JP5578631B2 - 研ぎ工具 - Google Patents

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Description

本発明は、包丁を正しく研ぐ工具に関するものである。
庖丁には、図1の(a)に示すような片刃包丁と(b)に示すような両刃庖丁がある。
片刃庖丁の裏面はおよそ平面であるが、和庖丁には裏スキ18という凹みが作られている。表は刀身11に切刃12が付いて、その境界にしのぎ筋13という段差が生じ、先端が刃先14となる。
両刃庖丁は、表と裏に切刃が付いている。表と裏では断面形状が異なるように作られるものもある。
刀身の構造は庖丁の性格を決める重要な要因である。
図2に代表的な刀身の構造を示した。分かりやすくするために誇張して作図した。
(a)は段付形状で、安価な庖丁にみられるものである。
(b)はハマグリ形状で、食い込みと強度とさばき性の良さで、理想的な構造と言える。
(c)は本刃付け構造で、鋭い刃先で切れ味に優れるが、刃欠けや刃割れを起こしやすい。
図3の(a)に刃先の微細な構造を示した。切刃12の角度は18度〜25度程度である。刃先にはさらに小刃15を付けるのが良い。小刃は巾が略0.02〜0.2mmの小さなもので、30〜35度程度の角度である。小刃には微少な鋸目16が生じるように研ぎ、この鋸目が切れ味をさらに良くする。小刃の先端には1μm程度の小刃先17が存在する。小刃を付けることによる切れ味の低下はほとんど無く、切れ味の持続は小刃の無い場合より10倍はあると言う。
小刃にはもう一つの必然性がある。庖丁の素材は焼き入れ鋼やステンレス鋼である。鋼は微細には組織構造を持つもので、薄く研ぐと炭化物粒子などの組織粒の脱落による欠けが生じる。ステンレス鋼の場合はさらに図4のように極薄のバリが刃先に大きく成長する。これらを防止し除去するのに小刃は有効である。場合によっては小刃の半角15度以上の45度程度に刃を立てて軽く研いで、小刃先のバリを除去するのが有効な場合がある。
小刃は一般的には直線であるが、この部分もハマグリ形状として、切れ味と耐久性を持たせる工夫を施したものもある。特許文献1、2は、ハマグリ形状の小刃を付ける研ぎ道具である。
図3の(b)は直線形状の小刃、(c)はハマグリ形状の小刃を示す。
切っ先からあご(柄の側の刃先端)まで、切刃は直線状で一定の角度を保つことが良い庖丁の条件である。
研ぎ直しで、切刃の直線形状を保つための道具として、特許文献3〜8の大半が商品化されている。
切刃の直線形状に加えて、刃先からあごまでの切刃の角度を一定に保つ道具として、特許文献9が出願されている。
庖丁の切れ味は刃が薄ければ薄いほど良い。耐久性と剛性は薄いほど低い。切れ味と耐久性や剛性を両立させる工夫の結果がハマグリ刃と小刃である。
ハマグリ刃には更にさばき性の向上という効果も付加される。平面の刃では、食材などが平面に吸い付いて食い込み抵抗が増し、切りはなした食材なども吸い付いて剥がれにくい。この吸着力は水分が介在するので想像する以上に大きい。さばき性とは、食い込みと剥離が容易なことであり、ハマグリ刃の僅かの曲面が空気の流入を助けて、真空吸着現象を軽減する。真空吸着したものを、真直ぐ引き剥がすのではなく、端からむくように剥がすのが楽であることを想像すれば分かりやすい。
カミソリの刃先角度は15度以上と言われている。これに比して庖丁の刀身を下記のように数値化してみると、庖丁の刀身構造が想像以上に薄く鋭いことが分かる。
薄刃庖丁の場合、刀身本体は最大厚み部分で1〜2mmである。40mm巾の楔形状と仮定すると、楔の角度は3度程度である。表面に僅かの曲率を持たせたものでも、部分的な曲率半径は略200mm以上で、刃先での接線角度は6度程度である。このまま研ぎ澄ましたとすると相当に鋭い刃先になる。大きめの6度でも刃先から略1mmの位置で0.1mmの薄さである。
庖丁の研ぎで刀身につける鋭い角度を一番角、切刃につける角度を二番角、小刃につける角度を三番角ということにする。
まとめると、一番角は薄刃庖丁では5度程度、二番角は18〜25度程度、三番角は30〜35度程度である。
そして、各角度の付け方、寸法、形状、表裏の差異などは、切る対象物や目的に応じて調節するのがベストと言われ、プロ仕様の庖丁の種類は多岐にわたっている。
一方、家庭用の庖丁は多目的用途に程ほど適するように、妥協線で製作されている。
一般に研ぎ直しというのは、切刃を研ぐことを指す。小刃の効力は教わらないと知らない人も多いので、必ず付けているとは限らない。
切刃は巾が狭いために、慣れないと角度を一定に保つのが難しい。角度を一定に保つための工夫は古くから数多く考案されてきた。(特許文献9)
簡易シャープナーは小回転砥石やダイスプレートなどで切刃のみを鋭くする道具である。
しかし、刀身を薄くする研ぎを行わなければ、本当に切れる庖丁にはならない。この研ぎを、研ぎ卸しとか、奥まで抜く(研ぐ)などと称する。英語ではflattingである。研ぎ直しは切刃の巾が過大になる前までの研ぎであり、数回の研ぎ直しを行うと1回の研ぎ卸しを行うのが良い。
刃先の欠けを修復する場合も研ぎ卸しが必用である。
研ぎ卸しは、刀身の1/3程度を削り落とすように研ぐ。どの程度の巾を研ぎ卸すかは、目的や好みによって変える。薄刃庖丁の場合、研ぎ卸しによる一番角は5度前後となる。
研ぎ卸しの目安をつける為に、鈍い角度の小刃をつけて、小刃が均一に消えるまで研ぐと良い。刃欠けがある場合、刃先の曲線を矯正する場合、刃先の曲線を滑らかにする場合には特に有効である。
研ぎ傷の付き具合と目安の小刃の減り具合を観察しながら、圧力をかける位置や柄の握り加減で角度と力を調整して、切っ先からあごまで均等になるように研ぐ。
