JP5569942B2 - 発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法 - Google Patents

発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法に関する。さらに詳しくは、近紫外光により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示す発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法に関する。
近年、フラットパネルディスプレイや高輝度及び低消費電力照明等に用いられる発光デバイス用蛍光材料への関心が高まっている。このような蛍光材料としては、地球環境問題を考慮すると水銀使用蛍光灯や希土類を多く含む蛍光材料ではなく、環境負荷が小さくかつ希少原料を使用しない蛍光材料ないし発光材料の開発が求められている。また、照明光源には高い演色性が求められるため、概ね波長が400nm〜800nmにわたる可視光域において、望みの波長域(色域)に幅広いスペクトルを有することも要求されている。このような状況のもとで、蛍光灯や白熱灯に代わる新しい照明光源として、白色発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)ないしそれを備えた発光装置が注目されている。実用化が進んでいる白色発光ダイオードの光源を用いた照明は、従来のものに比べて発光効率が良く、長寿命であるといった長所があることからも、将来性を有望視されている照明光源である。
白色発光ダイオードの構成としては、(ア)紫〜青色発光ダイオード+黄色発光蛍光体微粒子、(イ)紫外発光ダイオード+RGB系発光の多種蛍光体微粒子、及び(ウ)RGB3色発光ダイオードがあり、このうち(ア)の構成が主流となっており、例えば、青色発光ダイオードと、蛍光体母体がアルミン酸イットリウム(YAl12:YAG)に付活剤としてセリウム(Ce)を導入したYAG:Ce蛍光体との組み合わせにより、青色系の演色を示すものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、遷移金属イオンが導入されたガラスのマトリックスは、可視光領域における光吸収や、近赤外領域における蛍光発光を起こすため、高い強度の発光を利用した蛍光体として用いることができる。このような蛍光体として、1価の銅イオン(Cuイオン)を含有し、青色蛍光を示すガラス材料が提供されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平10−36835号公報 特開平10−236843号公報
以上説明したように、現在の白色発光ダイオードは青色系の演色となっているが、一般照明用の発光ダイオードに求められている演色域は暖色系(黄色〜橙色)であり、青みが強く赤みが弱いため、発光色が冷たく感じるという問題があった。また、照度を向上させるためには、高出力の発光ダイオードが必要であるが、高出力の発光ダイオードは発熱も高く、かかる発熱による高温で樹脂や蛍光材料自体が劣化するという問題もあった。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、発光ダイオードを発光源とする白色照明等に適用できる、近紫外光により暖色系の白色発光を示し、かつ、長期耐候性及び高耐熱性を備えた発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の第1発明に係る発光ガラスは、下記(1)〜(3)の少なくとも1種からなる分相構造を有するホウケイ酸ガラスを母ガラスとし、当該母ガラスが銅(Cu)、金(Au)及び銀(Ag)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を構成金属とする遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属クラスタを含むことを特徴とする。
(1)分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO
(2)分相構造を有するアルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(R’O−B−SiO
(3)分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(RO−R’O−B−SiO
(上記(1)〜(3)において、Rはアルカリ金属、R’はアルカリ土類金属、をそれぞ
れ示す。)
本発明の第2発明に係る発光ガラスは、下記(4)〜(6)の少なくとも1種からなる分相構造を有するケイ酸ガラスを母ガラスとし、当該母ガラスが銅(Cu)、金(Au)及び銀(Ag)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を構成金属とする遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属クラスタを含むことを特徴とする。
(4)分相構造を有するアルカリ金属ケイ酸ガラス(RO−SiO
(5)分相構造を有するアルカリ土類金属ケイ酸ガラス(R’O−SiO
(6)分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ケイ酸ガラス(RO−R’O−SiO
(上記(4)〜(6)において、Rはアルカリ金属、R’はアルカリ土類金属、をそれぞれ示す。)
本発明に係る発光ガラスは、前記した本発明において、前記遷移金属イオンクラスタが銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)であり、前記母ガラスが分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO)であることを特徴とする。
本発明に係る発光ガラスは、前記した本発明において、前記アルカリ金属ホウケイ酸ガラスを構成するアルカリ金属がナトリウム(Na)であることを特徴とする。
本発明に係る発光装置は、前記した本発明の発光ガラスと、発光素子とを発光源として備えたことを特徴とする。
本発明に係る発光装置は、前記した本発明において、前記発光素子が発光ダイオードであることを特徴とする。
本発明に係る発光ガラスの製造方法は、前記した第1発明に係る発光ガラスを製造する方法であって、母ガラスとなる、前記(1)〜(3)の少なくとも1種からなる分相構造を有するホウケイ酸ガラスに対応する化合物と、前記遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属イオンクラスタに対応する遷移金属からなる化合物と、を含む原料成分を乾式混合し、溶融急冷することを特徴とする。
本発明に係る発光ガラスの製造方法は、前記した第2発明に係る発光ガラスを製造する方法であって、母ガラスとなる、前記(4)〜(6)の少なくとも1種からなる分相構造を有するケイ酸ガラスに対応する化合物と、前記遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属イオンクラスタに対応する遷移金属からなる化合物と、を含む原料成分を乾式混合し、溶融急冷することを特徴とする。
本発明に係る発光ガラスの製造方法は、前記した本発明において、還元剤として酸化スズ(SnO)をさらに含むことを特徴とする。
