JP5578779B2 - スフェロイド培養方法及びスフェロイド培養容器 - Google Patents

スフェロイド培養方法及びスフェロイド培養容器 Download PDF

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Description

本発明は、付着性細胞を用いてスフェロイドを培養する方法、及びスフェロイド培養に好適な培養容器に関する。
細胞培養技術において、生体内と同等な三次元組織を構築できるスフェロイド培養が着目されている。スフェロイドは、細胞塊又は細胞凝集体とも称され、主に肝細胞や癌細胞などの付着性細胞から形成される。スフェロイド培養では、細胞が三次元に集合して塊となるので、細胞が二次元に集合する単層培養法と比べて、細胞の特異的な機能を長期間維持することができる。このような特性から、スフェロイド培養は、薬剤の毒性及び薬理活性評価のシミュレータや、ハイブリッド型人工臓器、バイオリアクタなどの分野において利用されることが期待されている。
スフェロイド培養においては、集合する細胞数を制御することが望まれる。スフェロイドは、生体の毛細血管に相当する管腔構造をもたないので、中心部の細胞と外表面の細胞とでは酸素及び栄養分の補給や老廃物の除去において差が生じる。例えば、スフェロイドが大きくなると、中心部の細胞が酸素不足や栄養不足となって細胞死が起こり得る。このような中心部の細胞の状態と外表面の細胞の状態との差が、例えば薬剤の毒性及び薬理活性を評価する上での差ともなり得る。仮に、スフェロイドにおける中心部の細胞の状態と外表面の細胞の状態とを同等にすることができれば、薬剤の毒性や薬理活性の評価において、スフェロイドの生死のみならず、スフェロイド内の細胞が有する特異的な機能の向上又は低下、スフェロイドにより形成された生体類似の三次元構造に対する組織学的な検査などが実現され得る。このようなスフェロイドによる薬剤の毒性や薬理活性の評価は、動物実験の一部を代替し得る。
従来より、スフェロイド培養として、ローラボトル培養、スピナーフラスコ培養、ハンギングドロップ培養などが知られている。また、スフェロイド培養のための96穴プレートが市販されている。
特許文献1には、基板表面上にアレイ状やハニカム状等に規則配列されて種細胞を凝集させて保持する細胞培養セルを備えた細胞培養チップが開示されている。この細胞培養セルに種細胞が分散された培養液を充填して細胞培養セル内に種細胞を着床させ、さらに、細胞培養チップを連続的又は間欠的に水平回転又は往復揺動させながら、細胞培養セル内の種細胞同士を凝集培養させてスフェロイドを形成させ得る。
特許文献2には、細胞接着性を示す第一領域と、その第一領域を囲み、第一領域に比べて低い細胞接着性を示す第二領域とを含む組織体形成領域を備えた細胞組織体マイクロデバイスが開示されている。細胞組織体マイクロデバイスの第一領域及び第二領域に播種された細胞は、互いに細胞間結合を形成し、この細胞間結合が維持されつつ第二領域から細胞が剥がれることにより、第一領域に細胞同士が三次元的に結合した細胞組織体が形成され得る。
特開2005−27598号公報 特開2006−122012号公報
例えば、前述された96穴プレートを用いたスフェロイド培養では、付着性細胞の懸濁液を96穴にそれぞれ注入する必要があり、操作が煩雑であり、また、各穴におけるスフェロイドの大きさを制御することが難しいという問題がある。
特許文献1に記載の細胞培養チップを用いれば、各細胞培養セル内に着床させた種細胞を均一な大きさのスフェロイドに培養することができる。しかし、特許文献1によれば、細胞培養セル内において種細胞がスフェロイドに形成されるためには、細胞培養チップが連続的又は間欠的に水平回転又は往復揺動される必要がある。細胞培養チップが水平回転等されると、細胞培養セル内の種細胞が遠心力などによってセル外へ飛び出たり、さらに他のセルへ進入したりするおそれがあり、その結果、均一な大きさのスフェロイドが形成されないことがあり得る。このような問題が防止されるためには、種細胞と細胞培養セルとの親和性が考慮された上で、水平回転等の回転速度や継続時間が適切に設定されなければならないが、これら培養条件を設定するための実験が必要となり、また、商業的生産における品質管理などが煩雑になるという問題がある。
特許文献2に記載の細胞組織体マイクロデバイスでは、組織体形成領域として、細胞接着性を示す第一領域と、その第一領域を囲み、第一領域に比べて低い細胞接着性を示す第二領域とが形成される必要がある。これら領域は基板の表面加工等によって形成され得るが、第二領域に付着した細胞が第一領域に付着した細胞と細胞間結合を維持しながら第二領域から剥がれるような第二領域の細胞接着性を設定することは困難である。また、そのような第二領域の細胞接着性が複数の組織体形成領域において一定に維持されることも困難である。したがって、細胞組織体マイクロデバイスは商業的な大量生産が難しく、また、組織体形成領域においてスフェロイドが形成されたとしても、スフェロイドの大きさを均一に制御することが難しい。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な作業によって均一な大きさのスフェロイドを大量に培養するに適した手段を提供することにある。
