JP5542537B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents

荷電粒子線装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5542537B2
JP5542537B2 JP2010136717A JP2010136717A JP5542537B2 JP 5542537 B2 JP5542537 B2 JP 5542537B2 JP 2010136717 A JP2010136717 A JP 2010136717A JP 2010136717 A JP2010136717 A JP 2010136717A JP 5542537 B2 JP5542537 B2 JP 5542537B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particle beam
charged particle
sample
metal plate
divided
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010136717A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012003909A (ja
Inventor
誠 鈴木
祐二 葛西
真 江角
直正 鈴木
宗行 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Corp
Original Assignee
Hitachi High Technologies Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Technologies Corp filed Critical Hitachi High Technologies Corp
Priority to JP2010136717A priority Critical patent/JP5542537B2/ja
Publication of JP2012003909A publication Critical patent/JP2012003909A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5542537B2 publication Critical patent/JP5542537B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、荷電粒子線を試料に照射して二次的に発生した荷電粒子信号を検出する装置に関するものであり、特に電子ビームを試料上で走査しながら試料から二次的に発生した信号電子を検出して画像化あるいは組成分析を行う走査型電子顕微鏡に関するものである。
荷電粒子線を試料に照射して二次的に発生した荷電粒子信号から試料画像形成あるいは試料分析を行う装置として、走査型電子顕微鏡がある。高精細な画像を得るためには、信号ノイズに対する信号振幅の比(SN比)を向上させる必要がある。信号取得に要する時間を長くすれば、累積信号量が多くなりSN比が向上する。しかし観察時間が長くなるため、応用上の制約となる。また、照射する電子線量を大きくすればSN比が向上するが、電子線源からの電子線取り込み角を多くしなければならず、レンズ収差が増大し空間分解能が劣化する。従って、観察時間と空間分解能を維持したままSN比を向上させるためには、検出信号量の最大化あるいは混入するノイズ量の最小化を行う必要がある。特許文献1にその一例が示されている。
一方、試料の形状,構造ないし材料を画像上で区別できるためには、異なる特徴を持つ部位からの信号量に十分な差異がなければならない。十分な差異がある状態をコントラストが大きいと呼ぶ。画像コントラストには、試料表面の形状をあらわす形状コントラスト,凹凸を強調した陰影コントラスト,試料表面の電位分布に対応した電位コントラスト,試料の組成を強調する材料コントラストなどが含まれる。例えば、陰影コントラストを強調するためには、文献L. Reimer, Scanning Electron Microscopy, 2nd Ed. (Springer Verlag, 1998), p. 191 に示されているとおり、異なる方向に放出した信号電子を、放出方向に応じて異なる検出効率で検出する方法が公表されている。信号の放出方向に応じた検出を行う場合、特定方向の信号電子を検出しないため、総信号量は低下し、従ってSN比も低下する。
形状コントラストあるいは陰影コントラストを向上させるため、信号電子を放出角度に応じて検出する方法については、特許文献2〜7に開示された方法が知られている。特開平8−273569号公報,特開2000−30654号公報,特開2006−228999号公報には、検出器を複数配置する方法が開示されている。WO00/19482号公報,特開2008−108592号公報,特開2008−186689号公報では、単一の検出器と複数の金属板を備え、信号電子の高速成分(反射電子または後方散乱電子)のうち様々な放出角度をもつ信号電子が異なる前記金属板に照射されるように前記金属板を配置する方法が開示されている。この方法によれば、金属板に印加する電圧を可変させることで検出できる放出角度範囲を制御することができる。
