JP5568846B2 - ポリエステル樹脂の製造方法、及びこのポリエステル樹脂から成る成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂の製造方法に関するもので、より詳細には、耐熱性容器の製造に適した固有粘度を有しながら、アセトアルデヒドやオリゴマーが低減されたポリエステル樹脂の製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂から成る容器は、透明性、機械的強度等の特性に優れていることから、飲料、油、調味料等の容器として広く用いられているが、充填する内容物や、充填方法或いは殺菌処理の有無等によってポリエステル容器が具備すべき性能は異なっており、例えば、二軸延伸ブロー成形ボトルにおいては、耐熱性ボトル、耐圧性ボトル、耐熱圧性ボトル、或いはアセプティック充填用ボトル等のポリエステル容器が知られている。
一般に液相重合により製造されたポリエステル樹脂中にはアセトアルデヒド等の低分子量成分や環状三量体等のオリゴマーが含有されており、これらの物質を含んだ状態のポリエステル樹脂を用いて容器の成形を行うと、成形時にポリエステル樹脂中のオリゴマーが析出して金型表面に付着して、肌荒れによる透明性低下の原因になったり、或いは頻繁な金型の清掃が必要になる等の問題があった。また成形された容器中にアセトアルデヒドが多量に存在すると、内容物に移行し内容物の風味を損なうという問題もあった。
このような問題を解決するため、ポリエステル樹脂中の環状三量体等のオリゴマーやアセトアルデヒドを低減させるべく、液相重合により製造されたポリエステル樹脂を更に固相重合に付することが従来から行われている
(特許文献1)。
一般に固相重合に付されたポリエステル樹脂は、アセトアルデヒドや環状三量体等の低分子量成分が低減されている一方、固有粘度が高く、樹脂の結晶化速度が遅いという特徴を有している。
米国特許第4064112号公報
しかしながら、一般にポリエステル樹脂は耐熱性に劣るため、耐熱性容器の成形においては、口部を熱結晶化すると共に賦形後ヒートセット(熱固定)に付することにより、ポリエステル樹脂の結晶化度を上げて耐熱性を向上させる必要があるが、結晶化速度が遅いポリエステル樹脂ではかかる口部の熱結晶化やヒートセットを効率的に行うことができない。従って、耐熱性容器においては、上述したような固相重合により固有粘度が上昇したポリエステル樹脂をそのまま用いても効率よく製造することができなかったことから、特定の触媒や結晶核剤を用いる等、特別な方法によって製造された高価なポリエステル樹脂の使用が余儀なくされていた。
従って本発明の目的は、アセトアルデヒド等の低分子量成分が低減されていると共に、耐熱性容器の成形に有効に使用可能なポリエステル樹脂の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、経済性、生産性に優れた耐熱性容器を提供することである。
本発明の更に他の目的は、アセトアルデヒド等の低分子量成分が低減され、内容物の風味保持性に顕著に優れたアセプティック充填用容器を提供することである。
本発明によれば、ポリエステル容器の成形に用いられるエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂の製造方法において、液相重合及び固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂を調製し、次いで該ポリエステル樹脂に120乃至150℃の熱水を1乃至8時間接触させて加水分解処理を行うことにより、ポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%の範囲で低下させ、低下後の固有粘度を0.65乃至0.85dl/gとすることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法が提供される。
本発明によればまた、ポリエステル容器の成形に用いられるエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂の製造方法において、液相重合及び固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂を調製し、次いで該ポリエステル樹脂に120乃至150℃の熱水を1乃至8時間接触させて加水分解処理を行うことにより、ポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%の範囲で低下させ、低下後の固有粘度を0.3乃至0.65dl/gとし、固有粘度低下処理前のポリエステル樹脂をブレンドすることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法が提供される。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、
1.固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度が15乃至50eq/tonであること、
2.ポリエステル樹脂の低下後の固有粘度が0.65乃至0.85dl/gであること、
が好適である。
本発明によればまた、上記方法で製造されたポリエステル樹脂を用いて成形されたポリエステル容器の成形体、例えば、ボトル、カップ、トレイ等の容器の他、カップ、トレイの場合はシートやブランク、二軸延伸ブローボトルの場合はプリフォーム等の前駆体が提供される。
