JP5545272B2 - Iii族窒化物半導体発光素子 - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子 Download PDF

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Description

本発明は、インジウム組成が相違する複数の窒化ガリウム・インジウム層を含む発光層を備えたIII族窒化物半導体発光素子に関し、特に、インジウム組成の相違に対応して異なるピーク波長を有する複数の光を発せられる発光ダイオード(英略称:LED)等のIII族窒化物半導体発光素子に関する。
従来から、窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)は、深緑色や青色等の可視光を発する発光素子用途の発光層として利用されている(特許文献1参照)。また、例えば、亜鉛(元素記号:Zn)を添加(ドーピング)したインジウム組成の大きなGa0.4In0.6N層は赤色発光用の材料として有用であることが示されている(特許文献1参照)。
発光層は、数的に単一な窒化ガリウム・インジウム層のみならず、インジウム組成が相違する数的に複数の窒化ガリウム・インジウム層を用いた超格子(super lattice)構造から構成される場合もある(非特許文献1参照)。また例えば、インジウム組成が一定な複数の窒化ガリウム・インジウム層を井戸(well)層とし、窒化ガリウム(GaN)層を障壁(barrier)層とする重層単位を複数、積層させた多重量子井戸(英略称:MQW)構造から構成する技術例がある(特許文献2乃至4、非特許文献2参照)。
MQW構造の如く、複数の井戸層と複数の障壁層を利用して発光層を形成する場合、電気導電性に優れる発光層となすために、不純物を故意に添加(ドーピング(doping))した窒化ガリウム・インジウム層や窒化ガリウム層を用いる場合がある(非特許文献3参照)。窒化ガリウム等のIII族窒化物半導体についてのn型不純物としては、シリコン(元素記号:Si)(特許文献5参照)、ゲルマニウム(元素記号:Ge)、テルル(元素記号:Te)、セレン(元素記号:Se)が例示されている(特許文献6参照)。
特公昭58−3834号公報 特開平6−164055号公報 特開平6−268257号公報 特開平10−22525号公報 特開平11−40850号公報 特許第2576819号公報
Shuji NAKAMURA他、「InXGa(1−X)N/InyGa(1−y)N superlattices grown on GaN films"」、ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Journal of Applied Physics)、アメリカ合衆国、1993年9月、第74巻、第6号、p.3911−3915頁 Shuji NAKAMURA他、「InGaN−Based Multi−Quantum−Well−Structure Laser Diodes"」、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1996年1月、第35巻、Part 2、No.1B、p.p.L74−L76 Shuji NAKAMURA他、「High−Brightness InGaN Blue, Green and Yellow Light−Emittinng Diodes with Quantum Well Structures」、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1995年7月、第34巻、Part 2,No.7A,p.p.L797−L799
インジウム組成が同一な複数の窒化ガリウム・インジウム層を重層させる場合ならまだしも、インジウム組成が相違する窒化ガリウム・インジウム層を重層させて発光層を構成しても、インジウム組成の濃度差に起因してインジウムの拡散が生ずる。
また、インジウム組成が相違する複数の窒化ガリウム・インジウム層を用いてMQW構造の様な超格子構造の発光層を構成する場合も、窒化ガリウム・インジウム層の中間に単純に設けられた障壁(バリア)層では、インジウムの拡散を充分に抑制できない。このため、インジウム組成の大小に対応したピーク(peak)波長が異なる複数の光を得ようとしても、異なるピーク波長を有する光が予め企図した様には得られない問題がある。
本発明の目的は、インジウム組成の大小に対応したピーク波長が異なる複数の光を得ようとしても、異なるピーク波長を有する発光が企図した様には得られないという問題を解決することにある。
本発明は、上記の従来技術に伴う問題を解決するためになされたものである。本発明者は、量子井戸(英略称:QW)構造をなす従来の障壁(barrier)層は、電子或いは正孔の輸送に対する障壁層であるため、インジウム原子の拡散(diffusion)を十分に安定して抑止する拡散バリア層とは成り得ていないことに着目し、インジウム組成が相違する複数の窒化ガリウム・インジウム層を用いて発光層を形成するに際し、インジウム組成の濃度差に起因するインジウム原子の拡散を抑制するのに適する発光層の積層構成を提示する。
かくして、下記[1]〜[8]に係る発明が提供される。
