JP5549265B2 - インクジェット捺染用前処理剤、およびインクジェット捺染方法 - Google Patents
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Description
インクジェット方式で印捺する場合、インク粘度が吐出性の問題により通常は10mPa・s以下程度と低いこと、あるいは布帛がインクを速やかに吸収して定着する機能が不十分であることから、印字後の滲みを防止する観点から布帛にはあらかじめ専用の前処理を施すのが一般的である。例えば、布帛に染着させる染料に対して実質的に非染着性である水溶性高分子、水溶性塩類または水不溶性無機微粒子を、前処理剤として布帛に特定量付着させることで、シャープで鮮明な印捺画像が得られるとされているインクジェット染色用布帛が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、セルロース系繊維構造物を、高温型反応染料インクを用いたインクジェットによる捺染法で、予めセルロース系繊維構造物をアルカリ性物質、尿素及び非イオン性又はアニオン性を有する水溶性高分子物質によって前処理することにより、濃色を鮮明に且つにじみなく染色することができるとされているインクジェット捺染方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
一方、布帛への印捺におけるにじみ防止を目的として、様々な方法、技術の開示がなされている。例えば、インク中の成分と、布帛上での前処理による別の成分との間の相互作用を利用し、にじみを防止する方法も開示されている(例えば、特許文献3、4参照。)。これらの方法は、布帛に特別の前処理が必要という工程の増加を伴うが、インクに新たな成分(例えば、ゲル化糊剤)などの添加が必要となり、インクの保存安定性を損なう点で課題がある。
また、インクの他に別の液体を用意し、両者間の相互作用を利用する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この方法では、布帛の前処理を必要とはしないが、十分なにじみ防止効果が得られないこと、及びインクの保存安定性を損なうという点で実用的ではない。
従って、発色性が高く、にじみが少ない印捺物が得られるインクジェット捺染方法の開発が求められている。
適用例6のインク組成物に用いる色材である顔料が自己分散型またはアクリル系樹脂により分散されていることを特徴とするインクジェット捺染方法。
さらに、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛に、本実施形態で規定する構成からなる前処理剤を用いることにより、上記効果がより発現できることを見出した。
本実施形態において、インクジェット捺染用前処理剤を用いて、インクジェット捺染方法により形成された印捺物は、インクジェット捺染用前処理剤(以下、単に前処理剤ともいう)を用いて布帛に前処理を施した後、印捺することが可能な繊維が含有されている布帛上に、色材を含むインクを用いてインクジェット方式でインクを塗布した後、少なくとも熱処理を施すことによって布帛への捺染が完了して得られる。
(インクジェット捺染用前処理剤)
前処理剤は、インクを該布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、多価金属イオンおよび高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該高分子微粒子がアクリル系ポリマーであり、該高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該高分子微粒子の酸価が50mgKOH/g以下であり、且つ該高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とする。
次にインクジェット捺染方法について説明する。
インクジェット捺染方法は、インクを該布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、多価金属イオンおよび高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該高分子微粒子がアクリル系ポリマーであり、該高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該高分子微粒子の酸価が50mgKOH/g以下であり、且つ該高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とする。
印捺物の製造方法において、熱処理工程での加熱温度が110℃未満では印捺物の定着性が向上しにくい。また、200℃を超えると布帛や顔料やポリマー等自体が劣化してしまう。加熱温度は、好ましくは120℃以上170℃以下である。また、加熱時間は1分以上を要する。好ましくは2分以上である。
次に、インクジェット捺染用前処理剤、これを用いたインクジェット捺染方法および印捺物に適したインクジェット用インク組成物について説明する。インクジェット捺染用インク組成物は、前記インクに用いる色材である顔料が自己分散型またはアクリル系樹脂により分散されていることを特徴とする。特にブラックインクの場合は、表面酸化したカーボンブラックを用いて自己分散型の顔料とすることで発色性が向上する。カラーインクの場合は、有機顔料をアクリル系樹脂で分散することによって発色性と安定性が向上する。ここで、アクリル系樹脂とはアクリレート、メタクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを主体とする樹脂であって、スチレンなど他のビニルモノマーを用いてもよい。
本実施形態に係る顔料分散体の平均粒径は光散乱法で測定する。顔料分散体の平均粒径が50nm未満では印刷物や印捺物の発色性が低下する。また、1μmを超えると定着性が低下する。ブラックおよびカラー顔料の場合は、より好ましくは70nm〜230nm、さらに好ましくは80nm〜130nmである。白顔料の場合は100nm〜600nmが好ましく、より好ましくは200nm〜500nmである。100nm未満では隠蔽性が低くなり、白色の発色性が低下する。1μmを超えると定着性が低下し、インクジェットヘッドからの吐出安定性が低下する。
上記分散に用いるポリマーは、また、ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを全モノマー質量の40%以上80%以下含んでいることが好ましい。ベンジル基を有するアクリル系モノマー及びメタクリル系モノマーの総量が40%未満では、布帛上での印捺物の発色性が低下し、80%を超えると分散安定性を得られにくくなる。なお、ベンジル基含有水分散性ポリマーは、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレート以外のモノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸と他のアクリレートおよび/またはメタクリレートであることが好ましい。
顔料の添加量は、0.5%〜30%が好ましく、1.0〜15%がより好ましい。0.5%以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、また30%以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
本実施形態に係る、インクジェット捺染用前処理剤を用いた、印捺方法による、印捺物は、高分子微粒子を含有されることが好ましい。以後この高分子微粒子を前処理剤の高分子微粒子と区別するために、「インクに含有される高分子微粒子」と表現する。このインクに含有される高分子微粒子は布帛へのインクの定着性を向上させるために用いる。また、このインクに含有される高分子微粒子のガラス転位温度は、−10℃以下であることが好ましい。これにより印捺物の顔料の定着性が向上する。−10℃を超えると顔料の定着性が徐々に低下してくる。好ましくは−15℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。
