JP5567353B2 - 球状耐火粒子及びそれからなる鋳物砂並びにそれを用いて得られた鋳型 - Google Patents

球状耐火粒子及びそれからなる鋳物砂並びにそれを用いて得られた鋳型 Download PDF

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Description

本発明は、球状耐火粒子に係り、特に、アルミニウムやその合金、鋳鉄、鋳鋼、銅合金等の鋳物鋳造において好適に使用される鋳物砂、及びそれを用いて得られる鋳型に関するものである。
従来から、鋳物用砂としては、珪砂、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の天然砂が広く用いられてきているが、天然に産出するものは、物理化学的特性等の品質にバラツキが生じることに加えて、近年においては、資源の減少に基づくところの枯渇化の問題をも内包している。このため、人工的に焼結粒を製造し、必要な粒度に粉砕したものも用いられているのであるが、粒子が、角状或いは針状の形態となるために、流動性が悪く、鋳物用砂としての使用時に、充填が不均一になり易く、また、鋳肌も荒れ易くなる等の欠点があった。
そこで、特公平3−47943号公報(特許文献1)においては、Al23:20〜70重量%及びSiO2 :80〜30重量%の組成となるように泥ショウを配合した後、スプレードライヤにより熱風中に吹き出させることにより、粒子径が0.05〜2.0mmの球状に造粒し、その後、これをロータリーキルンにて焼結することによって、球状鋳物砂を製造する方法が、提案されている。これにより、流動性に優れ、細部まで均一な充填が可能となり、鋳型製作において、精密で均一な組織を有する鋳型が生産可能になり、且つ球状粒子形状であるために、鋳物の鋳肌が美しく仕上がることになり、更に、各粒子が高温で焼結されているため、粒子強度が高くなっており、鋳物砂として繰返し使用が可能になったのである。しかしながら、この発明による球状粒子は、嵩密度が低く、見掛気孔率が大きいものであり、鋳物砂として使用する場合に、バインダを吸収してしまうこととなるために、多量のバインダを必要とする欠点があった。
また、特公平4−40095号公報(特許文献2)においては、Al23:20〜70重量%、SiO2 :80〜30重量%となるように混合された原料組成物を用いて、直径が0.1〜2.0mmの球状粒子に造粒した後、かかる球状粒子に対して、高温焼成後のAl23の含有量が90重量%以上で、粒子径が0.1mm以下となる高アルミナ質粉末を、外掛けで5〜50重量%の割合で混合せしめ、その混合物を、1400〜1750℃で焼成することにより、前記球状粒子を、それら粒子相互の融着を防止しつつ、球状の焼成粒子として得ることを特徴とする製造方法が、明らかにされている。これにより、鋳物砂として使用し得る、嵩比重が高く、見掛気孔率が小さい球状粒子を製造する際に、その焼成温度を高くすると、球状粒子が融着し、互いに塊状に結合してしまい、分離不能となる問題を防止することが可能となり、以て、嵩比重が高く、気孔率のより低い、安定した品質の鋳物砂を工業的に製造することが、可能となったのである。更に、そのような球状粒子は、Al23−SiO2 系であることから、ムライトを主要鉱物としているため、その熱膨張が小さく、鋳型としての寸法精度が著しく向上することになる。
そして、上記の技術により、得られる粒子は球状であるところから、破砕したものよりも比表面積が小さく、そのため、鋳型として用いる際のバインダー添加量の低減にも寄与することとなる。更に、粒子に角がないために、繰返しの機械的再生処理においても、発生するダストが少なくて済むということから、近年の産業廃棄物削減の要望と合致し、環境に対する負荷が低減されることになったのである。以上のように、鋳物砂として適した材料が提供出来るようになり、これによって、そのような鋳物砂を用いた鋳型及びそれにより得られる鋳物の品質向上に、多大なる寄与を実現したのである。
一方、近年になって、スプレードライヤにより造粒し、ロータリーキルンにより焼成する上記した製造方法以外の手法を採用して、球状の鋳物砂を製造する方法が、提案されてきている。
例えば、特開2004−202577号公報(特許文献3)等には、火炎溶融法と称される製造方法で、Al23及びSiO2を主成分として含有してなり、Al23/SiO2重量比率が1〜15、平均粒径が0.05〜1.5mm、球形度が0.95以上、吸水率が0.8重量%以下である球状鋳物砂を製造する技術が、明らかにされている。この技術は、球形度が大きい点に大きな特徴を有するとしており、それによって、流動性に優れ、高強度で且つ表面が平滑な鋳造用鋳型の製造が、可能になるとしている。また、従来に比べて、少ないバインダ量で鋳型を製造することが出来、再生が容易であるとしている。しかしながら、この技術における主成分の定義は、Al23及びSiO2 が、合計量で、鋳物砂全体の80重量%以上含有されていることとしており、そこでは、Al23及びSiO2 以外の成分、即ち不純物があまりにも多く存在することとなるため、かかる不純物成分の及ぼす悪影響を懸念せざるを得ないのである。また、火炎溶融法による製造方法として、そこでは、プロパンガスと酸素を燃焼させた火炎を用いて、2000℃の高温火炎中で、原料を加熱処理することとしている。しかし、このような2000℃もの高温火炎中での加熱操作は、生産性が悪く、多量のエネルギーを要することになり、経済的に好ましくないだけでなく、省エネルギー化が求められている昨今においては、環境に対する負荷という観点からしても、好ましいものとは言い難い。