良好なな研ぎ卸しと研ぎ直しを継続してきた場合は、研ぎ卸しも大した作業ではないが、刃欠けの修復や刀身を自分流に修正するような研ぎ卸しは、相当な労力が必要である。大きな修正研ぎの場合は、荒砥から中砥へと段階を踏んだ方が早い。
この研ぎ卸しは基本的に平面に研ぐので、段刃となる。本刃付けの場合はこのまま仕上げ砥で研ぎ上げて微少の小刃止めをする場合もある。
段刃の部分をローリング研ぎで丸めて行くと、ハマグリ形状にできる。本刃付けの場合でも微少なハマグリ形状にした方が良い場合もある。ローリング研ぎで気をつけるのは、決して刃先ローリングにならないようにすることである。
ハマグリ形状にする時は徐々に研ぎ進める。中砥から仕上げ砥を使用する。「研ぎ卸し部分は切刃の上部にあるのだから問題なかろう」と、荒い研ぎ傷を残すと、切刃と小刃の研ぎが微少な場合はその傷が刃先に大きな欠けを作るので、注意が必要である。従って、中砥から仕上げ砥で良く仕上げるのが良い。
研ぎ卸しが完了したら、研ぎ直しを行う。研ぎの角度を10度などと一定にして、切刃を形成する。表と裏では角度を変える場合もある。例えば右利きの庖丁であれば、裏は8度に研ぐなどである。このとき、狙い通りに真直ぐ切り込むために、表と裏の研ぎの度合いを6:4とか7:3などと、裏を少なめに研ぐことも行われる。
切刃の巾は切れ味重視の場合は略0.2mmなど狭くて良い。この時のしのぎ筋の位置での厚さは略0.07mmである。
研ぎ卸し直後の研ぎ直しは軽い研ぎであり、一回の作業であるので、角度を均一にするのは比較的容易である。しかし、2度目以降の研ぎ直しでは、前回の角度と同じにする所に難しさがある。研ぎ直しの回数が多くなるに従って研ぎの度合いも多くなり、ここで角度が同一でないと、段刃になったり、丸刃になったり、刃先が研げなかったりする。
ここで、研ぎなおし角度を一定にする道具(特許文献3〜9)は慣れない人には有効である。
切刃のしのぎ筋が刃先から1mmになるほど研ぎ直しを重ねると、しのぎ筋の位置での厚さは略0.35mmにもなる。こうなる前に次の研ぎ卸しを行うのが良い。下手な研ぎ直しをすると、どうしても一回の研ぎ量が増え、庖丁は早く消耗する。毎回の角度の再現性で研ぎ直しの量を最低限にするという意味で、角度を一定にする道具は有効である。角度に再現性があると、砥粒も細かいもので良く、いきなり仕上げ砥石で鏡面に仕上げただけでも済むことが多い。
なお、特許文献3〜8の道具は、切っ先からあごまでの刃先角度が均一にはならない。切っ先からあごまでの刃先角度を均一にするには、特許文献9のように刃先から等距離にあるジグを用いる必用がある。
本刃付けの場合は、切刃を入れるのを省略して、次の小刃止めに移る。または、切刃を微少な小刃なみの軽い研ぎとして終了させる。
研ぎ直しが終了したら、小刃止めを行う。庖丁の傾斜角度を15度などとして、細かい目の砥石でごく軽く研いで、バリも除去する。この時、表の庖丁の方向は図5(a)のように略45度、裏の包丁の方向は(b)のように略90度として、表裏の微少な研ぎ傷が斜めに交差するようにすると、小刃には細かい鋭い鋸目が生じて、引き切りの切れ味を数段向上できる。
小刃は糸引き刃ともいうように、極めて微少な刃であるが、長切れ(切れ味を長く保つこと)には大変有効である。
さらに長切れさせるために、図3(c)のように小刃もハマグリ形状とする場合もあるが、手作業で均一に仕上げるのはなかなか難しい。特許文献1は道具というよりは装置であり、特許権を18年間保持しているということは、生産設備として使っていると推測する。特許文献2はシャープナーである。一般のシャープナーは鋸目が作れないので切れ味は低下するはずある。刀身を薄くすることも出来ないから、切れ味の回復には限界がある。メーカのホームページにもシャープナーに関して「切れ味をお買い上げ当初のように戻すには、砥石をお使い頂くか、弊社の砥ぎ直し(有料)サービスをご利用ください。」と記述されている。
どのように上手く研ぎ上がっても、バリが残っていると切れ味は極端に低下する。
ステンレス庖丁などで図4のような長い薄いバリが充分取れない場合は、先に研ぎの傾斜角度を小刃の半角15度よりも大きく立てて極めて軽く研ぎ落としてから、小刃止めするのが良い場合もある。この作業は研ぎ卸しの直後に入れた方が良い場合もある。
バリは、砥石の木台や木製台座、固く丸めた新聞紙や、固い厚紙などを切ったり擦ったりすることでも除去できる。
バリは刃先だけではなく、切刃のしのぎ筋に残っている場合もあるので、庖丁全体を木台や木製台座で磨くような作業も有効である。
砥石は、荒砥、中砥、仕上げ砥に大別される。
荒砥は120〜400番くらいの砥粒で作られる。略150〜40μmの径に相当する。
中砥は600〜1500番くらいの砥粒で作られる。略31〜9μmの径に相当する。
仕上げ砥は4000〜12000番くらいの砥粒で作られる。略3〜1μm以下の径に相当する。
砥石には充分に水を吸わせて、研ぎ汁を流さないようにして研ぐことが必要である。研ぎ汁は脱落砥粒の転がり効果と微細化で、研ぎの進行を促進すると共に、滑らかな研ぎ味と仕上がりを得る効果がある。
滑らすように、無理な力は入れないで研ぐ。
長く使った砥石は平面ではなくなる。曲がった砥石で研ぐと良好な刃付けはできない。そのために、砥石は平面に矯正することも必要である。専用の工具もあるが、平らなセメントブロックにこすりつけて削り落とす方法もある。
このように、研ぎ卸しと研ぎ直しと小刃止めの作業は全て手作業で、その大半は熟練に依存している。3つの工程を知らず、研ぎ直しのみを繰り返している人も多い。
研ぎ直しさえうまく出来ないために、簡易シャープナーで済ませたり、有料の研ぎサービスに頼んだり、新品に買い換えたりする人が大半である。ある簡易シャープナーは300万個売り上げたということであるから、臨時処置で済まして、本格的な切れ味を体験出来ないでいる人が大変多いということである。
