JP5552048B2 - 加齢性黄斑変性を治療するためのアルファコネキシンc末端(act)ペプチド - Google Patents

加齢性黄斑変性を治療するためのアルファコネキシンc末端(act)ペプチド Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2007年6月21日に出願された米国仮出願第60/945,493号の利益を主張する。
米国連邦政府による後援を受ける研究に関する言明
本発明は、米国立衛生研究所により授与された助成金第EY13520号の下での政府援助により行われた。政府は本発明における一定の権利を有する。
黄斑変性は、網膜の黄斑領域として知られる眼内層の中心が菲薄化、委縮、および症例によっては出血を被る、おもに高齢者において見出される医学的状態である。これにより、中心視力喪失が生じる場合があり、細かな詳細が見えなくなったり、読めなくなったり、顔がわからなくなったりする。米国眼科学会によれば、黄斑変性は、中心視力喪失(失明)の主要な原因であり、米国における50歳を超える患者にとってそうである。より若齢の個体が罹患する一部の黄斑ジストロフィーも、場合によって黄斑変性と称するが、該用語は、一般に、加齢性黄斑変性(AMD)を指す。
深刻な視力喪失の原因である進行性AMDは、2つの形態:乾燥型および湿潤型を有する。進行性AMDの乾燥型である中心の地図状委縮は、網膜下における網膜色素上皮層の委縮から生じ、これにより、眼の中心部における光受容体(杆体および錐体)の喪失による視力喪失が引き起こされる。現在この状態には治療が得られないが、高用量の抗酸化剤であるルテインおよびゼアキサンチンによるビタミン補助剤が、乾燥型黄斑変性の進行を遅らせ、患者によっては、視力を改善することが、米国立眼研究所その他により示されている。
進行性AMDの湿潤形態である新生血管AMDまたは滲出型AMDは、ブルッフ膜を貫通して、最終的には網膜下において血液およびタンパク質の漏出をもたらす、脈絡膜毛細血管における異常な血管増殖による視力喪失を引き起こす。これらの血管に由来する出血、漏出、および瘢痕形成は、非治療のまま放置すれば、最終的に、光受容体への不可逆的な損傷および急速な視力喪失を引き起こす。
近年まで、湿潤型黄斑変性に対する有効な治療は知られていなかった。しかし、小型で無痛性の注射針を用いて眼の硝子体液中に直接注射すると、抗VEGF(抗血管内皮成長因子)剤により、異常血管の退縮および視力の改善をもたらすことができる。注射は、毎月または隔月のベースで反復しなければならないことが多い。これらの作用物質の例には、ルセンティス、アバスチン、マクジェンがある。2007年4月現在でFDAにより承認されているのは、ルセンティスおよびマクジェンのみであり、視力の改善が可能であると思われるのはルセンティスおよびアバスチンのみであるが、改善は僅少であり、視力を完全に回復するわけではない。したがって、当技術分野では、黄斑変性を治療または予防する組成物および方法が必要とされる。
本明細書で実施され、広義において説明される本発明の目的によれば、本発明は、黄斑変性を治療または予防する方法に関する。
開示される方法および組成物のさらなる利点は、一部は以下の説明において記載され、また一部は説明から理解されるか、または開示される方法および組成物の実施により知ることができる。開示される方法および組成物の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指示される要素および組合せにより実現および達成される。前出の一般的な説明および以下の詳細な説明は共に例示的であり説明的であるにすぎず、主張される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
本明細書に組み込まれてこの一部を構成する添付の図面は、開示される方法および組成物の複数の実施形態を例示し、説明と共に、開示される方法および組成物の原理を説明するのに用いられる。
ARPE−19細胞中において、アルファコネキシンカルボキシ末端(ACT)ポリペプチドACT1により、VEGFに誘導されるTERの低下が防止されることを示す図である。単層ARPE19細胞(不死化ヒトRPE細胞)を用いる経上皮抵抗(TER)測定は、VEGFにより急速な低下がもたらされ、これがACTペプチドによる細胞の前処置により遮断されることが示された。 ウェスタンブロット法により、純粋ACT1ペプチドの25〜0.04ng/μLの濃度系列を示す図である。ACT1は、前眼房水中において、純粋なペプチドの最高濃度を超えるレベルで検出された。媒体対照である0.05%のBrij−78溶液を投与される対照眼の前房水では、ペプチドが観察されなかった。
本発明では、対象にアルファコネキシンカルボキシ末端アミノ酸配列(本明細書では、アルファコネキシンカルボキシ末端(ACT)ポリペプチドとも称する)またはその保存的変異体(conservative variant)を含むポリペプチドを投与することを含む、上皮透過性および/または新生血管形成を伴う病態の治療または予防のための組成物および方法が提供される。
例えば、対象にアルファコネキシンカルボキシ末端アミノ酸配列(本明細書では、アルファコネキシンカルボキシ末端(ACT)ポリペプチドとも称する)またはその保存的変異体を含むポリペプチドを投与することを含む、対象における黄斑変性の治療または予防のための組成物および方法が提供される。
開示される方法および組成物は、具体的な実施形態についての以下の詳細な説明およびこれに含まれる実施例と、図およびそれらに先行および後続する説明とを参照することにより、より容易に理解することができる。
開示される方法および組成物のために用いることもでき、これらとともに用いることもでき、これらの準備として用いることもでき、これらの生成物でもある材料、組成物、および成分が開示される。本明細書では、これらおよび他の材料が開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群などが開示される場合、これらの化合物の各種の個別的であり集合的な組合せおよび順列の各々に対する具体的な言及が明確に開示されない場合であっても、本明細書では、各々が具体的に意図され説明される。例えば、ペプチドが開示されて論じられ、ペプチドを含む多数種の分子に対してなされうる多数種の改変が論じられる場合、その反対のことが具体的に指示されない限り、ペプチドの各々およびすべての組合せおよび順列ならびに可能な改変が具体的に意図される。したがって、分子A、B、およびCのクラスが開示される他、分子D、E、およびFのクラスならびに組合せ分子例A〜Dも開示される場合、各々が個別に列挙されなくとも、各々が個別的であり集合的に意図される。したがって、この例では、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに組合せ例A〜Dの開示からA〜E、A〜F、B〜D、B〜E、B〜F、C〜D、C〜E、およびC〜Fの各組合せが具体的に意図され、またそれらが開示されると考えられるものとする。同様に、これらの任意のサブセットまたは組合せもまた、具体的に意図され開示される。したがって、例えば、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに組合せ例A〜Dの開示からA〜E、B〜F、およびC〜Eのサブグループが具体的に意図され、またそれらが開示されると考えられるものとする。この概念は、開示される組成物を作成および使用する方法における工程を含むがこれらに限定されない本出願のすべての態様にも適用される。したがって、実施されうる各種のさらなる工程が存在する場合、これらのさらなる工程の各々は、開示される方法の任意の具体的な実施形態または実施形態の組合せにより実施することができ、このような各組合せが具体的に意図され、またそれらが開示されると考えられるものとすることが理解される。
当業者は、日常的な実験のみを用いて、本明細書で説明される方法および組成物の具体的な実施形態に対する多くの同等物を認めるか、またはこれらを確認することができる。このような同等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
説明される特定の方法、プロトコール、および試薬は変化し得るので、開示される方法および組成物は、これらに限定されないことが理解される。また、本明細書で用いられる用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の特許請求の範囲により限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。
A.組成物
アルファコネキシンのカルボキシ末端アミノ酸配列(本明細書では、アルファコネキシンカルボキシ末端(ACT)ポリペプチドとも称する)またはその保存的変異体を含む単離ポリペプチドが、開示される方法での使用のために開示される。提供される方法のACTポリペプチドは、これらのペプチド教示について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許公開WO/2006/069181において開示されている。
開示される組成物および方法は、別段に指定しない限り、特定の合成法、特定の分析法、または特定の試薬に限定されず、そのようなものとして変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で用いられる用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しないことも理解されたい。
本明細書では各種の配列が提供され、これらおよび他の配列は、www.pubmed.govのGenbankで見出すことができる。当業者には、配列の不一致および差異を解消し、特定の配列に関連する組成物および方法を他の関連する配列に合わせて調整する方法が理解される。本明細書で開示され、当技術分野で知られる情報を踏まえれば、いずれの配列に対するプライマーおよび/またはプローブも設計することができる。
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法のポリペプチドは、アルファコネキシンの最カルボキシ末端にあるアミノ酸を含む任意のポリペプチドであり得る。
いくつかの態様において、ポリペプチドは、全長アルファコネキシンタンパク質を含まない。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの細胞質N末端ドメインを含まない。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの2つの細胞外ドメインを含まない。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの4つの膜貫通ドメインを含まない。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの細胞質ループドメインを含まない。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの細胞質カルボキシル末端ドメインの第4膜貫通ドメインに近接する部分の配列を含まない。アルファコネキシンには、最カルボキシル末端アミノ酸から常に約17〜30アミノ酸に位置する保存的なプロリン残基またはグリシン残基が存在する(表2)。例えば、ヒトCx43の場合、アミノ酸363におけるプロリン残基は、最カルボキシル末端のイソロイシンから19アミノ酸から戻った位置にある。別の例において、ニワトリCx43の場合、アミノ酸362におけるプロリン残基は、最カルボキシル末端のイソロイシンから18アミノ酸から戻った位置にある。別の例において、ヒトCx45の場合、アミノ酸377におけるグリシン残基は、最カルボキシル末端のイソロイシンから19アミノ酸から戻った位置にある。別の例において、ラットCx33の場合、アミノ酸258におけるプロリン残基は、最カルボキシル末端のメチオニンから28アミノ酸から戻った位置にある。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの前記保存的なプロリン残基またはグリシン残基に近接するアミノ酸を含まない。したがって、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの最c末端にある4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30アミノ酸を含む、アルファコネキシンの最c末端にある4〜30アミノ酸を含み得る。
いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの最c末端にある4〜30アミノ酸の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸の欠失を含む、アルファコネキシンの最c末端にある4〜30アミノ酸の1つまたは複数のアミノ酸の欠失をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンの最c末端にある1、2、または3アミノ酸を含まない。例えば、提供されるポリペプチドは、基本的に配列番号92のアミノ酸配列からなる場合もあり、全長で少なくとも4、5、6、7、8、9、10アミノ酸のそのカルボキシ末端断片からなる場合もある。
提供されるペプチドにおけるアルファコネキシンの最カルボキシ末端にあるアミノ酸には、非アルファコネキシンまたは非ACTペプチドコネキシンのアミノ酸が隣接し得る。本明細書では、隣接する非アルファコネキシンまたは非ACTコネキシンのアミノ酸例が提供される。非ACTコネキシンアミノ酸の例は、ヒトCx43カルボキシ末端の21〜120アミノ酸(配列番号71)である。別の例は、ニワトリCx43カルボキシ末端の21〜120アミノ酸(配列番号72)である。別の例は、ヒトCx45カルボキシ末端の20〜120アミノ酸(配列番号73)である。別の例は、ニワトリCx45カルボキシ末端の21〜120アミノ酸(配列番号74)である。別の例は、ヒトCx37カルボキシ末端の21〜120アミノ酸(配列番号75)である。別の例は、ラットCx33カルボキシ末端の21〜120アミノ酸(配列番号76)である。「カルボキシ末端の21〜120アミノ酸」とは、コネキシンの120までのc末端アミノ酸を意味するが、最c末端にある20アミノ酸は含まない。
非アルファコネキシンの例は、増強緑色蛍光タンパク質の239アミノ酸配列(配列番号77)である。いくつかの態様において、GFPの239アミノ酸配列のカルボキシ末端に融合させたときにACT1が機能的であると示されていることを踏まえるなら、ACTペプチドは、少なくとも239アミノ酸までの非コネキシンポリペプチドと隣接する場合にも機能を保持すると推測される。実際、ACT配列が所与のポリペプチドの遊離カルボキシ末端として維持される限り、ACTペプチドにはその標的に接近することが可能である。したがって、ACTペプチドに加えて239アミノ酸を超えるポリペプチドが、上皮透過性および/または新生血管形成を伴う病態を治療または予防するのに機能的であり得る。
コネキシンは、細胞間コミュニケーションの原因となるギャップ結合チャネルのサブユニットタンパク質である(Goodenough and Paul、2003)。ヌクレオチド配列の保存パターンに基づき、コネキシンタンパク質をコードする遺伝子は、アルファコネキシン遺伝子およびベータコネキシン遺伝子と称する2つのファミリーに分けられる。アルファコネキシンの最カルボキシ末端にあるアミノ酸配列は、複数の独特かつ保存的な特徴によって特徴つけられる(表2を参照されたい)。この構成の保存は、ACTペプチドが、独特な3D構造を形成し、複数種のパートナータンパク質と相互作用し、脂質および膜との相互作用を媒介し、DNAを含む核酸と相互作用し、膜チャネルを通過および/または遮断し、タンパク質分解による切断のためのコンセンサスモチーフ、タンパク質架橋形成、ADPのリボシル化、グリコシル化、およびリン酸化をもたらす能力と符合する。したがって、提供されるポリペプチドは、通常、アルファコネキシンカルボキシ末端に対するタンパク質の結合を媒介する前記タンパク質のドメインと相互作用する。例えば、腎芽細胞腫過剰発現タンパク質(NOV)は、Cx43のc末端ドメインと相互作用する(Fu et al.、J Biol Chem. 2004 279(35):36943-50)。これおよび他のタンパク質は、アルファコネキシンのカルボキシ末端と相互作用し、高分子複合体を形成する他のタンパク質とさらに相互作用すると考えられる。したがって、提供されるポリペプチドは、例えば、Cx43ギャップ結合チャネル凝集の調節に関与する分子機構などの分子機構の作動を阻害し得る。
本明細書で用いられる「阻害する」、「阻害すること」、「阻害」とは、活性、応答、状態、疾患、または他の生物学的パラメータを軽減することを意味する。これは、活性、応答、状態、または疾患の完全な喪失を含み得るがこれらに限定されない。これはまた、例えば、天然または対照のレベルと比較した活性、応答、状態、または疾患の10%の軽減も含み得る。したがって、軽減は、天然または対照のレベルと比較した10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%またはその間の任意の量の軽減であり得る。
提供されるポリペプチドのACT配列は、任意のアルファコネキシンに由来し得る。したがって、提供されるポリペプチドのアルファコネキシン成分は、ヒト、マウス、ウシ、単孔類、有袋類、霊長類、げっ歯類、クジラ目、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、脊索動物、原索動物のアルファコネキシン、または他のアルファコネキシンに由来し得る。
したがって、提供されるポリペプチドは、マウスコネキシン47、ヒトコネキシン47、ヒトコネキシン46.6、ウシコネキシン46.6、マウスコネキシン30.2、ラットコネキシン30.2、ヒトコネキシン31.9、イヌコネキシン31.9、ヒツジコネキシン44、ウシコネキシン44、ラットコネキシン33、マウスコネキシン33、ヒトコネキシン36、マウスコネキシン36、ラットコネキシン36、イヌコネキシン36、ニワトリコネキシン36、ゼブラフィッシュコネキシン36、シマスズキ(morone)コネキシン35、シマスズキコネキシン35、アカハライモリ(Cynops)コネキシン35、ハチノジフグ(Tetraodon)コネキシン36、ヒトコネキシン37、チンパンジーコネキシン37、イヌコネキシン37、キヌゲネズミ(Cricetulus)コネキシン37、マウスコネキシン37、ゴールデンハムスター(Mesocricetus)コネキシン37、ラットコネキシン37、マウスコネキシン39、ラットコネキシン39、ヒトコネキシン40.1、アフリカツメガエル(Xenopus)コネキシン38、ゼブラフィッシュコネキシン39.9、ヒトコネキシン40、チンパンジーコネキシン40、イヌコネキシン40、ウシコネキシン40、マウスコネキシン40、ラットコネキシン40、キヌゲネズミコネキシン40、ニワトリコネキシン40、ヒトコネキシン43、オナガザル(Cercopithecus)コネキシン43、アナウサギ(Oryctolagus)コネキシン43、ジリス(Spermophilus)コネキシン43、キヌゲネズミコネキシン43、ジャンガリアンハムスター(Phodopus)コネキシン43、ラットコネキシン43、ブタ(Sus)コネキシン43、ゴールデンハムスターコネキシン43、マウスコネキシン43、モルモット(Cavia)コネキシン43、ウシコネキシン43、ハリネズミ(Erinaceus)コネキシン43、ニワトリコネキシン43、アフリカツメガエルコネキシン43、アナウサギコネキシン43、コイ(Cyprinus)コネキシン43、ゼブラフィッシュコネキシン43、ジャイアントダニオ(Danio aequipinnatus)コネキシン43、ゼブラフィッシュコネキシン43.4、ゼブラフィッシュコネキシン44.2、ゼブラフィッシュコネキシン44.1、ヒトコネキシン45、チンパンジーコネキシン45、イヌコネキシン45、マウスコネキシン45、ウシコネキシン45、ラットコネキシン45、ニワトリコネキシン45、ハチノジフグコネキシン45、ニワトリコネキシン45、ヒトコネキシン46、チンパンジーコネキシン46、マウスコネキシン46、イヌコネキシン46、ラットコネキシン46、ゴールデンハムスターコネキシン46、キヌゲネズミコネキシン46、ニワトリコネキシン56、ゼブラフィッシュコネキシン39.9、ウシコネキシン49、ヒトコネキシン50、チンパンジーコネキシン50、ラットコネキシン50、マウスコネキシン50、イヌコネキシン50、ヒツジコネキシン49、ゴールデンハムスターコネキシン50、キヌゲネズミコネキシン50、ニワトリコネキシン50、ヒトコネキシン59、または他のアルファコネキシンからなる群から選択されるコネキシンのACTを含み得る。アルファコネキシンのアミノ酸配列は当技術分野で知られており、表1のアクセッション番号により同定される配列を含む。
Figure 0005552048
Figure 0005552048
したがって、提供されるポリペプチドは、配列番号1、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号90、配列番号91、または配列番号92のアミノ酸配列またはその保存的変異体もしくは断片を含み得る。
