JP2016103982A - 細胞培養容器、細胞培養装置、及び細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養容器、細胞培養装置、及び細胞培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞の未分化状態を維持したまま細胞を大量に培養することのできる細胞培養容器、並びに、これを用いた細胞培養装置及び細胞培養方法を提供する。【解決手段】本発明の細胞培養容器は、ウェルを備えたプレートと、一方の面に細胞接着性表面を有する細胞培養基材と、を備えた細胞培養容器であって、前記ウェルの開口面と前記細胞接着性表面が、対向するように、前記プレートと、前記細胞培養基材が配置されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養容器、並びに、これを用いた細胞培養装置及び細胞培養方法に関する。
近年、再生医療の分野において、ヒト胚性幹細胞(以下、ヒトES細胞という)やヒト人工多能性幹細胞(以下、ヒトiPS細胞という)を用いた医療への応用研究が注目を集めている。
ヒトの臓器は、数百億から数千億単位数の細胞から構成されており、再生医療を目的として、ヒトES細胞やヒトiPS細胞等のヒト多能性細胞やヒト多能性細胞から適切に分化誘導された目的の細胞をヒトに移植するためには、移植に必要な細胞数の細胞を増殖させる培養システムの確立が必要である。
従来、ヒト多能性細胞の培養方法としては、ゼラチン等でコートされたディッシュ上に播種されたフィーダー細胞として用いられる胚性繊維芽細胞上で細胞培養を行い、コロニーを形成させるコロニー形成型培養法が採用されていた。細胞を大量に培養するプロセスにおいては、長期に亘って継代培養を行う必要がある。そのため、コロニー形成型培養法においては、一定の大きさになったコロニーを酵素処理、乃至はピペッティングなどの操作によって適切なサイズのクランプに砕き、再度フィーダー細胞上に細胞を播種し、コロニーを形成させる操作を繰り返す必要があった。
しかし、コロニー形成型培養法では、コロニーの内側と外側の細胞が生存する微小環境が異なるため、未分化維持因子がコロニー中心部まで浸透し難くなり、コロニーを構成する各細胞間に不均一性が生じることが報告されている(非特許文献1〜2参照)。
このように不均一性を有している細胞を継代し、繰り返しコロニーを形成させることにより、細胞間の不均一性が増大することとなるため、コロニー形成型培養法では、細胞の未分化状態を維持するという点において改良の余地がある。
更に、コロニー形成型培養法においては、形成されたコロニーが、細胞の未分化状態を維持した良質のものであるどうかの判断は研究者の技量に委ねられており、均質な細胞を大量に培養するには、ある程度の熟練度が要求されていた。
これに対して、近年では、フィーダー細胞を用いずに、ヒトES細胞又はヒトiPS細胞を培養するフィーダーレス培養方法も採用されている。フィーダーレス培養方法は、培養の際に、マウス胚性繊維芽細胞等のフィーダー細胞を用意する必要がない点で、再生医療への適用を考えると安全性などの面で非常に優れている。
形成されるコロニーの状態は、播種時のクランプのサイズに大きく関係するものである。クランプのサイズにばらつきが大きければ、当然接着したコロニーの大きさにもばらつきが大きくなり、クランプのサイズの違いが細胞の分化能に影響を与えるという報告もあり(非特許文献3参照)、クランプのサイズを適切にコントロールすることは、細胞の未分化状態を維持したまま細胞を増殖させるための重要な要素となっている。
このように、ヒト多能性細胞の培養は、樹立した細胞株を培養する場合と比較して、非常に不安定であり、依然として、熟練した技術が必要とされている。
Davey RE, et al., Stem Cells, (2006) vol.24,pp2538-2548. Singh AM, et al., Stem Cells, (2007) vol.25,pp2534-2542. Hwang YS, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (2009) vol.106, pp.16978-1070. Fukuda J, et al., Biomaterials, (2006) vol.27, pp.1061-1070.