研ぎ卸しは、研ぎ傷の様子と目安の小刃の減り具合を頻繁に確認をしながら、角度や力の入れ方や押す位置を微調整しながら行う作業で、慣れない人には負担が多い。
研ぎ卸しの段刃を丸めてハマグリ形状にするローリング研ぎは、刃先ローリングとなると致命傷となることもあり、注意が必要である。
本格的な正しい研ぎを行うための便利な道具はまだ提供されていない。特に刀身と小刃の2つのハマグリ形状を綺麗に均一に正しく簡便に作る道具は実用化されていない。
砥石による研ぎが敬遠されるもう一つの原因は、砥石のメンテナンスである。
砥石は使用する前に30分位水に浸して充分に水を吸わせる必用がある。使用後は充分に乾す必要がある。数日は乾さないと、図6のように、保管の間に本体や木台や箱にカビが発生することがある。
砥石は重く脆いものなので、落とすと危ないし、欠けることもあり、乾燥や保管は負担である。荒砥、中砥、仕上げ砥の3つを揃えると、乾燥と保管にはさらに場所が必用である。
長く使った砥石は表面が平面ではなくなる。この矯正作業は大変な労力である。専用の工具を使えば少しはましであろうが、身近なセメントブロックに擦り付けて矯正しようとすると、矯正の労力は研ぎの労力の比ではなく、汗だくの作業となる。
矯正の必要のない砥石として、ダイヤモンド砥石も販売されている。良質のものは高価である。予め水に浸す必用はない。ただし、普通の砥石で砥汁を流さないで研ぐことには意味があり、脱落した砥粒が研ぎを進行させ、徐々に細かくなり、滑らかな研ぎ心地が得られ、木目の細かい仕上げとなる。ダイヤモンド砥石では砥粒のリニューアルが無い分、目詰まりが起こりやすいし、研ぎ傷は荒いままである。扱いを丁寧にしないと、ダイヤモンドの脱落が起こることがある。手っ取り早いが、研ぎ心地は今ひとつと言えよう。
水の要らない砥石には油砥石がある。水砥石よりはるかに固い研磨粒で構成されている。減りは少ないが、研磨力が劣り、力を入れて使用する必要がある。砥石に刃を擦り付けて削るから、滑りを良くするために油を使用している。油のために後始末は大変である。研ぎの能力からすると水砥石が優れている。庖丁の研ぎに油砥石を使用しているという話は、水の豊富な国内ではほとんど聞くことはない。
砥石は重くて価格もはるものである。一般的な砥石は巾70mm長さ200mm程度で、重量は1kgr余となる。天然砥石に比べて安価な人造砥石でも価格は3000〜7000円である。高価なので大きなサイズが欲しくても限界がある。
固い金属を精密加工する方法として、砥石以外にラッピングという方法がある。
鏡面加工や精密加工や難加工材のラッピング加工は、軟質の研磨プレートやラップ定盤を用いる。硬い研磨剤の一部は軟質の研磨プレートやラップ定盤に食い込んで固定され、硬い被加工物の方がラッピングされる。軟質の研磨プレートやラップ定盤の磨耗は微少であるからこそ、精密な加工が可能である。研磨プレートやラップ定盤の材料は、鋳鉄、金属銅、樹脂混合鉄、樹脂混合銅、金属錫、樹脂混合錫、樹脂混合セラミックなどである。天体望遠鏡の反射鏡を磨く時は、石油ピッチで型取りして碁盤のような溝を入れ、ベンガラなどの研磨剤を塗布してガラスを磨く。これらのことから、柔らかい材料のベースが固い材料の精密研磨にいかに有効であるかが分かる。
しかし、庖丁を研ぐ分野では、今までラッピングが使用されることは無かった。庖丁の製造では、回転砥石による研磨が大半で、最後に平砥石による刃先の仕上げが行われる。
ラッピングと同様に柔らかいもので固いものを磨く方法にバフ仕上げがある。庖丁の製作でバフ仕上げは使われているが、あくまでも見かけの美しさを作る鏡面化の為に行われており、刃先の研磨には使われることはない。
特許3925658号公報 特開2010-253657号公報 特許3968101号公報 特許4436385号公報 意匠登録第1246732号公報 意匠登録第1214859号公報 意匠登録第1214723号公報 意匠登録第1346367号公報 特願2011-184855号
本発明は、下記の多様な課題を解決するものである。
A.刀身の大きなハマグリ形状を均一に綺麗に仕上げることのできる研ぎ工具を提供する。
B.細いハマグリ形状の小刃を均一に綺麗に正しく付けることのできる研ぎ工具を提供する。
C.予め水を吸わせる必用の無い研ぎ工具を提供する。
D.乾燥の手間が不要な研ぎ工具を提供する。
E.研ぎ面を平面に矯正する作業の必要がない研ぎ工具を提供する。
F.大きなサイズにしても価格が跳ね上がらない、廉価な研ぎ工具を提供する。
G.軽くて収納にも場所を取らない研ぎ工具を提供する。
H.研ぎ卸しの巾を、刃先から一定とし、一番角を均一にする、簡便な補助具を提供する。
I.二番角が均一な研ぎ直しと、上記の研ぎ工具と連携してハマグリ形状の小刃止めに利用できる改良型の補助具を提供する。この補助具は、研ぎ卸しの回数を減らして研ぎ作業全体を楽にする物でもある。
J.これらの補助具を刃先から所定の距離に位置決めする簡便な方法とそのケージを提供する。
刀身の大きなハマグリ形状と小刃の細かいハマグリ形状を付けるために、図7のように、砥石21の一部に所定の角度をもった部位22を付加する。所定の角度をもった部位22を今後この書類では「ガイド部」と表現する。砥石の材料は一般の砥石でも良いし、ダイヤモンド砥石でも良い。小刃の細かいハマグリ形状を付ける場合は、ガイド部には必ずしも研磨剤が存在する必要はない。ガイド部は図7(a)のように一体成型でも良いし、図7(b)のように組付けとしても良い。
ガイド部は一箇所でも良いが、庖丁の表裏の研ぎを簡便にするためには二箇所に設けるのが好ましい。
