JP5546058B2 - 強化ガラス、強化用ガラスおよび強化ガラスの製造方法 - Google Patents

強化ガラス、強化用ガラスおよび強化ガラスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、強化ガラスに関し、特にモバイルPC等の外装部品に好適な強化ガラスに関する。本発明は、ガラスに関し、特にモバイルPC等の外装部品に好適な強化用ガラスに関する。
タッチパネルを搭載した携帯電話が普及しており、携帯電話のカバーガラスには、イオン交換等で強化したガラス(所謂、強化ガラス)が用いられつつある。強化ガラスは、未強化のガラスに比べて、機械的強度が高いため、本用途に好適である(特許文献1、非特許文献1参照)。
近年、携帯電話以外の用途でもタッチパネルが搭載されつつあり、用途によっては、特定形状、例えば曲面形状を有する外装部品が必要になる。これらの用途に強化ガラスを適用するためには、強化ガラスを特定形状、例えば曲面形状に加工する必要がある。特定形状の強化ガラスは、まず溶融ガラスを成形して平板形状のガラス等を作製し、次いで熱加工で特定形状に変形させた後、強化処理を行うことで作製することができる(特許文献2、3参照)。
したがって、これらの強化ガラスは、機械的強度が高いことに加えて、熱加工性に優れること、つまり軟化点が低いこと等の特性が求められる。
特開2006−83045号公報 米国特許7168047号明細書 特開2001−247342号公報
泉谷徹朗等、「新しいガラスとその物性」、初版、株式会社経営システム研究所、1984年8月20日、p.451−498
表面に形成される圧縮応力層の圧縮応力値を高くし、圧縮応力層の厚みを大きくすれば、強化ガラスの機械的強度を高めることができる。
しかし、圧縮応力層の圧縮応力値を高くしつつ、圧縮応力層の厚みを大きくし、且つ軟化点を低下させることは困難である。圧縮応力層の圧縮応力値を高くしつつ、圧縮応力層の厚みを大きくするためには、ガラス組成中にAl等のイオン交換性能を向上させる成分を導入する必要があるが、これらの元素を導入すると、軟化点が上昇するからである。
そこで、本発明は、高い機械的強度を有しつつ、軟化点が低い強化ガラスを創案することにより、特定形状、例えば曲面形状を有する強化ガラスを得ることを技術的課題とする。
本発明者は、種々の検討を行った結果、β−OH値を適正にコントロールすれば、圧縮応力層の圧縮応力値および厚みを適正化しつつ、軟化点を低下できることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の強化ガラスは、表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmであり、平板形状のガラスから平板形状以外の形状に熱加工されてなることを特徴とする。ここで、「β−OH値」は、FT−IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の数式1を用いて求めた値を指す。
β−OH値は、(1)含水量が多い原料(例えば水酸化物原料)を選択する、(2)原料中に水分を添加する、(3)ガラス中の水分量を減少させる成分(Cl、SO等)の添加量を低減、或いは使用しない、(4)溶融の際、酸素燃焼を採用、或いは溶融炉内に直接水蒸気を導入して、炉内雰囲気中の水分量を増加する、(5)溶融ガラス中で水蒸気バブリングを行う、(6)大型溶融炉でガラスを溶融する、(7)溶融ガラスの流量を低下すること等で高めることができる。
本発明の強化ガラスは、平板形状のガラスから熱加工されてなり、且つ該平板形状のガラスがオーバーフローダウンドロー法により成形されてなることが好ましい。
本発明の強化ガラスは、イオン交換処理されており、且つ圧縮応力層の圧縮応力値が50MPa以上、圧縮応力層の厚みが10μm以上であることが好ましい。ここで、「圧縮応力層の圧縮応力値」および「圧縮応力層の厚み」は、表面応力計を用いて干渉縞の本数とその間隔を観察し、表面の圧縮応力値と厚みを算出したものである。
本発明の強化ガラスは、軟化点が900℃以下であることが好ましい。ここで、「軟化点」は、ASTM C338の方法に基づいて測定した値を指す。
本発明の強化ガラスは、歪点が400℃以上であることが好ましい。ここで、「歪点」は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値を指す。
本発明の強化ガラスは、液相温度が1200℃以下であることが好ましい。ここで、「液相温度」は、ガラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定した値である。
本発明の強化ガラスは、液相粘度が10dPa・s以上であることが好ましい。ここで、「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
本発明の強化ガラスは、熱膨張係数が50〜110×10−7/℃であることが好ましい。ここで、「熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定した値であり、30〜380℃の温度範囲における平均値を示している。
本発明の強化ガラスは、曲面形状部分を有することが好ましい。
