JP5573122B2 - 蓄熱剤 - Google Patents

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Description

本発明は、潜熱蓄熱剤に係り、特に、その蓄熱速度を高め、かつ層分離を抑制する技術に関する。
蓄熱材の主剤として使用される蓄熱剤は、その単位時間あたりの蓄熱量(以下「蓄熱速度」という)が高いものほど実用上好ましい。その蓄熱速度がより高ければ、より短時間でより多くの熱エネルギーを蓄積できるからである。
第四級アンモニウム塩の水溶液(以下「原料水溶液」という)が冷却されて生成される第四級アンモニウム塩の包接水和物(準包接水和物を含む。以下同様)は、蓄熱式のビル空調設備に使用される蓄熱材や鮮魚保存用の保冷材の主剤として良く知られており(例えば、特許文献1、2参照)、相分離を起こし難いことでも知られている(例えば、特許文献3参照)。そして、原料水溶液から第四級アンモニウム塩の包接水和物が生成する際の単位時間あたりの蓄熱量(これは、第四級アンモニウム塩の包接水和物が原料水溶液に復帰する際の単位時間あたりの放熱量と実質的に等しい)、即ち蓄熱速度を高める技術開発が進められている。そのような技術として、原料水溶液にアルカリ金属リン酸塩を添加することにより蓄熱速度を向上させる技術がある(例えば、特許文献4参照)。
特開2001−280875号公報 特開2007−161894号公報 特開2005−126728号公報 特開2008−214527号公報 特開2006−131856号公報 特許3774530公報
ここで、原料水溶液から生成する第四級アンモニウム塩の包接水和物は、原料水溶液中で相分離を起こし難いことは確かであるが、長時間静置すれば、やがて二相に分離状態になる。そのような包接水和物が相分離した状態にある原料水溶液に対して加熱と冷却を繰り返した場合、撹拌などにより相分離状態を事前に解消しておくような場合を除き、蓄熱速度の向上効果は長続きしない。蓄熱速度の向上効果を維持させるためにアルカリ金属リン酸塩を原料水溶液により多く添加すると、かえって二相分離がより顕著に起こる現象も確認されている。
一方、蓄熱剤が起こす相分離を防止又は抑制する手法として、次の例が知られている。
(1)硫酸ナトリウム10水和物を主成分とする蓄熱剤の相分離抑制のためにスターチ等の多糖類を用いる手法(特許文献5)。この手法によれば、スターチ等の多糖類による蓄熱剤のゲル化という物理的効果により、相分離を防止又は抑制することができる。
(2)酢酸ナトリウム3水塩を主成分とする蓄熱剤に含まれる過冷却解除防止用担持結晶の沈降を抑制するために、増粘剤を添加する手法(特許文献6)。この手法によれば、増粘剤による粘性増加という物理的効果により、過冷却防止用担持結晶の沈降が抑制され、その沈降が原因となる相分離を防止又は抑制することができる。
しかし、上記(1)及び(2)の各手法における物理的効果を維持するためには、蓄熱剤の粘性を大幅に増加させなければならない。蓄熱剤の粘性が大幅に増加すると、蓄熱剤中の熱移動が緩慢になり、蓄熱剤と外部との熱交換速度(延いては蓄熱速度)が低下するという性能上の問題が生じ、また、蓄熱剤を蓄熱容器に充填することが難しくなるなど、取扱い上の問題が生じる。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、第四級アンモニウム塩、水及びアルカリ金属リン酸塩を含む蓄熱剤であって、蓄熱速度が高く、二層分離が起こり難いもの、及びそのような蓄熱剤を用いた蓄熱材を提供することを目的とする。
第四級アンモニウム塩と水を含む蓄熱剤にアルカリ金属リン酸塩を特定の濃度以上に添加すると、液相が二層に分離する現象が認められた。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)40重量部を水60重量部に溶解して得られた蓄熱剤に対して、リン酸水素二ナトリウム1.5重量部を添加して加熱及び攪拌して溶解させ、静置して放置すると、溶液状態で既に二層に分離する現象がみられた。
このとき、上層液部分は体積割合で90%以上であり、下層液部分は体積割合で10%以下であった。 それぞれの層を分析すると、上層液部分はTBABと水が主成分であり、下層液部分はリン酸水素二ナトリウムと水が主成分であった。