砥粒を固めて作った砥石に代え、図8のように、ガイド部22を持った軟質材料の構造物31に置き換えたものとする。この構造物を今後この書類では「研ぎプレート」と表現する。研ぎプレート31に粉状の砥粒に水や乳化材や増粘材を混ぜた研磨剤を塗布することで、硬い庖丁を従来どおりの方法で研ぐことがができる。 研磨剤は砥粒粉のまま振り掛けて少量の水を加えても良い。砥粒を水分と乳化材や増粘材などと混ぜてコンパウンドとして塗りつけても良い。コンパウンドは後の洗浄のためには、水性のものとすることが好ましい。研ぎプレートは、図7の砥石のような形で鋳鉄などの固形状のものとすることも出来るし、図8のように銅板などの成型構造物31とすることもできる。研ぎプレートは図8(a)のようにそのまま設置できる形状とすることも、図8(b)のように共通の基台32に交換装着できる形状とすることもできる。研ぎプレート31や基台32には、図8(c)のように滑り止めの爪33を付けることもできる。
研ぎ卸しの巾を均一にする補助具40は、図9(a)のように、固い極薄の材料をテープ状としたもので、巾を狭くすることにより巾方向の可撓性を持たせ、刃先14から一定距離に貼り付けるものである。図9(b)は(a)のAA断面拡大図である。
刃先から一定距離に貼り付けるためには、テープは予め円弧状の形とすると作業が楽である。
この補助具をこの書類では「研ぎ卸しジグ」と表現する。
研ぎ直しと小刃止めの補助具50は、研ぎ卸しの後の研ぎ直しや小刃止めの研ぎは軽度なもので補助具の磨耗は少ないことから、特許文献9の研ぎ道具を改良したものである。図10(a)のように、少なくとも下面を粘着性または吸着性とした可撓性の帯51の上面に、可撓性を大きくするために巾を狭くした、固めの薄い材料のテープ52を固定したもので、刃先から一定距離に貼り付ける。図10(b)は(a)のAA断面拡大図である。
粘着性と吸着性を総称してこの書類では「面着性」と表現することもある。帯51の下面の面着性は貼り直し可能てあることが好ましい。
刃先から一定距離に貼り付けるためには、補助具は予め円弧状の形とすると作業が楽である。
巾の狭いテープ52の固定方法を粘着などとした場合は、磨耗が進行したらテープ52だけを新しいものと交換する。固定方法を接着や一体成型など固着とした場合は、磨耗が進行したら全体50を新しいものと交換する。
可撓性の帯に固い巾の狭いテープを固定した構造に限らず、図10(c)のように、全体を固めの材料の帯とし、可撓性を大きくするための切り込みを入れた補助具とする方法もある。
この補助具50または特許文献9の研ぎ道具を、この書類では「研ぎ直しジグ」と表現する。
「研ぎ卸しジグ」と「研ぎ直しジグ」を総称して「研ぎジグ」と表現する。
2種の研ぎジグを刃先から一定距離に貼り付けるためのゲージ60は、図11(a)のような、磁力で庖丁に吸着する可撓性の帯である。ゴムなどの帯61に磁石チップ62を埋め込んだものや、ゴム磁石や樹脂磁石などの帯63とする。
可撓性を大きくするために多数の切り込み64を入れても良い。
一般的な刃先曲線に近いカーブ65を予め持たせておくと使いやすい。
ゲージ60を図11(b)のように庖丁の刃先14からはみ出すように吸着させた後、図11(c)のように庖丁の刃先をまな板91などの上でローリング92すると、ゲージ60は図11(d)のように刃先14の曲線に倣って曲がり固定される。このゲージの背面66に研ぎ直しジグ50などの研ぎジグを沿わせて貼付ける。このゲージを今後この書類では「位置決めゲージ」と表現する。
位置決めケージは、一番角や二番角に適合する巾を予め持たせる。そのためには、表裏の研ぎ卸し用2個、表裏の研ぎ直し用2個が用意されるのが好ましい。または、磁性の位置決めゲージは表裏2個とし、一番角や二番角に適合する巾の、ゴムなどの補助の帯を複数個用意し、適合する巾の補助の帯を磁性の位置決めゲージと研ぎジグの間に挟んで位置を決める方法もある。自分流の庖丁の一番角や二番角にしたい場合は、磁性の位置決めケージや補助の帯を、適合する巾にカッターナイフでカットして調整することもできる。
刀身の大きなハマグリ形状は、従来は研ぎ卸しの段刃を丸めるローリング研ぎで作られる。これをローリング研ぎによるのではなく、図12のように、普通の平研ぎのストロークを砥石や研ぎプレート31のガイド部22まで広げることで、庖丁11は一定の角度に自然に傾斜し、先端と段刃の角の研ぎが進行して、均一な綺麗なハマグリ形状が簡単に作られる。この時、研ぎ卸しジグは取外しておく。
なお、図12は分かり易くするためにガイド部22の角度は大きく作図してある。図の左は庖丁の裏を研ぐ様子、右は庖丁の表を研ぐ様子を同時に示した。
庖丁を押す位置を調整することで、丸める位置と度合いは微妙に調整することができる。砥粒の細かいものを使用すると綺麗な仕上げとなる。
小刃の細かいハマグリ形状は、研ぎ直しジグと、ガイド部を持つ砥石または研ぎプレートを併用することで作ることができる。
図13(a)のように、研ぎ直しジグ50を使って砥石または研ぎプレート31の平面部分23で研ぐと、切っ先からあごまで均一の角度を持った真直ぐの切刃を研ぐことが出来る。
望みの巾の切刃が出来た後、図13(b)のように、研ぎのストロークを砥石または研ぎプレート31のガイド部22まで広げることで、刃先には先端に所定の三番角を持ったハマグリ形状の小刃を作ることができる。この時、研ぎ直しジグ50は装着したままとする。
図13(c)に包丁の中心線19の角度変化を模式的に表した。刃先14がガイド部22と平面部分23の境界にある時は、二番角にガイド部の角度を加算した角度で刃先は平面部分23に当り、これが三番角となる。研ぎ直しジグ50が平面部分23に至った時は、切刃部分が平面部分に当る角度は二番角となる。すなわち、二番角から三番角に至る接線を持つ微少な曲線がハマグリ形状の小刃となる。
図7(a)のようなガイド部22を一体で持つ砥石21は、製作は可能であるが、磨耗した時の手作業による矯正加工は困難である。
