JP5556414B2 - 極低温回転機械 - Google Patents

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Description

本発明は、液体窒素、液体ヘリウム、液体水素等の極低温冷媒を送流する極低温回転機械に関し、特に、極低温冷媒の入出口配管を含む静止流路を真空容器内に配置し、インペラを含む駆動装置を真空容器外に取り外し可能な極低温回転機械に関する。
極低温回転機械は、例えば、核融合炉や加速器等に使用される超伝導磁石の冷却、原子の衝突によって発生した中性子の減速等に使用される極低温冷媒を送流するためのコンプレッサ、ポンプ、タービン等の回転機械である。ここで、極低温とは、一般に、液体ヘリウム等の減圧沸騰及び希釈冷凍を利用して得られる温度を意味する。具体的には、大気圧における飽和温度は、液体ヘリウムが4K、水素ガスは20K、窒素ガスは80Kであり、そこから各冷媒を減圧することで得られる飽和温度よりも低い温度が極低温に相当する。また、極低温冷媒とは、極低温の気体又は液体を意味し、例えば、液体窒素、液体ヘリウム、液体水素、これらの気化ガス等が含まれる。かかる極低温回転機械は、一般に、極低温冷媒に運動エネルギーを付与するインペラ側が断熱保冷された真空容器内に配置され、インペラを回転駆動させる駆動装置側が真空容器外に配置される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。すなわち、インペラ側は低温の冷媒雰囲気中に配置され、駆動装置側は常温の冷媒雰囲気中に配置される。したがって、極低温回転機械の性能や効率を維持又は向上させるためには、インペラ側と駆動装置側との間を断熱し、低温側への熱侵入量を低減させることが重要となる。
特許文献1に記載された極低温回転機械は、回転軸の一端部に設けたインペラを極低温領域で作動させるとともに、回転軸を支承する軸受部を液体窒素温度レベルよりも高い状態に保持する極低温回転機械であって、インペラと、このインペラの背面部から軸受部の間に挿入した断熱材と、回転軸の一部とをケーシング内に収納し、かつ断熱材の一部に、ケーシングを貫通して液体窒素温度レベルまで冷却した作動流体と同質の流体を供給し、断熱材及びケーシングを冷却する冷却ガス流路を形成したものである。そして、軸受部には、例えば、動圧型ガス軸受、磁気軸受等の非接触式のものが使用されている。
特開平6−193598号公報
しかしながら、特許文献1に記載の極低温回転機械では、回転軸を回転させるという性質上、どうしても断熱材と回転軸との間に微小な隙間ができてしまうとともに、駆動装置側とインペラ側との空間の圧力を一定に保つことは困難であり、微小な圧力変化が発生してしまう。したがって、駆動装置側とインペラ側との圧力が均一になろうとして、インペラ側と駆動装置側との間でガスの通気が生じることとなる。特に、軸受部に非接触の軸受を使用した場合には、よりガスの通気が生じやすい。
具体的に述べると、インペラ側(低温側)の圧力が駆動装置側(常温側)の圧力より高い場合、インペラ側の低温のガスが、断熱材と回転軸との間を通って、駆動装置側(常温側)へ流れ込んで、圧力が均一になるように作用する。逆に、駆動装置側(常温側)の圧力がインペラ側(低温側)の圧力より高い場合、駆動装置側の常温のガスが、断熱材と回転軸との間を通って、インペラ側(低温側)へ流れ込んで、圧力が均一になるように作用する。このような作用が交互に生じ、駆動装置側とインペラ側との間にガスの通気の往復が発生する。
そして、低温のガスが駆動装置側に流れ込んだ場合、常温である駆動装置側の機器を冷却してしまう場合がある。例えば、駆動装置側のOリングが冷却された場合には、Oリングのシール性能が低下し、極低温ガスの漏洩が発生する原因となり得る。また、かかる低温ガスの駆動装置側への流入は、駆動装置全体の性能を低下させる原因にもなる。
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、インペラ側と駆動装置側との間におけるガスの通気の往復を抑制する極低温回転機械を提供することを目的とする。
