JP5569964B2 - 原子拡散接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は原子拡散接合方法に関し,より詳細には,例えばIC基板の積層化やパッケージの封止,各種デバイスの複合化等,被接合材である2つの基体間を強固に接合する際に使用される接合方法において,少なくとも一方の基体の接合面に形成された微結晶薄膜を介して2つの基体を接合することにより,接合界面および結晶粒界において原子拡散を生じさせることにより基体間を接合する新規な接合方法に関する。
なお,本発明における「微結晶」には「多結晶」の他,「アモルファス」を含む。
また,本発明における「薄膜」には,連続した膜の他,核成長の過程において形成される島状構造のように断続部分を有するものも含む。
更に本発明における「結晶粒界」とは原子配列の規則性の断続部分を言い,多結晶における結晶粒の境界(一般的な意味での「結晶粒界」)の他,長距離秩序(数10原子程度以上の原子集団における配列の規則性)を有しないが,短距離秩序(数10原子以下の原子集団における配列の規則性)を有する前述のアモルファスにあっては,この「短距離秩序」の断続部分が本発明における「結晶粒界」であると共に,アモルファス金属膜中に空隙があり,体積率(充填率)が100%よりも低い場合,その空隙とアモルファス金属の界面も,高い原子拡散係数を有すると考えられることから,上述の短距離秩序の断続部分と同様に本発明における「結晶粒界」に相当する。
2つ以上の被接合材を貼り合わせる接合技術が各種の分野において利用されており,例えば電子部品の分野において,ウエハのボンディング,パッケージの封止等においてこのような接合技術が利用されている。
一例として,前述のウエハボンディング技術を例にとり説明すれば,従来の一般的なウエハボンディング技術では,重ね合わせたウエハ間に高圧,高熱を加えて接合する方法が一般的である。
しかし,この方法による接合では,熱や圧力に弱い電子デバイス等が形成された基板の接合や集積化を行うことができず,そのため,このような物理的なダメージを与えることなく被接合材相互を接合する技術が要望されている。
このように,被接合材間を常温,無加圧で接合する技術としては,被接合材の接合面のそれぞれに対し,いずれも希ガス等のイオンビームを照射して接合面における酸化物や有機物等を除去することで,接合面表面の原子を,化学的結合を形成し易い活性な状態(活性化)とし,この状態において被接合材の接合面相互を重ね合わせることにより,加熱することなく,かつ,接着剤等を使用することなしに常温での接合を可能とする「常温接合法」が,例えばシリコンウエハ等の接合方法として提案されている(特許文献1参照)。
しかし,上記特許文献1に記載の方法では,被接合材の接合面に対して希ガスビームなどを照射して接合面を洗浄して活性な状態とした後,両接合面を接合することにより強固な接合力を得ることができるものの,接合できる材料が一部の金属と金属,一部の金属と化合物間に限定されており,用途が限定される。
また,前記方法により接合を行う場合,接合面は巨視的には接合がされていたとしても,接合面の粗さやうねり等によって微視的には接合されていない部分が存在し,ウエハレベルでの積層化,集積化のための接合に使用することができない。
このように,部分的に接合されていない部分が発生することを防止するために,接合面を研磨等してその表面粗さを抑制することも考えられるが,研磨によって抑制し得る接合面の粗さやうねりには限度がある。
そのため,上記従来の常温接合方法により,接合されない部分の発生を減少しようとすれば,被接合材相互を重合する際に加圧して圧着する等の処理を行う必要があり,被接合材に物理的なダメージを与えるおそれがある。
なお,上記方法による接合では,両基体の表面を前述のように活性化させることで,接触界面においてのみ原子間に金属又は化学結合を生じさせるものであり,接合界面や結晶粒界におけるダイナミックな原子拡散を伴うものではない。
そのため,接着自体は比較的強固に行うことはできるものの,両基体の接合部分には依然として接合界面が存在し,また,接合に際して接合界面に酸化被膜等の変質層が形成されることにより,例えば電子デバイス等として使用する際,このような接合界面や変質層が電子の通過を妨げる障壁等として作用する等,性能の低下をもたらすものとなっている。
このような特許文献1に記載の常温接合方法における欠点を解消するために,本発明の発明者は,接合対象とするウエハやチップ,基板やパッケージ,その他の各種被接合材のそれぞれの接合面に,到達圧力を10-4Pa以下の高真空度とした真空雰囲気において,例えばスパッタリングやイオンプレーティング等の真空成膜方法により,かつ,好ましくはプラズマの発生下で金属や各種化合物の微結晶構造を有する被膜を接合面に形成し,前記被膜の成膜中,あるいは成膜後に前記真空を維持したまま,前記被接合材の前記接合面に形成された被膜相互を常温で重合することにより,前記接合面間に生じた結合により前記被接合材間を接合する「常温接合方法」を既に提案している(特許文献2参照)。
そして,この常温接合方法によれば,同種又は異種被膜の接合面を,加熱,加圧,電圧の印加等を伴うことなく原子レベルで金属結合あるいは分子間結合により強固に接合させることができると共に,被膜の内部応力を開放して接合歪みを緩和させることができ,ここで得られる接合は,界面で剥離が生じない(無理に剥離しようとすると被膜の界面以外の部分又は被接合材が破壊する)接合状態が得られるものとなっている(特許文献2「0021」欄)。
特許第2791429号公報 特開2008−207221号公報
上記従来の常温接合方法のうち,特許文献1に記載の方法は,被接合材の接合面に対して希ガスビームなどを照射して接合面に存在する酸化物や有機物等を除去して活性な状態とした後,両接合面を重ね合わせることにより接合を行おうというものである。
そのため,前掲の特許文献1に記載の発明では,真空チャンバー内に対向して位置する一対のウェハー保持部材を配置し,一方のウェハー保持部材を真空チャンバーに固定すると共に,他方のウェハー保持部材を真空チャンバーの気密を保った状態で直線移動可能なプッシュロッドの下端に取り付け,希ガスビームの照射を行ったと同一の真空容器内で接合面の重ね合わせを行うことにより(特許文献1「0005」欄),希ガスビームの照射などによって活性な状態となった接合面が,再度空気中の酸素や有機物等と結合して活性を失わないようにしつつ,接合を行うことができるようにしている。
また,特許文献2に記載の常温接合方法においても,被接合材の接合面間の重ね合わせを成膜と共に同一の真空中で行うことを前提としているだけでなく(例えば特許文献2の請求項1),同一の真空中において接合を行う場合であっても「被膜の表面が真空容器内に残留している不純物ガス等との反応によって汚染が進行するに従い,被膜相互の付着強度は低下してゆき,やがて接合自体ができなくなる。」と説明する(特許文献2「0055」欄)。
このように従来の常温接合方法では,接合面の処理(希ガスビームによる洗浄,又は微結晶構造の被膜形成)を行った後に,これに続き行う接合面の重ね合わせは,接合面の処理を行ったと同一の真空容器内で,かつ,この真空容器内を高真空の状態に維持したまま行わなければならず,例えば,希ガスビームによる洗浄や微結晶薄膜を形成した後の接合面を大気圧の空気等に暴露してしまえば,接合自体が不可能となるというのが,本発明の発明者を含めた本発明の技術分野における当業者の認識であり,この認識を前提として,接合面の重ね合わせを高真空の空間内において行う構成を採用している。
そのため,被接合材の接合面を重ね合わせる作業を高真空に維持された真空容器内という限定された空間,限定された条件下で行う必要があり,被接合材同士を重ね合わせる作業が極めて行い難いだけでなく,前記接合方法を実現するためには真空容器内を高真空に保ったまま,真空容器内に配置された被接合材の接合面を重ね合わせる作業を行うための特殊な構造を備えたロボットアームや治具,その他の貼着装置が必要となり,多大な初期投資を必要とする。
しかし,以上のような当業者の認識に拘わらず,本発明の発明者が鋭意研究した結果,被接合材の接合面に特定の物性を持った金属によって構成された微結晶薄膜を形成して接合を行う場合には,接合面同士の重ね合わせを前掲の特許文献2で記載されている真空(1×10-4Pa)よりも高い圧力(低真空度),例えば大気圧下の雰囲気,更には大気圧の空気に暴露した後であっても,接合面の接合を行えることを見出した。