WO00/19482号公報に開示された方法では、金属板で信号電子を三次電子に変換する必要があるため、信号電子のうち、三次電子生成を行うのに十分な運動エネルギーを持っている高速成分のみが角度弁別の対象である。また特開2008−108592号公報,特開2008−186689号公報に開示された方法では、試料に負極性の高電圧が印加されているため、信号電子の低速成分(二次電子)であっても金属板位置で高い運動エネルギーをもつ。従って金属板から三次電子を発生させることができる。しかしこれらの特許文献では、前記高電圧により加速されてもその軌道が大きく変化しない信号電子の高速成分のみを角度弁別の対象としている。一方、信号電子の低速成分は加速電界と対物レンズ磁場により軌道が交錯し、角度弁別を行えるほど離れた位置に到着しない。
特開2000−11939号公報 特開平8−273569号公報 特開2000−30654号公報 特開2006−228999号公報 WO00/19482号公報 特開2008−108592号公報 特開2008−186689号公報 特開2006−332038号公報
L. Reimer, Scanning Electron Microscopy, 2nd Ed. (Springer Verlag, 1998), p. 191
ところが、走査型電子顕微鏡にて頻繁に使用される一次電子線の照射エネルギー領域(100eVから3000eV)では、信号電子の高速成分は低速成分に比べその発生量が1/3から1/20と小さいことが知られている。従って、WO00/19482号公報,特開2008−108592号公報,特開2008−186689号公報で開示されている方法はいずれも総信号量が少ない高速成分を角度弁別しているため、コントラストは高くてもSN比の低下が避けられない。また、特開平8−273569号公報,特開2000−30654号公報,特開2006−228999号公報に開示された方法では、弁別する角度領域の数だけ検出器が必要となり、様々な試料に対して検出角度を最適化するためには非常に多くの検出器が必要になり、装置の製造コストが増大する。さらに、特開2006−332038号公報に開示された方法のように、二次信号を電磁場により偏向する方法では、一次電子線の光軸曲がりを抑える方法(直交電磁界発生器、あるいはExBフィールド発生器)などが知られているが、一次ビームの偏向色収差を増大させるため、空間分解能の劣化が生じる。
本発明で解決すべき第一の課題は、高いSN比を維持しつつ形状コントラストや陰影コントラストを強調した荷電粒子線画像が得られる荷電粒子線装置を提供することにある。第二の課題は、第一の課題を、製造コストを抑えつつ解決する方法を提供することにある。さらに第三の課題は、第一と第二の課題を、高い空間分解能を維持したまま解決することにある。
第一の課題を解決するために、電子源から放出した一次電子線を試料上で走査する一次電子線照射系と、試料から発生した二次電子が前記電子源の方向に加速される加速電場とを備え、前記電子源と前記試料の間に複数に分割された金属板を備えた構成を用いる。前記金属板には、分割された領域に各々独立に電圧を印加する電源と電源制御手段が接続されている。さらに前記金属板には、前記一次ビームを試料へ導く通路となる通過穴をあける必要があるが、前記分割された領域のもっとも主要な部分あるいは中心は前記通過穴から十分離れた場所に設けることを特徴とする。またさらに前記金属板には、前記加速された二次電子が衝突し、金属板から発生した三次電子を検出器により検出する構成を用いる。前記分割を十分細かく行うことで、前記加速電場が存在しても信号電子の低速成分を角度ごとに分離することができる。従って高速成分で弁別するよりもSN比を向上できる。さらに、前記分割した金属板のうち、検出しない信号電子の角度成分が衝突する部位に前記電源と前記電源制御手段によって正の電圧を印加することにより、前記三次電子の発生を抑制することができ、角度弁別を行うことができる。前記試料から発生した信号電子の低速成分の中心が、前記分割中心やその他所望の分割部分に衝突させるために、信号電子を偏向させる偏向手段を備える。あるいは、前記信号電子の低速成分の中心位置に追従するように、前記分割した金属板の電圧配置を前記電源制御手段によって制御する。
第二の課題を解決するためには、上記分割した金属板の分割領域の数にくらべ、前記検出器の数を少なくすればよい。角度制御は前記金属板で行うため、検出器は一つであっても、異なる分割に電圧を印加することで、異なるコントラストをもつ画像を取得できる。従って、検出器や増幅アンプ,信号処理回路などの数を大幅に減らすことができ、コスト低減になる。