このような状況において、細胞培養容器の改良が求められている。細胞培養容器におけるクランプの取扱によっては、不均一なクランプが分布することになり、培養方法を最適化しても再現性が取れないおそれがある。細胞培養容器としては、平底形状を有するミクロ加工された単純なマルチウェルプレート又はディッシュが用いられているのが現状であり(非特許文献3〜4参照)、未だ改良の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、細胞の未分化状態を維持したまま細胞を大量に培養することのできる細胞培養容器、並びに、これを用いた細胞培養装置及び細胞培養方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、下記の特徴を有する細胞培養容器、細胞培養装置、及び細胞培養方法を提供するものである。
(1)ウェルを備えたプレートと、一方の面に細胞接着性表面を有する細胞培養基材と、を備えた細胞培養容器であって、前記ウェルの開口面と前記細胞接着性表面が、対向するように、前記プレートと、前記細胞培養基材が配置されていることを特徴とする細胞培養容器。
(2)前記ウェルは、水との屈折率比が0.9〜1.1の材料より形成されてなる(1)の細胞培養容器。
(3)前記ウェルは、細胞非接着性の高分子からなるハイドロゲルを成形してなる(1)又は(2)の細胞培養容器。
(4)前記ウェルは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、若しくはポリアクリルアミド、又はこれらの混合物を重合してなるハイドロゲルを成形してなる(1)〜(3)のいずれか一つの細胞培養容器。
(5)前記ウェルは、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの混合物、又は、ポリエチレングリコール及びポリアクリルアミドの混合物を重合してなるハイドロゲルを成形してなる(1)〜(4)のいずれか一つの細胞培養容器。
(6)前記ウェルの形状は、逆ピラミッド型(四角錐)、逆多角錐、又は逆円錐型である(1)〜(5)のいずれか一つの細胞培養容器。
(7)前記ウェルのピッチは、1mm〜3mmである(1)〜(6)のいずれか一つの細胞培養容器。
(8)前記ウェルの表面粗さは、20μm以下である(1)〜(7)のいずれか一つの細胞培養容器。
(9)前記ウェルの傾斜角が、30°〜75°である(1)〜(8)のいずれか一つの細胞培養容器。
(10)酸素透過性を有する面を少なくとも一つ備えた(1)〜(9)のいずれか一つの細胞培養容器。
(11)細胞懸濁液及び培養液を導出入するための連通口を少なくとも一つ備えた(1)〜(10)のいずれか一つの細胞培養容器。
(12)(1)〜(11)のいずれか一つの細胞培養容器を備えたことを特徴とする細胞培養装置。
(13)(a)前培養で得られた細胞を分散させる工程と、
(b)(1)〜(10)のいずれか一つの細胞培養容器を、前記プレートが下になるように配置し、前記工程(a)で分散させた細胞を前記細胞培養容器内に導入し、前記ウェル内で培養して細胞集塊を得る工程と、
(c)前記細胞培養容器を前記細胞培養基材が下になるように反転させて配置し、前記細胞集塊を前記細胞接着性表面上に落下させて、該細胞接着性表面上で前記細胞集塊を更に培養する工程と、
(d)前記工程(c)で更に培養した前記細胞集塊を前記細胞接着性表面から剥離して回収する工程と、を有することを特徴とする細胞培養方法。
(14)更に、(e)前記工程(d)の後、前記工程(a)〜前記工程(d)を繰り返す工程を有する(13)の細胞培養方法。
(15)前記工程(a)において、細胞−細胞間結合及び細胞−細胞外マトリクス間結合を切断する酵素溶液を用いて細胞を分散させる(13)又は(14)の細胞培養方法。
(16)前記工程(b)において、前記均一な大きさの細胞集塊は、100細胞〜500細胞からなる(13)〜(15)のいずれか一つの細胞培養方法。
(17)前記細胞は、ヒトiPS細胞又はヒトES細胞である(13)〜(16)のいずれか一つの細胞培養方法。
本発明によれば、細胞の未分化状態を維持したまま細胞を大量に培養することができる。
本発明の細胞培養容器の実施形態を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は(a)の側断面図であり、(c)は(b)の拡大図である。 本実施形態の細胞培養容器1の側断面図を、図1(b)の断面図と天地逆に示したものである。 細胞培養槽に導入された細胞が、細胞集塊を形成して増殖後、回収されるまでの工程を示した図である。 本実施形態の細胞培養装置の実施形態を示す概略図である。 本発明の実施例における細胞培養容器の位相差画像(a)及び蛍光画像(b)である。 実施例における細胞培養容器の位相差画像であり、図6(a)は、マイクロウェル上に細胞集塊形成後のものを示し、図6(b)は細胞培養基材表面上に細胞集塊を接着させた後のものを示し、図6(c)は、細胞培養基材表面上に接着させた細胞集塊を培養し、増殖させた後のものを示す。 実施例において、細胞培養容器に播種した細胞数が、マイクロウェル上に形成した細胞集塊の大きさに与える影響(a)、細胞培養基材表面上に接着した細胞集塊の数に与える影響(b)、及び、回収率(播種した細胞数に対する回収した細胞数の割合)に与える影響(c)について検討した結果である。 