本発明は,本発明の発明者による研究の結果得られた上記知見に基づき成されたものであり,被接合材の接合面に対する微結晶薄膜の形成を真空下で行った後,前掲の1×10-4Paよりも高い圧力(低真空度),例えば大気圧下において前記接合面間の重ね合わせを行うことによっても,異種材質間の接合を含む広範な材質間の接合に使用することができ,かつ,接合対象とする基体に物理的なダメージを与えることなく接合を行う,原子拡散を伴う接合方法(原子拡散接合方法)を提供することにより,このような原子拡散を伴う接合の作業性を向上させると共に,重ね合わせ作業を行うための特殊な構造を備えた真空装置や貼着装置を不要とすることを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明の原子拡散接合方法は,真空容器内において,一方の基体の平滑面に,室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−15(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造の薄膜を形成すると共に,1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下において,少なくとも表面が室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−15(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造を有する平滑面を備えた他方の基体の平滑面に,前記一方の基体に形成された前記薄膜が接触するように前記一方,他方の2つの基体を重ね合わせることにより,前記薄膜と前記他方の基体の前記平滑面との接合界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせることにより前記2つの基体を接合(但し,150℃以上の接合温度で行う接合を除く)することを特徴とする(請求項1)。
なお、ほとんどの金属の室温における酸化物の生成自由エネルギーは負の数値であり,数値が小さい(絶対値が大きい)程,酸化し易いものと考えられていることから,数値が小さい(絶対値が大きい)程,酸化物の生成自由エネルギーが『大きい』と表現される場合もあるが,ここで説明する大きさは数値の大きさ〔符号(負号)を含めた数値の大きさ〕を言う。従って,例えば生成自由エネルギーが「−n(kJ/mol of compounds)以上」(nは数字)とは、−n≦ΔG(ΔGは酸化物の生成自由エネルギー)であること,すなわち酸化物の生成自由エネルギーが負であってその絶対値が「n」以下であるか,あるいは,同エネルギーが「0」または正の値であることを言う(以下,同じ)。
なお,上記体拡散係数及び酸化物の生成自由エネルギーを有する単金属としては,Au,Agがある。
また,本発明の別の原子拡散接合方法は,真空容器内において,一方の基体の平滑面に,室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−150(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造の薄膜を形成すると共に,1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下において,少なくとも表面が室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−150(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造を有する平滑面を備えた他方の基体の平滑面に,前記一方の基体に形成された前記薄膜が接触するように前記一方,他方の2つの基体を重ね合わせ,100℃以上の温度で加熱することにより前記微結晶構造の薄膜の接合界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせて前記2つの基体を接合(但し,150℃以上の接合温度で行う接合を除く)することを特徴とする(請求項2)。
なお,上記体拡散係数及び酸化物の生成自由エネルギーの数値範囲に属する単金属としては,前述のAu,Agの他,Cuがある。
上記いずれの構成においても,前記他方の基体の平滑面は,真空容器内において前記他方の基体の表面に形成された微結晶構造の薄膜により形成することができる(請求項)。
上記いずれの原子拡散接合方法においても,上記基体の重ね合わせは,大気圧以上の圧力の雰囲気下で行うことができる(請求項)。
また,上記基体の重ね合わせを行う雰囲気は,空気であっても良く(請求項),更には,78%を越える不活性ガスを含むものであっても良い(請求項)。なお,ここでいう「不活性ガス」の用語には,「窒素」を含む。
更に,上記基体の重ね合わせは,例えばクリーンルームやグローブボックス等のように塵埃の除去された雰囲気下で行うことが好ましい(請求項)。
また,前記基体を重ね合わせる力の強さは101kPa以下,例えば数kPa程度の比較的弱い力によって行うことができる(請求項)。もっとも,このことは基体等に対してダメージを与えない程度の力で加圧を行うことを禁ずるものではない。
また,前記微結晶薄膜を形成する前に,前記微結晶薄膜の形成と同一真空中において,前記微結晶薄膜の形成を行う基体の平滑面に生じている変質層を除去することが好ましい(請求項)。
更に,前記微結晶薄膜が形成される前記基体の平滑面に,前記微結晶薄膜とは異なる材料の薄膜から成る下地層を1層以上形成し,当該下地層上に前記微結晶薄膜を形成するものとしても良い(請求項10)。
この場合,前記下地層を,Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wの元素群より選択されたいずれか1つの単金属により形成し,又は前記元素群より選択された1つ以上の元素を含む合金により形成することができる(請求項11)。
更に,前記下地層を形成する前記単金属又は合金として,当該下地層上に形成される微結晶薄膜を形成する単金属又は合金よりも高融点で,且つ,前記微結晶薄膜を形成する単金属又は合金に対して融点の差が大きいものを使用することができる(請求項12)。
なお,前記微結晶構造の薄膜の膜厚は,2nm〜1μmの範囲とすることができる(請求項13)。
以上説明した本発明の構成により,本発明の原子拡散接合方法によれば,以下のような顕著な効果を得ることができた。
前述した体拡散係数,及び酸化物の生成自由エネルギーを有する単金属,あるいは合金から成る微結晶構造の被膜が形成された一方の基体の平坦面を,同様の体拡散係数,及び酸化物の生成自由エネルギーを有する単金属,あるいは合金から成る微結晶構造を有する平坦面を備えた他方の基体に前述した条件で重ね合わせることで,両者の重ね合わせを,1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下という比較的低真空度の空間や大気圧(1気圧)以上の圧力の雰囲気下で行った場合においても,接合界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせて,これにより同種又は異種の微結晶薄膜の接合面間,又は微結晶薄膜と基体の平滑面間を,原子レベルで金属結合あるいは分子間結合により強固に接合させることができると共に,薄膜の内部応力を開放して接合歪みを緩和させることができた。なお,ここで得られる接合は,界面で剥離が生じない(無理に剥離しようとすると薄膜の界面以外の部分又は基体が破壊する)接合状態である。
その結果,基体同士の接合を,高真空に維持された真空容器内で行う必要がなく,接合条件の自由度が増す結果,原子拡散による接合を行う際の作業性を大幅に改善することができた。
しかも,上記条件における原子拡散接合方法では,基体を200℃程度という比較的低い温度で加熱することで,上記いずれの条件においても接合を行うことができ,加熱により基体に対して与えるダメージを最小限に抑えることができた。
特に室温における体拡散係数を1×10-45(m2/s)以上とし,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーを−150(kJ/mol of compounds)以上とした場合には,基体を100℃に加熱することにより接合を行うことができ,また,更に室温における体拡散係数を1×10-40(m2/s)以上,室温における酸化物の生成自由エネルギーを−15(kJ/mol of compounds)以上とした場合には,基体を加熱することなく,室温において接合した場合でも前述した原子拡散による接合を行うことができ,熱により基体に加わるダメージを更に低減することができた。
もっとも,基体に対して加熱を行うことなく接合できる場合であっても,基体に対してダメージを与えない程度に基体温度を室温以上に加熱することで前述した体拡散係数を上昇させることができ,これにより原子の拡散速度,拡散長を増大させることで接合界面及び結晶粒界における原子の拡散性を向上させてより均一かつ強固な接合を行うことができ,特に原子の拡散長の増大により表面の比較的粗い基体であっても接合することが可能となった。
ここで,体拡散係数Dは,
D=D0exp(−Q/RT)
0:振動数項(エントロピー項)
