JP5533120B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低温焼成が可能なセラミック材料を用いた多層セラミック基板の製造方法に関し、詳しくは、焼成後に多層セラミック基板となるセラミック積層体に、該セラミック積層体の焼成温度では実質的に焼結しない難焼結材料からなる収縮抑制層を配設して、収縮を抑制しつつ焼成を行う、いわゆる無収縮焼成の工程を経て製造される多層セラミック基板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化にともない、表面電極や内部回路などを備えた多層セラミック基板が広く用いられている。そして、多層セラミック基板を構成するセラミックとして、低温焼成が可能なガラスセラミックを使用したものも多く用いられている。
しかしながら、多層セラミック基板を製造するにあたっては、焼成後にセラミック基板となるセラミック積層体を焼成する工程において、平面方向の焼成収縮や該収縮のばらつきなどが生じやすいという問題点があり、低温焼成が可能なガラスセラミックを用いた多層セラミック基板の場合、よりその傾向が強い。
そこで、このような焼成工程における収縮を抑制しつつ、セラミック積層体を焼成して、高い平面寸法精度を備えたセラミック基板を製造する方法として、例えば、図3に示すように、低温焼成セラミック生基板(セラミック積層体)51の両主面に、低温焼成セラミック生基板の焼成温度では実質的に焼結しない、アルミナなどの難焼結性材料を主たる成分とするダミーグリーンシート(収縮抑制層)52a,52bを形成した状態で焼成し、焼成後にダミーグリーンシート52a,52bを除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
そして、この方法によれば、平面方向の焼成収縮を抑制して、平面寸法精度の高いセラミック基板を得ることが可能になる。
しかしながら、この方法を用いた場合、例えば、セラミック積層体の最外層を構成するセラミックグリーン層(グリーンシート)の表面に電極(表面電極パターン)が形成され、最外層の下に内部電極パターン(容量形成用の内部電極パターンや内部回路パターンなど)が形成されている場合、セラミックグリーン層の薄層化が進み、1層あたりの厚みが、例えば30μmを切るようになると、焼成後に得られるセラミック基板の段階において、表面電極と内部電極との間の絶縁性を確保することができず、ショートが発生してしまうという問題点がある。
このようなショートが発生するメカニズムは、以下に説明する通りである。
例えば、図4に模式的に示すように、焼成後に多層セラミック基板70となるセラミック積層体51の最外層のセラミックグリーン層61に含まれるガラスの一部が、収縮抑制層52aに流動して吸い取られ、焼成後のセラミック層61aには、表面電極62の近傍にポアが多く発生する。そのため、最外層のセラミック層61の厚みが薄い場合、ポアにメッキ液が浸入したり、電極のマイグレーションを引き起こしたりして、セラミック積層体51の内部に配設された内部電極63と表面電極62との間でショートが発生する。
特に、表面電極62の近傍にポアが多く発生するのは、表面電極62付近では、電極を構成するAgなどの導電材料の拡散によってセラミックグリーン層に含まれるガラスの軟化点が低下し、表面電極62付近では収縮抑制層52aへのガラスの流動が生じやすくなるためである。
特開平10−316475号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、難焼結材料からなる収縮抑制層を用いて焼成を行う収縮抑制工法により焼成を行って多層セラミック基板を製造するにあたって、表面電極と内部電極との間の絶縁性を確保することが可能で、信頼性の高い多層セラミック基板を確実に、かつ、効率よく製造することが可能な多層セラミック基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の多層セラミック基板の製造方法は、低温焼結セラミック材料を含む第1のセラミックグリーン層を積層してなり、少なくとも一方主面には表面電極パターンが形成されたセラミック積層体の、少なくとも前記表面電極パターンが形成された前記一方主面に、前記低温焼結セラミック材料の焼結温度では焼結しない難焼結性セラミック材料を含む収縮抑制層を配置して焼成する工程を備えた、表面電極と内部電極とを有する多層セラミック基板の製造方法であって、
前記セラミック積層体を焼成する工程においては、前記セラミック積層体の、前記表面電極パターンが形成された前記一方主面と、前記収縮抑制層との間に、前記セラミック積層体を構成する前記第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層を配置した状態で焼成を行い、