また、特開2003−251434号公報(特許文献4)では、アルミナ40〜90重量%、シリカ60〜10重量%の合成ムライトを主とする球状物からなり、そしてこの球状物が、30〜1180μmの粒度分布を有し、且つ6万/d〜180万/d[dは球状物の平均粒子径(μm)]の範囲の、単位体積当りの表面積(cm2/cm3)を有することを特徴とする技術が、提案されている。この技術は、アーク炉、るつぼ炉、高周波炉等を用いて、アルミナとシリカを含む合成ムライトの原料を溶融させ、その溶融物にエアーを吹き付けることで、目的とする球状物を得ることが出来、そしてその丸さの指標である粒径係数は、1.2以下であることが好ましく、1.1以下であることが、より好ましいとしている。また、得られた球状物の表面性状は、表面の凹凸が少なく、表面を滑らかにすることで、廃棄物を減少出来るとしている。しかしながら、この技術も、また、先の特許文献3と同様に、原料を溶融させるまでの高温に加熱した後に球状化させる方法であることから、生産性が悪く、多量のエネルギーを要することになり、経済的に好ましくないだけでなく、省エネルギー化が求められている昨今においては、環境に対する負荷という観点からしても、好ましいものとは言い難い。また、その明細書の実施例からしても、アルミナとシリカ以外の成分、即ち不純物の含有量が高く、不純物成分の及ぼす悪影響を懸念せざるを得ないものである。
このように、特許文献1及び特許文献2を始めとし、それに類似した球状鋳物砂の製造技術が多く提案されてきているのであるが、近年の鋳鋼を始めとした溶解温度の上昇、鋳物の大型化に伴い、鋳物砂における使用環境が更に苛酷化してきており、そのため、上記提案の技術では、焼着等の、鋳物砂が原因となる鋳造欠陥を防ぐことが困難となり、更に耐熱特性に優れた鋳物砂が、求められるようになっている。また、それだけに止まらず、鋳型の寸法精度の観点から、低熱膨張であることも必須な特性であるため、耐熱特性に優れ、更に低熱膨張である鋳物砂が求められるようになっているのである。鋳物製造技術が高まるに従い、鋳物砂の特性も、また、難しい技術が求められるようになってきているのが、現状である。
ところで、純粋なムライト(3Al23・2SiO2 )は、その融点が1850℃と、高融点であり、また熱膨張係数が20〜1500℃で6.5×10-6/℃の低熱膨張の物質であって、その化学量論組成は、Al23が約70重量%、SiO2 が約30重量%の化学組成である。従って、特許文献1や特許文献2で提案の鋳物砂粒子は、Al23が20〜70重量%、SiO2 が80〜30重量%であるために、ムライトの化学量論組成ではなく、ムライトを主要鉱物としながらも、ムライトの化学量論組成からは外れており、シリカ過剰の組成となっているのである。このため、その過剰となったシリカ成分は、粒子中に非晶質相として存在することになり、そしてその非晶質相として存在するシリカ成分は、Al23−SiO2 系2成分状態図から明らかなように、約1600℃で液相を生成することになるところから、純粋なムライトと比べて、格段に耐熱特性が低下することになる。更に、粒子中には、Fe23 、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgO等の不可避の不純物成分が存在することにより、液相生成温度は更に低下することとなり、このため、ムライトが持つ高融点特性を著しく損なうものであった。
また、それによって、高温の溶湯と接した際の熱負荷、更に、大物の鋳物については、熱負荷だけでなく、高圧力が掛かることになるが、それらにより、球状粒子同士が融着を起こし、焼着欠陥に繋がるものと考えられる。
ここで、焼着欠陥とは、鋳物砂を用いて作製された鋳型と高温の溶湯との境界面で、鋳型と高温の溶湯とが化学的な反応をすることにより、鋳型を崩壊した際に、鋳物と鋳物砂が分離出来ない現象である鋳造欠陥のことを意味している。そして、上記のように、大物の鋳型については、熱負荷だけでなく高圧力が掛かるとしたが、高圧力下では、そのような反応は、顕著に進行することになるのである。
一方、コランダム(Al23)は、その融点が2050℃と、極めて高融点のものではあるが、その20〜1500℃の熱膨張係数が8.6×10-6/℃と、ムライトと比べて熱膨張の高い物質である。従って、ムライト・コランダム質となると、耐熱特性はムライト単独よりも高くなるのであるが、熱膨張は、コランダム量が増加するに従い増加することになり、ひいては、鋳型として用いた場合の寸法精度の低下に繋がるものであるところから、鋳物砂としては望ましいものではなかった。