Q:活性化エネルギー
R:気体定数
T:絶対温度
によって表すことができ,温度Tを上昇させると,体拡散係数Dは指数関数的に増加する。
上記原子拡散接合方法は,基体の重ね合わせを大気圧(1気圧)以上の圧力の雰囲気下で行った場合であっても可能であり,更には,上記基体の重ね合わせを行う雰囲気を空気とした場合,即ち,空気中に暴露した状態で重ね合わせを行う場合であっても好適に接合を行うことができた。
但し,空気は約78%が窒素,約20%が酸素であるところ,このうちの酸素が前述の微結晶薄膜に化学吸着することによって基体同士の接合が阻害されるものと考えられるところ,上記基体の重ね合わせを,78%を越える不活性ガス(ここで言う「不活性ガス」の用語には「窒素」も含む)を含む雰囲気中,好ましくは不活性ガス100%の雰囲気中において行うことにより,接合を阻害する要因である酸素の量を雰囲気中より減らし,微結晶薄膜と化学吸着しない窒素ガス,アルゴンガス,その他の不活性ガスの濃度が高められた雰囲気下で接合を行うことにより,より好適に接合を行うこと可能となる。
特に,このような不活性ガスの濃度を高めた雰囲気下で重ね合わせを行う場合には,微結晶構造を構成する金属として,酸化物の生成自由エネルギーの数値が比較的小さな金属(従って,酸素と反応し易い金属)を使用した場合であっても強固な接合が可能となる。
更に,上記基体の重ね合わせを,「クリーンルーム」や,「グローブボックス」等の塵埃の除去された雰囲気下で行うことにより,接合面に塵埃等の不純物が介在することによる接合不良を防止することができた。一例として,この空間のクリーン度としては,ISOクラス5(1988年米国連邦規格におけるクラス100に相当。1立法フィートの空間中における0.5μm以上の粒子数が100個未満。)以上であることが好ましく,より好適には,雰囲気中の湿度も調整(一例として50%以下)することが好ましい。
本発明の原子拡散接合方法によれば,基体の重ね合わせに際し,大きな圧力を加えることを必要とせず,前記基体を重ね合わせる力の強さを101kPa以下,例えば数kPa程度の圧力で重ね合わせた場合であっても好適に接合を行うことができた。その結果,接合の際に加わる圧力によって基体がダメージを受けることが好適に防止された。
上記微結晶薄膜を形成する前に,微結晶薄膜の形成と同一真空中において上記一方又は双方の基体の平滑面表面に形成されている変質層を逆スパッタリング等のドライプロセスにより除去することで,基体に対する微結晶薄膜の付着強度を向上させることができ,基体表面と微結晶薄膜間で剥離が生じることによる基体同士の付着強度の低下についても好適に防止することができた。
また,前記微結晶薄膜が形成される前記基体の平滑面に,前記微結晶薄膜とは異なる材料の薄膜,例えば周期律表における4A〜6A属の元素であるTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wの元素群より選択されたいずれか1つの単金属の薄膜,又は前記元素群より選択された1つ以上の元素を含む合金の薄膜によって下地層を形成することにより,基体に対する微結晶薄膜の付着強度を上昇させることができ,これにより基体と微結晶薄膜間で剥離が生じることを防止することができた。
特に,このような下地層の形成材料として,微結晶薄膜の形成材料に対して高融点であり,且つ,その融点の差が大きいものを使用することで,下地層上に形成される微結晶薄膜の2次元性(薄膜成長時の原子の濡れ性)が良くなり,微結晶薄膜が島状に成長することを防止でき,0.2nmといった1原子層分の厚みに相当する極めて薄い微結晶薄膜の形成が容易となる。
なお,本発明の原子拡散接合方法では,形成する微結晶薄膜の膜厚がそれぞれ2nm〜1μmの範囲で好適に原子拡散接合が可能であり,特に,電子やスピン電流の平均自由工程よりも十分に薄い数Å程度の膜厚の微結晶薄膜の形成によっても接合を行うことができることから,シリコンウエハ等の接合に用いた場合であっても,接合面によって電子の移動等が妨げられない接合方法を提供することができた。
本発明の原子拡散接合方法による基体の接合工程の一例を示した概略説明図。 Auの微結晶薄膜形成後,大気圧の空気中に5分間暴露した後,接合を行ったSi基板の断面顕微鏡写真。 Auの微結晶薄膜形成後,大気圧の空気中に1時間暴露した後,接合を行ったSi基板の断面顕微鏡写真。 Auの微結晶薄膜形成後直ちに,微結晶薄膜の形成を行った真空容器中で接合を行ったSi基板の断面顕微鏡写真(比較例1)。 Ptの微結晶薄膜形成後,大気圧の空気中に暴露した後,速やかに200℃の温度で接合を行ったSi基板の断面顕微鏡写真。 Pdの微結晶薄膜形成後,大気圧の空気中に暴露した後,速やかに160℃の温度で接合を行ったSi基板の断面顕微鏡写真。
接合方法概略
本発明の原子拡散接合方法は,真空容器内においてスパッタリングやイオンプレーティング等の真空成膜により真空中で成膜した所定の体拡散係数及び酸化物の生成自由エネルギーを有する単金属,あるいは合金から成る微結晶構造の薄膜同士を重ね合わせることにより,又は,前記微結晶構造の薄膜と,少なくとも表面が前記所定の体拡散係数及び酸化物の生成自由エネルギーを有する単金属,あるいは合金から成る微結晶構造を有する平坦面に重ね合わせることにより,この重ね合わせを1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下,例えば大気圧以上の圧力の雰囲気下で行った場合であっても,接合界面及び結晶粒界において原子拡散が生じて両者間で強固な接合が行われることを見出し,これを基体間の接合に適応したものであり,下記の条件等において基体同士の接合を行うものである。
基体(被接合材)
材質
本発明の原子拡散接合方法による接合の対象である基体としては,スパッタリングやイオンプレーティング等,一例として到達真空度が1×10-3〜1×10-8Pa,好ましくは1×10-4〜1×10-8Paの高真空度である真空容器を用いた高真空度雰囲気における真空成膜により前述した微結晶構造の薄膜を形成可能な材質であれば如何なるものをも対象とすることができ,各種の純金属,合金の他,Si基板,SiO2基板等の半導体,ガラス,セラミックス,樹脂,酸化物等であって前記方法による微結晶構造の薄膜が形成可能であれば本発明における基体(被接合材)とすることができる。
なお,基体は,例えば金属同士の接合のように同一材質間の接合のみならず,金属とセラミックス等のように,異種材質間での接合を行うことも可能である。
接合面の状態等
基体の形状は特に限定されず,例えば平板状のものから各種の複雑な立体形状のもの迄,その用途,目的に応じて各種の形状のものを対象とすることができるが,他方の基体との接合が行われる部分(接合面)については所定の精度で平滑に形成された平滑面を備えていることが必要である。
なお,他の基体との接合が行われるこの平滑面は,1つの基体に複数設けることにより,1つの基体に対して複数の基体を接合するものとしても良い。
この接合面の表面粗さは,パッケージの封止等,単に接合が得られるのみで目的が達成される場合には,例えば最大高さ(Rmax)で5nmを越える表面粗さ(例えば50nm以下)であっても接合を行うことができるが,好ましくはRmaxで5nm以下である。
基体の平滑面は,微結晶構造の薄膜を形成する前に表面のガス吸着層や自然酸化層等の変質層が除去されていることが好ましく,例えば薬液による洗浄等による既知のウェットプロセスによって前述の変質層を除去し,また,前記変質層の除去後,再度のガス吸着等を防止するために水素終端化等が行われた基体を好適に使用することができる。
また,変質層の除去は前述のウェットプロセスに限定されず,ドライプロセスによって行うこともでき,真空容器中における希ガスイオンのボンバード等によりガス吸着層や自然酸化層などの変質層を逆スパッタリング等によって除去することもできる。
特に,前述のようなドライプロセスによって変質層を除去する場合,変質層を除去した後,後述の微結晶構造を有する薄膜を形成する迄の間に,基体表面にガス吸着や酸化が生じることを防止できるために,このような変質層の除去を,後述する微結晶構造の薄膜を形成すると同一の真空中において行うと共に,変質層の除去に続けて微結晶構造の薄膜を形成することが好ましく,より好ましくは,変質層の除去を超高純度の不活性ガスを使用して行い,変質層の除去後に酸化層等が再形成されることを防止する。
なお,基体は,単結晶,多結晶,アモルファス,ガラス状態等,その構造は特に限定されず各種構造のものを接合対象とすることが可能であるが,2つの基体の一方に対してのみ後述する微結晶構造の薄膜を形成し,他方の基体に対して微結晶構造の薄膜の形成を行うことなく両者の接合を行う場合には,この薄膜の形成を行わない他方の基体の接合面は,接合界面や結晶粒界における原子拡散を得ることができるよう,少なくともその表面が後述する微結晶構造の薄膜と同様に,所定の体拡散係数,所定の酸化物の生成自由エネルギーの範囲内の金属によって構成された微結晶構造(アモルファスを含む)を有する必要がある。