前記焼成の終了後に、前記第2のセラミックグリーン層が焼成されてなる第2のセラミック層と、前記収縮抑制層とを除去すること
を特徴としている。
本発明の多層セラミック基板の製造方法において、前記第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度は、前記第1のセラミックグリーン層の収縮開始温度よりも20℃以上低いことが望ましい。
また、前記第2のセラミックグリーン層に含まれるセラミック材料は、ガラス材料のみであることが望ましい。
前記ガラス材料は、結晶化しないガラスからなるものであることが望ましい。
本発明の多層セラミック基板の製造方法は、低温焼結セラミック材料の焼結温度では焼結しない難焼結性セラミック材料を含む収縮抑制層を配置して焼成する工程を備えた、表面電極と内部電極とを有する多層セラミック基板の製造方法であって、セラミック積層体を焼成する工程において、セラミック積層体の、表面電極パターンが形成された一方主面と、収縮抑制層との間に、セラミック積層体を構成する第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層を配置した状態で焼成を行った後、第2のセラミックグリーン層が焼成されてなる第2のセラミック層と収縮抑制層とを除去するようにしているので、表面電極が形成されているセラミック積層体の最外層を構成するセラミック層の絶縁性を向上させることが可能になる。
したがって、本発明によれば、多層セラミック基板が、最外層を介して表面電極と対向するような内部電極(例えば、容量形成用の内部電極や内部回路など)を備えている場合にも、表面電極と内部電極との間でショートが発生することを防止することが可能な信頼性の高い多層セラミック基板を確実に製造することができる。
すなわち、前述の従来技術のように、セラミック積層体に直接接するように収縮抑制層を配設して焼成を行った場合、第1セラミックグリーン層からなるセラミック積層体の最外層は、焼成工程で焼結しない難焼結性セラミック材料を含む収縮抑制層と接しているために、最外層を構成する第1セラミックグリーン層に含まれるガラス成分が、収縮抑制層に流れ込むことになる。特に、表面電極の直下部は、電極材料(Agなど)の拡散によって第1セラミックグリーン層に含まれるガラスの軟化点が低下するため、より収縮抑制層にガラスが流れ込みやすく、ポアが形成されやすい。そのため、セラミックグリーン層が薄くなると、ポアが形成された箇所で、実質的な絶縁層厚みが極端に薄くなり、絶縁破壊を起こしやすくなる。
これに対し、本発明のように、収縮抑制層とセラミック積層体を構成する第1のセラミックグリーン層の間に、第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層を配置するようにした場合、焼成工程において、第2のセラミックグリーン層に含まれるガラス成分が、セラミック積層体を構成する第1のセラミックグリーン層に含まれるガラス成分よりも先に軟化し、収縮するため、セラミック積層体を構成する第1のセラミックグリーン層中のガラス成分が軟化する温度では、収縮抑制層へのガラス成分の移動経路がほとんどなくなってしまう。そのため、第1セラミックグリーン層からガラス成分が収縮抑制層に流れ出すことがなく、表面電極の近傍でも第1セラミックグリーン層へのポアの発生は抑制、防止される。したがって、本発明によれば、表面電極と内部導体との間の絶縁性に優れた信頼性の高い多層セラミック基板を効率よく、しかも確実に製造することができる。
また、第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度を、第1のセラミックグリーン層の収縮開始温度よりも20℃以上低くすることにより、さらに確実に、第1セラミックグリーン層から収縮抑制層にガラス成分が流れ出すことを防止して、セラミック積層体の最外層を構成するセラミック層の絶縁性を向上させることが可能になる。
ただし、本発明においては、第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度が、第1のセラミックグリーン層のそれよりも20℃以上低いという要件を満たさなくても、第1のセラミックグリーン層よりも第2のセラミックグリーン層の方が収縮開始温度が早いという条件を満たしていれば、昇温速度を遅くするなど、焼成条件を調整することにより必要な絶縁性を確保することができる。
また、第2のセラミックグリーン層に含まれるセラミック材料をガラス材料のみとすることにより、焼成工程が終了した後の第2のセラミックグリーン層の除去性を向上させることができる。
ガラス材料として、結晶化しないガラスからなるものを用いた場合、第2のセラミックグリーン層の焼成後の除去性をさらに向上させることが可能になる。
