JP5552399B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体 Download PDF

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Description

本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、成形性を低下させずに高発泡可能であり、かつ断熱性及び機械的強度に優れた発泡成形体を与える発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体に関する。
ポリスチレン系樹脂の発泡成形体は断熱性に優れていることから、建材用断熱材や保温容器等として汎用されている。
しかしながら、特に、建材用途では、コストを低減する観点から、高発泡倍率化することで樹脂量を減らすことの他に、高発泡倍率化による断熱性の向上が求められている。
本発明者は、既に機械強度及び断熱性に優れたポリスチレン系樹脂の発泡成形体を高発泡倍率で製造可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びその製造方法を発明し、特許出願している(特許文献1参照)。
特開2005−248098号公報
昨今、省エネ化が継続して求められている。そのため、発泡成形体の断熱性の向上及び高発泡倍率化(省資源化)も継続して求められている。
本発明者は、前記事情に鑑みて、特定の付着水分量の鱗片状珪酸塩を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子により、機械強度及び断熱性に優れたポリスチレン系樹脂の発泡成形体を高発泡倍率で製造可能であることを見い出し、その結果、省エネに貢献可能である本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、ポリスチレン系樹脂と、揮発性発泡剤と、0.3〜1.0質量%の付着水分量を有する鱗片状珪酸塩とを含有し、前記鱗片状珪酸塩が、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に、1〜20質量%の割合で含まれることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が提供される。
また、本発明によれば、0.3〜1.0質量%の付着水分量を有する鱗片状珪酸塩を含有するポリスチレン系樹脂種粒子に、水性媒体中で、スチレン系モノマーを含浸させつつ又は含浸させた後で前記スチレン系モノマーを重合させる工程と、前記スチレン系モノマーの重合後の粒子又は重合途中の粒子に揮発性発泡剤を含浸させる工程とを含む発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であり、前記鱗片状珪酸塩が、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に、1〜20質量%の割合で含まれることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られ、0.01〜0.03g/cm3の嵩密度を有する予備発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、予備発泡粒子を発泡成形して得られた発泡成形体が提供される。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子によれば、特定の付着水分量の鱗片状珪酸塩を含むことで、それから得られる発泡成形体の機械的強度を保持しつつ断熱性の向上と高発泡倍率化が可能であり、そのため省資源化に貢献できる。
付着水分量が、0.3〜1.0質量%の範囲である場合、発泡成形体の機械的強度を保持しつつ断熱性の向上と高発泡倍率化が可能であり、そのため省資源化に貢献可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。
鱗片状珪酸塩が雲母又はセリサイトである場合、発泡成形体の機械的強度を保持しつつ断熱性の向上と高発泡倍率化が可能であり、そのため省資源化に貢献可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をより簡便に提供できる。
鱗片状珪酸塩が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に、1〜20質量%の割合で含まれる場合、発泡成形体の機械的強度を保持しつつ断熱性の向上と高発泡倍率化が可能であり、そのため省資源化に貢献可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をより簡便に提供できる。
含浸開始時から重合終了時までの間に存在する、ポリスチレン系樹脂種粒子に前記スチレン系モノマーを含浸及び重合させた成長途上粒子が、60質量%以下のスチレン系モノマーを含む場合、発泡成形体の機械的強度を保持しつつ断熱性の向上と高発泡倍率化が可能であり、そのため省資源化に貢献可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をより簡便に提供できる。
スチレン系モノマーを、15体積%以上の酸素を含む雰囲気下で、ポリスチレン系樹脂種粒子に含浸させつつ重合させる場合、発泡成形体の機械的強度を保持しつつ断熱性の向上と高発泡倍率化が可能であり、そのため省資源化に貢献可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をより簡便に提供できる。
実施例1で得られた発泡成形体の断面の電子顕微鏡写真である。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂と、揮発性発泡剤と、鱗片状珪酸塩とを含有する。
(鱗片状珪酸塩)