特公平3−47943号公報 特公平4−40095号公報 特開2004−202577号公報 特開2003−251434号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、ムライトが持つ高融点特性を損なうことなく、高温の溶湯との接触・高圧力の環境下においても焼着欠陥を起こさない、耐熱特性に優れ、更に、熱膨張の小さい球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体からなる、鋳物砂として好適な耐火粒子を提供することにある。
そして、本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記の鋳物砂にて鋳型造型して使用した場合における、焼着等の鋳造欠陥の原因として、非晶質成分について着目し、非晶質成分を少なくすること、即ちムライトの化学量論組成以上にアルミナ含有量を増加させること、且つ不可避的不純物の含有量を低減させることにより、鋳物砂としての耐熱特性を著しく向上せしめ得ることを見出したのである。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、上記した課題又は明細書全体の記載から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載乃至はそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 焼成後において、Al23:70重量%超、90重量%以下及びSiO2 :10重量%以上、30重量%未満の化学組成を有すると共に、それらAl23とSiO2 の合計量が96重量%以上であり、且つ不純物含有量が4重量%以下の割合となるように調製された原料混合物を用い、この原料混合物の造粒物をロータリーキルンにて1750〜1850℃の温度で焼成することによって得られた、ムライトを主要鉱物とするムライト質又はムライト・コランダム質の緻密な結晶質の焼結体にして、粒子径が0.01〜2.00mmである球状粒子からなり、且つ見掛気孔率が2.1%以上、5%未満であると共に、融着率測定によって得られた、融着粒子の重量割合を示す融着率が、0〜10%であることを特徴とする球状耐火粒子。
(2) 前記焼結体が、Al 2 3 :70.3〜80.0重量%及びSiO 2 :20.0〜29.7重量%の化学組成を有している前記態様(1)に記載の球状耐火粒子。
(3) 前記Al23とSiO2 の化学組成を与える原料混合物をスプレードライヤにて造粒して得られた造粒物を、ロータリーキルンを用いて、1800〜1850℃の温度で焼成することにより、緻密な結晶質としたものである上記態様(1)又は(2)に記載の球状耐火粒子。
(4) 上記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載の球状耐火粒子を製造する方法にして、
前記Al23とSiO2 の化学組成を与えると共に、不純物含有量が4重量%以下となるように調製した原料混合物をスプレードライヤにて造粒し、そしてその得られた造粒物を、ロータリーキルンを用いて、1750〜1850℃の温度で焼成することにより、ムライトを主要鉱物とするムライト質又はムライト・コランダム質の緻密な結晶質として、見掛け気孔率が2.1%以上、5%未満となるようにすると共に、融着率測定によって得られた、融着粒子の重量割合を示す融着率が、0〜10%となるようにしたことを特徴とする球状耐火粒子の製造方法。
(5) 上記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載の球状耐火粒子からなることを特徴とする鋳物砂。
(6) 上記態様(5)に記載の鋳物砂又はそれと他の鋳物砂との混合物を用いて造型された鋳造用鋳型。
このような本発明に従う球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体からなる球状耐火粒子は、鋳物砂としての耐熱特性の向上だけに止まらず、その製造に際しての、ロータリーキルンにおける焼成時の球状粒子同士の融着の防止にも寄与することが判明し、これによって、先の特許文献2に記載の如く、高温焼成後のAl23の含有量が90重量%以上で、粒子径が0.1mm以下の高アルミナ質粉末を、外掛けで5〜50重量%混合せしめることが必要でなくなり、このため、焼成後に粒子表面に付着したアルミナ粉末を除去させる工程を省略しても、嵩比重の高い、見掛気孔率の低い球状粒子を、工業的に有利に製造することが、可能となったのである。
また、本発明に従う球状耐火粒子は、耐熱特性に優れると共に、熱膨張が小さい特性を併せ有していることから、各種の耐火物材料として有利に用いられ得る他、特に、鋳造分野においては、高温の溶湯との接触、高圧力下においても焼着欠陥を起こさないだけでなく、寸法精度の高い鋳型が作製出来る特徴を発揮するものであって、工業的に極めて有益なものであると言うことが出来る。