本発明の一実施例(実施例1)にかかる方法により多層セラミック基板を製造する方法を説明する図である。 本発明の実施例1において作製した、多層セラミック基板を模式的に示す断面図である。 従来のセラミック基板の製造方法を示す図である。 従来のセラミック基板の製造方法の問題点を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を示して、本発明をさらに詳しく説明する。
[1]基板用の第1のセラミックグリーン層の作製
まず、以下の方法で、セラミック多層基板を構成する、ガラス成分を含む低温焼結セラミック材料を用いた第1のセラミックグリーン層(基板用シート)を作製した。
平均粒径D50=3.0μmのSiO2−CaO−B23−Al23系ガラス(ガラスA)とアルミナ粉末とを、重量比で6(ガラスA):4(アルミナ粉末)となるように秤取し、トルエンとアルコールの混合溶媒、分散剤、可塑剤(DOA)、および有機バインダーとともに、ボールミルにて混合することによりスラリーを作製した。なお、有機バインダーとしては、ブチラール系バインダーを用いた。
それから、このスラリーを、ドクターブレード法にてシート成形して、厚み60μm(焼成後の厚み30μm)のセラミックグリーンシート(第1のセラミックグリーン層)を作製した。
この第1のセラミックグリーン層の収縮開始温度および収縮終了温度は以下の通りである。
(a)収縮開始温度:720℃
(b)収縮終了温度:912℃
なお、上記の収縮開始温度および収縮終了温度の値は、後述の[12]特性の評価の(1)において説明した、第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度および収縮終了温度の測定方法と同じ方法で測定した値である。
セラミック多層基板を構成する第1セラミックグリーン層用の材料としては、上記の材料以外に、MgO−SiO2−Al23−B23系ガラスとアルミナ粉末との混合物、SiO2−B23系ガラスとアルミナ粉末との混合物、PbO−SiO2−B23系ガラスとアルミナ粉末との混合物などを用いることが可能であり、さらに、コージェライト系結晶化ガラスなどの800〜1000℃で焼成できるガラスを含む低温焼成セラミック材料を用いることも可能である。
また、この実施例では、有機バインダーとしてブチラール系バインダーを用いたが、その他にもアクリル系バインダーなどの種々の有機バインダーを使用することが可能である。
[2]第2のセラミックグリーン層の作製
焼成後に多層セラミック基板となるセラミック積層体と、収縮抑制層との間に介在させるための第2のセラミックグリーン層を以下の方法で作製した。
まず、原料として、平均粒径D50=3.0μmのSiO2−CaO−B23−Al23−K2O系ガラス(ガラスB)とアルミナ粉末を用いて、上述の第1のセラミックグリーン層(基板用シート)の場合と同様の方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)のセラミックグリーンシート(第2のセラミックグリーン層)を作製した。
なお、第2のセラミックグリーン層に用いられるガラス原料は、第1のセラミックグリーン層(基板用シート)よりも収縮開始温度が低いもの、すなわち、第1のセラミックグリーン層よりも早く収縮が開始するものであれば、種類を選ばない。
ただし、焼成中に生じるガラスの拡散を考えた場合、製品としての多層セラミック基板の特性変化を抑制する見地からは、できるだけ基板を構成する第1のセラミックグリーンシート層に用いられるガラス原料に近い組成のガラス原料を選ぶことが好ましい。
具体的には、例えば、アルカリ金属をガラスに含有させることにより、ガラスの収縮開始温度を低くすることができる。また、アルカリ金属の中では、カリウム(K)が収縮開始温度を低くするのに特に有効である。
[3]収縮抑制層の作製
また、焼成工程で、セラミック積層体の平面方向への収縮を抑制するために用いられる収縮抑制層として、アルミナ(Al23)粉末、溶媒、および有機バインダーを含むスラリーをシート状に成形して、厚み200μmの収縮抑制層を作製した。
なお、上記第2のセラミックグリーン層を、この収縮抑制層上に成形して、複合シート(複合層)を作製し、積層工程の合理化を図るようにしてもよい。
[4]表1の試料番号1の多層セラミック基板(試料)の作製
上述のようにして作製した第1のセラミックグリーン層(基板用シート)に、銀粉末を導電成分とする導電性ペーストを印刷して、所定の電極パターンを備えたセラミックグリーン層を作製した。
なお、第1のセラミックグリーン層のうち、所定のものについては、表面電極となる電極パターン(表面電極パターン)11(図1参照)を形成し、さらに他のものについては、容量形成用の内部電極となる電極パターン(内部電極パターン)12(図1参照)を形成した。
それから、上述のようにして作製した、
(a)表面電極パターンを形成した第1のセラミックグリーン層、