20〜30のアルファコネキシンの最カルボキシ末端にあるアミノ酸配列は、独特かつ保存的な構成を特徴とする。この独特かつ保存的な構成は、II型PDZ結合モチーフ(Φ−x−Φ;式中、x=任意のアミノ酸であり、Φ=疎水性アミノ酸である;例えば、表2、太字)およびこのモチーフに近接するプロリン(P)および/またはグリシン(G)のヒンジ残基;高頻度のホスホセリン(S)および/またはホスホスレオニン(T)残基;ならびに高頻度の正に荷電したアルギニン(R)、リシン(K)、および負に荷電したアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)のアミノ酸を含む。多くのアルファコネキシンでは、カルボキシ末端II型PDZ結合モチーフに近接するクラスター化したモチーフ(例えば、表2、斜体字)においてPおよびG残基が生じる。大半のアルファコネキシンのSおよびTのホスホルアミノ酸もまた、クラスター化した反復配列様のモチーフ(例えば、表2、下線)において構成されることが典型的である。この構成は、特に、20の最カルボキシ末端にあるアミノ酸の90%が末尾の7種のアミノ酸からなるCx43の場合である。配列の高度の保存のさらなる例において、Cx43のACTペプチド構成は、ヒトから魚類まで高度に保存的である(例えば、表2のヒトおよびゼブラフィッシュのCx43 ACT配列を比較されたい)。別の例において、Cx45のACTペプチド構成は、ヒトから鳥類まで高度に保存的である(例えば、表2のヒトおよびニワトリのCx45 ACT配列を比較されたい)。別の例において、Cx36のACTペプチド構成は、霊長類から魚類まで高度に保存的である(例えば、表2のチンパンジーおよびゼブラフィッシュのCx36 ACT配列を比較されたい)。
Figure 0005552048
したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、1)II型PDZ結合モチーフ;2)プロリン(P)および/またはグリシン(G)のヒンジ残基;3)ホスホセリン(S)および/またはホスホスレオニン(T)残基;ならびに4)高頻度の正に荷電したアルギニン(R)およびリシン(K)、ならびに負に荷電したアスパラギン酸(D)および/またはグルタミン酸(E)のアミノ酸からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、またはすべてのアミノ酸モチーフを含む。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、カルボキシ末端におけるII型PDZ結合モチーフ、PDZ結合モチーフに近接するプロリン(P)および/またはグリシン(G)のヒンジ残基、ならびに該ヒンジ残基に近接する正に荷電した残基(K、R、D、E)を含む。
PDZドメインは、元来、シナプス後肥厚タンパク質PSD95/SAP90、ショウジョウバエ(Drosophila)腫瘍抑制因子dlg−A、および密着結合タンパク質ZO−1内における保存的な配列エレメントとして同定された。元はGLGFモチーフまたはDHRモチーフと称したが、今日ではこれらの最初の3文字を表す頭字語であるPDZ含有タンパク質(PSD95/DLG/ZO-1)により知られている。これら80〜90のアミノ酸配列は、今日では、優に75種を超えるタンパク質において同定されており、単一のタンパク質中の複数のコピーにおいて特徴的に発現されている。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、PDZドメインを含むタンパク質に対するアルファコネキシンの結合を阻害し得る。PDZドメインとは、本明細書で「PDZモチーフ」と称するPDZ結合モチーフにより満たされうる、構造的に十分に定義された相互作用「ポケット」を有する、特定の種類のタンパク質相互作用モジュールである。PDZモチーフは、通常細胞内最カルボキシル末端に位置するが常にそうだというわけではないコンセンサス配列である。4種類のPDZモチーフ:I型(S/T−x−Φ)、II型(Φ−x−Φ)、III型(Ψ−x−Φ)、およびIV型(D−x−V)[式中、xは任意のアミノ酸であり、Φは疎水性残基(V、I、L、A、G、W、C、M、F)であり、Ψは塩基性であり親水性の残基(H、R、K)である]が分類されている(Songyang, Z., et al. 1997. Science 275、73-77)。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、II型PDZ結合モチーフを含む。
アルファCx37の18の最カルボキシ末端にあるアミノ酸配列は、ACTペプチドテーマにおける例外的な変異を表すことに注意すべきである。Cx37 ACT様配列は、GQKPPSRPSSSASKKQYV(配列番号43)である。したがって、Cx37カルボキシ末端の4アミノ酸は、II型PDZ結合ドメインと一部で符合するにすぎない。古典的なII型PDZ結合ドメインの代わりに、Cx37は、疎水性アミノ酸が予測される位置2において中性のQを有する。したがって、Cx37は、II型PDZ結合ドメイン様配列と称し得る配列を含む。にもかかわらず、Cx37は、クラスター化したセリン残基、高頻度のRおよびK残基、ならびにPDZ結合ドメイン様配列に近接するPに富む配列を含む、ACTペプチド構成の他のすべての特徴を厳密に維持する。上記で列挙した>70種の他のアルファコネキシンと共通するACT様構成保存のこの全般的なレベルを踏まえると、Cx37 ACT様カルボキシ末端が、提供される能力において機能することが理解される。
比較のため、ベータコネキシンCx26を表2に示す。Cx26は、カルボキシ末端のII型PDZ結合モチーフを有さず;最カルボキシル末端アミノ酸の30%未満がS、T、R、D、またはE残基を含み;PおよびGのヒンジ残基のクラスターを含有するII型PDZ結合モチーフに近接するモチーフまたはPDZ結合様モチーフの証拠を有さず;セリンおよびスレオニンのホスホアミノ酸のクラスター化した反復配列様モチーフの証拠を有さない。Cx26は、該配列のカルボキシ末端近傍において互いにクラスター化した3つのリシン(K)残基を有する。しかし、上記で列挙した>70種のアルファコネキシンにおいて概観したアルファコネキシンは、カルボキシ末端における3つの反復するK残基ドメインのこの特徴を示さないことが分かった(Cx26はベータコネキシンであり、したがって、定義上、ACTドメインを有さない)。
本明細書に記載の通り、この比較的短い長さのアミノ酸の独自の機能的特性は、上皮透過性および/または新生血管形成を伴う病態の治療または予防において開示される役割を包含する。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、II型PDZ結合モチーフ(Φ−x−Φ;式中、x=任意のアミノ酸であり、Φ=疎水性アミノ酸である)を含む。いくつかの態様において、提供されるACTポリペプチドの50%、60%、70%、80%、90%を超えるアミノ酸は、プロリン(P)、グリシン(G)、ホスホセリン(S)、ホスホスレオニン(T)、アルギニン(R)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)の1つまたは複数のアミノ酸残基を含む。
アミノ酸プロリン(P)、グリシン(G)、アルギニン(R)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)、およびグルタミン酸(E)は、タンパク質の構造および機能に必要な決定基である。プロリンおよびグリシン残基は、タンパク質の3D構造における急な屈曲部を提供し、機能に必要とされるポリペプチドの折りたたみ立体配座の生成を可能とする。荷電したアミノ酸配列は、折りたたまれたタンパク質の表面に位置することが多く、タンパク質間相互作用、タンパク質−脂質間相互作用、酵素−基質間相互作用、およびタンパク質−核酸間相互作用を含む、ポリペプチドを介する化学的相互作用に必要である。したがって、いくつかの態様において、II型PDZ結合モチーフに近接するプロリン(P)およびグリシン(G)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)、ならびにグルタミン酸(E)に富む領域は、ACTペプチドの提供される作用に必要な特徴を提供する。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、II型PDZ結合モチーフに近接するプロリン(P)およびグリシン(G)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)、ならびに/またはグルタミン酸(E)に富む領域を含む。
リン酸化が、最も一般的なタンパク質の翻訳後修飾であり、タンパク質の構造および機能を調節または修飾するのに重要である。リン酸化により修飾されるタンパク質の構造および機能の側面は、タンパク質の立体配座、タンパク質間相互作用、タンパク質−脂質間相互作用、タンパク質−核酸間相互作用、チャネル開閉、タンパク質輸送、およびタンパク質の代謝回転を含む。したがって、いくつかの実施形態において、ホスホセリン(S)および/またはホスホスレオニン(T)に富む配列が、ACTペプチド機能の修飾、それらの提供される作用におけるポリペプチドの有効性の上昇または低下に必要である。いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、セリン(S)および/またはホスホスレオニン(T)に富む配列またはモチーフを含む。
別の例では、ACTペプチドの定義に関して、ゼブラフィッシュCx43のACT配列のアミノ末端付近にメチオニンが生じること(表2)は、魚類のような下等動物における組織/臓器再生の高い可能性に照らして、非常に有望である。メチオニンのコードに加え、メチオニンの3連塩基対が、代替的な翻訳開始部位である。翻訳がこのメチオニンから開始される場合、配列SSRARPDDLDV(配列番号90)が生成される。この翻訳生成物は、標準的なACTペプチドのすべての保存的かつ独特の特徴を維持する。特に、このペプチドは、カルボキシ末端II型PDZ結合ドメインを含み、PDZ結合ドメインに近接するP、R、およびD残基に富むドメインを有する。加えて、該配列は、クラスター化したSモチーフを含み、そのアミノ末端においてACTペプチド機能を調節する潜在性を有する。これにより、魚類など高度の組織/臓器再生の潜在性を有する動物が、ACTペプチド配列を直接に翻訳し得るという興味深い見通しがもたらされる。
したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、ヒトCx43のc末端配列を含む。したがって、提供されるポリペプチドは、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含み得る。ポリペプチドは、ヒトCx40カルボキシ末端の9アミノ酸を含み得る。したがって、ポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含み得る。他の態様において、提供されるポリペプチドは、ヒトCx43のc末端配列を含まない。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含まない。
本明細書で特定のタンパク質に言及する場合、変異体、誘導体、および断片が意図される。タンパク質の変異体および誘導体は当業者に十分に理解されており、アミノ酸配列の改変を伴いうる。例えば、アミノ酸配列の改変は、典型的に、3つのクラス:置換変異体、挿入変異体、または欠失変異体の1種または複数種に該当する。挿入は、アミノ末端および/またはカルボキシル末端における融合体の他、単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入も含む。挿入は、通常、アミノ末端またはカルボキシル末端における融合体よりも小規模の挿入であり、例えば、1〜4残基のオーダーである。欠失は、タンパク質配列からの1つまたは複数のアミノ酸残基の除去を特徴とする。これらの変異体は、通常、タンパク質をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的な突然変異誘発により調製され、これにより、変異体をコードするDNAが作製され、その後、組換え細胞培養物中においてDNAが発現される。既知の配列を有するDNA中の所定の部位において置換変異を作製する技法はよく知られており、例えば、M13プライマーによる突然変異誘発およびPCRによる突然変異誘発を含む。アミノ酸置換は、典型的には単一残基の置換であるが、多数の異なる位置において同時に生じることもあり、挿入は通常、約1〜10アミノ酸残基のオーダーである。欠失または挿入は、隣接する対、すなわち、2残基の欠失または2残基の挿入において作製することが好ましい。置換、欠失、挿入、またはこれらの任意の組合せは、最終構築物において達成されるように組み合わせることができる。突然変異誘発は、配列をリーディングフレーム外に置いてはならず、mRNAの二次構造における変化が望ましいのでない限り、このようなmRNAの二次構造を生成し得る相補的領域は創出しないことが好ましい。置換変異体は、少なくとも1残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入される変異体である。このような置換は、一般に、以下の表3に従って作製され、保存的置換と称する。
Figure 0005552048
例えば、生物学的および/または化学的に類似する別のアミノ酸残基による1つのアミノ酸残基の置換は、当業者に保存的置換として知られている。例えば、保存的置換は、1つの疎水性残基を別の疎水性残基に置換するか、または1つの極性残基を別の極性残基に置換することである。置換は、表3に示した組合せを含む。明確に開示された各配列の保存的に置換された変異体は、本明細書に記載のポリペプチドのうちに含まれる。
保存的置換は、結果として得られるポリペプチドの生物学的活性に対してほとんど〜まったく影響を及ぼさないことが典型的である。具体例において、保存的置換は、ペプチドの生物学的機能に実質的に影響を及ぼさないペプチド中のアミノ酸置換である。ペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸置換、例えば、2、5、または10の保存的置換など、2〜10の保存的置換、2〜5の保存的置換、4〜9の保存的置換を含み得る。
ポリペプチドは、例えば、部位に方向づけられた突然変異誘発またはPCRなどの標準的な手順を用いて、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を操作することにより、1つまたは複数の保存的置換を含有するように作製することができる。代替的に、ポリペプチドは、標準的なペプチド合成法を用いることにより、1つまたは複数の保存的置換を含有するように作製することができる。アラニンスキャンを用いて、タンパク質中のどのアミノ酸残基がアミノ酸置換を許容するかどうかを同定することができる。一例において、タンパク質の生物学的活性は、アラニン、または他の保存的アミノ酸(以下に列挙したアミノ酸など)が1つまたは複数の天然アミノ酸に置換される場合、25%を超えて、例えば、20%を超えて、例えば、10%を超えては低下しない。
保存的置換についてのさらなる情報は、とりわけ、Ben−Bassat et al.(J. Bacterial. 169:751-7、1987)、O’Regan et al.(Gene 77:237-51、1989)、Sahin−Toth et al.(Protein Sci. 3:240-7、1994)、Hochuli et al.(Bio/Technology 6:1321-5、1988)、ならびに遺伝学および分子生物学の標準的な教科書において見出すことができる。
置換突然変異誘発または欠失突然変異誘発を用いて、N−グリコシル化(Asn−X−Thr/Ser)またはO−グリコシル化(SerまたはThr)のための部位を挿入することができる。システインまたは他の不安定残基の欠失もまた望ましい場合がある。潜在的なタンパク質分解部位、例えば、Argの欠失または置換は、例えば、塩基性残基の1つを欠失することまたはグルタミニル残基もしくはヒスチジル残基によりこれを置換することにより達成される。
ある特定の翻訳後誘導体化は、発現されたポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル残基およびアスパラギニル残基は、翻訳後の脱アミド化により対応するグルタミル残基およびアスパリル残基となることが多い。代替的に、これらの残基は、軽度の酸性条件下でも脱アミド化される。他の翻訳後修飾は、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリル残基またはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のo−アミノ基のメチル化(T.E. Creighton、Proteins: Structure and Molecular Properties、W. H. Freeman & Co.、San Francisco pp 79-86[1983])、N末端アミンのアセチル化、および、場合によっては、C末端カルボキシルのアミド化を含む。
開示される組成物に組み込みうる多数種のアミノ酸およびペプチドの類似体が存在することが理解される。例えば、表3に示したアミノ酸とは異なる機能的置換基を有する多数種のDアミノ酸またはアミノ酸が存在する。天然のペプチドとは逆の立体異性体の他、ペプチド類似体の立体異性体も開示される。これらのアミノ酸は、tRNA分子に最適のアミノ酸を結合させ、例えば、アンバーコドンを用いる遺伝子構築物を操作して、部位特異的な形でペプチド鎖中に類似体のアミノ酸を挿入することにより、ポリペプチド鎖中に容易に組み込むことができる(そのすべてが、少なくとも、アミノ酸類似体に関連する材料について、参照により本明細書に組み込まれる、Thorson et al.、Methods in Malec. Biol. 77:43-73(1991)、Zoller、Current Opinion in Biotechnology、3:348-354(1992)、Ibba、Biotechnology & Genetic Enginerring Reviews 13:197-216(1995)、Cahill et al.、TIBS、14(10):400-403(1989)、Benner、TlB Tech、12:158-163(1994)、Ibba and Hennecke、Bio/technology、12:678-682(1994))。
ポリペプチドに類似するが、天然のペプチド結合によっては結合されない分子を作製することができる。例えば、アミノ酸またはアミノ酸類似体のための結合は、CH2NH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−、および−CHHSO−(これらおよび他の結合は、その各々が参照により本明細書に組み込まれるSpatola, A. F. in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides, and Proteins、B. Weinstein, eds.、Marcel Dekker、New York、p. 267(1983)、Spatola, A. F.、Vega Data(March 1983)、Vol. 1、Issue 3、Peptide Backbone Modifications(全般的な総説)、Morley、Trends Pharm Sci(1980)pp. 463-468、Hudson, D. et al.、Int J Pept Prot Res 14:177-185(1979)(−CHNH−、CHCH−)、Spatola et al. Life Sci 38:1243-1249(1986)(−CHH−S)、Hann J. Chem. Soc Perkin Trans. I 307-314(1982)(−CH−CH−、シスおよびトランス)、Almquist et al. J. Med. Chem. 23:1392-1398(1980)(−COCH−)、Jennings-White et al. Tetrahedron Lett 23:2533(1982)(−COCH−)、Szelke et al.、欧州特許出願EP45665(1982)、CA:97:39405(1982)(−CH(OH)CH−)、Holladay et al. Tetrahedron. Lett 24:4401-4404(1983)(−C(OH)CH−)、およびHruby Life Sci 31:189-199(1982)(−CH−S−)で見出すことができる)を含み得る。ペプチド類似体は、b−アラニン、g−アミノ酪酸など、結合原子間において複数の原子を有し得ることが理解される。
アミノ酸類似体およびペプチド類似体は、より効率的な生成、より大きな化学的安定性、薬理学的特性(半減期、吸収、効力、有効性など)の増強、特異性の変化(例えば、広域スペクトルにわたる生物学的活性)、抗原性の軽減、生物学的障壁(例えば、消化器、血管、血液脳関門)を超えるより大きな能力など、増強されたかまたは望ましい特性を有することが多い。
Dアミノ酸は、ペプチダーゼなどにより認識されないので、D−アミノ酸を用いてより安定的なペプチドを作製することができる。同じ種類のD−アミノ酸を有するコンセンサス配列の1つまたは複数のアミノ酸の体系的な置換(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)を用いて、より安定的なペプチドを作製することができる。システイン残基を用いて、2つ以上のペプチドを共に環化または付着させることができる。これは、ペプチドを特定の立体配座内に拘束するのに有益であり得る(参照により本明細書に組み込まれるRizo and Gierasch Ann. Rev. Biochem. 61:387(1992))。
したがって、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンc末端(ACT)の保存的変異体を含み得る。表4に示す通り、配列番号2の配列中における単一の保存的置換の例は、配列番号3で与えられる。配列番号2中における3つの保存的置換の例は、配列番号4で与えられる。したがって、提供されるポリペプチドは、配列番号3または配列番号4のアミノ酸を含み得る。
Figure 0005552048