(1) 本発明に係るスフェロイド培養方法は、細胞非接着性の底面から重力方向における最下位置へ連続する斜面を有する細胞非接着性の凹陥部を複数有する培養容器に、付着性細胞の懸濁液を注入する第1ステップと、上記懸濁液が注入された培養容器を静置して、当該培養容器の凹陥部においてスフェロイドを形成させる第2ステップと、を含む。
培養容器は、例えばシャーレのような皿形状であり、細胞懸濁液や培地などの液体を保持可能なものである。この培養容器の底面は細胞非接着性である。細胞非接着性とは、付着性細胞が付着し得ない表面性能をいう。ここで、付着性細胞が付着し得ないとは、付着性細胞がまったく付着しないことをいう趣旨ではなく、本発明が目的とするスフェロイドが形成されることを阻害しない程度に、付着性細胞が付着し得なければよいとの主旨である。このような細胞非接着性は、例えば、水接触角によって定義されてもよい。水接触角として好ましくは30度以下であり、さらに好ましくは10度以下である。
前述された細胞非接着性は、例えば、細胞培養容器が、ポリエチレングリコールやポリヒドロキシエチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体などの親水性の高い物質の成形品として実現されたり、細胞培養容器の底面が、界面活性剤やリン脂質などの表面性能を親水性にし得る物質でコーティングされたり、プラズマ処理などの表面処理によって親水性が付与されたりすることによって実現され得る。
培養容器の底面には複数の凹陥部が設けられている。この凹陥部は、底面から重力方向へ凹む有底孔である。凹陥部の表面も底面と同様に細胞非接着性である。各凹陥部は、最下位置へ連続する斜面を有する。このような凹陥部は、例えば、底面及び凹陥部がプラスチックなどによって一体に成形されたり、底面に凹陥部が切削加工されたり、複数の孔が形成された平板形状の基材に薄膜が積層され、その薄膜が孔内に陥没するように変形されたりすることによって形成され得る。
第1ステップにおいて、付着性細胞の懸濁液が培養容器に注入される。付着性細胞として、例えば、ヒト骨肉腫細胞などのガン細胞や肝細胞などがあげられる。この付着性細胞が液体の培地に均一に拡散されて懸濁液が調整される。培地は、付着性細胞の培養に適した公知のものが用いられる。付着性細胞の個数は、培養容器の容量や凹陥部の大きさ、目的とするスフェロイドの大きさなどを考慮して適宜設定されるが、例えば、1mL当たり数万個〜数百万個程度の範囲で調整される。この懸濁液は、培養容器に対して1回のみ展開される。つまり、培養容器の底面が全て浸される量の懸濁液が培養容器に注入される。
第2ステップにおいて、懸濁液が注入された培養容器が静置される。このとき培養容器はインキュベータなどによって所望の温度範囲や湿度範囲に保持されてもよい。静置される時間は、付着性細胞の種類や目的とするスフェロイドの大きさなどを考慮して適宜設定されるが、例えば、数時間から数日間程度である。この静置によって、懸濁液中の付着性細胞が重力により沈降して、培養容器の底面又は凹陥部へ到達する。
培養容器の凹陥部へ到達した付着性細胞は、斜面に沿って沈降して凹陥部の最下位置へ到達する。凹陥部の各面は細胞非接着性なので、付着性細胞は凹陥部内において壁面に付着することなく重力によって斜面に沿って沈降する。これにより、凹陥部へ到達した付着性細胞が最下位置へ集合され、その最下位置において付着性細胞同士が結合し、スフェロイドが形成される。静置された培養容器において、凹陥部へ到達する付着性細胞の数は、凹陥部の開口面積に比例するので、均等な凹陥部が複数設けられることによって、各凹陥部において均等な大きさのスフェロイドがそれぞれ形成される。
(2) 上記培養容器に、当該培養容器内へ培地を流入させるための流入口と、当該培養容器内から培地を流出させるための流出口とが設けられ、上記懸濁液が注入されて静置されている培養容器に対して、上記流入口を通じて新たな培地を当該培養容器内へ注入し、かつ上記流出口を通じて当該培養容器内の培地を排出させる第3ステップをさらに含むものであってもよい。
前述されたような皿形状の培養容器に、培地の流入口及び流出口が設けられる。流入口を通じて外部から培養容器内に培地が流入され得る。流出口を通じて培養容器内から外部へ培地が流出され得る。
第3ステップでは、前述された第2ステップにおいて培養容器が静置されて、懸濁液中の付着性細胞が凹陥部へ到達した後に、流入口を通じて新たな培地が外部から培養容器内へ流入され、かつ流出口を通じて培養容器内の培地が外部へ流出される。これにより、付着性細胞が凹陥部においてスフェロイドを形成している際に、培養容器内の培地交換が行われる。
