nmにおける吸光度を連続的にモニターする。画分を収集し、そしてSDS−PAGEによってさらに分析する。
次いでポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量の水と混合する。次いで希釈されたサンプルを、あらかじめ準備した強アニオン(Poros HQ−50,Perseptive Biosystems)交換樹脂および弱アニオン(Poros CM−20,Perseptive Biosystems)交換樹脂の直列カラムのセットにロードする。カラムを40mM 酢酸ナトリウム、pH6.0で平衡化する。両方のカラムを、40mM 酢酸ナトリウム、pH6.0、200mM NaClで洗浄する。次いでCM−20カラムを10カラム容量の直線勾配(0.2M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH6.0から1.0M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH6.5の範囲)を用いて溶出させる。画分を、溶出液の定常A280モニタリング下で収集する。次いで、(例えば、16% SDS−PAGEによって判明した)ポリペプチドを含む画分をプールする。
得られたポリペプチドは、上記の再折畳みおよび精製工程の後で95%より高い純度を示すはずである。5μgの精製タンパク質がロードされる場合、いかなる主たる混在バンドも、クマシーブルー染色した16% SDS−PAGEゲルから観察されないはずである。精製タンパク質はまた、エンドトキシン/LPS混在について試験され得、そして代表的には、LPS含量はLALアッセイに従って、0.1ng/ml未満である。
(実施例7:バキュロウイルス発現系におけるポリペプチドのクローニングおよび発現)
この実施例において、プラスミドシャトルベクターpA2を使用して、ポリヌクレオチドをバキュロウイルスに挿入し、ポリペプチドを発現する。この発現ベクターは、Autographa californica核多核体ウイルス(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、続いてBamHI、XbaI、およびAsp718のような簡便な制限部位を含む。シミアンウイルス40(「SV40」)のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のために使用する。組換えウイルスの容易な選択のために、このプラスミドは、同方向の弱いDrosophilaプロモーターの制御下で、E.coli由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子、続いてポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む。挿入された遺伝子は、クローン化したポリヌクレオチドを発現する生存可能なウイルスを生成する、野生型ウイルスDNAとの細胞媒介性の相同組換えのためのウイルス配列と両方の側で隣接する。
他の多くのバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941、およびpAcIM1)は、当業者が容易に理解するように、構築物が転写、翻訳、分泌などのために適切に配置されたシグナル(必要とされる場合、シグナルペプチドおよびインフレームなAUGを含む)を提供する限りにおいて、上記のベクターの代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Luckowら、Virology 170:31−39(1989)に記載される。
具体的には、AUG開始コドンを含み、そして表1に同定されたリーダー配列に天然に結合した寄託されたクローンに含まれるcDNA配列を、実施例1に記載されるPCRプロトコルを使用して増幅させる。天然に存在するシグナル配列を使用して分泌タンパク質を産生する場合、pA2ベクターは第2のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、Summersら、「A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures」、Texas Agricultural Experimental Station Bulletin NO.:1555(1987)に記載される標準的な方法を用いて、このベクターを、バキュロウイルスリーダー配列を含むように改変し得る(pA2GP)。
増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」、BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca.)を使用して、1%アガロースゲルから単離する。次いで、このフラグメントを適切な制限酵素で消化し、そして再び1%アガロースゲル上で精製する。
このプラスミドを対応する制限酵素で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公知の慣用の手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸し得る。次いで、このDNAを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca.)を使用して、1%アガロースゲルから単離する。
このフラグメントおよび脱リン酸したプラスミドを、T4 DNAリガーゼを用いて互いに連結する。E.coli HB101細胞またはXL−1 Blue(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)細胞のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合液で形質転換し、そして培養プレート上に拡げる。このプラスミドを含む細菌を、個々のコロニー由来のDNAを消化し、そしてゲル電気泳動によって消化産物を分析することにより同定する。クローニングしたフラグメントの配列を、DNAシーケンスによって確認する。
このポリヌクレオチドを含む5μgのプラスミドを、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417(1987)によって記載されたリポフェクション法を使用して、1.0μgの市販の線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovirus DNA」,Pharmingen,San Diego,CA)と同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTM ウイルスDNAおよび5μgのプラスミドを、50μlの無血清グレース培地(Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含む、マイクロタイタープレートの滅菌したウェル中で混合する。その後、10μlのリポフェクチンおよび90μlグレース培地を加え、混合し、そして室温で15分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合液を、無血清のグレース培地1mlを加えた35mm組織培養プレートに播種したSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下する。次いで、このプレートを27℃で5時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション溶液をこのプレートから除去し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する。次いで、培養を27℃で4日間継続する。
4日後上清を収集し、そしてSummersおよびSmith(前出)によって記載されるようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Technologies Inc.,Gaithersburg)を含むアガロースゲルを使用して、galが発現しているクローン(青色に染色したプラークを生ずる)の容易な同定および単離を可能にする(この型の「プラークアッセイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.,Gaithersburg,9−10頁によって頒布される、昆虫細胞培養およびバキュロウイルス学のための使用者ガイドの中に見出され得る)。適切なインキュベーションの後、青色に染色したプラークを、マイクロピペッターのチップ(例えば、エッペンドルフ)で拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200μlのグレース培地を含む微小遠心分離チューブ中で再懸濁させ、そして組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を使用して、35mmディッシュに播種したSf9細胞を感染させる。4日後、これらの培養ディッシュの上清を採集し、次いで4℃に貯蔵する。
ポリペプチドの発現を確認するために、10%熱非働化FBSを補充したグレース培地中で、Sf9細胞を増殖させる。この細胞を、約2の感染効率(「MOI」)で、このポリヌクレオチドを含む組換えバキュロウイルスで感染させる。放射性標識したタンパク質を所望する場合には、6時間後に培地を除去し、そしてメチオニンおよびシステインを含まないSF900 II培地(Life Technologies Inc., Rockville, MDから入手可能)に置き換える。42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35S−システイン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間インキュベートし、次いで遠心分離によって採集する。上清中のタンパク質ならびに細胞内タンパク質を、SDS−PAGEによって、次いでオートラジオグラフィーによって(放射性標識した場合)分析する。
精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微量配列決定法を使用して、産生されたタンパク質のアミノ末端配列を決定し得る。
(実施例8:哺乳動物細胞におけるポリペプチドの発現)
本発明のポリペプチドを、哺乳動物細胞において発現させ得る。代表的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント、タンパク質コード配列、および転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを含む。さらなるエレメントは、エンハンサー、コザック(Kozak)配列、ならびに、RNAスプライシングのためのドナー部位およびアクセプター部位に隣接する介在配列を含む。非常に効率的な転写は、SV40由来の初期および後期プロモーター、レトロウイルス(例えばRSV、HTLVI、HIVI)由来の長末端反復(LTR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターを用いて達成される。しかし、細胞内エレメント(例えば、ヒトアクチンプロモーター)もまた、使用され得る。
本発明を実施する際の使用に適切な発現ベクターは、例えば、pSVLおよびpMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport2.0、ならびにpCMVSport3.0のようなベクターを含む。使用され得る哺乳動物宿主細胞としては、ヒトのHela細胞、293細胞、H9細胞およびJurkat細胞、マウスのNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos 1細胞、Cos 7細胞およびCV1細胞、ウズラのQC1−3細胞、マウスのL細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
あるいは、ポリペプチドは、染色体に組み込まれたポリヌクレオチドを含む、安定な細胞株中で発現され得る。dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグロマイシンのような選択マーカーを用いる同時トランスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
トランスフェクトされた遺伝子はまた、大量のコードされたタンパク質を発現するために増幅され得る。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、目的の遺伝子の数百または数千さえものコピーを有する細胞株の開発に有用である(例えば、Alt,F.W.ら、J.Biol.Chem.253:1357−1370(1978);Hamlin,J.L.およびMa,C.,Biochem.et Biophys.Acta、1097:107−143(1990);Page,M.J.およびSydenham,M.A.ら、Biotechnology、9:64−68(1991)を参照のこと)。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Biochem J.227:277−279(1991);Bebbingtonら、Bio/Technology、10:169−175(1992))。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地中で増殖させ、そしてもっとも高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた、増幅した遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、タンパク質の産生のためにしばしば使用される。
プラスミドpSV2−dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体である、発現ベクターpC4(ATCC受託番号209646)およびpC6(ATCC受託番号209647)は、ラウス肉腫ウイルス(Cullenら、Molecular and Cellular Biology、438−447(1985年3月))の強力なプロモーター(LTR)、およびCMV−エンハンサー(Boshartら、Cell 41:521−530 (1985))のフラグメントを含む。例えば、BamHI、XbaI、およびAsp718の制限酵素切断部位を有するマルチプルクローニングサイトは、目的の遺伝子のクローニングを容易にする。このベクターはまた、3’イントロン、ラットプレプロインスリン遺伝子のポリアデニル化シグナルおよび終結シグナル、ならびに、SV40初期プロモーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含む。
具体的には、例えば、プラスミドpC6を、適切な制限酵素を用いて消化し、次いで当該分野で公知の手順によって、仔ウシ腸ホスファターゼを使用して脱リン酸する。次いで、ベクターを1%アガロースゲルから単離する。
本発明のポリヌクレオチドは、実施例1に概説するプロトコルに従って増幅される。分泌タンパク質の産生のために天然に存在するシグナル配列が用いられる場合、このベクターは、第2のシグナルペプチドを含む必要はない。あるいは、天然に存在するシグナル配列が用いられない場合、このベクターは、異種シグナル配列を含むように改変され得る(例えば、WO96/34891を参照のこと)。
増幅フラグメントを、市販のキット(「Geneclean」、BIO 101 Inc.、La Jolla,Ca.)を使用して、1%アガロースゲルから単離する。次いで、このフラグメントを、適切な制限酵素で消化し、そして再び1%アガロースゲルで精製する。
次いで、増幅フラグメントを同じ制限酵素で消化し、そして1%アガロースゲルで精製する。次いで、単離されたフラグメントおよび脱リン酸化したベクターを、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101またはXL−1 Blue細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC6に挿入されたフラグメントを含む細菌を、例えば、制限酵素分析を用いて同定する。
活性なDHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トランスフェクションに使用する。5μgの発現プラスミドpC6 a pC4を、リポフェクチン(Felgnerら、前出)を用いて、0.5μgのプラスミドpSVneoとともに同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは、優性選択マーカーである、G418を含む抗生物質の群に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子を含む。細胞を、1mg/mlのG418を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理し、そして10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1mg/mlのG418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート(Greiner,Germany)中に播種する。約10〜14日後、単一のクローンをトリプシン処理し、次いでメトトレキサートの異なる濃度(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して、6ウェルのペトリ皿または10mlのフラスコに播種する。次いで、メトトレキサートの最高濃度で増殖するクローンを、さらに高い濃度(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)のメトトレキサートを含む新たな6ウェルプレートに移す。同じ手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで繰り返す。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析する。
(実施例9:タンパク質融合物)
本発明のポリペプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。これらの融合タンパク質は、種々の適用に使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマルトース結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(実施例5を参照のこと;EP A 394,827もまた参照のこと;Trauneckerら、Nature、331:84−86(1988))。同様に、IgG−1、IgG−3、およびアルブミンへの融合は、インビボでの半減期を増大させる。本発明のポリペプチドに融合した核局在化シグナルは、タンパク質を特定の細胞内局在に標的化し得る。一方、共有結合ヘテロニ量体またはホモニ量体は、融合タンパク質の活性を増大または減少させ得る。融合タンパク質はまた、1つより多い機能を有するキメラ分子を作製し得る。最後に、融合タンパク質は、非融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の可溶性および/または安定性を増大させ得る。上記の融合タンパク質の全ての型は、IgG分子へのポリペプチドの融合を概説する以下のプロトコル、または実施例5に記載されるプロトコルを改変することによって作製され得る。
簡単には、IgG分子のヒトFc部分は、以下に記載の配列の5’末端および3’末端にわたるプライマーを使用してPCR増幅され得る。これらのプライマーはまた、発現ベクター(好ましくは、哺乳動物発現ベクター)へのクローニングを容易にする都合の良い制限酵素部位を有するべきである。
例えば、pC4(受託番号209646)が使用される場合、ヒトFc部分は、BamHIクローニング部位に連結され得る。3’BamHI部位が破壊されるべきであることに注意のこと。次に、ヒトFc部分を含有するベクターが、BamHIを用いて再び制限され、ベクターを線状化し、そして実施例1に記載されるPCRプロトコルによって単離された本発明のポリヌクレオチドが、このBamHI部位に連結される。ポリヌクレオチドは、終止コドンなしにクローニングされ、そうでなければ、融合タンパク質は産生されないことに注意すること。
天然に存在するシグナル配列が分泌タンパク質を産生するために使用される場合、pC4は、第2のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に存在するシグナル配列が使用されない場合、ベクターは、異種シグナル配列を含むように改変され得る(例えば、WO 96/34891を参照のこと)。
ヒトIgG Fc領域:
GGGATCCGGAGCCCAAATCTTCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAATTCGAGGGTGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACTCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTAAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAACCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCAAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGAGTGCGACGGCCGCGACTCTAGAGGAT(配列番号1)
(実施例10:ポリペプチドからの抗体の産生)
本発明の抗体は、種々の方法によって調製され得る。(Current Protocols,第2章を参照のこと)。このような方法の1つの例として、本発明のポリペプチドを発現する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために動物に投与される。好ましい方法において、分泌されたタンパク質の調製物が調製され、そして精製されて、天然の夾雑物を実質的に含まないようにされる。次いで、より大きな比活性のポリクローナル抗血清を生成するために、このような調製物は、動物に導入される。
最も好ましい方法において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体(またはそのタンパク質結合フラグメント)である。このようなモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して調製される(Kohlerら、Nature 256:495(1975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976);Hammerlingら:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.、563−681頁(1981))。一般に、このような手順は、動物(好ましくはマウス)を、ポリペプチドで、またはより好ましくは分泌ポリペプチド発現細胞で免疫する工程を包含する。このような細胞は、任意の適切な組織培養培地において培養され得る;しかし、好ましくは10%ウシ胎仔血清(約56℃で非働化した)を補充し、そして約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約100μg/mlのストレプトマイシンを補充したEarle改変イーグル培地において培養される。
このようなマウスの脾細胞は抽出され、そして適切な骨髄腫細胞株と融合される。任意の適切な骨髄腫細胞株は、本発明に従って用いられ得る;しかし、ATCCから入手可能な親骨髄腫細胞株(SP2O)を用いることが好ましい。融合後、得られるハイブリドーマ細胞を、HAT培地において選択的に維持し、次いでWandsら(Gastroenterology 80:225−232(1981))により記載されるように限界希釈によってクローニングする。次いで、このような選択を通して得られるハイブリドーマ細胞を、このポリペプチドに結合し得る抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイする。
あるいは、このポリペプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディオタイプ抗体を使用して2段階工程の手順において生成し得る。このような方法は、抗体それ自体が抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ることが可能であるという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体を使用して、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物の脾細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生する。そして、このハイブリドーマ細胞は、抗体のタンパク質特異的抗体に結合する能力がこのポリペプチドによってブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニングされる。このような抗体は、タンパク質特異的抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含み、そして動物を免疫してさらなるタンパク質特異的抗体の形成を誘導するために使用される。
本発明の抗体のFabおよびF(ab’)2ならびに他のフラグメントは、本明細書において記載される方法に従って用いられ得ることが明白である。このようなフラグメントは代表的に、(Fabフラグメントを生成するために)パパインまたは(F(ab’)2フラグメントを産生するために)ペプシンのような酵素を使用して、タンパク質分解性切断により生成される。あるいは、分泌されたタンパク質−結合フラグメントは、組換えDNA技術の適用または合成化学により生成され得る。
ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用することが好適であり得る。このような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝的構築物を使用することによって産生され得る。キメラ抗体を産生するための方法は、当該分野で公知である。(総説については、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら、EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neubergerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 8702671;Boullanneら、Nature 312:643(1984);Neubergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと)。
(実施例11:ハイスループットスクリーニングアッセイのための分泌タンパク質の産生)
以下のプロトコルは、試験されるべきポリペプチドを含有する上清を産生する。この上清は、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。
第一に、ポリ−D−リジン(644 587 Boehringer−Mannheim)ストック溶液(PBS中に1mg/ml)を、PBS(カルシウムもマグネシウムも含まない17−516F Biowhittaker)中で1:20に希釈して、作業溶液50μg/mlにする。200μlのこの溶液を、各ウェル(24ウェルプレート)に添加し、そして室温で20分間インキュベートする。溶液を各ウェルにわたって分配させることを確実にする(注:12チャンネルピペッターは、1つおきのチャンネルにチップをつけて使用され得る)。ポリ−D−リジン溶液を吸引除去し、そして1ml PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)でリンスする。PBSは、細胞をプレートする直前までウェル中に残すべきであり、そしてプレートは2週間前までに予めポリリジンでコーティングし得る。
293T細胞(P+20を過ぎて細胞を保有しない)を、2×105細胞/ウェルで、0.5mlのDMEM(Dulbecco改変Eagle培地)(4.5G/LのグルコースおよびL−グルタミン(12−604F Biowhittaker)を含む)/10%熱非働化FBS(14−503F Biowhittaker)/1×Penstrep(17−602E Biowhittaker)中にプレートする。細胞を一晩増殖させる。
翌日、滅菌溶液容器(basin)中で、300μlリポフェクトアミン(18324−012 Gibco/BRL)および5ml Optimem I(31985070 Gibco/BRL)/96ウェルプレートを、一緒に混合する。小容量のマルチチャンネルピペッターを用いて、実施例8または9に記載する方法によって産生されたポリヌクレオチド挿入物を含有する約2μgの発現ベクターを、適切に標識された96ウェルの丸底プレート中にアリコートする。マルチチャンネルピペッターを用いて、50μlのリポフェクトアミン/Optimem I混合物を各ウェルに添加する。ピペットで緩やかに吸い上げたり下げたりして混合する。室温で15〜45分間インキュベートする。約20分後、マルチチャンネルピペッターを使用して150μlのOptimem Iを各ウェルに添加する。コントロールとして、挿入物を欠失するベクターDNAの1つのプレートは、トランスフェクションの各セットでトランスフェクトされるべきである。
好ましくは、トランスフェクションは、以下の作業をタッグチームを組んで(tag−teaming)行うべきである。タッグチームを組むことによって、時間に関する労力は半減され、そして細胞にはPBS上であまり多くの時間を過ごさせない。まず、Aさんは、培地を細胞の4つの24ウェルプレートから吸引除去し、次いでBさんが0.5〜1mlのPBSで各ウェルをリンスする。次いで、Aさんは、PBSリンスを吸引除去し、そしてBさんは、チャンネル1つおきにチップのついた12チャンネルピペッターを使用して、200μlのDNA/リポフェクトアミン/Optimem I複合体を、まず奇数のウェルに、次いで偶数のウェルにと、24ウェルプレート上の各列に添加する。37℃で6時間インキュベートする。