本明細書で開示される遺伝子およびタンパク質の任意の変異体、改変体、または誘導体を定義する1つの方法は、既知の特定の配列に対する配列同一性(本明細書ではまた、相同性とも称する)の点から該変異体、改変体、および誘導体を定義することによると理解される。言及されたかまたは既知の配列と少なくとも65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントの配列同一性を有する、本明細書で開示される核酸およびポリペプチドの変異体が具体的に開示される。当業者には、2つのタンパク質または核酸の配列同一性を決定する方法が容易に理解される。例えば、配列同一性は、配列同一性がその最高レベルとなるように2つの配列を整列した後で計算することができる。
配列同一性を計算する別の方法は、公表されたアルゴリズムにより実施することができる。比較のための最適の配列アライメントは、Smith and Waterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman and Wunsch、J.MoL Biol.48:443(1970)の配列同一性アライメントアルゴリズム、Pearson and Lipman、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Genetics Computer Group、575 Science Dr., Madison、WIによるウィスコンシン遺伝子ソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTAプログラム)、または目視により実施することができる。これらの参考文献は、配列同一性を計算する方法について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
核酸についても、例えば、核酸アライメントに関する少ななくとも材料について参照により本明細書に組み込まれるZuker,M.Science 244:48−52、1989、Jaeger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710、1989、Jaeger et al.Methods Enzymol.183:281−306、1989で開示されるアルゴリズムにより、同じ種類の配列同一性を得ることができる。
したがって、提供されるポリペプチドは、アルファコネキシンc末端(ACT)と少なくとも65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントの配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、いくつかの態様において、提供されるポリペプチドは、配列番号1、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号90、配列番号91、または配列番号92と少なくとも65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例として述べると、ヒトCx43(配列番号2)のカルボキシ末端において生じる同じ長さの9アミノ酸と66%の配列同一性を有するポリペプチド(配列番号4)が提供される。
本明細書で提供されるポリペプチドは、対象内の組織に直接に付加することができる。しかし、提供されるポリペプチドとシス配列またはトランス配列において化学結合された細胞内部移行輸送体により、該ポリペプチドの細胞質局在化効率が増強される。細胞内部移行輸送体の効率は、光またはTat−HAペプチドでの細胞の共形質導入によりさらに増強される。
したがって、提供されるポリペプチドは、細胞内部移行輸送体または配列を含み得る。細胞内部移行配列は、当技術分野で既知であるかまたは新規に発見された任意の内部移行配列またはその保存的変異体であり得る。細胞内部移行輸送体および配列の非限定的な例は、アンテナペディア配列、TAT、HIV−Tat、ペネトラチン、Antp−3A(Antp変異体)、ブフォリンII、トランスポータン、MAP(両親媒性モデルペプチド)、K−FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep−1、SynB1、Pep−7、HN−1、BGSC(ビス−グアニジニウム−スペルミジン−コレステロール)、およびBGTC(ビス−グアニジニウム−トレン−コレステロール)を含む(表5を参照されたい)。
Figure 0005552048
したがって、提供されるポリペプチドは、配列番号7、配列番号14(Bucci, M. et al. 2000. Nat. Med. 6、1362-1367)、配列番号15(Derossi, D., et al. 1994. Biol.Chem. 269、10444-10450)、配列番号16(Fischer, P.M. et al. 2000. J. Pept. Res. 55、163-172)、配列番号17(Frankel, A. D. & Pabo, C. 0. 1988.Cell 55,1189-1193、Green, M. & Loewenstein, P. M. 1988. Cell 55、1179-1188)、配列番号18(Park, C. B., et al. 2000. Proc. Natl Acad. Sci. USA 97、8245-8250)、配列番号19(Pooga, M., et al. 1998. FASEB J. 12、67-77)、配列番号20(Oehlke, J. et al. 1998. Biochim. Biophys. Acta. 1414、127-139)、配列番号21(Lin, Y. Z., et al. 1995. J. Biol. Chem. 270、14255-14258)、配列番号22(Sawada, M., et al. 2003. Nature Cell Biol. 5、352-357)、配列番号23(Lundberg, P. et al. 2002. Biochem. Biophys. Res. Commun. 299、85-90)、配列番号24(Elmquist, A., et al. 2001. Exp. Cell Res. 269、237-244)、配列番号25(Morris, M. C., et al. 2001. Nature Biotechnol. 19、1173-1176)、配列番号26(Rousselle, C. et al. 2000. Mol. Pharmacol. 57,679-686)、配列番号27(Gao, C. et al. 2002. Bioorg. Med. Chem. 10、4057-4065)、または配列番号28(Hong, F. D. & Clayman, G. L. 2
000. Cancer Res. 60、6551-6556)のアミノ酸配列をさらに含み得る。提供されるポリペプチドは、BGSC(ビス−グアニジニウム−スペルミジン−コレステロール)またはBGTC(ビス−グアニジニウム−トレン−コレステロール)をさらに含み得る(Vigneron, J.P. et al. 1998. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93、9682-9686)。前出の参考文献は、細胞内部移行ベクターおよび配列の教示について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。今日既知であるかまたは後に同定される他の任意の内部移行配列を、本発明のペプチドと組み合わせることができる。
提供されるポリペプチドは、本明細書で提供される任意の細胞内部移行配列と組み合わせた任意のACT配列(例えば、本明細書で開示される任意のACTペプチド)を含み得る。前記の組合せの例は、表6で与えられる。したがって、提供されるポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含むアンテナペディア配列を含み得る。したがって、提供されるポリペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、または配列番号12のアミノ酸配列を含み得る。
Figure 0005552048
また、本明細書で提供されるポリペプチドをコードする単離核酸も提供される。開示される核酸は、例えば、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換体からなる。これらおよび他の分子の非限定的な例が本明細書で考察される。例えば、ベクターが細胞内で発現される場合、発現されるmRNAは、典型的にA、C、G、およびUからなることが理解される。
「単離核酸」または「精製核酸」とは、それに本発明のDNAが由来する生物の天然のゲノムにおいて該遺伝子に隣接する遺伝子から遊離するDNAを意味する。したがって、該用語は、例えば、自己複製のプラスミドまたはウイルスなどのベクター内に組み込まれるか、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれる(例えば、トランス遺伝子)か、または別個の分子(例えば、PCR、制限エンドヌクレアーゼ消化、または化学合成もしくはin vitro合成により作製されるcDNAまたはゲノム断片もしくはcDNA断片)として存在する組換えDNAを含む。それはまた、付加的なポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。「単離核酸」という用語はまたRNA、例えば、単離DNA分子によりコードされるか、または化学合成されるか、または少なくとも一部の細胞成分、例えば、他の種類のRNA分子またはポリペプチド分子とは別個であるかもしくは実質的に遊離したmRNA分子も指す。
したがって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、または配列番号12のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離核酸が提供される。
したがって、提供される核酸は、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、または配列番号89の核酸配列を含み得る。
本明細書で提供される核酸は、発現制御配列に作動的に連結することができる。また、発現制御配列に作動的に連結される、本明細書で提供される1種または複数種の核酸を含むベクターも提供される。in vitroまたはin vivoにおいて核酸を細胞に送達するのに用いうる多数種の組成物および方法が存在する。これらの方法および組成物は、大まかに2つのクラス:ウイルスベースの送達系および非ウイルスベースの送達系に分類することができる。例えば、核酸は、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミドなど多数種の直接送達系、または細胞もしくは陽イオンリポソームなどの担体での遺伝物質の移入により送達することができる。ウイルスベクター、化学的形質転換体、または電気穿孔およびDNAの直接的拡散などの物理−力学的方法を含むトランスフェクションに適切な手段は、例えば、Wolff, J.A. et al.、Science、247、1465-1468(1990)、およびWolff, J.A. Nature、352、815-818(1991)により説明されている。こうした方法は当技術分野でよく知られており、本明細書で説明される組成物および方法による使用に容易に適合可能である。場合によって、該方法は、特に大型DNAと共に機能するように改変される。さらに、これらの方法は、担体の標的化特性を用いることにより、特定の疾患および細胞集団を標的とするのにも用いることができる。
移入ベクターは、細胞内に遺伝子を送達するのに用いられる(例えば、プラスミド)か、または遺伝子を送達する一般的な戦略の一部として、例えば、組換えのレトロウイルスまたはアデノウイルスの一部として用いられる任意のヌクレオチド構築物であり得る(Ram et al. Cancer Res. 53:83-88(1993))。
本明細書で用いられるプラスミドまたはウイルスベクターとは、配列番号6などの開示される核酸を分解させずに細胞内に輸送し、それが送達される細胞内における遺伝子の発現をもたらすプロモーターを含む作用物質である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、ウイルスまたはレトロウイルスに由来する。ウイルスベクターは、例えば、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、牛痘ウイルス、ポリオウイルス、AIDSウイルス、神経栄養ウイルス、HIV骨格を有するシンドビスウイルスおよび他のRNAウイルスを含むシンドビスウイルスおよび他のRNAウイルスである。また、それらをベクターとしての使用に適するようにするウイルスの特性を共有する任意のウイルスファミリーも開示される。レトロウイルスは、マウスマロニー白血病ウイルスであるMMLVと、MMLVのベクターとして望ましい特性を発現するレトロウイルスとを含む。レトロウイルスベクターは、他のウイルスベクターよりも大きな遺伝子ペイロード、すなわち、トランス遺伝子またはマーカー遺伝子を保有することが可能であり、このために、一般的に用いられるベクターである。しかし、これらは、非増殖細胞では有用でない。アデノウイルスベクターは、比較的安定的であり、加工が容易であり、高力価を有し、エアゾール製剤中で送達することができ、非***細胞にトランスフェクトさせることができる。ポックスウイルスベクターは大型であり、遺伝子を挿入するための複数の部位を有し、熱的に安定であり、室温で保管することができる。また、ウイルス抗原によって引き起こされる宿主生物の免疫反応を抑制するように操作されたウイルスベクターも開示される。この種のベクターは、インターロイキン8または10のコード領域を保有し得る。
ウイルスベクターは、遺伝子を細胞内に導入する化学的または物理的な方法よりも高度な処理能(遺伝子導入能)を有し得る。ウイルスベクターは、非構造的な初期遺伝子、構造的な後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写物、複製およびカプシド形成に必要な逆方向末端反復配列、およびウイルスゲノムの転写および複製を制御するプロモーターを含有するのが典型的である。ベクターとして操作される場合、ウイルスは、1種または複数種の初期遺伝子を除去されることが典型的であり、除去されたウイルスDNAの代わりに、遺伝子または遺伝子/プロモーターカセットがウイルスゲノム内に挿入される。この種の構築物は、約8kbまでの外来遺伝子物質を保有し得る。除去された初期遺伝子の必須機能は、トランス配列において初期遺伝子の遺伝子産物を発現するよう操作された細胞株により提供されるのが典型的である。
レトロウイルスは、任意の種類、サブファミリー、属、または親和性を含む、レトロウイルス科(Retroviridae)のウイルスファミリーに属する動物ウイルスである。レトロウイルスベクターは、一般に、参照により本明細書に組み込まれるVerma,I.M.、Retroviral vectors for gene transfer.、In Microbiology−1985、American Society for Microbiology、pp.229−232、Washington(1985)により説明されている。遺伝子治療にレトロウイルスベクターを用いる方法の例は、その教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,868,116号および同第4,980,286号、PCT出願WO90/02806および同WO89/07136、ならびにMulligan(Science 260:926-932(1993))で説明されている。
レトロウイルスは、基本的に、その中に核酸カーゴをパックしたパッケージである。核酸カーゴは、複製される娘分子がパッケージ被覆内に効率的にパッケージングされることを保証するパッケージングシグナルを共に保有している。パッケージシグナルに加え、複製および複製されたウイルスのパッケージングにシス配列で必要とされる多数種の分子が存在する。レトロウイルスゲノムは、タンパク質被覆を作製することに関与するgag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子を含有することが典型的である。標的細胞に移入される外来DNAにより典型的に置換されるのが、gag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子である。レトロウイルスベクターは、逆転写のtRNAプライマーに結合するプライマー結合部位、DNA合成時におけるRNA鎖の切替えを誘導する末端反復配列、DNA合成の第2鎖の合成のためのプライマー結合部位として用いられる3’側 LTRに対するプリンに富む5’側配列、および宿主ゲノム内へのDNA状態のレトロウイルスの挿入を可能とするLTR末端近傍の特異的配列を含む、逆転写に必要なエレメントであるgag転写単位の開始にシグナルを送る配列である、パッケージ被覆内への組込みのためのパッケージングシグナルを含有することが典型的である。gag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子の除去により、約8kbの外来配列が、ウイルスゲノム内に挿入され、逆転写され、複製時において新規レトロウイルス分子中にパッケージングされることが可能となる。この量の核酸は、各転写物のサイズに応じる1種〜多種の遺伝子の送達に十分である。
大半のレトロウイルスベクター中における複製機構およびパッケージングタンパク質(gag、pol、およびenv)を除去してから、ベクターをパッケージング細胞株内に移入することにより生成することが典型的である。パッケージング細胞株は、複製およびパッケージングの機構は含有するがパッケージングシグナルは欠くレトロウイルスをトランスフェクトされるかまたはこれにより形質転換された細胞株である。最適のDNAを保有するベクターをこれらの細胞株内にトランスフェクトすると、ヘルパー細胞によりシス配列において提供される機構により、対象の遺伝子を含有するベクターが複製され、新規のレトロウイルス粒子内にパッケージングされる。該機構のためのゲノムは、必要なシグナルを欠いているのでパッケージングされない。
複製欠損アデノウイルスの構築は説明されている(Berkner et al.、J. Virology 61:1213-1220(1987)、Massie et al.、Mol. Cell. Biol. 6:2872-2883(1986)、Haj-Ahmad et al.、J. Virology 57:267-274(1986)、Davidson et al.、J. Virology 61:1226-1239(1987)、Zhang "Generation and identification of recombinant adenovirus by liposome-mediated transfection and PCR analysis" BioTechniques 15:868-872(1993))。これらのウイルスは、最初の感染細胞内での複製は可能であるが、新規の感染性ウイルス粒子を形成することは不可能であるため、これらのベクターとしての使用の利益は、これらが他の細胞型に拡大し得る程度が制限されていることである。組換えアデノウイルスは、気道上皮、肝細胞、血管内皮、CNS実質、および他の多数種の組織部位へのin vivoでの直接的送達後における高効率の遺伝子導入を達成することが示されている(Morsy、J. Clin. Invest. 92:1580-1586(1993)、Kirshenbaum、J. Clin. Invest. 92:381-387(1993)、Roessler、J. Clin. Invest. 92:1085-1092(1993)、Moullier、Nature Genetics 4:154-159(1993)、La Salle、Science 259:988-990(1993)、Gomez-Foix、J. Biol. Chem. 267:25129-25134(1992)、Rich、Human Gene Therapy 4:461-476(1993)、Zabner、Nature Genetics 6:75-83(1994)、Guzman、Circulation Research 73:1201-1207(1993)、Bout、Human Gene Therapy 5:3-10(1994)、Zabner、Cell 75:207-216(1993)、Caillaud、Eur. J. Neuroscience 5:1287-1291(1993)、およびRagot、J. Gen. Virology 74:501-507(1993))。組換えアデノウイルスは、特異的な細胞表面受容体に結合し、その後、野生型または複製欠損のアデノウイルスと同じ形で、受容体を介するエンドサイトーシスによりウイルスが内部移行することにより、遺伝子形質導入を達成する(Chardonnet and Dales、Virology 40:462-477(1970)、Brown and Burlingham、J. Virology 12:386-396(1973)、Svensson and Persson、J.Virology 55:442-449(1985)、Seth, et al.、J. Virol. 51:650-655(1984)、Seth, et al.、Mol. Cell. Biol. 4:1528-1533(1984)、Varga et al.、J. Virology 65:6061-6070(1991)、Wickham et al.、Cell 73:309-319(1993))。
ウイルスベクターは、E1遺伝子が除去されたアデノウイルスに基づくベクターでありえ、これらのバイロンはヒト293細胞株などの細胞株内において生成される。いくつかの態様では、E1遺伝子およびE3遺伝子共に、アデノウイルスゲノムから除去される。
