JP5576816B2 - 鋼製竪形魚道及びその構築方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、河川を横断するコンクリート製構造物自体の壁面に直接アンカーボルトにより取り付けられた支持台に、プレキャストブロック製貯水室を堰堤本体等に取り付けることも記載されている。また、特許文献1には、プレキャストブロック製貯水室の下側に配置されアンカーボルトにより取り付けられた支持部と、プレキャストブロック製貯水室の上面側に配置された支持梁とを堰堤本体に取り付けて、貯水室を支持し、魚類の遡上を容易にする竪形魚道も記載されている。
また、堰堤本体周辺の河川側壁が、平坦面のコンクリート製側壁(擁壁)とされている場合には、そのコンクリート製側壁を利用して、プレキャスト魚道をアンカーボルトにより直接又は魚道支持ブラケットに支持させるようにして設けて、魚道を形成することができる。
しかし、前記のようにコンクリート製の側壁とする場合には、自然の地山面を掘削または盛土を形成しコンクリート製側壁(擁壁)を構築していたため、自然環境にやさしい工法ではなかった。
そして、堰堤本体周辺に平坦なコンクリート製側壁が形成されていない場合には、前記従来のような魚道支持構造を利用できないため、魚道を設置することができなかった。
本発明者は、堰堤本体周辺にコンクリート製側壁が形成されていない場合、例えば、ダムが構築されている谷の側壁においては、岩盤側壁が露出して、堰堤本体周辺の側壁が岩盤地山(硬質岩盤又は軟質岩盤の場合で、あるいは局部的にコンクリート補強されている場合を含む)である場合、魚道の設置が可能でるか否か種々検討した。
また、前記のようなコンクリート構造物である堰堤或は側壁(擁壁)が構築さていない河川で、遡上が困難な場所であり、岩盤地山を利用できる場合に、遡上を可能にするために魚道の縦断勾配(例えば、一般的には1:10)を重視される設備である魚道設備について検討した。
図19に示すように、河川等谷部における両側壁面の岩盤地山1の側壁面2は、例えば、凹曲面壁部3(3a〜3c)と凸曲面壁部4(4a〜4c)が存在し、このような曲面壁部に魚道を設置する場合に、魚道を設置可能な形態について、種々検討した結果、従来のようなコンクリート製の魚道としたのでは、魚道の重量も重いため、上流から下流に渡りコンクリート製擁壁を構築するようになりその構築費用も必要になり、設備が大掛かりになり、施工期間も長く高価になる。
このようなことから、岩盤地山を有効に利用し岩盤地山にピンポイントに支持部を複数個所に形成し、その部分で魚道を支持する構造で確実に魚の遡上が可能な魚道について研究した結果、岩盤から片持ち式に張り出す鋼製受梁を複数設けると共に、これらに支持させるように鋼製横梁を設け、その鋼製横梁に鋼製縦梁を設けて、魚道ユニットを支持させることで、魚道の設置が可能になり、工期も短く安価になることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、堰堤、砂防ダム工などの河川の岩盤側壁を利用して、魚類の遡上を容易にした鋼製竪形魚道及びその施工方法に関する。
水平方向に延びる鋼製横梁が前記鋼製受梁に渡って架設されると共に鋼製横梁は上下方向に複数段設置され、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁が前記鋼製横梁に架設され、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットが設置されて、魚道が形成されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明の鋼製竪形魚道において、岩盤側壁に複数のアンカー孔が形成された支承縦壁が複数形成され、各支承縦壁における各アンカー孔にそれぞれアンカーボルトが定着され、各支承縦壁に定着プレートが当接されて前記各アンカーボルトにねじ込まれた定着金具により定着プレートが支承縦壁に固定され、前記定着プレートに前記鋼製受梁の基端側が固定されていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明又は第2発明の鋼製竪形魚道において、鋼製受梁の先端部に、鋼製横梁の端部が載置されてボルト・ナットにより固定されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの鋼製竪形魚道において、前記鋼製縦梁の上下方向に間隔をおいて魚道支持ブラケットが上下方向に間隔をおいて複数設けられ、横方向に間隔をおいた鋼製縦梁における魚道支持ブラケットに渡って鋼製魚道ユニットが設置されて魚道が形成されていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの鋼製竪形魚道において、鋼製縦梁の下部が、魚道におけるコンクリート製プール等のコンクリート製設備に設置されていることを特徴とする。