図8のように、砥石を研ぎプレート31に置き換えることで、製造は容易となり、軽量、安価、重ねて収納、などの利点が加わる。さらに大きいのが、水を吸わせる必要がなく、水を拭き取れば直ぐに収納できる手軽さである。磨耗が少なく長持ちし、一般の砥石に必然の平面矯正の手間は不要である。プレスで製造できるから安価となり、安価であるから消耗した場合の交換も容易で、大きなサイズの研ぎプレートを作ることで作業性を向上させることもできる。
図8(b)のように、研ぎプレート31を共通の基台32の上に交換可能に載せるようにすると、研ぎプレート31は、より簡素・軽量・安価・コンパクト・収納容易のものとなる。
図8(d)には重ねて収納した状態を例示した。重ねた上に研ぎジグや位置決めケージや砥粒コンパウンドの容器などを載せて収納すると便利である。
砥石単体または木台付き砥石は、滑り止めのために、シンクや桶の上に置く木製の台座にの濡れ雑巾を敷くのが一般であるが、図8(c)のように、(a)の形の研ぎプレートまたは(b)の形の基台32の設置縁四隅を爪33に成型して滑り止めとすることで、濡れ雑巾の後始末も不要になり、簡便である。
三隅の爪を固定とし、一隅の爪を調整式とすれば、木製台座の歪によるガタツキを無くすこともできる。
研磨剤は研ぎ進めるうちに微細化し、使用した砥粒の粒度より細かい研ぎとなり、次の細かい粒度の研ぎへの引継ぎがスムースである。最終仕上げでは鏡面仕上げも可能である。
残留砥粒による少々の傷の発生を気にしなければ、研ぎ卸しの時、荒い砥粒コンパウンドを塗布して研ぎを開始しても、そのまま研ぎ進めると砥粒は微細化し、中仕上げまで進めることもできる。その場合は研ぎ卸しの研ぎプレートと砥粒コンパウンドは1種類で良く、更に安価・コンパクトに済ませることが可能である。
研磨剤をコンパウンドとした場合は、水分の補給は極めて少量でよい。水分の使用量が少ないので、こぼれ落ちる研磨剤も少なく、垂れたり片寄ったりした研磨剤は指で元に戻すこともできるから、研磨剤の利用効率は高い。研ぎの抵抗力は少なく、軽い滑らかな研ぎ感が得られる。
水性コンパウンドに乳化材などを入れると、手指に付着する鉄粉の黒い粕は水で綺麗に洗い流すことができる。
砥粒は必用量だけの使用なので経済的である。一般の砥石のような、矯正で削り捨てる無駄な砥粒の発生はなく、度重なる矯正で薄くなった砥石を捨てる無駄もない。研磨剤そのものは安価だし、分散購入もできるので、初期投資も少なくて経済的に楽である。
位置決めゲージは、簡単に刃先形状に倣わせることができて簡便である。図11(b)(c)のように、両刃庖丁の場合も2つの位置決めゲージ60を表裏に同時に1つづつ吸着させて、一回のローリング92で位置決めできる。ローリングはまな板91や木製台座などの上で行えるので、刃先14を傷めることはないし、安全である。位置決めゲージ60に刃先14が当ることはなく、位置決めゲージの消耗はない。位置決めゲージ60で刃先14はカバーされるので、研ぎ直しジグ50など研ぎジグの貼付作業も安全である。位置決めゲージは刃先からの距離を毎回正確に設定するので、毎回の研ぎの条件は精度の高い再現性を持つ。
適度な可撓性を持つ位置決めゲージは滑らかな曲線を描くので、庖丁の刃先の曲線が部分的に狂った場合に位置決めゲージを使うと、狂った刃先部分が位置決めゲージとの不一致となって目視できるので、刃先曲線の確認にも使用できる。
位置決めゲージなどで刃先から所定の距離に位置決めして貼り付けた研ぎ卸しジグを使用して研ぎ卸しを行うと、図14のように、刃先曲線に沿った略一定巾の綺麗な研ぎができる。試行錯誤の手研ぎによる余分な部分の傷も避けられる。庖丁を洗浄し拭き取り裏返して確認する作業の回数も減り、目安とする小刃の均一な追い込みを重点に監視するだけで良い。一番角は刃先からあごまで均一となる。一番角または研ぎ幅は、刃先から研ぎ卸しジグまでの距離だけで制御できる。
図13(a)のように、位置決めゲージなどで刃先から所定の距離に位置決めして貼り付けた研ぎ直しジグ50を使用して、砥石または研ぎプレート31の平面部分23で研ぎ直しを行うと、切っ先からあごまで角度が均一な直線の切刃を研ぐことができる。
研ぎ卸し直後の研ぎ直しは微少なので研ぎ量が少なく、二度目以降の研ぎ直しは角度の再現性に優れるので研ぎ量が少なく、普通は仕上げ砥粒の研ぎで済み、極めて短時間の作業で簡便に鋭い切れ味を再現することができる。
研ぎ量が少ないので、研ぎ直し回数を増やして研ぎ卸しの回数を減らせるので、研ぎ作業全体が楽になる。
図13(b)のように、位置決めゲージなどで刃先から所定の距離に位置決めして貼り付けた研ぎ直しジグ50と、ガイド部22のある砥石または研ぎプレート31を使用して小刃止めを行うと、切っ先からあごまで均一なハマグリ形状の小刃に仕上げることができる。
二度目以降の小刃止めでも研ぎ条件の再現性が良いので、最小限の小刃止めで済ませることができる。小刃のハマグリ形状化で、切れ味の持ちがさらに向上する。
図10のような改良型の研ぎ直しジグ50は特許文献9のものより安価である。
特許文献9の研ぎ直しジグは、研ぎプレートの材質によっては、高硬度セラミックスのチップが研ぎプレートを擦るキーキー音が耳障りとなることがある。この音は砥石の場合には発生しないが、本発明の研ぎプレートとの相性としては今ひとつである。高硬度セラミックスのチップに代わり硬質プラスチックのテープ52とすると、この音の発生は防止できる。
耐磨耗チップの複数の出っ張りに代わり連続したテープ52が付いているので、斜めに動かした時も研ぎ直しジグが研ぎプレートの角に引っ掛かることも無い。
テープ52の磨耗は発生するが、研ぎ卸しの後の研ぎプレートによる軽い研ぎ直しでは一回の磨耗量は僅かなので相当回数の使用に耐える。テープ52を粘着とした場合は簡単に貼り直しができて安価である。テープが一体型の場合でも、全体50が安価の分、交換も負担ではない。
