JP5557619B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池と、それを利用した電源および機器システムに関する。
リチウムイオン電池は、環境問題の観点から、電気自動車用や電力貯蔵用の電池として注目されている。鉛電池,ニッケルカドミウム電池よりも軽量であること、高出力と高エネルギー密度といった特性を持ち合わせており、リチウムイオン電池の需要拡大が期待されている。
しかしながら、従来のリチウムイオン電池は、出力やエネルギー密度あるいはサイクル寿命などの電池性能をさらに向上することを求められている。例えば、電極材の改良として、性質の異なる2種類以上の炭素体を組み合わせて活物質として用い、有機系のバインダー(結着剤)と混合して二次電池用負極を製造することが提案されている(特許文献1〜6)。
特許文献1は結晶構造の異なる二種類の炭素を混合した負極、特許文献2は炭素繊維に球状,薄片状などの炭素粉末を混合した負極、特許文献3は負極活物質と炭素系導電助剤を混合した負極、特許文献4は黒鉛と導電性カーボン微粉体を混合した負極に関する発明を開示している。さらに、特許文献5は、Li吸蔵材料を含む第一の炭素粒子と、Li吸蔵材料を含まない第二の炭素粒子を混合した負極に関する発明であって、電池特性を向上させる方法を開示している。特許文献6は、平均粒径の異なる2種類の黒鉛粒子を用いた負極に関する発明を開示しており、サイクル特性を改善させることを目的としている。
本発明の対象としている負極は、リチウムイオンを挿入離脱可能な活物質と、導電助剤とポリフッ化ビニリデン(PVDF;Poly(vinylidene fluoride))系やスチレン・ブタジエンゴム(SBR;Styrene Butadiene Rubber),カルボキシメチルセルロース(CMC;carboxylmethyl cellulose)などの結着剤と有機溶媒または水を調製,混合,撹拌した負極スラリを、ドクターブレード法などによって銅などの集電体シートへ付着させた後、加熱して有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧成形することにより、作製することができる。
しかし、活物質と導電助剤では、炭素粒子の粒径,比表面積などの物性がそれぞれ異なる場合があり、さらに、炭素粒子表面の被覆有無などにより、同じ原材料から製造されても異なる性質を有することがある。このため、塗工した合剤層は必ずしも均一な形態になるとは限らない。
得られた負極の合剤層を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)で観察すると、活物質粒子と導電助剤粒子と結着剤の状態を確認することができる。合剤層表面では、活物質の複数の粒子の上に導電助剤の凝集体が付着した形相、活物質の複数の粒子の間隙に導電助剤の凝集体が主に局在した形相などがある。また、結着剤は一般的に高抵抗な材料であるので、電池の集電体と活物質の粒子との界面に多くの結着剤が介在する場合、合剤層表面の活物質の複数の粒子の上に結着剤が多く介在する場合、あるいは活物質の粒子同士の間に多く介在する場合は、活物質間の間に電導阻害が起き、合剤層の内部抵抗が高くなり、充放電容量が低下してしまう問題が生じる。
このように導電助剤の凝集,結着剤のムラ等の問題が発生すると、充放電容量低下だけでなく、集電体からの活物質,導電助剤粒子の脱落,電流の不均一化等になりやすくなり、電池品質の信頼性が低下してしまう。
このような状況において、電池の高容量化,健全かつ強力な導電性ネットワークの形成をした負極が強く求められている。
特許第3529802号公報 特許第3556270号公報 特許第3409956号公報 特開平2002−134115号公報 特開平2004−349164号公報 特開平2008−140707号公報
本発明は、上記の課題を解決し、充放電サイクルによる合剤層の剥離の防止ができ、高い容量が得られる非水電解質二次電池を提供することにある。特に、リチウムイオン電池の高容量化を目的としている。
本発明が解決しようとする課題は、以下に示した手段により解決される。ここで、非水電解質二次電池とは、リチウムイオンの挿入離脱可能な正極と負極及びこれらを分離する多孔質フィルムからなる非水電解質二次電池を代表例とし、他のアルカリ金属イオンを利用する二次電池にも適用可能とする。
第一の手段は、前記負極が、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な第1の炭素と、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能かあるいは実質的にリチウムイオンを吸蔵しない第2の炭素を含み、第2の炭素の粒子からなる凝集体が第1の炭素の複数の粒子の間隙に主に局在しており、第2の炭素の平均粒径が第1の炭素の平均粒径の15%以下とした第一の手段である。
第二の手段は、走査型電子顕微鏡によって得られた請求項2記載の負極の表面写真において、第1の炭素と第2の炭素を区別できるように二値化画像処理を施して第2の炭素からなる凝集体の平均面積を計算し、前記平均面積が第1の炭素の平均粒径の二乗以下とすることである。
第三の手段は、前記第2の炭素粒子からなる凝集体は、アスペクト比1.25以上の数が前記凝集体の全数に対して50%以上とした第一の手段である。
第四の手段は、第2の炭素の一次粒子の平均粒径が、第1の炭素の粒径の8%以下であり、前記一次粒子が凝集した状態とした第三の手段である。
第五の手段は、第2の炭素の凝集体がバインダを含有し、導電性を有していることとした第一の手段である。
第六の手段は、負極に導電性繊維が添加され、前記繊維の一部が第2の炭素の凝集体と接触することとした第一の手段である。
本発明によれば、充放電サイクルによる合剤層の剥離を防止でき、かつ高い容量をもつ非水リチウム二次電池を得ることができる。