ここで、溶液を調製した直後に液が二層に分離するという現象は、凝固融解を繰り返して固相部分が次第に沈澱していき固相と液相とに分離する固液相分離現象とは根本的に異なっている。固液相分離を抑制するために、溶液の粘性を上昇させるなどして、固体部分の沈降を防ぐことが試みられているが、液が二層に分離する現象に対しては粘性上昇により分層を抑制できる可能性が低い。
実際に発明者らが周知の増粘剤(デンプン、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコールなど)を添加することで溶液の粘性を上昇させても、二層分離を抑制することができなかった。すなわち、粘性上昇などの物理的作用による二層分離を抑制することは困難である。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、第四級アンモニウム塩と水とアルカリ金属リン酸塩を含む蓄熱剤に、カルボキシル基およびカルボキシメチル基のうち少なくとも一つを有する水溶性多糖類を添加する、あるいはカルボキシル基およびカルボキシメチル基のうち少なくとも一つを有し、アルカリ金属を有する水溶性多糖類を添加することにより、二層分離を抑制することができることを見出した。
これは、単に粘性上昇などの物理的な作用ではなく、アルカリ金属リン酸塩と、カルボキシル基およびカルボキシメチル基のうち少なくとも一つを有する水溶性多糖類との化学的な作用により、あるいはカルボキシル基およびカルボキシメチル基のうち少なくとも一つを有し、アルカリ金属を有する水溶性多糖類との化学的な作用により、二層分離を抑制できるためと考えられる。
本発明において、カルボキシル基およびカルボキシメチル基のうち少なくとも一つを有する水溶性多糖類の典型例は、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースである。また、カルボキシル基およびカルボキシメチル基のうち少なくとも一つを有し、アルカリ金属を有する水溶性多糖類の典型例は、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
本発明において、アルカリ金属リン酸塩の典型例は、ナトリウムのリン酸塩、カリウムのリン酸塩であり、具体的にはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウムであり、その混合物であっても良い。
また、本発明において、第四級アンモニウム塩の典型例は、テトラアルキルアンモニウム塩である。テトラアルキルアンモニウム塩の典型例は、臭化テトラnブチルアンモニウムである。
また、本発明者は、これらの水溶性多糖類を加えても、蓄熱剤の性能、すなわち過冷却解除性能や蓄熱速度が問題になるほど損なわれることがないことを見出した。
さらに、本発明者は、第四級アンモニウム塩とアルカリ金属リン酸塩を含む水溶液に添加するこれらの水溶性多糖類の分子量や添加量によって溶液の粘性は異なってくるものの、二層分離の抑制効果はその粘性とはほとんど関係がないことを見出した。したがって、第四級アンモニウム塩とアルカリ金属リン酸塩を含む水溶液の粘性を上昇させることなく、二層分離を抑制することができるので、粘性上昇により蓄熱剤中の熱移動が緩慢になり蓄熱剤と外部との熱交換速度が低下する性能上の問題や、高粘性により蓄熱容器への蓄熱剤の充填が難しくなるなどの取扱い上の問題が生じることを避けることができる。
本発明の第1の態様は、第四級アンモニウム塩、水、アルカリ金属リン酸塩及び水溶性多糖類を含む蓄熱剤であって、前記水溶性多糖類がカルボキシル基およびカルボキシメチル基のうちの少なくとも一つを有する水溶性多糖類であることを特徴とする蓄熱剤を提供する。
本発明の第2の態様は、第四級アンモニウム塩、水、アルカリ金属リン酸塩及び水溶性多糖類を含む蓄熱剤であって、前記水溶性多糖類がカルボキシル基並びにカルボキシメチル基のうちの少なくとも一つ、及びアルカリ金属を有する水溶性多糖類であることを特徴とする蓄熱剤を提供する。
以上の蓄熱剤において、前記アルカリ金属リン酸塩として、リン酸水素二ナトリウムを用いることが出来る。
なお、本明細書において、次に掲げる用語は、別段の説明がなされる場合を除き、以下のとおり解釈されるものとする。
(1)「包接水和物」には、準包接水和物が含まれる。
(2)「包接水和物」は「水和物」と略称される場合がある。
(3)「原料水溶液」とは、第四級アンモニウム塩の水溶液をいう。当該第四級アンモニウム塩とは別の微量物質が添加されていても「原料水溶液」という。また、第四級アンモニウム塩をゲスト化合物とする包接水和物が分散又は懸濁していても、第四級アンモニウム塩を含む水溶液であれば「原料水溶液」という。