本発明の強化ガラスは、段付き形状部分を有することが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmであり、平板形状のガラスから平板形状以外の形状に熱加工されてなることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、平板形状のガラスから熱加工されてなることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、平板形状のガラスから熱加工されてなり、且つ該平板形状のガラスがオーバーフローダウンドロー法により成形されてなることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、軟化点が900℃以下であることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、歪点が400℃以上であることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、液相温度が1200℃以下であることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、液相粘度が10dPa・s以上であることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、熱膨張係数が50〜110×10−7/℃であることが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、曲面形状部分を有することが好ましい。
本発明の強化用ガラスは、段付き形状部分を有することが好ましい。
表面に圧縮応力層を形成する方法には、物理強化法と化学強化法がある。本発明の強化ガラスは、化学強化法で圧縮応力層を形成することが好ましい。化学強化法は、歪点以下の温度でイオン交換によりガラスの表面にイオン半径の大きいアルカリイオンを導入する方法である。化学強化法で圧縮応力層を形成すれば、ガラスの厚みが薄くても、イオン交換処理を行うことができ、所望の機械的強度を得ることができる。さらに、化学強化法で圧縮応力層を形成すれば、風冷強化法等の物理強化法とは異なり、強化処理後に強化ガラスを切断した場合でも、強化ガラスが容易に破壊することがない。
強化ガラスを製造するためには、溶融ガラスを所定の形状に成形した後、強化処理を行う必要がある。強化処理は、上記の通り、イオン交換処理で行うことが望ましい。イオン交換処理は、例えば400〜550℃の硝酸カリウム溶液中にガラスを1〜8時間浸漬することで行うことができる。イオン交換条件は、ガラスの粘度特性や、用途、板厚、内部の引っ張り応力等を考慮して最適な条件を選択すればよい。
本発明の強化ガラスにおいて、β−OH値の下限範囲は0.3/mm以上であり、0.32/mm以上、0.34/mm以上、0.35/mm以上、0.4/mm以上、0.45/mm以上、0.5/mm以上、0.55/mm以上、特に0.6/mm以上が好ましく、上限範囲は1/mm以下であり、0.9/mm以下、0.8/mm以下、特に0.7/mm以下が好ましい。β−OH値が0.3/mmより小さいと、軟化点を低下させることが困難になり、熱加工を行うことが困難、或いは熱加工できたとしても金型への負担が大きくなるため、金型の寿命が短くなり、結果として、強化ガラスの製造コストが高騰する。一方、β−OH値が1/mmより大きいと、ガラスのネットワークが損なわれやすくなるため、応力が緩和しやすくなり、強化ガラスの機械的強度を高めることが困難になる。つまり、ガラスのネットワークが損なわれると、イオン交換処理時に、圧縮応力層の圧縮応力が緩和しやすくなるため、圧縮応力層の圧縮応力値を高くすることが困難になる。
本発明の強化ガラスにおいて、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム水和物等を使用することが好ましい。このようにすれば、ガラスバッチの溶解性を促進しつつ、β−OH値を高めることができる。イオン交換性能を向上させるためには、溶解し難いAl、ZrO、TiOの原料等を多くする必要があるが、これらの原料を多くすれば、溶解し難いAl等が未溶解ブツとして流出しやすくなる。しかし、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム水和物等を使用すれば、ガラスバッチの溶解性を高めることができ、溶解し難いAl等の未溶解ブツの発生を防止することができる。
本発明の強化ガラスにおいて、圧縮応力層の圧縮応力値は50MPa以上、100MPa以上、300MPa以上、500MPa以上、600MPa以上、特に700MPa以上が好ましい。圧縮応力層の圧縮応力値が大きくなるにつれて、強化ガラスの機械的強度が高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、表面にマイクロクラックが発生し、逆に強化ガラスの機械的強度が低下する虞がある。また、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、内在する引っ張り応力が極端に高くなる虞があるため、圧縮応力層の圧縮応力は1300MPa以下が好ましい。なお、圧縮応力層の圧縮応力値を上昇させるには、ガラス組成中のAl、TiO、ZrO、MgO、ZnOの含有量を増加、SrO、BaOの含有量を低減、イオン交換時間を短縮、或いはイオン交換温度を低下すればよい。
強化ガラスをタッチパネルに搭載する場合、エンドユーザーが強化ガラスの表面を指でなぞる機会が増えるため、表面傷等により強化ガラスの機械的強度が低下しやすくなる。強化ガラスの機械的強度を維持するためには、圧縮応力層の厚みを大きくすることが有効である。本発明の強化ガラスにおいて、圧縮応力層の厚みは10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、特に60μm以上が好ましい。圧縮応力層の厚みが大きい程、強化ガラスに深い傷がついても、強化ガラスが割れ難くなる。一方、圧縮応力層の厚みが大き過ぎると、強化ガラスを切断加工し難くなるため、圧縮応力層の厚みは200μm以下が好ましい。なお、圧縮応力層の厚みを大きくするには、ガラス組成中のAl、KO、TiO、ZrO、MgO、ZnOの含有量を増加、SrO、BaOの含有量を低減、イオン交換時間を長く、或いはイオン交換温度を上げればよい。