合剤層表面の第1の炭素の複数の粒子と第2の炭素凝集体との関係を示す概念図である。 合剤層表面の第1の炭素の複数の粒子と第2の炭素凝集体との関係を示す概念図である。 本発明のコイン型リチウムイオン電池の断面図である。 本発明の円筒型リチウムイオン電池の構造図である。 本発明の円筒型リチウムイオン電池からなる電池モジュールである。 本発明の電池モジュールを用いた蓄電システムである。 実施例および比較例のデータ表である。
本発明は、非水電解質二次電池の高充放電容量化及び充放電サイクルによる合剤層の剥離防止をするためには、合剤層表面の第2の炭素粒子凝集体の面積の制限及び微細化により成し遂げたものである。本発明による非水電解質二次電池は、リチウムイオンの挿入・離脱が可能な正極と負極と、正極と負極とを分離するセパレータと、電解液とを有する。
以下、これらの要素について説明する。
まず、非水リチウム二次電池の正極について説明する。正極は、正極活物質,導電助剤及びバインダ(結着剤)からなる正極合剤層と、正極集電体とから構成される。
本発明によるリチウムイオン電池で使用可能な正極活物質は、リチウムを含有する酸化物からなる。リチウムを含有する酸化物としては、例えば、LiCoO2,LiNiO2,LiMn1/3Ni1/3Co1/32,LiMn0.4Ni0.4Co0.22のような層状構造を有する酸化物、LiMn24やLi1+xMn2-x4のようなスピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、または、これらの酸化物においてMnの一部をAlやMg等の他の元素で置換したものを用いることができる。
正極活物質は一般に高抵抗であるため、導電助剤として炭素粉末を混合することにより、正極活物質の電気伝導性を補っている。正極活物質と導電助剤はともに粉末であるため、バインダを混合して粉末同士を結合させると同時に、この粉末層を合剤層として正極集電体へ接着させている。
導電助剤には、天然黒鉛,人造黒鉛,コークス,カーボンブラック、または非晶質炭素などを使用することが可能である。導電助剤の平均粒径を正極活物質粉末の平均粒径よりも小さくすると、導電助剤が正極活物質粒子表面に付着しやすくなり、少量の導電助剤によって正極の電気抵抗が減少する場合が多い。したがって、導電助剤の材料は、正極活物質の平均粒径に応じて選択すれば良い。
正極集電体は、電解液に溶解しにくい材質であれば良く、アルミニウム箔が多用されている。
正極は、正極活物質,導電助剤,バインダ、及び有機溶媒を混合した正極スラリを、ブレードを用いて集電体へ塗布する方法、すなわちドクターブレード法により作製することができる。集電体へ塗布した正極スラリを加熱して有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧成形する。正極合剤層は、正極スラリの有機溶媒を乾燥させることにより、集電体上に作製される。このようにして、正極合剤層と集電体とが密着した正極を作製することができる。
負極は、負極活物質,導電助剤及びバインダ(結着剤)からなる負極合剤層と、負極集電体とから構成される。負極合剤層に、導電助剤を使用しない場合もある。
本発明による非水リチウムイオン電池の負極活物質には、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な黒鉛や非晶質炭素を利用可能であるが、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能であれば種類や材料に制限はない。使用する負極活物質は、一般に粉末状態で使用されることが多いので、バインダを混合して粉末同士を結合させると同時に、この負極活物質からなる層を合剤層として負極集電体へ接着させている。
第一の炭素は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材料であり、例えば、天然黒鉛,人造黒鉛,非晶質炭素などを使用することが可能である。
第二の炭素は、リチウムイオンを吸蔵放出可能かあるいは実質的にリチウムイオンを吸蔵しないが、第一の炭素の平均粒径の15%以下であれば、第一の炭素の材料を用いてもよく、コークス,カーボンブラック,アセチレンブラック,カーボンファイバー,ケチェンブラック,カーボンナノチューブ,メソカーボンマイクロビーズ,気相成長炭素繊維等の炭素材料を用いてもよい。
以下に述べる実施例では、カーボンブラックを使用したが、これに限定されない。例えば、カーボンブラックを、上述の他の第二の炭素に置き換えても良いし、異なる炭素を数種類、混合して用いても良い。
結着剤には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他に、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー,スチレンブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリルゴムなどを用いてもよい。負極の還元電位で分解せず、非水電解質あるいはそれを溶解させる溶媒と反応しなければ、上で列挙されていない他の結着剤を用いてもよい。負極スラリを調製する際に用いる溶媒には、結着剤に適応した公知のものを用いてもよい。例えば、SBRの場合は水等、PVDFの場合はアセトン,トルエン等、公知の溶媒を用いることができる。スラリの粘度を調整するために、増粘剤を用いることもできる。例えば、SBRには、カルボキシメチルセルロール(CMC)を使用することができる。
負極集電体は、リチウムと合金化しにくい材質であることが条件であり、銅,ニッケル,チタンなど、あるいはこれらの合金からなる金属箔がある。特に、銅箔が多用されている。
負極は、負極活物質,導電助剤,バインダ、及び有機溶媒を混合した負極スラリを、ドクターブレード法などによって集電体へ付着させた後、加熱して有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧成形することにより、作製することができる。負極合剤層は、負極スラリの有機溶媒を乾燥させることにより、集電体上に作製される。
