以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るカラーフィルタ基板は、透明基板上に、遮光層を有効表示領域の外周に配置するとともに、緑色画素を含む複数色の着色画素、スペーサ、及び第1の位相差層を有効表示領域に形成することにより構成され、半透過型液晶表示装置に適用されるものである。半透過型液晶表示装置には、外光やフロントライトなどの観察者側から入射する光を受けて反射する反射部と、液晶表示装置の裏面に配置されたバックライトからの光を透過する透過部とがあり、着色画素もそれに対応して、画素ごとに、反射部と透過部とがある。
なお、以下の説明において、遮光層と額縁部は同義であり、有効表示領域の外周の額縁状の遮光パターンを意味する。
本実施形態に係るカラーフィルタ基板において、着色画素のそれぞれの反射部には凹部が形成され、この凹部内に位相差層が設けられる。位相差層は、上述した反射部と透過部の光路差を補う機能を有する。換言すれば、液晶表示素子に外付けされた偏光板を透過した入射光(外光)である直線偏光を円偏光にし、液晶表示素子の内側に配設された光反射性の電極(あるいは反射板)で反射して再帰する光をほぼ直線偏光に戻して出射光とする機能を有する。
具体的には、位相差層は、光反射性の反射電極を用いる反射型液晶表示装置において、偏光を1/4波長あるいは1/2波長位相変化させ、液晶層の厚み方向の1回の往復(反射)で90度向きの異なる直線偏光にする機能を有する。
また、偏光板の吸収軸と位相差層の遅相軸との調整を行った上で、1/2波長の位相差層を用い、90度あるいは270度偏光回転させても良い。例えば、基板面に対し平行配向させ、かつ、基板面方向に回転させるIPS方式液晶表示装置では、偏光板の吸収軸と位相差層の遅相軸を22.5度あるいは67.5度ずらし、1/2波長の位相差層を用いることで、直線偏光に変換した入射光を実効的に90度偏光回転させることができる。上記のような構成で位相差層を半透過型液晶表示装置の反射部に適用することで、反射部と透過部の光路差調整や位相の補償を行うことができる。なお、実効的に90°偏光回転させることは、偏光板の透過軸、液晶の配向軸、液晶のチルト角の傾きなどの精度を含めて、反射部に形成する位相差層が入射光を90°偏光回転させることを意味する。
VA方式やTN方式の液晶表示方式における液晶配向を前提とすると、1/4波長の位相差層の遅相軸と偏光板の吸収軸(あるいは透過軸)とのなす角を約45度とすることができる。
本実施形態に係るカラーフィルタ基板において、スペーサは、有効表示領域内の透過部の液晶層の厚みを均一化するために形成される、断面が台形もしくは柱状の構造物であり、液晶層の厚みとほぼ同じ高さを有する。このスペーサのほかに、高さの低いサブスペーサを有効表示領域内及び遮光層上に形成することも可能である。これらのスペーサは、たとえばアルカリ可溶な感光性アクリル樹脂を用いてカラーフィルタ上に形成しても良いが、着色層の単層〜3層(黄色画素や白画素など他色を含む場合、4層積層でも良い)の積層体により形成することにより、着色画素を形成する際に同時に形成することが出来るので、製造プロセスを簡略化することができる。
なお、通常、液晶のパネル化は、カラーフィルタ基板と、液晶を駆動するアクティブ素子が形成されたアレイ基板とを、液晶層を挟持するように向かいあわせて貼り合わせることにより行われる。スペーサ高さは、このときの貼り合わせマージンを含むものでなければならない。なお、スペーサ高さは、スペーサに隣接する画素の中心における表面からスペーサのトップまでの高さとする。
以下、断面の厚みの観点から、着色画素のうち透過部を形成する部分を単に着色層と、反射部の薄い膜厚の部分は凹部着色層と、また、スペーサとして積層される着色層を積層着色層と、分けて表現する。これらの着色層は、同一の塗布工程及びフォトリソグラフィ工程により製造することができる。
また、カラーフィルタの画素を形成するための感光性着色組成物による透明基板上の塗布された塗膜、あるいは感光性着色組成物による単層のレイヤーを着色層とし、当該着色層を用いて公知のフォトリソグラフィ技術でパターン形成したものを着色画素と呼ぶ。
着色画素の膜厚は、透明基板の面からそれぞれ着色画素の中心(ここでは凹部形成のない着色層での画素中心を指す)における表面までの高さを指す。凹部着色層の膜厚と着色層(凹部形成のない部分)の膜厚の比を1/2〜1/4の範囲とすることが好ましい。なお、膜厚比1/2の凹部着色層の膜厚は、着色層の厚みに対して±0.2μmの誤差の範囲内で1/2であることを言う。凹部の着色層の膜厚と着色層(凹部形成のない部分)の膜厚の比を略1/2とすることで、透過部と反射部の光路差を考慮した本来のカラー表示を得ることができる。
反射部は、戸外などの明るい環境下で観察するためのものであり、明るさが重要である。透過部と反射部の色度域が一致していることは望ましいが、明るさを最大限重視する場合は色がついていると認識できる程度でも十分である。例えば、反射表示は、透過部表示の色合わせより“明るさ”を重視せざるを得ない用途(たとえば太陽光のある屋外での使用)では、膜厚比1/3や1/4とすることにより、明度の高い色とすることが望ましい。
スタティック表示(静止画)での透過部の色度域を標準的であるNTSC比70%程度とすると、反射部については1/4膜厚の時(2回透過で)NTSC比がおおむね35〜40%程度となる。NTSC比が35〜40%であれば色がついていることを容易に認識することができるが、これを大きく下回ると色がついていることを認識しにくくなる。したがって、反射部の膜厚は、NTSC比が35〜40%程度となる1/4以上であることが望ましい。
動画階調表示での色の視認性は、静止画表示より低下する傾向にある。使用者(観察者)による個人差があるものの、着色層の膜厚に対して1/4の凹部着色層の膜厚が、動画階調表示を行った時にカラー表示であるとの認識しやすさのほぼ下限の膜厚である。隣接する着色画素の重畳部分(以下突起と呼称)の高さは、突起のトップから着色画素の中心における表面までの高さとする。複数色の着色画素は、青色画素、赤色画素、緑色画素、黄色画素、白色画素(透明な画素)などと表現する。
本明細書では、遮光層を含めた複数色の着色画素の構成をカラーフィルタと呼称し、カラーフィルタをガラスなどの透明基板に形成したものをカラーフィルタ基板と称する。スペーサとして積層する着色層は、それぞれ赤色積層部、緑色積層部、青色積層部と呼称する。本明細書において、略同一の膜厚とは、遮光層や着色層の形成においてその製造プロセスで制御することができる、例えば、設定膜厚に対して、カラーフィルタの製造工程において、その製造マージンである±0.2μm以内に入る膜厚を指す。
本明細書の記載で言う比誘電率は、液晶駆動に用いる周波数50Hzから500Hzで、室温での測定を前提としている。
本発明の他の実施形態に係るカラーフィルタ基板では、上述した透過部と反射部における液晶層の厚みを調整する目的で、位相差層上にセルギャップ調整層が配設される。この場合、セルギャップ調整層の表面と凹部が形成されていない着色画素の表面からの高さの差は、液晶表示装置を構成したときの液晶層の厚みの略1/2とすることができる。なお、液晶層の厚みの略1/2とは、液晶層の厚みの10%以内の範囲で変動してもよく、かつ、カラーフィルタの製造工程においてその製造マージンである±0.2μm以内であることが望ましい。本明細書の以下の記載において、略同一の膜厚とは、同様に、カラーフィルタの製造工程においてその製造マージンである±0.2μm以内で増減する膜厚を指す。
セルギャップ調整層は、可視域で透明な絶縁体であれば良いが、光散乱性を付与した光散乱層であることが好ましい。即ち、光散乱層は、出射光に拡散性を付与し、観察者の目に入る液晶表示装置からの光をペーパーホワイト様とし、視認性良い表示とするためのディフューザーの役目を担う。
本発明の更に他の実施形態に係るカラーフィルタ基板では、台座及びブラックマトリクスを配置できる。これら台座及びブラックマトリクスは、遮光層と同じ遮光性の材料により形成される。台座は、カラーフィルタ基板とアレイ基板を貼り合わせて構成される液晶表示装置を前提としたときに、TFTなどのアクティブ素子の位置にほぼ対応して配置され、これを遮光する目的で、カラーフィルタ基板側に配設するものであり、セルギャップを均一化するスペーサを台座上に配設できる。台座は、平面視で、アクティブ素子を大まかに覆う面積があれば良い。必要に応じて形成されるブラックマトリクスは、液晶表示装置のコントラスト向上の目的で表示領域内に設けられる格子状あるいはストライプ状の遮光パターンを指す。台座とブラックマトリクスは、1つのフォトマスクを用いて1つのつながりある同一膜厚のパターンで形成しても良い。
なお、スペーサは着色画素の中央に配設することができる。この構成では、当該中央部分が、カラーフィルタ基板に対向するアレイ基板に光反射性の反射膜ないし反射電極が形成されるか、あるいは透過部であればこのスペーサ位置に台座を形成しなくても良い。この中央部分が、反射部である場合、スペーサはセルギャップ調整層上に配設でき、当該スペーサ高さとセルギャップ調整層の加算した厚みが透過部の液晶層の厚みに相当する。
台座およびブラックマトリクスの膜厚は、遮光層の膜厚より薄く形成することが好ましい。これらを薄く形成する手法は、現像工程や熱処理工程などプロセスでの調整の他、露光に用いるハーフトーンマスク、グレートーンマスクやマスクの開口部の形状などで調整することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るカラーフィルタ基板の一部の断面を示す図であり、後述する図6に示す平面図のA−A’断面に相当する。図1において、透明基板1上の表示領域の外周の額縁部に有機顔料を主たる色材とする遮光層2が、表示領域に赤色画素3R(図示せず)、緑色画素3G、及び青色画素3B(図示せず)からなる3色の着色画素が、それぞれ形成されている。
着色画素(図1では3G)は反射部と透過部とからなり、反射部には凹部10が形成されている。この凹部10内には位相差層11が形成され、この位相差層11の上には、光散乱層(セルギャップ調整層)12が形成されている。また、額縁状の遮光層2の上にも位相差層11’が配設されている。これら着色画素及び光散乱層12を覆うように透明導電膜9が配設されている。透明導電膜9の形成位置は、光散乱層12上に限らず、光散乱層12の下に設けても良い。また、透明基板1の表面あるいは後述するブラックマトリクス表面の位置に形成することも可能である。
図1に示すカラーフィルタ基板において、光散乱層12は、単一あるいは複数種の非晶質微粒子13が屈折率の異なるマトリクス樹脂14中に分散してなる層である。この光散乱層12として機能するセルギャップ調整層は、入射光を散乱させて観察者の目にペーパーホワイト様の効果を持たせる光機能膜である。マトリクス樹脂14は、耐熱性があり、可視域透過性がある透明樹脂であれば良い。光散乱層の膜厚は、非晶質微粒子径、光の波長及び製造工程での適合しやすさの関係で、約1μm〜3μm の範囲が好ましい。
図2に示すカラーフィルタ基板では、セルギャップ調整層として、図1に示す光散乱層12の代わりに、透明樹脂からなるセルギャップ調整層15が形成されている。このセルギャップ調整層15は、透過部と反射部の光路差を調整する目的で配設される。そのため、少なくとも可視光に対する高い透過性と液晶パネル工程で必要な耐熱性を有する樹脂材料をセルギャップ調整層15に用いることができる。これら着色画素及びセルギャップ調整層15を覆うように透明導電膜9が配設されている。
図2に示すカラーフィルタ基板において、額縁状の遮光層2の上にもセルギャップ調整層15’が配設され、この部分におけるセルギャップ調整層15’と遮光層2の膜厚の合計は、緑色画素3Gの膜厚と略等しくなっている。なお、図2は、後述する図6に示す平面図のE−E’断面に相当する。
図3は、本発明の一実施形態に係るカラーフィルタ基板の他の部分を示す断面図であり、後述する図6に示す平面図のB−B’断面に相当する。図3において、透明基板1上の表示領域の外周の額縁部に黒色色材を含有する遮光層2が、表示領域に赤色画素3R、緑色画素3G、及び青色画素3Bからなる3色の着色画素が、それぞれ形成されている。遮光層2の厚さと着色画素の厚さは、略同一とされている。赤色画素3Rと緑色画素3Gの境界における透明基板1上には、遮光層2と同一の材料からなる台座4が形成され、この台座4上には、赤色積層部5R、緑色積層部5G、及び青色積層部5Bの積層からなるスペーサ5が形成されている。
なお、緑色画素3Gと青色画素3Bの境界における透明基板1上には、その上にスペーサ5が形成されていない、遮光層2と同一の材料からなる台座4’が形成されている。このスペーサ5が形成しれていない台座4’は、赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3Bの開口率の調整及びTFTなどのアクティブ素子の遮光目的で配設されている。
また、遮光層2上には、3層構造のスペーサ5よりも高さの低い、例えば2層構造のサブスペーサ6が配設されている。
以上のような構成の表面には、透明導電膜9が配設されている。