(3) 本発明は、細胞非接着性の底面と、当該底面を囲んで設けられた壁とを具備するスフェロイド培養容器であって、上記底面に細胞非接着性の表面で構成された複数の凹陥部が設けられ、上記各凹陥部が、重力方向における最下位置へ連続する斜面を有するものであるスフェロイド培養容器として捉えられてもよい。
(4) また、上記各凹陥部は、上記底面に規則的に配置されてもよい。これにより、懸濁液中を沈降して凹陥部へ到達する付着性細胞が、各凹陥部に対して均等となる。
(5) 上記斜面として、上記最下位置の周囲に配置された半球形状又は円錐形状のものがあげられる。
本発明によれば、付着性細胞の懸濁液が培養容器に一回展開されて培養容器が静置されると、懸濁液中の付着性細胞が重力により沈降して培養容器の凹陥部へ到達し、凹陥部内においては、斜面に沿って付着性細胞が沈降して最下位置へ集合され、その最下位置において付着性細胞同士が結合し、スフェロイドが形成される。これにより、簡易な作業によって均一な大きさのスフェロイドが大量に培養される。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
[図面の説明]
図1は、本発明の第1実施形態にかかるスフェロイド培養容器10の正面図である。なお、スフェロイド培養容器10の右側面図、左側面図及び背面図は、正面図と同じなのでここでは省略されている。図2は、スフェロイド培養容器10の平面図である。図3は、スフェロイド培養容器10の底面図である。なお、図3において、スフェロイド培養容器10が透明な素材からなるものであれば、図2と同様に底12に凹陥部20が透けて現れる。図4は、図1におけるIV−IV切断線における断面を示す断面図である。図5は、図2における領域Vを示す拡大平面図である。図6は、図4における領域VIを示す拡大断面図である。図7は、スフェロイド培養容器10を用いたスフェロイド培養方法の第1ステップを示す断面図である。図8は、スフェロイド培養容器10を用いたスフェロイド培養方法の第2ステップを示す拡大断面図である。図9は、第2実施形態に係るスフェロイド培養方法の第3ステップを示す断面図である。図10は、第3実施形態に係るスフェロイド培養容器10を示す平面図である。図11は、図10におけるXI−XI切断線における断面を示す断面図である。図12は、図10における領域XIIを示す拡大平面図である。図13は、図11における領域XIIIを示す拡大断面図である。図14は、第4実施形態に係るスフェロイド培養容器10を示す断面図である。図15は、図14における領域XVを示す拡大断面図である。図16は、第5実施形態に係るスフェロイド培養容器10を示す断面図である。図17は、図16における領域XVIIを示す拡大断面図である。図18は、スフェロイド培養容器10の製造方法を示す模式図である。図19及び図20は、第1実施例の観察結果を示すものである。図21は、第2実施例に係るスフェロイド培養容器10を示す断面図である。図22は、第2実施例の観察結果を示すものである。なお、図19,図20及び図22において示されるスケールバーは、いずれも100μmである。
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態が説明される。
[スフェロイド培養容器10]
図1から図4に示されるように、スフェロイド培養容器10は、シャーレの如き皿形状であり、側壁11が円筒形状となって円盤形状の底12を囲み、かつ底12からほぼ垂直方向の上向きに起立されている。この側壁11及び底12によって囲まれるスフェロイド培養容器10の内部空間に、細胞懸濁液や培地などの液体が保持される。
側壁11において容器内側となる内面13、及び底12において容器内側となる底面14は、細胞非接着性である。この細胞非接着性は、疎水性のプラスチックからなる内面13及び底面14に対して、両親媒性の高分子がコーティングされることにより付与されている。両新媒性の高分子のうち、疎水性の部分が内面12及び底面14に吸着し、親水性の部分が容器内側へ露出される。これにより内面13及び底面14に親水性のコーティングが施され、付着性細胞が内面13及び底面14に付着しない。
[凹陥部20]
図2及び図4に示されるように、底面14には、重力方向(図4において下向き)へ凹む複数の凹陥部20が設けられている。凹陥部20は、後述されるように半球形状をなした有底孔である。図2に示されるように、各凹陥部20は、平面視において、底面14との境界21が円形をなしている。複数の凹陥部20は、底面14の全領域において、規則的且つ密に配置されている。
図5に示されるように、平面視において、各凹陥部20の中心Oと、隣り合う凹陥部20の中心Oとの距離Lは、各々の凹陥部20において一定である。また、距離Lは、平面視において、各凹陥部20の中心Oから底面14との境界21までの距離R(平面視において円形の境界21の半径に相当する。)の3倍以下である。つまり、各凹陥部20は、隣り合う凹陥部20と距離Rより接近して配置されている。
各凹陥部20は、底面14から半球形状に陥没しており、図6に示されるように、縦断面視において、各凹陥部20は半円形状の輪郭をなす。この半円形状の輪郭における最下位置22が各凹陥部20において最も深い位置である。各凹陥部20における最下位置22までの深さは、前述された距離Rと同等である。