実験例6において鋳込み試験を行なった試験体の写真である。 実験例6における鋳物砂:B1を用いた鋳型の鋳込み試験実施後の鋳型崩壊後の鋳物表面の写真である。 実験例6における鋳物砂:A1を用いた鋳型の鋳込み試験実施後の鋳型崩壊後の鋳物表面の写真である。
ところで、本発明における球状耐火粒子を与える球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体は、ムライトの化学量論組成又はそれ以上のAl23を含んでいる必要がある。従って、本発明に係る球状耐火粒子において、その化学組成は、一般に、Al23:70重量%超、90重量%以下、SiO2 :10重量%以上、30重量%未満となるが、好ましくは、Al23:70.3〜80.0重量%、SiO2 :20.0〜29.7重量%である。先述せるように、ムライトは、3Al23・2SiO2 の化学式で示され、化学量論組成は、Al23:71.8重量%、SiO2 :28.2重量%の化学組成であるが、ムライト中にアルミナ成分が固溶するために、ムライトの結晶構造(斜方晶)となるのは、3Al23・2SiO2から2Al23・SiO2までであるとされている。具体的には、ムライトの結晶構造となる化学組成の範囲は、Al23約70〜77重量%、SiO2約30〜23重量%とされている。つまり、Al23 約77重量%以上ではコランダムが生成することになるが、その生成量は僅かであるところから、ムライトの持つ低熱膨張性には、殆ど影響を及ぼすことがないのである。
ここで、ムライトやコランダムの同定方法については、粉末X線回折法を用い、既知のX線回折パターンにより、その存在を確認することになる。具体的には、ムライトについては、PDF.No.15−776を参照し、その第一ピークである面間隔d=3.39Å、面指数[210]、第二ピークである面間隔d=3.43Å、面指数[120]、及び第三ピークである面間隔d=2.21Å、面指数[121]から、その存在を確認することになる。また、コランダムについては、PDF.No.10−173を参照し、その第一ピークである面間隔d=2.09Å、面指数[113]、第二ピークである面間隔d=2.55Å、面指数[104]、及び第三ピークである面間隔d=1.60Å、面指数[116]から、その存在を確認することになる。なお、ここにおいて、ムライト・コランダム質とは、粒子中にムライトとコランダムとが共存及び分散した状態のことを意味している。
なお、本発明に従う球状耐火粒子において、アルミナ含有量が70重量%以下となると、シリカ成分が多くなり過ぎ、その過剰のシリカ成分が非晶質相を形成して、耐熱特性を低下させることとなるため、好ましくないのである。また、アルミナ含有量が90重量%を越えるようになると、従ってシリカ含有量が10重量%未満となると、焼結体粒子中の主要鉱物がコランダムとなるために、熱膨張が大きくなり、鋳型の寸法精度が低下するようになるため、好ましくない。
また、かかる球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体において、それを構成するAl23とSiO2 の合計量は、96重量%以上である必要があり、望ましくは97重量%以上である。即ち、Al23+SiO2 ≧96重量%であり、残部が、不可避的不純物として、Fe23 、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgO等を含むこととなる。従って、本発明においては、このような不可避的不純物を焼成後において生じないような原料を用いて、目的とする焼結体粒子(球状耐火粒子)が製造されることとなるのである。なお、かかる焼結体粒子中のAl23とSiO2 の合計含有量において、Al23+SiO2 <96重量%となると、それらの不純物成分が非晶質相の生成を促進することとなるところから、耐熱特性が低下するようになるため、好ましくない。
さらに、この本発明に従う球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体は、粒子径が0.01〜2.00mm、好ましくは0.05〜1.00mmの大きさにおいて、球状耐火粒子として用いられることとなる。なお、その粒子径が0.01mmより小さいと、取り扱い難くなることに加えて、例えば鋳物砂として用いたとき、鋳込み時のガス抜けが非常に悪くなる等の問題があり、一方2.00mmより大きくなると、例えば鋳物砂として用いたとき、鋳物表面の鋳肌が荒れる等の問題があることから、0.01〜2.00mm程度の大きさとなるように、直接に調製されることとなる他、必要に応じて、焼成されたものを篩分けする等することにより、所望粒径のものが取り出されることとなる。