第6発明の鋼製竪形魚道の構築方法においては、河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁の基端側を岩盤側壁にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁を前記鋼製受梁に渡って架設すると共に鋼製横梁を上下方向に複数段設置し、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁を前記鋼製横梁に架設し、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットを設置して魚道を形成することを特徴とする。
また、保守管理がコンクリート製の場合に比べて、容易で、点検作業期間が短くてすみ、補修も容易であり、保守管理費用が、コンクリート製魚道の場合に比べて、安価になる。
また、岩盤地山に支持させるように鋼製受梁を固定すればよいので、大きな鉄筋コンクリート製基礎あるいは鉄筋コンクリート製擁壁に鋼製受梁を固定する場合に比べて、鋼製受梁の固定を安価に行うことができ、その分、安価な鋼製竪形魚道とすることができる等の効果が得られる。
岩盤側壁からの鋼製受梁の突出長さを適宜設定することにより、鋼製受梁に渡って鋼製横梁を容易に設置することができる等の効果が得られる。
第2発明によると、岩盤側壁に複数のアンカー孔が形成された支承縦壁が複数形成され、各支承縦壁における各アンカー孔にそれぞれアンカーボルトが定着され、各支承縦壁に定着プレートが当接されて前記各アンカーボルトにねじ込まれた定着金具により定着プレートが支承縦壁に固定され、前記定着プレートに前記鋼製受梁の基端側が固定されているので、岩盤側壁に設けた支承縦壁に鋼製受梁基端側の定着プレートを容易に固定することができ、また、岩盤側壁にする定着プレートの固定構造が簡単な構造になると共に、岩盤側壁に簡単な支持構造の竪形魚道を設置することができる等の効果が得られる。
第3発明によると、鋼製受梁の先端部に、鋼製横梁の端部が載置されてボルト・ナットにより固定されているので、鋼製受梁と鋼製横梁とを容易に固定することができ、鋼製受梁に鋼製横梁を載置するので、鋼製横梁の設置が容易であり、また、ボルト・ナットにより固定するので、固定構造も簡単で容易である。
第4発明によると、前記鋼製縦梁の上下方向に間隔をおいて魚道支持ブラケットが上下方向に間隔をおいて複数設けられ、横方向に間隔をおいた鋼製縦梁における魚道支持ブラケットに渡って鋼製魚道ユニットが設置されて魚道が形成されているので、鋼製縦梁にブラケットを介して設置された簡単な構造で軽量な鋼製魚道とすることができる等の効果が得られる。
第5発明によると、鋼製縦梁の下部が、魚道におけるコンクリート製プール等のコンクリート製設備に設置されているので、鋼製縦梁の下部をコンクリート製プール等のコンクリート製設備を利用して固定することもできる等の効果が得られる。
第6発明によると、河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁の基端側を岩盤側壁にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁を前記鋼製受梁に渡って架設すると共に鋼製横梁を上下方向に複数段設置し、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁を前記鋼製横梁に架設し、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットを設置して魚道を形成するので、岩盤側壁を利用して組立容易な鋼製竪形魚道を短工期でしかも安価に構築することができる等の効果が得られる。
本発明においては、前記の堰堤7及び副堤8が設けられていない場所であっても、実施可能な鋼製竪形魚道5とされている形態である。
なお、下流側のコンクリート製プール38に下流側の蛇行回数の多い第3の鋼製竪形魚道5(5c)の入り口が接続され、その鋼製竪形魚道5(5c)の上部出口に、第2副堤8(8b)上方の岩盤側壁12に設置された第3接続用鋼製魚道6(6c)の入口が接続され、以下、第2の鋼製竪形魚道5(5b)、第2接続用鋼製魚道6(6b)、第1の鋼製竪形魚道5(5a)、第1接続用鋼製魚道6(6a)を順次上昇するように、岩盤側壁12に設置し、第1接続用鋼製魚道6(6a)の出口を本堰堤7の遡上入口に接続することで、魚の遡上を可能にした魚道設備とされている。
