JP5570412B2 - 多孔質成型体 - Google Patents

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本発明は、シリコアルミノフォスフェート(SAPO)および/またはアルミノフォスフェート(ALPO)を含む多孔質成型体に関するものである。
近年の排ガス規制の強化に伴って、排ガス触媒の研究が盛んに行われている。
このような触媒としては例えば酸化触媒やガソリン車排ガス浄化用の三元触媒、さらにはディーゼル車排ガス浄化用にNOx浄化性能に優れたNOx選択還元型触媒(SCR触媒)などが挙げられる。
このような触媒としては通常、ハニカム型の担体に活性金属成分を担持したものが用いられており、この担体については様々な研究が行われている。
例えば特許文献1では例えばアルミナ、ジルコニア、チタニア、ゼオライト、SiC、SiN、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート(LAS)、リン酸チタン、ペロブスカイト、スピネル、シャモット、無配向コージェライト等をセル隔壁の主要構成材料とした排ガス浄化用ハニカム触媒が記載されており、前記ゼオライトとして、ALPOやSAPO、メタロシリケート、層状化合物が使用できることが記載されている。
また、特許文献2には、ゼオライトの金属イオン交換をpH3付近で行い、その後、540℃以上の高温で水熱処理した、水熱的に安定な選択的NOx還元用金属処理ゼオライト触媒が開示されている。
また、特許文献3には鉄イオン交換したβ型ゼオライト担体に酸化第二鉄を担持した脱硝触媒が開示されている。
しかしながら、前記したゼオライトなどの従来の結晶質多孔性物質触媒は、水分が生成する反応で、且つ700℃以上の高温で使用すると結晶性、比表面積が低下し、これに伴い活性が低下することから、水熱的に安定で、高活性を長期にわたって維持することのできる触媒が求められていた。
このような背景の中で、本発明者らは、SAPOなどの結晶性シリコアルミノフォスフェートを触媒担体として用いると高温で使用しても比較的結晶性、比表面積の低下が小さく、安定であって、これに活性成分として銅を担持した触媒が選択還元型NOx触媒として優れていることを見出した。
しかしながら、このような結晶性シリコアルミノフォスフェートを用いたハニカム成型体の耐クラック性についてさらに改善させる余地があった。
特に、排ガス浄化用触媒は温度変化の激しい使用条件下で長期間使用されるため、長期的な温度条件変動下における耐クラック性の向上が求められていた。
特開2003−33664号公報 特表2009−519817号公報 再表2006−011575号公報
本発明は、シリコアルミノフォスフェート(SAPO)および/またはアルミノフォスフェート(ALPO)を含む、多孔質成型体であって、耐クラック性に優れた多孔質成型体を提供することを目的としている。
特に、高温から低温へ繰り返し温度変動させた際の耐クラック性が改善された多孔質成型体の提供を目的としている。
本発明の多孔質成型体は正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを含むことを特徴とする。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの結晶構造がAEI、AET、AFI、AFR、AFT、AFX、AST、ATN、ATO、ATS、AWW、CHA、FAU、GIS、LTA、SOD、VFIより選ばれたいずれか1種以上であることが好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOの結晶構造がAEL、AEN、AFN、AFO、AHT、ANA、APC、APD、ATT、ATV、AWO、ERIより選ばれたいずれか1種以上であることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOが、SAPO−5、SAPO−18、SAPO−20、SAPO−31、SAPO−34、SAPO−37、SAPO−40、SAPO−42、SAPO−43、SAPO−47、SAPO−56、AlPO−5、AlPO−8、AlPO−16、AlPO−18、AlPO−22、AlPO−31、AlPO−34、AlPO−37、AlPO−40、AlPO−52、AlPO−54より選ばれた1種以上であることが好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOが、AlPO−11、AlPO−14、AlPO−17、AlPO−21、AlPO−24、AlPO−25、AlPO−33、AlPO−35、AlPO−41、AlPO−53、AlPO−C、AlPO−D、AlPO−H2、AlPO−H3、AlPO−EN3より選ばれた1種以上であることが好ましい。
前記成型体に含まれる正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの重量(X)と前記負の線膨張率を有するALPOの重量(Y)との重量比(X)/(Y)が0.125〜9の範囲にあることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOがSAPO−34であることが好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOが、AlPO−Dであることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張率が0.001〜1.0%の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張率が−0.001〜−1.0%の範囲にあることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張速度が50〜130℃の温度範囲において0.0001〜0.1%/℃の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張速度が50〜130℃の温度範囲において−0.0001〜−0.1%/℃の範囲にあることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張速度が70〜100℃の温度範囲において0.001〜0.05%/℃の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張速度が70〜100℃の温度範囲において−0.001〜−0.04%/℃の範囲にあることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPO、および/または、前記負の線膨張率を有するALPOに活性金属成分が担持されていることが好ましい。
前記活性金属成分が銅であることが好ましい。
本発明の多孔質成型体は、さらに結合材を含むことが好ましい。
前記成型体の線膨張率が−0.2〜0.25%の範囲にあることが好ましい。
前記成型体が窒素化合物含有排ガス用触媒であることが好ましい。
本発明に係る多孔質成型体は、正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを含んでいるため、成型体のクラック発生を抑制する効果が非常に高い。さらに言えば、低温から高温へと繰り返し温度変化させた際に起こるクラックの発生を抑制する効果に優れている。
実施例1で調製したSAPO−34(1)とAlPO−D(1)の線膨張曲線である。
多孔質成型体
本発明に係る多孔質成型体は、正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを含むことを特徴としている。
前記成型体が正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを含むことにより、成型体のクラックの発生を抑制することができ、特に、繰り返し温度変化させた際のクラックの発生を抑制することができる。
その理由としては、正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを混合して用いることによって、それぞれの膨張と収縮が相殺し合い、温度変動条件下において成型体全体としての膨張や収縮の割合が減少するためであると考えられる。
また、正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとは、膨張と収縮の挙動の対称性が高いため、これらを混合した成型体の温度変化に伴う膨張や収縮の挙動を相殺させる効果が高い。