本発明に係る発光ガラスの製造方法は、前記した本発明において、前記酸化スズ(SnO)の添加量が、外割で0.1〜10.0mol%であることを特徴とする。
本発明に係る発光ガラスは、母ガラスとして分相構造を有するホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスを用いているので、近紫外光の照射により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示す遷移金属イオンクラスタあるいは遷移金属クラスタが母ガラスに効率よくドープされることにより、励起波長及び発光波長の長波長化が実現でき、多重散乱効果により発光強度が高い、近紫外光の照射により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示す蛍光材料となる。加えて、汎用ガラス材料であるホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスを構成材料としているので、紫外線等に対する長期耐候性、高熱に対する耐熱性を併せ持った蛍光材料を低コストで提供可能とする。
本発明に係る発光装置は、前記した本発明の発光ガラスと、発光素子とを発光源として備えているので、暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示し、発光強度が高く、耐候性及び耐熱性に優れるため、白熱電灯や蛍光灯に代替できる省エネルギー、省希少資源に対応した発光装置となる。
本発明に係る発光ガラスの製造方法は、母ガラスとなる分相構造を有するホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスに対応する化合物と、遷移金属イオンクラスタ等に対応する遷移金属からなる化合物と、を含む原料成分を乾式混合し、溶融急冷によりガラス化しているので、前記した効果を奏する発光ガラスを簡便に製造することができる。
NBS(NaO−B−SiO)系の状態図である。 本発明に係る発光装置の一態様を示した概略図である。 評価(1)において、還元剤として酸化スズを添加した場合の吸収スペクトルを示した図である。 評価(1)において、ガラスサンプルに白色光、中心波長254nm及び365nmの紫外光を照射した場合の外観写真を示した図である。 評価(1)において、ガラスサンプルの励起スペクトル及び発光スペクトルを示した図である。 評価(2)において、ガラス組成と吸収スペクトルとの関係を示した図である。 評価(2)において、ガラスサンプルに白色光照射、中心波長254nm及び365nmの紫外光を照射した場合における外観写真を示した図である。 評価(2)において、ガラス組成と励起スペクトル及び発光スペクトルとの関係を示した図である。 評価(3)において、実施例1のガラスサンプルの白色光照射、中心波長254nm及び365nmの紫外光照射における外観写真を示した図である。 評価(3)において、実施例2のガラスサンプルの白色光照射、中心波長254nm及び365nmの紫外光照射における外観写真を示した図である。 評価(3)において、酸化銅の添加量に対する発光強度(黄色発光強度)の関係を示した図である。 実施例1の組成について、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び最大発光波長をモニター波長とした励起スペクトルを示した図である。 実施例2の組成について、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び最大発光波長をモニター波長とした励起スペクトルを示した図である。 実施例3の組成について、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び最大発光波長をモニター波長とした励起スペクトルを示した図である。 評価(5)において、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(5)において、波長254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(5)において、添加する酸化銅(CuO)と発光強度の関係を示した図である。 評価(6)において、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(6)において、波長254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(7)において、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(7)において、波長254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(7)において、添加する酸化スズ(SnO)と発光強度の関係を示した図である。 評価(8)において、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(8)において、波長254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(9)において、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。 評価(9)において、波長254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを示した図である。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明に係る発光ガラスは、分相構造を有するホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスを母ガラスとし、かかる母ガラスが遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属クラスタを含むことを基本構成とする。
(1)遷移金属クラスタまたは遷移金属イオンクラスタ:
本発明に係る発光ガラスは、後記する母ガラスが遷移金属イオンクラスタまたは遷移金属クラスタを含有する。これらの遷移金属イオンクラスタまたは遷移金属クラスタ(以下、「遷移金属イオンクラスタ等」とする場合もある。)を構成する金属ないし金属イオンとしては、ガラス中で発光するものと考えられる銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)が挙げられ、これらの少なくとも1種を使用することができる。この中でも、コスト的にも比較的安価であり、また、クラスタが安定して黄色〜橙色発光する銅(Cu)を使用することが好ましい。
また、前記した遷移金属イオンクラスタまたは遷移金属クラスタとしては、例えば、銅クラスタ(Cuクラスタ)、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)、金クラスタ(Auクラスタ)、金イオンクラスタ(Aun+クラスタ:n=1〜6の整数)、銀クラスタ(Agクラスタ)、銀イオンクラスタ(Agクラスタ)等が挙げられる。
本発明において「遷移金属イオンクラスタ」または「遷移金属クラスタ」とは、遷移金属原子あるいは遷移金属イオンの集合体を意味し、これらの遷移金属イオンクラスタまたは遷移金属クラスタは母体となるガラス材料(本発明における母ガラス)に含有されて賦活剤として発光中心となり、黄色発光を示すことになる。例えば、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)の場合にあっては、350nm付近(例えば、365nm)の長波長の紫外光励起において、580nm付近で黄色〜橙色発光を示すことになる。
