JP5533016B2 - 反射型マスクの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、EUVマスクにおけるコンタミネーションクリーニング技術として、水素ラジカルクリーニングが提案されている(学会:「Emerging Lithographic Technologies IX」、タイトル:「Contamination removal from EUV multilayer using atomic hydrogen generated by heated catalyzer」、講演者:H. Oizumi et. al.、講演集:Proc. SPIE vol.5751 (2005) 140)。
EUVマスク表面に付着する異物(コンタミネーション)は、主にカーボンコンタミネーションであることが報告されている。炭素を主成分とする堆積膜はカーボンコンタミネーションと主成分が同じであることから、コンタミネーションクリーニングを行うと、カーボンコンタミネーションが除去されると共に堆積膜も除去されてしまい、堆積膜の厚みや寸法が変わってしまう。特に、水素ラジカルクリーニングの場合、水素ラジカルにより炭素を水素化物(例えばCH4)として気化させることで、カーボンコンタミネーションを除去することから、堆積膜の厚みや寸法の変動が起こる。堆積膜の厚みや寸法が変わると、白欠陥修正箇所の転写特性が劣化するという問題が生じる。
しかしながら、多層膜を除去する方法では、エネルギービームによる反射型マスクのダメージが懸念される。また、白欠陥部分と正常部分の境界において白欠陥修正のためのビーム照射位置が正常部分側にずれると、本来必要な正常部分の多層膜も除去されてしまい新たな欠陥が発生するおそれがある。さらに、FIB装置やEB装置では修正精度以上の正確なビーム照射制御は不可能であり、白欠陥部が非常に微細である場合には修正が困難である。
本発明の反射型マスクは、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上にパターン状に形成された吸収層とを有する反射型マスクであって、上記多層膜上に上記吸収層が形成されている吸収領域と、上記多層膜上に上記吸収層が形成されていない反射領域と、上記吸収層の欠落に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜が除去された白欠陥修正領域とを有し、上記吸収領域および上記白欠陥修正領域が隣接するパターンを有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の反射型マスクの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、反射型マスク1は、基板2と、基板2上に形成された多層膜3と、多層膜3上に形成されたキャッピング層4と、キャッピング層4上にパターン状に形成されたバッファ層5と、バッファ層5が形成された多層膜3上にパターン状に形成された吸収層6とを有している。また、反射型マスク1は、多層膜3上に吸収層6が形成されている吸収領域11と、多層膜3上に吸収層6が形成されていない反射領域12と、吸収層の欠落に起因する白欠陥部10に位置する多層膜が除去された白欠陥修正領域13とを有しており、吸収領域11および白欠陥修正領域13が隣接するパターンを有している。
また、図2(b)に例示するようにアシストガスを供給しながらエネルギービームを照射する場合には、アシストガスを適宜選択することによって多層膜および吸収層のエッチング速度を制御することができ、多層膜のエッチング速度を速くし吸収層のエッチング速度を遅くすることが可能である。
従来、反射型マスクの製造過程において吸収層をパターニングする際や余剰な吸収層パターンを除去して黒欠陥を修正する際には、吸収層のエッチング速度が速く、多層膜のエッチング速度が遅くなるような条件とするのが一般的である。したがって、本発明のように多層膜のエッチング速度を速く、吸収層のエッチング速度を遅くすることは、本来は行われない。
したがって本発明においては、ビーム照射位置が白欠陥部に隣接する吸収領域にずれた場合でも、吸収層を除去され難くすることが可能である。よって本発明においては、ビーム照射位置の吸収領域側へのずれに対する許容度を拡大することができる。
なお、上述したように、エネルギービームを照射した際の多層膜のエッチング速度を速くし吸収層のエッチング速度を遅くすることが可能であるため、ビーム照射位置が白欠陥部に隣接する吸収領域にずれた場合でも、エネルギービームによる吸収層のダメージを少なくすることができる。集束イオンビームを照射する場合には特に吸収層へのダメージが懸念されるが、吸収層に含有される金属は多層膜に含有される金属よりも重いため、ビーム照射位置が白欠陥部に隣接する吸収領域にずれた場合でも、集束イオンビームによる吸収層のダメージを少なくすることができる。
本発明において、吸収領域は多層膜上に吸収層が形成されている領域であり、反射領域は多層膜上に吸収層が形成されていない領域であり、白欠陥修正領域は吸収層の欠落に起因する白欠陥部に位置する多層膜が除去された領域である。