細胞をインキュベートする間に、1×ペンストレップ(penstrep)を有するDMEM中の1%BSAか、またはCHO−5培地(116.6mg/LのCaCl2(無水物);0.00130mg/L CuSO4−5H2O;0.050mg/LのFe(NO3)3−9H2O;0.417mg/LのFeSO4−7H2O;311.80mg/LのKCl;28.64mg/LのMgCl2;48.84mg/LのMgSO4;6995.50mg/LのNaCl;2400.0mg/LのNaHCO3;62.50mg/LのNaH2PO4−H2O;71.02mg/LのNa2HPO4;0.4320mg/LのZnSO4−7H2O;0.002mg/Lのアラキドン酸;1.022mg/Lのコレステロール;0.070mg/LのDL−α−酢酸トコフェロール;0.0520mg/Lのリノール酸;0.010mg/Lのリノレン酸;0.010mg/Lのミリスチン酸;0.010mg/Lのオレイン酸;0.010mg/Lのパルミトオレイン酸(palmitric acid);0.010mg/Lのパルミチン酸;100mg/LのPluronic F−68;0.010mg/Lのステアリン酸;2.20mg/LのTween80;4551mg/LのD−グルコース;130.85mg/mlのL−アラニン;147.50mg/mlのL−アルギニン−HCl;7.50mg/mlのL−アスパラギン−H2O;6.65mg/mlのL−アスパラギン酸;29.56mg/mlのL−シスチン2HCl−H2O;31.29mg/mlのL−シスチン−2HCl;7.35mg/mlのL−グルタミン酸;365.0mg/mlのL−グルタミン;18.75mg/mlのグリシン;52.48mg/mlのL−ヒスチジン−HCl−H2O;106.97mg/mlのL−イソロイシン;111.45mg/mlのL−ロイシン;163.75mg/mlのL−リジンHCl;32.34mg/mlのL−メチオニン;68.48mg/mlのL−フェニルアラニン;40.0mg/mlのL−プロリン;26.25mg/mlのL−セリン;101.05mg/mlのL−スレオニン;19.22mg/mlのL−トリプトファン;91.79mg/mlのL−チロシン(Tryrosine)−2Na−2H2O;99.65mg/mlのL−バリン;0.0035mg/Lのビオチン;3.24mg/LのD−Caパントテン酸;11.78mg/Lの塩化コリン;4.65mg/Lの葉酸;15.60mg/Lのi−イノシトール;3.02mg/Lのナイアシンアミド;3.00mg/LのピリドキサールHCl;0.031mg/LのピリドキシンHCl;0.319mg/Lのリボフラビン;3.17mg/LのチアミンHCl;0.365mg/Lのチミジン;および0.680mg/LのビタミンB12;25mMのHEPES緩衝剤;2.39mg/LのNaヒポキサンチン;0.105mg/Lのリポ酸;0.081mg/Lのプトレシンナトリウム−2HCl;55.0mg/Lのピルビン酸ナトリウム;0.0067mg/Lの亜セレン酸ナトリウム;20μMのエタノールアミン;0.122mg/Lのクエン酸第二鉄;41.70mg/Lのリノール酸と複合体化したメチル−B−シクロデキストリン;33.33mg/Lのオレイン酸と複合体化したメチル−B−シクロデキストリン;ならびに10mg/Lのレチナールと複合体化したメチル−B−シクロデキストリン)のいずれかの適切な培地を調製する。(10%BSAストック溶液のために、1L DMEM中にBSA(81−068−3 Bayer)100gを溶解した)。培地を濾過し、そして50μlを内毒素アッセイのために15mlポリスチレンコニカル中に収集する。
トランスフェクション反応を、好ましくはタッグチームを組んでインキュベーション時間の終わりに終結させる。Aさんは、トランスフェクション培地を吸引除去し、その間Bさんは、1.5mlの適切な培地を各ウェルに添加する。使用された培地に依存して45時間または72時間、37℃でインキュベートする:1%BSAは45時間、またはCHO−5は72時間。
4日目に、300μlのマルチチャンネルピペッターを使用して、600μlを1mlの深底ウェルプレート1枚にアリコートし、そして残りの上清を2mlの深底ウェルにアリコートする。次いで、各ウェルからの上清を実施例13〜20に記載するアッセイにおいて使用し得る。
活性が、上清を使用して以下に記載する任意のアッセイにおいて得られる場合、この活性は、ポリペプチドから直接に(例えば、分泌タンパク質として)か、または他のタンパク質の発現を誘導するポリペプチドによって(このタンパク質は、次いで上清中に分泌される)のいずれかに由来することが特に理解される。従って、本発明はさらに、特定のアッセイにおける活性によって特徴づけられる上清中のタンパク質を同定する方法を提供する。
(実施例12:GASレポーター構築物の構築)
細胞の分化および増殖に関与する1つのシグナル伝達経路は、Jaks−STAT経路と呼ばれる。Jaks−STAT経路において活性化されたタンパク質は、多くの遺伝子のプロモーターに位置する、γ活性化部位「GAS」エレメントまたはインターフェロン感受性応答エレメント(「ISRE」)に結合する。これらのエレメントに対するタンパク質の結合は、関連する遺伝子の発現を変化させる。
GASエレメントおよびISREエレメントは、転写のシグナルトランスデューサーおよびアクチベーター、すなわち「STAT」と呼ばれるクラスの転写因子によって認識される。STATファミリーには6つのメンバーが存在する。Stat1およびStat3は、Stat2と同様に(IFNαに対する応答が広範であるように)、多くの細胞型において存在する。Stat4は、より限定されており、そして多くの細胞型には存在しないが、IL−12での処理後のTヘルパークラスI細胞に見出されている。Stat5は、元々は***成長因子と呼ばれたが、骨髄細胞を含む他の細胞においてより高い濃度で見出されている。それは、多くのサイトカインによって組織培養細胞において活性化され得る。
STATは活性化されて、Janus Kinase(「Jaks」)ファミリーとして知られる1セットのキナーゼによるチロシンリン酸化に際して細胞質から核へ移動する。Jaksは、可溶性のチロシンキナーゼの独特のファミリーの代表であり、そしてTyk2、Jak1、Jak2、およびJak3を含む。これらのキナーゼは、有意な配列類似性を示し、そして一般には休止細胞において触媒的に不活性である。
Jaksは、以下の表によって要約されるように広範なレセプターによって活性化される。(SchidlerおよびDarnell,Ann.Rev.Biochem.64:621−51(1995)による総説から改変)。Jaksを活性化し得るサイトカインレセプターファミリーは、2つの群に分けられる:(a)クラス1は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−7、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15、Epo、PRL、GH、G−CSF、GM−CSF、LIF、CNTF、およびトロンボポエチンに対するレセプターを含み;そして(b)クラス2は、IFN−a、IFN−g、およびIL−10を含む。クラス1レセプターは、保存されたシステインモチーフ(4つの保存されたシステインおよび1つのトリプトファンのセット)、およびWSXWSモチーフ(Trp−Ser−Xxx−Trp−Ser(配列番号2)をコードする膜近接領域)を共有する。
従って、リガンドのレセプターへの結合の際に、Jaksは活性化され、これは次いでSTATを活性化し、これは、次いで移動し、そしてGASエレメントに結合する。この全プロセスは、Jaks−STATシグナル伝達経路に包含される。
それゆえ、GASまたはISREエレメントの結合によって反映されるJaks−STAT経路の活性化は、細胞の増殖および分化に関与するタンパク質を示すために使用され得る。例えば、増殖因子およびサイトカインは、Jaks−STAT経路を活性化することが知られている。(以下の表を参照のこと)。従って、レポーター分子に連結したGASエレメントを使用することにより、Jaks−STAT経路のアクチベーターが同定され得る。
実施例13〜14に記載される生物学的アッセイにおいて使用されるプロモーターエレメントを含む合成GASを構築するために、PCRに基づいたストラテジーを用いてGAS−SV40プロモーター配列を生成する。5’プライマーは、IRF1プロモーターにおいて見出され、そして一定の範囲のサイトカインでの誘導の際にSTATに結合することが以前に実証されたGAS結合部位の4つの直列のコピーを含むが(Rothmanら、Immunity 1:457−468(1994))、他のGASエレメントまたはISREエレメントを代わりに使用し得る。5’プライマーはまた、SV40初期プロモーター配列に対して相補的な18bpの配列も含み、そしてXhoI部位に隣接する。5’プライマーの配列は以下である:
5’:GCGCCTCGAGATTTCCCCGAAATCTAGATTTCCCCGAAATGATTTCCCCGAAATGATTTCCCCGAAATATCTGCCATCTCAATTAG:3’(配列番号3)。
下流プライマーはSV40プロモーターに対して相補的であり、そしてHind III部位に隣接する:5’:GCGGCAAGCTTTTTGCAAAGCCTAGGC:3’(配列番号4)。
PCR増幅を、Clontechから入手したB−gal:プロモータープラスミド中に存在するSV40プロモーターのテンプレートを用いて実施する。得られたPCRフラグメントをXhoI/Hind IIIを用いて消化し、そしてBLSK2−(Stratagene)にサブクローニングする。正方向および逆方向のプライマーを用いる配列決定により、挿入物が以下の配列を含むことを確認する:
5’:CTCGAGATTTCCCCGAAATCTAGATTTCCCCGAAATGATTTCCCCGAAATGATTTCCCCGAAATATCTGCCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCGGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTT:3’(配列番号5)(ここで5’末端のCTCGAGと3’末端のAAGCTTには、下線を付している)。
このGASプロモーターエレメントがSV40プロモーターに結合されると、次に、GAS:SEAP2レポーター構築物を操作する。ここで、レポーター分子は、分泌アルカリホスファターゼ、すなわち「SEAP」である。しかし、明らかに、この実施例または他の実施例のいずれにおいても、任意のレポーター分子が、SEAPの代わりとなり得る。SEAPの代わりに使用され得る周知のレポーター分子としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、または抗体により検出可能な任意のタンパク質が挙げられる。
上記の配列により確認された合成GAS−SV40プロモーターエレメントを、GAS−SEAPベクターを作製するために、HindIIIおよびXhoIを用いて、増幅したGAS:SV40プロモーターエレメントでSV40プロモーターを有効に置換し、Clontechから入手したpSEAP−プロモーターベクターにサブクローニングする。しかし、このベクターはネオマイシン耐性遺伝子を含まず、それゆえ、哺乳動物の発現系には好ましくない。
従って、GAS−SEAPレポーターを発現する哺乳動物の安定な細胞株を作製するために、GAS−SEAPカセットを、SalIおよびNotIを用いてGAS−SEAPベクターから取り出し、そしてGAS−SEAP/Neoベクターを作製するために、マルチクローニング部位におけるこれらの制限部位を用いて、ネオマイシン耐性遺伝子を含む骨格ベクター(例えば、pGFP−1(Clontech))に挿入する。一旦、このベクターを哺乳動物細胞にトランスフェクトすれば、次いでこのベクターは、実施例13〜14に記載されるようにGAS結合についてのレポーター分子として使用され得る。
他の構築物を、上記の説明を使用し、そしてGASを異なるプロモーター配列で置換して、作製し得る。例えば、NFK−BおよびEGRプロモーター配列を含むレポーター分子の構築を、実施例15および16に記載する。しかし、多くの他のプロモーターを、これらの実施例に記載のプロトコルを使用して置換し得る。例えば、SRE、IL−2、NFAT、またはオステオカルシンのプロモーターを単独で、または組み合わせて(例えば、GAS/NF−KB/EGR、GAS/NF−KB、Il−2/NFAT、またはNF−KB/GAS)置換し得る。同様に、他の細胞株(例えば、HELA(上皮細胞)、HUVEC(内皮細胞)、Reh(B細胞)、Saos−2(骨芽細胞)、HUVAC(大動脈細胞)、または心筋細胞)を、レポーター構築物の活性を試験するために使用し得る。
(実施例13:T細胞の活性についてのハイスループットスクリーニングアッセイ)
以下のプロトコルを使用して、因子を同定すること、および本発明のポリペプチドを含有する上清がT細胞を増殖および/または分化するか否かを決定することによって、T細胞活性を評価する。T細胞の活性を実施例12で作製したGAS/SEAP/Neo構築物を用いて評価する。従って、SEAP活性を増加させる因子は、Jaks−STATSシグナル伝達経路を活性化する能力を示す。このアッセイに使用したT細胞は、Jurkat T細胞(ATCC受託番号TIB−152)であるが、Molt−3細胞(ATCC受託番号CRL−1552)およびMolt−4細胞(ATCC受託番号CRL−1582)細胞もまた使用し得る。
Jurkat T細胞は、リンパ芽球性CD4+ Th1ヘルパー細胞である。安定な細胞株を作製するために、およそ200万のJurkat細胞をDMRIE−C(Life Technologies)を用いて、GAS−SEAP/neoベクターでトランスフェクトする(以下に記載のトランスフェクション手順)。トランスフェクトした細胞を、およそ20,000細胞/ウェルの密度で播種し、そして1mg/mlのジェネティシン(genticin)に対して耐性であるトランスフェクト体を選択する。耐性コロニーを増殖させ、次いで、漸増する濃度のインターフェロンγに対するそれらの応答について試験する。選択したクローンの用量応答を示す。
詳細には、以下のプロトコルにより、200μlの細胞を含む75のウェルについて十分な細胞を得る。従って、複数の96ウェルプレートについて十分な細胞を産生するために、これをスケールアップするか、または複数で実施するかのいずれかを行う。Jurkat細胞をRPMI+10%血清および1%のPen−Strep中で維持する。T25フラスコ中で2.5mlのOPTI−MEM(Life Technologies)と10μgのプラスミドDNAとを組み合わせる。50μlのDMRIE−Cを含む2.5mlのOPTI−MEMを添加し、そして、室温で15〜45分間インキュベートする。
インキュベート時間の間、細胞濃度をカウントし、必要な細胞数(トランスフェクションあたり107個)をスピンダウンし、そして最終濃度が107細胞/mlとなるようにOPTI−MEM中で再懸濁する。次いで、OPTI−MEM中の1×107個の細胞の1mlをT25フラスコに加え、そして37℃で6時間インキュベートする。インキュベーションの後、10mlのRPMI+15%の血清を添加する。
Jurkat:GAS−SEAP安定レポーター株をRPMI+10%血清、1mg/mlジェネティシン、および1%のPen−Strep中で維持する。これらの細胞は、本発明のポリペプチドを含む上清で処理されるか、および/または実施例11に記載のプロトコールにより産生されるよう本発明のポリペプチドを誘導される。
上清での処理日に細胞を洗浄すべきであり、そして1mlあたり500,000個の細胞の密度となるように新鮮なRPMI+10%血清中に再懸濁するべきである。必要な細胞の正確な数は、スクリーニングされる上清の数に依存する。1枚の96ウェルプレートについて、およそ1000万個の細胞(10枚のプレートについて1億個の細胞)を必要とする。
12チャンネルのピペットを用いて96ウェルのディッシュに細胞を分与するために、三角のリザーバーボートに細胞を移す。200μlの細胞を、12チャンネルのピペットを用いて、それぞれのウェルに移す(従って、ウェル当たり100,000個の細胞を添加する)。
全てのプレートに播種した後、50μlの上清を、12チャンネルピペットを用いて、上清を含む96ウェルプレートから各ウェルに直接的に移す。さらに、外来性のインターフェロンγの用量(0.1、1.0、10ng)を、ウェルH9、ウェルH10、およびウェルH11に添加し、アッセイについてのさらなる陽性コントロールとして使用する。
上清で処理したJurkat細胞を含む96ウェルディッシュをインキュベーターに48時間置く(注記:この時間は48〜72時間の間で変更可能である)。次いで、各ウェルから35μlのサンプルを12チャンネルのピペットを用いて、不透明な96ウェルプレートに移す。不透明なプレートを(セロファン(登録商標)のカバーを用いて)覆うべきであり、そして実施例17に記載のSEAPアッセイを実施するまで、−20℃で保存するべきである。残存する処理した細胞を含むプレートを4℃に置き、そして、所望するならば、特定のウェル上でのアッセイを繰り返すための物質の供給源として供する。
陽性コントロールとして、100ユニット/mlのインターフェロンγを使用し得、これは、Jurkat T細胞を活性化することが公知である。代表的には、30倍を超える誘導が、陽性コントロールのウェルにおいて観察される。
上述のプロトコルは、一過性および安定性の両方のトランスフェクト細胞の作製に用いられ得、このことは当業者に明らかである。
(実施例14:骨髄性活性を同定するハイスループットスクリーニングアッセイ)
以下のプロトコルを使用して、本発明のポリペプチドが骨髄性細胞を増殖および/または分化させるか否かを決定するととにより骨髄性の活性を評価する。骨髄性細胞の活性を実施例12において産生されたGAS/SEAP/Neo構築物を用いて評価する。従って、SEAP活性を増加させる因子は、Jaks−STATSシグナル伝達経路を活性化する能力を示す。このアッセイに使用した骨髄性細胞としては、U937(前単球(pre−monocyte)細胞株である)が、TF−1、HL60、またはKG1が使用され得る。
U937細胞を、実施例12において産生されたGAS/SEAP/Neo構築物で、一過的にトランスフエクトするために、DEAE−Dextran法(Kharbandaら、1994,Cell Growth & Differentiation,5:259−265)を用いる。最初に、2×10e7個のU937細胞を回収し、そしてPBSで洗浄する。U937細胞を、通常、100単位/mlのペニシリンおよび100mg/mlのストレプトマイシンを補充した10%熱非働化ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI 1640培地中で増殖させる。
次に、0.5mg/ml DEAE−Dextran、8μgのGAS−SEAP2プラスミドDNA、140mM NaCl、5mM KCl、375μM Na2HPO4・7H2O、1mM MgCl2、および675μM CaCl2を含む20mM Tris−HCl(pH 7.4)緩衝液1ml中に細胞を懸濁する。37℃で45分間インキュベートする。
10% FBSを含むRPMI 1640培地で細胞を洗浄し、次いで、10mlの完全培地に再懸濁し、そして37℃で36時間インキュベートする。
GAS−SEAP/U937安定細胞を、400μg/mlのG418中で細胞を増殖させることにより得る。G418を含まない培地を使用して、慣用的に増殖させるが、1〜2ヶ月毎に細胞を二継代の間、400μg/ml G418中で再増殖させるべきである。
これらの細胞を1×108個の細胞(これは10枚の96ウェルプレートアッセイのために十分である)を回収することにより試験し、そしてPBSで洗浄する。上記の200mlの増殖培地中に、5×105細胞/mlの最終密度で細胞を懸濁する。96ウェルプレートにおいてウェルあたり200μlの細胞(すなわち、1×105細胞/ウェル)をプレートする。
実施例11に記載されるプロトコルにより調製された上清の50μlを添加する。37℃で48〜72時間インキュベートする。陽性コントロールとして、100単位/mlのインターフェロンγを使用し得、これはU937細胞を活性化することが公知である。代表的には、30倍を超える誘導が、陽性コントロールウェルにおいて観察される。実施例17に記載のプロトコルに従って上清をSEAPアッセイする。
(実施例15:ニューロン活性を同定するハイスループットスクリーニングアッセイ)
細胞が分化および増殖を経る場合、一群の遺伝子が多くの異なるシグナル伝達経路を介して活性化される。これらの遺伝子の1つであるEGR1(初期増殖応答遺伝子1)は、活性化時に種々の組織および細胞型において誘導される。EGR1のプロモーターはこのような誘導を担う。レポーター分子に結合したEGR1プロモーターを使用して、細胞の活性化を評価し得る。
詳細には、以下のプロトコルをPC12細胞株におけるニューロン活性を評価するために使用する。PC12細胞(ラット褐色細胞腫(phenochromocytoma)細胞)は、多くのマイトジェン(例えば、TPA(テトラデカノイルホルボールアセテート)、NGF(神経成長因子)、およびEGF(上皮成長因子))での活性化により、増殖および/または分化することが公知である。この処理の問にEGR1遺伝子発現を活性化する。従って、SEAPレポーターに結合したEGRプロモーターを含む構築物でPC12細胞を安定にトランスフェクトすることにより、PC12細胞の活性化を評価し得る。
EGR/SEAPレポーター構築物を以下のプロトコルにより組み立て得る。EGR−1プロモーター配列(−633〜+1)(Sakamoto Kら、Oncogene 6:867−871(1991))を以下のプライマーを用いて、ヒトゲノムDNAからPCR増幅し得る:
5’GCGCTCGAGGGATGACAGCGATAGAACCCCGG−3’(配列番号6)
5’GCGAAGCTTCGCGACTCCCCGGATCCGCCTC−3’(配列番号7)。
次いで、実施例12において作製したGAS:SEAP/Neoベクターを使用して、EGR1増幅産物をこのベクターに挿入し得る。制限酵素XhoI/HindIIIを使用してGAS:SEAP/Neoベクターを直鎖状化し、GAS/SV40スタッファー(stuffer)を取り除く。これらと同じ酵素を用いて、EGR1増幅産物を制限処理する。ベクターとEGR1プロモーターとを連結する。
細胞培養のための96ウェルプレートを調製するために、コーティング溶液(コラーゲンI型(Upstate Biotech Inc.カタログ番号08−115)を30%エタノール(滅菌濾過)で1:30希釈)を1つの10cmプレートあたり2ml、または96ウェルプレートのウェルあたり50ml添加し、そして2時間風乾させる。
PC12細胞を、予めコートした10cm組織培養ディッシュ上で、ペニシリン(100単位/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)を補充した、10%ウマ血清(JRH BIOSCIENCES、カタログ番号12449−78P)、5%熱非働化ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI−1640培地(Bio Whittaker)中で慣用的に増殖させる。1つから4つへの分割を3〜4日毎に行う。細胞を掻き取ることによりプレートからはがし、そして15回より多く上下にピペッティングして再懸濁する。
EGR/SEAP/Neo構築物を、実施例11に記載のLipofectamineプロトコルを使用して、PC12にトランスフェクトする。EGR−SEAP/PC12安定細胞を、300μg/mlのG418中で細胞を増殖させることにより得る。G418を含まない培地を慣用的な増殖のために使用するが、1〜2ヶ月毎に、細胞を2継代の間、300μg/mlのG418中で再増殖させるべきである。
ニューロン活性をアッセイするために、およそ70〜80%コンフルエントな細胞を有する10cmプレートを、古い培地を除去することによりスクリーニングする。PBS(リン酸緩衝溶液)を用いて1回洗浄する。次いで、細胞を低血清培地(抗生物質とともに1%ウマ血清および0.5% FBSを含むRPMI−1640)中で一晩、細胞を飢餓(starve)させる。
翌朝、培地を除去し、そしてPBSで細胞を洗浄する。プレートから細胞を掻き取り、細胞を2mlの低血清培地中で懸濁する。細胞数をカウントし、そして低血清の培地をさらに添加し、5×105細胞/mlの最終細胞密度に到達させる。
200μlの細胞懸濁液を96ウェルプレートの各ウェルに添加する(1×105細胞/ウェルに等しい)。実施例11により産生された50μlの上清を、37℃で48〜72時間添加する。陽性コントロールとして、EGRを介してPC12細胞を活性化することが公知の成長因子(例えば、50ng/μlの神経成長因子(NGF))を使用し得る。代表的には、50倍を超えるSEAP誘導が陽性コントロールウェルにおいて見られる。実施例17に従って、上清をSEAPアッセイする。
(実施例16:T細胞の活性についてのハイスループットスクリーニングアッセイ)
NF−κB(核因子κB)は、広範な種々の薬剤(炎症性サイトカインであるIL−1およびTNF、CD30およびCD40、リンホトキシン−αおよびリンホトキシン−βを含む)により、LPSまたはトロンビンへの曝露により、ならびに特定のウイルス遺伝子産物の発現により活性化される転写因子である。転写因子として、NF−κBは免疫細胞の活性化に関与する遺伝子の発現、アポトーシスの制御(NF−κBは、アポトーシスから細胞を保護するために現われる)、B細胞およびT細胞の発生、抗ウイルス応答および抗菌応答、ならびに複数のストレス応答を調節する。
刺激されない条件において、NF−κBは、I−κB(インヒビターκB)を有する細胞質に保持される。しかし、刺激の際に、I−κBはリン酸化され、そして分解され、NF−κBの核シャトル(shuttle)を引き起こし、これにより標的遺伝子の転写を活性化する。NF−κBにより活性化される標的遺伝子としては、IL−2、IL−6、GM−CSF、ICAM−1およびMHCクラス1が挙げられる。
その中心的な役割および一定の範囲の刺激に応答する能力に起因して、NF−κBプロモーターエレメントを利用するレポーター構築物を、実施例11において産生された上清をスクリーニングするために使用する。NF−κBのアクチベーターまたはインヒビターは、疾患の処置に有用である。例えば、NF−κBのインヒビターを、急性または慢性的なNF−κBの活性化に関連する疾患(例えば、慢性関節リウマチ)を処置するために使用し得る。
NF−κBプロモーターエレメントを含むベクターを構築するために、PCRに基づいたストラテジーを用いる。上流のプライマーは、NF−κB結合部位(GGGGACTTTCCC)(配列番号8)の4つの直列のコピー、SV40初期プロモーター配列の5’末端に対して相補的な18bpの配列を含み、そしてXhoI部位に隣接する:
5’:GCGGCCTCGAGGGGACTTTCCCGGGGACTTTCCGGGGACTTTCCGGGACTTTCCATCCTGCCATCTCAATTAG:3’(配列番号9)。
下流プライマーは、SV40プロモーターの3’末端に対して相補的であり、そしてHindIII部位に隣接する:
5’:GCGGCAAGCTTTTTGCAAAGCCTAGGC:3’(配列番号4)。
PCR増幅を、Clontechから入手したpB−gal:プロモータープラスミドに存在するSV40プロモーターのテンプレートを使用して実施する。得られたPCRフラグメントをXhoIおよびHindIIIで消化し、そしてBLSK2−(Stratagene)にサブクローニングする。T7およびT3プライマーを用いるシークエンスにより、挿入物が以下の配列を含むことを確認する:
5’:CTCGAGGGGACTTTCCCGGGGACTTTCCGGGGACTTTCCGGGACTTTCCATCTGCCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCGGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTT:3’(配列番号10)。
次に、XhoIおよびHindIIIを使用して、pSEAP2−プロモータープラスミド(Clontech)に存在するSV40最小プロモーターエレメントをこのNF−κB/SV40フラグメントで置換する。しかし、このベクターはネオマイシン耐性遺伝子を含まず、そしてそれゆえ、哺乳動物の発現系には好ましくない。
安定な哺乳動物細胞株を作製するために、NF−κB/SV40/SEAPカセットを制限酵素SalIおよびNotIを使用して上記のNF−κB/SEAPベクターから取り出し、そしてネオマイシン耐性を含むベクターに挿入する。詳細には、SalIおよびNotIでpGFP−1を制限処理した後に、NF−κB/SV40/SEAPカセットをpGFP−1(Clontech)に挿入し、GFP遺伝子を置換した。
一旦、NF−κB/SV40/SEAP/Neoベクターを作製した後は、実施例13に記載のプロトコルに従って、安定なJurkat T細胞を作製し、そして維持する。同様に、これらの安定なJurkat T細胞を含む上清をアッセイするための方法はまた、実施例13に記載される。陽性コントロールとして、外因性のTNFα(0.1、1、10ng)をウェルH9、H10、およびH11(代表的には、5〜10倍の活性化が観察されるウェル)に添加する。
(実施例17:SEAP活性についてのアッセイ)
実施例13〜16に記載されるアッセイのためのレポーター分子として、SEAP活性を、以下の一般的な手順に従ってTropix Phospho−light Kit(カタログ番号BP−400)を用いてアッセイする。Tropix Phospho−light Kitは、以下で使用される希釈緩衝液、アッセイ緩衝液、および反応緩衝液を提供する。
ディスペンサーに2.5×希釈緩衝液を満たし、そして15μlの2.5×希釈緩衝液を35μlの上清を含むオプティプレート(Optiplate)に分与する。プラスチックシーラーでプレートをシールし、そして65℃で30分間インキュベートする。一様でない加温を避けるためにオプティプレートを離しておく。
サンプルを室温まで15分間冷却する。ディスペンサーを空にし、そしてアッセイ緩衝液を満たす。50μlのアッセイ緩衝液を添加し、そして室温で5分間インキュベートする。ディスペンサーを空にし、そして反応緩衝液を満たす(以下の表を参照のこと)。50μlの反応緩衝液を添加し、そして室温で20分間インキュベートする。化学発光シグナルの強度は時間依存的であり、そしてルミノメーターで5つのプレートを読み取るために約10分間を費やすので、1回毎に5つのプレートを処理し、10分後に2つ目のセットを開始するべきである。
ルミノメーターにおける相対的な光の単位(light unit)を読み取る。ブランクとしてH12をセットし、そして結果を印字する。化学発光の増加は、レポーター活性を示す。
(実施例18:低分子の濃度および膜透過性における変化を同定するハイスループットスクリーニングアッセイ)
レセプターへのリガンドの結合は、カルシウム、カリウム、ナトリウムのような低分子およびpHの細胞内レベルを変化させ、ならびに膜電位を変化させることは公知である。これらの変化を特定細胞のレセプターに結合する上清の同定を行うアッセイで測定し得る。以下のプロトコルは、カルシウムについてのアッセイを記載するが、このプロトコルは、カリウム、ナトリウム、pH、膜電位、または蛍光プローブにより検出可能な任意の他の低分子における変化を検出するように容易に改変され得る。
以下のアッセイは、蛍光測定画像化プレートリーダー(「FLIPR」)を使用して低分子を結合する蛍光分子(Molecular Probes)における変化を測定する。明らかに、低分子を検出する任意の蛍光分子を、本明細書で用いるカルシウム蛍光分子、fluo−4(Molecular Probes,Inc.;カタログ番号F−14202)の代わりに使用し得る。
接着細胞については、細胞を10,000〜20,000細胞/ウェルで、底が透明なCo−star黒色96ウェルプレートに播種する。プレートをCO2インキュベーター内で20時間インキュベートする。接着細胞をBiotek洗浄器内で200μlのHBSS(Hank’s Balanced Salt Solution)で2回洗浄し、最後の洗浄後、緩衝液100μlを残す。
1mg/ml fluo−4のストック溶液を10%プルロン酸(pluronic acid)DMSOで作製する。細胞にfluo−4を負荷するため、12μg/ml fluo−4(50μl)を各ウェルに添加する。このプレートをCO2インキュベーター中、37℃で60分間インキュベートする。プレートをBiotek洗浄器で、HBSSにより4回洗浄し、緩衝液100μlを残す。
