JP5531216B2 - 電流センサ - Google Patents

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Description

本発明は、電流の大きさを測定する電流センサに関する。特に、磁気ヒステリシスに起因する測定精度の低下が抑制された電流センサに関する。
電気自動車やハイブリッドカーにおけるモータ駆動技術などの分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、このような用途向けに、大電流を非接触で測定することが可能な電流センサが求められている。そして、このような電流センサとして、被測定電流によって生じる磁界の変化を磁気センサによって検出する方式のものが実用化されている。また、磁気センサを用いる電流センサは、外乱磁界の影響による測定精度の低下が問題となるため、これを抑制する方式が提案されている。
外乱磁界の影響による測定精度の低下を抑制する方式としては、例えば、二つの磁気センサの出力信号の差動をとるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、二つの磁気センサの出力信号において、被測定電流が形成する磁界の影響が逆相で現れ、外乱磁界の影響が同相で現れるため、その差動を取ることで外乱磁界の影響を除去することができる。
特開2002−131342号公報
ところで、電流センサ内の磁気センサには磁性材料が用いられているため、その特性に起因して電流測定精度の低下が生じ得る。例えば、被測定電流が徐々に大きくなると、誘導磁界も徐々に大きくなり、これによって磁気センサ内の磁性材料が強く磁化されることになるが、この場合において、被測定電流をゼロにして誘導磁界を消滅させても、磁性材料の磁化は完全にはゼロにならない。このように、磁性材料は、磁界からの影響によって特性が変動するヒステリシス特性を有しているため、磁気センサを用いた電流センサでは、それまでの磁界に関する履歴に起因して、測定値と真の値との間にずれを生じることがある。
図13に、上述の電流センサにおいて、測定値と真の値との間にずれが生じる様子を示す。図13(A)は、横軸を時間、縦軸を電流センサ内の磁気センサの検出電圧として、測定値(実線)と、真の値(破線)の関係を示しており、図13(B)は、横軸を測定電流(つまり、真の電流値)、縦軸を磁気センサの出力電圧として、電流センサ内の磁気センサのヒステリシス特性を示している。ここで、図13(A)の点A〜Eと、図13(B)の点A〜Eとは、対応している。図13から分かるように、この例においては、それまでの測定履歴に依存して、測定値と真の電流値との間にずれが生じている。つまり、このような電流センサでは、それまでの測定履歴に応じて、測定精度が変動してしまうことになる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、磁気ヒステリシスの影響を緩和して、測定精度の低下が抑制された電流センサを提供することを目的とする。
本発明の電流センサは、被測定電流が通流する電流線の周囲に配置され、前記被測定電流からの誘導磁界に対応する出力電圧を出力する磁気センサと、前記磁気センサが磁気飽和状態(磁化が飽和した状態)となる強度の磁界を発生することが可能なコイルと、前記磁気センサに接続され、前記磁気センサを磁気飽和状態にした後の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線を基に算出する演算部と、を具備することを特徴とする。ここで、「ヒステリシス曲線を基に算出」とは、ヒステリシス曲線から電流値を抽出する場合の他、何らかの演算処理を行って電流値を算出する場合を含む趣旨である。
磁気センサを磁気飽和状態とした後に電流値の測定を行う場合には、被測定電流と、磁気センサの出力電圧との関係は、磁気飽和状態におけるヒステリシス曲線を用いて表されることになる。磁気飽和状態におけるヒステリシス曲線は、磁気センサごとに固有であるから、この構成のように、磁気センサを磁気飽和状態とした後に、ヒステリシス曲線を基に被測定電流の電流値を算出することで、電流測定精度の低下を抑制することができる。
本発明の電流センサにおいて、前記磁気センサは、磁気抵抗効果素子を含むことがある。この構成によれば、磁気抵抗効果素子によって、十分な電流測定精度を確保することができる。
本発明の電流センサにおいて、前記磁気センサは、前記被測定電流からの誘導磁界を打ち消す磁界を発生することが可能なコイルを有することがある。この構成によれば、磁気平衡式を採用することにより、応答速度が高く、温度依存の小さい電流センサを容易に実現できる。
本発明の磁気センサにおいて、前記コイルは、前記磁気センサの一部であり、前記被測定電流からの誘導磁界を打ち消す磁界を発生することが可能になっていることがある。この構成によれば、磁気平衡式を採用することにより、応答速度が高く、温度依存の小さい電流センサを容易に実現できる。また、一のコイルが、被測定電流からの誘導磁界を打ち消す磁界を発生する機能と、磁気センサが磁気飽和状態(磁化が飽和した状態)となる強度の磁界を発生する機能と、を併せ持つことによって、電流センサの小型化、省スペース化が達成される。
本発明の電流センサにおいて、前記演算部は、前記コイルに第一の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第一の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第一の出力電圧と、閾値電圧と、を比較して、前記コイルに第二の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第二の磁気飽和状態とするか否かを決定すると共に、前記コイルに前記第二の方向の電流を通流させない場合には、前記第一の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線から抽出し、前記コイルに前記第二の方向の電流を通流させる場合には、前記磁気センサを前記第二の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第二の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線から抽出することにより被測定電流を算出することがある。