鱗片状珪酸塩は、0.3質量%以上の付着水分量を有する。この付着水分量の鱗片状珪酸塩は、ポリスチレン系樹脂に馴染み難いため、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体を構成する気泡膜内に取り込まれることなく、気泡膜の表面に位置することになる。そのため、発泡時の気泡膜破れが生じ難く、その結果、発泡成形体に断熱性の低下や強度の低下を抑制することができる。付着水分量は、例えば、鱗片状珪酸塩の表面を親油処理することで0.3質量%未満とすることができるが、その場合、鱗片状珪酸塩とポリスチレン系樹脂との馴染み性が高まるため、鱗片状珪酸塩が、気泡膜内に全部又は一部含有されることになる。含有された鱗片状珪酸塩は、発泡時に気泡膜破れを発生させやすく、その場合、発泡成形体の断熱性及び強度を低下させることになる。付着水分量は、0.3〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、0.3〜0.8質量%の範囲であることがより好ましい。
付着水分量は、鱗片状珪酸塩の表面を親油処理すれば低下し、親水処理すれば上昇する。親油処理法としては、シランカップリング剤による表面処理等が挙げられる。鱗片状珪酸塩の粒径は10〜200μmであることが好ましい。
鱗片状珪酸塩の具体例としては、天然雲母、合成雲母、セリサイト等が挙げられる。なお、合成雲母は、天然の雲母とは異なり、天然の雲母の結晶構造中の全ての−OH基が−F基で置換された組成を有する人工的に作られた雲母であり、KMg3AlSi3102を理想組成とするものである。
鱗片状珪酸塩の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中、1〜20質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。含有量が1質量%未満の場合、発泡成形体の断熱性が低下することがある。一方、20質量%を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させた際に気泡膜が破れ易くなって、高発泡倍率の発泡成形体を得難いことがある。
鱗片状珪酸塩は、その表面を金属酸化物によって被覆してもよい。このような金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄が挙げられる。具体的な表面が被覆された鱗片状珪酸塩は、酸化チタンで表面が被覆された天然雲母又は合成雲母、酸化鉄で表面が被覆された天然雲母又は合成雲母等が挙げられる。
金属酸化物の含有量は、金属酸化物によって表面が被覆された鱗片状珪酸塩中、10〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられる。ポリスチレン系樹脂は、スチレン由来の成分を50質量%以上含有していることが好ましく、ポリスチレンからなることがより好ましい。
また、ポリスチレン系樹脂としては、スチレン系モノマーと、このスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよい。共重合体の場合、スチレン系モノマー由来の成分が主成分(50質量%以上、好ましくは99.8〜99.9質量%)を占めることが好ましい。このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の二官能性モノマー等が挙げられる。
(揮発性発泡剤)
揮発性発泡剤としては、沸点がポリスチレン系樹脂の軟化点以下であって、常圧でガス状もしくは液状の有機化合物が適している。そのような揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの揮発性発泡剤は、一種のみを使用してもよく、また、二種以上を併用してもよい。好ましい揮発性発泡剤は沸点が−45〜40℃の炭化水素であり、より好ましい揮発性発泡剤はプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等である。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における揮発性発泡剤の含有量が少ない場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形体の高発泡倍率化が困難となることがある。加えて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士の熱融着が不充分となって、発泡成形体の外観性が低下することがある。一方、含有量が多い場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形体に収縮が生じることがある。加えて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子中の発泡ガスの調整や発泡成形に時間を要して製造効率が低下することがある。揮発性発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の全量の2.0〜9.0質量%が好ましく、3.0〜7.0質量%がより好ましい。なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における揮発性発泡剤の含有量は、製造直後に13℃の恒温室内に5日間放置した上で測定されたものである。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法)
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、鱗片状珪酸塩を含有するポリスチレン系樹脂種粒子に、水性媒体中で、スチレン系モノマーを含浸させつつ又は含浸させた後でスチレン系モノマーを重合させる工程(重合工程)と、前記スチレン系モノマーの重合後の粒子又は重合途中の粒子に揮発性発泡剤を含浸させる工程(含浸肯定)とを含む製造方法により得ることができる。
(1)重合工程
(a)ポリスチレン系樹脂種粒子(以下、種粒子とも称する)
種粒子は、ポリスチレン系樹脂と鱗片状珪酸塩とを含む。
ポリスチレン系樹脂は、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の欄で挙げたポリスチレン系樹脂をいずれも使用できる。種粒子を構成しているポリスチレン系樹脂のスチレン換算重量平均分子量は、小さい場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる発泡成形体の機械強度が低下させることがある。一方、大きいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性が低下することがある。好ましい平均分子量は、12万〜60万である。