台座4は、遮光層2よりも薄い、0.4μm以上1.0μm以下の膜厚を有している。台座4の膜厚が0.4μm未満では、フォトリソグラフィにより台座4を形成する際に、安定した膜厚が得にくくなる。一方、1.0μmを越えると、その上に積層される積層部の厚さが薄くなり、画素との間で急激な膜厚の変化が生じ、積層部の厚さが不安定と成る。
以上のように構成されるカラーフィルタ基板に対向して、TFT基板が配置され、カラーフィルタ基板とTFT基板との間に液晶層を介在させて液晶表示装置が構成されるが、この液晶層の厚みと、台座上に形成されたスペーサの高さとが略等しくされている。なお、スペーサ5の高さhは、赤色積層部5R、緑色積層部5G、及び青色積層部5Bの積層のうちの、着色画素3R,3G,3Bの表面から突出する部分の厚みである。スペーサ5の高さHは、液晶セルの製造プロセスにおけるマージン0.1μm程度を液晶層の厚みに加算した高さであるのが好ましい。
図4は、図3に示すカラーフィルタ基板の破線の円で囲んだ部分を拡大して示す図である。この破線の円で囲んだ部分は、青色画素3Bと緑色画素3Gの重畳部である。青色画素3Bと緑色画素3Gを覆うように透明導電膜9が配設されている。青色画素3Bと緑色画素3Gの重畳部は、画素の面に対し突出する突起7となっており、この突起7の高さdは、高過ぎると画素の平坦性を損なってしまうため、0.25μm以下であることが望ましい。透明導電膜9と着色画素の間に透明樹脂を用いて平坦化膜(保護膜)を形成しても良い。
図6は、カラーフィルタ基板における、遮光層2、台座4,4’、スペーサ5、サブスペーサ6、及び光散乱層(セルギャップ調整層)12の平面配置を示す図である。図6のA−A’断面が図1に相当し、B−B’断面が図3に相当する。
次に、以上のように構成されるカラーフィルタ基板を構成する材料について説明する。
本実施形態に係るカラーフィルタ基板では、カラーフィルタ上に透明導電膜9が形成されており、カラーフィルタと液晶層との電気的な接触がなくなるため、遮光層2、赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3B、台座4の色材にカーボンなどの比誘電率の高い材料用いることも可能である。ここで、比誘電率の低い色材として、遮光層2、赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3B、台座4、スペーサ5、あるいは液晶の配向制御用突起に用いることの可能な有機顔料を以下に列記する。しかしながら、スペーサや後述する配向制御用構造物、配向制御用突起などは、液晶に接する配置となるので、比誘電率の低い材料で形成することが望ましい。遮光層に含有させる色材は、カーボン単体でも良く、各種有機顔料の混合物でも良く、有機顔料にカーボンを加えても良い。加え得るカーボンは、比誘電率を下げるため、カーボン粒子に樹脂被覆や表面処理を施したものであっても良い。なお、配向制御用突起は、リブ(線状)やリベットと呼称され、液晶の配向を制御する目的でカラーフィルタ上あるいは透明導電膜上に形成される突起である。
(有機顔料)
赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等を用いることができる。
黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Blue 15:6が好ましい。
紫色顔料として、例えば、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Violet 23が好ましい。
緑色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を用いることができ、これらの中では、C.I.Pigment Green58が好ましい。
以下、C.I.Pigmentの顔料種の記載において、単にPB(Pigment Blue)、PV(Pigment Violet)、PR(Pigment Red)、PY(Pigment Yellow)、PG(Pigment Green)などと省略して記載することがある。
前記したPG58は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンと呼ばれ、後述の〔顔料製造例G2〕でその製造例を示す。PG58は、PG36であるハロゲン化銅フタロシアニンより小さめの誘電率を持ち、明度の高い緑色画素を形成することができる。PG58とPG36は、中心化金属が亜鉛と銅の違いを除いて、ほぼ、同じ構造をもつ有機顔料であるが、電気的特性は誘電率のバラツキを含めてPG58の方が小さい傾向にある。
構造が類似しているにも関わらず、PG58が本発明に好適な理由は、本発明者らの知見によると、以下の光学的測定〔緑色顔料の複屈折率Δnの測定〕から実証することができる。なお、着色組成物中のハロゲン化亜鉛フタロシアニンなど有機顔料の固形比率は、小さい方が比誘電率を下げる傾向にあり好ましい。
液晶駆動に支障あるカラーフィルタ起因の浮遊容量を下げるため、顔料比率を下げ、樹脂比率を上げることは好ましい。従って、本発明の実施例のように、遮光層や着色画素の膜厚を厚く形成することは好ましい。
上述したように、従来、緑色画素に用いられているハロゲン化銅フタロシアニンの緑色有機顔料分散体(或いは緑色画素)は、負の方向に大きな位相差をもつため、その有機顔料分散体のもつ位相差をゼロの方向に調整する技術で補うことが必要である。また、図5に示すように、ハロゲン化銅フタロシアニンを主たる顔料とする緑色画素は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを主たる顔料とする緑色画素より透過率や明度で劣る傾向にある。緑色画素にハロゲン化亜鉛フタロシアニンの緑色顔料を用いることは特に好ましい。
〔緑色顔料の複屈折率Δnの測定〕
周知のように、誘電率の値は、屈折率の自乗とほぼ等しい。換言すれば、電子分極に起因する誘電率は屈折率の自乗に比例する。
この観点から、PG58とPG36の分極の差異を、直交座標系X軸、Y軸、Z軸でのそれぞれ屈折率Nx、Ny、Nzを測定して明らかにした。測定試料は、実際に用いる緑色着色層に近い構成とするため、下記表3に示す顔料分散体(例えばGP−4)をガラス基板上に1μmの膜厚に塗布し、230℃で乾燥させたものを用いた。
下記表3に示すGP−4の顔料分散体の主たる顔料G2は、PG58である。GP−4の第一顔料G2を、PG36に置き換えた顔料分散体をGP−5として表記する。測定は、分光エリプソメータM−220(日本分光製)を用い、Nx、Ny、Nzを測定し、下記式よりΔnを算出した。測定波長は550nmとした。
Δn=[(Nx+Ny)/2]−Nz
下記表1より、ハロゲン化銅フタロシアニン(PG36)を主たる顔料とする緑色顔料分散体GP−5よりも、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(PG58)を主たる顔料とする緑色顔料分散体GP−4の塗膜の方が、Δnの絶対値が小さく、分極が小さいことが理解できる。本発明者らは、ハロゲン化銅フタロシアニンを分散した着色塗膜は、負の方向に大きな位相差を示しやすく、着色画素の位相差をそろえにくいに対し、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを分散した着色塗膜はほぼゼロもしくは若干量のプラス方向の位相差を示し、着色画素の位相差を揃えるのに好適であることを見出した。
(有機顔料分散体の製造)
有機顔料の分散体の製造方法としては種々の方法を採用することができるが、以下にその一例を示す。
まず、顔料、溶剤、顔料分散剤(色素誘導体含む)及び/又は分散助剤、界面活性剤、場合によりポリマーやモノマーを各々所定量秤量し、分散処理工程に供して顔料を分散させ、液状の顔料分散液とする。この分散処理工程では、例えば、ペイントコンディショナー、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理を行うことによって顔料が微粒子化されるため、該顔料分散体を用いた感光性樹脂組成物の塗布特性が向上する。
顔料を分散処理する際には、前記アルカリ可溶性樹脂、又は色素誘導体等を適宜併用してもよい。例えば、ビーズミルを用いて分散処理を行う場合は、0.1mmから数mm径のガラスビーズ又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は通常0℃以上、好ましくは室温以上であり、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成(含有される顔料、溶剤、分散剤等)、及びビーズミル等の装置の大きさなどにより最適な分散時間が異なるため、適宜調整することが望ましい。
(着色画素の位相差調整)
着色画素は、特に厚み方向位相差の観点でその位相差を微調整できる。用いる顔料種、顔料の分散方法、分散剤、顔料の微細化、また、リタデーション調整剤として添加するメラミン樹脂、スチレン樹脂、ベンジル基を有する有機化合物など、種々の方法で位相差を大きくあるいは小さくすることができる。メラミン樹脂は位相差を増加させる方向で調整でき、スチレン樹脂は位相差を減少させるために用いることができる。
例えば、スチレン樹脂の例として重量平均分子量約7000のスチレン-アクリル酸共重合体を、感光性着色組成物のアクリル樹脂溶液40部に、5部〜20部含有させる形で、赤色画素や緑色画素などの厚み方向位相差を10nm以下の小さな値に調整することができる。リタデーション調整剤のアクリル樹脂溶液中の添加割合は適宜調整することができる。緑色画素において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が、その厚み方向位相差をゼロに近づけやすく、好ましい。
なお、着色画素の位相差を調整するには、特許第4306736号公報に記載の技術を適用することができる。
厚み方向位相差は、たとえば、位相差測定装置(大塚電子社製 RETS−100)を用いて、着色層や位相差層の塗膜を塗布形成した基板に対し、測定することができる。
(分散剤・分散助剤)
顔料分散剤として高分子分散剤を用いると、経時の分散安定性に優れるので好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。中でも、特に窒素原子を含有するグラフト共重合体からなる分散剤が、顔料を多く含む本発明の遮光性感光性樹脂組成物としては、現像性の点で好ましい。
これら分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbik(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)等を挙げることができる。これらの分散剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用することができる。
分散助剤としては、例えば色素誘導体等を用いることができる。色素誘導体としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもキノフタロン系が好ましい。
色素誘導体の置換基としては、例えばスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられる。これらの中では、スルホン酸基が好ましい。また、これら置換基は、一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
色素誘導体の具体例としては、フタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。
以上の分散助剤及び色素誘導体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。後述する実施例で用いる色素誘導体を下記表2に示す。
(透明樹脂)
遮光層あるいは着色層として用いる感光性着色組成物は、上記顔料分散体に加え、さらに、多官能モノマー、感光性樹脂ないし非感光性樹脂、重合開始剤、溶剤等を含有する。感光性樹脂及び非感光性樹脂など、本発明に用いることの可能な透明性の高い有機樹脂を総称して透明樹脂と呼ぶ。
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、下記のメラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなるものを用いてもよい。
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明に用いる遮光層、光散乱層、着色層、セルギャップ規制層には、フォトリソグラフィによるパターン形成可能な感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。これらの透明樹脂は、アルカリ可溶性を付与された樹脂であることが望ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば特に限定はない。例えば、エポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂等が挙げられる。中でもエポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、特に、エポキシアクリレート系樹脂やノボラック系樹脂が好ましい。