被測定電流の大きさや方向によっては、磁気センサにおける磁性材料の磁化が小さくなり、磁気センサが磁気飽和状態ではなくなることがある。すると、被測定電流と出力電圧との関係が磁気飽和状態におけるヒステリシス曲線を基に表わせなくなるため、電流測定精度が低下することがある。この構成によれば、被測定電流にあわせて第一の磁気飽和状態または第二の磁気飽和状態を選択して、電流値を算出することで、被測定電流の大きさや方向にかかわらず、適切な電流測定を行うことができる。つまり、電流測定精度の低下を抑制することができる。
本発明の電流センサにおいて、前記演算部は、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線から導出される曲線から、前記コイルに第一の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第一の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第一の出力電圧と、前記コイルに第二の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第二の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第二の出力電圧と、の平均値に対応する電流値を抽出することにより被測定電流を算出することがある。ここで、「ヒステリシス曲線から導出される曲線」とは、ヒステリシス曲線そのものであっても良いし、ヒステリシス曲線に何らかの演算処理を行うことにより得られる曲線であっても良い。
被測定電流の大きさや方向によっては、上述のように電流測定精度が低下することがある。この構成によれば、第一の方向の電流をコイルに与えて磁気センサを磁気飽和状態とした後に測定を行い、また、第一の方向とは逆方向の第二の方向の電流をコイルに与えて磁気センサを磁気飽和状態とした後に測定を行い、その測定に係る出力電圧の平均値を用いて電流値を算出することによって、被測定電流の大きさや方向にかかわらず、適切な電流測定を行うことができる。つまり、電流測定精度の低下を抑制することができる。
本発明の電流センサにおいて、前記ヒステリシス曲線から導出される曲線は、前記ヒステリシス曲線の第一の経路において与えられる被測定電流に対する出力電圧と、前記ヒステリシス曲線の第二の経路において与えられる被測定電流値に対する出力電圧と、の平均値を表わす曲線であることがある。この構成によれば、上述のように、第一の方向の電流をコイルに与えて磁気センサを磁気飽和状態とした後の測定と、第二の方向の電流をコイルに与えて磁気センサを磁気飽和状態とした後の測定とを組み合わせて用いる場合に、適切な電流値を抽出することが可能になる。また、複数の曲線を用いる場合と比較して、計算量を低減することができると共に、メモリの使用容量を小さくすることができる。
本発明の電流センサでは、磁気センサの磁化が飽和した状態においては、被測定電流と、磁気センサの出力電圧との関係が、磁気飽和状態におけるヒステリシス曲線を用いて表現されることを利用して、被測定電流の電流値を求めている。このため、磁気ヒステリシスに起因する測定精度の低下を抑制することができる。
電流センサの被測定電流Iと電流センサ内の磁気センサの出力電圧Vとの関係の例を示す図である。 被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が磁気飽和状態のヒステリシス曲線に固定される様子を示す図である。 電流センサの構成例を示す模式図である。 電流センサの構成例を示す模式図である。 電流測定の概略を示す図である。 実施の形態2における電流測定アルゴリズムの例を説明するフローチャートである。 実施の形態2における出力電圧と被測定電流との関係を示す図である。 実施の形態2における電流測定アルゴリズムの例を説明するフローチャートである。 実施の形態3における電流測定アルゴリズムの例を説明するフローチャートである。 実施の形態3における出力電圧と被測定電流との関係を示す図である。 実施の形態3における出力電圧と被測定電流との関係を示す図である。 実施の形態3における電流測定アルゴリズムの例を説明するフローチャートである。 電流センサの測定値と真の値との間にずれが生じる様子を示す図である。
本発明者らは、電流センサ内の磁気センサを磁気飽和状態にすることで、電流測定における磁気ヒステリシスの影響を低減できることを見出した。これは、磁気センサを磁気飽和状態にすることで、磁気センサの出力電圧が、それまでの磁界に関する履歴とは無関係な固有のヒステリシス曲線を用いて表されるようになるためである。以下、図面を用いて詳細に説明する。
図1には、電流センサの被測定電流Iと、電流センサ内の磁気センサの出力電圧Vと、の関係の例を示す。ある状態において、電流センサ内の磁気センサの出力として出力電圧Vを与える被測定電流Iの測定が行われたとする。このとき、電流センサ内の磁気センサは、被測定電流Iによって生じる磁界の影響を受けて磁化される。そして、これによって、電流センサの被測定電流Iと出力電圧Vとの関係は、例えば、図1中の破線で示される非飽和曲線1のようになる。非飽和曲線1から分かるように、この状態では、例えば、被測定電流Iをゼロとしても出力電圧Vはゼロとならない。
上述のように、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係は、磁化に応じたヒステリシス曲線で表されることになるため、被測定電流Iの影響によって磁気センサの磁化が変動すると、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係も、その磁化に応じて変動する。すなわち、このような状況において、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係は、被測定電流Iの履歴に依存することになるから、出力電圧Vの値から被測定電流Iを精度良く見積もることは難しい。例えば、図1において、非飽和曲線1で表されていた関係が、図中の一点鎖線で示される非飽和曲線2の関係に変わった場合には、被測定電流が同じIであっても、出力電圧は、VからV´に変わってしまう。