なお、本発明において、ALPO(一般にアルミノフォスフェートと称される)とは、分子篩化合物の一種であって、少なくともアルミニウムと、リンと、酸素とを含む多孔質化合物を指す。本発明に係るALPOは、さらに、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素などの元素を含むものであってもよい。
また、本発明におけるSAPO(一般にシリコアルミノフォスフェートと称される)とは、少なくともケイ素と、アルミニウムと、リンと、酸素とを含む多孔質化合物であって、通常は前記ALPOに含まれるアルミニウムおよび/またはリンをケイ素で置換した構造をとる。
本発明に係る多孔質成型体に含まれる正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの重量(X)と前記負の線膨張率を有するALPOの重量(Y)との重量比(X)/(Y)は、0.125〜9、より好ましくは0.33〜5の範囲にあることが好ましい。
前記重量比が0.125未満の場合には、負の線膨張率が大きくなり、収縮、膨張を繰り返すことによって成型体にクラックを生じる場合があったり、これを触媒として用いた際の活性が低下する場合があるので好ましくない。前記重量比が9を超えると、成形体の膨張を抑制する効果が低下し、クラックが生じる可能性があるので好ましくない。
また、前記成型体に含まれるSAPOおよび/またはALPOの含有量は、特に制限されるものではないが、前記成型体に含まれる正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの重量と、前記負の線膨張率を有するALPOの重量との合計が前記成型体に対して概ね60〜90重量%の範囲にあればよい。
本発明における好ましい形態として、前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張曲線と、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張曲線との対称性が高いことが好ましい。
すなわち、膨張と収縮とが可能な限りそれぞれ同じような温度で同じような速度で起こることが好ましく、この差が少ないほど、温度条件変動下において、成型体全体としての膨張収縮が起こりにくくなり、低温から高温へと繰り返し変動しながら使用されるような条件における長期的な耐クラック性が著しく向上する。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張曲線と、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張曲線との対称性は、比較的低温から得られることが好ましく、本発明においては少なくとも70℃以上から前記線膨張曲線がそれぞれ正と負の傾きを持つようなものとなることが好ましい。
さらに、上述した線膨張曲線の対称性の目安としては、本発明に係る多孔質成型体において、前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張速度が50〜130℃の温度範囲において0.0001〜0.1%/℃の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張速度が50〜130℃の温度範囲において−0.0001〜−0.1%/℃の範囲にあることが好ましい。
さらに好ましくは、前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張速度が70〜100℃の温度範囲において0.001〜0.05%/℃、より好ましくは0.008〜0.03%/℃の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張速度が70〜100℃の温度範囲において−0.001〜−0.04%/℃、より好ましくは−0.005〜−0.025%/℃の範囲にあることが好ましい。
このような正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを用いた成型体は、膨張と収縮挙動の対称性が高いため、熱変動条件下での成型体全体としての耐クラック性が非常に向上するため好ましい。
正と負の線膨張速度が上記の範囲にあるSAPOおよび/またはALPOと、ALPOとを組み合わせて用いることによって、本発明に係る多孔質成型体の耐クラック性、特に繰り返される温度変動下での耐クラック性を非常に向上させることができる。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPO、および/または、前記負の線膨張率を有するALPOに活性金属成分が担持されていることが好ましい。
前記金属成分の一例としては、貴金属、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素などを含む金属、合金、酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
前記金属成分は、周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族より選ばれた1種以上を含むものであることが好ましい。
具体的には鉄、ルテニウム、オスミウム、ハシウム、サマリウム、プルトニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、マイトネリウム、エウロピウム、アメリシウム、ニッケル、パラジウム、白金、ダームスタチウム、ガドリニウム、キュリウム、銅、銀、金、レントゲニウム、亜鉛、カドミウム、水銀、ジスプロシウム、カリホルニウムなどが好ましい。
より好ましくは、前記金属成分が銅を含むことが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPO、および/または、前記負の線膨張率を有するALPOに銅を含む金属成分を担持した場合には、本発明に係る多孔質成型体の触媒性能、特にNOx浄化性能が高く、またこれを長期的に維持することが可能であるので好ましい。
前記金属成分の担持は、成型前に行っても成型後に行ってもよく、例えば含浸法、噴霧乾燥法、ヘテロ凝集法、ウォッシュコート法などにより行うことができるが、より好ましくは、あらかじめSAPOおよび/またはALPOに金属成分を担持させてから成型することが好ましい。
なお、前記金属成分の担持量は、0.1〜10重量%となる範囲で担持することが好ましい。
前記担持量が0.1重量%未満の場合には成型体の触媒活性が充分でない場合があり、前記担持量が10重量%を超えると、金属成分が凝集し触媒活性が低下する場合があるので好ましくない。
本発明に係る多孔質成型体の線膨張率は−0.2〜0.25%、より好ましくは−0.1〜0.1%の範囲にあることが好ましい。
このような成型体は耐クラック性が非常に向上するので好ましい。
正の線膨張率を有するSAPO
前記正の線膨張率を有するSAPOとしては、特に制限されず、正の線膨張率を有するものであればどのようなものであってもよい。
前記SAPOは、結晶性のものであることが好ましい。
結晶性のSAPOを用いた多孔質成型体は触媒活性に優れるため好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOに含まれるケイ素の含有量はSiO2換算基準で1〜20重量%、より好ましくは2〜16重量%の範囲にあり、アルミ二ウムの含有量はAl23換算基準でして35〜45重量%、より好ましくは37〜43重量%の範囲にあり、リンの含有量はP25換算基準で45〜55重量%、好ましくは47〜53重量%の範囲にあるものであることが好ましい。
このような組成の範囲にあるSAPOを用いた多孔質成型体は耐クラック性に優れるため好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOの平均粒子径は、特に制限されるものではないが、0.2〜10μm、より好ましくは0.5〜7μmの範囲にあることが好ましい。
前記平均粒子径が0.2μm未満の場合には水熱安定性が不十分となる場合があり、前記平均粒子径が10μmを超えると、成形体として用いる場合、十分な強度、耐摩耗性等が得られない場合があるので好ましくない。
前記正の線膨張率を有するSAPOは、AEI、AET、AFI、AFR、AFT、AFX、AST、ATN、ATO、ATS、AWW、CHA、FAU、GIS、LTA、SOD、VFIより選ばれたいずれか1種以上の結晶構造を有するものであることが好ましい。
