車両や電動工具などには、モータを駆動させるための電源として複数の電池を直列に接続して構成された組電池が搭載されている。モータの駆動用の電源として用いられる組電池には、一般的に、各電池の電圧値を監視しながら個々の電池間の残容量の不均衡を解消するように組電池を放電させるための電源制御装置が接続されている(例えば、特許文献1参照。)。この電源制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車などに用いられる組電池(以下、「大型組電池」という。)を放電させるための電源制御装置と、電動アシスト自転車や電気工具などに用いられ、大型組電池よりも容量の小さい組電池(以下、「小型組電池」という。)を放電させるための電源制御回路と、に大別することができる。
図8には、大型組電池を備えた電源装置及びその電源装置に対して用いられる電源制御装置が示されている。同図に示されるように、電源装置100は、大型組電池102、放電装置104、抵抗器Rx及びコンデンサCxを備えている。大型組電池102は、複数の二次電池106が直列に接続されて構成されている。二次電池106としては、リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素電池が例示できる。
放電装置104は、複数の放電素子ユニット108を含んで構成されており、複数の放電素子ユニット108の各々は、二次電池106の各々に対応して設けられ、対応する二次電池106を放電させるためのものである。
放電素子ユニット108は、Nチャネル型電界効果トランジスタ(以下、「N型トランジスタ」という。)Tr及び抵抗器Rbalを含んで構成されており、N型トランジスタTrは、ソース端子が二次電池106の負極端子に、ドレイン端子が抵抗器Rbalの一端に各々接続されている。抵抗器Rbalの他端には二次電池106の正極端子が接続されている。
電源制御装置110は、例えば大型組電池102の電力の供給対象とされる機器に搭載されて用いられる。これに対し、放電装置104は、大型組電池102と一体化されており、電源制御装置110に接続して用いられる。
電源制御装置110は、メインコントローラ112及び選択スイッチ回路114を含んで構成されている。メインコントローラ112は、アナログ・デジタル変換器(図示省略)、選択スイッチ回路114、抵抗器Rx及び放電装置104を介して各二次電池106の正極端子及び負極端子に接続されている。メインコントローラ112は、二次電池106の各々の電圧値を監視し、二次電池106の電圧値に応じて放電素子ユニット108を指定すると共に、指定した放電素子ユニット108によって対応する二次電池106を放電させるための放電装置指定信号を生成して出力する。
選択スイッチ回路114は、N型トランジスタTrの各々に対して1つずつ設けられた印加端子114Aと、最下段の二次電池106の負極電極、最上段の二次電池106の正極端子、及び二次電池106間の接続点に対して1つずつ設けられた電圧監視用端子114Bと、を備えている。印加端子114Aの各々は、対応するN型トランジスタTrのゲート端子に接続され、電圧監視用端子114Bは、抵抗器Rxを介して最下段の二次電池106の負極電極、最上段の二次電池106の正極端子、及び二次電池106間の接続点に1つずつ接続されている。なお、電圧監視用端子114Bと抵抗器Rxとの接続点の各々は、コンデンサCxを介して接続されている。
選択スイッチ回路114は、メインコントローラ112から入力された放電装置指定信号により指定される放電素子ユニット108のN型トランジスタTrのゲート端子に対してドレイン端子及びソース端子間を導通させるための電圧を印加するものである。
このように構成された電源制御装置110では、メインコントローラ112が二次電池106の各々の電圧値を監視しながら、全ての二次電池106の電圧値を最も電圧値が低い二次電池106の電圧値に合わせるように、放電装置指定信号を生成して選択スイッチ回路114に出力する。選択スイッチ回路114は、入力された放電装置指定信号により指定される放電素子ユニット108のN型トランジスタTrのゲート端子が接続された印加端子114Aに対して電圧を印加することにより、対応する二次電池106を放電させる。これにより、大型組電池102の二次電池106間の残容量が均等化される。
図9には、小型組電池を備えた電源装置及びその電源装置に対して用いられる電源制御装置が示されている。同図に示されるように、電源装置120は、小型組電池122、抵抗器Rx及びコンデンサCxを備えている。小型組電池122は、複数の二次電池124が直列に接続されて構成されている。二次電池124としては、リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素電池が例示できる。