(アクリル樹脂)
本発明に採用可能な透明樹脂の代表として、以下のアクリル系樹脂が例示できる。
アクリル系樹脂は、単量体として、例えば(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートペンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を使用した、重合体が挙げられる。
なお、以上挙げた単量体は、単独で、または、2種以上を併用して使用することができる。さらに、これら単量体と共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、及びフェニルマレイミド等の化合物の共重合体でもよい。
また、例えば(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を共重合し、得られた共重合体と、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基及び不飽和二重結合を含有する化合物とを反応させることや、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートの重合体、又はそれとその他の(メタ)アクリレートとの共重合体に、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有化合物を付加させることによって、感光性を有する樹脂を得ることができる。
さらに、例えばヒドロキシエチルメタアクリレート等のモノマーの、水酸基を有する重合体に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基及びエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応させることによっても、感光性を有する樹脂を得ることができる。
また、上述したように、複数の水酸基を有するヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合体と多塩基酸無水物を反応させて、共重合体にカルボキシル基を導入し、カルボキシル基を有する樹脂を得ることが出来る。その製造方法は、上記記載の方法のみに限るものではない。
上記の反応に用いる酸無水物の例として、例えばマロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、及びトリメリト酸無水物等が挙げられる。
上述したアクリル系樹脂の固形分酸価は、20〜180mgKOH/gであることが好ましい。酸価が20mgKOH/gより小さい場合には、感光性樹脂組成物の現像速度が遅すぎて現像に要する時間が多くなり、生産性に劣る傾向となる。また、固形分酸価が180mgKOH/gより大きい場合には、逆に現像速度が速すぎて、現像後でのパターンハガレやパターン欠けの不具合が生じる傾向となる。
さらに、上記アクリル系樹脂が感光性を有する場合、このアクリル樹脂の二重結合当量は100以上であることが好ましく、より好ましくは100〜2000であり、最も好ましくは100〜1000である。二重結合当量が2000を越える場合には十分な光硬化性が得られない場合がある。
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、
カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。 感度向上にオキシム誘導体類(オキシム系化合物)が有効である。これらは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(増感剤)
重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1質量部から60質量部の量を含有させることができる。
(エチレン性不飽和化合物)
上記の光重合開始剤は、エチレン性不飽和化合物と共に用いることが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。中でも、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部との現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。 エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
上記光重合性開始剤、増感剤、及びエチレン性不飽和化合物は、後述する位相差層の形成に用いられる重合性液晶化合物を含む組成物に加えても良い。
(多官能チオール)
感光性着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.2〜150質量部、好ましくは0.2〜100質量部の量で用いることができる。
(貯蔵安定剤)
感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1質量部から10質量部の量で含有させることができる。
(密着向上剤)
感光性着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.01質量部から100質量部で含有させることができる。
(溶剤)
前記感光性着色組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。また、本発明の組成物がカラーフィルタの着色層である場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、800質量部から4000質量部、好ましくは1000質量部から2500質量部で含有させることができる。
(膜厚、液晶層の厚み および 液晶駆動電極)
本発明に係る技術は、上述したように、VAやTNなどの縦電界方式の液晶駆動方式に好適である。カラーフィルタ上の透明電極と、対向する基板である液晶駆動素子(TFT)の形成されたアレイ基板の画素電極との間で液晶の駆動電圧を印加する方式では、通常、液晶厚み(セルギャップ)は薄い方が液晶の応答速度を高めることができる。
上記した主要な液晶駆動方式では、液晶厚みはおよそ2μmから4μmの範囲である。また、液晶厚みを薄くした方が、斜め方向から見たときの着色(色変化)が小さくなるため、応答性や着色の改善の観点から、また、液晶材料の使用量の観点から液晶厚みは薄い方が良い。なお、着色画素の膜厚は、着色画素中央の表面から、当該着色画素の接している透明基板表面までの厚みを言う。
しかしながら、液晶厚みを薄くするほど、あるいは液晶の表示画面が大きくなるほど、液晶セル化時のゴミ・異物の影響が大きくなるので、縦電界方式での液晶厚みはおよそ3μmが下限である。液晶層厚みを薄くするためには、用いる液晶の屈折率異方性Δnは、0.07より大きいことが望ましい。
通常、液晶表示装置では、画素電極として用いる櫛歯状画素電極(通常、ITOと呼ばれる導電性金属酸化物薄膜)の櫛歯(ストライプ状パターン)のピッチを細かくすることで液晶の配向性や応答性、透過率を向上させることができる。なお、着色画素のそれぞれ主要な透過率ピークの波長に比例するように櫛歯のピッチを調整しても良い。
カラーフィルタ上もしくはカラーフィルタ下に形成する透明導電膜は、液晶配向を制御する開口部やスリットを有するものであっても良い。カラーフィルタを構成する着色画素の比誘電率は、着色画素に含まれる有機顔料の種類や顔料比率によるが、おおよそ3から4.5の範囲内にある。透明導電膜を着色画素の下部に配設する、後述の実施例4及び実施例5では、着色画素の比誘電率をそろえることが望ましい。
半透過型液晶表示装置では、透過部と反射部では光路差(反射部では、後述する光反射性の電極で入射光が反射し、液晶層を2回通過する)の関係で、反射部の液晶層の厚みを透過部のそれに対して1/2程度とすることが好ましい。
アレイ基板に配設した画素電極もしくは共通電極を、光反射性の金属(アルミニウム合金や銀合金)薄膜で形成することで、反射型液晶表示装置とすることができる。あるいは、画素電極をTFT配線に用いるアルミニウム合金を用いて、電気的に独立した反射膜として形成することができる。反射膜を、絶縁層を介して画素電極と当該反射膜とで補助容量(CS)として用いても良い。
(台座、スペーサ 及び 配向制御用構造物)
本実施形態に係るカラーフィルタ基板に用いられるスペーサ用台座は、少なくとも、後述するスペーサの形成される部分とTFTなどアクティブ素子の遮光に必要な部分にのみ形成すればよい。また、スペーサ用台座は、額縁部である遮光層と同一材料で同時に形成することが望ましい。具体的には、グレートーン(黒・グレー・白など少なくとも3段階以上に透過率を変えた部分を有する階調マスク)の類の複数種の透過率の異なるパターンを有するフォトマスク、あるいは、台座のパターンサイズより小さな開口部(開口部の大きさ調整で露光量を調節する)や開口形状を工夫した開口部を有するフォトマスクを用いて露光し、次いで現像するフォトリソグラフィの手法により、遮光層と台座を同時に形成することができる。
フォトマスクとして、遮光パターンを金属クロムの薄膜、半透過部をITOなどの金属酸化物膜、さらにこれらの膜形成のない透過部をもつフォトマスクを用いても良い。金属酸化物膜は、成膜条件や膜厚で透過率を調整できるメリットを持つ。
また、本発明者らは、額縁部(遮光層)と同一材料による台座や後述するブラックマトリクスにおいて、台座やブラックマトリクスの膜厚を薄くすることが平坦性向上に効果あることを確認している。本発明者らの精緻な検討結果によると、台座の膜厚は1.0μm以下であれば その上に積層される着色層の膜厚を安定して得やすい。
台座膜厚と台座上の着色層の積層部の膜厚の関係を図7に示す。図7に示すように、台座膜厚が1.2μmを超えてくると、その上に積層される着色層の膜厚は薄く急な変化を生じるようになり、不安定となる。逆に0.3μm以下の薄い膜厚では、フォトリソグラフィの工程で安定した膜厚を得にくい。ゆえ、台座の膜厚は、0.4μmから1.0μmが好ましい範囲となる。
後述するブラックマトリクスの膜厚は、0.4μm以下の薄い膜厚で形成しても良く、さらにはブラックマトリクスの形成を省いても良い。なお、図7は、着色層の膜厚を4.5μmとした場合の積層部の膜厚を示すものであるが、着色層の実用的な膜厚範囲である1.5μmから5μmの範囲において、同様な傾向を示す。透明導電膜を着色画素下部に配設する、後述の実施例4あるいは実施例5では、ブラックマトリクス膜厚を上記より厚く形成しても良く、また、カーボンなど導電性のある顔料を用いてブラックマトリクスを形成しても良い。
台座のパターン形状は、液晶を駆動するTFTなどアクティブ素子に入射する光による光電流の発生を抑制するための遮光パターンとして併用することができる。TFTなどアクティブ素子の遮光は光学濃度で1あれば十分なため、0.4μmから1.0μmの台座の膜厚と着色画素の重畳部膜厚との加算で足りる。また、本発明に係る構成では、台座上に複数層の着色層がスペーサとして積層されているため、遮光性をさらに加算することができる。
スペーサを形成する着色層の色の選択は、目的や仕様に応じて適宜選択することができる。たとえば、TFTなどアクティブ素子への遮光性を優先するのであれば、短波長の光の遮光性ある赤色着色層を含むように選択することができる。丸みを帯びた形状を優先するのであれば、他の2色と比較して顔料含有量が少なく流動性のある青色着色層を3層積層や2層積層のスペーサの最上層として選択することができる。
本実施形態に係るカラーフィルタでは、青色画素、赤色画素、緑色画素の他に、黄色画素などの補色による着色画素あるいは白色(透明)画素を設けた4色以上のカラーフィルタとしても良い。液晶厚みにあわせた高さのスペーサ(メインスペーサ)の他に、高さの低いサブスペーサを配設しても良い。メインスペーサが3層積層である場合は、たとえば2層積層のサブスペーサを額縁部のみに配設しても良い。メインスペーサ、サブスペーサは、それぞれ単層の着色層としても良いし、透明樹脂で形成しても良い。サブスペーサは、グレートーンマスクなど透過率の異なる開口部を持つフォトマスクを用いたり、小径の開口部をもつフォトマスクを用いることで低い高さのスペーサとすることができる。
あるいは、スペーサや液晶の配向制御用構造物を透明導電膜上に形成しても良い。スペーサと配向制御用構造物の双方を形成する場合は、上記と同様、着色樹脂あるいは透明樹脂を用いて同一材料で同時に形成しても良い。
本発明に係る技術は、近い将来の薄い液晶層を有する液晶表示装置に適用できるものであるが、液晶の流動性の悪い薄い液晶層では、たとえば、液晶の封入口近くのスペーサ形成の配置を変えるなど、液晶セル化時の液晶材料の流れを勘案して、スペーサ数やレイアウトを調整しても良い。本実施形態に係るカラーフィルタ基板において、遮光層と台座は、後述するように、同一のフォトリソグラフィの工程で形成することができる。