各凹陥部20において、境界21から最下位置22までは、球面状に傾斜する斜面23である。この斜面23は、境界21から最下位置22へ連続する滑らかな面であり、最下位置22を中心として境界21まで点対称な形状をなしている。最下位置22及び斜面23も、前述された内面13及び底面14と同様のコーティングがなされた細胞非接着性である。
[スフェロイド培養方法]
以下に、前述されたスフェロイド培養容器10を用いたスフェロイド培養方法が説明される。
本実施形態におけるスフェロイド培養方法は、主として以下の2つのステップに大別される。
(1)スフェロイド培養容器10に、付着性細胞の懸濁液を注入する第1ステップ。
(2)懸濁液が注入されたスフェロイド培養容器10を静置して、各凹陥部20においてスフェロイドを形成させる第2ステップ。
図7に示されるように、第1ステップにおいて、付着性細胞の懸濁液30がスフェロイド培養容器10に注入される。付着性細胞としては、例えば、ヒト骨肉腫細胞などのガン細胞や肝細胞などが目的に応じて用いられる。この付着性細胞が液体の培地に均一に拡散されて懸濁液30が調整される。付着性細胞の個数は、例えば、培地1mL当たり数万個〜数百万個程度の範囲で調整される。懸濁液30は、スフェロイド培養容器10に対して1回のみ展開される。
第2ステップにおいて、懸濁液30が注入されたスフェロイド培養容器10が静置される。このとき、スフェロイド培養容器10はインキュベータなどによって所望の温度範囲や湿度範囲に保持される。静置される時間は、例えば、1日間から数日間程度である。
図8(A)に示されるように、静置されたスフェロイド培養容器10において、懸濁液30中の付着性細胞31が重力により沈降して、スフェロイド培養容器10の底面14又は凹陥部20へ到達する。なお、図8において下向きが重力方向である。前述されたように、複数の凹陥部20が底面14の全領域に密に配置されているので、付着性細胞31の大半が凹陥部20へ到達する。また、付着性細胞31は、懸濁液30において均一に分散されており、また、平面視における各凹陥部20の境界21により囲まれる面積(凹陥部20の垂直投影面積に相当する。)は同じなので、各凹陥部20へ到達する付着性細胞の個数は均等になる。
各凹陥部20へ到達した付着性細胞31は、重力によって各凹陥部20の斜面23に沿って沈降して最下位置22へ向かう。各凹陥部20の最下位置22及び斜面23は細胞非接着性なので、付着性細胞31は各凹陥部20内において斜面23に付着することなく、重力によって斜面23に沿って沈降する。これにより、図8(B)に示されるように、各凹陥部20へ到達した付着性細胞31が最下位置22へ集合され、最下位置22において付着性細胞31同士が結合し、スフェロイド32が形成される。静置されたスフェロイド培養容器10において、各凹陥部20へ均等な数の付着性細胞が到達することによって、各凹陥部20において均等な大きさのスフェロイド32がそれぞれ形成される。
[第1実施形態の作用効果]
前述されたように、付着性細胞31の懸濁液30がスフェロイド培養容器10に一回展開されてスフェロイド培養容器10が静置されると、懸濁液30中の付着性細胞31が重力により沈降して各凹陥部20へ到達し、各凹陥部20内においては、斜面23に沿って付着性細胞31が沈降して最下位置22へ集合され、最下位置22において付着性細胞31同士が結合し、スフェロイド32が形成される。これにより、簡易な作業によって均一な大きさのスフェロイド32が大量に培養される。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態では、培地交換のための流入口15及び流出口16がスフェロイド培養容器10に設けられ、前述された第2ステップにおいて、スフェロイド培養容器10内の培地交換(第3ステップ)が行われる点において第1実施形態と異なる他は、第1実施形態と同様のスフェロイド培養容器10が用いられてスフェロイド培養が行われる。以下には、第1実施形態と異なる点についてのみ詳細な説明がなされ、第1実施形態と同様の点については詳細な説明が省略される。なお、各図において第1実施形態と同様の参照符号が付された部材などは、第1実施形態と同様のものである。
図9に示されるように、第2実施形態に係るスフェロイド培養容器10には、側壁11を厚み方向(水平方向)へ貫通する孔が設けられて、流入口15及び流出口16が形成されている。流入口15及び流出口16は、側壁11をそれぞれ貫通してスフェロイド培養容器10の内外に通ずる流路を形成している。なお、同図には、一対の流入口15及び流出口16のみが示されているが、1つのスフェロイド培養容器10に対して、複数の流入口15及び流出口16が設けられてもよい。また、流入口15と流出口16とは、スフェロイド培養容器10の中央に対して対称位置に設けられていることが好ましい。