セパレータは、ポリエチレン,ポリプロピレン,4フッ化エチレンなどの高分子系材料から構成され、上記で述べたように作製した正極と負極の間に挿入される。セパレータと電極が電解液を十分に保持するようにして、正極と負極の電気的絶縁を確保し、正極と負極間でリチウムイオンの授受を可能とする。
コイン型電池の場合は、円形状に切り出した正極,セパレータ,負極の順に積層し、その積層体をコイン状容器に収納し、蓋を上部に設置した後に、電池全体をかしめることにより製作される。
円筒型電池の場合は、正極と負極間にセパレータを挿入した状態で捲回して電極群を製造する。セパレータの代わりに、ポリエチレンオキシド(PEO),ポリメタクリレート(PMA),ポリアクリロニトリル(PAN),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)などのポリマーに、リチウム塩または非水電解液を保持させたシート状の固体電解質またはゲル電解質を使用することも可能である。また、電極を二軸で捲回すると、長円形型の電極群も得られる。
角型電池の場合は、正極と負極を短冊状に切断し、正極と負極を交互に積層し、各電極間にポリエチレン,ポリプロピレン,4フッ化エチレンなどの高分子系セパレータを挿入し、電極群を作製する。
また、安全性の向上のために、セパレータとして、高分子系セパレータをアルミナ,シリカ,チタニア,ジルコニア等の電気的絶縁性セラミックス粒子層で挟んだサンドイッチ状のセラミックスセパレータを用いても差し支えない。前記セラミック粒子層は、高分子系セパレータの片面のみに形成しても良い。
本発明は上記で述べた電極群の構造に依存せず、本発明によるリチウムイオン電池には、任意の構造が適用可能である。
また、電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピル,蟻酸メチル,蟻酸エチル,蟻酸プロピル,γ−ブチロラクトン,α−アセチル−γ−ブチロラクトン,α−メトキシ−γ−ブチロラクトン,ジオキソラン,スルホラン、及びエチレンサルファイトの中から選ばれる少なくとも1種以上を混合して用いることができる。好ましい電解液としては、これらの溶媒に、LiPF6,LiBF4,LiSO2CF3,LiN[SO2CF3]2,LiN[SO2CF2CF3]2,LiB[OCOCF3]4,LiB[OCOCF2CF3]4などのリチウム塩電解質を、体積濃度で0.5Mから2M程度含有したものを用いることができる。
リチウムイオン電池は、作製した電極群を、アルミニウム,ステンレス鋼,ニッケルメッキ鋼製の電池容器へ挿入した後に、電解液を電極群へ浸透させることで作製することができる。電池缶の形状は、円筒型,偏平長円形型,角型などがあり、電極群を収納できれば、いずれの形状の電池缶を選択してもよい。
本発明の負極は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な第1の炭素と、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能かあるいは実質的にリチウムイオンを吸蔵しない第2の炭素と、バインダからなる電極である。第2の炭素の粒子からなる凝集体は、第1の炭素の複数の粒子の間隙に主に局在しており、第2の炭素の平均粒径が第1の炭素の平均粒径の15%以下とした点に特徴がある。
本発明の概念を、モデル(図1,図2)を用いて詳述する。第2の炭素からなる凝集体の最大サイズの根拠は図1にて、最小サイズの根拠は図2にて、それぞれ説明する。
図1は、第2の炭素の凝集体が4個の負極活物質11の間隙に充填された状態を負極表面の上方から眺めたときの図である。このモデルでは、負極活物質を球形とみなし、粒径は同一とした。現実の負極活物質は完全な球形でなく、かつ、その粒径はある範囲に分布しているが、統計的に考えるとそのような現実の負極にも適用可能である。現実の負極へ適用する方法は、後述する。
さて、図1において、第2の炭素からなる凝集体は、バインダを含有し、第2の炭素とバインダが複合した状態になっている。この凝集体は、結着力を発現すると同時に、電子伝導性も有している。本発明では、第2の炭素の凝集体が負極活物質の粒子の間、すなわち間隙に充填され、その凝集体が負極活物質同士を連結させ、電子ネットワークを形成する。
その凝集体が存在しうる領域は、負極活物質11の外形を表す実線の曲線で囲まれた空間と、負極活物質の上方まで凝集体が盛り上がって部分的に負極活物質を被覆した場所(図1の破線で囲われた四角の部分12)である。これ以上に凝集体が広がって、負極活物質の上面を被覆すると、リチウムイオンの吸蔵・脱離を阻害し、容量低下をもたらす。よって、凝集体の最大サイズは、図1の四角で囲った領域12である。
以上で説明したモデルでは、負極活物質は球形でその粒径は同一とみなしている。実際は、完全な球形でなく、かつ粒径に幅があるので、本モデルと実際の形状に差がある。しかし、負極活物質を球とみなして、粒径分布を計測して求めた平均粒径を、図1の粒径に置き換えることによって、本モデルが適用可能であることを、後述の実施例で確認している。
なお、負極活物質の平均粒径(平均直径)をRとすると、図1の四角12の辺の長さ(間隙長さ)は(√2)R/2となる。すなわち、その長さはRの約71%になる。
さらに望ましい形態として、図1の空隙部分のみに第2の炭素からなる凝集体が充填されて、負極活物質11の表面を実質的に被覆していない状態が良い。間隙長さに相当する凝集体のサイズであれば、この条件を満足させる。すなわち、負極活物質の平均粒径Rに対して、凝集体の長さは2Rである。
つぎに、最小粒径の決定方法と根拠を説明する。図2は、第2の炭素の凝集体が3個の負極活物質21の間隙に充填された状態を負極表面の上方から眺めたときの図である。3個の粒子モデルを用いた理由は、図1のような4個の粒子から形成される間隙が大きく、図2で示した間隙の方がより小さく、下限のサイズを表していると考えたためである。図2のモデルでは、負極活物質を球形とみなし、粒径は同一とした。現実の負極活物質は完全な球形でなく、かつ、その粒径はある範囲に分布しているが、そのような現実の負極にも適用可能であることは後述する。