本実施形態に係るカラーフィルタ基板において、スペーサは、着色画素単位で、例えば画素の中央長手方向(画素中央あるいは画素長辺の中央一ヶ所、あるいは透過部と反射部のそれぞれ中央1ヶ所)に形成し、液晶配向制御機能を兼ねる構造物として形成することができる。この構造物の平面視形状は、円形、菱形、多角形、十字形状などを採用することができる。液晶を駆動するTFT素子も、この液晶配向制御構造物であるスペーサ位置に合わせて、画素の中央長手方向に形成することができる。たとえば、平面視で菱形の液晶配向制御構造物としたとき、TFT基板側の画素電極は、菱形の同心形状のスリット状(V字形に透明電極の開口部とパターンを交互に並べたスリット形状)でスペーサを囲むように配設すればよい。
光配向法を用いることにより、液晶の配向を区分する機能を有する配向制御用構造物を、上記のような形状として形成することができる。例えば、水平配向機能をもつ光配向材料と垂直配向機能をもつ光配向材料などの複数種類の配向膜混合材料を塗布して配向膜を形成し、画素中央部から紫外線拡散光を照射することにより、画素中央から液晶チルトの方向や勾配を、平面視、点対称(あるいは線対称)方向に付与することが出来る。1つの画素を線対称の液晶配向とする例として、例えば、上記配向制御構造物を起点として、アレイ基板側の画素を左右に分割した、異なる配向方向とし、カラーフィルタ基板側の上下で異なる配向方向とすることができる。
液晶配向に用いる紫外線は非偏光であっても良いが、偏光させた紫外線が制御の観点で好ましい。アレイ基板側の配向膜が液晶チルトの勾配を一画素内で点対称に付与させた構成では、カラーフィルタ基板に形成される画素の中央(あるいは、それぞれ透過部・反射部の中央)に上記配向制御構造物を形成することが好ましい。アレイ基板の配向膜に点対称・線対称の配向方向性を持たせ、カラーフィルタ上に形成される液晶の配向膜に、たとえば垂直方向の均一な配向を付与することでも、広視野角に好適な液晶ドメインを形成することができる。アレイ基板に形成する光反射性の電極(反射電極)もしくは反射膜のため、透過部とのバランスのとれた光配向が難しい場合、カラーフィルタ基板側に液晶のための配向勾配を形成し、アレイ基板側を均一な配向としても良い。
なお、光配向膜の形成に先立って、あらかじめ紫外線吸収層をカラーフィルタ上に形成しても良い。紫外線吸収層は、クマリン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサジノンなどの紫外線吸収剤を透明樹脂に固形比で0.5重量%から10重量%程度含有させた塗膜として、カラーフィルタ上に積層すれば良い。紫外線吸収層の上にさらに薄膜の透明樹脂層を積層しても良い。
本発明者らが提案するスペーサと配向制御用構造物を兼用する構成は、実質的に液晶表示装置の開口率を上げ、明るさを向上することができる。一般に配向制御用構造物は、その高さを高く形成するかあるいは高い密度で形成することにより、液晶の応答性を向上できるが、これらの技術は、実質的に画素の開口率の低下につながる。本発明の提案技術では、スペーサと配向制御用構造物を兼用することができるので開口率の低下につながらない。
本実施形態に係るカラーフィルタ基板に用いるスペーサは、スペーサの熱硬化時に流動性豊かな、例えば、青色着色層を最上層としてスペーサ全体を覆うことにより、滑らかな断面形状で形成することができる。
スペーサを単色(たとえば、赤色着色層)で形成することも可能である。スペーサを単色で形成することは、以下のメリットがある。即ち、着色層の2層や3層を積層して独立した配置でスペーサを形成する技術は、単純な色重ねをスペーサとして用いる技術(特許文献1)より液晶配向の点で有利である。しかし、2回、3回と色重ねするときの位置ズレを吸収するため、1色目の着色積層部の底面積を大きく形成する必要があり、画素開口率に悪影響がある。加えて、独立した細い形状で高さのあるスペーサを着色層の積層により形成する場合、1色目、2色目、3色目で着色画素の膜厚から遊離した薄い膜厚での積層となり、スペーサの高さ設計や、製造工程で条件を確認する上での困難さがある。こうした着色層の2層や3層で独立した配置でスペーサを形成する技術は、用いるカラーレジストの品種や、製造するカラーフィルタの品種毎に前記の確認作業が必要となり、問題であった。スペーサを単色で形成することは、こうした問題を解消することができる。
上記着色層からなるスペーサに替えて、透明導電膜形成後あるいは液晶配向膜形成後に透明樹脂や着色樹脂によりスペーサを形成することができる。透明導電膜後に形成したスペーサの表面は、アレイ基板側の液晶配向に支障ないよう、親水性付与など必要な表面処理を施すことができる。スペーサないし配向制御用構造物は、低誘電率の材料であるのが好ましい。
(ブラックマトリクスの膜厚)
図8は、本発明の更に他の実施形態に係るカラーフィルタ基板における、遮光層2、台座4、ブラックマトリクス8、赤色画素3R、緑色画素3G、着色層の積層によるスペーサ5、高さの低いサブスペーサ6、セルギャップ調整層15の平面視配置を示す図である。即ち、図8には、赤色画素3R、緑色画素3G、及び青色画素3Bからなる3色の着色画素を区分するブラックマトリクス8が設けられている。なお、図8のC−C’断面を図2に示す。
本発明の一実施形態における特徴の一つは、遮光層と遮光層上に積層したセルギャップ規制層と合計膜厚と、緑色画素の厚みを略同一とし、液晶の配向に適した平坦性を有し、液晶配向不良による額縁部での光漏れのないカラーフィルタ基板を提供することにある。本発明者らは、額縁部(遮光層)と同一材料によるブラックマトリクスにおいて、その膜厚が平坦性向上に影響することを確認している。なお、ブラックマトリクスは、通常、コントラストを向上させる目的で着色画素を囲むように形成する格子状の遮光パターンであるが、ストライプ状に画素長手方向に形成しても良い。さらに本発明において、ブラックマトリクスを省いたカラーフィルタ基板であっても良い。あるいは、ブラックマトリクス、台座、及び厚みの異なる遮光層を、異なるフォトマスクを用いて2回の工程で形成しても良い。あるいは、レーザ照射露光でのショット回数を調整して膜厚の異なるブラックマトリクス、台座、及び遮光層を形成しても良い。
図9は、ブラックマトリクスの膜厚と、ブラックマトリクス8上で重畳する着色画素端部の突起上高さとの関係を示すものである。ブラックマトリクス8の膜厚が1.1μmを超えると、突起7の高さは著しく高くなり、液晶配向に好ましくない高さとなる。ブラックマトリクスの膜厚が1μmより薄いと、さらには0.8μmより薄いと、着色画素端部の突起高さは0.25μm、さらには0.2μmより低い高さとなる。
着色画素の膜厚のバラツキを含めた平坦性は、±0.15μmを下回る良好な平坦性を確保することができ、VA方式やHAN方式などの高画質液晶表示装置の高い要求に応えるカラーフィルタを提供することができる。また、人の目の視感度が高い緑の波長550nmの1/4波長のレンジ(±0.15μm)以内の高い平坦性をもつカラーフィルタとなり、着色ムラを減らすことができる。しかしながら、カラーフィルタ上に透明樹脂にて平坦化層を積層する構成では、ブラックマトリクスや台座の膜厚は、1μmを超える膜厚であっても構わない。平坦化層の膜厚は、1μmから3μmの範囲が一般的である。
ブラックマトリクスは、上記台座と同様に、グレートーンマスクやハーフトーンマスクなどを用いるフォトリソグラフィの手法で、遮光層とともに同時に形成することができる。あるいは、レーザ露光を用いて、遮光層とブラックマトリクスの露光量を、ショット回数を変えることにより膜厚差を付けて形成しても良い。
なお、図9は、0.4μm未満の膜厚のブラックマトリクスを示していないが、薄い膜厚のブラックマトリクスに重畳された突起の高さは、低くなることを本発明者らは確認している。遮光層(額縁部)と異なり、ブラックマトリクスの遮光性はさほど要求されないので、本発明においてブラックマトリクスの形成を省き、異なる色の着色層の重畳のみでブラックマトリスの代替としても良い。なお、透過型液晶表示装置の裏面に配設される光源(バックライト)からの光は、TFTなどアクティブ素子の走査線や信号線で遮光することができる。
なお、有効表示領域内でのスペーサ5の高さはと略同一となるが、高さの調整は、台座厚み及び着色層の選択、カラーフィルタ製造工程での塗布、現像、硬膜等のプロセス、スペーサ径(大きさ)などにより種々調整可能である。また、スペーサ5を形成していない台座4’は、赤色画素R、緑色画素G、青色画素Bの開口率の調整及びTFTなどのアクティブ素子を遮光する目的で配設してある。
また、後述する実施例5に示すブラックマトリクス上に透明導電膜を形成する構成では、有効な斜め電界の形成のため、ブラックマトリクスの膜厚を1μm以上の厚い膜厚で形成することができる。
(セルギャップ調整層)
本発明に係るセルギャップ調整層15を、着色画素上に部分的に配設される例として、図2に示した。この例では、セルギャップ調整層15は、平面視反射部25と同じ位置の、着色画素3Gの反射部及び位相差層11の上部に積層される。上述したように、セルギャップ調整層15は、透過部と反射部の光路差を調整する目的で配設する。そのため、少なくとも可視光の高い透過性と液晶パネル工程で必要な耐熱性のある樹脂材料をセルギャップ調整層に用いることができる。図3に示すように、額縁状の遮光層2上にもセルギャップ調整層15’が配設され、セルギャップ調整層15’と遮光層2の膜厚の合計は、緑色画素の膜厚と略等しくなっている。
なお、セルギャップ調整層15は、液晶表示装置として液晶の透過部と反射部の光路差を調整することが主目的であるが、例えば、感光性のアルカリ可溶性樹脂を用いるとともにグレートーンマスクなど部分的に透過率の異なるフォトマスクを用いて厚みを変えて形成しても良い。着色画素の主要透過部の光の波長に合わせて厚みを変えても良い。反射部に厚く形成するだけでなく、透過部に薄い膜厚でセルギャップ調整層を形成しても良い。
セルギャップ調整層15は、上述した透明樹脂、アルカリ可溶性樹脂、アクリル樹脂により形成することができる。セルギャップ調整層15は、パターン状に形成するため、フォトリソグラフィ工程によりパターニング可能なアルカリ可溶性樹脂をその材料として用いることが好ましい。熱硬化型樹脂を用いても、ドライエッチングやリフトオフの手法でパターン形成することが可能である。なお、図1に示す実施形態におけるように、セルギャップ調整層を光散乱層12により構成することが更に好ましい。
上述したように、本発明に係るカラーフィルタ基板は、特に、半透過型液晶表示装置に適用される。本発明のカラーフィルタの着色画素は透過部と反射部に区分されるが、その反射部には、図2に示すように光散乱層12が、着色画素の反射部に配設される。即ち、着色画素の反射部の凹部内に形成された位相差層11上の平面視同じ位置に、光散乱層12が配設される。
光散乱層12は単一あるいは複数種の非晶質微粒子が屈折率の異なるマトリクス樹脂14中に分散して成るもので、入射光を散乱させて観察者の目にペーパーホワイト様の効果を持たせる光機能膜である。マトリクス樹脂14は、耐熱性あり可視域透過である透明樹脂であれば良い。光散乱層12の膜厚は、非晶質微粒子径・光の波長及び製造工程での適合しやすさの関係でおおよそ1.5μm〜5μmの範囲が好ましい。
光散乱層12の非晶質微粒子13としては、無機物から成る微粒子及び有機ポリマーから成る微粒子を例示できる。特に、非晶質であるということから有機ポリマー微粒子が主としてあげられるが、無機物微粒子であっても、非晶質であれば問題ない。 後述する相分離によりマトリクス樹脂中に非晶質微粒子を発現する方式であっても良い。非晶質微粒子をフォトリソグラフィの手法で形成し、その上にマトリクス樹脂(以下、透明樹脂として記載)を塗布する方法で形成しても良い。
例えば、無機物微粒子であればシリカやアルミナの酸化物等の球状の非晶質微粒子、有機ポリマー微粒子としては、アクリル微粒子やスチレンアクリル微粒子及びその架橋体、メラミン微粒子、メラミン−ホルマリン縮合物、(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー、シリコン樹脂微粒子等を例示できるが、そのなかでも、架橋アクリル樹脂微粒子は屈折率が1.5未満であり、更にシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子は屈折率が1.42〜1.45(ハロゲンランプD線589nm)と小さいため、特に好ましい。
また、これらの微粒子は、光散乱層中の微粒子として主として含まれていれば良く、例えば、微粒子の70%程度以上が含まれていれば良い。これらの微粒子の他に、塗液中での微粒子の分散安定性や、光散乱特性の微調整等を目的として、不定形微粒子等の非球状微粒子や、結晶性微粒子を30%程度以下の少量加えても良い。
更に、これ等の微粒子に適当な表面処理を施し、溶剤分散性や透明樹脂との相性を改善した上で、上記微粒子として適用することも可能である。このような表面処理の例としては、例えば、SiO2 、ZrO2、Al2O3、ZnO、透明樹脂、カップリング剤、又は、界面活性剤等を塗布被覆する処理が挙げられる。また、その他、アルコール、あるいはアミンや有機酸等で表面反応を生じさせたりする処理が例示できる。