非接着細胞については、細胞を培養培地からスピンダウンする。細胞を、50mlのコニカルチューブ内でHBSSを用いて2〜5×106細胞/mlに再懸濁する。細胞懸濁液1mlに対して、10%プルロン酸DMSO溶液を含んだfluo−4(1mg/ml)を4μlを加える。次に、チューブを37℃の水浴中に30〜60分間置く。細胞をHBSSで2回洗浄し、1×106細胞/mlに再懸濁し、そしてマイクロプレートに100μl/ウェルずつ分配する。プレートを1000rpmで5分間遠心分離する。次に、プレートをDenley CellWash中で200μlで1回洗浄した後、吸引工程により最終容量を100μlにする。
非細胞ベースのアッセイについては、各ウェルは、fluo−4のような蛍光分子を含有する。上清をウェルに添加し、そして蛍光変化を検出する。
細胞内カルシウムの蛍光を測定するため、FLIPRを以下のパラメーターについて設定する:(1)システムゲインは、300〜800mWであり;(2)曝露時間は、0.4秒間であり;(3)カメラF/ストップは、F/2であり;(4)励起は488nmであり;(5)蛍光は530nmであり;そして(6)サンプル添加は50μlである。530nmにおける蛍光の増加は、細胞内Ca++濃度の増加を生じる、細胞外シグナリング事象を示す。
(実施例19:チロシンキナーゼ活性を同定するハイスループットスクリーニングアッセイ)
プロテインチロシンキナーゼ(PTK)は、多様な群の膜貫通キナーゼおよび細胞質キナーゼを意味する。レセプタープロテインチロシンキナーゼ(RPTK)群内に、PDGF、FGF、EGF、NGF、HGFおよびインスリンレセプターサブファミリーを含む、一定の範囲のマイトジェン(mitogenic)および代謝性成長因子のレセプターがある。さらに、対応するリガンドが未知である大きなRPTKファミリーがある。RPTKのリガンドは、主として分泌される低分子量タンパク質を含むが、膜結合型および細胞外マトリックスタンパク質も含む。
リガンドによるRPTKの活性化は、リガンド媒介レセプター二量体化を含み、これはレセプターサブユニットのトランスリン酸化および細胞質チロシンキナーゼの活性化を生じる。細胞質チロシンキナーゼとしては、srcファミリー(例えば、src、yes、lck、lyn、fyn)のレセプター関連チロシンキナーゼ、ならびにJakファミリーのような非レセプター結合型および細胞基質プロテインチロシンキナーゼが挙げられる。これらのメンバーは、サイトカインスーパーファミリー(例えば、インターロイキン、インターフェロン、GM−CSFおよびレプチン)のレセプターによって誘発されるシグナル伝達を媒介する。
チロシンキナーゼ活性を刺激し得る公知の因子は広範であるため、チロシンキナーゼシグナル伝達経路を活性化し得るこれらの新規なヒト分泌タンパク質の同定は興味深い。従って、以下のプロトコルを設計して、チロシンキナーゼシグナル伝達経路を活性化し得る新規なヒト分泌タンパク質を同定する。
標的細胞(例えば、初代ケラチノサイト)を約25,000細胞/ウェルの密度で、Nalge Nunc(Naperville,IL)から購入した96ウェルLoprodyne Silent Screen Plateに播種する。プレートを100%エタノールで30分間、2回リンスして滅菌し、水でリンスした後、一晩乾燥させる。幾つかのプレートを、100mlの細胞培養グレードI型コラーゲン(50mg/ml)、ゼラチン(2%)またはポリリジン(50mg/ml)(これらは全て、Sigma Chemicals(St.Louis,MO)から購入し得る)で、またはBecton Dickinson(Bedford,MA)から購入した10%Matrigel、あるいは仔ウシ血清で2時間コートし、PBSでリンスした後、4℃で保存する。増殖培地を含む5,000細胞/ウェルを播種し、製造業者のAlamar Biosciences,Inc.(Sacramento,CA)が記載するように、alamarBlueを使用して48時間後に細胞数を間接定量することにより、これらのプレート上の細胞増殖をアッセイする。Becton Dickinson(Bedford,MA)のFalconプレートカバー#3071を使用し、Loprodyne Silent Screen Plateを覆う。Falcon Microtest III細胞培養プレートもまた、いくつかの増殖実験において使用し得る。
抽出物を調製するため、A431細胞をLoprodyneプレートのナイロン膜上に播種し(20,000/200ml/ウェル)、そして完全培地中で一晩培養する。細胞を無血清基本培地中で24時間インキュベートして静止させる。EGF(60ng/ml)または実施例11で生成した上清50μlで5〜20分間処理した後、培地を除去し、100mlの抽出緩衝液(20mM HEPES pH7.5、0.15M NaCl、1%TritonX−100、0.1%SDS、2mM Na3VO4、2mM Na4P2O7およびBoeheringer Mannheim(Indianapolis,IN)から入手したプロテアーゼインヒビターの混合物(#1836170))を各ウェルに添加し、そしてプレートを回転振盪器上、4℃で5分間振盪する。次に、プレートを真空トランスファーマニホールド(vacuum transfer manifold)に設置し、そしてハウスバキュームを使用して抽出物を各ウェルの底の0.45mm膜で濾過する。抽出物をバキュームマニホールドの底の96ウェル捕獲/アッセイプレートに集め、そして直ちに氷上に置く。遠心分離により明澄化した抽出物を得るため、界面活性剤で5分間可溶化した後、各ウェルの含有物を取り出し、4℃、16,000×gで15分間遠心分離する。
濾過抽出物をチロシンキナーゼ活性のレベルについて試験する。チロシンキナーゼ活性を検出する多数の方法が公知であるが、本明細書においては方法の一つを記載する。
一般的に、特定の基質(ビオチン化ペプチド)上のチロシン残基をリン酸化する能力を決定することにより、上清のチロシンキナーゼ活性を評価する。この目的に使用し得るビオチン化ペプチドとしては、PSK1(細胞***キナーゼcdc2−p34のアミノ酸6〜20に相当)およびPSK2(ガストリンのアミノ酸1〜17に相当)が挙げられる。両ペプチドは、一連のチロシンキナーゼの基質であり、Boehringer Mannheimから入手可能である。
以下の成分を順に添加することにより、チロシンキナーゼ反応を設定する。まず、5μMビオチン化ペプチド10μlを添加した後、順に、ATP/Mg2+(5mM ATP/50mM MgCl2)10μl、5×アッセイ緩衝液(40mM塩酸イミダゾール、pH7.3、40mM β−グリセロリン酸塩、1mM EGTA、100mM MgCl2、5mM MnCl2、0.5mg/ml BSA)10μl、バナジン酸ナトリウム(1mM)5μl、最後に水5μlを加える。成分を穏やかに混合し、反応混合物を30℃で2分間プレインキュベートする。コントロール酵素または濾過上清10μlを加えて反応を開始させる。
次に、120mM EDTA 10μlを添加することによりチロシンキナーゼアッセイ反応を停止し、反応物を氷上に置く。
反応混合物の50μlのアリコートをマイクロタイタープレート(MTP)モジュールに移し、37℃で20分間インキュベートすることにより、チロシンキナーゼ活性を測定する。これにより、ストレプトアビジン(streptavadin)コーティング96ウェルプレートをビオチン化ペプチドと会合させる。MTPモジュールを300μl/ウェルのPBSで4回洗浄する。次に、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化した抗ホスホチロシン(phospotyrosine)抗体(抗P−Tyr−POD(0.5u/ml)75μlを、各ウェルに添加した後、37℃で1時間インキュベートする。ウェルを上記のように洗浄する。
次に、ペルオキシダーゼ基質溶液(Boehringer Mannheim)100μlを加え、室温で少なくとも5分間(最長30分間)インキュベートする。ELISAリーダーを使用して、405nmにおけるサンプルの吸光度を測定する。結合したペルオキシダーゼ活性のレベルをELISAリーダーを使用して定量し、これは、チロシンキナーゼ活性のレベルを反映する。
(実施例20:リン酸化活性を同定するハイスループットスクリーニングアッセイ)
実施例19に記載のプロテインチロシンキナーゼ活性アッセイの可能性のある代替物および/または補完物(compliment)として、主要な細胞内シグナル伝達中間体の活性化(リン酸化)を検出するアッセイもまた使用し得る。例えば、下記のように、1つの特定のアッセイは、Erk−1およびErk−2キナーゼのチロシンリン酸化を検出し得る。しかし、Raf、JNK、p38 MAP、Mapキナーゼキナーゼ(MEK)、MEKキナーゼ、Src、筋肉特異的キナーゼ(MuSK)、IRAK、TecおよびJanusのような他の分子、ならびに他の任意のホスホセリン、ホスホチロシンまたはホスホスレオニン分子のリン酸化を、以下のアッセイにおいてこれらの分子でErk−1またはErk−2を置き換えることにより検出し得る。
詳細には、96ウェルELISAプレートのウェルをプロテインG(1μg/ml)0.1mlにより室温(RT)で2時間コーティングしてアッセイプレートを作製する。次に、プレートをPBSでリンスし、3%BSA/PBSによりRTで1時間ブロックする。次に、プロテインGプレートをErk−1およびErk−2に対する2つの市販のモノクローナル抗体(100ng/ウェル)(Santa Cruz Biotechnology)で処理(RTで1時間)する。(他の分子を検出するために、上記の任意の分子を検出するモノクローナル抗体を交換することにより、この工程を容易に改変し得る)。PBSで3〜5回リンスした後、使用時まで、プレートを4℃で保管する。
A431細胞を20,000/ウェルで96ウェルLoprodyneフィルタープレートに播種し、増殖培地中で一晩培養する。次に、細胞を基本培地(DMEM)中で48時間飢餓させた後、EGF(6ng/ウェル)または実施例11で得た上清50μlで5〜20分間処理する。次に、細胞を可溶化し、抽出物を濾過して直接アッセイプレート中に入れる。
抽出物とともにRTで1時間インキュベートした後、ウェルを再度リンスする。陽性コントロールとして、市販のMAPキナーゼ調製物(10ng/ウェル)をA431抽出物の代わりに使用する。次に、プレートを、Erk−1およびErk−2キナーゼのリン酸化エピトープを特異的に認識する市販のポリクローナル(ウサギ)抗体(1μg/ml)で処理する(RTで1時間)。この抗体を標準的な手順によりビオチン化する。次に、結合ポリクローナル抗体をユーロピウムストレプトアビジンおよびユーロピウム蛍光増強剤とともにWallac DELFIA装置内で連続的にインキュベートする(時間分解性蛍光)ことによって定量する。バックグラウンドを超える蛍光シグナルの増加は、リン酸化を示す。
(実施例21:ポリヌクレオチドに対応する遺伝子における変化の決定方法)
目的の表現型(例えば、疾患)を提示する家族全員または個々の患者から単離されるRNAを単離する。次に、cDNAをこれらのRNAサンプルから当該分野で公知のプロトコルを使用して生成する(Sambrookを参照のこと)。次に、このcDNAを、配列番号Xにおける目的の領域を取り囲むプライマーを用いる、PCRのテンプレートとして使用する。示唆されるPCR条件は、Sidransky,D.ら、Science 252:706(1991)に記載の緩衝溶液を使用し、95℃で30秒間;52〜58℃で60〜120秒間;および70℃で60〜120秒間の35サイクルからなる。
次に、PCR産物を、SequiTherm Polymerase(Epicentre Technologies)を用い、その5’末端にT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識したプライマーを使用してシークエンスする。選択したエキソンのイントロン−エキソン境界もまた決定し、ゲノムPCR産物を分析してその結果を確認する。次に、疑わしい変異を有するPCR産物のクローン化およびシークエンスを行い、直接シークエンスの結果を確認する。
PCR産物を、Holtonら,Nucleic Acids Research,19:1156(1991)に記載のようにTテールベクターにクローン化し、T7ポリメラーゼ(United States Biochemical)を用いてシークエンスする。罹患個体を、非罹患個体には存在しない変異により同定する。
ゲノム再配列もまた、ポリヌクレオチドに対応する遺伝子における変化を決定する方法として観察される。実施例2に従って単離したゲノムクローンを、ジゴキシゲニンデオキシ−ウリジン5’−三リン酸(Boehringer Manheim)を用いてニックトランスレーションし、そしてJohnsonら、Methods Cell Biol. 35: 73−99(1991)に記載のようにFISHを行う。対応するゲノムの遺伝子座への特異的ハイブリダイゼーションのために、大過剰のヒトcot−1 DNAを用いて標識プローブとのハイブリダイゼーションを行う。
染色体を、4,6−ジアミノ−2−フェニリドールおよびヨウ化プロピジウムで対比染色し、CバンドおよびRバンドの組み合わせを生成する。正確なマッピングのための整列画像を、三重バンドフィルターセット(Chroma Technology,Brattleboro,VT)と冷却電荷結合素子カメラ(Photometrics,Tucson,AZ)および可変励起波長フィルター(Johnsonら、Genet.Anal.Tech.Appl.,8:75(1991))とを組み合わせて用いて得る。ISee Graphical Program System (Inovision Corporation,Durham,NC)を使用して、画像収集、分析および染色体画分(fragmental)長測定を行う。プローブがハイブリダイズしたゲノム領域の染色体変化を、挿入、欠失および転座として同定する。これらの変化を関連疾患の診断マーカーとして使用する。
(実施例22:生物学的サンプル中のポリペプチドの異常レベルを検出する方法)
本発明のポリペプチドは生物学的サンプル中で検出され得、そしてこのポリペプチドレベルの上昇または低下が検出されるなら、このポリペプチドは、特定表現型のマーカーである。検出方法は数多くあり、そしてそれ故、当業者は以下のアッセイをそれらの特定の必要性に適合するように改変し得ることが理解される。
例えば、抗体サンドイッチELISAを使用し、サンプル中(好ましくは、生物学的サンプル中)のポリペプチドを検出する。マイクロタイタープレートのウェルを、最終濃度0.2〜10μg/mlの特異的抗体でコーティングする。この抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかであって、実施例10に記載の方法により産生される。ウェルへのこのポリペプチドの非特異的結合が減少するように、このウェルをブロックする。
次に、コーティングしたウェルを、このポリペプチドを含有するサンプルと共にRTで2時間を超えてインキュベートする。好ましくは、サンプルの系列希釈を使用して結果を確認すべきである。次に、このプレートを脱イオン水または蒸留水で3回洗浄し、非結合ポリペプチドを除去する。
次に、特異的抗体−アルカリホスファターゼ結合体50μlを25〜400ngの濃度で加え、室温で2時間インキュベートする。このプレートを再び脱イオン水または蒸留水で3回洗浄し、未結合の結合体を除去する。
4−メチルウンベリフェリルリン酸(MUP)またはp−ニトロフェニルリン酸(NPP)基質溶液75μlを各ウェルに添加し、そして室温で1時間インキュベートする。この反応をマイクロタイタープレートリーダーにより測定する。コントロールサンプルの系列希釈を使用して標準曲線を作成し、そしてX軸(対数目盛)にポリペプチド濃度を、そしてY軸(一様目盛)に蛍光または吸光度をプロットする。標準曲線を用いてサンプル中のポリペプチド濃度を補間する。
(実施例23:処方)
本発明はまた、被験体に有効量の治療剤を投与することにより疾患または障害(例えば、本明細書中に開示される疾患または障害の任意の1つ以上のような)を処置および/または予防する方法を提供する。治療剤により、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合わせた、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(フラグメントおよび改変体を含む)、そのアゴニストまたはアンタゴニスト、および/またはそれらに対する抗体が意味される。
治療剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、医療実施基準(good medical practice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
一般的提案として、用量当り、非経口的に投与される治療剤の合計薬学的有効量は、患者体重の、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にあるが、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。さらに好ましくは、このホルモンについて、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日、最も好ましくはヒトに対して約0.01mg/kg/日と約1mg/kg/日との間である。連続投与する場合、代表的には、治療剤を約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の投薬速度で1日に1〜4回の注射かまたは連続皮下注入(例えばミニポンプを用いる)のいずれかにより投与する。静脈内用バッグ溶液もまた使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
治療剤を、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(散剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の製剤補助剤をいう。本明細書で用いる場合、用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内、膣内、腹腔内、局所的(散剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与する。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の製剤補助剤をいう。本明細書で用いる場合、用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの成形品の形態の半透過性ポリマーマトリックスのような適切なポリマー材料、適切な疎水性材料(例えば、受容可能な油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂、および貧可溶性誘導体(例えば、貧可溶性塩のような)を包含する。
徐放性マトリックスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981)、およびLanger,Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセテート(Langerら、同書)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。
徐放性治療剤はまた、リポソームに封入された本発明の治療剤を包含する(一般には、Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−BeresteinおよびFidler(編),Liss,New York,317−327頁および353−365頁(1989)を参照のこと)。治療剤を含有するリポソームは、それ自体が公知である方法により調製される:DE3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:3688−3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本国特許出願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号;ならびにEP第102,324号。通常、リポソームは、小さな(約200〜800Å)ユニラメラ型であり、そこでは、脂質含有量は、約30モル%コレステロールよりも多く、選択された割合が、最適な治療剤のために調整される。
なおさらなる実施形態において、本発明の治療剤は、ポンプによって送達される(Langer,前出;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery 88:507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。
他の制御放出系は、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による総説において議論される。
非経口投与のために、1つの実施形態において、一般に、治療剤は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化剤、および治療剤に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
一般に、治療剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
治療剤は、代表的には約0.1mg/ml〜100mg/ml、好ましくは1〜10mg/mlの濃度で、約3〜8のpHで、このようなビヒクル中に処方される。前記の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用することにより、ポリペプチド塩が形成されることが理解される。
治療的投与に用いられる任意の医薬品は無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンメンブレン)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一般に、治療剤は、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアルに配置される。
治療剤は、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1%(w/v)治療剤水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥した治療剤を注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
本発明はまた、本発明の治療剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
本発明の治療剤は、単独で、またはアジュバントと組み合わせて投与され得る。本発明の治療剤とともに投与され得るアジュバントとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:ミョウバン、ミョウバン+デオキシコール酸(ImmunoAg)、MTP−PE(Biocine Corp.)、QS21(Genentech,Inc.)、BCG、およびMPL。特定の実施形態において、本発明の治療剤は、ミョウバンと組み合わせて投与される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、QS−21と組み合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得るさらなるアジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:モノホスホリル脂質免疫調節剤、AdjuVax 100a、QS−21、QS−18、CRL1005、アルミニウム塩、MF−59、およびVirosomalアジュバント技術。本発明の治療剤とともに投与され得るワクチンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:MMR(麻疹、流行性耳下腺炎,風疹)、ポリオ(polio)、水痘、破傷風/ジフテリア、A型肝炎、B型肝炎、B型インフルエンザ、百日咳(whooping cough)、肺炎、インフルエンザ、ライム病、ロタウイルス、コレラ、黄熱病、日本脳炎、ポリオ(poliomyelitis)、狂犬病、腸チフス、および百日咳(pertusis)に対する防御に指向するワクチン。組み合わせは、例えば、混合物として同時に、別々であるが同時にもしくは並行して;または逐次的にかのいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が治療混合物としてともに投与される説明を含み、そして組み合わせた薬剤が、別々であるが同時に(例えば、同じ個体へ別々の静脈ラインを通じての場合)投与される手順もまた含む。「組み合わせ」投与は、第1に、続いて第2に与えられる化合物または薬剤のうちの1つを別々に投与することをさらに含む。
本発明の治療剤は、単独で、または他の治療的薬剤と組み合わせて投与され得る。本発明の治療剤とともに投与され得る治療的薬剤としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:TNFファミリーの他のメンバー、化学療法剤、抗生物質、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症剤、従来の免疫療法剤、サイトカインならびに/または増殖因子。組み合わせは、例えば、混合物として同時に、別々であるが同時にもしくは並行して;または逐次的にかのいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療混合物としてともに投与される説明を含み、そして組み合わせた薬剤が、別々であるが同時に(例えば、同じ個体へ別々の静脈ラインを通じての場合)投与される手順もまた含む。「組み合わせ」投与は、第1に、続いて第2に与えられる化合物または薬剤のうちの1つを別々に投与することをさらに含む。
1つの実施形態において、本発明の治療剤は、TNFファミリーのメンバーと組み合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得るTNF、TNF関連、またはTNF様の分子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:可溶性形態のTNF−α、リンホトキシン−α、(LT−α、TNF−βとしても公知)、LT−β(複合ヘテロトリマーLT−α2−βにおいて見出された)、OPGL、FasL、CD27L、CD30L、CD40L、4−1BBL、DcR3、OX40L、TNF−γ(国際公開番号WO96/14328)、AIM−I(国際公開番号WO97/33899)、エンドカイン(endokine)−α(国際公開番号WO98/07880)、TR6(国際公開番号WO98/30694)、OPG、およびニュートロカイン(neutrokine)−α(国際公開番号WO98/18921)、OX40、および神経増殖因子(NGF)、ならびに可溶性形態のFas、CD30、CD27、CD40および4−IBB、TR2(国際公開番号WO96/34095)、DR3(国際公開番号WO97/33904)、DR4(国際公開番号WO98/32856)、TR5(国際公開番号WO98/30693)、TR6(国際公開番号WO98/30694)、TR7(国際公開番号WO98/41629)、TRANK、TR9(国際公開番号WO98/56892)、TR10(国際公開番号WO98/54202)、312C2(国際公開番号WO98/06842)、およびTR12、ならびに可溶性形態のCD154、CD70、およびCD153。
特定の実施形態において、本発明の治療剤は、抗レトロウイルス薬剤、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、および/またはプロテアーゼインヒビターと組み合わせて投与される。本発明の治療剤と組み合わせて投与され得るヌクレオシド逆転写酵素インヒビターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:RETROVIRTM(ジドブジン/AZT)、VIDEXTM(ジダノシン/ddI)、HIVIDTM(ザルシタビン/ddC)、ZERITTM(スタブジン/d4T)、EPIVIRTM(ラミブジン/3TC)、およびCOMBIVIRTM(ジドブジン/ラミブジン)。本発明の治療剤と組み合わせて投与され得る非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:VIRAMUNETM(ネビラピン)、RESCRIPTORTM(デラビルジン)、およびSUSTIVATM(エファビレンズ)。本発明の治療剤と組み合わせて投与され得るプロテアーゼインヒビターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CRIXIVANTM(インディナビル(indinavir))、NORVIRTM(リトナビル(ritonavir))、INVIRASETM(サキナビル(saquinavir))、およびVIRACEPTTM(ネルフィナビル(nelfinavir))。特定の実施形態において、抗レトロウイルス薬剤、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、および/またはプロテアーゼインヒビターは、AIDSを処置するため、および/またはHIV感染を予防もしくは処置するために、本発明の治療剤との任意の組み合わせで使用され得る。