上述の問題は、磁気センサの磁化が変動することに起因するものである。つまり、磁気センサの磁化の変動がない状態にできれば、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係は一義的に決まるから、出力電圧Vの値から被測定電流Iを精度良く見積もることが可能になる。本発明者らは、磁化の変動が、磁化が非飽和であることに起因するものであって、電流センサ内の磁気センサを磁気飽和状態として、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係を磁気飽和状態のヒステリシス曲線によって表される関係に固定することで、上述の問題を解消できると考えた。すなわち、本発明の骨子は、電流測定の前に、電流センサ内の磁気センサを磁気飽和状態とし、その後の測定において得られた磁気センサの出力電圧と磁気センサのヒステリシス曲線と、を基に、被測定電流の電流値を算出することによって、電流測定における磁気ヒステリシスの影響を低減しようとするものである。なお、図1において、磁気センサを磁気飽和状態とした場合の被測定電流Iと出力電圧Vとの関係は、例えば、実線の飽和曲線で表される。
なお、磁化はベクトル量であるから、被測定電流Iの大きさや方向に応じて、適切な磁気飽和状態は異なってくる。図2(A)には、被測定電流が+方向に流れる場合の誘導磁界(またはそれと同じ向きの磁界)によって、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が磁気飽和状態のヒステリシス曲線に固定される様子を、図2(B)には、被測定電流が−方向に流れる場合の誘導磁界(またはそれと同じ向きの磁界)によって、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が磁気飽和状態のヒステリシス曲線に固定される様子を示す。
図2(A)の磁気飽和状態について考える。被測定電流Iが+方向である場合には、被測定電流Iの誘導磁界による磁化の変化はないため、測定精度を高い状態に保つことが可能である。つまり、図2(A)の磁気飽和状態は+方向の電流の測定に適しているといえる。一方で、被測定電流Iが−方向の大電流である場合には、被測定電流Iによる誘導磁界は、図2(A)の磁化を弱める方向に働くから、図2(A)の磁気飽和状態を用いて測定を行うと、測定精度は低下してしまう。同様に、図2(B)の磁気飽和状態は、−方向の電流の測定に適しており、+方向の大電流の測定には不向きである。このように、電流の大きさや方向に応じて、適切な磁気飽和状態は異なるから、適切な磁気飽和状態を選択して測定を行うことが望ましい。ただし、本発明はこれに限られない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の例について図面を参照して説明する。図3および図4は、本発明に係る電流センサ1のブロック図の例である。なお、図3(A)と図3(B)は、磁気センサ11を磁気飽和状態とするためのコイルを、電流センサ1が別体で有するか否かという点において異なっているが、他の構成は概ね同じである。
図3(A)に示される電流センサ1は、磁気センサ11と、磁気センサ11の制御を行う制御部13と、磁気センサ11からの出力信号の演算処理などを行う演算部15と、を有する。また、磁気センサ11の外部には、磁気センサ11を磁気飽和状態にできるように、コイル17が近接して配置されている。
磁気センサ11は、磁気平衡式センサであり、被測定電流によって発生する磁界を打ち消す方向の磁界を発生可能に配置されたフィードバックコイル111と、磁気検出素子である二つの磁気抵抗効果素子および二つの固定抵抗素子からなるブリッジ回路113とから構成されている。なお、ここでは、磁気センサ11として、磁気平衡式センサを用いているが、図4に示すような、フィードバックコイル111を有しない磁気比例式センサを用いても良い。磁気平衡式センサを用いる場合には、応答速度が高く、温度依存の小さい電流センサを容易に実現できる。また、ここでは、磁気センサ11を単独で用いる構成について説明しているが、二以上の磁気センサ11を用いてその差動をとり、さらに電流の測定精度を高める構成としても良い。
制御部13は、磁気センサ11のブリッジ回路113の差動出力を増幅し、フィードバックコイル111のフィードバック電流を制御する差動・電流アンプ121と、磁気センサ11のフィードバック電流を電圧に変換するI/Vアンプ123と、I/Vアンプ123の出力電圧をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(A/D変換器)125とを含む。また、制御部13は、コイル17の電流を制御する電流アンプ127を含む。なお、制御部13の構成はこれに限定されない。例えば、複数の磁気センサ11を用いてその差動をとる場合などには、磁気センサ11の数に応じた差動・電流アンプ121やI/Vアンプ123を有していても良い。また、複数の磁気センサ11の出力の差動をとる差動アンプを有していても良い。
演算部15は、デジタル信号に変換された磁気センサ11の出力を用いて、被測定電流の電流値を算出するMCU(マイクロコントローラユニット:Micro Controller Unit)131や、出力電圧(I/Vアンプ123の出力電圧、すなわち、磁気センサ11の出力)と電流値とを対応づけるデータテーブルを格納したメモリ133などを含む。なお、データテーブルは、温度などの環境条件をパラメータとして含むものであっても良い。このようなデータテーブルを用いる場合には、電流測定の環境に合わせて、出力電圧と電流値とをより正確に対応づけることができるため、電流測定の精度をより高めることが可能である。コイル17には、電流測定の前に所定の電流が流れ、これによってコイル17の近傍に誘導磁界が発生し、磁気センサ11が磁気飽和状態となる。なお、コイル17を流れる電流の方向に応じて、磁気センサ11が含む磁性材料の磁化の向きは異なってくるから、磁気センサ11の磁気飽和状態には、コイル17を流れる電流の方向に依存して二通りが存在する。