第三の課題は、第一の課題と同時に解決している。なぜなら、本発明の信号弁別は、前記金属板から発生した三次電子に対して行うのであって、三次電子は加速場を持たないために高々数10Vの印加電圧でその発生を抑制することができる。このため、数keVの運動エネルギーを有する一次電子線への悪影響(収差増大や軸曲がり)は無視できる。
本発明により、製造コストを抑えつつ、高い空間分解能を維持したまま、高SNを維持しつつ形状コントラストや陰影コントラストを強調した荷電粒子線画像が得られる。
本発明が適用される走査電子顕微鏡の一構成例。 信号電子のエネルギー分布。 TSEとBSEの放出効率。 実施例1の荷電粒子線装置の全体構成図。 二次電子の放出角の概念説明図。 金属板の説明図。 分割電極が形成する電位分布と3次電子の関係を示す概念図。 二次電子偏向手段の調整フロー図。 取得画像の模式図。 二次電子偏向量の調整フロー図。 二次電子偏向量の調整に用いる標準試料の模式図。 実施例2の分割電極の形状を示す図。 実施例3の分割電極が形成する電位分布と3次電子の関係を示す概念図。 実施例4の二次電子偏向手段の調整フロー図。 二次電子偏向量を決めるための格子を示す模式図。 実施例5の分割電極を示す模式図。 本実施例の角度選択検出の説明図。
図1は、本発明を適用した走査型電子顕微鏡であって、特に半導体ウェハや露光用マスク上に形成された回路パターンやレジストパターンを観察,寸法計測,形状計測,検査,欠陥レビューを行う電子線検査装置を示している。電子顕微鏡鏡筒1には電子放出源101が取り付けられており、電子源制御部201により制御され、一次電子線102の放出を行う。前記一次電子線は、レンズ制御部202により制御された一つ以上の集束レンズ103と電流制限絞り104によりその直径が最適化されたのち、同じくレンズ制御部202により制御された対物レンズ105により試料106上に焦点を結ぶ。前記一次電子線102は、偏向制御部203により制御された偏向器107により試料106上を走査され、その結果試料106から発生した二次電子線108を検出器109にて検出する。検出信号は増幅器204にて増幅され、表示部205に表示される。試料106には一次電子線を減速して試料上の照射エネルギーを制御する高圧電源206が接続されている。前記各制御部は中央制御部207によって統合的に制御される。制御値や調整値は記憶手段208に保存される。
図2に、信号電子のエネルギー分布を模式的に示す。信号電子108の低速成分は運動エネルギーが50eVよりも小さい信号と定義され、真の二次電子(True secondary electron,TSE)と称される。図2において108aで示される領域の信号である。TSEはエネルギーが数eVに大きなピークをもつ。50eVよりも高い運動エネルギーを持つものは高速成分と定義し、後方散乱電子(Backscattered electron,BSE)と称される。図2において108bで示される。BSEのエネルギー分布は試料の平均原子番号に強く依存し、大きい平均原子番号(Z1)を有する試料は、一次電子線102の入射エネルギーとほぼ等しいエネルギーにピークを持つ弾性散乱的な分布を示すのに対し、小さい平均原子番号(Z2)を有する試料は一次電子線102の入射エネルギーの半分程度のエネルギーにピークを持つ。
図3に、TSEとBSEの放出効率を模式的に示す。BSEの放出効率は試料の平均原子番号が大きいほど大きくなり、一次電子線の入射エネルギーにはほとんど依存しない。その大きさは、炭素やシリコンなどの軽元素で0.1から0.2、金などの重元素で0.4程度である。一方、TSEは一次電子線の入射エネルギーに大きく依存し、数100eVから3000eVの範囲でTSEの放出効率が1.0を上回る。
ここで述べる発明を実施するための最良の形態では、半導体ウェハや露光用マスク上に形成された回路パターンやレジストパターンを試料106と想定しているが、これらの材料を用いる場合、試料損傷や試料帯電を避ける目的で上記数100eVから3000eV程度の入射エネルギーが使用されることが一般的である。さらに窒素やシリコンなどの軽元素でこれらの材料が形成されていることが多い。従って、図3から導かれる結論として、TSEを検出信号の主成分とするほうが、BSEを主成分とするよりも多くの信号量を得ることができ、高いSN比が実現できる。以下では、さらに詳細に実施の形態を述べる。
(実施例1)
第一の実施の形態を、図4〜図7を参照して述べる。電子源101,一次電子線102,試料106,偏向器107については、図1と同様の構成である。試料106には、高圧電源206により負電圧が印加されており、一次電子線は100eVから3000eVまで減速され、前記試料106に衝突する。前記一次電子線は、偏向器107により試料106上を走査され、その結果、試料からは信号電子としてTSE108aとBSE108bが放出されるが、前記負電圧と鏡体1の接地電圧の間に電子にとっての加速電界が形成されるため、TSE108aとBSE108bは試料から電子源側へと加速される。本実施例では、試料に負電圧が印加されて鏡体が設置されている場合について述べたが、試料と鏡体の間の電界が信号電子にとって加速電界を形成すればよく、本実施例で述べた電圧配置と異なる電圧配置であっても本発明の効果に違いはない。