そして、かくの如き球状ムライト質焼結体や球状ムライト・コランダム質焼結体は、先の不可避的不純物を可及的に含まないようにした、前記組成を与える原料混合物を、スプレードライヤを用いて造粒した後、ロータリーキルンを用いて1500〜1850℃の温度で焼成することで、緻密な結晶質焼結体として形成されるのである。なお、その焼成温度は、成分組成により異なり、1500℃よりも低いと、充分に焼成されないために、緻密な粒子が得られず、また1850℃を超えると、粒子同士が融着して、孤立した球状粒子が得られ難いために、好ましくない。特に、本発明に従う有効な焼結体を得るには、少なくとも1750℃以上の焼成温度が、有利に採用されることとなる。ここで、緻密な結晶質焼結体とは、後述する見掛気孔率が充分に小さいことだけでなく、再度加熱処理が施されても殆ど鉱物組成変化を起こさない、繰返し加熱処理においても熱的安定性に優れていることを意味している。
また、本発明における球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体からなる球状耐火粒子は、その見掛気孔率が1%以上、5%未満、有利には4%以下である必要がある。けだし、この見掛気孔率が1%未満となると、耐熱衝撃性が低下するために、加熱と冷却の繰返しによって粒子が脆化してしまい、機械的再生処理時にダストを発生し易くなるため、好ましくないのである。一方、見掛気孔率が5%以上となると、鋳型として使用した際にバインダを吸収してしまい、多量のバインダを必要とするようになるところから、好ましくないのである。ここで、粒子の見掛気孔率は、JIS−R2205に規定された測定方法に準拠して、求められることになる。
さらに、本発明において対象とされる球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体は、融着率測定による融着率が0〜10重量%となるものであるが、この融着率が10重量%を超えるようになると、鋳型として使用した時の焼着欠陥が生成し易くなるために、好ましくない。ここで、融着率測定とは、加熱された電気炉中に装入することで急加熱し、そして一定時間保持した後、電気炉から取り出すことで急冷し、更に充分に冷却した後に、3.35mmの篩を通過させ、そしてその篩上の残存率を計測することで、重量基準において算出されるものである。
なお、本発明において用いられる球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体は、その形状が真球に近いことが、好ましい。なお、この真球の度合いを示す方式としては、焼結体粒子の二次元投影画像から、画像解析装置を用いて測定を行ない、円形度として表す手法を採用することが出来る。具体的には、この円形度は、よく知られているように、円形面積相当周囲長/粒子投影像輪郭周長=2√(πS)/Lとして求められ、本発明では、円形度としては、0.85以上が好ましく、更に好ましくは0.90以上である粒子が、有利に用いられることとなる。なお、ここで、Sは、投影された粒子の面積であり、Lは、粒子投影像輪郭周長である。
ところで、このような本発明に従う球状ムライト質焼結体や球状ムライト・コランダム質焼結体の製造に際して、その出発原料としては、珪砂、珪石、耐火粘土、粘土鉱物、クレー、カオリン、バン土頁岩、ボーキサイト、アンダリューサイト、カイアナイト、シリマナイト、水酸化アルミニウム、仮焼アルミナ、アルミナ等の、天然原料、人工合成原料を問わず、あらゆるアルミナ、シリカ、及びアルミナ−シリカ系原料が使用され得、本発明では、それらを相互に組み合わせて、本発明で規定される所定の化学組成を与える出発原料(原料組成物)が調製されることになる。
そして、それら出発原料を用い、これに水を加えて粉砕、混合せしめることによって泥ショウ状態にして、所定の化学組成に調製した後に、スプレードライヤにて乾燥造粒し、次いで、その得られた球状粒子をロータリーキルンにより焼成することによって、目的とする球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体を得るようにするのである。
なお、上記のようにして得られた球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体からなる球状耐火粒子は、各種バインダを用いて、従来と同様にして鋳型の造型に用いることが出来る。具体的には、バインダとしては、粘土(ベントナイト等)、水ガラス、シリカゾル等の無機バインダや、フラン樹脂、フェノール樹脂、フランフェノール樹脂、フェノールウレタン樹脂、アルカリフェノール樹脂等の有機バインダ等が用いられる。また、それらバインダには、種類に応じて、硬化剤が使用される。具体的には、フラン樹脂においては、硫酸、リン酸、リン酸エステル、ピロリン酸等の無機酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸等が用いられ、また、アルカリフェノール樹脂においては、ラクトン酸、ギ酸エチル、ギ酸メチル、トリアセチン、ピリジン系化合物等が用いられ、そして、水ガラス用の硬化剤としては、炭酸ガス、ダイカルシウムシリケート、有機エステル等が用いられる。