本発明においては更に、耐熱性容器或いはアセトアルデヒド濃度が10ppm以下のアセプティック充填用容器が提供される。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、アセトアルデヒド等の低分子量成分を低減可能であると共に、耐熱性容器への成形に適した結晶化速度を有するポリエステル樹脂を製造することができる。
また本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、通常のポリエステル樹脂の重合によって得られたポリエステル樹脂を、耐熱性容器への成形に利用可能なポリエステル樹脂にすることができ、経済性、生産性よく耐熱性容器を製造することができる。
更に本発明の製造方法により得られたポリエステル樹脂は、成形体への成形に際してアセトアルデヒド濃度の増加が抑制されているため、成形体中のアセトアルデヒド濃度を10ppm以下に低減することが可能であり、アセプティック充填用容器として好適に使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、液相重合及び固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂を調製し、次いで該ポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%の範囲で低下させることが重要な特徴である。
容器の製造に用いられるポリエステル樹脂は、一般に液相重合、及び必要により固相重合を経て製造されるが、液相重合及び固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲となるように調製されたポリエステル樹脂は、風味低下の原因となるアセトアルデヒド等の低分子量成分や、成形時の金型汚れの原因となる環状三量体等のオリゴマーは充分に低減されている一方、固有粘度が高く結晶化速度が遅いため、耐熱性容器の製造には向かない。
本発明においては、オリゴマーや低分子量成分の含有量は固相重合後の状態を維持しつつ、固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%の範囲で低減させることにより、耐熱性容器の成形に適した結晶化速度を有するポリエステル樹脂に調製することが可能になることを見出したのである。
尚、固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂は、固相重合により経済性、生産性を満足しつつ適度にアセトアルデヒドや環状三量体の量が低減され、一般に飲料用容器に使用することが可能なポリエステル樹脂である。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、オリゴマーや低分子量成分の含有量が低減された状態を維持しながら、固有粘度0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂の固有粘度を上記範囲に低減させる方法としては、ポリエステル樹脂を加水分解させることにより行うことが望ましい。
すなわち、一般にポリエステル樹脂の固有粘度を低下させる方法としては、ペレット化されたポリエステル樹脂を再溶融するだけでも固有粘度は低下するが、その場合には、アセトアルデヒド等の低分子量成分や環状三量体等のオリゴマーが増加するおそれがあるが、加水分解による場合には、固相重合を経たポリエステル樹脂が有するアセトアルデヒド等の低分子量成分或いは環状三量体等のオリゴマーの量を増大させることなく、固有粘度のみを低下させることが可能となるのである。
また本発明においては、低下後の固有粘度の範囲が0.65乃至0.85dl/gの範囲にあることが好ましく、これにより、耐熱性容器の製造に適した結晶化速度を得ることが可能となるのである。
本発明のこのような特徴は後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、固相重合後の固有粘度が0.8dl/g未満のポリエステルを加水分解処理しても、アセトアルデヒドが低減されておらず (比較例7)、またペレットを溶融することにより固有粘度を低下させた場合には、アセトアルデヒドが増加している(比較例2、10)。また固有粘度の低下率が5%未満の場合には、結晶化速度が遅く、耐熱性容器を生産性よく成形することができず(比較例3、4、6、8)、一方、低下後の固有粘度が0.65dl/g未満の場合には、結晶化速度が速すぎ、これを用いて成形された容器は透明性に劣っている (比較例5)。また固相重合後の固有粘度が0.65乃至0.85dl/gの範囲にあるポリエステルであっても、耐熱用途専用に調整されたものでなければ、固有粘度を低下させずに使用すると結晶化速度が不十分であったり(比較例1)、アセプ充填用途に調整されたものでなければ風味保持性に劣る場合がある(比較例9)。
これに対して本発明の製造方法により製造されたポリエステル樹脂は、耐熱性、成形性、透明性、風味保持性の全ての特性に優れており、耐熱性容器の製造に適したポリエステル樹脂を調製することが可能となった(実施例1〜11)。
また本発明の製造方法により得られたポリエステル樹脂は、固相重合後に加水分解処理に施され、その固有粘度が低減されていることから、ポリエステル容器への成形に際してのストレスが小さく、容器等の成形時のアセトアルデヒドの増加を有効に抑制することができる。