(2)母ガラス:
本発明に係る発光ガラスを構成する母ガラスとしては、分相構造を有するガラス材料である必要があり、具体的には、分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO)、分相構造を有するアルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(R’O−B−SiO)、分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(RO−R’O−B−SiO)、分相構造を有するアルカリ金属ケイ酸ガラス(RO−SiO)、分相構造を有するアルカリ土類金属ケイ酸ガラス(R’O−SiO)、分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ケイ酸ガラス(RO−R’O−SiO)といったガラス材料を使用することができる。これらのホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスは、紫外光照射等に対する長期耐候性を有するとともに、耐熱性が高い材料であるため、高出力の発光ダイオードを光源とした場合であっても、問題なく使用することができる。
前記した母ガラスにおいて、Rはアルカリ金属であり、特に、Li、Na、Kが好ましい。また、R’はアルカリ土類金属であり、特に、Ca、Mg、Sr、Baが好ましい。かかるRあるいはR’は、それぞれ単一の金属(元素)を選択してもよく、また、アルカリ金属同士(例えば、Na−K)、アルカリ土類金属同士(例えば、Ca−Mg)、アルカリ金属とアルカリ土類金属(例えば、Na−Ca)を組み合わせて使用するようにしてもよい。なお、前記した遷移金属イオンクラスタとして銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)を採用した場合、黄色〜橙色発光を効率よく示すといった点等の理由で、母ガラスとして分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO)とすることが好ましく、かかるアルカリ金属ホウケイ酸ガラスを構成するアルカリ金属をナトリウム(Na)とするホウケイ酸ガラス(NaO−B−SiO)とすることが特に好ましい。
ここで、分相構造を有するガラス材料とは、分相組織を形成している、ないしは不混和領域組織からなるガラスをいい、例えば、酸化物系ガラスの中でシリカやホウ酸を含む多くの組成系では、液相線以下の温度で2相に分離する不混和領域がある。このような系では高温では均一な液相であるから、そこから急冷すれば見かけ上は均質なガラスが得られる。しかし潜在的には不混和傾向であるため、物質の拡散による移動が可能な温度で保持すれば相分離が進行することから、このような相分離は準安定不混和(metastable−immiscibility)と呼ばれ、この準安定不混和では、核生成−成長機構領域内の組成・温度でガラスを熱処理すると液滴状の分相構造(分相組織)が、またスピノーダル分解領域では3次元的に絡み合った分相構造が形成される。
また、ケイ酸塩系やホウ酸塩系では、液相線以上の温度域、すなわち高温融液の状態で2相に分離するものも多く、このような分相は安定不混和(stable−immiscibility)と呼ばれ、融液状態では物質の拡散速度が速いため容易に相分離が進行する。安定不混和を示す代表的な組成であるR’O−SiOからなる2成分系(R’:アルカリ土類金属)は、概ね1700℃付近の液相線以上の温度域で安定不混和領域が広がっている。アルカリ土類イオンの大きさが大きくなるに従って、分相範囲が狭くまた温度域も低くなり、例えばBaでは不混和領域は液相線以下の温度、すなわち準安定な状態になる。なお、本発明における「分相構造を有するガラス」とは、分相構造が形成されうるガラス材料全般を指し、見かけ上分相構造が形成されていなくとも、潜在的に相分離が進行しているガラス材料も含む。
一般に、ガラス材料に遷移金属イオン等の金属イオン(あるいは遷移金属の金属)をドープした場合にあっては、金属イオンクラスタあるいは金属クラスタのほかに、金属イオン、金属コロイドが形成されることになり、金属イオンクラスタ等を増やすためにドープ量を過剰に多くした場合には、金属の価数制御が困難であるため、金属イオンクラスタ等のほかにクラスタでない金属イオンや金属コロイド等も形成されてしまうことになる。一方、分相構造を有するガラス材料(ホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラス)に、金属イオンあるいは金属をドープした場合にあっては、例えば、ケイ酸塩系分相ガラスを用いた場合、金属イオン(例えば、Cuイオン)が貧シリカガラス相(NBS(NaO−B−SiO)系ではNaO−Bが多い相)に選択的に入るため、均質なガラスの場合よりも体積の小さなガラス相中に金属イオン(あるいは金属)が濃集することとなり、金属イオンクラスタや金属クラスタの形成に必要な金属の添加量が少量で済み、結果としてクラスタに対応する金属の価数制御が容易になり、加えて金属同士の凝集も防げることから、金属イオンクラスタ(銅の場合はCuクラスタ)が効率よく形成され、近紫外光により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示す発光ガラスを簡便に得ることができる。加えて、分相構造を有するガラス材料に、蛍光賦活剤となる遷移金属イオンクラスタ等をドープすることにより、蛍光賦活剤の励起光である近紫外光の分相構造界面での多重散乱により高輝度に発光し、かつ紫外線・電子線・化学耐性が高いガラス材料の作製が可能となる。なお、ガラス材料中の分相構造の存在の確認手段としては、例えば、電子顕微鏡による組織観察、X線小角散乱法または紫外−可視光散乱法等が挙げられる。
このような分相構造を有するガラス材料の組成は、ガラス材料に対応する状態図により容易に選定することができる。図1は、NBS(NaO−B−SiO)系の状態図を示す。また、図1に示すNBS系の状態図は、他のアルカリ金属(Li、K)を使用したアルカリ金属ホウケイ酸ガラスにも適用することができる。
さらに、前記に加え、分相構造を有するアルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス、分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス、分相構造を有するアルカリ金属ケイ酸ガラス、分相構造を有するアルカリ土類金属ケイ酸ガラス、分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ケイ酸ガラスにおける組成は、例えば、NBS(NaO−B−SiO)系、RO−SiO系(R=Li、Na、K)の分相構造の組成(状態)図については、「ガラス工学ハンドブック」(山根正之編集代表、朝倉書店(1999)、pp.192)等に記載されており、また、「Introduction to Ceramics」2nd edition,W.D.Kingery,H.K.Bowen,D.R.Uhlmann,John Wiley & Sons,Inc.,(1975)の下記の記載内容((a)〜(f))から選定あるいは類推して選定することも可能である。