鱗片状珪酸塩は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる量を予め種粒子に仕込んでおく必要がある。従って、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に鱗片状珪酸塩を1〜20質量%含有させる場合、鱗片状珪酸塩を6.0〜50.0質量%含む種粒子を使用することが好ましい。種粒子中の鱗片状珪酸塩が6.0質量%未満の場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体の断熱性が低下することがある。また、50.0質量%を超えると種粒子が製造し難くなることがある。種粒子中の鱗片状珪酸塩の含有量は、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。
種粒子は、ポリオレフィンワックス0.1〜0.7質量%を含有することが好ましい。ポリオレフィンワックス量が0.1質量%未満の場合、鱗片状珪酸塩の分散が悪くなることがある。0.7質量%を超える場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子からの揮発性発泡剤の逸散が早くなりすぎることがある。ポリオレフィンワックスの含有量は、0.1〜0.6質量%であることがより好ましく、0.1〜0.5質量%であることが更に好ましい。
種粒子の製造方法としては、汎用の方法が用いられる。例えば、ポリスチレン系樹脂及び鱗片状珪酸塩を、それぞれ所定量、押出機に供給して溶融混練し、押出機からストランド状に押出して所定長さ毎に切断して種粒子を製造する方法が挙げられる。この方法以外にも、塊状重合と粉砕を組み合わせた方法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。
(b)水性媒体
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
(c)スチレン系モノマー
スチレン系モノマーとしては、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の欄で挙げたポリスチレン系樹脂製造用のスチレン系モノマーを使用できる。また、スチレン系モノマーに上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の欄で挙げたビニルモノマーを加えてもよい。
スチレン系モノマーは、種粒子100質量部に対して、100〜600質量部を種粒子に含浸させ、重合させることが好ましい。スチレン系モノマーの含浸量が100質量部未満の場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面に鱗片状珪酸塩が析出しやすくなるため、成形性が低下することがある。一方、600質量部を超える場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時にスチレン系モノマー単独の重合粉末が発生しやすくなるため、生産性が低下することがある。スチレン系モノマーの含浸量は、200〜600質量部であることがより好ましく、200〜500質量部であることが更に好ましい。
(d)他の成分
種粒子に含浸されたスチレン系モノマーを重合させるための重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら重合開始剤は、単独でも、併用してもよい。10時間の半減期を得るための分解温度が、80〜120℃にある複数種類の重合開始剤を併用することが好ましい。
シード重合を行う際に、スチレン系モノマーの液滴及び種粒子の分散性を安定させるために懸濁安定剤を用いてもよい。
懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。ここで、難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤が通常、併用される。
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる発泡成形体の平均気泡径を調整するために、前記シード重合の終了の5〜10分前、シード重合終了直後、又は、ポリスチレン系樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させた後に、気泡調整剤をポリスチレン系樹脂粒子中に0.01〜0.8質量%となるように添加してもよい。このような気泡調整剤としては、エチレンビスステアリン酸アマイドのようなステアリン酸塩、トリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
(e)重合条件
重合は、使用するモノマー種、重合開始剤種、重合雰囲気種等により異なるが、通常、60〜150℃の加熱を、1〜10時間維持することにより行われる。
重合雰囲気としては、重合反応中での反応容器内の酸素濃度を15体積%以上に保持した雰囲気が挙げられる。酸素濃度が15体積%未満の場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に鱗片状珪酸塩が多量に含有されやすくなる。そのため発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子を二次発泡させた際に、予備発泡粒子の表面部の気泡が鱗片状珪酸塩によって破泡することがある。その結果、発泡成形体の高発泡倍率化が妨げられることがある。加えて、破泡することによって予備発泡粒子同士が充分に熱融着一体化するための発泡圧を得ることができず、その結果、発泡粒子同士の熱融着一体化が不充分となり、得られる発泡成形体の機械的強度が低下することがある。より好ましい酸素濃度は、15〜21体積%の範囲である。