実施例における細胞培養容器の位相差画像であり、図8(a)は、表1中、♯1のハイドロゲル組成のマイクロウェル上に細胞集塊形成後のものを示し、図8(b)は表1中、♯2のハイドロゲル組成のマイクロウェル上に細胞集塊形成後のものを示し、図8(c)は、表1中、♯3のハイドロゲル組成のマイクロウェル上に細胞集塊形成後のものを示し、図8(d)は、表1中、♯4のハイドロゲル組成のマイクロウェル上に細胞集塊形成後のものを示す。 実施例における細胞培養容器の位相差画像であり、図9(a)は、表1中、♯1の条件で形成させた細胞集塊を機械的衝撃により、細胞培養基材表面上に落下させたものを示し、図9(b)は、表1中、♯2の条件で形成させた細胞集塊を機械的衝撃により、細胞培養基材表面上に落下させたものを示し、図9(c)は、表1中、♯3の条件で形成させた細胞集塊を機械的衝撃により、細胞培養基材表面上に落下させたものを示し、図9(d)は、表1中、♯4の条件で形成させた細胞集塊を機械的衝撃により、細胞培養基材表面上に落下させたものを示す。
[細胞培養容器]
本発明の細胞培養容器は、ウェルを備えたプレートと、一方の面に細胞接着性表面を有する細胞培養基材と、を備えた細胞培養容器であって、前記ウェルの開口面と前記細胞接着性表面が、対向するように、前記プレートと、前記細胞培養基材が配置されている。
以下、本発明の細胞培養容器の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の細胞培養容器の実施形態を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は(a)の側断面図、(c)は(b)の拡大図である。なお、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態の細胞培養容器1は、複数のマイクロウェル2aが配列されてなるマルチウェルプレート2と、一方の面に細胞接着性表面3aを有する細胞培養基材3と、を備えた細胞培養容器であって、マイクロウェル2aの開口面と細胞接着性表面3aとが、対向するように、マルチウェルプレート2と、細胞培養基材3が配置されている。
図2は、本実施形態の細胞培養容器1の側断面図を、図1(b)の断面図と天地逆に示したものである。マルチウェルプレート2は、複数のマイクロウェル2aが配列されてなるものであれば、特に限定されず、細胞培養用の従来公知のマルチプレートであってもよい。
図2に示されるように、本実施形態に用いられるマルチウェルプレート2は、マルチウェルプレート基材2bと、このマルチウェルプレート基材2b内に形成される複数のマイクロウェル2aと、マルチウェルプレート基材2b内の空間である細胞培養槽2cを備えている。細胞培養槽2cは、培養液(液体培地)で満たされている。
本実施形態において、マイクロウェル2aは、分散した細胞から一定の大きさの細胞集塊を形成させるためのものである。後述する細胞培養方法において、形成した細胞集塊をマイクロウェル2aから速やかに脱離させる観点から、マイクロウェル2aは、水との屈折率比が0.9〜1.1の材料より形成されてなることが好ましく、細胞非接着性の高分子からなるハイドロゲルを成形してなるものであることが好ましい。マイクロウェル2aが細胞非接着性であっても、1日程度の培養であれば足場がないことにより細胞がアポトーシス(anoikis)を起こすおそれもない。
本実施形態において、ハイドロゲルとは、水を多量に含む親水性ポリマーを意味する。本実施形態に用いられるハイドロゲルの構成成分としては、細胞非接着性を有するものであれば特に限定されず、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類;ポリエチレンオキサイド;カルボキシビニルポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリエチレングリコール;ポリアクリルアミド、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等のポリアミド;キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプン、ペクチン、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、デキストラン等の多糖類;及びこれらの誘導体等が挙げられる。
中でも、細胞非接着性を有し、かつ、得られるマイクロウェルの視認性がよいという観点から、ポリエチレングリコールが好ましい。
ハイドロゲルを用いたマイクロウェル2aの成形方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)製のマルチウェルプレート基材2bにポリエチレングリコール等のモノマーを流し込んだ後、鋳型として別途作製されたPDMSスタンプを押し付け、UV照射によりモノマーを重合させることにより、マイクロウェル2aが成形される。
また、本実施形態においてマイクロウェル2aは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、若しくはポリアクリルアミド、又はこれらの混合物を重合してなるハイドロゲルを成形してなるものであることが好ましく、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの混合物、又は、ポリエチレングリコール及びポリアクリルアミドの混合物を重合してなるハイドロゲルを成形してなることがより好ましい。