図9には現れていないが、流入口15には、側壁11の外側においてチューブなどが連結されて、新たな培地が流入口15を通じてスフェロイド培養容器10内部へ流入する流路が形成される。流出口16には、側壁11の外側においてチューブなどが連結されて、スフェロイド培養容器10内の培地が流出口16を通じて外部へ流出する流路が形成される。また、必要に応じて、流入口15側又は流出口16側に培地を流動させるためのポンプが設けられてもよい。
第2実施形態では、第1実施形態における第2ステップにおいて、流入口15を通じて新たな培地をスフェロイド培養容器10内へ注入し、かつ流出口16を通じてスフェロイド培養容器10内の培地を排出させる第3ステップが行われる。
第3ステップでは、前述された第2ステップにおいてスフェロイド培養容器10にが静置されて、懸濁液30中の付着性細胞31が各凹陥部20へ到達してスフェロイドを形成した後に、流入口15を通じて新たな培地が外部からスフェロイド培養容器10内へ流入され、かつ流出口16を通じてスフェロイド培養容器10内の培地が外部へ流出される。これにより、付着性細胞31が凹陥部20においてスフェロイド32を形成している際に、スフェロイド培養容器10内の培地交換が行われる。
前述された培地交換において、スフェロイド培養容器10内において培地の流れが生じるが、スフェロイド32が凹陥部20から飛び出さない程度に培地の流れを制御することにより、培地と共にスフェロイド32が流出することが防止される。
前述された培地交換によって、比較的長い培養期間を要する大きなスフェロイド32を形成したり、形成されたスフェロイド32を長期間保存することが可能となる。
[第3実施形態]
以下に、本発明の第3実施形態が説明される。第3実施形態では、凹陥部40の形状が第1実施形態の凹陥部20と異なる他は、第1実施形態と同様である。また、凹陥部40が異なってもスフェロイド培養方法は第1実施形態及び第2実施形態と同様に行われる。以下には、第1実施形態と異なる凹陥部40についてのみ詳細な説明がなされ、第1実施形態と同様の点については詳細な説明が省略される。なお、各図において第1実施形態と同様の参照符号が付された部材などは、第1実施形態と同様のものである。
[凹陥部40]
図10及び図11に示されるように、底面14には、重力方向(図11において下向き)へ凹む複数の凹陥部40が設けられている。凹陥部40は、後述されるように概ね逆円錐形状をなした有底孔である。図10及び図12に示されるように、各凹陥部40は、平面視において、底面14との境界41が円形をなしている。複数の凹陥部40は、底面14の全領域において、規則的且つ密に配置されている。
図12に示されるように、平面視において、各凹陥部40の中心Oと、隣り合う凹陥部40の中心Oとの距離Lは、各々の凹陥部40において一定である。また、距離Lは、平面視において、各凹陥部40の中心Oから底面14との境界41までの距離R(平面視が円形の境界41の半径に相当する。)の3倍以下である。つまり、各凹陥部40は、隣り合う凹陥部40と距離Rより接近して配置されている。
各凹陥部40は、底面14から概ね逆円錐形状に陥没しており、図13に示されるように、縦断面視において、各凹陥部40は底辺側が短い台形状の輪郭をなす。この台形状の輪郭における最下位置42が各凹陥部40において最も深い位置である。各凹陥部40における最下位置42までの深さは、前述された距離Rと同等である。
各凹陥部40において、境界41から最下位置42までは、縦断面視において直線状に傾斜する斜面43である。最下位置42は、平面視において円形状であり、斜面43は、最下位置42を囲む曲面として境界41から最下位置42へ連続する滑らかな面であり、最下位置42を中心として境界41まで点対称な形状をなしている。最下位置42及び斜面43も、前述された内面13及び底面14と同様のコーティングがなされた細胞非接着性である。
本実施形態においても、前述された第1実施形態と同様のスフェロイド培養方法が行われる。第1ステップにおいて、付着性細胞の懸濁液30が、スフェロイド培養容器10に対して1回のみ展開され、第2ステップにおいて、懸濁液30が注入されたスフェロイド培養容器10が静置される。
図8(A)で示されたようにして、静置されたスフェロイド培養容器10において、懸濁液30中の付着性細胞31が重力により沈降して、スフェロイド培養容器10の底面14又は凹陥部40へ到達する。前述されたように、複数の凹陥部40が底面14の全領域に密に配置されているので、付着性細胞31の大半が凹陥部40へ到達する。また、付着性細胞31は、懸濁液30において均一に分散されており、また、平面視における各凹陥部40の境界41により囲まれる面積(凹陥部40の垂直投影面積に相当する。)は同じなので、各凹陥部40へ到達する付着性細胞の個数は均等になる。