電源制御装置126は、トランジスタ・ユニット128、選択スイッチ回路130及びメインコントローラ132を含んで構成されており、例えば小型組電池122の電力の供給対象とされる機器に搭載されて用いられる。
トランジスタ・ユニット128は、複数のN型トランジスタTrを直列に接続して構成されている。複数のN型トランジスタTrの各々は、二次電池124の各々に対応して設けられ、対応する二次電池124を放電させるためのものである。
選択スイッチ回路130は、N型トランジスタTrの各々のゲート端子に接続されており、最下段の二次電池124の負極電極、最上段の二次電池124の正極端子、及び二次電池124間の接続点に対して1つずつ設けられた電圧監視用端子130Bを備えている。電圧監視用端子130Bは、最下段のN型トランジスタTrのソース端子、最上段のN型トランジスタTrのドレイン端子、及びN型トランジスタTr間の接続点に1つずつ接続されており、各々、抵抗器Rxを介して最下段の二次電池124の負極電極、最上段の二次電池124の正極端子、及び二次電池124間の接続点に1つずつ接続される。なお、電圧監視用端子130Bと抵抗器Rxとの接続点の各々は、コンデンサCxを介して接続されている。選択スイッチ回路130は、後述するトランジスタ指定信号により指定されるN型トランジスタTrのゲート端子に対してドレイン端子及びソース端子間を導通させるための電圧を印加する。
メインコントローラ132は、アナログ・デジタル変換器(図示省略)、選択スイッチ回路130、トランジスタ・ユニット128、抵抗器Rxを介して各二次電池124の正極端子及び負極端子に接続されている。メインコントローラ132は、二次電池124の各々の電圧値を監視し、二次電池124の電圧値に応じてN型トランジスタTrを指定すると共に、指定したN型トランジスタTrによって対応する二次電池124を放電させるためのトランジスタ指定信号を生成して選択スイッチ回路130に出力する。
このように構成された電源制御装置124では、メインコントローラ132が二次電池124の各々の電圧値を監視しながら、全ての二次電池124の電圧値を最も電圧値が低い二次電池124の電圧値に合わせるように、トランジスタ指定信号を生成して選択スイッチ回路130に出力する。選択スイッチ回路130は、入力されたトランジスタ指定信号により指定されるN型トランジスタTrのゲート端子に対して電圧を印加することにより、対応する二次電池124を放電させる。これにより、小型組電池122の二次電池124間の残容量が均等化される。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本第1の実施形態に係る電源制御装置10及び電源装置12を含んで構成された電源電圧監視システム13の構成を示す機能ブロック図である。
同図に示すように、電源装置12は、組電池14及びコネクタ16を含んで構成されている。組電池14は、複数の二次電池18を直列に接続して構成されている。なお、本第1の実施形態に係る電源装置12では、二次電池18として、リチウムイオン電池を適用しているが、これに限らず、リチウムイオンポリマー二次電池やニッケル・水素電池などの二次電池も適用可能である。
コネクタ16は、電源装置12を電源制御装置10に接続するためのものであり、二次電池18の各々に対応するように設けられた接続端子を含んで構成されている。
一方、電源制御装置10は、電源装置12を制御するためのものであり、例えば組電池14の電力の供給対象とされる機器に搭載されて用いられる。電源制御装置10は、コネクタ20、トランジスタ・ユニット22、選択スイッチ回路24、メインコントーラ26、メモリ28、及び入出力インタフェース30を含んで構成されている。
コネクタ20は、電源装置12のコネクタ16が接続される部分であり、コネクタ16を構成している接続端子に対応する接続端子を含んで構成されており、トランジスタ・ユニット22に接続されている。トランジスタ・ユニット22は、複数のN型トランジスタTr1(図2参照)を直列に接続して構成されている。複数のN型トランジスタTr1の各々は、二次電池18の各々に対応するように設けられ、対応する二次電池18を放電させるためのものである。
選択スイッチ回路24は、トランジスタ・ユニット22及びメインコントローラ26に接続されており、メインコントローラ26からの指示に従ってトランジスタ・ユニット22のN型トランジスタTr1の各々を選択的にオン状態またはオフ状態にするためのものである。
メインコントローラ26は、電源制御装置10の全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を含んで構成されている。メインコントローラ26には、メモリ28が接続されている。メモリ28は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する例えばNVM(Non Volatile Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶媒体であり、電源制御装置10の作動を制御する制御プログラム、後述する電源制御処理プログラムや各種パラメータ等が予め記憶された記憶媒体である。