本発明の強化ガラスにおいて、以下の数式2で計算される内部の引っ張り応力値は200MPa以下、150MPa以下、100MPa以下、特に50MPa以下が好ましい。内部の引っ張り応力値が小さい程、内部の欠陥によって、強化ガラスが破損する確率が低下するが、内部の引っ張り応力値を極端に小さくし過ぎると、表面の圧縮応力層の圧縮応力値および厚みが小さくなるため、内部の引っ張り応力値は1MPa以上、10MPa以上、特に15MPa以上が好ましい。
本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 0〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%含有する。本発明の強化ガラスにおいて、上記のようにガラス組成範囲を規制した理由を下記に示す。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分であり、その含有量は45〜75%、好ましくは50〜70%、より好ましくは50〜63%、更に好ましくは52〜63%、特に好ましくは52〜60%である。SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下することに加えて、熱膨張係数が低下し過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。一方、SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下しやすくなる。
Alは、イオン交換性能を向上させる成分であり、また歪点やヤング率を高める成分であり、その含有量は〜30%である。Alの含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出しやすくなり、成形性が低下しやすくなり、特にオーバーフローダウンドロー法等で平板形状のガラスを成形し難くなる。また、Alの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が低下し過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなったり、高温粘性が高くなり過ぎて、ガラスを溶融し難くなる。更に、軟化点が高くなり、熱加工の温度が高くなり過ぎ、特にプレス成形時の温度が高くなり過ぎて、金型の劣化を促進する虞がある。一方、Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。上記観点を総合的に判断すると、Alの上限範囲は25%以下、23%以下、22%以下、20%以下、19%以下、18%以下、17%以下、特に16.5%以下が好ましい。Alの下限範囲は10%以上、12%以上、13%以上、特に14%以上が好ましい。
LiO+NaO+KOは、イオン交換成分であり、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を向上させる成分である。LiO+NaO+KOが多過ぎると、ガラスが失透しやすくなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また、LiO+NaO+KOが多過ぎると、歪点が低下し過ぎて、圧縮応力値を高め難くなる場合がある。さらに、LiO+NaO+KOが多過ぎると、液相温度付近の粘性が低下し、高い液相粘度を確保し難くなる場合がある。よって、LiO+NaO+KOの含有量は30%以下であり、25%以下、特に20%以下が好ましい。一方、LiO+NaO+KOが少な過ぎると、イオン交換性能や溶融性が低下したり、軟化点が不当に高くなる場合がある。よって、LiO+NaO+KOの含有量は0.1%以上であり、8%以上、10%以上、13%以上、特に15%以上が好ましい。
LiOは、イオン交換成分であり、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、LiOは、ヤング率を向上させる成分である。さらに、LiOは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が高い。しかし、LiOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透しやすくなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。さらに、LiOの含有量が多過ぎると、低温粘性、特に歪点が低下し過ぎて、応力緩和が起こりやすくなり、逆に圧縮応力値が低下する場合がある。したがって、LiOの含有量は0〜10%、0〜8%、0〜6%、0〜4%、0〜3%、0〜2%、0〜1%、0〜0.5%、特に0〜0.1%が好ましい。
NaOは、イオン交換成分であり、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分であるとともに、耐失透性を改善する成分であり、その含有量は0〜20%、8〜16%、8〜15%、9〜15%、10〜15%、11〜15%、特に12〜15%が好ましい。NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また、NaOの含有量が多過ぎると、歪点が低下したり、ガラス組成の成分バランスが損なわれ、逆に耐失透性が低下する傾向がある。一方、NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下したり、熱膨張係数が低下し過ぎたり、軟化点が高くなり過ぎたり、イオン交換性能が低下しやすくなる。