(b)内部電極パターンを形成した第1のセラミックグリーン層、
(c)電極パターンを形成していない第1のセラミックグリーン層、
(d)第2のセラミックグリーン層、
(e)収縮抑制層
を所定の順序で積層して、図1に示すように、複数の第1のセラミックグリーン層(基板用シート)1を積層してなる、表裏両主面に表面電極パターン11が形成され、内部に容量形成用の内部電極パターン12を備えたセラミック積層体20が、セラミック積層体20の表面電極パターン11が形成された主面を被覆するように配設された、第1のセラミックグリーン層1よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層2を介して、収縮抑制層3により挟まれた構造を有する複合積層体30を形成した。なお、この複合積層体30の厚みはこの実施例では600μm〜1000μmとした。
なお、複合積層体30を作製するにあたって、第1および第2のセラミックグリーン層1,2、収縮抑制層3の積層の順序には特別の制約はなく、図1において下方に位置する層から順に積層する(すなわち、収縮抑制層3、第2のセラミックグリーン層2、複数の第1のセラミックグリーン層1、第2のセラミックグリーン層2、収縮抑制層3の順に積層する)ようにしてもよく、また、第1のセラミックグリーン層を積層してセラミック積層体20を先に形成し、セラミック積層体20の上下の両主面に、第2のセラミックグリーン層2を配設した後、さらに、第2のセラミックグリーン層2の外側に収縮抑制層3を配置するようにしてもよい。
さらにその他の態様で各層を積層することも可能であり、例えば、第2のセラミックグリーン層2を収縮抑制層3上に配設することにより形成した複合層(複合シート)を用いて、セラミック積層体20が、第2のセラミックグリーン層2を介して、収縮抑制層3により挟まれた構造を有する複合積層体30を形成するようにしてもよい。
それから、上述のようにして作製した複合積層体30を、750℃まで大気雰囲気下で加熱して脱脂を行った後、N2雰囲気下、850〜1000℃で焼成した。
その後、ウェットブラスト(ブラスト圧力:0.1MPa、走査速度30mm/sec)にて処理し、収縮抑制層3と、第2のセラミック層2a(第2のセラミックグリーン層2が焼成工程を経た後の層)を除去することにより多層セラミック基板を得た。なお、ブラスト処理は、表層電極11aとの導通が確認できるまで行った。
これにより、図2に模式的に示すように、ガラス成分を含む低温焼結セラミック材料を主成分とする複数の第1のセラミック層1aが積層され、表裏両主面に表面電極11aが形成され、内部に容量形成用の内部電極12aを備えた構造を有する表1の試料番号1の試料である多層セラミック基板20aを得た。
[5]表1の試料番号2の多層セラミック基板(試料)の作製
第2のセラミックグリーン層の原料として、上記試料番号1の試料(多層セラミック基板)を製造するにあたって、第1のセラミックグリーン層1に用いたものと同じガラスA(SiO2−CaO−B23−Al23系ガラス)を用いて、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造する場合と同じ方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)の第2のセラミックグリーン層を作製した。
そして、この第2のセラミックグリーン層を用いたことを除いて、試料番号1の多層セラミック基板の場合と同様の方法および条件で、多層セラミック基板を作製した。
[6]表1の試料番号3,4,5の多層セラミック基板(試料)の作製
第2のセラミックグリーン層の原料として、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造するにあたって、第2のセラミックグリーン層2に用いたものと同じガラスB(SiO2−CaO−B23−Al23−K2O系ガラス)とアルミナ(Al23)粉末を、重量比で9:1(試料番号3)、7:3(試料番号4)、5:5(試料番号5)の割合で混合した材料を用いて、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造する場合と同じ方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)の第2のセラミックグリーン層を作製した。
そして、この第2のセラミックグリーン層を用いたことを除いて、試料番号1の多層セラミック基板の場合と同様の方法および条件で、多層セラミック基板を作製した。
[7]表1の試料番号6,7,8の多層セラミック基板(試料)の作製