また、かかるバインダは、バインダの種類にもよるが、鋳型用砂(鋳物砂)の100重量部に対して、1〜3重量部の割合において使用されることとなり、そして硬化剤は、バインダの種類にもよるが、バインダの100重量部に対して、20〜50重量部の割合において添加されることになる。また、熱硬化性樹脂を用いて、樹脂で被覆された樹脂被覆砂を作製し、シェル鋳型としても使用出来る。更に、ウレタン系樹脂を用いる場合は、アミンガスのようなガスを用いて硬化させて鋳型を作製することも出来る。更に具体的には、熱硬化鋳型としてシェルモールド法、ホットボックス法、ウォームボックス法等が、ガス硬化鋳型としては水ガラス−CO2 鋳型、有機CO2 鋳型、アミン・コールドボックス法、SO2 コールドボックス法、FRC・コールドボックス法、エステル・コールドボックス法が、自硬性鋳型としては、無機自硬性鋳型、有機自硬性鋳型が、また消失模型鋳造法やVプロセス鋳造法、凍結鋳型、塩型等にも用いることが出来る。
そして、本発明に従う球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体を鋳物砂として用いて鋳型を作製する際には、かかる球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体を、単独で用いて、若しくはそれに、珪砂等の一般的に用いられている鋳物砂や、人工的に製造されたAl23−SiO2 系鋳物砂を、耐熱特性や熱膨張特性に影響のない範囲内で混合して、使用することが可能である。ここで、影響のない範囲とは、最大で50%程度、好ましくは30%以内である。また、スポットサンドとして、焼着が発生し易い部分のみに使用する当砂として、鋳型の表面のみに使用する肌砂として、また中子砂としてのみの使用も可能である。
以下に、本発明に従う実施例を、比較例と共に、幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記の表1に、実施例で使用した出発原料種とその化学組成を示す。そして、それらの出発原料に水を加えて、粉砕、混合することにより、泥ショウ状態にして、所定の化学組成に調製した後に、スプレードライヤにて乾燥造粒し、そしてその得られた球状粒子を、下記の表2に示される各種焼成温度下において、ロータリーキルンにより焼成することによって、焼結させて、球状ムライト質焼結体又は球状ムライト・コランダム質焼結体からなる各種の球状耐火粒子を得た。その得られた焼結体の化学組成、ロータリーキルンにおける焼成温度、焼結体の見掛気孔率、主要鉱物を、下記表2に示す。なお、表2において、Aにて表示される球状耐火粒子(焼結体)は、本発明の範囲内のものであり、Bにて表示される球状耐火粒子(焼結体)は、本発明の範囲外の製品である。
Figure 0005567353
Figure 0005567353
ここで、球状耐火粒子:B1,B2は、Al23含有量が約60重量%の化学組成に調整したものであるが、出発原料を異なる組み合わせとして、球状耐火粒子:B1は Al23+SiO2合計量を97重量%とし、また球状耐火粒子:B2はAl23+SiO2 合計量を約94重量%とした。それら球状耐火粒子における主要鉱物は、共に、ムライトであったが、ロータリーキルン焼成温度は、球状耐火粒子:B2で明らかに低下した。見掛気孔率は、球状耐火粒子:B1で2.5%、球状耐火粒子:B2で2.8%であった。
球状耐火粒子:B3は、出発原料としてバン土頁岩のみで作製したが、Al23+SiO2 合計量は90重量%であり、主要鉱物はコランダムであった。また、Al23含有量は、球状耐火粒子:B1よりも高いにも拘わらず、ロータリーキルン焼成温度は、球状耐火粒子:B1よりも低い1600℃であり、見掛気孔率は3.2%であった。
球状耐火粒子:B4は、Al23含有量約92重量%、Al23+SiO2 合計量を約98重量%の化学組成に調節した。主要鉱物はコランダムであり、ロータリーキルン焼成温度は1860℃で、見掛気孔率は2.1%であった。
球状耐火粒子:B5とA1では、Al23含有量を約71重量%、Al23+SiO2 合計量を約98重量%の化学組成に調節した。粒子中の主要鉱物は、共に、ムライトであったが、球状耐火粒子:B5でロータリーキルン焼成温度を1750℃としたところ、見掛気孔率は7.4%となった。また、球状耐火粒子:A1では、ロータリーキルン焼成温度を1800℃としたところ、見掛気孔率は2.1%となった。
球状耐火粒子:B6とA2では、Al23含有量を約81重量%、Al23+SiO2 合計量を約98重量%の化学組成に調節した。共に、主要鉱物はムライトであったが、球状耐火粒子:B6で、ロータリーキルン焼成温度を1780℃としたところ、見掛気孔率は8.2%となった。また、球状耐火粒子:A2では、ロータリーキルン焼成温度を1830℃としたところ、見掛気孔率は3.8%となった。
−実験例1−
球状耐火粒子:B1,B2,B3,B4及びA1,A2,A6に係る球状焼結体を用いて、融着率測定を行なった。それぞれで得られた球状焼結体を、300〜100μmの大きさの粒子に篩い分けを行なった後、この得られた100〜300μmの粒子を、1600℃に加熱された電気炉に装入することで、急加熱し、そして30分間保持した後、電気炉から取り出すことで、急冷して、粒子の融着率を評価した。粒子の融着率は、3.35mmの目の篩を通した後の篩上のものの重量%とした。下記表3に、各種球状焼結体の化学組成、急加熱処理後の融着率を示す。