本発明によれば、極低温冷媒に運動エネルギーを付与するインペラ側が断熱保冷された真空容器内に配置され、インペラを回転駆動させる駆動装置側が真空容器外に配置された極低温回転機械において、前記駆動装置の回転を前記インペラに伝達する回転軸と、該回転軸を支承する軸受と、前記インペラを収容するとともに前記真空容器に固定されるケーシングと、前記駆動装置を収容するとともに前記ケーシングの背面に配置される筐体と、前記筐体内に配置される充填材と、を備え、前記筐体は、前記駆動装置の後方に形成された作業用空間を有し、前記充填材は、該作業用空間に配置される、ことを特徴とする極低温回転機械が提供される。
前記充填材は、前記筐体内におけるガスの占める空間の体積を低減させる部材であってもよいし、金属又はセラミックスで構成されてもよいし、複数の球体又はブロックであってもよい。
前記ケーシングと前記回転軸との間かつ前記インペラと前記軸受との間に配置される断熱材を有し、該断熱材と前記ケーシング及び前記回転軸との隙間の間隔を維持したまま、該隙間の体積を増大させてもよい。
前記軸受は、前記回転軸又は固定部材を挿通する開口部以外の開口部を有しなくてもよい。
上述した本発明に係る極低温回転機械によれば、筐体内に充填材を配置することにより、筐体内におけるガスの占める体積を低減することができ、駆動装置側とインペラ側との間を往復するガスの通気総量を低減させることができる。したがって、インペラ側と駆動装置側との間におけるガスの通気の往復を抑制することができる。
本発明の第一実施形態に係る極低温回転機械の全体構成図である。 充填材を充填する前の状態を示す全体構成図である。 駆動装置側とインペラ側との間に生じるガスの流れを説明するための図であり、(a)は比較例(従来技術)、(b)は図1に示した第一実施形態、を示している。 ヘリウムガス、水素ガス及び窒素ガスの物質特性を示す図である。 本発明に係る極低温回転機械の他の実施形態を示す筐体周辺の拡大図であり、(a)は第二実施形態、(b)は第三実施形態、(c)は第四実施形態、を示している。 本発明に係る極低温回転機械の他の実施形態を示す断熱材周辺の拡大図であり、(a)は第五実施形態、(b)は第六実施形態、を示している。
以下、本発明の第一実施形態について図1乃至図3を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係る極低温回転機械の全体構成図である。また、図2は、充填材を充填する前の状態を示す全体構成図である。図3は、駆動装置側とインペラ側との間に生じるガスの流れを説明するための図であり、(a)は比較例(従来技術)、(b)は図1に示した第一実施形態、を示している。なお、図1乃至図3において真空容器の図は省略してある。
本発明の第一実施形態に係る極低温回転機械1は、図1及び図2に示したように、極低温冷媒に運動エネルギーを付与するインペラ2側が断熱保冷された真空容器内に配置され、インペラ2を回転駆動させる駆動装置3側が真空容器外に配置された極低温回転機械であって、駆動装置3の回転をインペラ2に伝達する回転軸4と、回転軸4を支承するジャーナル軸受5と、インペラ2を収容するとともに真空容器に固定されるケーシング6と、駆動装置3を収容するとともにケーシング6の背面に配置される筐体7と、筐体7内に配置される充填材8と、を有する。
前記インペラ2は、図1に示すように、回転軸4の先端に接続されており、ケーシング6内に収容されている。インペラ2の同心軸上の上流側には、極低温冷媒の吸入口61が形成され、インペラ2の半径方向の外周部には、遠心力により運動エネルギーが付与された極低温冷媒を送流するスクロール部62が形成されている。また、スクロール部62は、ケーシング6に接続された出口配管63と連通している。また、吸入口61及び出口配管63は、真空容器内に配置された静止流路を構成している。
前記駆動装置3は、例えば、ロータ31とステータ32とから構成される非接触式のモータである。ロータ31及びステータ32は、例えば、電磁石や永久磁石等により構成されており、ロータ31は回転軸4に配置され、ステータ32は筐体7に配置されている。ロータ31は、ステータ32との相互作用により回転モーメントを発生させ、回転軸4とともに回転駆動する。