Oは、イオン交換性能を向上させる成分であり、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力層の厚みを大きくする効果が高い。また、KOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。さらに、KOは、耐失透性を改善する成分でもある。KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また、KOの含有量が多過ぎると、歪点が低下したり、ガラス組成の成分バランスが損なわれ、逆に耐失透性が低下する傾向がある。上記点を考慮すると、KOの含有量は0〜10%が好ましく、KOの上限範囲は8%以下、7%以下、6%以下、特に5%以下がより好ましく、KOの下限範囲は、圧縮応力層の厚みを考慮すれば0.1%以上、0.5%以上、1%以上、特に2%以上がより好ましい。
上記成分以外にも下記の成分をガラス組成中に添加することができる。
は、液相温度、高温粘度、密度を低下させる効果を有するとともに、イオン交換性能、特に圧縮応力値を向上させる成分であり、その含有量は0〜10%、0〜5%、0〜3%、特に0〜2%が好ましい。Bの含有量が多過ぎると、イオン交換によって表面にヤケが発生したり、耐水性が低下したり、液相粘度が低下する虞がある。特に、本発明の強化ガラスにおいて、ガラス組成中にアルカリ金属酸化物を含有させる場合、Bの含有量が多過ぎると、溶融時にガラス中のB成分とアルカリ成分が溶融炉の耐火物を著しく侵食し、窯の寿命を短くする虞がある。さらに、Bの含有量が多過ぎると、圧縮応力層の厚みが小さくなる傾向がある。
MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrO、BaOの合量)は、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であり、その含有量は0〜15%、0〜10%、0〜6%、特に0〜5%が好ましい。しかし、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり過ぎたり、耐失透性が低下したり、イオン交換性能が低下する傾向がある。
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であり、特にアルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を向上させる効果が高い成分であり、その含有量は0〜10%、0〜6%、0〜4%、特に0〜3%が好ましい。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度、熱膨張係数が高くなり過ぎたり、ガラスが失透しやすくなる。
CaOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分である。またアルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を向上させる効果が比較的高い成分であり、その含有量は0〜10%、0〜8%、0〜6%、特に0〜3%が好ましい。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、密度、熱膨張係数が高くなり過ぎたり、ガラスが失透しやすくなったり、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にイオン交換性能が低下する場合がある。
SrO+BaO(SrO、BaOの合量)の含有量は0〜5%、0〜3%、0〜2.5%、0〜2%、0〜1%、特に0〜0.1%が好ましく、SrO+BaOの含有量をこの範囲に規制すれば、効果的にイオン交換性能を向上させることができる。なお、SrO+BaOは、イオン交換反応を阻害する作用があるため、SrO+BaOが過剰であると、強化ガラスの機械的強度を高め難くなる。
SrOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。BaOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であり、その含有量は0〜0.8である。SrOやBaOの含有量が多過ぎると、イオン交換性能が低下する傾向があることに加えて、密度や熱膨張係数が高くなり過ぎたり、ガラスが失透しやすくなる。特に、SrOの含有量は3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下が望ましい。また、BaOの含有量は0.5%以下、特に0.1%以下が望ましい。
MgO+CaO+SrO+BaOをLiO+NaO+KOの合量で除した値、つまり(MgO+CaO+SrO+BaO)/(LiO+NaO+KO)の値が大きくなると、耐失透性が低下する傾向が現れる。よって、質量分率(MgO+CaO+SrO+BaO)/(LiO+NaO+KO)の値は0.5以下、0.4以下、特に0.3以下が好ましい。
ZnOは、イオン交換性能を向上させる成分であり、特に圧縮応力値を高める成分であるとともに、低温粘性を低下させずに高温粘性を低下させる成分であり、その含有量は0〜10%、0〜5%、0〜3%、特に0〜1%が好ましい。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、密度が高くなりやすい。
ZrOは、イオン交換性能を顕著に向上させるとともに、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分であり、その含有量は0〜10%、0〜9%、0.001〜8%、0.01〜7%、1〜7%、2〜7%、3〜6%、特に3〜5%が好ましい。ZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が極端に低下する場合がある。
TiOは、イオン交換性能を向上させる成分であるとともに、高温粘度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、ガラスが着色したり、耐失透性が低下するため、その含有量は1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下が好ましい。