(4)「水和物生成温度」とは、原料水溶液を冷却したとき、第四級アンモニウム塩をゲスト化合物とする包接水和物が生成する平衡温度をいう。原料水溶液の第四級アンモニウム塩の濃度により包接化合物が生成する温度が変動する場合であっても、これを「水和物生成温度」という。なお、簡便のため、「水和物生成温度」を「融点」という場合がある。
(5)「第四級アンモニウム塩をゲスト化合物とする包接水和物」は「第四級アンモニウム塩の水和物」と略称される場合がある。
(6)「蓄熱剤」とは、熱エネルギーの貯蔵や輸送その他の使用の目的や態様、利用分野等の如何を問わず、蓄熱性を有する物質をいう。蓄冷性を有する物質を「蓄冷剤」という場合がある。蓄熱性を有する包接水和物は、「蓄熱剤」又は「蓄冷剤」の構成成分となり得る。
(7)「蓄熱速度」とは、単位体積もしくは単位重量の蓄熱剤が、ある条件の熱交換操作により単位時間内に蓄積できる熱エネルギーの量又はこれに正の相関関係を有するパラメータをいう。
本発明の蓄熱剤によると、アルカリ金属リン酸塩の作用により高い蓄熱速度を有することができるとともに、二層に分離することを有効に抑制することができ、凝固融解を繰返しても高い蓄熱速度を維持することができる。
また、蓄熱剤の粘性が高くなることがないので、粘性上昇により蓄熱剤中の熱移動が緩慢になって蓄熱剤と外部との熱交換速度が低下する性能上の問題や、高粘性により蓄熱容器への蓄熱剤の充填が難しくなるなどの取扱い上の問題も生じない。
以下、本発明の実施の形態について、本発明の実施例及び比較例を示すことにより、詳細に説明する。
<水和物生成実験>
第四級アンモニウム塩の典型例としての臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の水溶液に、アルカリ金属リン酸塩の典型例としてのリン酸水素二ナトリウムを添加し、さらに水溶性多糖類を添加することにより調製した蓄熱剤の包接水和物の生成挙動と蓄熱量を調べた。
TBAB33重量%水溶液をブランクの原料水溶液とし、その水和物生成温度は約10℃である。
[実験方法]
原料水溶液30gを入れたガラス容器を4℃の冷却液に挿入して冷却を行い、水和物結晶の生成挙動を観察した。
次に、4℃に冷却し水和物結晶が生成した原料水溶液の入っているガラス容器を、内部にヒータを備えている断熱容器に入った12℃の水に挿入した。 そして、水の温度を12℃に保持するようにヒータに電流を流し、加熱しながら、ガラス容器内の水溶液温度が12℃になるまで放置した。この間に生成していたTBAB水和物結晶は融解する。
4℃の水和物結晶が生成した原料水溶液の入っているガラス容器が12℃になるまでの熱量を、ヒータに加えた累積熱量の計測値によって求め、さらに水溶液が入っていないガラス容器だけの4℃から12℃になるまでの熱量を差し引いて、原料水溶液が4℃から12℃になるまでの熱量を求め、蓄熱剤の12℃を基準とした蓄熱量として求めた。
蓄熱量を求めるにあたり、12℃を基準とするのは、一般的なセントラル冷房空調システムにおいて負荷側に送った冷媒が戻ってくる温度が12℃であり、蓄熱剤が一般的なセントラル冷房空調システムで用いられる際の温度範囲の上限温度が12℃であり、12℃までの温度範囲で保有する熱量を蓄熱量として評価するからである。一方、冷却する温度として4℃を基準とするのは、一般的な冷房用冷凍機の冷却温度が4℃であるからである。
次に、12℃になった原料水溶液の入ったガラス容器を、恒温槽に入れて50℃に加熱した。加熱温度を50℃に設定したのは、蓄熱式のビル空調設備に使用される蓄熱材や鮮魚保存用の保冷材の主剤としての蓄熱剤が夏季に到達すると考えられる温度が、多くの場合、40〜50℃程度であるという経験的知見を根拠とする。
以上の4℃冷却、12℃加熱、50℃加熱を1サイクルとして、水和物結晶の生成挙動の観察、及び蓄熱剤が蓄えた蓄熱量の計測を実施した。
[比較例1]
TBAB33重量%水溶液をブランクの原料水溶液として、約40℃で調製し、比較例1の原料水溶液とした。
比較例1の原料水溶液を入れたガラス容器を4℃の冷却液に挿入し、水溶液を静置した状態で冷却した。約10分後に水溶液の温度が4℃に到達した。冷却開始後60分が経過したところで、水和物結晶の生成は認められず、過冷却状態のままであった。