このようなSAPOを用いると本発明に係る成型体の耐クラック性が向上するので好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOの一例としては、SAPO−5、SAPO−18、SAPO−20、SAPO−31、SAPO−34、SAPO−37、SAPO−40、SAPO−42、SAPO−43、SAPO−47、SAPO−56などが挙げられる
より好ましくは、SAPO−34を用いることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOとしてSAPO−34を用いた成型体は耐クラック性、強度、水熱安定性が高く、活性金属を担持して触媒として用いた際の活性および該活性の長期的維持に優れるため好ましい。
前記正の線膨張率を有するSAPOの線膨張率は0.001〜1.0%、より好ましくは0.01〜1.0%の範囲にあることが好ましい。
正の線膨張率が0.001%未満のSAPOは現状において天然に存在しない、または合成することが困難であり、前記正の線膨張率を有するSAPOの線膨張率が1.0%を超えると、成形体の膨張率が高くなりすぎ、クラックを発生したり、成形が困難になる可能性がある。
このようなSAPOは、例えば、水熱合成法やドライゲルコンバージョン法のような方法で製造することができる。
具体的には、例えばケイ素を含むケイ素化合物と、アルミニウムとを含むアルミニウム化合物と、リンを含むリン化合物との混合物を水熱合成処理したのち、必要に応じて洗浄および乾燥、焼成する方法が挙げられる。
前記ケイ素化合物の一例としては、シリカ、シリカゾル、シリカゲル、ケイ素のアルコキシド、ケイ酸、アルカリ金属ケイ酸塩などが挙げられる。
前記アルミ二ウム化合物の一例としては、アルミニウムのアルコキシド、擬ベーマイト型またはベーマイト型のアルミナ水和物、アルミノケイ酸塩などが挙げられる。
前記リン化合物の一例としては、リン酸、リン酸塩などが挙げられる。
また前記水熱合成処理の条件としては、公知の条件を用いることができ、特に制限されるものではないが、150〜220℃、5〜80時間の範囲で水熱処理されることが好ましい。
また、前記ケイ素化合物と、アルミ二ウム化合物と、リン化合物との混合物に、さらに有機結晶化剤を含ませて水熱合成処理してもよい。
前記有機結晶化剤としては、公知のものを挙げることができ、その一例としては、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム塩、シクロペンチルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、ピペリジン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエチルヒドロキシエチルアミン、モルホリン、ジプロピルアミン、ピリジン、イソプロピルアミン、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム(TPA)、ジ−n−プロピルアミン(DPA)などが挙げられる。
このような混合物の水熱合成処理物を、必要に応じてさらに洗浄、乾燥、焼成工程などに処してもよい。
また、米国特許公報4440871号公報、あるいはApril 3,1984. Microporous and Mesoporous Materials 53 (2002) 97-108に記載されるような製法に準じて製造することもできる。
正の線膨張率を有するALPO
前記ALPOは、結晶性のものであることが好ましい。
結晶性のALPOを用いた成型体は、触媒活性に優れるため好ましい。
前記正の線膨張率を有するALPOの一例としては、細孔断面の環構造が比較的対称的であるものが挙げられる。
より具体的には、ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES(2007年、第六版、ELSEVIER発行)に記載された、細孔断面の環構造(例えば、八員環や十員環など)の図面において、その環構造が中心点に対し該文献に記載された範囲においてどの方向から見ても対称、あるいはほぼ対称である、すなわち環構造の二次元図が真円に近いALPOを挙げることができる。
このようなALPOは正の膨張率を有するため好ましい。
前記正の線膨張率を有するALPOは、AEI、AET、AFI、AFR、AFT、AFX、AST、ATN、ATO、ATS、AWW、CHA、FAU、GIS、LTA、SOD、VFIより選ばれたいずれか1種以上の結晶構造を有するものであることが好ましい。
このようなALPOを用いると本発明に係る成型体の耐クラック性が向上するので好ましい。
前記正の線膨張率を有するALPOの一例としては、AlPO−5、AlPO−8、AlPO−16、AlPO−18、AlPO−20、AlPO−22、AlPO−31、AlPO−34、AlPO−37、AlPO−40、AlPO−52、AlPO−54などが挙げられる。
特に、AlPO−5を用いることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するALPOに含まれるアルミ二ウムの含有量はAl23換算基準でして35〜50重量%、より好ましくは40〜45重量%の範囲にあり、リンの含有量がP25換算基準で45〜60重量%、好ましくは50〜55重量%の範囲にあるものであることが好ましい。
前記正の線膨張率を有するALPOの平均粒子径は、特に制限されるものではないが、0.2〜15μm、より好ましくは0.5〜10μmの範囲にあることが好ましい。
前記平均粒子径が0.2μm未満の場合には合成することが困難であるが、できたとしてもむしろ成形体の空隙が少なくなるため、線膨張率が大きくなり、クラックが生じる場合がある。前記平均粒子径が15μmを超えると、成形体として用いる場合、十分な強度、耐摩耗性等が得られない場合があるので好ましくない。
前記正の線膨張率を有するALPOの線膨張率は0.001〜1.0%の範囲にあることが好ましい。
正の線膨張率が0.001%未満のALPOは現状において天然に存在しない、または合成することが困難であり、前記正の線膨張率を有するALPOの線膨張率が1.0%を超えると、成形体の膨張率が高くなりすぎ、クラックを発生したり、成形が困難になる可能性がある。
前記正の線膨張率を有するAlPOは、公知の方法で製造することができる。
以下に、その具体的な例としてAlPO−5の調製例を示す。
AlPO−5の調製例
前記正の線膨張率を有するALPOに含まれるアルミ二ウムの含有量がAl23換算基準でして35〜50重量%、より好ましくは40〜45重量%の範囲にあり、リンの含有量がP25換算基準で45〜60重量%、好ましくは50〜55重量%の範囲となるように、擬ベーマイト構造を有するアルミナ粉末の分散液とリン酸水溶液とを混合し、攪拌したのち、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)を添加して、これをオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧で150℃にて、3時間水熱処理した。
その後、得られた水熱処理物を濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成してAlPO−5を調製した。
また、Solid State Ionics 43 (1990) 93-102、Microporous and Mesoporous Materials 26 (1998) 117-131に記載されるような製法に準じて製造することもできる。
負の線膨張率を有するALPO
本発明に係る、負の線膨張率を有するALPOは、結晶性のものであることが好ましい。
結晶性のALPOを用いた多孔質成型体は、触媒活性に優れるため好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOの一例としては、細孔断面の環構造が比較的非対称的であるものが挙げられる。より具体的には、ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES(2007年、第六版、ELSEVIER発行)に記載された、細孔断面の環構造(例えば、八員環や十員環など)の図面において、その環構造が中心点に対し該文献に記載された範囲においていずれかの方向から見た場合に非対称的である、すなわち環構造の二次元図が長方形あるいは楕円に近いALPOを挙げることができる。
前記負の線膨張率を有するALPOは、AEL、AEN、AFN、AFO、AHT、ANA、APC、APD、ATT、ATV、AWO、ERIより選ばれたいずれか1種以上の結晶構造を有するものであることが好ましい。