ポリエステル容器の中でもアセプティック充填用ボトルは、内容物及び容器の両方を予め滅菌した状態で無菌状態で充填処理されるものであるため、一般に耐熱性が必要とされないが、内容物として水や茶飲料等、特に容器の風味保持性が要求される内容物が充填されることが多い。本発明の製造方法により得られたポリエステル樹脂から成る容器は、上述したように内容物の風味低下の原因となるアセトアルデヒドが低減され、且つ成形時のアセトアルデヒドの副生も抑制されているため、特にアセトアルデヒド濃度が10ppm以下、特に8ppm以下に低減されているアセプティック充填用容器を提供することが可能となるのである。
このことは後述する実施例の結果からも明らかであり、本発明の製造方法により調製されたポリエステル樹脂から成るポリエステル容器は、アセトアルデヒド濃度が10ppm以下であり、風味保持性に優れていることが明らかである(実施例12〜13)。
(ポリエステル樹脂の調製)
本発明方法により固有粘度の低下処理に付されるポリエステル樹脂は、必ずしもこれに限定されるものではないが、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを主体とする原料を、触媒の存在下に液相重合及び固相重合させることにより得られたものであることが好ましい。
経済的なポリエチレンテレフタレートの合成は、高純度テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)とを直接反応させてポリエチレンテレフタレート(PET)を合成する方法であり、通常二つの工程に分けられており、(A)TPAとEGとを反応させて、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)オリゴマーを合成する工程、(B)BHTオリゴマーからエチレングリコールを留去して重縮合を行う工程から成っている。
BHTオリゴマーの合成はそれ自体公知の条件で行うことができ、例えばTPAに対するEGの量を1.0乃至1.5モル倍として、EGの沸点以上、例えば240乃至280℃の温度に加熱して、1乃至5kg/cmの加圧下に、水を系外に留去しながら、エステル化を行う。この場合、TPA自体が触媒となるので、通常触媒は必要ないが、それ自体公知のエステル化触媒を用いることもできる。
第二段階の重縮合工程では、第一段階で得られたBHTオリゴマーにそれ自体公知の重縮合触媒を加えた後、反応系を260〜290℃に保ちながら徐々に圧力を低下させ、最終的に1〜3mmHgの減圧下に撹拌し、生成するEGを系外に留去しながら、反応を進行させる。反応系の粘度によって分子量を検出し、所定の値に達したら、系外に吐出させ、冷却後チップとする。
重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アンチモン化合物、アルミニウム化合物等、従来公知の触媒を使用できるが、特にチタン化合物を用いることが好ましい。
エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂は、エステル反復単位の50%以上を占めるものであり、一般に70モル%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフタレート単位が占めるものであることが好ましい。
ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱性の点で特に好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
液相重合で得られたポリエステルは、一般に0.5乃至0.75dl/gの固有粘度を有する。次いで、このポリエステルをペレタイズして固相重合を行うが、固相重合に先立って、このペレットをポリエステルの結晶化温度に加熱して、ポリエステルの予備結晶化を行わせることもできる。
このポリエステルの結晶化に伴い内部に含有される環状三量体は外部にはみだし、環状三量体含有量は減少する。この結晶化は、一般に160乃至200℃の範囲が適当であり、また処理時間は2乃至240分間が適当である。ポリエステルペレットの結晶化のための熱処理は、例えば加熱窒素ガス等の加熱不活性ガスを用いて、流動床または固定床で行うことができ、また真空加熱炉内で行うこともできる。予備結晶化後ペレットを180乃至220℃の温度で30乃至240分間乾燥及び予熱した後、固相重合に付する。
固相重合に際しては、液相重合の場合とは異なり、固有粘度の増大に伴って、環状三量体含有量の低下を生じる。また、一般に固相重合温度の上昇に伴って環状三量体含有量が低下し、重合時間の増大に伴って環状三量体含有量が低下する。固相重合は、一般に200乃至230℃の温度で8乃至20時間行うことが望ましい。
本発明においては、固相重合により得られたポリエステル樹脂は、固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲にあり、環状三量体の含有量が0.3乃至0.6wt%、アセトアルデヒド濃度が1ppm以下であることが好ましい。
また本発明においては、固相重合後のポリエステル樹脂が、末端カルボキシル基濃度が15乃至50eq/ton、特に20乃至45eq/tonの範囲にあるポリエステル樹脂であることが望ましい。上記範囲よりも末端カルボキシル基濃度が小さい場合には、次いで行う加水分解処理で効率よく固有粘度を低下させることができず、一方上記範囲よりも末端カルボキシル基濃度が大きい場合には、末端分解によりアセトアルデヒド等の副生物が生成してしまうおそれがあるので好ましくない。
末端カルボキシル基濃度を上記範囲に調整するため、液相重合における仕込量において、EG/TPA比(モル比)を1に近づけることで末端カルボキシル基濃度を大きくすることが出来、逆にEG/TPA比を1より大きくすることで末端カルボキシル基濃度を小さくすることが出来る。