入出力インタフェース30は、電源制御装置10に対する指示が入力される入力装置32、及びメインコトローラ26に接続されており、入力装置32から各種情報を受信すると共に、各種情報(例えば、電源装置12に関する情報や電源制御装置10の動作状態を示す情報)を接続されている外部装置(図示省略)に送信するためのものである。なお、本第1の実施形態では、入力装置32として、電源制御装置10に設けられたディップ・スイッチを適用しているが、これに限らず、例えば、タッチパネルやパーソナル・コンピュータ等でもよく、入出力インタフェース30を介してメインコントローラ26に情報を入力することができる機器であればよい。
図2は、本第1の実施形態に係る電源制御装置10の要部構成の一例を示す構成図である。なお、図2は、1つの二次電池18の放電を制御するために必要とされる構成の一例を示しているが、残りの二次電池18の各々の放電を制御するために必要とされる構成も同様の構成とされている。
同図に示すように、電源制御装置10は、N型トランジスタTr1の各々に対して1つずつ設けられた印加端子34と、最下段の二次電池18の負極電極、最上段の二次電池18の正極端子、及び二次電池18間の接続点に対して1つずつ設けられた電圧監視用端子36と、を備えており、印加端子34及び電圧監視用端子36は、上述したコネクタ16を構成している接続端子として機能する。
N型トランジスタTr1は、ソース端子及びドレイン端子が選択スイッチ回路24に接続されている。選択スイッチ回路24は、入力されたアナログ信号(例えば、二次電池18の電圧値を示すアナログ信号)をデジタル信号に変換して出力するアナログ・デジタル変換器38を介してメインコントローラ26に接続されている。従って、メインコントローラ26は、電圧監視端子36に印加される電圧値、すなわち、二次電池18の電圧値を選択スイッチ回路24及びアナログ・デジタル変換器38を介して取得することが可能となる。なお、本第1の実施形態に係る電源制御装置190では、メインコントローラ26が電圧監視端子36に印加される電圧値を所定時間間隔(例えば、0・1秒間隔)で監視している。
電源制御装置10は、制御回路39を含んで構成されている。制御回路39は、メインコントローラ26、第1のPチャネル型電界効果トランジスタTr2、第2のPチャネル型電界効果トランジスタTr3及び信号反転回路40を含んで構成されている。なお、以下では、「Pチャネル型電界効果トランジスタ」を「P型トランジスタ」と称する。
第1のP型トランジスタTr2のソース端子は第2のP型トランジスタTr3のソース端子に接続されており、第1のP型トランジスタTr2のソース端子と第2のP型トランジスタTr3のソース端子との接続点Aはメインコントローラ26に接続されている。第1のP型トランジスタTr2のドレイン端子は印加端子34に接続されている。第2のP型トランジスタTr3のドレイン端子はN型トランジスタTr1のゲート端子に接続されている。第2のP型トランジスタTr3のゲート端子には、ハイレベル信号及びローレベル信号の一方の信号が入力された際にその信号を他方の信号に反転させて出力する信号反転回路40の出力端子が接続されている。信号反転回路40の入力端子には、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子が接続されており、信号反転回路40の入力端子と第1のP型トランジスタTr2のゲート端子との接続点Bはメインコントローラ26に接続されている。
従って、メインコントローラ26から接続点Bにハイレベル信号が入力されると、信号反転回路40の出力端子からローレベル信号が出力され、そのローレベル信号に基づく電圧が第2のP型トランジスタTr3のソース端子及びドレイン端子間を導通させるオン電圧として第2のP型トランジスタTr3のゲート端子に印加される。これによって、第2のP型トランジスタTr3のソース端子及びドレイン端子間が導通状態となる。逆に、メインコントローラ26から接続点Bにローレベル信号が入力されると、信号反転回路40の出力端子からハイレベル信号が出力され、そのハイレベル信号に基づく電圧がP型トランジスタTr3のゲート端子に印加されるため、第2のP型トランジスタTr3のソース端子及びドレイン端子間が非導通状態となる。