このようなALPOを用いると本発明に係る成型体の耐クラック性が向上するので好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOの一例としては、AlPO−11、AlPO−14、AlPO−17、AlPO−21、AlPO−24、AlPO−25、AlPO−33、AlPO−35、AlPO−41、AlPO−53、AlPO−C、AlPO−D、AlPO−H2、AlPO−H3、AlPO−EN3などを挙げることができる。
前記ALPOとしては、AlPO−Dを用いることが好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOとしてAlPO−Dを用いた成型体は耐クラック性、強度が高いため好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOに含まれるアルミ二ウムの含有量はAl23換算基準でして35〜50重量%、より好ましくは40〜45重量%の範囲にあり、リンの含有量がP25換算基準で45〜60重量%、好ましくは50〜55重量%の範囲にあるものであることが好ましい。
前記負の線膨張率を有するALPOの平均粒子径は、特に制限されるものではないが、0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜7μmの範囲にあることが好ましい。
前記平均粒子径が0.1μm未満の場合には合成することが困難であるが、できたとしてもむしろ成形体の空隙が少なくなるため、線膨張率が大きくなり、クラックが生じる場合がある。前記平均粒子径が10μmを超えると、成形体として用いる場合、十分な強度、耐摩耗性等が得られないとなる場合があるので好ましくない。
前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張率は−0.001〜−1.0%、より好ましくは−0.01〜−1.0%の範囲にあることが好ましい。
負の線膨張率が−1.0%より低い場合には収縮、膨張を繰り返すことによって成型体にクラックを生じる場合があるので好ましくない。前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張率が−0.001%より高いものは現状においては製造することが困難である。
このようなALPOは、例えば水熱合成法やドライゲルコンバージョン法のような方法で製造することができる。
また、Solid State Ionics 43 (1990) 93-102、Microporous and Mesoporous Materials 26 (1998) 117-131に記載されるような製法に準じて製造することもできる。
具体的な調製方法の一例として、AlPO−Dの調製方法の一例を以下に示す。
AlPO−Dの調製例
前記負の線膨張率を有するALPOに含まれるアルミ二ウムの含有量がAl23換算基準でして35〜50重量%、より好ましくは40〜45重量%の範囲にあり、リンの含有量がP25換算基準で45〜60重量%、好ましくは50〜55重量%の範囲となるように、擬ベーマイト構造を有するアルミナ粉末とリン酸水溶液1287.3gを混合し、攪拌したのち、ジ−n−プロピルアミンを添加して、これをオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧にて150℃、3時間にて水熱処理した。その後、得られた水熱処理物を濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成してAlPO−Dを調製した。
結合材
本発明に係る多孔質成型体はさらに結合材を含んでいてもよい。
前記結合材の含有量は特に制限されるものではないが、概ね成型体の10〜40重量%の範囲にあればよい。
前記結合材の種類としては特に制限されるものではないが、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、水ガラス、リン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、イットリア、カオリナイト、モンモリロナイト、または雲母などを用いることができる。特に、擬ベーマイト型構造のアルミナ水和物微粒子を結合材として用いると、成型体の耐クラック性および強度が高いので好ましい。
前記結合材にはさらに遷移金属、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属などを含んでいても良い。
本発明に係る成型体は、さらに、その他の添加成分、例えば助剤や溶媒を含んでいてもよい。
その一例としては例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水などが挙げられる。
本発明に係る多孔質成型体は、耐クラック性、強度、水熱安定性が非常に高く、その用途としては、特に制限されず例えば触媒、フィルター、デシカントのようなあらゆる用途に用いることができる。
特に好ましくは、本発明に係る成型体を窒素化合物含有排ガス用触媒として用いることが好ましい。
本発明に係る成型体はクラックの発生が抑制され、低温から高温へ繰り返し温度変動させてもクラックが発生しにくく、強度も高く、水熱安定性にも優れ、これに活性金属種を担持した場合には窒素化合物に対する触媒浄化性能が高いため、窒素化合物含有排ガス用触媒として優れている。
特に、選択還元型NOx触媒としては、好適に用いることができる。
多孔質成型体の製造方法
本発明に係る多孔質成型体の製造方法の一例を述べれば、以下の通りである。
前記多孔質成型体の製造方法として、下記工程(1)〜(5)を含む製造方法が挙げられる。
工程(1):正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを混合する工程
工程(2):前記工程(1)より得られた混合物を混練する工程
工程(3):前記工程(2)より得られた混練物を成型する工程
工程(4):前記工程(3)より得られた成型物を乾燥させる工程
工程(5):前記工程(4)より得られた乾燥物を焼成する工程
各工程について具体的に説明すれば、次の通りである。
工程(1)
この工程では正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを混合する。
このときの混合の割合は、最終的に得られる多孔質成型体に含まれる、正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの重量(X)と前記負の線膨張率を有するALPOの重量(Y)との重量比(X)/(Y)は、0.125〜9、より好ましくは0.33〜5となるように混合すればよい。
このとき、前記SAPOやALPOは、金属成分が担持されたものであってもよい。
また、この工程で、前記SAPOやALPO以外に、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、水ガラス、リン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、イットリア、カオリナイト、モンモリロナイト、または雲母などの結合材、メチルセルロースなどの助剤、水などの溶媒などを必要に応じてさらに添加してもよい。
工程(2)
この工程では、前記工程(1)より得られた混合物を混練する。
前記混練は、ニーダーなどにより行うことができる。
工程(3)
この工程では、前記工程(2)より得られた混練物を成型する。
前記成型は、特に制限されず公知の方法により行うことができ、例えば押出成型機、圧縮打錠成型機などを用いて成型すればよい。
成型体の形状は特に制限されるものではないが、ハニカム状、ペレット状、球状、板状、管状(パイプ状)、リング状、三つ葉状などの形状に成型すればよい。
工程(4)
この工程では、前記工程(3)より得られた成型物を乾燥させる。
前記乾燥は通常30〜200℃で1〜48時間行えば充分である。
このとき、成型体が均一に乾燥されるように、湿度を一定にコントロールしたり、温度分布を均一になるように調整することがより好ましい。
また、乾燥物の水分含有量が10重量%となるように乾燥することがより好ましい。
工程(5)
この工程では前記工程(4)より得られた乾燥物を焼成することにより、本発明に係る多孔質成型体を得る。
前記焼成は、400〜800℃、より好ましくは450〜700℃の温度範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。
前記焼成温度が400℃未満の場合には、成型体の強度や耐摩耗性が低下する場合があり、前記焼成温度が800℃を超えると多孔質成型体の触媒活性が低下する場合があるので好ましくない。