(固有粘度低下処理)
固相重合により得られた固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%、特に5乃至20%の範囲で低下させる処理としては、加水分解処理によることが好適である。加水分解処理は、ポリエステル樹脂を水と接触させ、ポリエステル樹脂を加水分解させて固有粘度を低下し得る限り、処理の方法は問わないが、100乃至160℃、好適には120乃至150℃の熱水中にポリエステル樹脂ペレットを1乃至8時間浸漬させることにより行うことが望ましい。具体的には、ポリエステル樹脂を水道水、工業用水、純水のいずれか1種類以上からなる水源を利用して浸漬し、オートクレーブ、レトルト釜等の加圧加熱処理装置を用いて所定時間処理した後、大気圧下の状態に戻して、通常の乾燥工程に供する。
加水分解処理後、ペレットの脱水処理を行い、次いで80乃至180℃の温度下で0.1乃至24時間乾燥処理を行うことによって、耐熱性容器の製造に適したポリエステル樹脂に調製される。尚、本発明においては、加水分解後のポリエステル樹脂の固有粘度は、0.65乃至0.85dl/gの範囲にあることが、成形性、透明性の点で特に好適である。
このポリエステル樹脂は、アセトアルデヒド等の低分子量成分や、環状三量体などのオリゴマーが低減され、透明性、風味保持性等の優れた特性を有していると共に、耐熱性容器の製造に適した結晶化速度を有しているため、耐熱性容器の成形に際して効率的に成形することができ。また容器成形に際してアセトアルデヒド濃度の増加を抑制可能な固有粘度を有しているため、このポリエステル樹脂から成る成形体はアセトアルデヒド量が10ppm以下と優れた風味保持性を有している。
本発明のポリエステル樹脂は、これに限定されるものではないが、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃で、融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃にあることが好適である。
本発明方法により調製されたポリエステル樹脂は、ダイレクトブロー成形、二軸延伸ブロー成形等によるボトル成形、或いは真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等によるカップやトレイの成形に好適に使用することができる。
すなわち、二軸延伸ブロー成形における耐熱性容器の製造方法においては、容器口部の熱変形を防止するため、口部を熱結晶化させ、熱固定(ヒートセット)に付される。またダイレクトブロー成形や真空成形等の熱成形においても、熱による変形や容積の収縮変形を防止するため、容器の成形後に熱固定(ヒート・セット)することが行われているが、本発明によるポリエステル樹脂においては効率よく成形することができる。
なおアセプティック充填用容器の製造においては、前述したように耐熱性は必須ではないので一般に口部熱結晶化や熱固定は施されないが、容器殺菌の手法(熱水殺菌など)や販売形態(ホットウォーマー販売など)等の都合に応じて適宜行ってもよい。
尚、本発明方法により調製されたポリエステル樹脂から成る成形体とは、ボトルやカップ、或いはトレイ等の最終成形品は勿論、例えば容器がカップ、トレイの場合はシートやブランク、二軸延伸ブローボトルの場合はプリフォーム等の前駆体も含むものである。
本発明方法により調製されたポリエステル樹脂から、容器もしくはプリフォーム等の容器の前駆体を成形する際には、本発明方法により調製されたポリエステル樹脂を単独で用いるだけでなく、本発明方法により調製されたポリエステル樹脂に、固有粘度低下処理前のポリエステル樹脂をブレンドして用いることもできる。この場合、処理後の樹脂の固有粘度を0.3乃至0.65dl/g、好適には0.4乃至0.6dl/gとし、処理前の樹脂に1〜50重量%ブレンドするのがよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
1.[固有粘度の測定]
ポリエステル樹脂のペレット(比較例1,2ではプリフォーム)を冷凍粉砕して140℃15分間乾燥した後、0.20g計量し、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール(1/1)(重量比)の混合溶媒を20ml用いて120℃で15分間撹拌して完全に溶解して室温まで冷却した後グラスフィルターを通して試料とする。25℃に温調されたウベローデ粘度計((株)離合社製)を用いて試料および溶媒の落下時間を計測し、次式により固有粘度[η]を求めた。
[η]=(−1+√(1+4K’ηSp))/2K’C
ηSp=(τ−τ)τ
ここで、
[η]:固有粘度(dl/g)
ηSp:比粘度(−)
K’:ハギンスの恒数(=0.33)
C:濃度(=1g/dl)
τ:試料の落下時間(sec)
τ:溶媒の落下時間(sec)
2.[末端カルボキシル基の測定]
ポリエステル樹脂のペレットを冷凍粉砕して140℃15分間乾燥した後、0.10g計量し、ベンジルアルコールを3ml用いて窒素吹き込み下、205℃3分間で溶解させる。室温まで冷却後、クロロホルム5mlを加えフェノールレッド指示薬を滴下し、0.1N NaOHにて滴定して末端カルボキシル基〔COOH〕を求める。末端カルボキシル基〔COOH〕は1×10g当たりのカルボキシル基濃度(eq/ton)である。末端カルボキシル基〔COOH〕は下記式から算出した。
Figure 0005568846
A:サンプル滴定量(μl)
B:ブランク滴定量(μl)
F:0.1NNaOHのfactor(力価)