[1]請求項1に係る発明は、pn接合型のIII族窒化物半導体発光素子であって、第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の導電性を示す第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、前記第1の半導体層と接続する第1の電極と、前記第2の半導体層の表面に設けた第2の電極と、を備え、前記積層半導体層の前記発光層は、1のインジウム組成を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層と、前記第1の窒化ガリウム・インジウム層より前記発光層からの発光の取り出し方向側に配置され、前記第1のインジウム組成より小さい組成の第2のインジウム組成を有する第2の窒化ガリウム・インジウム層と、前記第1の窒化ガリウム・インジウム層と前記第2の窒化ガリウム・インジウム層との間に設けられ、当該第1の窒化ガリウム・インジウム層及び当該第2の窒化ガリウム・インジウム層を構成する材料より格子定数が小さい材料からなる中間層と、を含む構造単位を有し、前記中間層の厚さtは、前記第1のインジウム組成(X )と前記第2のインジウム組成(X )との差分をΔIn(=X −X )とした場合に、900×ΔIn≦t(nm)≦1100×ΔInの範囲であることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子である。
[2]請求項2に係る発明は、前記発光層は、前記構造単位を複数有し、複数の当該構造単位のうち、当該発光層における複数の前記第1のインジウム組成の中の最大のインジウム組成を有する前記第1の窒化ガリウム・インジウム層を含む造単位が、当該発光層からの前記発光の取り出し方向に向かい最下層に配置されることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
[3]請求項3に係る発明は、前記発光層は、前記構造単位を複数有し、複数の当該構造単位のうち、当該発光層における複数の前記第2のインジウム組成の中の最小のインジウム組成を有する前記第2の窒化ガリウム・インジウム層を含む造単位が、当該発光層からの前記発光の取り出し方向に向かい最上層に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
[4]請求項4に係る発明は、前記第1のインジウム組成と前記第2のインジウム組成との差分ΔInは、0.05未満であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
[5]請求項5に係る発明は、前記構造単位における前記中間層が、III族−V族化合物半導体から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
[6]請求項6に係る発明は、前記III族−V族化合物半導体が、窒化アルミニウム・ガリウムであることを特徴とする請求項5に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
[7]請求項7に係る発明は、前記構造単位における前記中間層が、III族元素又はV族元素より原子半径が小さい元素からなるドナー不純物を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
[8]請求項8に係る発明は、前記構造単位における前記中間層が、前記ドナー不純物としてシリコンを含み、前記中間層におけるシリコンの濃度N Si は、0.8×10 20 ×ΔIn≦N Si ≦1.2×10 20 ×ΔInの範囲であることを特徴とする請求項6に記載のIII族窒化物半導体発光素子である。
本発明によれば、III族窒化物半導体発光素子において、インジウム組成の濃度差に対応した異なるピーク波長の複数の光を発する窒化ガリウム・インジウム層を備えた発光層を得ることができる。
すなわち、インジウム組成が相違する複数の窒化ガリウム・インジウム層の間に中間層を配置して発光層を構成することにより、1個の窒化ガリウム・インジウム層から他の窒化ガリウム・インジウム層へインジウムが侵入することによるインジウム組成の変動が抑制される。かかる発光層は、ピーク波長が異なる複数の光を同時に出射できる多波長発光素子に適用できる。
本実施の形態が適用されるIII族窒化物半導体としてのLEDチップの一例を示す断面模式図である。 LEDチップの発光層の一例を示す断面模式図である。 実施例1で作製した発光層からのフォトルミネッセンススペクトルである。 比較例1で作製した発光層からのフォトルミネッセンススペクトルである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
<LEDチップ10>
図1は、本実施の形態が適用されるIII族窒化物半導体発光素子としてのLEDチップ10の一例を示す断面模式図である。
ここでは、III族窒化物半導体発光素子の一例としてLEDチップ10を用いて説明する。図1に示すように、LEDチップ10は、基板101と、基板101上に積層される窒化アルミニウム(AlN)層102とを備える。さらに、LEDチップ10は、窒化アルミニウム層102上に積層される積層半導体層100と、積層半導体層100上に成膜された透明導電膜108とを備えている。
積層半導体層100は、窒化アルミニウム層102側から、第1の導電型を有する第1の半導体層としてのn型半導体層からなる下部クラッド層103と、下部クラッド層103上に積層される発光層104と、発光層104上に積層される第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層としてのp型半導体層からなる上部クラッド層106とを有する。発光層104の詳細な構造は後述する。
また、LEDチップ10は、下部クラッド層103の一部を切り欠くことによって露出した半導体層露出面に形成された第1の電極としてのn型オーミック電極107と、上部クラッド層106の表面のほぼ全体に成膜した透明導電膜108の一部の領域に形成した第2の電極としてのp型電極109を有している。