本実施形態の細胞培養容器1がiPS細胞の培養に用いられる場合、マイクロウェル2aの形状は、逆ピラミッド型(四角錐)、逆多角錐、又は逆円錐型であることが好ましい。iPS細胞は、他の細胞と比較して運動性が低いため、マイクロウェル2aの形状が平底形状の場合には、各マイクロウェルに沈降した細胞が、集まって細胞集塊を形成することが難しい。一方、マイクロウェル2aの形状が、逆ピラミッド型(四角錐)、逆多角錐、又は逆円錐型である場合には、細胞がマイクロウェル2aの斜面を利用して一箇所に集まり、細胞集塊を形成しやすくなる。
更に、細胞集塊を直径1mm〜2mmの大きさにまで培養する場合には、マイクロウェル2aのピッチは、1mm〜3mmであることが好ましい。ここで、マイクロウェル2aのピッチとは、隣接するマイクロウェルにおける底面の中心間の長さをいう。例えば、図2において、Lで表される長さを示す。
また、細胞集塊の形成しやすさの観点から、ウェルの傾斜角は、30°〜75°が好ましく、40°〜70°がより好ましく、50°〜65°が特に好ましい。ウェルの傾斜角とは、例えば、図2において、θで表される角度を示す。
また、細胞を効率的にマイクロウェル内に落下させるためには、マイクロウェルの表面粗さは、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
図2に示されるように、本実施形態の細胞培養容器1を構成する細胞培養基材3は、マルチウェルプレート2の蓋部としての役割を果たす。更に、細胞培養基材3は、細胞培養容器1の内側に相当する一方の面に細胞接着性表面3aを有する。即ち、細胞培養容器1において、マイクロウェル2aの開口面と細胞接着性表面3aが、対向するように、マルチウェルプレート2と、前記細胞培養基材3が配置されている。
係る配置により、細胞培養容器1を天地逆に反転させて、細胞培養基材3が下になるように設置した場合に、マイクロウェル2a上で培養されてきた細胞(細胞集塊)は細胞接着性表面3aに付着し、細胞培養基材3上で培養される。
細胞培養基材3の材質としては、特に限定されず、細胞培養用マルチプレートに用いられる従来公知の材質が挙げられる。具体的には、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリエチレン、ポリノルボルネン、スチレン−ブタジエン共重合体;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、メラニン樹脂;ポリカプロラクトン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド;等のポリマーが挙げられ、汎用性の観点からポリスチレンが好ましい。
細胞接着性表面3aを構成する材質としては、フィーダーレス培養においても、細胞の分化多能性の維持できる観点から、細胞外マトリックス成分が好ましい。細胞外マトリックス成分としては、コラーゲン、アテロコラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、プロテオグリカン、グルコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、又は、ゼラチン、或いは、ラミニン、コラーゲンIV、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、及びエンタクチン/ニドジェン1,2等を主成分として含有するマトリゲルが挙げられる。 これらの中でも、マトリゲル、ラミニン、ビトロネクチンがより好ましい。
また、マトリゲルは、Engelbreth−Holm−Swarm(EHS)マウス肉腫から抽出した可溶性基底膜成分であるため、ヒトへの移植を目的として細胞培養を行う場合には適していない。
従って、異種由来の成分を含まないゼノフリー条件下において、細胞接着性表面3aを構成する材質としては、ラミニン又はビトロネクチンが特に好ましい。
本実施形態の細胞培養容器1は、マイクロウェル2a上での細胞培養に用いられた後、反転され、細胞接着性表面3a上での細胞培養に用いられる。反転することにより細胞培養容器1から培地が漏洩するとコンタミネーションを生じるおそれがあるため、細胞培養容器1は、密封性を有していることが好ましい。
更に、細胞培養容器1が密封性を有する場合には、培養容器内外でガス交換ができるようにする必要があることから、細胞培養容器1は、細胞培養容器1を構成する表面の内、酸素透過性を有する表面を少なくとも一つ備えていることが好ましい。
また、研究者の技量に依存せずに、均質な細胞を大量に培養するには、細胞培養は、極力自動化されることが好ましい。そのため、細胞培養容器は、細胞懸濁液及び培養液を導出入するための連通口を少なくとも一つ備えていることがより好ましい。
本実施形態の細胞培養容器1は、マルチウェルプレート2が細胞培養基材3と接する面とは反対の面に接続部4が備え付けられている。細胞培養容器1は、接続部4を介して、図示略の細胞培養装置と接続される。マルチウェルプレート基材2b及び接続部4は、細胞培養槽2cと、自動培養装置とを、連通するための連通口4aを有する。連通口4aは、自動培養装置から細胞懸濁液及び培養液を導出入するためのものであり、細胞培養容器1が連通口4aを有することにより、細胞培養槽2cは、外気に触れることなく適宜培地交換され、所定数まで培養された細胞は、無菌状態で回収される。