W:サンプル重量(g)
3.[加水分解処理]
オートクレーブを用いてポリエステル樹脂を各実施例、比較例に記した設定温度・設定時間で加水分解処理した。
加水分解処理条件は、液温20℃から加温処理を開始し、15分間で液温が設定温度および所定圧力(一例として液温125℃及びオートクレーブ内圧0.240MPa)になるように制御(時間比例制御)し、設定時間処理後、15分間で液温20℃及び内圧が大気圧になるように制御する。
4.[耐熱性ボトル成形]
(1)プリフォーム成形
150℃4時間乾燥したポリエステル樹脂をホッパーへ供給し、成形温度としてバレルの設定温度が280℃に設定された射出成形機を用いて28g500ml用耐熱型プリフォームを作成した。このとき金型温度は15℃に設定し、成形サイクルを33秒とした。
(2)口部結晶化方法
射出成形機を用いて作製したプリフォームを、40秒間で室温から150℃に昇温し、その後30秒間で180℃に昇温後、さらに30秒間180℃保持するように設定された加熱結晶化装置で口部を熱結晶化させた。
(3)ブロー成形
口部結晶化されたプリフォームを赤外線加熱で18秒間加熱し、105℃の延伸温度に達した後ブロー金型内に挿入した。ブロー金型内に設置されたプリフォームを、ストレッチロッドにより縦方向延伸すると共にエアブローにより横方向延伸することで二軸延伸ボトルを成形した。この時、ブローエアーは28℃に調整し、プレブロー圧は0.9MPa、メインブロー圧は3.7MPaに設定した。また、金型温度は150℃に設定し熱固定した。
5.[アセプティック充填用ボトル成形]
(1)プリフォーム成形
150℃4時間乾燥したポリエステル樹脂をホッパーへ供給し、成形温度としてバレルの設定温度が280℃に設定された射出成形機を用いて25g500ml用アセプティック充填用容器型プリフォームを作成した。このとき金型温度は15℃に設定し、成形サイクルを30秒とした。
(2)ボトル成形
プリフォームを赤外線加熱で15〜16秒間加熱し、105℃の延伸温度に達した後ブロー金型内に挿入した。ブロー金型内に設置されたプリフォームを、ストレッチロッドにより縦方向延伸すると共にエアブローにより横方向延伸することで二軸延伸ボトルを成形した。この時、ブローエアーは28℃に調整し、プレブロー圧は1.4MPa、メインブロー圧は3.2MPaに設定した。
6.[評価、測定]
(1)プリフォームの白化状態の評価
前記作成したプリフォームの白化状態を目視で観察した。射出成形時の白化現象は種々の要因で発生するが、主な要因としては、樹脂の結晶化速度が過度に速いことによって厚肉部の結晶化が進行することで、球晶が生成することによる白化現象と、溶融粘度が高いことによる過度の流動配向が原因である白化現象が存在する。いずれの場合もプリフォームの光線透過率の低下、すなわち透明性が低下することが判断材料となる。プリフォームの透明性に優れるものから、○、△、×、とした。
(2)アセトアルデヒド濃度の測定
成形したプリフォームを切り出し、凍結粉砕した後1gをバイアル瓶に精秤し、超純水5mlを加えて蓋をした。超純水と試料を良く振り混ぜてから、あらかじめ120℃に設定した電気オーブンにて60分加熱した。加熱後、氷冷して静置し、上澄みを1ml取り出して、0.1%2,4−ジニトロフェニルヒドラジン・リン酸0.2mlを加えてキャップを閉め、30分以上室温で放置した。高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製・高速液体クロマトグラフィーシステム:CCP&8020システム、カラム:Inertsil ODS−2 2.1mm×150mm、検知器:UV、360nm、溶媒:蒸留水:アセトニトリル=0.47:0.53混合溶媒、注入量:15μL)を用いて、得られた試料溶液中のアセトアルデヒド濃度(ppm)を測定した。
(3)[ボトル口部結晶化状態の評価]
耐熱性ボトルの口部ネックリング部の結晶化度を密度法によって評価し、結晶化度が25%以上30%未満のものを○、結晶化度が20%以上25%未満あるいは30%以上35%未満のものを△、結晶化度が20%未満あるいは35%以上のものを×とした。
(4)[ボトル耐熱性の評価]
ブロー成形された耐熱性ボトルに、85℃の熱水を充填し室温まで放置した。充填前後の内容積変化を測定し、内容積変化が2%以下のものを○、2%〜5%のものを△、5%以上のものを×とした。
(5)[ボトルフレーバー特性の官能評価]
ブロー成形されたアセプティック充填用ボトルにあらかじめ無味無臭であることを確認した蒸留水を充填し、65℃で30分間殺菌処理を行った。殺菌処理後、37℃で1ヶ月間保管したものについて、10人のパネラーによる評点法フレーバー試験を実施し、無味あるいはわずかに味がするものを○、味がするものを△、かなり味がするものを×とした。
[実施例1]
高純度テレフタル酸13kg、エチレングリコール4.93kg、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド20%水溶液6.88gをオートクレーブに仕込み、圧力1.7kg/cm、260℃の窒素雰囲気下にて6時間、撹拌しながら反応させた。この反応により生成した水は常時系外に留去した。次にテトラ−n−ブチルチタネート201gを反応系に加え、20分間撹拌した後、85%リン酸1.26gを加えた。1時間かけて280℃まで昇温し、系内を2torrまで減圧し、さらに50分反応させ、エチレングリコールを系外に留去した。
