JP5536258B1 - 導電性及び応力緩和特性に優れる銅合金板 - Google Patents

導電性及び応力緩和特性に優れる銅合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金板、並びにこの銅合金板を用いた大電流用電子部品及び放熱用電子部品を提供する。
【解決手段】本発明は、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.50質量%含有し、残部が銅およびその不可避的不純物から成り、引張強さが350MPa以上であり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が200MPa以下であることを特徴とする銅合金板である。
【選択図】なし

Description

本発明は銅合金板及び通電用又は放熱用電子部品に関し、特に、電機・電子機器、自動車等に搭載される端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の素材として使用される銅合金板、及び該銅合金板を用いた電子部品に関する。中でも、電気自動車、ハイブリッド自動車等で用いられる大電流用コネクタや端子等の大電流用電子部品の用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に好適な銅合金板及び該銅合金板を用いた電子部品に関するものである。
電機・電子機器、自動車等には、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電気又は熱を伝えるための部品が組み込まれており、これら部品には銅合金板が用いられている。ここで、電気伝導性と熱伝導性は比例関係にある。
近年、電子部品の小型化に伴い、通電部における銅合金の断面積が小さくなる傾向にある。断面積が小さくなると、通電した際の銅合金からの発熱が増大する。また、成長著しい電気自動車やハイブリッド電気自動車で用いられる電子部品には、バッテリー部のコネクタ等の著しく高い電流が流される部品があり、通電時の銅合金の発熱が問題になっている。発熱が過大になると、銅合金は高温環境に晒されることになる。
コネクタ等の電子部品の電気接点では、銅合金板にたわみが与えられ、このたわみで発生する応力により、接点での接触力を得ている。たわみを与えた銅合金板を高温下に長時間保持すると、応力緩和現象により、応力すなわち接触力が低下し、接触電気抵抗の増大を招く。この問題に対処するため、銅合金板には発熱量が減ずるよう導電性により優れることが求められ、また発熱しても接触力が低下しないよう応力緩和特性により優れることも求められている。
一方、例えばスマートフォンやタブレットPCの液晶には液晶フレームと呼ばれる放熱部品が用いられている。このような放熱用途の銅合金板においても応力緩和特性を高めると、外力による放熱板のクリープ変形が抑制され、放熱板周りに配置される液晶部品、ICチップ等に対する保護性が改善される等の効果を期待できる。このため、放熱用途の銅合金板においても、応力緩和特性に優れることが望まれている。
CuにZrやTiを添加すると応力緩和特性が向上することが知られていている(例えば、特許文献1参照)。導電率が高く比較的高い強度と良好な応力緩和特性を有する材料としては、例えばC15100(0.1質量%Zr−残Cu)、C15150(0.02質量%Zr−残Cu)、C18140(0.1質量%Zr−0.3質量%Cr−0.02質量%Si−残Cu)、C18145(0.1質量%Zr−0.2質量%Cr−0.2質量%Zn−残Cu)、C18070(0.1質量%Ti−0.3質量%Cr−0.02質量%Si−残Cu)、C18080(0.06質量%Ti−0.5質量%Cr−0.1質量%Ag−0.08質量%Fe−0.06質量%Si−残Cu)等の合金が、CDA(Copper Development Association)に登録されている。
特開2011−117055号公報
しかしながら、CuにZrまたはTiを添加した銅合金(以下、Cu−Zr−Ti系合金と記す)は、比較的良好な応力緩和特性を有するとはいうものの、その応力緩和特性のレベルは大電流を流す部品の用途又は大熱量を放散する部品の用途として必ずしも十分とはいえなかった。例えば、特許文献1が開示する銅合金板は、0.05〜0.3質量%のZrを添加するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中の一種以上を0.01〜0.3質量%添加し、さらに中間焼鈍後の結晶粒径を20〜100μmに調整することにより、応力緩和特性を改善したものであるが、実施例における150℃で1000時間保持後の応力緩和率は最低でも17.2%である。
