JP5532925B2 - 一本鎖又は二本鎖dnaの合成方法並びに合成用キット - Google Patents

一本鎖又は二本鎖dnaの合成方法並びに合成用キット Download PDF

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Description

本発明は、RNAからの一本鎖又は二本鎖DNAの合成方法並びに合成用キットに関する
マイクロRNA(microRNA)は18〜25のヌクレオチドであり、真核生物のさまざまな機構に作用していると考えられている。特に近年、発生学に関した研究が盛んに行われており、多種の真核生物で数百のmicroRNA が同定されている。
現在、microRNAのクローニング・同定方法としては、通常Neilson法が用いられるが、該方法は、(1)変性アクリルアミドゲルからのRNAの抽出が数回必要なため操作が煩雑である、(2)RNAでの操作工程が多いため操作中にRNAが分解する危険性が高い、(3)ラジオアイソトープ(RI)を使用するため危険性が高い、(4)イメージングアナライザー等の高価な機器が必要である、等の問題点を有していた。そのため、microRNAのような全長が100塩基に満たないような未知のRNAのクローニング・同定方法の開発が望まれていた。
一方、塩基配列の一部が既知のRNAをクローニングする場合、それに対応するcDNAを取得した後、RACE(rapid amplification of cDNA ends)を用いてなされるのが一般的である。3'RACEは、普通の逆転写反応−PCRとほとんど変わらない手法で行えるが、5'RACEはステップ数が多く、操作が複雑であるという問題点を有していた。5'RACEとしては、例えばOlig-Cpping法、Gene Trapper法等が知られているが、これらの方法では、上記ステップ数や操作性の問題の他、アーティファクトの存在により目的の遺伝子の産生効率が下がる等の問題点も有していた。そのため、このような問題を解消した新たな5'RACEの開発、言い換えれば、新たな既知のRNAのクローニング方法及び5'末端の決定方法の開発が望まれていた。
本発明は、簡便で安全な一本鎖又は二本鎖DNAの合成方法並びに合成用キットの提供を課題とする。
本発明者らは、上記状況に鑑み、上記の如き問題を有さずmicro RNAの如き100ヌクレオチド未満のRNAをもクローニングし得る未知RNAのクローニング方法、並びに上記の如き問題を有さない、塩基配列の一部が既知のRNAのクローニング方法について鋭意研究した結果、鋳型RNAに対するDNAの合成反応に於いて、逆転写反応に付した後更にアルカリ処理することにより、未反応のRNAやRNA誘導体等の不純物を容易に取り除け、目的のDNAが容易に得られることを見出し、更に該方法を用いればアクリルアミドゲルからRNAを抽出する必要がないこと、イメージングアナライザー等の特殊な機器を用いる必要もないことを見出した。また、該方法によれば、未反応のRNAやRNA誘導体等の不純物を容易に取り除くことができるため、アーティファクトを減らすことができ、PCRにより目的の鋳型RNAに対応する塩基配列を含むDNAを効率よく増幅し得ることも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)以下の工程を含むことを特徴とする、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAの合成方法;
1) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程1、
2) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2
(2)以下の工程を含むことを特徴とする、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAの合成方法;
1) 鋳型RNAの3'末端に既知配列のRNA断片を付加する工程、
2) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程1、
3) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2
(3)以下の工程を含むことを特徴とする、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成方法;
1) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程1、
2) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2、
3) 得られた一本鎖DNAを二本鎖にする工程3、
(4)以下の工程を含むことを特徴とする、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成方法;
1) 鋳型RNAの3'末端に既知配列のRNA断片を付加する工程、
2) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程1、
3) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2、
4) 得られた一本鎖DNAを二本鎖にする工程3、
(5)I)一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素及びIII)逆転写酵素を含んでなる、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAの合成用キット、
(6)I)一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素、II)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列のDNA断片、VIII)一本鎖DNAにDNA断片を付加し得る酵素、IX)DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びXI)PCRプライマーを含んでなる、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成用キット、並びに
(7)II)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)dNTPs、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列のDNA断片、IX)DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びXI)PCRプライマーを含んでなる、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成用キットに関する。
本発明によれば、簡便な操作で、RIを使用することなく安全で且つイメージングアナライザー等の高価な機器の必要とせずに、RNAからの一本鎖DNA並びに二本鎖DNAの合成を可能とする。また、未反応のRNAやRNA誘導体等の不純物を容易に取り除くことができるため、Total RNAを用いて目的のmRNAに対応する一本鎖DNAの合成を可能とし、二本鎖DNAの合成においては、目的のDNAのPCR増幅効率を向上させることが可能となる。よって、得られたDNAを用いることにより、簡便且つ安全に高価な機器を用いずに、DNAのクローニングをも可能とする。更に、本発明の方法は、RNAのCap構造に依存しないため、種々のRNAに適用することも可能となる。
図1は、本発明の合成方法の主な概略図を示す。「一本鎖DNA取得」、「二本鎖DNA取得」は、ステップではなく、得られた結果を表し、「クローニング、形質転換、シークエンス」は、得られた二本鎖DNAの塩基配列解析を表す。 図2は、3'アダプター付加工程を含む本発明の合成方法の主な概略図を表す。 図3は、実施例1の1.で11200ヌクレオチド以外のsmall RNA画分を変性ポリアクリルアミドゲルに導入し、電気泳動した後のゲルの影像を表す。 図4は、実施例1の11.でPCRして得たクローニング用cDNAを電気泳動した後のゲルの影像を表す。 図5は、実施例2の6.でPCRして得たクローニング用cDNAを電気泳動した後のゲルの影像を表す。 図6は、実施例3の6.でPCRして得たクローニング用cDNAを電気泳動した後のゲルの影像を表す。Lane 1は、アダプターに相補的なPCR プライマーのみを増幅した結果を、Lane 2は、p16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマーのみを増幅した結果を、Lane 3は、アダプターに相補的なPCR プライマーと p16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマーで増幅した結果をそれぞれ表す。
本発明の一本鎖DNAの合成方法又は本発明の二本鎖DNAの合成方法(以下、両合成方法を合わせて、本発明の合成方法と略記する場合がある)に於ける、鋳型RNAとしては、通常この分野で用いられるRNAであれば特に限定されず、具体的には、例えばリボソームRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、スモール核酸RNA(small nuclear RNA)、スモールRNA(small RNA)、マイクロRNA(micro RNA)等が挙げられる。塩基配列が未知のRNA(以下、未知RNAと略記する場合がある)を鋳型RNAとして用いる場合は、メッセンジャーRNA、スモールRNA、マイクロRNA等が好ましく、中でも塩基鎖が100塩基以下のスモールRNAやマイクロRNAがより好ましく、マイクロRNAが特に好ましい。塩基配列の一部が既知のRNA(以下、既知RNAと略記する場合がある)を鋳型RNAとして用いる場合は、メッセンジャーRNAが好ましい。なお、該既知RNAは、少なくとも20塩基以上、好ましくは40塩基以上の既知配列を有し、且つ、5'末端が未知のもの、好ましくは既知配列の5'側に更に30塩基以上の未知配列を有するものを表す。
・一本鎖DNAの合成方法
本発明の、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAの合成方法(以下、本発明の一本鎖DNAの合成方法と略記する場合がある)は、以下の工程によりなされることを特徴とする。
(1) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程1、
(2) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2。
本発明の一本鎖DNAの合成方法における、一本鎖DNAは、鋳型RNAに対応する塩基配列を含むもの、鋳型RNAに対応する塩基配列の一部を含むものを表す。該鋳型RNAに対応する塩基配列の一部を含む一本鎖DNAとしては、例えば、鋳型RNAが既知RNAであって、既知RNA中の既知配列にアニーリングし得る逆転写反応用プライマーを用いて該RNAを逆転写反応に付して得た一本鎖DNA等が挙げられ、具体的には例えば、鋳型RNA中の既知配列から5'末端までの配列に対応する塩基配列を含む一本鎖DNA等が挙げられる。
上記工程1において用いられる鋳型RNAの量としては、用いられる試料により変動するので特に限定されないが、核酸量として通常1ng〜50μgである。例えば、試料としてtotal RNAを用いる場合には、その試料は、通常1ng〜50μg、好ましくは1〜20μgであるが、電気泳動による画分により切り出されたRNAを用いる場合は、通常1〜100ngである。尚、これらRNAは通常上記核酸量を溶液中に含有させて該工程に付され、その溶液の量としては、通常1〜30μL、好ましくは1〜20μLである。尚、RNAを含む試料溶液の溶媒としては通常滅菌された蒸留水が用いられる。
上記工程1は、鋳型RNAを、通常この分野で用いられている自体公知の方法に従って逆転写反応に付せばよく、市販のキットを用いて行うこともできるが、例えばNucleic Acids Research, 1988, Vol. 16, No. 5 1999-2014、Nucleic Acids Research, 1988, Vol. 16, No. 1 265-277に記載の方法に準じて行えばよい。具体的には例えば、鋳型RNAに、逆転写酵素、逆転写反応用プライマー、4種類の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)を添加し、トリス塩酸緩衝液(pH8.3)、イミダゾール(pH8.2)等の緩衝液中で通常35〜50℃、好ましくは40〜50℃で通常30〜90分間、好ましくは30〜60分間反応させ、その後、加熱処理又は反応停止液を加えることにより反応を停止することによりなされる。これにより、鋳型RNAに対して相補的な一本鎖DNAを得ることができる。
上記逆転写反応時の逆転写酵素としては、通常この分野で用いられているものであれば特に限定されないが、例えばMoloney Murine Leukemia Virus(M-MLV) 逆転写酵素、Avian myeloblastosis virus(AMV)逆転写酵素、M-MLV逆転写酵素(RNaseHマイナス)等が挙げられ、中でもM-MLV逆転写酵素(RNaseHマイナス)が好ましい。また、その使用量は用いられる酵素の種類により異なるが、鋳型RNAの核酸量1μgに対して通常1〜400units、好ましくは、10〜200unitsである。