微結晶構造の薄膜
材質
前述した微結晶構造の薄膜の形成材質としては,基体と同種材質の薄膜を形成しても良く,また,目的に応じて基体とは異種材質の微結晶構造の薄膜を形成しても良く,さらに,基体の一方に形成する微結晶構造の薄膜の材質と,基体の他方に形成する微結晶構造の薄膜の材質とを,それぞれ異なる材質としても良い。
形成する微結晶構造の薄膜の材料は,接合の際の加熱条件に応じて,以下の3種類に分類することができる。
第1の材料は,非加熱での接合が可能な材料であり,この材料は,室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が,−15以上の単金属,又は合金である。なお,このような数値範囲に属する単金属としては,Au,Agがある。
第2の材料は,前記第1の材料に加え,更に接合の際に基体を100℃以上に加熱することで接合が可能となる材料(例えばCu)を含む群であり,この材料は,室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が,−150以上の単金属,又は合金である。なお,このような数値範囲に属する単金属としては,前述のAu,Agの他,Cuがある。
第3の材料は,前記第1,2の材料に加え,更に接合の際に基体を200℃以上に加熱することで接合が可能となる材料を含む群であり,この材料は,室温における体拡散係数が1×10-55(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が,−330以上の単金属,又は合金である。このような数値範囲に属する単金属としては,前述のAu,Ag,Cuの他,Pd,Pt,Ni,Znがある。
なお,合金については,合金成分,配合比等によって体拡散係数や酸化物の生成自由エネルギーが変化することから,種々の組合せが存在し得るが,前記それぞれの数値範囲内に含まれる単金属の群内で組合せて成る合金は上記の各数値範囲に含まれ,また,上記の各群に属する各金属の化学的な特性を失わない程度に,他の合金成分を添加して得た合金は,主成分の単金属と同様に使用することが可能である。
以上のように体拡散係数の数値範囲と,酸化物の自由エネルギー毎に温度条件を規定しているのは,本発明の原子拡散接合を行うためには,前述の体拡散係数は大きい程原子の拡散性が向上し,一方,酸化物の生成自由エネルギーの数値が大きくなる程,酸素との反応が起こり難く,酸化膜等の接合を阻害する物質を形成し難くなるためである。
従って,室温における体拡散係数が1×10-55(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が−330(kJ/mol of compounds)以上の単金属,又は合金によって微結晶構造の薄膜を形成した場合には,この数値範囲に属する全ての金属薄膜で接合を可能とするためには,基体を200℃以上で加熱する必要があるが,これに対し,体拡散係数が高く,酸化物の生成自由エネルギーが大きい金属に限定する場合には,接合のための基体の加熱温度を低くすることができ,室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−150(kJ/mol of compounds)以上では基体を100℃以上に,更に,室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−15(kJ/mol of compounds)以上では基体を加熱することなく,室温で接合した場合においても,原子拡散を伴う接合を行うことができる。
そして,これらの金属によって微結晶構造の薄膜を形成した基体を,前述の各温度条件で接合した場合には,いずれも少なくとも部分的に接合界面の消失が生ずると共に,接合界面の消失部分において接合された微結晶薄膜間において再結晶が生じて2つの基体間の間隔の略全域に亘る粒径を備えた結晶粒が生成される等,金属結合による2つの微結晶薄膜の一体化を得ることができる。
膜厚等
形成する膜厚は特に限定されないが,それぞれの微結晶薄膜を,構成元素1層分の厚みで形成した場合であっても接合を行うことが可能であり,一例としてAuの微結晶薄膜を形成する場合,膜厚2nm(2層で4nm)とした場合であっても接合可能であり,接合される基体間に介在する微結晶薄膜の厚さを,電子やスピン電流の平均自由工程以下の厚みで形成することが可能である。
その結果,基体間に介在する微結晶薄膜の層が電子の移動等に対して障壁となることがなく,任意のシリコンウエハを接合する等して新たな機能性デバイスの創成等に本発明の原子拡散接合方法を使用することが可能である。
なお,形成する微結晶構造の薄膜は,接合面の全体を連続して覆うものである必要はなく,これを部分的に覆うものであっても良い。従って,ここでいう「微結晶構造の薄膜」には,例えば核成長の過程において形成される島状構造の状態も含み,例えば島状構造の薄膜同士を重ね合わせて接合する場合には,一方の薄膜を構成する島と,他方の薄膜を構成する島との重なり部分において後述する原子拡散による接合が生じ,これにより接合が得られることとなる。
一方,膜厚が厚くなるに従って得られた微結晶薄膜の表面粗さが増大して接合が困難となると共に,厚みのある微結晶薄膜の形成には長時間を要し,生産性が低下することから,その上限は1μm程度であり,2nm〜1μm程度が本発明における原子拡散接合方法における各微結晶薄膜の好ましい膜厚の範囲である。
粒径及び密度
形成する微結晶薄膜は,同微結晶金属の固体内に比べて原子の拡散速度が大きく,特に,拡散速度が極めて大きくなる粒界の占める割合が大きい微結晶構造であることが好ましく,結晶粒の薄膜面内方向の平均粒径は50nm以下であれば良く,より好ましくは20nm以下である。
また,微結晶薄膜は,微結晶薄膜が占める空間の体積100%に対し,空隙等の形成部分を除く,微結晶薄膜を構成する金属が占める体積の割合が80%以上,好ましくは80〜98%となるよう形成することが好ましい。
微結晶薄膜の形成面
さらに,上記微結晶構造の薄膜の形成は,接合対象とする2つの基体のそれぞれに形成しても良いが,一方の基体に対してのみ前記微結晶構造の薄膜を形成し,他方の基体に対しては微結晶構造の薄膜を形成することなく,接合を得ることが可能である。
この場合,微結晶構造の薄膜の形成を行わない上記他方の基体の接合面は,前述したように接合面の少なくとも表面付近が所定の体拡散係数,酸化物の生成自由エネルギーの数値範囲内にある単金属,あるいは合金から成る微結晶構造となっている必要がある。但し,微結晶構造の薄膜の形成を行わない基体の接合面と微結晶構造の薄膜の材質が共通である必要はない。
なお,微結晶構造の薄膜を形成する基体の平滑面には,微結晶構造の薄膜の形成前に,微結晶構造の薄膜とは異なる材質の薄膜より成る1層以上の下地層を形成することができ,特に,形成する微結晶構造の薄膜が,基体に対する付着強度が比較的弱い場合には,付着強度を向上する上で下地層の形成は有効である。
このような下地層は,微結晶薄膜の後述する成膜方法と同様の真空成膜技術によって形成することができ,その材質としては,周期律表の4A〜6A属の元素であるTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wによって形成することができ,その厚さは,一例として0.2〜20nm,後述の実施例では5nmである。
この下地層の材質としては,その上に形成する微結晶薄膜の形成材料に対して融点の差が大きいものを使用することが好ましく,かつ,微結晶構造の薄膜の形成材料に対して高融点のものを使用することが好ましい。このような融点差が大きく,微結晶構造の薄膜に対して高融点となる材質の組み合わせの一例として,例えばTaの下地層上にAgの微結晶薄膜を形成する場合,形成された微結晶薄膜が基体より剥離することを好適に防止できるだけでなく,下地層上に形成される微結晶構造の薄膜の2次元性(微結晶薄膜形成時の原子の濡れ性)が良くなり成膜時に微結晶構造の薄膜であるAgが島状に成長することを防止でき,2nmといった極めて薄い微結晶薄膜の形成が容易となる。
成膜方法
成膜技術
本発明の原子拡散接合方法において,被接合材である基体の接合面に形成する微結晶薄膜の形成方法としては,スパッタリングやイオンプレーティング等のPVDの他,CVD,各種蒸着等,到達真空度が1×10-4〜1×10-8Paの高真空度である真空容器において真空雰囲気における真空成膜を行う各種の成膜法を挙げることができ,拡散速度が比較的遅い材質及びその合金や化合物等については,好ましくは形成された薄膜の内部応力を高めることのできるプラズマの発生下で成膜を行う真空成膜方法,例えばスパッタリングによる成膜が好ましい。
真空度
薄膜形成の際の真空容器内の圧力は,到達真空度が1×10-3〜1×10-8Paの真空雰囲気であれば良く,より低い圧力(高真空度)である程好ましい。