別の種類のウイルスベクターは、アデノ関連ウイルス(AAV)に基づく。この欠損性パルボウイルスは、多くの細胞型への感染が可能であり、ヒトに対して非病原性である。AAV型ベクターは、約4〜5kbの輸送が可能であり、野生型のAAVは、第19番染色体内に安定的に挿入されることが知られている。例として述べると、このベクターは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子であるHSV−tkおよび/または緑色蛍光タンパク質GFPをコードする遺伝子などのマーカー遺伝子を含有し得る、カリフォルニア州、サンフランシスコ、Avigen社製のP4.1 Cベクターであり得る。
別の種類のAAVウイルスにおいて、AAVは、異種遺伝子に作動的に連結された、細胞特異的な発現を方向づけるプロモーターを含有する少なくとも1つのカセットに隣接する1対の逆方向末端反復配列(ITR)を含有する。この文脈における異種とは、AAVまたはB19パルボウイルスに天然でない任意のヌクレオチド配列または遺伝子を指す。
典型的には、AAVまたはB19のコード領域を欠失させた結果、安全で非細胞傷害性のベクターが得られる。AAV ITRまたはこれらの改変体は、感染性および部位特異的な組込みをもたらすが、細胞傷害性はもたらさず、プロモーターにより細胞特異的な発現が方向づけられる。AAVベクターに関連する材料については、米国特許第6,261,834号が参照により本明細書に組み込まれる。
したがって、開示されたベクターにより、実質的な毒性なしに、哺乳類染色体内への組込みが可能なDNA分子が提供される。
ウイルス遺伝子およびレトロウイルス遺伝子内に挿入された遺伝子は通常、所望の遺伝子産物発現の制御を支援するプロモーターおよび/またはエンハンサーを含有する。プロモーターは、一般に、転写開始部位に対して相対的に固定された位置にある場合に機能する、あるDNA配列または複数のDNA配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的な相互作用に必要なコアエレメントを含有し、上流エレメントおよび応答エレメントを含有し得る。
大型のヒトヘルペスウイルスによる分子遺伝学的実験では、ヘルペスウイルスによる感染を許容する細胞内において大型の異種DNA断片をクローニングし、増殖させ、確立し得る手段が提供されている(Sun et al.、Nature genetics 8: 33-41、1994、Cotter and Robertson,. Curr Opin Mol Ther 5: 633-644、1999)。これらの大型DNAウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン−バーウイルス(EBV))は、>150kbのヒト異種DNA断片を特異的な細胞に送達する潜在性を有する。EBVの組換え体は、感染したB細胞内において、DNAの大型断片をエピソームDNAとして維持し得る。330kbまでのヒトゲノム挿入配列を保有する個々のクローンは、遺伝的に安定的であると考えられた。これらのエピソームの維持には、EBVによる感染時に構成的に発現する特異的なEBV核内タンパク質であるEBNA1が必要である。加えて、これらのベクターは、in vitroにおいて大量のタンパク質を一過性に生成し得るトランスフェクションに用いることもできる。ヘルペスウイルスによる単位複製配列系はまた、>220kbのDNA断片をパッケージングし、DNAをエピソームとして安定的に維持し得る細胞に感染させるのにも用いられる。
他の有用な系は、例えば、複製型および宿主制限非複製型の牛痘ウイルスベクターを含む。
開示される組成物は、各種の方法で標的細胞へと送達することができる。例えば、組成物は、電気穿孔により、またはリポフェクションにより、またはリン酸カルシウム沈殿により送達することができる。選択される送達機構は、部分的に、標的とされる細胞の種類、および送達が、例えば、in vivoまたはin vitroのいずれで生じるかに依存する。
したがって、組成物は、開示されるポリペプチド、核酸、またはベクターに加えて、例えば、陽イオンリポソーム(例えば、DOTMA、DOPE、DC−コレステロール)または陰イオンリポソームなどのリポソームなどの脂質を含み得る。所望の場合、リポソームは、特定の細胞の標的化を容易にするタンパク質をさらに含み得る。化合物および陽イオンリポソームを含む組成物の投与は、標的臓器に対して輸入性の血液に投与することもでき、気道内に吸入して気道細胞を標的とすることもできる。リポソームについては、例えば、Brigham et al.Am.J.Resp.Cell.Mol.Biol.1:95−100(1989)、Felgner et al.Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:7413−7417(1987)、米国特許第4,897,355号を参照されたい。さらに、化合物は、マクロファージなど特定の細胞型を標的とし得るか、またはマイクロカプセルからの化合物の拡散または化合物の送達が特定の速度または用量に応じて設計される場合のマイクロカプセルの成分として投与することもできる。
対象の細胞内への外来性DNAの投与および取込みを含む上述の方法(すなわち、遺伝子形質導入またはトランスフェクション)において、細胞への組成物の送達は、各種の機構によることが可能である。一例として述べると、送達は、LIPOFECTIN、LIPOFECTAMINE(メリーランド州、ゲイザースバーグ、GIBCO-BRL社製)、SUPERFECT(ドイツ、ヒルデン、Quiagen社製)、およびTRANSFECTAM(ワイオミング州、マジソン、Promega Biotec社製)の他、当技術分野において標準的な手順に従い開発された他のリポソームなど、市販されるリポソーム調製物を用いるリポソームによることが可能である。加えて、開示される核酸またはベクターは、そのための技術がGenetronics社(カリフォルニア州、サンディエゴ)から市販される電気穿孔による他、SONOPORATION機(アリゾナ州、ツーソン、ImaRx Pharmaceutical社製)によってもin vivoで送達することができる。
細胞に送達されて宿主細胞ゲノム内に組み込まれる核酸は、組込み用配列を含有することが典型的である。これらの配列は、特に、ウイルスベースの系を用いる場合、ウイルス関連配列であることが多い。これらのウイルス組込み系はまた、リポソームなど、非核酸ベースの送達系を用いて送達される核酸内に組み込むことで、該送達系内に含有される核酸を宿主ゲノム内に組み込むこともできる。
宿主ゲノム内への組込みのための他の一般的な技法は、例えば、宿主ゲノムによる相同組換えを促進するように設計される系を含む。これらの系は、ベクター核酸と標的核酸との間の組換えが生じ、送達された核酸が宿主ゲノム内に組み込まれるのに十分な程度に、宿主細胞ゲノム内における標的配列との相同性を有する、発現される核酸に隣接する配列に依存することが典型的である。相同組換えを促進するのに必要なこれらの系および方法は、当業者に知られている。
組成物は、当技術分野でよく知られる各種の機構(例えば、裸のDNAの取込み、リポソーム融合、遺伝子銃によるDNAの筋肉内注射、エンドサイトーシスなど)により、in vivoおよび/またはex vivoで対象の細胞に送達することができる。
ex vivoでの方法を用いる場合、当技術分野でよく知られる標準的なプロトコールに従い細胞または組織を除去し、体外で維持することができる。組成物は、例えば、リン酸カルシウムを介する遺伝子送達、電気穿孔、マイクロインジェクション、またはプロテオリポソームなど、任意の遺伝子移入機構により、細胞内に導入することができる。次いで、細胞または組織の種類に応じる標準的な方法に従い、形質導入された細胞を注入(例えば、薬学的に許容される担体中で)するか、またはホモトピカルに移植し戻すことができる。対象内への各種細胞の移植または注入については、標準的な方法が知られている。
細胞に送達される核酸は、発現制御系を含有することが典型的である。例えば、ウイルス系およびレトロウイルス系内に挿入された遺伝子は通常、所望の遺伝子産物発現の制御を支援するプロモーターおよび/またはエンハンサーを含有する。プロモーターは、一般に、転写開始部位に対して相対的に固定された位置にある場合に機能する、あるDNA配列または複数のDNA配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的な相互作用に必要なコアエレメントを含有し、上流エレメントおよび応答エレメントを含有し得る。
哺乳類宿主細胞内のベクターに由来する転写を制御するプロモーターは、各種の供給源、例えば、ポリオーマウイルス、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルスなどのウイルスゲノムから得ることもでき、哺乳類異種プロモーター、例えば、ベータアクチンプロモーターから得ることもできる。SV40ウイルスの初期プロモーターおよび後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点もまた含有するSV40制限断片として得ることが好都合である(Fiers et al.、Nature、273: 113(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの即時初期プロモーターは、HindIII E制限断片として得ることが好都合である(Greenway, P.J. et al.、Gene 18: 355-360(1982))。当然ながら、宿主または類縁動物種に由来するプロモーターもまた、本明細書において有用である。
エンハンサーとは、一般に、転写開始部位から固定されない距離において機能し、転写単位に対して5’側(Laimins, L. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. 78: 993(1981))または3’側(Lusky, M.L., et al.、Mol. Cell Bio. 3: 1108(1983))のいずれでもあり得るDNA配列を指す。さらに、エンハンサーは、イントロン内(Banerji, J.L. et al、Cell 33: 729(1983))にある場合もある他、コード配列自体の内(Osborne, T.F., et al.、MoI. Cell Bio. 4: 1293(1984))にある場合もある。それらは通常、10〜300bpの長さであり、シス配列において機能する。エンハンサーは、近傍のプロモーターからの転写を増強するように機能する。エンハンサーはまた、転写の調節を媒介する応答エレメントも含有することが多い。プロモーターもまた、転写の調節を媒介する応答エレメントを含有することが多い。エンハンサーは、遺伝子発現の調節を決定することが多い。今日では、哺乳類遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインスリン)に由来する多種のエンハンサー配列が知られているが、全般的な発現には真核細胞ウイルスに由来するエンハンサーを用いることが典型的である。例は、複製起点の後期側(bp100〜270)におけるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側におけるポリオーマウイルスエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーである。
プロモーターおよび/またはエンハンサーは、それらの機能を誘発する光または特異的な化学事象により特異的に活性化されうる。系は、テトラサイクリンおよびデキサメタゾンなどの試薬により調節されうる。また、ガンマ線照射などの照射またはアルキル化化学療法剤への曝露によりウイルスベクター遺伝子の発現を増強する方法も存在する。
ある特定の実施形態において、プロモーター領域および/またはエンハンサー領域は、転写される転写単位領域の発現を最大化する構成的プロモーターおよび/または構成的エンハンサーとして作用し得る。ある特定の構築物において、プロモーター領域および/またはエンハンサー領域は、それが特定の時点で特定種類の細胞のみにおいて発現する場合であっても、すべての種類の真核細胞において活性であり得る。この種類のプロモーターは、CMVプロモーター(650塩基)である。他のこのようなプロモーターは、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(全長プロモーター)、およびレトロウイルスベクターのLTRである。
すべての特異的な調節エレメントはクローニングが可能であり、黒色腫細胞などの特異的な細胞型において選択的に発現される発現ベクターを構築するのに用いることができる。グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーターが、神経膠起源の細胞において遺伝子を選択的に発現させるのに用いられている。
真核宿主細胞(酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞、ヒト細胞、または有核細胞)で用いられる発現ベクターはまた、mRNA発現に影響し得る転写の終結に必要な配列も含有し得る。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化セグメントとして転写される。3’側非翻訳領域もまた、転写終結部位を含む。転写単位もまた、ポリアデニル化領域を含み得る。この領域の1つの有益性は、これにより、転写された単位がmRNAと同様にプロセシングされ輸送される可能性が高められることである。発現構築物におけるポリアデニル化シグナルの同定および使用は、十分に確立されている。相同のポリアデニル化シグナルは、トランス遺伝子構築物において用いることができる。ある特定の転写単位において、ポリアデニル化領域は、SV40初期ポリアデニル化シグナルに由来し、約400塩基からなる。転写された単位は、他の標準的な配列を単独であるかまたは上記の配列との組合せで含有する場合があり、これにより構築物からの発現またはその安定性が改善されうる。
ウイルスベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含み得る。このマーカー産物は、遺伝子が細胞に送達され、送達されてから発現されつつあるかどうかを判定するのに用いる。マーカー遺伝子の例は、β−ガラクトシダーゼをコードする大腸菌(E. Coli)lac Z遺伝子および緑色蛍光タンパク質である。
いくつかの実施形態において、マーカーは選択マーカーであり得る。哺乳類細胞に適する選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ、ネオマイシン、ネオマイシン類似体G418、ハイドロマイシン、およびピューロマイシンである。このような選択マーカーを哺乳類宿主細胞内に移入することに成功すると、形質転換された哺乳類宿主細胞は、選択圧下に置かれても存続し得る。広く用いられる選択レジメンの2種の異なるカテゴリーが存在する。第1のカテゴリーは、細胞の代謝および栄養補給培地から独立の増殖能を欠く変異細胞株の使用に基づく。2つの例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)DHFR−細胞およびマウスLTK−細胞である。これらの細胞は、チミジンまたはヒポキサンチンなどの栄養物の添加なしでの増殖能を欠いている。これらの細胞は、完全なヌクレオチド合成経路に必要な特定の遺伝子を欠いているので、逸失するヌクレオチドが栄養補給培地において供給されない限りは存続することができない。培地に栄養補給することの代替法は、完全なDHFR遺伝子またはTK遺伝子をそれぞれの遺伝子を欠く細胞内に導入し、これにより、その増殖要件を変化させることである。DHFR遺伝子またはTK遺伝子により形質転換されなかった個々の細胞は、栄養補給を受けない培地中で存続することができない。
第2のカテゴリーは、任意の細胞型で用いられる選択スキームを参照する優性選択であり、変異細胞株の使用を必要としない。これらのスキームは、宿主細胞の増殖を停止させる薬剤を用いることが典型的である。新規の遺伝子を有する細胞は薬剤耐性を伝達するタンパク質を発現し、選択後にも存続する。このような優性選択の例では、ネオマイシン(Southern P. and Berg, P.、J. Molec. Appl. Genet. 1:327(1982))、マイコフェノール酸(Mulligan, R.C. and Berg, P. Science 209: 1422(1980))、またはハイグロマイシン(Sugden, B. et al.、Mal. Cell. Biol. 5: 410-413(1985))が用いられる。3つの例では、それぞれ、適切な薬剤であるG418もしくはネオマイシン(ジェネティシン)、xgpt(マイコフェノール酸)、またはハイグロマイシンに対する耐性を伝達する真核細胞制御下にある細菌遺伝子が用いられる。他の例は、ネオマイシン類似体であるG418およびピューラマイシンを含む。
また、本明細書で提供される1種または複数種のベクターを含む細胞も提供される。本明細書で用いられる「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は互換的に用いることができ、すべてのこのような表記は子孫細胞を含む。開示される細胞は、本明細書で提供されるベクターのクローニングまたは増殖に用いられる任意の細胞であり得る。したがって、細胞は、任意の初代細胞培養物または確立された細胞株に由来し得る。該方法は、細菌細胞、植物細胞、動物細胞などの原核細胞または真核細胞を含む任意の細胞に適用することができる。細胞型は、ベクターの選択および所望の使用に基づき、当業者により選択されうる。
動物内の細胞に本明細書で開示される任意の核酸分子またはベクターをトランスフェクトするプロセスにより作製される動物が開示される。哺乳類である動物内の細胞に本明細書で開示される任意の核酸分子またはベクターをトランスフェクトするプロセスにより作製される動物が開示される。また、哺乳類がマウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、または霊長類である動物内の細胞に本明細書で開示される任意の核酸分子またはベクターをトランスフェクトするプロセスにより作製される動物も開示される。
薬学的に許容される担体中における、本明細書で提供される1種または複数種のポリペプチド、核酸、またはベクターを含む組成物が提供される。したがって、薬学的に許容される担体中における、本明細書で提供される2種以上の任意のACTポリペプチドの組合せを含む組成物が提供される。例えば、薬学的に許容される担体中における配列番号1および配列番号5を含む組成物が提供される。
「薬学的に許容される」とは、生物学的であるかまたは別の形で望ましからぬ物質、すなわち、望ましくない生物学的作用を引き起こしたり、核酸またはベクターが含有される医薬組成物の他の成分と有害な形で相互作用したりせずに核酸またはベクターと共に対象に投与し得る物質を意味する。該担体は、当業者によく知られる通り、有効成分の任意の分解を最小化し、対象における任意の有害な副作用を最小化するように天然由来で選択される。