前記の凹部11は、岩盤側壁12における凸曲面壁部4における頂部又はその付近に設けることで、後記の鋼製受梁13の張り出し長さを短くすることができる。前記の凹部11を凹曲面壁部3の底部付近に設けては、鋼製受梁13の張り出し長さが長くなり、鋼製受梁13の大型化に繋がり、鋼製魚道ユニットを含む魚道設備の荷重を受けることによる曲げモーメントも大きくなるため、好ましくない。
前記の上下方向に間隔をおいて設けられた凹部11は、上部に設けられる凹部11に比べて、順次下方側に設けられる凹部11になるにしたがって、河川幅方向中央寄りに横方向に変位した位置で、河川の水位レベルよりも高い位置に設けられる。このようにすることで、同レベルで横方向に間隔をおいた複数の凹部11が、河川に沿った岩盤側壁12の上下方向に段状に形成されることで、前記各凹部11に設置される鋼製受梁13を、岩盤側壁12の下方に向かって、順次河川側に向かって階段状に形成することができる。
前記の凹部11は、その垂直な支承縦壁9が、例えば、平面視で、岩盤側壁12における等高線に直角となるように設けることで、後記の鋼製受梁13を等高線に対して直角に設置することが可能になる。
横方向にほぼ同レベルで設けられる凹部11間の距離は、岩盤側壁12における凹曲面壁部3を水平に切断した時の凹みの大きさ・寸法により、適宜設定される。
前記のように、各凹部11における支承縦壁9に鋼製受梁13が固定されていることで、河川に沿った岩盤側壁12に、上流側から下流側に向かって横方向に間隔をおくと共に、上下方向に間隔をおいて鋼製受梁13が岩盤側壁12から突出するように配置されている。 前記の鋼製受梁13は、その縦中心軸線が水平面に直角な垂直面に位置するように設けてもよく、前記垂直面に平行な垂直面に中心が位置するように設けてもよいものであり、横方向に隣り合う鋼製受梁13間の間隔は、各段の鋼製受梁13間において異なっていてもよい。
なお、各定着プレート付き鋼製受梁13のフランジとウェブとに固着された補強リブが設けられている。各定着プレート付き鋼製受梁13における各鋼製受梁13の張り出し長さ寸法は、適宜調整された所定の張り出し長さのものが用いられる。そして、ほぼ同レベルで横方向に隣り合う鋼製受梁13の先端取り付け部を結ぶ平面視の線分と、下位においてほぼ同レベルで横方向に隣り合う鋼製受梁13の先端取り付け部を結ぶ平面視の線分とは平行になるようにされている。これにより、同レベルの鋼製受梁13に渡って配置されて端部が取り付けられる鋼製横梁18と、その上位又は下位のレベルの鋼製横梁18は、平行に複数、段状に配置可能にされている。
なお、前記の定着プレート17を岩盤側壁12に固定する場合には、アンカー孔内に打ち込まれるアンカー金具を用いて岩盤側壁12に定着させるようにしてもよい。
前記のアンカー金具としては、図示を省略するが、截頭円錐状楔片とその外側に拡開式円筒状片を備え、前記截頭円錐状楔片に雌ねじ孔を設けて、前記截頭状楔片にねじ込まれるボルトにより前記截頭状楔片を引き寄せると共に拡開式円筒状片の外周面をアンカー孔内周面に食い込ませるように定着させる形態のアンカー金具を用いるようにしてもよい。また。前記以外にも、截頭円錐状楔片の外側に拡開式円筒状片を備えたアンカー金具を打ち込んで、アンカー孔内周面に拡開式円筒状片を圧着させるようにしてもよい。
各定着プレート付き鋼製受梁13を前記のような各種のアンカー材により岩盤側壁12に確実に固定することで、これに支持させることが可能になる。
鋼製受梁13の先端部における上フランジ22には、間隔をおいて複数のボルト挿通用長孔41が設けられ、ほぼ同レベルで岩盤側壁12に設置された横方向の各鋼製受梁13における上フランジ22上には、端部の下フランジ35にボルト挿通用長孔42を備えた鋼製横梁18の端部が載置されて、ボルト・ナット23により、鋼製横梁18は固定されている。前記鋼製横梁18としては、H形鋼が用いられる。
図8(a)に示すように、鋼製受梁13の上フランジ22に設けた各ボルト挿通用長孔41と鋼製横梁18の下フランジ35に設けた各ボルト挿通用長孔42とが交差するように配置されていることで、鋼製受梁13に鋼製横梁18が直角(90°)から例えば±1°〜30°程度の交差角度で、交差するように載置されても、前記各ボルト挿通用長孔41,42により両部材の多少の角度(位置)ずれを吸収して、両部材をボルト・ナットにより着脱可能に接合することができる。
また、定着プレート付き鋼製受梁13は、等高線に対して中心軸線が直角となるように配置され、鋼製受梁13と鋼製横梁18との交差角度は、各鋼製受梁13の設置場所により異なるが、上位又は下位に位置する各段の鋼製横梁18は平行であり、上下の鋼製横梁18を結ぶ傾斜角度は一定の傾斜角度となるようにされている。