図1は片刃庖丁と両刃庖丁の説明図である。 図2は刀身の構造の説明図である。 図3は刃先の微細な構造の説明図である。 図4は刃先に成長したバリを写した図である。 図5は表と裏の研ぎに於ける庖丁の方向の説明図である。 図6は不十分な乾燥で発生した砥石の箱のカビを写した図である。 図7はガイド部を持った砥石の説明図である。 図8は研ぎプレートの説明図である。 図9は研ぎ卸しジグの説明図である。 図10は改良型の研ぎ直しジグの説明図である。 図11は位置決めケージの説明図である。 図12は研ぎプレートにより刀身のハマグリ形状を研ぐ説明図である。 図13は研ぎ直しジグによる研ぎ直しと、研ぎプレートと併用したハマグリ形状の小刃止めの説明図である。 図14は略一定巾の研ぎ卸しの状態を写した図である。 図15は実施例1の説明図である。 図16はハマグリ形状に研いだ庖丁を写した図である。 図17は実施例3の説明図である。 図18は実施例3の使用時と収納時の説明図である。
包丁を正しくハマグリ形状に簡便に研ぐという目的を、家庭でも使える工具として実現した。
図15は、実験用に試作した本発明の工具である。
図15(a)のように、基台32は厚さ2mm、巾65mmのアルミニウム押出し材を高さ12mmのチャンネル状に切断して作成した。長さは350mmとした。
片側の端から50mmの位置で直角の方向に5度曲げた。反対側の端は50mmと115mmの位置で45度の方向に5度曲げた。曲げるための切り込みはエポキシ接着剤で埋めた。図15(a)の(a1)は平面図、(a2)はAA断面図を表す。
3隅には爪33を作り、1隅には支点で支えた爪34をバネ35で押すようにし、調整用の長穴に固定用のねじで締める構造とした。可動の爪34の固定ねじを緩めた後、固定の3箇所の爪33が木製台座に密着するように押し付け、バネ35で押されて台座に密着した可動の爪34を固定した。基台32は台座に4点でガタ無く密着し、外向きの爪33、34が木製台座にひっかかり滑り止めとなる。
図15(b)のように、研ぎプレート31は、巾75mm、長さ380mmの板を基台32に密着するように曲げた。両端は対磨耗チップ付きの研ぎジグでも引っ掛からないように、巾10mmの円弧の曲げを入れた。基台側の面には、片側に基台に噛み込む引っ掛かり36を接着して取り付けた。反対側には基台にはまるコの字形のゴム37を貼り付けた。この引っ掛かりとコの字形のゴムで、研ぎプレート31は基台32にガタなく固定される。
別途、研ぎ卸し後の刀身をハマグリ形状に研ぐ工具として、図15(b)のように、ガイド部22の角度が1度の研ぎプレート31Bを作成した。これは厚さ0.5mmの銅板の裏を厚さ5mmの硬質塩ビで補強したものとした。
荒い砥粒コンパウンドは、40番の金剛砂と歯磨きペーストと水を混ぜて、250番のアランダムと歯磨きペーストと水を混ぜて、2種類作成した。体積比で1:10:3程度である。
中粒度の砥粒コンパウンドは、800番の中砥石を削った砥粒と歯磨きペーストと水を混ぜて作成した。体積比で1:10:3程度である。
仕上げの砥粒コンパウンドは、車体鏡面磨き用9800番液体コンパウンドに歯磨きペーストと水を混ぜた後、石油系溶剤を揮発除去して作成した。体積比で3:10:3程度である。
荒い砥粒コンパウンドと中粒度の砥粒コンパウンドは、研ぎ卸しに使用した。仕上げの砥粒コンパウンドは、研ぎ直しと小刃止めに使用した。
研ぎプレートの材質は数種類を試した。
アルミニウムの研ぎプレートは、研ぎの強さは大変大きい。しかし荒い砥粒の場合は、庖丁の鋼をあんこにしている軟鉄部分にも少量の砥粒が食い込み、アルミニウムの研ぎプレートとの間に大きな摩擦抵抗が発生する場合がある。アルミニウムの研ぎプレートは荒砥ぎには不向きで、中〜仕上げに使う必要がある。アルミニウムを一般のグラインダーで研磨するのはうまく行かないことは体験上明らかなことであるが、このアルミニウムの粘い性格が摩擦抵抗を生む原因ではないかと推測する。
厚さ2mmのアクリル板で作った研ぎプレートは、研ぎ感も滑らかで、研ぎの強さも程ほどである。ただ、庖丁の刃先が鋭利になってくると、ちょっとした作業のミスで研ぎプレートに切り傷を作ることがある。切り傷は削れば支障はないが、発生直後はひっかかりの原因となる。
硬質塩ビの板は切り傷が容易について、使用に耐えない。
銅板の研ぎプレートは、上記の問題点の発生はなく、滑らかで程ほどの強さの研ぎができて良好な結果であった。
砥粒コンパウンドの使用量は、荒研ぎで1cc程度、中研ぎと仕上げ研ぎでは耳掻き2〜3杯程度である。
研ぎを進めると、鉄の粕で黒くなる。粘りが増してきたら、指先にちょっとつけた水を塗る。水の補給量は微少が良い。
工具や庖丁についた真っ黒の研ぎ汁は、水で簡単に洗い流すことができる。手指の汚れも水で簡単に洗い流すことができる。砥粒を水だけで溶いた場合は、爪や指紋に汚れが残る。従って砥粒コンパウンドには水性の乳化材が混じっていることが好ましい。
位置決めケージ60は、図15(c)のように、厚さ3mm、巾10mmのゴム磁石を150mmの長さにカットした。ゴム磁石は磁性体が混練されていて固いので、10mm間隔で深さ5mmの14本の切り込みを入れて可撓性を大きくした。位置決めケージは4本用意した。
位置決めケージは、切り込みを入れた側を庖丁の刃先側にして使用する。
研ぎ卸しジグ40は、図15(d)のように、厚さ0.2mmのPETシートに両面テープを貼り、巾5mm、長さ150mmのテープとした。1回の研ぎに2本づつ用意した。
巾10mmの位置決めケージを2枚並列に並べて20mmの巾とし、庖丁の刃先からはみ出すように吸着させた後、木台の上で庖丁をローリングして刃先に倣わせた。