図8(B)に示されたようにして、各凹陥部40へ到達した付着性細胞31は、重力により各凹陥部40の斜面43に沿って沈降して最下位置42へ向かう。各凹陥部40の最下位置42及び斜面43は細胞非接着性なので、付着性細胞31は各凹陥部40内において斜面43に付着することなく、重力によって斜面43に沿って沈降する。これにより、各凹陥部40へ到達した付着性細胞31が最下位置42へ集合され、最下位置42において付着性細胞31同士が結合し、スフェロイド32が形成される。静置されたスフェロイド培養容器10において、各凹陥部40へ均等な数の付着性細胞が到達することによって、各凹陥部40において均等な大きさのスフェロイド32がそれぞれ形成される。
前述されたように、第3実施形態にかかる凹陥部40においても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、スフェロイド培養容器10に流入口15及び流出口16が設けられて、前述された第3ステップのように、スフェロイド培養容器10の培地交換が行われてもよい。
[第4実施形態]
以下に、本発明の第4実施形態が説明される。第4実施形態では、凹陥部50の形状が第1実施形態の凹陥部20と異なる他は、第1実施形態と同様である。また、凹陥部20が異なってもスフェロイド培養方法は第1実施形態及び第2実施形態と同様に行われる。以下には、第1実施形態と異なる凹陥部50についてのみ詳細な説明がなされ、第1実施形態と同様の点については詳細な説明が省略される。なお、各図において第1実施形態と同様の参照符号が付された部材などは、第1実施形態と同様のものである。
[凹陥部50]
図14及び図15に示されるように、底面14には、重力方向(図14における下向き)へ凹む複数の凹陥部50が設けられている。凹陥部50は、後述されるように逆円錐形状をなした有底孔である。図2に示された凹陥部20と同様に、各凹陥部50は、平面視において、底面14との境界51が円形をなしている。複数の凹陥部50は、底面14の全領域において、規則的且つ密に配置されている。
なお、各凹陥部50の中心Oと、隣り合う凹陥部50の中心Oとの距離Lが、各凹陥部50の中心Oから底面14との境界51までの距離R(平面視が円形の凹陥部50の半径に相当する。)の3倍以下であることなど、底面14における各凹陥部50の配列は、第1実施形態と同様であるので、ここでは詳細な説明が省略される。
各凹陥部50は、底面14から逆円錐形状に陥没しており、図15に示されるように、縦断面視において、各凹陥部50は逆三角形状の輪郭をなす。この逆三角形状の輪郭における最下位置52が各凹陥部50において最も深い位置である。各凹陥部50における最下位置52までの深さは、前述された距離Rと同等である。
各凹陥部50において、境界51から最下位置52までは、縦断面視において直線状に傾斜する斜面53である。斜面53は、最下位置52を囲む曲面として境界51から最下位置52へ連続する滑らかな面であり、最下位置52を中心として境界51まで点対称な形状をなしている。最下位置52及び斜面53も、前述された内面13及び底面14と同様のコーティングがなされた細胞非接着性である。
本実施形態においても、前述された第1実施形態と同様のスフェロイド培養方法が行われる。第1ステップにおいて、付着性細胞の懸濁液30が、スフェロイド培養容器10に対して1回のみ展開され、第2ステップにおいて、懸濁液30が注入されたスフェロイド培養容器10が静置される。
図8(A)で示されたようにして、静置されたスフェロイド培養容器10において、懸濁液30中の付着性細胞31が重力により沈降して、スフェロイド培養容器10の底面14又は凹陥部50へ到達する。前述されたように、複数の凹陥部50が底面14の全領域に密に配置されているので、付着性細胞31の大半が凹陥部50へ到達する。また、付着性細胞31は、懸濁液30において均一に分散されており、また、平面視における各凹陥部50の境界51により囲まれる面積(凹陥部50の垂直投影面積に相当する。)は同じなので、各凹陥部50へ到達する付着性細胞の個数は均等になる。
図8(B)に示されたようにして、各凹陥部50へ到達した付着性細胞31は、重力により各凹陥部50の斜面53に沿って沈降して最下位置52へ向かう。各凹陥部50の最下位置52及び斜面53は細胞非接着性なので、付着性細胞31は各凹陥部50内において斜面53に付着することなく、重力によって斜面53に沿って沈降する。これにより、各凹陥部50へ到達した付着性細胞31が最下位置52へ集合され、最下位置52において付着性細胞31同士が結合し、スフェロイド32が形成される。静置されたスフェロイド培養容器10において、各凹陥部50へ均等な数の付着性細胞が到達することによって、各凹陥部50において均等な大きさのスフェロイド32がそれぞれ形成される。
前述されたように、第4実施形態にかかる凹陥部50においても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、第4実施形態においても、第2実施形態と同様に、スフェロイド培養容器10に流入口15及び流出口16が設けられて、前述された第3ステップのように、スフェロイド培養容器10の培地交換が行われてもよい。
[第5実施形態]