(a)Na13−SiO系(NaO・4B−SiO系)(pp.113)
(b)RO−SiO系(R=Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Zn)(pp.118)
(c)RO−SiO系(R=Li、Na、K)(pp.119)
(d)BaO−Al−SiO系(pp.120)
(e)NaO−B−SiO系(pp.121)
(f)NaO−CaO−SiO系(pp.122)
分相構造の組成範囲は温度によって異なり、2成分系では温度が決まれば図から範囲を示すことができるが、NaO−B−SiO系等のような3成分系では、端成分を決めないと表現できない場合がある。例えば、上記した(a)はその一例で、端成分をNa13とSiOと決めれば、2成分系と同じ表現の図になるので、温度が決まれば図から範囲を決定することができる。他の3成分系も、同様にして端成分を決定する等により、範囲を決定することができる。
母ガラス中には、遷移金属イオンクラスタあるいは遷移金属クラスタができるだけ多く存在すれば、黄色〜橙色の暖色系発光を示すことになり、350〜400nm(例えば、365nm)で励起した場合における、550〜650nm(例えば、580nmを発光中心)での黄色〜橙色発光が、例えばブラックライト(中心波長365nm、4W)で励起した場合、目視で黄色〜橙色発光が確認できるレベルにあれば、十分な遷移金属イオンクラスタあるいは遷移金属クラスタが存在しているといえる。
なお、本発明に係る発光ガラスには、前記した金属クラスタまたは金属イオンクラスタ、及び母ガラスのほかに、第3の成分として、例えば、P等のガラス網目形成酸化物や、酸化スズ(SnO)(製造時の還元剤としても作用する)や、Al、TiO、ZnO、ZrO、Y、PbO、V等の中間酸化物を添加することができる。これらの第3成分は、その組成によってガラス網目(骨格)を形成したり、あるいはガラス網目を修飾したりすることにより、遷移金属イオンの価数や分相構造(分相組織)の大きさを制御できるという利点がある。これらの第3成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
(3)発光ガラスの製造:
本発明に係る発光ガラスは、分相構造を形成する所定の組成比の母ガラスに対応する化合物と、遷移金属イオンクラスタまたは遷移金属イオンクラスタに対応する遷移金属からなる化合物、例えば、当該遷移金属からなる酸化物(遷移金属が銅であれば、酸化銅(I)(CuO)や酸化銅(II)(CuO))、炭酸銅(CuCO)、硝酸銅(Cu(NO)、硫酸銅(CuSO)、塩化銅(I)(CuCl)、塩化銅(II)(CuCl等、銀であれば、硝酸銀(AgNO)、酸化銀(AgO)等)、及び必要により第3成分等の原料成分を乾式混合等により混合し、溶融急冷法(ガラスセラミックス法とも呼ばれる。)等の従来公知のガラス材料の製造方法でガラス化することにより簡便に得ることができ、具体的には、原料成分を乾式混合した後、加熱により原料成分を溶融状態として所定の時間保持した後、急冷すればよく、また、必要により、所定の形状に加工、鏡面研磨等の研磨等といった後処理を施すようにすればよい。
母ガラスの原料としては、アルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO)であれば、例えば、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)または炭酸カリウム(KCO)とホウ酸(HBO)及びシリカ(SiO)、アルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(R’O−B−SiO)であれば、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)または炭酸バリウム(BaCO)とホウ酸(HBO)及びシリカ(SiO)を使用すればよい。また、アルカリ金属−アルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(RO−R’O−B−SiO)であれば、例えば、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)のうち所望のものとホウ酸(HBO)及びシリカ(SiO)を使用すればよい。
アルカリ金属ケイ酸ガラス(RO−SiO)であれば、例えば、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)または炭酸カリウム(KCO)とシリカ(SiO)、アルカリ土類金属ケイ酸ガラス(R’O−SiO)であれば、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)または炭酸バリウム(BaCO)とシリカ(SiO)を使用すればよい。また、アルカリ金属−アルカリ土類金属ケイ酸ガラス(RO−R’O−SiO)であれば、例えば、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)のうち所望のものとシリカ(SiO)を使用すればよい。
溶融急冷法における溶融温度(加熱温度)及び溶融時間は、母ガラスの組成等により適宜決定することができるが、例えば、溶融温度(加熱温度)は、1200〜1700℃、溶融時間は、0.5〜2.0時間とすることができる。
母ガラスに対する遷移金属イオンクラスタ等に対応する金属からなる化合物の添加量は、母ガラスの組成や遷移金属クラスタ等の種類等により適宜決定することができるが、例えば、外割で概ね0.01〜2.0mol%の範囲内で、母ガラスの組成等に応じて適宜決定することが好ましい。添加量が少ないと、母ガラス中で必要量の金属イオンクラスタ等が形成されない場合があり、添加量が過大であると、不要なイオンやコロイド等が形成されやすくなり、ともに暖色系発光に悪影響を及ぼす場合がある。かかる化合物の添加量は、外割で概ね0.1〜1.0mol%の範囲内で、母ガラスの組成等に応じて適宜決定することが特に好ましい。
また、遷移金属イオン等の価数を保持し、Cuクラスタ等の遷移金属イオンクラスタや遷移金属クラスタを効率よく形成するためには、遷移金属イオン等の還元状態を維持する必要があるが、遷移金属イオンの還元状態を維持するためには、還元剤を添加することが好ましく、還元剤の添加により、還元状態の制御が容易に行われる。還元剤としては、例えば、酸化スズ(SnO)、金属ケイ素(Si)、スクロース等の糖、デキストリン糖のデンプン、炭素粉等を使用することができ、貧シリカガラス相中に選択的に入って、少量で還元が効率よく進行するという点で、酸化スズを使用することが好ましい。なお、酸化スズは、ガラス材料中でSn2+→Sn4+となることにより、還元剤としての機能を発揮する。
還元剤の添加量は、例えば、還元剤として酸化スズを用いる場合にあっては、添加量が少ないと、還元状態を良好に維持することが困難な場合がある一方、過剰に添加するとガラスの構造に悪影響を与えたり、ガラスが結晶化してしまう場合があるため、外割で概ね0.1〜10.0mol%程度の範囲内で、使用する化合物の種類や母ガラスの組成、必要とされる発光強度等に応じて適宜決定すればよく、外割で概ね0.5〜10.0mol%とすることが好ましく、0.5〜5.0mol%とすることがさらに好ましく、1.0〜5.0mol%の範囲内で決定することが特に好ましい。