逆転写反応用プライマーは、鋳型RNAに対してアニーリングし得、DNA鎖伸長の起点となるものであればよい。鋳型RNAが既知RNAの場合には、既知配列又はその一部にアニーリングし得るものが好ましい。逆転写反応用プライマーのヌクレオチド数は、通常10〜50、好ましくは12〜40、より好ましくは15〜30である。その使用量は、鋳型RNAの核酸量1μgに対して通常1〜250pmol、好ましくは、10〜50pmolである。上記dNTPsは、通常この分野で用いられる4種類の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸の混合物であり、その使用量は、鋳型RNAの核酸量1μgに対して通常0.1〜20nmol、好ましくは、1〜10nmolである。上記反応停止液としては、例えばEDTA等が挙げられ、その使用量は最終濃度として通常10〜100mmol/L、好ましくは40〜60mmol/Lとなるように添加される。また、反応を停止させるための加熱処理は、通常65〜100℃、好ましくは65〜70℃で、通常15〜60分、好ましくは15〜30分行われる。上記逆転写反応においては、通常このような逆転写反応時に用いられている、DTT(ジチオスレイトール)等の還元剤、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リボヌクレアーゼ阻害剤等の試薬を添加してもよく、これら試薬の濃度及び使用量は通常この分野で用いられている範囲から適宜選択される。
上記工程2は、工程1の処理を施した溶液、即ち、鋳型RNAに対して相補的な一本鎖DNAを含む溶液を、アルカリ処理に付すことによりなされればよく、該工程により、残存鋳型RNA等の残存するRNAを分解することができる。
上記アルカリ処理とは、RNAを分解することができる方法であればよく、例えばアルカリ又はその水溶液を反応溶液に添加して反応溶液をアルカリ性にすることによりなされる。該アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、アンモニア、アミン類が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく、これらの中でも水酸化ナトリウムが特に好ましい。該アルカリ処理は、具体的には当該溶液のpHを10〜14、好ましくは12〜14とし、通常20〜120分間、好ましくは20〜60分間、通常50〜80℃、好ましくは60〜70℃で加温することによりなされる。
上記工程2においてはその工程後、通常この分野で用いられている精製方法、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出、アルコール沈殿、カラム精製、フィルターろ過等の方法により、鋳型RNAに対して相補的な一本鎖DNAを精製するのがより好ましい。
上記本発明の一本鎖DNAの合成方法は、既知RNAを鋳型RNAとして用いるのが好ましい。該合成方法の好ましい例として、既知RNAを鋳型RNAとした時の具体例を以下で説明する。
即ち、先ず既知の配列を有する鋳型RNAを核酸量として1〜20ng含有する溶液例えば10μLに、鋳型RNAの既知配列に対して相補的なプライマーを10〜50pmol/L含む溶液1〜2μL及び100〜300units/μLの逆転写酵素を含む溶液1〜2μLを加え、40〜50℃で30〜60分間反応させることにより、鋳型RNAに対して相補的な一本鎖DNAが得られる。更に、鋳型RNAに対して相補的な一本鎖DNAを含む溶液に、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を反応溶液がpH12〜14となるように添加し、60〜70℃で30〜60分間反応させることにより、残存するRNAを分解することができる。次いで、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出等の方法を用いる精製方法等により、得られた一本鎖DNAを精製することで、本発明に係る、鋳型RNAに相補的な塩基配列を含む一本鎖DNAを得ることができる。
・3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法
本発明の一本鎖DNAの合成方法は、上記工程1の前に、更に、鋳型RNAの3'末端に既知配列のRNA断片を付加する工程を含む方法も含まれる。具体的には、以下の工程によりなされる。
(1) 鋳型RNAの3'末端に既知配列のRNA断片(以下、本発明に係る3'アダプターと略記する場合がある)を付加する工程、
(2) 前記RNA断片が付加された鋳型RNA(以下、3'アダプター付加RNAと略記する場合がある)を逆転写反応に付す工程1、
(3) 工程2の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2。
この場合の、本発明に係る3'アダプターとしては、3'側のヒドロキシル基がリン酸基と反応しないように処理されており、その配列が既知のRNAであればその配列はどのようなものであってもよいが、鋳型RNA及びその相補的なDNA中に存在しない配列からなるものが好ましい。3'側のヒドロキシル基がリン酸基と反応しないような処理としては、通常この分野で行われている方法であればよく、例えば3'末端のヒドロキシル基の脱ヒドロキシル化、ヒドロキシル基にビオチン等を結合させる等の処理が挙げられるが、中でも3'末端のヒドロキシル基の脱ヒドロキシル化処理が好ましい。本発明に係る3'アダプターのヌクレオチド数は、通常12〜45、好ましくは15〜30、より好ましくは17〜25である。
上記鋳型RNAの3'末端に本発明に係る3'アダプターを付加する工程(以下、3'アダプター付加工程と略記する場合がある)は、通常この分野で用いられている自体公知の方法により鋳型RNAの3'末端に本発明に係る3'アダプターを付加すればよく、市販のキットを用いて行うこともできるが、例えばNucleic Acids Research, 1984, Vol. 12, No. 21 8235-8251、Nucleic Acids Research, 1991, Vol. 19, No. 19 5227-5232に記載の方法に準じて行えばよい。具体的には、例えば一本鎖RNAと一本鎖RNAとを結合し得る酵素(以下、本発明に係る一本鎖RNAリガーゼと略記する場合がある)の存在下、鋳型RNAと本発明に係る3'アダプターとを、HEPES、MOPS等の緩衝液中で、通常50〜70℃、好ましくは60〜70℃で30〜90分間、好ましくは30〜60分間、反応させることによりなされる。これにより、3'アダプター付加RNAを得ることができる。
3'アダプター付加工程において用いられる鋳型RNAの量は、本発明の一本鎖DNAの合成方法の項における記載と同じである。
ここで用いられる本発明に係る一本鎖RNAリガーゼとしては、一本鎖RNAと一本鎖RNAとを結合し得る酵素であればよく、一本鎖RNAと一本鎖RNA及び一本鎖DNAと一本鎖DNAを結合し得る酵素も含み、具体的には例えばT4 RNAリガーゼ等のRNAリガーゼ、Nucleic Acids Research, 2005, Vol. 33, No. 1 135-142等の文献に記載の熱安定性一本鎖DNAリガーゼ等のDNAリガーゼ等が挙げられ、中でも上記文献に記載の耐熱性一本鎖DNAリガーゼ等が好ましい。上記反応で用いられる本発明に係る一本鎖RNAリガーゼの使用量は、用いられるリガーゼの種類により異なるが、鋳型RNAの核酸量1μgに対して通常1〜50units、好ましくは5〜15unitsである。
本発明に係る3'アダプターの使用量は鋳型RNAの核酸量1μgに対して、10〜200pmol、好ましくは50〜100pmolである。
上記反応に於いては、通常このようなライゲーション反応時に用いられている、ATP(アデノシン三リン酸)等の補酵素、DTT(ジチオスレイトール)等還元剤、塩化マグネシウム、BSA、塩化マンガン等の試薬を添加してもよく、これら試薬の濃度及び使用量は通常この分野で用いられている範囲から適宜選択される。
尚、上記3'アダプター付加工程においては、鋳型RNAの自己結合を防ぐため、予め鋳型RNAの5'末端側のリン酸基がヒドロキシル基と反応しないように処理しておくのが好ましい。その処理としては、通常この分野で行われている方法に準じて行えばよく、例えば脱リン酸化酵素による脱リン酸化処理等が挙げられる。脱リン酸化処理で用いられる脱リン酸化酵素としては、例えばSAP (Shrimp Alkaline Phosphatase)、BAP(Bacterial Alkaline Phosphatase)、CIAP(Calf Intestine Alkaline Phosphatase)等が挙げられるが、酵素の失活処理が容易なSAP(Shrimp Alkaline Phosphatase)が特に好ましい。脱リン酸化酵素による脱リン酸化処理は、例えば鋳型RNAの核酸量1μgに対して通常0.1〜10units、好ましくは0.5〜5unitsの脱リン酸化酵素を添加し、トリス塩酸緩衝液、HEPES、MOPS等の適当な緩衝液中で通常30〜45℃、好ましくは35〜40℃、通常15〜60分、好ましくは15〜30分間反応させることによりなされる。脱リン酸化酵素による脱リン酸化処理をした場合、処理後、自体公知の方法により脱リン酸化酵素を失活又は除去するのが好ましく、例えばSAPを用いた場合その失活方法としては、通常65〜100℃、好ましくは65〜90℃、より好ましくは65〜80℃で通常15〜90分間、好ましくは15〜60分間加熱するのが好ましい。
上記3'アダプター付加工程においては、その工程後、用いた本発明に係る一本鎖RNAリガーゼを失活させるのが好ましく、その方法は用いられる酵素に応じた自体公知の方法に準じて行えばよいが、例えば、通常80〜95℃、好ましくは80〜90℃で通常5〜15分間、好ましくは5〜10分間の熱処理により行われればよい。また、3'アダプター付加工程の後、通常この分野で用いられている精製方法、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出、アルコール沈殿、カラム精製、フィルターろ過等の方法により、得られた3'アダプター付加RNAを精製するのがより好ましい。
3'アダプター付加工程を含む本発明の一本鎖DNAの合成方法における、工程1及び工程2の具体的な方法、用いられる試薬及びその使用量等は、逆転反応用プライマー以外は、上述の本発明の一本鎖DNAの合成方法(3'アダプター付加工程を含まない一本鎖DNAの合成方法)の項における記載と同じである。逆転写反応用プライマーについては、本発明に係る3'アダプターにアニーリングし得、DNA鎖伸張の起点となるものが好ましく、3'アダプターに対して相補的な配列を含むのがより好ましく、中でも鋳型RNAに対して相補的な配列を含まないものが特に好ましい。逆転写反応用プライマーのヌクレオチド数、用いられる量、使用方法は、本発明の一本鎖DNAの合成方法の項における記載と同じである。
3'アダプター付加工程を含む本発明の一本鎖DNAの合成方法は、以下の工程によりなされるのがより好ましい。
1) 鋳型RNAの5'末端を脱リン酸化する工程
2) 鋳型RNAの3'末端に既知配列のRNA断片を付加する工程、
3) 前記RNA断片が付加された鋳型RNAを逆転写反応に付す工程、
4) 工程2の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程。
上記3'アダプター付加工程を含む本発明の一本鎖DNAの合成方法は、mRNA等に存在するPoly(A)+配列等の共通の配列がない未知RNAを、鋳型RNAとして用いるのが好ましい。該一本鎖DNAの合成方法の好ましい例として、未知RNAを用いた時の具体的な方法を以下で説明する。
即ち、先ず鋳型RNAを核酸量として1ng〜1μg含有する溶液例えば10μLと例えばSAP等の脱リン酸化酵素を0.5〜3units/L含有する溶液0.5〜3μLとを、例えば30〜40℃で15〜30分間反応させて、鋳型RNAの5'末端を脱リン酸化する。その後、60〜70℃で15〜30分間反応させSAP等の脱リン酸化酵素を失活させる。次いで、得られた5'末端が脱リン酸化された鋳型RNAを含有する溶液に、本発明に係る一本鎖RNAリガーゼ5〜15units/Lを含む溶液1〜2μL、10〜100μmol/Lの3'末端が脱ヒドロキシル化されている本発明に係る3'アダプター1〜2μLを添加して、60〜70℃で30〜60分間反応させ、3'アダプター付加RNAを得る。その後、90〜100℃で5〜10分間加熱し当該一本鎖RNAリガーゼを失活させる。次いで、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いる精製方法等により3'アダプター付加RNAを精製し、得られた3'アダプター付加RNAを含む溶液例えば10μLに、3'アダプターに対して相補的なプライマーを10〜100μmol/L含む溶液1〜2μL及び100〜200units/Lの逆転写酵素を含む溶液1〜2μLを加え、40〜50℃で30〜60分間反応させることにより、3'アダプター付加RNAに対して相補的な一本鎖DNAが得られる。更に、3'アダプター付加RNAに対して相補的な一本鎖DNAを含む溶液に例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を反応溶液がpH12〜14となるように添加し、60〜70℃で30〜60分間反応させることにより、残存するRNAを分解することができ、次いで、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いる精製方法等により、得られた一本鎖DNAを精製することで、本発明に係る、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAを得ることができる。
上記本発明の一本鎖DNAの合成方法によれば、種々の鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNA(以下、本発明に係る一本鎖DNAと略記する場合がある)を安全且つ容易に取得することができる。
・二本鎖DNAの合成方法
本発明に係る、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成方法(以下、本発明の二本鎖DNAの合成方法と略記する場合がある)は、以下の工程を含むことを特徴とする。
1) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程1、
2) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2、
3) 得られた一本鎖DNAを二本鎖にする工程3。
上記工程1及び2は、上記本発明の一本鎖DNAの合成方法の項の工程1及び2と同じ工程であり、その好ましい操作法も同じである。即ち、上記工程1及び2の工程を経て得られた本発明に係る一本鎖DNAを工程3に付すことにより、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAを合成することができる。