以下に、本発明の第5実施形態が説明される。第5実施形態では、凹陥部60の形状が第1実施形態の凹陥部20と異なる他は、第1実施形態と同様である。また、凹陥部20が異なってもスフェロイド培養方法は第1実施形態及び第2実施形態と同様に行われる。以下には、第1実施形態と異なる凹陥部60についてのみ詳細な説明がなされ、第1実施形態と同様の点については詳細な説明が省略される。なお、各図において第1実施形態と同様の参照符号が付された部材などは、第1実施形態と同様のものである。
[凹陥部60]
図16及び図17に示されるように、凹陥部60は、最下位置62までの深さが距離Rより大きい点で第1実施形態の凹陥部20と異なる。底面14に設けられた複数の凹陥部60の配置は、第1実施形態の凹陥部20と同様であるので、ここでは詳細な説明が省略される。
各凹陥部60は、底面14から概ね半球形状に陥没しており、図17に示されるように、縦断面視において、各凹陥部60はドーム形状の輪郭をなす。このドーム形状の輪郭における最下位置62が各凹陥部60において最も深い位置である。各凹陥部60における最下位置62までの深さは、底面14と凹陥部60との境界61が平面視においてなす円形の半径、つまり距離Rより大きい。
各凹陥部60において、境界21から重力方向(図17における下向き)へ垂直壁63が形成されており、その垂直壁63から最下位置62までは、球面状に傾斜する斜面64が形成されている。この垂直壁63及び斜面64は、境界61から最下位置62へ連続する滑らかな面であり、最下位置62を中心として境界61まで点対称な形状をなしている。最下位置62、垂直壁63及び斜面64も、前述された内面13及び底面14と同様のコーティングがなされた細胞非接着性である。
本実施形態においても、前述された第1実施形態と同様のスフェロイド培養方法が行われることにより、各凹陥部60へ到達した付着性細胞31が、重力により斜面64に沿って沈降して最下位置62へ集合され、最下位置62において付着性細胞31同士が結合し、スフェロイド32が形成される。静置されたスフェロイド培養容器10において、各凹陥部60へ均等な数の付着性細胞が到達することによって、各凹陥部60において均等な大きさのスフェロイド32がそれぞれ形成される。
前述されたように、第5実施形態にかかる凹陥部60においても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、第5実施形態においても、第2実施形態と同様に、スフェロイド培養容器10に流入口15及び流出口16が設けられて、前述された第3ステップのように、スフェロイド培養容器10の培地交換が行われてもよい。凹陥部60の深さが深くなることにより、培地交換においてスフェロイド32が凹陥部60から流出することが抑制される。
[スフェロイド培養容器10の製造方法]
以下に、前述されたスフェロイド培養容器10の製造方法の一例が示される。
図18(A)に示されるように、アクリルなどから型枠80を作製する。この型枠80は、その内部空間81がスフェロイド培養容器10の内面に対応した形状に加工されている。型枠80の内部空間81にポリジメチルシロキサン溶液(以下、「PDMS溶液」とも称される。)を充填して固化させる。
PDMS溶液の固化によって型枠80内に鋳型82が形成される。図18(B)に示されるように、この鋳型82を型枠80から取り外す。そして、鋳型82の表面をプラズマ処理する。
図18(C)に示されるように、鋳型82をシャーレ形状の容器83の中央に配置して、鋳型82が浸るまで容器83にPDMS溶液84を注入する。そして、容器83内においてPDMS溶液84を固化させる。
PDMS溶液84の固化によって容器83内にスフェロイド培養容器10が形成される。図18(D)に示されるように、このスフェロイド培養容器10を容器83から取り出し、さらに鋳型82を取り外す。これにより、スフェロイド容器10の量産が可能となる。
以下に、本発明の実施例が説明される。
(第1実施例)
[スフェロイド培養容器]
前述された第1実施形態に係るスフェロイド培養容器10を作製した。詳細には、ポリエチレンを用いて凹陥部20が形成されたスフェロイド培養容器10を成形し、そのスフェロイド培養容器10を70%エタノールに1時間浸漬して滅菌した。滅菌されたスフェロイド培養容器10をクリーンベンチ内で乾燥した後、4%プルロニックF−127水溶液2mLを注入して、37℃に保持されたCOインキュベータ内で一晩放置した。その後、スフェロイド培養容器10をリン酸緩衝液で2回洗浄した。
[付着性細胞の懸濁液]
付着性細胞としてヒト骨肉腫細胞MG63を用いて、10%FBSを含むαMEM培地を用いて100万個/2mLとなるように懸濁液を調整した。
[スフェロイド培養]
スフェロイド培養容器10にヒト骨肉腫細胞MG63の懸濁液を2mL注入し、インキュベータ内(37℃、5%CO)にて、3日間培養した。培養後に、スフェロイド培養容器10の凹陥部20に形成されたスフェロイドを光学顕微鏡(Leica DM14000)を用いて観察した。スフェロイド培養容器10の凹陥部20における観察結果((A)50倍、(B)100倍)が図19に示され、スフェロイド培養容器10から回収されたスフェロイドの観察結果((A)50倍、(B)100倍)が図20に示される。