なお、原料成分を乾式混合した後、溶融状態とする際に、電気炉等の加熱炉に窒素ガスや窒素希釈水素ガスを流通させて還元雰囲気を形成することで、金属イオンの還元状態を維持するようにしてもよい。また、窒素ガスや窒素希釈水素ガスの代わりに、一酸化炭素(CO)ガスを使用して、還元雰囲気を形成するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る発光ガラスは、母ガラスとして分相構造を有するホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスを用いているので、近紫外光の照射により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示す金属イオンクラスタあるいは金属クラスタが母ガラスに効率よくドープされ、発光ガラス相と保護ガラス相、及び光散乱の中心となるそれらの界面を、マイクロメートルからナノメートルスケールで複合化させることにより、励起波長及び発光波長の長波長化が実現でき、多重散乱効果により発光強度が高い、近紫外光の照射により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示す蛍光材料となる。加えて、汎用ガラス材料であるホウケイ酸ガラスあるいはケイ酸ガラスを構成材料としているので、紫外線等に対する長期耐候性、高熱に対する耐熱性を併せ持つ蛍光材料を低コストで提供可能とする。
本発明に係る発光ガラスは、前記したように、母ガラスとして分相構造を有するガラス材料を用い、これに遷移金属イオンクラスタ等をドープすることにより、多重散乱効果による発光強度が高い発光ガラスとなる。ここで、多重散乱効果により発光強度が向上する理由としては、ガラス中に特に励起波長である近紫外光を散乱しやすい数十〜数百nmの分相組織を形成することができる、照射される紫外光が分相組織により複数回散乱され効率的に金属イオンクラスタを励起することが可能となるためである。
本発明に係る発光ガラスは、発光素子と組み合わせて発光源とすることにより、発光装置として使用することができる。かかる発光装置は、暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を示し、発光強度が高く、耐候性及び耐熱性に優れるため、白熱電灯や蛍光灯に代替できる省エネルギー、省希少資源に対応した発光装置となる。
本発明に係る発光装置を構成する発光素子は、電気エネルギーを光に換える光電変換素子であり、具体的には、紫外−可視発光ダイオード等の発光ダイオード、レーザーダイオード、面発光レーザーダイオード、無機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子等を使用することができ、特に、半導体発光素子の高出力化の面からは、紫外−可視発光ダイオード等の発光ダイオードとすることが好ましい。また、発光源となる発光素子が放つ光の波長については、基本的には特に限定されるものではなく、本発明に係る発光ガラスを励起しうる波長範囲内であれば問題なく、例えば、330〜450nmとすることができる。
本発明に係る発光装置の構成としては、本発明に係る発光ガラスと発光素子を発光源として用いるものであれば特に限定されず、例えば、発光ガラスと発光素子とを発光源として用い、かかる発光ガラスが発光素子を覆うように、発光ガラスと発光素子とを組み合わせて構成するようにしてもよい。図2は、本発明に係る発光装置の一態様を示した概略図である。図2に示す本発明に係る発光装置1は、本発明に係る発光ガラス11と、発光ダイオード等からなる発光素子12とを発光源とし、サブマウント素子14の上に発光素子12を導通を維持した状態で搭載し、本発明に係る発光ガラス11によるパッケージによってかかる発光素子12を封止した構成による発光装置1(半導体発光素子)である。
一方、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記した図2に示した本発明に係る発光装置1の構成については、あくまでも一例であり、発光装置1がかかる構成に限定されるものではなく、本発明に係る発光ガラス11と、発光素子12とを発光源とする任意の構成を採用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造としてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等に何ら限定されるものではない。
[実施例1及び実施例2]
アルカリ金属ホウケイ酸ガラスを用いた発光ガラスの調製:
母ガラスとしてNaO−B−SiO(NBS系)を基本構成として、図1の状態図において分相構造を有すると考えられる2つの組成を選択した(6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%を母ガラスとする発光ガラスを実施例1、11.5NaO−44.0B−44.5SiOmol%を母ガラスとする発光ガラスを実施例2とした。順に、図1に丸数字1、丸数字2で示している。)。なお、添加した酸化銅(CuO)の添加量、及び還元剤の種類及び添加量(添加量はともに外割での値を示す。)はそれぞれの評価のところに載せた。
基本的な製造方法としては、炭酸ナトリウム(NaCO)、ホウ酸(HBO)、シリカ(SiO)を母ガラスの原料として所望のモル比になるように秤量し、これに酸化銅(CuO)及び還元剤(酸化スズ(SnO))を外割で所望の量添加したものを乾式混合して原料成分とした。この原料成分を、アルミナ製ルツボまたは白金製ルツボに入れ、電気炉内において1500℃で30〜60分加熱して溶融状態を保持した後、真鍮板状に流し出して急冷した。得られた粗ガラスをダイヤモンド切断機及び研磨機で加工して、本発明の発光ガラスのガラスサンプルを調製した。
[比較例1]
分相を生じない混合アルカリホウケイ酸系ガラス(15.0NaO−15.0KO−3.0Al−17.0B−50.0SiOmol%)を、母ガラスの原料として、所望のモル比の炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、アルミナ(Al)、ホウ酸(HBO)、シリカ(SiO)を用いて、前記した製造方法と同様な方法を用いて、比較例1の発光ガラスのガラスサンプルを調製した。
評価(1)(還元剤として酸化スズを選定した場合):
図3は実施例1の構成において、0.16mol%の酸化銅(CuO)を添加し、還元剤として1.6mol%の酸化スズ(SnO)(実施例1−A)を添加した場合の吸収スペクトルを示す。図3に示すように、還元剤として酸化スズを添加することにより、紫外側の吸収端が350nmを超えたところに見られ、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)及び酸化スズの吸収が存在することが考えられる。
さらに、実施例1−Aに白色光、中心波長254nm及び365nmの紫外光を照射した場合の外観写真を図4に、励起スペクトル及び発光スペクトルを図5に示す。図4に示すように、白色光の照射下では、実施例1−A(酸化スズ添加)は無色透明に見える。また、254nmの紫外光照射下では、実施例1−Aは、極めて弱い青色蛍光を示し、365nmの近紫外光照射下では、実施例1−Aではほぼ黄色蛍光のみを示した。