不活性ガス(Arガス)圧
成膜方法がスパッタリングである場合,成膜時における不活性ガス(一般的にはArガス)の圧力は,放電可能な領域,例えば0.01Pa以上であることが好ましく,また30Pa(300μbar)を越えると接合を行うことができない場合が生じるため,上限は30Pa(300μbar)程度とすることが好ましい。これは,Arガス圧が上昇すると,形成された薄膜の表面粗さが増加すると共に,膜密度が著しく低下し,膜中の酸素等の不純物濃度が著しく増加する場合が生じるためである。
重ね合わせの条件
雰囲気の圧力
以上のようにして,表面に微結晶構造の薄膜が形成された基体相互,又は微結晶構造の薄膜が形成された基体と微結晶構造の基体表面とが,1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下,例えば,大気圧以上の圧力雰囲気下において重ね合わされることにより,接合界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせて前記2つの基体の接合が行われる。
このように,本発明の方法では,2つの基体の重ね合わせを,微結晶薄膜の形成を行った真空中よりも高圧の雰囲気下において行う場合であっても接合を行うことができるものとなっている。
なお,基体同士の重ね合わせを行う雰囲気の圧力が大気圧を越える場合としては,例えば給気処理型のクリーンルームやグローブボックス内で基体の重ね合わせを行う場合等がある。
雰囲気の成分
また,基体同士の重ね合わせを行う際の雰囲気の成分は,空気(窒素約78%,酸素約20%)であっても良く,又は,窒素ガス,アルゴンガス,その他の不活性ガスが,単独又は混合状態で78%を越えて存在した状態,好ましくは不活性ガス100%の雰囲気であっても良い。
微結晶薄膜形成後の経過時間
ここで,微結晶薄膜としてAu膜を形成した例では,Au膜の形成後,Au膜を大気圧(1気圧)の空気に1〜6時間暴露した後に基体の重ね合わせを行った場合においても十分な接合力が得られることが確認されており,1〜6時間に対して十分に長い時間,大気圧の空気中に暴露した後においても接合を行うことが可能である。
更に,雰囲気中の酸素や水の量を減らすことは,微結晶構造の薄膜の形成後,更に長時間経過した後にも接合を強固に行い得るものとなることから,基体同士の重ね合わせを,前述したように78%を越える不活性ガスを含む雰囲気,好ましくは100%不活性ガスの雰囲気中において行う場合,及び/又は1×10-4Paを越える圧力の範囲内で重ね合わせを行う雰囲気の圧力を低く設定する場合には,微結晶構造の薄膜の形成からより長時間経過した後であっても,強固な接合を行うことが可能となる。
また,例えば,微結晶構造の薄膜を形成する金属の体拡散係数が低くなるに従い,また,酸化物の生成自由エネルギーの数値が小さくなるに従い,接合を行う雰囲気中における不活性ガスの含有量を高める等,形成する微結晶薄膜の材質に応じて基体の重ね合わせを行う雰囲気の成分や圧力を変化させるものとしても良い。
雰囲気の清浄度
なお,このような基体の重ね合わせを行う雰囲気は,接合面に塵埃等が介在することによる接合不良を防止するために,塵埃の除去された空間内において行うことが好ましく,前述したように,塵埃の除去されたクリーンルームやグローブボックス内において行うことができる。
このような雰囲気の清浄度は,一例として,ISOクラス5(1988年米国連邦規格におけるクラス100に相当。1立法フィートの空間中における0.5μm以上粒子数が100個未満。)以上であることが好ましい。
また前述したように,雰囲気中の水分についても微結晶薄膜の表面に化学吸着して化合物を形成する原因となることから,このような接合面の重ね合わせを行う雰囲気は湿度が50%以下に調整されていることが好ましい。
接合時の温度条件
前述したように,接合面に形成する微結晶構造の薄膜を構成する金属材料の体拡散係数,及び酸化物の生成自由エネルギーに応じて,基体を下記の条件毎に下記の温度に加熱して接合を行う。
室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が−15以上の単金属,又は合金により微結晶構造の薄膜による接合を行う場合には,接合を得るために基体の加熱は不要である。
但し,この場合においても先に記載したように,基体にダメージを与えない範囲で基体を加熱して,体拡散係数を上昇させた接合を行うものとしても良い。
薄膜を形成する金属を,室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が−150以上の単金属,又は合金にまで拡張した場合には,この条件に含まれる全ての金属薄膜において接合を得るためには基体を100℃以上に加熱する。
更に,薄膜を形成する金属の範囲を,室温における体拡散係数が1×10-55(m2/s)以上であると共に,室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)が−330以上の単金属,又は合金の範囲に迄拡大した場合には,この条件に含まれる全ての金属薄膜において接合を得るためには基体を200℃以上の温度に加熱する。
なお,一方の基体に形成した微結晶構造の薄膜を構成する金属の体拡散係数及び酸化物の生成自由エネルギーと,他方の基体の表面に微結晶構造を形成する金属の体拡散係数及び酸化物の生成自由エネルギーとが相違する場合には,体拡散係数が小さく,酸化物の自由生成エネルギーの数値が小さい金属に対して適用される温度に基体を加熱して接合を行う。
接合方法例
本発明による原子拡散接合方法による接合工程の一例を,図1を参照して説明する。図1において,薄膜形成を行う真空容器内の上部に,スパッタを行うためのマグネトロンカソードを配置すると共に,このマグネトロンカソードの下部に,相互に貼り合わされる基体を載置する治具を配置し,この治具に取り付けた基体の接合面に対して微結晶薄膜を形成する。
図示の実施形態において,前述の治具に設けられたテーブルは,図1中の紙面右側の図に破線で示す薄膜形成位置と,実線で示す貼り合わせ位置間を回動可能に構成されており,基体の一方を載置したテーブルの一端と,基体の他方を載置したテーブルの一端とが突き合わされた状態に配置されていると共に,この突き合わせ部分を中心として前記2つのテーブルが回動して,両テーブルの他端を上方に持ち上げることにより,前記テーブル上の載置された2つの基体の接合面が重合されるよう構成されている。
接合に際し,基体の加熱が必要となる体拡散係数,及び酸化物の生成自由エネルギーの数値範囲にある金属で微結晶構造の薄膜を形成して接合を行う場合には,前述のテーブル内に電熱ヒータ等を埋め込んでおき,これにより2つの基体の接合面を重合した後で所定の温度に加熱することができるようにしても良い。
なお,このように基体の貼り合わせを行う治具は,図示の構成のものに限定されず,貼り合わせを行う基体の形状等にあわせて各種形状,構造のものを使用することができ,また,例えばロボットアーム等によって基体の一方若しくは双方を操作して接合を行うものとしても良く,更には,人の手によって基体同士を重ね合わせるものとしても良い。
このような治具が収容された真空容器は,図1に示すようにこれを前述したクラス1000以上の清浄度を実現可能なクリーンルーム内に配置し,又は,真空容器の出入口に連通して前述したクラス1000以上の清浄度を実現可能なグローブボックスを設けておく。
以上のように構成された治具が配置された真空容器において,前記治具を前述した成膜位置とした状態で,前述した条件で基体の接合面に対して微結晶薄膜を形成する。
そして,基体の接合面に対して所定厚みの微結晶薄膜が形成されると,微結晶薄膜の形成を終了し,真空容器内を前述したように1×10-4Paを越える圧力,例えば大気圧やクリーンルーム内の圧力に戻す。このように真空容器内の圧力の上昇は,例えば真空容器内に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを導入することにより行っても良く,又は,空気を導入することにより行っても良い。
このようにして,真空容器内の圧力を1×10-4Paを越える圧力,例えば大気圧やクリーンルーム内の圧力に迄上昇させた後,真空容器の出入口を開き,真空容器内より前述した治具と共に基体を取り出し,前記治具に設けられたテーブルを,前述した,貼り合わせ位置に回動させて,基体を101kPa以下,例えば数kPa程度の比較的弱い力で貼り合わせる。
これにより,両微結晶薄膜の接合界面及び結晶粒界において原子拡散を生じさせ,かつ,接合歪みを緩和させた接合を行うことができる。