図19に示されるように、1つの凹陥部20に対して1つのスフェロイドが形成されていることが観察された。また、図20に示されるように、ほぼ均一な大きさのスフェロイドが多量に形成されていることが観察された。なお、回収されたスフェロイドの平均直径(N=35)は231.3±7.9μmであった。
(第2実施例)
[スフェロイド培養容器]
前述された第1実施形態に係るスフェロイド培養容器10を作製した。詳細には、図21に示されるように、円孔71が複数形成されたアクリル板70にポリジメチルシロキサンの薄膜72を積層した。薄膜72を、アクリル板70と、ポリジメチルシロキサンからなる円筒形状の培養槽73とで挟み込み、薄膜72と培養槽73とで囲まれる空間に細胞懸濁液が保持されるようにした。アクリル板70に形成された流路74を通じて各円孔71の内部を減圧することによって、薄膜72を各円孔71内へ吸い込んで変形させ、変形された薄膜72を凹陥部20とした。薄膜72及び培養槽73の表面を、前述された第1実施形態と同様にして、4%プルロニックF−127水溶液でコーティングした。
[付着性細胞の懸濁液]
付着性細胞としてヒト骨肉腫細胞MG63及びヒト肝癌由来細胞HepG2をそれぞれ用い、10%FBSを含むαMEM培地を用いて、スフェロイド培養容器10に対して1展開当たり400万個,200万個,100万個,50万個,25万個,12.5万個となるように懸濁液をそれぞれ調整した。
[スフェロイド培養]
第1実施例と同様にしてスフェロイド培養を行い、スフェロイド培養容器10の凹陥部20に形成されたスフェロイドを光学顕微鏡(200倍)を用いて観察した。各細胞数におけるヒト骨肉腫細胞MG63の結果が図22(A)に示され、各細胞数におけるヒト肝癌由来細胞HepG2の結果が図22(B)に示される。
図22に示されるように、懸濁液におけるヒト骨肉腫細胞MG63又はヒト肝癌由来細胞HepG2の個数に応じた大きさのスフェロイドが、各凹陥部20においてそれぞれ形成されることが観察された。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるスフェロイド培養容器10の正面図である。 図2は、スフェロイド培養容器10の平面図である。 図3は、スフェロイド培養容器10の底面図である。 図4は、図1におけるIV−IV切断線における断面を示す断面図である。 図5は、図2における領域Vを示す拡大平面図である。 図6は、図4における領域VIを示す拡大断面図である。 図7は、スフェロイド培養容器10を用いたスフェロイド培養方法の第1ステップを示す断面図である。 図8は、スフェロイド培養容器10を用いたスフェロイド培養方法の第2ステップを示す拡大断面図である。 図9は、第2実施形態に係るスフェロイド培養方法の第3ステップを示す断面図である。 図10は、第3実施形態に係るスフェロイド培養容器10を示す平面図である。 図11は、図10におけるXI−XI切断線における断面を示す断面図である。 図12は、図10における領域XIIを示す拡大平面図である。 図13は、図11における領域XIIIを示す拡大断面図である。 図14は、第4実施形態に係るスフェロイド培養容器10を示す断面図である。 図15は、図14における領域XVを示す拡大断面図である。 図16は、第5実施形態に係るスフェロイド培養容器10を示す断面図である。 図17は、図16における領域XVIIを示す拡大断面図である。 図18は、スフェロイド培養容器10の製造方法を示す模式図である。 図19は、第1実施例の観察結果を示すものである。 図20は、第1実施例の観察結果を示すものである。 図21は、第2実施例に係るスフェロイド培養容器10を示す断面図である。 図22は、第2実施例の観察結果を示すものである。
符号の説明
10・・・培養容器
11・・・側壁(壁)
14・・・底面
15・・・流入口
16・・・流出口
20,40,50,60・・・凹陥部
22,42,52,62・・・最下位置
23,43,53,64・・・斜面
30・・・懸濁液
31・・・付着性細胞
32・・・スフェロイド

Claims (1)

  1. 細胞非接着性の底面から重力方向における最下位置の周囲へ連続する半球形状又は円錐形状の斜面を有する細胞非接着性の複数の凹陥部と、上記底面から上向きへ起立する側壁を厚み方向へ貫通する流入口及び流出口と、を有する培養容器に、付着性細胞の懸濁液を注入する第1ステップと、
    上記懸濁液が注入された培養容器を静置して、当該培養容器の凹陥部においてスフェロイドを形成させる第2ステップと、
    上記懸濁液が注入されて静置されている培養容器に対して、上記流入口を通じて新たな培地を当該培養容器内へ注入し、かつ上記流出口を通じて当該培養容器内の培地を排出させる第3ステップと、を含むスフェロイド培養方法。
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