は、イオン交換性能を向上させる成分であり、特に圧縮応力層の厚みを大きくする成分であり、その含有量は0〜8%、5%以下、4%以下、2%以下、0.5%以下、特に0.1%以下が好ましい。しかし、Pの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐水性が低下しやすくなる。
清澄剤として、As、Sb、CeO、SnO、F、Cl、SOの群から選択された一種または二種以上を0〜3%添加することができる。ただし、As、Sb、F、特にAs、Sbは、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましく、各々の含有量は0.1%未満が好ましい。好ましい清澄剤は、SnO、SO、Clである。SnOの含有量は0〜1%、0.01〜0.5%、特に0.05〜0.4%が好ましい。SnOの含有量が1%より多いと、耐失透性が低下しやすくなる。SOの含有量は0〜0.1%、0.0001〜0.1%、0.0003〜0.08%、0.0005〜0.05%、特に0.001〜0.03%が好ましい。SOの含有量が0.1%より多いと、溶融時にSOがリボイルして、泡品位が低下しやすくなる。Clの含有量は0〜0.5%、0.001〜0.1%、0.001〜0.09%、0.001〜0.05%、特に0.001〜0.03%が好ましい。Clの含有量が0.5%より多いと、β−OH値を高め難くなることに加えて、強化ガラス上に金属配線パターン等を形成した時に金属配線が腐食しやすくなる。
NbやLa等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体の価格が高く、また多量に含有させると、耐失透性が低下しやすくなる。よって、希土類酸化物の含有量は3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下が好ましい。
Co、Ni等の遷移金属酸化物は、ガラスを強く着色させて、透過率を低下させる成分であるため、その含有量は0.5%以下、0.1%以下、特に0.05%以下が好ましく、その含有範囲になるように、ガラス原料および/またはカレットの使用量を調整することが望ましい。
PbOやBiは、環境的観点から、使用は極力控えることが好ましく、その含有量は0.1%未満が好ましい。
本発明の強化ガラスにおいて、歪点は450℃以上、460℃以上、480℃以上、特に500℃以上が好ましい。歪点が高い程、耐熱性が向上し、強化ガラスを熱処理しても、圧縮応力層が消失し難くなる。また、歪点が高いと、イオン交換処理の際、応力緩和が生じ難くなるため、高い圧縮応力値を得やすくなる。更に、歪点が高いと、熱加工後の降温工程において、降温速度を早くできるため、熱加工のプロセス時間を短縮することができ、生産性を高めることができる。なお、歪点を高めるには、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物の含有量を低減、特にLiOの含有量を低減、或いはアルカリ土類金属酸化物、Al、ZrO、Pの含有量を増加すればよい。
本発明の強化ガラスにおいて、軟化点は900℃以下、880℃以下、860℃以下、850℃以下、840℃以下、830℃以下、820℃以下、800℃以下、780℃以下、770℃以下、特に760℃以下が好ましい。軟化点が低い程、低温で熱加工することができる。また、軟化点が低い程、プレス成形する場合に金型への負担が少なくなる。金型の劣化は、金型に用いられる金属材料と大気中の酸素が反応する、いわゆる酸化反応が原因になることが多い。このような酸化反応が生じると、金型表面に反応生成物が形成され、所定の形状にプレス成形できなくなる場合がある。また酸化反応が生じると、ガラス中のイオンが還元され、発泡が生じる場合がある。プレス成形温度が低い程、つまり軟化点が低い程、酸化反応を抑制することができる。また、軟化点が低い程、プレス成形・熱加工温度の上限値を低下できるため、その後のアニール工程の時間を短縮することができる。
本発明の強化ガラスにおいて、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度は1600℃以下、1550℃以下、1500℃以下、1450℃以下、1430℃以下、1420℃以下、特に1400℃以下が好ましい。高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が低い程、溶融の際、溶融炉等の製造設備の負担が小さくなるとともに、ガラスの泡品位を高めることができる。つまり、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が低い程、ガラスを安価に製造することができる。なお、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度は、溶融温度に相当しており、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が低い程、低温でガラスを溶融することができる。高温粘度102.5dPa・sに相当する温度を低下させるには、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、B、TiOの含有量を増加、或いはSiO、Alの含有量を低減すればよい。
本発明の強化ガラスにおいて、密度は2.7g/cm以下、2.6g/cm以下、特に2.55g/cm以下が好ましい。密度が小さい程、ガラスを軽量化することができる。ここで、「密度」とは、周知のアルキメデス法で測定した値を指す。密度を低下させるには、ガラス組成中のSiO、P、Bの含有量を増加、或いはアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、ZrO、TiOの含有量を低減すればよい。