位置決めケージの背面に沿わせるように研ぎ卸しジグ40を貼り付けた。
この研ぎ卸しジグは、磨耗はするが、一回の研ぎ卸しには充分に耐えた。
使用後に取外すと、加工歪などで丸まるので、1回毎の使い捨てである。
テープの材質が軟質塩ビのように柔らかくても耐久性は充分であるが、位置決めケージの背に沿わせて貼り付けるのに苦労する。位置決めケージに沿ってカッターナイフで切る方法もあるが、庖丁にカッターの傷がついて好ましくない。したがって、研ぎ卸しジグは固い材質のものが好ましい。
こうして研ぎ卸した結果が図14である。
中砥粒の研ぎ卸しが完了したら、研ぎ卸しジグ40をはがした。
ガイド部22の角度が1度の研ぎプレート31Bを使用し、しのぎ筋の辺りを指で押して、中砥粒で刀身のハマグリ形状を研ぎ上げた。
研ぎ直しジグ50は、図15(d)のように、厚さ1.5mmのゴム板を巾15mm、半径500mm、長さ145mmの円弧状の帯とした。下面には強めの再剥離可能両面テープを貼り付けた。上面の端には、厚さ0.2mm、巾5mm、半径500mmのPET板のテープを両面テープで貼り付けた。2個作成した。
巾10mmの位置決めケージ60を庖丁の表裏に1個づつ、刃先からはみ出すように吸着させた後、木台の上で庖丁をローリングして刃先に倣わせた。
位置決めケージの背面に沿わせるように研ぎ直しジグ50を貼り付けた。
ガイド部が5度の研ぎプレート31に、仕上げの砥粒コンバウンドを微少量塗りつけ、研ぎプレートの平面部分23で研ぎ直しによる切刃の研ぎを行った。研ぎの程度は軽度で、30〜50ストローク程度である。
そのまま、研ぎのストロークをガイド部22まで広げ、ハマグリ形状の小刃止めを行った。研ぎの程度は軽度で、10〜20ストローク程度である。
ガイド部の曲げの方向が45度の側で、庖丁の表の小刃止めを行った。この時、図5(a)のように、庖丁も45度の方向とした。ガイド部の曲げの方向が直角の側で、庖丁の裏の小刃止めを行った。この時、図5(b)のように、庖丁も直角の方向とした。表裏の小刃止めの方向が45度交差することで、小刃には微少な鋸目が作られ、引き切りの切れ味が格段に向上する。
研ぎ直しジグ50を剥がして、中性洗剤で洗った。洗えば貼り直し可能の粘着面は綺麗になり、研ぎ直しジグは再使用可能である。研ぎプレートに当るテープの磨耗は微少であった。
仕上げ砥粒のついた庖丁を木製台座の上でラッピングして、バリを除去した。
新聞紙で試し切りを行った。新聞紙で押し切りが出来る程に鋭い切れ味に仕上がった。
刀身のハマグリ形状と、細い切刃と、ハマグリ形状の小刃のついた庖丁を写して図16とした。直線の定規が湾曲して写っていることから面の形状の変化が読み取れる。
研いだ庖丁をしばらく料理で使用した後、段落番号[0078]〜[0082]の研ぎ直しと小刃止めのみを行った。研ぎ直しジグを使用すると、仕上げ砥粒による軽い研ぎ作業で済み、鋭い切れ味が直ぐに回復した。
銅板の研磨プレートと40番の金剛砂コンパウンドで鑿を研いでみた。40番の粒の径は略0.5mmにもなる。
最初はガリガリと激しい研ぎが進み、徐々に音も静かになり、研ぎも滑らかとなった。時々コンパウンドを指で集めると残った大きい金剛砂でジージーと音がするが、そのうち全く滑らかになった。時々少量の水を補給して研ぎ進めた結果、なまくらになっていた鑿の切れ味は完全に回復した。ルーペで見ると、傷はあるが、中砥石なみの仕上がりとなっていた。極めて荒い砥粒コンパウンドで研ぎ始めても、そのまま中仕上げまでは研ぎ進めることが可能である。傷は研磨プレートに食い込んで残留している砥粒によるものであるが、もっと研ぎ進めればいずれはそれも小さくなり、より綺麗な仕上がり面となるはずである。
実施例1では、手作りできる構造で工具を作ったが、プレス加工などで製作する工具の理想例を実施例3として説明する。
図17に構成部品を示す。
図17(a)は基台32を示す。厚さ2mmのアルミニウム板の三隅に外向きの爪33を付けた形で打ち抜き、長辺を105度に曲げて縁71とする。上面72は、巾80mm、長さ400mmとする。縁71の高さは30mmとする。残った一隅には可動の爪34を支点で支え、バネで押して、長穴を通したねじで固定する。(a1)は正面図、(a2)は側面図である。個数は1個である。
図17(b)は研ぎ卸し用の研ぎプレート31Bを示す。縁73は基台32に嵌合する。縁73の最短部は10mmの深さとする。両端は傾斜角1度のガイド部22を有し、左側は直角、右側は45度の方向で曲げる。曲げの境界線には小さな角丸めを入れるとなお良い。平面部分23の最短長さは220mmとする。厚さ1mmの銅版を絞り加工し、5mmの鍔74を残して打ち抜き加工する。(b1)は正面図、(b2)は側面図、(b3)は平面図である。上級セットでの個数は2個で、荒研ぎ用と中研ぎ用とする。標準セットでの個数は1個で、荒研ぎと中研ぎの兼用とする。
図17(c)は研ぎ直し用の研ぎプレート31を示す。縁75は基台32に嵌合する。縁75の最短部は10mmの深さとする。両端は傾斜角5度のガイド部22を有し、左側は直角、右側は45度の方向で曲げる。曲げの境界線には小さな角丸めを入れるとなお良い。平面部分23の最短長さは220mmとする。厚さ1mmの銅版を絞り加工し、5mmの鍔76を残して打ち抜き加工する。(c1)は正面図、(c2)は側面図、(c3)は平面図である。上級セットでの個数は2個で、中研ぎ用と仕上げ研ぎ用とする。標準セットでの個数は1個で、仕上げ研ぎ用とする。
図17(d)は位置決めケージ60を示す。厚さ3mm、長さ略150mmのゴム磁石63とし、約500mm半径の円弧状とする。略10mm間隔で14本の切り込み64を入れる。切り込みの内部端は1mm直径の円を打ち抜いて応力集中を回避する。位置決めケージを直線状まで撓ませた場合にも隙間が開くようにV字形の切り込みとする。