工程3は、通常この分野で用いられている方法や市販のキットを用いて、上記の本発明の一本鎖DNAの合成方法の工程2で得られた、本発明に係る一本鎖DNAを二本鎖化すればよく、Proceedings of the National Academy of Sciences USA,1997, Vol. 74, No. 2, 5463-5467、Anal. Biochem., 1983, Vol.132, 6-13, に記載のKlenow fragment用いて二本鎖化する方法やNucleic Acids Research,1991,Vol.19,3749、BioTechniques, 1994, Vol.16, 1134-1137に記載のPCRにより一本鎖を二本鎖化にする方法等が挙げられる。その中でもPCRによる方法はクローニングに適しており、特に好ましい。該PCRにより一本鎖DNAを二本鎖化する方法は、例えば以下の如くなされる。
即ち、まず例えば一本鎖DNAと一本鎖DNAとを結合し得る酵素(以下、本発明に係る一本鎖DNAリガーゼと略記する場合がある)を用いて、工程2で得られた本発明に係る一本鎖DNAの5'末端に既知のDNA断片(以下、本発明に係る5'アダプターと略記する)を付加する(このようにして得られたDNAを以下「本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNA」と略記する場合がある)。その後、該5'アダプターから設計されたプライマー1、及びRNAの既知配列に対してアニーリングし得る逆転写反応用プライマーの相補鎖から設計されたプライマー2を作製し、これらプライマー1及び2を用いて、本発明に係る5'アダプターが付加された本発明に係る一本鎖DNAをPCR反応に付すことによりなされる。尚、工程2で得られた本発明に係る一本鎖DNAの5'末端に本発明に係る5'アダプターを付加するステップは、上記一本鎖DNAの合成方法及び3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法のステップに加えてもよい。即ち、本発明に係る5'アダプター付加ステップを含む、一本鎖DNAの合成方法及び3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法も、本発明の一本鎖DNAの合成方法の一つの態様となる。
ここで用いられる本発明に係る一本鎖DNAリガーゼは、一本鎖DNAと一本鎖DNAとを結合し得る酵素であればよく、一本鎖RNAと一本鎖RNA及び一本鎖DNAと一本鎖DNAを結合し得る酵素も含み、たとえばNucleic Acids Research, 2005, Vol. 33, No. 1 135142等の文献に記載の熱安定性一本鎖DNAリガーゼ等のDNAリガーゼ等が好ましい。このような熱安定性一本鎖DNAリガーゼを用いると、アダプターライゲーションを50〜70℃の高温で行うことが可能となり、その結果、DNAおよびアダプターが2次構造を形成することを防ぎ、結果として効率よくライゲーションを行うことが可能となる。
本発明に係る5'アダプターは、3'側のヒドロキシル基がリン酸基と反応しないように処理されており、その配列が既知のDNAであればその配列はどのようなものであってもよいが、本発明に係る一本鎖DNA及びその相補鎖中に存在しない配列からなるものが好ましい。そのヌクレオチド数は、通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。上記3'側のヒドロキシル基がリン酸基と反応しないような処理としては、通常この分野で行われている方法であればよく、例えば3'末端の脱ヒドロキシル化、3'末端のヒドロキシル基にビオチン等を結合させる処理等が挙げられるが、中でも3'末端の脱ヒドロキシル化が好ましい。3'末端を脱ヒドロキシル化したものは、精製方法としてフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出時に水溶液中に溶解するため、容易に抽出することが可能となる。
上記プライマー1としては、本発明に係る5'アダプターに対する相補鎖の全部又は一部を含むものであり、そのヌクレオチド数は通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。上記プライマー2としては、RNAの既知配列に対してアニーリングし得る逆転写反応用プライマーに対する相補鎖の全部又は一部を含むものであり、そのヌクレオチド数は通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。これらプライマー1及び2は、本発明に係る一本鎖DNA及びその相補鎖中に存在しない配列であるものが好ましい。
PCRにより本発明に係る一般鎖DNAを二本鎖化する方法における、本発明に係る一本鎖DNAの5'末端に本発明に係る5'アダプターを付加する方法は、通常この分野で用いられている自体公知の方法により対象DNAの5'末端に本発明に係る5'アダプターを付加すればよく、市販のキット等を用いて行うこともできるが、例えばNucleic Acids Research, 1988, Vol. 16, No. 5 1999-2014、Nucleic Acids Research, 1988, Vol. 16, No. 1 265-277に記載の方法に準じて行えばよく、具体的には、例えば鋳型RNAを核酸量1〜100μgを用いて、工程1〜3を経て得られた、本発明に係る一本鎖DNAに、本発明に係る5'アダプター通常10〜100pmol、好ましくは10〜50pmolと、一本鎖DNAリガーゼ1〜50units、好ましくは5〜15units、HEPES、トリス塩酸緩衝液、MOPS等の緩衝液中で、通常50〜70℃、好ましくは50〜60℃で30〜90分間、好ましくは30〜60分間反応させることによりなされる。これにより、本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNAを得ることができる。該反応に於いて、通常このようなライゲーション時に用いられている、ATP(アデノシン三リン酸)等の補酵素、DTT(ジチオスレイトール)等還元剤、塩化マグネシウム、BSA、塩化マンガン等の試薬を添加してもよく、これら試薬の濃度及び使用量は通常この分野で用いられている範囲から適宜選択される。
本発明に係る一本鎖DNAに本発明に係る5'アダプターを付加する方法においては、その前に、工程1、工程2の反応後に残存物、即ち、未反応又は分解した、アダプター、プライマー、デオキシリボヌクレオチド三リン酸等が、該一本鎖DNAの5'末端側のヒドロキシル基と反応しないように処理しておくのが好ましい。その処理としては、通常この分野で行われている方法に準じて行えばよく、例えば精製による残存物の除去、脱リン酸化酵素による脱リン酸化処理等が挙げられる。具体的には、本発明に係る一本鎖DNAが100塩基以上であれば、通常この分野で用いられるシリカゲルメンブレン等のフィルターやカラム等を用いて上記残存物を除去する。また、市販の精製キットを用いて残存物を除去してもよい。本発明に係る一本鎖DNAが100塩基以下の場合には、上記フィルターやカラムによる残存物の除去は難しいため、残存物のリン酸基を脱リン酸化処理することによりなされる。ここで用いられる脱リン酸化酵素としては、上記工程1の説明における、工程1の前になされる脱リン酸化処理で用いられる脱リン酸化酵素と同じものが挙げられ、好ましいもの、失活・除去方法等も同じである。
また、上記本発明に係る一本鎖DNAが、100塩基以上である場合には、上記精製処理を施した後、通常80〜100℃で、3〜5分間、熱処理し、DNAを一本鎖化する処理を行うのが好ましい。このような処理を行うことにより、DNAが2次構造を形成することを防ぎ、効率よく5'アダプターを付加することができる。
一本鎖DNAの5'末端に本発明に係る5'アダプターを付加した後、添加した一本鎖DNAリガーゼ等を失活させるのが好ましく、その方法は用いられる酵素に応じた自体公知の方法に準じて行えばよいが、例えば通常90〜100℃、好ましくは90〜95℃で通常5〜15分間、好ましくは5〜10分間の熱処理により行われればよい。また、酵素失活後、通常この分野で用いられている精製方法、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出、アルコール沈殿、カラム精製、フィルターろ過等の方法により、本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNAを精製するのが好ましい。
PCRにより本発明に係る一般鎖DNAを二本鎖化する方法における本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNAをPCR反応に付す方法は、自体公知の方法例えばNucleic Acids Research,1991,Vol.19,3749、BioTechniques, 1994, Vol.16, 1134-1137に記載の方法に準じて行えばよいが、具体的には以下のようになされる。即ち、鋳型RNAの核酸量1μgとして工程1〜3を経て得られた本発明に係る一般鎖DNAに対して、上記プライマー1が通常0.1〜100pmol、好ましくは0.1〜50pmol、上記プライマー2が通常0.1〜100pmol、好ましくは0.1〜50pmol、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)が通常0.01〜20nmol、好ましくは、0.01〜10nmolとなるように添加し、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液中で、例えば(1)93〜98℃、1〜10分→(2)93〜98℃、10〜30秒→50〜60℃、10〜30秒→68〜72℃、10〜30分(10〜20サイクル)、(3)68〜72℃、1〜5分間のサイクルで反応を行うことにより、増幅された本発明に係る二本鎖DNAを増幅して得ることができる。上記PCR反応においては、反応後、通常この分野で用いられている精製方法、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出、アルコール沈殿、カラム精製、フィルターろ過等の方法により精製するのが好ましい。尚、上記精製の後、目的の塩基対(bp)を有するDNAを抽出するのがより好ましい。該抽出方法としては、自体公知の方法、例えば液体クロマトグラフィー法を用いる方法や増補版ラボマニュアル遺伝子工学,1990,27-28に記載のポリアクリルアミドゲル等の電気泳動を用いた方法等が挙げられるが、マイクロRNA等の鎖が短いRNAに対するDNAを抽出する場合には、液体クロマトグラフィー法では分離が困難なため、ポリアクリルアミドゲル等の電気泳動を用いた方法が好ましい。
また、上記の如くPCRにより得た本発明に係る二本鎖DNAは、更に多くの量を得るために、更にPCR反応に付してもよい。
この場合の好ましい例としては、例えば以下の如く行われる。
即ち、まず鋳型RNAを核酸量1ng〜10μgを用いて、工程1〜2を経て得られた、本発明に係る一本鎖DNAを含む溶液例えば10〜20μLを、例えばシリカゲルメンブレン等のフィルターに通液し、工程1〜2の残存物等を取り除く。次いで、一本鎖DNAを含有する溶液例えば10μLに、1〜10units/μLの上記一本鎖DNAリガーゼ0.1〜1μLと、50〜100μmol/Lの3'末端が脱ヒドロキシル化されている本発明に係る5'アダプター溶液0.5〜1μLを添加して、50〜60℃で30〜60分間反応させ、5'アダプター付加一本鎖DNAを得る。得られた本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNAを含有する溶液例えば10μLに、50〜100μmol/Lのプライマー1 0.1〜0.5μLと50〜100μmol/Lのプライマー2 0.1〜0.5μL、並びに各濃度が1〜5mmol/Lの4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)の混合溶液1〜3μLを添加して、例えば(1)93〜98℃、1〜10分→(2)93〜98℃、10〜30秒→50〜60℃、10〜30秒→68〜72℃、10〜30分(10〜20サイクル)、(3)68〜72℃、1〜5分間のサイクルでPCR反応を行うことにより、増幅された本発明に係る二本鎖DNAを得ることができる。その後得られた本発明に係る二本鎖DNAを、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液等により抽出することにより精製する。更に、該二本鎖DNAを例えば未変性ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い、目的の鎖長のDNAを抽出し、再度例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出等で精製することにより、精製された本発明に係る二本鎖DNAを得ることができる。更に本発明に係る二本鎖DNAを増やす場合には、得られた本発明に係る二本鎖DNAを、上記PCR反応と同じ方法でPCR反応させ、増幅された本発明に係る二本鎖DNAを得、PCR反応後の上記方法と同様に、得られた本発明に係る二本鎖DNAを、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液等による抽出により精製し、電気泳動により目的の鎖長のDNAを抽出し、再度フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液等による抽出により精製することで、更に増幅した、本発明に係る二本鎖DNAを得ることができる。
・3'アダプター付加工程を含む二本鎖DNAの合成方法
本発明の二本鎖DNAの合成方法は、上記工程1の前に、更に、鋳型RNAの3'末端に既知配列のRNA断片を付加する工程を含む方法も含まれる。具体的には、以下の工程によりなされる。
1) 鋳型RNAに本発明に係る3'アダプターを付加する工程、
2) 3'アダプター付加RNAを逆転写反応に付す工程1、