さて、図2において、第2の炭素からなる凝集体は、バインダを含有し、第2の炭素とバインダが複合した状態になっている。この凝集体は、結着力を発現すると同時に、電子伝導性も有している。
凝集体が3個の負極活物質を連結させ、電子の導電パスを形成するには、3個の負極活物質で囲まれた空隙の大きさで決まる。その大きさは、負極活物質21の外形を表す実線の曲線で囲まれた空間における最大直径の円23とした。この直径よりも小さな円であれば、いずれかの負極活物質の表面から剥離してしまい、結着力も弱まり、電子ネットワークも途切れてしまう。逆に、これよりも大きければ、3個の負極活物質を連結させることができる。そのサイズの最大値は、図1にて説明した。
図2で説明したモデルでは、負極活物質は球形でその粒径は同一とみなしている。実際は、完全な球形でなく、かつ粒径に幅があるので、本モデルと実際の形状に差がある。しかし、負極活物質を球とみなして、粒径分布を計測して求めた平均粒径を、図2の粒径に置き換えることによって、本モデルが適用可能であることを、後述の実施例で確認している。
なお、負極活物質の平均粒径をRとすると、図2の円の直径(間隙の最小直径)は(2/√3−1)・Rとなる。すなわち、その直径はRの約15%となる。
(実施例1)
図3は、本発明のコイン形リチウム二次電池301の断面を示す。コイン形リチウムイオン電池301は、正極缶334と負極缶335とガスケット336によって密閉された構造である。その中に、正極307と負極308とセパレータ309と電解液が収納されている。電解液は、セパレータ309と電池内部の隙間337に保持されている。正極307は正極合剤層330と正極集電体331からなる。負極308は負極合剤層332と負極集電体333からなる。
以下では、正極307,負極308およびコイン形電池の組立方法を順に説明する。
本実施例で使用した正極活物質は、平均粒径20μmのLi1.05Mn1.954である。
導電助剤には、平均粒径3μm,比表面積13m2/gの天然黒鉛と平均粒径0.04μm,比表面積40m2/gのカーボンブラックとを、重量比4:1となるように混合したものを用いた。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)8wt%を予めN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を用いた。
これらの正極活物質,導電助剤、及びPVDFが、重量比90:4:6となるように混合し、充分に混練したものを正極スラリとした。この正極スラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体331の片面に塗布し、乾燥させることで、正極集電体331上に正極合剤層330を形成させることができた。ロールプレス機を用いてその正極307をプレスし、正極合剤層330を圧縮した。これにより、正極合剤層330の内部抵抗が減少し、正極合剤層330と正極集電体331の界面接触抵抗も小さくなった。この電極を直径15mmの円盤状に打ち抜いて、正極307とした。
負極308は以下の方法で作製した。負極の第1の炭素には、平均粒径9μmの塊状黒鉛と第2の炭素には、平均粒径0.04μm,比表面積40m2/gのカーボンブラックとを、重量比95:5で機械的に混合したものを用いた。カーボンブラックは、導電助剤としての機能も果たす。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン8wt%を、予めN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を用いた。
先に混合した黒鉛とカーボンブラックからなる炭素材とポリフッ化ビニリデンとが、重量比90:10となるように混合し、充分に混練したものを負極スラリとした。
分散処理の詳細は以下の通りである。まず、上記の活物質,カーボンブラック,バインダからなる固形分の比率が35〜40%の範囲になるように、N−メチル−2−ピロリドンを添加した。この混合物をプラネタリーミキサーで予備混合する。羽の回転速度は10〜20rpmの低速とした。この過程は、タンクに材料を添加した直後は、材料が不均一に固まっているので、それらを分散させるためのものである。なお、ここでの分散は、スプーンなどですくったときの組成が配合組成になっている程度のマクロなレベルでの均一性であれば十分である。
次いで、上記スラリをディスパー装置に設置し、撹拌子(羽形回転体)を2000rpmの高速で15〜30分回転させて、スラリを処理した。処理中はスラリの温度を20〜25℃に一定になるように、スラリを充填した容器の外側に循環水のジャケットを設けて、そのジャケットに一定温度の循環水を流通させた。ここでの処理では、活物質,カーボンブラックの固体粒子をミクロのレベルで分散させ、さらにバインダの凝集状態を解いて、固体粒子と適度に絡み合う状態になることを目指している。よって、この分散処理時の攪拌子の形状,回転速度,時間,スラリ温度などのプロセス条件が、材料のミクロレベルでの分散状態を支配している。なお、本実施例ではディスパー装置での処理例を示したが、他の公知の分散処理装置を用いることができる。ホモジェナイザー,ディスパー付きプラネタリーミキサー,薄膜旋回運動させる高速攪拌機(例えば、プライミクス(株)製フィルミックス),インジェクションによりスラリに衝撃力を与えて分散させる装置(吉田機械工業(株)製湿式超微粒化装置ナノマイザー)などが挙げられる。いずれの装置を用いた場合でも、それぞれの装置の最適なプロセス条件を設定すれば良い。
この負極スラリを、厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体333の片面に塗布し、仮乾燥させることで、負極集電体333上に負極合剤層332を得た。この負極合剤層332が形成された負極集電体333をロールプレスでプレスした後、本乾燥させ、電極を作製した。この電極を直径が16mmの円盤状に打ち抜いて、負極308とした。