そこで、本発明は、高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金板及び大電流用途又は放熱用途に好適な電子部品を提供することを目的とし、具体的には、応力緩和特性が改善されたCu−Zr−Ti系合金を提供することを課題とする。さらには、本発明は大電流用途又は放熱用途に好適な電子部品を提供することをも目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、Cu−Zr−Ti系合金について、表面の残留応力を所定の範囲となるよう調整することにより、高強度および高導電性を有するCu−Zr−Ti系合金の応力緩和特性が向上することを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.50質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、引張強さが350MPa以上、導電率が75%IACS以上、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が15%以下であり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じている残留応力が200MPa以下である銅合金板である。
本発明は別の一側面において、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.50質量%含有し、さらにAg、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Si、P、SnおよびBのうちの一種以上を1.0質量%以下含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、引張強さが350MPa以上、導電率が75%IACS以上、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が15%以下であり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じている残留応力が200MPa以下である銅合金板である。
本発明に係る銅合金板は別の一実施態様において、圧延方向と直交する断面の組織より求めた厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向の平均結晶粒径Bとの比(B/A)が1.3以上である。
本発明に係る銅合金板は更に別の一実施態様において、圧延方向と直交する断面の組織より求めた幅方向の平均結晶粒径Bが50μm以下である。
本発明は別の一側面において、上記銅合金板を用いた大電流用電子部品である。
本発明は更に別の一側面において、上記銅合金板を用いた放熱用電子部品である。
本発明によれば、高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金板及び大電流用途又は放熱用途に好適な電子部品を提供することが可能である。この銅合金板は、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の素材として好適に使用することができ、とくに大電流を通電する電子部品の素材又は大熱量を放散する電子部品の素材として有用である。
残留応力の測定原理を示す図である。 応力緩和率の測定原理を説明する図である。 応力緩和率の測定原理を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(目標特性)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、75%IACS以上の導電率を有し、且つ350MPa以上の引張強さを有する。導電率が75%IACS以上であれば、通電時の発熱量が純銅と同等といえる。また、引張強さが350MPa以上であれば、大電流を通電する部品の素材又は大熱量を放散する部品の素材として必要な強度を有しているといえる。
本発明の実施の形態に係る銅合金板の応力緩和特性については、0.2%耐力の80%の応力を付加し、150℃で1000時間保持した時の銅合金板の応力緩和率が15%以下であり、より好ましくは10%以下である。通常のCu−Zr−Ti系合金の応力緩和率は25〜35%程度であるが、これを15%以下にすることで、コネクタ等の電子部品に加工した後に大電流を通電しても接触力低下に伴う接触電気抵抗の増加が生じ難くなり、また、放熱板に加工した後に熱と外力が同時に加わってもクリープ変形が生じ難くなる。
(合金成分濃度)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、Zr及びTiのうちの一種又は二種を合計で0.01〜0.50質量%、より好ましくは0.02〜0.20質量%含有する。Zr及びTiのうちの一種又は二種の合計が0.01質量%未満になると、350MPa以上の引張強さおよび15%以下の応力緩和率を得ることが難しくなる。Zr及びTiのうちの一種又は二種の合計が0.50質量%を超えると、熱間圧延割れ等により合金の製造が困難になる。Zrを添加する場合にはその添加量を0.01〜0.45質量%に調整することが好ましく、Tiを添加する場合にはその添加量を0.01〜0.20質量%に調整することが好ましい。添加量が下限値を下回ると応力緩和特性の改善効果が得られにくく、添加量が上限値を超えると導電率や製造性の悪化を招くことがある。