本発明に用いられる多層膜は、基板上に形成されるものである。
なお、白欠陥修正領域での多層膜の断面角度とは、図4に例示するような白欠陥修正領域13における基板2表面と多層膜3とのなす角度θをいう。断面角度は、原子間力顕微鏡で観察することにより測定することができる。
多層膜の成膜方法としては、例えば、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法などが用いられる。
本発明における吸収層は、多層膜上にパターン状に形成されるものであり、本発明の反射型マスクを用いたEUVリソグラフィにおいてEUVを吸収するものである。
中でも、Ta、TaN、Taを主成分とする材料が好適である。Taは比較的重い金属だからである。また、Taを主成分とする材料は、EUV波長領域において消衰係数(光学定数の虚数部)が大きいからである。
なお、吸収層をパターン状に形成する方法については、後述の「B.反射型マスクの製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、多層膜と吸収層との間にバッファ層が形成されていてもよい。バッファ層は、下層の多層膜に損傷を与えるのを防止するために設けられるものである。バッファ層が形成されていることにより、吸収層をドライエッチング等の方法でパターンエッチングする際に、下層の多層膜がダメージを受けるのを防止したり、FIBにより白欠陥部に位置する多層膜を除去する際に、反射領域に位置する多層膜がダメージを受けるのを防止したりすることができる。
このようなバッファ層の材料としては、例えば、SiO2、Al2O3、Cr、CrN等が挙げられる。
バッファ層の成膜方法としては、例えば、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法などが挙げられる。SiO2を用いる場合は、RFマグネトロンスパッタ法によりSiO2ターゲットを用いてArガス雰囲気下で、多層膜上にSiO2を成膜するのが好ましい。
白欠陥修正後のバッファ層の剥離方法としては、一般的なバッファ層の剥離方法を用いることができ、例えばドライエッチング等を挙げることができる。
本発明においては、多層膜と吸収層との間にキャッピング層が形成されていてもよい。キャッピング層は、多層膜の酸化防止や、反射型マスクの洗浄時の保護のために設けられるものである。キャッピング層が形成されていることにより、多層膜の最表面がSi膜やRu膜である場合には、Si膜やRu膜が酸化されるのを防ぐことができる。Si膜やRu膜が酸化されると、多層膜の反射率が低下するおそれがある。
本発明において、多層膜上に上記バッファ層が形成されている場合には、通常、多層膜上にキャッピング層およびバッファ層の順に積層される。
また、キャッピング層の厚みとしては、例えば2nm〜15nm程度とすることができる。
キャッピング層の成膜方法としては、スパッタリング法等を挙げることができる。
本発明に用いられる基板としては、一般的に反射型マスクの基板に使用されるものを用いることができるが、中でも、白欠陥修正領域において多層膜が除去され基板が露出している場合には、本発明の反射型マスクを用いたEUVリソグラフィにおいてEUVを吸収するものであることが好ましい。このような基板としては、例えば、ガラス基板や金属基板を使用することができる。中でも、ガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板は、良好な平滑性および平坦度が得られるので、特に反射型マスク用基板として好適である。ガラス基板の材料としては、例えば、石英ガラス、低熱膨張係数を有するアモルファスガラス(例えばSiO2−TiO2系ガラス等)、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等が挙げられる。また、金属基板の材料としては、例えば、シリコン、Fe−Ni系のインバー合金等が挙げられる。
本発明の反射型マスクは、パターン転写のための極紫外線(EUV)の照射によって反射型マスクの表面に付着した付着物を洗浄する、すなわちコンタミネーションクリーニングを行うことが好ましい。本発明の反射型マスクは、上述したようにコンタミネーションクリーニングに対して耐性を有するので、洗浄による白欠陥修正領域での膜厚や寸法の変動をなくすことができ、洗浄後においても転写特性を維持することができる。また、反射型マスクをパターン転写に繰返し使用することで反射型マスクの表面に異物が付着し、反射型マスクの反射特性が変化した場合でも、コンタミネーションクリーニングを行うことにより、反射型マスクを容易に確実に再生することができる。
水素ラジカル処理では、反射型マスクを構成する材料の化学変化を起こさずに付着物を選択的に除去することができる。
本発明の反射型マスクの製造方法は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、エネルギービームの照射により、上記吸収層の欠落に起因する白欠陥部に位置する上記多層膜を除去する修正工程とを有し、上記修正工程にて、上記多層膜上に上記吸収層が形成されている吸収領域に隣接する上記白欠陥部に位置する上記多層膜を除去するに際して、上記エネルギービームを上記吸収領域の一部にかかるように照射することを特徴とするものである。