放出されるTSE,BSEは様々な放出角度をもって試料106から出射するが、図5に示すように、試料面に平行な方向から測った電子放出方向θを仰角と定義したとき、仰角の大きい信号ほど、信号電子の光軸に近い軌道を飛行し、仰角が小さい信号ほど、信号電子の光軸から離れた軌道を飛行する。また、エネルギーの高い信号電子(BSE)ほど信号電子の光軸から離れた軌道を飛行し、エネルギーの低い信号電子(TSE)ほど信号電子の光軸から離れた軌道を飛行する。
前記試料と前記電子源の間には、複数に分割された金属板300が配置されている。また、前記金属板と試料の間には二次電子軌道を一次電子軌道から離軸させるため、制御手段303によって制御される二次電子偏向手段112が備えられている。
金属板300の形状を図6に示す。金属板はA点を中心に同軸上に分割されており、A点とは異なる場所B点に前記一次電子線を試料へ導くための通路となる穴があいている。各分割領域300a,300b,300c・・・に対して独立に電圧源301a,301b,301c・・・がそれぞれ接続され、電源制御手段302によってその出力値が制御される。
図4に示す通り、試料から発生し加速されたTSE108aは、前記二次電子偏向手段112により離軸され、金属板300に衝突する。このとき、TSEの金属板上での到達位置分布の中心が、図6で示したA点とほぼ一致するように前記二次電子偏向手段112を調整しておく。この調整方法に関しては、詳しく後述する。この調整により、金属板300の中心の分割300aには、主にTSEが集中して衝突し、TSEのなかでも仰角の大きい成分が選択的に衝突する。実験によれば、仰角が60°よりも大きいTSE成分のみを選択的に分割300aに衝突させるには、分割領域の大きさを直径1mmから2mm程度まで小さくする必要があった。一方、一次電子線を通過させる穴も、光軸調整を容易に行う観点からその穴径を1mm程度確保する必要があり、上述したB点をA点から遠ざける構成は高い仰角のTSEを選択するためには本質的である。
金属板の各分割領域からは、TSEの衝突により三次電子113が発生するが、前記三次電子113が検出器109に到達できるかどうかは、電圧源301a,301b,301c・・・の出力値によって変化する。例えば、中心の分割領域に接続された電圧源301aのみ0Vに設定し、その他の電圧を正電位に設定すると、図7(a)に示されるように分割300a以外から発生した3次電子は電位障壁を乗り越えることができず検出器109に到達できない。その結果、高い仰角をもったTSEのみ(実際は高い仰角のTSE発生数に比例した数の三次電子)が検出される。TSEはBSEに比べ発生数が多いため、本実施例で述べられた方法により、高い信号SNを維持したまま、放出角度に依存した高いコントラストの走査型電子顕微鏡画像が得られる。また、金属板から発生する三次電子も、50eV以下の低エネルギー電子が大半を占めるため、電源301b等に印加する電圧は数10V以下、多くの場合数V以下でよく、一次電子線へ与える影響は無視できる。その結果、高い空間分解能を維持できる。選択的に検出する仰角領域は高い角度に限られない。例えば、分割領域300bに接続された電圧源301bのみ0Vに設定し、その他の電圧を正電位に設定すると、図7(b)に示されるように分割300b以外から発生した3次電子は電位障壁を乗り越えることができず検出器109に到達できない。その結果、ある仰角範囲をもったTSEの放出量に比例した数の三次電子が検出される。
このように、分割領域を適当な寸法で設計し、その中心を一次電子線用の通過穴から離して設置すれば、任意の仰角範囲に放出されたTSEによる画像を得ることができる。分割領域の寸法を決定する方法は容易である。あらかじめ試料から金属板までの空間の電磁場を電磁場シミュレータ等で計算しておき、その電磁場中のTSE軌道を算出し、検出したい放出仰角を持ったTSEが金属板のどの位置に到着するか調べればよい。
前記二次電子偏向手段112の調整フローについて図8を参照して述べる。以下では、磁場による偏向作用を二次電子に及ぼす形態を有する二次電子偏向手段について説明する。電場による偏向作用を有する構成や、電場と磁場双方を有する構成などであっても、調整方法は同様である。本調整作業は、観察に用いる一次電子光学系の条件(加速電圧,プローブ電流量など)ごとに実施する必要がある。