3) 工程2の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程2。
4) 得られた一本鎖DNAを二本鎖にする工程3。
上記鋳型RNAに本発明に係る3'アダプターを付加する工程(3'アダプター付加工程)、工程1及び2は、上記3'アダプター付加工程を含む本発明の一本鎖DNAの合成方法の項の工程と同じであり、その好ましい操作法も同じである。即ち、上記3'アダプターを付加する工程、工程1及び2の工程を経て得られた本発明に係る一本鎖DNAを工程3に付すことにより、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAを合成することができる。
上記工程3における、本発明に係る一本鎖DNAを二本鎖にする方法は、上記二本鎖DNAの合成方法の項での記載と同じものが挙げられ、好ましいものもPCRによる方法である。3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法により得られた一本鎖DNAをPCRにより二本鎖化する方法は、例えば以下の如くなされる。
即ち、まず例えば本発明に係る一本鎖DNAリガーゼを用いて、工程3で得られた本発明に係る5'アダプターを付加し、本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNAを得る。その後、該5'アダプターから設計されたプライマー1、及び本発明に係る3'アダプターの相補鎖から設計されたプライマー2を作製し、これらプライマー1及び2を用いて、本発明に係る5'アダプターが付加された本発明に係る一本鎖DNAをPCR反応に付すことによりなされる。
ここで用いられる本発明に係る一本鎖DNAリガーゼは、上記二本鎖DNAの合成方法の項での記載と同じものが挙げられる。
本発明に係る5'アダプターは、本発明に係る3'アダプターと相補的なものでなく、3'側のヒドロキシル基がリン酸基と反応しないように処理されており、その配列が既知のDNAであればその配列はどのようなものであってもよいが、本発明に係る一本鎖DNA及びその相補鎖中に存在しない配列からなるものが好ましい。そのヌクレオチド数は、通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。上記3'側のヒドロキシル基がリン酸基と反応しないような処理は、上記二本鎖DNAの合成方法の項での記載と同じものが挙げられる。
上記プライマー1としては、本発明に係る5'アダプターに対する相補鎖の全部又は一部を含むものであり、そのヌクレオチド数は通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。上記プライマー2としては、本発明に係る3'アダプターの相補鎖に対する相補鎖の全部又は一部を含むものであり、そのヌクレオチド数は通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。これらプライマー1及び2は、本発明に係る一本鎖DNA及びその相補鎖中に存在しない配列であるものが好ましい。
3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法により得られた本発明に係る一般鎖DNAをPCRにより二本鎖化する方法における、本発明に係る一本鎖DNAの5'末端に本発明に係る5'アダプターを付加する方法、本発明に係る5'アダプターを付加する前の処理、付加後のDNAリガーゼ等の失活、PCR反応の態様およびその好ましい態様は、上記二本鎖DNAの合成方法の項での記載と同じものが挙げられる。
3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法により得られた本発明に係る一般鎖DNAをPCRにより二本鎖化する方法における好ましい例としては、例えば以下の如く行われる。
即ち、まず鋳型RNAを核酸量1ng〜1μgを用いて、3'アダプター付加工程、工程1および工程2を経て得られた、本発明に係る一本鎖DNAを含む溶液例えば10μLを、例えば0.1〜1units/μLのSAP等の脱リン酸化酵素0.5〜3μLと例えば30〜40℃で15〜30分間反応させて本発明に係る一本鎖DNAの5'末端を脱リン酸化する。その後、65〜80℃で15〜30分間反応させSAP等の脱リン酸化酵素を失活させる。次いで、得られた5'末端が脱リン酸化された一本鎖DNAを含有する溶液例えば10μLに、1〜10units/μLの上記一本鎖DNAリガーゼ0.1〜1μLと、50〜100μmol/Lの3'末端が脱ヒドロキシル化されている本発明に係る5'アダプター溶液0.5〜1μLを添加して、50〜60℃で30〜60分間反応させ、5'アダプター付加一本鎖DNAを得る。得られた本発明に係る5'アダプター付加一本鎖DNAを含有する溶液例えば10μLに、50〜100μmol/Lのプライマー1 0.1〜0.5μLと50〜100μmol/Lのプライマー2 0.1〜0.5μL、並びに各濃度が1〜5mmol/Lの4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)の混合溶液1〜3μLを添加して、例えば(1)93〜98℃、1〜10分→(2)93〜98℃、10〜30秒→50〜60℃、10〜30秒→68〜72℃、10〜30分(10〜20サイクル)、(3)68〜72℃、1〜5分間のサイクルでPCR反応を行うことにより、増幅された本発明に係る二本鎖DNAを得ることができる。その後得られた本発明に係る二本鎖DNAを、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液等により抽出することにより精製する。更に、該二本鎖DNAを例えば未変性ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い、目的の鎖長のDNAを抽出し、再度例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出等で精製することにより、精製された本発明に係る二本鎖DNAを得ることができる。更に本発明に係る二本鎖DNAを増やす場合には、得られた本発明に係る二本鎖DNAを、上記PCR反応と同じ方法でPCR反応させ、増幅された本発明に係る二本鎖DNAを得、PCR反応後の上記方法と同様に、得られた本発明に係る二本鎖DNAを、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液等による抽出により精製し、電気泳動により目的の鎖長のDNAを抽出し、再度フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液等による抽出により精製することで、更に増幅した、本発明に係る二本鎖DNAを得ることができる。
上述の如く、本発明の二本鎖DNAの合成方法により得られた、本発明に係る二本鎖DNAは、Proceedings of the National Academy of Sciences,1995, Vol 92, 4347-4351等に記載の通常この分野で用いられる方法により塩基配列解析をすることができる。具体的には例えば、クローニング用キットを用いて得られた二本鎖DNAをコンピテントセル等に形質転換した後培養し、コロニーPCRにより増幅させる。その後、プラスミド抽出を行い、得られたプラスミドを鋳型としてキット等により塩基配列の解読を行うことによりなされる。解読された塩基配列を用いて相同性検索を行うことによりRNAの同定を行うこともできる。
なお、本発明の合成方法の主な概略を図1及び図2に示す。
・一本鎖DNAの合成用キット
本発明の一本鎖DNAの合成用キットは、上記の如き本発明の一本鎖DNAの合成方法を実施するために使用されるものである。このようなキットとしては、I)一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素及びIII)逆転写酵素を含んでなるものである。
I)の一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素としては、本発明に係る一本鎖RNAリガーゼの説明で記載したものと同じものが挙げられ、具体的にはT4 RNAリガーゼ等のRNAリガーゼ、Nucleic Acids Research, 2005, Vol. 33, No. 1 135-142等の文献に記載の熱安定性一本鎖DNAリガーゼ等のDNAリガーゼ等が挙げられ、中でも上記文献に記載の耐熱性一本鎖DNAリガーゼ等が好ましい。該酵素は、HEPES、MOPS等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常1〜10units/μL、好ましくは5〜10units/μLの溶液として提供される。
III)の逆転写酵素としては、工程1で用いられる逆転写酵素と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。該酵素は、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常50〜200units/μL、好ましくは100〜200units/μLの溶液として提供される。
本発明の一本鎖DNAの合成用キットは、上記I)及びIII)以外の試薬類を加えて本発明のキットとすることもできる。このような試薬類としては例えば以下の如きII),IV)〜X)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
II) 既知配列のRNA断片、
IV) 逆転写反応用プライマー、
V) 4種類の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)、
VI) RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、
VII) 既知配列のDNA断片、
VIII)一本鎖DNAにDNA断片を付加し得る酵素、
IX) DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及び
X) アルカリ又はその水溶液。
該キットは、上記I)及びIII)以外に、II)のRNA断片、IV)のプライマー及びV)のdNTPsの何れか1種以上を含むものが好ましく、更にVI)の酵素を含むものがより好ましく、そして更にVII)のDNA断片、VIII)の酵素及びIX)の酵素の1種以上を含むものが更に好ましく、更にX)のアルカリ又はその水溶液を含むものが特に好ましい。
本発明一本鎖DNAの合成用キットに含まれる試薬は、通常この分野で用いられている、HEPES緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、MOPS緩衝剤、イミダゾール緩衝剤等の緩衝剤や、DTT、BSA等の安定化剤を添加してもよいが、これら緩衝剤や安定化剤を別の試薬として使用時に添加混合するようにしてもよい。これらの濃度やpH等についても通常用いられる濃度に設定されればよい。また、これら試薬は凍結乾燥品であってもよい。
上記II)の既知配列のRNA断片としては、本発明の合成方法に於ける既知配列のRNA断片、即ち、本発明に係る3'アダプターと同じものが挙げられ、その処理方法、好ましいものも同じである。このような既知配列のRNA断片試薬は、滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解されるのが好ましく、通常10〜100μmol/L、好ましくは50〜100μmol/Lの溶液として提供される。
IV)の逆転写反応用プライマーとしては、一本鎖DNAの合成方法及び3'アダプター付加工程を含む一本鎖DNAの合成方法で記載の逆転写反応用プライマーと同じものが挙げられ、その好ましいものも同じであるが、試薬キットがII)の既知配列のRNA断片を含む場合には、該RNA断片に対して相補的な配列を含むものが好ましい。滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解されるのが好ましく、通常10〜100μmol/μL、好ましくは10〜50μmol/μLの溶液として提供される。
V)の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)は、アデニン、チミン、シトシン及びグアニン4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)の混合物である。滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解されるのが好ましく、通常各濃度が1〜10mmol/L、好ましくは2〜5mmol/Lの溶液として提供される。
VI)のRNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素は、3'アダプター付加工程において、鋳型RNAの5'末端側のリン酸基がヒドロキシル基と反応しないための処理で用いられる酵素と同じものが挙げられ、その好ましいものも同じである。該酵素は、通常HEPES、MOPS等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常0.1〜1units/μL、好ましくは0.5〜1units/Lの溶液として提供される。
VII)既知配列のDNA断片としては、本発明に係る5'アダプターと同じものが挙げられ、その処理方法、好ましいものも同じである。このような既知配列のRNA断片試薬は、滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解されるのが好ましく、通常10〜100μmol/L、好ましくは50〜100μmol/Lの溶液として提供される。