本明細書で提供される組成物は、対象の組織に投与されうる任意の既知であるかまたは新規に発見された物質をさらに含み得る。例えば、提供される組成物は、抗生剤(例えば、アミノグリコシド、セファロスポリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、フルオロキノロン、マクロライド、アゾライド、メトロニダゾール、ペニシリン類、テトラサイクリン類、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、バンコマイシン)、ステロイド(例えば、アンドラン(例えば、テストステロン)、コレスタン(例えば、コレステロール)、コール酸(Cholic acids)(例えば、コール酸(Cholic acid))、コルチコステロイド(例えば、デキスタメタゾン)、エストラン(例えば、エストラジオール)、プレグナン(例えば、プロジェステロン))、麻薬性および非麻薬性鎮痛剤(例えば、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、オキシドン、プロポキシフェン、フェンタニル、メタドン、ナロキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン)、化学療法剤(例えば、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ジエチルスチルベステロール、エチニルエストラジオール、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ペンタスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどであるがこれらに限定されない抗癌剤)、抗炎症剤(例えば、アルクロフェナク、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アルゲストンアセトニド、アルファアミラーゼ、アムシナファル、アムシナフィド、アムフェナクナトリウム、塩酸アミプリロース、アナキンラ、アニロラク、アニトラザフェン、アパゾン、バルサラジド二ナトリウム、ベンダザク、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロメライン、ブロペラモール、ブデソニド、カルプロフェン、シクロプロフェン、シンタゾン、クリプロフェン、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾン、クロピラク、プロピオン酸クロチカゾン、酢酸コルメタゾン、コルトドキソン、デカン酸、デフラザコルト、デラテストリル、デポ−テストステロン、デソニド、デソキシメタゾン、ジプロピオン酸デキサメタゾン、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル、ジフルプレドナート、ジフタロン、ジメチルスルホキシド、ドロシノニド、エンドリゾン、エンリモマブ、エノリカムナトリウム、エピリゾール、エトドラク、エトフェナマート、フェルビナク、フェナモール、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンドサル、フェンピパロン、フェンチアザク、フラザロン、フルアザコルト、フルフェナミン酸、フルミゾール、酢酸フルニゾリド、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル、酢酸フルオロメトロン、フルカゾン、フルルビプロフェン、フルレトフェン、プロピオン酸フルチカゾン、フラプロフェン、フロブフェン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ハロプレドン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダップ、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、インドキソール、イントラゾール、酢酸イソフルプレドン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、塩酸ロフェミゾール、ロモキシカム、ロテプレンドノールエタボナート、メクロフェナミン酸ナトリウム、メクロフェナミン酸、ジ酪酸メクロリゾン、メフェナミン酸、メサラミン、メセクラゾン、メステロロン、メタンドロステノロン、メテノロン、酢酸メテノロン、メチルプレドニゾロンスレプタナート、モミフルマート、ナブメトン、ナンドロロン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、ニマゾン、オルサラジンナトリウム、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサンドロラン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、オキシメトロン、塩酸パラニリン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、フェンブタゾンナトリウムグリセラート、ピルフェニドン、ピロキシカム、桂皮酸ピロキシカム、ピロキシカムオラミン、ピルプロフェン、プレドナザート、プリフェロン、プロドール酸、プロカゾン、プロキサゾール、クエン酸プロキサゾール、リメキソロン、ロマザリト、サルコレックス、サルナセジン、サルサラート、塩化サングイナリウム、セクラゾン、セルメタシン、スタノゾロール、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルマート、タロサラート、テブフェロン、テニダップ、テニダップナトリウム、テノキシカム、テシカム、テシミド、テストステロン、テストステロンブレンド、テトリダミン、チオピナク、ピバル酸チキソコルトール、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリクロニド、トリフルミダート、ジドメタシン、ゾメピラクナトリウム)、または抗ヒスタミン剤(例えば、エタノールアミン(ジフェンヒドラミンカルビノキサミンなど)、エチレンジアミン(トリペレンアミンピリラミンなど)、アルキルアミン(クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ブロムフェニラミン、トリプロリジン)、アテミゾール、ロラタジン、フェキソフェナジン、ブロフェニラミン、クレマスチン、アセトアミノフェン、シュードエフェドリン、トリプロリジンなどの他の抗ヒスタミン剤)の1つまたは複数のクラスをさらに含み得る。
本明細書で提供される組成物は、抗VEGF(抗血管内皮成長因子)剤をさらに含み得る。これらの作用物質の例は、ルセンティス、アバスチン、およびマクジェンを含む。
組成物は、局所投与、経口投与、または非経口投与が可能である。例えば、組成物は、体外投与、頭蓋内投与、膣内投与、肛門内投与、皮下投与、皮内投与、心内投与、胃内投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内注射、経皮投与、鼻腔内投与、または吸入物質により投与することができる。本明細書で用いられる「頭蓋内投与」とは、例えば、カテーテルまたは注射針による髄腔内送達、嚢内送達、脳室内送達、または経ちょう形骨送達を含む、脳への物質の直接的な送達を意味する。
組成物の非経口投与は、これが用いられる場合、一般に、注射を特徴とする。注射剤は、溶液もしくは懸濁液、注射前における液体中での懸濁液の溶解に適する固体形態、または乳剤として、従来の形態で調製することができる。より近年において改善された非経口投与のための手法は、一定の用量を維持するための徐放システムまたは持続放出システムの使用を伴う。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,610,795号を参照されたい。
本明細書で用いられる「局所鼻腔内投与」とは、鼻孔の一方または両方を介する鼻内および鼻腔内への組成物の送達を意味し、噴霧機構もしくは滴下機構、または核酸もしくはベクターのエアゾール化による送達を含み得る。吸入物質による組成物の投与は、噴霧または滴下機構による送達を介し、鼻または口を介し得る。送達はまた、挿管により、呼吸器系(例えば、肺)の任意の領域へと直接に行うこともできる。
必要な組成物の正確な量は、対象の動物種、年齢、体重、および全般的な状態、治療されるアレルギー障害の重症度、用いられる具体的な核酸またはベクター、その投与方式などに応じて対象によって異なる。したがって、あらゆる組成物について正確な量を特定することは不可能である。しかし、本明細書の教示を踏まえるなら、当業者は、日常的な実験のみを用いて適量を決定することができる。
材料は、溶液または懸濁液(例えば、微粒子、リポソーム、または細胞内に組み込まれる)であり得る。これらは、抗体、受容体、または受容体リガンドにより特定の細胞型を標的とし得る。以下の参考文献は、特定のタンパク質を腫瘍組織へと標的化するこの技法の使用例である(Senter, et al.、Bioconjugate Chem.、2:447-451(1991)、Bagshawe, K.D., Br. J. Cancer、60:275-281(1989)、Bagshawe, et al.、Br. J. Cancer、58:700-703(1988)、Senter, et al.、Bioconjugate Chem.、4:3-9(1993)、Battelli, et al.、Cancer Immunol. hnmunother.、35:421-425(1992)、Pietersz and McKenzie、Immunolog. Reviews、129:57-80(1992)、およびRoffler, et al.、Biochem. Pharmacol、42:2062-2065(1991))。「ステルス」リポソームおよび他の抗体コンジュゲートリポソームなどの媒体(結腸癌を標的とする脂質媒介剤を含む)、細胞特異的リガンドによる受容体を介するDNAの標的化、リンパ球により方向づけられた腫瘍の標的化、およびin vivoにおける高度に特異的な治療用レトロウイルスによるマウス神経膠腫細胞の標的化。以下の参考文献は、特定のタンパク質を腫瘍組織へと標的化するこの技法の使用例である(Hughes et al.、Cancer Research、49:6214-6220(1989)、およびLitzinger and Huang、Biochimica et Biophysica Acta,1104:179-187(1992))。一般に、構成的であるかまたはリガンド誘導的な受容体は、エンドサイトーシス経路に関与する。クラスリン被覆ピット内におけるこれらの受容体クラスターは、クラスリン被覆小胞を介して細胞内に入り、その中で受容体が選別される酸性化したエンドソームを通過し、次いで、細胞表面に回帰するか、細胞内に貯蔵されるか、またはリソソーム内で分解される。内部移行経路は、栄養物の取込み、活性化タンパク質の除去、高分子のクリアランス、ウイルスおよび毒素の日和見侵入、リガンドの解離および分解、ならびに受容体レベルの調節など、各種の機能に用いられる。細胞型、受容体濃度、リガンドの種類、リガンド価数、およびリガンド濃度に応じて、多種の受容体が、複数種の細胞内経路に従う。受容体を介するエンドサイトーシスの分子機構および細胞機構が総説されている(Brown and Greene、DNA and Cell Biology 10:6、399-409(1991))。
適切な担体およびその製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA 1995で説明されている。適量の薬学的に許容される塩を製剤中で用いて、製剤を等張にすることが典型的である。薬学的に許容される担体の例は、生理食塩液、リンゲル液、およびデキストロース液を含むがこれらに限定されない。溶液のpHは、約5〜約8、約7〜約7.5であり得る。さらなる担体は、抗体を含有し、成形品、例えば、膜、リポソーム、または微粒子の形態である、疎水性固体ポリマーの半透性マトリックスなどの持続放出調製物を含む。例えば、投与経路および投与される組成物の濃度に応じて、特定の担体がより好ましい場合があることは当業者に明らかであろう。
医薬担体は、当業者に知られている。これらは、滅菌水、生理食塩液、および生理学的なpHにおける緩衝液などの溶液を含む、ヒトへの薬剤投与のための標準的な担体であることが最も典型的である。組成物は、筋肉内投与または皮下投与が可能である。他の化合物は、当業者により用いられる標準的な手順に従い投与される。
医薬組成物は、最適の分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などを含み得る。医薬組成物はまた、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤など、1種または複数種の有効成分も含み得る。
医薬組成物は、局所治療または全身治療のいずれが所望されるのか、および治療される領域に応じて、多数の方法で投与することができる。投与は、局所(眼内、膣内、直腸内、鼻腔内を含む)投与、経口投与、吸入投与、または、非経口投与、例えば、静脈内点滴、皮下注射、腹腔内注射、もしくは筋肉内注射であり得る。
非経口投与のための調製物は、滅菌の水溶液または非水溶液、懸濁液、および乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性の担体は、生理食塩液および緩衝媒体を含む、水、アルコール溶液/水溶液、乳剤、または懸濁液を含む。非経口媒体は、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース液、デキストロースおよび塩化ナトリウム溶液、乳酸加リンゲル液、または固定油を含む。静脈内媒体は、流体および栄養物補充液、電解質補充液(リンゲルデキストロース液に基づく補充液など)などを含む。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスなどの防腐剤および他の添加剤もまた存在し得る。
局所投与のための製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル(例えば、ポロキサマーゲル)、滴下剤、坐剤、噴霧剤、液体、および粉末を含み得る。従来の医薬担体、水性ベース、粉末ベース、または油性ベース、増粘剤などが必要または所望であり得る。開示される組成物は、例えば、マイクロファイバー、ポリマー(例えば、コラーゲン)、ナノ粒子、エアゾール、ローション、クリーム、繊維、プラスチック、組織加工足場、マトリックス材料、錠剤、植え込み式容器、粉末、油、樹脂、創傷用包帯、ビーズ、マイクロビーズ、徐放ビーズ、カプセル、注射剤、静脈内点滴剤、ポンプ装置、シリコーンインプラント、または任意の生体工学材料中において投与することができる。
いくつかの態様において、提供される薬学的に許容される担体は、ポロキサマーである。Pluronics(登録商標)という商標名で呼ばれるポロキサマーは、水中で透明な熱可逆性ゲルを形成する非イオン性界面活性剤である。ポロキサマーは、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド(PEO−PPO−PEO)のトリブロックコポリマーである。2本のポリエチレンオキサイド鎖は親水性であるが、ポリプロピレン鎖は疎水性である。水溶液中に入れると、これらの疎水性および親水性の特性が重要となる。疎水性の中心が集合してミセルを形成する場合、PEO−PPO−PEO鎖は、小分子鎖の形態をとる。続いて、親水性の端部付近にごくわずかでも水が存在する場合、ミセルは集団へと集合して固体(ゲル)を形成するため、ゲル化特性を有する傾向がある。ポロキサマーは冷却すると液体となるが、加熱すると硬化する。この特性のために、低温時にはシリンジ内に吸い込ませて正確な用量測定が可能となるので、ポロキサマーは医薬の調合において有用となる。体温まで加熱されると(皮膚に当てると)、完全な粘稠度まで増粘され(とりわけ、ダイズレシチン/パルミチン酸イソプロピルと組み合わせる場合)、適正な塗擦および付着が容易となる。Pluronic(登録商標)F127(F127)は、入手が容易であるため広く用いられ、このため、このような医薬への適用において用いられている。F127は、100:65:100のEO:PO:EO比を有し、これにより、重量では2:1のPEO:PPO比を有する。プルロニックゲルは水溶液であり、20〜30%のF−127を含有することが典型的である。したがって、提供される組成物は、F127中で投与することができる。
経口投与のための組成物は、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水性媒体中における懸濁液もしくは溶液、カプセル、小袋、または錠剤を含む。増粘剤、芳香剤、希釈剤、乳化剤、懸濁補助剤、または結合剤が所望であり得る。
いくつかの組成物は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル酸などの有機酸との反応によるか、または水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、ならびにモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、およびアリールアミンおよび置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応により形成される、薬学的に許容される酸添加塩または塩基添加塩として投与することが潜在的に可能である。
組成物の投与に効果的な用量およびスケジュールは経験的に決定することができ、このような決定を行うことは、当技術分野内にある。組成物投与のための用量範囲は、障害の症状に作用する所望の効果をもたらすのに十分な高用量である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほどの高用量ではないものとする。一般に、用量は、患者における年齢、状態、性別、疾患の程度、投与経路、またはレジメンに他の薬剤が含まれているかどうかによって変化し、当業者による決定が可能である。任意の禁忌事象の場合、個々の医師による用量の調整が可能である。用量は変化することがあり、1日間または数日間にわたって、毎日1回または複数回の投与において投与することがある。所与のクラスの医薬品に適切な用量については、文献中に指針を見出すことができる。用量範囲は、本明細書における組成物の適用、状態の重症度、およびその投与経路に大きく依存する。
例えば、研究のための実験ツールとしての適用において、ACTペプチド組成物は、0.01%w/vまでの低用量で用いることができる。局所治療において、用量は、0.02%w/vまでの低用量およびおそらくは2%w/vまでの高用量が可能である。したがって、提供されるポリペプチドの上限は、例えば、腫瘍塊中に直接送達される初回ボーラスとして投与される場合、2〜5%w/vまたはv/vまでであり得る。非経口経路による投与、例えば、筋肉内投与、脳内投与、心内投与、および髄腔内投与に推奨される用量の上限は、1%w/vまたはv/vまでであり得る。この上限用量は、例えば、(1種または複数種の)ポリペプチドが、その作用を促進するかまたは該(1種または複数種の)ポリペプチドと協同作用する他の作用物質と組み合わされる方法に応じ、製剤ごとに異なりうる。
例えば、静脈内点滴との組合せにおける、提供されるポリペプチドの連続的送達の場合、状態の改善に基づき医師により経時的に決定される0.01g/体重Kgの上限を用いることができる。別の例において、局所送達される、提供される核酸の濃度上限は、例えば、核酸がその作用を促進するかまたは該核酸と協同作用する他の作用物質と組み合わされる方法に応じ、5〜10μg/組織cmである。これは、改善に基づき医師により決定される頻度で繰り返される。別の例において、体内送達、例えば、筋肉内送達、脳内送達、心内送達、および髄腔内送達される、提供される核酸の濃度上限は、50〜100μg/溶液mlである。ここでもまた、頻度は、改善に基づき医師により決定される。
ウイルスベクターは、臨床的適用において無視できない潜在的可能性を示すにもかかわらず、高度に実験的なツールであるにとどまっている。したがって、ウイルスベクターについて予測される用量レジメンの計算では注意が払われて当然であり、これは、用いられるベクターの種類に大きく依存する。例えば、レトロウイルスベクターは、癌細胞などの***細胞に効果的に感染し、宿主ゲノム内に挿入され、コードされるタンパク質の発現を無限に継続させる。動物モデル環境におけるレトロウイルスの典型的な用量は、ml当たり10〜10感染単位の範囲である。これに対し、アデノウイルスは、***終了細胞を標的とするのに最も効果的であるが、感染細胞が増殖を再開し、これに続いてウイルスのエピソームDNAが希釈されると、宿主免疫系により細胞が迅速に除去されるかまたはウイルスが最終的に失われる。実際、感染のこの一過性の時間経過は、一部の臨床的状況における本明細書で説明される組成物の短時間での送達に有用であり得る。動物モデルにおいて、ml当たり10〜1011感染単位のアデノウイルス濃度が、研究での使用に典型的である。動物モデルに由来するデータに基づくベクターの用量範囲は、最終的に(1種または複数種の)臨床状況において用いられることが意図され、このために薬学的に許容される(1種または複数種の)製剤の開発が保留されている。
0.02%w/vでのACT組成物の2種の局所的適用;短時間で適用される第1の組成物および24時間後に適用される第2の組成物を、上皮透過性および/または新生血管形成に関与する病態を治療または予防するのに用いることができる。しかし、臨床的状況では、医師により判定される著明な改善が達成されるまで、5%までの濃度で1日当たり3回まで頻度を増大させる局所適用が推奨される。体内投与、例えば、筋肉内投与、脳内投与、心内投与、および髄腔内投与の場合、医師により判定される著明な改善が達成されるまで、1%w/vまたはv/vで1日当たり3回までの頻度の増大が推奨される。
また、本明細書で提供される組成物(例えば、ポリペプチド、核酸、またはベクター)を含む材料も提供される。例えば、ACTポリペプチドにより被覆される材料が提供される。
例えば、材料は、10〜200μMの範囲の濃度で提供されるポリペプチド中に浸すことができる。次いで、材料を乾燥させ、滅菌容器内で密封する。材料はまた、10〜200μMの濃度でポリペプチドを含有する4℃で10〜30%の液体プルロニックゲル中に浸漬することもできる。次いで、材料を室温付近まで加熱することで、ゲルを重合させ、材料を取り囲むポリペプチド含浸ゲル被覆を得、これを滅菌容器内で密封することができる。ポリペプチドはまた、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)またはポリウレタンなどの架橋形成可能なハイドロゲル系内に組み込み、次いで、これを所望の病態の治療のための材料に成形することもできる。したがって、ハイドロゲル−ペプチド複合材料が提供される。
B.組成物を用いる方法
本明細書では、本明細書ではアルファコネキシンカルボキシ末端(ACT)ポリペプチドとも称する、アルファコネキシンカルボキシ末端アミノ酸配列またはその保存的変異体を含むポリペプチドを対象に投与することを含む、上皮透過性および/または新生血管形成(例えば、血管新生または血管発生)を伴う病態の治療または予防のための組成物および方法が提供される。
いくつかの態様において、開示される方法に関する上皮透過性および/または新生血管形成は、血管透過性および血管新生/血管発生を促進する血管内皮成長因子(VEGF)を介する。
例えば、対象における呼吸窮迫症候群(RDS)を治療または予防する方法であって、前記RDSを有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の肺に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法が提供される。
また、対象における虚血を治療または予防する方法であって、前記RDSを有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の肺に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
また、対象における出血性脳卒中を治療または予防する方法であって、前記RDSを有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の肺に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