これらの結果は励起スペクトル及び蛍光スペクトルとも一致し、図5に示すように、実施例1−A(酸化スズ添加)のガラスサンプルは400nm〜800nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、銅イオン(Cu)による青色発光、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が混ざっていると考えられるが、実施例1−A(酸化スズ添加)では励起スペクトル、発光スペクトル共に長波長側にシフトしており、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が主になっていることが確認できた。
評価(2)(ガラス組成の影響):
分相構造を有するNaO−B−SiO系の母ガラスである実施例1及び実施例2、分相構造を有しない母ガラスである比較例1に、酸化銅0.5mol%、及び酸化スズ5.0mol%を還元剤として添加したガラスサンプルを調製した(順に実施例1、実施例2、比較例1とする。)。得られたガラスサンプルについて、ガラス組成と吸収スペクトルとの関係を図6、白色光照射、中心波長254nm及び365nmの紫外光照射におけるガラスサンプルの外観写真を図7に、ガラス組成と励起スペクトル及び発光スペクトルとの関係を図8にそれぞれ示す。
図6に示すように、分相構造を有しない混合アルカリホウケイ酸塩系ガラスを母ガラスとして用いた比較例1のガラスサンプルに比べて、分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラスを母ガラスとして用いた実施例1及び実施例2のガラスサンプルでは、励起波長、発光波長の長波長化が認められた。また、図7に示すように、白色光照射における外観は、いずれのガラスサンプルも透明である。そして、365nmの紫外光照射では、実施例1及び実施例2の発光ガラスサンプルでは黄色発光が顕著であることが確認できた。
以上の結果は、図8に示す励起スペクトル及び蛍光スペクトルとも一致し、いずれのガラスサンプルも400nm〜800nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示しているが、実施例1及び実施例2の発光ガラスサンプルでは、比較例1と比べて励起スペクトル、発光スペクトルともに長波長側にシフトしている。したがって、実施例1及び実施例2の分相ガラス試料で銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が主となっていることが確認できた。
評価(3)(添加する酸化銅の添加量の影響):
分相構造を有するNaO−B−SiO系の母ガラスである実施例1及び実施例2について、添加する酸化銅(CuO)の添加量を、実施例1について外割で0.1、0.3及び0.5mol%、実施例2について外割で0.1、0.3、0.5、1.0及び1.5mol%としてガラスサンプルを調製した。なお、還元剤は酸化スズ(SnO)を用いて、外割で5.0mol%添加した。)。
添加した酸化銅の添加量に対する実施例1及び実施例2のガラスサンプルの白色光照射、中心波長254nm及び365nmの紫外光照射における外観写真を図9(実施例1)及び図10(実施例2)に示す。図9及び図10に示すように、添加する酸化銅の添加量が多くなるにつれて黄色発光が強くなっていくことが確認できた。なお、実施例1のガラスサンプルでは添加量が0.5mol%、実施例2のガラスサンプルでは添加量が1.5mol%で銅コロイド(Cuコロイド)による赤色着色を示した。
また、黄色発光を示すと考えられる、波長強度を580nmとした場合における酸化銅の添加量に対する発光強度(黄色発光強度)の関係を図11に示す。図11に示すように、添加する酸化銅の添加量に応じて黄色発光強度が変化し、実施例1のガラスサンプルでは添加量が約0.2mol%、実施例2のガラスサンプルでは添加量が約0.3mol%で極大を示した。また、実施例1のガラスサンプルの方が実施例2のガラスサンプルより少量の酸化銅(Cuイオン)の添加で同レベルの黄色〜橙色発光を示すことが確認できた。
評価(4)(アルカリ金属の種類の影響)
本評価では、母ガラスの基本組成を、分相構造を有する領域内と考えられる前記した実施例1(6.6RO−28.3B−65.1SiOmol%を母ガラスとする発光ガラス)、実施例2(11.5RO−44.0B−44.5SiOmol%を母ガラスとする発光ガラス)、及び実施例3(15.0RO−57.0B−28.0SiOmol%を母ガラスとする発光ガラス)の3組成とし、アルカリ金属Rをナトリウム(Na)のほか、リチウム(Li)及びカリウム(K)とし、酸化銅の添加量を0.2mol%、還元剤である酸化スズの添加量を5.0mol%として添加して発光ガラスとして、9種類のガラスサンプルを調製した。
得られた9種類のガラスサンプルを、中心波長365nmの紫外光照射により励起した場合、いずれのガラスサンプルも黄白色〜黄色発光を示し、254nmを中心波長とした紫外光照射による励起では、青色発光が確認できたため、Li系、K系ガラス中でもNa系ガラスと同様に銅イオン(Cu)、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)の両方が存在し、後者が主になっていることが確認できた。
また、得られた9種類のガラスサンプルについて、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び最大発光波長をモニター波長とした励起スペクトルを図12(実施例1の組成)、図13(実施例2の組成)、図14(実施例3の組成)にそれぞれ示す。
図12〜図14に示すように、いずれのガラスサンプルも365nmの近紫外光励起では400nm〜800nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示した。ピークトップが600nm付近にあることから、Li系、K系ガラス中でもNa系ガラスと同様にCuによる青色発光、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が混在しており、後者が主になっていると考えられる。発光強度は、Li系ではRO−Bが多い組成になるにしたがって増大し、K系では逆に減少したが、Na系では大きな変化は認められなかった。また、RO−Bが多い組成の試料では、アルカリ金属の種類としてK、Na、Liの順で発光強度が高くなるのに対し、SiOが多い組成の試料ではアルカリ金属の種類による変化がないことがわかった。
評価(5)(添加する酸化銅の添加量の影響):
分相構造を有するNaO−B−SiO系の母ガラスである実施例1(6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%)について、添加する酸化銅(CuO)の添加量を、外割で0.1、0.2、0.3、0.4及び0.5mol%としてガラスサンプルを調製した。なお、還元剤は酸化スズ(SnO)を用いて、外割で5.0mol%添加した。
そして、添加した酸化銅の添加量に対する実施例1のガラスサンプルにおける、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを確認した。結果を図15(365nm)及び図16(254nm)に示す。また、図17は、添加する酸化銅(CuO)と発光強度の関係を示した図である。なお、発光強度は、中心波長が365nmの場合は600nm付近、254nmの場合は470nm付近におけるピークトップにおける値を採用した(以下、図22についても同じ。)。