まずステップ801にて、調整用の試料を試料室に搬送する。次にステップ802にて、一次電子光学系の条件を設定する。次にステップ803にて、中心の分割領域300aに接続された電圧源301aのみ0Vに設定し、その他の電圧を正電位+100Vに設定する。ステップ804にて、画像取得領域(視野)を100μm×100μmに設定する。ステップ805にて、二次電子偏向手段112の偏向強度(ΔX,ΔY)を設定する。設定する偏向強度(ΔX,ΔY)は、あらかじめ経験的に得られている値でもよいし、未知であれば(0,0)、すなわち二次電子偏向しない、という設定でもよい。ステップ806にて、前記視野全体のSEM画像を取得する。この視野の広さは通常の画像観察領域よりも十分広い範囲である。従って、前記視野の特定部分以外では、試料から放出した信号電子が仰角によらず分割領域300aに到達する電子の数が少なくなる。従って、取得した画像は図9に示されるように当該部分のみ信号強度が強い(明るい)領域901が存在する画像となる。ステップ807にて、前記明るい領域901の中心と、視野の中心902との距離ΔLを測定する。判定808にて、ΔLが許容値よりも小さければ、二次電子偏向量が最適であると判断し、上記偏向強度(ΔX,ΔY)を記憶手段208に記憶し(ステップ810)、調整作業を終了する。判定808にて、ΔLが許容値よりも大きければ、ステップ809にて二次電子偏向量を(ΔX+δx,ΔY+δy)に変更し、ステップ806〜ステップ808を繰り返す。複数回の繰り返しののち、判定808にて、ΔLが許容値よりも小さければ、二次電子偏向量が最適であると判断し、上記偏向強度を記憶手段208に記憶し(ステップ810)、調整作業を終了する。
尚、通常の画像取得領域(視野)は5μm×5μm以下であり、上述した画像内の明るさ不均一901は存在せず、画質劣化を招かない。また、上述した視野の大きさ100μm×100μm,5μm×5μmは共に電子線装置の一例について述べているに過ぎず、装置によって大きく変更となる値である。これらの絶対値は発明の実施にとって本質的ではない。前記100μm×100μm視野に相当する値が、当該装置の通常の画像取得領域よりも十分大きければ、発明の効果に違いはない。
ところで上述した二次電子偏向量の調整方法は、次の二点の仮定が共に成立する場合のみ有効である。一つには通常観察領域よりも十分広い領域を観察する手段を備えていること、二つ目は、領域の異なる点から放出した電子であれば、放出角が同じであっても金属板300上の異なる領域に衝突すること、である。これらの二つの仮定が成立しない場合に、二次電子偏向量の調整を行う方法について図10を用いて説明する。
まずステップ1001にて、図11に示す円筒状または球状、あるいは半球状の突起を平面上に配置した試料を搬送する。次にステップ1002にて、一次電子光学系の条件を設定する。次にステップ1003にて、中心の分割領域300aに接続された電圧源301aのみ0Vに設定し、その他の電圧を正電位+100Vに設定する。ステップ1004にて、二次電子偏向手段112の偏向強度(ΔX,ΔY)を設定する。設定する偏向強度(ΔX,ΔY)は、あらかじめ経験的に得られている値でもよいし、未知であれば(0,0)、すなわち二次電子偏向しない、という設定でもよい。ステップ1005にて、前記試料上突起のSEM画像を取得する。ステップ1006にて取得した画像における前記突起物の外周部の明るさを測定し、その全周にわたる明るさのばらつきσを求める。判定1007にて、σが許容値よりも小さければ、二次電子偏向量が最適であると判断し、上記偏向強度(ΔX,ΔY)を記憶手段208に記憶し(ステップ1008)、調整作業を終了する。判定1507にて、σが許容値よりも大きければ、ステップ1009にて二次電子偏向量を(ΔX+δx,ΔY+δy)に変更し、ステップ1005〜ステップ1007を繰り返す。複数回の繰り返しののち、判定1007にて、ΔLが許容値よりも小さければ、二次電子偏向量が最適であると判断し、上記偏向強度を記憶手段208に記憶し(ステップ1008)、調整作業を終了する。
(実施例2)
第二の実施の形態を、図12を参照して述べる。第一の実施例と相違する点は、金属板300の分割方法である。その他共通する部分の説明は省略する。図12には、金属板300の分割方法を示している。分割は中心点Aから放射状に行っていることが特徴であり、TSEの放出方位角φに応じて衝突する金属板が異なるように設計してある。ここでも、一次電子線の通過穴はA点から十分離れたB点に備える。点線で示した領域1201は、TSEが到達する範囲を示している。B点は領域1201よりも外側に配置する。実施した実験から、TSEの全仰角成分を検出する場合でも金属板300上の広がりは直径3mm程度と小さかった。従って、距離1.5mm以上A点とB点を離しておかないと、特定方位角成分をもつTSEの検出効率が下がることとなり、コントラストの低下を招く。従ってB点をA点から遠ざける構成は、方位角に応じたTSEを選択するためにも本質的である。
(実施例3)