前記回転軸4は、駆動装置3を挟むように配置された一対のジャーナル軸受5,9と、ジャーナル軸受5の背面に配置されたスラスト軸受10と、後端部に配置された上部軸受11と、によって支承されている。これらの軸受には、例えば、磁気軸受が採用され、回転軸4を非接触の状態で支持する。また、回転軸4のインペラ2とジャーナル軸受5との間に位置する部分は、薄肉の中空円筒形状に形成されており、インペラ2側と駆動装置3側との間で熱伝達し難くなるように構成されている。
前記ジャーナル軸受5は、中心部に回転軸4を挿通する開口部51を有する略円板形状を有している。また、開口部51の外周には、断熱材12の一部を収容する凹部52を形成するようにしてもよい。かかるジャーナル軸受5は、図1に示したように、ケーシング6と筐体7との間に挟持されている。また、ジャーナル軸受5は、回転軸4を挿通する開口部51又は固定部材(図不掲載)を挿通する開口部(図不掲載)以外の開口部を有しないように形成される。ここで、固定部材とは、ジャーナル軸受5を筐体7又はケーシング6に固定するためのボルト等の締結部材を意味する。なお、他方のジャーナル軸受9は、回転軸4の後端側に挿通され筐体7に固定されている。
前記ケーシング6は、図1に示したように、インペラ2及び回転軸4の一部を収容する開口部64を有する本体部6aと、本体部6aの外周に形成された拡径部6bと、を有する。本体部6aには、上述した吸入口61及びスクロール部62が開口部64と連通するように形成されている。また、本体部6aの回転軸4を収容する部分は、薄肉の中空円筒形状に形成されており、インペラ2側と駆動装置3側との間で熱伝達し難くなるように構成されている。また、駆動装置3側における本体部6aの開口部64の外周には、ジャーナル軸受5を収容する凹部65を形成するようにしてもよい。また、拡径部6bは、図示しない真空容器の壁面に固定される。すなわち、ケーシング6は、本体部6aのインペラ2側が真空容器の壁面に形成された開口部から挿入され、その開口部を覆うように拡径部6bが真空容器の壁面に配置され外側から固定されるように構成されている。
また、ケーシング6の拡径部6bの真空容器外側には、ジャーナル軸受5の外周に沿って環状溝66が形成されており、環状溝66にはOリング67が嵌入されている。かかるOリング67は、筐体7の端面とケーシング6の拡径部6bとの間に挟まれて、筐体7とケーシング6との結合面をシールしている。
前記筐体7は、駆動装置3、ジャーナル軸受5,9、スラスト軸受10及び上部軸受11を収容するとともにケーシング6の背面に配置される。具体的には、筐体7は、駆動装置3等の収容空間を形成する筒状部材72と、筒状部材72の開口部を封鎖する蓋部材73と、蓋部材73と対峙するように筒状部材72に形成された環状溝74と、環状溝74に嵌入されたOリング75と、を有する。なお、筐体7の開口部から、ケーシング6及び筐体7の内部に配置されたインペラ2を含む駆動装置3は、メンテナンス時等に真空容器外に取り外し可能に構成されている。
筒状部材72は、駆動装置3を収容する第一筒部72aと、第一筒部72aの後方、すなわち、第一筒部72aと蓋部材73との間に拡径して形成された第二筒部72bと、を有する。第一筒部72aと第二筒部72bとの段差部には、ジャーナル軸受9が接続される。かかる第二筒部72bの内部空間は、図示しない配線や配管を筐体7に収容された駆動装置3、ジャーナル軸受5,9、スラスト軸受10等の構成部品に接続するための作業用空間71を形成する。かかる作業用空間71を通して各構成部品の据付やメンテナンス等を行うため、作業用空間71は、配管や配線を収容する空間に加え、作業員が手や工具等を挿入して所定の作業を行うことができるだけの空間を要し、少なからず一定の容積を必要とする。
蓋部材73は、上述した配線や配管を筐体7内に案内するための配線・配管口73aを有する。また、蓋部材73は、図示しない締結具により、筒状部材72の開口部を封鎖するように筐体7に連結される。このとき、蓋部材73と筒状部材72との結合面は、筒状部材72の端面に配置されたOリング75によりシールされる。
ここで、筐体7の内部は極低温冷媒の気化ガスにより充満し得る構造であるため、オイルフリーの構成とすることが好ましい。そこで、駆動装置3及び回転軸4の軸受には非接触式のものを採用することが好ましい。なお、軸受には磁気軸受の代わりにガス軸受を採用するようにしてもよい。また、図示しないが、筐体7の駆動装置3と対峙する壁面部に冷却水を供給及び循環できる冷却ジャケットを配置するようにしてもよい。