本発明における吸収層形成工程は、多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する工程である。
本発明における修正工程は、エネルギービームの照射により、吸収層の欠落に起因する白欠陥部に位置する多層膜を除去する工程であって、多層膜上に吸収層が形成されている吸収領域に隣接する白欠陥部に位置する多層膜を除去するに際して、エネルギービームを吸収領域の一部にかかるように照射する工程である。
一方、電子ビームの場合、アシストガスが必要である。
本発明においては、上記吸収層形成工程前に、多層膜上にバッファ層を形成するバッファ層形成工程を行い、上記修正工程後に、露出しているバッファ層を剥離するバッファ層剥離工程を行ってもよい。バッファ層を形成することにより、吸収層をパターニングする際に下層の多層膜がダメージを受けるのを防止したり、FIBにより白欠陥部に位置する多層膜を除去する際に正常部分の多層膜がダメージを受けるのを防止したりすることができる。
本発明においては、上記吸収層形成工程前に、多層膜上にキャッピング層を形成するキャッピング層形成工程を行ってもよい。キャッピング層を形成することにより、多層膜の最表面がSi膜やRu膜である場合にはSi膜やRu膜が酸化されるのを防ぐことができ、また洗浄時に反射型マスクを保護することができる。
本発明において、上記バッファ層形成工程を行う場合には、通常、バッファ層形成工程前にキャッピング層形成工程が行われる。
(反射型マスクの作製)
まず、酸化珪素からなる基板上に、モリブデンと珪素(膜厚2.8nm/4.2nm)の40対からなる多層膜を形成した。次いで、多層膜上に、珪素からなるキャッピング層(膜厚11nm)を形成し、さらに窒化クロムからなるバッファ層を形成した。次に、バッファ層上に、窒化タンタルからなる吸収層(膜厚51nm)をエッチング加工したパターンを形成した。この際、図5(a)、(b)に示すように、吸収層6のパターンは、線幅225nmのラインアンドスペースパターンとした。さらに、幅225nm、長さ900nmサイズのラインが欠損した白欠陥部10を形成した。なお、図5(b)は図5(a)のA−A線断面図であり、図中の記号は図1と同様であり、図5(a)において多層膜、キャッピング層およびバッファ層は省略されている。
その後、塩素系ガスプラズマエッチング処理により、露出しているバッファ層を剥離した。次いで、硫酸系薬液による湿式洗浄処理により洗浄を行った。
得られた反射型マスクにおいて、白欠陥修正領域での多層膜の断面角度は85度であった。
反射型マスクにおけるラインアンドスペースパターンを、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFETを使用して、ウェハ上に塗布したレジストへ5分の1縮小転写した。次いで、レジストを現像することでレジストパターンを得た。
このレジストパターンを(株)日立ハイテクノロジーズ社製SEM型寸法測定機(CG4000)にて観察することで、白欠陥修正領域の転写特性評価を行った。多層膜がエッチング除去された白欠陥修正領域では、多層膜上に吸収層が形成されている吸収領域(正常箇所)と同等のレジストパターンが形成されていることをSEM観察で確認した。また、FIBが照射された吸収層が配置されている箇所では、FIBが照射されなかった吸収層が配置されている箇所と同等のレジストパターンが形成されていることをSEM観察で確認した。
EUV転写時に反射型マスク表面に付着したカーボンコンタミネーションをクリーニング除去するため、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射の各クリーニングを実施した。多層膜がエッチング除去された部分の開口寸法を各クリーニング前後で比較したところ、開口寸法の変動は確認されなかった。
コンタミネーションクリーニング後の反射型マスクを、再度、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFETを使用して、ウェハ上に塗布したレジストへ5分の1縮小転写したところ、クリーニング前後で転写特性の変化は確認されなかった。
以上の結果から、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射による乾式クリーニングに対して、白欠陥修正領域の転写特性に変化がないことを確認した。
(反射型マスクの作製)
まず、実施例1と同様にして、白欠陥を有するマスクを作製した。
次に、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製FIB−SEMダブルビーム装置XVision200を使用して、多層膜をエッチング除去し、白欠陥の修正を行った。EBを使用して、白欠陥部に位置するバッファ層、キャッピング層、多層膜を順次エッチングした。この際、EBの加速電圧は1keVとした。また、エッチングアシストガスとしては、バッファ層のエッチングには塩素ガスを、キャッピング層および多層膜のエッチングには三フッ化窒素を使用した。さらに、白欠陥部に隣接する吸収層の一部にまでかかるようにEBを照射した。これにより、白欠陥部に位置する多層膜を全て除去した。