さらに、焼成された成型体にさらに活性金属成分を含浸法など公知の方法により担持してもよい。
[評価方法および測定方法]
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)SAPOまたはALPOの結晶構造の同定方法
SAPOまたはALPOを含む粉末のX線回折パターンをX線回折装置(株式会社リガク製、RINT−1400)にて測定し、結晶構造の同定を行った。
(2)平均粒子径の測定方法
結晶性シリコアルミノリン酸塩粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ、S-5500)により撮影し、任意の100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として求めた。
(3)SAPOまたはALPOの線膨張率の測定方法
SAPOまたはALPOの粉末40gと、擬ベーマイト型構造のアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状成型体を調製した。
この成型体3個について、相対湿度(RH)=60%、温度25℃の調湿機にて15Hr吸湿させた後のペレットの長さ(LH2O)と、このペレットをさらに30℃から400℃まで昇温させたときのペレットの長さ(LCAL)をTMA−50(SHIMADZU社製)により測定し、下記式により求めた値の平均値を線膨張率(%)とした。
線膨張率(%)=[(LCAL)−(LH2O)]/(LH2O)x100
(4)SAPOまたはALPOの線膨張速度の算出方法
上述の方法で測定したSAPOまたはALPOの線膨張率(%)を、温度(℃)に対してプロットした線膨張曲線において、70〜100℃の温度範囲における線膨張率(ΔL)の変化量(傾き)から算出した。
線膨張率速度(%/℃)=(ΔL100−ΔL70)(%)/(100−70)(℃)
(5)多孔質成型体の線膨張率の測定方法
実施例および比較例で調製した、成型体3個について、相対湿度(RH)=60%、温度25℃の調湿機にて15Hr吸湿させた後のペレットの長さ(LH2O)と、このペレットをさらに30℃から400℃まで昇温させたときのペレットの長さ(LCAL)をTMA−50(SHIMADZU社製)により測定し、下記式により求めた値の平均値を線膨張率(%)とした。
線膨張率(%)=[(LCAL)−(LH2O)]/(LH2O)x100
(6)成型体の耐クラック性の評価方法
実施例および比較例で調製した、ペレット状の多孔質成型体15個について、相対湿度(RH)=60%、温度25℃の調湿機にて15Hr吸湿させ、ついで、180℃で1Hr焼成した。この操作を10回繰り返した後、クラックの有無、程度について目視観察し、以下の基準で評価を行った。
クラックが全く認められなかった。 : ◎
微細なクラックが僅かに認められた。: ○
微細なクラックが多く認められた。 : △
大きなクラックが認められた。 : ×
(7)成型体の触媒活性評価方法
以下の方法で、成型体のNOx除去率について活性評価試験を行った。
実施例および比較例で調製したペレット状の多孔質成型体10ccを常圧固定床流通式反応管に充填し、反応ガス(NO:500ppm、NH3:500ppm、O2:10vol%、N2:バランス)を6000cc/minで流通させながら、反応温度150℃、200℃、300℃、400℃の各温度で定常状態になった時点でのNOx除去率を下記式によって求め、結果を表に示した。
X=[({NOx}in−{NOx}out)/{NOx}in]X100
ここで、XはNOx除去率(%)、{NOx}inは入り口の窒素酸化物ガス濃度、{NOx}outは出口の窒素酸化物ガス濃度を示す。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
正の線膨張率を有するSAPOの調製(1)
濃度75重量%のリン酸水溶液807.3gと純水2060.7gとを混合して、濃度21.1重量%のリン酸水溶液2868gを調製した。これに、濃度35重量%のテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)974.9gを混合し、ついで、アルミナ源として擬ベーマイト粉末(Al23含有量74重量%)440.5gを10分程度で分散させ、分散液を15分間攪拌した。
ついで、分散液にシリカ源としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SI−30、SiO2濃度30重量%)216.5gを約10分間で添加して、SAPO合成用スラリー(1)を調製した。
ついで、SAPO合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧にて170℃に昇温し48時間水熱処理した。その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して結晶性のSAPO−34(1)を調製した。
このSAPO−34(1)の平均粒子径は3.0μmであった。
また、このSAPO−34(1)の線膨張率を測定したところ、正の線膨張率を有しており、70〜100℃における線膨張速度は0.015%/℃であった。
負の線膨張率を有するALPOの調製(1)
純水2141.3gに擬ベーマイト粉末(Al23含有量74重量%)702.5gを10分程度で分散させ、分散液を調製した。これに、濃度75重量%のリン酸水溶液1287.3gを約10分程度で添加し、30℃で3時間攪拌した。ついで、ジ−n−プロピルアミン368.9gを添加して、ALPO合成用スラリー(1)を調製した。
ついで、ALPO合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧にて150℃に昇温し3時間水熱処理した。その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して、結晶性のAlPO−D(1)を調製した。
このAlPO−D(1)の平均粒子径は3.5μmであった。
また、このAlPO−D(1)の線膨張率を測定したところ、負の線膨張率を有しており、70〜100℃の温度範囲における線膨張速度はー0.013%/℃であった。
なお、ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES第六版のp51に記載された、[010]方向および[201方向]から見たALPO−Dの8員環は楕円形状であり中心点から見て非対称であった。
なお、本実施例で調製したSAPO−34(1)とAlPO−D(1)の線膨張曲線を図1に示す。
多孔質成型体の調製(1)
本実施例で調製したSAPO−34(1)の粉末20gと、AlPO−D(1)の粉末20gと、擬ベーマイト型構造のアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(1)を調製した。
このとき、多孔質成型体(1)に含まれる、SAPO−34(1)と、AlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(1)の線膨張率を上述した方法にて測定したところ、0.10%であった。
また、このペレット状の多孔質成型体(1)の耐クラック性を上述した方法にて測定したところ、◎であった。
[実施例2]
正の線膨張率を有するALPOの調製
純水1103.2gに擬ベーマイト粉末(Al23含有量74重量%)677.1gを10分程度で分散させ、分散液を調製した。これに、濃度75重量%のリン酸水溶液1241.0gを約10分程度で添加し、3時間攪拌した。ついで、濃度35重量%のテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)1478.4gを添加して、ALPO合成用スラリー(2)を調製した。
ついで、ALPO合成用スラリー(2)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧にて150℃に昇温し3時間水熱処理した。その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して、結晶性のAlPO−5を調製した。
このAlPO−5の平均粒子径は3.0μmであった。
また、このAlPO−5の線膨張率を測定したところ、正の線膨張率を有しており、70〜100℃における線膨張速度は0.010%/℃であった。
なお、ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES第六版のp29に記載された、[001]方向から見たALPO−5の12員環は中心点から見てほぼ対称であった。
多孔質成型体の調製(2)