前記のほぼ同レベルに設置されている定着プレート付き鋼製受梁13間の距離及び鋼製横梁18の長さ寸法は、魚道縦断勾配を考慮して設定される。したがって、鋼製横梁18は一定の長さ寸法にする必要はなく、例えば、図示のように、上位のレベルの鋼製横梁18を長尺に、下位の鋼製横梁をそれより短い寸法とした形態でもよい。定着プレート付き鋼製受梁13間の距離及び鋼製横梁18の長さ寸法は、適宜、岩盤側壁12の形態及び魚道の重量を加味して設定される。
したがって、各魚道ユニット25は、これを固定している着脱可能なボルト・ナット36,37を取り外すことで、交換可能な形態とされている。
魚道ユニット25は、一方向に傾斜して配置される直線状の魚道ユニット25と、平面U字状に屈曲する折り返し端部側に配置される折り返し部魚道ユニット25(25b)とが用いられ、折り返し部魚道ユニット25の端部は僅かに小さくされて、直線状の魚道ユニット25の端部に重なるようにその内側に配置されて、魚道側壁部相互と底部相互がボルト・ナット37により連結されて、複数の鋼製魚道ユニット25により魚道が上昇するに従って交互に折り返すように直列に連結されて、鋼製の魚道27が形成されている。
このような形態では、鋼製の魚道27は、鋼製縦梁21,鋼製横梁18,定着用プレート付き鋼製受梁13を介して岩盤地山1に支持されている形態とされている。
また、各鋼製縦梁21は、岩盤地山1から離れた状態とされており、横梁18を介して、アンカー材により岩盤側壁12に固定された各定着用プレート付き鋼製受梁13により、支持する構造とされている。
魚道長手方向で、下部フレーム30に対して鋼板製魚道本体31の長手方向の一端側端部が同じ位置となるように設置され、鋼板製魚道本体31の他端側は前記下部フレーム30から突出するように設けられ、その他端側の突出した部分は僅かに小さくされて、隣接する鋼板製魚道本体31の内側に嵌合可能にされている。
前記の一端側付近に設置されている横連結板29には、魚道巾方向に間隔をおいて複数のボルト挿通孔が設けられて、前記の横連結板29を鋼製縦梁21側のブラケット24における水平部分32にボルト・ナット36により取り付け可能にされ、他端側の鋼製魚道本体31を隣接する魚道本体31に嵌合載置すると共に、隣接する鋼板製魚道本体31における側壁板26相互をボルト・ナットにより連結することで、直列に隣り合う鋼製魚道ユニット25相互を直列に接続可能にされ、魚道路が連通するようにされている。
平面直線状の鋼製魚道ユニット25と、平面U字状の鋼製魚道ユニット25とは、前記の鋼製下部枠材28及び鋼製魚道本体31が平面直線状であるか、平面U字状であるかの点で相違している。また、平面U字状の鋼製魚道ユニット25は、側面視で一端側が低レベル位置に、他端側がそれよりも高レベル位置となるように設定されている。
また、各鋼製魚道ユニット25における底板には、魚道本体31の幅方向に凸部と凹部とを交互に形成した断続隔壁33を、魚道路の長手方向に間隔をおいて形成することで、遡上する場合の通路と流れの緩やかな魚の休憩場となる静穏域とを形成可能にされ、魚道路は魚の遡上が容易なようにされている。
次に、図1左側の鋼製魚道27の折り返し蛇行する回数の多い第3の鋼製竪形魚道5(5c)について説明する。
この形態では、鋼製縦梁21のブラケット24に取り付けられる最下段の鋼製魚道ユニット25における下流側魚道部分が、コンクリート製プール34に接続するように設置した形態とされ、下流側魚道は、ブラケットからコンクリート製プール上に支持されて、コンクリート製プール内に順次下降するように設置されていることで、魚の遡上が可能にされている。
この形態でも鋼製受梁13を設けることで、前記のように、鋼製魚道全体の荷重を各鋼製受梁13で分散して支承できるようにされているが、鋼製縦梁21の下端部を、鋼製魚道27の下方に設けられるコンクリート製プール34の壁部又はコンクリート製基礎39(図14又は図17参照)のコンクリート製設備を利用して、その壁部内に埋め込み固定することで、鋼製縦梁21の安定性を向上させるように、また、鋼製縦梁21を同じ長さ寸法のものを利用して、鋼製縦梁21下端の収まりがよいようにされている。図示の形態では、鋼製縦梁21に架設される鋼製魚道27を鋼製受梁13により支持できる構造になっているため、鋼製縦梁21下端をコンクリート製プール34又は地山上のコンクリート製基礎39に固定しなくてもよい。
鋼製竪形魚道5における上端レベルの出口レベルは、第2副堤8よりも高いレベル位置において岩盤側壁12に設置された第3接続用鋼製魚道6(6c)の入口に接続されている。