一方、メインコントローラ26から接続点Bにハイレベル信号が入力されると、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子にハイレベル信号が入力され、第1のP型トランジスタTr2のソース端子及びドレイン端子間が非導通状態となる。逆に、メインコントローラ26から接続点Bにローレベル信号が入力されると、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子にローレベル信号が入力され、そのローレベル信号に基づく電圧が第1のP型トランジスタTr2のソース端子及びドレイン端子間を導通させるオン電圧として第1のP型トランジスタTr2のゲート端子に印加され、これによって第1のP型トランジスタTr2のソース端子及びドレイン端子間が導通状態となる。
メインコントローラ26は、N型トランジスタTr(図3及び図8を参照)のゲート端子及びN型トランジスタTr1のゲート端子に印加されることによりN型トランジスタTr及びTr1の各々のソース端子及びドレイン端子間を導通させることを可能にする駆動用電圧を、放電対象とする二次電池18に対応する接続点Aに対して印加する。
また、メインコントローラ26は、電源制御装置10に対する電源装置12の接続状態を示す接続情報が入力装置32から入出力インタフェース30を介して入力された際に、入力された接続情報に応じて接続点Bにハイレベル信号及びローレベル信号を選択的に出力する。
上記接続情報は、放電素子ユニット108(図3及び図8を参照)が並列に接続された二次電池18が、対応するN型トランジスタTr1のドレイン端子及びソース端子間に、対応する電圧監視端子36を介して接続され、かつN型トランジスタTrのゲート端子が、対応する印加端子34に接続されたことを示す第1接続情報と、放電素子ユニット108が並列に接続されていない二次電池18が、対応するN型トランジスタTr1のドレイン端子及びソース端子間に、対応する電圧監視端子36を介して接続されたことを示す第2接続情報と、に大別され、第1接続情報または第2接続情報が入力装置32から入出力インタフェース30を介してメインコントローラ26に入力される。
図3は、本第1の実施形態に係る電源制御装置10に電源装置12Aが正しく接続された場合の一例を示す構成図である。なお、同図の電源装置12Aは、上述した電源装置12の一例であり、図8に示す電源装置100と比較して、二次電池106に代えて二次電池18を適用した点のみが異なっている。
図3に示すように、電源装置12AのN型トランジスタTr1のゲート端子は印加端子34に接続されており、電源装置12Aの二次電池18の正極端子は対応するN型トランジスタTr1のドレイン端子に、電源装置12Aの二次電池18の負極端子は対応するN型トランジスタTr1のソース端子に各々対応する抵抗器Rx及び電圧監視端子36を介して接続されている。
図4は、本第1の実施形態に係る電源制御装置10に電源装置12Bが正しく接続された場合の一例を示す構成図である。なお、同図の電源装置12Bは、上述した電源装置12の一例であり、図9に示す電源装置120と比較して、二次電池124に代えて二次電池18を適用した点のみが異なっている。
図4に示すように、電源装置12Bの二次電池18の正極端子は対応するN型トランジスタTr1のドレイン端子に、電源装置12Bの二次電池18の負極端子は対応するN型トランジスタTr1のソース端子に各々対応する抵抗器Rx及び電圧監視端子36を介して接続されている。
なお、以下では、N型トランジスタTr及びN型トランジスタTr1を区別して説明する必要がない場合には末尾に符号を付けずに「N型トランジスタ」と総称する。
次に、本第1の実施形態に係る電源制御装置10の作用を説明する。
本第1の実施形態に係る電源制御装置10に電源装置12が正しく接続されている場合、電源制御装置10では、接続された電源装置12に組み込まれている組電池14における二次電池18間の残容量の不均衡を解消するための電源制御処理が実行される。
次に、図5を参照して、電源制御処理を実行する際の電源制御装置10の作用を説明する。なお、図5は、接続情報を受信した際にメインコントローラ26によって実行される電源制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
同図のステップ200では、第1接続情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ202へ移行する一方、第2接続情報を受信して否定判定となった場合にはステップ204へ移行する。
ステップ202では、二次電池18の各々に対応する接続点Bにローレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムを終了するまで出力し続けるように制御を行った後、ステップ206へ移行する。上記ステップ202の処理に応じて、信号反転回路40の各々は、入力されたローレベル信号を反転させてハイレベル信号を対応する第2のP型トランジスタTr3のゲート端子に出力する。これによって、第2のP型トランジスタTr3の各々のソース端子及びドレイン端子間が非導通状態となる。一方、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子にはローレベル信号が入力されるため、第1のP型トランジスタTr2の各々のソース端子及びドレイン端子間が導通状態となる。