前記充填材8は、筐体7内の所定の空間に配置され、筐体7内におけるガスの占める空間の体積を低減させる部材である。例えば、図1に示したように、筐体7が駆動装置3の後方に形成された作業用空間71を有する場合には、充填材8は作業用空間71内に配置される。このように、筐体7の空間に一定の体積を有する物体(充填材8)で埋めることにより、筐体7におけるガスの占める空間を低減することができ、駆動装置3側とインペラ2側との間を往復するガスの総量を低減させることができる。かかる充填材8は、極低温雰囲気に曝されても一定の体積又は形状を維持できること、筐体7内のガスと反応して変質したり生成物を生じたりしないこと、駆動装置3と回転軸4との隙間に入り込まないこと、等の条件を満たしていれば、どのような部材及び形状であってもよい。例えば、充填材8は、図示したように、金属又はセラミックスで構成された複数の球体である。金属には、例えば、ステンレス鋼等を使用することができる。
前記断熱材12は、図1及び図2に示したように、インペラ2とジャーナル軸受5との間に配置され、真空容器内の低温雰囲気と真空容器外の常温雰囲気との間の熱伝達を抑制する。かかる断熱材12には、例えば、ガラス繊維強化プラスチックやセラミックス等のような、熱伝導率が低く、極低温雰囲気に対して耐久性の高い素材が採用される。
また、断熱材12は、ケーシング6と回転軸4との間かつインペラ2とジャーナル軸受5との間に配置可能な略円筒形状に形成されており、ケーシング6に形成された開口部64に係止可能なフランジ部12aを有し、フランジ部12aは、ジャーナル軸受5とケーシング6との間に挟持されている。具体的には、フランジ部12aの下面は、ケーシング6の本体部6aに形成された凹部65に係止され、フランジ部12aの上面は、ジャーナル軸受5に形成された凹部52に収容される。また、断熱材12の内側には、回転軸4やジャーナル軸受5の表面に沿うように段差部12bが形成されていてもよい(例えば、図3(b)参照)。
また、フランジ部12aとジャーナル軸受5との間には、後述するように、押さえバネ13が挿入されている(例えば、図3(b)参照)。かかる押さえバネ13は、フランジ部12aをケーシング6に押さえ付け、ケーシング6と断熱材12との間の隙間を小さくするための部品である。
ここで、駆動装置3側とインペラ2側との間に生じるガスの流れについて、図3を参照しつつ説明する。図3(a)に示した比較例は、従来技術のジャーナル軸受50を使用した比較例である。
図3(a)に示した比較例では、ジャーナル軸受50に、断熱材120よりも径方向外側に上下面の両面を貫通する開口部53が形成されている。開口部53は、インペラ20側と駆動装置30側との間に生じる圧力変動を緩和させるためのものである。
かかる比較例では、開口部53が形成されていることから、断熱材120とケーシング60との隙間を介してインペラ20側と駆動装置30側との間のガスの往復が起こり易い構成になっている。その結果、図3(a)において、矢印で示したように、断熱材120とケーシング60との隙間を介したインペラ20側と駆動装置30側との間のガスの往復と、回転軸40と断熱材120との隙間を介したインペラ20側と駆動装置30側との間のガスの往復が生じる。かかるガスの往復は、断熱材120の断熱効果を低減させ、装置全体の性能や効率を低下させる原因となる。また、低温のガスが駆動装置30側に流れ込んだ場合、常温である駆動装置3側の機器を冷却してしまう場合がある。例えば、駆動装置30側のOリング(例えば、第一実施形態におけるOリング67,75)が冷却された場合には、シール性能が低下し、極低温ガスの漏洩が発生し得る原因となる。
一方、図3(b)に示した第一実施形態では、上述した構成を有するとともに、ジャーナル軸受5には、断熱材12よりも径方向外側に両面を貫通する開口部53が形成されていない。したがって、回転軸4と断熱材12との隙間を介したインペラ2側と駆動装置3側との間のガスの往復が生じるのみである。したがって、インペラ2側と駆動装置3側との間を往復するガスの総量を低減させることができる。その結果、上述した装置全体の性能低下やOリング67,75のシール性能低下等の問題を抑制することができる。