前記の支持部材43は、その基端側に定着用プレート(図示を省略した)が設けられ、鋼製受梁13の基端側の定着プレート17を岩盤地山に定着する構造と同様な構造により、岩盤地山に定着させている。
なお、この形態では、上下3段の横梁18により、その部分に架設される縦梁21及びこれに設置される魚道ユニット25を十分支持できる構造になっているが、図18に示すように、鋼製縦梁21の下端部を固定したい場合には、コンクリート製プール38又はそれに付属するコンクリート製部分39を利用して、鋼製縦梁21の下端部をアンカーボルト40等により固定するようにしてもよい。
前記のような鋼製竪形魚道5(5a〜5c)を構築する手順について説明する。
河川に沿った岩盤側壁12に、左右方向に間隔を置くと共に上下方向に間隔をおいて、予め定着プレート付き鋼製受梁13を設置するために、垂直な支承縦壁9と水平な平坦部とこれらに接続する側部壁を備えた段状の凹部11を、上下方向の各段の鋼製横梁18端部の位置を考慮して、所定の位置にピンポイントに掘削して、上下方向(垂直方向又は傾斜した方向等を含む)複数段にわたって形成し、必要に応じ、モルタル等により平坦で垂直な支承縦壁9とする。
次いで、前記各支承縦壁9に岩盤側壁に向かって複数のアンカー孔を形成し、各アンカー孔14にそれぞれアンカーボルト15を挿入し、アンカー孔内に充填材を充填してアンカーボルト15を定着する。その後、各支承縦壁9に定着プレート付き鋼製受梁13における定着プレート17のボルト挿通孔にアンカーボルトを挿通するようにして、定着プレート17を支承縦壁9に当接し、ナット及びロックナット34をアンカーボルト15にねじ込んで、定着プレート付鋼製受梁13を支承縦壁9の所定の位置に強固に固定して設置する。
又は、アンカー孔を形成した後、前記以外の適宜のアンカー材により定着プレート付き鋼製受梁13の基端側を支承縦壁9に定着する。
鋼製受梁13におけるフランジ等にアンカー材を固着している場合には、そのアンカー材をアンカー孔に挿入して充填材を充填することで、鋼製受梁13を所定の位置に設置することができる。
前記のようにして、定着プレート付き鋼製受梁13等の鋼製受梁13を岩盤側壁12から突出するように配置して、各鋼製受梁13の基端側を岩盤側壁12に固定した後、横方向に間隔をおいた鋼製受梁13に渡って鋼製横梁18を載置して、鋼製受梁13の上フランジと鋼製横梁18の下フランジをボルト・ナットにより固定することで架設する。
そして、上下方向に間隔をおいてかつ下方レベルに配置される鋼製横梁18が順次河川中央寄りに変位するように複数段(図示例では、3段又は5段)の鋼製横梁18を設置する。
前記のように、鋼製横梁18が設置されることで、各鋼製横梁18を鋼製受梁13により片持ち式に支持しても確実に支持することができる。
また、前記鋼製縦梁21の前面側に、予め又は鋼製縦梁21の架設後、上下方向に間隔をおいて水平部分32と斜材部とを備えた鋼製のブラケット24を配置して、各鋼製のブラケット24をボルト・ナット等により、鋼製縦梁21に固定する。
その後、横方向に間隔をおいた前記鋼製縦梁21に渡って複数の鋼製魚道ユニット25を直列に連続するように載置し、ボルト・ナット等により固定して、魚道ユニット25を設置する。
前記のように、本発明では、河川に沿った岩盤側壁12に、鋼製受梁13を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁12から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁13の基端側を岩盤側壁12にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁18を前記鋼製受梁13に渡って架設すると共に鋼製横梁18を上下方向に複数段設置し、魚道ユニット25を支持するための鋼製縦梁21を前記鋼製横梁18に架設し、前記鋼製縦梁21に鋼製魚道ユニット25を設置して魚道を形成することで、従来のコンクリート製魚道とする場合に比べて、組立が容易であり、施工工期も短く、構造も簡素で、軽量で安価に施工できる鋼製竪形魚道を構築できる。
なお、岩盤側壁12の近傍には、適宜、下部の岩盤側壁あるいは河床等から立設された足場は設置される(図示を省略した)。
本発明を実施する場合、図示を省略するが、岩盤側壁における左右の凹曲面部に、それぞれ鋼製受梁13を設置する場合には、平面視で、鋼製横梁及び鋼製魚道ユニットを弧状に湾曲させた形態とすることで対応するようにしてもよい。
本発明を実施する場合、鋼製魚道ユニット25全体を鋼製としてもよいが、一部に複合樹脂材料を用いて被覆し、防錆機能を向上させたユニットとしてもよい。