VIII)一本鎖DNAにDNA断片を付加し得る酵素としては、本発明に係る一本鎖DNAリガーゼと同じものが挙げられ、その好ましいものも同じである。なお、該酵素は、一本鎖RNAと一本鎖RNA及び一本鎖DNAと一本鎖DNAを結合し得る酵素も含むものであるが、このような活性を有する酵素を用いる場合には、I)の一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素と同じものを用いることができ、その場合試薬の種類を1つ少なくすることができるので好ましい。このような活性を有する酵素としては、例えばNucleic Acids Research, 2005, Vol. 33, No. 1 135142等の文献に記載の熱安定性一本鎖DNAリガーゼ等が挙げられる。該酵素は、通常HEPES、MOPS等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常1〜10units/μL、好ましくは5〜10units/μLの溶液として提供される。
IX)DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素としては、VI)のRNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。VI)の酵素とIX)の酵素は、異なるものでも同じものを用いてもよいが、同じものを用いた場合、試薬の種類を1つ少なくすることができるので好ましい。
X)のアルカリ又はその水溶液としては、工程2のアルカリ処理の項で説明しているアルカリ又はその水溶液と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。該アルカリ金属塩又は水溶液の濃度は、反応時のpHが通常10〜14、好ましくは12〜14となるように添加されればよく、アルカリをそのまま若しくはpH14以上の水溶液として提供される。
本発明の一本鎖DNAの合成用キットは、標準品として既知のRNAを添加してもよく、該RNAは既知のものであれば特に限定されないが、そのヌクレオチド数は通常15〜30、好ましくは20〜25である。該標準品は、通常滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常10〜100ng/μL、好ましくは10〜50ng/μLの溶液として提供される。
本発明の一本鎖DNAの合成用キットは、更に、本発明の一本鎖DNAの合成方法で用いられる、RNase阻害剤、塩化マンガン、EDTA、エタノール沈殿用キャリア、酢酸アンモニウム等を含む形にしてもよく、それらは通常この分野で用いられているもの全てを使用することができ、その濃度等も通常用いられる濃度に設定され
ればよい。
本発明の一本鎖DNAの合成用キットの好ましいものの例として、例えばII)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)dNTPs、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列のDNA断片、IX)DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びX)アルカリ又はその水溶液を含んでなるものが挙げられる。
・二本鎖DNAの合成用キット
本発明の二本鎖DNAの合成用キットは、上記の如き本発明の二本鎖DNAの合成方法を実施するために使用されるものである。このようなキットとしては、I)一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素、II)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)dNTPs、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列のDNA断片、VIII)一本鎖DNAにDNA断片を付加し得る酵素、IX)DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びXI)PCRプライマーを含んでなる、鋳型RNAに対応する塩基配列を含むものであるが、更に、X)アルカリ又はその水溶液を含むものが好ましい。
本発明一本鎖DNAの合成用キットに含まれる試薬は、通常この分野で用いられている、HEPES緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、MOPS緩衝剤、イミダゾール緩衝剤等の緩衝剤や、DTT、BSA等の安定化剤を添加してもよいが、これら緩衝剤や安定化剤を別の試薬として使用時に添加混合するようにしてもよい。これらの濃度やpH等についても通常用いられる濃度に設定されればよい。また、これら試薬は凍結乾燥品であってもよい。
I)の酵素、II)既知配列のRNA断片、III)の逆転写酵素、IV)の逆転写反応用プライマー、V)のdNTPs、VI)のRNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)の既知配列のDNA断片、VIII)一本鎖DNAにDNA断片を付加し得る酵素、IX)のDNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びX)のアルカリ又はその水溶液は、上記一本鎖DNAの合成用キットの項での説明と同じものが挙げられる。
なお、I)の一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素とVIII)の一本鎖DNAにDNA断片を付加し得る酵素は、一本鎖RNAと一本鎖RNA及び一本鎖DNAと一本鎖DNAを結合し得る酵素も含むものであり、このような酵素を両者で用いる場合には、I)とVIII)の試薬で1つの試薬とすることができる。また、VI)のRNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素とIX)のDNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素に関しても、同じものを用いた場合には、VI)とIX)の試薬で1つの試薬としてもよい。。
XI)のPCRプライマーは、工程3のPCRにより一本鎖DNAを二本鎖化する方法で記載の、プライマー1及びプライマー2からなるものであり、プライマー1及びプライマー2は、PCRにより一本鎖DNAを二本鎖化する方法で記載したものと同じものが挙げられる。上記プライマー1は、通常滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常10〜100μmol/L、好ましくは50〜100μmol/Lの溶液として提供される。上記プライマー2は、通常滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常10〜100μmol/L、好ましくは50〜100μmol/Lの溶液として提供される。これらプライマー1及び2を混合して提供してもよいが、別個の試薬として提供されるのが好ましい。
本発明の二本鎖DNAの合成用キットは、標準品として既知のRNAを添加してもよく、該RNAは既知のものであれば特に限定されない。該標準品は、通常滅菌された蒸留水、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解するのが好ましく、通常10〜100ng/μL、好ましくは10〜50ng/μLの溶液として提供される。
本発明の二本鎖DNAの合成用キットは、更に、本発明の二本鎖DNAの合成方法で用いられる、RNase阻害剤、塩化マンガン、EDTA、エタノール沈殿用キャリア、酢酸アンモニウム等を含む形にしてもよく、それらは通常この分野で用いられているもの全てを使用することができ、その濃度等も通常用いられる濃度に設定されればよい。
本発明の二本鎖DNAの合成用キットの好ましいものの例として、例えばII)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)dNTPs、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列のDNA断片、IX)DNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びXI)PCRプライマーを含んでなるものが挙げられる。
以下に実施例、参考例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等により何等限定されるものではない。
実施例1 small RNAのクローニング
1. small RNA画分の抽出
HeLa 細胞(大日本製薬社製)から1×107 CellにISOGEN((株)ニッポンジーン製)を1mL加えて溶解した後、クロロホルム0.3mLを加えて遠心分離した(14,000rpm(18,800 ×g)、10分)。分離した水相を採取して等量のイソプロパノールを加え、RNAを沈殿させ、HeLa Total RNAを得た。
次いで、mirVanaTMmiRNA Isolation Kit (Ambion社製)を用いて、添付のマニュアルに記載の方法により、得られたHeLa Total RNAから200ヌクレオチド以下のsmall RNA画分を抽出した。その結果、200ヌクレオチド以下のsmall RNA画分を15.4μg得た。
更に、得られた200ヌクレオチド以外のsmall RNA画分全量(15.4μg)を15% 変性ポリアクリルアミドゲルに導入し、電気泳動(定電圧, 30mA)し、20〜24ヌクレオチド付近を切り出した後、small RNA Gel Extraction Kit(タカラバイオ(株))を添付のマニュアルに記載の方法に従って、20〜24ヌクレオチドのRNA(マイクロRNA)を回収した。なお、上記電気泳動後のゲルの影像を図3に示す。
2.マイクロRNAの脱リン酸反応
上記で得られたマイクロRNA溶液15μL(全量)を70℃で3分間加熱し、氷上に2分間静置した。その後、SAP(1unit/μL、エビ由来アルカリホスファターゼ:USB社製)溶液 1μL、SAP反応緩衝液(50mmol/L塩化マグネシウム、100mmol/L 塩化カリウムを含む500mmol/L HEPES緩衝液(pH7.3) ) 4μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合し、更に、37℃で15分間反応後、65℃で15分間加熱しSAPを失活させ、氷上に2分間静置した。
3. マイクロRNAの3'末端へのアダプター結合
得られた溶液に、滅菌水15μL、50μmol/Lアダプター(配列番号1:5'-P-AAGAAGCUGGCGUCAAUGU-2'3'ddC-3') 1μL、10mmol/L 塩化マグネシウム 1μL、ThermoPhage Single - Stranded DNA Ligase用の反応液(2mmol/Lアデノシン 5'-三リン酸四ナトリウム(ATP)、40mmol/L ジチオスレイトール、1μg/μLウシ血清アルブミン(BSA)) 1μL、Ribonuclease Inhibitor (Super) (20units/μL、和光純薬工業(株)社製)溶液 1μL、ThermoPhage Single - Stranded DNA Ligase(10units/μL 、PROKARIA社製)溶液 1μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合した。次いで、60℃で30分間反応させ、90℃で5分間加熱し熱安定性一本鎖DNAリガーゼを失活させた後、氷上に2分間静置した。その後、反応液に滅菌水 120μLを加え混合し、更に、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール ( 25:24:1 )の混合溶液((株)ニッポンジーン製)を等量(160μL)加え、ボルテックスミキサーで混合し、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離し、水層(上層)を回収した。次いで、Ethachinmate((株)ニッポンジーン製) 1μL、回収した水層の1/4量の10mmol/L アンモニウムアセテート、全容量の2倍量の99.5%エタノールを加え、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間以上静置した。更に、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で15分間遠心分離し、沈殿を吸わないように上清を除き、沈殿を70%エタノールで2回洗浄し、乾燥後、沈殿を11μLの滅菌水に溶解し、得られた3'末端にアダプターが結合したマイクロRNAを精製した。
4.逆転写(RT)反応
3.で得られた溶液全量(11μL)に、50μmol/L プライマー(配列番号2:5'-GACATTGACGCCAGCTTCTT-3') 1μLを加え、70℃で3分間加熱し、氷上に2分間静置した。逆転写反応用の緩衝液(750mmol/L塩化カリウム、30mmol/L塩化マグネシウム、50mmol/L ジチオスレイトールを含有する500mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH8.3)) 2μL、dNTPs(各2.5mmol/LのdATP、dGTP,、dCTP,、dTTP溶液の混合液、(株)ニッポンジーン製) 4μL、Ribonuclease Inhibitor (Super) (20uits/μL、和光純薬工業(株)社製)溶液 1μL、逆転写酵素(200uits/μL ReverScriptIV、和光純薬工業(株)社製)溶液 1μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合した。42℃で30分間反応させた後、0.5mol/L EDTA 2μLを加え、よく混合し、反応を停止した。
5.アルカリ処理
反応停止後の溶液に更に0.2mol/L 水酸化ナトリウム 8μLを加え、65℃で30分間加熱し、氷上に2分間静置し、逆転写反応の鋳型となるRNA等を加水分解した。更に、1mol/L トリス塩酸(pH 7.5) 20μLを加え、ボルテックスミキサーで混合し、滅菌水 110μLを加え、ボルテックスミキサーで混合した。更に、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール ( 25:24:1 )混合溶液を等量(160μL)加え、ボルテックスミキサーで混合した。次いで、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離し、水層(上層)を回収した。更に、この水層にEthachinmate((株)ニッポンジーン製) 1μL、回収した水層の1/4量の10mol/L アンモニウムアセテート、全容量の2倍量の99.5%エタノールを加え、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間以上静置した。4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で15分間遠心分離し、上清を除き沈殿を70%エタノールで2回洗浄し、乾燥後、沈殿を15μLの滅菌水に溶解した。