Cu−Zr−Ti系合金には、強度や耐熱性を改善するために、Ag、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Si、P、SnおよびBのうちの一種以上を含有させることができる。ただし、添加量が多すぎると、導電率が低下して75%IACSを下回ったり、合金の製造性が悪化したりする場合があるので、添加量は総量で1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下とする。また、添加による効果を得るためには、添加量を総量で0.001質量%以上にすることが好ましい。
(残留応力)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、製品表面の残留応力を200MPa以下、好ましくは100MPa以下に調整することで、応力緩和率が15%以下になる。ここで、本発明の残留応力は、X線回折法を用い、X線入射角度に対する(113)面間隔の変化を測定することにより求めるものである。測定方向としては、圧延方向と厚み方向のそれぞれに平行な面内においてX線入射角度を変化させることにより、圧延方向と平行に生じている残留応力値を求める。他の結晶面や方向に対しても残留応力値を測定することは可能であるが、当該条件で測定した場合に、測定のばらつきが最も小さく、残留応力値と応力緩和との間に最も良好な相関が得られた。なお、銅合金板の残留応力は、板の片側表面をエッチングしたときの板の反り量からの算出されることが多いが(須藤一:残留応力とゆがみ、内田老鶴圃社、(1988)、p.46.)、このエッチング法で求めた残留応力値には応力緩和との相関が認められなかった。
(結晶粒形態)
本発明の実施の形態に係る銅合金板の圧延方向と直交する断面(以下、圧延直角断面)において、厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向(圧延方向と厚み方向のそれぞれに対し直交する方向)の平均結晶粒径Bとの比(アスペクト比B/A)は1.3以上とすることが好ましい。アスペクト比が1.3未満になると引張強さが350MPa未満となることがある。
また、銅合金板の圧延直角断面の幅方向の平均結晶粒径Bは、50μm以下であることが好ましい。B値が50μmを超えると引張強さが350MPa未満になることがある。
(厚み)
製品の厚みは0.1〜2.0mmであることが好ましい。厚みが薄すぎると、通電部断面積が小さくなり通電時の発熱が増大するため大電流を流すコネクタ等の素材として不適である。一方で、厚みが厚すぎると、曲げ加工が困難になる。このような観点から、より好ましい厚みは0.2〜1.5mmである。厚みが上記範囲となることにより、通電時の発熱を抑えつつ、曲げ加工性を良好なものとすることができる。
(用途)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、電機・電子機器、自動車等で用いられる端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の用途に好適に使用することができ、特に、電気自動車、ハイブリッド自動車などで用いられる大電流用コネクタや端子等の大電流用電子部品の用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に有用である。
(製造方法)
純銅原料として電気銅等を溶解し、カーボン脱酸等により酸素濃度を低減した後、Zr及びTiのうちの一種又は二種と、必要に応じて他の合金元素を添加し、厚み30〜300mm程度のインゴットに鋳造する。このインゴットを例えば800〜1000℃の熱間圧延により厚み3〜30mm程度の板とした後、冷間圧延と再結晶焼鈍とを繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げ、最後に歪取り焼鈍を施す。最終冷間圧延で材料に導入される残留応力は、その後の歪取焼鈍により低下する。
再結晶焼鈍では、圧延組織を再結晶させる。また、適当な条件で焼鈍することにより、Zr、Ti等が析出し、合金の導電率が上昇する。最終冷間圧延前の再結晶焼鈍では、製品の圧延直角断面の平均結晶粒径が50μm以下となるように、当該再結晶焼鈍後の平均結晶粒径を50μm以下に調整する。最終冷間圧延前の再結晶焼鈍には、バッチ炉を用いてもよいし、連続焼鈍炉を使用しても良い。バッチ炉では150〜750℃の炉内温度において30分から30時間の範囲で加熱時間を適宜調整することにより、また、連続焼鈍炉では450〜800℃の炉内温度において5秒から15分の範囲で加熱時間を適宜調整することにより、当該再結晶焼鈍後の平均結晶粒径を50μm以下に調整できる。一般的にはより低温でより長時間の条件で焼鈍を行うと、同じ結晶粒径でより高い導電率が得られる。
最終冷間圧延では、一対の圧延ロール間に材料を繰り返し通過させ、目標の板厚に仕上げていく。最終冷間圧延の加工度は25〜99%とする。ここで加工度r(%)は、r=(t0−t)/t0×100(t0:圧延前の板厚、t:圧延後の板厚)で与えられる。加工度が25%未満になるとアスペクト比を1.3以上に調整することが難しくなる。加工度が99%を超えると、圧延材のエッジが割れることがある。