前記実施形態の場合には、河川の片側に設置する形態を示したが、本発明を実施する場合に、河川における両側壁に設けるようにしてもよい。
なお、本発明を実施する場合に、地山側壁が、軟質岩盤側壁あるいは硬質岩盤側壁と同等以上の強度を有している場合には、その地山側壁に前記実施形態な鋼製竪形魚道を形成するようにしてもよい。
また、本発明を実施する場合に、図示を省略するが、河川に沿った鋼製受梁13間の間隔が広がると(長スパンになると)、鋼製横梁18が長くなり鋼製横梁18に作用する負担(曲げ荷重)が大きくなるため、そのような場合には、岩盤側壁の凹凸の状況により、スパンの中間部に鋼製中間受梁を設けて横梁を支持してもよく、前記のような鋼製中間受梁を設けられない場合には、下部地盤から鋼製架台を立ち上げて、受梁(又は横梁の中間部)を支えるようにしてもよい。
2 側壁面
3 凹曲面壁部
4 凸曲面壁部
5 鋼製竪形魚道
6 接続用鋼製魚道
7 堰堤(本堰堤)
8 副堤
9 支承縦壁
10 水平部
11 凹部
12 岩盤側壁
13 鋼製受梁
14 アンカー孔
15 アンカーボルト
16 常温硬化性充填材
17 定着プレート
18 鋼製横梁
19 載置プレート
20 アーム
21 鋼製縦梁
22 上フランジ
23 ボルト・ナット
23b ボルト・ナット
24 鋼製ブラケット
25 魚道ユニット
26 側壁板
27 鋼製の魚道
28 鋼製下部枠材
29 横連結板
30 下部フレーム
31 鋼板製魚道本体
32 水平部分
33 断続隔壁
34 ナット及びロックナット
35 下フランジ
36 ボルト・ナット
37 ボルト・ナット
38 コンクリート製プール
39 コンクリート製基礎
40 アンカーボルト
41 ボルト挿通孔
42 ボルト挿通孔
43 支持部材
Claims (6)
- 河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁が横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置されると共に、前記各鋼製受梁の基端側は岩盤側壁にアンカー材により固定され、水平方向に延びる鋼製横梁が前記鋼製受梁に渡って架設されると共に鋼製横梁は上下方向に複数段設置され、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁が前記鋼製横梁に架設され、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットが設置されて、魚道が形成されていることを特徴とする鋼製竪形魚道。
- 岩盤側壁に複数のアンカー孔が形成された支承縦壁が複数形成され、各支承縦壁における各アンカー孔にそれぞれアンカーボルトが定着され、各支承縦壁に定着プレートが当接されて前記各アンカーボルトにねじ込まれた定着金具により定着プレートが支承縦壁に固定され、前記定着プレートに前記鋼製受梁の基端側が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製竪形魚道。
- 鋼製受梁の先端部に、鋼製横梁の端部が載置されてボルト・ナットにより固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼製竪形魚道。
- 前記鋼製縦梁の上下方向に間隔をおいて魚道支持ブラケットが上下方向に間隔をおいて複数設けられ、横方向に間隔をおいた鋼製縦梁における魚道支持ブラケットに渡って鋼製魚道ユニットが設置されて魚道が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼製竪形魚道。
- 鋼製縦梁の下部が、魚道におけるコンクリート製プール等のコンクリート製設備に設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼製竪形魚道。
- 河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁の基端側を岩盤側壁にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁を前記鋼製受梁に渡って架設すると共に鋼製横梁を上下方向に複数段設置し、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁を前記鋼製横梁に架設し、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットを設置して魚道を形成することを特徴とする鋼製竪形魚道の構築方法。
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