[細胞培養方法]
本発明の細胞培養方法は、
(a)前培養で得られた細胞を分散させる工程と、
(b)本発明の細胞培養容器を前記プレートが下になるように配置し、前記工程(a)で分散させた細胞を前記細胞培養容器内に導入し、前記ウェル内で培養して細胞集塊を得る工程と、
(c)前記細胞培養容器を前記細胞培養基材が下になるように反転させて配置し、前記細胞集塊を前記細胞接着性表面上に落下させて、該細胞接着性表面上で前記細胞集塊を培養する工程と、
(d)前記工程(c)で培養した前記細胞集塊を前記細胞接着性表面から剥離して回収する工程と、を有する。
以下、本発明の細胞培養方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
工程(a)は、前培養で得られた細胞を分散させる工程である。本実施形態の培養方法によれば、培養環境によって性質の変わりやすい細胞を、その性質を変えることなく、大量に培養することが可能である。従って、本実施形態の細胞培養方法の対象となる細胞としては、培養の難しいヒト多能性細胞が好ましく、ヒトiPS細胞又はヒトES細胞がより好ましく、ヒトiPS細胞が特に好ましい。
前培養における培養方法は、後記工程(b)において、細胞培養容器に播種するために必要な細胞数の細胞を培養できるものであれば特に限定されず、例えば、フィーダー細胞上で細胞を培養する従来公知の培養法が挙げられる。また、後記工程(d)で得られる細胞を前培養で得られた細胞として用いてもよい。
従来の培養方法においては、継代の際、細胞−細胞外マトリクス間結合を切断するが、細胞−細胞間結合を完全に切断することなく、細胞を適度な大きさのコロニー形態を維持した状態で播種する方法が採られていた。
しかし、本実施形態の工程(a)において、細胞−細胞間結合及び細胞−細胞外マトリクス間結合を切断する酵素溶液を用いて細胞を分散させることが好ましい。即ち、細胞を1〜10個の細胞集塊にまで分散させることが好ましく、単細胞ごとに分散させることがより好ましい。これにより、細胞数をカウントすることが可能となり、任意に設定された条件の再凝集塊を得ることができるため、播種時の条件を均一化でき、均一な性質を有する細胞を大量に培養することができる。
工程(a)に用いられる酵素としては、例えばAccutase(商品名)が挙げられる。
培養に用いられる液体培地としては、特に限定されないが、合成培地が好ましく、異種成分を含まない(ゼノフリー)合成培地がより好ましい。市販されている合成培地としては、ReproFF2(商品名)(株式会社リプロセル製)、mTeSR1(商品名)(StemCell Technologies社製)、TeSR2(商品名)(StemCell Technologies社製)、StemPro hESC SFM(商品名)(Life technogies社製)、hESF−GRO(商品名)(株式会社細胞科学研究所製)等が挙げられる。
工程(b)は、上述した本実施形態の細胞培養容器1を、マルチウェルプレート2が下になるように配置し、前記工程(a)で分散させた細胞を細胞培養容器1内に導入し、各マイクロウェル間で均一な大きさの細胞集塊を得る工程である(図2参照。)。
工程(a)において分散させた細胞は、連通口4aから、細胞培養容器1を構成する細胞培養槽2c内に導入される。
図3(a)〜(d)は、細胞培養槽に導入された細胞が、細胞集塊を形成して回収されるまでの工程を示した図である。以下、図3を参照しながら説明する。
細胞培養容器1に導入後の細胞10は、細胞培養槽2c内を均一に分散する(図3(a)参照)。各マイクロウェル2a中に同数の細胞10を沈降させるためには、細胞導入後、1日静置培養することが好ましい。
上述した様に、iPS細胞を培養する場合には、他の細胞と比較して運動性が低いため、マイクロウェル2aの形状が、逆ピラミッド型(四角錐)、逆多角錐、又は逆円錐型であることが好ましく、係る形状により、分散した細胞10が集まって細胞集塊11を形成しやすくなる。
1日静置培養後、各マイクロウェル2a間で均一な大きさの細胞集塊11が得られる(図3(b)参照)。細胞集塊11は、50個〜2000個の細胞10からなることが好ましく、100個〜500個の細胞10からなることがより好ましい。例えば、細胞集塊が500個の細胞からなる場合、その細胞集塊の直径は、約200μmである。
細胞集塊11が係る個数の細胞10からなることにより、細胞の回収率(回収した細胞総数を、細胞培養槽に導入された細胞数で割った値)が高いものとなる。
工程(c)は、細胞培養容器10を細胞培養基材3が下になるように反転させて配置し、細胞集塊11を細胞接着性表面3a上に落下させて、細胞接着性表面3a上で細胞集塊11を培養する工程である。
工程(b)において細胞集塊11は、マルチウェルプレート2を構成するマイクロウェル2a中で形成されたものである。そのため、細胞培養基材3が下になるように細胞培養容器10を反転させて配置した場合には、マルチウェルプレート2から落下した細胞集塊11は、マイクロウェル2aの配置に従って、細胞接着性表面3a上にアレイ状に配置される(図3(c)参照)。