ここで、負極合剤層332の全体の面積に対する第2の炭素凝集体の占有面積の違いができるように、以下の実施例では分散条件を変えた負極スラリを調製し、負極を作製した。これらの負極の表面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を用いて観察した。図4の左の写真が、負極表面の一例を示す。横幅は125μm、縦幅は90μm、全体の面積が約11200μm2である。倍率は1000倍である。
そのSEM像の全体の面積に対する第2の炭素凝集体の占有面積は、公知の画像処理ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング製、A像くん(登録商標))を用いて粒子形状を解析し、求めることができた。図4の右の写真の黒色部が、第2の炭素が凝集している領域を示している。
本発明に適用する画像処理ソフトは、自動的に画像上の粒子が1個ずつ分離、認識して粒子の面積を計測できるアプリケーションを持つことが好ましい。また、面積比率,面積の最大長と最小幅,粒子数を計測できる機能があれば、より望ましい。
面積を求める手順は次の通りである。画像には、大小の異なる粒径の第1の炭素の複数の粒子と第2の炭素の複数の粒子がみられる。第2の炭素の粒子が凝集体をなしている合剤層があり、第2の炭素の凝集体の大きさが異なる合剤層がある。また、第2の炭素の粒子が独立してなす合剤層がみられる。第1の炭素の複数の粒子と第2の炭素の複数の粒子が区別できるように、SEMで得られた負極合剤層表面の画像に色塗りを行った。任意の画像処理ソフトを用いてスキャンした画像に、できるだけ高倍率で色塗りすることが好ましい。SEMで得られた画像と同じ倍率で色塗りすると、人為的な誤差が大きくなってしまうからである。
さらに、SEMで得られた画像をそのまま二値化画像処理をすることは二値化しきい値が定められないため困難である。色塗りをすることにより二値化画像処理が容易であり、データの高信頼性が得られる。画像処理が容易になるように、低加速電圧のSEM観察条件にて、SEM像の負極活物質(第1の炭素)と第2の炭素のコントラストの差を付けると良い。
また、前記の色塗り作業を省くために、市販の画像修正ソフトを活用し、修正した画像を用いて二値化の画像処理を行うことができる。このようなソフトウェアの併用により、SEMで得られた負極合剤層の画像を広く画像処理を行うことができる。
ここで、市販の画像修正ソフトを用いる理由は、画像全体のコントラストのグラデーションをなくし、負極表面の位置の違いによる二値化処理の誤りをなくすためである。すなわち、負極合剤層表面において、同一の材質でありながら、濃淡の階調がずれてしまい、あたかも異なる材質のように処理されてしまう不具合を避けるためである。このような階調のずれが生じた場合には、画像修正ソフト(例えば、ADOBE(登録商標)製Premiere(登録商標) Elements(登録商標)4などのソフトウェア)を利用し、階調を修正する。
同じ材質の部分は同じように二値化できるようになったら、可能な限り負極表面の広い領域について画像処理を行う。このようにすることによって、第1の炭素や第2の炭素、あるいはバインダなどの分布状態の乱れを平均化し、より正しい分布状態を把握することが可能となる。
二値化のしきい値は、異なる材質の部分が区別されるように、設定する。異なる材質は、SEMの画像で観察される粒子の形状,寸法の違いから判断することができる。
図4は、上で説明した手順で二値化画像処理をした結果を例示している。図4左は低加速電圧SEMの実体画像である。図4右は画像処理により、第2の炭素が存在している領域を黒色に色付けした分布図である。この図をA像くん(登録商標)を用いて、第2の炭素からなる凝集体の直径(円形近似とする),面積,個数の他に、アスペクト比(=面積の最大長/面積の最少幅)を求めた。なお、面積を横軸にとり、縦軸に凝集体の個数をプロットすると、小面積側になるほど個数が多く、大面積になるほど個数が減少し、分散条件が不適であると、大面積領域に粗大化した凝集体が頻出するようになる。以下の実施例では、小面積側から大面積側に向かって凝集体個数を累積し、その値が凝集体総数の95%に達したときの面積を許容最大面積と定義し、図1の四角12の面積に相当するものと考えた。
この画像解析において、凝集体の平均面積を計算し、前記平均面積が第1の炭素の平均粒径の二乗以下とした。図4の場合、第1の炭素粒子の平均粒径は9μmであったので、図1の四角の一辺の長さは6.4μm、最大面積は40μm2である。この値は、上述の組成にて、分散処理時間を15〜20分に設定したときに、許容最大面積が40±5μmの範囲にあることから、確認することができた。このように、図1ではモデルによる計算であったが、現実の負極においても前記モデルを適用可能であることが判った。平均粒径において負極活物質の多数が存在し、その結果として図1の配置にある間隙の数の比率が増加し、凝集体の面積も図1の破線部に示したサイズの比率で多くなったことが、理由であると考えられる。これに対し分散処理時間を5〜10分にした場合、40μm2以上の面積を有する凝集体の比率が10〜20%増加し、許容最大面積が80〜160μm2の広い範囲でばらついた。
他に、平均粒径5μmの場合、15μmの場合についてそれぞれ負極を製作し、図1の計算により求めた凝集体の許容最大面積が、分散処理時間15〜20分のときに、それぞれ15±5μm2,115±10μm2となった。分散処理時間が5〜10分の場合は、粗大化した凝集体が増加し、許容最大面積もそれぞれ30μm2以上90μm2以下の範囲、130μm2以上200μm2の範囲にばらついた。
また、平均粒径5μmのときの最小サイズは、図2より直径0.7μm,面積0.4μm2である。平均粒径15μmのときは、直径2.3μm,面積4μm2となる。分散時間15〜20分に設定したときに、凝集体のほぼ100%が面積0.4μm2以上であることを確認した。このように、第2の炭素の凝集体の最小直径が第1の炭素の平均粒径の約1/10であることから、第2の炭素の一次粒子は凝集体の最小直径よりも小さいことが必須となる。この条件を満たさないと、第2の炭素の一次粒径1個でもって最小直径を超えてしまうからである。そのようになると、第1の炭素の粒子同士の間隔が開きすぎて、負極合剤密度が低下し、結果として電池の容量密度が減少してしまう。したがって、第2の炭素の一次粒子の平均粒径が、第1の炭素の粒径の1/10以下であり、一次粒子からなる凝集体が図2に示した状態になることが望ましい。