反応終了後、反応物を反応器外にストランド状に抜き出し、水中に浸漬、冷却した後、ストランドカッターによりチップ状に裁断した。以上の液相重合によって得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.64dl/gであり、COOH基濃度は35eq/tonであった。
このように液相重合して得られたポリエチレンテレフタレートはさらに、窒素雰囲気下170℃、2時間で乾燥するとともに結晶化を行った後、バッチ式固相重合装置で、窒素流量をポリエチレンテレフタレート1kgに対して、22Nm/hrとし、窒素雰囲気下215℃で12時間固相重合を行った。このようにして得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.84dl/gであり、末端カルボキシル基濃度は30eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で2時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.77dl/gであった。得られた樹脂を用いて上述した4(1)の方法に従って射出成形を行ってプリフォームを作製し、このプリフォームを上述した4(2)の方法に従って口部を熱結晶化し、更にこのプリフォームを上述した4(3)の方法に従って2軸延伸ブロー成形して耐熱性ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.72dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
エチレングリコールの仕込量を5.10kgとし、固相重合時間を10時間とした他は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお液相重合時点の固有粘度は0.65dl/g、COOH基濃度は22eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.84dl/g、末端カルボキシル基濃度は18eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.79dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を127℃で8時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.76dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を150℃で1時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.79dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を150℃で3時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.68dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例7]
エチレングリコールの仕込量を4.96gとし、重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート201gの代わりに酢酸アンチモン252gを用い、固相重合時間を10時間とし、その他の製造要件は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお、液相重合時点の固有粘度は0.65dl/g、COOH基濃度は30eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.85dl/g、末端カルボキシル基濃度は26eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.78dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォームおよびボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例8]
重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート201gの代わりに二酸化ゲルマニウム105gを用いた他は実施例3と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお、液相重合時点の固有粘度は0.65dl/g、COOH基濃度は22eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.84dl/g、末端カルボキシル基濃度は18eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を127℃で8時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.75dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例9]
高純度テレフタル酸13kgの代わりに高純度テレフタル酸12.7kg、イソフタル酸0.3kgとし、重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート201gの代わりに酢酸アンチモン252gを用い、固相重合時間を9時間とし、その他の製造要件は実施例1と同様にして、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお、液相重合時点の固有粘度は0.65dl/g、COOH基濃度は38eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.84dl/g、末端カルボキシル基濃度は35eq/tonであった。