Figure 0005567353
かかる表3に示される如く、Al23含有量が約61重量%の球状耐火粒子:B1は、融着率が53重量%であり、また球状耐火粒子:B2は76重量%であって、Al23+SiO2 合計量の影響が顕著に表れた。球状耐火粒子:B3は、Al23含有量が球状耐火粒子:B1よりも高いにも拘わらず、融着率が100%であり、Al23+SiO2 合計量の影響がより一層顕著に表れている。これに対して、球状耐火粒子:B4,A1,A2は、何れも、融着率0%であり、融着は全く認められなかった。
−実験例2−
球状耐火粒子:B1,B2,B3,B4及びA1,A2の各球状焼結体について、それぞれ、熱膨張率測定を行なった。この熱膨張率の測定は、それぞれの球状焼結体を鋳物砂として、アルカリ・フェノール樹脂を用いて鋳型を作製し、その得られた鋳型について、1000℃への急加熱による熱膨張挙動を調べることによって、行なった。なお、アルカリ・フェノール樹脂による鋳型の作製は、神戸理化学工業(株)製フェニックス675MHLをバインダとして用い、これを、砂に対して1.5重量%の割合で配合し、更に硬化剤として、神戸理化学工業(株)製C−10を、樹脂に対して25重量%の割合で使用した。また、作製した鋳型を、気温25℃、湿度55%の雰囲気下に保持した。そして、この作製した鋳型を、1000℃に加熱された電気炉に装入し、熱膨張率を調べた。その結果を、下記表4に示す。
Figure 0005567353
かかる表4の結果より、熱膨張率は、Al23含有量に依存する傾向が認められた。また、球状耐火粒子:B4以外は、熱膨張率が0.03〜0.12%と低い熱膨張率を示したが、Al23含有量が90%以上であるB4粒子については、0.4%と高い熱膨張率を示したので、鋳型の寸法精度の観点から好ましくないものと判断した。
−実験例3−
球状耐火粒子:A1の製造の場合と同様にして、Al23含有量が約71重量%、そしてAl23+SiO2 合計量が約98重量%の化学組成となるように調節した原料について、ロータリーキルンの焼成温度を調節し、見掛気孔率の異なる各種の球状焼結体粒子を作製した。次いで、その得られた球状焼結体粒子について、急熱・急冷処理を行なうことで、熱衝撃を与え、それによる耐破砕性に及ぼす影響を調べた。具体的には、1200℃に加熱した電気炉に装入することで急加熱し、そして30分間保持した後、水中に投下することで、急冷するという処理を2回繰り返し、その後に耐破砕性試験を行なった。耐破砕性試験は、JACT試験法S−6に準じて行なった。具体的には、アルミナ製ポットミル中にアルミナボールを20個入れ、600gの試料を60分処理した後の粒度変化率で評価を行なった。その結果を、下記表5に示す。
Figure 0005567353
かかる表5の結果より明らかな如く、見掛気孔率が1%以上、5%未満の範囲の球状焼結体:A1,A3,A4は、粒度変化率が3〜4重量%であった。一方、見掛気孔率が1%未満であるB7の球状焼結体は、15重量%の粒度変化率を示し、7.5%のB8の球状焼結体は、25%の粒度変化率を示していることから、耐破砕性に劣ることになり、機械的再生処理によりダスト発生量の増加が懸念されるため、好ましくないものであることが認められた。
−実験例4−
球状耐火粒子:A1の製造の場合と同様にして、Al23含有量が約71重量%、そしてAl23+SiO2 合計量が約98重量%の化学組成となるように調節した原料を用いて、スプレードライヤによる造粒条件を変化させることで、粒子の円形度を変化させ、それをロータリーキルンで焼成して、球状ムライト質焼結体:A1,A5,B9を得た。
この得られた球状ムライト質焼結体のそれぞれを用いて、フラン樹脂により鋳型を作製した。なお、フラン樹脂による鋳型の作製条件は、バインダとしての花王クエーカー製EF5301を、砂に対して1.5重量%の割合で配合し、更に硬化剤として、花王クエーカー製C−21及びTK−2を混合して、樹脂に対して50重量%となる割合で添加することにより、行なった。そして、得られた鋳型を、気温25℃、湿度55%の雰囲気に24時間保持した後に、圧縮強度を測定した。その円形度と圧縮強度試験結果を、下記表6に示す。
Figure 0005567353
かかる表6の結果よりして、球状ムライト質焼結体の円形度が高いほど、高い圧縮強度が得られており、従って円形度が高いほど、鋳型として好ましいものであることが認められる。
−実験例5−
実験例4で作製した球状ムライト質焼結体:A1,A5,B9を用いて、フェノール樹脂バインダにより、鋳型を作製した。即ち、各砂を130℃に加熱した後に、旭有機材工業(株)製SP6905U(バインダ)を、砂に対して1.4重量%の割合で添加して、混練を行ないながら、ヘキサメチレンテトラミンを水に溶解させたものを、樹脂に対して1.5重量%の割合で添加した後、ステアリン酸カルシウムを、砂に対して0.1重量%の割合で添加して、レジンコーテッドサンド(RCS)とした。そして、その得られたRCSを、抗折試験片造型機で、250℃に加熱して、10mm×10mm×60mm形状の試験片を作製した。次いで、かかる得られた試験片を、3点曲げ強度試験により、抗折強度を測定した。この得られた試験片の抗折強度を、円形度と共に、下記表7に示す。