6. RT反応後溶液の脱リン酸反応
5.で得られた溶液全量を90℃で5分熱処理後、氷上に2分間静置した。次いで、SAP反応緩衝液(50mmol/L塩化マグネシウム、100mmol/L 塩化カリウムを含む500mmol/L HEPES緩衝液(pH7.3) )4μL、1units/μLのSAP(エビ由来アルカリホスファターゼ:USB社製)溶液 1μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合し、37℃で15分間反応後、80℃で15分間加熱してSAPを失活させ、氷上に2分間静置した。
7. 逆転写反応産物の3'末端へのアダプター結合
6.で得られた溶液に、滅菌水16μL、50μmol/Lアダプター(配列番号3:5'-P-AAGGCTCAGTCTCGGGATA-2'3'ddC-3') 1μL、10mmol/L 塩化マグネシウム 1μL、熱安定性一本鎖DNAリガーゼ用反応液(2mmol/Lアデノシン 5'-三リン酸四ナトリウム(ATP)、40mmol/L ジチオスレイトール、1μg/μLウシ血清アルブミン(BSA))1μL、ThermoPhage Single - Stranded DNA Ligase(10units/μL、PROKARIA社製)溶液 1μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合した。次いで、60℃で30分間反応させ、90℃で5分間加熱し熱安定性一本鎖DNA リガーゼを失活させた後、氷上に2分間静置した。反応液全量に滅菌水を120μL加え、ボルテックスミキサーで混合した後、更に、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール ( 25:24:1 )混合溶液を等量(160μL)加え、ボルテックスミキサーで混合した。次いで、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離し、水層(上層)を回収した。その後、この水層にEthachinmate((株)ニッポンジーン製) 1μL、回収した水層の1/4量の10mol/L アンモニウムアセテート、全容量の2倍量の99.5%エタノールを加え、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間以上静置した。更に、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で15分間遠心分離し、上清を除き、沈殿を70%エタノールで2回洗浄した。その後、乾燥し、沈殿を33.5μLの滅菌水に溶解した。
8. PCR(1回目)
7.で得られた溶液全量に、10×Reaction buffer(Eurogentec社製) 5μL、dNTPs(各2.5mmol/LのdATP、dGTP,、dCTP,、dTTP溶液の混合液、(株)ニッポンジーン製) 5μL、50μmol/Lプライマー(配列番号4:5'-GTATCCCGAGACTGAGCC-3') 1μL、50μmol/Lプライマー(配列番号5:5'-GACATTGACGCCAGCTTC-3') 1μL、25mmol/L 塩化マグネシウム 4μL、HOTGoldstarTM DNA Polymerase(5units/μL、Eurogentec社製)溶液 0.5μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合し、以下の条件でPCR反応を行った。
95℃ 10分間 → 95℃ 20秒間・56℃ 10秒間・72℃ 10秒間 (15サイクル) → 72℃ 1分間
得られた溶液を氷上に2分間静置後、滅菌水を110μL加え、更に、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール ( 25:24:1 )混合溶液を等量(160μL)加え、ボルテックスミキサーで混合した。その後、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離し、水層(上層)を回収し、これにEthachinmate((株)ニッポンジーン製) 1μL、回収した水層の1/4量の10mol/L アンモニウムアセテート、全容量の2倍量の99.5%エタノールを加え、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間以上静置した。次いで、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で15分間遠心分離し、沈殿を吸わないように上清を除き、沈殿を70%エタノールで2回洗浄し、45℃以下で乾燥後、沈殿を滅菌水 10μLに溶解し、6×Loading Buffer Triple Dye((株)ニッポンジーン製) 2μLを加え、混合した。
9. 電気泳動(1回目)
8.で得られた溶液を15% 未変性ポリアクリルアミドゲル(スーパーセップ、和光純薬工業(株)社製)で電気泳動(定電流, 30mA)を行った。なお、分子量マーカーは10bp DNA Step Ladder(和光純薬工業(株)社製)を使用し、電気泳動バッファーは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン3.1g及びグリシン 14.5gを蒸留水で溶解し1 Lにメスアップしたものを用いた。7.で得られた溶液に予め混合しておいたキシレン・シアノール(XC、和光純薬工業(株)製)がゲル下部より流れた時点で、電気泳動を停止し、電気泳動バッファーに0.5μg/mLで溶解したエチジウムブロマイド溶液を染色液としてゲルを10分間染色した。その後、ゲルを滅菌水で2〜3分間洗浄後、FAS-III(紫外線照射機:東洋紡績(株))にて観察し、目的の鎖長の部分(60〜64bp)を切り出した。次いで、バイオマッシャー(和光純薬工業(株)社製)のフィルターチューブを1.5mLマイクロチューブにセットし、フィルターチューブに切り出したゲルを挿入した。
10×M Buffer(塩化ナトリウム500 mmol/L、100 mmol/L 塩化マグネシウム、10 mmol/L DTTを含有する100 mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)(株)ニッポンジーン製)を滅菌水で1/10に希釈した溶液(1×M Buffer)100μLをフィルターチューブに加えた。その後、破砕棒を上から挿入し、フィルターチューブに押し付けながら、左右に回転させ、ゲルをすり潰した。更に4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離した後、破砕棒をフィルターチューブより抜き、1×M Buffer 100μLをフィルターチューブに加えた。なお、破砕棒に付着したゲルはピンセットなどで落として、フィルターチューブに挿入した。室温で1時間静置後、破砕棒を上から挿入し、フィルターチューブに押し付けながら、左右に回転させ、ゲルをすり潰した後、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離した。得られた上清を回収し、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール ( 25:24:1 )混合溶液を等量加え、ボルテックスミキサーで混合した。更に、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で5分間遠心分離し、水層(上層)を回収した。その後、 これにEthachinmate((株)ニッポンジーン製) 1μL、回収した水層の1/4量の10mol/L アンモニウムアセテート、全容量の2倍量の99.5%エタノールを加え、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間以上静置した。次いで、4℃、14,000rpm(18,800 ×g)で15分間遠心分離し、沈殿を吸わないように上清を除き、沈殿を70%エタノールで2回洗浄した後、45℃以下で乾燥し、沈殿を33.5μLの滅菌水に溶解した。
10. PCR(2回目)
得られた溶液 全量をPCRチューブに移し、8. PCR(1回目)と同様の操作を行った。
11. 電気泳動(2回目)
10.で得られた溶液を1レーンにつき6μLずつ導入し、9.の操作と同様に、15%未変性ポリアクリルアミドゲル(スーパーセップ)で電気泳動を行った。
得られた溶液を、45℃以下で乾燥した後、沈殿を5μLの滅菌水に溶解し、クローニング用cDNAを得た。尚、図4に電気泳動後のゲルの影像を示した。
12. 形質転換
11.で得られたクローニング用cDNA 2μLに20ng/μLのpGEM Teasy Vector (Promega社製) 1μLとDNA Ligation Kit Mighty Mix(タカラバイオ(株)社製)溶液 3μLを添加して16℃で30分間反応させ、クローニング用cDNAをベクターに挿入した。その後、ECOSTM Competent E.coli DH5α((株)ニッポンジーン製)を用いて全量を42℃、45秒のヒート・ショック法によりコンピテントセルに形質転換した。次いで、100μg/mLのアンピシリンナトリウムを含むLuria-Bertani's broth(LB)寒天培地で37℃、16時間培養した。
13. コロニーPCR
培地上の単一のコロニーに、10×Universal Buffer((株)ニッポンジーン)1μL、2.5mM dNTPs(各2.5mmol/LのdATP、dGTP,、dCTP,、dTTP溶液の混合液、(株)ニッポンジーン製)1μL、50μmol/L プライマー(配列番号6:5'-GTATCCCGAGACTGAGCC-3')0.5μL、50μmol/L プライマー(配列番号7:5'-GACATTGACGCCAGCTTC-3') 0.5μL、滅菌水6.9μL、Gene Taq NT(5units/μL、(株)ニッポンジーン製)0.1μLを加え、氷冷状態で緩やかに混合し、以下の条件でPCR反応を行った。
95℃ 2分間 → 95℃ 20秒間・56℃ 10秒間・72℃ 10秒間 (30サイクル) → 72℃ 1分間
その後、得られたPCR反応液に6×Loading Buffer Triple Dye((株)ニッポンジーン製) 1μLを加え、混合した。
14. 電気泳動
13.で得られた溶液5μLを未変性15% アクリルアミドゲル(スーパーセップ、和光純薬工業(株)社製))にて電気泳動(ゲル1枚あたり30mA定電流)し、0.5μg/mL エチジウムブロマイド染色液に10分 浸した後、FAS-III(紫外線照射機:東洋紡績(株)製)を使用して挿入断片の有無及び鎖長を確認した。
15.プラスミド抽出
14.で挿入断片が確認できた単一クローンは100μg/mLのアンピシリンナトリウムを含むLB培地で37℃、16時間振とう培養し、QIAprep Spin Miniprep Kit ( QIAGEN社製 ) 使用し、添付のマニュアル記載の方法に準じて、プラスミド抽出を行った。
16.塩基配列解析
15.で得られたプラスミド200ngを鋳型としてDYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit ( GE ヘルスケア社製 )を使用し、添付のマニュアル記載の方法に準じて反応を行った。次いで塩基配列の解読はBaseStaion(バイオラッドラボラトリーズ(株)製)にて行った。
17.塩基配列の相同性検索
DDBJ(DNA Data Bank of Japan)データベースを用いて、得られた74の塩基配列についてその相同性検索(BLAST)を行った。クローン分布を表1に、microRNA分布を表2にそれぞれ示す。
Figure 0005532925
また、microRNAに関する分布を以下に示す。
Figure 0005532925
上記結果より、本発明の方法によれば、試料中のRNAから容易に一本鎖DNA並びに二本鎖DNAを取得できることが判った。よって、該方法は、従来の方法、例えばDyna Express miRNA Cloning Kitを用いた方法(フナコシニュース2007年6月15日号4ページ)と比較して、ゲル抽出等の必要がないためステップ数が少なく簡便であり、且つRIを使用しないため安全な方法であり、優れた方法であることが判った。
また、得られた二本鎖DNAを用いてクローンを得、解析した結果、得られたクローン中の72.9%がmicroRNA由来のcDNAであることが分かった。従来の方法、例えばNucleic Acids Research, 2006, Vol. 34, No. 6の結果(Table1)によれば、micro RNA は、20,014クローンのうち3,374クローン、即ち約17%しか得られていない。従って、該結果より、本発明の方法によればmicroRNA等の短鎖RNA由来のcDNAを、従来の方法と比較して高効率に取得できることが明らかとなった。これは、アルカリ処理により残存RNA断片をモノマーまで加水分解しているため、また、ステップ数が少ないため等夾雑物の混入を低減させていることに起因していると考えられる。
実施例2 マウスmRNAのクローニング
1.逆転写反応
マウス精巣Total RNA 10μg(C57 Black6)を11μlの滅菌水に溶解し、該滅菌水に、マウスp16 INK4a mRNAに相補的な逆転写反応プライマー(25pmol/μl, 5'-TAGCTCTGCTCTTGGGATTG-3') 1μlを加え、70℃で3分間熱処理後、氷上に2分間静置した。次いで、ReverScriptIV用10×reaction buffer(和光純薬工業(株))を2μl、2.5mmol/l dNTP Mixture((株)ニッポンジーン製)を4μl、RNase Inhibitor, Super(20U/μl、和光純薬工業(株)製)を1μl、ReverScriptIV (200U/μl 、和光純薬工業(株)製)を1μl加え、氷上で緩やかに混合した。得られた混合溶液を、42℃で30分反応後、0.5mol/L EDTAを2μl加えた後、混合し、反応を停止した。