図15に示すように、中心波長が365nmの近紫外光励起では、いずれも400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、ピークトップが580〜600nm付近にあり、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が確認できた。発光強度は、図17に示すように、酸化銅(CuO)の添加量が0.2mol%を超えてからはほぼ安定した。
なお、図16に示すように、中心波長を254nmとした励起では、365nmと同様に、いずれも400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、ピークトップが460〜480nm付近にあり、銅イオン(Cu)による青色発光が確認できた。発光強度は、図17に示すように、酸化銅(CuO)の添加量が0.2mol%を超えてから、酸化銅(CuO)の添加量が増えるについてやや弱くなる傾向にあった。
評価(6)(酸化スズ(SnO)の有無の検討):
分相構造を有するNaO−B−SiO系の母ガラスである実施例1(6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%)について、還元剤である酸化スズ(SnO)を添加しなかったガラスサンプルを調製した。遷移金属イオンクラスタ源として添加する酸化銅(CuO)の添加量は、外割で0.2mol%とした。なお、参照として、前記した母ガラスの構成で、酸化スズ(SnO)を外割で5.0mol%、遷移金属イオンクラスタ源として添加する酸化銅(CuO)の添加量は、外割で0.2mol%としたガラスサンプルも調製して、あわせて評価した。
そして、製造の際に酸化スズ(SnO)を添加しなかったガラスサンプルと、酸化スズ(SnO)を外割で5.0mol%、遷移金属イオンクラスタ源として添加する酸化銅(CuO)の添加量を外割で0.2mol%としたガラスサンプルについて、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを確認した。結果を図18(365nm)及び図19(254nm)に示す。
図18に示すように、中心波長が365nmの近紫外光励起では、製造の際に酸化スズ(SnO)を添加しなかったガラスサンプルは、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光も確認できたが、ピークが小さかった。
なお、図19に示すように、中心波長を254nmとした励起では、酸化スズを添加しないガラスサンプルは、400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、ピークトップが460〜480nm付近にあり、銅イオン(Cu)による青色発光が確認できた。
評価(7)(酸化スズ(SnO)の添加量の検討):
分相構造を有するNaO−B−SiO系の母ガラスである実施例1(6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%)について、製造の際に使用する還元剤である酸化スズ(SnO)の添加量を外割で1.0、3.0、5.0及び7.0mol%として、ガラスサンプルを調製した。なお、遷移金属イオンクラスタ源として添加する酸化銅(CuO)の添加量は、外割で0.2mol%とした。
そして、製造の際に還元剤として添加する酸化スズ(SnO)の添加量を変化させた実施例1のガラスサンプルについて、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを確認した。結果を図20(365nm)及び図21(254nm)に示す。また、図22は添加する酸化スズ(SnO)と発光強度の関係を示した図である。
図20に示すように、中心波長が365nmの近紫外光励起では、酸化スズを添加したいずれのガラスサンプルも400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、ピークトップが580〜600nm付近にあり、銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が確認できた。発光強度は、図22に示すように、酸化スズの添加量が増えるにつれて、若干ではあるが大きくなる傾向にあった。
なお、図21に示すように、中心波長を254nmとした励起では、365nmと同様に、いずれも400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、ピークトップが460〜480nm付近にあり、銅イオン(Cu)による青色発光が確認できた。発光強度は、図22に示すように、酸化スズの添加量が増えるにつれて小さくなった。
評価(8)(遷移金属イオンクラスタとの関係):
分相構造を有するNaO−B−SiO系の母ガラスである実施例1(6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%)について、遷移金属イオンクラスタ源として添加する化合物の種類として、酸化銅の代わりに硝酸銀(AgNO/遷移金属イオンクラスタ=Agイオンクラスタ)(後記する図23及び図24における「イ」)、二酸化マンガン(MnO)(遷移金属イオンクラスタ=Mn2+イオンクラスタ)(同「ロ」)、酸化銀(AgO)(遷移金属イオンクラスタ=Agイオンクラスタ)(同「ハ」)、酸化クロム(Cr)(遷移金属イオンクラスタ=Cr3+イオンクラスタ)(同「ニ」)としてガラスサンプルを調製した。なお、添加する化合物の添加量は、外割で0.2mol%とし、還元剤としては酸化スズ(SnO)を使用し、外割で5.0mol%添加した。
そして、遷移金属イオンクラスタ源として添加する化合物の種類に対する実施例1のガラスサンプルにおける、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを確認した。結果を図23(365nm)及び図24(254nm)に示す。
図23に示すように、中心波長が365nmの近紫外光励起では、遷移金属イオンクラスタ源として硝酸銀(AgNO/遷移金属イオンクラスタ=Ag)、酸化銀(AgO)(遷移金属イオンクラスタ=Ag)を使用した、遷移金属イオンクラスタがAgイオンクラスタとしたガラスサンプルは、400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、銀イオンクラスタ(Agクラスタ)による黄色〜橙色発光と考えられる500〜700nmの発光が確認できた。
なお、図24に示すように、中心波長を254nmとした励起では、400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示し、ピークトップが460〜480nm付近にあり、銀イオン(Ag)等による青色発光が確認できた。
[実施例3ないし実施例5]
ケイ酸ガラスを用いた発光ガラスの調製:
母ガラスとしてNaO−SiO(NS系)を基本構成として、分相構造を有すると考えられる3つの組成を選択した(15.0NaO−85.0SiOmol%を母ガラスとする発光ガラスを実施例3(後記する図25及び図26における「ホ」)、20.0NaO−80.0SiOmol%を母ガラスとする発光ガラスを実施例4(同「ヘ」)、30.0NaO−70.0SiOmol%を母ガラスとする発光ガラスを実施例5(同「ト」)とした。)。なお、添加した酸化銅(CuO)の添加量は外割で0.2molとして、還元剤としては外割で5.0mol%の酸化スズ(SnO)を用いた。