第2のセラミックグリーン層の原料として、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造するにあたって、第1のセラミックグリーン層1に用いたものと同じガラスA(SiO2−CaO−B23−Al23系ガラス)と、第2のセラミックグリーン層2に用いたものと同じガラスB(SiO2−CaO−B23−Al23−K2O系ガラス)を、重量比で1:9(試料番号6)、3:7(試料番号7)、5:5(試料番号8)の割合で混合した材料を用いて、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造する場合と同じ方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)の第2のセラミックグリーン層を作製した。
そして、この第2のセラミックグリーン層を用いたことを除いて、試料番号1の多層セラミック基板の場合と同様の方法および条件で、多層セラミック基板を作製した。
[8]表1の試料番号9,10の多層セラミック基板(試料)の作製
第2のセラミックグリーン層の原料として、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造するにあたって、第1のセラミックグリーン層1に用いたものと同じガラスA(SiO2−CaO−B23−Al23系ガラス)とアルミナ(Al23)粉末を、重量比で9:1(試料番号9)、7:3(試料番号10)の割合で混合した材料を用いて、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造する場合と同じ方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)の第2のセラミックグリーン層を作製した。
そして、この第2のセラミックグリーン層を用いたことを除いて、試料番号1の多層セラミック基板の場合と同様の方法および条件で、多層セラミック基板を作製した。
[9]表1の試料番号11の多層セラミック基板(試料)の作製
第2のセラミックグリーン層の原料として、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造するにあたって、第1のセラミックグリーン層1に用いたものと同じガラスA(SiO2−CaO−B23−Al23系ガラス)をD50=1.5μmとなるように微粉砕した微粒ガラスと、アルミナ(Al23)粉末とを、重量比で6:4の割合で混合した材料を用いて、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造する場合と同じ方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)の第2のセラミックグリーン層を作製した。
なお、この試料番号11の多層セラミック基板の製造に使用した第2のセラミックグリーン層のガラスAは、セラミック基板用の第1のセラミックグリーン層1(収縮開始温度は720℃、収縮終了温度は912℃)に用いたガラスAと同じ組成のガラス原料であり、ガラス原料とアルミナとの配合割合も、重量比で6(ガラスA):4(アルミナ粉末)と同じであるが、D50=1.5μmとなるように微粉砕しているので、第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度は666℃、収縮終了温度は902℃と、第1のセラミックグリーン層のそれより低くなっている(表1参照)。
そして、この第2のセラミックグリーン層を用いたことを除いて、試料番号1の多層セラミック基板の場合と同様の方法および条件で、多層セラミック基板を作製した。
[10]表1の試料番号12の比較例の多層セラミック基板(試料)の作製
比較のため、セラミック積層体の上下の両主面に収縮抑制層が直接に接合された複合積層体、すなわち、上記実施例の場合においては、セラミック積層体20と収縮抑制層3の間に配設されている第2のセラミックグリーン層2(図1参照)を備えていない構成の複合積層体を作製した。
そして、この複合積層体を上記実施例の場合と同じ条件で焼成した後、ブラスト処理を行って、収縮抑制層を除去することにより、上記実施例の方法で作製したものと同じ構造を有する比較用の多層セラミック基板を作製した。
[11]表1の試料番号13の比較例の多層セラミック基板(試料)の作製
第2のセラミックグリーン層の原料として、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造するにあたって、第1のセラミックグリーン層1に用いたものと同じガラスA(SiO2−CaO−B23−Al23系ガラス)とアルミナ(Al23)粉末を、重量比で5:5の割合で混合した材料を用いて、上記試料番号1の多層セラミック基板を製造する場合と同じ方法および条件で、厚み60μm(焼成後30μm)の第2のセラミックグリーン層を作製した。
そして、この第2のセラミックグリーン層を用いたことを除いて、試料番号1の多層セラミック基板の場合と同様の方法および条件で、多層セラミック基板を作製した。