フィードバックコイル111は、ブリッジ回路113の磁気抵抗効果素子の近傍に配置されており、被測定電流により発生する誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生する。ブリッジ回路113の磁気抵抗効果素子としては、GMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子などを用いることができる。磁気抵抗効果素子は、被測定電流からの誘導磁界の印加により抵抗値が変化するという特性を有する。このような特性を有する二つの磁気抵抗効果素子と二つの固定抵抗素子を用いてブリッジ回路113を構成することにより、高感度の電流センサを実現することができる。また、磁気抵抗効果素子を用いることにより、電流センサを設置する基板面と平行な方向に感度軸を配置することが容易になり、平面コイルを使用することが可能となる。
ブリッジ回路113は、それぞれ、被測定電流により生じた誘導磁界に応じた電位差(電圧)を生じる二つの出力端子を備える。ブリッジ回路113がそれぞれ有する二つの出力端子からの二つの出力は、差動・電流アンプ121で差動増幅され、差動増幅された出力がフィードバックコイル111に電流(フィードバック電流)として与えられる。このフィードバック電流は、誘導磁界に応じた電位差(電圧)に対応する。フィードバック電流がフィードバックコイル111に与えられると、当該フィードバック電流によって、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界が発生する。そして、誘導磁界とキャンセル磁界とが相殺される平衡状態となったときにフィードバックコイル111を流れる電流が、I/Vアンプ123で電圧に変換され、磁気センサ11の出力となる。
なお、差動・電流アンプ121においては、電源電圧を、I/V変換の基準電圧+(フィードバックコイル抵抗の定格内最大値×フルスケール時フィードバックコイル電流)に近い値に設定することで、フィードバック電流が制限され、磁気抵抗効果素子やフィードバックコイルを保護する効果が得られる。また、ここではブリッジ回路113の二つの出力の差動を増幅してフィードバック電流に用いたが、ブリッジ回路113からは中点電位のみを出力とし、所定の基準電位との電位差をもとにしたフィードバック電流を用いてもよい。
磁気センサ11の出力はアナログ信号であるから、アナログデジタル変換器125によってデジタル信号に変換されて、演算部15(MCU131)に入力される。アナログ信号からデジタル信号への変換方式には、並列比較型、逐次比較型、二重積分型、パイプライン型、デルタシグマ型などがあるが、これらは要求される精度や応答速度などに応じて適宜選択することができる。
演算部15において、MCU131は、アナログデジタル変換器125からのデジタル信号、すなわち、磁気センサ11の出力を受けると、これに適当な処理を加えると共に、メモリ133に格納されたデータテーブルを参照し、出力電圧に対応する電流値を被測定電流の電流値として抽出する。また、電流測定の前に磁気センサ11を磁気飽和状態とするため、MCU131は電流アンプ127に指示を与え、指示を受けた電流アンプ127は、必要な電流をコイル17に与える。なお、差動・電流アンプ121に電流アンプ127の機能を持たせて、電流アンプ127を省略しても良い。また、MCU131は、他に、出力信号のゲインとオフセットの補正、出力信号におけるノイズの判別および除去、などの機能を有していても良い。
図3(A)に示す電流センサ1の動作の概略は次のとおりである。まず、磁気センサ11の出力電圧と被測定電流との関係を磁気飽和状態のヒステリシス曲線によって表される関係に固定するために、磁気センサ11を磁気飽和状態とする。具体的には、MCU131からの指示によって、電流アンプ127が、磁気センサ11を磁気飽和状態とするために必要な電流をコイル17に与える。このとき、フィードバックコイル111を用いたフィードバック制御(キャンセル磁界の制御)は行わない。次に、実際に、被測定電流を測定する。すなわち、フィードバックコイル111にフィードバック電流を与えるフィードバック制御(キャンセル磁界の制御)を行って、被測定電流の誘導磁界による磁気センサ11の出力電圧を測定する。このとき、コイル17には電流を与えない。その後、MCU131が、メモリ133に格納された磁気センサ11の出力電圧と被測定電流の電流値とを対応付けたデータテーブルを参照して、磁気センサ11の出力電圧に対応する電流値を抽出する。このようにして抽出された電流値が、電流センサ1の出力となる。なお、詳細は後に述べるが、電流測定精度の低下を抑制するために、被測定電流に応じた適当な処理を別に行っても良い。
図3(A)に示す電流センサ1では、実際の測定の前に、電流センサ1内の磁気センサ11が磁気飽和状態となるような大きな磁界を、コイル17に電流を通流させて発生させる点が特徴的である。つまり、図5に示すように、磁界印加処理31および磁界印加処理後の電流測定処理32を、一定の時間間隔tで実施することになる。なお、この点は、図3(B)や図4に示す電流センサ1においても同様である。
図3(B)に示される電流センサ1は、磁気センサ11を磁気飽和状態とするためのコイル17を有しない点で、図3(A)に示される電流センサ1とは相違する。この構成では、フィードバックコイル111が、図3(A)におけるコイル17の役割を果たす。つまり、図3(B)に示される電流センサ1では、フィードバックコイル111は、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生する機能と、磁気センサ11を磁気飽和状態とする機能とを併せ持つ。その他の構成については、図3(A)に示される電流センサ1と同様である。ただし、MCU131には、フィードバックコイル111のキャンセル磁界を発生する機能と、磁気センサ11を磁気飽和状態とする機能と、を切り替える機能が付加されることがある。すなわち、測定の前段階においては、フィードバックコイル111に電流を通流させるように電流アンプ127を動作させて、磁気センサ11を磁気飽和状態とさせると共に、差動・電流アンプ121の動作を停止させて、フィードバック動作(キャンセル磁界の発生)が行われないようにする。電流の測定時には、差動・電流アンプ121を動作させて、フィードバック動作を行わせると共に、電流アンプ127の動作を停止させる。