他の実施形態において、本発明の治療剤は、抗日和見感染症薬剤と組み合わせて投与され得る。本発明の治療剤と組み合わせて投与され得る抗日和見感染症薬剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:TRIMETHOPRIM−SULFAMETHOXAZOLETM、DAPSONETM、PENTAMIDINETM、ATOVAQUONETM、ISONIAZIDTM、RIFAMPINTM、PYRAZINAMIDETM、ETHAMBUTOLTM、RIFABUTINTM、CLARITHROMYCINTM、AZITHROMYCINTM、GANCICLOVIRTM、FOSCARNETTM、CIDOFOVIRTM、FLUCONAZOLETM、ITRACONAZOLETM、KETOCONAZOLETM、ACYCLOVIRTM、FAMCICOLVIRTM、PYRIMETHAMINETM、LEUCOVORINTM、NEUPOGENTM(フィルグラスチム(filgrastim)/G−CSF)、およびLEUKINETM(サルグラモスチン(sargramostim)/GM−CSF)。特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見Pneumocystis carinii肺炎感染を予防的に処置または予防するために、TRIMETHOPRIM−SULFAMETHOXAZOLETM、DAPSONETM、PENTAMIDINETM、および/またはATOVAQUONETMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見Mycobacterium avium複合感染を予防的に処置または予防するために、ISONIAZIDTM、RIFAMPINTM、PYRAZINAMIDETM、および/またはETHAMBUTOLTMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見Mycobacterium tuberculosis感染を予防的に処置または予防するために、RIFABUTINTM、CLARITHROMYCINTM、および/またはAZITHROMYCINTMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見サイトメガロウイルス感染を予防的に処置または予防するために、GANCICLOVIRTM、FOSCARNETTM、および/またはCIDOFOVIRTMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見真菌感染を予防的に処置または予防するために、FLUCONAZOLETM、ITRACONAZOLETM、および/またはKETOCONAZOLETMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見単純ヘルペスウイルスI型および/またはII型感染を予防的に処置または予防するために、ACYCLOVIRTMおよび/またはFAMCICOLVIRTMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見Toxoplasma gondii感染を予防的に処置または予防するために、PYRIMETHAMINETMおよび/またはLEUCOVORINTMとの任意の組み合わせで使用される。別の特定の実施形態において、本発明の治療剤は、日和見細菌感染を予防的に処置または予防するために、LEUCOVORINTMおよび/またはNEUPOGENTMとの任意の組み合わせで使用される。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、抗ウイルス薬剤との組み合わせで投与される。本発明の治療剤とともに投与され得る抗ウイルス薬剤としては、アシクロビル、リバビリン、アマンタジン、およびレマンチジン(remantidine)が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、抗生物質とともに投与される。本発明の治療剤とともに投与され得る抗生物質としては、アモキシシリン、β−ラクタマーゼ、アミノグリコシド、β−ラクタム(糖ペプチド)、β−ラクタマーゼ、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、フルオロキノロン、マクロライド、メトロニダゾール、ペニシリン、キノロン、リファンピン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(sulfamthoxazole)、およびバンコマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の治療剤とともに投与され得る従来の非特異的免疫抑制剤としては、ステロイド、シクロスポリン、シクロスポリンアナログ、シクロホスファミドメチルプレドニゾン、プレドニゾン、アザチオプリン、FK−506、15−デオキシスペルグアリン(15−deoxyspergualin)、およびT細胞応答の機能を抑制することによって作用する他の免疫抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本発明の治療剤は、免疫抑制剤と組み合わせて投与され得る。本発明の治療剤と共に投与され得る免疫抑制剤調製物は、ORTHOCLONETM(OKT3)、SANDIMMUNETM/NEORALTM/SANGDYATM(シクロスポリン)、PROGRAFTM(タクロリムス)、CELLCEPTTM(ミクロフェノレート)、アザチオプリン、グリコチコステロイド、およびRAPAMUNETM(シロリムス)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、免疫抑制剤は、器官または骨髄移植の拒絶を予防するために使用され得る。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、単独または1以上の静脈内免疫グロブリン調製物と組み合わせて投与される。本発明の治療剤と組み合わせて投与され得る静脈内免疫グロブリン調製物としては、GAMMARTM、IVEEGAMTM、SANDOGLOBULINTM、GAMMAGARD S/DTMおよびGAMIMUNETMが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本発明の治療剤は、移植治療(例えば、骨髄移植)において静脈内免疫グロブリン調製物と組み合わせて投与される。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、単独または抗炎症剤と組合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得る抗炎症剤としては、グルココルチコイドおよび非ステロイド抗炎症剤、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrine)、ベンダザック、ベンジドアミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリゾキサル、ピフオキシム、プロキアゾン、プロキサゾール、およびテニダップが挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、本発明の組成物は、化学療法剤と組合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得る化学療法剤としては、抗生物質誘導体(例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、およびダクチノマイシン);抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);抗代謝物(例えば、フルオロウラシル、5−FU、メトトレキサート、フロックスウリジン(floxuridine)、インターフェロンα−2b、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリン、および6−チオグアニン);細胞傷害剤(例えば、カルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シス−プラチン、およびビンクリスチンスルフェート);ホルモン(例えば、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、メゲストロールアセテート、メチルテストステロン、ジエチルスチルベストールジホスフェート、クロロトリアニセン、およびテストラクトン);ナイトロージェンマスタード誘導体(例えば、メファレン、クロランブシル、メクロレタミン(ナイトロージェンマスタード)およびチオテパ);ステロイドおよび組合わせ(例えば、ベタメタゾンリン酸ナトリウム);ならびにその他(例えば、ジカルバジン、アスパラギナーゼ、ミトタン、ビンクリスチンスルフェート、ビンブラスチンスルフェート、およびエトポシド)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本発明の治療剤は、CHOP(シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレジニゾン)と組み合わせて投与されるか、CHOPの成分の任意の組み合わせで投与される。別の実施形態において、本発明の治療剤は、Rituximabと組み合わせて投与される。さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、RituxmabおよびCHOPと共に、またはRituxmabおよびCHOPの成分の任意の組み合わせと共に投与される。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、サイトカインと組合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得るサイトカインとしては、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL10、IL12、IL13、IL15、抗CD40、CD40L、IFN−γおよびTNF−αが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、本発明の治療剤は、任意のインターロイキン(IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20およびIL−21を含むが、これらに限定されない)と共に投与され得る。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、新脈管形成タンパク質と組合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得る新脈管形成タンパク質としては、欧州特許EP−399816に開示されるようなグリオーム誘導増殖因子(Gilioma Derived Growth Factor)(GDGF);欧州特許EP−682110に開示されるような血小板誘導増殖因子−A(PDGF−A);欧州特許EP−282317に開示されるような血小板誘導増殖因子−B(PDGF−B);国際公開番号WO92/06194号に開示されるような胎盤増殖因子(PIGF);Hauserら、Gorwth Factors、4:259−268(1993)に開示されるような胎盤増殖因子−2(PIGF−2);国際公開番号WO90/13649号に開示されるような血管内皮増殖因子(VEGF);欧州特許EP−506477に開示されるような血管内皮増殖因子−A(VEGF−A);国際公開番号WO96/39515号に開示されるような血管内皮増殖因子−2(VEGF−2);血管内皮増殖因子−B(VEGF−3);国際公開番号WO96/26736号に開示されるような血管内皮増殖因子B−186(VEGF−B186);国際公開番号WO98/02543号に開示されるような血管内皮増殖因子−D(VEGF−D);国際公開番号WO98/07832号に開示されるような血管内皮増殖因子−D(VEGF−D);およびドイツ国特許DE19639601に開示されるような血管内皮増殖因子−E(VEGF−E)が挙げられるが、これらに限定されない。上記の参考文献は、本明細書で参考として援用される。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、造血増殖因子と組み合わせて投与される。本発明の治療剤と共に投与され得る造血増殖因子としては、LEUKINETM(SARGRAMOSTIMTM)およびNEUPOGENTM(FILGRASTIMTM)が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、線維芽細胞増殖因子と組合わせて投与される。本発明の治療剤とともに投与され得る線維芽細胞増殖因子としては、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、FGF−12、FGF−13、FGF−14、およびFGF−15が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、他の治療レジメまたは予防レジメ(例えば、放射線治療)と組合わせて投与される。
(実施例24:ポリペプチドのレベル低下を処置する方法)
本発明は、体内における本発明のポリペプチドのレベルを増大させる必要のある個体を処置するための方法に関し、その方法は、治療有効量の本発明のアゴニスト(本発明のポリペプチドを含む)を含む組成物をそのような個体に投与する工程を包含する。さらに、個体における分泌タンパク質の標準または正常発現レベルの低下により引き起こされる状態は、本発明のポリペプチドを、好ましくは分泌形態で投与することにより処置し得ることが理解される。従って、本発明はまた、ポリペプチドのレベルの増加が必要な個体の処置方法を提供する。この方法は、このような個体に、このような個体でポリペプチドの活性レベルを増加させる量のポリペプチドを含む治療剤を投与する工程を包含する。
例えば、ポリペプチドのレベルが低下した患者は、ポリペプチドを、1日用量0.1〜100μg/kgで6日続けて服用する。好ましくは、ポリペプチドは分泌形態である。投与および処方物に基づく投薬計画の正確な詳細は、実施例23に提供されている。
(実施例25:ポリペプチドのレベル上昇を処置する方法)
本発明はまた、体内における本発明のポリペプチドのレベルを減少させる必要のある個体を処置するための方法に関し、その方法は、治療有効量の本発明のアンタゴニスト(本発明のポリペプチドおよび抗体を含む)を含む組成物をそのような個体に投与する工程を包含する。
1つの例において、アンチセンス技術を使用して本発明のポリペプチドの産生を阻害する。この技術は、ガンのような様々な病因に起因するポリペプチド、好ましくは分泌形態のポリペプチドのレベルを低下させる方法の1つの例である。例えば、ポリペプチドのレベルが異常に上昇したと診断された患者に、アンチセンスポリヌクレオチドを、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0mg/kg/日で静脈内に21日間投与する。この処置に対して十分な耐性があれば、7日間の休薬期間後に、この処置を繰り返す。アンチセンスポリヌクレオチドの処方は、実施例23に提供されている。
(実施例26:遺伝子治療を使用する処置方法−エキソビボ)
遺伝子治療の1つの方法は、ポリペプチドを発現し得る線維芽細胞を患者に移植する方法である。一般に、線維芽細胞は、皮膚生検により被験者から得られる。得られた組織を組織培養培地中に配置し、小片に分割する。小塊の組織を組織培養フラスコの湿潤表面に置き、ほぼ10片を各フラスコに置く。このフラスコを倒置し、しっかりと閉めた後、室温で一晩放置する。室温で24時間後、フラスコを反転させ、組織塊をフラスコの底に固定させたままにし、そして新鮮培地(例えば、10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するHamのF12培地)を添加する。次に、フラスコを37℃で約1週間インキュベートする。
この時点で、新鮮な培地を添加し、次いで数日ごとに取り換える。さらに二週間培養した後に、単層の線維芽細胞が出現する。この単層をトリプシン処理し、さらに大きなフラスコにスケールアップする。
モロニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復が隣接するpMV−7(Kirschmeier,P.T.ら、DNA,7:219−25(1988))をEcoRIおよびHindIIIで消化した後、仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。線状ベクターをアガロースゲル上で分画し、そしてガラスビーズを使用して精製する。
本発明のポリペプチドをコードするcDNAを、必要な場合、プライマーを用いそして適切な制限部位および開始/終止コドンを有する、実施例1に記載のそれぞれ5’末端配列および3’末端配列に対応するPCRプライマーを使用して増幅し得る。好ましくは、この5’プライマーはEcoRI部位を含み、そしてこの3’プライマーはHindIII部位を含む。等量の、モロニーマウス肉腫ウイルスの線状骨格および増幅したEcoRIおよびHindIIIフラグメントを、T4 DNAリガーゼの存在下で一緒に加える。得られた混合物を、この2つのフラグメントを連結するのに適した条件下で維持する。次に、連結混合物を使用し、細菌HB101を形質転換する。次に、それを、カナマイシンを含む寒天上にプレーティングし、ベクターが正確に挿入された目的の遺伝子を有することを確認する。
アンホトロピックpA317またはGP+am12パッケージング細胞を、10%仔ウシ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、組織培養でコンフルエントな密度まで増殖させる。次に、その目的の遺伝子を含むMSVベクターを培地に加え、そしてパッケージング細胞をこのベクターで形質導入する。このとき、このパッケージング細胞は、その遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(ここで、このパッケージング細胞をプロデューサー細胞という)。
形質導入されたプロデューサー細胞に新鮮な培地を添加し、次いでこの培地を10cmプレートのコンフルエントなプロデューサー細胞から採取する。感染性ウイルス粒子を含む使用済み培地を、ミリポアーフィルターを通して濾過し、はがれたプロデューサー細胞を除去した後、この培地を使用して、線維芽細胞を感染させる。線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから培地を除去し、そしてプロデューサー細胞からの培地で速やかに置き換える。この培地を除去し、そして新鮮な培地と置き換える。ウイルスの力価が高ければ、実質的にすべての線維芽細胞が感染され、選択は必要ではない。力価が非常に低ければ、neoまたはhisのような選択マーカーを有するレトロウイルスベクターを使用することが必要である。一旦、線維芽細胞が効率的に感染したなら、その線維芽細胞を分析し、タンパク質が産生されているか否かを決定する。
次に、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス3マイクロキャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれかで、宿主に移植する。
(実施例27:本発明のポリヌクレオチドに対応する内因性遺伝子を使用する遺伝子治療)
本発明に従う遺伝子治療の別の方法は、本発明の内因性ポリヌクレオチド配列を、例えば、米国特許番号5,641,670(1997年6月24日発行);国際公開番号WO 96/29411(1996年9月26日公開);国際公開番号WO 94/12650(1994年8月4日公開);Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:8932〜8935(1989);およびZijlstraら、Nature,342:435〜438(1989)に記載されるように、相同組換えを介してプロモーターに作動可能に結合する工程を包含する。この方法は、その標的細胞中に存在するが、その細胞中では発現されないかまたは所望されるよりも低いレベルで発現される、遺伝子の活性化を包含する。
プロモーターおよび標的化配列を含むポリヌクレオチド構築物を作製する。この標的配列は、プロモーターに隣接する、内因性ポリヌクレオチド配列の5’非コード配列に相同である。この標的化配列は、このポリヌクレオチド配列の5’末端に十分に近く、その結果、このプロモーターは、相同組換えの際にこの内因性配列に作動可能に連結される。このプロモーターおよび標的化配列を、PCRを使用して増幅し得る。好ましくは、この増幅したプロモーターは、5’末端および3’末端上に異なる制限酵素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅したプロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末端は、増幅したプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。
この増幅したプロモーターおよび増幅した標的化配列を、適切な制限酵素で消化し、続いてウシ腸ホスファターゼで処理する。消化したプロモーターおよび消化した標的化配列を、T4 DNAリガーゼの存在下でともに加える。生じた混合物を、これら2つのフラグメントの連結に適切な条件下で維持する。この構築物をアガロースゲル上でサイズ分画し、次いでフェノール抽出およびエタノール沈殿により精製する。
この実施例において、このポリヌクレオチド構築物を、エレクトロポレーションを介して裸のポリヌクレオチドとして投与する。しかし、このポリヌクレオチド構築物はまた、トランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス配列、ウイルス粒子、沈殿剤など)とともに投与され得る。送達のこのような方法は、当該分野で公知である。
一旦、細胞をトランスフェクトすると、相同組換えが生じて、このプロモーターがこの内因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結される。これは、この細胞中におけるこのポリヌクレオチドに対応するポリヌクレオチドの発現を生じる。発現は、免疫学的染色または当該分野で公知の他の任意の方法により、検出され得る。
線維芽細胞を、皮膚生検により被験者から得る。得られた組織を、DMEM+10%ウシ胎仔血清中に配置する。対数増殖期または定常期初期の線維芽細胞を、トリプシン処理し、そしてプラスチックの表面から栄養培地でリンスする。細胞懸濁液のアリコートを、計数のために取り出し、そして残りの細胞を遠心分離に供する。上清を吸引し、そしてペレットを5mlのエレクトロポレーション緩衝液(20mM HEPES pH7.3、137mM NaCl、5mM KCl、0.7mM Na2HPO4、6mMデキストロース)に再懸濁する。この細胞を再遠心分離し、上清を吸引し、そして細胞をアセチル化ウシ血清アルブミン1mg/mlを含むエレクトロポレーション緩衝液に再懸濁する。この最終細胞懸濁物は、約3×106細胞/mlを含む。エレクトロポレーションを、再懸濁直後に実施すべきである。
プラスミドDNAを、標準的技術に従って調製する。例えば、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子座に標的化するためのプラスミドを構築するために、プラスミドpUC18(MBI Fermentas、Amherst、NY)をHindIIIで消化する。CMVプロモーターを、5’末端にXbaI部位および3’末端にBamHI部位を備えてPCRにより増幅する。2つの非コード配列をPCRを介して増幅する:一方の非コード配列(フラグメント1)を、5’末端にHindIII部位および3’末端にXbaI部位を備えて増幅する;他方の非コード配列(フラグメント2)を、5’末端にBamHI部位および3’末端にHindIII部位を備えて増幅する。このCMVプロモーターおよびこれらのフラグメント(1および2)を、適切な酵素(CMVプロモーター−XbaIおよびBamHI;フラグメント1−XbaI;フラグメント2−BamHI)で消化し、そしてともに連結する。生じた連結生成物をHindIIIで消化し、そしてHindIIIで消化したpUC18プラスミドと連結する。
プラスミドDNAを、0.4cmの電極ギャップを備える滅菌キュベット(Bio−Rad)に添加する。最終DNA濃度は、一般的に、少なくとも120μg/mlである。次いで、この細胞懸濁液の0.5ml(約1.5×106細胞を含む)をこのキュベットに添加し、そしてこの細胞懸濁液およびDNA溶液を、穏やかに混合する。エレクトロポレーションを、Gene−Pulser装置(Bio−Rad)を用いて実施する。キャパシタンスおよび電圧を、それぞれ、960μFおよび250〜300Vに設定する。電圧が増加すると、細胞の生存が減少するが、導入されたDNAをそのゲノム中に安定に組込む生存細胞の割合が劇的に増加する。これらのパラメーターを与えると、パルス時間約14〜20mSecが観察されるはずである。
エレクトロポレーションした細胞を、室温で約5分間維持し、次いで、このキュベットの中身を、滅菌した移動ピペットを用いて穏やかに取り出す。この細胞を、10cmのディッシュ中の、予め温めた栄養培地(15%ウシ血清を含むDMEM)10mlに直接加え、そして37℃でインキュベートする。翌日、この培地を吸引し、そして10mlの新鮮な培地で置換し、そしてさらに16〜24時間インキュベートする。
次いで、操作された線維芽細胞を、宿主中に、単独か、またはサイトデックス(cytodex)3マイクロキャリア(microcarrier)ビーズ上でコンフルエントになるまで増殖させた後かのいずれかで、注入する。ここで、この線維芽細胞は、タンパク質産物を生成する。次いで、この線維芽細胞を、上記のような患者に導入し得る。
(実施例28:遺伝子治療を使用する処置方法−インビボ)
本発明の別の局面は、障害、疾患、および状態を処置するためにインビボ遺伝子治療方法を使用することである。この遺伝子治療法は、ポリペプチドの発現を増大または滅少させるための、動物への裸の核酸(DNA、RNA、およびアンチセンスDNAまたはRNA)配列の導入に関する。本発明のポリヌクレオチドは、プロモーター、または標的組織によるそのポリペプチドの発現に必要な任意の他の遺伝子エレメントに、作動可能に連結され得る。このような遺伝子治療および送達の技術および方法は、当該分野で公知であり、例えば、WO90/11092、WO98/11779;米国特許第5693622号、同第5705151号、同第5580859号;Tabataら、Cardiovasc.Res.35(3):470−479(1997);Chaoら、Pharmacol.Res.35(6):517−522(1997);Wolff、Neuromuscul.Disord.7(5):314−318(1997)、Schwartzら、Gene Ther.3(5):405−411(1996);Tsurumiら、Circulation 94(12):3281−3290(1996)(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
ポリヌクレオチド構築物は、注入可能な物質を動物の細胞に送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓、腸など)の間隙空間への注入)によって送達され得る。このポリヌクレオチド構築物は、薬学的に受容可能な液体または水性キャリア中で送達され得る。
用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAは、細胞への侵入を補助、促進、または容易にするように作用するいかなる送達ビヒクル(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、または沈澱剤などを含む)も含まない配列をいう。しかし、本発明のポリヌクレオチドはまた、当業者に周知の方法によって調製され得るリポソーム処方物(例えば、Felgner P.L.ら(1995)Ann.NY Acad.Sci.772:126−139およびAbdallah B.ら(1995)Biol.Cell 85(1):1−7で教示されたもの)中で送達され得る。
この遺伝子治療方法において使用されるポリヌクレオチドベクター構築物は、好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれず、複製を可能にする配列も含まない構築物である。当業者に公知の任意の強力なプロモーターが、DNAの発現を駆動するために用いられ得る。他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞に導入する1つの主要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて、6ヶ月までの間の期間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示された。
このポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含する)の間隙空間に送達され得る。この組織の間隙空間は、細胞間液、ムコ多糖基質(器官組織の細網線維、血管または腔(chamber)の壁における弾性線維、線維性組織のコラーゲン線維に間にある)、あるいは結合組織鞘性筋肉細胞内または骨の裂孔中の同じ基質を包含する。これは、同様に、循環の血漿およびリンパチャンネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉組織の間隙空間への送達は、以下に考察する理由のために好ましい。それらは、これらの細胞を含む組織への注入によって、好都合に送達され得る。それらは、好ましくは、分化した持続性の非***細胞に送達され、そしてその細胞において発現されるが、送達および発現は、非分化細胞または完全には分化していない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達成され得る。インビボで、筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そして発現するそれらの能力において、特に適格である。
裸のポリヌクレオチド注入のために、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05g/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは、この投薬量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そしてより好ましくは、約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん、当業者が認識するように、この投薬量は、注入の組織部位に従って変化する。核酸配列の適切かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される状態および投与経路に依存し得る。好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非経口注入経路によってである。しかし、他の非経口経路もまた用いられ得、これには、例えば、特に肺または気管支組織、咽喉、または鼻の粘膜への送達のためのエアロゾル処方物の吸入が挙げられる。さらに、裸のポリヌクレオチド構築物が、血管形成術の間に、この手順において用いられるカテーテルによって動脈に送達され得る。
インビボでの筋肉における注入ポリヌクレオチドの用量応答効果を、以下のようにして決定する。本発明のポリペプチドをコードするmRNAの生成のための適切な鋳型DNAを、標準的な組換えDNA方法論に従って調製する。鋳型DNA(これは環状または線状のいずれかであり得る)を裸のDNAとして使用するか、またはリポソームと複合体化するかのいずれかである。次いで、マウスの四頭筋に、種々の量の鋳型DNAを注入する。
5〜6週齢の雌性および雄性のBalb/Cマウスに、0.3mlの2.5%Avertinを腹腔内注射することにより麻酔する。1.5cmの切開を大腿前部で行い、そして四頭筋を直接可視化する。鋳型DNAを、0.1mlのキャリアに入れて、1cc注射器で27ゲージ針を通して1分間にわたって、筋肉の遠位挿入部位から約0.5cmのところで膝に、約0.2cmの深さで注入する。縫合を、将来の位置決定のために注入部位の上で行い、そしてその皮膚をステンレス鋼クリップで閉じる。
適切なインキュベーション時間(例えば、7日)後、筋肉抽出物を、四頭全体を切り出すことによって調製する。個々の四頭筋の5枚毎の15μm切片を、タンパク質発現について組織化学的に染色する。タンパク質発現についてのタイムコースを、異なるマウスからの四頭を異なる時間で採取すること以外は、同様な様式で行い得る。注入後の筋肉中のDNAの持続性を、注入したマウスおよびコントロールマウスからの全細胞性DNAおよびHIRT上清を調製した後、サザンブロット分析によって決定し得る。マウスにおける上記実験の結果を、裸のDNAを用いて、ヒトおよび他の動物において適切な投薬量および他の処置パラメーターを外挿するために使用し得る。