2.アルカリ処理
反応停止後の溶液に、0.2mol/l NaOHを8μl加え、混合し、65℃、30分、アルカリ加水分解後、氷上に2分間静置した。更に、1mol/l Tris-HCl(pH 7.5)を20μl加え、混合した後、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて未反応の逆転写反応プライマーを除去した。次いで、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)を1μl、10mol/l 酢酸アンモニウムを12μl、エタノールを125μlそれぞれ加え、混合した。更に、18800×g、10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、沈殿を乾燥後、16μlの滅菌水に溶解した。
3.逆転写反応産物へのアダプターの結合
アルカリ処理後の溶液に、逆転写反応液16μlを加え、90℃、3分間熱処理してDNAを一本鎖化した後、氷上で2分間静置した。次いで、アダプター(20pmol/μl, 5'末端リン酸化、3'末端2'3' ddC blocked 5'-p-AAGCCTCAGTCTCGTCGATACCATG-ddC-3')を1μl、熱安定性一本鎖DNAリガーゼ用反応液(500mmol/l HEPES, pH7.3、50mmol/l MgCl2、100mmol/l KCl、0.5mmol/l ATP、10mmol/l DTT、0.25μg/μl BSA)を2μl、Single Strand DNA Ligase溶液(10U/μl、和光純薬工業(株)製)を1μl加え、氷上で緩やかに混合した。60℃で30分間反応させ、更に、90℃で5分間加熱し、Single Strand DNA Ligaseを失活させた。その後、氷上に2分間静置し、滅菌水を30μl加え、混合した。更に、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて未反応のアダプターを除去した後、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)を1μl、10mol/l 酢酸アンモニウムを12μl、エタノールを125μl加え、混合し、18800×g、10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、得られた沈殿物を乾燥後、34.5μlの滅菌水に溶解した。
4.PCR(1回目)
3.で得られた、アダプター を結合した逆転写反応産物を含む水溶液34.5μlに、HotGoldstar DNA polymerase用10×Reaction Buffer(Eurogentec社製) 5μl 、2.5mmol/L dNTP Mixture((株)ニッポンジーン製)4μl、アダプターに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL 、5'-CATGGTATCGACGAGACTGAG-3')1μl、マウスp16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL、5'-AACTACTCGGATCAGACATC-3')1μl、25 mmol/L MgCl2 4μl、HotGoldstar DNA polymerase(5U/μl,EUROGENTEC社製)0.5μlをそれぞれ加え、氷上で緩やかに混合し、以下の条件でPCR反応を行った。
95℃ 10分 → 95℃ 20秒・55℃ 20秒・72℃ 20秒(30サイクル)→ 72℃ 2分
次いで、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて、得られた溶液から未反応のPCRプライマーを除去した。その後、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)1μl、10mol/l 酢酸アンモニウム 12μl、エタノール125μlをそれぞれ加え、混合した。更に、18800×g、で10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、沈殿物を乾燥後、34.5μlの滅菌水に溶解した。
5.PCR(2回目)
4.で得られた水溶液34.5μlにHotGoldstar DNA polymerase用10×Reaction Buffer(Eurogentec社製) 5μl 、2.5mmol/L dNTP Mixture((株)ニッポンジーン製)4μl、アダプターに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL 、5'-CATGGTATCGACGAGACTGAG-3')1μl、マウスp16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL、5'-AGTAATGTTCCCTCCCTATC -3')1μl、25 mmol/L MgCl2 4μl、HotGoldstar DNA polymerase(5U/μl,EUROGENTEC社製)0.5μlをそれぞれ加え、氷上で緩やかに混合し、以下の条件でPCR反応を行った。
95℃ 10分 → 95℃ 20秒・55℃ 20秒・72℃ 20秒(30サイクル)→ 72℃ 2分
次いで、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて、得られた溶液から未反応のPCRプライマーを除去した。その後、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)1μl、10mol/l 酢酸アンモニウム 12μl、エタノール125μlをそれぞれ加え、混合した。更に、18800×g、で10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、沈殿物を乾燥後、4μlの滅菌水に溶解した。
6.PCR増幅産物の確認
Bioanalyzer DNA 1000 Kit(Agilent社製)を用いて、PCR増幅産物の鎖長の確認を行った。
その結果、約240bpにPCR増幅産物を確認した。結果を図5に示す。
7.塩基配列解析
上記のPCR増幅産物の塩基配列の解析を、BaseStaion(バイオラッドラボラトリーズ(株)製)にて行った。
(塩基配列解読結果)
CATGGTATCGACGAGACTGAGGCAGG(adaptor)
atatctctgaaaacctccagcgtattctggtagtccagagtggatggggattcagggagcctgggtttgcacacttggaaaatgtacctcaagatccttaatataatatagtgcttaatacagtgctgtctactatgtctttcctctctagttacagttcaaaggacgaataatttaa
GATAGGGAGGGAACATT(PCR primer)
8.データベースとの比較
得られた解析結果から本cDNAの配列を予想し、NCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されているマウスp16 INK4aのESTデータベース(ACCESSION No. BY748960) と比較した。
その結果、5'末端が約610bp長いことが確認できた。即ち、本発明の方法により、マウスp16 INK4aに相補的なcDNAを得ることができ、既知領域から5'末端までの未知領域に相補的なcDNAを解読でき、その結果、マウスp16 INK4aの5'末端を決定することもできることが判った。
以下に、本願発明の方法により解析されたマウスp16 INK4aの塩基配列を示す。なお、下線部は、NCBIに登録されているマウスp16 INK4aのESTデータベースより長かった領域である。
ATATCTCTGAAAACCTCCAGCGTATTCTGGTAGTCCAGAGTGGATGGGGATTCAGGGAGCCTGGGTTTGCACACTTGGAAAATGTACCTCAAGATCCTTAATATAATATAGTGCTTAATACAGTGCTGTCTACTATGTCTTTCCTCTCTAGTTACAGTTCAAAGGACGAATAATTTAAGATAGGGAGGGAACATTACTATTTTAGGGACATGCTTTCTTATTTTATACTTAAAGAAATTGAAGTATAACATTCCAGAAAGACTAGGTTAACAAAAAAAAAAAAAAGTGAGAATTCTGGTTGTCTTTTTTTTTGCCAACCACTTTTTTAGTAATTACCACACAATCCCAGTTCGGCTTAAAGGCAAGTGCTGTGTGTCTATGCTCCCGGCGATGTTCTACAGGAGTTTGAGTACCAGGAAATCTTAGGGAATACACTGTAAGCCTGTGTGTAAGAAGAATTCCAAGGCGGGACTAGGAGCCTTTATGGGGTAGAGCCTCCTGACTGTGGATGTCTGATCCGAGTAGTTAACAGCGGAGCTTCGTACATAGGGCTTCTTTCTTGGGTCCTGCCCTCACTCTGGCCGTGATCCCTCTACTTTTTCTTCTGACTTTTCAGGTGATGATGATGGGCAACGTTCACGTAGCAGCTCTTCTGCTCAACTACGGTGCAGATTCGAACTGCGAGGACCCCACTACCTTCTCCCGCCCGGTGCACGACGCAGCGCGGGAAGGCTTCCTGGACACGCTGGTGGTGCTGCACGGGTCAGGGGCTCGGCTGGATGTGCGCGATGCCTGGGGTCGCCTGCCGCTCGACTTGGCCCAAGAGCGGGGACATCAAGACATCGTGCGATATTTGCGTTCCGCTGGGTGCTCTTTGTGTTCCGCTGGGTGGTCTTTGTGTACCGCTGGGAACGTCGCCCAGACCGACGGGCATAGCTTCAGCTCAAGCACGCCCAGGGCCCTGGAACTTCGCGGCCAATCCCAAGAGCAGAGCTA
以下に、データベースに登録されている5'末端が最長のp16 INK4aのEST(expression sequence tag)を示す。
GeneBank ACCESSION No.BY748960
1 tgggcgattg ggcgggcact gaatctccgc gaggaaagcg aactcgagga gagccatctg
61 gagcagcatg gagtccgctg cagacagact ggccagggcg gcggcccagg gccgtgtgca
121 tgacgtgcgg gcactgctgg aagccggggt ttcgcccaac gccccgaact ctttcggtcg
181 taccccgatt caggtgatga tgatgggcaa cgttcacgta gcagctcttc tgctcaacta
241 cggtgcagat tcgaactgcg aggaccccac taccttctcc cgcccggtgc acgacgcagc
301 gcgggaaggc ttcctggaca cgctggtggt gctgcacggg tcaggggctc ggctggatgt
361 gcgcgatgcc tggggtcgcc tgccgctcga cttggcccaa gagcggggac atcaagacat
421 cgtgcgatat ttgcgttccg ctgggtgctc tttgtgttcc gctgggtggt ctttgtgtac
481 cgctgggaac gtcgcccaga ccgacgggca tagcttcagc tcaagcacgc ccagggccct
541 ggaacttcgc ggccaatccc aagagcagag ctaaatccgg cctcagcccg cctttntctt
601 cttagcttca cttctagcga tgctagcgtg tctagcatgt ggctntaaaa aatacataat
661 aatgctnttt ttgca
実施例3 ヒトmRNAのクローニング
1.逆転写反応
HEK 293T細胞(ヒト胎児腎臓細胞)Total RNA 10μgを11μlの滅菌水に溶解し、該滅菌水に、ヒトp16 INK4a mRNAに相補的な逆転写反応primer(25pmol/μl, 5'-TTCTCAGAGCCTCTCTGGTT -3') 1μlを加え、70℃で3分間熱処理後、氷上に2分間静置した。次いで、ReverScriptIV用10×reaction buffer(和光純薬工業(株))を2μl、2.5mmol/l dNTP Mixture((株)ニッポンジーン製)を4μl、RNase Inhibitor, Super(20U/μl、和光純薬工業(株)製)を1μl、ReverScriptIV (200U/μl 、和光純薬工業(株)製)を1μl加え、氷上で緩やかに混合した。得られた混合溶液を、42℃で30分反応後、0.5mol/L EDTAを2μl加えた後、混合し、反応を停止した。
2.アルカリ処理
反応停止後の溶液に、0.2mol/l NaOHを8μ加え、混合し、65℃、30分、アルカリ加水分解後、氷上に2分間静置した。更に、1mol/l Tris-HCl(pH 7.5)を20μl加え、混合した後、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて未反応のアダプターを除去した。次いで、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)を1μl、10mol/l 酢酸アンモニウムを12μl、エタノールを125μlそれぞれ加え、混合した。更に、18800×g、10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、沈殿を乾燥後、16μlの滅菌水に溶解した。
3.逆転写反応産物へのアダプターの結合