ステップ204では、二次電池18の各々に対応する接続点Bにハイレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムを終了するまで出力し続けるように制御を行った後、ステップ206へ移行する。上記ステップ204の処理に応じて、信号反転回路40の各々は、入力されたハイレベル信号を反転させてローレベル信号を対応する第2のP型トランジスタTr3のゲート端子に出力する。これによって、第2のP型トランジスタTr3の各々のソース端子及びドレイン端子間が導通状態となる。一方、第1の第1のP型トランジスタTr2のゲート端子にはハイレベル信号が入力されるため、第1のP型トランジスタTr2の各々のソース端子及びドレイン端子間が非導通状態となる。
ステップ206では、電源装置12の組電池14における二次電池18の各々の電圧値に基づいて、二次電池18間の残容量に不均衡が生じるまで待機する。
次のステップ208では、二次電池18間の残容量の不均衡を解消するために放電させる二次電池18に対応する印加対象を、現時点での二次電池18の各々の電圧値を参照して決定する。
次のステップ210では、上記ステップ208の処理によって決定した印加対象に駆動用電圧が印加されるように、上記ステップ208の処理によって決定した印加対象に対応する接続点Aに対して駆動用電圧を印加する。これに応じて、駆動用電圧が印加された印加対象に対応するN型トランジスタのソース端子及びドレイン端子間にそのN型トランジスタに対応する二次電池18による電流が流れる。
次のステップ212では、二次電池18間の残容量に不均衡が解消されたか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ208へ戻る一方、肯定判定となった場合には本電源制御処理プログラムを終了する。
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態に係る電源制御装置10によれば、組電池14における二次電池18毎にN型トランジスタTr1(導通手段)及び印加端子34を設けると共に、駆動用電圧が印加された場合に導通状態(放電可能)となる放電素子ユニット108(放電回路)が並列に接続された二次電池18の各々がN型トランジスタTr1のソース端子(第1端子)とドレイン端子(第2端子)との間に接続され、かつ放電素子ユニット108が印加端子34に接続された場合には、放電素子ユニット108が作動して放電可能となるように印加端子34を介して放電素子ユニット108に駆動用電圧が印加され、放電素子ユニット108が並列に接続されていない二次電池18の各々がN型トランジスタTr1のソース端子とドレイン端子との間に接続された場合には、N型トランジスタTr1のゲート端子(制御端子)に駆動用電圧が印加されるように制御する制御回路39を設けたので、二次電池18間の残容量の不均衡を解消するために、各々放電素子ユニット108が並列に接続された複数の二次電池18によって構成された組電池14に対しても、各々放電素子ユニット108が並列に接続されていない複数の二次電池18によって構成された組電池14に対しても用いることができるように、汎用性を高めることができる。
また、本第1の実施形態に係る電源制御装置10によれば、組電池14における二次電池18毎の電圧値を測定し、その測定結果を参照しながら二次電池18間の残容量の差が縮まるように、放電させるべき二次電池18に対応する印加対象としての印加端子34またはN型トランジスタTr1のゲート端子に対して駆動用電圧が印加されるように制御しているので、組電池14における二次電池18間の残容量の不均衡を解消することができる。
また、本第1の実施形態に係る電源制御装置10によれば、メインコントローラ26、入出力インタフェース30及び入力装置32により第1接続情報または第2接続情報を設定し、設定した第1接続情報または第2接続情報、及び測定して得られた二次電池18毎の電圧値に基づいて、放電させるべき二次電池18に対応する印加対象としての印加端子34またはN型トランジスタTr1のゲート端子に対して駆動用電圧が印加されるように(二次電池18を放電させることにより二次電池18間の残容量の差が縮まるように)制御しているので、各々放電素子ユニット108が並列に接続された複数の二次電池18によって構成された組電池14に対しても、各々放電素子ユニット108が並列に接続されていない複数の二次電池18によって構成された組電池14に対しても二次電池18間の残容量の不均衡を解消することができる。