また、対象における心筋梗塞および脳卒中で観察される再灌流傷害などの再灌流傷害を治療または予防する方法であって、前記RDSを有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の肺に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
また、対象における皮膚血管腫または皮膚血管奇形を治療または予防する方法であって、前記血管腫を有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の皮膚に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
1.黄斑変性
また、対象における黄斑変性を治療または予防する方法であって、対象にアルファコネキシンカルボキシ末端アミノ酸配列またはその保存的変異体を含む治療有効量の単離ポリペプチドを投与することを含む方法も提供される。
また、対象における黄斑変性を治療または予防する方法であって、前記黄斑変性を有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の眼に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
「黄斑変性」とは、黄斑として知られる眼内層の中心の変性を意味する。いくつかの態様において、黄斑変性は、加齢性黄斑変性(AMD)である。いくつかの態様において、黄斑変性は、進行性AMDの湿潤形態である新生血管AMDまたは滲出型AMDである。
また、ブルッフ膜を貫通する脈絡膜毛細血管の新生血管形成を軽減または防止する方法も提供される。
いくつかの態様において、対象は、黄斑変性を有すると診断されている。いくつかの態様において、対象は、黄斑変性を発現する危険性を示しつつあると同定されている。したがって、対象は、50、60、65、70、75歳を超える任意の対象であり得る。いくつかの態様において、対象は、喫煙することが知られる。いくつかの態様において、対象は、黄斑変性を有する親族を有することが知られる。いくつかの態様において、対象は、黄斑変性と関連する単一塩基多型(SNP)を有すると同定されている。例えば、SNPは、補体系タンパク質因子H(CFH)のTyr402Hisであり得る。別の例として述べると、SNPは、HTRA1におけるrs11200638であり得る。いくつかの態様において、対象は、高血圧を有すると同定されている。いくつかの態様において、対象は、高コレステロールを有すると同定されている。いくつかの態様において、対象は肥満である。いくつかの態様において、対象は、黄斑内にドルーゼを有すると同定されている。いくつかの態様において、対象は、ブルッフ膜を貫通する脈絡膜毛細血管の異常な新生血管形成を有すると同定されている。
黄斑変性は、網膜の黄斑領域として知られる眼内層の中心が菲薄化、委縮、および症例によっては出血を被る、おもに高齢者において見出される医学的状態である。この結果、中心視力喪失が生じる場合があり、これにより、細かな詳細が見えなくなったり、読めなくなったり、顔がわからなくなったりする。米国眼科学会によれば、黄斑変性は、今日の米国における50歳を超える患者にとって、中心視力喪失(失明)の主要な原因である。より若齢の個体が罹患する一部の黄斑ジストロフィーも、場合によって黄斑変性と称するが、該用語は、一般に、加齢性黄斑変性(AMDまたはARMD)を指す。
加齢性黄斑変性は、網膜色素上皮と下層の脈絡膜との間におけるドルーゼと呼ばれる黄斑内における独特の黄色の沈着物と共に始まる。したがって、また、対象の黄斑内におけるドルーゼを低減または防止する方法も提供される。ドルーゼは、眼のブルッフ膜内に沈着する細胞外物質の黄色または白色の微小な集積である。数個の小さな(「硬い」)ドルーゼの存在は、加齢にとって正常であり、40歳を超える大半の人々はある程度の硬いドルーゼを有する。しかし、黄斑内におけるより大きくより多数のドルーゼの存在は、加齢性黄斑変性(AMD)に共通の初期徴候である。加齢および黄斑変性と関連するドルーゼは、視神経乳頭に存在する視神経円板ドルーゼとは異なる。加齢関連ドルーゼおよび視神経円板ドルーゼ共に、検眼鏡検査により観察することができる。
これらの初期変化(加齢黄斑症と称する)を有する大半の患者は、良好な視力を有する。ドルーゼを有する患者は、続いて進行性AMDを発症することがある。ドルーゼが大きく多数で、黄斑下部の色素細胞層における障害と関連する場合、危険性は無視できない程度に高くなる。近年の研究によれば、大きく軟質のドルーゼがコレステロール沈着の増大と関連し、コレステロール低下剤またはRheo処置に応答することがある。
深刻な視力喪失の原因である進行性AMDは、2つの形態:乾燥型および湿潤型を有する。進行性AMDの乾燥型である中心の地図状委縮は、網膜下における網膜色素上皮層の委縮から生じ、これにより、眼の中心部における光受容体(杆体および錐体)の喪失による視力喪失が引き起こされる。高用量の抗酸化剤であるルテインおよびゼアキサンチンによるビタミン補助剤が、乾燥型黄斑変性の進行を遅らせ、患者によっては、視力を改善することが、米国立眼研究所その他により示されている。
進行性AMDの湿潤形態である新生血管AMDまたは滲出型AMDは、ブルッフ膜を貫通して、最終的には網膜下において血液およびタンパク質の漏出をもたらす、脈絡膜毛細血管における異常な血管増殖による視力喪失を引き起こす。これらの血管に由来する出血、漏出、および瘢痕形成は、非治療のまま放置すれば、最終的に、光受容体への不可逆的な損傷および急速な視力喪失を引き起こす。
小型の注射針を用いて眼の硝子体液中に直接注射すると、抗VEGF(抗血管内皮成長因子)剤により、異常血管の退縮および視力の改善をもたらすことができる。注射は、毎月または隔月のベースで反復しなければならないことが多い。これらの作用物質の例は、ルセンティス、アバスチン、マクジェンを含む。2007年4月現在でFDAにより承認されているのは、ルセンティスおよびマクジェンのみである。
アムスラーグリッド検査は、患者が黄斑の健康をモニタリングする最も単純で最も効果的な方法の1つである。アムスラーグリッドは、基本的に、中央に黒色点を伴う交差線のパターン(グラフ用紙と同じ)である。中央の黒色点は、固視(眼が凝視する位置)に用いられる。正常な視力を有する場合、グリッド中央の黒色点を固視すると、黒色点を取り囲むすべての直線はまっすぐで等間隔に見え、欠落するかまたは歪んで見える領域がない。黄斑変性における場合のように黄斑に影響する疾患がある場合、直線は曲がって、歪んで、および/または欠落して見える場合がある。
黄斑変性は、それ自体で全面的な失明をもたらすものではない。このために、視力障害を有する患者のうちで全面的に失明している患者は極めて少数であるにすぎない。ほとんどすべての場合、周辺視力の一部は残存している。おそらく、他の合併状態(重度の脳卒中または外傷、非治療の緑内障など)により、このような急性状態がもたらされることもあるが、全面的な視力喪失を経験する黄斑変性患者は少ない。黄斑領域は網膜の約5%を含み、視野の約35%に関わる。残る65%(周辺視野)は、該疾患に影響されずに残存する。
まったく異なる病因および異なる治療を伴う同様の症状が、眼内における網膜上膜または黄斑パッカーまたは漏出血管により引き起こされることがある。
フルオレセイン血管造影により、異常な血管過程の同定および位置特定が可能となる。今日では、診断および様々な間隔で眼の硝子体に注射されるアバスチンまたはルセンティスを用いることによる治療に対する応答の追跡評価において、大半の眼科医により光干渉断層撮影が用いられている。
若年黄斑変性は、現在のところ、標準的に用いられる用語ではない。遺伝学に関連する、若年個体における黄斑が罹患する状態に好ましい用語は、黄斑変性(macular dystrophy)である。これらの例は、ベスト病、ドイン蜂巣状網膜ジストロフィー、ソルスビー病、およびシュタルガルト病を含む。
いくつかの態様において、対象は、医学的診断により同定される。例えば、糖尿病性網膜症および黄斑変性を有する対象は、眼内における過剰な血管の視覚化により同定することができる。急性肺外傷は、うっ血性心不全の不在下における肺浮腫により診断することができる。虚血性脳卒中は、神経学的症状および造影(MRIおよびCT)により診断することができる。他の既知であるかまたは新規に発見された医学的判定法も、開示される方法で対象を同定するのに用いることができる。
加えて、対象は、遺伝学的素因によって同定することもできる。例えば、患者に加齢性黄斑変性の素因を与える遺伝子が同定されている(Klein RJ, et al、2005、Yang Z, et al. 2006、Dewan A, et al. 2006)。同様に、患者に脳内における血管奇形の素因を与える遺伝的変異が同定されている(Plummer NW, et al.、2005)。他の既知であるかまたは新規に発見された遺伝的判定法も、開示される方法で対象を同定するのに用いることができる。
2.糖尿病性網膜症
また、対象における糖尿病性網膜症を治療または予防する方法であって、前記糖尿病性網膜症を有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の網膜に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
糖尿病性網膜症は、糖尿病の併発により引き起こされる網膜への損傷であり、これにより最終的には失明がもたらされる場合がある。それは、10年間以上にわたり糖尿病を有したすべての糖尿病患者の80%までが罹患する全身疾患の眼症状である。これらの脅威を与える統計にもかかわらず、研究によれば、眼に対する適正で注意深い治療およびモニタリングがなされれば、これらの新規の症例の少なくとも90%は軽減されうることが示されている。
糖尿病性網膜症は、初期徴候を有さないことが多い。より急速に視力喪失を引き起こし得る黄斑浮腫でさえ、ある期間は警戒徴候を有さない場合がある。しかし、一般に、黄斑浮腫を有する患者は霧視を有する可能性が高く、このために、例えば、読書または運転が困難となる。一部の症例において、視力は、1日のうちでも改善されたり悪化したりする。
増殖性糖尿病性網膜症(PDR)の一部として眼の後方部において新たな血管が形成される場合、それらにより、出血(bleed)(出血[haemorrhage])および霧視が生じることがある。これが初めて生じる場合、それほど重度ではないことがある。大半の症例において、それは、患者の視野内に浮動するごく少数の血点または斑点を残すが、斑点は数時間後に消失することが多い。
これらの斑点の後、数日間または数週間以内に、はるかに大規模な血液の漏出が生じ、これにより霧視が生じる。極限的な症例において、患者は、眼の中の明部を暗部と区別することができるにすぎなくなる。血液が眼の内部から別の場所へと除去されるには数日間〜数カ月間または数年間かかる場合もあり、症例によっては血液が除去されない。これらの種類の大規模な出血は、しばしば就寝時に複数回生じる傾向がある。
糖尿病性網膜症は、微小血管性の網膜変化の結果である。高血糖症により誘発される周皮細胞死および基底膜の肥厚により、血管壁不全がもたらされる。これらの損傷により血液網膜関門の形成が変化し、また、網膜血管もより透過性となる。
微小血管―眼内の微小血管など―は、血糖コントロールの低下に対してとりわけ感受性である。グルコースおよび/またはフルクトースの過剰蓄積により、網膜内の微小血管が損傷される。非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)と呼ばれる初期段階において、大半の患者はその視力変化に気づかない。
一部の患者は、黄斑浮腫と呼ばれる状態を発症する。それは、損傷した血管が、それにより我々が細部を見ることのできる網膜の部分である黄斑内に、体液および脂質を漏出させるときに生じる。体液は黄斑を腫脹させ、これにより霧視が生じる。
疾患が進行するにつれて、重度の非増殖性糖尿病性網膜症は、進行段階または増殖段階に入る。網膜内における酸素の欠如により、脆弱な新血管が網膜に沿って増殖し、眼の内部を満たす透明でゲル様の硝子体液内に侵入する。時宜を得た治療がなければ、これらの新血管は出血し、霧視を引き起こし、網膜を破壊する。線維血管性増殖はまた、牽引性網膜剥離も引き起こす場合がある。新血管はまた、増殖して前眼房隅角内に侵入し、新生血管緑内障も引き起こす場合がある。非増殖性糖尿病性網膜症は、綿花状白斑(網膜の微小梗塞)、脂質滲出物、網膜内微小血管異常(IRMA)、もしくは微小血管異常として、または表在性網膜出血として現れる。そのような場合であっても、進行増殖性糖尿病性網膜症(PDR)は、極めて長期間にわたり無症状を維持し、そのため、定期的な検診による注意深いモニタリングを要する。
糖尿病を有するすべての患者―I型糖尿病(若年期発症型)およびII型糖尿病(成年期発症型)を有する患者―が危険性を示す。患者が糖尿病を有する期間が長期間であるほど、何らかの眼問題を発症する危険性が高くなる。糖尿病を有すると診断された米国人の40〜45パーセントは、ある段階の糖尿病性網膜症を有する。糖尿病罹患の20年後において、1型糖尿病を有するほとんどすべての患者および2型糖尿病を有する>60%の患者が、ある程度の網膜症を有する。
糖尿病性網膜症は、視力検査、瞳孔拡張、検眼鏡検査、光干渉断層撮影またはOCT、眼圧測定、デジタル式網膜スクリーニングプログラム、および細隙灯顕微鏡による網膜スクリーニングプログラムを含む眼検査時に検出される。
視力検査では、視力検査表を用いて、被験者が様々な距離でどのくらいよく見えるか(すなわち、視力)を測定する。瞳孔拡張では、アイケアの専門家が、眼内に点眼液を滴下し、瞳孔を拡張させる。これにより、アイケア専門家は、より多くの部分の網膜を見ることができ、糖尿病性網膜症の徴候を探索することができる。検査後、数時間にわたり近距離で霧視が続くことがある。検眼鏡検査は、アイケアの専門家が、(1)それにより網膜の狭い範囲が観察される特別な拡大レンズを備える装置を覗くか、または(2)明光を有するヘッドセットを装着して、特別の拡大鏡を覗き、網膜の広い範囲を観察する網膜検査である。手持ち式の検眼鏡検査器は、著明で治療可能な糖尿病性網膜症を判別するのに不十分であることに注意されたい。OCTは、網膜の厚さを測定するのに用いる超音波検査法に類似する走査法である。これにより、網膜の断面画像が作製され、腫脹または漏出が存在するかどうかを判定することができる。眼圧測定は、眼内液圧(眼内圧)を決定する標準的な検査である。圧力の上昇は、糖尿病を有する患者における別の一般的な眼問題である緑内障の可能な徴候である。デジタル式網膜スクリーニングプログラムは、糖尿病を有するすべての患者が少なくとも毎年網膜スクリーニングを受ける英国などにおいてますます一般的となりつつある、糖尿病性網膜症を含む眼疾患の早期検出のための体系的なプログラムである。これは、デジタル画像の取込みと、評価および治療の照会のためのデジタル式読み取りセンターへの画像の送信とを伴う。バンダービルト眼科画像センターおよび英国糖尿病性網膜症スクリーニングプログラムを参照されたい。細隙灯顕微鏡による網膜スクリーニングプログラムは、細隙灯顕微鏡を用いる糖尿病性網膜症の早期検出のための体系的プログラムである。これらは、単独のスキームとして、またはデジタル写真が任意の網膜異常の検出および/または診断に十分な明確さを欠くと考えられる場合に該デジタルプログラム(上記)の一部として存在する。
アイケアの専門家は、(1)漏出血管、(2)黄斑浮腫などの網膜腫脹、(3)網膜上における淡色の脂肪沈着(滲出物)―漏出血管の徴候、(4)神経組織の損傷(神経障害)、および(5)任意の血管変化など、疾患の初期徴候について網膜を検視することができる。黄斑浮腫を疑う場合、医師は、フルオレセイン血管造影と呼ばれる検査を実施することができる。この検査では、腕に特別の色素を注射する。次いで、色素が網膜内の血管を通過するときの写真を撮影する。この検査により、医師は、漏出血管および非灌流領域を見出すことができる。
糖尿病性網膜症のための治療は、レーザー手術、眼内へのトリアムシノロンの注射、および硝子体切除術を含む。レーザー光凝固術は、糖尿病性網膜症治療の2つの手法で用いることができる。汎網膜光凝固術、またはPRP(レーザー散乱治療とも呼ばれる)は、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)を治療するのに用いる。目標は、網膜の酸素要求、およびこれによる虚血の可能性を低下させることを期して、網膜内に1,000〜2,000カ所のバーンを作製することである。進行糖尿病性網膜症の治療では、バーンを用いて網膜内に形成される異常血管を破壊する。これは、重度の視力喪失の危険性を示す眼の危険性を50%低下させることが示されている。
レーザー術前に、眼科医は、瞳孔を拡張させ、麻酔点眼剤を適用して眼を麻痺させる。一部の症例において、医師はまた、眼の後面領域を麻痺させて不快感を防止することもできる。患者がレーザー器に対面して座る一方、医師は、特別のレンズを眼に当てる。医師は、単点レーザーを用いることもでき、四角形、円、および弧などの2次元パターンのためのパターン走査レーザーを用いることもできる。術中、患者は閃光を見る場合がある。これらの閃光は、最終的に、患者に刺すような不快感をもたらす場合がある。レーザー治療後、患者は、瞳孔が依然として拡張したままである数時間の間は、運転しないように告知するものとする。眼にそれほどの痛みはないはずであるが、その日中、若干の霧視が残ることがある。
アイケアの専門家は、光を単点に集めるのでなく、レーザー散乱治療または汎網膜光凝固術と呼ばれる手術により、網膜中心から離れて、数百の小さなレーザーバーンを作製することができる。該治療により、異常血管は委縮する。この手術後、患者はその周辺視野の一部を喪失する場合があるが、該手術により、患者の残りの視野は確保される。レーザー手術はまた、色覚および夜間視力も若干低下させる場合がある。
増殖性網膜症を有する患者は、常に、新規の出血の他、緑内障、新血管に由来する合併症に対する危険性を示す。これは、視力を保護するには、複数種の治療が必要であることを意味する。
トリアムシノロンは、長時間作用型のステロイド製剤である。硝子体腔に注射すると、結果として、糖尿病黄斑症により引き起こされる黄斑浮腫(黄斑における網膜の肥厚)の軽減と共に、視力の増大がもたらされる。トリアムシノロンの効果は、3カ月間まで持続する一過性のものであり、有益な効果を維持するには注射の反復が必要である。トリアムシノロンの硝子体内注射の合併症は、白内障、ステロイドにより誘導される緑内障、および眼内炎を含む。
視力を回復するために、レーザー手術の代わりに、硝子体切除術と呼ばれる眼手術を必要とする患者もいる。硝子体切除術は、硝子体内に大量の血液が存在する場合に実施される。それは、曇った硝子体を除去することと、それを平衡塩溶液で置換することとを伴う。硝子体は大半が水であるため、平衡塩溶液が硝子体に置換されても、視力には変化がないとされる。
研究により、大量の出血後すぐに硝子体切除術を受ける患者は、手術を受けるまで待機する患者よりもその視力を保護する可能性が高いことが示されている。早期の硝子体切除術は、眼内への出血に由来する失明のより高い危険性を示す場合がある、インスリン依存性糖尿病を有する患者においてとりわけ有効である。
3.未熟児網膜症
また、対象における未熟児網膜症(ROP)を治療または予防する方法であって、前記ROPを有するかまたはこれを有する危険性を示す対象を同定することと、対象の網膜に本明細書で開示されるポリペプチドを投与することとを含む方法も提供される。
かつては水晶体後線維増殖症(RLF)としても知られた未熟児網膜症(ROP)は、未熟児が罹患する眼疾患である。それは、結果として瘢痕および網膜剥離をもたらし得る網膜血管の異常増殖により引き起こされると考えられる。ROPは、軽度であることもあり、自然寛解の可能性もあるが、重症症例では失明がもたらされることもある。したがって、すべての未熟児は、ROPの危険性を示し、超低出生体重がさらなる危険因子である。酸素中毒および関連する低酸素症共に、ROP発症の一因となりうる。
通常、網膜の成熟は子宮内で進行し、満期分娩時において、成熟乳児は、完全な有血管網膜を有する。しかし、未熟児における網膜は、血管形成が不完全であることが多い。網膜血管系の発達が停止し、次いで、異常に進行した場合にROPが生じる。重要な疾患エレメントは、線維血管性増殖である。これは、退縮することもあるが進行することが多い異常な新血管の増殖である。縮合して網膜剥離を引き起こし得る線維性組織(瘢痕組織)が、これら新血管の増殖と関連する。全般的な健康、出生体重、初回診断時におけるROP病期、および「加算(plus)疾患」の存在または不在を含む多数の因子により、疾患が進行するかどうかが決定されうる。補充酸素曝露は、危険因子ではあるが、この疾患の発症の主要な危険因子ではない。補充酸素の使用を制限しても、必ずしもROPの比率は低下せず、他の低酸素症に関連する全身合併症の危険性が増大することがある。
ROP患者は、後年における斜視、緑内障、白内障、および近視に対するより高い危険性を示すので、毎年検診を行い、これらの状態の予防および治療の一助とするべきである。
点眼剤を用いての瞳孔拡張の後、特別の光学装置(倒像検眼鏡)を用いて網膜を検査する。強膜押圧を用いて網膜の周辺部分を押し込み、これが見えるようにする。未熟児の網膜検査は、網膜の血管がどのくらいの距離まで増殖しているか(帯域)、および血管が眼球壁面に均一に増殖しているかどうか(病期)を判定するために実施する。網膜血管形成は、血管が鋸状縁まで広がる場合に完全であると判断される。ROPの病期とは、増殖する網膜血管の前縁部の特性(有血管−無血管境界部における)を指す。ROP疾患の病期は、未熟児網膜症国際分類(ICROP)によって定義されている。
強膜押圧による網膜検査は、一般に、30〜32週間の妊娠期間以前に生まれるか、出生体重が1500グラム以下であるか、または治療する新生児専門医の裁量による患者に推奨される。初回検査は、通常、出生の4〜6週間後に実施され、次いで、血管形成が完全となるまで(または疾患の進行により治療が必要とされるまで)1〜3週間ごとに繰り返される。