分散液中に最終的に供給されるスチレン系モノマーの総量は、得られるポリスチレン系樹脂粒子中における種粒子の含有割合が、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜70質量%、最も好ましくは15〜50質量%となるように調整できる。得られるポリスチレン系樹脂粒子中における種粒子の含有割合が小さいと、重合途中の粒子(成長途上粒子)中のスチレン系モノマー量を所定範囲内に制御することが困難となることがある。また、ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂が高分子量化することがある。更に、スチレン系モノマーの重合物のみからなる微粉末状粒子が多量に発生して製造効率が低下することがある。一方、含有割合が大きいと、種粒子中に含有させた鱗片状珪酸塩が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に均一に含有された状態となってしまい、成形性が低下することがある。
そして、種粒子に含まれる鱗片状珪酸塩が、得られるポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、3〜10質量部の範囲となるように、ポリスチレン系樹脂種粒子の使用量及び分散液中へのスチレン系モノマーの供給総量を調整することが好ましい。
ポリスチレン系樹脂粒子中における鱗片状珪酸塩の含有量が少ない場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形体の断熱性が低下することがある。また、含有量が多い場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させる際、鱗片状珪酸塩が原因となって気泡膜に破れが発生することがある。その結果、高発泡倍率の発泡成形体を得るのが困難となることがある。
更に、ポリオレフィンワックスを使用する場合、0.03〜0.09質量部の範囲となるように、種粒子の使用量及び分散液中へのスチレン系モノマーの供給総量を調整することが好ましい。
そして、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法では、種粒子へのスチレン系モノマーの重合を、スチレン系モノマーの含浸と同時に行うことができる。具体的には、含浸開始時から重合終了時までの間に存在する、ポリスチレン系樹脂種粒子にスチレン系モノマーを含浸及び重合させた成長途上粒子が、60質量%以下のスチレン系モノマーを含むように、重合系にスチレン系モノマーを加えることができる。より好ましいスチレン系モノマー量は、40質量%以下であり、更に好ましいスチレン系モノマー量は、30質量%以下である。スチレン系モノマー量が多い場合、スチレン系モノマーが成長途上粒子の中心部付近で重合してしまうことがある。その結果、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に鱗片状珪酸塩が多く含有されてしまうことがある。スチレン系モノマー量を調製することで、鱗片状珪酸塩の偏在を防止できる。
(f)ポリスチレン系樹脂粒子
ポリスチレン系樹脂粒子の粒子径は、後述する予備発泡粒子の成形型内への充填性の点から、0.3〜2.0mmであることが好ましく、0.3〜1.4mmであることがより好ましい。
更に、ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂のスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、小さいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる発泡成形体の機械的強度が低下することがある。一方、大きいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性が低下し、高発泡倍率の発泡成形体を得ることができないことがある。好ましい重量平均分子量は、12万〜60万である。
(2)含浸工程
揮発性発泡剤の含浸は、スチレン系モノマーの重合後の粒子に行ってもよく、成長途上粒子に揮発性発泡剤を含浸させてもよい。重合の途中での含浸は、水性媒体中で含浸させる方法(湿式含浸法)により行うことができる。重合後の含浸は、湿式含浸法か、又は媒体非存在下で含浸させる方法(乾式含浸法)により行うことができる。
(3)その他の工程
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に溶剤や可塑剤を添加してもよい。
溶剤としては、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートのようなアジピン酸エステル等が挙げられる。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における溶剤及び可塑剤の含有量は、それぞれ、少ない場合、溶剤及び可塑剤を添加した効果が発現しないことがある。一方、含有量が多い場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られた発泡成形体に収縮や溶けが発生して外観が低下することがある。好ましい含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の全量の0.1〜1.5質量%であり、0.2〜1.0質量%がより好ましい。
溶剤及び可塑剤の含浸は、スチレン系モノマーの重合後の粒子又は成長途上粒子に対して行うことができる。更に、種粒子に予め溶剤や可塑剤を添加しておいてもよい。
溶剤及び可塑剤のポリスチレン系樹脂粒子、種粒子又は成長途上粒子への含浸温度が低い場合、含浸に時間を要し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造効率が低下することがある。一方、高い場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子同士の合着が多量に発生することがある。含浸温度は、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
更に、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、物性を損なわない範囲内において、発泡セル造核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤は、溶剤や可塑剤と同様の要領で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含ませることができる。