本実施の形態のLEDチップ10は、基板101とは反対側の面側に第1の電極としてのn型オーミック電極107および第2の電極としてのp型電極109が形成された構造を有している。このLEDチップ10においては、n型オーミック電極107を負極、p型電極109を正極とし、両者を介して積層半導体層100(下部クラッド層103/発光層104/上部クラッド層106)に電流を流すことで、発光層104が発光するようになっている。
本実施の形態では、基板101としては、例えば、ガラス基板、極性又は無極性の結晶面を表面とするサファイア(α−Al単結晶)や酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物結晶、6H又は4H又は3C型炭化シリコン(SiC)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)等の半導体結晶が挙げられる。また、基板101として、サファイア基板上の窒化ガリウム等のIII族窒化物半導体層やシリコン基板上のリン化硼素(BP)等のIII―V族化合物半導体からなるエピタキシャル(epitaxial)成長層を用いることができる。
窒化アルミニウム層102は、例えば、アルミニウム(Al)単体金属をアルミニウム源として、基体温度を780℃としてアンドープ(undope)の高抵抗の半導体層として成膜される。
本実施の形態では、下部クラッド層103は、例えば、シリコン(Si)単体をドーピング源として、シリコン(Si)ドープn型窒化ガリウム(GaN)等を用いて成膜される。
上部クラッド層106は、例えば、マグネシウム(元素記号:Mg)をドーピングしたp型窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlGa1−XN)等を用いて成膜される。
透明導電膜108は、例えば、インジウム・錫複合酸化物(英略称:ITO)、インジウム・亜鉛(元素記号:Zn)・錫複合酸化物(英略称:IZTO)等を用いて成膜される。
(発光層104)
図2は、LEDチップ10の発光層104の一例を示す断面模式図である。図2(a)は、複数の中間層を設けた発光層104の一例である。図2(a)中のIは、発光層104から出射される光の取り出し方向(発光の取り出し方向I)であり、発光は下部クラッド層103とは反対側の発光層104の表面104A側から取り出す様式である。
図2(b)は、他の実施の形態の一例である。図2(b)中のIIは、発光層204から出射される光の取り出し方向(発光の取り出し方向II)であり、発光は発光層204の表面204Aとは反対側の下部クラッド層203側から取り出す様式である。
本実施の形態では、図1に示すように、LEDチップ10の発光層104は、基板101や基板101上の成長層上に形成した下部クラッド層103を下地層として形成されている。
図2(a)に示すように、発光層104は、下部クラッド層103上面に順に成膜された、インジウム組成が相違する複数のn型窒化ガリウム・インジウム層(組成式Ga1−XInN:0<X≦1)と、n型窒化ガリウム・インジウム層の間に設けられた拡散バリア層である窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlαGa1−αN:0≦α<1)からなる中間層と、を含む構成単位を有している。
本実施の形態では、n型窒化ガリウム・インジウム層として、第1のインジウム組成(X)を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層104a(組成式Ga1−X1InX1N:0<X≦1)と、第2のインジウム組成(X)を有する第2の窒化ガリウム・インジウム層104b(組成式Ga1−X2InX2N:0<X<1)と、第3のインジウム組成(X)を有する第3の窒化ガリウム・インジウム層104c(組成式Ga1−X3InX3N:0<X<1)が形成されている。拡散バリア層(中間層)としては、第1の中間層105a及び第2の中間層105bが形成されている。
本実施の形態では、発光層104を構成するn型窒化ガリウム・インジウム層のインジウム組成は、下部クラッド層103又は上部クラッド層106を形成する半導体層中のインジウム組成より大きくなるように設定する。発光層104を構成するn型窒化ガリウム・インジウム層のインジウム組成は、所望する光のピーク波長に対応して適宜決定する。その決定方法としては、例えば、前記特許文献1に記載されているように、インジウム組成と禁止帯幅の関係に基づいて決定する方法が挙げられる。この場合、公知の非線形因子(bowing parameter)に若干の濃度差があるとしても、インジウム組成が高い程、発せられる光の波長は長波長となることには変わりはない。
本実施の形態では、発光層104を構成するための複数のn型窒化ガリウム・インジウム層(第1の窒化ガリウム・インジウム層104a〜第3の窒化ガリウム・インジウム層104c)のインジウム組成は、発光の取り出しの方向Iに向かって、第1の窒化ガリウム・インジウム層104aの第1のインジウム組成(X)より、第2の窒化ガリウム・インジウム層104bの第2のインジウム組成(X)が小さく、さらに、第2の窒化ガリウム・インジウム層104bの第2のインジウム組成より、第3の窒化ガリウム・インジウム層104cの第3のインジウム組成(X)が小さくなるように形成されている(X<X<X)。
すなわち、本実施の形態では、発光層104を構成する複数のn型窒化ガリウム・インジウム層(第1の窒化ガリウム・インジウム層104a〜第3の窒化ガリウム・インジウム層104c)の中でも、最も大きいインジウム組成(第1のインジウム組成(X))を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層104aを、発光の取り出し方向Iと反対側であって下部クラッド層103に最も近い位置に配置している。これにより、発光層104におけるインジウム組成の中の最大のインジウム組成(第1のインジウム組成(X))を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層104aを含む構造単位が、発光層104の発光の取り出し方向Iに向かい最下層として配置されている。