(実施例29:トランスジェニック動物)
本発明のポリペプチドはまた、トランスジェニック動物において発現され得る。マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシおよびヒト以外の霊長類(例えば、ヒヒ、サルおよびチンパンジー)を含むがこれらに限定されない任意の種の動物は、トランスジェニック動物を作製するために用いられ得る。特定の実施形態において、本明細書に記載されるかまたはさもなければ当該分野で公知の技術が、遺伝子治療プロトコルの一部として、ヒトにおける本発明のポリペプチドの発現のために用いられる。
当該分野で公知の任意の技術を、導入遺伝子(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)の動物への導入に用いて、トランスジェニック動物の創始系統(founder line)を生成し得る。このような技術は、前核マイクロインジェクション(Patersonら、Appl.Microbiol.Biotechnol.40:691−698(1994);Carverら、Biotechnology(NY)11:1263−1270(1993);Wrightら、Biotechnology(NY)9:830−834(1991);およびHoppeら、米国特許第4,873,191号(1989));生殖細胞系へのレトロウイルス媒介遺伝子移入(Van der Puttenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:6148−6152(1985))、胚盤胞または胚;胚性幹細胞における遺伝子標的化(Thompsonら、Cell 56:313−321(1989));細胞または胚のエレクトロポレーション(Lo、1983、Mol Cell.Biol.3:1803−1814(1983));遺伝子銃を用いた本発明のポリヌクレオチドの導入(例えば、Ulmerら、Science 259:1745(1993)を参照のこと);胚性多能性(pleuripotent)幹細胞への核酸構築物の導入および胚盤胞へのこの幹細胞の移入;ならびに***媒介遺伝子移入(Lavitranoら、Cell 57:717−723(1989));などを含むがこれらに限定されない。このような技術の総説については、本明細書中にその全体が参考として援用される、Gordon、「Transgenic Animals」、Intl.Rev.Cytol.115:171−229(1989)を参照のこと。
当該分野で公知の任意の技術を用いて、本発明のポリヌクレオチドを含むトランスジェニッククローンを生成し得る(例えば、培養された、静止状態に誘導された胚細胞、胎児細胞または成体の細胞由来の除核した卵母細胞の核への核移入(Campellら、Nature 380:64−66(1996);Wilmutら、Nature 385:810−813(1997)))。
本発明は、その全ての細胞に導入遺伝子を有するトランスジェニック動物、ならびにいくつかの細胞(しかしその全ての細胞ではない)に導入遺伝子を有する動物(すなわち、モザイク動物またはキメラ)を提供する。導入遺伝子は、1つの導入遺伝子としてまたはコンカテマー(例えば、頭−頭タンデム型または頭−尾タンデム型)のような複数のコピーとして組み込まれ得る。この導入遺伝子はまた、例えば、Laskoらの教示(Laskoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236(1992))に従って特定の細胞型に選択的に導入され得、そして活性化され得る。このような細胞型特異的活性化に必要とされる調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、そしてそれらは当業者に明らかである。ポリヌクレオチド導入遺伝子が、内在性遺伝子の染色体部位に組み込まれることが所望される場合、遺伝子の標的化が好ましい。手短に言えば、このような技術が利用される場合、内在性遺伝子に対して相同ないくつかのヌクレオチド配列を含むベクターが、染色体配列との相同な組換えを介して内在性遺伝子のヌクレオチド配列に組み込まれ、そのヌクレオチド配列の機能を破壊することを目的として設計される。導入遺伝子はまた、特定の細胞型に選択的に導入され得、従って、例えば、Guら(Guら、Science 265:103−106(1994))の教示に従って、導入された細胞型においてのみ内在性遺伝子が不活化される。そのような細胞型特異的不活化に必要とされる調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、そしてそれらは当業者に明らかである。
一旦トランスジェニック動物が作製されると、その組換え遺伝子の発現は、標準的な技術を利用してアッセイされ得る。最初のスクリーニングは、サザンブロット分析またはPCR技術によって達成されて、導入遺伝子の組み込みが起きたことを動物組織の分析により確認し得る。トランスジェニック動物の組織における導入遺伝子のmRNA発現レベルはまた、動物から得た組織サンプルのノーザンブロット分析、インサイチュハイブリダイゼーション分析および逆転写酵素PCR(rt−PCR)を含むがこれらに限定されない技術を用いて評価され得る。トランスジェニック遺伝子発現組織のサンプルはまた、導入遺伝子産物に特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的または免疫組織化学的に評価され得る。
一旦、創始動物が生成されると、それらは、交配され、同系交配され、異系交配されるかまたは交雑されて、特定の動物のコロニーを生成し得る。そのような交配戦略の例は、以下を含むがそれらに限定されない:別の系統を樹立するための1つより多くの組み込み部位を有する創始動物の異系交配;各導入遺伝子の相加的発現効果によって、より高いレベルで導入遺伝子を発現する複合トランスジェニックを生成するための別々の系統の同系交配;発現の増強およびDNA分析による動物のスクリーニングの必要性の排除の両方のための、所定の組み込み部位に対してホモ接合性の動物を生成するヘテロ接合性トランスジェニック動物の交雑;複合ヘテロ接合性またはホモ接合性系統を生成するための別々のホモ接合系統の交雑;ならびに目的の実験モデルに適切な異なるバックグラウンド上に導入遺伝子を配置するための交配。
本発明のトランスジェニック動物は、本発明のポリペプチドの生物学的機能の詳述、異常な発現に関連する状態および/または障害の研究、ならびにこのような状態および/または障害の改善に有効な化合物についてのスクリーニングに有用な動物モデル系を含むがこれらに限定されない用途を有する。
(実施例30:ノックアウト動物)
内因性遺伝子発現もまた、標的化された相同組換えを使用して遺伝子および/またはそのプロモーターを不活性化あるいは「ノックアウトする」ことによって減少し得る(例えば、Smithiesら、Nature 317:230−234(1985);ThomasおよびCapecchi、Cell 51:503−512(1987);Thompsonら、Cell 5:313−321(1989)を参照のこと;これらの各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。例えば、内因性ポリヌクレオチド配列(この遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)と相同性のDNAに隣接される、本発明の改変体、非機能的なポリヌクレオチド(または完全に関連のないDNA配列)を、選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーを用いてまたは用いずに使用し、インビボで本発明のポリペプチドを発現する細胞をトランスフェクトし得る。別の実施形態において、当該分野で公知の技術を、目的の遺伝子を含むが、発現しない細胞中でノックアウトを作製するために使用する。標的化された相同組換えを介した、このDNA構築物の挿入は、標的化された遺伝子の不活性化を生じる。このようなアプローチは、胚性幹細胞に対する改変が不活性な標的化された遺伝子を有する動物の子孫を作製するために使用され得る研究および農業分野に特に適する(例えば、ThomasおよびCapecchi 1987およびThompson 1989、前出を参照のこと)。しかし、このアプローチは、当業者に明白な適切なウイルスベクターを使用して、組換えDNA構築物がインビボで要求された部位に直接投与されるか、または標的化される場合、ヒトにおける使用に慣用的に適合され得る。
本発明のさらなる実施形態において、本発明のポリペプチドを発現するために遺伝子操作される細胞、あるいは本発明のポリペプチドを発現しないように遺伝子操作された細胞(例えば、ノックアウト)を、インビボで患者に投与する。このような細胞は、患者(すなわち、ヒトを含む動物)またはMHC適合性ドナーから入手され得、そして線維芽細胞、骨髄細胞、血球(例えば、リンパ球)、脂肪細胞、筋細胞、内皮細胞などを含み得るが、それらに限定されない。この細胞を、例えば、形質導入(ウイルスベクターおよび好ましくは細胞ゲノム中に導入遺伝子を組み込むベクターを使用する)、またはトランスフエクション手順(プラスミド、コスミド、YAC、裸のDNA、エレクトロポレーション、リポソームなどの使用を含むが、これらに限定されない)によって、細胞中に本発明のポリペプチドのコード配列を導入するために、あるいはこのコード配列および/または本発明のポリペプチドに結合している内因性の調節配列を破壊するために、組換えDNA技術を使用してインビトロで遺伝子操作する。本発明のポリペプチドのコード配列を強力な構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーターまたはプロモーター/エンハンサーの制御下に配置し、本発明のポリペプチドの発現および好ましくは分泌を達成し得る。本発明のポリペプチドを発現および好ましくは分泌する操作した細胞を、例えば、循環中において、または腹腔内で患者中へ全身的に導入し得る。
あるいは、この細胞をマトリックスに組み込み得、そして身体に移植し得る(例えば、遺伝子操作した線維芽細胞を皮膚移槙片の一部として移植し得る);遺伝子操作した内皮細胞をリンパ移植片または脈管移植片の一部として移植し得る(例えば、Andersonら、米国特許第5,399,349号ならびにMulliganおよびWilson、米国特許第5,460,959号を参照のこと。これらの各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。
投与される細胞が非自己または非MHC適合性細胞である場合、それらを、この導入細胞に対する宿主免疫応答の発生を妨害する周知の技術を使用して投与し得る。例えば、この細胞をカプセル性の形態で導入し得、この形態は、構成成分と即時の細胞外環境との交換を可能にしつつ、導入細胞が宿主免疫系によって認識されることを可能にしない。
本発明のトランスジェニックおよび「ノックアウト」動物は、本発明のポリペプチドの生物学的機能の詳述、異常な発現に関連する疾患、障害および/または状態の研究、ならびにこのような疾患、障害および/または状態を寛解させるに有効な化合物のスクリーニングにおいて有用な動物モデル系を含むが、それらに限定されない用途を有する。
(実施例31:抗体の産生)
(a.ハイブリドーマ技術)
本発明の抗体は、種々の方法によって調製され得る。(Current Protocols,第2章を参照のこと)。このような方法の1つの例として、本発明のポリペプチドを発現する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために動物に投与される。好ましい方法において、本発明のポリペプチドの調製物が調製され、そして精製されて、天然の夾雑物を実質的に含まないようにされる。次いで、より大きな比活性のポリクローナル抗血清を生成するために、このような調製物は、動物に導入される。
本発明のポリペプチドに対して特異的なモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して調製される(Kohlerら、Nature 256:495(1975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976);Hammerlingら:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas,EIsevier,N.Y.、563−681頁(1981))。一般に、動物(好ましくはマウス)は、本発明のポリペプチドで、またはより好ましくは分泌ポリペプチド発現細胞で免疫される。このようなポリペプチド発現細胞は、任意の適切な組織培養培地において、好ましくは10%ウシ胎仔血清(約56℃で非働化した)を補充し、そして約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約100μg/mlのストレプトマイシンを補充したEarle改変イーグル培地において培養される。
このようなマウスの脾細胞は抽出され、そして適切な骨髄腫細胞株と融合される。任意の適切な骨髄腫細胞株は、本発明に従って用いられ得る;しかし、ATCCから入手可能な親骨髄腫細胞株(SP2O)を用いることが好ましい。融合後、得られるハイブリド−マ細胞を、HAT培地において選択的に維持し、次いでWandsら(Gastroenterology 80:225−232(1981))により記載されるように限界希釈によってクローニングする。次いで、このような選択によって得られるハイブリドーマ細胞は、本発明のポリペプチドを結合し得る抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイされる。
あるいは、本発明のポリペプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディオタイプ抗体を使用して2段階工程の手順において生成し得る。このような方法は、抗体それ自体が抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ることが可能であるという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体を使用して、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物の脾細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生する。そして、このハイブリドーマ細胞は、本発明のタンパク質に特異的な抗体のポリペプチドに結合する能力が本発明のポリペプチドによってブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニングされる。このような抗体は、本発明のタンパク質に特異的な抗体のポリペプチドに対する抗イディオタイプ抗体を含み、そして動物を免疫してさらなる本発明のタンパク質に特異的な抗体のポリペプチドの形成を誘導するために使用される。
ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、抗体は、「ヒト化」される。このような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝的構築物を使用することによって産生され得る。キメラ抗体およびヒト化抗体を産生するための方法は当該分野で公知であり、そして本明細書中に議論される(総説については、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら、EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neubergerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 8702671;Boulianneら、Nature 312:643(1984);Neubergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと)。
(b)scFvsのライブラリーからのポリペプチドに対して指向される抗体フラグメントの単離)
ヒトPBLから単離した天然に存在するV遺伝子を、ドナーが曝され得たかまたは曝され得なかった本発明のポリペプチドに対する反応性を含む抗体フラグメントのライブラリーに構築する(例えば、米国特許第5,885,793号(その全体が参考として本明細書に援用される)を参照のこと)。
ライブラリーのレスキュー。 PCT公開WO 92/01047に記載のように、ヒトPBLのRNAからscFvsのライブラリーを構築する。抗体フラグメントを提示するファージをレスキューするため、ファージミドを保有する約109個のE.coliを用いて、50mlの2×TY(1%グルコースおよび100μg/mlのアンピシリンを含有する)(2×TY−AMP−GLU)を接種し、そして振盪しながら0.8のO.D.まで増殖させる。この培養物の5mlを用いて50mlの2×TY−AMP−GLUに接種し、2×108TUのΔ遺伝子3ヘルパー(M13Δ遺伝子III、PCT公開WO92/01047を参照のこと)を添加し、そして培養物を振盪なしで37℃で45分間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃で45分間インキュベートする。この培養物を10分間4000r.p.m.で遠心分離し、そしてペレットを2リットルの2×TY(100μg/mlアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含有する)中に再懸濁し、そして一晩増殖させる。ファージをPCT公開WO92/01047に記載のように調製する。
M13Δ遺伝子IIIを以下のように調製する:M13Δ遺伝子IIIヘルパーファージは、遺伝子IIIタンパク質をコードしない。それゆえ、抗体フラグメントを提示するファージ(ファージミド)は、抗原に対するより大きい結合アビディティーを有する。ファージ形態形成の間、野生型遺伝子IIIタンパク質を供給するpUC19誘導体を保有する細胞においてヘルパーファージを増殖させることにより、感染性M13Δ遺伝子III粒子を作製する。培養物を振盪なしで37℃で1時間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃でさらに1時間インキュベートする。細胞を遠心沈殿(IEC−Centra 8,400r.p.m.で10分間)し、100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlのカナマイシンを含有する2×TYブロス(2×TY−AMP−KAN)300ml中で再懸濁し、そして37℃で振盪しながら一晩増殖させた。ファージ粒子を、2回のPEG沈殿(Sambrookら、1990)により培養培地から精製および濃縮し、2ml PBSに再懸濁し、そして0.45μmのフィルター(Minisart NML;Sartorius)を通過させ、約1013形質導入単位/ml(アンピシリン耐性クローン)の最終濃度を得る。
ライブラリーのパニング。Immunotubes(Nunc)を、本発明のポリペプチドの100μg/mlまたは10μg/mlのいずれかの4mlを用いてPBS中で一晩被膜する。チューブを2%Marvel−PBSを用いて37℃で2時間ブロックし、次いでPBS中で3回洗浄する。約1013TUのファージをチューブに適用し、そして、回転盤上で上下にタンブリングしながら室温で30分間インキュベートし、次いでさらに1.5時間静置しておく。チューブをPBS0.1%Tween−20で10回、そしてPBSで10回洗浄する。1mlの100mMトリエチルアミンを添加し、そして回転盤上で15分間上下に回転させることによりファージを溶出し、その後この溶液を0.5mlの1.0M Tris−HCl,pH7.4で直ちに中和する。次いで、溶出したファージを細菌とともに37℃で30分間インキュベートすることにより、ファージを用いて、10mlの対数増殖中期のE.coli TG1に感染させる。次いで、E.coliを1%グルコースおよび100μg/mlアンピシリンを含有するTYEプレート上にプレートする。次いで、得られる細菌ライブラリーを、上記のようにΔ遺伝子3ヘルパーファージでレスキューし、次の回の選択のためのファージを調製する。次いで、このプロセスを、アフィニティー精製の全4回について反復し、3回目および4回目にはチューブ洗浄をPBS、0.1%Tween−20で20倍、そしてPBSで20倍に増加する。
結合剤の特徴付け。第3回目および4回目の選択から溶出したファージを用いて、E.coli HB 2151を感染させ、そして可溶性scFvをアッセイのために単一コロニーから生成する(Marksら、1991)。50mM炭酸水素塩、pH9.6中の本発明のポリペプチドの10pg/mlのいずれかで被膜したマイクロタイタープレートを用いてELISAを実行する。ELISA中の陽性クローンをPCRフィンガープリンティング(例えば、PCT公報WO92/01047を参照のこと)、次に配列決定することによりさらに特徴付ける。これらのELISA陽性クローンはまた、当該分野において公知の技術(例えば、エピトープマッピング、結合親和性、レセプターシグナル形質導入、抗体/抗原結合をブロックするかまたは競合的に阻害する能力、および競合的アゴニスト活性または競合的アンタゴニスト活性など)によりさらに特徴付けられ得る。
(実施例32:B細胞増殖および分化の刺激または阻害を検出するアッセイ)
機能的体液性免疫応答の生成は、B系列の細胞とそれらの微小環境との間に、可溶性のシグナル伝達および同族のシグナル伝達の両方を必要とする。シグナルは、陽性の刺激(B系列の細胞がプログラムされた発生を持続するようにさせる)、または陰性の刺激(細胞が電流発生経路を阻止するように指示する)を伝え得る。現在までに、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−13、IL−14およびIL−15を含む、多数の刺激シグナルおよび阻害シグナルがB細胞応答性に影響することが見出されている。興味深いことに、これらのシグナルはそれ自体は弱いエフェクターであるが、種々の同時刺激タンパク質と組み合わせて、B細胞集団中の活性化、増殖、分化、ホーミング、耐性、および死を誘導し得る。
B細胞同時刺激タンパク質の最も研究されたクラスの1つがTNFスーパーファミリーである。このファミリー内で、CD40、CD27およびCD30は、そのそれぞれのリガンドである、CD154、CD70およびCD153と共に種々の免疫応答を調節することが見出されている。これらのB細胞集団およびそれらの前駆細胞の増殖および分化の検出および/または観察を可能にするアッセイは、種々のタンパク質がこれらのB細胞集団上に、増殖および分化の点で有し得る効果を決定する際に価値のあるツールである。以下に列挙するのは、B細胞集団およびそれらの前駆体の分化、増殖、または阻害の検出を可能にするように設計された2つのアッセイである。
(インビトロアッセイ)−本発明の精製されたポリペプチド、またはそれらの短縮化形態を、B細胞集団およびそれらの前駆体において活性化、増殖、分化もしくは阻害および/または死を誘導する能力について評価する。精製したヒト扁桃腺B細胞への本発明のポリペプチドの活性(定性的に0.1〜10,000ng/mLの用量範囲にわたって測定した)を、標準的なBリンパ球同時刺激アッセイにおいて評価する。このアッセイでは、精製した扁桃腺B細胞を、プライミング因子として、ホルマリン固定Staphylococcus aureus Cowan I(SAC)、または固定した抗ヒトIgM抗体のいずれかの存在下で培養する。IL−2およびIL−15のような第2のシグナルは、トリチウム化チミジン取り込みにより測定した場合、SACおよびIgM架橋と協同してB細胞増殖を誘発する。新規な協同因子を、このアッセイを用いて容易に同定し得る。このアッセイは、CD3陽性細胞の磁気ビーズ(MACS)枯渇によりヒト扁桃腺B細胞を単離する工程を包含する。得られる細胞集団は、CD45R(B220)の発現により評価する場合、95%のB細胞より大きい。
種々の希釈のそれぞれのサンプルを96ウェルプレートの個々のウェルに配置し、ここへ、培養培地(10%FBS、5×10-5M 2ME、100U/mlペニシリン、10μg/mlストレプトマイシン、および10-5希釈のSACを含有するRPMI 1640)中で懸濁した、総量150μl中の、105B細胞を添加する。増殖または阻害を、因子の添加後72時間から開始して、3H−チミジン(6.7Ci/mM)で20hパルス(1μCi/ウェル)により定量する。陽性コントロールおよび陰性コントロールは、それぞれIL2および培地である。
(インビボアッセイ)−BALE/cマウスに、緩衝液のみ、または本発明の2mg/kgのポリペプチド、またはそれらの短縮形態を、1日2回注射(腹腔内)する。マウスにこの処置を4日間連続して与え、この時点でそれらを屠殺し、そして分析のために種々の組織および血清を収集した。正常な脾臓および本発明のポリペプチドで処理した脾臓由来のH&E切片の比較により、脾臓細胞でのこのポリペプチドの活性の結果、例えば、動脈周囲リンパ性鞘の拡散および/または赤色脾髄領域の有核の細胞充実性の有意な増加(これは、B細胞集団の分化および増殖の活性化を示し得る)が確認される。B細胞マーカーである、抗CD45R(B220)を用いる免疫組織化学的研究を用いて、脾臓細胞への任意の生理的な変化(例えば、脾臓組織崩壊)が、樹立されたT細胞領域に浸潤する漠然と規定されたB細胞区画内のB細胞提示の増加に起因するか否かを決定する。
ポリペプチドで処置したマウス由来の脾臓のフローサイトメトリー分析を用いて、このポリペプチドが、ThB+であるCD45R(B220)dull B細胞の比を、コントロールマウスで観察される比よりも特異的に増加するか否かを示す。
同様に、増加した成熟B細胞のインビボでの提示の推定される結果は、血清Ig力価の相対的な増加である。従って、血清IgMおよびIgAレベルを緩衝液処置マウスとポリペプチド処置マウスとの間で比較する。
本実施例において記載する試験は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニスト、および/またはアンタゴニストを試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例33:T細胞増殖アッセイ)
(休止PBLに対する増殖アッセイ)
CD3誘導性の増殖アッセイをPBMCで実行し、そして3H−チミジンの取り込みにより測定する。このアッセイを以下のように実行する。96ウェルプレートを、CD3に対するmAb(HIT3a,Pharmingen)の100μl/ウェル、またはアイソタイプ適合のコントロールmAb(B33.1)(0.05M 炭酸水素塩緩衝液、pH9.5中、1μg/ml)で4℃で1晩、コートし、次いでPBSで3回洗浄する。PBMCをヒト末梢血から、F/H勾配遠心分離により単離し、そして種々の濃度のTNFδおよび/またはTNF εタンパク質の存在下で、10%FCSおよびP/Sを含有するRPMI中、mAbでコートしたプレートの4通りのウェル(5×104/ウェル)に添加する(総量200μl)。関連するタンパク質緩衝液および培地単独がコントロールである。37℃での培養の48時間後、プレートを1000rpmで2分間回転させ、そして100μlの上清を除去し、そして、増殖への効果が観察される場合、IL−2(または他のサイトカイン)の測定のために−20℃で貯蔵した。ウェルに0.5μCiの3H−チミジンを含有する100μlの培地を補充し、そして37℃で18〜24時間培養する。ウェルを収集し、そして3H−チミジンの取り込みを増殖の指標として用いた。抗CD3単独が増殖の陽性コントロールである。IL−2(100U/ml)をまた、増殖を増強するコントロールとして用いる。T細胞の増殖を誘導しないコントロール抗体を、TNFδおよび/またはTNFεタンパク質の効果についての陰性コントロールとして用いる。
あるいは、休止しているPBL(末梢血リンパ球)上での増殖アッセイを、3H−チミジンの取り込みにより測定する。このアッセイを以下のように実行する。PBMCをヒト末梢血から、Ficoll(LSM,ICN Biotechnologies,Aurora,Ohio)勾配遠心分離により単離し、そして10%(Fetal Calf Serum,Biofluids,Rockville,MD)/RPMI(Gibco BRL,Gaithersberg,MD)中で一晩、培養する。この一晩のインキュベーション期間によって、接着性細胞をプラスチックに接着させる。これは、アッセイにおいてより低いバックグラウンドとなる。なぜなら、抗原提示細胞として作用し得るか、または増殖因子を産生し得る細胞の存在が少ないからである。翌日非接着性細胞を回収して、洗浄し、増殖アッセイ中で用いる。このアッセイを、最終容量200μl中に2×104細胞/ウェルを用いて96ウェルプレート中で実施する。目的のタンパク質を発現する上清(例えば、CHOまたは293T上清)を、30%の最終稀釈で試験し、従って、60μlを、細胞を含有する140μlの10% FCS/RPMIに添加する。コントロール上清を同じ最終稀釈で用い、そして以下のタンパク質を発現する:ベクター(陰性コントロール)、IL−2(*)、IFNγ、TNFα、IL−10およびTR2。コントロール上清に加えて、組換えヒトIL−2(R&D Systems,Minneapolis,MN)をまた最終濃度100ng/mlで用いる。培養の24時間後、各ウェルを1μCiの3Hチミジン(Nen,Boston,MA)でパルスする。次いで、細胞をパルス20時間後に回収し、そして3Hチミジンの取り込みを増殖の指標として用いる。結果を3連のサンプルの平均±標準誤差として表す。
(*)各トランスフェクションにおいて産生されたコントロールサイトカインIL−2、IFNγ、TNFαおよびIL−10の量は、300pg〜5ng/mlの間で変化する。
(同時刺激アッセイ)
休止しているPBL(末梢血リンパ球)での同時刺激アッセイを、CD3およびCD28に対して固定された抗体の存在下で実施する。CD3の不変領域に特異的な抗体の使用は、抗原によりT細胞レセプターの刺激を通じて生じるT細胞活性の誘導を模倣する。同時刺激シグナル(第2シグナル)の非存在下でのTCR(第1シグナル)の架橋は、増殖の非常に低い誘導を生じ、そして最終的には「アネルギー」の状態(この状態は、増殖がないことおよびサイトカイン産生をできないことによって特徴付けられる)を生じる。同時刺激分子の作用を模倣する、CD28に対する抗体のような同時刺激シグナルの追加。活性化APC上で発現されたB7−1は、細胞生存およびIL−2の産生を含むT細胞応答の増強を生じる。従って、この型のアッセイにより、目的のタンパク質を発現する上清の添加によって生じる、T細胞増殖に対する正の影響および負の影響の両方を検出できる。