難燃剤としては、例えば、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA等が挙げられる。そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における難燃剤の含有量が少ない場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形体の難燃性が不充分となることがある。一方、多い場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の成形性が低下することが。難燃剤の含有量は、0.5〜1.5質量%が好ましい。
また、難燃助剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイドのような有機過酸化物が挙げられる。そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における難燃助剤の含有量が少ない場合、難燃助剤を添加した効果が発現しないことがある。一方、多い場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡成形性が低下することがある。難燃助剤の含有量は、0.05〜0.5質量%が好ましい。
(予備発泡粒子)
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、予備発泡機で予備発泡されて予備発泡粒子とされる。予備発泡粒子の嵩密度は、0.01〜0.03g/cm3の範囲である。予備発泡粒子の嵩密度が0.01g/cm3未満である場合、得られる発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性及び機械的強度が低下することがある。一方、嵩密度が0.03g/cm3を超える場合、発泡成形体の軽量性が低下するばかりか、鱗片状珪酸塩を添加する効果が少なくなることがある。嵩密度は、0.0125〜0.03g/cm3の範囲であることが好ましく、0.0167〜0.025g/cm3の範囲であることがより好ましい。
(発泡成形体)
予備発泡粒子は、発泡成形機の成形内に充填され、加熱蒸気のような加熱媒体により型内発泡成形により、発泡圧によって互いに熱融着一体化することで、所望形状を有する発泡成形体となる。
予備発泡粒子は、成形前に、常圧にて熟成してもよい。予備発泡粒子の熟成温度が低い場合、予備発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高い場合、予備発泡粒子中の揮発性発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。熟成温度は、20〜60℃が好ましい。
発泡成形体の密度は、0.0125〜0.03g/cm3の範囲であることが好ましく、0.0167〜0.025g/cm3の範囲であることがより好ましい。
得られた発泡成形体は、家電製品のような緩衝材(クッション材)、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の用途に用いることができる。また、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の衝撃エネルギー吸収材として好適に用いることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、鱗片状珪酸塩のアスペクト比及び平均粒径、成長途上粒子のスチレン系モノマー量、スチレン系樹脂の重量平均分子量、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中の鱗片状珪酸塩の含有量、予備発泡粒子の嵩密度、発泡成形体の最大曲げ強度及び熱伝導率の測定法を下記する。
<鱗片状珪酸塩の付着水分量>
鱗片状珪酸塩を150℃で加熱し、付着水分を逸散させる。付着水分量は、加熱前の試料重量W1、加熱後の試料重量をW2として下記式より算出する。
付着水分量=(W1−W2)/W1
なお、鱗片状珪酸塩の付着水分量は、種粒子製造前の値であるが、この値は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においても実質的に変化しないことを発明者は確認している。その理由は、鱗片状珪酸塩は種粒子の製造時に種粒子中に含まれてしまうため、その後に水性媒体と接触しても種粒子中の鱗片状珪酸塩に水分が接触し得ないためである、と発明者は考えている。
<スチレン系モノマー量>
ポリスチレン系樹脂成長途上粒子(以下、成長途上粒子という)中におけるスチレン系モノマー量の測定方法は、下記要領で測定されたものをいう。
即ち、成長途上粒子を分散液中から取り出し、表面に付着した水分をガーゼを用いて拭き取り除去する。成長途上粒子を0.08g採取し、この採取した成長途上粒子をトルエン24ミリリットル中に溶解させてトルエン溶液を作製する。次に、このトルエン溶液中に、ウイス試薬10ミリリットル、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1質量%のでんぷん水溶液30ミリリットルを加える。得られた溶液を、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果を試料の滴定数(ミリリットル)とする。なお、ウイス試薬は、氷酢酸2リットルにヨウ素8.7g及び三塩化ヨウ素7.9gを溶解してなるものである。
一方、成長途上粒子を溶解させることなく、トルエン24ミリリットル中に、ウイス試薬10ミリリットル、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1質量%のでんぷん水溶液30ミリリットルを加える。得られた溶液を、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果をブランクの滴定数(ミリリットル)とする。
得られた滴定数から、成長途上粒子中におけるスチレン系モノマー量を下記式に基づいて算出する。
成長途上粒子中のスチレン系モノマー量(質量%)
=0.1322×(ブランクの滴定数−試料の滴定数)/試料の滴定数