本実施の形態では、さらに、複数のn型窒化ガリウム・インジウム層の中でも、最も小さいインジウム組成(第3のインジウム組成(X))を有する第3の窒化ガリウム・インジウム層104cを、下部クラッド層103から見て発光の取り出し方向Iの最も遠い位置(発光層104の表面104A)に配置している。これにより、最も小さいインジウム組成(第3のインジウム組成(X))を有し、最も短波長の光を発する第3の窒化ガリウム・インジウム層104cが、発光の取り出し方向Iの最上層として配置される。このため、発光の取り出し方向Iにおいて、発光層104内のより上方に位置する窒化ガリウム・インジウム層による光の吸収が抑制され、強度的に高い光が効率的に外部へ取り出される。
本実施の形態では、発光の取り出し方向Iを示したように、発光層104の上方に設ける上部クラッド層106を透過させて外部へ光を取り出す様式のLEDチップ10(図1)を採用している。
すなわち、本実施の形態(図2(a))では、III族窒化物半導体等の広い禁止帯幅の半導体材料から構成する下部クラッド層103及び上部クラッド層106の中間の位置に配置する発光層104において、下部クラッド層103に最も近接させて、最も大きいインジウム組成(X)を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層104aを配置している。
一方、後述するように、発光層104の成長時に下部クラッド層103を下地層として利用するのに変わりは無いものの、光学的に透明な基板101を使用することを利用して、基板101の裏面側から外部へ光を取り出す、所謂、アップサイドダウン型のマウント(支持)を予定しているLEDチップの場合、上部クラッド層106に最も近接させて最も大きいインジウム組成を有する窒化ガリウム・インジウム層を配置する。
本実施の形態では、発光層104の一構成要素である中間層(105a,105b)は、インジウム組成が相違する2個の窒化ガリウム・インジウム層(104aと104b、104bと104c)の中間の位置にそれぞれ配置されている。本実施の形態では、窒化ガリウム・インジウム層(104a,104b,104c)と中間層(105a,105b)を交互に反復して積層させ、中間層(105a,105b)を2個の窒化ガリウム・インジウム層の中間に挟む構造として発光層104を構成している。
本実施の形態では、2個の窒化ガリウム・インジウム層(104aと104b、104bと104c)の間に位置する中間層(105a,105b)は、その両側に位置する何れの窒化ガリウム・インジウム層よりも格子定数が小さい材料から構成することが望ましい。本実施の形態では、窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlαGa1−αN:0≦α<1)から構成している。窒化アルミニウム・ガリウムに比べてガリウムを含まない((アルミニウム組成)α=1)窒化アルミニウム(AlN)は禁止帯幅が広く、発光層104の電気抵抗が増加するため、用いることは好ましくない。発光層104をなす中間層(105a,105b)も窒化ガリウム・インジウム層と同一の伝導型の層から構成するのが好適である。例えば、中間層(105a,105b)と窒化ガリウム・インジウム層の双方をn型の導電層から構成する。
本実施の形態では、2個の窒化ガリウム・インジウム層(104aと104b、104bと104c)の間に配置する中間層(105a,105b)は、中間層(105a,105b)の一方の側に在る窒化ガリウム・インジウム層から、中間層(105a,105b)の他の側に在る窒化ガリウム・インジウム層へ拡散により侵入するインジウムの量を減ずる作用をする。
本実施の形態では、中間層(105a,105b)の層厚は、両側の窒化ガリウム・インジウム層のインジウム組成(X,X,X)の濃度差(ΔIn:本実施の形態では、(X−X,X−X))の大小に依り変化させると、よりその作用を発揮できる。中間層(105a,105b)の厚さは、両側に配置された窒化ガリウム・インジウム層のインジウム組成の濃度差(ΔIn)が大である程、大きくすることが好ましい。また、窒化ガリウム・インジウム層(104a,104b,104c)や中間層(105a,105b)の成長温度が高ければ、インジウム原子の拡散がより顕著に進むことから、窒化ガリウム・インジウム層を成長させる際の成長温度に依り変化させることが好ましい。
本実施の形態では、分子線エピタキシャル(英略称:MBE)法により、シリコン基板の{111}表面上に形成した窒化ガリウムからなる下部クラッド層103上に、基板101の温度を480℃としてインジウム組成が相違する複数の窒化ガリウム・インジウム層を重層させる場合を一例として挙げる。この場合、各中間層(105a,105b)の両側に在る窒化ガリウム・インジウム層のインジウム組成(X,X,X)の濃度差(ΔIn)が、例えば、0.02であれば、中間層(105a,105b)の厚さは、8nm〜22nmとするのが望ましい。インジウム組成の濃度差(ΔIn)が過度に小さいと、窒化ガリウム・インジウム層内のインジウム原子の拡散は顕著には生じない。この場合、厚い拡散バリア層としての中間層(105a,105b)を配置すると、発光層104の電気的抵抗が増加する傾向がある。