つまり、図3(B)に示す電流センサ1の動作の概略は次のとおりである。まず、磁気センサ11の出力電圧と被測定電流との関係を磁気飽和状態のヒステリシス曲線によって表される関係に固定するために、磁気センサ11を磁気飽和状態とする。具体的には、MCU131からの指示によって、電流アンプ127が、磁気センサ11を磁気飽和状態とするために必要な電流をフィードバックコイル111に与える。このとき、フィードバックコイル111によるフィードバック制御(キャンセル磁界の制御)が行われないようにする。このためには、例えば、差動・電流アンプ121の動作を停止させるなどして、フィードバックコイル111をフィードバックループから切り離せば良い。次に、フィードバックコイル111をフィードバックループに接続してフィードバック制御を再開させ、被測定電流を測定する。すなわち、被測定電流の誘導磁界による磁気センサ11の出力電圧を測定する。その後、MCU131が、メモリ133に格納された磁気センサ11の出力電圧と被測定電流の電流値とを対応付けたデータテーブルを参照して、磁気センサ11の出力電圧に対応する電流値を抽出する。このようにして抽出された電流値が、電流センサ1の出力となる。この場合も、電流測定精度の低下を抑制するために、被測定電流に応じた適当な処理を別に行っても良い。
図4に示される電流センサ1は、磁気センサ11と、磁気センサ11の制御を行う制御部13と、磁気センサ11からの出力信号の演算処理などを行う演算部15と、を有する。また、磁気センサ11の外部には、磁気センサ11を磁気飽和状態にできるように、コイル17が近接して配置されている。
磁気センサ11は、磁気比例式センサであり、磁気検出素子である二つの磁気抵抗効果素子および二つの固定抵抗素子からなるブリッジ回路113とから構成されている。なお、磁気センサ11は磁気の変化を電気的に検出できるものであれば、上述の構成に限定されない。このような磁気比例式センサを用いる場合には、磁気平衡式センサのようなフィードバックコイル111およびその制御に関する構成が不要になるため、構成を簡略化し、電流センサの小型化を図れる。また、ここでは、磁気センサ11を単独で用いる構成について説明しているが、二以上の磁気センサ11を用いてその差動をとり、さらに電流の測定精度を高める構成としても良い。
制御部13は、磁気センサ11の出力電圧をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(A/D変換器)125を含む。また、制御部13は、コイル17の電流を制御する電流アンプ127を含む。なお、制御部13の構成はこれに限定されない。例えば、磁気センサ11のブリッジ回路113の差動出力を増幅し、アナログデジタル変換器125に出力する差動アンプを備えていても良い。また、複数の磁気センサ11を用いてその差動をとる場合などには、複数の磁気センサ11の出力の差動をとる差動アンプを有していても良い。
演算部15は、デジタル信号に変換された磁気センサ11の出力を用いて、被測定電流の電流値を算出するMCU(マイクロコントローラユニット:Micro Controller Unit)131や、出力電圧(I/Vアンプ123の出力電圧、すなわち、磁気センサ11の出力)と電流値とを対応づけるデータテーブルを格納したメモリ133などを含む。コイル17には、電流測定の前に所定の電流が流れ、これによってコイル17の近傍に誘導磁界が発生し、磁気センサ11が磁気飽和状態となる。なお、コイル17を流れる電流の方向に応じて、磁気センサ11が含む磁性材料の磁化の向きは異なってくるから、磁気センサ11の磁気飽和状態には、コイル17を流れる電流の方向に依存して二通りが存在する。
ブリッジ回路113の磁気抵抗効果素子としては、GMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子などを用いることができる。詳細は図3に示す磁気平衡式センサと同様である。
磁気センサ11の出力はアナログ信号であるから、アナログデジタル変換器125によってデジタル信号に変換されて、演算部15(MCU131)に入力される。演算部15において、MCU131は、アナログデジタル変換器125からのデジタル信号、すなわち、磁気センサ11の出力を受けると、これに適当な処理を加えると共に、メモリ133に格納されたデータテーブルを参照し、出力電圧に対応する電流値を被測定電流の電流値として抽出する。また、電流測定の前に磁気センサ11を磁気飽和状態とするため、MCU131は電流アンプ127に指示を与え、指示を受けた電流アンプ127は、必要な電流をコイル17に与える。なお、MCU131は、他に、出力信号のゲインとオフセットの補正、出力信号におけるノイズの判別および除去、などの機能を有していても良い。
図4に示す電流センサ1の動作の概略は次のとおりである。まず、磁気センサ11の出力電圧と被測定電流との関係を磁気飽和状態のヒステリシス曲線によって表される関係に固定するために、磁気センサ11を磁気飽和状態とする。具体的には、MCU131からの指示によって、電流アンプ127が、磁気センサ11を磁気飽和状態とするために必要な電流をコイル17に与える。次に、実際に、被測定電流を測定する。すなわち、被測定電流の誘導磁界による磁気センサ11の出力電圧を測定する。その後、MCU131が、メモリ133に格納された磁気センサ11の出力電圧と被測定電流の電流値とを対応付けたデータテーブルを参照して、磁気センサ11の出力電圧に対応する電流値を抽出する。このようにして抽出された電流値が、電流センサ1の出力となる。なお、詳細は後に述べるが、電流測定精度の低下を抑制するために、被測定電流に応じた適当な処理を別に行っても良い。