この共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.76dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例10]
エチレングリコールの仕込量を5.22kgとした他は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお液相重合時点の固有粘度は0.64dl/g、COOH基濃度は18eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.85dl/g、末端カルボキシル基濃度は15eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を150℃で2時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.75dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
85%リン酸の添加量を1.25gとし、固相重合時間を8時間とした他は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお液相重合時点の固有粘度は0.64dl/g、COOH基濃度は32eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.76dl/g、末端カルボキシル基濃度は30eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を、加水分解処理を行わず、150℃で4時間乾燥したのち上述した4(1)の方法に従って射出成形を行い、プリフォームを作製した。得られたプリフォームの固有粘度は、0.74dl/gであった。更にこのプリフォームを上述した4(2)の方法に従って口部を熱結晶化し、更にこのプリフォームを上述した4(3)の方法に従って2軸延伸ブロー成形して耐熱性ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を、加水分解処理を行わず、150℃で4時間乾燥した後に射出成形機に樹脂を供給し、溶融状態で20分間滞留させた後に射出成形を行い、上述した4(1)に記したプリフォームを作製した。プリフォームの固有粘度は0.77dl/gであった。このプリフォームを上述した4(2)の方法に従って口部を熱結晶化し、更にこのプリフォームを上述した4(3)の方法に従って2軸延伸ブロー成形して耐熱性ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例3]
エチレングリコールの仕込量を5.83kgとした他は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお液相重合時点の固有粘度は0.63dl/g、COOH基濃度は6eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.84dl/g、末端カルボキシル基濃度は3eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.83dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例4]
エチレングリコールの仕込量を5.34kgとし、固相重合時間を13時間とした他は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。なお液相重合時点の固有粘度は0.64dl/g、COOH基濃度は15eq/tonであり、固相重合後の固有粘度は0.87dl/g、末端カルボキシル基濃度は13eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.85dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を150℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.64dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を110℃で2時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.82dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例7]
固相重合時間を8時間とした他は実施例8と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。固相重合後の固有粘度は0.76dl/g、末端カルボキシル基濃度は18eq/tonであった。
このポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.72dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[比較例8]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を95℃で4時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.83dl/gであった。得られた樹脂を用いて実施例1と同様に作製したプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