本実施の形態では、シリコンを添加したn型窒化ガリウムからなる下部クラッド層103上に複数の窒化ガリウム・インジウム層(104a,104b,104c)を形成する場合、下部クラッド層103の表面近傍の領域で、シリコン等の不純物の原子濃度を減少させた窒化ガリウム層を下部クラッド層103として用いることが好ましい。これにより、所望のインジウム組成を有する窒化ガリウム・インジウム層が得られ易くなる。また、ガリウムよりも原子半径が小さいシリコン等の原子濃度を減少させることにより、窒化ガリウムの結晶格子の縮みを抑制でき、窒化ガリウムより格子定数の大きな窒化ガリウム・インジウム層を形成するのに格子ミスフィットを緩和できる。
本実施の形態では、中間層(105a,105b)の層厚を増せば、中間層(105a,105b)の両側に在る窒化ガリウム・インジウム層(104a,104b,104c)の相互間でのインジウム原子の拡散を防止するのにより効果を奏する。一方で、窒化ガリウム・インジウム層(104a,104b,104c)から発せられる光を透過するために、中間層(105a,105b)を窒化ガリウム・インジウム層(104a,104b,104c)よりも広い禁止帯幅の材料から構成すると、発光層104の電気抵抗は増加する。このため、本実施の形態では、中間層(105a,105b)の層厚の増加に応じて、中間層(105a,105b)内のドナー不純物の原子濃度を高めることが好ましい。即ち、発光層104を構成する複数の中間層(105a,105b)にあって、最も厚い中間層は、最も高濃度にドナー不純物を含むものであることが好ましい。
本実施の形態では、例えば、インジウム組成が相違する2層の窒化ガリウム・インジウム層104aと104b、104bと104c)と、両層の中間に一層の中間層(105a,105b)を設けて発光層104を構成する場合、拡散バリア層である中間層(105a,105b)の層厚は、中間層(105a,105b)の両側に在る2層の窒化ガリウム・インジウム層(104aと104b、104bと104c)のインジウム組成の濃度差が大きい程、厚くするのが好ましい。また、ドナー不純物の原子濃度も高くするのが好ましい。
本実施の形態では、中間層(105a,105b)は、III族窒化物半導体等の広い禁止帯幅を有するIII−V族化合物半導体から構成することが好ましい。このような中間層(105a,105b)に含まれるドナー不純物としては、元素周期律の第IV族に属するシリコン、ゲルマニウム、錫(元素記号:Sn)等を例示できる。これらの中でも中間層(105a,105b)をなすIII−V族化合物半導体を構成するIII族元素又はV族元素よりも原子半径が小さい元素からなるドナー不純物が好ましい。
原子半径が小さい元素からなるドナー不純物を含むことにより結晶の格子が縮む様にすると、原子半径が大きいインジウム(原子半径=1.66オングストローム(単位:Å)、1Å=0.1nm)の通過を妨げるに効力を奏する。
本実施の形態では、例えば、中間層(105a,105b)を窒化ガリウムから構成する場合、ガリウム原子(原子半径=1.41Å)より原子半径の小さなシリコン(原子半径=1.32Å)やゲルマニウム(元素記号:Ge,原子半径=1.37Å)は、ドナー不純物として好適に利用できる。
シリコン(Si)を含む中間層(105a,105b)は、有機金属気相堆積(MOCVD又はMOVPE等と略称される)法、MBE法、ハイドライド(hydride)法、ハライド(halyde)法等の気相成長法により形成できる。
MOCVD法等では、シラン(分子式:SiH)やメチルシラン類(分子式:(CHSiH4−X)等のシラン類をシリコン(Si)のドーピング源として使用できる。また、ゲルマン(分子式:GeH)等をゲルマニウムのドーピング源として使用できる。MBE法では、高純度のシリコンやゲルマニウムを、シリコンやゲルマニウムのドーピング源として使用できる。
これらの成長手段にあって、中間層(105a,105b)の内のドナー不純物の原子濃度は、5×1017原子/cmから2×1019原子/cmであることが望ましく、ドナー不純物の濃度は、成長反応系へのドーピング源の供給量を増減させて調節する。中間層(105a,105b)内のドナー不純物の原子濃度は、例えば、2次イオン質量分析法(英略称:SIMS)により定量できる。
図2(b)は、複数の中間層を設けた発光層204の他の実施の形態の一例である。
図2(b)に示す発光層204は、n型窒化ガリウムからなる下部クラッド層203上に形成されており、発光は下部クラッド層203側から取り出す様式(発光の取り出し方向II)となっている(アップサイドダウン型或いはフェースダウン型と呼称される発光の取り出し様式である)。発光層204は、第1のインジウム組成(A)である第1の窒化ガリウム・インジウム層204aと、第2のインジウム組成(B:但し、B<A)である第2の窒化ガリウム・インジウム層204b及び第2のインジウム組成である第3の窒化ガリウム・インジウム層204cを有している。さらに、第1の窒化ガリウム・インジウム層204aと第2の窒化ガリウム・インジウム層204bとの間に、窒化アルミニウム・ガリウムからなる中間層205aが形成されている。
本実施の形態では、最も小さいインジウム組成(B)を有する第2の窒化ガリウム・インジウム層204b及び第3の窒化ガリウム・インジウム層204cを、下部クラッド層203に最も近接させて配置し、最も大きいインジウム組成(A)を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層204aを、発光層204の表面204Aに配置し、発光の外部への取り出し効率を上げている。
本実施の形態では、1個の中間層205aが、インジウム組成が相違する2個の窒化ガリウム・インジウム層(第1の窒化ガリウム・インジウム層204a,第2の窒化ガリウム・インジウム層204b)の間に設けられている。これは、第2の窒化ガリウム・インジウム層204bと第3の窒化ガリウム・インジウム層204cとのインジウム組成が等しいので、層間でインジウム原子の拡散が生じないためである。もし、インジウム組成が等しい2個の窒化ガリウム・インジウム層の間に中間層を挿入する場合は、順方向電流の通流の妨害とならない様な薄い層とすることが好ましい。