次に、水溶液温度が4℃から12℃に到達するまでのヒータ加熱量を求め、4℃から12℃での蓄熱量を求めたところ、水溶液1gあたり約7カロリーであった。水溶液の状態に変化はなかった。次に、水溶液を50℃に加熱したところ、水溶液の状態に変化はなかった。さらに、4℃冷却、12℃加熱、50℃加熱のサイクルを10回繰り返したが、水和物結晶の生成が認められることはなかった。
以上のように、TBABだけの水溶液の場合、水和物結晶が生成しないため、潜熱を蓄熱することができなかった。
[比較例2]
TBAB33重量%、リン酸水素二ナトリウム2重量%の濃度で原料水溶液を約40℃で調製し、比較例2の原料水溶液とした。水溶液は多少濁っており、静置すると液相が二層に分離した。下層の割合は、全体の1体積%未満であった。
比較例2の原料水溶液を入れたガラス容器を4℃の冷却液に挿入し、水溶液を静置した状態で冷却した。水溶液温度が約4℃に到達してしばらくして水和物結晶生成が確認された。60分経過した時点で、原料水溶液の多くの部分が結晶化していることが確認された。
次に、水溶液温度が4℃から12℃に到達するまでのヒータ加熱量を求め、4℃から12℃での蓄熱量を求めたところ、水溶液1gあたり約30カロリーであった。12℃に到達した水溶液の中に少量の結晶が残存していることが確認された。次に、水溶液を50℃に加熱したところ、水溶液中の残存していた少量の結晶はなくなり、水溶液は二層に分離していた。下層の割合は、全体の1体積%未満であった。
さらに、4℃冷却、12℃加熱、50℃加熱のサイクルを9回繰り返した。繰り返しの9回目の4℃冷却時には、60分が経過した時点で、原料水溶液のうち下部の一部が結晶化していることが確認された。4℃から12℃での蓄熱量は、水溶液1gあたり約18カロリーであった。 水溶液を50℃に加熱したところ、水溶液中の少量の結晶はなくなり、水溶液は二層に分離しており、下層の割合は、全体の3体積%程度であった。
以上のように、TBABにリン酸水素二ナトリウムを添加した水溶液の場合、水溶液は二層に分離しており、水和物結晶は生成するものの、冷却加熱のサイクル数を重ねるにつれ蓄えられる潜熱量が低下した。
[実施例1〜4]
TBAB33重量%、リン酸水素二ナトリウム2重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量%の濃度で原料水溶液を約40℃で調製し、実施例1の原料水溶液とした。水溶液は無色透明であった。カルボキシメチルセルロースナトリウムはカルボキシメチル基を有し、アルカリ金属を有する水溶性多糖類の典型例の一つである。
実施例1の原料水溶液を入れたガラス容器を4℃の冷却液に挿入し、水溶液を静置した状態で冷却した。水溶液温度が約4℃に到達してしばらくして結晶生成が確認された。60分経過した時点で、原料水溶液の多くの部分が結晶化していることが確認された。
次に、水溶液温度が4℃から12℃に到達するまでのヒータ加熱量を求め、4℃から12℃での蓄熱量を求めたところ、水溶液1gあたり約35カロリーであった。12℃に到達した水溶液の中に少量の結晶が残存していることが確認された。次に、水溶液を50℃に加熱した。水溶液中の残存していた少量の結晶はなくなり、無色透明となり、水溶液は二層に分離することはなかった。
さらに、4℃冷却、12℃加熱、50℃加熱のサイクルを9回繰り返した。繰り返しの9回目の4℃冷却時には、60分が経過した時点で、原料水溶液の多くの部分が結晶化していることが確認された。4℃から12℃での蓄熱量は、水溶液1gあたり約35カロリーであった。水溶液を50℃に加熱したところ、水溶液中の少量の結晶はなくなり、無色透明となった。
以上のように、TBABにリン酸水素二ナトリウムを添加し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを添加した水溶液の場合、水溶液は二層に分離することなく、冷却により水和物結晶は円滑に生成され、蓄えられる潜熱量は比較例2よりも多く、また、冷却加熱のサイクルを繰り返しても蓄えられる潜熱量は低下することなく維持された。
さらに、カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度を0.5〜2重量%の範囲で変えて原料水溶液を調製し、実施例2〜4の原料水溶液とした。実施例2〜4の原料水溶液について、実施例1と同様の実験を行ったところ、下記表1に示すように、水溶液は二層に分離することなく、冷却により水和物結晶は円滑に生成し、蓄えられる潜熱量は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度を変えても変化がなく、水溶液1gあたり約35カロリーであり、また、冷却加熱のサイクルを繰り返しても蓄えられる潜熱量は低下することなく維持された。