上述した様に、細胞接着性表面3aは、マトリゲル、ラミニン、ビトロネクチン等から構成されるものであることが好ましく、細胞集塊11は、細胞接着性表面3aに接着し、足場依存的に増殖する。工程(c)において、培地は連通口4aから半連続的にかん流されることが好ましく、6日程度培養することが好ましい。工程(c)を経ることにより、直径1mm〜2mm程度の細胞集塊12が得られる(図3(d)参照)。係る細胞集塊12の直径は、上述したマイクロウェル2aの好ましいピッチに対応する。細胞集塊12の直径が、1mm〜2mm程度の場合には、細胞接着性表面3a上の細胞集塊同士が結合して、細胞がパイルアップすることにより、細胞の培養環境が変化するおそれがなく、培養面積及び培地が不足して細胞集塊の増殖が妨げられるおそれもない。
工程(d)は、前記工程(c)で更に培養した細胞集塊12を細胞接着性表面3aから剥離して回収する工程である。
細胞集塊12を細胞接着性表面3aから剥離するために用いられる酵素としては、例えばAccutase(商品名)(イノベーティブ セル テクノロジーズ社製)が挙げられる。係る酵素を用いた剥離方法としては、トリプシン等を用いて行う従来公知の方法が適用される。
本実施形態の細胞培養方法は、更に工程(e)を有していてもよい。工程(e)は、前記工程(d)の後、前記工程(a)〜前記工程(d)を繰り返す工程である。係る工程により、細胞の未分化状態を維持したまま、移植に必要な細胞数まで細胞を増殖させることができる。
[細胞培養装置]
本発明の細胞培養装置は、本発明の細胞培養容器を備えたものである。一例として、本実施形態の細胞培養装置20は、細胞培養容器1と、細胞培養容器1を支持する試料台21と、細胞培養容器1を反転させるための可動部分22と、観察装置23と、インキュベーション装置24と、容器搬送装置25と、細胞懸濁液及び培養液を導出入するためのポンプ31と、培養液貯蔵タンク27と、廃液貯蔵タンク28、灌流用基板29と、流路30と、を備えている(図4参照)。
インキュベーション装置24は、細胞培養容器1中の細胞を培養するための装置であり、図示略の温度調整装置、湿度調整装置、及びCO濃度制御装置を備えている。インキュベーション装置24内は、例えば、温度37℃、湿度90%、CO濃度5%の雰囲気下に維持されている。
また、インキュベーション装置24は、複数の棚を有しており、細胞培養容器1を、各々の棚に収容することができる。
試料台21は、透光性の材質で構成されており、細胞培養容器1を支持している。更に、試料台21は、細胞培養容器1を反転させるための可動部分22を備えており、細胞の培養時期によって、細胞をマイクロウェル上で培養するか、細胞接着性表面上で培養するか、適宜選択される。
灌流用基板29は、細胞培養容器1と、培養液貯蔵タンク27又は廃液貯蔵タンク28と、をそれぞれ繋ぐための基板である。細胞培養容器1と各タンクは、流路30を介して接続され、細胞培養容器1内の液体培地は、連通口4aを通って供給及び排出される。この培地の供給及び排出は、ポンプ31によって制御され、液体培地は、半連続的に灌流される。
観察装置23は、試料台21に支持された細胞培養容器1内の細胞を観察するための装置であり、図示略の位相差顕微鏡、及び撮像装置を備えている。
容器搬送装置25は、細胞培養容器1を各装置に搬送するための装置である。この容器搬送装置25を用いることにより、本実施形態の細胞培養装置20を用いた細胞培養方法は自動化される。自動細胞培養方法の一例を挙げると、容器搬送装置25は、細胞培養容器1をインキュベーション装置24から取り出し、支持台21に載置する。細胞培養容器1中の細胞は、観察装置23によって撮像された後、細胞培養容器1は可動部分22によって反転される。反転後、容器搬送装置25は、細胞培養容器1をインキュベーション装置24に格納する。所定期間培養後、容器搬送装置25は、細胞培養容器1を再度インキュベーション装置24から取り出し、支持台21に載置する。細胞培養容器1中の細胞は、観察装置23によって撮像された後、回収される。
本発明において、アレイ状に細胞を配列させ、この細胞から細胞集塊を形成させた後、反転して、細胞集塊を接着培養することのできる細胞培養容器が見出された。本発明の細胞培養方法は、本発明の細胞培養容器を用いたものであるため、細胞の培養環境を変えることなく、反転という操作だけで、簡便に細胞を培養することができる。
更に、本発明の細胞培養装置は、本発明の細胞培養容器を用いたものであるため、細胞培養の自動化を可能とするものである。
従って、本発明によれば、研究者の熟練を要していたヒトES細胞やヒトiPS細胞を、誰もが簡便に未分化状態を維持したまま培養することができ、再生医療に貢献することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
≪実施例1≫
<マイクロウェル培養チップ(細胞培養容器)の作製>
[マルチウェルプレートの作製]
図2に示されるポリジメチルシロキサン(PDMS)製のマルチウェルプレート基材2bに、イルガキュア2959(BASF社製)を1質量%含有し、FITCラベルされたデキストラン(分子量100万)を0.01質量%含有したポリエチレングリコール−ジアクリレート(分子量1000)を流し込んだ後、鋳型として別途作製されたPDMSスタンプを押し付け、UV照射によりポリエチレングリコールを重合させることにより、マイクロウェル2aを成形した。PDMSスタンプをマイクロウェル2aから剥がした後、エタノールで洗浄した後、滅菌済みのPBSで一晩洗浄した