また、本第1の実施形態に係る電源制御装置10によれば、制御回路39を、第1のP型トランジスタTr2及び第2のP型トランジスタTr3を含むように構成し、メインコントローラ26、入出力インタフェース30及び入力装置32によって設定された第1接続情報または第2接続情報に基づいて、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子及び第2のP型トランジスタTr3のゲート端子に対して、第1のP型トランジスタTr2のソース端子及びドレイン端子間及び第2のP型トランジスタTr3のソース端子及びドレイン端子間を導通させるためのオン電圧が選択的に印加されるように制御しているので、簡易かつ確実に、印加対象としての印加端子34またはN型トランジスタTr1のゲート端子に対して駆動用電圧を印加することができる。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、N型トランジスタTr及びTr1の何れか一方のゲート端子に対して駆動用電圧を印加する場合の形態例を挙げて説明したが、本第2の実施形態では、N型トランジスタTr及びTr1の何れのゲート端子にも駆動用電圧を印加しないか、またはN型トランジスタTr及びTr1の少なくとも一方のゲート端子に対して駆動用電圧を印加することを可能にする場合の形態例について説明する。なお、本第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、本第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を説明する。
図6は、本第2の実施形態に係る電源制御装置10A及び電源制御装置10Aに接続された電源装置12Aの構成を示す構成図である。同図に示すように、本第2の実施形態に係る電源制御装置10Aは、上記第1の実施形態で説明した図2に示す電源制御装置10に比べ、信号反転回路40を除いた点、及び第1のP型トランジスタTr2のゲート端子と第2のP型トランジスタTr3のゲート端子とをメインコントローラ26の異なる出力端子に各々接続した点のみが異なっている。
次に、図7を参照して、本第2の実施形態に係る電源制御処理を実行する際の電源制御装置10Aの作用を説明する。なお、図7は、接続情報を受信した際にメインコントローラ26によって実行される本第2の実施形態に係る電源制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
同図のステップ300では、第1接続情報を受信したか否かを判定し、第2接続情報を受信して否定判定となった場合にはステップ302へ移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ304へ移行する。
ステップ302では、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子にハイレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムのステップ318の処理で肯定判定となるまで出力し続けるように制御を行うと共に、第2のP型トランジスタTr3のゲート端子にローレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムのステップ318の処理で肯定判定となるまで出力し続けるように制御を行った後、ステップ312へ移行する。上記ステップ302の処理に応じて、下記の表に示すように、第1のP型トランジスタTr2のソース端子及びドレイン端子間は非導通状態(スイッチング状態=OFF)となり、第2のP型トランジスタTr3のソース端子及びドレイン端子間は導通状態(スイッチング状態=ON)となる。従って、この状態で、N型トランジスタTr1のゲート端子に駆動用電圧が印加された場合、図6に示す矢印C方向に電流が流れることになる。
ステップ304では、入力装置32から入出力インタフェース30を介して、二次電池18間の残容量の不均衡を解消するために行う放電の時間を短縮することを指示する時短指示情報が入力されたか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ306へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ308へ移行する。
ステップ306では、第1のP型トランジスタTr2及びTr3の各々のゲート端子にローレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムのステップ318の処理で肯定判定となるまで出力し続けるように制御を行った後、ステップ312へ移行する。上記ステップ306の処理に応じて、下記の表に示すように、第1のP型トランジスタTr2及びTr3の各々のソース端子及びドレイン端子間は導通状態となる。従って、この状態で、N型トランジスタTr及びTr1の各々のゲート端子に駆動用電圧が印加された場合、図6に示す矢印C方向及び矢印D方向に電流が流れることになる。