なお,上記の説明では同一材質の微結晶薄膜が形成された基体相互を貼り合わせる場合について説明したが,異なる材質の微結晶薄膜が形成された基体相互を貼り合わせる場合には,例えば共通のクリーンルーム内に設置された2つの真空容器内のそれぞれに,前述のマグネトロンカソードを配置して各真空容器内で異なる材質の微結晶薄膜を成膜可能と成すと共に,それぞれの基体の接合面に対してそれぞれ異なる材質の微結晶薄膜を形成した後に,各真空容器より取り出した基体を前述のクリーンルーム内で重ね合わせることにより接合する等しても良い。
また,両基体に対する微結晶薄膜の形成は,必ずしも同時に行う必要はなく,時間差を以て行っても良い。
また,他方の基体の少なくとも表面部分が,前述した体拡散係数,及び酸化物の生成自由エネルギーの数値範囲にある単金属や合金による微結晶構造を有する場合には,接合対象とする2つの基体の一方に対してのみ前述の微結晶薄膜を形成し,他方の基体に対しては微結晶薄膜を形成することなく直接,両基体を接合することも可能である。
接合のメカニズム
原子拡散と体拡散係数
ここで本発明を成すにあたり,接合の対象とする基体に各種材質の微結晶被膜を形成し,この基体同士の貼り合わせを『微結晶薄膜を形成したと同一の真空中』において行う予備実験を行った。
この予備実験の結果から,微結晶薄膜の接合は薄膜の材料に強く依存することが確認されており,形成した微結晶薄膜の材料が持つ体拡散係数が接合において重要な役割を果たしているものと推測される。
ここで,固体物質の体拡散係数Dは,アレニウスの式を使用して以下のように表すことができる。
D=D0exp(−Q/RT)
上記の式において,D0は振動数項(エントロピー項),Qは活性化エネルギー,Rは気体定数,及びTは絶対温度である。
表1に,前述の予備実験において微結晶薄膜の形成に使用した材料のD0 ,Q及び算出した300K(27℃)時のD値の各値をそれぞれ示す。表1において各材料は,Dの大きさ順に挙げている。
なお,RuのD0及びQの値は,入手可能な文献において報告がされておらず,RuのD値については,Dが他の材料の場合と同様に融点と略比例するものと仮定して概算したものである。この概算したD値を参考のため表中にカッコを付して示した。

表1に示すように,Tiはhcp構造を有し,表1中に示した材料中で最も大きなD値を有する。更に,Al,Au,Ag,及びCuのfcc材料のD値は,他の材料のD値よりも大きい。これらの材質の薄膜を真空中で接合した予備実験では,元の薄膜の表面に対応する界面が残っていない。また,結晶粒が各薄膜間の元の界面を横切って形成されており,このことから界面において再結晶が促進していることが判る。更に,幾つかの結晶粒は膜の厚さの略全域に亘り形成されており,この現象は,とりわけ極めて大きなD値を有するTi/Ti及びAl/Al薄膜の接合において顕著であった。各薄膜間の元の界面より始まった再結晶は,接合したAl(50nm)/Al(50nm)薄膜の少なくとも50nmの距離に達している。
一方,小さなD値を持つPt/Pt,Cr/Cr,Ru/Ru,及びTa/Ta薄膜の接合では,元の薄膜表面に略対応した明確な境界が残った。特に,Ta/Ta及びRu/Ru薄膜の接合において,界面における内部拡散は他に比べて顕著ではなく,前述したように,このことは,これらの材料が大変小さなD値を有していることとも良く一致している。
注目すべき点は,bcc結晶構造を有するCr/Cr及びTa/Ta薄膜間の接合では,薄いアモルファス類似の層が界面に形成された。一方,fcc結晶構造を有するPt/Pt薄膜の接合では,元の薄膜の表面を横切ってfcc-(111)格子が形成された点である。Co/Co,Ni/Ni,Fe/Fe及びMo/Mo薄膜の接合については,前述の予備試験において微細構造を観察していないが,これらの微結晶構造はPt/Pt(Co/Co及びNi/Niについて),Cr/Cr(Fe/Feについて),及びTa/Ta(Mo/Moについて)に似ているものと推測される。
更に,W/Wの接合試験においても接合ができており,接合部の断面TEMによる観察において,接合した後の構造はTaと似た構造であることが確認されている。
ここで,Wは,単金属の中で最も低いD値を有する材料である。このことから,微結晶薄膜による原子拡散接合は,基体の重ね合わせを微結晶薄膜の形成と同一の真空中で行う場合,W及びReを含め全ての金属薄膜(これらの合金を含む)において生じるものと考えられる。
大気圧下における接合と酸化物の生成自由エネルギー
以上のように,微結晶構造の薄膜の接合時に発生する原子拡散は,体拡散係数が大きくなればなる程顕著となり,特に,Cuよりも体拡散係数の大きな材料,例えば体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上の材料においては,接合界面の消失と再結晶化を伴う原子拡散が生じ得るものとなっている。
一方,このような原子拡散を伴う接合は,微結晶構造の薄膜の表面に雰囲気中の水分や酸素,有機物等が化学吸着して,微結晶薄膜の表面に酸化物等の化合物が形成されると行えなくなることから,従来,微結晶構造の薄膜を形成した基体を,例えば真空容器から取り出し,大気圧の雰囲気に暴露した場合等には,微結晶薄膜の表面に直ちに酸化物等の化合物が形成されて接合を行うことができなくなると考えられていた。
そのため,あくまでも微結晶構造の薄膜の形成による原子拡散を伴う接合は,微結晶構造の薄膜の形成を行ったと同一の真空中において接合面の重ね合わせを行う場合においてのみ生じる現象と考えられていた。
しかし,後に説明するように,Auの微結晶構造の薄膜を形成した2枚の基体を大気圧(1気圧)の空気に5分間暴露した後に接合を行ったところ,この場合においても接合界面において原子拡散が室温で生じ、十分な接合力が得られることが確認された。
また,同様にAuの微結晶構造の薄膜を形成した2枚の基体を大気圧(1気圧)の空気に1時間暴露した後に接合を行った場合にも,更には6時間暴露した後に接合を行った場合にも,5分間暴露した後に接合を行ったと同程度の接合が得られることが確認された。
以上の結果から,大気圧(1気圧)の空気に5分間暴露した後,及び1時間暴露した後,更には6時間暴露した後のいずれの状態においても,Auの微結晶薄膜の持つ構造には大きな変化が生じていないことが推測できる。
ここで,大気圧(1気圧)の空気に6時間暴露した後においても接合が可能であったAuの微結晶薄膜にあっても,大気圧の空気に暴露した状態をさらに継続すれば,雰囲気中の水分や酸素,有機物等がAuの微結晶薄膜表面に物理吸着あるいは化学吸着するため、吸着層等の形成量の増加にともない界面における原子拡散の度合いが低下し、接合力が弱くなるものと推察される。
このような接合界面における原子拡散の度合いの変化は,表面におけるガス吸着等の化学反応に関係することから、緩和時間τを用いて確立統計的に表される経時変化であり,接合の度合いはexp(−t/τ)に比例すると考えられる。
上記の例では,大気圧の空気に対する暴露時間が5分,1時間,6時間のいずれにおいてもAuの微結晶薄膜が持つ構造に大きな変化が無いと推測されることから,上記緩和時間τは1時間,更には6時間よりも十分に長い時間であることを意味しており,6時間よりもさらに長時間にわたってAuの微結晶薄膜を空気に暴露した後に基体を接合しても,原子拡散により接合を行うことができるものと考えられる。
このように長時間に亘って大気圧の空気と暴露した場合であっても,微結晶薄膜の微細構造に変化が生じていないのは,微結晶薄膜の表面には物理吸着あるいは化学吸着による吸着層等の形成が原子拡散を阻害する程には生じていないこと,すなわち,上記の例で微結晶薄膜の材料として使用したAuが化学的に極めて安定した材質であることに起因するものと考えることができる。
このことから,Auと同様に,化学的に安定した材質の微結晶構造の薄膜を形成して接合を行う場合には,このような薄膜の形成を行った真空に対して高い圧力の雰囲気下で接合を行った場合においても,原子拡散による接合が可能であるとの予測の下,Ag,Cu,Pd,Ptによる微結晶構造の被膜を形成して接合を行ったところ,これらの材質で微結晶構造の被膜を形成した基体についても同様に,大気圧下の空気中に暴露した後においても接合を行うことができることを確認した。
ここで,前述のように大気圧下においても接合を行うことができた前述のAu,Ag,Cu,Pd,Ptと,これらの金属と周期律表において比較的近い位置にある金属の物性を示せば,下記の表2に示す通りである。
*複数の酸化物がある場合,生成自由エネルギーの数値が小さな方(酸化し易いと考えられる方)の酸化物を記載。
表中,ΔG:室温における酸化物の生成自由エネルギー(kJ/mol of compounds)
ΔH:室温における酸化物の生成熱(kJ/mol of compounds)
D:室温における体拡散係数(m2/s)
Tm:融点(℃)
R:電気抵抗(10-8Ωm,室温)
物性値の引用文献:Smithells Metals Reference Book, 7th Edition, Edited by E.A.Brandes & G.B.Brook, Butterworth-Heinemann.