このアッセイを以下のように実行する。最終容量100μlで100ng/ml抗CD3および5μg/ml抗CD28(Pharmingen,San Diego,CA)を用いて、96ウェルプレートをコートし、そして4℃で一晩インキュベートする。使用前にプレートをPBSで2回洗浄する。PBMCをヒト末梢血から、Ficoll(LSM,ICN Biotechnologies,Aurora,Ohio)勾配遠心分離により単離し、そして10%FCS(Fetal Calf Serum,Biofluids,Rockville,MD)/RPMI(Gibco BRL,Gaithersberg,MD)中で一晩、培養する。この一晩のインキュベーション期間によって、接着性細胞をプラスチックに接着させる。これは、アッセイにおいてより低いバックグラウンドとなる。なぜなら、抗原提示細胞として作用し得るか、または増殖因子を産生し得る細胞の存在が少ないからである。翌日非接着性細胞を回収して、洗浄し、増殖アッセイ中で用いる。このアッセイを、最終容量200μl中に2×104細胞/ウェルを用いて96ウェルプレート中で実施する。目的のタンパク質を発現する上清(例えば、CHOまたは293T上清)を、30%の最終稀釈で試験し、従って、60μlを、細胞を含有する140μlの10% FCS/RPMIに添加する。コントロール上清を同じ最終稀釈で用い、そして以下のタンパク質を発現する:ベクターのみ(陰性コントロール)、IL−2、IFNγ、TNFα、IL−10およびTR2。コントロール上清に加えて、組換えヒトIL−2(R&D Systems,Minneapolis,MN)をまた最終濃度10ng/mlで用いる。培養の24時間後、各ウェルを1μCiの3Hチミジン(Nen,Boston,MA)でパルスする。次いで、細胞をパルス20時間後に回収し、そして3Hチミジンの取り込みを増殖の指標として用いる。結果を3連のサンプルの平均±標準誤差として表す。
(同時刺激アッセイ:IFNγおよびIL−2 ELISA)
このアッセイを以下のように実行する。最終容量500μlで300ng/mlもしくは600ng/mlのどちらかの抗CD3および5μg/ml抗CD28(Pharmingen,San Diego,CA)を用いて、24ウェルプレートをコートし、そして4℃で一晩インキュベートする。使用前にプレートをPBSで2回洗浄する。PBMCをヒト末梢血から、Ficoll(LSM,ICN Biotechnologies,Aurora,Ohio)勾配遠心分離により単離し、そして10%FCS(Fetal Calf Serum,Biofluids,Rockville,MD)/RPMI(Gibco BRL,Gaithersberg,MD)中で一晩、培養する。この一晩のインキュベーション期間によって、接着性細胞をプラスチックに接着させる。これは、アッセイにおいてより低いバックグラウンドとなる。なぜなら、抗原提示細胞として作用し得るか、または増殖因子を産生し得る細胞の存在が少ないからである。翌日非接着性細胞を回収して、洗浄し、同時刺激アッセイ中で用いる。このアッセイを、最終容量900μl中に1×105細胞/ウェルを用いて前もってコートした24ウェルプレート中で実施する。目的のタンパク質を発現する上清(293T上清)を、30%の最終稀釈で試験し、従って、300μlを、細胞を含有する600μlの10% FCS/RPMIに添加する。コントロール上清を同じ最終稀釈で用い、そして以下のタンパク質を発現する:ベクターのみ(陰性コントロール)、IL−2、IFNγ、IL−12およびIL−18。コントロール上清に加えて、組替えヒトIL−2(全てのサイトカインは、R&D Systems,Minneapolis,MNから購入した)をまた最終濃度10ng/mlで、IL−12を最終濃度1ng/mlおよびIL−18を最終濃度50ng/mlで用いる。コントロールおよび未知のサンプルを、二連で試験する。上清サンプル(250μl)をアッセイ開始後2日目および5日目で回収する。IFNγおよびIL−2の分泌に対しての試験のためのELISAをR&D Systems(Minneapolis,MN)から購入したキットを使用して行う。結果を2連のサンプルの平均±標準誤差として表す。
(プレ活性化した休止しているT細胞の増殖アッセイ)
レクチンフィトヘムアグルチニン(PHA)を用いて事前に活性化した細胞上で、プレ活性化した休止しているT細胞での増殖アッセイを実施する。レクチンは、TCRを含むT細胞表面糖タンパク質上の残基に結合し得るポリマー性植物タンパク質であり、そしてポリクローナルアクチベータとして作用する。PBLをPHAで処理し、次いで低用量のIL−2類似エフェクターT細胞の存在下で培養する。これらの細胞は一般に、IL−2のような増殖因子によって誘導されたさらなる活性化に対してより感受性である。これは、高親和性IL−2レセプターの発現に起因する。このレセプターは、この集団をIL−2の量に応答させる(ナイーブなT細胞上で有する効果の100分の1である)。従ってこの型の細胞の使用は、休止している(ナイーブな)T細胞での増殖を誘導するのに十分でない、非常に低用量の未知の増殖因子の効果を検出し得る。
このアッセイを以下のように実行する。PBMCをヒト末梢血から、F/H勾配遠心分離により単離し、そして2μg/ml PHA(Sigma,Saint Louis,MO)の存在下で、10%FCS/RPMI中で3日間、培養する。次いでこの細胞をPBS中で洗浄し、そして5ng/mlのヒト組換えIL−2(R&D Systems,Minneapolis,MN)の存在下で、10%FCS/RPMI中で、3日間培養する。この細胞を洗浄して、飢餓培地(1%FCS/RPMI)中で16時間休息させ、その後増殖アッセイを開始した。細胞のアリコートをFACSによって分析して、T細胞(CD3陽性細胞)存在のパーセンテージを決定する;これは通常ドナーに依存して93〜97%の間にわたる。このアッセイを、最終容量200μl中に2×104細胞/ウェルを用いて96ウェルプレート中で実施する。目的のタンパク質を発現する上清(例えば、CHOまたは293T上清)を、30%の最終稀釈で試験し、従って、60μlを、細胞を含有する140μlの10% FCS/RPMIに添加する。コントロール上清を同じ最終稀釈で用い、そして以下のタンパク質を発現する:ベクター(陰性コントロール)、IL−2、IFNγ、TNFα、IL−10およびTR2。コントロール上清に加えて、組換えヒトIL−2をまた最終濃度10ng/mlで用いる。培養の24時間後、各ウェルを1μCiの3Hチミジン(Nen,Boston,MA)でパルスする。次いで、細胞をパルス20時間後に回収し、そして3Hチミジンの取り込みを増殖の指標として用いる。結果を3連のサンプルの平均±標準誤差として表す。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニスト、および/またはアンタゴニストを試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例34:MHCクラスII、同時刺激分子および接着分子の発現、ならびに単球および単球由来ヒト樹状細胞の細胞分化への本発明のポリペプチドの効果)
樹状細胞を末梢血において見出される増殖前駆体の増殖により生成する:接着性PBMCまたは清浄化単球画分を、GM−CSF(50ng/ml)およびIL−4(20ng/ml)とともに7〜10日間培養する。これらの樹状細胞は、非成熟細胞の特徴的表現型(CD1、CD80、CD86、CD40およびMHCクラスII抗原の発現)を有する。TNF−αのような活性化因子での処理は、表面表現形に迅速な変化(MHCクラスIおよびII、同時刺激分子および接着分子の発現の増加、FCγRIIの下方制御、CD83の上方制御)を生じる。これらの変化は抗原提示能力の増加、および樹状細胞の機能的成熟と関連する。
表面抗原のFACS分析を以下の様に実施する。細胞を、本発明のポリペプチドまたはLPS(陽性コントロール)の漸増する濃度で1〜3日処理し、1%BSAおよび0.02mMアジ化ナトリウムを含有するPBSで洗浄し、次いで1:20希釈の適切なFITC標識モノクローナル抗体またはPE標識モノクローナル抗体とともに、4℃で30分間インキュベートする。さらなる洗浄後、標識した細胞をFACScan(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリーにより分析する。
(サイトカインの生成への効果)樹状細胞により生成されるサイトカイン、特にIL−12は、T細胞依存性免疫応答の開始において重要である。IL−12は、Th1ヘルパーT細胞免疫応答の発生に強力に影響し、そして細胞傷害性T細胞機能およびNK細胞機能を誘導する。ELISAを用いて以下のようにIL−12放出を測定する。樹状細胞(106/ml)を、本発明のポリペプチドの漸増する濃度で24時間処理する。LPS(100ng/ml)を、陽性コントロールとして細胞培養に添加する。次いで、細胞培養からの上清を収集し、そして市販のELISAキット(例えば、R&D Systems(Minneapolis,MN))を用いてIL−12含量について分析する。キットに提供される標準的プロトコールを用いる。
MHCクラスII、同時刺激分子および接着分子の発現への効果。細胞表面抗原の3つの主なファミリー:接着分子、抗原提示に関与する分子、およびFcレセプター、が、単球上で同定され得る。MHCクラスII抗原および他の同時刺激分子(例えば、B7およびICAM−1)の発現の調節は、単球の抗原提示能力、およびT細胞活性化を誘導する能力に変化を生じ得る。Fcレセプターの発現増加は、単球細胞傷害性活性、サイトカイン放出および食菌作用の改善と相関し得る。
FACS分析は、以下のように表面抗原を試験するために用いられる。単球を、本発明のポリペプチドまたはLPS(陽性コントロール)の漸増する濃度で1〜5日処理し、1%BSAおよび0.02mMアジ化ナトリウムを含有するPBSで洗浄し、次いで1:20希釈の適切なFITC標識モノクローナル抗体またはPE標識モノクローナル抗体とともに、4℃で30分間インキュベートする。さらなる洗浄後、標識した細胞をFACScan(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリーにより分析する。
(単球活性化および/または生存の増加)単球を活性化する(あるいは、不活化する)および/または単球の生存を増加する(あるいは、単球生存を低下させる)分子についてのアッセイは、当該分野で公知であり、そして本発明の分子が単球のインヒビターまたはアクチベーターとして機能するか否かを決定するために慣用的に適用され得る。本発明のポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストは、以下に記載の3つのアッセイを用いてスクリーニングされ得る。これらのアッセイのそれぞれについて、末梢血単核細胞(PBMC)を、Histopaque勾配(Sigma)を通じた遠心分離により、単一のドナーleukopack(American Red Cross,Baltimore,MD)から精製する。単球を向流遠心性エルトリエーション(counterflow centrifugal elutriation)によりPBMCから単離する。
(単球生存アッセイ)ヒト末梢血単球は、血清または他の刺激の非存在下で培養した場合、次第に生存度を失う。それらの死は、内部調節されたプロセス(アポトーシス)から生じる。活性化因子、例えばTNFαの培養への添加は、劇的に、細胞生存を改善し、そしてDNAの断片化を妨げる。プロピジウムヨード(PI)染色を用いて、以下のようにアポトーシスを測定する。単球を、100ng/mlのTNF−α(陰性コントロール)の存在下、および試験される種々の濃度の化合物の存在下で、ポリプロピレンチューブ中の無血清培地(陽性コントロール)中で、48時間培養する。細胞を、最終濃度5μg/mlでPIを含有するPBS中で2×106/mlの濃度に懸濁し、次いでFACScan分析の前に5分間室温でインキュベートする。PI取り込みは、この試験パラダイムにおけるDNAの断片化と相関することを示している。
(サイトカイン放出への影響)単球/マクロファージの重要な機能は、刺激後のサイトカインの放出を通じた免疫系の他の細胞集団へのそれらの調節活性である。サイトカイン放出を測定するためのELISAは、以下のように実施する。ヒト単球を、5×105細胞/mlの密度で、本発明のポリペプチドの漸増する濃度とともに、および同じ条件下でこのポリペプチドの非存在下で、インキュベートする。IL−12の生成については、この細胞を、本発明のポリペプチドの存在下でIFN(100U/ml)で1晩プライムする。次いで、LPS(10ng/ml)を添加する。馴化培地を24時間後に収集し、そして使用するまで凍結保存する。次いで、TNF−α、IL−10、MCP−1およびIL−8の測定を市販のELISAキット(例えば、R&D Systems Minneapolis,MN)を用い、そしてキットに提供される標準的プロトコールを適用して実施する。
(酸化的バースト(Oxidative burst))精製した単球を96ウェルプレートに2〜1×105細胞/ウェルでプレートする。本発明のポリペプチドの漸増濃度をウェルの総量0.2mlの培養培地(RPMI 1640+10%FCS、グルタミンおよび抗生物質)に添加する。3日間のインキュベーション後、このプレートを遠心分離し、そして培地をウェルから除く。マクロファージの単層に、1ウェルあたり0.2mlのフェノールレッド溶液(140mM NaCl、10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0、5.5mMデキストロース、0.56mMフェノールレッドおよび19U/mlのHRPO)を、刺激物質(200nM PMA)とともに添加する。このプレートを37℃で2時間インキュベートし、そして1ウェルあたり20μlの1N NaOHを添加して反応を停止する。吸収を610nmで読む。マクロファージにより生成されるH2O2の量を算出するため、既知のモル濃度のH2O2溶液の標準曲線をそれぞれの実験について実施する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリペプチドの活性、ポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニストの活性、および/またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例35:本発明のポリペプチドの生物学的効果)
(星状細胞および神経アッセイ)
上記のように、Escherichia coliで発現され、そして精製された本発明の組換えポリペプチドを、皮質ニューロン細胞の生存、神経突起成長または表現形分化を促進する活性について、およびグリア線維性酸性タンパク質免疫陽性細胞、星状細胞の増殖の誘導について試験し得る。バイオアッセイのための皮質細胞の選択は、皮質構造中のFGF−1およびFGF−2の広く行き渡っている発現、ならびにFGF−2処理から生じる皮質ニューロン生存の以前に報告された増強に基づく。チミジン取り込みアッセイを用いて、例えば、これらの細胞への本発明のポリペプチドの活性を解明し得る。
さらに、インビトロにおける皮質ニューロンまたは海馬ニューロンへのFGF−2(塩基性FGF)の生物学的効果を記載する以前のレポートは、ニューロン生存および神経突起成長の両方における増大を実証している(Walickeら、「Fibroblast growth factor promotes survival of dissociated hippocampal neurons and enhances neurite extension」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:3012〜3016(1986)、アッセイは、本明細書でその全体が参考として援用される)。しかし、PC−12細胞で実行される実験からの報告は、これらの2つの応答が必ずしも同義でないこと、そしてどのFGFを試験しいるかだけでなく、どのレセプターが標的細胞で発現されているかにも依存し得ることを示唆する。神経突起成長を誘導する本発明のポリペプチドの能力を、一次の皮質ニューロン培養パラダイムを用いて、例えば、チミジン取り込みアッセイを用いてFGF−2で得られた応答と比較し得る。
(線維芽細胞および内皮細胞アッセイ)
ヒト肺線維芽細胞をClonetics(San Diego,CA)から入手し、そしてCloneticsからの増殖培地で維持する。真皮性微小血管内皮細胞をCell Applications(San Diego,CA)から得る。増殖アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞および真皮性微小血管内皮細胞を、96ウェルプレートの増殖培地中で1日間、5,000細胞/ウェルで培養し得る。次いでこの細胞を0.1%BSA基礎培地中で1日間インキュベートする。新鮮な0.1%BSA培地で培地を置換した後、細胞を試験タンパク質と3日間インキュベートする。Alamar Blue(Almar Biosciences,Sacramento,CA)を10%の最終濃度になるように各ウェルに添加する。この細胞を4時間インキュベートする。細胞生存度をCytoFluor蛍光リーダーでの読取りにより測定する。PGE2アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞を、96ウェルプレート中で1日間、5,000細胞/ウェルで培養する。0.1%BSA基礎培地に培地を変換した後、細胞をIL−1αとともに、またはそれをともなわずに、FGF−2または本発明のポリペプチドと24時間インキュベートする。上清を収集し、そしてEIAキット(Cayman,Ann Arbor,MI)によりPGE2についてアッセイする。IL−6アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞を、96ウェルプレート中で1日間、5,000細胞/ウェルで培養する。0.1%BSA基礎培地に培地を変換した後、細胞を本発明のポリペプチドIL−1αとともに、またはそれをともなわずに、FGF−2と24時間インキュベートする。上清を収集し、そしてELISAキット(Endogen,Cambridge,MA)によりIL−6についてアッセイする。
ヒト肺線維芽細胞をFGF−2または本発明のポリペプチドとともに基礎培地中で3日間培養し、その後、線維芽細胞の増殖への効果を評価するためAlamar Blueを添加する。FGF−2は、本発明のポリペプチドでの刺激に匹敵して用いられ得る10〜2500ng/mlの刺激を示すはずである。
(パーキンソンモデル)
パーキンソン病における運動機能の喪失は、黒質線条体のドーパミン作動性投射ニューロンの変性から生じる線条体ドーパミンの欠乏に起因する。広範に特徴付けされたパーキンソン病の動物モデルは、1−メチル−4フェニル1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)の全身投与を含む。CNSにおいて、MPTPは、星状細胞に取り込まれ、そしてモノアミンオキシダーゼBにより1−メチル−4−フェニルピリジン(MPP+)に異化され、そして放出される。引き続き、MPP+は、ドーパミンの高親和性再取り込みトランスポーターによりドーパミン作動性ニューロンに能動的に蓄積する。次いで、MPP+は、電気化学勾配によりミトコンドリア中で濃縮され、そしてニコチン酸アミド二リン酸:ユビキノン酸化還元酵素(複合体I)を選択的に阻害し、これにより電子伝達を妨害し、そして最終的に活性酸素を生成する。
FGF−2(塩基性FGF)が黒質のドーパミン作動性ニューロンへの栄養活性を有することが組織培養パラダイムにおいて実証されている(Ferrariら、Dev.Biol.1989)。近年、Unsicker博士のグループは、線条体のゲル型インプラントでのFGF−2投与がMPTP曝露と関連する毒性から黒質のドーパミン作動性ニューロンのほぼ完全な防御を生じることを実証している(OttoおよびUnsicker,J.Neuroscience,1990)。
FGF−2を用いたデータに基づいて、本発明のポリペプチドは、インビトロにおけるドーパミン作動性ニューロン生存を増強する際において、本発明のポリペプチドがFGF−2の作用と類似の作用を有するか否かを決定するために評価され得、そして、本発明のポリペプチドはまた、線条体におけるドーパミン作動性ニューロンを、MPTP処理と関連する損傷からの防御についてインビボで試験され得る。本発明のポリペプチドの潜在的効果を、まずドーパミン作動性ニューロン細胞培養パラダイムにおいてインビトロで試験する。妊娠14日のWistarラット胚由来の中脳底板を解剖することにより、培養物を調製する。組織をトリプシンで分離し、そしてポリオルチニン−ラミニンでコートしたカバーガラスに200,000細胞/cm2の密度で播いた。この細胞をダルベッコ改変イーグル培地およびホルモン補充物(NI)を含有するF12培地中で維持する。インビトロで8日後、培養物をパラホルムアミドで固定し、そしてチロシンヒドロキシラーゼ(ドーパミン作動性ニューロンについての特異的マーカー)での免疫組織化学染色のために処理する。分離した細胞培養物を胚性ラットから調製する。培養培地を3日ごとに変化させ、そしてこの因子をまたその時点ごとに添加する。
ドーパミン作動性ニューロンを妊娠14日(この発生時間は、ドーパミン作動性前駆細胞が増殖する段階を過ぎる)で動物から単離するので、チロシンヒドロキシラーゼ免疫陽性ニューロンの数の増加は、インビトロで生存しているドーパミン作動性ニューロンの数の増加を示す。従って、もし本発明のポリペプチドがドーパミン作動性ニューロンの生存を延長するように作用するならば、このポリペプチドがパーキンソン病に関与し得ることを示唆する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例36:血管内皮細胞の増殖への本発明のポリペプチドの効果)
1日目に、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、4%ウシ胎仔血清(FBS)、16ユニット/ml ヘパリン、および50ユニット/ml 内皮細胞増殖補充物(ECGS、Biotechnique,Inc.)を含有するM199培地中で、35mmシャーレあたり2〜5×104細胞の密度で播種する。2日目、この培地を、10%FBS、8ユニット/mlヘパリンを含有するM199で置換する。配列番号Yのアミノ酸配列を有するポリペプチドおよび陽性コントロール(例えば、VEGFおよび塩基性FGF(bFGF))を種々の濃度で添加する。4日目および6日目に、培地を交換する。8日目、Coulter Counterを用いて細胞数を決定する。
HUVEC細胞数の増加は、本発明のポリペプチドが血管内皮細胞を増殖し得ることを示す。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例37:血管内皮細胞の増殖への本発明のポリペプチドの刺激効果)
増殖因子の***促進活性の評価のために、電子共役試薬PMS(フェナジンメトサルフェート)を用いる、比色分析MTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルフォフェニル)2H−テトラゾリウム)アッセイを実行した(CellTiter 96 AQ,Promega)。細胞を0.1mLの血清補充培地中で96ウェルプレートに播種し(5,000細胞/ウェル)、そして一晩付着させる。0.5%FBS中、12時間の血清飢餓後、Heparin(8U/ml)を伴うかまたは伴わない、条件(bFGF、VEGF165または0.5%FBS中の本発明のポリペプチド)をウェルに48時間添加する。20mgのMTS/PMS混合物(1:0.05)を1ウェルあたりに添加し、そして37℃で1時間インキュベートさせ、その後ELISAプレートリーダーで490nmの吸光度を測定する。コントロールウェル(培地あり、細胞なし)のバックグラウンドの吸光度を差し引きし、そしてそれぞれの条件について7つのウェルを並行して実施する。Leakら、In Vitro Cell.Dev.Biol.30A:512〜518(1994)を参照のこと。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例38:PDGF誘導性血管平滑筋細胞増殖刺激効果の阻害)
HAoSMC増殖を、例えば、BrdUrd組み込みにより測定し得る。手短には、4チャンバスライド上で増殖するコンフルエント未満の静止期細胞を、CRPまたはFITC標識化AT2−3LPでトランスフェクトする。次いで、この細胞に10%ウシ血清および6mg/mlのBrdUrdをパルスする。24時間後、BrdUrd染色キット(Zymed Laboratories)を用いることにより免疫細胞化学を実施する。簡略には、この細胞を、変性溶液への曝露後、ビオチン化マウス抗−BrdUrd抗体と4℃で2時間インキュベートし、次いでストレプトアビジン−ペルオキシダーゼおよびジアミノベンジジンとともにインキュベートする。ヘマトキシリンでの対比染色後、この細胞を顕微鏡試験のために標本にし、そしてBrd Urd−陽性細胞を計数する。BrdUrd係数は、総細胞数に対するBrdUrd−陽性細胞の割合として計算される。さらに、個々の細胞について、明野照明および暗野UV蛍光照明の同時使用により、BrdUrd染色(核)およびFITC取り込み(細胞質)の同時検出を実行する。(Hayashidaら、J.Biol.Chem.6:271(36):21985〜21992(1996)を参照のこと)。
本実施例において記載した研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例39:内皮遊走の刺激)
本実施例は、本発明のポリペプチドがリンパ性の内皮細胞遊走を刺激し得る可能性を探索するために用いられ得る。
内皮細胞遊走アッセイは、48ウェルの微小走化性チャンバを用いて実行される(Neuroprobe Inc.,Cabin John,MD;Falk,Wら、J.Immunological Methods 1980;33:239〜247)。ポリビニルピロリドンを含まないポリカーボネートフィルター(これは8μmの孔径を備える)(Nucleopore Corp.Cambridge,MA)を室温で少なくとも6時間0.1%ゼラチンでコートし、そして滅菌空気のもとで乾燥する。0.25%ウシ血清アルブミン(BSA)を補充したM199中で試験物質を適切な濃度に希釈し、そして25μlの最終希釈を改変Boyden装置の底部チャンバに置く。コンフルエント未満の、早期継代(2〜6)のHUVECまたはBMEC培養物を洗浄し、そして細胞の脱離に必要な最小の時間トリプシン処理する。底部チャンバと上部チャンバとの間のフィルターを配置した後、1%FBSを含有する50μl M199中に懸濁した2.5×105細胞を上部コンパートメントに播種する。次いでこの装置を、5%CO2を用いて湿潤にしたチャンバ中で37℃で5時間インキュベートして細胞を遊走させた。インキュベーション期間後、このフィルターを取り出し、そして非遊走細胞を有するフィルターの上部側をゴム性のポリスマン(policeman)でかきとる。このフィルターをメタノールで固定し、そしてGiemsa溶液で染色する(Diff−Quick,Baxter,McGraw Park,IL)。遊走は、それぞれのウェルにおいて、3つの無作為の高出力視野(40×)の細胞を計数することにより定量する。そしてすべての群を4連で実行する。
本実施例において記載した研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、本発明のアゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験するために、例示する研究を容易に改変し得る。
(実施例40:内皮細胞による一酸化窒素生成の刺激)
血管内皮による一酸化窒素の放出は、血管内皮弛緩の介在物質であると考えられてる。従って、本発明のポリペプチドの活性は、このポリペプチドに応答する内皮細胞による一酸化窒素産生を測定することによってアッセイされ得る。
一酸化窒素を、24時間の飢餓、次いで、様々なレベルの陽性コントロール(例えば、VEGF−1)および本発明のポリペプチドへの4時間の曝露の後のコンフルエントな微小血管内皮細胞の96ウェルプレート中で測定する。培地中の一酸化窒素を、Griess試薬の使用により定量して、硝酸還元酵素による一酸化硝酸由来の硝酸塩の還元後の亜硝酸の総量を測定する。一酸化窒素放出の際の本発明のポリペプチドの効果を、HUVECにおいて試験する。
簡単には、培養したHUVEC単層からのNO放出は、NOメーター(Iso−NO,World Precision Instruments Inc.)(1049)に接続したNO特異的なポーラログラフ電極を用いて測定する。NOエレメントの較正を、以下の式に従って行う:
2KNO2+2KI+2H2SO462NO+I2+2H2O+2K2SO4
検量線を、KIおよびH2SO4を含む較正溶液中に段階的な濃度のKNO2(0、5、10、25、50、100、250、および500nmol/L)を添加することによって得る。NOに対するIso−NO電極の特異性を、オーセンティックなNO気体からのNOを測定することにより、事前に決定する(1050)。この培養培地を取り除き、そしてHUVECを、Dulbeccoリン酸緩衝化生理食塩水で2回洗浄する。次いで、細胞を、6ウェルプレート中で5mlのろ過したKrebs−Henseleit溶液に浸し、そしてこの細胞プレートを、37℃に温度を維持するために、スライドウォーマー(Lab Line Instruments Inc.)で保持する。NOセンサープローブをウェルに垂直に挿入して、異なる条件の追加の前に、電極の先端を溶液の表面の2mm下で保持する。S−ニトロソアセチルペニシラミン(SNAP)を、陽性コントロールとして用いる。放出したNOの量を、1×106内皮細胞あたりのピコモル濃度として表す。全ての報告した値は、各群(細胞培養ウェルの数)における4〜6の測定値の平均である。Leakら、Biochem.and Biophys.Res.Comm.217:96−105(1995)を参照のこと。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例41:新脈管形成における索形成に対する本発明のポリペプチドの効果)
新脈管形成における別の工程は、内皮細胞の分化により特徴付けられる索(cord)形成である。このバイオアッセイは、インビトロで培養した場合の微小血管内皮細胞の毛細管様構造(中空構造)を形成する能力を測定する。
CADMEC(微小血管内皮細胞)を、増殖細胞(2継代)としてCell Applications Inc.から購入し、Cell Applications’CADMEC Growth Medium中で培養し、そして5継代で使用する。インビトロ新脈管形成アッセイのために、48ウェル細胞培養プレートのウェルをCell Applications’Attachment Factor Medium(200ml/ウェル)を用いて、37℃にて30分間コートする。CADMECを、7,500細胞/ウェルでコートしたウェルに播種し、Growth Medium中で一晩培養する。次いで、このGrowth Mediumを、コントロール緩衝液または本発明のポリペプチド(0.1〜100ng/ml)を含む300mgのCell Applications’Chord Formation Mediumと交換し、そしてこの細胞をさらに48時間培養する。毛細管様索の数および長さを、Boeckeler VIA−170ビデオ画像分析装置の使用を通じて定量する。全てのアッセイを三連で行った。
市販の(R&D)VEGF(50ng/ml)を、陽性コントロールとして用いる。b−エストラジオール(1ng/ml)を、陰性コントロールとして用いる。適切な緩衝液(タンパク質なし)もまた、コントロールとして利用する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチドの活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例42:ニワトリ漿尿膜に対する脈管形成効果)
ニワトリ漿尿膜(CAM)は、新脈管形成を試験するために十分に確立した系である。CAMにおける血管形成は、容易に可視化および定量可能である。本発明のポリペプチドのCAMにおける新脈管形成を刺激する能力を試験し得る。