年長の患者では、疾患の出現がそれほど十分に説明されていないが、ICROP病期の後遺症の他、続発的な網膜反応を含む。
鑑別診断の最も困難な側面は、他の2つの疾患:これもまた満期出産の乳児における網膜血管形成を途絶させる遺伝性疾患である家族性滲出性硝子体網膜症と、第一次硝子体過形成遺残としても知られ、鑑別が困難であるが典型的に片眼性である牽引性網膜剥離を引き起こし得る胎児循環遺残症候群とから生じうる。いくつかの態様では、開示される方法を用いて、家族性滲出性硝子体網膜症を治療することができる。いくつかの態様では、開示される方法を用いて、胎児循環遺残症候群を治療することができる。
ICROPでは、疾患を説明するのに多数のパラメータが用いられている。それらは、帯域(1、2、および3)への疾患の位置づけ、時計の時刻(1〜12時)に基づく疾患の周方向の広がり、疾患の重症度(病期1〜5)、および「加算疾患」の存在または不在である。分類の各側面は、技術的な定義を有する。
帯域は、視神経を中心とする。帯域1は、視神経から延びて黄斑までの距離の2倍に及ぶ半径を有する円により定義される、網膜の後面領域である。帯域2は、内側縁が帯域1により定義され、外側縁が視神経から鼻側鋸状縁までの距離として定義される半径により定義される環帯である。帯域3は、残余の側頭側網膜の半月部分である。
疾患の周方向の広がりは、眼の上部が時計文字盤の12時に当たると仮定した場合のセグメントで記載される。例えば、4時から7時の3時間の範囲に病期1の疾患があると報告し得る。
病期では、有血管網膜と無血管網膜との間の接合部分における検眼鏡所見が記載される。病期1は、かすかな分界線である。病期2は、高い隆線である。病期3は、網膜外の線維血管組織である。病期4は、亜全網膜剥離である。病期5は、完全網膜剥離である。
加えて、任意の病期に「加算疾患」が存在し得る。これにより、網膜後面血管において観察される著明な血管の拡張および屈曲のレベルが記載される。これは、網膜全体における血流の増大を反映する。
病期1および2により失明がもたらされることはない。しかし、これらは、より重度の病期へと進行することがある。臨界(threshold)疾患とは、網膜剥離へと進行する50%の可能性を有する疾患として定義される。臨界疾患は、病期3のROPが帯域Iまたは帯域IIに存在し、時計文字盤で少なくとも連続5時間またはのべ8時間の範囲の疾患と、加算疾患の存在とを伴う。病期4(部分網膜剥離)または病期5(完全網膜剥離)への進行の結果、乳児の実質的であるかまたは全面的な視力喪失がもたらされる。
時宜を得た介入を可能とするために、ROPを発症する危険性を示す乳児のためのモニタリングシステムが企図されている。高い危険性の定義が統一的でないかまたは完全には定義されていないため、これらのモニタリングプロトコールは、地域によって異なる。米国では、臨床試験により導出され、Pediatrics 2006で公表されたデータにより、専門家の合意見解が周知されている。彼らは、大半の症例において、出生体重が1500グラム未満であるかまたは妊娠期間が28週間未満である乳児を組み入れた。
周辺部網膜の除去が、ROP治療の根幹である。固体レーザー光凝固装置は、手術室または新生児ICUへと容易に携帯可能であるため、これらにより無血管網膜の破壊が実施される。それにより所望の領域を凍結させるプローブを用いて局所的な網膜破壊が行われた初期の技法である凍結療法もまた、多施設臨床試験において、ROPの予防および治療に有効なモダリティーとして評価されてきた。しかし、凍結療法は、炎症および眼瞼腫脹の副作用のため、未熟児における日常的な無血管網膜の除去にはもはや好ましくない。
網膜剥離へと進行する眼の重度のROP(病期4および5)には、強膜座屈および/または硝子体切除術を考慮することができる。それに伴う手術の危険性および一般的な転帰不良のため、この手術を専門的に行う施設は世界でも少ない。
未熟児の侵襲性後面網膜症では、ベバシズマブ(アバスチン)の硝子体内注射が対症療法として報告されている。
4.血管透過性
「血管透過性」とは、小分子(イオン、水、栄養物)または全細胞(炎症部位への途上におけるリンパ球)さえもが血管壁を通過する能力を指す。血管壁は、単層の内皮細胞により裏打ちされている。内皮細胞間のギャップ(細胞間結合)は、組織の種類および生理学的状態に応じて厳密に調節されている。
望ましくない血管透過性を特徴とする疾患および障害は、例えば、脳腫瘍と関連する浮腫、悪性腫瘍と関連する腹水、メイグ症候群、肺炎症、ネフローゼ症候群、心膜滲出、および胸膜滲出を含む。したがって、血管透過性または浮腫の増大と関連するこれらまたは他の任意の疾患を治療または予防する方法が提供される。例えば、浮腫形成の阻害は、炎症、アレルギー疾患、癌、脳卒中、心筋梗塞、心肺不全、腎不全、外傷、および網膜炎などの状況における患者の全般的な転帰に対して有益であるとされる。さらに、浮腫は組織低酸素症の全般的な帰結であるため、血管漏出の阻害はまた、組織低酸素症治療の潜在的手法を代表すると結論することもできる。例えば、病態(血栓の形成など)または医療的介入(心筋保護、臓器移植、および血管形成術)による血流の遮断に対して、血管漏出阻害剤を用いる短期治療および予防処置を行いうる。
また、脳卒中および心筋梗塞後の虚血/再灌流傷害を治療または予防する方法も提供される。組織灌流の欠如により、血管透過性の増大の結果として発症する虚血後遷延性血管原性浮腫がもたらされる。組織灌流は、動脈の開存および動脈内への血流により、所与の組織に酸素化された血液を到達させる手段である。遮断により組織血管形成が途絶する場合もあり、あるいは、該途絶が罹患部位上流における血管漏出または出血に由来する血流の喪失から生じる場合もある。急性心筋梗塞、脳卒中、血行再建術、および組織血管形成が途絶した他の状態時における組織灌流の欠如は、患者の状態の転帰において重要な因子である。浮腫は、特に心臓における血管虚脱および電気的機能の障害を含む各種の損傷を引き起こし得る。しかし、その後の再灌流もまた、患者によっては同様の損傷を引き起こし、治療の矛盾をもたらす場合がある。閉塞した血管の遮断を解除すること、または損傷した血管を修復もしくは置換することが必要である一方、症例によっては、後続の再灌流によりさらなる損傷がもたらされることがある。さらに、バイパス術時においては、心臓が鼓動することを停止させ、患者に人工心臓を接続することも必要である。例えば、バイパス術を受ける一部の患者は、手術時の心機能停止時における虚血の結果であり得る状態の増悪(「ポンプ後症候群」)を実際に経験することがある。動脈の遮断により、血流の低下が引き起こされうるが、遮断が除去され動脈が開存した後においても、組織再灌流が生じない場合は、さらなる組織損傷が結果として生じうる。例えば、凝結塊の破砕により、灌流の獲得ではなく、組織灌流の喪失をもたらす一連の事象が誘発されることがある。
5.血管新生
血管新生および血管新生関連疾患は、細胞増殖により深く影響される。本明細書で用いられる「血管新生」という用語は、組織または臓器内への新血管の発生を意味する。正常な生理学的状態下において、ヒトまたは動物が血管新生を経験するのは、極めて特殊な限定された状況に限られる。例えば、血管新生は通常、創傷の治癒、黄体、子宮内膜、および胎盤の胎児性および胚性の発達および形成において観察される。本明細書において、「内皮」という用語は、漿膜腔、リンパ管、および血管を裏打ちする薄層の扁平細胞として定義される。これらの細胞が「内皮細胞」と定義される。「内皮阻害活性」という用語は、分子が血管新生を阻害する能力一般を意味する。内皮細胞増殖の阻害はまた、結果として血管新生の阻害ももたらす。
コントロールされた血管新生およびコントロールされない血管新生共に、同様の形で進行すると考えられる。基底膜に取り囲まれた内皮細胞および周皮細胞が毛細血管を形成する。血管新生は、内皮細胞および白血球により放出される酵素による基底膜の浸食と共に始まる。次いで、血管内腔を裏打ちする内皮細胞が基底膜を貫通して突出する。血管新生刺激物質により誘導されて、内皮細胞は、浸食された基底膜を貫通して遊走する。遊走細胞は、親血管から派生する「萌芽」を形成し、そこで、内皮細胞は***および増殖を経る。内皮萌芽は、互いに融合して毛細血管のループを形成し、新血管を創出する。
新血管はまた、部分的に、血管発生によっても形成される場合がある。血管発生は、内皮細胞の供給源により血管新生と区別される。血管発生は、血管芽細胞として知られる内皮前駆細胞の動員を伴う。これらの血管芽細胞は、循環に由来する場合もあり、組織に由来する場合もある。血管発生は、血管新生と同様のシグナル伝達経路により調節される。したがって、「血管新生」という用語は、血管新生を調節する方法により血管発生もまた調節し得るよう、本明細書では血管発生と互換的に用いられる。
本明細書では、組織における血管新生を調節する方法であって、本明細書で開示されるポリペプチドを含む組成物を組織の内皮細胞に送達することを含む方法が提供される。また、組織における血管新生を調節する方法であって、本明細書で開示される核酸を含む組成物を組織の内皮細胞に送達することを含む方法も提供される。また、組織における血管新生を調節する方法であって、内皮細胞に形質導入する、本明細書で開示されるベクターを含む組成物を組織に投与することを含む方法も提供される。開示される方法のいくつかの態様では、血管新生を促進して、血管形成を増大させる。開示される方法のいくつかの態様では、血管新生を阻害して、組織の血管形成を減少させる。
例えば、多種の疾患状態、腫瘍転移、および内皮細胞による異常な増殖では、遷延性の調節されない血管新生が生じ、これらの状態においてみられる病理学的損傷を助長する。調節されない血管新生が存在する様々な病理学的疾患状態が、血管新生依存疾患、血管新生関連疾患、または血管新生類縁疾患として一括して群別されている。これらの疾患は、異常であるかまたは望ましくない細胞増殖、特に内皮細胞増殖の結果である。
したがって、本明細書で説明される方法および組成物は、血管腫、充実性腫瘍、白血病、中心網膜静脈閉塞、枝静脈閉塞、頸動脈不全に続発する網膜新生血管形成、鎌状赤血球網膜症状態、放射線照射後網膜炎、毛細血管拡張症、乾癬、強皮症、化膿性肉芽腫、心筋血管新生、プラーク内新生血管形成、冠動脈側枝、虚血性四肢血管新生、角膜疾患、ルベオーシス、新生血管緑内障、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、関節炎、糖尿病性新生血管形成、黄斑変性、創傷治癒、消化性潰瘍、骨折、ケロイド、血管発生、造血、***、月経、および胎盤形成を含むがこれらに限定されない異常であるかまたは望ましくない内皮細胞増殖を介するヒトおよび動物の疾患および過程を治療するのに有用である。該方法および組成物は、血管新生を阻害することにより血管新生類縁障害および疾患を治療するのに特に有用である。開示されるペプチドの他の使用は、これらの方法の教示について参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許公開WO/2006/069181において開示されている。
6.投与
開示される化合物および組成物は、任意の適切な方式で投与することができる。投与方式は、例えば、局所治療または全身治療のいずれが望ましいのか、また、治療される領域に基づいて選択される。例えば、組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、標的となる特定の組織、臓器、および身体部分への注射、静脈内注射、眼内注射、腫瘍内注射、関節内注射、心内注射、腹腔内注射、または筋肉内注射)、吸入投与、体外投与、局所投与(経皮投与、眼内投与、膣内投与、直腸内投与、鼻腔内投与を含む)などにより投与することができる。
投与経路および用量レジメンは、治療される状態の正確な性質、状態の重症度、ならびに患者の年齢および全般的な身体状態などの因子に基づいて、当業者により決定される。眼への特別の投与経路は、局所適用(眼瞼下に配置される点眼剤、クリーム、または可腐食製剤などによる)、房水もしくは硝子体液中への眼内注射、結膜下注射もしくはテノン嚢下注射などによる眼外層への注射、非経口投与、または経口経路を含み得る。例えば、本明細書で開示される1種または複数種の組成物を含む点眼剤が提供される。
本明細書で開示されるペプチドを含む組成物は、病態部位へとペプチドを標的化し得る標的化タンパク質、化合物、ナノテクノロジー機器、または細胞と組み合わせることができる。例えば、本明細書で開示される1種または複数種のペプチドに連結された抗体であって、病態部位における組織へと選択的に誘導されこれに結合する抗体が提供される。また、本明細書で開示される1種または複数種のペプチドに連結されたアプタマーであって、病態部位における組織へと選択的に誘導されこれに結合するアプタマーも提供される。また、本明細書で開示される1種または複数種のペプチドに連結された細胞であって、病態部位における組織へと選択的に誘導されこれに結合する細胞も提供される。
投与は、さらに眼内インプラントによることも可能である。例えば、インプラントにより、通常用量のACTペプチドを前房、後房、網膜、黄斑、網膜色素上皮、脈絡膜、ブルッフ膜、硝子体、角膜、または水晶体に送達することができる。したがって、本明細書では、対象の眼内に眼内インプラントを導入することを含む方法であって、眼内インプラントにより、本明細書で開示される1種または複数種のペプチドが前房、後房、網膜、黄斑、網膜色素上皮、脈絡膜、ブルッフ膜、硝子体、角膜、または水晶体へと放出される方法が提供される。
局所的に用いられる眼科用製品は、複数回投与形態に包装することができる。したがって、使用時における微生物汚染を防止するための防腐剤が必要とされる。適切な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、ポリカテミウム−1、または当業者に知られる他の作用物質を含む。このような防腐剤は、典型的に、0.001〜1.0%重量/容量(「%w/v」)のレベルで用いられる。このような調製物は、使用説明書と共に、眼への安全な投与に適する滴下用ボトルまたはチューブ内に包装することができる。
本明細書で開示される眼科用組成物を球後注射または眼周囲注射および眼内灌流または眼内注射などによる眼内手術時に投与する場合、媒体としての平衡塩類灌流液の使用が最も好ましい。BSS滅菌灌流液およびBSS Plus.RTM.滅菌眼内灌流液(米国、テキサス州、フォートワース、Alcon Laboratories社製)が、生理学的な平衡眼内灌流液の例である。後者の種類の溶液は、その全内容が本明細書による参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,550,022号(Garabedian, et al.)で説明されている。球後注射および眼周囲注射は当業者に知られており、例えば、Ophthalmic Surgery:Principles of Practice,Ed.、G.L.Spaeth、W.B.Sanders Co.、Philadelphia、Pa.、U.S.A.、(1990)を含む多数の刊行物で説明されている。
眼科用組成物はまた、眼科手術後における硝子体内注射または結膜下注射などによる、眼科手術への補助療法としても用いることができる。化合物は、一時的な状態に対する短期治療に用いることもでき、とりわけ変性疾患の場合は長期投与も可能である。眼科用組成物はまた、とりわけ、眼手術もしくは非侵襲的な眼科処置または他の種類の手術前において予防的に用いることもできる。
本明細書で開示されるペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物(本明細書では「眼科用組成物」とも称する)は、例えば、黄斑変性の治療および/または予防のために、該医薬組成物の使用説明書と共に包装することができる。成分は、キットの形態で一括して包装することができる。
本明細書で用いられる「局所鼻腔内投与」とは、鼻孔の一方または両方を介する鼻内および鼻腔内への組成物の送達を意味し、噴霧機構もしくは滴下機構、または核酸もしくはベクターのエアゾール化による送達を含み得る。吸入物質による組成物の投与は、噴霧または滴下機構による送達を介し、鼻または口を介し得る。送達はまた、挿管により、呼吸器系(例えば、肺)の任意の領域へと直接に行うことができる。
組成物の非経口投与は、これが用いられる場合、一般に、注射を特徴とする。注射剤は、溶液もしくは懸濁液、注射前における液体中での懸濁液の溶解に適する固体形態、または乳剤として、従来の形態で調製することができる。より近年において改善された非経口投与のための手法は、一定の用量を維持するための徐放システムまたは持続放出システムの使用を伴う。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,610,795号を参照されたい。
必要な組成物の正確な量は、対象の動物種、年齢、体重、および全般的な状態、黄斑変性の重症度、用いられる具体的な核酸またはベクター、その投与方式などに応じて対象によって異なる。したがって、あらゆる組成物について正確な量を特定することは不可能である。しかし、本明細書の教示を踏まえるなら、当業者は、日常的な実験のみを用いて適量を決定することができる。したがって、組成物の投与に効果的な用量およびスケジュールは経験的に決定することができ、このような決定を行うことは、当技術分野内にある。組成物投与のための用量範囲は、障害の症状に作用する所望の効果をもたらすのに十分な高用量である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほどの高用量ではないものとする。一般に、用量は、患者における年齢、状態、性別、疾患の程度、投与経路、またはレジメンに他の薬剤が含まれているかどうかによって変化することがあり、当業者による決定が可能である。任意の禁忌事象の場合、個々の医師による用量の調整が可能である。用量は変化することがあり、1日間または数日間にわたって、毎日1回または複数回の投与において投与することがある。所与のクラスの医薬品に適切な用量については、文献中に指針を見出すことができる。
いくつかの組成物は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル酸などの有機酸との反応によるか、または水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、ならびにモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、およびアリールアミンおよび置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応により形成される、薬学的に許容される酸添加塩または塩基添加塩として投与することが潜在的に可能である。
組成物の投与に効果的な用量およびスケジュールは経験的に決定することができ、このような決定を行うことは、当技術分野内にある。組成物投与のための用量範囲は、障害の症状に作用する所望の効果をもたらすのに十分な高用量である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほどの高用量ではないものとする。一般に、用量は、患者における年齢、状態、性別、疾患の程度、投与経路、またはレジメンに他の薬剤が含まれているかどうかによって変化し、当業者による決定が可能である。任意の禁忌事象の場合、個々の医師による用量の調整が可能である。用量は変化することがあり、1日間または数日間にわたって、毎日1回または複数回の投与において投与することがある。所与のクラスの医薬品に適切な用量については、文献中に指針を見出すことができる。用量範囲は、本明細書における組成物の適用、状態の重症度、および投与経路に大きく依存する。
例えば、研究のための実験ツールとしての適用において、ACTペプチド組成物は、0.01%w/vまでの低用量で用いることができる。用量は、0.02%w/vまでの低用量および5%w/vまでの高用量が可能である。適用では、著明に高濃度の組成物を単独で用いることもでき、他の化合物と組み合わせて用いることもできる。非経口経路による投与、例えば、筋肉内投与、脳内投与、心内投与、および髄腔内投与のために推奨される用量の上限は、1%w/vまたはv/vまでであり得る。この上限用量は、例えば、(1種または複数種の)ポリペプチドが、その作用を促進するかまたは該(1種または複数種の)ポリペプチドと協同作用する他の作用物質と組み合わされる方法に応じ、製剤ごとに異なりうる。
例えば、静脈内点滴との組合せにおける、提供されるポリペプチドの連続的送達の場合、状態の改善に基づき医師により経時的に決定される0.01g/体重Kgの上限を用いることができる。別の例において、局所送達される、提供される核酸の濃度上限は、5〜10μg/cmである。これは、改善に基づき医師により決定される頻度で繰り返される。別の例において、体内送達、例えば、筋肉内送達、脳内送達、心内送達、および髄腔内投与される、提供される核酸の濃度上限は、50〜100μg/溶液mlである。ここでもまた、頻度は、改善に基づき医師により決定される。
ウイルスベクターは、臨床的適用において無視できない潜在的可能性を示すにもかかわらず、高度に実験的なツールであるにとどまっている。したがって、ウイルスベクターについて予測される用量レジメンの計算には注意が払われて当然であり、これは、用いられるベクターの種類に大きく依存する。例えば、レトロウイルスベクターは、癌細胞などの***細胞に効果的に感染し、宿主ゲノム内に挿入され、コードされるタンパク質の発現を無限に継続させる。動物モデル環境におけるレトロウイルスの典型的な用量は、ml当たり10〜10感染単位の範囲である。これに対し、アデノウイルスは、***終了細胞を標的とするのに最も効果的であるが、感染細胞が増殖を再開し、これに続いてウイルスのエピソームDNAが希釈される場合、宿主免疫系により細胞が迅速に除去されるかまたはウイルスが最終的に失われる。実際、感染のこの一過性の時間経過は、一部の臨床的状況における本明細書で説明される組成物の短時間での送達に有用であり得る。動物モデルにおいて、アデノウイルスml当たり10〜1011感染単位の濃度が、研究での使用に典型的である。動物モデルに由来するデータに基づくベクターの用量範囲は、最終的に(1種または複数種の)臨床状況において用いられることを意図し、このために薬学的に許容される(1種または複数種の)製剤の開発が保留されている。