次に、駆動装置3側とインペラ2側との間にガスの流れ(通気)が生じた場合に、起こり得る現象について説明する。ここで、図4は、ヘリウムガス、水素ガス及び窒素ガスの物質特性を示す図である。図4において、横軸は温度(K)、縦軸は定圧比熱(J/gK)を示している。また、ヘリウムガス(He)のグラフを実線、水素ガス(H)のグラフを一点鎖線、窒素ガス(N)のグラフを点線、で示している。
本実施形態に係る極低温回転機械1は、液体窒素、液体ヘリウム、液体水素等の極低温冷媒を送流する回転機械であるため、これらの極低温冷媒を構成するガスの物質特性と深い関わりがある。
図4に示したように、ヘリウムガス(He)、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の臨界温度は、それぞれ、約5.2K、約33.0K、約126.2Kである。そして、かかる臨界温度付近では、定圧比熱が急激に上昇し、周りの熱を奪いやすい状態となる。特に、筐体7内は極低温冷媒の気化ガスが充満しており、インペラ2側(低温側)の圧力が駆動装置3側(常温側)の圧力より高い場合には、極低温冷媒の気化ガスが駆動装置3側に流入することとなる。このとき、気化ガスは、駆動装置3側(常温側)に移動するに従って温度が上昇し、臨界温度付近を通過することとなる。したがって、気化ガスが臨界温度を通過するときに、急激に周囲の構成部品を冷却することとなる。なお、かかる現象は、臨界圧力付近でも同様に生じる現象である。
かかる冷却を抑制するためには、気化ガスがインペラ2側(低温側)から駆動装置3側(常温側)に流れ込む流量を低減することが効果的である。そこで、本発明の第一実施形態に係る極低温回転機械1では、筐体7内に充填材8を配置することにより、筐体7内における気化ガスの占める体積を低減させ、インペラ2側から駆動装置3側に流入する気化ガスの流量を低減している。その結果、駆動装置3側とインペラ2側との間を往復する気化ガスの総量を低減させることができ、インペラ2側と駆動装置3側との間の気化ガスの往復を抑制することができる。
続いて、本発明の他の実施形態に係る極低温回転機械1について説明する。ここで、図5は、本発明に係る極低温回転機械の他の実施形態を示す筐体周辺の拡大図であり、(a)は第二実施形態、(b)は第三実施形態、(c)は第四実施形態、を示している。また、各図において、作業用空間71に配置される配線や配管については、説明の便宜上、図を省略してある。なお、各図において、図1に示した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図5(a)に示した第二実施形態は、充填材8を複数の球体ではなく、複数の立方体等のブロックにより構成したものである。かかる第二実施形態によれば、充填材8を複数の球体で構成した場合と比較して、効率よく筐体7内の作業用空間71の隙間を埋めることができ、ガスの占める空間を効果的に低減することができる。なお、ブロックには、図示した立方体のほか、直方体、円柱体等、種々の形状のものを使用することができる。
図5(b)に示した第三実施形態は、充填材8を複数の球体及びブロックで構成したものである。かかる第三実施形態によれば、ブロックを配置することが適当な箇所(例えば、作業用空間71の外周部)にはブロックの充填材8を配置し、球体を配置することが適当な箇所(例えば、作業用空間71の内周部)には球体の充填材8を配置することにより、効率よく筐体7内の作業用空間71の隙間を埋めることができ、ガスの占める空間を効果的に低減することができる。
図5(c)に示した第四実施形態は、充填材8を複数種類の大きさの球体により構成したものである。かかる第四実施形態によれば、充填材8を一種類の球体で構成した場合と比較して、効率よく筐体7内の作業用空間71の隙間を埋めることができ、ガスの占める空間を効果的に低減することができる。また、ここでは、大中小の三種類の大きさの球体(充填材8)を使用しているが、これに限定されるものではなく、充填材8は、二種類の大きさの球体であってもよいし、四種類以上の大きさの球体であってもよい。また、充填材8は、複数種類の大きさのブロック又はブロック若しくは球体の組合せにより構成するようにしてもよい。