本発明の強化ガラスにおいて、熱膨張係数は50〜110×10−7/℃、70〜110×10−7/℃、75〜105×10−7/℃、特に80〜105×10−7/℃が好ましい。熱膨張係数を上記範囲とすれば、金属、有機系接着剤等の部材の熱膨張係数に整合させやすくなり、金属、有機系接着剤等の部材の剥離を防止することができる。なお、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を増加すれば、熱膨張係数が高くなり、逆にガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を低減すれば、熱膨張係数が低くなる。
本発明の強化ガラスにおいて、液相温度は1200℃以下、1050℃以下、1000℃以下、950℃以下、900℃以下、特に860℃以下が好ましい。液相温度を低下させるには、ガラス組成中のNaO、KO、Bの含有量を増加、或いはAl、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を低減すればよい。
本発明の強化ガラスにおいて、液相粘度は104.0dPa・s以上、104.5dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.2dPa・s以上、105.3dPa・s以上、105.5dPa・s以上、105.7dPa・s以上、105.8dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上が好ましい。液相粘度を上昇させるには、ガラス組成中のNaO、KOの含有量を増加、或いはAl、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を低減すればよい。なお、液相粘度が高い程、耐失透性や成形性が向上する。また、液相温度が低い程、耐失透性や成形性が向上する。すなわち、液相粘度が高い程、或いは液相温度が低い程、ガラス中から結晶が析出し難くなるため、低温で熱加工を行うことができる。
各成分の好適な含有範囲および好適な特性値を適宜選択し、好ましい態様とすることができる。その中でも、本発明の強化ガラスは、下記の態様がより好ましい。
(1)質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(2)質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、B 0〜4%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(3)質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、B 0〜5%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(4)質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、B 0〜5%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、Cl 0〜0.1%、BaO 0〜0.8%を含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(5)質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、B 0〜5%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、Cl 0〜0.01%、BaO 0〜0.8%を含有し、β−OH値が0.2〜1/mm、
(6)質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、Cl 0〜0.01%、BaO 0〜0.8%を含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(7)質量%で、SiO 50〜75%、Al 10〜20%、B 0〜5%、LiO 0〜10%、NaO 10〜20%、KO 1〜10%、CaO 0.1〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜0.8%、TiO 0〜0.5%、Cl 0〜0.01%含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(8)質量%で、SiO 50〜60%、Al 12〜18%、B 0〜3%、LiO 0〜1%、NaO 10〜20%、KO 1〜7%、CaO 0.1〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜0.8%、TiO 0〜0.5%、Cl 0〜0.04%含有し、β−OH値が0.3〜1/mm、
(9)質量%で、SiO 50〜60%、Al 12〜18%、B 0〜3%、LiO 0〜1%、NaO 10〜20%、KO 1〜7%、CaO 0.1〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜0.8%、TiO 0〜0.5%、Cl 0〜0.04%含有し、β−OH値が0.45〜1/mm。
外装部品として用いる場合、強化ガラスの厚みは、強化ガラスの機械的強度を維持するために0.3mm以上、0.5mm以上、0.7mm以上、1.0mm以上、1.3mm以上、特に1.5mm以上が好ましい。基板として用いる場合、強化ガラスの板厚は、強化ガラスを軽量化するために3.0mm以下、1.5mm以下、0.7mm以下、0.5mm以下、特に0.3mm以下が好ましい。