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、下記の要領で測定されたスチレン換算重量平均分子量をいう。
即ち、ポリスチレン系樹脂30mgをクロロホルム10ミリリットルで溶解する。得られた溶液を、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した後、クロマトグラフを用いて平均分子量を下記条件にて測定する。
ガスクロマトグラフ:Water社製商品名「Detector 484,Pump 510」
カラム:昭和電工社製
商品名「Shodex GPC K−806L(φ8.0×300mm)」2本
カラム温度:40℃
キャリアーガス:クロロホルム
キャリアーガス流量:1.2ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:室温
検出:UV254nm
注入量:50マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製商品名「shodex」重量平均分子量:1030000及び東ソー社製の重量平均分子量:5480000,3840000,355000,102000,37900,9100,2630,495のポリスチレン
<鱗片状珪酸塩含有量>
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を150℃×3時間処理して揮発性発泡剤を逸散させる。逸散後の残留物1.0g(灰化前試料の質量)を容量30mLの磁性ルツボに入れる。残量物を電気炉(マッフル炉STR−15K(いすず社製))にて550℃で5時間加熱することで灰化する。磁性ルツボをデシゲーター内で室温(25℃)まで放冷する。放冷後の磁性ルツボ内の灰化後試料の質量を測定する。灰化前後の試料の質量を次式に代入することで、ポリスチレン系樹脂100質量部に対する鱗片状珪酸塩含有量(質量部)を算出する。
鱗片状珪酸塩含有量(質量部)=灰化後試料質量/(灰化前試料質量−灰化後試料質量)×100
<嵩密度>
予備発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
<最大曲げ強度>
発泡成形体の最大曲げ強度をJIS K9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定する。具体的には、発泡成形体から縦75mm×横300mm×厚さ15mmの直方体形状の試験片を切り出す。しかる後、この試験片の最大曲げ強度を、曲げ強度測定器(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いて、圧縮速度10mm/分、支点間距離200mm、加圧くさび10R及び支持台10Rの条件下にて測定する。試験片を3個用意し、試験片毎に前記要領で最大曲げ強度を測定し、その相加平均を最大曲げ強度とする。得られた最大曲げ強度が3.0kgf/cm2以上の場合を○評価(強度良好)とし、3.0kgf/cm2未満の場合を×評価(強度不足)とする。
<断熱性>
発泡成形体から縦200mm×横200mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切り出す。そして、この試験片の熱伝導率をJIS A1412−2(1999「発泡プラスチック保温材」)に準拠し、平板熱流計法にて測定温度23℃で測定する。得られた熱伝導率が0.0350W/mk未満の場合を○評価(断熱性良好)とし、0.0350W/mk以上の場合を×評価(断熱性不良)とする。
<総合評価>
最大曲げ強度及び断熱性が両方とも○評価である場合、総合評価を○とし、それ以外の場合の総合評価を×とする。
[実施例1]
重量平均分子量が18万であるポリスチレン系樹脂7975gと、付着水分量が0.4質量%、平均粒径が20μmの天然雲母2000gと、ポリエチレンワックス(ベーカーペトロライト社製:ポリワックス1000)25gとを二軸押出機に供給した。供給物を230℃にて溶融混練して押出機からストランド状に押出した。押出されたストランドを所定長さ毎に切断することで、円柱状のポリスチレン系樹脂種粒子(直径:0.8mm、長さ:0.8mm)を作製した。
次に、撹拌機付き重合容器に、水2000g、ポリスチレン系樹脂種粒子500g、ピロリン酸マグネシウム6g及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3gを供給して撹拌しつつ75℃に加熱して分散液を作製した。
続いて、ベンゾイルパーオキサイド9.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.0gをスチレンモノマー200gに溶解させた。得られた溶液を75℃に維持された分散液中に撹拌しつつ供給した。
供給終了から60分経過後に分散液を90℃とし、この分散液中に更にスチレンモノマー1300gを150分かけて一定の供給速度で供給しつつ、シード重合を行なった。なお、シード重合は大気開放状態の反応容器中で行った。反応容器の空隙部(分散液未存在部)の酸素濃度は19.8体積%であり、成長途上粒子中のスチレンモノマー量は99.5質量%であった。続いて反応容器を密閉した後、125℃に加熱して2時間恒温で放置した。放置後、25℃まで冷却することで、ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
次に、ポリスチレン系樹脂粒子が分散した分散液を70℃に加熱した。この後、難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン23.4g及び難燃助剤としてジクミルパーオキサイド5.4gを分散液中に供給した。供給後、重合容器を密閉して90℃に加熱した。
続いて、重合容器内にブタン162gを圧入後、6時間に亘って保持し、ポリスチレン系樹脂粒子中にブタンを含浸させた。次いで、重合容器内を25℃に冷却することで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。なお、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、天然雲母を4.9質量部含んでいた。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に帯電防止剤としてポリエチレングリコールを塗布した。次いで、塗布後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを更に塗布した。なお、ステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドの含有量は、それぞれ、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して、0.05質量%とした。