実施例1〜4の水溶性多糖類を添加した原料水溶液の粘度を常温にて計測した。その結果を下記表1に示す。下記表1に示すように、添加率が高いほど粘度が高くなっている。一方、水溶性多糖類を添加したことによる二層分離の抑制効果と蓄えられる潜熱量は、原料水溶液の粘性とはほとんど関係ないことが確認された。
したがって、第四級アンモニウム塩とアルカリ金属リン酸塩を含む水溶液の粘性を上昇させることなく、二層分離を抑制することができるので、粘性上昇により蓄熱剤中の熱移動が緩慢になり、蓄熱剤と外部との熱交換速度が低下する性能上の問題や、高粘性により蓄熱容器への蓄熱剤の充填が難しくなるなどの取扱い上の問題が生じることを避けることができた。
Figure 0005573122
[比較例3〜6]
TBAB33重量%、リン酸水素二ナトリウム2重量%、ポリビニルアルコール2重量%の濃度で原料水溶液を約40℃で調製し、比較例3の原料水溶液とした。さらに、ポリビニルアルコールの代わりにポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムをそれぞれ2重量%又は1重量%の濃度で添加したものを比較例4、5、及び6の原料水溶液とした。
比較例3、4、5、及び6の原料水溶液は多少濁っており、静置すると液相が二層に分離した。下層の割合は、全体の1体積%未満であった。
比較例3、4、5、及び6の原料水溶液を入れたガラス容器を4℃の冷却液に挿入し、水溶液を静置した状態で冷却した。水溶液温度が約4℃に到達してしばらくして水和物結晶生成が確認された。60分経過した時点で、原料水溶液の多くの部分が結晶化していることが確認された。
次に、水溶液温度が4℃から12℃に到達するまでのヒータ加熱量を求め、4℃から12℃での蓄熱量を求めたところ、いずれも水溶液1gあたり約30カロリーであった。12℃に到達した水溶液の中に少量の結晶が残存していることが確認された。次に、水溶液を50℃に加熱した。水溶液中の残存していた少量の結晶はなくなり、水溶液は二層に分離していた。下層の割合は、全体の1体積%未満であった。
さらに、4℃冷却、12℃加熱、50℃加熱のサイクルを9回繰り返した。繰り返しの9回目の4℃冷却時には、60分が経過した時点で、原料水溶液のうち下部の一部が結晶化していることが確認された。4℃から12℃での蓄熱量は、下記表2に示すように、水溶液1gあたり比較例3は約18カロリー、比較例4は約19カロリー、比較例5は約16カロリー、比較例6は約18カロリーであった。水溶液を50℃に加熱したところ、水溶液中の少量の結晶はなくなり、水溶液は二層に分離しており、下層の割合は、全体の3体積%程度であった。
下記表2に、常温にて計測した粘度を示すが、実施例1と同等あるいはより大きな粘性であっても二層分離を防止できない結果であった。
Figure 0005573122
上記表2に示すように、TBABにリン酸水素二ナトリウムを添加し、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムのうちの何れかを添加した水溶液の場合、水溶液は二層に分離しており、水和物結晶は生成するものの、冷却加熱のサイクル数を重ねるにつれ蓄えられる潜熱量が低下した。
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。本明細書における各用語の意味又は解釈は、本発明の技術的範囲が均等の範囲にまで及ぶことを妨げるものではない。

Claims (3)

  1. 臭化テトラnブチルアンモニウム、水、アルカリ金属リン酸塩及び水溶性多糖類を含む蓄熱剤であって、前記水溶性多糖類がカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする蓄熱剤。
  2. 臭化テトラnブチルアンモニウム、水、アルカリ金属リン酸塩及び水溶性多糖類を含む蓄熱剤であって、前記水溶性多糖類がカルボキシメチルセルロースナトリウムであることを特徴とする蓄熱剤。
  3. 前記アルカリ金属リン酸塩がリン酸水素二ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱剤。
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