本発明の強化ガラスは、未研磨の表面を有することが好ましく、未研磨の表面の平均表面粗さ(Ra)は10Å以下、5Å以下、特に2Å以下が好ましい。外装部品として用いる場合、このような表面形状であれば、強化ガラスに適度な光沢を付与することができる。「平均表面粗さ(Ra)」は、SEMI D7−97「FPDガラス基板の表面粗さの測定方法」に準拠した方法で測定した値を指す。ガラスの理論強度は、本来非常に高いのであるが、理論強度よりも遥かに低い応力でも破壊に至ることが多い。これは、ガラスの表面にグリフィスフローと呼ばれる小さな欠陥が溶融ガラスの成形後の工程、例えば研磨工程等で生じるからである。よって、表面を未研磨とすれば、本来のガラスの機械的強度を損ない難くなり、ガラスが破壊し難くなる。表面全体(切断面を除く)を未研磨とすれば、更にガラスが破壊し難くなる。また、表面を未研磨とすれば、研磨工程を省略できるため、強化ガラスの製造コストを低廉化することができる。本発明の強化ガラスにおいて、切断面から破壊に至る事態を防止するため、切断面に面取り加工等を施してもよい。なお、オーバーフローダウンドロー法で溶融ガラスを成形すれば、未研磨で表面精度が良好な平板形状のガラスを得ることができる。
本発明の強化ガラスは、平板形状のガラスから平板形状以外の形状に熱加工してなるこのようにすれば、特定形状の強化ガラスを容易に作製することができ、外装部品の低廉化を図ることができる。
本発明の強化ガラスは、平板形状以外の形状を有し、例えば曲面形状、凹凸形状、波型形状、段付形状等を有することが好ましい。このようにすれば、タッチパネルを供えたデバイスに対し、特殊形状の外装部品を適用することができる。
本発明の強化ガラスは、所定のガラス組成となるように調合したガラスバッチを連続溶融炉に投入し、1500〜1600℃で加熱溶融して、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを成形し、徐冷することにより製造することができる。
本発明の強化ガラスにおいて、種々の成形方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法、リドロー法等)、フロート法、ロールアウト法等の成形方法を採用することができる
本発明の強化ガラスは、オーバーフローダウンドロー法で平板形状のガラスに成形されてなることが好ましい。このようにすれば、未研磨で表面品位が良好な平板形状のガラスを製造することができる。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、ガラスの表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。ここで、オーバーフローダウンドロー法は、溶融ガラスを耐熱性の樋状構造物の両側から溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形して平板形状のガラスを製造する方法である。樋状構造物の構造や材質は、ガラスの寸法や表面精度を所望の状態とし、所望の品位を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行うためにガラスに対してどのような方法で力を印加するものであってもよい。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラスに接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラスの端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。
本発明の強化用ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmであり、平板形状のガラスから平板形状以外の形状に熱加工されてなることを特徴とする。このようにすれば、イオン交換性能を向上させつつ、熱加工性を向上させることができる。また、本発明の強化用ガラスは、本発明の強化ガラスと同様の技術的特徴(好適なガラス組成範囲、好適な特性、顕著な効果等)を備えることができる。ここでは、便宜上、その記載を省略する。また、本発明の強化ガラスの製造方法は、ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmになるように、平板形状の強化用ガラスを作製し、該強化用ガラスを平板形状以外の形状に熱加工した後、イオン交換処理により、表面に圧縮応力層を形成し、強化ガラスを得ることを特徴とする。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。表1、2は試料No.1〜8を示している。
次のようにして、表中の各試料を作製した。まず、表中のガラス組成およびβ−OH値になるように、ガラスバッチ等を調合(例えば、Alの導入原料として、酸化物原料と水酸化物原料の比率を変更する等)し、白金ポットを用いて1580℃で8時間溶融した。次に、溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して、平板形状に成形した後、光学研磨を行った。得られたガラスについて、種々の特性を評価した。
β−OH値は、FT−IRを用いてガラスの透過率を測定し、上記の数式1を用いて求めた。
歪点、徐冷点は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
軟化点は、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度10dPa・s、10dPa・s、102.5dPa・sに相当する温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
熱膨張係数は、ディラトメーターで測定した値であり、30〜380℃の温度範囲における平均値を示している。
液相温度は、ガラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定した値である。
液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