ポリペプチドなどの開示される組成物の投与後において、治療用組成物の有効性は、当業者によく知られる様々な方法で評価することができる。例えば、当業者は、本明細書で開示されるポリペプチドなどの組成物が、対象における黄斑変性の治療または予防において有効であることを、該組成物により血管新生を軽減することもでき、視力を改善することもできることを観察することで理解するであろう。これらの基準を測定する方法は当技術分野で知られており、本明細書において論じられる。
C.組成物の作製方法
本明細書で開示される組成物および開示される方法を実施するのに必要な組成物は、別段に特記しない限り、その特定の試薬または化合物について当業者に知られる任意の方法を用いて作製することができる。
例えば、提供される核酸は、標準的な化学合成法を用いて作製することもでき、酵素的方法または他の任意の既知の方法を用いて作製することもできる。このような方法は、標準的な酵素的消化の後におけるヌクレオチド断片の単離(例えば、Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989)Chapters 5、6を参照されたい)から、例えば、Milligen社製のDNA合成器またはBeckman社製のSystem 1Plus DNA合成器(例えば、マサチューセッツ州、バーリントン、Milligen-Biosearch社製の8700型自動合成器、またはABI社製の380B型)を用いるシアノエチルホスホルアミダイト法による純粋の合成法までの範囲に及びうる。オリゴヌクレオチドを作製するのに有用な合成法はまた、Ikuta et al.、Ann.Rev.Biochem.53:323−356(1984)(ホスホトリエステル法およびホスファイト−トリエステル法)、およびNarang et al.、Methods Enzymol.、65:610−620(1980)(ホスホトリエステル法)によっても説明されている。タンパク質核酸分子は、Nielsen et al.、Bioconjug.Chem.5:3−7(1994)によって説明される方法などの既知の方法を用いて作製することができる。
配列番号2などの開示されるポリペプチドを作製する1つの方法は、タンパク質化学反応法により2つ以上のペプチドまたはポリペプチドを共に連結する方法である。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)化学反応またはBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学反応を用いる市販の実験設備(カリフォルニア州、フォスターシティー、Applied Biosystems社製)を用いて化学合成することができる。当業者は、例えば、開示されるタンパク質に対応するペプチドまたはポリペプチドを、標準的な化学反応により合成し得ることを容易に理解することができる。例えば、あるペプチドまたはポリペプチドは合成することができてもその合成用樹脂から切断することができないのに対し、他のペプチドまたはタンパク質断片は、合成し、その後に該樹脂から切断することができ、これにより他の断片上において機能的に遮断されている末端基を露出させることができる。ペプチド縮合反応により、これらの2つの断片を、それぞれのカルボキシル末端およびアミノ末端におけるペプチド結合により共有結合させ、タンパク質またはその断片を形成することができる(Grant GA(1992)Synthetic Peptides: A User Guide. W.H. Freeman and Co.、N.Y.(1992)、Bodansky M and Trost B., Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis. Springer-Verlag inc.、NY(少なくとも、ペプチド合成に関する材料について、参照により本明細書に組み込まれる))。代替的に、ペプチドまたはポリペプチドは、本明細書で説明される通り、in vivoで独立に合成される。単離されると、これら独立のペプチドまたはポリペプチドは連結され、同様のペプチド縮合反応によりペプチドまたはその断片を形成する。
例えば、クローニングされたペプチドセグメントまたは合成ペプチドセグメントの酵素的ライゲーションにより、比較的短いペプチド断片を結合させて、より大型のペプチド断片、ポリペプチド、または全タンパク質ドメインを作製することが可能となる(Abrahmsen L et al.、Biochemistry、30:4151(1991))。代替的に、合成ペプチドの天然化学的ライゲーションを用いて、より短いペプチド断片から大型のペプチドまたはポリペプチドを合成的に構築することもできる。この方法は、2工程の化学反応からなる(Dawson et al. Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation. Science、266:776-779(1994))。第1工程は、非保護合成ペプチド−チオエステルのアミノ末端のCys残基を含有する別の非保護ペプチドセグメントとの化学選択反応により、初期共有結合産物としてのチオエステルが連結された中間体が得られる。反応条件における変化がなければ、この中間体は、自発的で迅速な分子内反応を経て、ライゲーション部位において天然のペプチド結合を形成する(Baggiolini M et al.(1992)FEBS Lett. 307:97-101、Clark-Lewis I et al.、J.Biol.Chem.、269:16075(1994)、Clark-Lewis l et al.、Biochemistry、30:3128(1991)、Rajarathnam K et al.、Biochemistry 33:6623-30(1994))。
代替的に、化学的ライゲーションの結果としてペプチドセグメント間に形成される結合が非天然(非ペプチド)結合である場合、非保護ペプチドセグメントは、化学的に連結される(Schnolzer, M et al. Science、256:221(1992))。この技法を用いて、タンパク質ドメイン類似体の他、完全な生物学的活性を有する大量の比較的純粋なタンパク質が合成されている(deLisle Milton RC et al.、Techniques in Protein Chemistry IV. Academic Press、New York、pp. 257-267(1992))。
組成物を作製する工程の他、組成物をもたらす中間体を作製する工程も開示される。合成化学法および標準的な分子生物学的方法など、これらの組成物を作製するのに用いうる各種の方法が存在する。これらおよび他の開示される組成物を作製する方法が具体的に開示されることが理解される。本明細書で開示されるポリペプチドをコードする核酸と、該核酸の発現を制御する配列とを作動的な形で連結することを含むプロセスにより作製される核酸分子が開示される。本明細書で開示される任意の核酸により細胞を形質転換するプロセスにより作製される細胞が開示される。本明細書で開示される任意の核酸を発現するプロセスにより作製される、任意の開示されるペプチドが開示される。動物内の細胞に本明細書で開示される任意の核酸分子をトランスフェクトするプロセスにより作製される動物が開示される。哺乳類である動物内の細胞に本明細書で開示される任意の核酸分子をトランスフェクトするプロセスにより作製される動物が開示される。また、哺乳類がマウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、または霊長類である動物内の細胞に本明細書で開示される任意の核酸分子をトランスフェクトするプロセスにより作製される動物も開示される。また、動物に本明細書で開示される任意の細胞を付加するプロセスにより作製される動物も開示される。
D.定義
別段に定義しない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、開示される方法および組成物が帰属する当技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本方法および組成物の実施または試験においては、本明細書で説明される方法および材料と同様または同等の任意の方法および材料を用いることができるが、特に有用な方法、機器、および材料は、説明される通りである。本明細書で引用される刊行物およびそれについてそれらが引用される材料は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書における一切の記載を、先願発明のために、本発明が、このような開示に先行する権利を有さないことの承認として理解すべきではない。参照が先行技術を構成するという承認がなされるわけではない。参考文献の議論は、それらの著者が主張する内容を述べるものであり、出願者は、引用される文献の正確性および適切性に異議を唱える権利を留保する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈により明確に別段の指示がなされない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「ペプチド(a peptide)」への言及は、複数種のこのようなペプチドを含み、「ペプチド(the peptide)」への言及は、当業者に知られる1種または複数種のペプチドおよびこれらの同等物などへの言及である。
「治療上有効な」という用語は、用いられる組成物の量が、疾患または障害の1種または複数種の原因または症状を改善するのに十分な量であることを意味する。このような改善は、軽減または改変を必要とするにすぎず、必ずしも除去を必要としない。「担体」という用語は、化合物または組成物と組み合わせると、その使用目的または目的について、化合物または組成物の調製、保管、投与、送達、有効性、選択性、または他の任意の特徴が補助または促進される化合物、組成物、物質、または構造を意味する。例えば、担体は、有効成分の任意の分解を最小化し、対象における任意の有害な副作用を最小化するように選択することができる。
「治療する」または「治療」とは、疾患または状態の影響を軽減する方法を意味する。治療はまた、単に症状だけでなく、疾患または状態自体の基礎原因を軽減する方法も指す場合がある。治療は、天然レベルからの任意の軽減でありえ、疾患、状態、または疾患もしくは状態の症状に対する完全な除去であり得るがこれらに限定されない。例えば、黄斑変性を治療する、開示される方法は、該疾患を有する対象における該疾患の1種または複数種の症状が、同じ対象における天然レベルまたは対照の対象と比較して10%の軽減がなされる場合に、治療と考えられる。したがって、軽減は、天然または対照のレベルと比較して10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%またはその間の任意の量の軽減であり得る。
「防止する」または防止するの他の変化形は、特定の特性または状態が発現または進行することを停止させることを意味する。防止するとは、例えば、軽減するまたは阻害するよりも絶対的であることが典型的であるので、対照との比較を必要としない。本明細書で用いられる通り、あることは軽減されうるが阻害または防止されえないのに対し、軽減されうることはまた、阻害または防止もされうる。軽減する、阻害する、または防止するが用いられる場合、特に別段の指示がない限り、他の2つの語の使用もまた明示的に開示される。したがって、透過性の阻害が開示される場合、透過性の軽減および防止もまた開示される。
本明細書で用いられる「対象」とは、動物、植物、細菌、ウイルス、寄生虫、および核酸を有する他の任意の生物または実体を含むがこれらに限定されない。対象は、脊椎動物、より具体的には哺乳類(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長類、ウシ、ネコ、モルモット、またはげっ歯類)、魚類、鳥類、または爬虫類もしくは両生類であり得る。対象は、非脊椎動物、より具体的には、節足動物(例えば、昆虫および甲殻類)であり得る。該用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、雄であれ雌であれ、成年対象および新生対象の他、胎児対象も対象とされることが意図される。患者とは、疾患または障害に罹患する対象を指す。「患者」という用語は、ヒト対象および脊椎動物対象を含む。
「任意選択の」または「任意選択により」とは、後続で説明される事象、状況、または物質が、生じるかまたは存在する場合もありそうでない場合もあり、また、該説明が、事象、状況、または物質が生じるかまたは存在する場合と、それが生じないかまたは存在しない場合とを含むことを意味する。
本明細書における範囲は、「約」1つの具体的な値から、および/または「約」別の具体的な値までの形式として表現される。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの具体的な値から、および/または他の具体的な値までを含む。同様に、「約」という先行表現を用いて値が概数として表現される場合、該具体的な値は別の実施形態を形成することが理解される。各範囲の端点は、他の端点との関連においても、また、他の端点とは独立であっても、いずれの場合においても重要であることがさらに理解される。本明細書では多数の値が開示されており、各値はまた、該値自体に加えて「約」その具体的な値としても開示されていることもまた理解される。例えば、値「10」が開示される場合は、「約10」もまた開示される。当業者によって適切に理解される通り、ある値が開示される場合は、該値「以下」、「該値以上」、および値の間の可能な範囲もまた開示されることもまた理解される。例えば、値「10」が開示される場合は、「10以下」の他、「10以上」もまた開示される。本出願全体において、データは、多数の異なるフォーマットで提供され、このデータは終点および始点、ならびにデータ点の任意の組合せに対する範囲を表すこともまた理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点15が開示される場合、10と15との間の他、10および15を超える、10および15以上、10および15未満、10および15以下、ならびに10および15に等しいも開示されると考えられることが理解される。2つの特定の単位間の各単位もまた開示されることもまた理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14もまた開示される。
本明細書の説明および主張の全体において、「〜を含む(comprise)」ならびに「〜を含む(comprising)」および「〜を含む(comprises)」など該語の変化形は、「〜を含むがこれらに限定されない」を意味し、例えば、他の添加剤、成分、整数、または工程を除外することを意図しない。
本出願の全体では、各種の刊行物が参照される。本出願が関連する最新技術をより完全に説明するために、これらの刊行物のその全体における開示が、本明細書による参照により本出願に組み込まれる。開示される参考文献はまた、参照が依拠する文章において論じられる、該参考文献中に包含される材料についても、個別かつ具体的に、参照により本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は、本明細書で主張される化合物、組成物、医薬品、機器、および/または方法がどのようにして作製され評価されるのかについての完全な開示および説明を当業者に提供するために記載され、純粋に例示的であることを意図するものであり、開示を限定することを意図するものではない。数値(例えば、量、温度など)に関しては正確を期するよう努力したが、誤差および偏差に理由があるものとする場合もある。別段に示さない限り、部分比は重量部分比であり、温度は℃または周囲温度であり、圧力は大気圧または大気圧近傍である。
(実施例1)
図1に示す通り、ARPE−19細胞中において、アルファコネキシンカルボキシ末端(ACT)ポリペプチドACT1により、VEGFに誘導されるTERの低下が防止される。単層ARPE19細胞(不死化ヒトRPE細胞)を用いる経上皮抵抗(TER)測定は、VEGFにより急速な低下がもたらされ、これがACTペプチドによる細胞の前処置により遮断されることが示された。したがって、理論に拘束されることは望まないが、ACTペプチドによる密着結合タンパク質の安定化により、密着結合分解の喪失およびこれによるRPE/ブルッフ膜への損傷を防止することができる。
ACT1ペプチドは、アミノ末端細胞内部移行配列を含有する。眼への適用に用いられる低刺激性洗浄剤を伴う、アンテナペディア配列であるBrij−78により、眼内液および眼内組織へのACT1の透過が支援される。いくつかの態様において、ACT1が眼内液および眼内組織に侵入する能力は、黄斑変性などの眼疾患の治療におけるACT1の作用方式である。
i.結果
マウスの眼の角膜に対する、0.05%のBrij−78を含有する溶液中におけるACT1ペプチドの適用の結果、適用の20および40分後において前房内液(すなわち、房水)中に検出可能なレベルのACT1がもたらされた(図2)。20および40分後の後眼房に由来する体液、すなわち、硝子体液中でもまた、ウェスタンブロット法により低レベルのACT1を検出することができた。
マウスの眼の角膜に対する、0.05%のBrij−78を含有する溶液中におけるACT1ペプチドの適用に続き、適用の数分間後に、眼の網膜色素上皮層内においてACT1が検出された。さらに、角膜への適用により、該ペプチドに曝露された眼の網膜色素上皮層中では免疫組織化学法によりACT1が検出されたが、対照の媒体溶液に対する曝露では検出されなかった。
ii.方法
サラジン/ケタミン0.2mLの腹腔内注射により、3匹のCD1マウスに麻酔をかけた。通常の生理食塩液と0.05%のBrij−78とを含有する1mMのACT1ペプチド10μLを両眼の角膜表面に静かに滴下し、20または40分間にわたり透過させた。対照マウスには、通常の生理食塩液中に0.05%のBrij−78を用いた。COチャンバー内でマウスを安楽死させ、20分後、40分後(対照マウスは20分後)に頸椎脱臼させた。眼を除去し、PBS中ですすいだ。前房をわずかに切開し、房水(約10μL)を試験管に移し、ドライアイス入りのエタノール浴中で瞬時凍結させた。全試料を2倍濃度の試料ローディングバッファー中で溶解させ、10〜20%のトリス−トリシンゲル上にロードした。PDVF膜にゲルを転写し、RBTシグマ抗CX43 CT抗体(1:10000)およびヤギ抗RBT AP二次抗体(1:15000)を用いて染色し、<10kDaにおいてACT1バンドを明らかにした。
Brij−78中における角膜に対するACT1の適用は、上述と同様であった。安楽死後、マウスの眼を除去し、PBS中で簡単に洗浄し、5%のパラホルムアルデヒド中に移し、一晩静置した。眼をパラフィン中に包埋させ、切片を作製し、シグマRbt抗Cx43抗体、ストレプトアビジン、およびヘキスト色素により染色し、4度で一晩静置した。本明細書で開示される通り、ACT1は、簡単な角膜曝露後の眼内液および眼内組織中において検出可能である。
F.配列
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Claims (7)

  1. 対象における黄斑変性を治療または予防するための医薬組成物であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5からなる群より選択されるアルファコネキシンアミノ酸配列からなる単離ポリペプチドを含む医薬組成物。
  2. 前記ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、請求項に記載の医薬組成物。
  3. 対象における黄斑変性を治療または予防するための医薬組成物であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる群より選択されるアルファコネキシンアミノ酸配列と、
    細胞内部移行配列と、
    からなる単離ポリペプチドを含む医薬組成物。
  4. 前記細胞内部移行配列が、アンテナペディア、TAT、HIV−Tat、ペネトラチン、Antp−3A(Antp変異体)、ブフォリンII、トランスポータン、MAP(両親媒性モデルペプチド)、K−FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep−1、SynB1、Pep−7、HN−1、BGSC(ビス−グアニジニウム−スペルミジン−コレステロール)、およびBGTC(ビス−グアニジニウム−トレン−コレステロール)からなる群から選択されるタンパク質のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の医薬組成物。
  5. 前記細胞内部移行配列がアンテナペディアであり、配列が配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項3又は4に記載の医薬組成物。
  6. 対象における黄斑変性を治療または予防するための医薬組成物であって、
    配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
    配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列
    からなる単離ペプチドを含む医薬組成物。
  7. 前記ポリペプチドが、配列番号9、または配列番号と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項に記載の医薬組成物。
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