本実施の形態が適用されるLEDチップ10には、発光層104を構成する窒化ガリウム・インジウム層よりも広い禁止帯幅を有する半導体材料からなる上部クラッド層106を発光層104上に設ける。上部クラッド層106は、例えば、窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶(組成式AlαGaβInγN:α+β+γ=1)から構成される。上部クラッド層106には、同層の電気伝導型に対応させてオーミック(Ohmic)電極を敷設する。
本実施の形態では、例えば、p型窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlαGaβN:α+β=1)からなる上部クラッド層106には陽極(+)オーミック電極を設ける。陽極(+)オーミック電極としては、発光の外部への取り出しに支障を来たさない透明な導電性酸化物膜等が好ましく用いられる。本実施の形態では、例えば、インジウム・錫複合酸化物(英略称:ITO)膜やインジウム・亜鉛(元素記号:Zn)・錫複合酸化物(英略称:IZTO)膜からなる透明導電膜108を、上部クラッド層106上に成膜している。そして、透明導電膜108の上に電源端子との接続に用いられるp型電極109を配置している。
また、発光層104下の窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶等からなる下部クラッド層103には、同層の電気伝導型に対応したオーミック電極を敷設する。例えば、n型窒化ガリウム層からなる下部クラッド層103には、それに電気的に接触する陰極(−)オーミック電極を設ける。陰極電極は設けるにあたって必要ならば、その電極を形成する領域に或る上部クラッド層及び発光層をドライエッチング法等に依り除去する。本実施の形態では、下部クラッド層103の一部を切り欠くことによって露出した半導体層露出面に形成された陰極電極としてのn型オーミック電極107を形成している。
次に、本発明を、実施例および比較例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図2に示した構造の発光層104を有し、図1に示す構造のIII族窒化物半導体からなるLEDチップ10を作製し、発光素子としての性能を測定した。
(111)結晶面を表面とするアンチモン(元素記号:Sb)ドープn型(111)−シリコン(Si)からなる基板101の表面上に、分子線エピタキシャル(MBE)法により、後記のIII族窒化物半導体各層を成長させた。窒素源には、窒素ガスを高周波(13.56MHz)で励起した(励起電力=330ワット(電力単位:W))窒素プラズマを用いた。基板101と対向する窒素プラズマを発生させるためのセル(cell)の開口部には、直径を0.5mmとした微細な孔を複数、穿孔した円形噴出板を設け、250nm以上で370nm以下の波長領域の窒素分子の第二正帯に因る発光ピークの強度を減少させた。これにより、窒素分子の第二正帯に因る発光ピークの強度を、波長を745nmとする原子状窒素の発光ピークの強度の1/10以下とする窒素プラズマ雰囲気を形成した。
上記の基板101の表面上には、アルミニウム(Al)単体金属をアルミニウム源として、基体温度を780℃としてアンドープ(undope)の高抵抗の窒化アルミニウム(AlN)層102(層厚=30nm)を成長させた。成長時のステンレス鋼製の成長チャンバー内の圧力は5×10−3パスカル(圧力単位:Paとした。次に、窒化アルミニウム層102上に、シリコン(Si)単体をドーピング源として、シリコン(Si)ドープn型窒化ガリウム(GaN)からなる下部クラッド層103(層厚=3μm、キャリア濃度=2×1018cm−3)を成長させた。ガリウム(Ga)のフラックス(flux)量は、1.1×10−4Paとした。成長時の成長チャンバー内の圧力は5×10−3Paとした。下部クラッド層103をなす窒化ガリウム層の成長の途中時及び終了時での表面再配列構造は、ガリウムを窒素よりも化学量論的に富裕に含むことを示す(2×2)構造であった。
次に、窒化ガリウム層からなる下部クラッド層103上に、窒素プラズマを発生させるために窒素ガスの流量を毎分0.7ccとして発光層104をなすn型の第1の窒化ガリウム・インジウム層104aを成長させた。3層の窒化ガリウム・インジウム層の中で最もインジウム組成が高い第1の窒化ガリウム・インジウム層104aは、インジウムのフラックス量を7.0×10−8Paとし、ガリウムのフラックス量を5.1×10−8Paとして形成した。第1の窒化ガリウム・インジウム層104aのインジウム組成は、0.08(=8%)とした。第1の窒化ガリウム・インジウム層104aの層厚は12nmとした。
引き続き、第1の窒化ガリウム・インジウム層(インジウム組成=0.08)104a上には、シリコン(Si)を添加したn型の窒化ガリウムからなる第1の中間層105aを形成した。第1の中間層105aを形成する際のガリウムのフラックス量は、上記の第1の窒化ガリウム・インジウム層104aの形成時と同じく5.1×10−8Paとした。インジウムのフラックスは、回転式シャッターを閉状態として遮断した。
第1の窒化ガリウム・インジウム層104aの次には、インジウム組成を0.06(=6%)とする第2の窒化物ガリウム・インジウム層104bを設けることを予定した。第1の窒化物ガリウム・インジウム層104a(In組成=0.08)と第2の窒化物ガリウム・インジウム層104bのインジウム組成の濃度差(ΔIn)が0.02であるので、第1の中間層105aは、次の関係式(1)から求められる範囲内の厚さとした。即ち、第1の中間層105aの厚さは、21nmとした。尚、関係式(1)は、インジウム組成の濃度差が小さな(ΔIn<0.05)ときに良く適合する。