また、最終冷間圧延では圧延ロールの径と、通板回数とを調整することにより、銅合金板の残留応力を調整することができる。一般的に使用されている大径ロールを用いて圧延した場合、表面部に引張応力、厚み方向中央部に圧縮応力が残留する。一方、小径ロールを用いて低い加工度で圧延した場合、表面部に圧縮応力、厚み方向中央部に引張応力が残留する。よって、大径ロールで圧延した後に小径ロールで軽圧下圧延を数回行えば、それまでの圧延で表面に蓄積した引張残留応力がキャンセルされ、銅合金板の残留応力は減少する。なお、本実施形態において大径ロールとは直径150〜500mmのロールを意味し、小径ロールとは直径20〜80mmのロールを意味する。
上記小径ロールによる圧延に加え、適切な条件で歪取焼鈍を行うことにより、残留応力を200MPa以下に調整することができる。本発明の歪取焼鈍は連続焼鈍炉を用いて行う。バッチ炉の場合、コイル状に巻き取った状態で材料を加熱するため、加熱中に材料が変形を起こし材料に反りが生じる。したがって、バッチ炉は本発明の歪取焼鈍に不適である。
連続焼鈍炉において、炉内温度を300〜700℃とし、5秒から10分の範囲で加熱時間を適宜調整し、歪取焼鈍後の引張強さを歪取焼鈍前(最終圧延上がり)の引張強さに対し、10〜100MPa低い値、好ましくは15〜50MPa低い値に調整する。引張強さの低下量が小さすぎると、残留応力を200MPa以下に調整することが難しくなる。引張強さの低下量が大きすぎると製品の引張強さが350MPa未満になることがある。
さらに、歪取焼鈍後では連続焼鈍炉内において材料に付加される張力を1〜5MPa、より好ましくは1〜4MPaに調整する。張力が大きすぎると、残留応力を200MPa以下に調整することが難しくなる。張力が小さすぎると、焼鈍炉を通板中の材料が炉壁と接触し、材料の表面やエッジに傷が付くことがある。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
溶銅に合金元素を添加した後、厚みが200mmのインゴットに鋳造した。インゴットを950℃で3時間加熱し、熱間圧延により厚み15mmの板にした。熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去した後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げた。最後に連続焼鈍炉を用い歪取焼鈍を行った。
最終冷間圧延前の焼鈍(最終再結晶焼鈍)は、バッチ炉を用い、加熱時間を5時間とし炉内温度を200〜700℃の範囲で調整し、焼鈍後の結晶粒径と導電率を変化させた。
最終冷間圧延の前半では、直径200mmの大径ロールを使用し、後半では直径50mmの小径ロールを用いた。後半の小径ロールによる圧延では、一回の通板当たりの加工度を3%とし、この通板の実施回数を0〜5回の範囲で変化させた。
連続焼鈍炉を用いた歪取り焼鈍では、炉内温度を500℃とし加熱時間を1秒から10分の間で調整し、該焼鈍による引張強さの低下量を種々変化させた。また、炉内において材料に付加する張力を種々変化させた。なお、一部の例では歪取り焼鈍を行わなかった。
製造途中の材料および歪取焼鈍後の材料につき、次の測定を行った。
(成分)
歪取焼鈍後の材料の合金元素濃度をICP−質量分析法で分析した。
(最終冷間圧延前の再結晶焼鈍後の平均結晶粒径)
銅合金板の圧延直角断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させた。この金属組織上において、JIS H 0501(1999年)の切断法に従い測定し、平均結晶粒径を求めた。
(歪取焼鈍後(製品)の幅方向の平均結晶粒径およびアスペクト比)
銅合金板の圧延直角断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させた。この金属組織上において、圧延直角断面の厚み方向に直線を引き、直線によって切断された結晶粒の個数を求めた。そして、直線の長さをこの結晶粒の個数で割った値を厚み方向の平均結晶粒径Aとした。同様に、圧延直角断面の幅方向に直線を引き、直線によって切断される結晶粒の個数を求め、直線の長さをこの結晶粒径の個数で割った値を幅方向の平均結晶粒径Bとした。(B/A)値をアスペクト比とした。
(引張強さ)
最終冷間圧延後および歪取焼鈍後の材料につき、JIS Z2241に規定する13B号試験片を引張方向が圧延方向と平行になるように採取し、JIS Z2241に準拠して圧延方向と平行に引張試験を行い、引張強さ求めた。
(導電率)
歪取焼鈍後の材料から、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように試験片を採取し、JIS H0505に準拠し四端子法により20℃での導電率を測定した。
(残留応力)
X線回折法により、銅合金板の(113)面に対し、圧延方向と平行な方向に生じている残留応力を求めた。測定原理を以下に説明する。
例えば図1に示すように引張残留応力が存在する場合、(a)→(b)→(c)と試料面法線Nと格子面法線N’とのなす角度Ψが大きくなると、この順で格子面間隔が大きくなる。結晶面間隔は応力の大きさに比例するので、各Ψにおいて格子面間隔すなわち回折角度(2θ)を測定すると、次式により残留応力σを求めることができる。
Figure 0005536258
ここで、σは応力、Eはヤング率、νはポアソン比、θ0は標準ブラッグ角である。また、Kは材料と測定波長により決定される定数である。2θとsin2Ψとの関係を図示して最小二乗法で勾配を求め、これにKを乗じることで残留応力値が得られる。