ステップ308では、二次電池18間の残容量の不均衡を解消するために行う放電の時間を短縮しないとみなす条件(例えば、上記ステップ300の処理で肯定判定となってから所定時間経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ304へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ310へ移行する。
ステップ310では、第1のP型トランジスタTr2のゲート端子にローレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムのステップ318の処理で肯定判定となるまで出力し続けるように制御を行う共に、第2のP型トランジスタTr3のゲート端子にハイレベル信号を少なくとも本電源制御処理プログラムのステップ318の処理で肯定判定となるまで出力し続けるように制御を行った後、ステップ312へ移行する。上記ステップ310の処理に応じて、下記の表に示すように、第1のP型トランジスタTr2のソース端子及びドレイン端子間は導通状態となり、第2のP型トランジスタTr3のソース端子及びドレイン端子間は非導通状態となる。従って、この状態で、N型トランジスタTrのゲート端子に駆動用電圧が印加された場合、図6に示す矢印D方向に電流が流れることになる。
ステップ312では、電源装置12の組電池14における二次電池18の各々の電圧値に基づいて、二次電池18間の残容量に不均衡が生じるまで待機する。
次のステップ314では、駆動用電圧の印加対象としての全てのN型トランジスタTr1のゲート端子及び電源制御装置10の全ての印加端子34のうち、二次電池18間の残容量の不均衡を解消するために放電させる二次電池18に対応する印加対象を、現時点での二次電池18の各々の電圧値を参照して決定する。
次のステップ316では、上記ステップ314の処理によって決定した印加対象に駆動用電圧が印加されるように、上記ステップ314の処理によって決定した印加対象に対応する接続点Aに対して駆動用電圧を印加する。これに応じて、駆動用電圧が印加された印加対象に対応するN型トランジスタのソース端子及びドレイン端子間にそのN型トランジスタに対応する二次電池18による電流が流れる。
次のステップ318では、二次電池18間の残容量に不均衡が解消されたか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ314へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ320へ移行する。
ステップ320では、第1のP型トランジスタTr2及びTr3の各々のゲート端子にハイレベル信号を予め定められた期間出力し続けるように制御を行った後、本電源制御処理プログラムを終了する。上記ステップ320の処理に応じて、下記の表に示すように、第1のP型トランジスタTr2及びTr3の各々のソース端子及びドレイン端子間は非導通状態となる。従って、この状態で、仮に接続点Aに駆動用電圧が印加されたとしても、この駆動用電圧はN型トランジスタのゲート端子に印加されない。
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態に係る電源制御装置10Aによれば、放電素子ユニット108が並列に接続された二次電池18の各々がN型トランジスタTr1のソース端子とドレイン端子との間に接続され、かつ放電素子ユニット108が印加端子34に接続された場合に、放電素子ユニット108が作動するように印加端子34を介して放電素子ユニット108に駆動用電圧が印加されると共に、N型トランジスタTr1のゲート端子に駆動用電圧が印加されるように制御することにより、二次電池18及び放電素子ユニット108によって構成される並列回路のみで二次電池18を放電させる場合に比べ、効率的に二次電池18を放電させることができるので、二次電池18間の残容量の不均衡を迅速に解消することができる。
なお、上記各実施形態では、メインコントローラ26が入力装置32から入力された接続情報に基づいて電源制御装置10に対する電源装置12の接続状態を把握する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、メインコントローラ26または別途事前に用意した電圧測定装置(図示省略)により印加端子34及び電圧監視端子36の各々に印加されている電圧値を常時監視することにより電源制御装置10に対する電源装置12の接続状態を把握するようにしてもよい。また、印加端子34及び電圧監視端子36の各々に対する電源装置12のコネクタ16の接続状態を検出するセンサ(図示省略)を電源制御装置10に設け、このセンサの検出結果に基づいて電源制御装置10に対する電源装置12の接続状態を把握するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、メインコントローラ26が電源制御処理プログラムの処理の実行を開始するトリガーとして接続情報の受信を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、電源制御処理プログラムの処理の実行を開始することを示す指示信号の入力、電源装置12が電源制御装置10に接続されてから予め定められた期間経過したとき、或いは電源装置12が電源制御装置10に接続されてから予め定められた時間間隔毎をトリガーとしてメインコントローラ26が電源制御処理プログラムの処理の実行を開始してもよい。