アルカリ処理後の溶液に、逆転写反応液16μlを加え、90℃、3分間熱処理してDNAを一本鎖化した後、氷上で2分間静置した。次いで、アダプター(20pmol/μl,5'末端リン酸化、3'末端2'3' ddC blocked 5'-p-AAGCCTCAGTCTCGTCGATACCATG-ddC-3')を1μl、熱安定性一本鎖DNAリガーゼ用反応液(500mmol/l HEPES, pH7.3、50mmol/l MgCl2、100mmol/l KCl、0.5mmol/l ATP、10mmol/l DTT、0.25μg/μl BSA)を2μl、Single Strand DNA Ligase溶液(10U/μl、和光純薬工業(株)製)を1μl加え、氷上で緩やかに混合した。60℃で30分間反応させ、更に、90℃で5分間加熱し、Single Strand DNA Ligaseを失活させた。その後、氷上に2分間静置し、滅菌水を30μl加え、混合した。更に、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて未反応のPCRプライマーを除去した後、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)を1μl、10mol/l 酢酸アンモニウムを12μl、エタノールを125μl加え、混合し、18800×g、10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、得られた沈殿物を乾燥後、34.5μlの滅菌水に溶解した。
4.PCR(1回目)
3.で得られた、アダプター を結合した逆転写反応産物を含む水溶液34.5μlに、HotGoldstar DNA polymerase用10×Reaction Buffer(Eurogentec社製) 5μl 、2.5mmol/L dNTP Mixture((株)ニッポンジーン製)4μl、アダプターに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL 、5'-CATGGTATCGACGAGACTGAG-3')1μl、ヒトp16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL、5'-TATCCTCCGAACTTCTGCGG -3')1μl、25 mmol/L MgCl2 4μl、HotGoldstar DNA polymerase(5U/μl,EUROGENTEC社製)0.5μlをそれぞれ加え、氷上で緩やかに混合し、以下の条件でPCR反応を行った。
95℃ 10分 → 95℃ 20秒・55℃ 20秒・72℃ 20秒(30サイクル)→ 72℃ 2分
次いで、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて、得られた溶液から未反応のPCRプライマーを除去した。その後、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)1μl、10mol/l 酢酸アンモニウム 12μl、エタノール125μlをそれぞれ加え、混合した。更に、18800×g、で10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、沈殿物を乾燥後、34.5μlの滅菌水に溶解した。
5.PCR(2回目)
4.で得られた水溶液34.5μlにHotGoldstar DNA polymerase用10×Reaction Buffer(Eurogentec社製) 5μl 、2.5mmol/L dNTP Mixture((株)ニッポンジーン製)4μl、アダプターに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL 、5'-CATGGTATCGACGAGACTGAG-3')1μl、ヒトp16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマー(25pmol/μL、5'-AGTTACACTTAGCTTCTGGG-3')1μl、25 mmol/L MgCl2 4μl、HotGoldstar DNA polymerase(5U/μl,EUROGENTEC社製)0.5μlをそれぞれ加え、氷上で緩やかに混合し、以下の条件でPCR反応を行った。
95℃ 10分 → 95℃ 20秒・55℃ 20秒・72℃ 20秒(30サイクル)→ 72℃ 2分
次いで、Invisorb Spin PCRapid Kit(Invitek)を用いて、得られた溶液から未反応の逆転写反応プライマーを除去した。その後、エタ沈メイト((株)ニッポンジーン製)1μl、10mol/l 酢酸アンモニウム 12μl、エタノール125μlをそれぞれ加え、混合した。更に、18800×g、で10分間遠心分離し、75%エタノールで2回洗浄し、沈殿物を乾燥後、4μlの滅菌水に溶解した。
6.PCR増幅産物の確認
Bioanalyzer DNA 1000 Kit(Agilent社製)を用いて、PCR増幅産物の鎖長の確認を行った。
その結果、約160bpに、PCR増幅産物を確認した。結果を図6に示す。なお、図6中のLane 1は、アダプターに相補的なPCR プライマーのみを増幅した結果を、Lane 2は、p16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマーのみを増幅した結果を、Lane 3は、アダプターに相補的なPCR プライマーと p16 INK4a mRNAに相補的なPCR プライマーで増幅した結果をそれぞれ表す。
7.塩基配列解析
上記のPCR増幅産物の塩基配列の解析を、BaseStaion(バイオラッドラボラトリーズ(株)製)にて行った。
(塩基配列解読結果)
CATGGTATCGACGAGACTGAGGCAGG(adaptor)
tcaaagatcataacttcatattgtaccacataaatatatacaactgtactatcccaatatataattttaaaactaatataatgaaaaagaaattgaagttcaacattc
ccagaagctaagtgtaact(PCR primer)
8.データベースとの比較
上記のPCR増幅産物の塩基配列解読結果から本cDNAの配列を予想し、NCBIに登録されているヒトp16 INK4aのESTデータベース(ACCESSION No. BG717152)と比較した。
その結果、5'末端が約480bp長いことが確認できた。即ち、本発明の方法により、ヒトp16 INK4aに相補的なcDNAを得ることができ、既知領域から5'末端までの未知領域に相補的なcDNAを解読でき、その結果、ヒトp16 INK4aの5'末端を決定することもできることが判った。
tcaaagatcataacttcatattgtaccacataaatatatacaactgtactatcccaatatataattttaaaactaatataatgaaaaagaaattgaagttcaacattcccagaagctaagtgtaacttaaaagttttgtgagaatttgttttaacaaacaaacaagttttctctttttaacaattaccacattctgcgcttggatatacagcagtgaacaaaaaaaaaaaaaaaaatctccaggcctaacataatttcaggaagaaatttcagtagttgtatctcaggggaaatacaggaagttagcctggagtaaaagtcagtctgtccctgcccctttgctattttgcccgtgcctcacagtgctctctgcctgtgacgacagctccgcagaagttcggaggatataatggaattcattgtgtactgaagaatggatagagaactcaagaaggaaattggaaactggaagcaaatgtaggggtaattagacacctggggcttgtgtgggggtctgcttggcggcgagggggctctacacaagcttcctttccgtcatgccggcccccaccctggctctgaccattctgttctctctggcaggtcatgatgatgggcagcgcccgagtggcggagctgctgctgctccacggcgcggagcccaactgcgccgaccccgccactctcacccgacccgtgcacgacgctgcccgggagggcttcctggacacgctggtggtgctgcaccgggccggggcgcggctggacgtgcgcgatgcctggggccgtctgcccgtggacctggctgaggagctgggccatcgcgatgtcgcacggtacctgcgcgcggctgcggggggcaccagaggcagtaaccatgcccgcatagatgccgcggaaggtccctcagacatccccgattgaaagaaccagagaggctctgagaa
以下に、NCBIに登録されているヒトp16 INK4aのESTデータベースを示す。
aattagacacctggggcttgtgtgggggtctgcttggcggcgagggggctctacacaagcttcctttccgtcatgccggcccccaccctggctctgaccattctgttctctctggcaggtcatgatgatgggcagcgcccgagtggcggagctgctgctgctccacggcgcggagcccaactgcgccgaccccgccactctcacccgacccgtgcacgacgctgcccgggagggcttcctggacacgctggtggtgctgcaccgggccggggcgcggctggacgtgcgcgatgcctggggccgtctgcccgtggacctggctgaggagctgggccatcgcgatgtcgcacggtacctgcgcgcggctgcggggggcaccagaggcagtaaccatgcccgcatagatgccgcggaaggtccctcagacatccccgattgaaagaaccagagaggctctgagaa

Claims (13)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAの合成方法;
    1) 鋳型RNAの3’末端に既知配列のRNA断片を付加する工程
    2) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程
    3) 工程の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程
    4) 工程の後、逆転写されたDNAの3’末端に既知配列の一本鎖DNA断片を、50〜70℃で熱安定性一本鎖DNAリガーゼを用いて付加する工程
  2. 鋳型RNAの3’末端に既知配列のRNA断片を付加する工程の前に、鋳型RNAの5’末端を脱リン酸化する工程を含む、請求項1記載の一本鎖DNAの合成方法。
  3. 鋳型RNAの5’末端を脱リン酸化する工程が、Shrimp Alkaline Phosphataseを用いて行われる、請求項2記載の一本鎖DNAの合成方法。
  4. 前記既知配列の一本鎖DNA断片を付加する工程の前に、得られた溶液をカラム処理又は脱リン酸化処理に付す工程を含む、請求項1〜3の何れかに記載の一本鎖DNAの合成方法。
  5. 以下の工程を含むことを特徴とする、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成方法;
    1) 鋳型RNAの3’末端に既知配列のRNA断片を付加する工程
    2) 鋳型RNAを逆転写反応に付す工程
    3) 工程1の処理を施した溶液を、アルカリ処理に付す工程
    4) 工程2の後、逆転写されたDNAの3’末端に既知配列の一本鎖DNA断片を、50〜70℃で熱安定性一本鎖DNAリガーゼを用いて付加する工程
    5) 得られた一本鎖DNAを二本鎖にする工程
  6. 鋳型RNAの3’末端に既知配列のRNA断片を付加する工程の前に、鋳型RNAの5’末端を脱リン酸化する工程を含む、請求項記載の二本鎖DNAの合成方法。
  7. 鋳型RNAの5’末端を脱リン酸化する工程が、Shrimp Alkaline Phosphataseを用いて行われる、請求項記載の一本鎖DNAの合成方法。
  8. 前記既知配列の一本鎖DNA断片を付加する工程の前に、得られた溶液をカラム処理又は脱リン酸化処理に付す工程を含む、請求項5〜7の何れかに記載の二本鎖DNAの合成方法。
  9. 5)の二本鎖化工程が、PCRによりなされる、請求項5〜8の何れかに記載の二本鎖DNAの合成方法。
  10. I)一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素、II)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列の一本鎖DNA断片、VIII)一本鎖DNAに一本鎖DNA断片を付加し得る熱安定性一本鎖DNAリガーゼ及びIX)DNAの5’末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素を含んでなる、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む一本鎖DNAの合成用キット。
  11. 更に、X)アルカリ又はその水溶液を含む、請求項10記載のキット。
  12. I)一本鎖RNAにRNA断片を付加し得る酵素、II)既知配列のRNA断片、III)逆転写酵素、IV)逆転写反応用プライマー、V)混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸、VI)RNAの5'末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素、VII)既知配列の一本鎖DNA断片、VIII)一本鎖DNAに一本鎖DNA断片を付加し得る熱安定性一本鎖DNAリガーゼ、IX)DNAの5’末端リン酸基を脱リン酸化し得る酵素及びXI)PCRプライマーを含んでなる、鋳型RNAに対応する塩基配列を含む二本鎖DNAの合成用キット。
  13. 更に、X)アルカリ又はその水溶液を含む、請求項12記載の合成用キット。
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