第2の炭素の平均粒径は、第1の段との平均粒径に対して望ましくは8%以下(例えば0.1μm以下)、さらに望ましくは1/100以下(例えば10nm以下)が良い。このように考える理由は、2個の第1の炭素が接触する微細な間隙に、第二の炭素が挿入され、第一の炭素間の電子抵抗を下げる作用があるためである。上記の8%の意味は、図1の間隙の第2の炭素の最大直径が、第1の炭素の平均粒径の約16%であるので、少なくとも2個の第2の炭素粒子からなる凝集体が、第1の炭素の間隙に収納されるための最大直径として与えられている。
ここで、第二の炭素の平均粒径は一次粒子の直径の平均値であって、スラリを調製するときの原料粉の状態のときに、一次粒子が凝集していても良い。スラリを調製するときに、凝集状態がほぐれて、均一に分散させることが可能であるからである。
同様に、平均粒径5μmの場合、15μmの場合の異なる黒鉛(第1の炭素)を用いて、それぞれ負極を製作した。その結果、図2の計算により求めた凝集体の100%が最小サイズ以上であることを、それぞれ確認した。
次に、分散時間15〜20分の負極を、ロールプレス機を用いて合剤層を圧縮した負極を用いて、図3に示したコイン型リチウムイオン電池301を組み立てた。正極307,セパレータ309,負極308を積層し、その積層体を正極缶334と負極缶335の中に収納させた。正極307は、集電体331の片面に正極合剤層330を接着させた構造である。負極308は、集電体333の片面に正極合剤層332を接着させた構造である。セパレータ309は、厚さ40μmのポリエチレン多孔質高分子シートである。電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合液(体積比として1:2)にLiPF6を溶かして1.0mol/dm3とした混合液を用いた。電解液は、セパレータ309と電池内部の空間337に存在する。外側からかしめ機により電池を圧縮して電池301を完成させた。
実施例1で示したコイン型リチウムイオン電池301について、温度45℃環境下にて、以下の条件で充放電試験を行った。まず、電圧4.1Vまで電流密度1mA/cm2の定電流で充電した後に、4.1Vで定電圧充電をする定電流定電圧充電を3時間行った。充電が終了した後に、1時間の休止時間をおき、放電終止電圧3Vまで、1mA/cm2の定電流で放電した。放電が終了した後に、2時間の休止時間を設けた。このような充電,休止,放電,休止を繰り返すサイクル試験を行った。このサイクル試験の100サイクル目における、リチウムイオン電池の放電容量を比較した。
第2の炭素凝集体面積は、SEMで倍率が1000倍観察し、撮影して得られた負極合剤層表面の画像(図3左)を画像処理ソフトにて色塗りし、粒子解析した結果より求めた(図3右の画像)。各スラリ試料は、混練条件を10rpmの低速回転にて10分間の処理を施した後、それぞれ異なる分散処理を行って調製した。実施例1は第1の炭素の粒径が異なる場合の結果であり、高分散条件(分散時間20分)で行ったものである。許容最大面積は、図1で計算した値を含む範囲にあることを確認した。比較例1と2はそれぞれ平均粒径5μmと15μmの場合について、分散時間5分とした結果である。粒子解析の結果、累積粒子数が全体の95%に達する許容最大面積は、比較例1は80〜110μm2の範囲にばらつき、比較例2は110〜280μm2の範囲でばらつき、実施例1の平均粒径5μmの場合は15±5μm2、平均粒径10μmの場合は50±5μm2、平均粒径15μmの場合は115±10μm2であった。
第2の炭素凝集体のアスペクト比1.25以上となる数の比率は、上述の粒子解析時にそれぞれの第2の炭素凝集体の面積の最大長と最小幅を求め、最大長/最少幅=アスペクト比を求めた。アスペクト比が1.24以下と1.25以上に分けて、それらの比率を調べた。この時の第2の凝集体の数は50〜250個であった。粒子解析の結果、比較例1は45%、比較例2は48%、実施例1は49%、実施例2は53%であった。
合剤層の密度は、1.0g/cm3を目標に負極に加圧した後、合剤層の重量/負極の面積/合剤層の厚さから求めた。充放電サイクル試験の結果、放電容量は、比較例1は330mAh/g、比較例2は348mAh/g、実施例1は362mAh/g、実施例2は375mAh/gであった。
第2の炭素凝集体の面積が小さいほど、放電容量が向上する結果になった。また、実施例1と実施例2を比較して、第2の炭素凝集体のアスペクト比が1.25以上となる割合が50%以上になると、明らかに放電容量が向上する。
放電容量が向上した理由は次のように考えられる。比較例1及び2は、合剤層表面では、活物質の複数の粒子の上に導電助剤の凝集体がのせた形相が多く、リチウムイオンを挿入離脱の可能な活物質の粒子面積が小さくなり、充放電容量が低下したと考えられる。実施例1及び2は、ほとんど活物質の複数の粒子の間隙に導電助剤の凝集体が主に局在していた。
また、第2の炭素凝集体のアスペクト比が1.25以上となる割合を50%以上とすることが好ましい理由は、活物質粒子間の間隙を通って細長い第2の炭素凝集体が有機的に形成するため健全かつ強力な導電性ネットワークが形成したためと考えられる。
このように第2の炭素凝集体の大きさの制限により、充放電容量低下を防ぐことができる。本発明は、特に、放電容量が大きいリチウム二次電池において効果がある。
(実施例2)
実施例1にて製作した負極308において、直径100nm,長さ20〜30μmの炭素繊維を2重量比で添加し、第1の炭素の添加量を93重量比に小さくした負極を製作した。すなわち、負極の組成は、第1の炭素:第2の炭素:炭素繊維=93:5:2である。バインダ組成等の他の条件は、実施例1と同じである。また、負極製造プロセスにも変更がなく、実施例1と同じ手順で負極スラリを調製した。