[実施例11]
比較例5と同様に実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂に、同じく比較例5で加水分解処理したポリエチレンテレフタレート樹脂を30重量%ブレンドした。150℃で4時間乾燥したのち射出成形を行い、上述した4(1)の方法に従ってプリフォームを作製した。得られたプリフォームの固有粘度は、0.77dl/gであった。このプリフォームを上述した4(2)の方法に従って口部を熱結晶化し、更にこのプリフォームを上述した4(3)の方法に従って2軸延伸ブロー成形して耐熱性ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表1に示す。
Figure 0005568846
[実施例12]
実施例1で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を125℃で2時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.77dl/gであった。得られた樹脂を用いて上述した5(1)の方法に従って射出成形を行ってプリフォームを作製し、このプリフォームを上述した5(2)の方法に従って2軸延伸ブロー成形してアセプティック充填用ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を150℃で1.5時間、加水分解処理を行った。処理後、樹脂を取り出し、150℃で4時間乾燥した樹脂の固有粘度は、0.76dl/gであった。得られた樹脂を用いて上述した5(1)の方法に従って射出成形を行ってプリフォームを作製し、このプリフォームを上述した5(2)の方法に従って2軸延伸ブロー成形してアセプティック充填用ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表2に示す。
[比較例9]
比較例1で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を、加水分解処理を行わず、150℃で4時間乾燥したのち上述した5(1)の方法に従って射出成形を行い、プリフォームを作製した。得られたプリフォームの固有粘度は、0.74dl/gであった。このプリフォームを上述した5(2)の方法に従って2軸延伸ブロー成形してアセプティック充填用ボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表2に示す。
[比較例10]
実施例3で製造したポリエチレンテレフタレート樹脂を、加水分解処理を行わず、150℃で4時間乾燥した後に射出成形機に樹脂を供給し、溶融状態で20分間滞留させた後に上述した5(1)の方法に従って射出成形を行い、プリフォームを作製した。プリフォームの固有粘度は0.76dl/gであった。このプリフォームを上述した5(2)の方法に従って2軸延伸ブロー成形してボトルを作製した。得られたプリフォーム及びボトルの評価結果を表2に示す。
Figure 0005568846

Claims (6)

  1. ポリエステル容器の成形に用いられるエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂の製造方法において、液相重合及び固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂を調製し、次いで該ポリエステル樹脂に120乃至150℃の熱水を1乃至8時間接触させて加水分解処理を行うことにより、ポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%の範囲で低下させ、低下後の固有粘度を0.65乃至0.85dl/gとすることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. ポリエステル容器の成形に用いられるエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂の製造方法において、液相重合及び固相重合により固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲のポリエステル樹脂を調製し、次いで該ポリエステル樹脂に120乃至150℃の熱水を1乃至8時間接触させて加水分解処理を行うことにより、ポリエステル樹脂の固有粘度を5%乃至60%の範囲で低下させ、低下後の固有粘度を0.3乃至0.65dl/gとし、固有粘度低下処理前のポリエステル樹脂をブレンドすることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法
  3. 前記固有粘度が0.80乃至1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度が15乃至50eq/tonである請求項1又は2記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 請求項1乃至3記載の何れかの方法で製造されたポリエステル樹脂を用いて成形された成形体。
  5. 耐熱性ポリエステル容器である請求項4記載の成形体。
  6. アセトアルデヒド濃度が10ppm以下のアセプティック充填用容器である請求項4記載の成形体。
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