非晶質微粒子13の形状は特に限定するものではないが、球形または球形に類似する形状である。球形微粒子はサイズ、粒径分布等のコントロールが容易であり、従って、光散乱層12の光学特性の制御が容易になる。微粒子の粒径としては、目的とする光散乱層の膜厚や着色有無により許容範囲が異なり、特に限定されない。しかし、通常、光散乱層の膜厚よりも大きい微粒子を使用すると、光散乱層の表面が非常に粗くなってしまい、あまり好ましくない。上記微粒子の粒径としては特に限定しないが、好ましい粒径範囲としては、平均粒子径0.8μm〜3μm程度、好ましくは平均粒子径1μm〜2μmである。
微粒子の比重は、光散乱層の光学特性に直接影響するものではないが、光散乱層12を形成する際の塗布特性に多大な影響を及ぼし、ひいては光散乱層12自身の特性にも関係する。従って、その値は、マトリクス樹脂14の溶液の比重に近い事が、塗液の安定性にとって望ましい。
上記微粒子を分散させるマトリクス樹脂14としては、可視光線透過率が高く、また液晶表示装置の製造工程中における熱処理や薬品処理に対する十分な耐性を具備するものが望ましく、例えば、屈折率の高い樹脂としてエポキシ変性アクリル樹脂、フローレン樹脂、ポリイミド樹脂が、また屈折率の低い樹脂としてフッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂が適用できる。その他アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が適宜使用できる。
光散乱膜層をフォトリソグラフィ工程でパターン状に設ける場合には、感光性と現像性とを有するアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が利用できる。また、これらの樹脂に熱硬化や紫外線硬化を付与し、併用することも可能である。
例えば、微粒子の屈折率が1.49(ハロゲンランプD線589nmを用いての値)の架橋アクリル微粒子である場合、マトリクス樹脂の屈折率は1.55〜1.65であることが好ましい。また、微粒子が屈折率1.42〜1.45のシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子である場合、マトリクス樹脂は、屈折率1.50〜1.60であることが好ましい。
上記光散乱層12は、非晶質微粒子13をマトリクス樹脂である透明樹脂14中に混合・分散して透明基板上に塗布し、乾燥した後、フォトリソグラフィ工程を経て任意の形状に形成する。尚、塗布方法としては、スピンコート、フローコート、ロールコート法等が適用でき、露光方法としては投影露光、プロキシミティ露光が適用できる。
光散乱層12中の非晶質微粒子13としては、二つの樹脂を混合し、相分離することにより形成可能な微粒子が例示できる。異なる屈折率を有する二つ以上の樹脂、添加材を適量選定し、溶剤中に溶解した塗液を基板上に塗布乾燥することにより、非晶質微粒子13を形成することができる。
相分離は二つの樹脂を溶液中に混合した時点で、或いは基板上に塗布乾燥して溶剤が揮発していく過程で成長し、塗膜が乾燥した時点で透明な非晶質微粒子13が形成できる。このとき、溶液中では相分離した一方の樹脂が球形に成長しようとするが、基板上に塗布した場合、塗膜中の溶剤が揮発するに従い膜容積が減少し、且つ該球形は成長して容積を増していくが、上面からの応力で球形から円盤状に変形しながら成長する。
二つの樹脂溶液から一方の樹脂が液滴として生成成長し、非晶質微粒子13が形成する条件は、一方の樹脂をA、他の樹脂をBとすると
1)Aの量がBの量より少ないこと、
2)A溶液の表面張力がB溶液の表面張力より大きいこと、
3)A溶液の蒸発速度がB溶液の蒸発速度より大きいこと、
4)Aの分子量がBの分子量より大きいこと
等があげられるが、特に量の大小は強度の制約条件である。
非晶質微粒子が、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成し、形成されると、非晶質微粒子が膜の内部に留まり、表面に出ることがないので、光散乱膜層の表面が平坦になり、さらにカラーフィルタの膜厚も均一なものとなる。
相分離して形成した透明マトリクス樹脂14及び非晶質微粒子13は、可視光線透過率が高く、また液晶表示装置の製造工程中における熱処理や薬品処理に対する十分な耐性を具備するものが望ましい。
例えば、屈折率の高い樹脂としてエポキシ変性アクリル樹脂、フローレン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂が、また、屈折率の低い樹脂としてフッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂が適用できる。その他アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が適宜使用できる。
非晶質微粒子は球形状のものが入手し易く、また、透明なシリカ、シリコン樹脂の屈折率は1.43〜1.44、架橋アクリル樹脂の屈折率は1.49であり、屈折率の高い樹脂として適用できる。
光散乱層をフォトリソグラフィ工程でパターン状に設ける場合には、感光性と現像性とを有するアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が利用できる。また、熱硬化性樹脂や紫外線硬化型樹脂を利用することも可能である。
上記樹脂以外にも、塗布適性を改善するための界面活性剤、感光性を付与させるための光重合開始剤、増感剤、等を添加することができる。
光散乱層12中の非晶質微粒子13として前記二例とは異なる形状、異なる製造プロセスが例示できる。すなわち、透明樹脂を基板上に塗布乾燥しフォトリソグラフィ法等の手段を用いて膜厚数μm、パターンサイズ数μmから数十μmの微細なレリーフを多数形成し、加熱によって該レリーフを軟化させ、しかる後、熱架橋させる。この上に屈折率の異なる透明樹脂を塗布する事により、光散乱膜層が形成できる。
非晶質微粒子が微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズであると、パターン形状(大きさと形、密度)を変更することで光散乱特性を調整できる。あるいは、マイクロレンズの断面形状を非対称にする、あるいは放物線形状にすることによって指向性ある光散乱層とすることができる。
セルギャップ調整層である光散乱層のパターンの大きさは、位相差層の平面視の大きさと同じ大きさか、あるいは位相差層より大きい大きさのパターンで形成することが望ましい。
なお、本実施形態に係るカラーフィルタ基板を用いて構成した液晶表示装置において、セルギャップ調整層をカラーフィルタ基板に対向するアレイ基板に形成した場合には、カラーフィルタ基板上のセルギャップ調整層を省くことができる。あるいは、透過部と反射部の液晶層の厚みが近い半透過型液晶表示装置(たとえば、特開2003−29252号公報や特開2009−93115号公報に開示される技術)に適用するカラーフィルタ基板では、セルギャップ調整層をより薄い厚みにするか、あるいはこれを省いた構成とすることができる。
(着色画素の重畳形状)
TFT用露光装置は、3σが1.5μmの高いアライメント精度の装置が市販されている。TFTの場合には、金属配線に付されたアライメントマークが用いられているが、カラーフィルタの場合には、それと異なり、有機物膜(例えばブラックマトリクスなどの感光性着色組成物膜)に付されたアライメントマークを用いる。また、積層していく着色層も同様に、アライメントマークは有機物膜に付され、有機物膜の膜厚も1μmから4μmとTFTの配線と比較して厚く、パターンエッヂにもテーパが形成されるため、そのアライメント精度は、3σで4.5μmのアライメント精度が少なくとも必要となる。
上述したように、VAやTN方式の液晶表示装置の液晶厚みは、約2μm〜4μmである。本発明のカラーフィルタにおける着色層の厚みは、その液晶厚みの0.6倍〜1倍程度である。従って、着色層の具体的厚みは、約1.2μm〜4μmとなる。
なお、ブラックマトリクスの画線幅は、モバイル(小型)液晶表示装置向けと大型TV向けで異なるが、約5μm〜30μmである。画素の開口率を優先する場合には、上述したように、ブラックマトリクスの形成を省いても良い。
図10に厚い膜厚の着色画素22のパターンエッヂ形状を、図11に薄い膜厚の着色画素23のパターンエッヂ形状をそれぞれ示す。アライメントに関わるパターンエッヂの長さm、nを4.5μmとし、着色画素22の膜厚s,着色画素23の膜厚tに、上述した着色層の厚み1.2μm以上4.0μm以下を適用し、そのパターンエッジのテーパ角度θ1,θ2(着色画素端部の透明基板1の面となす角度)を計算すると、その角度範囲は、約15°以上40°以下となる。従って、着色層22,23の膜厚s,tにもよるが、良好な平坦性を得るためには、15°以上40°以下のテーパ角度で着色画素の端部形状を形成することが望ましい。
なお、着色画素の端部形状は、重合開始剤の量、現像方法、露光量などを変えるなど、種々の方法で制御することができる。着色画素の平面視形状は、着色画素の連続したストライプ形状であるのが好ましい。
本実施形態に係るカラーフィルタ基板上に、カラーフィルタ表面の微妙なテクスチャーや、後述するセルギャップ調整層表面や、セルギャップ調整層形成前の処理(配向処理)等の0.1μm以下の表面の凹凸をカバーする目的や、電気絶縁性を向上させる観点で、透明樹脂からなる保護層や絶縁層を積層しても良い。保護層は、スペーサの高さをある程度確保するために、用いる透明樹脂の分子量を大きくするなどの工夫により、追随性を確保(平坦性確保と逆の方向)しやすいものを形成することができる。保護層を、たとえば0.05μm〜0.3μmの薄い膜厚で塗布形成することにより、スペーサ高さを確保することができる。また、あらかじめスペーサを高く形成することで、透明樹脂などで膜厚1μm以上の保護層を形成してもよい。保護層は、配向膜を兼ねても良いし、後述する位相差層の前処理の前にあらかじめ塗布形成しても良い。あるいは、位相差層や液晶の配向膜の光配向をアシストする添加剤(たとえば紫外線吸収剤)を含有するものであっても良い。さらに、保護層を介してITOなどと呼称される金属酸化物の薄膜による透明導電膜を形成しても良い。また、遮光層と同じ材料で突起をあらかじめ画素内に形成し、さらに着色層を積層して配向制御用構造物として用いても良い。スペーサと配向制御用構造物を兼用しても良い。例えば、TFT基板側の液晶を駆動するTFT素子と、カラーフィルタ基板側の台座とを向かい合うように画素中心に形成することで垂直配向の液晶ディスプレイのスペーサと配向制御用構造物として兼用することができる。
透明導電膜は、櫛歯状に形成しても良く、液晶配向制御や液晶のディスクリネーション防止を目的に 開口部であるスリットを透明導電膜に形成しても良い。あるいは、HANや特許文献8に開示される技術における斜め電界効果付与のためなどに必要なパターンの形成を、透明導電膜に対し実施することができる。
(位相差層)
半透過型液晶表示装置の反射部は、透過部と比較して光路差のほかに液晶に起因する位相差の差が生じる。このような反射部と透過部の位相差の違いにより、反射部の反射光や黒表示に着色を生じたり、あるいはノーマリブラック表示であるはずの表示がノーマリホワイト表示となることがあり、位相差の問題は大きい。
これに対し、入射光を1/4波長位相差をずらし、反射電極での反射によってさらに1/4波長分位相差を加えることで、この問題を解消することができる(直線偏光に変換した入射光を該位相差層の厚み方向に1回の往復にて90度偏光回転させる)。
本発明に係る半透過型液晶表示装置において、位相差層に1/4波長位相、あるいは1/2波長位相を変化させる機能を付与する具体的な手法として、高分子液晶や架橋性高分子液晶溶液を用いた塗布形成方法、上述したアルカリ可溶な透明樹脂に複屈折調整剤を添加し形成する方法、重合性液晶化合物を用いる方法などが挙げられる。重合性液晶化合物の場合は、円盤状の分子構造を有するディスコティック重合性液晶化合物や棒状重合性液晶化合物を用いることができる。これらの列記した方法や材料を組み合わせて形成しても良い。
また、偏光を1/4波長位相あるいは1/2波長位相変化させる機能付与の再現性を高めるため、位相差層の形成前に配向膜の形成や配向処理を施しても良い。重合性液晶化合物のように露光の量や露光波長で配向調整ができる場合は、着色画素の色によってその配向の密度や配向方向を調整することができる。配向膜の配向処理も、上記重合性液晶化合物と同様の光配向処理を採用できる。
露光機は、超高圧水銀灯、YAGレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどを露光波長も含め適宜選択することができる。レーザ露光のように露光波長の選択やレーザショット回数による露光量調整、レーザ光の入射角度等で、配向の密度や配向方向を調整することができる。複数のフォトマスクを用いて対応する着色画素毎に選択露光しても良い。複数方向からの照射を一度に行っても良い。また、露光は、偏光照射あるいは非偏光照射を問わない。先に偏光照射を行って後、加温しながら非偏光照射で固定化を行っても良い。酸素阻害がある場合は、不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