上述のように、図3(A)や図3(B)、図4などに示す電流センサ1では、電流測定の前に、電流センサ1内の磁気センサ11を磁気飽和状態とし、その後の測定において得られた磁気センサ11の出力電圧と磁気センサ11のヒステリシス曲線とを基に、被測定電流の電流値を算出することができる。そしてこれにより、電流測定における磁気ヒステリシスの影響を低減し、測定精度の低下を抑制することができる。なお、図3(A)や図3(B)、図4のブロック図に係る電流センサ1の構成は例にすぎず、他の構成を採用することも当然に可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において示した電流センサ1における電流測定フローの一例として、被測定電流にあわせて測定モードを変更して、電流値を算出するフローについて図6〜図8を参照して説明する。なお、図3(A)および図4の電流センサ1における電流測定フローと、図3(B)の電流センサ1における電流測定フローとの相違は、フィードバックコイル111の切り替え制御部分のみである。よって、以下の説明では、主として、図3(A)および図4の電流センサ1における電流測定フローについての説明を行うこととする。
まず、図6のステップ201において、現在の測定モードが第一の測定モードであるか第二の測定モードであるかを判定する。現在の測定モードが第一の測定モードである場合、すなわち、直前の測定を第一の測定モードで行っている場合には、ステップ202を実行する。現在の測定モードが第二の測定モードである場合には、ステップ206を実行する。ここで、第一の測定モードとは、第一の磁気飽和状態を用いる測定モードであり、第二の測定モードとは、第二の磁気飽和状態を用いる測定モードである。また、第一の磁気飽和状態とは、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が、図7(A)のヒステリシス曲線のうちの実線の曲線aで表される状態をいい、第二の磁気飽和状態とは、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が、図7(B)のヒステリシス曲線のうちの実線の曲線bで表される状態をいうものとする。つまり、第一の磁気飽和状態と第二の磁気飽和状態とでは、磁化の向きが逆である。なお、ステップ201の判定処理は必須ではないが、被測定電流が大きく変化しない場合などにおいては、測定モードを判定して、直前の測定に用いられた測定モードを優先的に用いることで、測定の回数を減らすことが可能である。
ステップ202では、コイル17に第一の方向の電流を流すことによって、磁気センサ11を第一の磁気飽和状態とする(図7(A)の破線矢印A1参照)。ここで、コイル17を流れる第一の方向の電流は、第一の磁気飽和状態を実現できる程度に十分に大きいものとする。なお、ここでは、第一の磁気飽和状態を曲線aで表される状態としているが、第一の磁気飽和状態と第二の磁気飽和状態との関係は入れ替えても良い。つまり、第一の磁気飽和状態を、曲線bで表される状態とし、第二の磁気飽和状態を、曲線aで表される状態としても良い。
次に、ステップ203において、被測定電流による磁気センサ11の出力を測定する(図7(A)の破線矢印A2参照)。磁気センサ11の出力は、通常、電位差(電圧)で表現されるから、以下では、この状態での磁気センサ11の出力を、単に出力電圧Vと呼ぶ。
その後、ステップ204において、電流測定精度の低下を抑制するために、出力電圧Vと、閾値Vth1とを比較する。V<Vth1であれば、測定精度が不十分な状態にあるとして、ステップ205を実行する(図7(A)の破線矢印A3参照)。V≧Vth1であれば、十分な測定精度が確保される状態にあるとして、ステップ210を実行する。これにより、図7(A)の破線矢印A2で示される測定範囲が、第一の測定モードにおける適正な測定範囲として扱われる。閾値Vth1としては、電流測定精度を十分に確保できる値を適宜用いることができるが、後のステップ206における閾値Vth2との関係で、Vth1≦Vth2を満たすものであることが望ましい。例えば、Vth1>Vth2とすると、出力電圧によっては電流値が算出されない可能性があるためである。ただし、第一の磁気飽和状態と第二の磁気飽和状態の関係を入れ替える場合などには、この限りではない。
<Vth1である場合には、ステップ205において、測定モードを第二の測定モードに変更した後に、ステップ206において、コイル17に第一の方向とは逆向きの第二の方向の電流を流し、磁気センサ11を第二の磁気飽和状態とする(図7(B)の破線矢印B1参照)。V<Vth1である場合には、磁気センサの磁化が弱められる状態にあるため、測定精度がやや低下する。そこで、磁気センサ11を第二の磁気飽和状態として、再度の測定を行うのである。ここで、コイル17を流れる第二の方向の電流は、第二の磁気飽和状態を実現できる程度に十分に大きいものとする。なお、ステップ201において、現在の測定モードが第二の測定モードであると判定された場合には、ステップ201の直後にステップ206が実行される。また、ステップ206によって、磁気センサ11が第二の磁気飽和状態になると、被測定電流Iと出力電圧Vとは、図7(B)のヒステリシス曲線のうちの実線の曲線bで表されることになる。
次に、ステップ207において、被測定電流による磁気センサ11の出力を測定する(図7(B)の破線矢印B2参照)。ここでは、測定される磁気センサ11の出力を、出力電圧Vとする。
その後、ステップ208において、電流測定精度の低下を抑制するために、出力電圧Vと、閾値Vth2とを比較する。V>Vth2であれば、測定精度が不十分な状態にあるとして、ステップ209において測定モードを第一の測定モードに変更した後に、ステップ202を実行する(図7(B)の破線矢印B3参照)。V≦Vth2であれば、十分な測定精度が確保される状態にあるとして、ステップ210を実行する。これにより、図7(B)の破線矢印B2で示される測定範囲が、第二の測定モードにおける適正な測定範囲として扱われる。閾値Vth2としては、電流測定精度を十分に確保できる値を適宜用いることができるが、閾値Vth1との関係で、Vth1≦Vth2を満たすものであることが望ましい。