しかる後、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を13℃の恒温室にて5日間放置した。放置後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中のブタン含有量をガスクロマトグラフにより測定したところ、5.8質量%であった。
そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して嵩密度0.019g/cm3に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。この予備発泡粒子を20℃で24時間熟成させた。次に、予備発泡粒子を金型内に充填して加熱発泡させることで、縦400mm×横300mm×厚さ30mmの発泡成形体を得た。この発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間乾燥した後、発泡成形体の密度を測定したところ、0.020g/cm3であった。この発泡成形体は、断熱性及び強度が優れており、収縮もなく、外観も優れていた。また、発泡成形体の断面を電子顕微鏡で観察した画像を図1に示す。
[実施例2]
付着水分量が0.3質量%の天然雲母を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、断熱性及び強度が優れており、収縮もなく、外観も優れていた。
[実施例3]
付着水分量が0.7質量%の天然雲母を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、断熱性及び強度が優れており、収縮もなく、外観も優れていた。
[実施例4]
ポリスチレン系樹脂を8584g、天然雲母を1400g、ポリエチレンワックス16g使用したこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。なお、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、天然雲母を2.8質量部含んでいた。得られた発泡成形体は、断熱性及び強度が優れており、収縮もなく、外観も優れていた。
[比較例1]
天然雲母及びポリエチレンワックスを使用せず、ポリスチレン系樹脂のみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、鱗片状珪酸塩を含有していないため、断熱性に劣るものであった。
[比較例2]シラン系カップリング剤(信越化学社製:KBM−503)で予め表面処理した、付着水分量が0.2質量%の天然雲母を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、鱗片状珪酸塩の粒径が小さいため、断熱性に劣るものであった。
[比較例3]
ポリスチレン系樹脂を9784g、天然雲母を200g、ポリエチレンワックスを16g使用したこと以外は、実施例1と同様にして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。なお、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、天然雲母を0.5質量部含んでいた。得られた発泡成形体は、鱗片状珪酸塩の含有量が少ないため、断熱性に劣るものであった。
表1に、鱗片状珪酸塩の付着水分量及び含有量、発泡成形体の断熱性、最大曲げ強度及び総合評価をまとめて記載する。

Claims (7)

  1. ポリスチレン系樹脂と、揮発性発泡剤と、0.3〜1.0質量%の付着水分量を有する鱗片状珪酸塩とを含有し、前記鱗片状珪酸塩が、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に、1〜20質量%の割合で含まれることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記鱗片状珪酸塩が雲母又はセリサイトである請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 0.3〜1.0質量%の付着水分量を有する鱗片状珪酸塩を含有するポリスチレン系樹脂種粒子に、水性媒体中で、スチレン系モノマーを含浸させつつ又は含浸させた後で前記スチレン系モノマーを重合させる工程と、前記スチレン系モノマーの重合後の粒子又は重合途中の粒子に揮発性発泡剤を含浸させる工程とを含む発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であり、前記鱗片状珪酸塩が、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に、1〜20質量%の割合で含まれることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  4. 含浸開始時から重合終了時までの間に存在する、前記ポリスチレン系樹脂種粒子に前記スチレン系モノマーを含浸及び重合させた成長途上粒子が、60質量%以下の前記スチレン系モノマーを含む請求項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記スチレン系モノマーを、15体積%以上の酸素を含む雰囲気下で、前記ポリスチレン系樹脂種粒子に含浸させつつ重合させる請求項3又は4に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られ、0.01〜0.03g/cm3の嵩密度を有する予備発泡粒子。
  7. 請求項に記載の予備発泡粒子を発泡成形して得られた発泡成形体。
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