また、インクに含有される高分子微粒子の平均粒径は光散乱法で測定する。光散乱法によるインクに含有される高分子微粒子の粒径は50nm以上500nm以下が好ましく、60nm以上300nm以下がより好ましい。50nm未満では印捺物の定着性が低下し、500nmを超えると分散安定が不安定になる。また、顔料定着液をインクジェット印刷する場合は、インクジェットヘッドからの吐出が不安定になりやすい。
インクに含有される高分子微粒子が構成成分として含有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が1〜24のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数が3〜24の環状アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。その例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレートおよびベヘニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、上記アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートは、インクに含有される高分子微粒子全体に対して70%以上含有されてなることが好ましい。印捺物の乾摩擦および湿摩擦双方における摩擦堅牢性並びにドライクリーニング性がより向上する。
本実施形態に係るインクは、1,2−アルキレングリコールを含んでなることが好ましい。1,2−アルキレングリコールを用いることで、印刷物や印捺物のにじみが低減し、印刷品質が向上する。1,2−アルキレングリコールの例としては、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオールのように、炭素数5または6の1,2−アルキレングリコールが好ましい。中でも、炭素数6の1,2−ヘキサンジオールおよび4−メチル−1,2−ペンタンジオールが好ましい。また、1,2−アルキレングリコールの添加量は0.3%〜30%が好ましく、より好ましくは0.5%〜10%である。
本実施形態に係るインクは、グリコールエーテルを含んでなることが好ましい。これにより、印刷物や印捺物のにじみが低減する。グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。また、グリコールエーテルの添加量は、0.1%〜20%が好ましく、より好ましくは0.5%〜10%である。
本実施形態に係るインクは、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を含んでなることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることで、さらににじみが低減し、印刷品質が向上する。また、これらの添加により、印字の乾燥性が向上し、高速印刷が可能となる。
本実施形態においては、上記1,2−アルキレングリコールと、上記アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、上記グリコールエーテルとからなる群から選択される一種または二種以上を用いることでよりにじみが低減する。
本実施形態に係るインクは、その放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のため、あるいはインクの劣化防止のため等の目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を適宜添加することもできる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、花王株式会社製エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
高分子微粒子あるいは顔料の平均粒径としては、光散乱法を用いた市販の粒径測定機により求めることができる。具体的粒径測定装置としては、例えば大塚化学株式会社製ELSシリーズ、日機装株式会社製マイクロトラックシリーズやナノトラックシリーズ、マルバーン社製ゼーターサイザーシリーズ、等を挙げることができる。
本実施形態に係る印捺物は、上述した印捺物の製造方法により得られるものである。
(前処理剤1の調製)
(1)高分子微粒子1の製造
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート6部、ビニルスルホン酸6部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製した。これに水を加えて濃度調整を行なって、固形分濃度40%のエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。また、滴定法による酸価は21mgKOH/gであった。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ160nmであった。
EM−A(固形分40%) 25.0%
塩化カルシウム 10.5%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 1.2%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
トリエチレングリコール 0.5%
イオン交換水 残量
以上の各添加剤を順次混合し、攪拌した後、5μmフィルターでろ過して前処理剤1を調製した。
(1)ブラックインク用顔料分散液Bk1の製造
顔料分散液1はカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。特開平8−3498と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化して水に分散可能にし、イオン交換水で調整して顔料固形分濃度15%のブラックインク用顔料分散液Bk1とした。
シアンインク用分散液1はC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の顔料分散ポリマー溶液Aを作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記顔料分散ポリマー溶液Aを40部とC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その分散液を、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その顔料溶液を、3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%であるシアンインク用顔料分散液C1とした。
顔料分散液M1はC.I.ピグメントレッド122(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散液1と同様に作製した。
顔料分散液Y1はC.I.ピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散液1と同様に作製した。
顔料分散液W1はC.I.ピグメントホワイト6(ルチル型酸化チタン顔料ST410WB:チタン工業製)を用いて、分散剤としてビックケミージャパン製DISPERBYK−2015を顔料の質量の12%に調整して、顔料分散液1と同様に作製した。
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製した。これに水を加えて濃度調整を行なって、固形分濃度40%のエマルジョンA1(EM−A1)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。また、滴定法による酸価は20mgKOH/gであった。
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を示す。
分散液Bk1(顔料固形分15%) 32.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 3.0%
グリセリン 11.0%
トリエチレングリコール 1.5%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
分散液C1(顔料固形分15%) 24.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 4.0%