本実施例で調製したAlPO−5の粉末20gと、実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(2)を調製した。
このとき、多孔質成型体(2)に含まれる、AlPO−5と、AlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(2)の線膨張率は0.08%であった。
また、このペレット状の多孔質成型体(2)の耐クラック性を評価したところ、◎であった。
[実施例3]
銅成分を担持したSAPOの調製(1)
実施例1で調製したSAPO−34(1)の粉末3kgを水10kgに分散させ、コロイドミル処理してSAPO−34の分散液を調製した。
別途、硝酸第二銅水溶液(Cu含有量13.15重量%)827.4gを水9.6kgに加えて、硝酸銅水溶液を調製した。
この硝酸銅水溶液にSAPO−34の分散液を混合して噴霧乾燥用混合液を調製した。
ついで、この噴霧乾燥用混合液を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧し、得られた粉末を600℃で2時間焼成して、銅成分を担持したSAPO−34(1)(以下、Cu/SAPO−34(1)と表すことがある)を調製した。
このCu/SAPO−34(1)に含まれる銅成分は金属換算基準で3重量%であった。
多孔質成型体(3)の調製
本実施例で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末20gと、実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(3)を調製した。
このとき、多孔質成型体(3)に含まれる、Cu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(3)の線膨張率は0.10%であった。
また、この多孔質成型体(3)の耐クラック性は◎であった。
さらに、この多孔質成型体(3)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
多孔質成型体(4)の調製
実施例3で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末26.7gと、実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末13.3gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(4)を調製した。
このとき、多孔質成型体(4)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は2であった。
このペレット状の多孔質成型体(4)の線膨張率は0.21%であった。
また、この多孔質成型体(4)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(4)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す
[実施例5]
多孔質成型体(5)の調製
実施例3で調整したCu/SAPO−34(1)の粉末13.3gと、実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末26.7gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(5)を調製した。
このとき、多孔質成型体(5)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は0.5であった。
このペレット状の多孔質成型体(5)の線膨張率はー0.07%であった。
また、この多孔質成型体(5)の耐クラック性は◎であった。
さらに、この多孔質成型体(5)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
正の線膨張率を有するSAPOの調製(2)
実施例1の、正の線膨張率を有するSAPOの調製(1)の工程において、SAPO合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、自生圧にて170℃で48時間水熱処理するかわりに、160℃で30時間水熱処理した以外は実施例1と同様にしてSAPO−34(2)を調製した。
このSAPO−34(2)の平均粒子径は1.0μmであった。
また、このSAPO−34(2)の線膨張率を測定したところ、正の線膨張率を有しており、70〜100℃における線膨張速度は0.015%/℃であった。
銅成分を担持したSAPOの調製(2)
実施例3の銅成分を担持したSAPOの調製(1)において、SAPO−34(1)のかわりに本実施例で調製したSAPO−34(2)3kgを用いた以外は実施例3と同様にして銅成分を担持したSAPO−34(2)(以下、Cu/SAPO−34(2)と表すことがある)を調製した。
このCu/SAPO−34(2)に含まれる銅成分は金属換算基準で3重量%であった。
多孔質成型体(6)の調製
本実施例で調製したこのCu/SAPO−34(2)の粉末20gと、実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(6)を調製した。
このとき、多孔質成型体(6)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(2)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(6)の線膨張率は0.04%であった。
また、この多孔質成型体(6)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(6)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す
[実施例7]
正の線膨張率を有するSAPOの調製(3)
濃度75重量%のリン酸水溶液671.0gと純水2666.6gとを混合して、濃度15.1重量%のリン酸水溶液3337.6gを調製した。これに、濃度98重量%のモルホリン571.1gを混合し、ついで、アルミナ源として擬ベーマイト粉末(Al23含有量74重量%)366.5gを10分程度で分散させ、分散液を15分間攪拌した。
ついで、分散液にシリカ源としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SI−30、SiO2濃度30重量%)257.0gを約10分間で添加して、SAPO合成用スラリー(2)を調製した。
ついで、SAPO合成用スラリー(2)をオートクレーブに充填し、自生圧にて1時間攪拌後、170℃に昇温し、12時間水熱処理した。
その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して結晶性のSAPO−34(3)を調製した。
このSAPO−34(3)の平均粒子径は5.0μmであった。
また、このSAPO−34(3)の線膨張率を測定したところ、正の線膨張率を有しており、70〜100℃における線膨張速度は0.015%/℃であった。
銅成分を担持したSAPOの調製(3)
実施例1の銅成分を担持したSAPOの調製(1)の工程において、SAPO−34(1)のかわりに本実施例で調製したSAPO−34(3)3kgを用いた以外は実施例1と同様にして銅成分を担持したSAPO−34(3)(以下、Cu/SAPO−34(3)と表すことがある)を調製した。
このCu/SAPO−34(3)に含まれる銅成分は金属換算基準で3重量%であった。
多孔質成型体(7)の調製
本実施例で調製したCu/SAPO−34(3)の粉末20gと、実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(7)を調製した。
このとき、多孔質成型体(7)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(3)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(7)の線膨張率は0.05%であった。
また、この多孔質成型体(7)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(7)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す
[実施例8]
正の線膨張率を有するSAPO(4)の調製