ニワトリ白色レグホン(Gallus gallus)の受精卵および日本ウズラ(qual)(Coturnix coturnix)を、37.8℃および湿度80%でインキュベートする。16日齢のニワトリの分化したCAMおよび13日齢のウズラの胚を以下の方法で研究する。
発生の4日目に、ニワトリ卵の卵殻に窓を作る。この胚を正常な発生について調べ、そしてこの卵をセロテープ(登録商標)で封着する。これらを、さらに13日目までインキュベートする。Thermanoxカバーガラス(Nunc,Naperville,IL)を、直径約5mmのディスクに切る。滅菌かつ無塩成長因子を滅菌水に溶解し、そして約3.3mg/5mlをディスクにピペットで移す。風乾後、逆さにしたディスクをCAMに適用する。3日後、標本を3%グルタルアルデヒドおよび2%ホルムアルデヒド中に固定し、そして0.12Mカコジル酸ナトリウム緩衝液ですすぐ。これらを実体顕微鏡[Wild M8]を用いて写真撮影し、上記のように半薄層切片化および超薄層切片化のために包埋する。コントロールを、キャリアディスクのみを用いて行う。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例43:マウスにおけるMatrigel移植片を用いる新脈管形成アッセイ)
本発明のポリペプチドのインビボ新脈管形成アッセイは、既存の毛細管網様構造の、マウス細胞外マトリックス物質(Matrigel)の移植したカプセル中に新しい脈管を形成する能力を測定する。このタンパク質を、4℃で液体Matrigelと混合し、次いでこの混合物を、マウスに皮下(ここで、この混合物は凝固する)注射する。7日後、Matrigelの固体「プラグ」を取り除き、そして新しい血管の存在について試験する。Matrigelを、Becton Dickinson Labware/Collaborative Biomedical Productsから購入する。
4℃で解凍した時、Matrigel物質は液体である。このMatrigelを、4℃にて150ng/mlで本発明のポリペプチドと混合し、冷3mlシリンジ中に引き抜く。約8週齢の雌性C57B1/6マウスに、腹部の中腹側面の2つの部位にMatrigelおよび実験タンパク質の混合物を注射する(0.5ml/部位)。7日後、このマウスを頚椎脱臼により屠殺し、Matrigelプラグを取り除きそして洗浄する(すなわち、全ての付着する膜および線維組織を取り除く)。同じ全プラグを中性緩衝化10%ホルムアミド中に固定し、パラフィン中に包埋し、そしてMasson’s Trichromeで染色後、組織学的試験のために切片を作製するために使用する。各プラグの3つの異なる領域由来の断面をプロセスする。選択した切片をvWFの存在について染色する。このアッセイについての陽性コントロールは、ウシ塩基性FGF(150ng/ml)である。Matrigel単独を用いて、新脈管形成の基礎レベルを決定する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例44:ウサギ下肢モデルにおける虚血の救出)
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの虚血に対するインビボでの効果を研究するため、ウサギ後肢虚血モデルを、以前に記載される(Takesh.itaら、Am J.Pathol 147:1649−1660(1995))ように1つの大腿動脈の外科的除去により作製する。大腿動脈の切除は、血栓の逆行性伝播および外腸骨動脈の閉塞を生じる。結果として、虚血肢への血流は、内腸骨動脈から生じる側副血管に依存する(Takeshitaら、Am J.Pathol 147:1649−1660(1995))。10日の間隔で、ウサギの手術後の回復および内因性の側副血管の発達を可能にする。手術(0日)後10日目に、ベースライン血管造影を行った後、虚血肢の内腸骨動脈を、本発明のポリヌクレオチドを含む500mgの裸の発現プラスミドを用いて、(Riessenら、Hum Gehe Ther.4:749−758(1993);Leclercら、J.Clin.Invest.90:936−944(1992))に記載されるように、ヒドロゲル被覆バルーンカテーテルを用いる動脈遺伝子移入技術により、トランスフェクトする。本発明のポリペプチドを処置に用いる場合、500mgの本発明のポリペプチドまたはコントロールの単回ボーラスを、注入カテーテルを通じて1分間にわたり、虚血肢の内腸骨動脈中に送達する。30日目に、種々のパラメーターを、これらのウサギで測定する:(a)BP比−虚血肢の収縮期血圧 対 正常肢の収縮期血圧の比;(b)血流および逆流−停止FL:非拡張性状態の間の血流、および最大FL:完全な拡張性状態の間の血流(これはまた、血管量の間接的測定)、そして逆流は、最大FL:停止FLの比に反映される;(c)血管造影値(angiographic Score)−これを側副血管の血管造影により測定する。スコアを、オーバーレイグリッド(overlaying grid)内の円の百分率(ウサギ大腿の総数mで割った横断不透明化動脈を用いる)により決定する;(d)毛細管(capillary)密度−側副毛細血管の数は、後肢から得た光学顕微鏡用切片において決定した。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
(実施例45:本発明のポリペプチドの血管拡張に対する効果)
血管内皮の拡張は、血圧の低下に重要であるので、自然発症高血圧ラット(SHR)における、本発明のポリヌクレオチドの血圧に影響する能力を、試験する。漸増用量(0、10、30、100、300、および900mg/kg)の本発明のポリペプチドを、13〜14週齢の自然発症高血圧ラット(SHR)に投与する。データを、平均+/−SEMで表す。統計学的分析を、両側t検定を用いて行い、そして統計的な有意性を、p<0.05 対 緩衝液単独への応答としそ定義する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例46:ラット虚血皮膚弁モデル)
評価パラメーターとして、皮膚の血流、皮膚温度、および第VIII因子の免疫組織化学または内皮アルカリホスファターゼ反応が挙げられる。皮膚虚血の間の本発明のポリペプチドの発現を、インサイチュハイブリダーゼーションを用いて研究する。
このモデルにおける研究を、以下の3つの部分に分ける:
a)虚血皮膚
b)虚血皮膚創傷
c)通常の創傷。
実験プロトコルは以下を含む:
a)3×4cmの単一茎全層無作為皮膚弁(single pedicle full−thickness random skin flap)(動物の下背部にわたる筋皮弁)を生じさせる。
b)虚血皮膚(皮膚弁)に切除創傷をつくる(直径4〜6mm)
c)次の種々の投薬範囲の本発明のポリペプチドによる、切除創傷(創傷後の0、1、2、3、4日目)の局所的な処置:1mg〜100mg
d)組織学的研究、免疫組織化学的研究、およびインサイチュ研究のために、創傷後の3、5、7、10、14、および21日目に創傷組織を収集する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例47:末梢動脈疾患モデル)
本発明のポリペプチドを用いる脈管形成治療は、末梢動脈疾患の場合の虚血の周囲の血流の回復を得る新規の治療的ストラテジーである。実験プロトコルは以下を含む:
a)一方の片側の大腿動脈を、後肢の虚血筋肉を作製するために結紮し、他方の片側の後肢は、コントロールの役割をする。
b)本発明のポリペプチドを、20mg〜500mgの投薬範囲で、一週間あたり静脈内および/または筋肉内に3回(おそらくそれより多く)で2〜3週間、送達する。
c)この虚血筋肉組織を、大腿動脈の結紮後、本発明のポリペプチドの発現の分析ならびに組織学のために、1、2、および3週間目に収集する。生検もまた、他方の片側の対側後肢の正常な筋肉において行う。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例48:虚血性心筋疾患モデル)
本発明のポリペプチドを、側副血管の発達を刺激し得、かつ冠状動脈閉塞後の新しい血管を再構成し得る強力なマイトジェンとして評価する。ポリペプチドの発現の変化を、インサイチュで調査する。実験プロトコルは、以下を含む:
a)心臓を、ラットの左側開胸術を介して露出する。直ちに、左冠状動脈を、細い縫合糸(6−0)を用いて咬合し、そして胸郭を閉じる。
b)本発明のポリペプチドを、20mg〜500mgの投薬範囲で、一週間あたり静脈内および/または筋肉内に3回(おそらくそれより多く)で2〜4週間、送達する。
c)手術の30日後、この心臓を、形態測定のために取り出しそして横断切片化し、そしてインサイチュで分析する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例49:ラット角膜創傷治癒モデル)
この動物モデルは、本発明のポリペプチドの、新生血管形成に対する効果を示す。実験プロトコルは、以下を含む:
a)角膜の中心から間質層へと1〜1.5mmの長い切開を作る
b)目の外端に面する切開の唇縁の下にスパーテルを挿入する
c)ポケットを作る(その基底は、目の縁から(form)1〜1.5mmである)
d)50ng〜5μg(ug)の本発明のポリペプチドを含む小丸剤を、ポケット内に配置する
e)本発明のポリペプチドでの処置をまた、20mg〜500mgの投薬範囲内で(毎日の処置を5日間)角膜創傷に局所的に適用し得る。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例50:糖尿病マウスおよび糖質コルチコイド障害性創傷治癒モデル)
(A.糖尿病db+/db+マウスモデル)
本発明のポリペプチドが治癒プロセスを促進することを実証するために、創傷治癒の遺伝的糖尿病マウスモデルを、使用する。db+/db+マウスにおける全層(full thickness)創傷治癒モデルは、障害性の創傷治癒の十分に特徴付けられた、臨床的に関連性のある、そして再現可能なモデルである。糖尿病性創傷の治癒は、収縮よりむしろ肉芽組織の形成および再上皮形成に依存する(Gartner,M.H.ら、J.Surg.Res.52:389(1992);Greenhalgh,D.G.ら、Am.J.Pathol.136:1235(1990))。
この糖尿病動物は、II型真性糖尿病において観察される特徴的な特性の多くを有する。ホモ接合(db+/db+)マウスは、それらの正常なヘテロ接合(db+/+m)同腹仔と比較して肥満である。変異体糖尿病(db+/db+)マウスは、第4染色体(db+)上の単一の常染色体性の劣性変異を有する(Colemanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:283−293(1982))。動物は、多食症、多渇症、および多尿症を示す。変異体糖尿病マウス(db+/db+)は、上昇した血中グルコース、増加したまたは正常なインスリンレベル、および抑制された細胞媒介性免疫を有する(Mandelら、J.Immunol.120:1375(1978);Debray−Sachs,M.ら、Clin.Exp.Immunol.51(1):1−7(1983);Leiterら、Am.J.of Pathol.114:46−55(1985))。末梢神経障害、心筋合併症、および微小血管損傷、基底膜肥厚および糸球体濾過異常は、これらの動物において記載されている(Norido,F.ら、Exp.Neurol.83(2):221−232(1984);Robertsonら、Diabetes 29(1):60−67(1980);Giacomelliら、Lab Invest.40(4):460−473(1979);Coleman,D.L.Diabetes 31(補遺):1−6(1982))。これらのホモ接合糖尿病マウスは、高血糖症を発症し、そしてこれは、ヒトII型糖尿病に類似してインスリンに対して耐性である(Mandelら、J.Immunol.120:1375−1377(1978))。
これらの動物において観察した特徴は、このモデルにおける治癒が、ヒト糖尿病において観察される治癒に類似し得ることを示す(Greenhalghら、Am.J.of Pathol.136:1235−1246(1990))。
遺伝的糖尿病の雌性C57BL/KsJ(db+/db+)マウス、およびそれらの非糖尿病(db+/+m)ヘテロ接合性同腹仔を、この研究に用いた(Jackson Laboratories)。これらの動物を6週齢で購入する。研究の開始時は8週齢である。動物を個別に飼育し、そして自由に食物と水を与える。全ての操作を、無菌操作を用いて行う。この実験を、Human Genome Sciences,Inc.のInstitutional Animal Care and Use Committee and the Guidelines for the Care and Use of Laboratory Animalsの規則およびガイドラインに従って行う。
創傷プロトコルを、以前に報告された方法(Tsuboi,R.およびRifkin,D.B.、J.Exp.Med.172:245−251(1990))に従って行う。簡単には、創傷させる日に、動物を、脱イオン水に溶解したAvertin(0.01mg/mL)、2,2,2−トリブロモエタノールおよび2−メチル−2−ブタノールの腹腔内注射で麻酔する。この動物の背面領域を剃毛し、そして皮膚を70%エタノール溶液およびヨウ素で洗浄する。手術範囲を、創傷させる前に滅菌ガーゼで乾燥させる。次いで、8mmの全層の創傷を、Keyes組織パンチを用いて作製する。創傷させた直後に、周囲の皮膚を、創傷の拡大を取り除くために穏やかに伸ばす。実験の間、この創傷を開放しておく。処置の適用は、創傷させた日から5日間連続で、局所的に受ける。処置の前に、創傷を、滅菌生理食塩水およびガーゼスポンジを用いて穏やかに洗浄する。
創傷を視覚的に検査し、そして手術の日およびその後2日間隔で、固定した距離で写真撮影する。創傷閉鎖を、1〜5日目および8日目の日々の測定により決定する。創傷を目盛り付き(calibrated)Jameson測径器(caliper)を用いて水平および垂直に測定する。肉芽組織がもはや目に見えず、そして創傷を連続した上皮が覆う場合に、創傷を治癒したとみなす。
本発明のポリペプチドを、ビヒクル中で8日間、異なる投薬範囲(1日あたり創傷あたり4mg〜500mg)を用いて投与する。ビヒクルコントロール群に、50mLのビヒクル溶液を与えた。
動物を、8日目にペントバルビタールナトリウム(300mg/kg)の腹腔内注射で安楽死させる。次いで、創傷および周囲の皮膚を、組織学および免疫組織化学のために収集する。組織標本を、さらなる処理のために、生検スポンジの間の組織カセット内で10%中性緩衝化ホルマリン中に置く。
各々10匹の動物(5匹の糖尿病および5匹の非糖尿病コントロール)の3つの群:1)ビヒクルプラシーボコントロール、2)非処置群、および3)処置群を、評価する。
創傷閉鎖を、水平軸および垂直軸で面積を測定すること、および創傷の面積の合計を得ることにより分析する。次いで、収縮を、最初の創傷の面積(0日)と処置後(8日)の面積との間の差異を確立することにより評価する。1日目のこの創傷面積は、64mm2(皮膚パンチに対応するサイズ)である。計算を以下の式を用いて行う:
[8日目の開放面積]−[1日目の開放面積]/[1日目の開放面積]
標本を10%緩衝化ホルマリン中に固定し、そしてパラフィン包埋塊を、創傷表面に対して垂直に切り出し(5mm)、そしてReichert−Jungミクロトームを用いて切断する。慣用的なヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色を、二等分した創傷の横断切片で行う。創傷の組織学的試験を用いて、修復した皮膚の治癒プロセスおよび形態的な外見を、本発明のポリペプチドを用いる処置によって改変したかどうかを評価する。この評価は、細胞蓄積、炎症細胞、毛細管、線維芽細胞、再上皮形成、および表皮成熟の存在の検証を含む(Greenhalgh,D.G.ら、Am.J.Pathol.136:1235(1990))。目盛り付きレンズマイクロメーターを盲検観察者(blinded observer)が用いる。
組織切片をまた、ABC Elite検出システムを使用してポリクローナルウサギ抗ヒトケラチン抗体で免疫組織化学的に染色する。ヒト皮膚を陽性組織コントロールとして用いる一方、非免疫IgGを陰性コントロールとして用いる。ケラチノサイト増殖を、目盛り付きレンズマイクロメーターを用いて創傷の再上皮形成の程度を評価することによって決定する。
皮膚標本における増殖細胞核抗原/サイクリン(PCNA)を、ABC Elite検出システムを用いて抗PCNA抗体(1:50)を使用することにより実証する。ヒト結腸癌は、陽性組織コントロールとして役割を果たし得、そしてヒト脳組織を、陰性組織コントロールとして用い得る。各標本は、1次抗体の脱落および非免疫マウスIgGとの置換を有する切片を含む。これらの切片の順位は、0〜8のスケール(わずかな増殖を反映するより低い側のスケール〜激しい増殖を反映するより高い側)の増殖の程度に基づく。
実験データを、片側t検定を用いて分析する。<0.05のp値を有意とみなす。
(B.ステロイド障害性ラットモデル)
ステロイドによる創傷治癒の阻害は、種々のインビトロおよびインビボ系において十分に実証されている(Wahl,Glucocorticoids and Wound healing:Anti−Inflammatory Steroid Action:Basic and Clinical Aspects.280−302(1989); Wahlら、J.Immunol.115:476−481(1975);Werbら、J.Exp.Med.147:1684−1694(1978))。糖質コルチコイドは、新脈管形成を阻害すること、血管透過性(Ebertら、An.Intern.Med.37:701−705(1952))、線維芽細胞増殖、およびコラーゲン合成(Beckら、Growth Factors.5:295−304(1991);Haynesら、J.Clin.Invest.61:703−797(1978))を低下させること、ならびに循環する単球の一過性の滅少を生じること(Haynesら、J.Clin.Invest.61:703−797(1978);Wahl,「Glucocorticoids and wound healing」:Antiinflammatory Steroid Action:Basic and Clinical Aspects,Academic Press,New York,280−302頁(1989))によって創傷治癒を遅延させる。障害性創傷治癒に対するステロイドの全身性投与は、ラットにおいて十分に確立された現象である(Beckら、Growth Factors.5:295−304(1991); Haynesら、J.Clin.Invest.61:703−797(1978) ;Wahl,「Glucocorticoids and wound healing」:Antiinflammatory Steroid Action:Basic and Clinical Aspects,Academic Press,New York,280−302頁(1989);Pierceら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2229−2233(1989))。
本発明のポリペプチドが治癒プロセスを促進し得ることを実証するために、治癒が、メチルプレドニゾロンの全身性投与により損なわれる、ラットの全層切除皮膚創傷に対するポリペプチドの複数の局所適用の効果を評価する。
若年成体の雄性Sprague Dawleyラット(体重250〜300g)(Charles River Laboratories)をこの実験に用いる。この動物を、8週齢で購入する。そして研究の開始時は9週齢である。ラットの治癒応答は、創傷の時点で、メチルプレドニゾロンの全身性投与(17mg/kg/ラット、筋肉内)により損なわれる。動物を個別に飼育し、そして自由に食物と水を与える。全ての操作を、無菌技術を用いて行う。この研究を、Human Genome Sciences,IncのInstitutional Animal Care and Use Committee and the Guidelines for the Care and Use of Laboratory Animalsの規則およびガイドラインに従って行う。
創傷プロトコルは、上記A節に従う。創傷させる日に、動物をケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg)の筋肉内注射で麻酔する。この動物の背面領域を剃毛し、そして皮膚を70%エタノールおよびヨウ素溶液で洗浄する。手術範囲を、創傷させる前に滅菌ガーゼで乾燥させる。8mmの全層創傷をKeyes組織パンチを用いて作製する。実験の間、この創傷の左を開放する。試験物質の適用を、創傷させ、次いでメチルメチルプレドニゾロン投与した日から開始して、7日間連続で、1日1回、局所的に与える。処置の前に、創傷を滅菌生理食塩水およびガーゼスポンジを用いて穏やかに洗浄する。
創傷を視覚的に検査し、そして創傷させた日および処置の終りに、固定した距離で写真撮影する。創傷閉鎖を、1〜5日目の毎日および8日目の測定により決定する。創傷を目盛り付き(Calibrated)Jamesonノギスを用いて水平および垂直に測定する。創傷を、肉芽組織がもはや目に見えずかつ創傷を連続した上皮が覆う場合に、治癒したとみなす。
本発明のポリペプチドを、ビヒクル中で8日間、異なる用量の範囲(1日あたり創傷あたり4mg〜500mg)を用いて投与する。ビヒクルコントロール群は、50mLのビヒクル溶液を受けた。
動物を、8日目にペントバルビタールナトリウム(300mg/kg)の腹腔内注射で安楽死させる。次いで、創傷および周囲の皮膚を、組織学のために収集する。組織標本を、さらなるプロセシングのために、生検スポンジの間の組織カセット内で10%中性緩衝化ホルマリン中に置く。
各々10匹の動物(メチルプレドニゾロンを用いる5匹および糖質コルチコイドを用いない5匹)の4つの群を評価する:1)非処置群、2)ビヒクルプラシーボコントロール、3)処置群。
創傷閉鎖を、垂直軸および水平軸で面積を測定すること、および創傷の面積の合計を得ることにより分析する。次いで、閉鎖を、最初の創傷の面積(0日)と処置後(8日)の面積との間の差異を確立することにより評価する。1日目のこの創傷面積は、64mm2(皮膚パンチに対応するサイズ)である。計算を以下の式を用いて行う:
[8日目の開放面積]−[1日目の開放面積]/[1日目の開放面積]
標本を10%緩衝化ホルマリン中に固定し、そしてパラフィン包埋塊を、創傷表面に対して垂直に切り出し(5mm)、そしてOlympusミクロトームを用いて切断する。慣用的なヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色を、二等分した創傷の横断切片で行う。創傷の組織学的試験は、修復した皮膚の治癒プロセスおよび形態的な外見を、本発明のポリペプチドを用いる処置によって改善したかどうかを評価することを可能にする。目盛り付きレンズマイクロメーターを盲検観察者(blinded observer)が用いて、創傷の隙間の距離を決定する。
実験データを、片側t検定を用いて分析する。<0.05のp値を有意とみなす。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例51:リンパ水腫(lymphadema)動物モデル)
この実験アプローチの目的は、ラット後肢におけるリンパ管形成およびリンパの循環系の再確立における本発明のポリペプチドの治療的効果を試験するための、適切かつ一貫したリンパ水腫モデルを作製することである。有効性は、罹患した肢の腫脹体積、リンパの脈管の量の定量、総血漿タンパク質の量、および組織病理学により測定される。急性リンパ水腫は、7〜10日間観察される。恐らくより重要なことは、水腫の慢性進行は、3〜4週間まで続く。
手術を始める前に、血液サンプルを、タンパク質濃度分析のために採血する。雄性ラット(体重約350g)に、ペントバルビタールを投薬する。次いで、右肢を膝から股関節部まで剃毛する。この剃毛した範囲を70%EtOHに浸したガーゼで拭く。血液を、血清総タンパク質試験のために採血する。周径測定および体積測定を行った後に、2つの測定レベル(踵の0.5cm上、足背の中間点)に印をつけた後、足へ色素を注射する。右足背および左足背の両方の内皮に、0.05mlの1%Evan’s Blueを注射する。次いで、足への色素の注射の後、周径測定および体積測定を行う。
目印として膝関節を用いて、中肢鼡径部切開を、大腿血管の位置を確認できるように環状に行う。鉗子および止血剤を用いて、皮膚弁を切開し、そして分離する。大腿血管の位置確認後、血管の横に沿ってかつ血管の下に走るリンパ管を位置確認する。次いで、この範囲の主要なリンパ管を、電気凝固縫合結紮する。
顕微鏡を用いて、肢の背の筋肉(半腱様筋(semitendinosis)および内転筋の付近)を平滑に切開する。次いで、膝窩リンパ節の位置を確認する。次いで、2つの近位リンパ管および2つの遠位リンパ管、ならびに膝窩節の遠位血液供給部を縫合糸により結紮する。次いで、膝窩リンパ節および任意の付随する脂肪組織を、結合組織を切断することによって取り除く。
この手順で生じるいかなる軽度の出血をも管理するように注意すること。リンパ管を咬合した後、皮膚弁を、液体皮膚(Vetbond)(AJ Buck)を使用することによって密封する。別々の皮膚縁を、その下の筋肉組織に、脚の周囲に約0.5cmのギャップを残しながら密封する。皮膚はまた、必要なときにその下の筋肉に縫合することによって係留してもよい。
感染を回避するために、動物を、メッシュを用いて個別に収容する(床敷きなし)。回復した動物を、最適な水腫ピークを通して毎日チェックする。このピークは、代表的には5〜7日まで生じる。次いで、プラトーの水腫ピークを観察する。リンパ水腫の強度を評価するために、各肢上の2つの指定した場所の周径および体積を、操作の前および7日間毎日測定する。リンパ水腫に対する血漿タンパク質の効果を決定し、そしてタンパク質分析が有用な試験周界であるか否かもまた調査する。コントロール肢および水腫肢の両方の重量を、2箇所で評価する。分析を盲目様式(blind manner)で行う。
周径測定:肢の動きを防止するための短期気体麻酔のもとで、布巻尺を使用して、肢の周径を測定する。測定を、距骨および背面の足にて、2人の異なる人物によって行い、次いで、これらの2つの読み取りを平均する。読み取りを、コントロールおよび水腫肢の両方から得る。
体積測定:手術の日に、動物をペントバルビタールで麻酔し、そして手術の前に試験する。毎日の体積測定のために、動物を短期ハロタン麻酔(迅速な固定化およびすばやい回復)のもとにおき、両方の脚を剃毛し、そして耐水性マーカーを用いて脚に等しく印をつける。脚を、最初に水に漬け、次いで各々印をしたレベルまで装置に漬け、次いでBuxco水腫ソフトウェア(Chen/Victor)によって測定する。データを1人の人物によって記録し、一方他者は、脚をしるしを付けた領域まで漬ける。
血液−血漿タンパク質測定:手術の前に血液を取り出し、遠心分離し、そして血清を分離し、次いで、全タンパク質およびCa2+比較について結論付ける。
肢重量比較:血液を取り出した後、この動物を、組織収集のために調製する。この肢を、キリチン(quillitine)を用いて切断し、次いで、実験用脚とコントロール脚の両方を、結紮して切断し、そして秤量する。2回目の秤量を、脛踵(tibio−cacaneal)関節を外し、そして足を秤量して行う。
組織学的調製:膝(膝窩)領域の後ろに位置する横筋を切り出し、そして金属型に配置し、freezeGelで満たし、冷メチルブタンに漬け、標識したサンプルバッグに切断するまで−80ECにて配置する。切断の際に、筋肉を、蛍光顕微鏡のもとで、リンパ管について観察する。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例52:TNFα誘導性接着分子発現の本発明のポリペプチドによる抑制)
炎症および新脈管形成の領域に対するリンパ球の漸増は、リンパ球上の細胞表面接着分子(CAM)と血管内皮との間の特異的なレセプター−リガンド相互作用に関する。この接着プロセスは、通常の設定および病理学的設定の両方において、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、および内皮細胞(EC)における内皮白血球接着分子−1(E−セレクチン)発現を含む、多段階カスケードに続く。これらの分子および他の分子の血管内皮における発現は、白血球が局所血管系に接着し得、そして炎症応答の発生の間に局所組織に溢出し得る効率を決定する。サイトカインおよび増殖因子の局所濃度は、これらのCAMの発現の調節に関与する。
腫瘍壊死因子α(TNF−α)(強力なプロ炎症性サイトカイン)は、内皮細胞における3つ全てのCAMの刺激因子であり、そして広範な種々の炎症応答に関与し得、しばしば病理学的結果をもたらす。
TNF−α誘導性CAM発現の抑制を媒介する本発明のポリペプチドの潜在能力を試験し得る。改変型ELISAアッセイ(これは、固相吸着剤としてECを使用する)を使用して、FGFファミリーのタンパク質のメンバーを用いて同時刺激した場合に、TNF−α処理タンパク質ECにおけるCAM発現の量を測定する。
この実験を行うために、ヒト膀静脈内皮細胞(HUVEC)培養物を、プールした索採取物から得、そして10%FCSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した増殖培地(EGM−2;Clonetics,San Diego,CA)中で、5%CO2を含む37℃の加湿インキュベーターにおいて維持する。HUVECを、EGM培地中1×104細胞/ウェルの濃度で、96ウェルプレート中に、37℃で18〜24時間またはコンフルエントになるまで播種する。続いて、単層を、100U/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI−1640の無血清溶液で3回洗浄し、そして所定のサイトカインおよび/または増殖因子を用いて、24時間37℃にて処理した。インキュベーション後、次いで、この細胞を、CAM発現について評価する。
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、標準的な96ウェルプレートにおいてコンフルエントになるまで増殖させる。増殖培地を、細胞から取り除き、そして90μlの199培地(10%FBS)に置き換える。試験のためのサンプルおよびポジティブまたはネガティブコントロールを、このプレートに三連で添加する(10μl容量)。プレートを、37℃にて、5時間(セレクチンおよびインテグリン発現)または24時間(インテグリン発現のみ)のいずれかでインキュベートする。プレートを吸引して、培地を除去し、そして100μlの0.1%パラホルムアルデヒド−PBS(Ca++およびMg++を有する)を各ウェルに添加する。プレートを、4℃にて30分間保持する。
次いで、固定液をウェルから除去し、そしてウェルをPBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAを用いて1回洗浄し、そして排水する。このウェルを乾燥させないこと。10μlの希釈した一次抗体を、試験ウェルおよびコントロールウェルに添加する。抗ICAM−1−Biotin、抗VCAM−1−Biotinおよび抗E−セレクチン−Biotinを、10μg/mlの濃度(0.1mg/mlストック抗体の1:10希釈)で使用する。細胞を、加湿した環境において、37℃にて30分間インキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAを用いて3回洗浄する。