900×ΔIn≦t(nm)≦1100×ΔIn・・・(関係式(1))
また、一般的なSIMS分析によれば、第1の中間層105aの内部でのシリコンの原子濃度は略一定で、1.7×1018原子/cmであった。
次に、インジウムを収納するセルに付帯するシャッターを開け、ガリウムのフラックス量を5.1×10−8Paとしつつ、第1の中間層105a上に、予定どおりのn型の第2の窒化ガリウム・インジウム層104bを形成した。第1のインジウム組成より0.02小さい0.06とした。インジウムのフラックス量は、5.5×10−8Paとした。第2の窒化ガリウム・インジウム層104bの層厚は18nmとした。
経時的に続けて、第2の窒化ガリウム・インジウム層104b(インジウム組成=0.06)上には、シリコン(Si)を添加したn型の窒化ガリウムからなる第2の中間層105bを形成した。第2の中間層105bを形成する際のガリウムのフラックス量は、上記の第1の中間層105aの形成時と同じく5.1×10−8Paとした。インジウムのフラックスは回転式シャッターを閉にして遮断した。n型窒化ガリウムからなる第2の中間層105b上には、インジウム組成を0.03(3%)とする第3の窒化ガリウム・インジウム層104cを設けることとした。従って、第2の窒化ガリウム・インジウム層104b(In組成=0.06)と第3の窒化ガリウム・インジウム層104cのインジウム組成の濃度差(ΔIn)が0.03であるので、第2の中間層105bの厚さは、30nmとした。
第2の中間層105bのシリコンの原子濃度は、上記の第1の中間層105aよりも高くした。第2の中間層105bの層内のシリコンの原子濃度(Nsi(原子/cm))は、次記する関係式(2)で求められる範囲内の濃度である3×1018原子/cmとした。
0.8×1020×ΔIn≦Nsi≦1.2×1020×ΔIn・・・(関係式(2))
関係式(2)の式中に記載の記号ΔInは、中間層の両側に配置された2個の窒化ガリウム・インジウム層(第2の窒化物ガリウム・インジウム層104b,第3の窒化物ガリウム・インジウム層104c)のインジウム組成の濃度差である。
次に、インジウムを収納するセルに付帯するシャッターを開け、ガリウムのフラックス量を5.1×10−8Paとしつつ、第2の中間層105b上に、n型の第3の窒化ガリウム・インジウム層104cを形成した。第3の窒化ガリウム・インジウム層104cのインジウム組成は、第1の窒化物ガリウム・インジウム層104a及び第2の窒化物ガリウム・インジウム層104bの何れよりも更に小さく、0.03とした。インジウムのフラックス量は、4.0×10−8Paとした。第3の窒化ガリウム・インジウム層104cの層厚は15nmとした。
インジウム組成が相違する第1の窒化ガリウム・インジウム層104a〜第3の窒化ガリウム・インジウム層104cと、それらの層の中間に設けた窒化ガリウムからなる第1の中間層105a及び第2の中間層105bとからなる発光層104を形成した後、積層した構造体を一旦、MBE成長チャンバーから外部へ取り出して、発光層104のからのルミネッセンスのスペクトルを測定した。
図3は、本実施例で作製した発光層104からのフォトルミネッセンス(英略称:PL)スペクトルである。図3に示すように、第1の窒化ガリウム・インジウム層104a〜第3の窒化ガリウム・インジウム層104cのインジウム組成に対応し、ピーク(peak)波長が365nm、386nm及び395nmとする発光が測定された。
室温でのPLスペクトル測定を終了した後、再び、積層構造体をMBEチャンバー内に戻した。チャンバー内の真空度が安定してから、発光層104上にマグネシウム(元素記号:Mg)をドーピングしたp型窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlGa1−XN)からなる上部クラッド層106を形成した。上部クラッド層106をなす窒化アルミニウム・ガリウム層のアルミニウム組成(X)は、上記の第3の窒化ガリウム・インジウム層104cとの接合面で0.10とした。アルミニウム組成は、層厚が20nmに達した所で0.03となる様に直線的に減少させた。そこから更に、表面に向けてアルミニウム組成が0となる様に、直線的に変化させた。
アルミニウム組成に勾配を付した窒化アルミニウム・ガリウム層からなる上部クラッド層106及び発光層104の一部の領域を一般的なドライエッチング法により除去した。この除去により露出させた下部クラッド層103の表面にn型オーミック電極107を設けた。残置させた上部クラッド層106の表面のほぼ全体にインジウム・亜鉛・錫複合酸化物(英略称:IZTO)からなる透明導電膜108を被着させた。透明導電膜108の一部の領域には、p型電極109を形成した。
然る後、一般的な裁断法により一辺の長さを350μmとする個別のLEDチップ10とし、LEDの光学的及び電気的特性を測定した。上部クラッド層106側から外部へ出射される光のスペクトルは、図4に示すPLスペクトルとピーク波長及び相対的な発光強度共々、同等であった。順方向電圧を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。20mAの順方向電流の経時変化(電流ドリフト)を測定したところ、通流を開始した後から25分間後の順方向電流に経時的な変化は殆どなかった。
(比較例1)