ステップ210では、測定モードに合わせて、出力電圧Vまたは出力電圧Vから、被測定電流の電流値を算出する。第一の測定モードの場合には、メモリ133に格納された第一の測定モード用データテーブル(曲線aに相当するデータテーブル)から、出力電圧Vに対応する電流値Iを抽出する。第二の測定モードの場合にも、同様に、第二の測定モード用データテーブル(曲線bに相当するデータテーブル)から、出力電圧Vに対応する電流値を抽出する。そして、抽出された電流値が、被測定電流の電流値としてMCU131から出力される。
なお、図3(B)の電流センサ1では、所定のステップの前(または後)に、フィードバックコイル111の切り替え制御が加わることになる。例えば、図8に示すように、ステップ202の直前のステップ202A、および、ステップ206の直前のステップ206Aにおいて、磁気センサを磁気飽和状態とすることができるようにフィードバックコイル111の機能が切り替えられる(つまり、フィードバックコイル111がフィードバックループから切り離される)。また、ステップ203の直前のステップ203A、および、ステップ207の直前のステップ207Aにおいて、誘導磁界を打ち消す磁界を発生させることができるようにフィードバックコイル111の機能が切り替えられる(つまり、フィードバックコイル111がフィードバックループに接続される)。
以上の処理フローによって、被測定電流にあわせて第一の磁気飽和状態または第二の磁気飽和状態を選択し、電流値を算出することができる。このため、被測定電流の大きさや方向にかかわらず、適切な電流測定を行うことができる。つまり、電流測定精度の低下を抑制することができる。なお、電流測定に係る処理は図6〜図8に示す処理に限られない。また、他の実施の形態に示す処理と組み合わせて用いることも可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2とは異なる電流測定フローの一例として、二つの測定モードにおける測定結果を用いて電流値を算出するフローについて、図9〜図12を参照して説明する。なお、図3(A)および図4の電流センサ1における電流測定フローと、図3(B)の電流センサ1における電流測定フローとの相違は、フィードバックコイル111の切り替え制御部分のみであるから、以下の説明では、主として、図3(A)および図4の電流センサ1における電流測定フローについての説明を行うこととする。
まず、図9のステップ301において、コイル17に第一の方向の電流を流すことによって、磁気センサ11を第一の磁気飽和状態とする(図10(A)の破線矢印A1参照)。ここで、第一の磁気飽和状態とは、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が、図10(A)のヒステリシス曲線のうちの実線の曲線aで表される状態をいう。また、コイル17を流れる第一の方向の電流は、第一の磁気飽和状態を実現できる程度に十分に大きいものとする。この点については、実施の形態1における電流測定フローの第一の測定モードと同じであり、本実施の形態でも、このように第一の磁気飽和状態を用いる測定モードを、第一の測定モードと呼ぶことにする。
次に、ステップ302において、被測定電流による磁気センサ11の出力を測定する(図10(A)の破線矢印A2参照)。本実施の形態においても、第一の測定モードにおける磁気センサ11の出力をVとする。
その後、ステップ303において、コイル17に第一の方向とは逆向きの第二の方向の電流を流すことによって、磁気センサ11を第二の磁気飽和状態とする(図10(B)の破線矢印B1参照)。ここで、第二の磁気飽和状態とは、被測定電流Iと出力電圧Vとの関係が、図10(B)のヒステリシス曲線のうちの実線の曲線bで表される状態をいう。また、コイル17を流れる第二の方向の電流は、第二の磁気飽和状態を実現できる程度に十分に大きいものとする。この点については、実施の形態1における電流測定フローの第二の測定モードと同じであり、本実施の形態でも、このように第二の磁気飽和状態を用いる測定モードを、第二の測定モードと呼ぶことにする。なお、第一の磁気飽和状態と第二の磁気飽和状態との関係は入れ替えても良い。つまり、第一の磁気飽和状態を、曲線bで表される状態とし、第二の磁気飽和状態を、曲線aで表される状態としても良い。
次に、ステップ304において、被測定電流による磁気センサ11の出力を測定する(図10(B)の破線矢印B2参照)。本実施の形態においても、第二の測定モードにおける磁気センサ11の出力をVとする。
ステップ305では、ステップ302において得られた出力電圧Vと、ステップ304において得られた出力電圧Vと、の平均値V(=(V+V)/2)を算出する(図11(A)参照)。このように、第一の測定モードにおいて得られた出力電圧Vと、第二の測定モードにおいて得られた出力電圧Vと、を平均化して用いることにより、電流測定精度を高めることができる。
ステップ306では、メモリ133に格納されたデータテーブルから、平均値Vに対応する電流値を抽出することによって、被測定電流の電流値を算出する(図11(B)参照)。そして、算出された電流値が、被測定電流の電流値としてMCU131から出力される。ここで、メモリ133には、図11(B)の曲線cに相当するデータテーブルが格納される。また、曲線cは、図11曲線aと曲線bから導出される曲線であって、ある電流値に対して曲線aと曲線bによって与えられる二つの電圧値の平均値が集合した曲線である。このように、曲線cに相当するデータテーブルをメモリ133に格納させる場合には、複数の曲線に相当するデータテーブルをメモリ133に格納させる場合と比較して、メモリ133の記憶容量が小さくて済むというメリットがある。また、複数の曲線から電流値を算出しなくても良いため、計算量が少なくて済む。
なお、本実施の形態では、メモリ133に、曲線cに相当するデータテーブルを格納しているが、本発明はこれに限られない。例えば、曲線aに相当するデータテーブルと、曲線bに相当するデータテーブルとを併せてメモリ133に格納し、測定の都度、これらの平均値を算出して用いることにより電流値を算出しても良い。この場合、本実施の形態に示す処理と、実施の形態1に示す処理とを切り替えて電流測定を行うことが可能である。または、本実施の形態に示す処理と、実施の形態1に示す処理とを組み合わせて電流測定を行うことが可能である。