次いで、20μlの希釈したExtrAvidin−Alkaline Phosphotase(1:5,000希釈)を各ウェルに添加し、そして37℃ にて30分間インキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAを用いて3回洗浄する。1錠のp−ニトロフェノールホスフェート(pNPP)を、5mlのグリシン緩衝液(pH10.4)に溶解させる。グリシン緩衝液中のpNPP基質100μlを、各試験ウェルに添加する。三連の標準ウェルを、グリシン緩衝液中のExtrAvidin−Alkaline Phosphotaseの操作希釈(working dilution)(1:5,000(100)>10-0.5>10-1>10-1.5)から調製する。5μlの各希釈物を、三連のウェルに添加し、そして各ウェル中の得られたAP含量は、5.50ng、1.74ng、0.55ng、0.18ngである。次いで、100μlのpNPP試薬を、標準ウェルの各々に添加しなければならない。このプレートを、37℃にて4時間インキューベートしなければならない。3M NaOHの50μlの容量を全てのウェルに添加する。この結果を、プレートリーダーにおいて405nmにて定量する。バックグラウンド減算オプションを、グリシン緩衝液のみで満たしたブランクウェルにおいて使用する。このテンプレートを、各々の標準ウェルにおけるAP結合体の濃度を示すように設定する[5.50ng;1.74ng;0.55ng;0.18ng]。結果を、各サンプル中の結合したAP結合体の量として示す。
本実施例において記載される研究は、本発明のポリペプチド活性を試験した。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、本発明のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、アゴニスト、および/またはアンタゴニストの活性を試験し得る。
(実施例53:骨髄CD43+細胞増殖の刺激についてのアッセイ)
このアッセイは、ヒトCD34+が、造血増殖因子の存在下で増殖する能力に基づき、そしてこのアッセイは、哺乳動物細胞において発現された単離ポリペプチドが、CD34+細胞の増殖を刺激する能力を評価する。
最も熟成した前駆体は、単一シグナルのみに応答することが以前に示されている。より未熟な前駆体は、応答するために少なくとも2つのシグナルを必要とする。従って、ポリペプチドの広範な先祖細胞の造血活性に対する効果を試験するために、このアッセイは、他の造血増殖因子の存在下または非存在下において、所定のポリペプチドを含む。単離された細胞を、試験サンプルと組み合わせて、幹細胞因子(SCF)の存在下で、5日間培養する。SCFのみは、骨髄(BM)細胞の増殖に対して、非常に制限された効果を有し、「生存」因子としてのみ、このような条件下で作用する。しかし、これらの細胞(例えば、IL−3)に対する刺激効果を示す任意の因子と組み合わせると、SCFは、相乗効果を生じる。従って、試験されたポリペプチドが、造血祖先に対する刺激効果を有する場合、このような活性は、容易に検出され得る。正常なBM細胞は、低レベルの細胞周期(cycling cell)を有するので、所望のポリペプチド、あるいはそのアゴニストまたはアンタゴニストのいかなる阻害効果も検出されないようである。従って、先祖に対する阻害効果のためのアッセイが、好ましくは、SCF+IL+3でのインビトロ刺激に最初に供され、次いで、このような誘起増殖の阻害のために評価される化合物と接触させられる細胞において試験される。
簡潔には、CD34+細胞は、当該分野で公知の方法を使用して単離される。これらの細胞は、解凍され、そして、培地(1% L−グルタミンを有するQBSF 60 血清のない培地(500ml)(Quality Biological Inc.,Gaithersburg,MD Cat# 160−204−101))に再懸濁される。200×gでのいくらか穏やかな遠心分離の後、細胞は、1時間静置される。細胞数を2.5×105細胞/mlに調節する。この時間の間、100μlの滅菌水を96ウェルプレートの周辺ウェルに添加する。このアッセイにおいて、所定のポリペプチドで試験され得るサイトカインは、50ng/mlのrhSCF(R&D Systems,MinneapoliS,MN,Cat# 255−SC)のみであり、そして30ng/mlのrhSCFとrhIL−3(R&D Systems,Minneapolis,MN,Cat# 203−ML)との組み合わせである。1時間後、10μlの調製されたサイトカイン、50μlの上清(1:2希釈での上清=50μl)および20μlの希釈された細胞を、培地に添加し、この培地は、100μlの最終全体積にするためにすでにウェル中に存在する。次いで、このプレートを37℃/5% CO2インキュベータに5日間置く。
アッセイを行う(harvest)18時間前に、0.5μCi/ウェルの[3H]チミジンを、各ウェルに10μlの体積で添加し、増殖率を決定する。この実験は、Tomtec Harvester 96を使用して、細胞を、各96ウェルプレートからフィルターマットに収集することによって終結される。収集後、フィルターマットを乾燥し、トリムし、そして1つのOmniFilterプレートおよび1つのOmniFilterトレイからなるOmniFilterアセンブリに置く。60μlのMicroscintを各ウェルに添加し、そしてプレートをTopSeal-Aプレスオンフィルムで密閉する。バーコード15ステッカーを計数のために、第1のプレートに固定する。次いで、密閉されたプレートを充填し、そして放射能のレベルを、Packard Top Countを介して決定し、プリントされたデータを分析のために収集する。放射能レベルは、細胞増殖の量を反映する。
本実施例に記載される研究は、骨髄CD34+細胞増殖を刺激する、所定のポリペプチドの活性を試験する。当業者は、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、抗体、アゴニスト、および/またはアンタゴニスト、ならびにそれらのフラグメントおよび改変体の活性を試験するために、例示された実施例を容易に改変し得る。非限定的な実施例として、このアッセイで試験される可能性のあるアンタゴニストは、サイトカインの存在下で細胞増殖を阻害すること、および/またはサイトカインおよび所定のポリペプチドの存在下で細胞増殖の阻害を増加させることが期待される。対照的に、このアッセイで試験される可能性のあるアゴニストは、細胞増殖を増強し、そして/またはサイトカインおよび所定のポリペプチドの存在下で、細胞増殖の阻害を減少させることが期待される。
骨髄CD34+細胞の増殖を刺激する遺伝子の能力は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびポリペプチドが、診断および免疫系および造血に影響する障害の処置に有用であることを示す。代表的な用途は、上記の「免疫活性」および「感染疾患」の節、ならびに本明細書中の他の箇所に記載される。
(実施例54:細胞外マトリックス増強細胞応答(EMECR)についてのアッセイ)
細胞外マトリックス増強細胞応答(EMECR)アッセイの目的は、細胞外マトリックス(ECM)誘導シグナルに関連して、造血幹細胞に作用する遺伝子産物(例えば、単離されたポリペプチド)を同定することである。
周囲のミクロ環境から受けるシグナルに関連して、細胞は、調節因子に応答する。例えば、線維芽細胞、ならびに内皮幹細胞および上皮幹細胞は、ECMからのシグナルの非存在下で、複製することができない。造血幹細胞は、骨髄中で自己再生を起こし得るが、インビトロ懸濁液培養ではそうではない。インビトロで自己再生を起こす幹細胞の能力は、間質(stromal)細胞およびECMタンパク質フィブロネクチン(fn)とのそれらの相互作用に依存する。細胞のfnへの吸着は、α5.β1およびα4.β1インテグリンレセプターによって媒介され、これらのレセプターは、ヒトおよびマウス造血幹細胞によって発現される。ECM環境で組み込み、そして幹細胞の自己再生の刺激の原因である因子は未だ同定されていない。このような因子の発見は、遺伝子治療および脊髄移植適用における重要な目的である。
簡潔には、ポリスチレンの組織培養処理されていない96ウェルプレートは、0.2μg/cm2のコーティング濃度でfnフラグメントでコートされる。マウス骨髄細胞を、0.2mlの血清のない培地(1,000細胞/ウェル)にプレートする。IL−3(5ng/ml)+SCF(50ng/ml)の存在下で培養された細胞は、幹細胞の自己再生が期待されず、明確な分化が期待される条件で、ポジティブコントロールとして作用する。遺伝子産物は、SCF(5.0ng/ml)の存在下、または非存在下で適切なネガティブコントロールとともに試験され、ここで、試験因子の上清は、全アッセイ体積の10%を示す。次いで、プレートされた細胞を、低酸素環境(5%CO2、7%O2および88%N2)の組織培養インキュベータで7日間インキュベートすることによって増殖させる。次いで、ウェル内の増殖細胞の数を、細胞DNAへのチミジン組込みを測定することによって定量する。アッセイにおけるポジティブヒットの確認は、細胞の表現型の特徴付けを必要とし、この特徴付けは、培養系をスケールアップし、そして細胞表面抗原およびFACScanに対する適切な抗体試薬を使用することによって達成される。
当業者は、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、抗体、アゴニスト、および/またはアンタゴニストならびにそのフラグメントおよび改変体の活性を試験するための例示的な研究を容易に改変し得る。
特定の遺伝子産物は、造血祖先の刺激薬であることが見出される場合、この遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、診断、ならびに免疫系および造血に影響する障害の処置に有用であり得る。代表的な用途は、上記の「免疫活性」および「感染疾患」の節、ならびに本明細書の他の箇所に記載される。遺伝子産物はまた、種々の血液連鎖の幹細胞および先駆細胞(commited progenitor)の拡張において、そして種々の細胞の型の分化および/または増殖において有用であり得る。
さらに、目的の遺伝子のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、ならびに/またはそのアゴニストおよび/またはアンタゴニストはまた、造血細胞の増殖および分化を阻害するために使用され、そしてそれによって、化学療法の間に、化学療法薬剤から骨髄幹細胞を保護するために使用され得る。この抗増殖効果は、より高い用量の化学療法薬剤の投与、従って、より有効な化学治療処置を可能にし得る。
さらに、目的の遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびポリペプチドもまた、造血関連障害(例えば、貧血、汎血球減少症、白血球減少症、血小板減少症、または白血病)の処置および診断に有用であり得る。なぜなら、間質細胞は、造血系列の細胞の生成において重要であるからである。これらの用途としては、骨髄細胞エキソビボ培養、骨髄移植、骨髄再形成、新形成の放射線療法または化学療法が、挙げられる。
(実施例55:ヒト皮膚線維芽細胞および大動脈平滑筋細胞の増殖)
目的のポリペプチドを、正常なヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)およびヒト大動脈平滑筋細胞(AoSMC)の培養物に添加し、そして2つの同時アッセイを各サンプルを用いて実施する。第1のアッセイは、正常なヒト線維芽細胞(NHDF)または大動脈平滑筋細胞(AoSMC)の増殖に対する、目的のポリペプチドの効果を試験する。線維芽細胞または平滑筋細胞の異常な増殖は、いくつかの病理学的プロセス(繊維症および再狭窄を含む)の一部である。第2のアッセイは、NHDFおよびSMCの両方によるIL6産生を試験する。IL6産生は、機能的活性化の指標である、活性化細胞は、多数のサイトカインおよび他の因子の産生の増加を有し、これは、炎症誘発性(proinflammatory)または免疫調節性の結果を生じ得る。アッセイは、同時刺激活性または阻害活性をチェックするために、同時TNFa刺激とともに行い、そして同時TNFa刺激なしで行う。
簡単に述べると、1日目に、96ウェルの黒いプレートに、100μl培養培地中に1000細胞/ウェル(NHDF)または2000細胞/ウェル(AoSMC)を配置する。NHDF培養培地は、以下:Clonetics FB基礎培地、lmg/ml hFGF、5mg/mlインスリン、50mg/mlゲンタマイシン、2% FBSを含み、一方AoSMC培養培地は、Clonetics SM基礎培地、0.5μg/ml hEGF、5mg/mlインスリン、1μg/ml hFGF、50mg/mlゲンタマイシン、50μg/ml Amphotericin B、5% FBSを含む。37℃で少なくとも4〜5時間のインキュベーション後、培養培地を吸引し、増殖停止培地で置換する。NHFD用の増殖停止培地は、線維芽細胞基礎培地、50mg/mlゲンタマイシン、2% FBSを含み、一方ApSMC用の増殖停止培地は、SM基礎培地、50mg/mlゲンタマイシン、50μg/ml AmphotericinB、0.4% FBSを含む。37℃で2日目までインキュベートする。
2日目、目的のポリペプチドの系列希釈物およびテンプレートを、それらが常に、培地コントロールおよび既知のタンパク質コントロールを含むように、設計する。刺激実験および阻害実験の両方について、タンパク質を増殖停止培地で希釈する、阻害実験について、TNFaを、最終濃度2ng/ml(NHDF)または5ng/ml(AoSMC)まで添加する。コントロールまたは本発明のポリペプチドを含む1/3容量の培地を添加し、そして5日目まで、37℃/5% CO2にてインキュベートする。
各ウェルから60μlを別の標識96ウェルプレートに移し、プレートシーラーで覆い、そして6日目まで4℃で(IL6 ELISAのために)保存する。細胞培養プレート中の残りの100μlに、その培養物容量の10%に等しい量(10μl)のAlamar Blueを無菌的に添加する。プレートを3〜4時間の間インキュベーターに戻す。次いで、530nmでの励起および590nmでの放射を伴う蛍光を、CytoFluorを使用して測定する。これにより、増殖刺激/阻害のデータを得る。
5日目、IL−6 ELISAを、PBS(pH7.4)に希釈した50〜100μl/ウェルの抗ヒトIL−6モノクローナル抗体で96ウェルプレートをコーティングすることによって実施し、室温でONをインキュベートする。
6日目、プレートの中身を流しに空け、そしてペーパータオル上で吸い取る。4% BSAを含むPBSを含むアッセイ緩衝液を調製する。プレートを、PBS中の200μl/ウェルのPierce Super Blockブロッキング緩衝液で1〜2時間ブロックし、次いで、洗浄緩衝液(PBS,0.05% Tween−20)でプレートを洗浄する。プレートをペーパータオル上で吸い取る。次いで、0.50mg/mlに希釈した抗ヒトIL−6モノクローナルビオチン標識抗体50μl/ウェルを添加する。IL−6ストックの培地中の希釈物を作製する(30ng/ml、10ng/ml、3ng/ml、1ng/ml、0.3ng/ml、0ng/ml)。二連のサンプルをプレートの最上列に添加する。プレートを覆い、そして振盪機上で室温で2時間インキュベートする。
プレートを洗浄緩衝液で洗浄し、ペーパータオル上で吸い取る。EU標識ストレプトアビジンをアッセイ緩衝液中に1:1000希釈し、そして100μl/ウェルを添加する。プレートを覆い、そして室温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄緩衝液で洗浄する。ペーパータオル上で吸い取る。
100μl/ウェルの増強溶液を添加し、そして5分間振盪する。Wallac DELFIA蛍光測定器でプレートを読み取る。各アッセイでの三連のサンプルからの読み取りを、表にして平均をとる。
このアッセイにおける陽性の結果は、AoSMC細胞増殖を示唆し、そして目的の遺伝子産物が皮膚線維芽細胞増殖および/または平滑筋細胞増殖に関与し得ることを示唆する。陽性の結果はまた、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、目的の遺伝子/遺伝子産物のポリヌクレオチド/ポリペプチドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストの多くの潜在的な使用を示唆する。例えば、本明細書の全体にわたって記載されるように、炎症および免疫応答、創傷の治癒、ならびに新脈管形成。特に、この遺伝子産物のポリペプチドおよびこの遺伝子のポリヌクレオチドは、創傷の治癒および皮膚の再生、ならびに脈管形成(血管およびリンパ管の両方)の促進に使用され得る。脈管の成長は、例えば、心臓血管疾患の処置において使用され得る。さらに、この遺伝子産物のポリペプチドおよびこの遺伝子のポリヌクレオチドのアンタゴニストは、抗脈管(例えば、抗新脈管形成)として作用することによって、新脈管形成を含む、疾患、障害、および/または状態を処置する際に有用であり得る。これらの疾患、障害、および/または状態、例えば以下:悪性腫瘍、固形腫瘍、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫);関節硬化性斑(artheroscleric plaque);眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜障害、未熟児の網膜障害、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、皮膚潮紅、網膜芽細胞腫、ぶどう膜炎、および眼の翼状片(異常な血管の成長));慢性関節リウマチ;乾癬;遅延性の創傷の治癒;子宮内膜症;脈管形成;顆粒形成:過形成性瘢痕(ケロイド);非結合性骨折(nonunion fracture);強皮症;トラコーマ;脈管接着;心筋新脈管形成;冠状側副枝;大脳側副枝;動静脈奇形;虚血性の肢の新脈管形成;Osler−Webber症候群;斑の新生血管形成;毛細血管拡張症;血友病性関節;血管線維腫;線維性筋性形成異常症;創傷肉芽化;クローン病;およびアテローム性硬化症などは、当該分野において公知でありそして/または本明細書中で記載される。さらに、この遺伝子産物のポリペプチドおよびこの遺伝子のポリヌクレオチドのアンタゴニストは、当該分野において公知でありそして/または本明細書中で記載される、抗過剰増殖性疾患および/または抗炎瘴性疾患を処置する際に有用であり得る。
当業者は、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、抗体、アゴニスト、および/またはアンタゴニスト、ならびにそのフラグメントおよび改変体の活性を試験するために例示された研究を容易に改変し得る。
(実施例56:内皮細胞上での細胞接着分子(CAM)の発現)
リンパ球の、炎症および新脈管形成の領域に対する漸増は、リンパ球上の細胞表面接着分子(CAM)と脈管内皮との間の特異的なレセプター−リガンド相互作用を含む。接着プロセスは、通常の環境および病的な環境の両方において、多段階のカスケードに続き、このカスケードは、内皮細胞(EC)上での細胞内接着分子1(ICAM−1)、脈管細胞接着分子1(VCAM−1)、および内皮性白血球接着分子1(E−セレクチン)の発現を含む。脈管内皮上でのこれらの分子などの発現は、白血球が局所的な脈環構造と接着し、そして炎症性応答の進行の間に局所的な組織へと溢出し得る効率を決定する。サイトカインおよび増殖因子の局所的濃度は、これらのCAMの発現の調節に関与する。
簡単には、内皮細胞(例えば、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC))は、標準96ウェルプレート中でコンフルエンスまで増殖する。増殖培地を、細胞から除去し、そして100μlの199 Medium(10%ウシ胎児血清(FBS))で置き換える。試験のためのサンプルおよび陽性または陰性のコントロールを、3部構成(10μlの容量ずつ)のプレートに添加する。次いで、プレートを、37℃で、5時間(セレクチンおよびインテグリンの発現)かまたは24時間(インテグリンの発現のみ)のいずれかの間インキュベートする。プレートを、培地を除去するために吸引し、そして100μlの0.1%パラホルムアルデヒド−PBS(Ca++およびMg++含有)を各ウェルに添加する。プレートを4℃で30分間保持する。固定剤をウェルから除去し、そしてウェルをPBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAで1回洗浄し、そして水気を切る。10μlの希釈した第1抗体を、試験ウェルおよびコントロールウェルに添加する。抗ICAM−1−ビオチン、抗VCAM−1−ビオチン、および抗E−セレクチン−ビオチンを、10μg/mlの濃度(0.1mg/mlの貯蔵抗体の1:10希釈)で使用する。細胞を37℃で30分間、加湿された環境においてインキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAで3回洗浄する。20μlの希釈されたExtrAvidin−Alkaline Phosphotase(1:5,000希釈、本明細書中で実用的な希釈液といわれる)を各ウェルに添加し、そして37℃で30分間インキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAで3回洗浄する。5mlのグリシン緩衝液(pH10.4)につき1錠のp−ニトロフェノールホスフェート(pNPP)を溶解する。グリシン緩衝液中の100μlのpNPP基質を各試験ウェルに添加する。3部構成の標準ウェルを、グリシン緩衝液中のExtrAvidin−Alkaline Phosphotase;1:5,000(100)>10-0.5>10-1>10-1.5の実用的な希釈液から調製する。各希釈液の5μlを3部構成のウェルに添加すると、各ウェル中の得られるAP含有量は、5.5ng、1.74ng、0.55ng、0.18ng、である。次いで、100μlのpNNP試薬を標準ウェルの各々に添加する。このプレートを、37℃で4時間インキュベートする。50μlの容量の3M NaOHを、全てのウェルに添加する。このプレートを、グリシン緩衝液のみを充填したブランクウェルでのバックグラウンド除去オプションを使用して、405nmのプレートリーダーで読む。さらに、テンプレートを、各標準ウェル[5.50ng;1.74ng;0.55ng;0.18ng]中のAP共重合体の濃度を示すようにセットアップする。結果を、各サンプル中の結合したAP共重合体の量として示す。
(実施例57:Alamar Blue内皮細胞増殖アッセイ)
このアッセイを使用して、ウシリンパ内皮細胞(LEC)、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)、またはヒト微小血管子宮筋細胞(UTMEC)のbFGF誘導増殖のタンパク質媒介性阻害を定量的に決定し得る。このアッセイは、代謝活性の検出に基づいて、蛍光定量的な増殖インジケーターを組み込む。標準Alamar Blue増殖アッセイを、内皮細胞刺激の供給源として添加した10ng/mlのbFGFを含むEGM−2MV中で調整する。このアッセイは、増殖培地および細胞濃度がわずかに変化した様々な内皮細胞と共に使用され得る。試験されるべきタンパク質バッチの希釈物を、適切に希釈する。bFGFなしの血清を含有しない培地(BIBCO SFM)を、非刺激コントロールとして使用し、そしてAngiostatinまたはTSP−1は、既知の阻害コントロールとして含まれる。
簡単には、LEC、BAECまたはUTMECを、96ウェルプレートに、5000〜2000細胞/ウェルの密度で、増殖培地に播種し、そして37℃で一晩放置する。この細胞の一晩のインキュベーションの後、増殖培地を除去し、そしてGIBCO EC−SFMで置き換える。この細胞を、追加のbFGFを含む3つのウェル中で、目的のタンパク質またはコントロールタンパク質サンプルの適切な希釈物(SFM中で調製)で、10ng/mlの濃度まで処理する。一旦、細胞をサンプルで処理すると、プレート(単数または複数)を、37℃のインキュベーターに3日間戻す。3日後、10mlのストックAlamar Blue(Biosource Cat# DAL1100)を、各ウェルに添加し、そしてプレート(単数または複数)を、37℃のインキュベーターに4時間戻す。次いで、このプレート(単数または複数)を、CytoFluor蛍光リーダーを使用して、530nm励起および590nm発光で読みとる。直接出力を、相対蛍光単位で記録する。
Alamar Blueは、細胞増殖から生じる増殖培地の化学的還元に応答して、蛍光を発しかつ色を変化する、酸化−還元指示薬である。培地中で細胞が増殖するにつれて、生得代謝活性によりすぐ周辺の環境の化学的還元が生じる。増殖に関する還元により、この指示薬は、酸化(非蛍光性の青色)形態から還元(蛍光性赤色)形態に変化し得る。すなわち、刺激された増殖は、より強いシグナルを生成し、そして阻害された増殖は、より弱いシグナルを生成し、そして全シグナルは細胞の総数ならびにそれらの代謝活性に比例する。活性のバックグラウンドレベルは、飢餓性培地のみを用いて観察される。これを陽性コントロールサンプル(増殖培地中のbFGF)およびタンパク質希釈物から観察される出力と比較する。
(実施例58:混合リンパ球反応の阻害の検出)
このアッセイを使用して、遺伝子産物(例えば、単離されたポリペプチド)による混合リンパ球反応(MLR)の阻害を検出および評価し得る。MLRの阻害は、細胞増殖および生存度、相互作用する細胞における同時刺激分子の変調、リンパ球と副細胞との間の接着の変調、または副細胞によるサイトカイン産生の変調に対する直接効果に起因し得る。複数の細胞は、これらのポリペプチドによって標的化され得る。なぜなら、このアッセイで使用される末梢血液単核画分は、T、Bおよびナチュラルキラーリンパ球、ならびに単球および樹状細胞を含むためである。
MLRを阻害することが見出された目的のポリペプチドは、リンパ球および単球の活性化または増殖に関する疾患における用途を見出し得る。これには、喘息、関節炎、糖尿病、炎症性の皮膚状態、乾癬、湿疹、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、動脈硬化症、肝硬変、対宿主性移植片病、対移植片性宿主病、肝炎、白血病およびリンパ腫のような疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
簡単には、ヒトドナー由来のPBMCを、Lymphocyte Separation Medium(LSM(登録商標)、密度 1.0070g/ml、Organon Teknika Corporation、West Chester、PA)を使用する密度勾配遠心分離によって精製する。2つのドナー由来のPBMCを、10% FCSおよび2mM グルタミンを補ったRPMI−1640(Life Technologies、Grand Island、NY)中、2×106細胞/mlに調整する。第3のドナー由来のPBMCを、2×105細胞/mlに調整する。各ドナー由来の50μlのPBMCを、96ウェル丸底マイクロタイタープレートのウェルに添加する。試験材料の希釈物(50μl)を、三連でマイクロタイターウェルに添加する。(目的のタンパク質の)試験サンプル1:4の最終希釈になるまで添加し;rhuIL−2(R&D Systems、Minneapolis、MN、カタログ番号 202−IL)を、1μg/mlの最終濃度になるまで添加し;抗−CD4 mAb(R&D Systems、クローン 34930.11、カタログ番号 MAB379)を10μg/mlの最終濃度になるまで添加する。細胞を、5% CO2中、37℃で7〜8時間培養し、そして1μCの[3H]チミジンを、培養の最後の16時間でウェルに添加する。細胞を収集し、そしてチミジンの取込みを、Packard TopCountを使用して決定する。データを、3つの測定値の平均および標準偏差として表す。
目的のタンパク質のサンプルを、別個の実験でスクリーンし、そして陰性コントロール処理、抗−DC4 mAB(これはリンパ球の増殖を阻害する)、および陽性コントロール処理、IL−2(組換え物質または上清として)(これは、リンパ球の増殖を促進する)と比較する。
当業者は、例示の研究を容易に改変して、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)、抗体、アゴニスト、および/またはアンタゴニスト、ならびにそれらのフラグメントおよび改変体の活性を試験し得る。
本発明を、前述の説明および実施例に詳細に記載された以外の方法で実施し得ることは、明らかである。本発明の多数の改変およびバリエーションが、上記の教示を考慮して可能であり、従って、それは、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
発明の背景、詳細な説明および実施例において引用された各文書の全開示(特許、特許出願、学術文献、要約、実験マニュアル、書籍または他の開示を含む)は、本明細書中に参考として援用される。さらに、本明細書にとともに提出された配列表のハードコピーおよび対応するコンピューター読み出し形態は、両方とも本明細書中にその全体が参考として援用される。さらに、米国仮出願第60/164,835号および同第60/221,142号の内容は、それらの全体が参考として本明細書に援用される。
PTA−867
(カナダ)
出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料のサンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければならない。
(ノルウェー)
出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
(オーストラリア)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addressee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国特許法第3.25(3)号規定)。
(フィンランド)
出願人はここにおいて、出願が(特許および統制委員会(National Board of Patents and Regulations)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。
(英国)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルは専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための規則上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。
(デンマーク)
出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
(スウェーデン)
出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに記載された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
(オランダ)
出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。