本比較例では、上記の実施例1で作製したLEDチップ10において、第1の中間層105a〜第2の中間層105bを有しない構造の発光層104を形成した。すなわち、実施例1において作製した窒化ガリウムからなる下部クラッド層103上に、インジウム組成が相違する第1の窒化ガリウム・インジウム層104a〜第3の窒化ガリウム・インジウム層104cを連続的に形成した。ここで、連続的とは、第1の窒化ガリウム・インジウム層104a〜第3の窒化ガリウム・インジウム層104cの中間に中間層を一切配置せず、これら各層を順次積層させたことを意味する。
次に、このような操作を経て作製したLEDチップについて、実施例1と同様に発光素子としての性能を測定した。
図4は、本比較例で作製した発光層からのフォトルミネッセンススペクトルである。図4のフォトルミネッセンススペクトルに示すように、中間層を用いずに発光層104を構成した場合は、ピーク波長が約372nmとする半値幅が広い唯一の発光が得られるのみであった。即ち、中間層を省くことにより、発光層104を構成する窒化ガリウム・インジウム層の相互間でのインジウムの拡散を充分に防止できず、結局、インジウム組成に対応した複数のピーク波長を呈する発光が得られないことが如実に示される結果となった。
産業上の利用分野
波長が異なる多波長の光を出射する機能とは、換言すれば、波長が相違する複数の光を吸収する機能である。従って、本実施の形態が適用されるIII族窒化物半導体発光素子における発光層は、単一の波長の光のみでなく異なるピーク波長の光を発せられるので、波長が相違する複数の光を吸収する光電変換のための光吸収層、例えば、太陽電池用途の受光層としても利用できる。
10…LEDチップ、100…積層半導体層、101…基板、102…窒化アルミニウム層、103,203…下部クラッド層、104,204…発光層、104A,204A…発光層の表面、104a,204a…第1の窒化ガリウム・インジウム層、104b,204b…第2の窒化ガリウム・インジウム層、104c,204c…第3の窒化ガリウム・インジウム層、105a,205a…第1の中間層、105b…第2の中間層、106…上部クラッド層、107…n型オーミック電極、108…透明導電膜、109…p型電極

Claims (8)

  1. pn接合型のIII族窒化物半導体発光素子であって、
    第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の導電性を示す第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、
    前記第1の半導体層と接続する第1の電極と、
    前記第2の半導体層の表面に設けた第2の電極と、を備え、
    前記積層半導体層の前記発光層は、
    1のインジウム組成を有する第1の窒化ガリウム・インジウム層と、
    前記第1の窒化ガリウム・インジウム層より前記発光層からの発光の取り出し方向側に配置され、前記第1のインジウム組成より小さい組成の第2のインジウム組成を有する第2の窒化ガリウム・インジウム層と、
    前記第1の窒化ガリウム・インジウム層と前記第2の窒化ガリウム・インジウム層との間に設けられ、当該第1の窒化ガリウム・インジウム層及び当該第2の窒化ガリウム・インジウム層を構成する材料より格子定数が小さい材料からなる中間層と、を含む構造単位を有し、
    前記中間層の厚さtは、前記第1のインジウム組成(X )と前記第2のインジウム組成(X )との差分をΔIn(=X −X )とした場合に、900×ΔIn≦t(nm)≦1100×ΔInの範囲であることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  2. 前記発光層は、前記構造単位を複数有し、複数の当該構造単位のうち、当該発光層における複数の前記第1のインジウム組成の中の最大のインジウム組成を有する前記第1の窒化ガリウム・インジウム層を含む造単位が、当該発光層からの前記発光の取り出し方向に向かい最下層に配置されることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  3. 前記発光層は、前記構造単位を複数有し、複数の当該構造単位のうち、当該発光層における複数の前記第2のインジウム組成の中の最小のインジウム組成を有する前記第2の窒化ガリウム・インジウム層を含む造単位が、当該発光層からの前記発光の取り出し方向に向かい最上層に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第1のインジウム組成と前記第2のインジウム組成との差分ΔInは、0.05未満であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  5. 前記構造単位における前記中間層が、III族−V族化合物半導体から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  6. 前記III族−V族化合物半導体が、窒化アルミニウム・ガリウムであることを特徴とする請求項5に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  7. 前記構造単位における前記中間層が、III族元素又はV族元素より原子半径が小さい元素からなるドナー不純物を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  8. 前記構造単位における前記中間層が、前記ドナー不純物としてシリコンを含み、
    前記中間層におけるシリコンの濃度N Si は、0.8×10 20 ×ΔIn≦N Si ≦1.2×10 20 ×ΔInの範囲であることを特徴とする請求項7に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
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