実施例1の、正の線膨張率を有するSAPOの調製(1)の工程において、SAPO合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、自生圧にて170℃で48時間水熱処理するかわりに、170℃で15時間水熱処理した以外は実施例1と同様にしてSAPO−34(4)を調製した。
このSAPO−34(4)の平均粒子径は3.0μmであった。
また、このSAPO−34(4)は正の線膨張率を有しており、70〜100℃における線膨張速度は0.005%/℃であった。
銅成分を担持したSAPOの調製(4)
実施例1の銅成分を担持したSAPOの調製(1)の工程で、SAPO−34(1)のかわりに本実施例で調製したSAPO−34(4)3kgを用いた以外は実施例1と同様にして銅成分を担持したSAPO−34(4)(以下、Cu/SAPO−34(4)と表すことがある)を調製した。
このCu/SAPO−34(4)に含まれる銅成分は、金属換算基準で3重量%であった。
多孔質成型体(8)の調製
本実施例で調製したCu/SAPO−34(4)の粉末20gと、実施例1で調製したAlPO−Dの粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(8)を調製した。
このとき、多孔質成型体(8)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(4)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(8)の線膨張率は0.02%であった。
また、この多孔質成型体(8)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(8)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す
[実施例9]
銅成分を担持したSAPOの調製(5)
実施例1の銅成分を担持したSAPOの調製(1)において、SAPO−34(1)のかわりに市販のSAPO(ZEOLITE(SAPO−34)、TIANJIN EVERTRUTH INTERNATIONAL TRADING CO.LTD社製、線膨張率0.003%/℃)3kgを用いた以外は実施例1と同様にして銅成分を担持したSAPO(5)(以下、Cu/SAPO−34(5)と表すことがある)を調製した。
このCu/SAPO−34(5)に含まれる銅成分は金属換算基準で3重量%であった。
多孔質成型体(9)の調製
本実施例で調製したCu/SAPO−34(5)の粉末20gと、実施例1で調製したAlPO−Dの粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(9)を調製した。
このとき、多孔質成型体(9)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(5)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(1)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(9)の線膨張率は0.12%であった。
また、この多孔質成型体(9)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(9)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す
[実施例10]
負の線膨張率を有するALPOの調製(2)
実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末を粉砕し、AlPO−D(2)を調製した。
このAlPO−D(2)の平均粒子径は1.0μmであって、負の線膨張率はー0.013%/℃であった。
多孔質成型体(10)の調製
実施例3で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末20gと、本実施例で調製したAlPO−D(2)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(10)を調製した。
このとき、多孔質成型体(10)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(2)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(10)の線膨張率は0.10%であった。
また、この多孔質成型体(10)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(10)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[実施例11]
負の線膨張率を有するALPO(3)の調製
純水2141.3gに擬ベーマイト粉末(Al23含有量74重量%)702.5gを10分程度で分散させ、分散液を調製した。これに、濃度75重量%のリン酸水溶液1287.3gを約10分程度で添加し、50℃で3時間攪拌した。ついで、ジ−n−プロピルアミン368.9gを添加して、ALPO合成用スラリー(3)を調製した。
ついで、ALPO合成用スラリー(3)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、150℃に昇温し3時間水熱処理した。その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して、結晶性のAlPO−D(3)を調製した。
このAlPO−D(3)の平均粒子径は7.0μmであって、負の膨張率はー0.013%/℃であった。
多孔質成型体(11)の調製
実施例3で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末20gと、本実施例で調製したAlPO−D(3)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の成型体(11)を調製した。
このとき、多孔質成型体(11)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(3)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(11)の線膨張率はー0.10%であった。
また、この多孔質成型体(11)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(11)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[実施例12]
負の線膨張率を有するALPOの調製(4)
実施例1の、負の線膨張率を有するALPOの調製(1)において、ALPO合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧にて150℃に昇温し3時間水熱処理するかわりに、150℃で8時間水熱処理した以外は実施例1と同様にして結晶性のAlPO−D(4)を調製した。
このAlPO−D(4)の平均粒子径は3.5μmであった。
また、このAlPO−D(4)の線膨張率は、−0.002%/℃であった。
多孔質成型体(12)の調製
実施例3で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末20gと、本実施例で調製したAlPO−D(4)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(12)を調製した。
このとき、多孔質成型体(12)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(4)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(12)の線膨張率は0.12%であった。
また、この多孔質成型体(12)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(12)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[実施例13]
負の線膨張率を有するALPOの調製(5)
実施例1の、負の線膨張率を有するALPOの調製(1)において、ALPO合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、自生圧にて150℃に昇温し3時間水熱処理するかわりに、150℃で1.5時間水熱処理した以外は実施例1と同様にして結晶性のAlPO−D(5)を調製した。