グリセリン 12.0%
トリエチレングリコール 2.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
イオン交換水 残量
分散液M1(顔料固形分15%) 32.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 3.5%
グリセリン 11.0%
トリエチレングリコール 2.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
分散液Y1(顔料固形分15%) 32.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 3.5%
グリセリン 11.0%
トリエチレングリコール 2.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
分散液W1(顔料固形分15%) 50.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 1.5%
グリセリン 8.0%
トリエチレングリコール 1.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
布帛として綿を用い、前処理剤1を用いて、PX−A650を用いたインクジェット法により塗布した後、上記インクジェット用ブラックインク1、シアンインク1、マゼンタインク1、イエローインク1およびホワイトインク1を用いてPX−A650を用いたインクジェット法により印捺し、160℃5分乾燥させて、印捺物1を作製した。尚、ブラックインク1、シアンインク1、マゼンタインク1およびイエローインク1はPX−A650の各色が相当するヘッドに1列ずつ使用したが、ホワイトインク1は別のPX−A650のシアン、マゼンタおよびイエロー3列に入れて、カラーが印捺されていない部分に印捺して印捺サンプル1を作製した。
印捺サンプル1を用い、テスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重300gで200回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。実施例は4級以上あるものとした。
また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。同様に、実施例は4級以上あるものとした。
印捺サンプル1を用い、GRETAG SPECTROSCAN SPM−50を用いて発色性の指標としてブラックはOD値、シアン、マゼンタおよびイエローは彩度、ホワイトは白色度を評価した。結果を表1に示す。実施例はOD値が1.1以上、シアンとマゼンタの彩度が40以上、イエローの彩度が50以上、白色度は70以上とした。
(前処理剤2の調製)
(1)前処理剤2の作製
前記前処理剤1の調製において、多価金属塩である塩化カルシウムを塩化マグネシウムに代えた以外は同様にして、前処理剤2を調製した。
(1)ブラックインク用顔料分散液Bk2の製造
ブラックインク用顔料分散液2は、実施例1におけるブラックインク用顔料分散体において、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880の代わりに三菱化学製MA100を用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
シアンインク用分散体2は実施例1におけるC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)の代わりに、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
マゼンタインク用分散体2は実施例1におけるC.I.ピグメントレッド122(キナクリドン顔料:クラリアント製)の代わりに、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
イエローインク用顔料分散液2は実施例1におけるC.I.ピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン顔料:クラリアント製)の代わりに、C.I.ピグメントイエロー185(イソインドリン顔料:BASF製)を用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
顔料分散液W1はC.I.ピグメントホワイト6(ルチル型酸化チタン顔料CR−EL:石原産業製)を用いて、分散剤としてビックケミージャパン製DISPERBYK−190を顔料の質量の12%に調整した以外は実施例1と同様にして作製した。
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を示す。
(ブラックインク2)
分散液Bk2(顔料固形分15%) 32.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 3.0%
グリセリン 11.0%
トリエチレングリコール 1.5%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
分散液C2(顔料固形分15%) 24.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 4.0%
グリセリン 12.0%
トリエチレングリコール 2.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
イオン交換水 残量
分散液M2(顔料固形分15%) 32.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 3.5%
グリセリン 11.0%
トリエチレングリコール 2.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
分散液Y2(顔料固形分15%) 32.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 3.5%
グリセリン 11.0%
トリエチレングリコール 2.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
分散液W2(顔料固形分15%) 50.0%
EM−A1(固形分40%) 12.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1、2−ヘキサンジオール 1.0%
トリメチロールプロパン 1.5%
グリセリン 8.0%
トリエチレングリコール 1.0%
サーフィノール104(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.1%
オルフィンE1010(日信化学製アセチレングリコール系界面活性剤) 0.8%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
水 残量
布帛として綿を用い、前処理剤2を用いて、PX−A650を用いたインクジェット法により塗布した後、上記インクジェット用ブラックインク2、シアンインク2、マゼンタインク2、イエローインク2およびホワイトインク2を用いてPX−A650を用いたインクジェット法により塗布し、160℃5分乾燥させて、印捺物2を作製した。ここでも実施例1と同様に、ブラックインク2、シアンインク2、マゼンタインク2およびイエローインク2はPX−A650の各色が相当するヘッドに1列ずつ使用したが、ホワイトインク2は別のPX−A650のシアン、マゼンタおよびイエロー3列に入れて、カラーが印捺されていない部分に印捺して印捺サンプル2を作製した。
印捺サンプル2を用い、テスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重300gで200回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。
また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。