位相差層の膜厚は、0.5μmから5μm程度の範囲で、カラーフィルタ構成材料のみやあるいは液晶表示装置に適用する液晶の複屈折率にあわせて調整すればよい。位相差層の位相差の差は、露光量のほか重合性液晶化合物に加える重合性開始剤の添加量やその種類、ブレンドにより調整することができる。また、重合性液晶化合物がモノマーである場合、モノマーの反応性基を複数とすることで架橋密度をあげ、信頼性高い位相差層とすることができる。
位相差層を、着色画素のそれぞれ主要な透過光の波長に合わせた位相差層とすることもできる。ノーマリブラック表示の場合、着色画素上に形成する位相差層のみでなく、遮光層(額縁部)上の位相差層にも1/4波長、あるいは1/2波長位相変化させる機能を付与することで、光漏れをなくすことができる。さらに、1/4波長層と1/2波長層を重ねて広帯域位相差層としても良い。ノーマリブラック表示の液晶表示装置において、位相差層11’を額縁状の遮光層2上に、位相差層11’と遮光層11の合計膜厚と緑色画素の膜厚とがほぼ等しくなるように形成することで、光漏れを無くし、画質向上につなげることができる。
重合性液晶化合物を位相差層として用いる場合、位相差層形成前に前処理として配向膜を塗布形成し、配向処理を行っても良い。また、位相差層を形成してカラーフィルタ基板とした後、液晶配向のための配向膜を形成することが望ましい。当配向膜が紫外線等のエネルギー線で配向量を調整できる配向膜である場合は、上述したようなレーザ露光で透過部と反射部の配向量を変えたり、また、色毎の配向を異ならせることができる。あるいは、位相差層の配向処理に用いた配向膜を透過部の液晶配向に用い、また、反射部の位相差層には異なる配向機能をもつ膜を別途形成することもできる。
位相差層の下地となる配向膜に用いることのできる有機化合物には、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
カラーフィルタの着色画素表面をラビングすることでも配向効果を得ることができる。さらに、市販の配向膜材料が適用でき、例えば 日産化学社製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製の配向膜材料(QL、LXシリーズ)、JSR社製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ社製の配向剤(リクソンアライナー)等が挙げられる。これら配向膜材料は、インクジェット用インクとして粘度調整を行う場合、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、シクロヘキサノンなどの有機溶剤の添加にて可能である。
位相差層の下地となる配向膜の配向処理は、液晶表示装置として用いる液晶の配向膜の配向方法と同じ方法が採用できる。例えば、機械的に配向膜の表面を擦るラビング手法のほか、紫外光を用いる光配向の方法であっても良い。紫外光の光源は、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、ショートアーク型のキセノンランプ、固体レーザ、YAGレーザ、半導体レーザなど露光する紫外光の波長、照射角度、照射量など適宜選択できる。紫外光は、2方向、4方向など複数の方向からの照射方法を採用しても良い。
後述する本発明の実施例では、配向膜のパターン形成に最も簡便なインクジェット方式で行った例について説明するが、現像処理可能な感光性の配向膜材料を用い、フォトリソグラフィの手法でパターン形成を行っても良い。
セルギャップ調整層あるいは位相差層を、遮光部上に積層して遮光部段差を少なくすることは望ましい。図14に示すように、従来、カラーフィルタの着色画素3と遮光層2で生じていた段差aに起因する液晶配向ムラが、カラーフィルタの平坦性向上で改善されるのがその理由である。
なお、本発明に係るカラーフィルタ基板の透過部と反射部の面積比率は、その液晶表示装置の使用目的・条件で調整することができる。
(遮光層材料/黒色組成物の調製)
(顔料分散体RD1)
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177=80/20(重量比)混合物20部、分散剤としてBYK−2001を5部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部を、ビーズミルにより処理して、顔料分散体(RD1)を調製した。
(顔料分散体YD1)
着色剤としてC.I.ピグメントイエロー150を20部、分散剤としてソルスパース24000を5部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部を、ビーズミルにより処理して、顔料分散体(YD1)を調製した。
(顔料分散液BD1)
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を20部、分散剤としてアジスパーPB−821を5部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部を、ビーズミルにより処理して、顔料分散体(BD1)を調製した。
(顔料分散液VD1)
着色剤としてC.I.ピグメントバイオレット23を20部、分散剤としてアジスパーPB−821を5部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部を、ビーズミルにより処理して、顔料分散体(VD1)を調製した。
(樹脂溶液(P1)の合成)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
スチレン 60部
メタクリル酸 60部
メチルメタクリレート 65部
ブチルメタクリレート 65部
熱重合開始剤 10部
連鎖移動剤 3部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(P1)とした。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約10,000であった。
(黒色組成物)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して黒色組成物を得た。黒色組成物は、後の実施例で遮光層及び台座の形成に用いる。
上記顔料分散液(RD1) 21部
上記顔料分散液(BD1) 17部
上記顔料分散液(YD1) 4部
樹脂溶液(P−1) 9部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.8部
光重合開始剤
(チバガイギー社製「イルガキュア−369」) 2.8部
光増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
シクロヘキサノン 36.2部
以上のようにして得た黒色組成物は、塗布形成後の硬化させた膜厚1μmで、およそ1.8の光学濃度(OD値)である。塗布条件により膜厚調整が可能である。樹脂の固形比(樹脂溶液)の成分比調整で塗膜の光学濃度の調整も可能である。なお、上記黒色組成物では、緑色有機顔料は遮光性が悪いため、添加をしていない。
(光学濃度(OD)の測定)
光学濃度(OD値)は物質が光を吸収する程度を表わす値であり、光路長が一定のとき、OD値が大きいほど物質の濃度が高いことを示す。本発明における光学濃度(OD値)は下記数式(1)で表される。上記にて得られた黒色組成物塗布基板をオリンパス社製分光器OSP−200を用いてC光源での三刺激値Yを測定し、式1を用いて光学濃度(OD)を算出した。
〔式1〕
光学濃度(OD)=−log(Y/100)・・・(1)
(但し、YはC光源での三刺激値Yである)
測定用試料として、有機溶剤で希釈し、濃度調整した黒色組成物Blkをガラス基板上に1μmの厚さに塗工し、自然乾燥させた。ホットプレートにて90℃で1分間加熱して、余剰の溶剤を除去乾燥させた。その後、230℃にて1時間オーブンで焼成を行って遮光層の光学濃度測定試料とした。光学濃度(OD)は、およそ1.8であった。
塗布条件により、膜厚の調整が可能である。また、樹脂溶液の成分(固形分)比の調整により、濃度を制御することも可能である。上記黒色組成物で、膜厚を4μmから5μmと厚く形成する場合には、樹脂溶液と溶剤(シクロヘキサノンなど)の配合量を増やし、有機顔料濃度を黒色組成物の10%前後にすることで対応することができる。このときの遮光性は、光学濃度で3から4の範囲に設定することができる。
後述する実施例では、黒色組成物の樹脂固形比および溶剤量を調整して、膜厚1.6μmにて光学濃度を約3とした。
(光散乱層用樹脂組成物の調製)
感光性の光散乱層用樹脂組成物を以下に示す組成で調製した。
アルカリ可溶型感光性透明樹脂A2
:フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂 4.5重量部
透明粒子B3:MX180(綜研化学社製) 2重量部
光重合開始剤C:イルガキュア819
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.45重量部
溶剤D:シクロヘキサノン 21重量部
光重合モノマーE:M400(東亞合成社製) 2重量部
A2とCとEを混合し、塗布し、乾燥し、露光(200mJ/cm2 )し、現像した後、230℃で60分間硬膜化した後の透明樹脂の屈折率は、1.58(D線589nm)であった。
上記A2、B3、C、D、Eを重量比でA2:B3:C:D:E=4.5:2:0.45:21:2にしてメディアレス分散機で3時間混合撹拌し、光散乱層用樹脂組成物を得た。このときの組成物の粘度は14cp/25℃であった。
(着色画素材料/着色組成物の調製)
[顔料製造例R2]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」;R−1)100部、色素誘導体(D−1)18部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部のソルトミリング処理顔料(R2)を得た。
[顔料製造例R3]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D−2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、102部のソルトミリング処理顔料(R3)を得た。
[顔料製造例R4]
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填し、ナトリウム11.04部を添加し、この混合物を92〜102℃に加熱した。溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持した。
得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの44.2部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を、80℃でtert−アミルアルコール50部中に溶解した溶液を、80〜98℃で2時間かけて導入した。導入後、この反応混合物を80℃でさらに3時間撹拌し、同時にジイソプロピルスクシナート4.88部を滴下添加した。
この反応混合物を室温に冷却し、メタノール270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物に添加し、20℃で攪拌を6時間続けた。得られた赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の赤色顔料(R4)を得た。
[顔料製造例G2]
塩化アルミニウム356部および塩化ナトリウム6部の200℃の溶融塩に、亜鉛フタ
ロシアニン46部を溶解し、130℃まで冷却し、1時間攪拌した。反応温度を180℃に昇温し、臭素を1時間あたり10部で10時間滴下した。その後、塩素を1時間あたり0.8部で5時間導入した。
この反応液を水3200部に徐々に注入したのち、濾過、水洗して107.8部の粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の1分子内に含まれる平均臭素化数は14.1個、平均塩素数は1.9個であった。なお、当実施例において、臭素化数を限定するものでない。
得られた粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G2)を得た。
[顔料製造例Y2]
セパラブルフラスコに水150部を仕込み、さらに攪拌しながら35%塩酸63部を仕込み、塩酸溶液を調製した。発泡に注意しながらベンゼンスルホニルヒドラジド38.7部を仕込み、液温が0℃以下になるまで氷を追加した。冷却後、30分かけて亜硝酸ナトリウム19部を仕込み、0〜15℃の間で30分撹拌した後、ヨウ化カリウムでんぷん紙で着色が認められなくなるまでスルファミン酸を仕込んだ。