その後、塩素系ガスプラズマエッチング処理により、露出しているバッファ層を剥離した。次いで、硫酸系薬液による湿式洗浄処理により洗浄を行った。
得られた反射型マスクにおいて、白欠陥修正領域での多層膜の断面角度は85度であった。
反射型マスクにおけるラインアンドスペースパターンを、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFETを使用して、ウェハ上に塗布したレジストへ5分の1縮小転写した。次いで、レジストを現像することでレジストパターンを得た。このレジストパターンを(株)日立ハイテクノロジーズ社製SEM型寸法測定機(CG4000)にて観察することで、白欠陥修正領域の転写特性評価を行った。多層膜がエッチング除去された白欠陥修正領域では、多層膜上に吸収層が形成されている吸収領域(正常箇所)と同等のレジストパターンが形成されていることをSEM観察で確認した。また、EBが照射された吸収層が配置されている箇所では、EBが照射されなかった吸収層が配置されている箇所と同等のレジストパターンが形成されていることをSEM観察で確認した。
EUV転写時に反射型マスク表面に付着したカーボンコンタミネーションをクリーニング除去するため、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射の各クリーニングを実施した。多層膜がエッチング除去された部分の開口寸法を各クリーニング前後で比較したところ、開口寸法の変動は確認されなかった。
コンタミネーションクリーニング後の反射型マスクを、再度、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFETを使用して、ウェハ上に塗布したレジストへ5分の1縮小転写したところ、クリーニング前後で転写特性の変化は確認されなかった。
以上の結果から、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射による乾式クリーニングに対して、白欠陥修正領域の転写特性に変化がないことを確認した。
(反射型マスクの作製)
まず、酸化珪素からなる基板上に、モリブデンと珪素(膜厚2.8nm/4.2nm)の40対からなる多層膜を形成した。次いで、多層膜上に、ルテニウムからなるキャッピング層(膜厚2.5nm)を形成した。次に、キャッピング層上に、窒化タンタルからなる吸収層(膜厚66nm)をエッチング加工したパターンを形成した。この際、実施例1と同様に、吸収層のパターンは、線幅225nmのラインアンドスペースパターンとした。さらに、実施例1と同様に、幅225nm、長さ900nmサイズのラインが欠損した白欠陥部を形成した。
次いで、硫酸系薬液による湿式洗浄処理により洗浄を行った。
得られた反射型マスクにおいて、白欠陥修正領域での多層膜の断面角度は85度であった。
反射型マスクにおけるラインアンドスペースパターンを、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFETを使用して、ウェハ上に塗布したレジストへ5分の1縮小転写した。次いで、レジストを現像することでレジストパターンを得た。このレジストパターンを(株)日立ハイテクノロジーズ社製SEM型寸法測定機(CG4000)にて観察することで、白欠陥修正領域の転写特性評価を行った。多層膜がエッチング除去された白欠陥修正領域では、多層膜上に吸収層が形成されている吸収領域(正常箇所)と同等のレジストパターンが形成されていることをSEM観察で確認した。また、EBが照射された吸収層が配置されている箇所では、EBが照射されなかった吸収層が配置されている箇所と同等のレジストパターンが形成されていることをSEM観察で確認した。
EUV転写時に反射型マスク表面に付着したカーボンコンタミネーションをクリーニング除去するため、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射の各クリーニングを実施した。多層膜がエッチング除去された部分の開口寸法を各クリーニング前後で比較したところ、開口寸法の変動は確認されなかった。
コンタミネーションクリーニング後の反射型マスクを、再度、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFETを使用して、ウェハ上に塗布したレジストへ5分の1縮小転写したところ、クリーニング前後で転写特性の変化は確認されなかった。
以上の結果から、水素ラジカル、オゾンおよびVUV照射による乾式クリーニングに対して、白欠陥修正領域の転写特性に変化がないことを確認した。
白欠陥部に位置する多層膜のエッチング除去後の残渣が転写寸法へ及ぼす影響についてシミュレーションにより求めた。
使用したシミュレータは、Panoramic Technology社製EM−Suiteである。