なお、図3(B)の電流センサ1では、所定のステップの前(または後)に、フィードバックコイル111の切り替え制御が加わることになる。例えば、図12に示すように、ステップ301の直前のステップ301A、および、ステップ303の直前のステップ303Aにおいて、磁気センサを磁気飽和状態とすることができるようにフィードバックコイル111の機能が切り替えられる(つまり、フィードバックコイル111がフィードバックループから切り離される)。また、ステップ302の直前のステップ302A、および、ステップ304の直前のステップ304Aにおいて、誘導磁界を打ち消す磁界を発生させることができるようにフィードバックコイル111の機能が切り替えられる(つまり、フィードバックコイル111がフィードバックループに接続される)。
以上の処理フローによって、第一の測定モードと第二の測定モードの平均値から、電流値を算出することができる。このため、被測定電流の大きさや方向にかかわらず、適切な電流測定を行うことができる。つまり、電流測定精度の低下を抑制することができる。なお、電流測定に係る処理は図9〜図12に示す処理に限られない。本実施の形態に示す処理を、他の実施の形態に示す処理と組み合わせて用いることも可能である。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における各素子の接続関係、大きさなどは適宜変更して実施することが可能である。また、各種処理は組み合わせて用いることができる。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しない程度に適宜変更して実施することができる。
本発明の電流センサは、例えば、電気自動車やハイブリッドカーのモータ駆動用の電流の大きさを検知するために用いることが可能である。
本出願は、2010年10月7日出願の特願2010−227775に基づく。この内容は、全てここに含めておく。

Claims (6)

  1. 被測定電流が通流する電流線の周囲に配置され、前記被測定電流からの誘導磁界に対応する出力電圧を出力する磁気センサと、
    前記磁気センサが磁気飽和状態となる強度の磁界を発生することが可能なコイルと、
    前記磁気センサに接続され、前記磁気センサを磁気飽和状態にした後の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線を基に算出する演算部と、
    を具備し、
    前記演算部は、
    前記コイルに第一の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第一の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第一の出力電圧と、閾値電圧と、を比較して、前記コイルに第二の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第二の磁気飽和状態とするか否かを決定すると共に、
    前記コイルに前記第二の方向の電流を通流させない場合には、前記第一の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線から抽出し、
    前記コイルに前記第二の方向の電流を通流させる場合には、前記磁気センサを前記第二の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第二の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線から抽出することにより被測定電流を算出することを特徴とする電流センサ。
  2. 被測定電流が通流する電流線の周囲に配置され、前記被測定電流からの誘導磁界に対応する出力電圧を出力する磁気センサと、
    前記磁気センサが磁気飽和状態となる強度の磁界を発生することが可能なコイルと、
    前記磁気センサに接続され、前記磁気センサを磁気飽和状態にした後の出力電圧に対応する電流値を、前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線を基に算出する演算部と、
    を具備し、
    前記演算部は、
    前記磁気センサの磁気飽和状態における被測定電流と出力電圧との関係を示すヒステリシス曲線から導出される曲線から、前記コイルに第一の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第一の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第一の出力電圧と、前記コイルに第二の方向の電流を通流させて前記磁気センサを第二の磁気飽和状態とした後の被測定電流に対する第二の出力電圧と、の平均値に対応する電流値を抽出することにより被測定電流を算出することを特徴とする電流センサ。
  3. 前記ヒステリシス曲線から導出される曲線は、
    前記ヒステリシス曲線の被測定電流が増大する場合の経路において与えられる被測定電流に対する出力電圧と、前記ヒステリシス曲線の被測定電流が減少する場合の経路において与えられる被測定電流値に対する出力電圧と、の平均値を表わす曲線であることを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
  4. 前記磁気センサは、磁気抵抗効果素子を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
  5. 前記磁気センサは、前記被測定電流からの誘導磁界を打ち消す磁界を発生することが可能なコイルを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流センサ。
  6. 前記コイルは、前記磁気センサの一部であり、
    前記被測定電流からの誘導磁界を打ち消す磁界を発生することが可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流センサ。
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