尚、PDMSスタンプは、シリコンエラストマーベースソリューションとキュアリング剤を10:1の質量比で混合した混合液をパターン化したシリコン鋳型に流し込み成形した。
このようにして作製したマルチウェルプレートを、蛍光顕微鏡を用いて観察した。結果を図5(b)に示す。図5(b)は、細胞培養基材が下になるように細胞培養容器を反転させたときの蛍光画像であり、蛍光標識された1mmのピッチのマイクロウェルが成形されていることが確認された。
PDMSマルチウェルプレート基材2bに穴をあけ、チューブを接続し、流路付きマルチウェルプレートを得た。
[細胞培養基材の作製]
マトリゲル(BD Bioscience社製)をDMEMで40倍に希釈した溶液を、ポリスチレン製基板上に滴下し、図2に示される細胞培養基材3を得た。
作製したマルチウェルプレートと細胞培養基材を重ね合わせマイクロウェル培養チップを得た(図5(a)参照)。
≪実施例2≫
実施例1で作製したマイクロウェル培養チップのマイクロウェル側を底にして配置し、各マイクロウェルに沈降する細胞数が、2000個になるように、マイクロウェル培養チップにiPS細胞を導入した。導入後、細胞を4時間断続的にタッピングしながら培養し、ミクロウェルの底に集めた。さらに16時間静置して培養したところ、所定数のiPS細胞はマイクロウェルに沈降し、細胞集塊を形成した。このマイクロウェル培養チップの位相差画像を図6(a)に示す。図6(a)中、細胞集塊を矢印で示し、線は1000μmを表す。
その後、マイクロウェル培養チップを反転させて配置し、細胞集塊を細胞培養基材表面上に沈降させた。このマイクロウェル培養チップの位相差画像を図6(b)に示す。図6(b)中、細胞集塊を矢印で示し、線は1000μmを表す。沈降した細胞集塊の数は半分以下に減少したが、細胞集塊が細胞培養基材表面上に播かれたことが確認された。
その後、マイクロウェル培養チップに、5日間、半連続的に液体培地ReproFF2(商品名)(株式会社リプロセル社製)を灌流し、細胞培養基材表面上で、細胞集塊を接着培養した。細胞は、アレイ状の配置を維持したまま細胞培養基材表面上で増殖した。このマイクロウェル培養チップの位相差画像を図6(c)に示す。図6(c)中、線は1000μmを表す。
図6(a)に示すように、播種したiPS細胞は、各マイクロウェル中に均一な大きさの細胞集塊を形成し、図6(c)に示すように、細胞集塊は、マイクロウェルの配置に従って、細胞接着性表面上にアレイ状に配置し、増殖していることが確認された。
≪実施例3≫
実施例1で作製したマイクロウェル培養チップのマイクロウェル側を底にして配置し、各マイクロウェルに沈降する細胞数が、31個、125個、500個、2000個になるように、マイクロウェル培養チップにiPS細胞を導入した。導入後、1日静置培養したところ、所定数のiPS細胞はマイクロウェルに沈降し、細胞集塊を形成した。各細胞集塊の直径を図7(a)に示す。図7(a)に示すように、各細胞集塊の直径は、それぞれ70μm、130μm、160μm、250μmであり、マイクロウェルに沈降した細胞の数に応じた大きさの細胞集塊の形成が確認された。
その後、マイクロウェル培養チップを反転させて配置し、細胞集塊を細胞培養基材表面上に沈降させた。マイクロウェル培養チップに、6日間、半連続的に培地を灌流し、細胞培養基材表面上で、細胞集塊を接着培養した。
反転後2日間培養し、細胞培養基材表面上に沈降した細胞集塊の接着率を図7(b)に示す。接着率は、接着したコロニーの数及び沈降した細胞集塊の数から算出した。図7(b)に示すように、各マイクロウェルに沈降する細胞数が、500個以上となるように細胞を播種した条件であれば、細胞集塊の高い接着率が得られることが確認された。
反転後5日間培養し、細胞集塊をAccutase(商品名)で処理し、回収した。各マイクロウェル培養チップにおいて、播種した細胞数に対する回収した細胞数の割合を生産率として算出した。結果を図7(c)に示す。各マイクロウェルに沈降する細胞数が、31個となるように細胞を播種した条件で生産率が180%であることが確認された。各マイクロウェルに沈降する細胞数が、125個、500個、2000個になるように、細胞を播種した条件では、生産率が210%であることが確認された。
≪実施例4≫
<マイクロウェル培養チップ(細胞培養容器)の作製>
[マルチウェルプレートの作製]
図2に示されるポリジメチルシロキサン(PDMS)製のマルチウェルプレート基材2bに、イルガキュア2959(BASF社製)を1質量%含有し、ポリエチレングリコール−ジアクリレート(PEGDA;分子量1000)と、ビニルピロリドン(VP)、アクリルアミド(AAm)、ソジウムアクリレート(AANa)、又はポリエチレングリコール−メタアクリレート(PEGMA)を表1の組成で含む水溶液を流し込んだ後、鋳型として別途作製されたPDMSスタンプを押し付け、UV照射(90mJ/cm、1000 sec)により重合させることにより、マイクロウェル2aを成形した。PDMSスタンプをマイクロウェル2aから剥がした後、エタノールで洗浄した後、滅菌済みのPBSで一晩洗浄した
その後、実施例1、2に記述されているようにPDMSマルチウェルプレートを加工し、 マトリゲルコートし、マイクロウェル培養チップを得た。