次に、バルビツール酸25.6部を添加した後、55℃まで昇温し、2時間そのまま撹拌した。次いで、バルビツール酸25.6部を投入し、80℃まで昇温した後、pHが5になるまで水酸化ナトリウムを投入した。さらに80℃で3時間撹拌した後、70℃まで温度を下げ、濾過し、温水洗浄を行った。
得られたプレスケーキを1200部の温水にリスラリーした後、80℃で2時間攪拌した。その後、そのままの温度で濾過を行い、80℃の水2000部で温水洗浄を行い、ベンゼンホンアミドが濾液側へ移行していることを確認した。得られたプレスケーキを80℃で乾燥し、アゾバルビツール酸ジナトリウム塩61.0部を得た。
次いで、セパラブルフラスコに水200部を仕込み、さらに撹拌しながら、得られたアゾバルビツール酸ジナトリウム塩の粉末8.1部を投入して分散した。均一に分散した後、溶液を95℃まで昇温した、メラミン5.7部、ジアリルアミノメラミン1.0部を添加した。さらに、塩化コバルト(II)6水和物6.3部を水30部に溶解した緑色溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で1.5時間錯体化を行った。
その後、pHを5.5に調整し、さらにキシレン4部、オレイン酸ナトリウム0.4部、水16部をあらかじめ攪拌してエマルジョン状態とした溶液20.4部を添加し、さらに4時間加温撹拌した。70℃まで冷却した後、速やかに濾過し、無機塩が洗浄できるまで70℃で温水洗を繰り返した。
その後、乾燥、粉砕の工程を経て、14部のアゾ系黄色顔料(Y2)を得た。
[顔料製造例B2]
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のソルトミリング処理顔料(B2)を得た。
[顔料製造例V2]
LIONOGEN VIOLET RL(東洋インキ製造製)300部を96%硫酸3000部に投入し、1時間撹拌した後、5℃の水に注入した。1時間撹拌後、濾過し、温水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、70℃で乾燥した。
得られたアシッドペースティング処理顔料を120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、90℃で18時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、118部のソルトミリング処理顔料(V2)を得た。
(樹脂溶液(P2)の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記のモノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下し
て重合反応を行った。
スチレン 70.0部
メタクリル酸 10.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後、さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部に溶解したものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて樹脂溶液を合成した。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリルの樹脂溶液(P2)を調製した。
(顔料分散体および着色組成物の調製)
下記表3に示す組成(重量部)の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色、緑色、青色の顔料分散体を得た。
その後、下記表4に示すように 顔料分散体アクリル樹脂溶液(P2)、モノマー、重合開始剤、増感剤、有機溶剤などの混合物を混合撹拌した後、5μmのフィルタでろ過し、赤色、緑色、青色のそれぞれ着色組成物を得た。以下の実施例では、下記表4の着色組成物を用いて、赤色画素、緑色画素、青色画素を形成した。
以下、実施例1に基づいて本発明を詳細に説明する。
〔実施例1〕
(カラーフィルタ基板の作製)
図1、3及び6を参照して、実施例1に係るカラーフィルタ基板の作製について説明する。
上述した黒色組成物を用いてガラスである透明基板1上に、図1、3及び6に示す額縁状の遮光層2と台座4を形成した。遮光層2の厚みは1.6μm、台座4の厚みは0.6μmとした。なお、遮光層2と台座4は、上述した黒色組成物を塗布し、乾燥した後、グレートーンフォトマスク(遮光層パターンと台座パターンにそれぞれ透過率差をつけたフォトマスク)を用いて、一回の露光・現像及び熱処理による硬膜処理にて、透明基板1上に形成した。
次いで、透明基板1上に、赤色画素R、緑色画素G、青色画素B、赤色積層部5R、緑色積層部5G、青色積層部5Bの積層によるスペーサ5を形成した。図1に示す反射部の着色画素を含む着色画素およびスペーサ形成のための露光用マスクは、グレートーンフォトマスク(着色画素の透過部パターンと反射部パターンにそれぞれ透過率差をつけたフォトマスク)を用いた。その結果、着色画素の反射部には凹部が形成された。
透明基板1に直接形成される着色層(赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3B)部分の膜厚は、3.2μm±0.2μmとした。反射部(凹部)の着色画素の膜厚は1.6μm±0.2μmとした。本実施例では、着色画素の反射部である凹部を囲むように、高さ約1.6μmの着色画素の壁が形成されているので、次に示すインクジェットによる配向膜形成において、インク滴の着弾時にインク滴が凹部外に流出せずに配向膜を塗布形成することができる。
次に、位相差層11を形成する前に前処理として、配向処理を以下のようにして実施した。即ち、位相差層11を形成するための着色画素表面の前処理として、日産化学社製の配向膜材料サンエバーを粘度調整したものを用いて、インクジェット塗布装置にて反射部着色画素上に選択的に乾燥膜厚が0.1μmになるように吐出した。
インクジェットでの不吐出、ミスディレクション、ミスト無く正確に吐出するためには、不吐出時におけるレオロジー特性を制御する必要がある。インクジェットに充填されたインクの優れた吐出性を有するレオロジー特性は、周波数を100から0.1Hzまで変化させた時の23℃から25℃におけるインクの複素粘性率の初期値が20mPa・s以下、かつ、最大値が1000mPa以下で、周波数10Hzから50Hzでの正接損失が1から20である。インクジェットのノズルからの吐出量として、2から10pl(ピコリットル)の範囲内にて1画素あたり1回の吐出とした。
さらにホットプレート上で90℃で1分間加熱乾燥させた後、クリーンオーブン中260℃で40分間焼成し、硬膜した。続いて、この基板に対し一定方向にラビング処理を施すことにより、前処理とした。
前処理を行った反射部着色画素上に、以下に詳述する1/4波長変化させる位相差機能をもつ位相差層11を、膜厚1.6μm±0.1μmにて形成した。即ち、位相差層となる、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、0.6μmのフィルタで濾過して得た重合性液晶化合物を前処理を施した着色画素上に、乾燥膜厚が1.6μmになるように塗布し、ホットプレートにて90℃で2分間加熱乾燥し、液晶配向基板を得た。
水平配向重合性液晶 39.7部
(BASFジャパン株式会社製「Paliocolor LC 242」)
光重合開始剤 0.3部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
界面活性剤 6.0部
(ビックケミー社製「BYK111」2%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 154.0部
次に、この重合性液晶化合物を塗布した基板を、半導体レーザを光源とする露光機を用い、フォトマスクを介して反射部のそれぞれ着色画素領域毎に紫外線を露光した。紫外線の照射量は、レーザのショット回数を変えて、赤色画素領域では500mJ/cm2、緑色画素領域では200mJ/cm2、青色画素領域では5mJ/cm2としてそれぞれ露光し、さらに現像処理にて位相差層のパターンを形成した。
続いて、基板をクリーンオーブンに入れ、230℃で40分間焼成を行なって1/4波長層である位相差層の形成されたカラーフィルタ基板を得た。
得られたカラーフィルタ基板の着色画素および位相差層の位相差の合計を測定したところ、赤色画素部分は波長630nmの光において166nm、緑色画素部分は波長550nmの光において136nm、青色画素部分は波長450nmの光において112nmであった。即ち、着色画素および位相差層の位相差の合計は、赤色画素における位相差の合計≧緑色画素における位相差の合計≧青色画素における位相差の合計の関係を満たしていることがわかる。
額縁状の遮光層2上にも、同じ額縁状パターンにて位相差層11’を形成した。遮光層2と該遮光層上の位相差層11’の合計膜厚は約3.2μmであり、緑色画素3Gの膜厚と略同一とした。
次に、光散乱層(セルギャップ調整層)12を、前記の光散乱層組成物をもちいて、1.9μmの膜厚にて形成した。形成方法は、光散乱層12のパターンを有するフォトマスクを用い、200mJ/cm2の紫外線露光を行い、アルカリ現像液で現像した後、230℃で40分間の熱処理にて硬膜した。この露光及び熱処理は、光散乱層12下部に既に配設された位相差層の追加硬膜での安定化につながる。光散乱層12の積層により、位相差層の酸素阻害が解消され、再度紫外線露光を含めた硬膜処理で安定化できる。本実施例では、あらかじめ着色画素に凹部を設けてのち、位相差層の熱処理での硬膜を行うので、露光量の差を問わず、形状崩れなく、位相差層を良好に形成することができた。
図4に示す台座4上の突起高さdは、青色画素側で0.1μm、緑色画素側で0.14μmと低く、平坦性は良好であった。
また、図3に示すスペーサ5の底辺の大きさは25μmとし、スペーサ5を構成する積層着色層の全体の高さは約3.9μmとした。次に、スパッタリング装置を用いて、カラーフィルタの有効表示領域を覆うように透明導電膜を積層した。
対象とする液晶表示装置の液晶厚みは、3.8μmである。後述する図18に示す反射部上の液晶層の厚みは、1.8μmとした。
〔実施例2〕
(カラーフィルタ基板の作製)
本実施例に係るカラーフィルタ基板について、平面図である図12、部分平面図(緑色画素)である図13及びその断面図である図14を参照して説明する。本実施例は、ブラックマトリクスを形成した点、セルギャップ調整層として光散乱層ではなく透明樹脂を用いた点、及びスペーサを着色画素中央に配設した点が実施例1と異なる。
上述した黒色組成物を用いてガラスである透明基板1上に、示すブラックマトリクス38を形成した。ブラックマトリクス38の厚みは0.6μmとした。なお、ブラックマトリクス38と遮光層2は、上述した黒色組成物を塗布し、乾燥した後、グレートーンフォトマスク(遮光層2用とブラックマトリクス38用にそれぞれ透過率差をつけたフォトマスク)を用いて、一回の露光・現像及び熱処理による硬膜処理にて、透明基板1上に形成した。
さらに、ブラックマトリクス38を形成した透明基板1上に、赤色画素3R、緑色画素3G、青色画3Bを形成した。ガラスである透明基板1に直接形成される着色層(赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3B)部分の膜厚は、いずれも3.2μm±0.2μmとした。
図13及び図14に示す緑色画素3Gの反射部(凹部)40には、1/4波長変化させる位相差機能をもつ位相差層41を、膜厚1.6μm±0.1μmにて形成した。位相差層41を配向させて位相差機能を付与するための着色画素表面の前処理及び位相差層41の形成及びこれらに用いた材料は、実施例1と同様とした。
次に、位相差層41上に、アルカリ現像可能なアクリル系光感光性樹脂を用いて膜厚1.9μmのセルギャップ調整層45を形成した。額縁状の遮光層2上にも、同じ額縁状パターンにてセルギャップ調整層を形成した。遮光層と該遮光層上のセルギャップ調整層の合計膜厚は約3.2μmであり、緑色画素3Gの膜厚と略同一とした。
次に、スパッタリング装置を用いて、カラーフィルタの有効表示領域を覆うように透明導電膜49を積層した。
該透明導電膜49上に、それぞれ断面が台形状であるスペーサ46、サブスペーサ47を形成した。スペーサ46、サブスペーサ47形成のための露光用マスクは、グレートーンフォトマスクを用いた。サブスペーサ47の高さは、スペーサ46とセルギャップ調整層45を合わせた高さより0.3μm低い高さとした。サブスペーサ47の形成位置は、遮光層上のみとした。また、スペーサ46の底辺の大きさは15μmとし、高さは約2μmとした。なお、対象とする液晶表示装置の液晶層の厚みは、3.8μmである。
本実施例においても、実施例1と同様に、良好な結果を得ることができた。
〔実施例3〕
(カラーフィルタ基板の作製)
本発明のカラーフィルタ基板の模式平面図である図8に基づき、またその部分断面図である図2及び図3を併用して実施例を説明する。