また、上記各実施形態では、N型トランジスタTr1を用いて二次電池18を放電させる場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、N型トランジスタTr1に代えて放電素子ユニット108と同様の放電素子ユニットを適用してもよい。この場合、放電素子ユニットを構成するN型トランジスタ及び抵抗器として、放電素子ユニットの発熱が電源制御装置10を含む周辺機器の誤動作や破損を発生させない発熱となるものを適用することが好ましい。また、放電素子ユニットに搭載する抵抗器として、メインコントローラ26や外部装置などの指示に従って抵抗値を変更することが可能な可変抵抗器を用いることも可能である。
また、上記各実施形態では、N型トランジスタTr1が組電池14の二次電池18の各々に対して過不足なく適用される場合について説明したが、電源制御装置10(10A)は汎用性が高いため、組電池14を構成している二次電池18の個数によってはN型トランジスタTr1が余ることが考えられる。この場合、最下段の二次電池18から最上段の二次電池18までの二次電池18の各々を最下段の接地されたN型トランジスタTr1から順次に上段のN型トランジスタTr1に対応させて接続すると共に、最上段の二次電池18の正極端子を余ったN型トランジスタTr1のドレイン端子及びソース端子に接続すればよい。
また、上記各実施形態では、二次電池18の電圧値を測定することにより二次電池18の残容量を把握する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、二次電池18の電力値を測定することにより二次電池18の残容量を把握することも可能である。このように、二次電池18の残容量に対応する物理量を測定することにより二次電池18の残容量を把握してもよい。
また、上記各実施形態では、二次電池18の電圧値を個別に測定して、その測定結果に基づいて二次電池18を個別に放電させる場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、組電池14における二次電池18を2個単位で区切って得られた電池ユニット毎に電圧値を測定して、その測定結果に基づいて電池ユニット毎に放電させてもよい。なお、この場合、1つの電池ユニットに対して1つのN型トランジスタTrが割り当てられる。このように、直列に接続された複数の電池を予め定められた個数単位で区切って得られた電池ユニット毎に電圧値を測定して電池ユニット毎に放電させてもよい。
また、上記実施形態では、二次電池18を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば一次電池などの直列に接続して組電池として機能する電池であれば如何なるものであってもよい。
また、上記実施形態では、オン抵抗が小さくスイッチング動作を高速に行うことができるという観点からN型トランジスタ及び第1のP型トランジスタTr2及び第2のP型トランジスタTr3として電界効果型トランジスタを適用した場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、N型トランジスタ及び第1のP型トランジスタTr2及び第2のP型トランジスタTr3としてバイポーラ型トランジスタを用いても良い。この場合、バイポーラ型トランジスタのコレクタ端子が電界効果型トランジスタのドレイン端子に、バイポーラ型トランジスタのエミッタ端子が電界効果型トランジスタのソース端子に、バイポーラ型トランジスタのベース端子が電界効果型トランジスタのゲート端子に各々対応するように電界効果型トランジスタに代えてバイポーラ型トランジスタを適用すればよい。また、トランジスタに代えて他のスイッチング素子を適用してもよい。
また、上記各実施形態では、各種の処理プログラムがメモリ28に予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、ROMなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用してもよいし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。