(応力緩和率)
歪取焼鈍後の材料から、幅10mm、長さ100mmの短冊形状の試験片を、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図2のように、l=50mmの位置を作用点として、試験片にy0のたわみを与え、圧延方向の0.2%耐力の80%に相当する応力(s)を負荷した。y0は次式により求めた。
0=(2/3)・l2・s / (E・t)
ここで、Eは圧延方向のヤング率であり、tは試料の厚みである。150℃にて1000時間加熱後に除荷し、図3のように永久変形量(高さ)yを測定し、応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
Figure 0005536258
表1に評価結果を示す。残留応力値には、圧縮または引張残留応力値の絶対値を示してある。
発明例1〜25の銅合金板では、ZrとTiの合計濃度を0.01〜0.50質量%に調整し、最終冷間圧延前の再結晶焼鈍において、結晶粒径を50μm以下に調整し、最終冷間圧延において加工度を25〜99%とし小径ロールによる通板を3回以上行い、歪取焼鈍において材料を連続焼鈍炉に張力1〜5MPaで通板して引張強さを10〜100MPa低下させた。
その結果、発明例1〜25の銅合金板では、幅方向の平均結晶粒径が50μm以下、アスペクト比が1.3以上、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が200MPa以下となり、75%IACS以上の導電率、350MPa以上の引張強さ、15%以下の応力緩和率が得られた。
比較例1は歪取焼鈍を行わなかったものであり、残留応力が200MPaを超え、応力緩和率が15%を超えた。
比較例2〜4では、歪取焼鈍を行ったものの、炉内での材料張力が5MPaを超えたため、残留応力が200MPaを超え、応力緩和率が15%を超えた。
比較例5、6、7、8では、最終冷間圧延における小径ロールによる通板回数が過少であっため残留応力が200MPaを超え、応力緩和率が15%を超えた。
比較例9、10では歪取焼鈍における引張強さの低下量が過少であったため、残留応力が200MPaを超え、応力緩和率が15%を超えた。
比較例11では最終冷間圧延における加工度が25%未満であり、アスペクト比が1.3に満たなかったため、また比較例12では最終冷間圧延前の再結晶焼鈍上がりの結晶粒径が50μmを超え、歪取焼鈍後の幅方向の平均結晶粒径が50μmを超えたため、歪取焼鈍後の引張強さが350MPaに満たなかった。
比較例13では、ZrとTiの合計濃度が0.01質量%未満だったため、歪取焼鈍後の引張強さが350MPa未満となり、応力緩和率が15%を超えた。

Claims (6)

  1. ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.50質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、引張強さが350MPa以上、導電率が75%IACS以上、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が15%以下であり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じている残留応力が200MPa以下であることを特徴とする銅合金板。
  2. ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.50質量%含有し、さらにAg、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Si、P、SnおよびBのうちの一種以上を1.0質量%以下含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、引張強さが350MPa以上、導電率が75%IACS以上、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が15%以下であり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じている残留応力が200MPa以下であることを特徴とする銅合金板。
  3. 圧延方向と直交する断面の組織より求めた厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向の平均結晶粒径Bとの比(B/A)が1.3以上である請求項1または2に記載の銅合金板。
  4. 圧延方向と直交する断面の組織より求めた幅方向の平均結晶粒径Bが50μm以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の銅合金板。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の銅合金板を用いた大電流用電子部品。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の銅合金板を用いた放熱用電子部品。
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