上述した黒色組成物を用いてガラスである透明基板1上に、図8、図2に示す遮光層2と台座4を形成した。遮光層2の厚みは1.6μm、ブラックマトリクス8及び台座4の厚みは0.6μmとした。なお、遮光層2と、ブラックマトリクス8及び台座4は、上述した黒色組成物を塗布し、乾燥した後、グレートーンフォトマスク(遮光層パターンと台座パターンにそれぞれ透過率差をつけたフォトマスク)を用いて、一回の露光・現像及び熱処理による硬膜処理にて、透明基板1上に形成した。
次に、図3に示すように、透明基板1上に、遮光層2、赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3B、また、着色層の積層によるスペーサ5、サブスペーサ6を形成した。スペーサ5、サブスペーサ6の形成のための露光用マスクは、当該パターン部が低透過率であるグレートーンフォトマスクを用いた。
透明基板1に直接形成される着色層(赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3B)部分の膜厚は、いずれも3.2μm±0.2μmとした。
図2に示す着色画素の反射部(凹部)には、1/2波長の位相差機能をもつ位相差層11を、下記表6に示すように、膜厚2.6μm±0.15μmにて形成した。位相差層11を配向させて位相差機能を付与するための着色画素表面の前処理は、実施例1と同様とした。各着色画素に対応する位相差量は、露光量で調整した。位相差層11となる重合性液晶組成物は、下記に示す組成とした。
水平配向重合性液晶 49.5部
(大日本インキ化学工業株式会社製「UCL-017」)
光重合開始剤 0.5部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製「イルガキュアーOXE01」)
界面活性剤 2.0部
(ビックケミー社製「BYK330」2%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 148.0部
次に、アルカリ現像可能なアクリル系光感光性樹脂を用いて膜厚0.9μmのセルギャップ調整層15を形成した。図2に示す額縁状の遮光層2上にも、同様パターンにてセルギャップ調整層15’を形成した。スペーサの高さ及び形状は実施例1と同様である。
なお、以上の実施例3により得たカラーフィルタ基板では、位相差層11の膜厚は2.6μmであり、膜厚3.2μmの着色画素(例えば、緑色画素3G)の凹部に形成されると、着色画素の表面より突出するので、実際には、図15に示すような構成となる。
次にスパッタリング装置を用いて、カラーフィルタの有効表示領域を覆うように透明導電膜を積層してカラーフィルタ基板とした。
本実施例においても、実施例1と同様に、良好な結果を得ることができた。
〔実施例4〕
図16を参照して、本実施例に係るカラーフィルタ基板について説明する。
本実施例では、あらかじめ透明導電膜59を形成した透明基板1を用いた。該透明導電膜59上に、実施例2と同様にブラックマトリクス58、着色画素3R,3G,3B、セルギャップ調整層、スペーサ55、サブスペーサ56を形成した。それぞれ着色画素の中央には、着色画素長手方向に6μm画線幅のブラックマトリクス58’をあわせ配設した。セルギャップ調整層の図示は省略した。
透明導電膜59は、膜厚0.14μmとし、スパッタリング装置で成膜した。
本実施例においても、実施例1と同様に、良好な結果を得ることができた。
〔実施例5〕
図17を用いて、カラーフィルタ基板である実施例5を説明する。
当実施例では、先にブラックマトリクス68を形成した後、透明導電膜69を形成した。該透明導電膜69上に、実施例2と同様に着色画素3R,3G,3B、セルギャップ調整層、スペーサ65、サブスペーサ66を形成した。それぞれ着色画素3R,3G,3Bの中央には、着色画素長手方向に6μm画線幅のブラックマトリクス68’をあわせ配設した。セルギャップ調整層の図示は省略した。
透明導電膜69は、膜厚0.15μmとし、スパッタリング装置で成膜した。
本実施例においても、実施例1と同様に、良好な結果を得ることができた。
〔実施例6〕
(液晶表示装置の作製)
実施例1で作製したカラーフィルタ基板31とTFT基板32を対向させて配置し、それらの間に液晶層33を挟持して、液晶表示装置とした。なお、偏光フィルム、位相差フィルム、配向膜の図示は省略した。参照符号34,35は、それぞれTFT素子、画素電極を示す。
本実施例において、カラーフィルタ基板31は、遮光層とセルギャップ規制層を合わせた膜厚が緑色画素である着色層3Gと同じ膜厚であり、余分な突起構造物がないため、スムーズで均一な液晶の充填をすることができ、画像表示も極めて均質であり、良好であった。着色画素周辺や遮光層と表示領域との境界部での液晶配向の乱れもなく、光漏れのない高画質の液晶表示装置が得られた。
なお、図18に示したTFT素子34の近傍の液晶表示装置の部分拡大図を図19に示した(光散乱層及びセルギャップ規制層は図示されていない)。本実施例によると、反射部に設けられた位相差層の存在のため、反射部と透過部での表示品質に差がなくなり、高透過率の液晶表示装置が得られる。
〔実施例7〕
(液晶表示装置の作製)
図20を参照して。本実施例に係る液晶表示装置について説明する。
本実施例は、共通電極83と絶縁層を介して櫛歯状の画素電極82を備えるアレイ基板72と、実施例5と同一構成のカラーフィルタ基板73を用いて液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の外面に貼付した偏光板、位相差板及びバックライト光源は図示を省略した。なお、図20は、緑色画素の透過部断面であり、反射部は図示していない。
本実施例に用いたカラーフィルタ基板73では、ブラックマトリクス78上に透明導電膜79が形成されているため、液晶表示装置を構成したときに、ブラックマトリクス78の膜厚分だけ、アレイ基板72の側の画素電極(櫛歯状電極)82と近い距離となり、図20に矢印で示すように、斜め電界の形成がスムーズとなるという利点がある。画素電極82との斜め電界形成のため、ブラックマトリクスの膜厚を調整することができる。
本実施例に係る液晶表示装置は、画像表示も極めて均質であり、良好であった。着色画素の周辺や遮光層と表示領域との境界部での液晶配向の乱れもなく、光漏れのない高画質の液晶表示装置が得られた。
なお、共通電極は画素単位でベタ膜で形成しても、あるいは櫛歯状に形成しても良い。透明導電膜にスリット状の開口部を形成しても良い。共通電極や画素電極は、アルミニウム合金などの金属薄膜で形成しても良く、あるいはITOなどの透明導電性薄膜で形成しても良い。
また、上述した実施例4、実施例5及び実施例7に記載の透明導電膜は、液晶駆動時にグランドに落としても良く、あるいは、共通電極と同じ電位としても良い。
本発明は、液晶配向方式について、垂直配向方式に限定するものでない。例えば、位相差層の厚みもしくはΔndを変えた種々の位相差機能が得られ、あるいは光配向やラビングによる配向を調整することにより種々の位相差層がえられ、様々な配向方式の液晶表示装置に対応することができる。本発明に採用することの可能な液晶材料の誘電率異方性は、正の材料でも負の材料でも良い。
以下、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
透明基板上に、遮光層を有効表示領域の外周に配置するとともに、赤色画素と緑色画素と青色画素を含む着色画素、スペーサ、第1の位相差層、及び透明導電膜を有効表示領域に形成した半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板において、
前記着色画素のそれぞれには凹部が形成されており、前記第1の位相差層は、前記凹部内に設けられるとともに、直線偏光に変換された入射光を第1の位相差層の厚み方向に1回の往復の透過により90度偏光回転させる機能を有しており、かつ、それぞれの凹部の着色画素の厚み方向の位相差と凹部内の第1の位相差層の厚み方向の位相差の合計が、赤色画素における位相差の合計≧緑色画素における位相差の合計≧青色画素における位相差の合計の関係にあることを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[2]
前記複数色の着色画素の厚み方向の位相差が、赤色画素の厚み方向位相差≧緑色画素の厚み方向位相差≧青色画素の厚み方向位相差の関係にあることを特徴とする[1]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[3]
前記緑色画素が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを主たる色材として含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[4]
前記凹部における着色画素の膜厚と、前記凹部以外の着色画素の膜厚の比が、1/2から1/4の範囲内にあることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[5]
前記第1の位相差層上に第1のセルギャップ調整層が形成されていることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[6]
前記第1のセルギャップ規制層の表面と前記凹部以外の着色画素の表面との高さの差が、液晶表示装置の液晶層の厚みの略1/2であることを特徴とする[5]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[7]
前記第1のセルギャップ調整層が、光散乱層であることを特徴とする[5]又は[6]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[8]
前記透明基板上の有効表示領域に前記着色画素を区分するように配置された、前記遮光層と同一材料からなるブラックマトリクスを更に具備することを特徴とする[1]ないし[7]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[9]
前記遮光層の膜厚より前記ブラックマトリクスの膜厚が薄いことを特徴とする[8]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[10]
前記透明導電膜は、前記ブラックマトリクスと前記透明基板との間に配設されることを特徴とする[8]又は[9]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[11]
前記透明導電膜は、前記ブラックマトリクスと前記着色画素との間に配設されることを特徴とする[8]又は[9]に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[12]
前記遮光層上に積層された第2のセルギャップ調整層を更に具備し、前記遮光層と第2のセルギャップ調整層の合計膜厚を、前記緑色画素の膜厚と略同一とすることを特徴とする[1]ないし[11]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[13]
前記遮光層上に積層された第2の位相差層を更に具備し、前記遮光層と第2の位相差層の膜厚の合計が、前記緑色画素の膜厚と略同一であることを特徴とする[1]ないし[12]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[14]
前記スペーサは、前記着色画素の中央に配設されるとともに、液晶配向制御の役割を兼ねる配向制御用構造物であることを特徴とする[1]ないし[13]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[15]
前記スペーサと同じ材料からなる配向制御用突起を着色画素上に配設したことを特徴とする[1]ないし[14]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[16]
前記透明導電膜が、少なくとも複数色の着色画素及び第1のセルギャップ調整層の上に積層されていることを特徴とする[1]ないし[9],[12]ないし[15]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[17]
前記複数色の着色画素の膜厚が、赤色画素の膜厚≦緑色画素の膜厚≦青色画素の膜厚の関係にあることを特徴とする[1]ないし[16]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
[18]
[1]ないし[17]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板を具備することを特徴とする半透過型液晶表示装置。
[19]
[1]ないし[17]のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板を製造する方法において、
グレートーンフォトマスクを用いたフォトリソグラフィの手法により、前記複数の着色画素に凹部を形成する工程、及び
前記凹部内に、インクジェット方式により、位相差層を配向させる配向膜を形成する工程
を具備することを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。