以上の物性より,実験的に原子拡散による接合が確認された金属では,AuやPtのようにΔG(酸化物の生成自由エネルギー)が室温で正(即ち,酸化物を形成しない)でありΔGの報告値がない金属の他,Ag,Cu,Pd,Ptのように,ΔGが負でありその絶対値が比較的小さな数値を示す金属(ΔGの数値が比較的大きな金属)においても大気圧下における接合が可能であることが確認されている。
その一方で,Au,Agに対して体拡散係数が小さくなるに従い,また,ΔG(酸化物の生成自由エネルギー)が小さくなるに従い,常温では接合し難くなり,後述の実験例に示すようにCuで微結晶構造の薄膜を形成した例では,接合に際し基体を100℃に加熱することが必要であり,また,Ptの薄膜では150〜200℃,Pdの薄膜では150〜160℃の加熱が必要となっている。
このような関係に従えば,実験を行ったAu,Ag,Cu,Pd,Ptのいずれの金属よりも体拡散係数の大きいZnについては,ΔG(酸化物の生成自由エネルギー)の数値が,接合が確認された物質中,最小のCuの-144.9よりも小さなものとなっているものの,Ptの場合のSi基板における加熱温度と同程度の200℃程度に基体を加熱することで接合が行えるものと予想され,また,同様に接合が確認されたPtよりも体拡散係数が大きいNiについても,ΔG(酸化物の生成自由エネルギー)が-213.1と他の金属に比較して若干小さくなっているものの,Ptと同様に200℃程度の加熱によって接合できるものと予想される。
更に,これらの金属と同様の体拡散係数,及びΔG(酸化物の生成自由エネルギー)を有する合金を微結晶構造の薄膜の材質として使用する場合には,同様に大気圧下における接合が可能であると予想される。
以下,前述したAu,Ag,Cu,Pt,Pdにより基体の表面に微結晶構造の薄膜を形成して接合を行った場合に必要となる接合条件の確認試験を行った結果を以下に示す。
〔Au薄膜による接合試験例〕
接合方法
物理実験用の超高真空(UHV:Ultra High Vacume)5極カソード−マグネトロンスパッタ装置(到達真空度2×10-6Pa)により,直径約1インチ(2.7cm),あるいは,直径2インチ(約5.08cm)の2枚の基板上にそれぞれAuの微結晶薄膜を形成して接合試験を行った。なお,スパッタリングには,真空室へのガス導入部(ユースポイント)における不純物濃度が2〜3ppb(2〜3×10-9)以下である超高純度アルゴンガスを使用した。
前記基体として,Si基板と,SiO2基板の2種類を用意し,接合は,Au薄膜の形成された同種基板同士において行った。
接合の対象である基体とした基板の表面粗さは,Si基板の場合でRaで0.16nm,Rmaxで1.6nmであり,SiO2基板の場合でRaで0.37nmであった.Si基板にあっては表面にはSiの自然酸化膜が形成されていたが,これを除去することなく使用した。
前記基板に対し,直接,Auの微結晶薄膜を形成したものと,Auの微結晶薄膜の形成前に基板のそれぞれの片面にスパッタリングにより約5nmのCr薄膜を下地層として形成したものとをそれぞれ用意した。Cr下地膜は,Au薄膜と前記基体との付着力を高めるために挿入したものである。
このようにしてAuの微結晶薄膜を形成した後,スパッタ装置の真空室内へ空気を導入してクリーンルーム内の圧力にまで戻した後,スパッタ装置の真空室内より基板を取り出し,湿度50%,前述したISOクラス5のクリーンルーム中で所定時間大気に暴露した後,2枚の基板を両基板上に形成された微結晶薄膜が重なり合うように両基板を加熱することなしに数kPa程度の弱い力で重ね合わせて接合させた。
各接合条件と接合結果を下記の表3に示す。
比較例1
下地層として厚さ約5nmのTa層を形成した点,微結晶薄膜の形成直後,微結晶薄膜の形成を行ったと同一真空中で重ね合わせを行った点を除き,上記実験例と同様である。
試験結果
上記接合試験の結果,いずれの条件で接合を行った場合においても強固な接合が得られており,重ね合わせた基体を剥離しようとすると,基体に直接薄膜を形成した例では薄膜が基体との界面より剥離し,また,Crの下地層を設けた構成にあっては,いずれの界面においても剥離することなく,基体が割れた。
Auの微結晶薄膜を用いた接合では,Auの微結晶薄膜を成膜した基体を大気圧の空気中に暴露した後でも,数kPa程度の弱い力で薄膜を重ね合わせることで基体を加熱することなく原子拡散接合が可能であった。
この接合は,それぞれのSi基板に膜厚20nmのAuの微結晶薄膜を形成後,Si基板をスパッタ装置の真空室より取り出して大気に5分,及び1時間暴露した後のいずれの状態においても行うことができ,更に6時間暴露した後においても接合することが可能であった。
また,Auの微結晶薄膜を形成後,Si基板をスパッタ装置の真空室より取り出した直後に接合した場合には,Si基板それぞれに形成する微結晶薄膜の膜厚を2nmまで薄くした場合であっても接合が可能であった.