このAlPO−D(5)の平均粒子径は3.5μmであった。
また、このAlPO−D(5)は負の線膨張率を有しており、70〜100℃における線膨張速度は−0.020%/℃であった。
多孔質成型体(13)の調製
実施例3で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末20gと、本実施例で調製したAlPO−D(5)の粉末20gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(13)を調製した。
このとき、多孔質成型体(13)に含まれる、正の線膨張率を有するCu/SAPO−34(1)と、負の線膨張率を有するAlPO−D(5)との重量比は1であった。
このペレット状の多孔質成型体(13)の線膨張率は−0.10%であった。
また、この多孔質成型体(13)の耐クラック性は○であった。
さらに、この多孔質成型体(13)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
多孔質成型体(R1)の調製
実施例3で調製したCu/SAPO−34(1)の粉末40gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(R1)を調製した。
このペレット状の多孔質成型体(R1)の線膨張率は0.45%であった。
また、この多孔質成型体(R1)の耐クラック性は×であった。
さらに、この多孔質成型体(R1)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
多孔質成型体(R2)の調製
実施例1で調製したAlPO−D(1)の粉末40gと、擬ベーマイトアルミナ粉末(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al23含有量74重量%)13.9gおよび水40gを混合して充分に混練し、ついで押出成型器(ノズル径3mmφ)にて成型した後、130℃で24時間乾燥し、長さ約5mmにカットし、ついで、600℃で2時間焼成して3mmΦ、長さ5mmのペレット状の多孔質成型体(R2)を調製した。
このペレット状の多孔質成型体(R2)の線膨張率は−0.42%であった。
また、この多孔質成型体(R2)の耐クラック性は×であった。
さらに、この多孔質成型体(R2)の触媒活性性能を上述した方法によって評価した。結果を表1に示す。
これらの実施例および比較例で調製したSAPO、正の線膨張率を有するALPOおよび負の線膨張率を有するALPO、多孔質成型体の性状と、耐クラック性、触媒活性評価について、表1に示す。
表1より、正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOと、負の線膨張率を有するALPOとを含む実施例の多孔質成型体は、繰り返し温度変化させたのちの耐クラック性が向上することがわかる。
Figure 0005570412

Claims (16)

  1. 正の線膨張率を有する平均粒子径が1.0〜10μmのSAPOおよび/または平均粒子径が1.0〜15μmのALPOと、負の線膨張率を有する平均粒子径が1.0〜10μmのALPOと、10〜40重量%の結合材とを含み、線膨張率が−0.2〜0.25%の範囲にあることを特徴とする多孔質成型体。
  2. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの結晶構造がAEI、AET、AFI、AFR、AFT、AFX、AST、ATN、ATO、ATS、AWW、CHA、FAU、GIS、LTA、SOD、VFIより選ばれたいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質成型体。
  3. 前記負の線膨張率を有するALPOの結晶構造がAEL、AEN、AFN、AFO、AHT、ANA、APC、APD、ATT、ATV、AWO、ERIより選ばれたいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質成型体。
  4. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOが、SAPO−5、SAPO−18、SAPO−20、SAPO−31、SAPO−34、SAPO−37、SAPO−40、SAPO−42、SAPO−43、SAPO−47、SAPO−56、AlPO−5、AlPO−8、AlPO−16、AlPO−18、AlPO−22、AlPO−31、AlPO−34、AlPO−37、AlPO−40、AlPO−52、AlPO−54より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質成型体。
  5. 前記負の線膨張率を有するALPOが、AlPO−11、AlPO−14、AlPO−17、AlPO−21、AlPO−24、AlPO−25、AlPO−33、AlPO−35、AlPO−41、AlPO−53、AlPO−C、AlPO−D、AlPO−H2、AlPO−H3、AlPO−EN3より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質成型体。
  6. 前記成型体に含まれる正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの重量(X)と前記負の線膨張率を有するALPOの重量(Y)との重量比(X)/(Y)が0.125〜9の範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質成型体。
  7. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOがSAPO−34であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質成型体。
  8. 前記負の線膨張率を有するALPOが、AlPO−Dであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質成型体。
  9. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張率が0.001〜1.0%の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張率が−0.001〜−1.0%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質成型体。
  10. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張速度が50〜130℃の温度範囲において0.0001〜0.1%/℃の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張速度が50〜130℃の温度範囲において−0.0001〜−0.1%/℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質成型体。
  11. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPOの線膨張速度が70〜100℃の温度範囲において0.001〜0.05%/℃の範囲にあり、かつ、前記負の線膨張率を有するALPOの線膨張速度が70〜100℃の温度範囲において−0.001〜−0.04%/℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の多孔質成型体。
  12. 前記正の線膨張率を有するSAPOおよび/またはALPO、および/または、前記負の線膨張率を有するALPOに活性金属成分が担持されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の多孔質成型体。
  13. 前記活性金属成分が銅であることを特徴とする請求項12に記載の多孔質成型体。
  14. 前記結合材が擬ベーマイト型構造のアルミナ水和物微粒子であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の多孔質成型体。
  15. 前記成型体の線膨張率が−0.1〜0.1%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の多孔質成型体。
  16. 前記成型体が窒素化合物含有排ガス用触媒であることを特徴とする請求項1〜15に記載の多孔質成型体。
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