この負極スラリを、厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体433の片面に塗布し、仮乾燥させることで、負極集電体433上に負極合剤層432を得た。この負極合剤層332が形成された負極集電体433をロールプレスでプレスした後、本乾燥させ、電極を作製した。この電極を直径が16mmの円盤状に打ち抜いて、負極408とした。
これに、実施例1と同じ正極307,セパレータ309,電解液,正極缶334,負極缶335,ガスケット336を用いて、図3のコイン型リチウムイオン電池301を製作した。電圧4.1Vまで電流密度1mA/cm2の定電流で充電した後に、4.1Vで定電圧充電をする定電流定電圧充電を3時間行った。充電が終了した後に、1時間の休止時間をおき、放電終止電圧3Vまで、1mA/cm2の定電流で放電した。放電が後終了した後に、2時間の休止時間を設けた。次いで、充電条件を変更せずに、放電電流を1.5mA/cm2に増加させて、放電容量を測定した。その結果、実施例1の場合よりも放電容量が10%増加した。これにより、導電性繊維を負極に添加することによって、負極の電子抵抗が低下し、さらに優れた放電特性が得られることがわかった。
以上で説明した実施例では、コイン形リチウムイオン電池を例示した。これらの電池の形状や、電極仕様などは本発明の趣旨の範囲内で任意に変更可能であり、これらの実施例に本発明は限定されない。
(実施例3)
図5は、非水電解質二次電池501の内部構造を模式的に示している。非水電解質二次電池501とは、非水電解質中における電極へのイオンの吸蔵・放出により、電気エネルギーを貯蔵・利用可能とする電気化学デバイスの総称である。本実施例では、リチウムイオン電池を代表例として説明する。
図5のリチウムイオン電池501において、正極507,負極508、および両電極の間に挿入されたセパレータ509からなる電極群を、電池容器502に密閉状態にて収納されている。電池容器502の上部に蓋503があり、その蓋503に正極外部端子504,負極外部端子505,注液口506を有する。正極外部端子504と負極外部端子505は、絶縁性シール材512を介して蓋504に取り付けられている。電池容器502に電極群を収納した後に、蓋503を電池容器502に被せ、蓋503の外周を溶接して電池容器502と一体にした。電池容器502への蓋503の取り付けには、溶接の他に、かしめ,接着などの他の方法を採ることができる。正極507は上部にて正極リード線510で連結され、正極外部端子504に接続されている。同様に、負極508は上部にて負極リード線511で連結され、負極外部端子505に接続されている。
正極,負極,セパレータは、実施例1で用いたものを利用可能であるが、本発明の要旨を変更しない範囲で他の材料を用いても良い。図5に示した角型電池を複数個、製作した。
(実施例4)
図6は、実施例3で製作した2個のリチウムイオン電池601a,601bを直列に接続した本発明の電池システムを示す。電池の本数はシステムが要求する電圧や容量に応じて、直列と並列の本数を任意に変更可能である。各リチウムイオン電池601a,601bは、正極607,負極608,セパレータ609からなる同一仕様の電極群を有し、上部に正極外部端子604,負極外部端子605を設けている。各外部端子と電池容器の間には絶縁性シール部材612を挿入し、外部端子同士が短絡しないようにしている。
リチウムイオン電池601aの負極外部端子605は、電力ケーブル613により充放電制御器616の負極入力ターミナルに接続されている。リチウムイオン電池601aの正極外部端子604は、電力ケーブル614を介して、リチウムイオン電池601bの負極外部端子605に連結されている。リチウムイオン電池601bの正極外部端子604は、電力ケーブル615により充放電制御器616の正極入力ターミナルに接続されている。このような配線構成によって、2個のリチウムイオン電池601a,601bを充電または放電させることができる。
充放電制御器616は、電力ケーブル617,618を介して、外部に設置した機器(以下では外部機器と称する。)619との間で電力の授受を行う。外部機器619は、充放電制御器616に給電するための外部電源や回生モータ等の各種電気機器、ならびに本システムが電力を供給するインバータ,コンバータおよび負荷が含まれている。外部機器が対応する交流,直流の種類に応じて、インバータ等を設ければ良い。これらの機器類は、公知のものを任意に適用することができる。
また、再生可能エネルギーを生み出す機器として風力発電機の動作条件を模擬した発電装置622を設置し、電力ケーブル620,621を介して充放電制御器616に接続した。発電装置622が発電するときには、充放電制御器616が充電モードに移行し、外部機器619に給電するとともに、余剰電力をリチウムイオン電池601aと612bに充電する。また、風力発電機を模擬した発電量が外部機器619の要求電力よりも少ないときには、リチウムイオン電池601aと612bを放電させるように充放電制御器616が動作する。なお、発電装置622は他の発電装置、すなわち太陽電池,地熱発電装置,燃料電池,ガスタービン発電機などの任意の装置に置換することができる。充放電制御器616は上述の動作をするように自動運転可能なプログラムを記憶させておく。
リチウムイオン電池601a,601bを定格容量が得られる通常の充電を行う。例えば、1時間率の充電電流にて、4.1Vあるいは4.2Vの定電圧充電を0.5時間、実行することができる。充電条件は、リチウムイオン電池の材料の種類,使用量などの設計で決まるので、電池の仕様ごとに最適な条件とする。
リチウムイオン電池601a,601bを充電した後には、充放電制御器616を放電モードに切り替えて、各電池を放電させる。通常は、一定の下限電圧に到達したときに放電を停止させる。
以上で説明したシステムをS1とし、外部機器619は充電時に電力を供給し、放電時に電力を消費させた。本実施例では、5時間率放電まで実施し、1時間率放電時の容量に対して90%の高い容量を得た。100サイクルの充放電サイクルを行ったときの容量低下は実質的に認められず、前記条件での容量は90%を維持していた。また、風力発電機を模擬した発電装置622が発電中には、3時間率の充電を行うことができた。