濃度2000cells/microwellの細胞懸濁液をチャンバーに導入し、導入24時間後までインキュベータ内で静置した。図8に導入24時間後の顕微鏡観察像を示す。VPおよびAAmを導入した系の細胞集合性は良好であった。その後、チャンバーに培地を充填した状態でプレートの上下を反転し、プレート上方より機械的衝撃を負荷した。図9に遊離処理後の顕微鏡観察像を示す。遊離したペレット数を表1に記載した。今回検討したVPおよびAAmを主成分としたハイドロゲルは細胞集合性、ペレット遊離性ともに良好であった。透明性および取扱性からVP主成分のハイドロゲルを利用することが産業上最も有用であると考えられる。
以上の結果から、本発明によれば、細胞の未分化状態を維持したまま細胞を大量に培養することができることが明らかである。
1…細胞培養容器、2…マルチウェルプレート、2a…マイクロウェル、3…細胞培養基材、3a…細胞接着性表面、4…接続部、4a…連通口、10…細胞、11,12…細胞集塊、20…細胞培養装置、21…試料台、22…可動部分、23…観察装置、24…インキュベーション装置、25…容器搬送装置、26…ポンプ、27…培養液貯蔵タンク、28…廃液貯蔵タンク、29…灌流用基板、30…流路、31…ポンプ

Claims (17)

  1. ウェルを備えたプレートと、一方の面に細胞接着性表面を有する細胞培養基材と、を備えた細胞培養容器であって、
    前記ウェルの開口面と前記細胞接着性表面が、対向するように、前記プレートと、前記細胞培養基材が配置されていることを特徴とする細胞培養容器。
  2. 前記ウェルは、水との屈折率比が0.9〜1.1の材料より形成されてなる請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 前記ウェルは、細胞非接着性の高分子からなるハイドロゲルを成形してなる請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記ウェルは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、若しくはポリアクリルアミド、又はこれらの混合物を重合してなるハイドロゲルを成形してなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  5. 前記ウェルは、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの混合物、又は、ポリエチレングリコール及びポリアクリルアミドの混合物を重合してなるハイドロゲルを成形してなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  6. 前記ウェルの形状は、逆ピラミッド型(四角錐)、逆多角錐、又は逆円錐型である請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  7. 前記ウェルのピッチは、1mm〜3mmである請求項1〜6のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  8. 前記ウェルの表面粗さは、20μm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  9. 前記ウェルの傾斜角が、30°〜75°である請求項1〜8のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  10. 酸素透過性を有する面を少なくとも一つ備えた請求項1〜9のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  11. 細胞懸濁液及び培養液を導出入するための連通口を少なくとも一つ備えた請求項1〜10のいずれか一項に記載の細胞培養容器。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の細胞培養容器を備えたことを特徴とする細胞培養装置。
  13. (a)前培養で得られた細胞を分散させる工程と、
    (b)請求項1〜10のいずれか一項に記載の細胞培養容器を、前記プレートが下になるように配置し、前記工程(a)で分散させた細胞を前記細胞培養容器内に導入し、前記ウェル内で培養して細胞集塊を得る工程と、
    (c)前記細胞培養容器を前記細胞培養基材が下になるように反転させて配置し、前記細胞集塊を前記細胞接着性表面上に落下させて、該細胞接着性表面上で前記細胞集塊を得る工程と、
    (d)前記工程(c)で培養した前記細胞集塊を前記細胞接着性表面から剥離して回収する工程と、を有することを特徴とする細胞培養方法。
  14. 更に、(e)前記工程(d)の後、前記工程(a)〜前記工程(d)を繰り返す工程を有する請求項13に記載の細胞培養方法。
  15. 前記工程(a)において、細胞−細胞間結合及び細胞−細胞外マトリクス間結合を切断する酵素溶液を用いて細胞を分散させる請求項13又は14に記載の細胞培養方法。
  16. 前記工程(b)において、前記均一な大きさの細胞集塊は、100〜500細胞からなる請求項13〜15のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
  17. 前記細胞は、ヒトiPS細胞又はヒトES細胞である請求項13〜16のいずれか一項に記載の細胞培養方法。
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