また、シミュレーションは、実際のEUVマスク構造およびEUV転写装置の光学系をモデルに実施した。EUVマスクの構造は、酸化珪素からなる基板上にモリブデンおよび珪素(膜厚2.8nm/4.2nm)の40対からなる多層膜が形成され、多層膜上に珪素からなるキャッピング層(膜厚11nm)が形成され、キャッピング層上に、窒化クロムからなるバッファ層および窒化タンタルからなる吸収層(膜厚51nm)が線幅225nmのラインアンドスペースパターンを有するようにパターン状に形成され、さらに幅225nmサイズのラインが欠損した白欠陥を有するものとした。白欠陥修正領域の転写条件は、キヤノン(株)社製EUV露光装置SFET(Small Field Exposure Tool)の光学系に設定し、NA=0.3、σ=0.3/0.7(inner/outer)とした。転写寸法は、ウェハ上へ5分の1縮小露光した光学像から寸法を算出した。
本モデルを使用した光学像シミュレーション結果を図6(b)に示す。シミュレーションの結果、EUV反射強度の相対値がおおよそ0.2の位置において、ウェハ上転写寸法45nm(マスク上寸法225nmの5分の1縮小露光)のラインアンドスペースパターンが、欠陥の影響無く正常に得られることが確認された。
次に、白欠陥修正領域においても、EUV反射強度が0.2を超えないための、許容残存多層膜量をシミュレーションにより算出した。図7は多層膜がエッチング除去された白欠陥修正領域の残存多層膜量とEUV反射強度の関係を示すグラフである。図7から読み取ると、残存多層膜が4対以下であれば、相対EUV反射強度0.2以下を満足することがわかった。
以上の結果から、白欠陥修正領域において多少のエッチング残渣があったとしても、転写寸法への影響は無いことを確認した。
白欠陥部に位置する多層膜のエッチング除去後の多層膜の断面角度が転写寸法へ及ぼす影響についてシミュレーションにより求めた。
シミュレーションは以下の条件で実施した。EUVマスクの構造は参考例1と同様とした。白欠陥修正領域での多層膜の断面角度は68度〜112度の条件でモデリングした。また、白欠陥修正領域の転写条件は参考例1と同様とした。
白欠陥部に位置する多層膜がエッチング除去された白欠陥修正領域の開口寸法が転写寸法へ及ぼす影響についてシミュレーションにより求めた。
シミュレーションは以下の条件で実施した。EUVマスクの構造は参考例1と同様とした。白欠陥修正領域での多層膜の断面角度は90度、残存多層膜は0対の条件でモデリングした。また、白欠陥修正領域の転写条件は参考例1と同様とした。
図9は、多層膜がエッチング除去された白欠陥修正領域の開口寸法と転写寸法の関係を示すグラフである。多層膜が除去された白欠陥修正領域の転写寸法は、多層膜上に吸収層が形成されている吸収領域(正常箇所)と同じ45nmであることが理想であるが、白欠陥修正領域の転写寸法について正常箇所の最大±10%程度の変動を許容すると、白欠陥修正領域の開口寸法が205nm〜245nmの範囲であるときに良好な転写特性が得られることがわかった。すなわち、白欠陥修正領域の開口寸法は必ずしもパターン線幅と同じ225nmに加工する必要は無いことがわかった。
2 … 基板
3 … 多層膜
4 … キャッピング層
5 … バッファ層
6 … 吸収層
10 … 白欠陥部
11 … 吸収領域
12 … 反射領域
13 … 白欠陥修正領域
Claims (6)
- 多層膜が形成された基板上に吸収層をパターン状に形成する吸収層形成工程と、
エネルギービームの照射により、前記吸収層の欠落に起因する白欠陥部に位置する前記多層膜を除去する修正工程と
を有し、前記修正工程にて、前記多層膜上に前記吸収層が形成されている吸収領域に隣接する前記白欠陥部に位置する前記多層膜を除去するに際して、前記多層膜のエッチング速度を速くし、前記吸収層のエッチング速度を遅くして、前記エネルギービームを前記吸収領域の一部にかかるように照射することを特徴とする反射型マスクの製造方法。 - 前記エネルギービームのビーム照射位置と前記吸収領域との重なりを調整することで、除去する前記多層膜の幅を調整することを特徴とする請求項1に記載の反射型マスクの製造方法。
- 前記エネルギービームが集束イオンビームであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射型マスクの製造方法。
- 前記エネルギービームが電子ビームであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射型マスクの製造方法。
- 前記修正工程にて、アシストガスを供給しながら前記エネルギービームを照射し、
前記アシストガスを選択することによって前記多層膜および前記吸収層のエッチング速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の反射型マスクの製造方法。 - 前記吸収層形成工程前に、前記多層膜上にバッファ層を形成するバッファ層形成工程と、
前記修正工程後に、露出している前記バッファ層を剥離するバッファ層剥離工程と
を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の反射型マスクの製造方法。
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