Figure 0005567353
かかる表7の結果より明らかな如く、球状ムライト質焼結体の円形度が高いほど、高い抗折強度が得られており、従って円形度が高いほど、鋳型として好ましい特性が付与されることが認められる。
−実験例6−
球状耐火粒子:B1,B2,B3,B4とA1,A2の球状焼結体を用いた鋳型を作製して、鋳込み試験を行なった。即ち、先ず、各球状焼結体を、アルカリ・フェノール樹脂を用いて、実験例2と同様にして鋳造鋳型の一部を構成する矩形ブロック状の鋳型片を造型し、そしてその得られた鋳型片を用いて、目的とする構造の鋳造鋳型を構成した。次いで、この鋳造鋳型に、30トンの普通鋳鋼を、1600℃で鋳込みを行なった後、鋳型を崩壊させて、得られた鋳物の表面状態を調べた。鋳物表面の焼着欠陥の有無として、無しのものを○、有りのものを×として、その結果を、下記表8に示した。また、図1には、鋳込み試験を行なった鋳型片形状を略平面形態において示し、そして代表的な例として、図2には、球状耐火粒子:B1を用いた鋳型片について、更に図3には、球状耐火粒子:A1を用いた鋳型片について、それぞれ、鋳込み試験実施後の鋳型崩壊後の鋳物表面(各鋳型片配置部位に対応する表面)を、それぞれ写真にて示す。
Figure 0005567353
かかる表8に示される如く、球状耐火粒子:B1,B2,B3を用いた鋳型崩壊後の鋳物表面には、図2からも明らかなように、焼着欠陥が認められたが、球状耐火粒子:A1,A2,B4を用いた鋳型崩壊後の鋳物表面には、図3より明らかな如く、焼着欠陥が認められなかった。
−実験例7−
実験例4で作製した球状ムライト質焼結体:A1,A5,B9を鋳物砂として用いて、ウレタン樹脂により鋳型を作製した。保土谷アシュランド(株)製ISOCURE PART−I 330T、PART−II 630Tを、各砂に対して、各々1.0重量%添加して混練を行なった後に、LEAMPE製コールドボックス造型機を用いて、10×30×85mmの金型に混練砂を充填させ、アミンガスをガッシングすることで、ガス硬化させて試験片を得た。
かくして得られた試験片について、24時間の後、3点曲げ強度試験により、それぞれ抗折強度を測定した。円形度と試験片の抗折強度を表9に示す。
Figure 0005567353
かかる表9の結果より明らかな如く、球状ムライト質焼結体の円形度が高いほど、高い抗折強度が得られており、従って円形度が高いほど、鋳型として好ましい特性が付与されることが認められる。

Claims (6)

  1. 焼成後において、Al23:70重量%超、90重量%以下及びSiO2 :10重量%以上、30重量%未満の化学組成を有すると共に、それらAl23とSiO2 の合計量が96重量%以上であり、且つ不純物含有量が4重量%以下の割合となるように調製された原料混合物を用い、この原料混合物の造粒物をロータリーキルンにて1750〜1850℃の温度で焼成することによって得られた、ムライトを主要鉱物とするムライト質又はムライト・コランダム質の緻密な結晶質の焼結体にして、粒子径が0.01〜2.00mmである球状粒子からなり、且つ見掛気孔率が2.1%以上、5%未満であると共に、融着率測定によって得られた、融着粒子の重量割合を示す融着率が、0〜10%であることを特徴とする球状耐火粒子。
  2. 前記焼結体が、Al23:70.3〜80.0重量%及びSiO2 :20.0〜29.7重量%の化学組成を有している請求項1に記載の球状耐火粒子。
  3. 前記Al23とSiO2 の化学組成を与える原料混合物をスプレードライヤにて造粒して得られた造粒物を、ロータリーキルンを用いて、1800〜1850℃の温度で焼成することにより、緻密な結晶質としたものである請求項1又は請求項2に記載の球状耐火粒子。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の球状耐火粒子を製造する方法にして、
    前記Al23とSiO2 の化学組成を与えると共に、不純物含有量が4重量%以下となるように調製した原料混合物をスプレードライヤにて造粒し、そしてその得られた造粒物を、ロータリーキルンを用いて、1750〜1850℃の温度で焼成することにより、ムライトを主要鉱物とするムライト質又はムライト・コランダム質の緻密な結晶質として、見掛け気孔率が2.1%以上、5%未満となるようにすると共に、融着率測定によって得られた、融着粒子の重量割合を示す融着率が、0〜10%となるようにしたことを特徴とする球状耐火粒子の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の球状耐火粒子からなることを特徴とする鋳物砂。
  6. 請求項5に記載の鋳物砂又はそれと他の鋳物砂との混合物を用いて造型された鋳造用鋳型。
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