[12]特性の評価
以下に説明する方法により、
(1)第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度および収縮終了温度
(2)焼成後の第2のセラミック層の結晶性
(3)作製した多層セラミック基板のコンデンサ構造部の抵抗値
(4)焼成後の第2のセラミック層の除去性
の各特性を調べた。
(1)第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度および収縮終了温度
第2のセラミックグリーン層について、熱機械分析装置を用いてTMA測定を行い、得られた収縮カーブから第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度および収縮終了温度を調べた。測定条件は、室温〜1000℃ 昇温速度10℃/minとした。
(2)焼成後の第2のセラミック層の結晶性
また、第2のセラミックグリーン層のみを、上記実施例における複合積層体を焼成する場合の焼成条件と同じ条件で焼成した後粉砕した。そして、得られた粉砕粉について、X線回折装置を用いてXRD測定を行い、結晶相の有無を調べた。
(3)作製した多層セラミック基板のコンデンサ構造部の抵抗値
本発明の実施例にかかる方法で作製した多層セラミック基板20aと、比較用の多層セラミック基板20bについて、以下の方法でコンデンサ構造部の抵抗値(すなわち、多層セラミック基板20a,20bの表面電極11aと容量形成用の内部電極12により構成されるコンデンサ構造部Cの抵抗値)を測定した。抵抗値を測定するにあたっては、コンデンサ部構造部Cに50Vの電圧を印加し、そのときの抵抗値を測定した。
(4)焼成後の第2のセラミック層の除去性
焼成後の第2のセラミック層の除去性を評価するために、焼成後に、表層電極11aとの導通が確認できるまで第2のセラミック層を除去するのに要した時間(この実施例では、表層電極11aとの導通を確認することができるまでブラスト処理を繰り返して行った場合のブラスト処理の回数)を測定した。
このブラスト処理の回数が少ないほど、焼成後の第2のセラミック層の除去性は優れていることになる。
各特性の測定結果を表1に示す。
Figure 0005533120
表1に示すように、本発明の実施例にかかる試料番号1〜11の試料において用いた第2のセラミックグリーン層は、その収縮開始温度が、焼成後に多層セラミック基板となるセラミック積層体を構成する第1のセラミックグリーン層(基板用シート)よりも低いことが確認された。なお、収縮終了温度についても、上記第1のセラミックグリーン層より第2のセラミックグリーン層の方が低いことが確認された。
また、結晶化しないガラスB(SiO2−CaO−B23−Al23−K2O系ガラス)のみを用いた試料番号1の試料の場合、第2のセラミックグリーン層が焼成されてなる第2のセラミック層に結晶相の存在は認められなかった。
そして、第2のセラミック層に結晶相が存在しない試料番号1の試料の場合、焼成後の第2のセラミック層の除去性が極めて良好で、第2のセラミック層が除去されるまで(表層電極との導通が確認できるまで)に要したブラスト処理の回数はわずかに2回であった。
また、結晶化するガラスAのみを用いた試料番号2の試料の場合、焼成後の第2のセラミック層に結晶相が存在すること、第2のセラミック層の除去性があまり良好でないことが確認された。
また、結晶化しないガラスBを用いた場合にも、
(a)結晶化しないガラスBとアルミナとを配合した第2のセラミックグリーン層を用いた試料番号3〜5の場合、
(b)結晶化するガラスAと結晶化しないガラスBとを配合した第2のセラミックグリーン層を用いた試料番号6〜8の場合、
(c)結晶化するガラスAとアルミナとを配合した第2のセラミックグリーン層を用いた試料番号9〜11の場合
それぞれ、第2のセラミック層に結晶相の存在が認められた。
なお、ガラスAまたはガラスBとアルミナを配合した場合において析出した結晶相はアノーサイトとワラストナイトであった。
アノーサイトの方がワラストナイトよりも硬度が高いため、アノーサイトが多く析出した場合には第2のセラミック層は除去性が低くなる傾向がある。
なお、結晶相が析出しているものの中では、ガラスBを用いた試料(試料番号3〜8の試料)の方が、ガラスBを用いない試料(すなわち、ガラスAのみあるいはガラスAとアルミナを用いた試料)(試料番号2および9〜11の試料)よりも除去性が良好になることがわかった。
すなわち、第2のセラミック層の結晶相は、材料組成によって変わるが、結晶化しないガラスBを用いた場合の方が、アルミナやガラスAと併せて用いた場合にも結晶量が少なくなり、第2のセラミック層の除去性が向上する。