印捺サンプル2を用い、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、公知の方法により攪拌速度を調整して、粒径が50nm(実施例3)、300nm(実施例4)、500nm(実施例5)、1μm(実施例6)、5μm(実施例7)の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンB1〜5(EM−B1〜5)を用い、前処理剤3−1〜3−5とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル3−1〜3−5を作製した。但し実施例7はインクジェット法では塗布できないので、パッディング法により塗布した。その印捺サンプル3−1〜3−5を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、公知の方法によりエチルアクリレート30部の部分をラウリルアクリレートに変更して、ガラス転移温度が−30度(実施例8)、−25℃(実施例9)、−20℃(実施例10)、−13℃(実施例11)、−10℃(実施例12)の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンC1〜C5(EM−C1〜C5)を用い、前処理剤4−1〜4−5とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル41〜45を作製した。その印捺サンプル4−1〜4−5を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
実施例1において、公知の方法により開始剤の量を調整して分子量が30万(実施例13)、20万(実施例14)、18万(実施例15)、13万(実施例16)、10万(実施例17)の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンD1〜D5(EM−D1〜D5)を用い、前処理剤5−1〜5−5とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル5−1〜5−5を作製した。その印捺サンプル5−1〜5−5を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
実施例1において、布帛を綿の代わりに、麻(印捺サンプル6)、レーヨン繊維(印捺7)、アセテート繊維(印捺サンプル8)、絹(印捺サンプル9)、ナイロン繊維(印捺サンプル10)、ポリエステル繊維(印捺サンプル11)を用いて各印捺物を作成した。その各印捺サンプル6〜11を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表5に示す。
実施例1における前処理剤1において、塩化カルシウムの添加量をゼロにし、前処理剤6とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル12を作製した。その印捺サンプル12を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
実施例1において、公知の方法によりエチルアクリレート30部をスチレン30部に変更して、ガラス転移温度が15℃の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンE(EM−E)を用い、前処理剤7とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル13を作製した。その印捺サンプル13を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
実施例1において、公知の方法によりビニルスルホン酸6部をビニルスルホン酸18部に変更して、酸価が63の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンF(EM−F)を用い、前処理剤8とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル14を作製した。その印捺サンプル14を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
実施例1において、公知の方法により攪拌速度を調整して、粒径が6μmの高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンG(EM−G)を用い、フィルターによるろ過を行なわないで、前処理剤9とした。また、インクジェット法により塗布ができないので、パッディング法で塗布した以外は実施例1と同様に印捺サンプル15を作製した。その印捺サンプル15を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
実施例1において、公知の方法により攪拌速度を調整して、粒径が30nmの高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンH(EM−H)を用い、前処理剤10とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル16を作製した。その印捺サンプル16を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
Claims (9)
- インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、多価金属イオンおよび高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該高分子微粒子がアクリル系ポリマーであり、該高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該高分子微粒子の酸価が50mgKOH/g以下であり、且つ該高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とするインクジェット捺染用前処理剤。
- 前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染用前処理剤。
- インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、多価金属イオンおよび高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該高分子微粒子がアクリル系ポリマーであり、該高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該高分子微粒子の酸価が50mgKOH/g以下であり、且つ該高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とするインクジェット捺染方法。
- 前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記前処理剤をインクジェット法により塗布し、該前処理剤の粒子径が1μm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット捺染方法。
- 請求項1または2に記載のインクジェット捺染用前処理剤およびインクジェット捺染用インク組成物を用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記インク組成物に用いる色材である顔料が自己分散型またはアクリル系樹脂により分散されていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット捺染方法。
- 該高分子微粒子のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるスチレン換算質量平均分子量が10万〜30万である、請求項1又は2に記載のインクジェット捺染用前処理剤。
- 該高分子微粒子のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるスチレン換算質量平均分子量が10万〜30万である、請求項3〜7のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
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