得られたガラスを440℃に保持されたKNO槽に8時間浸漬し、イオン交換処理を行った。イオン交換処理後、圧縮応力層の圧縮応力値および厚みを測定した。圧縮応力層の圧縮応力値および厚みは、表面応力計(株式会社東芝製FSM−6000)を用いて干渉縞の本数とその間隔を観察することで算出した。算出に際し、各試料の屈折率を1.52、光学弾性定数を28[(nm/cm)/MPa]とした。
表1、2から明らかなように、β−OH値が大きくなるにつれて、軟化点が低下し、熱加工しやすくなり、結果として、特定形状の強化ガラスを得やすくなる。
なお、表中の各試料の作製において、本発明の説明の便宜上、溶融ガラスを流し出し、平板形状に成形した後、イオン交換処理前に光学研磨を行ったが、工業的規模で強化ガラスを製造する場合には、オーバーフローダウンドロー法等で平板形状のガラスを成形し、研磨処理を省略することが好ましく、更にこのガラスを特定形状に熱加工した後、イオン交換処理を行うことが好ましい。
本発明の強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、タッチパネルディスプレイ等のカバーガラスに用いることができるが、熱加工性に優れる特徴を生かし、携帯電話、モバイルPC、ポインティングデバイス等の外装部品、特に平板形状以外の形状を有する外装部品に好適である。また、本発明の強化ガラスは、これらの用途以外にも、高い機械的強度が要求される用途、例えば、窓ガラス、磁気ディスク用基板、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池の基板およびカバーガラス、固体撮像素子用カバーガラス、食器への応用が期待できる。

Claims (22)

  1. 表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmであり、平板形状のガラスから平板形状以外の形状に熱加工されてなることを特徴とする強化ガラス。
  2. 平板形状のガラスがオーバーフローダウンドロー法により成形されてなることを特徴とする請求項1に記載の強化ガラス。
  3. イオン交換処理されており、且つ圧縮応力層の圧縮応力値が50MPa以上、圧縮応力層の厚みが10μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化ガラス。
  4. 軟化点が900℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強化ガラス。
  5. 歪点が400℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化ガラス。
  6. 液相温度が1200℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の強化ガラス。
  7. 液相粘度が10dPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の強化ガラス。
  8. 熱膨張係数が50〜110×10−7/℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の強化ガラス。
  9. 曲面形状部分を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の強化ガラス。
  10. 段付き形状部分を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の強化ガラス。
  11. ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmであり、平板形状のガラスから平板形状以外の形状に熱加工されてなることを特徴とする強化用ガラス。
  12. 平板形状のガラスがオーバーフローダウンドロー法により成形されてなることを特徴とする請求項11に記載の強化用ガラス。
  13. 軟化点が900℃以下であることを特徴とする請求項11又は12に記載の強化用ガラス。
  14. 歪点が400℃以上であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の強化用ガラス。
  15. 液相温度が1200℃以下であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の強化用ガラス。
  16. 液相粘度が10dPa・s以上であることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の強化用ガラス。
  17. 熱膨張係数が50〜110×10−7/℃であることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の強化用ガラス。
  18. 曲面形状部分を有することを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の強化用ガラス。
  19. 段付き形状部分を有することを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載の強化用ガラス。
  20. ガラス組成として、質量%で、SiO 45〜75%、Al 〜30%、LiO+NaO+KO 0.1〜30%、BaO 0〜0.8%を含有し、且つβ−OH値が0.3〜1/mmになるように、平板形状の強化用ガラスを作製した上で、該強化用ガラスを平板形状以外の形状に熱加工した後、イオン交換処理により、表面に圧縮応力層を形成し、強化ガラスを得ることを特徴とする強化ガラスの製造方法。
  21. 曲面形状部分を有するように熱加工することを特徴とする請求項20に記載の強化ガラスの製造方法。
  22. 段付き形状部分を有するように熱加工することを特徴とする請求項20又は21に記載の強化ガラスの製造方法。
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