第三の実施の形態を、図13を参照して述べる。本実施例は、第一,第二の実施例で生じうる不都合を回避する方法を述べるものである。図7(a),(b)に示す通り、TSEの角度に応じた信号選択は、金属板300a,300b・・・に印加された電圧により形成された電位分布によって実現される。分割された金属板が大きい場合、図13(a)に示すように正電圧が印加された分割領域1301,1302からの三次電子は検出を妨げられ、0Vが設定された分割領域1303全体にわたり三次電子は高効率で検出される。一方、TSEの広がりが小さいために金属板の分割寸法は1mm以下となる場合がある。このとき、図13(b)に示すように分割領域1301、1302が形成する電場分布が分割領域1303の一部あるいは全体にせり出し、前記分割領域1303から発生する三次電子信号の検出効率が低下することがあった。そこで図13(c)に示すように、0Vを印加した多孔金属メッシュ1304を分割された金属板300a,300b・・・の試料側に配置することで、前記電場分布のせり出しを抑制することができる。さらにこの構成にすると、一次電子へ悪影響を及ぼすB点近傍の電界強度を低減することができ、空間分解能の劣化を一層弱めることができる。
(実施例4)
第四の実施の形態を、図4を再度参照して述べる。第一の実施例で述べた二次電子偏向手段112の偏向量は、図8ないし図10の手順に従い電子光学条件を決定すれば唯一に定まるものであった。しかし、イメージシフト偏向器110が金属板300と試料106の間に配置されている場合、観察領域を移動するためにイメージシフト偏向器110を使用すると、一次電子線だけでなく信号電子線の軌道も偏向されるため、二次電子偏向手段112の偏向量を再設定する必要がある。図14に、イメージシフト偏向器を使用した場合に正しく角度弁別検出が行えるように二次電子偏向手段112を調整するフロー図を示す。
まずステップ1401にて、調整用の試料を試料室に搬送する。次にステップ1402にて、一次電子光学系の条件を設定する。次にステップ1403にて、イメージシフト偏向器の使用量を(0,0)に設定する。ここで、かっこ内の数値は、それぞれx,y方向の単位視野移動量δIに乗ずる係数である。次にステップ1404にて、当該イメージシフト使用量に対する二次電子偏向量を決定する。本ステップの内容は、図8のステップ803〜ステップ810あるいは図10のステップ1003〜ステップ1009と同一である。次にステップ1405にて、イメージシフト偏向器の使用量(前記係数)を(1,0)に変更し、ステップ1404を繰り返す。この作業を図15に示す25点(n=1からn=25)に対して繰り返す。その結果得られたイメージシフト偏向量と二次電子偏向強度の対応関係を数表として記憶手段208に記憶し(ステップ1406)、調整作業を終了する。
各イメージシフト量に対する正しい二次電子偏向量を得ることができる。また、上記25点以外のイメージシフト移動量についても、上記25点の結果を内挿することで、算出される。
同様に、一次ビーム偏向器107に二次電子偏向量を追従させることも可能である。あらかじめイメージシフト偏向器110使用量と偏向器107使用量の感度比を求めておけば、図14のフローで得られたデータに基づき、偏向器使用量毎に最適な二次電子偏向量を得ることができる。
(実施例5)
第五の実施の形態を、図16を参照して述べる。第五の実施例では、第一から第四の実施例にて懸念される次の欠点を補う一つの形態を説明する。すなわち第一から第四の実施例では、試料から分割された金属板300の間を飛行する信号電子、特にTSEに対して、二次電子偏向手段によりその軌道を変化させる。二次電子偏向手段の配置,構成によっては一次電子線に与える影響が大きくなる場合があり、画像の空間分解能劣化の原因になる。この欠点を補うには、図16に示す構成をとればよい。すなわち、図6や図12で示した分割された金属板の大きさに比べ十分小さい大きさの微小金属板の集合体400を前記金属板300の代わりに配置する。金属板400を構成する微小金属板400a,400b,400c・・・はそれぞれ電圧印加手段501a,501b,501c・・・に接続されており、前記電圧印加手段は電圧制御手段502によりその出力電圧が制御される。第一から第四の実施例では、信号電子の軌道をあらかじめ定められた金属板300上へ導くように図8,図10,図14のフローに従い二次電子偏向手段112の使用量を調整した。本実施例では、二次電子を偏向する代わりに二次電子の金属板集合体400上の到達位置に応じて、前記電圧印加手段501a,501b,501c・・・の出力分布を移動させる方法をとる。
本実施例にて図7(a)に相当する角度選択検出を行う場合を図17に示す。黒く塗りつぶされた分割は0Vに維持されており、当該分割から発生した3次電子は検出器109に検出される。一方、白く塗られた分割には正電圧が印加されており、検出信号に寄与しない。集合体400の左上に信号電子の中心分布が衝突する場合(図17(a))、中心に衝突する場合(図17(b))、右下に衝突する場合(図17(c))で分割に印加する電圧配置が異なる。この電圧配置を、図8,図10、あるいは図14のフロー図で二次電子偏向強度を求めた場合と同様な手順で定めれば、二次電子を偏向することなく、すなわち一次電子線に悪影響を与えることなくコントラストを強調した画像を取得することができる。

Claims (8)

  1. 一次荷電粒子線を試料に照射して得られる二次荷電粒子線を検出して前記試料の顕微鏡画像を得る荷電粒子線装置において
    電粒子線源と前記試料との間に配置され、かつ二個以上に分割された金属板と、