基本的な製造方法としては、炭酸ナトリウム(NaCO)、シリカ(SiO)を母ガラスの原料として所望のモル比になるように秤量し、これに酸化銅(CuO)を外割で0.2mol%、還元剤(酸化スズ(SnO))を外割で5.0mol%添加したものを乾式混合して原料成分とした。この原料成分を、アルミナ製ルツボまたは白金製ルツボに入れ、電気炉内において1500℃で30〜60分加熱して溶融状態を保持した後、真鍮板状に流し出して急冷した。得られた粗ガラスをダイヤモンド切断機及び研磨機で加工して、本発明の発光ガラスのガラスサンプルを調製した。
評価(9)(母ガラスをケイ酸ガラスとした場合):
前記の実施例3ないし実施例5のガラスサンプルについて、波長365nmの近紫外光励起による蛍光スペクトル及び254nmの紫外光励起による蛍光スペクトルを確認した。結果を図25(365nm)及び図26(254nm)に示す。なお、参照として、前記した実施例1で使用した母ガラスの組成(6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%)として、遷移金属イオンクラスタ源として酸化銅(CuO)を外割で0.2mol%、還元剤として酸化スズ(SnO)を外割で5.0mol%添加したガラスサンプル(図25及び図26における「チ」)を同様に評価した。
図25に示すように、実施例3ないし実施例5のガラスサンプルについて、中心波長が365nmの近紫外光励起では、いずれも400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示した。銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)による黄色〜橙色発光が確認できたが、母ガラスとしての組成を6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%としたものよりピークトップが少し短波長側にシフトしており、わずかに白っぽい黄色〜橙色発光が確認された。発光強度は、母ガラス中のNaOの含有量が増えるにつれて(SiOの含有量が減るにつれて)強くなった。
なお、図26に示すように、中心波長を254nmとした励起では、365nmと同様に、いずれも400nm〜700nm発光の可視光全域にわたる幅広い発光を示した。銅イオン(Cu)による青色発光が確認できたが、母ガラスとしての組成を6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%としたものよりピークトップが少し長波長側にシフトしており、わずかに白っぽい青色発光が確認された。発光強度は、母ガラス中のNaOの含有量が増えるにつれて(SiOの含有量が減るにつれて)弱くなり、どれも母ガラスとしての組成を6.6NaO−28.3B−65.1SiOmol%としたものより強かった。
本発明は、近紫外光の照射により暖色系(黄色〜橙色)の白色発光を高い発光強度で示し、白熱電灯や蛍光灯に代替できる省エネルギー、省希少資源に対応した新規な蛍光材料を提供する技術として有利に使用することができる。
1 …… 発光装置
11 …… 発光ガラス
12 …… 発光素子
14 …… サブマウント素子

Claims (10)

  1. 下記(1)〜(3)の少なくとも1種からなる分相構造を有するホウケイ酸ガラスを母ガラスとし、当該母ガラスが銅(Cu)、金(Au)及び銀(Ag)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を構成金属とする遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属クラスタを含むことを特徴とする発光ガラス。
    (1)分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO
    (2)分相構造を有するアルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(R’O−B−SiO
    (3)分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ホウケイ酸ガラス(RO−R’O−B−SiO
    (上記(1)〜(3)において、Rはアルカリ金属、R’はアルカリ土類金属、をそれぞ
    れ示す。)
  2. 下記(4)〜(6)の少なくとも1種からなる分相構造を有するケイ酸ガラスを母ガラスとし、当該母ガラスが銅(Cu)、金(Au)及び銀(Ag)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を構成金属とする遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属クラスタを含むことを特徴とする発光ガラス。
    (4)分相構造を有するアルカリ金属ケイ酸ガラス(RO−SiO
    (5)分相構造を有するアルカリ土類金属ケイ酸ガラス(R’O−SiO
    (6)分相構造を有するアルカリ金属−アルカリ土類金属ケイ酸ガラス(RO−R’O−SiO
    (上記(4)〜(6)において、Rはアルカリ金属、R’はアルカリ土類金属、をそれぞれ示す。)
  3. 前記遷移金属イオンクラスタが銅イオンクラスタ(Cuクラスタ)であり、前記母ガ
    ラスが分相構造を有するアルカリ金属ホウケイ酸ガラス(RO−B−SiO
    であることを特徴とする請求項1に記載の発光ガラス。
  4. 前記アルカリ金属ホウケイ酸ガラスを構成するアルカリ金属がナトリウム(Na)であ
    ることを特徴とする請求項3に記載の発光ガラス。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発光ガラスと、発光素子とを発光源として
    備えたことを特徴とする発光装置。
  6. 前記発光素子が発光ダイオードであることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
  7. 前記請求項1に記載の発光ガラスを製造する方法であって、
    母ガラスとなる、前記(1)〜(3)の少なくとも1種からなる分相構造を有するホウケイ酸ガラスに対応する化合物と、
    前記遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属イオンクラスタに対応する遷移金属からなる化合物と、
    を含む原料成分を乾式混合し、溶融急冷することを特徴とする発光ガラスの製造方法。
  8. 前記請求項2に記載の発光ガラスを製造する方法であって、
    母ガラスとなる、前記(4)〜(6)の少なくとも1種からなる分相構造を有するケイ酸ガラスに対応する化合物と、
    前記遷移金属イオンクラスタ及び/または遷移金属イオンクラスタに対応する遷移金属からなる化合物と、
    を含む原料成分を乾式混合し、溶融急冷することを特徴とする発光ガラスの製造方法。
  9. 還元剤として酸化スズ(SnO)をさらに含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の発光ガラスの製造方法。
  10. 前記酸化スズ(SnO)の添加量が、外割で0.1〜10.0mol%であることを特徴とする請求項9に記載の発光ガラスの製造方法。
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