60−1は研ぎ卸しジグ40の位置決め用で、巾を20mmとする。切り込み64の深さは15mmとする。個数は表用と裏用の2個とする。
60−2は研ぎ直しジグ50の庖丁表の位置決め用で、巾を10mmとする。切り込み64の深さは5mmとする。個数は1個とする。
60−3は研ぎ直しジグ50の庖丁裏の位置決め用で、巾を12mmとする。切り込み64の深さは7mmとする。個数は1個とする。
図17(e)は研ぎ卸しジグ40を示す。厚さ0.2mmのPETシートの裏を粘着として剥離紙77に貼り、半径500mm、巾5mm、長さ150mmに剥離紙を残してハーフカットしたものである。使用時は一枚づつ剥がして使用する。剥離紙は80mm以下の巾とすると、基台32の中に納まり収納に便利である。1枚で14本の研ぎ卸しジグが作成できる。消耗品なので、枚数は複数用意すると良い。
図17(f)は研ぎ直しジグ50を示す。厚さ1.5mm、半径500mm、巾15mm、長さ略150mmのゴム帯51の下面を剥離可能な粘着面とし、上面の端に、厚さ0.2mm、半径500mm、巾5mmの粘着PETテープ52を貼る。テープ52として研ぎ卸しジグ40を貼り付けることにすると、部品が共通化できて便利である。保管プレート78に貼り付けて保管すると良い。個数は2個とする。
研磨コンパウンドは、グリセリン、ソルビット液などを保湿材とし、アルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンダンガムなどを増粘材とし、アルミナ質の研磨剤や炭化珪素と水を混ぜて作成する。歯磨きペーストの保湿材と言われるプロピレングリコールは皮膚浸透力が非常に高いらしいので使用しない。粒度は250番、1000番、10000番の三種類を用意する。チューブに入れたものとすると使いやすい。
図18(a)に基台32に研ぎプレート31を嵌合させ、木製台座93に載せた使用状態の形を示した。図18(b)に基台と4枚の研ぎプレートを重ねて収納する状態を示した。4つの位置決めゲージと数枚の研ぎ卸しジグシートと2個の研ぎ直しジグは、基台32の中に納まる。
このように、刀身と小刃をハマグリ形状とする庖丁が正しく研げる本発明の工具は、浸水、乾燥、矯正が不要で、廉価で収納に便利、研ぎの労力軽減、鋭い切れ味と長切れ、という目的を全て達成したものである。
なお、研ぎプレートの材料は、この実施例の銅に限らず、各種の金属やプラスチックや複合材料などが考えられる。
研ぎプレートは、ガイド部を持つことでより機能が高くなるが、ハマグリ形状の研ぎをしない場合は、ガイド部が付いていないものでもメンテナンス面での価値がある。
研ぎプレートのガイド部境界線の方向は、この実施例のように直角と45度に限るものではない。
研ぎプレートのガイド部の曲げ角度は、この実施例のように1度と5度に限るものではない。
この実施例では、研ぎプレートに鍔をつけたが、絞り加工の後の打ち抜きを容易にするためのもので、必ずしも必用なものではない。
滑り止めの爪は、この実施例の外向きに限らず、内向きや下向きなどにしても良い。
研ぎ卸しジグの材料は、この実施例のPETに限らない。ポリカーポネートなど、各種の材料が考えられる。
研ぎ卸しジグの形は、この実施例の円弧状には限らない。
研ぎ卸しジグの厚さは、この実施例の厚さには限らない。
研ぎ直しジグのテープの材料は、この実施例のPETに限らない。また、この実施例のような研ぎ卸しジグとの共通化は発明の条件ではない。
研ぎ直しジグの形は、この実施例の円弧状には限らない。
研ぎ直しジグの厚さは、この実施例の厚さには限らない。
研磨コンパウンドの組成は、この実施例のものに限らない。
位置決めゲージや一体型研ぎ直しジグの切り込みは、|字形、V字形に限らず、U字形などの他の形でも良い。
本発明は、ハマグリ刃の庖丁の研ぎ工具として説明したが、研ぎプレートの平面部分を使えば、従来の砥石で研ぐ分野全てに適用できる。ナイフ、鉋、鑿、スクライパー、バイトなど、適用範囲は幅広い。
11 刀身
12 切刃
13 しのぎ筋
14 刃先
15 小刃
16 鋸目
17 小刃先
18 裏スキ
19 中心線
21 砥石
22 ガイド部
23 平面部分
31、31B 研ぎプレート
32 基台
33 爪
34 可動の爪
35 バネ
36 引っ掛かり
37 コの字形のゴム
40 研ぎ卸しジグ
50 研ぎ直しジグ
51 帯
52 テープ
60 位置決めゲージ
61 ゴムなどの帯
62 磁石チップ
63 ゴム磁石や樹脂磁石などの帯
64 切り込み
65 カーブ
66 背面
71 基台の縁
72 上面
73 研ぎプレートBの縁
74 研ぎプレートBの鍔
75 研ぎプレートの縁
76 研ぎプレートの鍔
77 剥離紙
78 保管プレート
91 まな板
92 ローリング
93 木製台座

Claims (4)

  1. 一面を粘着性または吸着性とした幅方向に可撓性の帯であり、帯の反対面の少なくとも一辺は磨耗の少ない材料である、刃先から一定距離に幅方向に撓ませて貼り付ける、研ぎ直しと小刃止めに用いるジグ。
  2. 小刃のハマグリ形状の研ぎに供する、請求項1に記載のジグをつけた庖丁の刃先が平面部分との境界で平面部分に対して三番角を成す長さと角度を持つガイド部を持つ砥石または研ぎプレート。
  3. 磁性で吸着する一定巾の可撓性の帯を、刃先に突出するように吸着させ、刃先をローリングすることで、帯を刃先曲線に倣わせ、その背面を位置決めの基準位置とする、研ぎジグの装着方法。
  4. 磁性で吸着する一定巾の帯に複数の切り込みを入れて可撓性を大きくした、請求項の方法に用いる位置決めゲージ。
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