なお,図2〜4に,大気暴露後5分後に接合した基体の断面(図2),1時間経過後に接合した基体の断面(図3)及び,大気暴露せずに真空容器中で接合を行った比較例1の基体の断面(図4)をそれぞれ示す。
図4に示すように,微結晶薄膜を形成したと同一の真空中においてSi基板の重ね合わせを行った比較例1の接合面にあっては,元の微結晶薄膜の表面部分に形成される筈の接合界面が完全に消失するものとなっているのに対し,大気圧の空気中に5分間暴露した後に接合を行った例(図2),1時間の大気暴露後に接合を行った例(図3)では,接合界面が所々残存していることが確認されたが,このような接合界面の残存は,実質上,接合に影響のないものであった。
〔Ag薄膜による接合実験例〕
前述したAu薄膜と同様の条件でAg薄膜を形成した基体同士の接合試験例及びその結果を,表4に示す。一部の実験では,Agの微結晶薄膜の形成前に基板のそれぞれの片面にスパッタリングにより約5nmのTa薄膜を下地層として形成したものを用意した。Ta下地膜は,Ag薄膜と前記基体との付着力を高めるために挿入したものである。
上記の結果より,2つの基体の接合面のいずれに対しても微結晶構造のAg薄膜を形成して接合を行った例においても,基体を加熱することなく強固な接合が得られており,重ね合わせた基体を剥離しようとすると,基体に直接薄膜を形成した例では薄膜が基体との界面より剥離し,また,Taの下地層を設けた構成にあっては,いずれの界面においても剥離することなく,基体が割れた。
なお,サンプル名「Ag2」ならびに「Ag4」の例では,SiO基板が透明であるため,接合直後,夾雑物の存在により接合面の一部に未接合の部分が存在することが確認されたが,この未接合部分の基体を指で外部より押圧することで接合領域を拡大することができることが確認され,多小の塵埃が存在する空間内で接合を行った場合であっても,基体を僅かに加圧することで夾雑物の介在による未接合部分の発生を回避できることが確認できた。
〔Cu薄膜による接合実験例〕
前述したAu薄膜と同様の条件でCu薄膜を形成した基体同士の接合試験例及びその結果を,表5に示す。一部の実験では、Ag膜の実験同様に、Cuの微結晶薄膜の形成前に基板のそれぞれの片面にスパッタリングにより約5nmのTa薄膜を下地層として形成したものを用意した。
上記接合試験の結果,いずれの条件で接合を行った場合においても強固な接合が得られており,重ね合わせた基体を剥離しようとすると,基体に直接薄膜を形成した例では薄膜が基体との界面より剥離し,また,Taの下地層を設けた構成にあっては,いずれの界面においても剥離することなく,基体が割れた。
以上の結果から,基体を100℃程度に加熱することで,いずれの場合にも接合を行うことができることができ,また,大気暴露後,1時間経過後にも接合を行うことができることが確認できた。
特に,Si基体の接合では,基体を40℃程度に加熱することで,少なくともCu薄膜の基体への付着強度を超える接合強度で,加圧を行うことなく接合面全体に亘る接合を行うことができた。
また,Si基体の接合では,基体の加熱を行わない場合であっても加圧を行うことで部分的な接合が可能となっていることから,加圧等の他の条件との組合せにより,緩和された加熱条件で接合を行うことが可能である。
〔Pt薄膜による接合実験例〕
前述したAu薄膜と同様の条件でPt薄膜を形成した基体同士の接合試験例及びその結果を,表6に示す。
上記の結果,Ptの微結晶薄膜を形成した基体同士の接合では,Si基体及びSiO2基体のいずれの場合においても基体を加熱することなく接合を行うことはできなかった。
一方,SiO2基体の接合では基体を150℃に加熱することで,Si基体については,基体を200℃に加熱することで接合面全体の接合が得られた。「Pt1」の接合した基体の断面を図5に示す。加熱により,Si基板表面に存在するSiの自然酸化膜の下にPtとSiの化合物が形成されているが,Pt/Ptの接合界面に空隙は無く,200℃の加熱により接合できていることがわかる。このことから,Ptの微結晶薄膜の形成によって接合を行う場合,基体を200℃以上に加熱することで,いずれの条件においても接合が可能であることが確認された。
〔Pd薄膜による接合実験例〕
前述したAu薄膜と同様の条件でPd薄膜を形成した基体同士の接合試験例及びその結果を,表7に示す。
Pdの薄膜を形成した基体同士を接合する場合にも,Si基体及びSiO2基体のいずれの場合においても基体を加熱することなしに接合を行うことができなかった。
なお,基体がSi,SiO2のいずれの場合,又,下地層としてTa薄膜を形成した場合のいずれにおいても,基体の加熱温度150〜160℃で接合が得られた。「Pd2」の接合した基体の断面を図6に示す。加熱により,Si基板表面に存在するSiの自然酸化膜の下にPdとSiの化合物が形成され界面が大きく揺らいでいるが,Pd/Pdの接合界面は完全に消失し,接合できていることがわかる。
以上で説明した本発明の接合方法は,無加熱又は比較的低い温度での加熱,無加圧で原子レベルでの接合を行うことができること,接合後の界面応力が小さいこと,しかも微結晶薄膜の形成を行った真空よりも高い圧力の雰囲気,例えば大気圧の空気中に暴露した状態で接合面の重ね合わせを行うことができ作業性が向上されていること等から,各種新機能・高機能デバイスの創製,情報家電の小型化,高集積化等の用途において容易に利用することができ,これらの用途における例を示せば下記の通りである。
新機能・高性能デバイスの創製
ウエハレベルで積層化,集積化した新機能デバイスの創製への利用
集積回路と短波長光デバイスの集積化(例えば,Siデバイス/GaN,フォトニクス結晶,LED),新機能光−電子変換デバイス創製の際の接合。
スピン−電子ハイブリッドデバイスの製造。本発明の方法によって接合することで,電子やスピン電流の平均自由工程以下でウエハ間を接合することが可能である。
異種材料ウエハ間の接合
超ハイブリッド基板・部材の形成等を目的として,半導体ウエハを微結晶薄膜を挟んで積層化した電位障壁ハイブリッド・ウエハの製造や,ガラスを微結晶薄膜を挟んで積層した特殊光学ウエハ(光フィルタリング)の製造に際し,本発明の方法を使用することができる。
発光ダイオードの高輝度化
本発明の方法により,発光ダイオードに鏡面のレイヤーを接合し,輝度を上げる。
水晶振動子の積層化
本発明の方法により,水晶に例えば金の薄膜を形成して水晶同士を接着することで,比較的接着が困難な水晶同士の接合を行う。
情報家電の小型化・高集積化
SiP技術のための三次元スタック化,パッケージ基板高機能化(三次元実装);本接合方法によりSiデバイスとSiデバイスの積層や基板を立体的に貼り合わせることにより高集積化を図る。
MEMS製造技術
三次元配線を兼ねた微細素子の真空封止,Siデバイスとの積層に本接合方法を利用する。この用途での利用の場合,接合面に界面があっても良く,内部の真空や接合状態を保持できれば良い。
高性能化,超低消費電力のための効率的な熱伝導(冷却)の実現
熱放散係数の大きな材料,例えば銅,ダイヤモンド,DLC等で作製したヒートシンク,ヒートスプレッダを本発明の方法により半導体デバイス等に直接ボンディングして,放熱性能,熱拡散性能等を向上させる。
その他
なお,以上で説明した用途では,いずれも本発明の接合方法を電気,電子部品等の分野において使用する例を説明したが,本発明の方法は,上記で例示した利用分野に限定されず,接合を必要とする各種分野,各種用途において利用可能である。

Claims (13)

  1. 真空容器内において,一方の基体の平滑面に,室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−15(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造の薄膜を形成すると共に,1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下において,少なくとも表面が,室温における体拡散係数が1×10-40(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−15(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造を有する平滑面を備えた他方の基体の平滑面に,前記一方の基体に形成された前記薄膜が接触するように前記一方,他方の2つの基体を重ね合わせることにより,前記薄膜と前記他方の基体の前記平滑面との接合界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせることにより前記2つの基体を接合する(但し,150℃以上の接合温度で行う接合を除く)ことを特徴とする原子拡散接合方法。
  2. 真空容器内において,一方の基体の平滑面に,室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−150(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造の薄膜を形成すると共に,1×10-4Paを越える圧力の雰囲気下において,少なくとも表面が室温における体拡散係数が1×10-45(m2/s)以上で,且つ,室温における酸化物の生成自由エネルギーが−150(kJ/mol of compounds)以上の単金属,あるいは合金から成る微結晶構造を有する平滑面を備えた他方の基体の平滑面に,前記一方の基体に形成された前記薄膜が接触するように前記一方,他方の2つの基体を重ね合わせ,100℃以上の温度で加熱することにより前記微結晶構造の薄膜の接合界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせて前記2つの基体を接合する(但し,150℃以上の接合温度で行う接合を除く)ことを特徴とする原子拡散接合方法。
  3. 前記他方の基体の平滑面が,真空容器内において前記他方の基体の表面に形成された微結晶構造の薄膜により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の原子拡散接合方法。
  4. 前記基体の重ね合わせを,大気圧以上の圧力の雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  5. 前記基体の重ね合わせを行う雰囲気が空気であることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  6. 前記基体の重ね合わせを行う雰囲気が78%を越える不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  7. 前記基体の重ね合わせを,塵埃の除去された雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  8. 前記基体を重ね合わせる力の強さが101kPa以下であることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  9. 前記微結晶薄膜を形成する前に,前記微結晶薄膜の形成と同一真空中において,前記微結晶薄膜の形成を行う基体の平滑面に生じている変質層を除去することを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  10. 前記微結晶構造の薄膜が形成される前記基体の平滑面に,前記微結晶構造の薄膜とは異なる材料の薄膜から成る下地層を1層以上形成し,当該下地層上に前記微結晶構造の薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
  11. 前記下地層を,Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wの元素群より選択されたいずれか1つの単金属により形成し,又は前記元素群より選択された1つ以上の元素を含む合金により形成したことを特徴とする請求項10記載の原子拡散接合方法。
  12. 前記下地層を形成する前記単金属又は合金として,当該下地層上に形成される微結晶構造の薄膜を形成する単金属又は合金よりも高融点で,且つ,前記微結晶構造の薄膜を形成する単金属又は合金に対して融点の差が大きいものを使用することを特徴とする請求項10記載の原子拡散接合方法。
  13. 前記微結晶構造の薄膜の膜厚を2nm〜1μmとしたことを特徴とする請求項1〜12いずれか1項記載の原子拡散接合方法。
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