また、作製した多層セラミック基板のコンデンサ構造部の抵抗値は、本発明の要件を備えた方法で作製された、表1の試料番号1〜11の試料のように、第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層を配置した状態で焼成を行った後、第2のセラミック層と収縮抑制層とを除去することにより得た試料の場合、108Ω〜1013Ωと高いことが確認された。これは、表面電極が形成されているセラミック積層体の最外層を構成するセラミック層(表層)が高い絶縁性を備えていることによるものである。
一方、第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が高い第2のセラミックグリーン層を配置した状態で焼成を行った試料番号12の試料(本発明の要件を備えていない比較例の試料)の場合、セラミック積層体の最外層を構成するセラミック層(表層)は、抵抗値が105Ωと低く、十分な絶縁性を備えていないことが確認された。
また、第2のセラミックグリーン層を配置せずに焼成を行った試料番号13の試料の場合、表面電極が形成されているセラミック積層体の最外層を構成するセラミック層(表層)の絶縁性が損なわれ、表面電極と内部電極間でショートが発生していることが確認された。
以上の結果から、本発明のように、セラミック積層体を構成する第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層を配置した状態で焼成を行うことにより、多層セラミック基板が、最外層を介して表面電極と対向する内部電極を備えている場合にも、表面電極と内部電極との間でショートが発生することを防止することが可能で、信頼性の高い多層セラミック基板を確実に製造できることが確認された。
なお、上記実施例では、収縮抑制層をセラミック積層体の両主面側に配設するようにした場合を例にとって説明したが、例えば厚みの厚い収縮抑制層をセラミック成形体の一方主面側にのみ配設するように構成することも可能である。なお、その場合、収縮抑制層を配設しない方の主面には、セラミック積層体と収縮抑制層の間に介在して機能を発揮する第2のセラミックグリーン層を配設する必要はない。
また、上記実施例では収縮抑制層の構成材料としてアルミナ(Al23)を用いたが、収縮抑制層の構成材料は、セラミック積層体の焼結温度で焼結せず、焼成工程で必要な収縮抑制機能を発揮できるものであればよく、その種類に特別の制約はない。ただし、ガラスを含有させると焼成工程の後で除去する際の除去性が低下する傾向があるため、通常は、ガラスを含まない材料を用いることが好ましい。
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、多層セラミック基板を構成する材料の種類、セラミック層の積層数、表面電極パターンおよび内部電極パターンの配設態様その他に関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。
1 第1のセラミックグリーン層
2 第2のセラミックグリーン層
3 収縮抑制層
11 表面電極パターン
12 内部電極パターン
20 セラミック積層体
30 複合積層体
1a 第1のセラミック層
11a 表面電極
12a 内部電極
20a 多層セラミック基板

Claims (4)

  1. 低温焼結セラミック材料を含む第1のセラミックグリーン層を積層してなり、少なくとも一方主面には表面電極パターンが形成されたセラミック積層体の、少なくとも前記表面電極パターンが形成された前記一方主面に、前記低温焼結セラミック材料の焼結温度では焼結しない難焼結性セラミック材料を含む収縮抑制層を配置して焼成する工程を備えた、表面電極と内部電極とを有する多層セラミック基板の製造方法であって、
    前記焼成工程においては、
    前記セラミック積層体の、前記表面電極パターンが形成された前記一方主面と、前記収縮抑制層との間に、前記セラミック積層体を構成する前記第1のセラミックグリーン層よりも収縮開始温度が低い第2のセラミックグリーン層を配置した状態で焼成を行い、
    前記焼成の終了後に、前記第2のセラミックグリーン層が焼成されてなる第2のセラミック層と、前記収縮抑制層とを除去すること
    を特徴とする多層セラミック基板の製造方法。
  2. 前記第2のセラミックグリーン層の収縮開始温度は、前記第1のセラミックグリーン層の収縮開始温度よりも20℃以上低いことを特徴とする請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  3. 前記第2のセラミックグリーン層に含まれるセラミック材料は、ガラス材料のみであることを特徴とする請求項1または2記載の多層セラミック基板の製造方法。
  4. 前記ガラス材料は、結晶化しないガラスからなるものであることを特徴とする請求項3記載の多層セラミック基板の製造方法。
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