    前記分割された金属板の各々に独立に電圧が印加できる電圧印加手段とを備え、
    前記分割された金属板の中心が前記一次荷電粒子線の光軸とは一致しないように配置され、
    前記分割された金属板には前記二次荷電粒子線が衝突することを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記分割された金属板は同心円状に分割され、その中心は前記一次荷電粒子線の光軸とは一致しないことを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記分割された金属板は放射状に分割され、その中心は前記一次荷電粒子線の光軸とは一致しないことを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
    前記試料は試料台に保持され、前記試料台には前記二次荷電粒子線を試料から前記金属板の方向へ加速させる電圧が印加されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
    前記二次荷電粒子線を加速して前記金属板に衝突させる目的で、前記試料と前記金属板の間に電界が印加されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
    前記二次荷電粒子線は電子線であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
    前記一次荷電粒子線,二次荷電粒子線は共に電子線であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
    前記分割された金属板と、前記試料の間に、二次荷電粒子線を偏向する手段を備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
JP2010136717A 2010-06-16 2010-06-16 荷電粒子線装置 Active JP5542537B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010136717A JP5542537B2 (ja) 2010-06-16 2010-06-16 荷電粒子線装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010136717A JP5542537B2 (ja) 2010-06-16 2010-06-16 荷電粒子線装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012003909A JP2012003909A (ja) 2012-01-05
JP5542537B2 true JP5542537B2 (ja) 2014-07-09

Family

ID=45535697

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010136717A Active JP5542537B2 (ja) 2010-06-16 2010-06-16 荷電粒子線装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5542537B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023238371A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 株式会社日立ハイテク 走査電子顕微鏡及び試料観察方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4897545A (en) * 1987-05-21 1990-01-30 Electroscan Corporation Electron detector for use in a gaseous environment
JP3723260B2 (ja) * 1994-12-19 2005-12-07 アプライド マテリアルズ イスラエル リミティド 粒子ビーム・コラム
JP2000011939A (ja) * 1998-06-19 2000-01-14 Hitachi Ltd 荷電粒子線装置、及び半導体装置の検査方法
DE19828476A1 (de) * 1998-06-26 1999-12-30 Leo Elektronenmikroskopie Gmbh Teilchenstrahlgerät
WO2000019482A1 (fr) * 1998-09-25 2000-04-06 Hitachi, Ltd. Microscope electronique a balayage
JP5033310B2 (ja) * 2005-02-18 2012-09-26 株式会社日立ハイテクノロジーズ 検査装置