以上で説明した内容を踏まえ、それぞれ具体的な実施例を示し、本発明の効果を明らかにしていく。なお、本発明の要旨を変更しない範囲で、具体的な構成材料,部品などを変更しても良い。また、本発明の構成要素を含んでいれば、公知の技術を追加し、あるいは公知の技術で置き換えることも可能であり、発電装置は、太陽光,地熱,波動エネルギーなどの任意の再生可能なエネルギー発電システムに置き換えることができる。
(比較例1)
実施例1の負極の組成にて、分散処理時間を5〜10分にした負極を製作し、図5に示したリチウムイオン電池を複数個、製作した。この比較例によると、第2の分散状態が本発明の範囲外となる。負極の分散処理条件のみを変更し、他の条件は実施例4と同じとして、図6のシステムを製作した。本システムをS2とする。
このシステムを用いて、外部機器619は充電時に電力を供給し、放電時に電力を消費させた。本実施例では、5時間率放電まで実施し、1時間率放電時の容量に対して初期10サイクル時点では90%の高い容量を得た。しかし、サイクル数を増やすにつれて、容量の低下が大きく、100サイクル時点で81%まで低下した。
本発明による非水電解質二次電池の用途は、特に限定されない。例えば、パーソナルコンピュータ,ワープロ,コードレス電話子機,電子ブックプレーヤ,携帯電話,自動車電話,ハンディターミナル,トランシーバ,携帯無線機等の携帯情報通信機器の電源として使用することができる。また、携帯コピー機,電子手帳,電卓,液晶テレビ,ラジオ,テープレコーダ,ヘッドホンステレオ,ポータブルCDプレーヤ,ビデオムービー,電気シェーバー,電子翻訳機,音声入力機器,メモリーカード等の各種携帯機器の電源として使用できる。その他、冷蔵庫,エアコン,テレビ,ステレオ,温水器,オーブン電子レンジ,食器洗い機,乾燥器,洗濯機,照明器具,玩具等の家庭用電気機器として使用できる。
また、家庭用,業務用を問わずに、電動工具や介護用機器(電動式車いす,電動式ベッド,電動式入浴設備など)用の電池としても利用可能である。さらに、産業用途として、医療機器,建設機械,電力貯蔵システム,エレベータ,無人移動車両などの電源として、さらには電気自動車,ハイブリッド電気自動車,プラグインハイブリッド電気自動車,ゴルフカート,ターレット車などの移動体用電源として、本発明を適用することができる。さらには、太陽電池や燃料電池から発生させた電力を本発明の電池モジュールに充電し、宇宙ステーション,宇宙船,宇宙基地などの地上以外で利用可能な蓄電システムとして用いることも可能である。
11 第1の炭素(負極活物質)
12 第1の炭素の直径(平均粒径)
21 第1の炭素(負極活物質)
23 第1の炭素に囲まれた間隙の最小直径
301 コイン型リチウムイオン電池
307,507,607 正極
308,508,608 負極
309,509,609 セパレータ
330 正極合剤層
331 正極集電体
332 負極合剤層
333 負極集電体
334 正極缶
335 負極缶
336 ガスケット
337 空間(電解液が添加されている領域)
501,601a,601b 非水電解質二次電池
502,602 電池容器
503 蓋
504,604 正極外部端子
505,605 負極外部端子
506,606 注液口
510 正極リード線
511 負極リード線
512,612 絶縁性シール材料
613,614,615,617,618,620,621 電力ケーブル
616 充放電制御器
619 外部機器
622 再生可能なエネルギーの発電装置

Claims (4)

  1. リチウムイオンの挿入離脱可能な正極と負極及びこれらを分離する多孔質フィルムからなる非水電解質二次電池において、
    前記負極が、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な第1の炭素と、
    リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能かあるいは実質的にリチウムイオンを吸蔵しない第2の炭素を含み、
    前記第2の炭素の粒子凝集体からなる凝集体が前記第1の炭素の複数の粒子の間隙に主に局在しており、
    前記第2の炭素の一次粒子の平均粒径が前記第1の炭素の一次粒子の平均粒径の8%以下であり、
    前記第2の炭素の一次粒子が凝集した状態にあり、
    第2の炭素の一次粒子の平均粒径および前記第1の炭素の一次粒子の平均粒径は粒径分布を計測して求められ、
    前記第2の炭素の一次粒子の平均粒径および前記第1の炭素の一次粒子の平均粒径は、前記第2の炭素の一次粒子および前記第1の炭素を球に近似し、走査型電子顕微鏡によって得られた前記負極の表面写真において、前記第1の炭素と前記第2の炭素を区別できるように二値化画像処理を施して決定された値であり、
    前記第2の炭素粒子からなる凝集体は、アスペクト比1.25以上の数が前記凝集体の全数に対して50%以上となることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 走査型電子顕微鏡によって得られた前記負極の表面写真において、前記第1の炭素と前記第2の炭素を区別できるように二値化画像処理を施して前記第2の炭素からなる凝集体の平均面積を計算し、前記平均面積が前記第1の炭素の平均粒径の二乗以下とすることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記第2の炭素の凝集体がバインダを含有し、導電性を有していることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  4. 負極に導電性繊維が添加され、
    前記繊維の一部が前記第2の炭素の凝集体と接触していることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
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