図6は、本発明に係る極低温回転機械1の他の実施形態を示す断熱材周辺の拡大図であり、(a)は第五実施形態、(b)は第六実施形態、を示している。ここで、第五実施形態及び第六実施形態においては、断熱材12とケーシング6及び回転軸4との隙間の間隔を維持したまま、該隙間の体積を増大させたものである。これらの実施形態によれば、常温の駆動装置3側と低温のインペラ2側との間の緩衝領域の体積を増大させることによって、低温側に近い空間の圧力を低下させることができ、インペラ2側の気化ガスを駆動装置3側に流入し難くすることができ、インペラ2側と駆動装置3側との間の気化ガスの往復を低減させることができる。
図6(a)に示した第五実施形態は、回転軸4及び断熱材12の円筒内側の直径Dを第一実施形態よりも拡大したものである。また、図6(b)に示した第六実施形態は、回転軸4が断熱材12に挿入される部分の長さLを拡大したものである。このように、直径D又は長さLを拡大することによって、常温の駆動装置3側と極低温のインペラ2側との間の緩衝領域の体積を容易に増大させることができる。なお、本実施形態において、直径D及び長さLの両方を拡大するようにしてもよい。
上述した第一実施形態乃至第六実施形態では、極低温回転機械1がコンプレッサの場合について説明したが、極低温回転機械1はポンプ、タービン又はこれらに類する他の回転機械であってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されず、充填材8をセラミックス又は金属以外の材料で構成してもよい、極低温冷媒にネオンガス等を適用してもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1…極低温回転機械
2…インペラ
3…駆動装置
4…回転軸
5,9…ジャーナル軸受
6…ケーシング
6a…本体部
6b…拡径部
7…筐体
8…充填材
10…スラスト軸受
11…上部軸受
12…断熱材
12a…フランジ部
12b…段差部
13…押さえバネ
31…ロータ
32…ステータ
51…開口部
52…凹部
61…吸入口
62…スクロール部
63…出口配管
64…開口部
65…凹部
66…環状溝
67,75…Oリング
71…作業用空間
72…筒状部材
72a…第一筒部
72b…第二筒部
73…蓋部材
73a…配線・配管口
74…環状溝

Claims (6)

  1. 極低温冷媒に運動エネルギーを付与するインペラ側が断熱保冷された真空容器内に配置され、インペラを回転駆動させる駆動装置側が真空容器外に配置された極低温回転機械において、
    前記駆動装置の回転を前記インペラに伝達する回転軸と、
    該回転軸を支承する軸受と、
    前記インペラを収容するとともに前記真空容器に固定されるケーシングと、
    前記駆動装置を収容するとともに前記ケーシングの背面に配置される筐体と、
    前記筐体内に配置される充填材と、を備え、
    前記筐体は、前記駆動装置の後方に形成された作業用空間を有し、前記充填材は、該作業用空間に配置される、
    ことを特徴とする極低温回転機械。
  2. 前記充填材は、前記筐体内におけるガスの占める空間の体積を低減させる部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の極低温回転機械。
  3. 前記充填材は、金属又はセラミックスで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の極低温回転機械。
  4. 前記充填材は、複数の球体又はブロックである、ことを特徴とする請求項1に記載の極低温回転機械。
  5. 前記ケーシングと前記回転軸との間かつ前記インペラと前記軸受との間に配置される断熱材を有し、該断熱材と前記ケーシング及び前記回転軸との隙間の間隔を維持したまま、該隙間の体積を増大させた、ことを特徴とする請求項1に記載の極低温回転機械。
  6. 前記軸受は、前記回転軸又は固定部材を挿通する開口部以外の開口部を有しない、ことを特徴とする請求項1に記載の極低温回転機械。
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