JP5271491B2 (ja) * 2006-10-26 2013-08-21 株式会社日立ハイテクノロジーズ 電子線応用装置および試料検査方法
JP5054990B2 (ja) * 2007-01-30 2012-10-24 株式会社日立ハイテクノロジーズ 走査形電子顕微鏡
JP5097642B2 (ja) * 2008-08-08 2012-12-12 株式会社日立ハイテクノロジーズ 走査形電子顕微鏡
JP4596061B2 (ja) * 2008-09-01 2010-12-08 株式会社日立製作所 走査形電子顕微鏡

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012003909A (ja) 2012-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11562880B2 (en) Particle beam system for adjusting the current of individual particle beams
JP6728498B2 (ja) 試験片を検査する方法および荷電粒子マルチビーム装置
US6583413B1 (en) Method of inspecting a circuit pattern and inspecting instrument
US6392231B1 (en) Swinging objective retarding immersion lens electron optics focusing, deflection and signal collection system and method
US7960697B2 (en) Electron beam apparatus
US20240145209A1 (en) Objective lens system for fast scanning large fov
US8759761B2 (en) Charged corpuscular particle beam irradiating method, and charged corpuscular particle beam apparatus
US8530837B2 (en) Arrangement and method for the contrast improvement in a charged particle beam device for inspecting a specimen
TW201618149A (zh) 帶電粒子束樣本檢查系統及用於其中操作之方法
JP6242745B2 (ja) 荷電粒子線装置及び当該装置を用いる検査方法
WO2017018432A1 (ja) 荷電粒子線装置
US7560691B1 (en) High-resolution auger electron spectrometer
JP2004342341A (ja) ミラー電子顕微鏡及びそれを用いたパターン欠陥検査装置
US6960766B2 (en) Swinging objective retarding immersion lens electron optics focusing, deflection and signal collection system and method
US8164067B2 (en) Arrangement and method for the contrast improvement in a charged particle beam device for inspecting a specimen
US10971328B2 (en) Charged particle beam device
US8907281B2 (en) System and method for controlling charge-up in an electron beam apparatus
US7233008B1 (en) Multiple electrode lens arrangement and a method for inspecting an object
US8008629B2 (en) Charged particle beam device and method for inspecting specimen
JP5542537B2 (ja) 荷電粒子線装置
JP5478683B2 (ja) 荷電粒子線の照射方法及び荷電粒子線装置
WO2014115741A1 (ja) 荷電粒子線装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140408

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140507

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5542537

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350